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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02C
管理番号 1347036
審判番号 不服2018-2504  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-22 
確定日 2018-12-26 
事件の表示 特願2013-130099「ターボ機械の監視システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年1月20日出願公開、特開2014-9687、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月21日(パリ条約による優先権主張2012年6月27日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成28年6月13日に手続補正書が提出され、平成29年4月18日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年8月3日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月24日付けで拒絶査定がされ(発送日:同年10月31日)、これに対し、平成30年2月22日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

請求項1?10に係る発明は、引用文献1又は引用文献2と、引用文献3とに基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2010-261459号公報(本審決における引用文献1)
2.特表2010-520961号公報(本審決における引用文献2)
3.Chao-Nan Xu,etc.,"Direct view of stress distribution in solid by mechanoluminescence",Applied Physics Letters,米国,American Institute of Physics,1999年4月26日,Vol.74, No.17,p.2414-2416(本審決における引用文献3)

第3 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、平成30年2月22日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
1 本願発明1
「【請求項1】
第1のメカノルミネッセンス材料を含む第1のターボ機械構成要素と、
第2のメカノルミネッセンス材料を含む第2のターボ機械構成要素と、
を備え、
前記第1のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第1の光の放射を生成し、
前記第2のターボ機械構成要素が、前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長の異なる第2の光の放射を生成し、
前記第1の光の放射および前記第2の光の放射がそれぞれ、1つまたは複数の特徴的な放射パラメータを含む、
ターボ機械と、
第1および第2の光の放射と第1および第2のターボ機械構成要素の前記メカノルミネッセンスとの相関による第1および第2の光の放射の分析に基づいて、第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視し、かつ、
前記第1および第2のターボ機械構成要素の前記構造上の健全性を示すユーザが認知できる表示を提供し、及び/又は、
前記第1および第2の光の放射に応じて前記ターボ機械の運転速度を調整する
ように構成されたデータ取得および分析回路を含む制御装置を備える
ターボ機械監視システムと、
を備える、システム。」

2 本願発明2ないし10
「【請求項2】
前記ターボ機械監視システムが、
前記第1の光の放射を検知し、前記第1の光の放射を表す第1の電気信号を生成するように構成された光検出器を備え、
前記制御装置は、前記第1の電気信号を分析して、前記第1の光の放射に関するパラメータを測定するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置が、前記パラメータを測定することで、前記第1の光の放射が、前記第1のターボ機械構成要素の機械的故障を示すものか、または初期の機械的故障を示すものかを判定するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記パラメータが、前記検知された第1の光の放射の強度、前記第1の光の放射における1つまたは複数の波長の相対的強度、前記第1の光の放射のタイミング、前記第1の光の放射の波長、前記第1の光の放射の周波数、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ターボ機械監視システムが、前記第1のターボ機械構成要素を前記光検出器に光学的に結合する光ファイバケーブルを備える、請求項2乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記ターボ機械監視システムが、前記第1の光の放射の少なくとも一部を捕捉するように構成されたカメラを備える、請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記ターボ機械が、タービン、圧縮機またはポンプを備え、
前記第1のターボ機械構成要素が、燃料ノズル、燃焼器、排気部分、回転ブレード、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも一部を備える、
請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のターボ機械構成要素が、複数の積み重ねられた層を備え、前記複数の積み重ねられた層のそれぞれがセラミックマトリクス複合体(CMC)から形成される、請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記ターボ機械監視システムが、前記第1の光の放射と、前記第2の光の放射を差別化することで、前記第1のターボ機械構成要素および前記第2のターボ機械構成要素の機械的故障が示されているか、または初期の機械的故障が示されているかを判定するように構成されている、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記機械的刺激が、前記第1のメカノルミネッセンス材料に対する圧力、前記第1のメカノルミネッセンス材料に対する摩耗、前記第1のメカノルミネッセンス材料に対する振動性かつ固定式の負荷、または前記第1のメカノルミネッセンス材料に対する異物損傷のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至9のいずれかに記載のシステム。」

第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010-261459号公報)には、「多段圧縮機の故障検出及び保護」に関し、図面(特に、図1?図4、図6参照)とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(1)引用文献1の記載事項
ア 「【0001】
本発明は、圧縮機の故障検出及び保護に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、多様な産業及びシステムにおいて、空気などの気体を圧縮するために使用される。例えば、ガスタービンエンジンは一般に、燃焼及び冷却のために、圧縮された空気を供給する圧縮機を含む。自明であろうが、圧縮機の正常性は、機械の性能、効率、ダウンタイム及び全体的な可用性に影響を及ぼす。圧縮機の部品(例えば、ブレード、シール等)が摩耗又は破損した場合、圧縮機は、目的のシステム(例えば、ガスタービンエンジン)に対して気体(例えば、空気)の十分な圧縮を行えないことがある。さらに、圧縮機の部品の破損は、目的のシステム(例えば、ガスタービンエンジン)に損傷を引き起こすことがあり、それによりダウンタイムが発生し、補修費用が増加する。これは、ガスタービンエンジンの連続的な運転を利用する発電所では、特に問題となる。その結果、圧縮機及び下流のガスタービンエンジン部品を損傷から保護するために、早い段階で故障を識別することが望ましい。残念なことに、既存のシステムは、圧縮機の故障を早期に検出するのに特に適しているわけではない。このことは、発電所のガスタービンエンジンで使用されるような多段圧縮機に特に当てはまる。例えば、既存のシステムでは、このような多段圧縮機の段間領域をモニタしていない。」

イ 「【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、回転機械の動翼の複数の段の間の段間位置でのパラメータを検知するように構成された段間センサを含む。システムはまた、検知された段間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、回転機械の故障を識別するように構成された制御装置も含む。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、多段圧縮機の段の間の段間圧力測定を取得するように構成された制御装置を含む。制御装置はまた、少なくとも部分的に段間圧力測定に基づいて、多段圧縮機の実際の損傷を識別するように構成されている。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、タービンエンジンを含む。タービンエンジンは、圧縮機、燃焼器及びタービンエキスパンダーを含む。圧縮機は、複数の圧縮機段を含む。システムはまた、タービンエンジン内の段間位置で複数のパラメータを測定するように構成された複数の段間センサを含む。システムはさらに、複数のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、圧縮機段の1つにおける破損を識別するように構成された制御装置を含む。制御装置はまた、破損を示す警告を出力するか、破損に応答してタービンエンジンの運転パラメータを自動的に調整するか、破損に応答してタービンエンジンを自動的に停止するか、或いはこれらの組合せを実施するように構成されている。」

ウ 「【0012】
開示された実施形態は、多段回転機械内の故障を識別するために、多段回転機械(例えば、圧縮機、タービン等)の複数の段からの段間センサ測定(例えば、圧力、温度、音声、光学等)を使用するためのシステム及び方法を含む。簡略性のために、本明細書で開示される多段回転機械は、主に多段圧縮機について述べる。しかし、自明であろうが、本明細書で開示されるシステム及び方法は、複数の段を含む他のタイプの回転機械の故障を識別するために利用することもできる。
【0013】
正常運転中、多段圧縮機の各段は、作動流体の圧力及び温度を一定の量だけ、徐々に増加させる。多段圧縮機の各段における圧力及び温度の増加量は、速度、入口境界条件(例えば、流量、圧力、温度、組成等)、出口境界条件(例えば、流動抵抗等)及び段効率など、特定の運転条件によることができる。多段圧縮機での圧力及び温度の全体的な増加は、一般に個々の段の圧力及び温度増加の合計となる。したがって、1以上の段が標準より低い働きをする場合、多段圧縮機を出る作動流体の状態(例えば、圧力、温度、等)が影響を受ける。
【0014】
理想的には、多段圧縮機の吐出測定は、予測される性能又は過去の性能からの逸脱を検出できるほど十分に正確である。しかし、多段圧縮機内には数百又は数千の翼があることがあるため、個々の翼の1つの又はいくつかが故障しても、多段圧縮機の全体的な性能は、測定ノイズのレベルを超えて上昇するほど十分に、著しく変化をしないことがある。さらに、多段圧縮機の性能は、運転条件(例えば、案内翼位置、入口温度及び圧力、下流抵抗等)によって著しく異なることがあり、時間の経過とともに悪化することがあり(例えば、付着物、ブレード浸食、間隙の変化等による)、さらに故障検出を複雑にしている。
【0015】
開示される実施形態は、多段圧縮機の故障検出への異なるアプローチをとることによって、これらの困難に取り組む。部品が多段圧縮機内で損傷又は故障したとき、多段圧縮機内の個々の段での圧力及び温度分布も変化する。多段圧縮機の全体的な性能の変化は容易に検出可能でないこともあるが、各段又は段のグループの相対的な性能をより明白にすることができ、したがって、部品の損傷又は故障をより確実に示すことができる。開示される実施形態は、多段圧縮機内の複数の位置(例えば、多段圧縮機の入口及び出口に加えて、1以上の段間位置)でのセンサ測定(例えば、圧力、温度、音声、光学等)を利用する。これらの段間センサ測定が、予測される値から逸脱している場合、段の1つで故障が起きていることを示すことができる。簡略性のために、本明細書で開示される段間センサ測定は、主に圧力センサ測定について述べる。しかし、自明であろうが、本明細書で開示されるシステム及び方法はまた、温度センサ測定、音声センサ測定、光学センサ測定又は多段圧縮機などの多段回転機械内の故障を示すことができる他のタイプのセンサ測定も含む。
【0016】
連続する測定位置間の圧力の増加を、多段圧縮機での全体的な圧力の増加と比較することができ、それにより、圧力増加比率が測定される。これらの測定された圧力増加比率は、一般に多段圧縮機の性能に影響を及ぼすと考えられる、関連するいくつかの運転条件(例えば、シャフトの速度、案内翼位置、入口条件、出口条件等)の関数として扱うことができる。測定された圧力増加比率はまた、モデリング、他の多段圧縮機の測定又は同じ多段圧縮機の過去の測定によって判断された予測圧力増加比率と比較することもできる。測定された圧力増加比率が、予測される圧力増加比率から、あらかじめ定められた量以上に逸脱している場合、アラームの開始、多段圧縮機の停止等の適切な制御応答を開始することができる。
【0017】
或いは、上述したように、ある実施形態では、圧力測定及び圧力増加比率に代えて或いはそれらと共に、温度測定及び温度増加比率を使用することができる。圧力測定又は温度測定のいずれかを使用するかの選択は、測定の不確実性及びそれによって得られる故障検出の感度によることができる。言い換えると、特定の多段圧縮機の圧力増加比率を使用することによってより信頼性の高い故障検出が得られる場合、圧力増加比率が温度増加比率より好ましいことがあり、逆もまた同様である。さらに、ある実施形態では、各々の多段圧縮機セクションの圧力及び温度の両方の増加を、他のそのようなセクションと比較することが、多段圧縮機での全体的な圧力及び/又は温度増加との比較に代えて或いはそれらと共に、有利となることがある。」

エ 「【0018】
図1は、ガスタービンエンジン12全体での段間測定に少なくとも部分的に基づいて、故障を初期に検出するように構成されている故障検出及び保護システム10の例示的な実施形態のブロック図である。ある実施形態では、故障検出及び保護システム10は、ガスタービンエンジン12の損傷及びダウンタイムが拡大する可能性が減少するように、検出された故障に早期に応答するように構成された制御装置14を含む。故障検出及び保護システム10は、モニタリングシステム18を介して、多段圧縮機16の全体にわたる複数の位置(例えば、入口、出口及び段間)での故障の検知に使用することができる。故障検出及び保護システム10はまた、モニタリングシステム22を介して、多段タービン20の全体にわたる複数の位置(例えば、入口、出口及び段間)での故障の検知に使用することもできる。ある実施形態では、モニタリングシステム18及び22は、単一のモニタリングシステムとして、ともに組合せることができる。以下で詳細に述べるように、段間測定(例えば、圧力、温度、音声、光学、流速、振動等)によって、制御装置14が圧縮機16及びタービン20における故障をより迅速に識別することが可能になり、それにより、損傷及びダウンタイムがより拡大する可能性が減少する。このことは、圧縮機16及びタービン20の段数が多くなると特に有利である。例えば、圧縮機16及びタービン20は、複数の段(例えば、5、10、15、20、25、30又はそれ以上の段)をそれぞれ有することができる。モニタリングシステム18及び22は、各段に配設された1以上のセンサを含むことができる。以下の説明は、主にガスタービンエンジン12との関連において圧縮機16について述べるが、開示される実施形態は、例えば、ガスタービン、蒸気タービン、水力タービン、別の動力源によって駆動される圧縮機等、動翼を有するどのような多段システムでも使用することができる。
【0019】
ある実施形態では、ガスタービンエンジン12は、圧縮された空気を液体又は気体燃料(天然ガス及び/又は水素に富んだ合成ガスなど)と混合することができる。図示するように、複数の燃料ノズル24が燃料供給を取り込み、燃料を空気と混合し、空気/燃料混合物を燃焼器26へと送り込む。空気/燃料混合物は燃焼器26内の室内で燃焼し、それにより、高温の加圧された排気ガスが生成される。燃焼器26は、排気ガスを、タービン20を通って排気出口28へと向かわせる。排気ガスがタービン20を通過すると、ガスによって、1以上のタービン動翼が、ガスタービンエンジン12の軸32に沿ってシャフト30を回転させる。図示するように、シャフト30は、多段圧縮機16を含む、ガスタービンエンジン12の様々な部品に連結されている。以下でより詳細に説明するように、多段圧縮機16は、シャフト30に連結することができる複数の動翼を備えた複数の段を含むことができる。したがって、シャフト30が回転すると、多段圧縮機16内の複数の動翼が回転し、それにより、空気取入口34から多段圧縮機16を通って燃料ノズル24及び/又は燃焼器26へと、空気を圧縮する。シャフト30はまた、車両或いは発電所内の発電機又は航空機のプロペラなどの固定負荷とすることができる、負荷36に連結されている。負荷36は、ガスタービンエンジン12の回転出力によって電力供給されるように構成された適切なデバイスを含むことができる。」

オ 「【0021】
ある実施形態では、図1の故障検出及び保護システム10は、圧縮機16の全体にわたる段間位置及びタービン20の全体にわたる段間位置を含む、タービンエンジン12全体にわたる入口、出口及び段間位置で、1以上のパラメータを測定するように構成されている。例えば、故障検出及び保護システム10は、入口44及び/又は出口48の圧縮機センサ42を含むだけでなく、圧縮機入口44、複数の段間圧縮機位置46、及び圧縮機出口48に配設された1以上の圧縮機センサ42を含むことができる。したがって、以下でより詳細に説明するように、圧縮機センサ42は、故障検出の時間及び場所が実質的に改善されるように構成されており、すなわち、より迅速な応答時間及びより正確な故障位置の識別が得られる。他の例では、故障検出及び保護システム10は、入口52及び/又は出口56のタービンセンサ50を含むだけでなく、タービン入口52、複数の段間タービン位置54及びタービン出口56に配設された1以上のタービンセンサ50を含むことができる。したがって、以下でより詳細に説明するように、タービンセンサ50は、故障検出の時間及び場所が実質的に改善されるように構成されており、すなわち、より迅速な応答時間及びより正確な故障位置の識別が得られる。自明であろうが、センサ42及び50は、圧力センサ、温度センサ、振動センサ、音声センサ、光学センサ又はそれらの組合せを含むことができる。これらのセンサ42及び50は、ケーシングの外周の周りの複数の位置、各段の上流及び下流側の複数の軸方向位置等に配置することができる。段間センサ42及び50は、段間センサ42及び50を備えていないシステムと比較して、故障が起きた場合に、応答時間を大幅に改善し、損傷が拡大する可能性が減少するように構成されている。
【0022】
例えば、開示された故障検出及び保護システム10と比較して、センサが圧縮機入口44及びタービン出口56にしか置かれていない場合、故障モニタリングは特に遅くなり、場所に対して応答しない。これらの位置は、センサが容易にアクセス可能であるが、これらの入口44と出口位置56との間にセンサ42及び50がないと、大部分の空間がモニタされない。言い換えると、センサが入口44及び出口56にしか置かれていない場合、変化はタービンエンジン12の全体にわたって平均化され、それにより、圧縮機16又はタービン20のいずれかにおける故障を識別することが困難になる。圧縮機16又はタービン20の1つの特定の段で重大な故障があると、その特定の段の温度及び/又は圧力に変化が起きるが、この変化の影響は、入口44及び出口56のセンサのみでは、検出不可能なことがある。同様に、圧縮機16が圧縮機入口44及び圧縮機出口48のセンサのみによってモニタされる場合、故障は、より局所的に測定可能な影響と比較して、測定可能な出口条件の変動がより小さいため、容易に検出できないことがある。さらに、タービン入口52及びタービン出口56のセンサのみによってタービン20がモニタされる場合、複数の段にわたって平均化され、及び/又は例えば選択された出力を維持するように補償制御動作が行われるために、故障を容易に検出することができない。
【0023】
回転ターボ機械における故障検出の一般的な手段は、軸受け58、60における振動モニタリングである。この手段は、動翼が損傷又は故障した場合に回転子に不均衡が生じることを利用する。故障した部品が静翼である場合、遊離した部品が下流の動翼を検出可能な不均衡を引き起こすほど十分に損傷しない限り、一般に検出可能な不均衡は生じない。同様に、機械が非常に大きく、故障した動翼が非常に小さい場合、やはりこの手段では問題が検出不可能なことがある。したがって、小さい問題であっても、一般に、制御部又はオペレータによって保護動作が必要であると気付く前に、(例えば、下流部品への付随的損傷によって)軸受け振動を通して検出可能な大きさにならざるを得ない。さらに、この手段によって故障が検出される場合、振動の特徴から得られる診断情報は、故障の位置及びその進行履歴について、大雑把なガイダンスしか提供することができない。一般に、限られた位置(すなわち、段間ではない位置)での上記の測定は故障を早期に十分に検出せず、それにより、重大な損傷が起きる前に是正措置をとることのできる能力が低くなる。
【0024】
また、故障検出及び保護システム10の開示された実施形態では、圧縮機16、タービン20又はそれらの組合せの1以上の段間位置でセンサを利用することによって、故障検出の時間及び場所の感度が高くなる。以下の説明では、故障検出及び保護システム10を、圧縮機16に関して説明するが、故障検出及び保護システム10はタービン20及び他の多段システムにも同じく適応可能であることが理解されよう。様々な段間位置46及び54で、センサ42及び50は、圧力、温度、振動、音声又はそれらの組合せをモニタすることができる。これらの測定されたパラメータは、他の段(すなわち、上流及び/又は下流)、入口44及び52、出口48及び56又はそれらの組合せと比較することができる。例えば、開示された実施形態は、故障を示す異常を識別するために、ベースライン比率をリアルタイム比率と比較することができる。比率は、段間パラメータ対入口パラメータ、段間パラメータ対出口パラメータ、第1段間パラメータ対第2段間パラメータ又はそれらの組合せを含むことができる。また、パラメータは、温度、圧力、振動、音声又はそれらの組合せを含むことができる。
【0025】
図3は、図1及び2のガスタービンエンジン12の多段圧縮機16の、例示的な実施形態の側面断面図である。図示されているように、多段圧縮機16は、多段圧縮機16の長さに沿って置かれた複数のセンサを含むことができる。特に、多段圧縮機16の図示された実施形態は、多段圧縮機16の入口44付近の入口センサ62及び多段圧縮機16の出口48付近の出口センサ64を含む。さらに、多段圧縮機16は、多段圧縮機16の段の間に置かれた1以上の段間センサ66を含む。段間センサ66は、ケーシングの外周の周りの複数の位置、各段の上流及び下流側の複数の軸方向位置等に配置することができる。段間センサ66の正確な数は、実施例ごとに異なることができる。例えば、ある実施形態では、多段圧縮機16は、多段圧縮機16のすべての段の間に1以上の段間センサ66を含むことができる。しかし、他の実施形態では、いくつかの段は、段間センサ66を含まないことができる。段間センサ66の数は、多段圧縮機16に固有の条件にしたがって決めることができる。例えば、ある段は、センサを置くのに適切な位置を含まないことができる。さらに、場合によっては、費用の制限によって使用される段間センサ66の数が限られることがある。
【0026】
上述のように、ある実施形態では、入口センサ62、出口センサ64、及び複数の段間センサ66は、圧力センサ、温度センサ、振動センサ、音声センサ、光学センサ、流速センサ等を含むことができる。特定の段内に故障又は他のタイプの損傷がある場合、損傷を受けている段における圧力及び温度の上昇が、大きく影響を受けることがある。実際、故障が十分に大きい場合、損傷を受けている段における圧力及び温度の上昇は、ゼロ又は少なくとも無視できる大きさにまで減少することがある。例えば、圧力低下及び温度上昇は、予測値の10、20、30、40、50、60、70、80、90%以上又は予測値の100%、変化することがある。したがって、段間圧力及び温度をモニタすることによって、多段圧縮機16内の故障をより容易に検出することができる。言い換えると、故障が1つの段又は数段で起きたために多段圧縮機16全体の性能の変化が容易に検出可能でない場合であっても、各段又は段のグループの相対的性能がより明白になり、部品の損傷又は故障がより確実に示される。
【0027】
圧力及び温度測定は、多段圧縮機16内の故障の検出に使用することのできる唯一のタイプの段間測定ではない。例えば、ある実施形態では、段間センサ66に音声センサを使用することができる。多段圧縮機16の個々の段内の音声特徴を使用して、故障を検出することもできる。さらに、他の実施形態では、段間センサ66に光学センサを使用することもできる。光学センサによって検出された光の変化によって、多段圧縮機16内の故障を示すことができる、多段圧縮機16を流れる作動流体の流れの変化を示すことができる。さらに、多段圧縮機16内の故障を示すことのできる、どのようなタイプのセンサ(例えば、振動センサ、流速センサ等)を使用することもできる。」

カ 「【0030】
ある実施形態では、多段圧縮機16の各段での圧力増加を、多段圧縮機16での全体的な圧力増加と比較することができる。例えば、正常状態における多段圧縮機16が図4に示されていると想定すると(第1の圧力プロファイル68)、多段圧縮機16の個々の段は、全く同じ量の圧力増加を生じさせる。これらの正常状態では、個々の段はそれぞれ、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の20%を生じさせる。しかし、図4に図示されるように、第3段で部品の故障又は損傷が起きているシナリオであると想定すると(第2の圧力プロファイル70)、第3段での圧力増加はゼロにまで減少している一方で、他の4つの段が第3段での圧力増加の減少を完全に補償している。この故障シナリオでは、第3段が多段圧縮機16の総合的な圧力増加の0%を生じさせる一方、他の4つの段はそれぞれ、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の25%を生じさせる。多段圧縮機16の個々の段のそれぞれでの圧力増加のこれらの変化をモニタすることによって、部品の故障又は損傷をより迅速に検出し、より正確に故障の場所を特定することが可能になる(この例では多段圧縮機16の第3段)。例えば、特定の段又は少なくとも少数の段内で、部品の損傷又は故障の場所を特定することができる。この例では、実際の機械では一般的であるように、圧縮機の出口圧力は故障による影響をほぼ受けておらず、したがって出口圧力はそれ自体で、又は入口圧力と組合せても、故障を示していないことにも注意されたい。
【0031】
多段圧縮機16の各段での圧力増加を多段圧縮機16での全体的な圧力増加と比較することに加えて、多段圧縮機16の各段での圧力増加を、正常運転中の各段での圧力増加と比較することができ、又は多段圧縮機16の他の段の圧力増加と比較することができる。この方法によって、測定された変化を拡大することができ、部品の故障又は損傷がより容易に検出可能になる。例えば、図4に示すように、多段圧縮機16の第3段は、正常運転中(第1の圧力プロファイル68)、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の20%を生じさせることができる。しかし、第3段の部品が故障又は損傷中(第2の圧力プロファイル70)、第3段は、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の0%を生じさせることがある。したがって、第3段の部品が故障又は損傷中、第3段によって生じる圧力増加は、図示された例では、100%減少することができる。反対に、図4に示すように、多段圧縮機16の他の4つの段もまた、正常運転中(第1の圧力プロファイル68)、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の20%を生じさせることができる。しかし、第3段の部品が故障又は損傷中(第2の圧力プロファイル70)、他の4つの段は、多段圧縮機16の総合的な圧力増加の25%を生じさせることができる。したがって、第3段の部品が故障又は損傷中、他の4つの段によって生じる圧力増加は、図示された例では、25%増加することができる(例えば、(25%?20%)を20%で割る)。
【0032】
多段圧縮機16の個々の段での圧力増加を測定しモニタすることに加えて、多段圧縮機16の他のセクションでの圧力増加を測定しモニタすることもできる。セクションは、多段圧縮機16の複数の個々の段を含むことができる。例えば、図4に示す例では、多段圧縮機16の第1のセクションは、多段圧縮機16の第1、第2及び第3の段を含むことができ、多段圧縮機16の第2のセクションは、多段圧縮機16の第4及び第5の段を含むことができる。実際、段のどのような組合せも、多段圧縮機16内の故障を検出するためのセクションとして使用することができる。
【0033】
上述したように、図4に示す第1の圧力プロファイル68は、多段圧縮機16の正常運転状態を表す。第1の圧力プロファイル68は、多段圧縮機16の複数の段での性能の適切な表現を使用して、測定することができる。例えば、ある実施形態では、多段圧縮機16の予測される圧力プロファイルは、多段圧縮機16の過去の性能に基づいて測定することができる。他の実施形態では、多段圧縮機16の予測される圧力プロファイルは、予測モデルを使用して測定することができる。さらに他の実施形態では、多段圧縮機16の予測される圧力プロファイルは、過去の性能、予測モデル、及び使用されている特定の多段圧縮機16又は別の同程度の多段圧縮機16のいずれかに関して実証又は計算された他の方法の組合せを組み込むことができる。さらに、多段圧縮機16の予測される圧力プロファイルは、一般に性能に影響を及ぼすと予測される、多段圧縮機16の関連する運転条件の関数とすることができる。例えば、ある実施形態では、予測される圧力プロファイルは、シャフトの速度、案内翼位置、入口条件、出口条件等の関数とすることができる。ともかく、予測される圧力プロファイルは、(例えば、段間センサ66によって検知される)段間パラメータと比較することのできるベースラインということができる。
【0034】
特定の段又は段のセクションの圧力増加比率が、段又は段のセクションの予測される圧力増加比率から、あらかじめ定められた量以上に逸脱している(例えば、増加又は減少)と判断されると、適切な制御応答を開始することができる。例えば、ある環境では、適切な制御応答は、圧力増加比率が、予測される圧力増加比率からあらかじめ定められた量以上に逸脱していることを多段圧縮機16のオペレータに警告することとすることができる。例えば、予測される圧力増加比率からの逸脱が少量に過ぎないとき、又は逸脱が短期間に起きただけであるときも、オペレータに警告することができる。警告は、音声警告(例えば、ビープ音)、振動、光(例えば、発光ダイオードから)、表示メッセージ(例えば、表示スクリーンに)、電子メールメッセージ、テキストメッセージ等を含むことができる。しかし、予測される圧力増加比率からの逸脱が、より大きい値になる、又は長期間にわたって連続して起きると、多段圧縮機16の運転パラメータは、自動的に調整することができる。例えば、ある環境では、多段圧縮機16は、予測される圧力増加比率からの逸脱に応答して、停止することができる。」

キ 「【0038】
図6は、段間圧力増加比率を使用して、多段圧縮機16の故障を識別する方法74の例示的な実施形態である。段階76では、多段圧縮機16の段の間で1以上の段間パラメータを検知することができる。上述したように、検知される段間パラメータは、多段圧縮機16内の故障を識別するためのどのような適切なパラメータとすることもできる。例えば、ある実施形態では、検知される段間パラメータは、段間圧力とすることができ、又はより詳細には、段間圧力センサによって検知される段間圧力増加とすることができる。他の実施形態では、検知される段間パラメータは、段間温度とすることができ、又はより詳細には、段間温度センサによって検知される段間温度増加とすることができる。さらに、他のタイプの段間センサを利用することもできる。例えば、多段圧縮機16内の故障を示す音声パラメータを検知するために、段間音声センサを利用することができる。さらに、やはり多段圧縮機16内の故障を示す光学パラメータを検知するために、段間光学センサを使用することもできる。さらに、多段圧縮機16内の故障を示すどのようなタイプの段間センサ(例えば、振動センサ、流速センサ等)を使用することもできる。
【0039】
段階78では、検知された段間パラメータに少なくとも部分的に基づいて、多段圧縮機16の故障を識別することができる。識別される故障は、多段圧縮機16内のいくつかの異なるタイプの問題を含むことができる。例えば、故障は、多段圧縮機16内の部品の1つの実際の故障(例えば、破損又は他の物理的及び/又は構造的故障)を含むことができる。しかし、故障は、他のタイプの損傷(例えば、ブレードの不均衡及び浸食、間隙の変化による許容できない摩擦等)を含むこともできる。上述したように、故障の識別は、(例えば、予測モデルによって生成された)予測値、過去の値(例えば、同じ多段圧縮機16又は別の同程度の多段圧縮機16の以前の運転データ)又はそれらの組合せに対する、検知された段間パラメータの比較を含むことができる。
【0040】
段階80では、故障が識別されると、故障を示す警告を適宜出力することができる。例えば、警告は、音声警告(例えば、ビープ音)、振動、光(例えば、発光ダイオードから)、表示メッセージ(例えば、表示スクリーンに)、電子メールメッセージ、テキストメッセージ等を含むことができる。さらに、段階82では、故障が識別されると、多段圧縮機16の運転パラメータを故障に応答して適宜調整することができる。ある状況では、多段圧縮機16の運転パラメータの調節を、故障に応答して自動的に実行することができる。しかし、他の状況では、多段圧縮機16の運転パラメータの調節を、多段圧縮機16のオペレータが手動で実行することができる。
【0041】
多段圧縮機16の運転パラメータの調節は、最小限の調整(例えば、多段圧縮機16の運転速度又は負荷を低減する)から、より大きな調整(例えば、多段圧縮機16を停止する)まで、様々とすることもできる。実行される調整の量は、例えば、段間パラメータの予測値からの逸脱の程度によることができる。例えば、検知された段間パラメータの予測値からの逸脱が、第1の低閾値より高く第2の高閾値より低い場合、多段圧縮機16の運転速度又は負荷を低減することができる。しかし、検知された段間パラメータの予測値からの逸脱が、第1の低閾値及び第2の高閾値の両方より高い場合、多段圧縮機16を完全に停止することができる。」

ク 上記イの段落【0007】の「第3の実施形態では、システムは、タービンエンジンを含む。タービンエンジンは、圧縮機、燃焼器及びタービンエキスパンダーを含む。・・・(中略)・・・。システムはまた、タービンエンジン内の段間位置で複数のパラメータを測定するように構成された複数の段間センサを含む。システムはさらに、複数のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、圧縮機段の1つにおける破損を識別するように構成された制御装置を含む。制御装置はまた、破損を示す警告を出力するか、破損に応答してタービンエンジンの運転パラメータを自動的に調整するか、破損に応答してタービンエンジンを自動的に停止するか、或いはこれらの組合せを実施するように構成されている。」という記載、上記ウの段落【0012】の「開示された実施形態は、多段回転機械内の故障を識別するために、多段回転機械(例えば、圧縮機、タービン等)の複数の段からの段間センサ測定(例えば、圧力、温度、音声、光学等)を使用するためのシステム及び方法を含む。」という記載、上記ウの段落【0015】の「開示される実施形態は、多段圧縮機内の複数の位置(例えば、多段圧縮機の入口及び出口に加えて、1以上の段間位置)でのセンサ測定(例えば、圧力、温度、音声、光学等)を利用する。これらの段間センサ測定が、予測される値から逸脱している場合、段の1つで故障が起きていることを示すことができる。」という記載、上記エの段落【0018】の「以下の説明は、主にガスタービンエンジン12との関連において圧縮機16について述べるが、開示される実施形態は、例えば、ガスタービン、蒸気タービン、水力タービン、別の動力源によって駆動される圧縮機等、動翼を有するどのような多段システムでも使用することができる。」という記載から、引用文献1には、タービンエンジンを構成する多段回転機械内(例えば多段圧縮機)の複数の位置に設けられたセンサ(例えば、圧力センサ)による測定を利用して故障を検知するシステムが記載されていることが分かる。この圧力センサの複数の位置を、それぞれ第1の位置及び第2の位置と定義すると、引用文献1に記載されたシステムは、第1の圧力センサが設けられた多段回転機械内の第1の位置と、第2の圧力センサが設けられた多段回転機械内の第2の位置と、を備えるといえる。また、圧力センサは、所定の圧力がかかるときに電圧等の出力をするものであるから、多段回転機械内の第1の位置に所定の圧力がかかると第1の圧力センサは第1の出力をし、多段回転機械内の第2の位置に所定の圧力がかかると第2の圧力センサは第2の出力をするといえる。

ケ 上記エの段落【0018】の「故障検出及び保護システム10は、モニタリングシステム18を介して、多段圧縮機16の全体にわたる複数の位置(例えば、入口、出口及び段間)での故障の検知に使用することができる。」という記載、上記オの段落【0026】の「段間圧力及び温度をモニタすることによって、多段圧縮機16内の故障をより容易に検出することができる。」という記載、上記カの段落【0030】の「多段圧縮機16の個々の段での圧力増加を測定しモニタすることに加えて、多段圧縮機16の他のセクションでの圧力増加を測定しモニタすることもできる。」という記載等から、引用文献1に記載されたシステムは、多段圧縮機16内の複数の位置の圧力をモニタすることにより、故障を検知することが分かる。

コ 上記カの段落【0034】の「例えば、予測される圧力増加比率からの逸脱が少量に過ぎないとき、又は逸脱が短期間に起きただけであるときも、オペレータに警告することができる。警告は、音声警告(例えば、ビープ音)、振動、光(例えば、発光ダイオードから)、表示メッセージ(例えば、表示スクリーンに)、電子メールメッセージ、テキストメッセージ等を含むことができる。」という記載、上記キの段落【0040】の「段階80では、故障が識別されると、故障を示す警告を適宜出力することができる。例えば、警告は、音声警告(例えば、ビープ音)、振動、光(例えば、発光ダイオードから)、表示メッセージ(例えば、表示スクリーンに)、電子メールメッセージ、テキストメッセージ等を含むことができる。」という記載等から、引用文献1に記載されたシステムは、故障が識別されると、オペレータに表示メッセージ等で警告することが分かる。

サ 上記カの段落【0034】の「予測される圧力増加比率からの逸脱が、より大きい値になる、又は長期間にわたって連続して起きると、多段圧縮機16の運転パラメータは、自動的に調整することができる。」という記載、上記キの段落【0040】の「段階82では、故障が識別されると、多段圧縮機16の運転パラメータを故障に応答して適宜調整することができる。」という記載、段落【0041】の「多段圧縮機16の運転パラメータの調節は、最小限の調整(例えば、多段圧縮機16の運転速度又は負荷を低減する)から、より大きな調整(例えば、多段圧縮機16を停止する)まで、様々とすることもできる。」という記載から、引用文献1に記載されたシステムは、故障が識別されると、多段圧縮機16の運転パラメータ(例えば、運転速度)を調整することが分かる。

(2)引用発明1
上記(1)から、引用文献1には、次の発明が記載されているといえる。
「第1の圧力センサが設けられた多段回転機械内の第1の位置と、
第2の圧力センサが設けられた多段回転機械内の第2の位置と、
を備え、
前記多段回転機械内の第1の位置に所定の圧力がかかると、第1の圧力センサは第1の出力をし、
前記多段回転機械内の第2の位置に所定の圧力がかかると、第2の圧力センサは第2の出力をする、
多段回転機械と、
多段回転機械内の第1の位置と第2の位置の圧力をモニタし、かつ
故障が識別されると、オペレータに表示メッセージ等で警告し、及び/又は、
故障が識別されると、多段回転機械の運転パラメータを調整する制御装置14を備える
モニタリングシステムと、
を備える、システム。」

2 引用文献2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特表2010-520961号公報)には、図面(特に、図1?図6c,図8?図15を参照)とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献2の記載事項
ア 「【0002】
本発明は、一般に動作環境のモニタリングに関し、特に、動作環境内におけるガスタービンエンジンのような個別部品の状態に関連したデータを伝送するために使用可能な構成部品に関する。」

イ 「【0016】
図1には、当業者には明らかな発電に用いられるガスタービンのような典型的な燃焼タービン10が例示されている。本発明の実施形態は、当業者には明らかなように、燃焼タービン10または他の多くの動作環境およびさまざまな目的に利用することが可能である。例えば、それらの実施形態は、航空機のエンジンに用いて、ボイラ、熱交換器、および、排気筒の温度および熱流束を監視し、断熱性能および劣化を求め、パイプの汚損を求め、振動構成部品の調子を評価することが可能である。本発明の実施形態は、自動車産業で用いて、燃焼室の状態を監視し、クランク軸、カム、変速機、差動装置のような構成部品を回転させ、ヘビーデューティ車両のサスペンションおよびフレームの完全性を確認することが可能である。本発明の実施形態は、可搬式のタンクや、砂漠、湿潤、および/または、高温の状況で動作する他の機器の歪みおよび熱流束の測定に利用することも可能である。
【0017】
図1を参照すると、燃焼タービンエンジン10には、圧縮機12、少なくとも1つの燃焼器14(切り欠いて示されている)、および、タービン16が含まれている。圧縮機12、燃焼器14、および、タービン16は、ガスまたは燃焼タービンエンジンと総称される場合もある。タービン16には、回転中心軸20に固定された複数の動翼18が含まれている。動翼18の間には複数の静翼22が配置されており、静翼22は動翼18に空気を導くように設計および構成されている。動翼18および静翼22は、一般にニッケルコバルトから製造され、イットリアで安定化されたジルコニアのような遮熱コーティング26で被覆することが可能である。同様に、圧縮機12にはそれぞれの静翼23の間に配置された複数の動翼19が含まれている。
【0018】
使用時、圧縮機12に空気が吸い込まれ、圧縮されて、燃焼器14に送られる。燃焼器14は空気と燃料を混合して、点火することによって、作動ガスを生じさせる。この作動ガスは一般に約1300℃を超えている。このガスはタービン16内を通って膨張し、静翼22に導かれて動翼18を横切る。ガスは、タービン16の通過時に動翼18および軸20を回転させ、その結果、軸20によって有効な機械的作用が伝達される。燃焼タービン10には、動翼18および静翼22に例えば蒸気または圧縮空気といった冷却材を供給するように設計および構成された冷却システム(不図示)を含むことも可能である。
【0019】
動翼18および静翼22が動作する環境は、とりわけ過酷であって、高動作温度および腐食性大気にさらされるので、動翼18および静翼22の深刻な損傷を生じる可能性がある。この可能性は、遮熱コーティング26が剥離するとかあるいはさもなければ劣化する場合にはとりわけ高い。本発明の実施形態は、燃焼タービン10の運転中に構成部品の状態を表わすデータを伝送するように構成できるので有利である。動翼18,19、静翼22,23、および、コーティング26は、例えば、運転中における各構成部品のそれぞれの状態を確認し、予知保全スケジュールを立てるために直接監視することが可能な構成部品の特定データを伝送するように構成することが可能である。
【0020】
図1には、本発明の各種態様に従って利用可能な典型的な監視および制御システム30の概略図が例示されている。システム30には、アンテナ32、受信器33、プロセッサまたはCPU34、データベース36、および、ディスプレイ38を含むことが可能である。プロセッサ34、データベース36、および、ディスプレイ38は、従来の構成部品であってよく、アンテナ32および受信器33は、本発明の各種実施形態の機能である性能仕様を備えるものとする。例えば、アンテナ32および受信器33は、さらに詳細に後述するように燃焼タービン10全体のさまざまな位置に配置された複数の送信器から送られてくる無線遠隔測定データを受信するように選択することが可能である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内における複数の構成部品のそれぞれのコーティング内に複数のセンサを埋め込むことが可能になる。代替実施形態によれば、とりわけ、構成部品が遮熱コーティングを必要としない領域、例えば圧縮機12内に収容されている構成部品上に、センサの表面取付けまたは堆積を行うことが可能になる。典型的なセンサ実施形態を利用して、構成部品の物理特性、性能特性、または、動作特性、および/または、構成部品のコーティングの性質並びに燃焼タービンエンジン10の動作パラメータに関するデータをシステム30に伝達することが可能である。
【0022】
例えば、典型的なセンサを利用して、2つの構成部品間における摩耗を検出するか、構成部品のコーティングを横切る熱流束を測定するか、コーティングの剥離を検出するか、構成部品のある領域全体にわたる歪みを測定するか、あるいは、構成部品またはコーティング内における亀裂の形成を検出することが可能である。当業者には、本発明の態様に従って測定および/または検出することが可能な構成部品または構成部品コーティングの他の性質および/または特性が明らかになるであろう。
【0023】
本発明の態様によれば、タービン16の動翼18または静翼22の遮熱コーティング26のような遮熱コーティング内にさまざまなセンサ構造を埋め込むことが可能になるのは明らかであろう。参考までに本明細書において詳細に援用されている米国特許第6,838,157号明細書には、本発明の態様に従ってセンサを堆積させるのに利用可能な動翼18および静翼22といったガスタービン構成部品の計装方法のさまざまな実施形態が記載されている。この特許明細書には、遮熱コーティングに溝を形成し、コーティング内にセンサを形成し、コーティングの溝にバックフィル材料を設けるさまざまな方法が開示されている。それらの方法および構成部品の実施形態を利用して、本明細書に開示のような高性能の構成部品を形成することが可能である。
【0024】
参考までに本明細書において詳細に援用されている米国特許第6,576,861号明細書には、本発明の態様によるセンサおよび送信器とのセンサコネクタの実施形態を設置するために利用可能な方法および装置が開示されている。これに関して、その特許明細書に開示されている方法および装置は、マスクの利用を必要とせずに、約100ミクロン?500ミクロンの微細センサおよび/またはコネクタ特徴のパターン形成に利用することが可能である。導電材料、抵抗材料、誘電体材料、絶縁材料、および、他の用途特有の材料を利用した構成要素を堆積させることによって、多層電気回路およびセンサの形成が可能になる。他の方法を利用して、本発明の態様による多層電気回路およびセンサを堆積させることができるのは明らかである。例えば、溶射、蒸着、レーザ焼結、および、低温で吹き付けられる材料の硬化堆積を利用することもでき、さらに、当業者によって認められている他の適切な技術を利用することも可能である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の多くの場所に複数のセンサ50を配置して、構成部品特有の状態またはコーティング特有の状態の監視、並びに、燃焼タービン10の動作または性能に関連した他のデータの収集を行うことが可能になる。例えば、図1に例示のように、タービン16の1つ又は複数の動翼18のそれぞれの遮熱コーティング26内に1つ又は複数のセンサ50を埋め込むことが可能である。構成部品特有のデータおよび/またはコーティング特有のデータを収集すべきタービン16と共に、他の構成部品遮熱コーティング内にセンサ50を埋め込むことができるのも明らかである。」

ウ 「【0026】
図2には、圧縮機12から取り外した1対の静翼23が例示されているが、一方の静翼23には、静翼23の状態を検出するためにセンサ50が取り付けられるかまたは結合されている。トランシーバ56にデータ信号を無線送信するように構成された送信器54にセンサ50からのデータ信号を送るための手段としてコネクタ52を設けることが可能である。コネクタ52は、センサ50から表面取付け送信器54に信号を伝えるための1つまたは複数の電気リード線とすることが可能である。代替実施形態では、特定の用途に応じて、センサ50から送信器54にデータ信号を送るための手段としてさまざまなタイプのコネクタ52を利用することが可能になる。例えば、単一波長または可変波長の光を用いて信号を送るために、1つまたは複数の光ファイバコネクタを利用することが可能である。
【0027】
本発明の実施形態によれば、送信器54は、燃焼タービン10のケーシング内におけるそれらの位置に応じてマルチチャネルとし、さまざまな仕様にすることが可能になる。送信器54は、約80℃?120℃の動作温度にさらされる圧縮機12の初段内で機能するように構成することが可能である。送信器54は、約120℃を超える動作温度および250℃を超える温度にさえさらされる圧縮機12の後段および/またはタービン16の任意の段内で機能し、酸化攻撃に耐えるように構成することも可能である。耐熱性電子材料を用いて、温度が約120℃を超える領域内で動作する送信器54を製作することが可能である。
【0028】
図3には、センサ50が結合されており、センサ50を送信器54に接続するためのコネクタ52を備えている圧縮機静翼23の略平面図が例示されている。送信器54に電力供給するのに適したサイズのバッテリのような電源51を設けることが可能である。代替実施形態では、送信器54を静翼23から遠隔位置に設けて、外部電源から電力供給することが可能である。送信器54は、信号をセンサ50からコネクタ52を介して受信して、引き続きトランシーバ56に無線で送信するすることが可能である。トランシーバ56は、ハブ58または図1に示す典型的な位置のような、圧縮機12の外部表面に取り付けることが可能である。トランシーバ56は、送信器54からのRF信号のような無線データ送信を受信するのに十分であるように送信器54に近い範囲内であれば、さまざまな位置に取り付けることが可能である。トランシーバ56は、圧縮機の静翼23の状態を監視するための信号処理が可能なシステム30のアンテナ32に対してRF信号を送ることが可能である。
【0029】
図2および3を参照すると、静翼23の表面にセンサ50を直接製作することによって、1つ又は複数のセンサ50を1つ又は複数の圧縮機静翼23に結合することが可能である。コネクタ52は静翼23の表面に直接堆積(deposit)させることが可能である。代替実施形態の場合、堆積されるセンサ50およびコネクタ52を収容するサイズの溝または凹部を静翼23の表面内に形成することが可能である。センサ50およびコネクタ52は、凹部内に配置して、静翼23表面のセンサ50およびコネクタ52を覆うような適切な材料のコーティングを堆積させることによって保護することが可能である。」

エ 「【0030】
他の代替実施形態には、静翼23の表面にコーティングを堆積させ、コーティング内に溝を形成して、その溝内にセンサ50およびコネクタ52を配置することが可能なものもある。センサ50およびコネクタ52の上に保護コーティングを堆積させることが可能である。コネクタ52は、コネクタ52の遠位端53が送信器54への接続のために露出するように、センサ50から静翼23の周縁のような終端位置まで延ばすことが可能である。センサ50およびコネクタ52を静翼23に配置して、静翼23の空気力学特性に対する悪影響を最小限に抑えることが可能である。
【0031】
1つ又は複数のタービンまたは圧縮機動翼18,19に、例えば歪みゲージまたは熱電対のような1つ又は複数のセンサ50を堆積(deposit)させることが可能である。図4には、圧縮機12に関する実施形態の1つが例示されている。コネクタ52を配置して、動翼18,19に接続された1つ又は複数の送信器54に各センサ50を接続することが可能である。典型的な実施形態によれば、それぞれのコネクタ52を介して複数のセンサ50と単一の送信器54とを接続することが可能になる。例えば、複数の動翼18,19のそれぞれにセンサ50を配置することが可能である。コネクタ52を配置して、各センサ50から単一の送信器54に信号を送ることが可能である。」

オ 「【0034】
図5には、タービン16の、遮熱コーティング26を堆積させた静翼22のような構成部品の部分図が例示されている。センサ50およびコネクタ52は、遮熱コーティング26の上面の下に埋め込むことが可能である。コネクタ52は、送信器54との接続のため、静翼22の周縁59近くのような終端位置において露出した遠位端53を備えることが可能である。ある実施形態では、送信器54を静翼22に対して表面取付けすることもでき、あるいは、周縁59の近くでコーティング26内に埋め込むことも可能である。代替実施形態によれば、当業者には明らかなように、例えば静翼22が接続されるプラットホーム(不図示)または冷却流チャネルといった他の場所に送信器54を配置することが可能になる。」

カ 「【0035】
図6Aには、典型的なセンサ50が結合され、このセンサ50を送信器54に接続するコネクタ52を備えた動翼18の略平面図が例示されている。送信器54には、燃焼タービン10の運転中にタービン16内に生じる誘導によって電力を供給することが可能である。図6A、6B、6Cには、送信器54がさまざまな場所に配置されたタービン動翼18の典型的な実施形態が例示されている。図6A、6Bの場合、送信器54は動翼18に取り付けることが可能であり、図6Cに例示のように、動翼18から遠隔の場所に送信器54を配置することも可能である。
【0036】
例えば、複数の動翼18が取り付けられたディスク(不図示)内のような、動翼18から遠隔の位置に送信器54を配置することが可能である。これに関して、送信器54は高温ガス経路外のより低温の場所に保持することが可能であり、これによって送信器の耐用寿命を延ばすことが可能になる。動翼18から遠隔の場所に送信器54を配置すると、バッテリまたは誘導を利用せずに外部電源を利用して送信器54に電力供給することが可能になる。センサ50に電源を取り付けて、センサに付加機能性を提供することも可能である。この付加機能性には、センサ50からの出力に応答したフィードバックの結果としての機械的作動を含むことが可能である。こうした統合システムは、リアルタイムのギャップ制御のためのリングセグメントのような構成部品に適用可能である。
【0037】
図3?図6A、6B、6Cに例示されている、内蔵センサ50およびコネクタ52を備えるように構成された圧縮機静翼23およびタービン動翼18の典型的な実施形態は、現場技術者による燃焼タービン10への取付けに備えて予め製造しておくことができるので有利である。本発明の実施形態によれば、終端位置においてコネクタ52の遠位端53を露出させることが可能である。この終端位置は、構成部品の周縁に近接した位置または他の位置とすることが可能である。これによって、送信器54の位置に関係なく現場技術者が送信器54にコネクタ52を迅速かつ容易に接続することが可能になる。
【0038】
燃焼タービン10の構成部品として、センサ50およびコネクタ52が予め取り付けられた静翼23および/または動翼18を用意しておくのは、一般に燃焼タービン10内に多数のワイヤ配列を経路指定することが必要であり、現場でこうした構成部品を取り付ける従来の技術に比べて大いに有利である。センサ50およびコネクタ52が予め取り付けられた構成部品を設けると、燃焼タービン10の運転中に特定の構成部品の状態を監視することが可能になる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、センサ50を広範囲の機能を果たすように構成することが可能になる。例えば、センサ50は、単一の構成部品または2つの構成部品間の摩耗を検出するか、構成部品のコーティングを横切る熱流速を測定するか、コーティングの剥離を検出するか、構成部品のある領域にわたる歪みを測定するか、または、構成部品またはコーティング内の亀裂形成を検出するように構成することが可能である。参考までに本明細書において詳細に援用されている出願番号11/018,816の米国特許出願明細書には、一般に本発明の実施形態に従って構成することが可能な構成部品の摩耗の監視にかかわるシステムの実施形態が開示されている。
【0040】
摩耗センサ50は、動翼18の先端のような、構成部品の接触面に埋め込まれる電気回路として構成することが可能であり、摩耗を表示するための監視システム30によってこの回路を監視することが可能である。摩耗限度位置または構成部品の表面からの指定の深さに回路を配置することによって、表面の状態を継続して監視することが可能になり、システム30はオペレータに対して保守要求の早期警告を与えることが可能になる。
【0041】
センサ50は、摩耗検出を行うように構成し、本発明の態様に従って単独でまたは送信手段54と組み合わせて燃焼タービン10内で利用される構成部品内に予め製作しておくことが可能である。これに関して、摩耗検出のために取り出された信号は、コネクタ52を介して送信器54に伝達することが可能であり、送信器54は、信号を無線遠隔測定法によってトランシーバ56に、続いてシステム30に送ることが可能である。
【0042】
本発明の実施形態によれば、監視および制御システム30は構成部品の摩耗に関する履歴データを収集して、記憶し、構成部品の摩耗と摩耗の発生に関与した燃焼タービン10の運転条件とを相関させることが可能になる。これは、例えば、タービン16内のさまざまな構成部品がさらされる負荷条件および振動数を表わす連続データストリームを供給するように構成された圧電装置および/または他のセンサ50を配置して、タービン16の状態について継続的に情報を送らせることで実施可能になる。このデータは、構成部品の摩耗を表わしたデータと相関させて、予知保全または他の是正措置に利用することが可能である。」

キ 「【0047】
図8および9には、基体70のような問題場所内における歪みまたは亀裂の検出および/または測定を行うように構成された典型的なセンサ68として構成することが可能なセンサ50の典型的な実施形態が例示されている。例えば、基体70が、動翼18の表面領域の問題場所ということもあれば、遮熱コーティング60またはボンディングコート62内またはその表面における他の場所が問題となることもある。このように構成されたセンサ68を燃焼タービン10全体にわたる多くの場所で利用することができるのは明らかである。図8および9に描かれたセンサは、歪み出力を生じる抵抗変化の利用を表わしている。歪みゲージの他の実施形態は、局所歪み値を決定する容量変動を取り入れることも可能である。
【0048】
これに関して、動翼18,19および静翼22,23のような必要不可欠な工学的構成部品は、何らかの形の機械的および/または熱機械的繰返し負荷をほぼ例外なく受ける。本発明の態様によれば、構成部品に作用する歪みの間欠的または継続的な現場測定および亀裂検出によって構成部品の耐用寿命を推定することが可能になる。これは、燃焼タービン10内のさまざまな場所に埋め込み型歪みゲージおよび亀裂センサ68を配置することによって実現可能である。歪みゲージ68として構成されたセンサ50は、燃焼タービン10の圧縮機12内といったより低温の用途での使用に合わせてNiCr材料を用いて形成することが可能である。
【0049】
センサ68は、亀裂が生じることが分かっているかまたは生じそうな場所または箇所に配置することによって亀裂センサとして用いることが可能である。亀裂センサゲージ68は、ゲージ68のパラメータを適切に選択することによって、サイズ、亀裂伝播、および、亀裂範囲について最適化することが可能である。こうしたパラメータには、ゲージ68の設置面積、フィンガ72の間隔、および、予測される亀裂伝播方向に対するフィンガ72の配向を含むことが可能である。基体70に亀裂が生じると、この亀裂は、歪みゲージの応答が大きく急激に変化するので、公知の信号処理技術を用いてセンサ68の出力の急激な信号変化を継続的に監視することによって検出可能である。信号の変化を表わすデータは、送信手段54を介してトランシーバ56に伝達し、続いて、無線遠隔測定法によって監視および制御システム30に送ることが可能である。
【0050】
歪みゲージセンサ68は、圧縮機動翼19の表面に結合または堆積させて、動翼19の曲げ応力によってセンサ68からの出力信号が変化するように配置することが可能である。リード線とすることが可能なコネクタ52は、圧縮機12の内部の回転カラーに配置された送信器54までの経路を指定される。送信器54は、オンボードブリッジを実現して、センサ68に調整電圧を供給することが可能である。センサ68からの出力信号が変化すると、送信器54からのRF信号は比例して変化する。RF信号はトランシーバ56に送信することが可能であり、トランシーバ56はRF信号を受信すると、センサ68によって検出された歪みに比例した電圧信号に変換する。RF信号はシステム30に送信することが可能である。典型的な送信器54は、約30Hz?約30KHzの歪みの変化を捕捉することが可能である。
【0051】
本発明の実施形態によれば、亀裂センサ68を利用して、燃焼タービン10の運転中における亀裂の拡大を監視し、亀裂センサ68によって亀裂が検出されるまで、構成部品の動作パラメータを変えることによって設計モデルを検証することが可能になる。設計モデルは、同じ動作パラメータについて計算されて、亀裂の拡大および形成がうまく予測されるか否かが確認され、然るべく修正を施される。
【0052】
監視および制御システム30は、例えば動翼18のような燃焼タービン10内のクリティカルな場所にある複数の構成部品から歪みおよび亀裂測定結果を表わすデータを収集し、記憶することが可能である。こうしたデータを長期間にわって分析することによって、各構成部品の歪み履歴を作成することが可能になる。構成部品の歪み履歴には、歪みの大きさおよび配向や、繰返し負荷下における過負荷の発生を含むことが可能である。疲労損傷の評価報告を作成して、予知保全に利用することが可能である。
【0053】
本発明の実施形態によれば、複数のセンサ50を構成部品に表面取付けするか、または、それぞれの構成部品の遮熱コーティング内に埋め込むことによって、燃焼タービン10全体に複数のセンサ50を配置し、特の構成部品の状態データを収集して、無線遠隔測定法を用いて監視および制御システム30に送信することが可能である。このアプローチは、燃焼タービン10の運転中に、交換、修理、および、保守の意思決定過程が特定の構成部品の状態に基づくようにすることが可能になるので好都合である。
【0054】
これに関して、特定の構成部品の状態データは、アンテナ32および受信器33によって受信し、CPU34によってデータベース36に記憶することが可能である。本発明の実施形態によれば、特定の構成部品の状態データを収集し、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示することが可能になる。これによって、オペレータは、1つまたは複数の特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施することが可能になる。」

ク 「【0058】
センサは、温度、歪み、亀裂の開始、化学変化、振動、圧力、または、問題となる他のパラメータを表わす信号を供給するものとする。これらのセンサ自体、多層化して、電極と機能体との組合せを収容することが可能である。表面118の下に配置することが可能な導体122によって、センサの発生した信号を検知位置120から終端位置へ送ることが可能であり、終端位置は、信号を構成部品110から好都合にも送り出すことができる接続位置124であってよい。導体122は、同様に、センサ50のようなセンサから送信器54に信号を送り、無線測定法によってシステム30への送信が行われるようにする働きが可能である。センサおよび導体122は、絶縁材料126によって周囲環境から絶縁することが可能である。」

ケ 「【0064】
ステップ154では、溝142が形成され、ステップ156では、センサ140とTBC材料134の間に電気絶縁を施すため、溝142の表面に絶縁コーティング144を設けることが可能である。絶縁コーティング144は、化学蒸着(CVD;chemical vapor deposition)のような任意の公知方法によって所望の電気絶縁レベルを実現するのに十分な厚さまで堆積させることが可能である。ステップ154における溝142の形成およびステップ156におけるその絶縁が済むと、ステップ158では、溝142に適合する1つまたは複数の材料を堆積させて、センサ140を形成することが可能である。所望の材料特性をもたらす任意の公知材料の堆積プロセスを利用することが可能である。このような堆積プロセスは、急速プロトタイピング、薄膜および厚膜堆積、および、溶射の分野において一般的であり、例えば、化学蒸着、プラズマ溶射、マイクロプラズマ溶射、コールドスプレー、電気メッキ、電気泳動堆積、HVOF、スパッタリング、CCVD、ソルゲル法、および、選択的レーザ溶融が含まれる。所望の材料のペーストおよびテープを付けるといった、一般に多層厚膜コンデンサの製作に用いられるプロセスを利用することも可能である。
【0065】
材料の堆積後、入熱を利用して材料を焼結させることによって、センサの機械的完全性が向上する。これは、火炎、プラズマ、および、炉内焼きなましを利用した加熱、または、局所的レーザエネルギ照射によって実施可能である。選択的レーザ溶融(SLM)の場合、所定の化学的性質を備えた粉末材料を溝内に付着させて、レーザビームのエネルギで溶融させ、図11のセンサ140および図10の相互接続導体122のそれぞれの部分を形成することが可能である。例えば、熱電対を形成するには、溝142のある部分に白金粉末を付着させ、SLM法によって凝固させることが可能である。溝の長さに沿ってまたは第2の垂直層として、溝142の第2の部分に白金ロジウム粉末を付着させて、SLM法で凝固させ、白金材料と接触して、熱電対接合が形成されるようにすることが可能である。」

コ 「【0071】
本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の動翼18,19および/または静翼22,23のような構成部品は、構成部品の表面に適合するように堆積された用途特有のセンサ50、および/または、燃焼タービン10内に堆積した遮熱コーティングまたは他のコーティング内に埋め込まれた用途特有のセンサ50を備えることが可能になる。例えば、図13には、埋込みまたは表面取付けセンサ204を無線遠隔測定装置206に接続するために堆積されたコネクタ202のような耐熱性リード線を備える、タービン16の列1からの動翼とすることが可能な典型的な動翼200が示されている。本発明のさまざまな実施形態が、燃焼器12またはタービン16内における任意の列の動翼18,19および/または静翼22,23に用いるように設計することができるのは明らかである。
【0072】
センサ204は、動作温度が1100℃を超える可能性のある燃焼タービン16の高温ガス経路セクションに用いるのに適した新規のセラミック材料を用いて堆積(deposit)させることが可能である。無線遠隔測定装置206は、動作温度が一般に約250℃を超え、約700℃未満である動翼200の根元部208の近くのような、遠隔測定構成部品が比較的低い温度にさらされる場所に取り付けることが可能である。動翼200および根元部208はまとめて基体と称することが可能である。
【0073】
データ送信に用いることが可能な半導体のようなシリコンベースの電子半導体は、その動作温度の制約のためにその用途が制限される可能性がある。シリコンおよびシリコンオンインシュレータ(SOI)電子チップテクノロジの温度および性能特性によって、約200℃未満の動作環境への適用が制限される可能性がある。本発明の態様によれば、こうした電子システムは、一般に動作温度約100?150℃の圧縮機12内に無線遠隔測定のために配置することが可能になる。無線遠隔測定センサシステムの実施形態は、圧縮機12の後続段およびタービン16に存在するより高温の領域内で動作するように構成することが可能である。これらの領域は、動作温度が圧縮機セクションの後続部分で約150?250℃、タービンセクションにおいて250?700℃になる可能性がある。これらのより高温の領域内で動作可能な温度および電気特性を備える材料を用いて、センサ50,204、コネクタ52,202を堆積(deposit)させ、無線遠隔測定装置206を製作することが可能である。
【0074】
図13を参照すると、タービン16の動翼200が1つ又は複数の耐熱性センサ204、それぞれの相互接続線202、および、1つ又は複数の無線遠隔測定装置206を備えることによって、タービン16内の構成部品および/またはコーティングのさまざまな動作パラメータまたは状態を表わすリアルタイムの性能データを収集することが可能になる。典型的なタービン動翼200は、動翼の表面への堆積および/または遮熱コーティング26のような堆積した遮熱コーティング内への埋め込みを施された少なくとも1つのセンサ204を備えることが可能である。少なくとも1つの無線遠隔測定装置206は動翼200の根元部208に近接して固定することが可能である。
【0075】
センサ204および耐熱相互接続線またはコネクタ202は、プラズマ溶射、EB PVD、CVD、パルスレーザ堆積法、ミニプラズマ、直接描画、ミニHVOF、コールドスプレー、または、溶液プラズマ溶射といった公知の堆積プロセス(deposition process)を用いて堆積(deposit)させることが可能である。一般に、燃焼タービン10の固定構成部品と回転構成部品の両方において、構成部品の表面温度および熱流測定と共に、動圧測定、動的および静的歪み測定、および、動的加速測定を実施するのが望ましい。従って、埋め込みセンサ204は、歪みゲージ、熱電対、熱流束センサ、圧力変換器、マイクロ加速計、並びに、他の所望のセンサとして構成することが可能である。
【0076】
薄膜埋め込みセンサ204を利用する利点は、同じ堆積プロセスを利用してリード線またはコネクタ202の堆積および経路設定を同時に実施できる点にある。これに関して、リード線またはコネクタ202通路を任意の所望の経路の上に堆積させ、1つ又は複数のセンサ204を無線遠隔測定装置206に接続することが可能である。本発明の実施形態によれば、コネクタ202は、センサ204と同じ材料または用途特有の電気および温度特性を備えた他の導電材料とすることが可能になる。」

サ 「【0079】
公知の金属熱電対および歪みゲージの長期安定性、感度、および、応答性は、厳しい温度環境のためタービン16の高温ガス経路セクションに用いる場合には十分に性能を発揮しない。本発明の実施形態によれば、例えば約1100℃を超える高温におけるその高い安定性、頑健性、および、電気特性のため、こうした環境に耐熱性セラミックベース材料を利用することが可能になる。センサ50、204用のセラミックベース材料の選択は、所望の動作温度における能動的センサ素子の化学的および電気的安定性に基づいて行うことが可能である。材料選択は、熱電対の熱起電力および歪みゲージのゲージ率といった高温における材料特性の大きさに基づいて実施することも可能である。
【0080】
センサ50、204は、タービン16内のような燃焼タービン10のより高温のセクションにおける温度および/または熱流束の測定に用いられるセラミックベース熱電対として形成することが可能である。こうしたセンサ用途および遮熱コーティング内の埋め込みセンサのような他のより高温での用途のための典型的な3クラスの材料は、炭化物、珪化物、および、酸化物である。炭化物および珪化物は、高耐熱特性および所望の電気特性を示し、熱起電力をもたらすために利用可能である。約1100℃を超えるような高温の場合、空気中で不動態化膜を形成するので、珪化物材料を酸化性雰囲気中における熱電対および熱流束センサとして用いることが可能である。炭化物材料は、不活性および還元性環境内における熱電対および熱流束センサとして用いることが可能である。典型的な珪化物材料には、TiSi_(2)、CrSi_(2)、TaSi_(2)、および、MoSi_(2)がある。典型的な炭化物材料には、WC、TaC、HfC、TiC、および、ZrCがある。用途特有のセンサに代替珪化物および炭化物材料を用いることも可能である。
【0081】
酸化物材料は、酸化環境において安定しており、耐酸化性があり、センサ50、204として安定した頑健性の熱電対が得られるように、さまざまな電荷担体濃度に製作することが可能である。図14には、熱成長酸化物(TGO)層212に堆積した薄膜インジウム錫酸化物(ITO)とすることが可能な典型的な酸化物熱電対センサ210が示されている。実施形態の1つでは、センサ210をTGO層212に堆積させて、タービン16内の典型的な動翼200または静翼22のような超合金構成部品とすることが可能な基体216に堆積したボンディングコート層214からセンサを電気的に絶縁することが可能である。代替実施形態によれば、センサ210が必要に応じて周囲の材料から電気的に絶縁される場合、構成部品の表面または遮熱コーティング218内のさまざまな深さのようなさまざまな位置にセンサ210を堆積させることが可能になる。
【0082】
センサ50,204は、動翼18,19,200、静翼22,23といったタービン構成部品、および、それらに堆積した遮熱コーティングの不安定性、構造完全性、および、他の状態を監視するために用いられる歪みゲージとして構成することが可能である。図15には、ITO歪みゲージ210の典型的な構成が例示されているが、特定用途に従ってゲージ210のさまざまな実施形態を適応させることができるのは明らかである。
【0083】
無線遠隔測定装置206は、圧縮機12およびタービン16内のような燃焼タービン10内のさまざまな場所に配置されたセンサ50、204と電力およびデータの授受を行うために用いることが可能である。受動的または電池式無線検知は、タービン16のより高温の環境内で用いるのは不可能であるが、圧縮機12内で用いることは可能である。熱電対列が電力に関してゼーベック効果を生じる熱起電力、火炎の放射エネルギを利用して電力を発生する熱光起電力、または、ダイオードが熱を電力に変換する熱電子エネルギといったタービン16内の能動電源を用いることが可能である。回転送信器を利用した実施形態は、固定コイルによってあるいは熱または振動エネルギから電力を誘導することが可能である。」

シ 上記アの段落【0002】の「本発明は、一般に動作環境のモニタリングに関し、特に、動作環境内におけるガスタービンエンジンのような個別部品の状態に関連したデータを伝送するために使用可能な構成部品に関する。」という記載、上記イの段落【0025】の「本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の多くの場所に複数のセンサ50を配置して、構成部品特有の状態またはコーティング特有の状態の監視、並びに、燃焼タービン10の動作または性能に関連した他のデータの収集を行うことが可能になる。例えば、図1に例示のように、タービン16の1つ又は複数の動翼18のそれぞれの遮熱コーティング26内に1つ又は複数のセンサ50を埋め込むことが可能である。構成部品特有のデータおよび/またはコーティング特有のデータを収集すべきタービン16と共に、他の構成部品遮熱コーティング内にセンサ50を埋め込むことができるのも明らかである。」という記載から、引用文献2には、燃焼タービン10内の複数の場所に複数のセンサ50を配置して、構成部品特有の状態またはコーティング特有の状態の監視、並びに、燃焼タービン10の動作または性能に関連した他のデータの収集を行うシステムが記載されていることが分かる。したがって、引用文献2には、第1のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第1の場所と、第2のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第2の場所を備える燃焼タービン10が記載されているといえる。

ス 上記エの段落【0031】の「1つ又は複数のタービンまたは圧縮機動翼18,19に、例えば歪みゲージまたは熱電対のような1つ又は複数のセンサ50を堆積(deposit)させることが可能である。図4には、圧縮機12に関する実施形態の1つが例示されている。コネクタ52を配置して、動翼18,19に接続された1つ又は複数の送信器54に各センサ50を接続することが可能である。典型的な実施形態によれば、それぞれのコネクタ52を介して複数のセンサ50と単一の送信器54とを接続することが可能になる。例えば、複数の動翼18,19のそれぞれにセンサ50を配置することが可能である。コネクタ52を配置して、各センサ50から単一の送信器54に信号を送ることが可能である。」という記載、上記コの段落【0071】の「本発明の実施形態によれば、燃焼タービン10内の動翼18,19および/または静翼22,23のような構成部品は、構成部品の表面に適合するように堆積された用途特有のセンサ50、および/または、燃焼タービン10内に堆積した遮熱コーティングまたは他のコーティング内に埋め込まれた用途特有のセンサ50を備えることが可能になる。」という記載から、引用文献2に記載されたシステムは、例えば複数の圧縮機動翼18,19に、歪みゲージまたは熱電対のような複数のセンサ50を堆積(deposit)させることが分かる。したがって、引用文献2には、燃焼タービン10内の第1の場所に所定の歪みがかかると、第1のセンサ(歪ゲージ)は第1の出力をし、燃焼タービン10内の第2の場所に所定の歪みがかかると、第2のセンサ(歪ゲージ)は第2の出力をする、燃焼タービン10が記載されているといえる。

セ 上記コの段落【0071】の「図13には、埋込みまたは表面取付けセンサ204を無線遠隔測定装置206に接続するために堆積されたコネクタ202のような耐熱性リード線を備える、タービン16の列1からの動翼とすることが可能な典型的な動翼200が示されている。」という記載、同じく段落【0074】の「図13を参照すると、タービン16の動翼200が1つ又は複数の耐熱性センサ204、それぞれの相互接続線202、および、1つ又は複数の無線遠隔測定装置206を備えることによって、タービン16内の構成部品および/またはコーティングのさまざまな動作パラメータまたは状態を表わすリアルタイムの性能データを収集することが可能になる。」という記載から、引用文献2に記載されたシステムは、無線遠隔測定装置206を備えることが分かる。

ソ 上記キの段落【0053】の「本発明の実施形態によれば、複数のセンサ50を構成部品に表面取付けするか、または、それぞれの構成部品の遮熱コーティング内に埋め込むことによって、燃焼タービン10全体に複数のセンサ50を配置し、特の構成部品の状態データを収集して、無線遠隔測定法を用いて監視および制御システム30に送信することが可能である。このアプローチは、燃焼タービン10の運転中に、交換、修理、および、保守の意思決定過程が特定の構成部品の状態に基づくようにすることが可能になるので好都合である。」という記載から、引用文献2に記載されたシステムは、燃焼タービン10全体に複数のセンサ50を配置し、特定の構成部品の状態データを収集して、無線遠隔測定法を用いて監視および制御システム30に送信することが可能であることが分かる。

タ 上記キの段落【0054】の「本発明の実施形態によれば、特定の構成部品の状態データを収集し、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示することが可能になる。これによって、オペレータは、1つまたは複数の特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施することが可能になる。」という記載から、引用文献2に記載されたシステムは、特定の構成部品の状態データを収集し、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示することが可能であること、それにより、オペレータは、1つまたは複数の特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施することが可能になることが分かる。

(2)引用発明2
上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されているといえる。
「第1のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第1の場所と、
第2のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第2の場所と、
を備え、
燃焼タービン10内の第1の場所に所定の歪みがかかると、第1のセンサ(歪ゲージ)は第1の出力をし、
燃焼タービン10内の第2の場所に所定の歪みがかかると、第2のセンサ(歪ゲージ)は第2の出力をする、
燃焼タービン10と、
燃焼タービン10の複数の場所での構成部品特有の状態を監視し、かつ
複数の場所での特定の構成部品の状態データを、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示し、及び/又は、
複数の場所での特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施する、
監視システムと、
を備える、システム。」

3 引用文献3
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(Chao-Nan Xu,etc.,"Direct view of stress distribution in solid by mechanoluminescence",Applied Physics Letters,米国,American Institute of Physics,1999年4月26日,Vol.74, No.17,p.2414-2416)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用文献3の記載事項
ア 「Measurement of stress distribution is of great importance for solids in order to improve their reliability and extend their application. A lot of effort has been made to sense stress and fracture of structural ceramics and composites by use of electrical signals. However, in these cases, electrodes and physical contacts are needed, therefore, it is difficult to measure stress distribution of a dynamic moving part such as a cutting tool or gas turbine. In an effort to solve this problem, we carried out a series of research to realize remote detection of stresses by visualization of mechanical stress distribution. Various systems of materials have been investigated to develop high triboluminescence for a direct view of stress distribution. It is known that many materials emit light during applied mechanical stress which has been named as mechanoluminescence (ML) or triboluminescence (TL). Although the mechanism of this phenomenon is complex, as a result it transfers mechanical stress into light radiation, thus we think it is possible to use the ML phenomena to directly display stress distribution. In general, ML can be divided into fractoluminescence and deformation luminescence (DL), which correspond to luminescence induced by fracture and mechanical deformation of solid, respectively. According to a rough estimation, 50% of solids give fractoluminescence by fracture; the well known materials include sugar, molecular crystals, alkali halides, quartz, and minerals. On the other hand, the deformation luminescence is induced by mechanical deformation without fracture which is, therefore, of interest from the view- point of nondestructive evaluation. The DL can be further divided into elasticoluminescence, and plasticoluminescence. DL has already been reported formany materials such as colored alkali halides, quartz, II-VI semiconductors, polymer crystals, and rubber. However, the DL luminescence intensities of the materials reported until now are too weak so that, to our knowledge, no practical application of this phenomenon has been explored so far.」(第2414ページ左欄第1行ないし第37行)
(当審仮訳:応力分布の測定は、固体の信頼性を向上させ、用途を拡大するために固体にとって非常に重要である。電気信号を用いて構造セラミックスや複合材料の応力や破壊を検知するための多くの努力がなされている。しかし、これらの場合、電極と物理的接触が必要であり、それゆえに、切削工具またはガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を測定することは困難である。この問題を解決するために、我々は機械的な応力分布の可視化により応力の遠隔検出を実現するための一連の研究を行った。応力分布の直接視のための高トリボルミネッセンスを開発するための様々な材料システムの研究が行われた。機械的応力の印加中に多くの物質が発光することが知られており、メカニカルルミネッセンス(ML)またはトリボルミネッセンス(TL)として名付けられた。この現象のメカニズムは複雑であるが、結果として機械的応力を光放射に変換するので、私たちは応力分布を直接表示するためにML現象を使用することが可能であると考えている。一般的に、MLは、破砕ルミネッセンスと変形ルミネッセンス(DL)に分けることができ、それぞれ固体の破砕および機械的変形によって誘発される発光に対応する。概算によると、固体の50%は破砕によって破砕ルミネッセンスを与える。砂糖、分子結晶、ハロゲン化アルカリ、石英と鉱物を含むよく知られている物質である。他方、変形ルミネッセンスは、破壊のない機械的変形によって誘発されるため、非破壊評価の観点から興味深い。DLはさらに弾性ルミネッセンスと塑性ルミネッセンスに分けることができる。DLはすでに有色ハロゲン化アルカリ、石英、II-VI半導体、高分子結晶、ゴムのような多くの物質について報告されている。しかし、現在まで報告されている物質のDL発光強度は弱すぎるため、我々の知る限りでは、この現象の実用化はこれまで検討されていない。)

イ 「We have carried out a systematical material research and found that ZnS and MAl_(2)O_(4) (M=Mg, Ca, Sr) doped with proper emission centers were the most promising candidates to emit strong ML. In this letter, we report a novel realization of direct view of stress distribution by ML using SrAl_(2)O_(4) :Eu. A simulation result confirms that such a ML image successfully reflects the stress distribution.」(第2414ページ左欄第38行ないし右欄第3行)
(当審仮訳:私たちは系統的な材料研究を行い、適切な発光中心をドープしたZnSとMAl_(2)O_(4)(M=Mg、Ca、Sr)が最も有望なMLを放出する候補であることを見出した。このレターでは、SrAl_(2)O_(4):Euを用いたMLによる応力分布の直接視の新規な現実化を報告する。シミュレーション結果は、そのようなML画像が応力分布を首尾よく反映していることを確認する。)

ウ 「Among the samples prepared, SrAl_(2)O_(4) doped with 0.5 mol % Eu by wet process from Eu(NO_(3))_(3)・2H_(2)O was found to give strongest ML intensity, which was three magnitudes in order higher than that of the well known ML material of quartz. Therefore, we will concentrate on this composition in this letter. Figure 1 shows the stressed SAO-E sample and the ML image under a compressive load of 1000 N. Intense green light was seen from the two ends of the stressed SrAl_(2)O_(4) :Eu sample which can be clearly observed by the naked eye in the atmosphere. Figure 2 shows the stressed sample and the distribution of ML intensity along the CC’ axis which was detected by an ICCD camera (C6394, Hamamatus Photonics). The ML intensity increased exponentially from the center of the sample (o). The stress distribution of such a stressed sample was simulated based on elastics. As shown by the dotted line in Fig. 2, the simulated compressive stress with a contact angle θ=18°, which was evaluated from Fig. 1, increased exponentially with increasing r/a. This is consistent with that of the measured ML intensity, demonstrating that ML from stressed SrAl_(2)O_(4) :Eu gives a direct view of stress distribution. The visualization of stress distribution due to this intense visible light emission was obtained by the application of only a single compression in atmosphere. This is obviously different from the thermography which needs repetitive cycles of stress and thus is limited to evaluate stress in a fatigue process.」(第2414ページ右欄第27行ないし第2415ページ右欄第2行)
(当審仮訳:作製した試料のうち、Eu(NO_(3))_(3)・2H_(2)Oから湿式法で0.5mol%EuをドープしたSrAl_(2)O_(4)は、MLの最も強い強度を示した。それは、ML材料としてよく知られている石英よりも3桁高い強度であった。したがって、私たちはこのレターの中でこの組成に集中する。図1は、1000Nの圧縮荷重下での応力を受けたSAO-E試料およびML画像を示す。応力を受けたSrAl_(2)O_(4):Eu試料の2つの端部から、大気中の肉眼で明瞭に観察される激しい緑色光が見られた。図2は、応力を加えた試料及びICCDカメラ(C6394、Hamamatus Photonics)によって検出されたCC’軸に沿ったML強度の分布を示す。ML強度は、試料の中心(o)から指数関数的に増加した。そのような応力を受けた試料の応力分布は、弾性材料に基づいてシミュレートされる。図2の点線で示すように、図1から評価した接触角θ= 18°の模擬圧縮応力はr/aが増加するにつれて指数関数的に増加した。これは、測定されたML強度の値と一致し、応力を受けたSrAl_(2)O_(4):EuからのMLが応力分布の直接視を与えることを実証する。この強烈な可視光の放射による応力分布の可視化は、大気中での単一の圧縮のみの適用により得られた。これは、反復的な応力サイクルを必要とするサーモグラフィーとは明らかに異なり、したがって、疲労プロセスにおける応力を評価するために限定される。)

エ 「As is clearly seen, the present method can be used to evaluate stress distribution in various kinds of materials by coating a SrAl_(2)O_(4) :Eu surface layer or mixing SrAl_(2)O_(4) :Eu to fabricate a composite structure. This is practical for MAl_(2)O_(4) especially, because of its high stability in severe environments.」(第2416ページ左欄第1行ないし第6行)
(当審仮訳:明らかになったように、本発明の方法は、SrAl_(2)O_(4):Eu表面層をコーティングするか、またはSrAl_(2)O_(4):Euを混合して複合構造を製造することによって、様々な種類の材料における応力分布を評価するために使用することができる。このことは、厳しい環境における高い安定性のために、特にMAl_(2)O_(4):Euにとって実用的である。)

オ 上記アの「切削工具またはガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を測定することは困難である。この問題を解決するために、我々は機械的な応力分布の可視化により応力の遠隔検出を実現するための一連の研究を行った。」という記載から、引用文献3の研究は、ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出するためにされたことがわかる。

カ 上記アの「機械的応力の印加中に多くの物質が発光することが知られており、メカニカルルミネッセンス(ML)またはトリボルミネッセンス(TL)として名付けられた。」という記載から、機械的な応力の印加中に発光する物質が公知であったことが分かる。

キ 上記イの「SrAl_(2)O_(4):Euを用いたMLによる応力分布の直接視の新規な現実化を報告する」という記載、上記ウの「応力を受けたSrAl_(2)O_(4):Eu試料の2つの端部から、大気中の肉眼で明瞭に観察される激しい緑色光が見られた。」という記載、上記エの「SrAl_(2)O_(4):Eu表面層をコーティングするか、またはSrAl_(2)O_(4):Euを混合して複合構造を製造することによって、様々な種類の材料における応力分布を評価するために使用することができる。」という記載から、引用文献3の研究においては、SrAl_(2)O_(4):Euという物質を用いたメカニカルルミネッセンス(ML)による応力分布の直接視についての研究がされたことが分かる。

(2)引用技術3
上記(1)から、引用文献3には、次の技術が記載されているといえる。
「ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出するために、
材料にSrAl_(2)O_(4):Eu表面層をコーティングするか、または材料にSrAl_(2)O_(4):Euを混合して複合構造を製造し、
機械的応力の印加時にメカニカルルミネッセンス(ML)によりSrAl_(2)O_(4):Euからの強い発光を検出することにより、
様々な種類の材料における応力分布を可視化する技術。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用文献1を主引例とする場合
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「多段回転機械内の第1の位置」は本願発明1の「第1のターボ機械構成要素」に相当し、以下同様に、「多段回転機械内の第2の位置」は「第2のターボ機械構成要素」に、「多段回転機械」は「ターボ機械」に、「圧力をモニタ」することは「構造上の健全性を監視」することに、「オペレータに表示メッセージ等で警告」することは「ユーザが認知できる表示を提供」することに、「多段回転機械の運転パラメータ(例えば、運転速度)を調整する」ことは「ターボ機械の運転速度を調整する」ことに、「制御装置14」は「データ取得および分析回路を含む制御装置」に、「モニタリングシステム」は「ターボ機械監視システム」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1の「圧力センサ」は、「素子」という限りにおいて、本願発明1における「メカノルミネッセンス材料」と共通する。
したがって、引用発明1の「第1の圧力センサが設けられた」は、「第1の素子を含む」という限りにおいて、本願発明1の「第1のメカノルミネッセンス材料を含む」と一致する。
同様に、引用発明1の「第2の圧力センサが設けられた」は、「第2の素子を含む」という限りにおいて、本願発明1の「第2のメカノルミネッセンス材料を含む」と一致する。
また、引用発明1の「前記多段回転機械内の第1の位置に所定の圧力がかかると、第1の圧力センサは第1の出力をし」は、「前記第1のターボ機械構成要素が十分な機械的刺激に曝されると、第1の出力をし」という限りにおいて、本願発明1の「前記第1のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第1の光の放射を生成し」と一致する。
同様に、引用発明1の「前記多段回転機械内の第2の位置に所定の圧力がかかると、第2の圧力センサは第2の出力をし」は、「前記第2のターボ機械構成要素が十分な機械的刺激に曝されると、第2の出力をし」という限りにおいて、本願発明1の「前記第2のターボ機械構成要素が、前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第2の光の放射を生成し」と一致する。
また、引用発明1において「多段回転機械内の第1の位置と第2の位置の圧力をモニタ」することは、「第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視」するという限りにおいて、本願発明1の「第1および第2の光の放射と第1および第2のターボ機械構成要素の前記メカノルミネッセンスとの相関による第1および第2の光の放射の分析に基づいて、第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視」することと一致する。
また、引用発明1の「故障が識別されると、オペレータに表示メッセージ等で警告し」は、本願発明1の「前記第1および第2のターボ機械構成要素の前記構造上の健全性を示すユーザが認知できる表示を提供し」に相当する。
また、引用発明1の「故障が識別されると、多段回転機械の運転パラメータを調整する制御装置14」は、「前記ターボ機械の運転速度を調整するように構成された制御装置」という限りにおいて、本願発明1における[前記第1および第2の光の放射に応じて前記ターボ機械の運転速度を調整するように構成されたデータ取得および分析回路を含む制御装置」と一致する。

したがって、両者は、
「第1の感圧素子を含む第1のターボ機械構成要素と、
第2の感圧素子を含む第2のターボ機械構成要素と、
を備え、
前記第1のターボ機械構成要素が十分な機械的刺激に曝されると、第1の出力をし、
前記第2のターボ機械構成要素が十分な機械的刺激に曝されると、第2の出力をする、
ターボ機械と、
第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視し、かつ、
第1および第2のターボ機械構成要素の前記構造上の健全性を示すユーザが認知できる表示を提供し、及び/又は、
前記ターボ機械の運転速度を調整するように構成された制御装置を備える
ターボ機械監視システムと、
を備える、システム。」
という点で一致し、次の点で相違する。

〔相違点1〕
本願発明1は「メカノルミネッセンス材料」を用い、前記第1のターボ機械構成要素が、「前記第1のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに」十分な機械的刺激に曝されると、「第1の光の放射を生成し」、前記第2のターボ機械構成要素が、「前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに」十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長の異なる第2の光の放射を生成し、「前記第1の光の放射および前記第2の光の放射がそれぞれ、1つまたは複数の特徴的な放射パラメータを含む」のに対し、
引用発明1は「圧力センサ」を用い、前記多段回転機械内の第1の位置に所定の圧力がかかると、第1の圧力センサは第1の出力をし、前記多段回転機械内の第2の位置に所定の圧力がかかると、第2の圧力センサは第2の出力をする点。

〔相違点2〕
本願発明1は、「第1および第2の光の放射と第1および第2のターボ機械構成要素の前記メカノルミネッセンスとの相関による第1および第2の光の放射の分析に基づいて」、第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視するのに対し、
引用発明1は、多段回転機械内の第1の位置と第2の位置の圧力をモニタする点。

〔相違点3〕
本願発明1は、「前記第1および第2の光の放射に応じて」前記ターボ機械の運転速度を調整するように構成された「データ取得および分析回路を含む」制御装置を備えるのに対し、
引用発明1は、故障が識別されると、多段回転機械の運転パラメータを調整する制御装置14を備える点。

相違点1について検討する。
引用文献3には、
「ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出するために、
材料にSrAl_(2)O_(4):Eu表面層をコーティングするか、または材料にSrAl_(2)O_(4):Euを混合して複合構造を製造し、
機械的応力の印加時にメカニカルルミネッセンス(ML)によりSrAl_(2)O_(4):Euからの強い発光を検出することにより、
様々な種類の材料における応力分布を可視化する技術。」(上記「引用技術3」)
が記載されている。
引用文献3に記載された「SrAl_(2)O_(4):Eu」は、機械的応力すなわち圧力を検知して発光するものであるから、ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出することができ、一種の圧力センサとして用いることができるものである。
したがって、引用発明1において、引用技術3を圧力センサとして用いることにより、前記第1のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料(SrAl_(2)O_(4):Eu)によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第1の光の放射を生成し、前記第2のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料(SrAl_(2)O_(4):Eu)によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長が同じ第2の光の放射を生成し、前記第1の光の放射および前記第2の光の放射がそれぞれ、1つまたは複数の特徴的な放射パラメータを含むものを想到することができる。
しかしながら、引用発明1において、引用技術3を適用しても、「前記第2のターボ機械構成要素が、前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長の異なる第2の光の放射を生成」することまでは想到することができない。
したがって、引用発明1において、引用技術3を適用しても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想到することはできない。
そして、本願発明1は、上記相違点1に係る発明特定事項を有することにより、本願明細書に記載された格別顕著な作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、相違点2及び3について検討するまでもなく、引用発明1及び引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)引用文献2を主引例とする場合
本願発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「燃焼タービン10」は、その技術的意義からみて、本願発明1の「ターボ機械」に相当し、同様に、引用発明2の「監視システム」は、本願発明1の「ターボ機械監視システム」に相当する。
また、引用発明2の「センサ50」は、「センサ」という限りにおいて、本願発明1の「メカノルミネッセンス材料」と一致する。
そして、引用発明2の「第1のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第1の場所」は、「第1のセンサを含む第1のターボ機械構成要素」という限りにおいて、本願発明1の「第1のメカノルミネッセンス材料を含む第1のターボ機械構成要素」と一致し、同様に、引用発明2の「第2のセンサ50が設けられた燃焼タービン10内の第2の場所」は、「第2のセンサを含む第2のターボ機械構成要素」という限りにおいて、本願発明1の「第2のメカノルミネッセンス材料を含む第2のターボ機械構成要素」と一致する。
また、引用発明2の「燃焼タービン10内の第1の場所に所定の歪みがかかると、第1のセンサは第1の出力をし」は、「前記第1のターボ機械構成要素が、十分な機械的刺激に曝されると、第1の出力をし」という限りにおいて、本願発明1の「前記第1のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第1の光の放射を生成し」と一致する。
また、引用発明2の「燃焼タービン10内の第2の場所に所定の歪みがかかると、第2のセンサは第2の出力をし」は、「前記第2のターボ機械構成要素が、十分な機械的刺激に曝されると、第2の出力をし」という限りにおいて、本願発明1の「前記第2のターボ機械構成要素が、前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第2の光の放射を生成し」と一致する。
また、引用発明2の「燃焼タービン10の複数の場所での構成部品特有の状態を監視し」は、「第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視し」という限りにおいて、本願発明1の「第1および第2の光の放射と第1および第2のターボ機械構成要素の前記メカノルミネッセンスとの相関による第1および第2の光の放射の分析に基づいて、第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視し」と一致する。
また、引用発明2の「複数の場所での特定の構成部品の状態データを、ディスプレイ38を介してオペレータにリアルタイムで提示し」は、「前記第1および第2のターボ機械構成要素の前記構造上の健全性を示すユーザが認知できる表示を提供し」に相当する。
また、引用発明2の「複数の場所での特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施する」は、「前記ターボ機械の運転速度を調整する」という限りにおいて、本願発明1の「前記第1および第2の光の放射に応じて前記ターボ機械の運転速度を調整するように構成されたデータ取得および分析回路を含む制御装置を備える」と一致する。
したがって、両者は、
「第1のセンサを含む第1のターボ機械構成要素と、
第2のセンサを含む第2のターボ機械構成要素と、
を備え、
前記第1のターボ機械構成要素が、十分な機械的刺激に曝されると、第1の出力をし、
前記第2のターボ機械構成要素が、十分な機械的刺激に曝されると、第2の出力をする、
ターボ機械と、
第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視し、かつ、
前記第1および第2のターボ機械構成要素の前記構造上の健全性を示すユーザが認知できる表示を提供し、及び/又は、
前記ターボ機械の運転速度を調整する
ターボ機械監視システムと、
を備える、システム。」
という点で一致し、次の点で相違する。

〔相違点5〕
本願発明1は「メカノルミネッセンス材料」を用い、前記第1のターボ機械構成要素が、「前記第1のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに」十分な機械的刺激に曝されると、「第1の光の放射を生成し」、前記第2のターボ機械構成要素が、「前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに」十分な機械的刺激に曝されると、「前記第1の光と波長の異なる第2の光の放射を生成し、前記第1の光の放射および前記第2の光の放射がそれぞれ、1つまたは複数の特徴的な放射パラメータを含む」のに対し、
引用発明2は「センサ」を用い、前記多段回転機械内の第1の位置に所定の歪みがかかると、第1の圧力センサは第1の出力をし、前記多段回転機械内の第2の位置に所定の歪みがかかると、第2の圧力センサは第2の出力をする点。

〔相違点6〕
本願発明1は、「第1および第2の光の放射と第1および第2のターボ機械構成要素の前記メカノルミネッセンスとの相関による第1および第2の光の放射の分析に基づいて」、第1および第2のターボ機械構成要素の構造上の健全性を監視するのに対し、
引用発明2は、燃焼タービン10の複数の場所での構成部品特有の状態を監視する点。

〔相違点7〕
本願発明1は、「前記第1および第2の光の放射に応じて」前記ターボ機械の運転速度を調整する「ように構成されたデータ取得および分析回路を含む制御装置を備える」のに対し、
引用発明2は、複数の場所での特定の構成部品の状態に応答して、燃焼タービン10の動作に関する決定を瞬時に実施する点。

相違点5について検討する。
引用文献3には、
「ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出するために、
材料にSrAl_(2)O_(4):Eu表面層をコーティングするか、または材料にSrAl_(2)O_(4):Euを混合して複合構造を製造し、
機械的応力の印加時にメカニカルルミネッセンス(ML)によりSrAl_(2)O_(4):Euからの強い発光を検出することにより、
様々な種類の材料における応力分布を可視化する技術。」(上記「引用技術3」)が記載されている。
引用文献3に記載された「SrAl_(2)O_(4):Eu」は、機械的応力すなわち圧力を検知して発光するものであるから、ガスタービンのような動的に動く部品の応力分布を可視化して検出することができ、一種の圧力センサとして用いることができるものである。
したがって、引用発明2において、引用技術3を圧力センサとして用いることにより、前記第1のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料(SrAl_(2)O_(4):Eu)によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、第1の光の放射を生成し、前記第2のターボ機械構成要素が、前記第1のメカノルミネッセンス材料(SrAl_(2)O_(4):Eu)によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長が同じ第2の光の放射を生成し、前記第1の光の放射および前記第2の光の放射がそれぞれ、1つまたは複数の特徴的な放射パラメータを含むものを想到することができる。
しかしながら、引用発明2において、引用技術3を適用しても、「前記第2のターボ機械構成要素が、前記第2のメカノルミネッセンス材料によってメカノルミネッセンスが生じるのに十分な機械的刺激に曝されると、前記第1の光と波長の異なる第2の光の放射を生成」することまでは想到することができない。
したがって、引用発明2において、引用技術3を適用しても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想到することはできない。
そして、本願発明1は、上記相違点5に係る発明特定事項を有することにより、本願明細書に記載された格別顕著な作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、相違点6及び7について検討するまでもなく、引用発明2及び引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1及び引用技術3に基づいて、又は引用発明2及び引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし10は、引用発明1及び引用技術3に基づいて、又は引用発明2及び引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
前記「第5」のとおり、本願発明1ないし10は、引用発明1及び引用技術3に基づいて、又は引用発明2及び引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-10 
出願番号 特願2013-130099(P2013-130099)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 筑波 茂樹倉田 和博  
特許庁審判長 水野 治彦
特許庁審判官 粟倉 裕二
金澤 俊郎
発明の名称 ターボ機械の監視システムおよび方法  
代理人 田中 拓人  
代理人 小倉 博  
代理人 荒川 聡志  
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