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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1347043
審判番号 不服2017-701  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-18 
確定日 2018-12-06 
事件の表示 特願2012-114559「遊戯用撮影装置、遊戯用撮影方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-243466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続
1 手続の経緯
本願は、平成24年5月18日の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。

手続補正書 :平成27年 5月14日
拒絶理由通知 :平成28年 3月23日(起案日)
意見書 :平成28年 5月27日
手続補正書 :平成28年 5月27日
拒絶理由通知(最後) :平成28年 6月29日(起案日)
意見書 :平成28年 9月 1日
手続補正書 :平成28年 9月 1日
拒絶査定 :平成28年10月25日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成29年 1月18日
手続補正書 :平成29年 1月18日
拒絶理由通知(当審)(最後):平成30年 4月27日(起案日)
意見書 :平成30年 7月 4日
手続補正書 :平成30年 7月 4日

2 当審における拒絶の理由
平成30年4月27日付けの拒絶理由通知書で当審が通知した拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。

理由1.(サポート要件)本願の請求項1?8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由2.(明確性)本願の請求項1?8に係る発明は明確でないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由3.(進歩性)本願の請求項1?8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.特開2012-37735号公報
2.特開2009-124231号公報
3.特開2006-33155号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007-58627号公報(周知技術を示す文献)

第2 平成30年7月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年7月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成30年7月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成29年1月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし8に補正するものであるところ、本件補正は、請求項1に係る次の補正事項を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。

(補正前の請求項1)
【請求項1】
利用者を撮影する撮影手段と、
撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる識別撮影により取得した取得画像に含まれる、前記利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理と、
前記利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための前記操作入力に基づいて、前記第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理と、
前記識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の前記撮影画像に含まれる前記利用者の画像のうち、前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理と、を実行し、
前記制御手段は、前記決定処理において、
前記第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、前記第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、を個別に行うための操作画面を、前記表示手段に表示させ、
前記制御手段は、前記操作画面として、
前記第1及び第2の利用者の画像と、
前記第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する前記第1の選択画面と、
前記第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する前記第2の選択画面とを、前記表示手段に表示させることを特徴とする遊戯用撮影装置。

(補正後の請求項1)
【請求項1】
利用者を撮影する撮影手段と、
撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる識別撮影により取得した取得画像に含まれる、前記利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理と、
前記利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための前記操作入力に基づいて、前記第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理と、
前記識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の前記撮影画像に含まれる前記利用者の画像のうち、前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理と、を実行し、
前記制御手段は、前記決定処理において、
前記第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、前記第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、を個別に行うための操作画面を、前記表示手段に表示させ、
前記制御手段は、前記操作画面として、
前記第1及び第2の利用者の画像と、
前記第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容する前記第1の選択画面と、
前記第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容する前記第2の選択画面とを、前記表示手段に表示させ、
前記制御手段は、前記第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施すことを特徴とする遊戯用撮影装置。

2 補正の適合性
(1)補正事項
本件補正は、請求項1に係る次の補正事項1?3を含むものである。

(補正事項1)
補正前の請求項1の「前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」という記載を、「前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容する」とする補正。

(補正事項2)
補正前の請求項1の「前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」という記載を、「前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容する」とする補正。

(補正事項3)
補正前の請求項1に「前記制御手段は、前記第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施す」という記載を追加する補正。

(2)補正の目的について
補正事項1及び補正事項2は、平成30年4月27日付けの拒絶理由通知書において明確でないと指摘された事項について釈明を行うものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正といえ、特許法第17条の2第5項第4号の規定に該当するものである。

補正事項3は、補正前の請求項1の「制御手段」について、「前記制御手段は、前記第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施す」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえる。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わるものではなく、同一であるといえるから、補正事項3は、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。

(3)補正の範囲及び単一性について
補正事項1及び補正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落0081、0104、0105の記載に基づくものであり、補正事項3は、当初明細書等の段落0098?0100の記載に基づくものである。
よって、請求項1に係る補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。

また、上記(2)のとおり、補正事項1及び補正事項2は、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正であり、補正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載された発明は、発明の単一性の要件を満たすものといえ、請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。

(4)独立特許要件について
以上のように、請求項1に係る補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むから、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(4-1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、本願補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A?構成Eと称する。

(本願補正発明)
(A)利用者を撮影する撮影手段と、
(B)撮影画像を表示する表示手段と、
(C)前記表示手段の表示画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
(D)前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
(D1)前記利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる識別撮影により取得した取得画像に含まれる、前記利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理と、
(D2)前記利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための前記操作入力に基づいて、前記第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理と、
(D3)前記識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の前記撮影画像に含まれる前記利用者の画像のうち、前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理と、を実行し、
(D4)前記制御手段は、前記決定処理において、
前記第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、前記第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、を個別に行うための操作画面を、前記表示手段に表示させ、
(D5)前記制御手段は、前記操作画面として、
(D5-1)前記第1及び第2の利用者の画像と、
(D5-2)前記第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容する前記第1の選択画面と、
(D5-3)前記第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容する前記第2の選択画面とを、前記表示手段に表示させ、
(D6)前記制御手段は、前記第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施すことを特徴とする
(E)遊戯用撮影装置。

(4-2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
平成30年4月27日付けの拒絶理由通知書で引用された引用文献1である特開2012-37735号公報には、「画像編集装置および方法、並びにプログラム」(発明の名称)に関し、図面とともに次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

(ア)「【0040】
図1は、本発明を適用した写真シール作成装置の一実施の形態の例を示す図である。
【0041】
図1の写真シール作成装置1は、撮影や編集等の作業の娯楽性を高め、それらの作業を利用者にゲーム(遊戯サービス)として行わせ、撮影画像や編集済み画像を写真シールやデータとして利用者に提供する代わりに、利用者より代金を受け取るゲーム装置(遊戯サービス提供装置)である。」

(イ)「【0106】
次に、写真シール作成装置1の内部の構成例について説明する。
【0107】
図8は、写真シール作成装置1の機能的構成例を示すブロック図である。以上において説明した部分と同じ部分については、同じ番号を付してある。
【0108】
図8において、写真シール作成装置1は、写真シール作成装置1の装置全体を制御する処理部である制御部101を有しており、その制御部101には、記憶部102、通信部103、ドライブ104、ROM(Read Only Memory)106、RAM(Random Access Memory)107、撮影部112、編集部113、プリンタ114、外付けモニタ16、スピーカ17、およびタッチボタン18がそれぞれ所定のバスを介して接続される。
(中略)
【0113】
撮影部112は、撮影ユニット12に関するブロックであり、硬貨処理部121、背景カーテンユニット15、照明制御部122、カメラ51、タッチパネルモニタ52、およびスピーカ124を有する。
(中略)
【0117】
カメラ51は、制御部101に制御されて、写真シール作成ゲームの撮影作業の工程において、撮影空間32内の利用者等を被写体として撮影を行う。例えば、カメラ51は、制御部101の制御の下、動画像を取りこみ、取り込まれた動画像データを制御部101に供給する。また、カメラ51は、制御部101より供給されるシャッタ制御信号に基づいて、メカシャッタを動作させる等して、撮影画像(静止画像)の取得を行い、取得した静止画像データを記憶部102に記憶させる。
【0118】
タッチパネルモニタ52は、ライブビューモニタ123を備えて構成される。タッチパネルモニタ52のライブビューモニタ123は、制御部101より供給されるRGB信号に基づく画像(カメラ51によりリアルタイムに取り込まれている画像や、撮影画像を用いて作成された合成画像、GUI画像など)を表示する。また、タッチパネルモニタ52は、利用者が、自分自身の指等を用いてこのタッチパネルモニタ52にタップ(接触または近接)すると、その位置情報を制御部101に供給する。制御部101は、その位置情報を解析し、表示画像に対して利用者が入力した情報や指示を特定し、受け付ける。」

(ウ)「【0129】
次に、制御部101について説明する。図9は、制御部101がROM106などに格納されているプログラムを実行することにより実現される機能ブロックの構成例を示している。
【0130】
制御部101は、写真シール作成ゲームを開始する際に投入される代金(硬貨)に関する処理や、利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部202、撮影画像に対する落書き編集等の写真シール作成ゲームの編集作業の工程に関する処理を行う編集処理部203、シール紙の印刷等の写真シール作成ゲームの印刷の工程に関する処理を行う印刷処理部204、および、編集作業を終了した利用者を接客する写真シール作成ゲームの事後接客の工程に関する処理を行う事後接客処理部205を有する。
【0131】
つまり、制御部101は、写真シール作成ゲームの各工程に関する処理の制御を行う。
(中略)
【0134】
図10の例において、撮影処理部202は、進行制御部211、撮影準備処理部212、コース選択制御部213、合成用画像選択制御部214、ライブビュー表示制御部215、撮影画像取得部216、画像処理制御部217、および合成画像処理部218から構成される。」

(エ)「【0164】
ステップS21において、撮影処理部202のコース選択制御部213は、タッチパネルモニタ52に、撮影コース選択画面を表示させ、利用者に撮影コースを選択させる。例えば、利用者は、撮影コース選択画面に設けられたGUIボタン(例えば、「カップルコース」ボタンおよび「フレンドコース」ボタン)のいずれかを選択(例えば、ボタン上をタップ)し、撮影コースの選択指示を入力する。後述するように、撮影コースには、利用者の属性(例えば、利用者の間柄)に関するコースとして、例えば、カップルコースとフレンドコースとがある。カップルコースは、特に、男女2人組の利用者向けの撮影処理が行われる撮影コースであり、フレンドコースは、同性2人組や3人以上のグループの利用者向けの撮影処理が行われる撮影コースである。」

(オ)「【0168】
次に、図13および図14のフローチャートを参照して、図12のステップS23において実行されるカップルコース撮影処理の詳細な流れを説明する。
(中略)
【0172】
ステップS34において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示する。
【0173】
この画像処理の種類を選択させる選択画面としては、例えば、図15に示す性別選択画面が表示される。
(中略)
【0181】
すなわち、カップルコース撮影処理においては、撮影画像に対して行われる画像処理として、選択された性別に応じた画像処理(男性用画像処理または女性用画像処理)が行われる。ここで、男性用画像処理は、例えば、被写体の顔画像に対して、肌の色を日焼けしたように茶色くしたり、顔の輪郭を細くする処理とされ、女の子用画像処理は、例えば、被写体の顔画像に対して、肌の色を白くしたり、目の大きさを大きくする処理とされる。なお、性別として男性が選択された場合には、男性用画像処理が行われるようにしたが、いずれの画像処理も行われないようにしてもよい。これにより、利用者に男性が含まれる場合には、男性である被写体の顔がよりリアルな撮影画像が取得されるようになる。
【0182】
図13のフローチャートに戻り、ステップS35において、コース選択制御部213は、ステップS34の処理で表示された性別選択画面301における、利用者による男女別の画像処理の選択、すなわち、性別の選択を受け付ける。
【0183】
ステップS36において、コース選択制御部213は、ステップS35において受け付けた利用者による選択に応じた画像処理が施されたサンプル画像を表示する。
【0184】
すなわち、図15Aに示される性別選択画面301において、被写体Aに対応する利用者によって男女選択ボタン312-1の「男の子」ボタンが選択され、被写体Bに対応する利用者によって男女選択ボタン312-2の「女の子」ボタンが選択されると、図15Bに示されるように、男女選択ボタン312-1の「男の子」ボタンが強調表示されるとともに、男女選択ボタン312-2の「女の子」ボタンが強調表示される。また、サンプル画像表示部313-1には、ライブビュー画像から抽出された静止画像における被写体Aの顔の領域を抽出した顔画像に対して、男性用画像処理を施した顔画像(被写体A’)が表示され、サンプル画像表示部313-2には、ライブビュー画像から抽出された静止画像における被写体Bの顔の領域を抽出した顔画像に対して、女性用画像処理を施した顔画像(被写体B’)が表示される。
【0185】
これにより、利用者は、画像処理が施された後の撮影画像をイメージすることができる。
【0186】
なお、図15の性別選択画面301においては、サンプル画像表示部313に、選択された性別に対応した画像処理が施された顔画像が、サンプル画像として表示されるようにしたが、図16に示されるように、性別選択画面301において、サンプル画像表示部313を設けずに、選択された性別に対応した画像処理が施された顔画像(サンプル画像)を表示させないようにしてもよい。この場合、図13のフローチャートのステップS36における処理は省略される。これにより、利用者は、画像処理が施された後の撮影画像を楽しみにしながら、撮影作業を行うことができるようになる。
(中略)
【0191】
ステップS39において、ライブビュー表示制御部215は、撮影用合成用画像とカメラ51の取り込み画像を合成し、タッチパネルモニタ52に表示(ライブビュー表示)する。ここで、ステップS37において、カップルコースに応じた撮影用合成用画像が選択された場合、タッチパネルモニタ52には、カップルコースに応じた撮影用合成用画像が合成された取り込み画像がライブビュー表示されるようになる。ライブビュー表示処理の詳細については後述する。
【0192】
ステップS40において、撮影画像取得部216は、タッチパネルモニタ52等にカウントダウンインジケータを表示し、カメラ51を制御して撮影を行い、撮影画像を得る。
【0193】
ステップS41において、画像処理制御部217は、ステップS40において得られた撮影画像における被写体それぞれに対して、ステップS35において選択された画像処理を行う。すなわち、撮影画像において、被写体Aの顔の領域に対しては、男性用画像処理が施され、被写体Bの顔の領域に対しては、女性用画像処理が施される。
【0194】
ステップS42において、合成画像処理部218は、画像処理が行われた撮影画像に撮影用合成用画像を合成し、合成画像を生成する。さらに、合成画像処理部218は、ステップS43において、生成した合成画像をタッチパネルモニタ52等に表示し、利用者に合成画像(撮影結果)を確認させる。
【0195】
ステップS44において、進行処理部211は、所定回数撮影したか否かを判定し、撮影枚数が予め定められている所定回数に達していない場合、処理は、ステップS39に戻り、それ以降の処理が繰り返される。例えば、撮影用合成用画像選択画面により選択された合成用画像のそれぞれと合成する撮影画像を得るための撮影が行われ、合計6回の撮影が行われた場合、ステップS44において所定回数撮影したと判定される。」

(カ)「【0212】
以上においては、サンプル画像として、ライブビュー画像(取り込み画像)から抽出した静止画像における被写体の顔領域に対して、選択された性別毎の画像処理を施した顔画像を表示するようにしたが、利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得て、選択された性別毎の画像処理を施した顔画像を、サンプル画像として表示するようにしてもよい。
【0213】
ここで、図17および図18のフローチャートを参照して、利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得て、選択された性別毎の画像処理を施した顔画像を、サンプル画像として表示するようにしたカップルコース撮影処理の詳細な流れを説明する。
【0214】
なお、図17および図18のフローチャートのステップS71乃至S75,S80乃至96の処理は、図13および図14のフローチャートのステップS31乃至S33,S39乃至S55の処理と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
【0215】
すなわち、図17のフローチャートのステップS75において、撮影用合成用画像の選択を受け付けた後、ステップS76において、コース選択制御部213は、タッチパネルモニタ52に、ためし撮影実行画面を表示させ、利用者にためし撮影を行わせる。
【0216】
このためし撮影を行わせるためし撮影実行画面としては、例えば、図19Aに示すためし撮影実行画面400が表示される。
【0217】
ためし撮影実行画面400の中央付近には、顔画像表示部411-1および411-2が設けられている。顔画像表示部411-1および411-2においては、それぞれ、カメラ51からの被写体Aおよび被写体Bのライブビュー画像における顔の領域が表示されている。
【0218】
また、ためし撮影実行画面400の下部には、例えば「3,2,1,0」等とためし撮影のシャッタータイミングまでの残り秒数を示すためし撮影カウントダウンインジケータ412が表示されている。
【0219】
ためし撮影実行画面400の右上部には、撮影作業に予め割り当てられた制限時間の残り時間(残時間)を表示する残時間表示部413が設けられている。さらに、ためし撮影実行画面400の上部には、2名の利用者それぞれに、ためし撮影の準備を促すメッセージ「枠の中に入って、ためし撮りするよ!」が表示されている。
【0220】
利用者は、顔画像表示部411-1および411-2それぞれに、ライブビュー画像における利用者(被写体)それぞれの顔が表示されるように移動し、ためし撮影カウントダウンインジケータ412に表示されている数字が「0」になったときにためし撮影が行われる。
【0221】
図17のフローチャートに戻り、ステップS77において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示する。
【0222】
ステップS76においてためし撮影が行われると、タッチパネルモニタ52に表示されていた図19Aで示されたためし撮影実行画面400は、図19Bに示される性別選択画面420に切り替わる。
【0223】
図19Bに示されるように、性別選択画面420の中央付近には、ためし撮影実行画面400と同様に、顔画像表示部411-1および411-2が設けられている。ただし、ここでは、ためし撮影の結果得られた、被写体Aおよび被写体Bの静止画像における顔の領域(顔画像)が顔画像表示部411-1および411-2それぞれに表示されている。」

(キ)「【0239】
次に、図21および図22のフローチャートを参照して、図12のステップS24において実行されるフレンドコース撮影処理の詳細な流れを説明する。
【0240】
なお、図21および図22のフローチャートのステップS111乃至S113,S116乃至S120,S122乃至S130,S132乃至S135の処理は、図13および図14のフローチャートのステップS31乃至S33,S36乃至S40,S42乃至S50,S52乃至S55の処理と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
【0241】
すなわち、ステップS114において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示する。
【0242】
この画像処理の種類を選択させる選択画面としては、例えば、図23に示す目の大きさ選択画面が表示される。
(中略)
【0250】
図21のフローチャートに戻り、ステップS115において、コース選択制御部213は、ステップS114の処理で表示された目の大きさ選択画面501における、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付ける。
【0251】
なお、ステップS116において表示されたサンプル画像は、図23の目の大きさ選択画面501には図示されないサンプル画像表示部に表示される。なお、目の大きさ選択画面501にサンプル画像表示部が設けられない場合には、ステップS116の処理は省略される。
【0252】
そして、ステップS121において、画像処理制御部217は、ステップS120において得られた撮影画像における被写体それぞれに対して、ステップS115において選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行う。」

(ク)「【0256】
なお、図23を参照した説明においては、利用者(被写体)は2人であるものとしたが、フレンドコース撮影処理においては、利用者は3人以上であってもよい。
【0257】
図24は、フレンドコース撮影処理において、3人で撮影作業を行う場合に、タッチパネルモニタ52に表示される目の大きさ選択画面501の例を示している。
【0258】
図24Aに示される目の大きさ選択画面501には、図23で示される構成に加え、目の大きさ選択ボタン512-1および512-2それぞれの下に、目の大きさ選択ボタン512-1および512-2それぞれに対する目の大きさの選択を決定させるためのOKボタン514-1および514-2が設けられている。ライブビュー画像表示部511においては、カメラ51からの、被写体A、被写体B、および被写体Cのライブビュー画像が表示されている。また、ライブビュー画像表示部511においては、被写体A、被写体B、および被写体Cの顔の位置が認識され、認識された被写体A、被写体B、および被写体Cの顔の範囲(領域)を示す枠521A,521B、および521Cが、ライブビュー画像に重畳されて表示されている。
【0259】
以下においては、OKボタン514-1および514-2を互いに区別して説明する必要のない場合、OKボタン514と称する。
【0260】
図24Aに示される目の大きさ選択画面501においては、被写体A、被写体B、および被写体Cは、それぞれ、1人目、2人目、および3人目の被写体として認識されている。そして、目の大きさ選択ボタン512-1およびOKボタン514-1は、1人目の被写体に対応し、目の大きさ選択ボタン512-2およびOKボタン514-2は、2人目の被写体に対応している。すなわち、被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択し、OKボタン514-1によりその選択を決定させ、被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択し、OKボタン514-2によりその選択を決定させることができる。このとき、被写体Cに対応する利用者は、目の大きさを選択・決定することはできない。
【0261】
そして、被写体Bに対応する利用者が目の大きさ選択ボタン512-2の「中」ボタンを選択し、OKボタン514-2により選択を確定させると、目の大きさ選択画面501は、図24Bに示されるように変化する。すなわち、2人目の被写体である被写体Bに対応する利用者により目の大きさ選択ボタン512-2およびOKボタン514-2が操作され、目の大きさが選択・決定されると、目の大きさ選択ボタン512-2およびOKボタン514-2は、3人目の被写体である被写体Cに対応するようになる。すなわち、被写体Cに対応する利用者は、目の大きさを選択・決定できるようになる。
【0262】
このように、利用者(被写体)が3人であっても、目の大きさを選択・決定可能な2人のうち、先に選択・決定の操作をした被写体に対応する目の大きさ選択ボタン512およびOKボタン514が、3人目の被写体に対応するようになるので、被写体3人それぞれが、目の大きさを選択・決定することができる。なお、被写体が4人以上であっても同様である。なお、タッチパネルモニタ52が十分大きい場合には、目の大きさ選択ボタン512およびOKボタン514を、利用者(被写体)の人数分だけ表示するようにしてもよい。これにより、利用者は、順番を待たずに一斉に目の大きさを選択・決定することができ、撮影作業をスムーズに行うことができるようになる。」

(ケ)「【0267】
さらに、フレンドコース撮影処理においても、図17のフローチャートを参照して説明したカップルコース撮影処理と同様に、ためし撮影を行った後に、目サイズ変更処理などの画像処理を選択させるようにしてもよい。」

(コ)「【図13】



(サ)「【図17】



(シ)「【図19】



(ス)「【図21】



(セ)「【図24】



イ 引用文献2
平成30年4月27日付けの拒絶理由通知書で引用された引用文献2である特開2009-124231号公報には、「画像補正装置および画像補正方法」(発明の名称)に関し、図面とともに次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は、強調のために当審で付したものである。

(ア)「【0001】
本発明は、画像補正装置および画像補正方法に関し、特に、複数の顔の各々に対して所望の補正をする画像補正装置および画像補正方法に関する。」

(イ)「【0003】
また、近年の写真シール販売装置においては、画像の顔部分を検出した後、顔部分が適正な明るさとなるように画像全体の明るさを補正したり、肌が白くなるように補正したりしている。さらには、目の部分を検出して、目がぱっちり見えるような画像補正を行う機能が搭載されている。
(中略)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のプリンタや写真シール販売装置では、写真に複数の人物が写っている場合でも、画像の明るさや色調の補正は画像全体に一律に行われていた。すなわち、撮影画像に複数の人物が含まれている場合でも、各々の人物を区別し、各々の人物に対して異なる補正を行ってはいなかった。例えば、撮影画像に女性と男性が含まれている場合に、女性の肌を白くするために、画像全体を一律に明るくした場合には、男性の肌が必要以上に白く補正されてしまうという問題があった。また、撮影者や被写体の好みによっては、健康的に見せるため、肌を色黒に補正したい場合もあるが、そのような嗜好の違いを加味して補正をすることができないという問題があった。」

(ウ)「【0028】
補正パラメータは、予め補正パラメータ記憶部110に記憶され、顔の補正の種類と、補正方法を含む補正情報である。図4に、補正パラメータ記憶部110に記憶される補正パラメータの内容を示した。図4は、補正パラメータ記憶部110に記憶される補正パラメータの内容を説明する説明図である。図4に示したように、補正パラメータ420は、補正の内容を示す項目422と、補正方法を示すパラメータ424などを含む。項目422は、顔の補正部位を示すものであり、例えば、髪の毛の色、瞳の色、肌の色などが挙げられる。また、パラメータ424は、各項目における補正の方法を示すものであり、髪の毛の色の場合は「補正無し、茶、こげ茶、赤」などを例示でき、瞳の色の場合は「補正無し、水色、青、緑」などを例示でき、肌の色の場合は「補正無し、白、やや白、黒」などを例示することができる。
【0029】
表示画像生成部112は、画像補正部106により補正された顔を含む表示画像を生成して表示部40に提供する機能を有する。また、表示画像生成部112は、顔検出部102により検出された複数の顔の検出結果に基づいて、複数の顔の各々の顔領域に対し、顔枠を重畳する。顔枠の重畳がなされた画像は、表示画像生成部112から表示部40に提供され、表示部40に出力・表示される。この場合、上記した図3に示した補正後の画像が表示部40に表示されることとなる。
【0030】
また、表示画像生成部112が、ユーザにより選択される補正パラメータの選択メニューを含む表示画像を生成することもできる。図5に、表示画像生成部112により生成されて、表示部40に表示される補正パラメータの選択メニューの一例を示した。図5に示したように、表示部40には、補正パラメータ選択メニュー430が表示され、上述した補正項目432と、パラメータ434が表示される。図5に示したように、パラメータ434は、プルダウンメニューであってもよいし、パラメータの一覧が表示されてもよい。」

(エ)「【0041】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態と比べ、予め顔の情報を記憶して、入力画像に含まれる顔の特徴量を検出し、記憶された顔の情報と一致するか否かを判定し、当該判定に基づいて画像の補正を行う点で異なっている。以下では、第1実施形態とは異なる機能について主に説明する。
【0042】
図8は、本実施形態にかかる画像補正装置10bの機能構成を示すブロック図である。図8に示したように、画像補正装置10bは、顔検出部102と、顔選択部104と、画像補正部106と、補正パラメータ選択部108と、補正パラメータ記憶部110と、表示画像生成部112と、顔判定部114と、顔情報記憶部116などから構成される。また、画像補正装置10aは、画像入力部20とユーザ操作部30と表示部40とが接続されている。本実施形態にかかる画像補正装置10bは、第1実施形態にかかる画像補正装置10aと比較して、顔判定部114と顔情報記憶部116が追加されているが、それ以外は第1実施形態の機能と同様であるため、異なる機能について詳細に説明する。
【0043】
顔判定部114は、入力画像に含まれる顔の特徴量と、後述する顔情報記憶部116に記憶された顔の特徴量とが一致するか否かを判定する機能を有する。顔の特徴量の検出は、顔部位の検出と特徴量算出の処理により行われる。顔部位の検出は、一般的に行われているパターンマッチング推定、フィルタ応答推定などのアルゴリズムを用いることができる。また、特徴量算出は、顔部位と顔部分の画像から顔器官等の特定部位でのフィルタ応答値や顔器官の幾何形状等を算出する。応答値を得るためのフィルタの種類としては、四方向面特徴フィルタ、ガボールフィルタ、ウェーブレットなどの一般的手法を用いることができる。また、顔の特徴量の判定の結果、入力画像に含まれる顔の特徴量が、顔情報記憶部116に記憶されていないと判定された場合には、当該顔を顔情報記憶部116に記憶するようにしてもよい。顔判定部114は、顔情報記憶部116に記憶されている顔の特徴量に対応付けられた補正パラメータの情報を画像補正部106に提供する。
【0044】
顔情報記憶部116は、複数の顔の特徴量を記憶する機能を有し、例えば、Flashメモリなどの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクなどの記憶媒体であってもよい。顔情報記憶部116には、予め顔の特徴量が記憶されていてもよいし、顔判定部114により顔の特徴量が記憶されるようにしてもよい。さらに、顔情報記憶部116には、顔の特徴量と、複数の顔の各々に対して補正される補正パラメータとを関連付けて、顔情報として記憶することができる。図9に、顔情報記憶部116の記憶内容を示した。図9に示したように、顔情報記憶部116には、顔情報450が記憶されている。顔情報450は、顔の特徴量454と補正パラメータ設定情報456とが関連付けられた顔各々の情報である。また、顔情報450を識別するために、顔情報450の各々に顔番号452を付して記憶するようにしてもよい。
【0045】
本実施形態においては、顔検出部102は、入力画像に含まれる複数の顔の各々の特徴量を検出して、検出結果を顔判定部114に提供する。また、画像補正部106は、顔判定部114の判定の結果、顔の特徴量が一致すると判定された場合に、顔情報記憶部116に記憶された補正パラメータに基づいて、入力画像の顔を補正する。ここで、顔の特徴量の判定は、特徴量を比較した結果が一定の閾値以上であれば同一人物とみなし、顔が一致するとしてもよい。そして、画像補正部106により補正された顔を含む表示画像が表示画像生成部112により生成されて、当該表示画像が表示部40に表示される。以上、本実施形態にかかる画像補正装置10bの機能構成について説明した。
【0046】
次に、図10aおよび図10bに基づいて、本実施形態にかかる画像補正装置10bにおける画像補正処理の流れについて説明する。図10aおよび図10bは、本実施形態にかかる画像補正装置10bの画像補正処理の流れを説明するフローチャートである。
【0047】
まず、ユーザにより、撮影画像等が画像入力部20に入力され(S202)、入力画像に含まれる顔が検出される(S204)。ステップS202およびステップS204の処理は、第1実施形態と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。さらに、本実施形態においては、顔検出部102によって顔の特徴量が検出される(S206)。ステップS206において検出された顔の特徴量が、顔情報記憶部116に記憶されている顔の特徴量と一致するか否かを判定する(S208)。ステップS208において、上記したように、特徴量を比較した結果が一定の閾値以上である場合には、顔の特徴量が一致するとして、顔情報記憶部116に記憶された、顔の特徴量に関連付けられた補正パラメータを取得する(S211)。ステップS208において、顔の特徴量が一致しないと判定された場合には、顔情報記憶部116に顔情報を記憶(登録)する。(S210)。
【0048】
そして、ステップS204において検出された顔のすべてについて、顔の特徴量についての判定が終了したか否かが判定される(S212)。ステップS212において、すべての顔の判定が終了していない場合には、ステップS206からステップS212までの処理を繰り返す。ステップS212において、すべての顔の判定が終了した場合には、ステップS211において取得された補正パラメータに基づいて、顔の補正を行う(S214)。ステップS214における画像補正は、第1実施形態と同様に、顔に顔枠が重畳されるとともに、顔情報記憶部116に記憶された補正パラメータに基づいて顔の各々に画像補正がなされる。ステップS208において顔の特徴量が一致しないと判定された顔については、画像補正はなされず、顔に顔枠が重畳されるのみとなる。そして、ステップS214において補正された画像が、表示される(S216)。
【0049】
ステップS216以降の処理であるステップS218からステップS234までの処理は、第1実施形態のS110からS126までの処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS216までの処理によって、顔情報記憶部116に記憶されている補正パラメータに基づいて既に補正がなされている顔と、まったく補正がなされていない顔とが表示されていることとなる。この場合、既に補正がなされた顔については、設定された補正パラメータの情報をさらに重畳して表示するようにしてもよい。第1実施形態において示した、ユーザの選択に応じた顔の補正は、補正がなされていない顔についてのみに行ってもよいし、既に補正がなされた顔について行ってもよい。
【0050】
ステップS218からステップS234までのユーザの選択に応じた画像補正処理が終了した後に、ユーザにより選択された補正パラメータ設定情報を顔情報記憶部116に記憶する(S236)。これにより、顔情報記憶部116に記憶された顔情報の各々に最新の補正パラメータが記憶されることとなる。さらに、入力画像が動画像であった場合には、動画像に現れる同一人物に対して、同一の補正パラメータを設定することが可能となる。以上、本実施形態にかかる画像補正装置10bの画像補正処理の流れを説明した。
【0051】
本実施形態によれば、入力画像に含まれる顔の特徴量と、顔情報記憶部に予め記憶された顔の特徴量とが一致するか否かを判定し、一致した場合に、顔情報記憶部に記憶された補正パラメータに基づいて入力画像の顔を補正することができる。また、顔情報記憶部に予め顔の特徴量が記憶されていなかった場合には、一度設定された補正パラメータを当該顔の特徴量に関連付けて記憶しておくことができる。これにより、一度設定されて記憶された補正パラメータを再度利用して、入力画像に含まれる複数の顔の各々に対して画像補正をすることが可能となる。すなわち、入力画像に含まれるある顔に対して、一度補正パラメータが設定されれば、その後の入力画像に含まれる同一の顔に対して、ユーザにより補正パラメータが設定されなくとも、設定された補正処理が自動的になされることとなる。このように、再利用される補正パラメータが画像補正装置の記憶部に記憶されていれば、当該画像補正装置に画像が入力される都度、顔の判定がなされ、一度設定された補正と同様の補正が自動的になされることとなる。したがって、ユーザは、入力画像に含まれる同じ顔に対して、一度補正パラメータを設定すれば、以降は補正パラメータを選択して画像補正の設定をしなくとも同一の補正がなされるため、より利便性の高い画像補正をすることが可能となる。」

(オ)「【図5】



(4-3)引用文献に記載された発明及び技術
ア 引用文献1に記載された発明
引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

(ア)写真シール作成装置について
上記(4-2)ア(ア)によれば、引用文献1には、『撮影や編集等の作業を利用者に遊戯サービスとして行わせる写真シール作成装置』の発明が記載されている。

(イ)カメラについて
上記(4-2)ア(イ)によれば、「写真シール作成装置」は「制御部」を有しており、「制御部」には「撮影部」が接続され、「撮影部」は「カメラ」を有し、「カメラ」は、「利用者を被写体として撮影を行う」ことが記載されている。
したがって、引用文献1には、「写真シール作成装置」が『利用者を被写体として撮影を行うカメラ』を備えることが記載されている。

(ウ)タッチパネルモニタについて
上記(4-2)ア(イ)によれば、「撮影部」は「タッチパネルモニタ」を有し、「タッチパネルモニタ」は、「ライブビューモニタ」を備え、「ライブビューモニタ」は、「制御部より供給されるRGB信号に基づく画像(カメラによりリアルタイムに取り込まれている画像や、撮影画像を用いて作成された合成画像、GUI画像など)を表示」し、「タッチパネルモニタ」は、「利用者が、自分自身の指等を用いてこのタッチパネルモニタにタップ(接触または近接)すると、その位置情報を制御部に供給し、制御部は、その位置情報を解析し、表示画像に対して利用者が入力した情報や指示を特定し、受け付けること」が記載されている。
したがって、引用文献1には、「写真シール作成装置」が『カメラによりリアルタイムに取り込まれている画像や、撮影画像を用いて作成された合成画像、GUI画像などを表示するライブビューモニタを備えるタッチパネルモニタであって、利用者が、自分自身の指等を用いてこのタッチパネルモニタにタップすると、その位置情報を制御部に供給するタッチパネルモニタ』を備えることが記載されている。

(エ)制御部について
上記(4-2)ア(ウ)によれば、「制御部」は、「利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部」を有し、「撮影処理部」は、「コース選択制御部」、「撮影画像取得部」、「画像処理制御部」から構成されることが記載されている。
したがって、引用文献1には、「写真シール作成装置」が『利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部であって、コース選択制御部、撮影画像取得部、画像処理制御部から構成される撮影処理部を有する制御部』を備えることが記載されている。

(オ)撮影コースの選択について
上記(4-2)ア(エ)によれば、「コース選択制御部」は、「タッチパネルモニタ52に、撮影コース選択画面を表示させ、利用者に撮影コースを選択させる」ことが記載されている。
また、上記(4-2)ア(エ)によれば、「撮影コースには、利用者の属性(例えば、利用者の間柄)に関するコースとして、例えば、カップルコースとフレンドコース」とがあり、「カップルコースは、特に、男女2人組の利用者向けの撮影処理が行われる撮影コースであり、フレンドコースは、同性2人組や3人以上のグループの利用者向けの撮影処理が行われる撮影コースである」ことが記載されている。
したがって、引用文献1には、『コース選択制御部が、タッチパネルモニタに、撮影コース選択画面を表示させ、利用者に撮影コースを選択させ、撮影コースには、男女2人組の利用者向けの撮影処理が行われるカップルコースと、同性2人組や3人以上のグループの利用者向けの撮影処理が行われるフレンドコースがある』ことが記載されている。

(カ)フレンドコース撮影処理について
上記(4-2)ア(キ)によれば、引用文献1には、『フレンドコース撮影処理』が記載されている。

フレンドコース撮影処理に関して、上記(4-2)ア(キ)によれば、「図21および図22のフローチャートのステップS111乃至S113,S116乃至S120,S122乃至S130,S132乃至S135の処理は、図13および図14のフローチャートのステップS31乃至S33,S36乃至S40,S42乃至S50,S52乃至S55の処理と基本的に同様である」と記載されているから、「フレンドコース撮影処理」の認定に当たっては、図13に関する記載も参照する。

また、上記(4-2)ア(オ)、(キ)、(コ)、(ス)によれば、「フレンドコース撮影処理」は、「画像処理の選択画面を表示するステップS114」、「利用者毎の画像処理の選択を受け付けるステップS115」、「カウントダウンインジケータを表示し、撮影を行うステップS120」、「撮影画像に利用者毎の画像処理を行うステップS121」を含むことが記載されている。

また、上記(4-2)ア(ケ)によれば、「フレンドコース撮影処理においても、図17のフローチャートを参照して説明したカップルコース撮影処理と同様に、ためし撮影を行った後に、目サイズ変更処理などの画像処理を選択させるようにしてもよい」と記載されているから、引用文献1には、「画像処理の選択画面を表示するステップS114」の前に、「ためし撮影」を行うことも記載されているといえ、「フレンドコース撮影処理」の認定に当たっては、図17に関する記載も参照する。

(カ-1)ためし撮影について
上記(4-2)ア(カ)によれば、「利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得て、選択された性別毎の画像処理を施した顔画像を、サンプル画像として表示するようにしたカップルコース撮影処理」が記載されている。
上記(4-2)ア(カ)によれば、「ためし撮影」に関して、「ステップS76において、コース選択制御部213は、タッチパネルモニタ52に、ためし撮影実行画面を表示させ、利用者にためし撮影を行わせ」、「ためし撮影実行画面400の上部には、2名の利用者それぞれに、ためし撮影の準備を促すメッセージ「枠の中に入って、ためし撮りするよ!」が表示され」、「ためし撮影カウントダウンインジケータ412に表示されている数字が「0」になったときにためし撮影が行われる」ことが記載されている。
したがって、引用文献1には、『コース選択制御部が、ためし撮影実行画面に、ためし撮影の準備を促すメッセージを表示させ、利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得る』ことが記載されている。

(カ-2)画像処理の選択について
上記(4-2)ア(キ)によれば、「ステップS114において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示」し、「画像処理の種類を選択させる選択画面としては、例えば、図23に示す目の大きさ選択画面が表示され」、「ステップS115において、コース選択制御部213は、ステップS114の処理で表示された目の大きさ選択画面501における、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付ける」ことが記載されている。
したがって、引用文献1には、『コース選択制御部が、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)として、目の大きさ選択画面をタッチパネルモニタに表示し、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付ける』ことが記載されている。

(カ-3)画像処理について
上記(4-2)ア(オ)によれば、「ステップS40において、撮影画像取得部216は、カメラ51を制御して撮影を行い、撮影画像を得る」こと、「所定回数撮影したか否かを判定し、撮影枚数が予め定められている所定回数に達していない場合、処理は、ステップS39に戻り、それ以降の処理が繰り返される。撮影画像を得るための撮影が行われ、合計6回の撮影が行われる」ことが記載されている。
また、上記(4-2)ア(キ)によれば、「ステップS121において、画像処理制御部217は、ステップS120において得られた撮影画像における被写体それぞれに対して、ステップS115において選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行う」ことが記載されている。
したがって、引用文献1には、『撮影画像取得部が、カメラを制御して、所定回数(合計6回)の撮影を行い、画像処理制御部が、撮影画像における被写体それぞれに対して、選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行う』ことが記載されている。

(カ-4)目の大きさ選択画面について
上記(4-2)ア(ク)、(セ)によれば、「フレンドコース撮影処理において、3人で撮影作業を行う場合」の「目の大きさ選択画面501の例」について、「ライブビュー画像表示部511においては、カメラ51からの、被写体A、被写体B、および被写体Cのライブビュー画像が表示され」、「目の大きさ選択ボタン512-1および512-2それぞれの下に、目の大きさ選択ボタン512-1および512-2それぞれに対する目の大きさの選択を決定させるためのOKボタン514-1および514-2が設けられ」、「目の大きさ選択ボタン512-1およびOKボタン514-1は、1人目の被写体に対応し、目の大きさ選択ボタン512-2およびOKボタン514-2は、2人目の被写体に対応している」と記載されている。
また、上記(4-2)ア(ク)によれば、「被写体A、被写体B、および被写体Cは、それぞれ、1人目、2人目、および3人目の被写体として認識され」、「被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択し、OKボタン514-1によりその選択を決定させ、被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択し、OKボタン514-2によりその選択を決定させることができる」と記載されている。
さらに、上記(4-2)ア(ク)によれば、「利用者(被写体)が3人であっても、目の大きさを選択・決定可能な2人のうち、先に選択・決定の操作をした被写体に対応する目の大きさ選択ボタン512およびOKボタン514が、3人目の被写体に対応するようになるので、被写体3人それぞれが、目の大きさを選択・決定することができる」と記載されている。

以上の記載は、「ためし撮影」を行わない場合の記載であるところ、上記(4-2)ア(カ)、(シ)によれば、「ためし撮影」を行う場合の「撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面」について、「ステップS77において、コース選択制御部213は、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)を、タッチパネルモニタ52に表示する」、「ステップS76においてためし撮影が行われると、タッチパネルモニタ52に表示されていた図19Aで示されたためし撮影実行画面400は、図19Bに示される性別選択画面420に切り替わる」、「性別選択画面420の中央付近には、ためし撮影実行画面400と同様に、顔画像表示部411-1および411-2が設けられている。ただし、ここでは、ためし撮影の結果得られた、被写体Aおよび被写体Bの静止画像における顔の領域(顔画像)が顔画像表示部411-1および411-2それぞれに表示されている」と記載されている。
以上によれば、「ためし撮影」を行う場合には、「目の大きさ選択画面」には、「ためし撮影の結果得られた被写体の静止画像」が表示されるものと解するのが相当である。

したがって、引用文献1には、
『3人で撮影作業を行う場合に、目の大きさ選択画面は、
ためし撮影の結果得られた被写体の静止画像と、
1人目の被写体である被写体Aに対応するOKボタン514-1と、目の大きさ選択ボタン512-1と、
2人目の被写体である被写体Bに対応するOKボタン514-2と、目の大きさ選択ボタン512-2と、
を含み、
被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択し、OKボタン514-1によりその選択を決定させ、
被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択し、OKボタン514-2によりその選択を決定させることができ、
目の大きさを選択・決定可能な2人のうち、先に選択・決定の操作をした被写体に対応する目の大きさ選択ボタンおよびOKボタンが、3人目の被写体に対応するようになり、被写体3人それぞれが、目の大きさを選択・決定することができる』
ことが記載されている。

(キ)まとめ
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。引用発明の各構成については、以下、構成a?構成fと称する。

(引用発明)
(a)利用者を被写体として撮影を行うカメラと、
(b)カメラによりリアルタイムに取り込まれている画像や、撮影画像を用いて作成された合成画像、GUI画像などを表示するライブビューモニタを備えるタッチパネルモニタであって、利用者が、自分自身の指等を用いてこのタッチパネルモニタにタップすると、その位置情報を制御部に供給するタッチパネルモニタと、
(c)利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う撮影処理部であって、コース選択制御部、撮影画像取得部、画像処理制御部から構成される撮影処理部を有する制御部と、を備え、
(d)コース選択制御部が、タッチパネルモニタに、撮影コース選択画面を表示させ、利用者に撮影コースを選択させ、撮影コースには、男女2人組の利用者向けの撮影処理が行われるカップルコースと、同性2人組や3人以上のグループの利用者向けの撮影処理が行われるフレンドコースがあり、
(e)フレンドコース撮影処理において、
(e1)コース選択制御部が、ためし撮影実行画面に、ためし撮影の準備を促すメッセージを表示させ、利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得て、
(e2)コース選択制御部が、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)として、目の大きさ選択画面をタッチパネルモニタに表示し、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付け、
(e3)撮影画像取得部が、カメラを制御して、所定回数(合計6回)の撮影を行い、画像処理制御部が、撮影画像における被写体それぞれに対して、選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行い、
(e4)3人で撮影作業を行う場合に、目の大きさ選択画面は、
ためし撮影の結果得られた被写体の静止画像と、
1人目の被写体である被写体Aに対応するOKボタン514-1と、目の大きさ選択ボタン512-1と、
2人目の被写体である被写体Bに対応するOKボタン514-2と、目の大きさ選択ボタン512-2と、
を含み、
被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択し、OKボタン514-1によりその選択を決定させ、
被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択し、OKボタン514-2によりその選択を決定させることができ、
(e5)目の大きさを選択・決定可能な2人のうち、先に選択・決定の操作をした被写体に対応する目の大きさ選択ボタンおよびOKボタンが、3人目の被写体に対応するようになり、被写体3人それぞれが、目の大きさを選択・決定することができる
(f)撮影や編集等の作業を利用者に遊戯サービスとして行わせる写真シール作成装置。

イ 引用文献2に記載された技術
上記(4-2)イ(ア)?(オ)によれば、引用文献2には、以下の技術が記載されていると認められる。

(文献2技術A)
「複数の顔の各々に対して所望の補正をする写真シール販売装置の画像補正装置において、
複数種類の補正処理を選択するための選択メニューを表示させる技術。」

(文献2技術B)
「複数の顔の各々に対して所望の補正をする写真シール販売装置の画像補正装置において、
顔検出部が、入力画像に含まれる複数の顔の各々の特徴量を検出し、
入力画像に含まれる顔の特徴量と、顔情報記憶部に記憶された顔の特徴量とが一致するか否かを判定し、
顔の特徴量が一致しないと判定された場合には、顔情報記憶部に顔情報を記憶し、
ユーザにより選択された補正パラメータ設定情報を顔情報記憶部に記憶することにより、顔情報記憶部に記憶された顔情報の各々に最新の補正パラメータが記憶されるようにし、
顔の特徴量が一致すると判定された場合に、顔情報記憶部に記憶された補正パラメータに基づいて、入力画像の顔を補正することにより、
入力画像に含まれるある顔に対して、一度補正パラメータが設定されれば、その後の入力画像に含まれる同一の顔に対して、ユーザにより補正パラメータが設定されなくとも、設定された補正処理が自動的になされることとする技術。」

(4-4)対比
次に、本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 構成Eについて
構成fの「撮影や編集等の作業を利用者に遊戯サービスとして行わせる写真シール作成装置」は「遊戯用撮影装置」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明は、「遊戯用撮影装置」である点で一致する。

イ 構成Aについて
構成aの「利用者を被写体として撮影を行うカメラ」は、「利用者を撮影する撮影手段」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明は、「利用者を撮影する撮影手段」を備える点で一致する。

ウ 構成Bについて
構成bの「タッチパネルモニタ」が備える「カメラによりリアルタイムに取り込まれている画像や、撮影画像を用いて作成された合成画像、GUI画像などを表示するライブビューモニタ」は、「撮影画像を表示する表示手段」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明は、「撮影画像を表示する表示手段」を備える点で一致する。

エ 構成Cについて
構成bの「利用者が、自分自身の指等を用いてこのタッチパネルモニタにタップすると、その位置情報を制御部に供給するタッチパネルモニタ」が、構成bの「ライブビューモニタ」の表示画面に対して操作入力を行うものであることは当業者にとって明らかである。
よって、構成bの「タッチパネルモニタ」は、上記ウの「表示手段」の「表示画面」に対して「利用者が操作入力を行うための入力手段」に相当する構成を備えているといえる。
したがって、本願補正発明と引用発明は、「表示手段の表示画面に対して利用者が操作入力を行うための入力手段」を備える点で一致する。

オ 構成Dについて
構成cの「制御部」が、「利用者を撮影する等の写真シール作成ゲームの撮影作業の工程に関する処理を行う」ために、上記イの「撮影手段」、上記ウの「表示手段」及び上記エの「入力手段」を制御する必要があることは当業者にとって明らかであるから、構成cの「制御部」は、上記イ?エの「各手段」を制御する「制御手段」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明は、「前記各手段を制御する制御手段」を備える点で一致する。

カ 構成D1について
構成e1の「ためし撮影」、「顔画像」は、それぞれ、構成D1の「識別撮影」、「取得画像」に相当するから、構成e1の「コース選択制御部が、ためし撮影実行画面に、ためし撮影の準備を促すメッセージを表示させ、利用者の顔をためし撮影することで顔画像を得る」ことは、「識別撮影により取得画像を取得する処理」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「制御手段」は、「識別撮影により取得画像を取得する処理」を実行する点で共通する。
ただし、「識別撮影」が、本願補正発明では、「利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる」のに対し、引用発明では、「利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる」ものではない点で両発明は相違する。
また、本願補正発明は、「識別撮影により取得した取得画像に含まれる、利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理」を実行するのに対し、引用発明は、当該識別処理を実行していない点で両発明は相違する。

キ 構成D2について
構成e2の「利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択」は「タッチパネルモニタ」における操作入力に基づくものと解される。
また、構成e2の「利用者」には、構成e4の「被写体A」及び「被写体B」が含まれるといえる。
そして、構成e2の「画像処理」は、構成D2の「補正処理」に相当する。
よって、構成e2の「コース選択制御部が、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)として、目の大きさ選択画面をタッチパネルモニタに表示し、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付ける」ことは、「利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための操作入力に基づいて、第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「制御手段」は、「利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための操作入力に基づいて、第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理」を実行する点で一致する。

ク 構成D3について
構成e3の「所定回数(合計6回)の撮影」は、上記カの「識別撮影」以外の撮影であり、構成e3の「被写体」には、構成e4の「被写体A」及び「被写体B」が含まれるから、構成e3の「撮影画像取得部が、カメラを制御して、所定回数(合計6回)の撮影を行い、画像処理制御部が、撮影画像における被写体それぞれに対して、選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行う」ことは、「識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の撮影画像に含まれる利用者の画像のうち、第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理」といえる。

したがって、本願補正発明と引用発明の「制御手段」は、「識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の撮影画像に含まれる利用者の画像のうち、第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理」を実行する点で共通する。
ただし、「画像処理」について、本願補正発明は、「前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す」のに対し、引用発明は、当該補正処理を施さない点で、両発明は相違する。

ケ 構成D4、D5について
構成e2の「利用者」には、構成e4の「被写体A」及び「被写体B」が含まれるから、構成e2の「コース選択制御部が、撮影画像に対して行われる画像処理の種類を選択させるための選択画面(GUI)として、目の大きさ選択画面をタッチパネルモニタに表示し、利用者毎の画像処理の選択、すなわち、目の大きさの選択を受け付ける」ことは、「第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する操作入力と、第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記入力と、を個別に行うための操作画面を、表示手段に表示させる」ことといえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「制御手段」は、「決定処理」において、「第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する操作入力と、第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記入力と、を個別に行うための操作画面を、表示手段に表示させる」点で一致する。

コ 構成D5-1について
構成e4の「被写体」には、「被写体A」及び「被写体B」が含まれるから、構成e4の「ためし撮影の結果得られた被写体の静止画像」は、「第1及び第2の利用者の画像」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「操作画面」は、「第1及び第2の利用者の画像」を含む点で一致する。

サ 構成D5-2について
構成e4の「1人目の被写体である被写体Aに対応するOKボタン514-1」と、「目の大きさ選択ボタン512-1」は、それぞれ、「第1の利用者用の第1の操作ボタン」、「第1の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタン」といえ、構成e4の「1人目の被写体である被写体Aに対応するOKボタン514-1」と、「目の大きさ選択ボタン512-1」を含む画面は「第1の選択画面」といえる。
また、構成e4の「被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択し、OKボタン514-1によりその選択を決定させる」ことは、「OKボタン514-1によりその選択を決定させる」までは、「被写体Aに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-1により目の大きさを選択」できることといえるから、「第1の操作ボタンが操作されるまで第1の選択ボタンによる選択を許容する」ことといえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「操作画面」は、「第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容する前記第1の選択画面」を含む点で一致する。
ただし、「第1の選択ボタン」で選択する補正処理の内容が、本願補正発明では、「複数種類」であるのに対し、引用発明では、複数種類でない点で両発明は相違する。

シ 構成D5-3について
構成e4の「2人目の被写体である被写体Bに対応するOKボタン514-2」と、「目の大きさ選択ボタン512-2」は、それぞれ、「第2の利用者用の第2の操作ボタン」、「第2の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタン」といえ、構成e4の「2人目の被写体である被写体Bに対応するOKボタン514-2」と、「目の大きさ選択ボタン512-2」を含む画面は「第2の選択画面」といえる。
また、構成e4の「被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択し、OKボタン514-2によりその選択を決定させる」ことは、「OKボタン514-2によりその選択を決定させる」までは、「被写体Bに対応する利用者は、目の大きさ選択ボタン512-2により目の大きさを選択」できることといえるから、「第2の操作ボタンが操作されるまで第2の選択ボタンによる選択を許容する」ことといえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「操作画面」は、「第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容する前記第2の選択画面」を含む点で一致する。
ただし、「第2の選択ボタン」で選択する補正処理の内容が、本願補正発明では、「複数種類」であるのに対し、引用発明では、複数種類でない点で両発明は相違する。

ス 構成D6について
構成e5の「3人目の被写体」は、「第1及び第2の利用者以外の利用者」といえ、構成e5の「目の大きさを選択・決定可能な2人のうち、先に選択・決定の操作をした被写体に対応する目の大きさ選択ボタンおよびOKボタンが、3人目の被写体に対応するようになり、被写体3人それぞれが、目の大きさを選択・決定することができる」ことにより、構成e3の「撮影画像取得部が、カメラを制御して、所定回数(合計6回)の撮影を行い、画像処理制御部が、撮影画像における被写体それぞれに対して、選択された画像処理(目サイズ変更処理)を行う」際に、3人目の被写体に対しても選択された画像処理(目サイズ変更処理)が行われるのであるから、構成e3は、「第1及び第2の利用者以外の利用者が撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施す」といえる。
したがって、本願補正発明と引用発明の「制御手段」は、「第1及び第2の利用者以外の利用者が撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施す」点で一致する。

この点に関して、請求人は、平成30年7月4日付けの意見書において、「しかし、引用文献1には、利用者の被写体A?Cではない別の被写体Dが撮影画像に含まれる場合の処理については、記載も示唆もされておりません。」と主張しているが、本件補正後の請求項1には、「第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合」としか記載されておらず、利用者が被写体A?Dの4人であるとは記載されていないから、請求人の主張は請求項の記載に基づくものではなく、採用することができない。
なお、仮に、被写体が4人以上存在するとしても、上記(4-2)ア(ク)によれば、引用文献1には、「被写体が4人以上であっても同様である」と記載されているから、本願補正発明と引用発明が、構成D6の点で相違しているとは認められない。

セ まとめ
以上によると、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
(A)利用者を撮影する撮影手段と、
(B)撮影画像を表示する表示手段と、
(C)前記表示手段の表示画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
(D)前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
(D1’)識別撮影により取得画像を取得する処理と、
(D2)前記利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための前記操作入力に基づいて、前記第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理と、
(D3’)前記識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の前記撮影画像に含まれる前記利用者の画像のうち、前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理と、を実行し、
(D4)前記制御手段は、前記決定処理において、
前記第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、前記第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、を個別に行うための操作画面を、前記表示手段に表示させ、
(D5)前記制御手段は、前記操作画面として、
(D5-1)前記第1及び第2の利用者の画像と、
(D5-2’)前記第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容する前記第1の選択画面と、
(D5-3’)前記第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容する前記第2の選択画面とを、前記表示手段に表示させ、
(D6)前記制御手段は、前記第1及び第2の利用者以外の利用者が前記撮影画像に含まれる場合に、当該利用者についても所定の補正を施すことを特徴とする
(E)遊戯用撮影装置。

[相違点]
(相違点1)「識別撮影」(構成D1)が、本願補正発明では、「利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる」のに対し、引用発明では、「利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる」ものではない点。

(相違点2)本願補正発明は、「識別撮影により取得した取得画像に含まれる、利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理」(構成D1)を実行するのに対し、引用発明は、当該識別処理を実行していない点。

(相違点3)「画像処理」(構成D3)について、本願補正発明は、「前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す」のに対し、引用発明は、当該補正処理を施さない点。

(相違点4)「第1の選択ボタン」(構成D5-2)で選択する補正処理の内容が、本願補正発明は、「複数種類」であるのに対し、引用発明では、複数種類でない点。

(相違点5)「第2の選択ボタン」(構成D5-3)で選択する補正処理の内容が、本願補正発明は、「複数種類」であるのに対し、引用発明では、複数種類でない点。

(4-5)判断
ア 相違点1について
引用発明は顔画像を得るものであるが、識別撮影の際に、顔画像が得られるようにするために、利用者に正面を向かせることは当業者が普通に行うことであるから、引用発明において、「識別撮影」を、「利用者に正面を向かせる指示」を伴って行うことは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、相違点1に係る構成は、引用発明に基いて、当業者が容易に想到し得るものである。

イ 相違点2、3について
引用発明において、構成e2で利用者毎に選択された補正処理を、構成e3で利用者それぞれに対して施すためには、構成e3で利用者を識別し、識別された利用者について選択された画像処理を施す必要があることは、当業者にとって明らかである。

上記(4-2)イで述べたとおり、引用文献2には、以下の文献2技術Bが記載されている。

(文献2技術B)
「複数の顔の各々に対して所望の補正をする写真シール販売装置の画像補正装置において、
顔検出部が、入力画像に含まれる複数の顔の各々の特徴量を検出し、
入力画像に含まれる顔の特徴量と、顔情報記憶部に記憶された顔の特徴量とが一致するか否かを判定し、
顔の特徴量が一致しないと判定された場合には、顔情報記憶部に顔情報を記憶し、
ユーザにより選択された補正パラメータ設定情報を顔情報記憶部に記憶することにより、顔情報記憶部に記憶された顔情報の各々に最新の補正パラメータが記憶されるようにし、
顔の特徴量が一致すると判定された場合に、顔情報記憶部に記憶された補正パラメータに基づいて、入力画像の顔を補正することにより、
入力画像に含まれるある顔に対して、一度補正パラメータが設定されれば、その後の入力画像に含まれる同一の顔に対して、ユーザにより補正パラメータが設定されなくとも、設定された補正処理が自動的になされることとする技術。」

ここで、「顔検出部が、入力画像に含まれる複数の顔の各々の特徴量を検出」し、「顔情報記憶部に顔情報を記憶」することは、「取得画像に含まれる、利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、利用者を個別に識別する識別処理を実行する」ことといえる。
また、「入力画像に含まれる顔の特徴量と、顔情報記憶部に記憶された顔の特徴量とが一致するか否かを判定」し、「顔の特徴量が一致すると判定された場合に、顔情報記憶部に記憶された補正パラメータに基づいて、入力画像の顔を補正する」ことは、「取得画像に含まれる利用者の特徴量とマッチングする利用者の画像に、利用者について決定された内容の補正処理を施す」ことといえる。

そして、引用発明において、利用者を識別し、識別された利用者について選択された補正処理を施すために、文献2技術Bを適用し、識別撮影により取得した取得画像に含まれる、利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理を実行し、前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施すことにより、相違点2及び3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、相違点2及び3に係る構成は、引用発明及び文献2技術Bに基いて、当業者が容易に想到し得るものである。

ウ 相違点4、5について
上記(4-2)イで述べたとおり、引用文献2には、以下の文献2技術Aが記載されている。

(文献2技術A)
「複数の顔の各々に対して所望の補正をする写真シール販売装置の画像補正装置において、複数種類の補正処理を選択するための選択メニューを表示させる技術。」

そして、引用発明と文献2技術Aは、いずれも、顔に対して選択された補正処理を行う点で共通するから、引用発明に、文献2技術Aを適用し、「第1の操作ボタン」で選択する補正処理の内容を「複数種類」とし、「第2の操作ボタン」で選択する補正処理の内容を「複数種類」とすることにより、相違点4及び5に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、相違点4及び5に係る構成は、引用発明及び文献2技術Aに基いて、当業者が容易に想到し得るものである。

(4-6)効果等について
本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。

(4-7)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年7月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年1月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A?構成Eと称する。

(本願発明)
(A)利用者を撮影する撮影手段と、
(B)撮影画像を表示する表示手段と、
(C)前記表示手段の表示画面に対して前記利用者が操作入力を行うための入力手段と、
(D)前記各手段を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
(D1)前記利用者に正面を向かせる指示を伴って行われる識別撮影により取得した取得画像に含まれる、前記利用者の顔を個別に識別するための特徴量に基づいて、第1の利用者と第2の利用者を個別に識別する識別処理と、
(D2)前記利用者の画像に施す補正処理の内容を選択するための前記操作入力に基づいて、前記第1及び第2の利用者ごとにその補正処理の内容を決定する決定処理と、
(D3)前記識別撮影以外の複数回の撮影によって得られた複数の前記撮影画像に含まれる前記利用者の画像のうち、前記取得画像に含まれる前記第1の利用者の特徴量とマッチングする前記第1の利用者の画像に、前記第1の利用者について決定した内容の補正処理を施し、前記取得画像に含まれる前記第2の利用者の特徴量とマッチングする前記第2の利用者の画像に、前記第2の利用者について決定した内容の補正処理を施す画像処理と、を実行し、
(D4)前記制御手段は、前記決定処理において、
前記第1の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、前記第2の利用者の画像に対する補正処理の内容を選択する前記操作入力と、を個別に行うための操作画面を、前記表示手段に表示させ、
(D5)前記制御手段は、前記操作画面として、
(D5-1)前記第1及び第2の利用者の画像と、
(D5-4)前記第1の利用者用の第1の操作ボタンと、前記第1の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタンとを含む第1の選択画面であって、前記第1の操作ボタンが操作されるまで前記第1の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する前記第1の選択画面と、
(D5-5)前記第2の利用者用の第2の操作ボタンと、前記第2の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタンとを含む第2の選択画面であって、前記第2の操作ボタンが操作されるまで前記第2の選択ボタンによる選択を許容しかつ前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する前記第2の選択画面とを、前記表示手段に表示させることを特徴とする
(E)遊戯用撮影装置。

2 当審における拒絶の理由1(サポート要件)についての判断
上記第1の2で述べた、平成30年4月27日付けの拒絶理由通知書で当審が通知した拒絶の理由のうちの理由1(サポート要件)について検討する。

(1)理由1(サポート要件)の内容
本願発明の構成D5、構成D5-1、構成D5-4、構成D5-5は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。

(2)発明の詳細な説明の記載
構成D5、構成D5-1、構成D5-4、構成D5-5の「操作画面」に関連して、発明の詳細な説明には、以下の記載がある。

ア「【0077】
図14は、利用者による補正態様の選択操作を受け付けるための補正選択受付画面例を示す図である。図14に示されるように、撮影操作用タッチパネル20L,20Rには、補正態様を選択するための複数の補正態様決定ボタン207と、次の画面に遷移するためのOKボタン205とが表示される。」

イ「【0104】
図19は、利用者毎の操作入力画面を含む撮影画面の一例を示す図である。図19に示されるように、撮影操作用タッチパネル20Cには、通常撮影時と同様のリアルタイムプレビュー領域201と、このリアルタイムプレビュー領域201内に2人の利用者の像と、一方の利用者の左上に当該利用者による補正態様の選択操作を受け付けるための左補正選択受付ウィンドウ209Lと、他方の利用者の右上に当該利用者による補正態様の選択操作を受け付けるための右補正選択受付ウィンドウ209Rと、OKボタン205とが表示されている。」

ウ「【0105】
これら左補正選択受付ウィンドウ209Lおよび右補正選択受付ウィンドウ209Rには、図14に示される補正選択受付画面例と同様に、それぞれ補正態様を選択するための複数の補正態様決定ボタンが表示されており、それぞれの利用者によって同様に押下され、補正態様の設定状態(パラメータの設定)を行うことができる。第1の制御部70は、上記設定が行われたウィンドウ画面に対応する利用者の像と、設定されたパラメータの値とを関連付けて記憶する。第1の制御部70は、このように各利用者の(顔の)像と、補正態様の設定状態の入力を含む操作入力とを関連づける関連付け手段として機能する。また、設定された補正態様は、当該補正選択受付画面に表示される利用者の像に必ずしも反映される必要はないが、ここでは反映されるものとする。」

エ「【図14】



オ「【図19】



(3)判断
(3-1)上記(2)イ、オによれば、発明の詳細な説明には、利用者毎の操作入力画面を含む撮影画面の一例として、撮影操作用タッチパネル20Cに、2人の利用者の像が表示されるリアルタイムプレビュー領域201と、一方の利用者による補正態様の選択操作を受け付けるための左補正選択受付ウィンドウ209Lと、他方の利用者による補正態様の選択操作を受け付けるための右補正選択受付ウィンドウ209Rと、OKボタン205とが表示されることが記載されている。

また、上記(2)ウ、エ、オによれば、発明の詳細な説明には、左補正選択受付ウィンドウ209Lおよび右補正選択受付ウィンドウ209Rには、図14に示される補正選択受付画面例と同様に、それぞれ補正態様を選択するための複数の補正態様決定ボタンが表示されることが記載されている。

また、図14に関して、上記(2)ア、エによれば、発明の詳細な説明には、補正選択受付画面例には、補正態様を選択するための複数の補正態様決定ボタン207と、次の画面に遷移するためのOKボタン205とが表示されることが記載されている。

以上によれば、構成D5の「操作画面」は、発明の詳細な説明の「撮影操作用タッチパネル20C」に表示される「利用者毎の操作入力画面」に対応し、構成D5-1の「第1及び第2の利用者の画像」は、発明の詳細な説明の「2人の利用者の像」に対応するといえる。

また、構成D5-4の「第1の選択画面」は、発明の詳細な説明の「左補正選択受付ウィンドウ」に対応し、構成D5-4の「第1の利用者用の第1の操作ボタン」は、発明の詳細な説明の「左補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」に対応し、構成D5-4の「第1の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第1の選択ボタン」は、発明の詳細な説明の「左補正選択受付ウィンドウ」内の「複数の補正態様決定ボタン」に対応するといえる。

また、構成D5-5の「第2の選択画面」は、発明の詳細な説明の「右補正選択受付ウィンドウ」に対応し、構成D5-5の「第2の利用者用の第2の操作ボタン」は、発明の詳細な説明の「右補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」に対応し、構成D5-5の「第2の利用者の画像に施す複数種類の補正処理の内容を選択するための第2の選択ボタン」は、発明の詳細な説明の「右補正選択受付ウィンドウ」内の「複数の補正態様決定ボタン」に対応するといえる。

なお、上記(2)イ、オによれば、図19の右下にも「OKボタン205」が存在しているが、当該ボタンは、「第1の選択画面」や「第2の選択画面」に含まれているわけではないから、構成D5-4の「第1の操作ボタン」、構成D5-5の「第2の操作ボタン」には対応しない。

(3-2)ここで、構成D5-4には、「前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」とあり、構成D5-5には、「前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」とある。

「画面の遷移」に関して、上記(2)ア、エによれば、発明の詳細な説明には、「撮影操作用タッチパネル20L,20R」という2つの撮影操作用タッチパネルに、次の画面に遷移するためのOKボタン205が表示されることが記載されている。

しかしながら、発明の詳細な説明には、1つの「撮影操作用タッチパネル20C」に、左補正選択受付ウィンドウと、右補正選択受付ウィンドウが表示される場合に、「左補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」及び「右補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」を操作したときに、それぞれ、どのような処理が行われるのかについては、何ら具体的な記載がなく、明らかでない。

仮に、「左補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」及び「右補正選択受付ウィンドウ」内の「OKボタン」のうちのいずれか一方が操作された場合に、「撮影操作用タッチパネル20C」の画面全体が次の別の画面に遷移するのだと解釈すると、「左補正選択受付ウィンドウ」及び「右補正選択受付ウィンドウ」のうちの、「OKボタン」が操作されていない方のウィンドウの利用者にとっては、補正処理の内容の選択をまだ終えていないうちに画面全体が次の別の画面に遷移することになる可能性があるから、このような解釈は不合理であると考えられる。

(3-3)以上によると、構成D5-4の「前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」、及び、構成D5-5の「前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

(4)請求人の主張について
なお、構成D5-4の「前記第1の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」、及び、構成D5-5の「前記第2の操作ボタンが操作されると次の別の画面に遷移する」に関して、請求人は、平成28年9月1日付けの意見書において、発明の詳細な説明の段落0077及び図14に記載がある旨を主張しているが、図14のような表示形態では、「第1及び第2の利用者の画像」と、「第1の選択画面」及び「第2の選択画面」が、一の「操作画面」をなしているわけではないから、図14のような表示形態は、構成D5、構成D5-1、構成D5-4、構成D5-5の「操作画面」として、「第1及び第2の利用者の画像」と、「第1の選択画面」と、「第2の選択画面」とを、「表示手段に表示させる」に対応するものとはいえない。

したがって、本願の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-01 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-23 
出願番号 特願2012-114559(P2012-114559)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
P 1 8・ 575- WZ (H04N)
P 1 8・ 537- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 直樹  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
坂東 大五郎
発明の名称 遊戯用撮影装置、遊戯用撮影方法およびプログラム  
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所  

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