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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) H05B
管理番号 1347200
審判番号 不服2018-4883  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-10 
確定日 2019-01-07 
事件の表示 特願2013-238405号「ヒータユニット及びステアリングホイール」拒絶査定不服審判事件〔平成26年8月7日出願公開、特開2014-143175号、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月22日(優先権主張 平成24年12月25日)に出願した特願2013-107821号の一部を平成25年11月19日に新たな出願としたものであって、平成29年1月19日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年4月12日に意見書が提出され、平成29年4月28日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年7月7日に手続補正書及び意見書が提出され、平成29年12月22付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-5に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術(引用文献3)に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平10-284220号公報
2.特開2011-121477号公報
3.特開2009-72446号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成29年7月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
高分子発泡体からなる基材と、該基材上に配設されるコード状ヒータとからなるヒータユニットであって、
上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所の厚さが、該コード状ヒータの形状に沿うように薄くなっており、それによって平坦な形状となっており、
上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所が、他の箇所よりも高密度化されていることを特徴とするヒータユニット。
【請求項2】
上記コード状ヒータが、最外層に熱融着部が形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のヒータユニット。
【請求項3】
上記コード状ヒータが、扁平した形状となっていることを特徴とする請求項2記載のヒータユニット。
【請求項4】
請求項1?請求項3何れか記載のヒータユニットと、ホイール芯材と、被覆材とからなり、上記ホイール芯材と上記被覆材の間に上記ヒータユニットが設置されるステアリングホイール。
【請求項5】
高分子発泡体からなる基材と、コード状ヒータとからなるヒータユニットの製造方法であって、上記基材上に、所定のパターン形状で上記コード状ヒータを配設し、上記基材を平板によって加熱加圧することで、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所を、他の箇所よりも高密度化し、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所の厚さを、該コード状ヒータの形状に沿うように薄くし、それによって平坦な形状のヒータユニットとするヒータユニットの製造方法。」

第4 引用文献、引用発明
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の技術事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様である。)。
「【0002】
【従来の技術】従来の電気カーペット等の電気採暖具は、一般的には図6に示す様にフェルト等の繊維質の断熱材1上にコード状のチュビングヒータの発熱体2を均一に配設し、その上に熱融着シート3、不織布等の表布4を配設して熱プレスにより熱融着シート3を溶かしつつ断熱材1と表布4を圧着して発熱体2を固定する構成となっている。また、熱融着シート3の代わりに接着剤を使用して断熱材1と表布4を単に圧着して発熱体2を固定する構成のものもある。」
「【0004】そこで、実開昭63-55008号公報に示されているような採暖具が考えられる。この考案は、図7に示すように、架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シート5に配管溝6を設け、この配管溝6に温水等の加熱流体を流通させる導管7を敷設した後、表面に被覆材8を被着した構成となっていて、導管7の代わりに発熱体2を使用すれば電気採暖具にも採用できるものである。すなわち、この実開昭63-55008号公報の中で明示されている発泡シート5が、上記に述べた従来例の断熱材1に当たり、被覆材8が表布4に対応することになる。したがって、この構成であれば、発熱体の浮きの問題は改善される。」
「図7


したがって、上記引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。
「架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シートに配管溝を設け、この配管溝に温水等の加熱流体を流通させる導管を敷設した電気カーペット。」(以下「引用発明」という。)
「架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シートに配管溝を設け、この配管溝に温水等の加熱流体を流通させる導管を敷設する電気カーペットの製造方法。」(以下「引用製造方法発明」という。)

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、例えば、自動車、船舶などに使用されるステアリングホイールのホイール部を暖めるために使用されるヒータ装置に係り、特に、コード状ヒータの断線を防止でき、昇温特性に優れ、均一な加熱が可能なものに関する。」
「【0012】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態におけるコード状ヒータ1の構成から説明する。本実施の形態におけるコード状ヒータ1は図4に示すような構成になっている。まず、外径約0.2mmの芳香族ポリアミド繊維束からなるヒータ芯3の外周に、素線径0.08mmの錫銅合金線からなる導体素線5aを7本引き揃え、ピッチ1mmで螺旋状に巻装して発熱線7を構成する。なお、導体素線5aには、ポリウレタンからなる絶縁被膜5bが厚さ約0.005mmで被覆されている。この外周に、熱融着部9としての難燃剤が配合されたポリエチレン樹脂が0.25mmの厚さで押出・被覆されている。コード状ヒータ1はこのような構成になっていて、その仕上外径は0.9mmである。
【0013】
次に、上記構成をなすコード状ヒータ1を接着・固定する基材10の構成について説明する。本実施例における基材10は、見かけ密度50kg/m3、(JIS K7222準拠)、硬さ11.77(JIS K6400-2準拠)の発泡ウレタン樹脂からなる。
【0014】
次に、上記コード状ヒータ1を基材10上に所定のパターン形状で配設して接着・固定する構成について説明する。図5はコード状ヒータ1を基材10上に接着・固定させるためのホットプレス式ヒータ製造装置13の構成を示す図である。まず、ホットプレス治具15があり、このホットプレス治具15上には複数個の係り止め機構17が設けられている。上記係り止め機構17は、図6に示すように、ピン19を備えていて、このピン19はホットプレス冶具15に穿孔された孔21内に下方より差し込まれている。このピン19の上部には係り止め部材23が軸方向に移動可能に取り付けられていて、コイルスプリング25によって常時上方に付勢されている。そして、図6中仮想線で示すように、これら複数個の係り止め機構17の係り止め部材23にコード状ヒータ1を引っ掛けながら所定のパターン形状にて配設することになる。
【0015】
図5に戻って、上記複数個の係り止め機構17の上方にはプレス熱板27が昇降可能に配置されている。すなわち、コード状ヒータ1を複数個の係り止め機構17の係り止め部材23に引っ掛けながら所定のパターン形状にて配設し、その上に基材10を置く。その状態で上記プレス熱板27を降下させてコード状ヒータ1と基材10に、例えば、230℃/5秒間の加熱・加圧を施すものである。それによって、コード状ヒータ1の熱融着層9が融着することになり、その結果、コード状ヒータ1と基材10が接着・固定されることになる。尚、上記プレス熱板27の降下による加熱・加圧時には複数個の係り止め機構17の係り止め部材23はコイルスプリング25の付勢力に抗して下方に移動するものである。」

したがって、引用文献2には、「コード状ヒータの上に基材をおき、その状態でプレス熱板を降下させてコード状ヒータと基材に加熱・加圧を施しコード状ヒータの熱融着層が融着することによりコード状ヒータと基材を接着・固定すること。」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された引用文献3には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、例えば、車両用シートに装着されて暖房用として使用されるヒータユニットに係り、特に、充分な強度と良質な風合いを兼ね備えたものに関する。」
「【0014】
ここで、上記ホットプレス治具15又はプレス熱板27の所定の位置に凸部29を形成しておけば、基材11における凸部29に対応する位置にのみ強い圧縮力がかかることになる。本実施の形態1では、基材11の外周に形成された突出部11aのみに強い圧縮力がかかるようにしている。そのため、コード状ヒータ1を基材11上に接着・固定すると同時に、突出部11aが圧縮された状態となる(図6参照)。この圧縮された状態の部分は、単位体積当たりの繊維量が多い、高密度化された状態となり、圧縮前と比較して引張強度等が非常に高い状態となる。但し、このような高密度化された箇所は、固く風合いの悪い状態にもなってしまう。そのため、特許文献5のようにカレンダー加工を施すと、基材11全体を圧縮して高密度化することになり、基材11全体が固く風合いの悪い状態にもなってしまう。そのため、例えば、上記の突出部11aのみなど、高い引張強度等が必要な箇所のみを選択して高密度化することが必要となる。」

したがって、引用文献3には、「ホットプレス治具又はプレス熱板の所定の位置に凸部を形成し、基材における凸部に対応する位置にのみ強い圧縮力をかけ、基材の外周に形成された突出部のみに強い圧縮力がかかるようにし、突出部が圧縮された状態となり、この圧縮された状態の部分は、単位体積当たりの繊維量が多い、高密度化された状態となり、圧縮前と比較して引張強度等が非常に高い状態となること。」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シート」は、各文言の意味、機能または作用等からみて、本願発明1における「高分子発泡体からなる基材」に相当する。
引用発明における「電気カーペット」は、図7から一体的に形成されてユニットをなすヒータといえるものであるから、本願発明1における「ヒータユニット」に相当する。
引用発明における「温水等の加熱流体を流通させる導管」は、本願発明1における「コード状ヒータ」と「線状の加熱素子」の限りで一致する。
引用発明における「発泡シートに配管溝を設け、この配管溝に温水等の加熱流体を流通させる」態様は、図7から導管7が、設けられた配管溝6に設置され、導管7に沿う発泡シート5が薄くなっていて、それにより表面が平坦な形状となっているので、本願発明1における「基材上」に「コード状ヒータ」が配設され、「基材における上記コード状ヒータが配設される箇所の厚さが、該コード状ヒータの形状に沿うように薄くなって」いる態様と、「基材における線状の加熱素子が配設される箇所の厚さが該加熱素子の形状に沿うように薄くなっており、それによって平坦な形状となって」いることの限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「高分子発泡体からなる基材と、該基材上に配設される線状の加熱素子とからなるヒータユニットであって、
上記基材における上記線状の加熱素子が配設される箇所の厚さが、該線状の加の熱素子の形状に沿うように薄くなっており、それによって平坦な形状となっているヒータユニット。」
(相違点)
相違点1
線状の加熱素子に関して、本願発明1は、「コード状ヒータ」であるのに対して、引用発明は、「温水等の加熱流体を流通させる導管」である点。
相違点2
本願発明1は、「基材における上記コード状ヒータが配設される箇所が、他の箇所よりも高密度化されている」のに対して、引用発明はそのような構成となっているか不明な点。

(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、引用文献1ないし3には、「導管が配設される箇所」を他の箇所よりも高密度化することについて記載も示唆もされていないし、また、そのような構成を採用することが技術常識ともいえないから、当業者といえども、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成を採用することが容易に想到し得たとすることはできない。そして、本願発明1は、相違点2に係る構成を備えることによって、「これにより、ヒータユニット31は、コード状ヒータ1が配設される箇所においても凹凸がなく、平坦な形状となる。また、このようにして得られたヒータユニット31は、基材10が圧縮され高密度になっているため、機械的強度を向上させることができる。」(【0015】)という効果を奏するものである。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4は、本願発明1の構成をすべて含むものであり、本願発明1が上記「1.(2)相違点についての判断」で示したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本願発明2ないし4も、同様に引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明5について
(対比)
本願発明5と引用製造方法発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用製造方法発明における「架橋ポリエチレン発泡体よりなる発泡シート」は、文言の意味、機能またはその作用からみて、本願発明5における「高分子発泡体からなる基材」に相当する。
引用製造方法発明における「電気カーペット」は、図7から一体的に形成されてユニットをなすヒータといえるものであるから、本願発明5における「ヒータユニット」に相当する。
引用製造方法発明における「温水等の加熱流体を流通させる導管」は、本願発明5における「コード状ヒータ」と「線状の加熱素子」の限りで一致する。
引用製造方法発明における「配管溝を設け、この配管溝に温水等の加熱流体を流通させる導管を敷設」する態様は、本願発明5における「基材上に、所定のパターン形状で上記コード状ヒータを配設」する態様と「基材上に所定のパターン形状で上記線状の加熱素子を配設」する態様の限りで一致する。
したがって、本願発明5と引用製造方法発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「高分子発泡体からなる基材と、コード状ヒータとからなるヒータユニットの製造方法であって、上記基材上に、所定のパターン形状で上記線状の加熱素子を配設したヒータユニットの製造方法。」
(相違点)
相違点3
線状加熱素子に関して、本願発明5は、「コード状ヒータ」であるのに対して、引用製造方法発明は、「温水等の加熱流体を流通させる導管」である点。
相違点4
本願発明5は、「基材を平板によって加熱加圧することで、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所を、他の箇所よりも高密度化し、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所の厚さを、該コード状ヒータの形状に沿うように薄くし、それによって平坦な形状のヒータユニット」としている工程を備えているのに対して、引用製造方法発明は、そのような工程を備えているか不明な点。
(2)相違点についての判断
上記相違点4について検討すると、上記「第4 1.」、「第4 2.」、「第4 3.」のとおり、引用文献1ないし3には、「基材を平板によって加熱加圧することで、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所を、他の箇所よりも高密度化し、上記基材における上記コード状ヒータが配設される箇所の厚さを、該コード状ヒータの形状に沿うように薄くし、それによって平坦な形状のヒータユニット」とすることは記載されていないし、また、そのような構成を採用することが技術常識ともいえないから、当業者といえども、引用製造方法発明において、相違点4に係る本願発明5の構成を採用することが容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、本願発明5は、当業者であっても、引用製造方法発明並びに引用文献2及び3に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-11-22 
出願番号 特願2013-238405(P2013-238405)
審決分類 P 1 8・ 121- WYF (H05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 光治  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 莊司 英史
井上 哲男
発明の名称 ヒータユニット及びステアリングホイール  
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