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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1347319
審判番号 不服2017-18514  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-13 
確定日 2019-01-08 
事件の表示 特願2014-520775「天窓の外観を提供するための光学素子、照明システム、及び照明器具」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月24日国際公開,WO2013/011481,平成26年 8月25日国内公表,特表2014-521124,請求項の数(11)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件拒絶査定不服審判事件に係る出願(以下,「本件出願」という。)は,2012年7月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年7月20日,欧州特許庁)を国際出願日とする外国語特許出願であって,平成26年2月13日に国際出願日における明細書及び請求の範囲の翻訳文が提出され,平成27年7月15日に手続補正書が提出され,平成28年4月27日付けで拒絶理由が通知され,同年7月29日に意見書及び手続補正書が提出され,同年12月26日付けで拒絶理由が通知され,平成29年3月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年8月29日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がなされたものである。
本件拒絶査定不服審判は,これを不服として,同年12月13日に請求されたものであって,当審において,平成30年9月5日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年11月7日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本件出願の請求項1ないし11に係る発明
本件出願の請求項1ないし11に係る発明は,平成30年11月7日提出の手続補正書によって補正された請求項1ないし11に記載された事項によって特定されるものと認められるところ,当該請求項1ないし11の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
発光面を含む光源の前で使用するための光学素子であって,直射日光及び青みを帯びた発光を含む天窓の外観を取得するための前記光学素子は,
- 前記発光面と平行に配置されることになるプレートであって,前記プレートが,不透明で,複数のホールを含み,前記プレートが,前記発光面と平行に配置されることになる反射面を更に含み,前記反射面が,青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である,プレートと,
- 前記光源から受け取られた光の実質的に特定の方向における発光角度を有する部分を透過させることにより,前記特定の方向におけるコリメートされた光ビームを得るための複数のコリメート手段であって,前記コリメート手段のそれぞれ1つが,前記プレートにおける前記複数のホールの1つを含む,複数のコリメート手段と,
を含む光学素子。
【請求項2】
前記プレートが,
- 前記光源から光を受け取るための第1の側面と,
- 前記第1の側面の反対側の第2の側面であって,前記第2の側面は周囲に面し,且つ青色周囲光反射を得るために,周囲光を反射するための前記反射面である第2の側面と,
を含む,請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記ホールが,前記コリメート手段を形成するための,前記プレートを通る光透過チャネルであり,前記ホールが,前記特定の方向において前記第1の側面から前記第2の側面の方へ延びる,請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記光透過チャネルが,前記プレートの面であり,且つ前記光透過チャネルの内部に面する壁を有し,前記光透過チャネルの前記壁の少なくとも一部が,前記特定の方向に対して比較的大きな発光角度で青色拡散発光を得るために,前記所定のスペクトル範囲において反射性である,請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記プレートと平行に配置され,且つ隙間によって前記プレートから分離された更なるプレートを含み,
- 前記プレート及び前記更なるプレートのそれぞれが,複数のホールを含み,
- 前記プレートの多数のホールが,前記更なるプレートにおける最も近いホールとペアを形成し,前記ペアの前記ホールの中心点を通るラインが,前記ペアの仮想中心軸を形成し,ペアの全ての仮想中心軸が,平行に配置され,前記ホールのペアが,ペアの前記仮想中心軸の方向におけるコリメートされた光ビームを得るために,前記光源から受け取られた前記光の一部をコリメートするように配置され,各ホールのペアが,前記コリメート手段の1つを形成し,
- 前記更なるプレートが,更なる反射面を含み,前記プレートの前記反射面が,前記更なるプレートの前記更なる反射面に面する,請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
- 請求項1に記載の光学素子と,
- 光出射窓及び光入射窓を含む光導波路であって,前記光出射窓が,前記光学素子に面し,且つ前記光学素子の方へ光を放射するように配置され,前記光入射窓が,光源から光を受け取るように配置される光導波路と,
を含む照明システム。
【請求項7】
前記光導波路の前記光出射窓の反対側の前記光導波路の側面に配置された反射器を含み,
- 前記光導波路が,光出力結合構造を含み,前記プレートの多数のホールが,最も近い光出力結合構造とペアを形成し,前記ホールの中心点及び前記光出力結合構造の中心点を通るラインが,前記ペアの仮想中心軸を形成し,前記ペアの全ての仮想中心軸が,前記ペアの前記仮想中心軸の方向におけるコリメートされた光ビームを得るために,前記光源から受け取られた前記光の一部をコリメートするように平行に配置され,各ペアが,前記コリメート手段の1つを形成し,
- 前記プレートの前記反射面が,前記コリメートされた光ビームの発光角度の外側の発光角度で青色発光を得るために,前記光導波路の前記光出射窓に面する,請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記光導波路に面する前記光学素子の側面の反対側における前記光学素子のもう一方の側面に配置された更なる光導波路を含み,前記更なる光導波路が,前記光学素子の前記プレートと平行に配置された2つの平行面を有し,
- 前記プレートの前記反射面が,前記更なる光導波路に面し,
- 前記更なる光導波路が,前記更なる光導波路の前記平行面の少なくとも1つのサブエリアに光出力結合構造を含み,前記サブエリアが,前記コリメートされた光ビームが透過される際に通る,前記更なる光導波路の前記平行面の少なくとも1つにおけるサブエリアと別個であり,前記光出力結合構造が,前記プレートの前記反射面の方へ光を放射するように配置される,請求項6に記載の照明システム。
【請求項9】
- 請求項1に記載の光学素子と,
- 光出射窓として配置され,且つ発光ダイオードを含む光透過チューブを含むTLedであって,前記光学素子の方へ光を放射するように配置され,且つ仮想平面に配置されたTLedと,
を含む更なる照明システム。
【請求項10】
前記TLedと前記光学素子との間に配置されたディフューザを更に含む,請求項9に記載の更なる照明システム。
【請求項11】
請求項1に記載の光学素子を含むか,請求項6に記載の照明システムを含むか,又は請求項9に記載の更なる照明システムを含む照明器具。」(以下,請求項1ないし11に係る発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明11」という。)


第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は,概略次のとおりである。
本件出願の請求項1ないし3,6,7,9ないし11に係る発明は,次のとおり,その優先権主張の日より前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1ないし3,11に係る発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2等に示される周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,請求項6,7に係る発明は,引用文献1に記載された発明,引用文献2等に示される周知技術及び引用文献3等に示される周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,請求項9ないし11に係る発明は,引用文献1に記載された発明,引用文献2等に示される周知技術,引用文献3等に示される周知技術及び引用文献4等に示される周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及び例示された周知例は次のとおりである。
引用文献1:特開昭59-71026号公報
引用文献2:特開2010-176031号公報
引用文献3:国際公開第2010/052605号
引用文献4:特開2006-126843号公報


第4 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は,概略次のとおりである。
本件出願は,特許請求の範囲の記載が次の点で,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に記載された「直射日光効果又は青みを帯びた発光を含む天窓の外観を取得するための前記光学素子」なる発明特定事項は,「直射日光効果」なる文言がいかなる概念を特定したものであるのか不明であり,また,前記発明特定事項が,「直射日光」を通す天窓の外観と「青みを帯びた発光」を通す天窓の外観のいずれかを呈するとの意味であるのか,それとも,「直射日光」と「青みを帯びた光」とを通す天窓の外観を呈するとの意味であるのかを,明確に把握できない。


第5 原査定の拒絶の理由についての判断
1 引用例
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
引用文献1は,本件出願の優先権主張の日より前に頒布された刊行物であるところ,当該引用文献1には次の記載がある。(下線は,後述する引用発明の認定に特に関係する箇所を示す。)
(ア)「2 特許請求の範囲
(1)(審決注:丸囲み1を,「(1)」と表現した。以下,他の丸囲み数字についても同様に表現する。) 光源と被照射部の近くに設けた拡散性透光板とによりなる模擬太陽光装置において,前記拡散性透光板は一部に拡散性を有しない正透光面よりなる部分を有することを特徴とする模擬太陽光装置。
(2) 上記第1項特許請求の範囲において拡散性透光板に選択的に赤外線を反射する層を設けたことを特徴とする模擬太陽光装置。」(1ページ左下欄4ないし12行)

(イ) 「〔発明の層する技術分野〕
本発明は直射太陽光と天空光を同時に模擬できる模擬太陽光装置に関する。
〔従来技術とその問題点〕
太陽集熱器や太陽電池の試験のためには模擬太陽装置と称するものが使われるが,実際に存在する自然光のうち直射太陽光に相当する部分だけを模擬し,青空光からの光に相当する部分は模擬されないことが多い。これは青空からの光を模擬するために例えば,光源によつて半球状の天井を照明し,その反射光を用いるなどの方法は非常に大電力の光源を必要とし,実際的でないためである。
しかし,この青空光(天空光)が無い模擬太陽装置では光の当り方が実際の自然光と異なるため,太陽集熱器や太陽電池の性能の測定に誤差を生じる。したがつて比較的簡単な方法で直射太陽光と青空光が同時に得られる装置が求められている。
〔発明の目的〕
この発明は上記の要請を満足すべくなされたもので,比較的安価に直射太陽光と天空光とよりなる自然光を模擬できる模擬太陽光装置を提供しようとするものである。」(1ページ左下欄下から4行ないし右下欄下から3行)

(ウ) 「〔発明の概要〕
図に従つて本発明を説明する。第一図で光源装置(1)から出た光(放射)は透光板(2)の拡散透過部(3)を通つて拡散光となつて試験素子(5)に当たる光と,透光板(2)の正透過部(4)を通つて直射光のまま試験素子(5)に当たる光に分れる。
正透過部を通つた光は直射太陽に相当する光になり,拡散透過部に当つた光は拡散光となり,青空光に相当する光となる。
光源装置(1)の投光ランプの配置間隔が第2図に示すようにRであるとき,光源装置(1)と透光板(2)の距離をa,透光板(2)と試験素子(5)の距離をbとするとき,透光板上の拡散透過部(3)の幅はR×b/aか,あるいは,その1/2か1/3など一般にnを整数としてn分の1が良い。拡散透過部分の長さがR×b/a以上であると直射光の当らない部分ができるため不適当である。単一光源の場合は光源の広がりをRにとる。
直射光と拡散光の比率は両者の面積比を変えることにより適当な比率にすることができる。
実際の青空の光の場合も,その輝度分布は太陽に近いところが強く太陽から離れたところでは弱いことが知られている。したがつて拡散透過部は完全拡散面である必要はなく,光の入射軸方向の成分が多い拡散光であつてよい。したがつて,この拡散透過部は普通のすりガラスなどでよく,透明部分とすりガラス部分を交互に配置する。
拡散板の材料はガラスや,プラスチツクで作られ,拡散面は,すりガラスや乳白ガラス,型ガラスでもよく,またプラスチツクの場合も同様に乳白プラスチツクやプリズム成形の型プラスチツクでもよい。
青空からの光は太陽光が拡散反射されたものであるが,そのスペクトルは太陽光よりもはるかに短波長成分が多く,長波長成分が少ない構成になつている。本発明の装置では拡散透過板に赤外線および長波長部可視光線を吸収する性能をもたせるか,または赤外線および長波長部可視光線を反射する層を設けることによつて,スペクトル的にも青空からの光を模擬することができる。」(1ページ右下欄下から2行ないし2ページ右上欄下から3行)

(エ) 「〔発明の効果〕
上述のように本発明によれば屋外における実際の条件とほぼ同じ条件で太陽光の効果を試験することができる装置を比較的安価,容易に得ることが可能である。拡散光のない模擬太陽光源だけによる試験では実際の屋外の太陽光により試験した結果とでは違いが出る可能性が強く,本来は本発明による装置のような天空光も含めて模擬できる装置で試験することが好ましく,本発明はそのような装置を比較的安価に,しかも理想的な方法で提供するものである。」(2ページ右上欄下から2行ないし左下欄9行)

(オ) 「4 図面の簡単な説明
第1図は本発明による装置とその使われ方を示す概念図,第2図は本発明にかかわる装置の一部をなす光源の配置例を示す正面図である。


」(2ページ左下欄下から4行ないし右下欄)

イ 引用文献1に記載された発明
技術的にみて,「赤外線および長波長部可視光線を反射する層」が,拡散透過部(3)に対応する位置に設けられ,正透過部(4)に対応する位置には設けられていないことが明らかであるから,前記ア(ア)ないし(オ)で摘記した記載から,引用文献1に,「透光板(2)」と「赤外線および長波長部可視光線を反射する層」とからなる部材に関する発明として,次の発明が記載されていると認められる。(便宜上,「赤外線および長波長部可視光線を反射する層」を「反射層」と表現し,「透光板(2)」と「反射層」とからなる部材を「模擬太陽光生成部材」と表現した。)

「直射太陽光と青空光を同時に模擬できる模擬太陽光装置において,光源装置(1)と試験素子(5)の間に配置して用いられる模擬太陽光生成部材であって,
交互に配置された拡散透過部(3)と正透過部(4)を有し,前記光源装置(1)から出て前記拡散透過部(3)を通る光は,拡散光となって青空光に相当する光として前記試験素子(5)に当たり,前記光源装置(1)から出て前記正透過部(4)を通る光は,直射光のまま直射太陽に相当する光として前記試験素子(5)に当たるよう構成された透光板(2)と,
前記拡散透過部(3)に設けられ,赤外線および長波長部可視光線を反射することによってスペクトル的に青空光を模擬するよう構成された反射層と,
からなる模擬太陽光生成部材。」(以下,「引用発明」という。)


2 本件発明1について
(1)対比
ア 引用発明の「光源装置(1)」及び「模擬太陽光生成部材」は,技術的にみて,本件発明1の「光源」及び「光学素子」にそれぞれ対応する。

イ 引用発明の「模擬太陽光生成部材」(本件発明1の「光学素子」に対応する。以下,「(1)対比」欄において,「」で囲まれた引用発明の構成に付した()中の文言は,当該引用発明の構成に対応する本件発明1の発明特定事項を表す。)は,「光源装置(1)」(光源)と試験素子(5)の間に配置して用いられるものであるところ,当該「光源装置(1)」が発光面を有することは明らかであるから,引用発明の「模擬太陽光生成部材」を,発光面を有する「光源装置(1)」の前で使用するための光学素子ということができる。
したがって,引用発明と本件発明1は,「発光面を含む光源の前で使用するための光学素子」である点で一致する。

ウ 引用発明の「模擬太陽光生成部材」(光学素子)は,光源装置(1)から出て引用発明を通る光を,「青空光に相当する光」と「直射太陽に相当する光」にして,試験装置(5)に当てるよう構成されたものであるところ,「青空光に相当する光」及び「直射太陽に相当する光」は,本件発明1の「青みを帯びた発光」及び「直射日光」にそれぞれ対応する。
そうすると,引用発明は,「直射日光及び青みを帯びた発光を含む天窓の外観を取得するための光学素子」である本件発明1と,「直射日光及び青みを帯びた発光を含む外観を取得するための光学素子」である点で共通するといえる。

エ(ア) 引用発明の透光板(2)の形状が,「プレート」状であって,「光源装置(1)」(光源)の発光面と平行に配置されることは,当業者に自明である。このことは,引用文献1の第1図から,見て取れることでもある。
また,スペクトル的に青空光を模擬するための反射層が,少なくとも透光板(2)における「光源装置(1)」(光源)の発光面との対向面に設けられていることは,技術的にみて,明らかである。
そうすると,透光板(2)と反射層とからなる「模擬太陽光生成部材」は,全体として,「光源装置(1)」(光源)の発光面と平行に配置されることになるプレート状の部材といえる。
したがって,本件発明1の「光学素子」に対応する引用発明の「模擬太陽光生成部材」は,「発光面と平行に配置されることになるプレート」である点で,引用発明の「プレート」とも共通する。
(イ) また,引用発明の「模擬太陽光生成部材」(プレート)は,交互に配置された拡散透過部(3)と正透過部(4)を有しているところ,当該「正透過部(4)」は,入射した光を拡散せずに透過する透過部である点で,本件発明1の「ホール」と共通するといえる。したがって,引用発明の「模擬太陽光生成部材」は,「入射した光を拡散せずに透過する複数の透過部を含」む点で,本件発明1の「プレート」と共通する。
(ウ) さらに,引用発明の「反射層」は,赤外線および長波長部可視光線を反射することによってスペクトル的に青空光を模擬するよう構成されているから,「青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である」といえる。そして,当該「反射層」が光源装置(1)の発光面と平行に配置されることは,前記(ア)でも述べたことから,当業者に自明である。したがって,引用発明の「反射層」は,「発光面と平行に配置されることになる」点,及び「青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である」点で,本件発明1の「反射面」と一致し,引用発明の「模擬太陽光生成部材」は,「発光面と平行に配置されることになる反射面を更に含み,前記反射面が,青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である」点で,本件発明の「プレート」と共通する。
(エ) 以上によれば,引用発明は,「発光面と平行に配置されることになるプレートであって,前記プレートが,入射した光を拡散せずに透過する複数の透過部を含み,前記プレートが,前記発光面と平行に配置されることになる反射面を更に含み,前記反射面が,青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である,プレート」を含む「光学素子」である点で,本件発明1と共通する。

オ 引用発明においては,「光源装置(1)」から入射した光のうち,各「正透過部(4)」を通過する方向の光については,拡散せずに透過し,各拡散透過部(3)を通過する方向の光については,反射層により赤外線及び長波長部可視光線を反射してスペクトル的に青空光を模擬する光(すなわち青色光)のみを拡散透過するところ,本件明細書の記載等からみて,各「正透過部(4)」を拡散せずに透過した光が,「コリメート」されているといえるから,各「正透過部(4)」(ホール)のそれぞれが,「光源装置(1)」(光源)から受け取られた光の実質的に「正透過部(4)を通過する方向」における発光角度を有する部分を透過させることにより,前記「正透過部(4)を通過する方向」におけるコリメートされた光ビームを得るための「コリメート手段」を構成しているといえる。
したがって,引用発明は,「光源から受け取られた光の実質的に特定の方向における発光角度を有する部分を透過させることにより,前記特定の方向におけるコリメートされた光ビームを得るための複数のコリメート手段であって,前記コリメート手段のそれぞれ1つが,前記プレートにおける『入射した光を拡散せずに透過する複数の透過部』の1つを含む,複数のコリメート手段」を含む点で,本件発明1と共通する。

カ 前記アないしオに照らせば,本件発明1と引用発明は,
「発光面を含む光源の前で使用するための光学素子であって,直射日光及び青みを帯びた発光を含む外観を取得するための前記光学素子は,
- 前記発光面と平行に配置されることになるプレートであって,前記プレートが,入射した光を拡散せずに透過する複数の透過部を含み,前記プレートが,前記発光面と平行に配置されることになる反射面を更に含み,前記反射面が,青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である,プレートと,
- 前記光源から受け取られた光の実質的に特定の方向における発光角度を有する部分を透過させることにより,前記特定の方向におけるコリメートされた光ビームを得るための複数のコリメート手段であって,前記コリメート手段のそれぞれ1つが,前記プレートにおける前記複数の透過部の1つを含む,複数のコリメート手段と,
を含む光学素子。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:
本件発明1の「光学素子」は,「天窓」の外観を取得するためのものであるのに対して,
引用発明の「模擬太陽光生成部材」は,そのような構成を有しているといえるのかが定かでない点。

相違点2:
本件発明1の「プレート」は,不透明で,複数の「ホール」を含むのに対して,
引用発明の「模擬太陽光生成部材」は,交互に配置された拡散透過部(3)及び「正透過部(4)」を有するものであって,本件発明1のような構成のものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて,まず相違点2について判断する。
引用文献1の記載から,引用発明が解決しようとする課題は,直射太陽光と青空光を同時に模擬できるようにすることにあると認められるところ,「透光板(2)」の拡散透過部(3)は,反射層を透過してきた「赤外線及び長波長部可視光線」以外の光(すなわち青色光)が通過する際に,これを拡散することによって,青空光を模擬した光とするためのものである。
しかるに,引用発明の「透過板(2)」に代えて,不透明で複数のホールを含むプレート状の部材を採用すると,当該プレート状の部材における不透明な部位に反射層を設けることとなるが,当該構成では,複数のホールによって,直射太陽光を模擬することはできるものの,反射層を透過した「赤外線及び長波長部可視光線」以外の光(すなわち青色光)は不透明なプレート状の部材により遮断されてしまい,拡散透過できないのであるから,青空光を模擬することができなくなる。
そうすると,引用発明を,相違点2に係る本件発明1の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることは,引用発明の目的に反することであって,当該構成の変更には阻害要因があるといわざるを得ない。
また,原査定で周知例として例示された引用文献2ないし4を含め,本件出願の優先権主張の日より前に,青色発光を得るために所定のスペクトル範囲において光反射性である反射面と複数のホールとを有する不透明なプレートによって,直射太陽光と青空光を同時に模擬できるようにする技術が知られていたことを示す証拠も見当たらない。
以上によれば,他の相違点について判断するまでもなく,本件発明1は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本件発明2ないし11について
請求項2ないし11は,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件発明2ないし11は,本件発明1の発明特定事項を全て有し,これに限定を加えたものに該当するところ,本件発明1が,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない以上,本件発明2ないし11も,同様の理由で,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 当審拒絶理由についての判断
平成30年11月7日提出の手続補正書による補正によって,当審拒絶理由は解消された。


第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本件出願を拒絶することはできない。
また,他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-12-11 
出願番号 特願2014-520775(P2014-520775)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
P 1 8・ 537- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 博一  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 清水 康司
宮澤 浩
発明の名称 天窓の外観を提供するための光学素子、照明システム、及び照明器具  
代理人 特許業務法人M&Sパートナーズ  
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