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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1347373
審判番号 不服2017-11138  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-27 
確定日 2018-12-26 
事件の表示 特願2015-209833「発光素子への光学要素の結合」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 3日出願公開、特開2016- 29736〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特願2005-356915号(パリ条約による優先権主張2004年11月12日、米国)の一部を平成24年7月19日に新たな特許出願(特願2012-160350号)とし、その一部を平成26年6月13日に平成に新たな特許出願(特願2014-122091号)とし、さらに、その一部を平成27年10月26日に新たな特許出願としたものであって、平成28年8月1日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年2月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年4月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年7月27日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明(本願発明の認定)
本願の請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「サブマウントと、前記サブマウントに装着された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の各々の表面に接合した単一の光学要素と、を有し、前記サブマウント及び前記光学要素は、略同じ熱膨張係数を有する材料で形成されている、装置。」

第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1から7に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2002-141556号公報
引用文献2.国際公開第03/100873号
引用文献3.特開2004-320024号公報
引用文献4.国際公開第2004/082036号
引用文献5.特開2004-247150号公報
引用文献6.特表2004-517502号公報
引用文献7.特開2004-207688号公報

第4 引用文献
1.引用文献1の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
ア.引用文献1の段落【0001】には、「本発明は、広くは発光ダイオードに関し、より詳細には高められた光抽出効率を有する発光ダイオードに関する。」と記載されている。

イ.引用文献1の段落【0053】には、「図6および図7に示した「フリップチップ」実施形態では、接点14および接点16は、LEDダイ4の同一側に配置される。光学素子2は、LEDダイ4において接点14および16の反対側に結合されるので、・・・(中略)・・・。図6に示した実施形態では、光学素子2は、結合層6を用いて透明上層34に結合される。」と記載されている。

ウ.引用文献1の図6からは、LEDダイ4の上に、結合層6を用いて単一の光学素子2が結合されていることが把握できる。

エ.引用文献1の段落【0030】には、「透明結合層6がLEDダイ4に付与された後、光学素子2のほぼ平坦な表面22は結合層6へ向けて配置される。次いで、結合層6の温度は、ほぼ室温と約1000℃との間の温度にまで上昇され、光学素子2とLEDダイ4は、約1秒?約6時間の間、約1ポンド/平方インチ(psi)?約6000psiの圧力で、一緒に押付けられる。・・・(中略)・・・、例えば、光学素子2と結合層6(LEDダイ4上に形成された)との間にもたらされた接合によって、光学素子2がLEDダイ4に結合されると信じている。」と記載されている。

オ.引用文献1の段落【0033】には、「光学素子2と、該光学素子2が結合されるLEDダイ4の熱膨張係数の間の不整合が大きいと、加熱または冷却に際して光学素子2がLEDダイ4から分離することが起こりうる。また、熱膨張係数をほぼ整合させることにより、結合層6および光学素子2によりLEDダイ4に引起される応力が低減される。よって、一実施例では、光学素子2は、光学素子2が結合されるLEDダイ4の熱膨張係数にほぼ整合する熱膨張係数を有する材料により形成される。」と記載されている。

カ.引用文献1の段落【0047】には、「他の実施例では、LEDダイ4は、はんだ、または、銀を有しかつ高音で劣化するダイ接着エポキシを用いて、図示しないサブマウントに結合される。」と記載されている。なお、該記載中の「高音」は「高温」の誤記と認められる。

(2)引用発明
上記アからウに摘記した実施形態において、LEDダイ4は、結合層6により光学素子2が結合されているものであって、上記エ及びオの記載事項を参酌すれば、光学素子2は、光学素子2が結合されるLEDダイ4の熱膨張係数にほぼ整合する熱膨張係数を有する材料により形成されていることは明らかである。
また、上記アからウに摘記した実施形態において、LEDダイ4は、上記カの記載事項から、図示しないサブマウントに結合されることも明らかである。
そうすると、引用文献1には、以下の引用発明が記載されているものと認められる。

「サブマウントと、前記サブマウントに結合されたLEDダイ4と、LEDダイ4に結合層6により結合された単一の光学素子2と、を有し、前記LEDダイ4及び前記光学素子2は、ほぼ整合する熱膨張係数を有する材料で形成されている、発光ダイオード。」

2.引用文献2の記載事項
引用文献2の第21ページ第17行から第22頁第9行には、「図26に示す第7の実施の形態に係る発光素子40”では、複数の部分にn型半導体層13及びp型半導体層14が積層されており、事実上ダイオード構造12が複数の部分に分割されている。・・・(中略)・・・また、図示を省略しているが、n型半導体層13及びp型半導体層14の下面にはそれぞれバンプ電極が形成されており、バンプ電極を用いて実装基板にフェースダウンの状態で実装されている。・・・(中略)・・・
また、図27に示すように、1つの比較的大きな透光性部材51の下面(光の入射面)に密着するように、例えば図55に示す従来の発光素子100と同様の構成の発光部62を複数個密着するように配置してもよい。」と記載されている。

第5 対比(一致点、相違点の認定)
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「サブマウント」、「LEDダイ4」、「光学素子2」、「発光ダイオード」は、それぞれ本願発明の「サブマウント」、「発光素子」、「光学要素」、「装置」に相当する。
そして、本願の「表面に接合した」とは、本願の明細書の段落【0034】及び図3から理解できるように結合層322により請求項8に係る発明のように、「発光素子」と「光学要素」を接合するものであることを踏まえると、引用発明は、本願発明と同様に「発光素子の表面に接合した単一の光学要素」を有するものと認められる。
したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致及び相違する。

・一致点
本願発明と引用発明とは「サブマウントと、前記サブマウントに装着された発光素子と、前記発光素子の表面に接合した単一の光学要素と、を有する装置。」である点で一致する。

・相違点1
本願発明では、複数の発光素子を有し、該発光素子の各々の表面に単一の光学要素が結合されるのに対し、引用発明では、発光素子は複数ではない点で相違する。

・相違点2
本願発明では、サブマウント及び光学要素は、略同じ熱膨張係数を有する材料で形成されているのに対し、引用発明では、発光素子及び前記光学要素は、ほぼ同じ熱膨張係数を有する材料で形成されているものの、サブマウントの熱膨張係数と略同じ熱膨張係数を有する材料であるのか否か不明である点で相違する。

第6 判断(相違点についての検討)
1.相違点1について
上記第2の2.で摘記したように、引用文献2には、1つの比較的大きな透光性部材51の下面に密着するように、実装基板にフェースダウンの状態で実装された発光部62を複数個密着するように配置することがされているところ、発光装置の技術分野において、サブマウント上に複数の発光素子を設けることは、引用文献2に記載された発光素子に限らず、例えば、引用文献3の段落【0011】の記載並びに図3及び図8、引用文献4の第16頁第26行から第18頁第12行の記載並びに図11から図13、引用文献5の段落【0041】から【0043】の記載並びに図7及び図8に見られるように、本願の優先日前に広く知られている事項であるから、引用発明に引用文献2に記載された技術を適用して、発光素子を複数とすることは当業者が容易になし得たものである。

2.相違点2について
引用発明においては、上記第4の1.(1)オに摘記したように、光学要素と、該光学要素が結合される発光素子との間の熱膨張係数の不整合により加熱または冷却に際して光学要素が発光素子から分離することが起こり得ることを課題としていること、及び、上記第4の1.(1)カに摘記したように、発光素子は、はんだによりサブマウントに結合されるものであることを考慮すれば、引用発明のサブマウントと発光素子との間においても、光学要素と発光素子との間と同様に、熱膨張係数の不整合により、加熱または冷却に際して発光素子がサブマウントから分離することが起こり得ることは、当業者であれば容易に理解し得ることである。
他方、サブマウントと発光素子の熱膨張係数がほぼ等しいものとすることにより、サブマウントと発光素子との間に発生する熱応力が緩和する技術は、例えば、引用文献7の段落【0109】に「サブマウントの材料は、窒化物半導体発光素子と熱膨張係数がほぼ等しいもの、例えば窒化アルミニウムが好ましい。このような材料を使用することにより、サブマウントと発光素子との間に発生する熱応力が緩和され、サブマウントと発光素子との間のバンプを介した電気的接続が維持されるため、発光装置の信頼性を向上させることができる。」と記載されているように、本願の優先日前に周知である。
そうすると、引用発明においても、前記「サブマウントと発光素子との間の熱膨張係数の不整合により、加熱または冷却に際して発光素子がサブマウントから分離することが起こり得る」という課題を解決するために、上記周知技術を適用して、サブマウントと発光素子の熱膨張係数がほぼ等しいものとすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
その際、光学要素、発光素子及びサブマウントがすべて略同じ熱膨張係数を有するものとなることは明らかであるから、サブマウントの膨張及び収縮によって生じる発光素子の移動と、光学要素の膨張及び収縮による発光素子の移動とは略一致したものとなり、光学要素からの脱離等が抑制されることは当業者であれば容易に予測し得ることである。

したがって、本願発明は、引用発明に引用文献2に記載された技術及び上記周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。

第7 むすび(結論)
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-07-18 
結審通知日 2018-07-24 
審決日 2018-08-14 
出願番号 特願2015-209833(P2015-209833)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小濱 健太  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 西村 直史
星野 浩一
発明の名称 発光素子への光学要素の結合  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
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