• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1347383
審判番号 不服2016-18140  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-02 
確定日 2018-12-27 
事件の表示 特願2016- 18968「プロテクトフィルム付偏光板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月12日出願公開、特開2017- 9990〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特願2016-18968号(以下、「本件出願」という。)は、平成28年2月3日(優先権主張 平成27年6月19日(以下、「優先日」という。))の特許出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。

平成28年 5月24日付け:拒絶理由通知
平成28年 6月23日提出:意見書
平成28年 6月23日提出:手続補正書
平成28年 8月30日付け:拒絶査定
平成28年 12月2日請求:審判請求書
平成28年 12月2日提出:手続補正書
平成30年 4月17日付け:拒絶理由通知
平成30年 6月20日提出:意見書

第2 本件発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明は、平成28年6月23日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、次のとおりのものである。
「偏光板の片面にプロテクトフィルムを重ねて一対の貼合ロール間に通すことにより押圧する工程を含むプロテクトフィルム付偏光板の製造方法であって、
前記偏光板は、偏光フィルムと、その一方の面に積層される第1熱可塑性樹脂フィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムは、前記第1熱可塑性樹脂フィルム側に配置され、
前記プロテクトフィルムの厚みをT_(1)〔μm〕、MDにおける引張弾性率をE_(1)〔MPa〕、前記一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(1)〔N/m〕とし、前記偏光板の厚みをT_(2)〔μm〕、MD方向における引張弾性率をE_(2)〔MPa〕、前記一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(2)〔N/m〕とするとき、前記押圧する工程を下記式(I):
【数1】

を満たす条件下で行う、製造方法。」

第3 当審の拒絶理由
当審において平成30年4月17日付けで通知した拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、概略、以下のとおりである。

本件出願の請求項1?8に係る発明は、本件出願の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(引用文献等一覧)
引用文献1:特開2012-53078号公報
引用文献2:特開2011-95560号公報
引用文献3:特開2012-22250号公報

第4 当合議体の判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1) 引用文献1の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献1(特開2012-53078号公報)には、次の記載がある。(下線は、当合議体が付したものである。以下、同様。)
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、前記偏光フィルムの片面に貼合された内側フィルムと、前記偏光フィルムの他面に貼合された外側フィルムと、前記外側フィルムのうち前記偏光フィルムの貼合面とは反対側に貼合されたプロテクトフィルムと、を備えた偏光板を製造する方法であって、
(A)前記偏光フィルム、前記内側フィルム及び前記外側フィルムをそれぞれ一定方向に、かつ前記偏光フィルムを前記内側フィルムと前記外側フィルムとで挟むように搬送する原料フィルム搬送工程と、
(B)前記偏光フィルムの片面に前記内側フィルムを、前記偏光フィルムの他面に前記外側フィルムを、それぞれ硬化性の接着剤を介して貼合する貼合工程と、
(C)貼合後、前記接着剤を硬化させて、前記偏光フィルムと前記内側フィルム及び前記偏光フィルムと前記外側フィルムを接着させる硬化工程と、をこの順で行い、
(D)前記原料フィルム搬送工程(A)の前から前記硬化工程(C)の後のいずれかの段階において、前記外側フィルムのうち前記偏光フィルムに貼合される面とは反対側に、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下であるプロテクトフィルムを貼合するプロテクトフィルム貼合工程を備えることを特徴とする偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記プロテクトフィルム貼合工程(D)は、前記硬化工程(C)の後で、前記外側フィルム/前記偏光フィルム/前記内側フィルムの積層体の前記外側フィルム側に前記プロテクトフィルムを貼合する工程(D-1)である、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
・・・略・・・
【請求項4】
前記内側フィルムは、いずれもオレフィン系樹脂からなる1/4波長板、二軸性位相差フィルム又は無配向性フィルムである、請求項1?3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
【請求項5】
前記内側フィルムは、前記偏光フィルムに貼合される面とは反対側に粘着剤層とセパレートフィルムがこの順に積層されている、請求項1?4のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
【請求項6】
前記原料フィルム搬送工程(A)の前に、前記内側フィルムと前記粘着剤層と前記セパレートフィルムとをこの順で積層する粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)を行う、請求項5に記載の偏光板の製造方法。
【請求項7】
前記外側フィルムは、オレフィン系樹脂からなる、請求項1?6のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
【請求項8】
・・・略・・・
【請求項9】
前記接着剤は、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤を含有し、前記硬化工程(C)は活性エネルギー線の照射により行われる、請求項1?8のいずれかに記載の偏光板の製造方法。」

イ 「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の製造方法に関し、特に、プロテクトフィルムを備えた偏光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
・・・略・・・
【0003】
一方で、液晶表示装置は、用途によっては厳しい耐久条件に耐え得る製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターと比べると、温度及び湿度条件が厳しい。そのような用途には、偏光板も高い耐久性を示すものが求められる。
【0004】
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子(偏光フィルム)の両面に、各種の機能を有する樹脂フィルムが積層された構造を有する。偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに縦一軸延伸と二色性色素による染色とを行った後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。また、偏光フィルムの両面に積層される樹脂フィルムとしては、保護フィルム、位相差フィルム、防眩フィルムなどが用いられている。
【0005】
このように、偏光板は偏光フィルムを挟んで両面に異なる種類の樹脂フィルムが積層された表裏非対称なものが多い。樹脂フィルムは、樹脂材料や製膜方法などにより曲げ弾性率などが異なるため、表裏非対称な偏光板は一方の面側に曲がりやすい(カールしやすい)性質を有している。また、偏光フィルムの両面に同じ種類のフィルムが積層されていても、偏光フィルムの延伸加工履歴によっては一方の面側にカールする場合もある。このようなカールした偏光板は、液晶セルなどに貼合する際に、貼り合わせ部に気泡が入りこんで密着性が低下したり、視認性が悪化したりするなどの問題が生じやすい。
【0006】
従来、偏光子(偏光フィルム)の片面に偏光子保護層が貼合されている表裏非対称の偏光板をロール状で製造する際に、カールを抑制するための方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、偏光子保護層に対する剪断接着力が80N/625mm^(2)以下のプロテクトフィルムを偏光子保護層に貼合し、このプロテクトフィルムを内側にして巻き取ることで、プロテクトフィルムを偏光子保護層に貼合するときに生じる応力を緩和させてカールを抑制している。
・・・略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1のカール抑制技術では、プロテクトフィルムの剪断接着力を所定値以下とすることで、偏光板のカールを抑制している。しかしながら、プロテクトフィルム自体の特性とカール抑制との関係について詳細な研究はこれまで行われていなかった。また、剪断接着力を小さくすることで、プロテクトフィルムと偏光子保護層との接着性が低下し、プロテクトフィルムが剥離しやすいという問題も生じる。
【0009】
本発明の目的は、簡単な構成によりカールを抑制することが可能な偏光板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、本発明の偏光板の製造方法によれば、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムと、前記偏光フィルムの片面に貼合された内側フィルムと、前記偏光フィルムの他面に貼合された外側フィルムと、前記外側フィルムのうち前記偏光フィルムの貼合面とは反対側に貼合されたプロテクトフィルムと、を備えた偏光板を製造する方法であって、(A)前記偏光フィルム、前記内側フィルム及び前記外側フィルムをそれぞれ一定方向に、かつ前記偏光フィルムを前記内側フィルムと前記外側フィルムとで挟むように搬送する原料フィルム搬送工程と、(B)前記偏光フィルムの片面に前記内側フィルムを、前記偏光フィルムの他面に前記外側フィルムを、それぞれ硬化性の接着剤を介して貼合する貼合工程と、(C)貼合後、前記接着剤を硬化させて、前記偏光フィルムと前記内側フィルム及び前記偏光フィルムと前記外側フィルムを接着させる硬化工程と、をこの順で行い、(D)前記原料フィルム搬送工程(A)の前から前記硬化工程(C)の後のいずれかの段階において、前記外側フィルムのうち前記偏光フィルムに貼合される面とは反対側に、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下であるプロテクトフィルムを貼合するプロテクトフィルム貼合工程を備えることにより解決される。
【0011】
この場合、前記プロテクトフィルム貼合工程(D)は、前記硬化工程(C)の後で、前記外側フィルム/前記偏光フィルム/前記内側フィルムの積層体の前記外側フィルム側に前記プロテクトフィルムを貼合する工程(D-1)であることが好ましい。
【0012】
・・・略・・・
【発明の効果】
【0020】
本発明の偏光板の製造方法によれば、外側フィルムに貼合されるプロテクトフィルムの剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下と一般的なプロテクトフィルムに比べて高い。このため、この範囲にあるプロテクトフィルムは、フィルム自体の剛性が高く、いわゆる「こし」があるものとなる。したがって、このようにこしのあるプロテクトフィルムに外側フィルム等のフィルムを貼合することで、フィルムが曲がろうとする応力に抗してフィルムを保形してカールを抑制することが可能となる。これにより、剪断接着力の調整などを行わなくても、プロテクトフィルムを貼合するという簡単な構成により、偏光板のカールを十分に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】偏光板の第1の製造方法を示した断面模式図である。
【図2】偏光板の断面模式図である。
・・・略・・・
【図4】プロテクトフィルムの厚みとガーレ法剛軟度との関係を記したグラフである。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0022】
・・・略・・・
【0023】
<偏光板>
図2は、本発明の一実施形態における偏光板を示す図面である。この図に示すように、偏光板20は、偏光フィルム21と、この偏光フィルム21の片面に貼合された内側フィルム23と、偏光フィルム21の他面に貼合された外側フィルム25と、外側フィルム25のうち偏光フィルム21の貼合面とは反対側に貼合されたプロテクトフィルム26と、が積層された層構成を有している。さらに、本実施形態の偏光板20は、内側フィルム23のうち偏光フィルム21の貼合面とは反対側の面に積層された粘着剤層27と、この粘着剤層27の表面に剥離可能の貼合されたセパレートフィルム28とを備えている。
【0024】
・・・略・・・
【0025】
・・・略・・・以下に、偏光板20を構成するフィルムについて説明する。
【0026】
(1)偏光フィルム21
偏光フィルム21は、自然光を直線偏光に変換する機能を有する部材である。偏光フィルム21としては、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。・・・略・・・
【0027】
・・・略・・・
【0030】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。・・・略・・・延伸倍率は、通常3?8倍程度である。
【0031】
・・・略・・・
【0038】
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色とホウ酸処理が施され、偏光フィルム21が得られる。偏光フィルム21の厚みは、例えば2?40μm程度とすることができる。」

エ 「【0040】
(2)内側フィルム23
内側フィルム23は、偏光フィルム21の表面に貼合されるフィルムであり、液晶パネルや液晶表示装置に要求される特性に応じて種々の性質を有するフィルムを採用することができる。内側フィルム23の例としては、偏光板20が楕円偏光板として使用される場合には、例えば1/4波長板を備える位相差層が挙げられる。また、偏光板20が直線偏光板として使用される場合には、例えば光学補償機能を有する二軸性位相差フィルムや、表面保護機能を有する無配向性フィルムなどを挙げることができる。
【0041】
内側フィルム23を構成する樹脂材料は特に限定されない。このような樹脂材料の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂〔(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂を意味する〕、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂・・・略・・・を挙げることができる。・・・略・・・
【0042】
これらの樹脂材料のうち、以下の理由から、オレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂を内側フィルム23の構成樹脂として選択した場合、以下のような優位点がある。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10^(-13)cm^(2)/dyne前後と小さく、また、透湿度が低いため、それを内側フィルム23とする偏光板20を液晶セルに適用することにより、湿熱条件での耐久性に優れた液晶表示装置とすることができる。さらに、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルム21に対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、内側フィルム23を十分な強度で偏光フィルム21に接着することができる。
【0043】
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン又は他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した環状オレフィン系樹脂や、エチレン又はプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した鎖状オレフィン系樹脂が挙げられる。
【0044】
・・・略・・・
【0045】
また、鎖状オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が例示される。
【0046】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量共重合させたものであってもよい。
・・・略・・・
【0061】
内側フィルム23の厚みは、通常、20?200μmであり、好ましくは20?120μmである。内側フィルム23の厚みが20μm未満であると、ハンドリング性に劣る傾向にあり、厚みが200μmを超える場合にも、フィルムの剛性が高くなることによってハンドリング性が低下することがある。
【0062】
・・・略・・・
【0063】
(3-1)1/4波長板(位相差層)
内側フィルム23の例としては、1/4波長板を少なくとも1枚含む位相差層が挙げられる。1/4波長板は、可視光の波長領域(380?780nm)のいずれかの光に対してほぼ1/4波長(90°)の位相差を示す位相差フィルムであり、直線偏光と円偏光を相互に変換する機能を有するとともに、液晶セルの視野角を補償する機能を有している。
【0064】
・・・略・・・
【0066】
1/4波長板の面内位相差値R_(o)は、いずれも10?300nm程度の範囲から適宜選択することが可能であり、好ましくは70?160nmであり、より好ましくは80?150nmである。この面内位相差値R_(o)は、液晶表示装置の種類や目的に応じて、楕円偏光の楕円率や長軸方位角などを考慮して適宜決定することができる。1/4波長板の位相差軸の公差は、液晶表示装置の正面コントラストの観点から、中心値±5nm以内、好ましくは±3nm以内である。なお、本明細書の面内位相差値R_(0)及び厚み方向位相差値Rthは、波長590nmにおける値である。
【0067】
(1/4波長板の製造方法)
1/4波長板は、樹脂材料をフィルム状に成形して未延伸フィルムに製膜し、この未延伸フィルムに一軸延伸、二軸延伸など公知の延伸方向で延伸処理を施すことで製造することができる。未延伸フィルムの製膜方法としては、上述した押出成形法や溶剤キャスト法などが挙げられる。また、延伸方向としては、斜め延伸が好ましい。以下、1/4波長板の製造方法について説明する。
【0068】
未延伸フィルムは、樹脂材料を任意の方法で製膜して長尺状のフィルムとしたものである。製膜方法としては、例えば、溶融樹脂からの押出成形法や、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延した後で溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法等が挙げられる。これにより、実質的に面内位相差がない長尺状の未延伸フィルムを得ることができる。なお、これらの製膜方法のうち、生産性の観点からは溶融樹脂からの押出成形法が好ましい。
【0069】
・・略・・・
【0082】
・・・略・・・具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱等による寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚みは、通常、5?50μmであり、好ましくは10?30μmである。
【0083】
・・・略・・・
【0089】
1/4波長板は、上記工程で得られた未延伸フィルムに一軸延伸、二軸延伸など公知の延伸処理を施すことで製造することができる。延伸方法としては、テンター延伸機を用いたテンター法を挙げることができる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。また、延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向などが挙げられる。これらのうち、特に、後述するロール・トゥ・ロール貼合により偏光フィルム21と1/4波長板を貼合する際には、機械流れ方向(MD)に斜交する方向に斜め延伸することで1/4波長板を製造することが好ましい。以下、テンター法を用いた斜め延伸により1/4波長板を製造する方法について詳細に説明する。
【0090】
・・・略・・・
【0104】
(3-2)二軸性位相差フィルム
内側フィルム23の例として、上述したように二軸性位相差フィルムを挙げることができる。二軸性位相差フィルムは、未延伸フィルムに逐次又は同時二軸延伸を行い、二軸方向の複屈折性を発現させたフィルムであり、位相差を有していることから、液晶表示装置の視野角を広げる機能を有している。二軸性位相差フィルムは延伸処理されていることから、後述する未延伸フィルムと比べて薄膜化されており、またフィルム自体の剛性も高く表面保護機能が高い。
【0105】
このときの延伸倍率は、縦方向及び横方向のうち、光軸を発現させる方向(延伸倍率が大きい方向であって、遅相軸となる方向)で1.1?10倍程度、それと直交する方向(延伸倍率が小さい方向であって、進相軸となる方向)で1.1?7倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて、適宜選択すればよい。フィルムの横方向に光軸を発現させてもよいし、縦方向に光軸を発現させてもよい。かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、KC4FR-1(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4HR-1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
【0106】
内側フィルム23は、面内位相差値R_(0)が30?200nmの範囲にあり、厚み方向位相差値R_(th)が30?350nmの範囲にあるものが好ましい。適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、この範囲から位相差値を適宜選択すればよい。面内位相差値R_(0)は、好ましくは100nm以下であり、厚み方向位相差値R_(th)は、好ましくは80nm以上、200nm以下である。
【0107】
・・・略・・・
【0108】
二軸性位相差フィルムの製造方法としては、樹脂材料を製膜して未延伸フィルムを作成し、この未延伸フィルムを二軸方向に延伸して二軸性位相差フィルムとする方法が挙げられる。未延伸フィルムを作成する方法は、上述した1/4波長板と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
・・・略・・・
【0109】
(3-3)無配向性フィルム
内側フィルム23としては、上述したように保護フィルムを採用することができる。このような保護フィルムとしては、面内や厚み方向に実質的に位相差がない無配向性フィルムを採用することができる。保護フィルムとしては、例えばヘイズ値が0.5%以下であり、かつ面内位相差値Roが30nm未満のものが好適である。無配向性フィルムとは、樹脂材料を膜状に製膜した、延伸されていない樹脂フィルム(未延伸フィルム)を意味する。
【0110】
無配向性フィルムは、位相差を有していないため、二軸性位相差フィルムのように液晶表示装置の視野角を広げる機能はないが、二軸性位相差フィルムのように延伸処理を行う必要がないため製造コストが低い。したがって、液晶表示装置の製造コストをより低くすることができる。また、無配向性フィルムは、延伸処理を行わないため、膜厚が厚くなり内側フィルム23のハンドリング性が良好になる。
【0111】
上述した樹脂材料は、任意の方法で製膜して未延伸フィルムとする。この未延伸フィルムは、透明で実質的に面内位相差がないものが好ましい。製膜方法としては、例えば、溶融樹脂を膜状に押し出して製膜する押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延した後で溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などを採用することができる。
【0112】
なお、厚み方向の位相差値R_(th)の観点では、内側フィルム23の厚みが薄いほうが、位相差値を低減できるため好ましい。具体的には、内側フィルム23の厚みは15?45μmが好ましい。特に、偏光板20のハンドリング性だけでなく、内側フィルム23自体のハンドリング性も考慮すると、35?45μmのものがより好ましい。
【0113】
無配向性フィルムは、上述した1/4波長板において未延伸フィルムを作成する方法と同様の方法で作成することができる。その詳細については、上述したとおりであるため、詳細な説明は省略する。」

オ 「【0114】
(3)外側フィルム25
外側フィルム25は、偏光フィルム21のうち内側フィルム23とは反対側の表面に貼合されるフィルムであり、液晶パネルや液晶表示装置に要求される特性に応じて種々の性質を有するフィルムを採用することができる。外側フィルム25(当合議体注:「内側フィルム23」は、「外側フィルム25」の誤記である。)の例としては、偏光フィルム21の表面を保護する機能を有する保護フィルム・・・略・・・が挙げられる。
【0115】
外側フィルム25としての保護フィルムは、透明樹脂で形成されるフィルムであれば特に限定されない。透明樹脂の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂・・・略・・・が挙げられる。
【0116】
これらの樹脂材料のうち、上述した内側フィルム23と同じく湿熱条件での耐久性の高さや偏光フィルム21との接着性の良さから、オレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0117】
外側フィルム25の厚みは、通常、20?200μmであり、好ましくは20?120μmである。保護フィルム25(当合議体注:「保護フィルム15,25」は、「保護フィルム25」の誤記である。)の厚みが20μm未満であるとハンドリングしにくくなり、反対に厚みが120μmを超えると偏光板20が厚くなりすぎる。外側フィルム25は、透明性に優れているものを用いることが好ましい。・・・略・・液晶モジュールの組立工程における擦り傷防止の観点からハードコート処理を、プリズムシートとカラーフィルターの干渉によるモアレ低減の観点からアンチグレア(AG)処理を外側フィルム25に施してもよい。」

カ 「【0123】
(4)プロテクトフィルム26
プロテクトフィルム26は、外側フィルム25の表面を損傷、摩損などから保護するための部材である。プロテクトフィルム26は、透明樹脂からなる基材フィルム26aと、この基材フィルム26aの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層26bと、により構成される。プロテクトフィルム26は、偏光板20の使用時まで外側フィルム25に貼合されており、使用時においては外側フィルム25から剥離される。
【0124】
本発明において、プロテクトフィルム26は、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下である点を特徴としている。プロテクトフィルム26のガーレ法剛軟度がこの範囲内であれば、外側フィルム25に貼合したときに補強材として十分な剛性を有し、カールを抑制することができる。プロテクトフィルム26のガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgfより小さければ、プロテクトフィルム26の剛性が小さく、補強材としてカール抑制作用を十分に発揮しにくい。反対に、プロテクトフィルム26のガーレ法剛軟度が1.0×10^(5)mgfより大きければ、プロテクトフィルム26の剛性が大きすぎてロール状に巻きにくくなり、またロール状に巻いたときのロールの直径が大きくなりすぎて保管や搬送の際に不便である。
【0125】
プロテクトフィルム26は、市販品として容易に入手することができる。市販品の例を挙げると、藤森工業(株)から販売されている「マスタック」、(株)サンエー化研から販売されている「サニテクト」、日東電工(株)から販売されている「イーマスク」、東レフィルム加工(株)から販売されている「トレテック」などがある。
【0126】
[基材フィルム26a]
基材フィルム26aは、透明樹脂からなるものであれば特に限定されない。このような透明樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルに代表されるアクリル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレンに代表されるオレフィン系樹脂、ポリブチレンテフタレートやポリエチレンテフタレートに代表されるポリエステル系樹脂などが挙げられる。特に、こしの強さの観点からは、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。・・・略・・・
【0127】
・・・略・・・
【0129】
プロテクトフィルム26の基材フィルム26aの厚みとガーレ法剛軟度との間には相関がある。以下に、市販されている二軸延伸ポリエステル系樹脂からなる基材フィルム26aの厚みとガーレ法剛軟度の値との関係を測定した結果を記す。表1は測定結果の数値データ、図4は縦軸をガーレ法剛軟度、横軸を厚みとして表1の数値データをプロットしたグラフである。
【表1】

【0130】
この表と図に示すように、基材フィルム26aの厚みが増すにつれて、ガーレ法剛軟度が指数関数的に増加し、剛性が高くこしのあるフィルムとなる。反対に、基材フィルム26aの厚みが減るにつれて、ガーレ法剛軟度が指数関数的に減少し、剛性が低く柔軟性のあるフィルムとなる。二軸延伸ポリエステル系樹脂からなる基材フィルム26aの厚みは、上述のように市販品として容易に入手可能であり、かつ偏光板のカールを抑制できる程度に十分な範囲であり、通常は、25μm以上、120μm以下である。この範囲であればプロテクトフィルム26のガーレ法剛軟度が上記の数値範囲内となる。
【0131】
[粘着剤層26b]
粘着剤層26bは、アクリル系粘着剤ゴム系粘着剤など、公知の再剥離用粘着剤を使用することができる。このうち特に、プロテクトフィルム26のこしの強さの観点から、弾性率が高く硬さのあるアクリル系樹脂が好ましい。また、こしの強さの点からは、粘着剤層26bの厚みは厚いほうがよい。」

キ 「【0135】
(5)粘着剤層27
粘着剤層27は、偏光板20又はこれから所定形状に裁断された偏光板20を液晶セルに貼合するために用いられる。粘着剤層27を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするものが挙げられる。なかでも、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤は、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、更に耐候性や耐熱性などに優れ、加熱や加湿の条件下でも、浮きや剥がれなどのセパレート問題が生じにくいため、好ましく用いられる。
【0136】
・・・略・・・
【0146】
粘着剤層27の厚みは、その接着力などに応じて適宜決定されるが、通常、1?40μm程度である。加工性や耐久性などの特性を損なうことなく、薄型の偏光板20を得るためには、粘着剤層27の厚みは3?25μm程度とすることが好ましい。」

ク 「【0147】
(6)セパレートフィルム28
セパレートフィルム28は、粘着剤層27を乾燥等から保護するためのフィルムである。セパレートフィルム28としては、通常、透明基材フィルムに易剥離層を形成して、粘着剤層27からの剥離性を付与したものが用いられる。透明基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂の押出フィルム・・・略・・・それらを一軸又は二軸に延伸したフィルムなどが挙げられる。なお、セパレートフィルム28は、離型フィルムとも呼ばれる。
【0148】
セパレートフィルム28のガーレ法剛軟度は、20mgf以上であることが好ましく、70mgf以上であることがより好ましい。ガーレ法剛軟度が20mgf未満であると、セパレートフィルム28の剛性が不足し、ハンドリング性が低下することがある。

ケ 「【0149】
(7)接着剤層(不図示)
偏光フィルム21への外側フィルム25及び内側フィルム23の貼合、積層は、通常、接着剤層を介してなされる。偏光フィルム21の両面に設けられる接着剤層を形成する接着剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0150】
接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を用いることができる。本発明において好ましく用いられる接着剤の1つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマー又はオリゴマーなど)を含み、当該硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含む。特に、上述したとおり外側フィルム25は透湿度が低いため、水系接着剤を使用した場合に水抜けが悪く、接着剤の水分によって偏光フィルム21の損傷や偏光性能の劣化などを引き起こす場合がある。したがって、このような透湿度の低い樹脂フィルムを接着する場合には、無溶剤系の接着剤が好ましい。
【0151】
速硬化性及びこれに伴う偏光板20の生産性向上の観点から、接着剤層を形成する好ましい接着剤の例として、活性エネルギー線の照射で硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。このような活性エネルギー線硬化性接着剤の例として、例えば、紫外線や可視光などの光エネルギーで硬化する光硬化性接着剤が挙げられる。・・・略・・・。
【0152】
・・・略・・・
【0169】
以上のようにして得られる、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着剤層の厚みは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。」

コ 「【0178】
(偏光板の種類)
上述したように、内側フィルム23、外側フィルム25は、偏光板20に求められる特性に応じて最適な種類のフィルムを適宜選択することができる。以下、偏光板20と内側フィルム23、外側フィルム25について、いくつか具体例を挙げて説明する。
【0179】
(i)楕円偏光板
偏光板20が楕円偏光板として機能する場合、内側フィルム23は1/4波長板を少なくとも1枚有する位相差層であることが好ましい。このような偏光板20の層構成は、以下のようになる。
プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(1/4波長板を有する位相差層)/粘着剤層27/セパレートフィルム28
【0180】
(ii)直線偏光板(光学補償機能付き)
偏光板20が直線偏光板として機能し、かつ光学補償機能を有する場合、内側フィルム23は二軸性位相差フィルムであることが好ましい。このような偏光板20の層構成は、以下のようになる。
プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28
【0181】
(iii)直線偏光板(保護フィルム付き)
偏光板20が直線偏光板として機能し、かつ光学補償機能を有しない場合、内側フィルム23は無配向性フィルムであることが好ましい。このような偏光板20の層構成は、以下のようになる。
プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28
【0182】
(iv)偏光板(保護フィルム付き)
偏光板20の偏光フィルム21の両面に保護フィルムを有する場合、内側フィルム23と外側フィルム25は透明樹脂フィルムであることが好ましい。この場合、少なくとも外側フィルム25はオレフィン系樹脂、好ましくはポリプロピレン系樹脂フィルムであることが好ましい。このような偏光板20の層構成は、以下のようになる。
プロテクトフィルム26/外側フィルム25(透明樹脂フィルム:オレフィン系樹脂)/偏光フィルム21/内側フィルム23(透明樹脂フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28」

サ 「【0183】
<偏光板20の製造方法>
以下、図1,図3を参照して偏光板20の製造方法を詳しく説明する。この製造方法では、偏光フィルム21の一方の面に、接着剤を介して外側フィルム25を貼合し、偏光フィルム21の他方の面に、接着剤を介して内側フィルム23を貼合して、外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23の積層体を製造する。さらに、外側フィルム25側にプロテクトフィルム26を貼合する工程を行う。偏光板20の製造方法は、原料フィルム搬送工程(A)と、貼合工程(B)と、硬化工程(C)と、プロテクトフィルム貼合工程(D)と、を備える。さらに、本実施形態では、原料フィルム搬送工程(A)の前に、内側フィルム23と粘着剤層27とセパレートフィルム28とをこの順で積層する粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)を行っている。
【0184】
原料フィルム搬送工程(A)では、偏光フィルム21が一定方向に搬送されるとともに、その一方の面に外側フィルム25が供給され、他方の面には内側フィルム23が供給される。原料フィルム搬送工程(A)の途中では、接着剤塗布工程(F)が行われる。接着剤塗布工程(F)では、接着剤塗布装置12により、外側フィルム25の偏光フィルム21へ貼合される面に接着剤を塗布する。また、もう一つの接着剤塗布装置13により、内側フィルム23の偏光フィルム21へ貼合される面に接着剤を塗布する。
【0185】
貼合工程(B)は、外側フィルム25の外側に接触する第1の貼合ロール14と、内側フィルム23の外側に接触する第2の貼合ロール15とで、外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23の積層体を挟みながら行われる。第1の貼合ロール14及び第2の貼合ロール15は、それぞれが接触するフィルムの搬送方向に回転しており、図中の曲線矢印は、その回転方向を示している。
【0186】
硬化工程(C)は、上の貼合工程(B)で得られた積層体に、接着剤を硬化させるためのエネルギーを硬化装置18から供給し、偏光フィルム21と外側フィルム25の間、及び偏光フィルム21と内側フィルム23の間にある接着剤を硬化させるための工程である。これらの各工程について、順に説明を進めていく。
【0187】
プロテクトフィルム貼合工程(D)は、外側フィルム25のうち偏光フィルム21とは反対側の面にプロテクトフィルム26を貼合する工程である。このプロテクトフィルム貼合工程(D)は、原料フィルム搬送工程(A)の前から硬化工程(C)の後のいずれかの段階において行われる。
【0188】
具体的には、以下の工程(D-1)と工程(D-2)のうちいずれかの段階でプロテクトフィルム貼合工程(D)を行う方法を挙げることができる。
(D-1):硬化工程(C)の後で、外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23の積層体の外側フィルム25側にプロテクトフィルム26を貼合する、
(D-2):原料フィルム搬送工程(A)の前に、外側フィルム25にプロテクトフィルム26を貼合する。
【0189】
(第1の製造方法:工程(D-1))
以下、図1を参照して、プロテクトフィルム貼合工程(D)として上記工程(D-1)を行う実施形態について説明する。この第1の製造方法では、原料フィルム搬送工程(A)?硬化工程(C)を行って外側フィルム25/偏光フィルム21(当合議体注:「変更フィルム21」は「偏光フィルム21」の誤記である。)/内側フィルム23の積層体を製造したのち、プロテクトフィルム貼合工程(D)を行って外側フィルム25にプロテクトフィルム26を貼合する点を特徴とする。
【0190】
[粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)]
粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)では、ロール状に巻かれた内側フィルム23の一方の面に、ロール状に巻かれた粘着剤付きセパレートフィルム29を貼合して、粘着剤付き内側フィルム24を作製する工程である。セパレートフィルム28は、予め表面に粘着剤層27が積層された状態でロール状に巻かれている。
・・・略・・・
【0191】
粘着剤付きセパレートフィルム29と内側フィルム23は、第5の貼合ロール10と第6の貼合ロール11により貼合される。第5の貼合ロール10と第6の貼合ロール11による貼合圧力は、フィルムの特性等に応じて適宜設定することができるが、一般に0.3MPa?5.0MPa以下の範囲が好ましい。・・・略・・・これにより、内側フィルム23/粘着剤27/セパレートフィルム28が積層された粘着剤付き内側フィルム24が作製される。
【0192】
[原料フィルム搬送工程(A)]
原料フィルム搬送工程(A)では、ロール状に巻かれた偏光フィルム21から長尺状の偏光フィルム21が繰り出される。偏光フィルム21の一方の面側には、同じくロール状に巻かれた外側フィルム25から繰り出される長尺状の外側フィルム25が供給される。また、偏光フィルム21の他方の面側には、上述した粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)から長尺状の粘着剤付き内側フィルム24が供給される。
【0193】
・・・略・・・
【0195】
[接着剤塗布工程(F)]
偏光フィルム21と外側フィルム25、偏光フィルム21と粘着剤付き内側フィルム24の貼合は、接着剤を介して行われる。接着剤は、原料フィルム搬送工程(A)中の任意の段階で、偏光フィルム21と外側フィルム25との貼合面の少なくとも一方、偏光フィルム21と内側フィルム23との貼合面の少なくとも一方に塗布することができる。
・・・略・・・
【0196】
・・・略・・・ただ、操作性などの観点からは、図中に示すように、貼合ロール14,15による貼合の前段階で、外側フィルム25及び内側フィルム23の貼合面に接着剤を塗布しておくことが好ましい。
・・・略・・・
【0197】
・・・略・・・図中には、接着剤塗布装置12によって外側フィルム25の貼合面に接着剤を塗布し、別の接着剤塗布装置13によって内側フィルム23の貼合面に接着剤を塗布するように構成した例が示されている。
【0198】
・・・略・・・
【0200】
[貼合工程(B)]
貼合工程(B)において、外側フィルム25と粘着剤付き内側フィルム24は、外側フィルム25の外側に接触する第1の貼合ロール14と粘着剤付き内側フィルム24のプロテクトフィルム26側に接触する第2の貼合ロール15とによりそれぞれ貼合される。
【0201】
この貼合工程(B)において、第1の貼合ロール14と第2の貼合ロール15による貼合圧力は、フィルムの特性等に応じて適宜設定することができる。貼合圧力が高すぎると、貼合の際に外側フィルム25や粘着剤付き内側フィルム24が押し潰されて形状変化したり、貼合処理の速度が遅くなってタクトタイムが低下したりする。一方、貼合圧力が低すぎると、フィルムどうしが十分に接着せずに剥がれやすくなる。
【0202】
本発明では、後述するプロテクトフィルム貼合工程(D-1)で貼合されるプロテクトフィルム26の剛軟度が高くフィルムにこしがあるため、第1の貼合ロール14と第2の貼合ロール15の周速度に差を設けずに同じ周速度で貼合しても、得られる偏光板20のカールを十分に抑制することが可能となる。
【0203】
一方で、この貼合工程(B)において、第1の貼合ロール14の周速度よりも第2の貼合ロール15の周速度を早くして貼合を行ってもよい。このようにすることで、得られる偏光板20は、粘着剤付き内側フィルム24の側が若干凸状になり、外側フィルム25の側が若干凹状になる、いわゆる正カール状となる。このような正カール状となった偏光板20は、粘着剤層27の側が凸状となっているため、液晶セルに貼合する際に粘着剤層27の貼合面に気泡などが入りにくくなるため好ましい。
【0204】
この場合、粘着剤付き内側フィルム24側の凸状が大きくなりすぎる、すなわち正カールのカール量が大きくなりすぎると、偏光板20の四隅側が浮き上がりやすくなるため、端部に気泡が入りやすくなったり、偏光板20を液晶セルに貼合した後で端部側から剥がれやすくなったりする。したがって、第1の貼合ロール14の周速度よりも第2の貼合ロール15の周速度を若干大きくすることが好ましい。
【0205】
貼合ロール14,15の周速度の差により、外側フィルム25には収縮応力が、粘着剤付き内側フィルム24には引張応力がそれぞれ付与された状態で、次の硬化工程(C)へと搬送され、接着剤が硬化される。その硬化後、それぞれの応力解放に伴って偏光板20が歪み、カールとなる。これにより、得られる偏光板20のカール量を適切に制御することができる。
【0206】
貼合ロール14,15を構成する表面の材質は、ステンレス鋼、銅合金、及びクロムメッキ処理品のような金属類;ポリウレタン、ポリフルオロエチレン、及びシリコーンのようなゴム類;酸化クロム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムを溶射して得られるセラミック類などであってもよい。なかでも、第1の貼合ロール14はゴムロールとし、第2の貼合ロール15は金属ロールとすることが好ましい。すなわち、比較的薄肉で剛性が弱い外側フィルム25には表面に弾性のあるゴムロールを当て、一般に外側フィルム25よりも比較的剛性が高い粘着剤付き内側フィルム24側には金属ロールを当てる。このようにすることにより、両者の周速度の差によって生じる応力を、効果的かつ均一にフィルムへ与えることができる。
【0207】
また、外側フィルム25の貼合前張力を、粘着剤付き内側フィルム24の貼合前張力よりも若干大きくすることで、得られる偏光板20を若干正カールとしてもよい。このような貼合前張力に差を設けるには、ロール状の外側フィルム25から繰り出される長尺状の外側フィルム25や、貼合ロール10,11から搬送される粘着剤付き内側フィルム24の繰出し張力をそれぞれ制御すればよい。
【0208】
[硬化工程(C)]
貼合工程(B)から搬送されてくる外側フィルム25/接着剤(図示せず)/偏光フィルム21/接着剤(図示せず)/粘着剤付き内側フィルム24の順で貼合された積層体は、硬化工程(C)において、接着剤が硬化され、外側フィルム25と内側フィルム23がそれぞれ偏光フィルム21に接着される。
・・・略・・・。
【0209】
・・・略・・・
【0210】
接着剤としては、上述した活性エネルギー線の照射により硬化する接着剤組成物、特に、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤を含有するものを用いることが好ましい。この場合、硬化工程(C)は、活性エネルギー線の照射により行われる。
・・・略・・・
【0213】
硬化工程(C)を活性エネルギー線の照射により行う場合、硬化された接着剤層の厚みは、通常1μm以上、50μm以下であるが、適度の接着力を保って偏光板20を薄くする観点から、20μm以下が好ましく、更には10μm以下がより好ましい。
【0214】
[プロテクトフィルム貼合工程(D-1)]
硬化工程(C)で得られた外側フィルム25/偏光フィルム21/粘着剤付き内側フィルム24の積層体は、搬送方向に沿って移動する。この移動の間に、ロール状に巻かれたプロテクトフィルム26から長尺状のプロテクトフィルム26が繰り出され、積層体のうち外側フィルム25の表面側に粘着剤層26bが対向するように、積層体へ供給される。
【0215】
続いて、プロテクトフィルム26のうち基材フィルム26aの外側に接触する第3の貼合ロール16と、粘着剤付き内側フィルム24のうちセパレートフィルム28の外側に接触する第4の貼合ロール17とにより狭圧され、プロテクトフィルム26が積層体に貼合される。貼合圧力が高すぎると、貼合の際にプロテクトフィルム26や粘着剤付き内側フィルム24が押し潰されて形状変化したり、貼合処理の速度が遅くなってタクトタイムが低下したりする。一方、貼合圧力が低すぎると、フィルムどうしが十分に接着せずに剥がれやすくなる。
【0216】
上述したように、外側フィルム25に貼合されたプロテクトフィルム26の剛軟度が高くフィルムにこしがあるため、貼合ロール14,15の周速度に差を設けずに同じ周速度で貼合しても、得られる偏光板20のカールを十分に抑制することが可能となる。
【0217】
一方で、この貼合工程においても、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールが若干正カールとすることが可能となる。この場合において、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度が若干大きくなるように周速度に差をつけて行うことが好ましい。
【0218】
プロテクトフィルム26を貼合した後の偏光板20は、カールが十分に抑制され、ほぼ平坦となる。また、上述したように貼合ロールの周速度に差をつけた場合は、外側フィルム25側でやや凸となる正カールとなる。この場合、カール量が10mm以下となるものであることが好ましい。ここで、カール量とは、凸面を下にして平面上に置いたときに、フィルムの角部又は辺がその面から浮き上がる高さを意味する。
【0219】
以上の工程により、プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23/粘着剤層27/セパレートフィルム28の積層体である偏光板20を製造することができる。」

シ 「【符号の説明】
【0232】
10 第5の貼合ロール、11 第6の貼合ロール、12 接着剤塗布装置、13 接着剤塗布装置、14 第1の貼合ロール、15 第2の貼合ロール、16 第3の貼合ロール、17 第4の貼合ロール、18 硬化装置、20 偏光板(ロール状偏光板)、21 偏光フィルム、23 内側フィルム、24 粘着剤付き内側フィルム、25 外側フィルム、26 プロテクトフィルム、26a 基材フィルム、26b 粘着剤層、27 粘着剤層 28 セパレートフィルム、29 粘着剤付きセパレートフィルム」

ス 「【図1】



セ 「【図2】



ソ 「【図4】



(2) 引用発明1
ア 引用文献1(段落【0178】?【0182】)には、「偏光板20」の「具体例」として、「層構成」を「プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28」とする「(iii)直線偏光板(保護フィルム付き)」が示されている。
また、引用文献1の段落【0123】の記載によれば、「プロテクトフィルム26」は、「透明樹脂からなる基材フィルム26aと、この基材フィルム26aの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層26bとにより構成される」ものである。
また、引用文献1の段落【0124】の記載によれば、「プロテクトフィルム26」は、「ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下である」。

イ また、引用文献1(段落【0183】、【0189】?【0219】及び図1)には、図1に断面模式図として示された「偏光板20の製造方法」の「プロテクトフィルム貼合工程(D)として上記工程(D-1)を行う実施形態」であって、「原料フィルム搬送工程(A)?硬化工程(C)を行って外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23の積層体を製造したのち、プロテクトフィルム貼合工程(D)を行って外側フィルム25にプロテクトフィルム26を貼合する点を特徴とする」「第1の製造方法」が開示されている。

ウ 上記(1)ア?ソと上記ア及びイより、引用文献1には、「層構成」を「プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28」とする「(iii)直線偏光板(保護フィルム付き)」である「偏光板20」の「第1の製造方法」として、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明1」という。)。

「層構成をプロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28とする直線偏光板(保護フィルム付き)である偏光板20の製造方法であって、
ロール状に巻かれた内側フィルム23の一方の面に、ロール状に巻かれた粘着剤付きセパレートフィルム29を貼合して、内側フィルム23/粘着剤27/セパレートフィルム28が積層された粘着剤付き内側フィルム24を作製する粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)と、
ロール状に巻かれた偏光フィルム21から長尺状の偏光フィルム21を繰り出し、偏光フィルム21の一方の面側に、同じくロール状に巻かれた外側フィルム25から繰り出される長尺状の外側フィルム25を供給し、偏光フィルム21の他方の面側に、粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)から長尺状の粘着剤付き内側フィルム24を供給する原料フィルム搬送工程(A)と、
貼合ロール14,15による貼合の前段階で、外側フィルム25及び内側フィルム23の貼合面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程(F)と、
外側フィルム25と粘着剤付き内側フィルム24を、外側フィルム25の外側に接触する第1の貼合ロール14と粘着剤付き内側フィルム24のプロテクトフィルム26側に接触する第2の貼合ロール15とによりそれぞれ貼合する貼合工程(B)と、
貼合工程(B)から搬送されてくる外側フィルム25/接着剤/偏光フィルム21/接着剤/粘着剤付き内側フィルム24の順で貼合された積層体の接着剤を硬化して、外側フィルム25と内側フィルム23をそれぞれ偏光フィルム21に接着する硬化工程(C)と、
硬化工程(C)で得られた外側フィルム25/偏光フィルム21/粘着剤付き内側フィルム24の積層体を、搬送方向に沿って移動し、この移動の間に、ロール状に巻かれた、透明樹脂からなる基材フィルム26aと、この基材フィルム26aの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層26bとにより構成され、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下であるプロテクトフィルム26から長尺状のプロテクトフィルム26を繰り出し、積層体のうち外側フィルム25の表面側に粘着剤層26bが対向するように、積層体へ供給し、続いて、プロテクトフィルム26のうち基材フィルム26aの外側に接触する第3の貼合ロール16と、粘着剤付き内側フィルム24のうちセパレートフィルム28の外側に接触する第4の貼合ロール17とにより狭圧して、プロテクトフィルム26を積層体に貼合するプロテクトフィルム貼合工程(D-1)とからなり、
この貼合工程において、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールを若干正カールとすることを可能とし、
以上の工程により、プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28の積層体である偏光板20を製造する、
偏光板20の製造方法。」

(3) 引用発明2
ア 引用文献1(段落【0180】)には、「偏光板20」の「具体例」として、「層構成」を「プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28」とする「(ii)直線偏光板(光学補償機能付き)」が示されている。

イ そうすると、上記「(2)引用発明1」と同様、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用発明2」という。)。

「層構成をプロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28とする直線偏光板(光学補償機能付き)である偏光板20の製造方法であって、
ロール状に巻かれた内側フィルム23の一方の面に、ロール状に巻かれた粘着剤付きセパレートフィルム29を貼合して、内側フィルム23/粘着剤27/セパレートフィルム28が積層された粘着剤付き内側フィルム24を作製する粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)と、
ロール状に巻かれた偏光フィルム21から長尺状の偏光フィルム21を繰り出し、偏光フィルム21の一方の面側に、同じくロール状に巻かれた外側フィルム25から繰り出される長尺状の外側フィルム25を供給し、偏光フィルム21の他方の面側に、粘着剤付き内側フィルム作製工程(E)から長尺状の粘着剤付き内側フィルム24を供給する原料フィルム搬送工程(A)と、
貼合ロール14,15による貼合の前段階で、外側フィルム25及び内側フィルム23の貼合面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程(F)と、
外側フィルム25と粘着剤付き内側フィルム24を、外側フィルム25の外側に接触する第1の貼合ロール14と粘着剤付き内側フィルム24のプロテクトフィルム26側に接触する第2の貼合ロール15とによりそれぞれ貼合する貼合工程(B)と、
貼合工程(B)から搬送されてくる外側フィルム25/接着剤/偏光フィルム21/接着剤/粘着剤付き内側フィルム24の順で貼合された積層体の接着剤を硬化して、外側フィルム25と内側フィルム23をそれぞれ偏光フィルム21に接着する硬化工程(C)と、
硬化工程(C)で得られた外側フィルム25/偏光フィルム21/粘着剤付き内側フィルム24の積層体を、搬送方向に沿って移動し、この移動の間に、ロール状に巻かれた、透明樹脂からなる基材フィルム26aと、この基材フィルム26aの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層26bとにより構成され、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下であるプロテクトフィルム26から長尺状のプロテクトフィルム26を繰り出し、積層体のうち外側フィルム25の表面側に粘着剤層26bが対向するように、積層体へ供給し、続いて、プロテクトフィルム26のうち基材フィルム26aの外側に接触する第3の貼合ロール16と、粘着剤付き内側フィルム24のうちセパレートフィルム28の外側に接触する第4の貼合ロール17とにより狭圧して、プロテクトフィルム26を積層体に貼合するプロテクトフィルム貼合工程(D-1)とからなり、
この貼合工程において、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールを若干正カールとすることを可能とし、
以上の工程により、プロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28の積層体である偏光板20を製造する、
偏光板20の製造方法。」

(4) 引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献2(特開2011-95560号公報)には、次の記載がある。

ア 「【0032】
[プロテクトフィルム貼合工程]
図示は省略するが、ポリプロピレン系樹脂フィルム2は、偏光フィルム1に貼合される面とは反対側にプロテクトフィルムが積層された状態で、原料フィルム搬送工程(A)に供することができる。ポリプロピレン系樹脂フィルムは比較的剛性が弱いため、搬送及び貼合の確実さを高めるうえで、このようなプロテクトフィルムを積層して供給することは有効である。この場合、ポリプロピレン系樹脂フィルム2は、プロテクトフィルムを貼合するプロテクトフィルム貼合工程を経た後、原料フィルム搬送工程(A)に供される。プロテクトフィルムが貼着されたポリプロピレン系樹脂フィルムを、以下「プロテクトフィルム貼着ポリプロピレン系樹脂フィルム」と呼ぶことがある。
【0033】
このプロテクトフィルム貼着ポリプロピレン系樹脂フィルムは、そのカール量が、ポリプロピレン系樹脂フィルム側でやや凸となる正カールで、かつ10mm以下となるものであることが好ましい。プロテクトフィルム貼着ポリプロピレン系樹脂フィルムのカール量がこの範囲内にあると、得られる偏光板のカール量をより好ましい範囲に調整することができる。
【0034】
・・・略・・・
【0036】
・・・略・・・プロテクトフィルム貼着ポリプロピレン系樹脂フィルムのポリプロピレン系樹脂フィルム側が凸になっている場合を正カールと呼び、逆にポリプロピレン系樹脂フィルム側が凹になっている場合を逆カールと呼ぶ。
【0037】
プロピレン系樹脂フィルムとプロテクトフィルムの貼合には、ロールタイプラミネーターなどの貼合機を用いることができる。このプロテクトフィルム貼合工程においては、ポリプロピレン系樹脂フィルムの貼合前張力を0.013N/mm以上0.034N/mm以下とし、プロテクトフィルムの貼合前張力を0.13N/mm以上0.34N/mm以下とすることが好ましい。このように、プロテクトフィルム側の貼合前張力をポリプロピレン系樹脂フィルム側の貼合前張力よりも大きくすることは、先述のような正カールを生じさせるうえで好ましい。
【0038】
それぞれの貼合前張力を調整する方法は特に限定されないが、例えば、貼合装置に備えられたフィルムの貼合ロールと繰り出されるフィルムロール又はピンチロールにかかるトルクを調節する方法、貼合ロールの周速度と繰り出されるフィルムロール又はピンチロールの周速度とに微差をつけて張力を発生させる方法などを採用することができる。」

イ 「【実施例】
【0139】
・・・略・・・
【0140】
[フィルムのカール量の測定]
・・・略・・・プロテクトフィルム貼着ポリプロピレン系樹脂フィルムでは、ポリプロピレン系樹脂フィルム側が凸となる場合を正カールとし、偏光板又は粘着剤層付き偏光板では、延伸された透明樹脂フィルム3側(粘着剤層付きの場合はその粘着剤層側)が凸となる場合を正カールとする。
【0141】
[フィルムの引張弾性率の測定]
フィルムの引張弾性率は、JIS K 7161「プラスチック-引張特性の試験方法 第1部:通則」に規定された方法で、オートグラフ(型式“AG-1”、株式会社島津製作所製)を用い、温度22℃、相対湿度53%の条件にて測定した。
【0142】
[実施例1]
(a)接着剤組成物の調製
・・・略・・・
【0144】
(b)ポリプロピレンフィルムへのプロテクトフィルムの貼合
プロピレンの単独重合体から溶融押出製膜法によって厚さ50μm のポリプロピレンフィルムを得た。このポリプロピレンのCXS成分含有量は 0.2%であった。別途、片面に弱粘着性のアクリル系粘着剤層が設けられた厚さ60μm の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、これをプロテクトフィルムとした。このポリエチレンテレフタレートフィルムは、長尺方向(MD)の引張弾性率が3,500MPaであった。
【0145】
フィルム貼合用のロールタイプラミネーターに、上記ポリプロピレンフィルムを貼合前張力0.013N/mmで供給し、上記プロテクトフィルムを貼合前張力0.20N/mmで供給し、プロテクトフィルムの粘着剤層がポリプロピレンフィルムと重なるように貼合した。得られたプロテクトフィルム貼着ポリプロピレンフィルムから30cm×30cmのサンプルを切り出し、そのカール量を前記の方法により測定したところ、ポリプロピレンフィルム側が凸となる正カールであり、四つの角のうち最小値が0.5mm、最大値が4mm であった。」

2 引用発明1を主引用発明とした場合の対比及び判断
(1) 対比
本件発明と引用発明1とを対比すると、以下のとおりとなる。
ア 引用発明の「偏光板20」は、「層構成をプロテクトフィルム26/外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23(無配向性フィルム)/粘着剤層27/セパレートフィルム28とする直線偏光板(保護フィルム付き)」である。また、偏光板の保護フィルムに関する技術常識を勘案すると、引用発明1の「外側フィルム25」の材質は、実質的に、熱可塑性フィルムである(引用文献1の段落【0115】及び【0116】の記載からも確認できる事項である。)。
そうしてみると、引用発明1の「偏光板20」の層構成、各層の文言から理解される機能、及び偏光板の保護フィルムに関する技術常識からみて、引用発明1の「プロテクトフィルム26」、「外側フィルム25」及び「偏光フィルム21」は、それぞれ本件発明の「プロテクトフィルム」、「第1熱可塑性フィルム」及び「偏光フィルム」に相当する。また、引用発明1の「外側フィルム25」から「セパレートフィルム28」までの構成(以下、「偏光板積層体」という。)、及び「プロテクトフィルム26」から「セパレートフィルム28」までの構成は、それぞれ、本件発明の「偏光板」及び「プロテクトフィルム付偏光板」に相当する。加えて、引用発明1は、本件発明の「前記偏光板は、偏光フィルムと、その一方の面に積層される第1熱可塑性樹脂フィルムとを含み」、「前記プロテクトフィルムは、前記第1熱可塑性樹脂フィルム側に配置され」という要件を満たす。

イ 引用発明1は、「プロテクトフィルム貼合工程(D-1)」として、「硬化工程(C)で得られた外側フィルム25/偏光フィルム21/粘着剤付き内側フィルム24の積層体を、搬送方向に沿って移動し、この移動の間に、ロール状に巻かれた、透明樹脂からなる基材フィルム26aと、この基材フィルム26aの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層26bとにより構成され、ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下であるプロテクトフィルム26から長尺状のプロテクトフィルム26を繰り出し、積層体のうち外側フィルム25の表面側に粘着剤層26bが対向するように、積層体へ供給し、続いて、プロテクトフィルム26のうち基材フィルム26aの外側に接触する第3の貼合ロール16と、粘着剤付き内側フィルム24のうちセパレートフィルム28の外側に接触する第4の貼合ロール17とにより狭圧して、プロテクトフィルム26を積層体に貼合する」工程を具備する。
そうしてみると、引用発明1の「第3の貼合ロール16」及び「第4の貼合ロール17」は、その機能からみて、本件発明の「一対の貼合ロール」に相当する。また、引用発明1でいう「挟圧」は、本件発明でいう「押圧」と理解されるから、引用発明1の「プロテクトフィルム貼合工程(D-1)」は、本件発明の「偏光板の片面にプロテクトフィルムを重ねて一対の貼合ロール間に通すことにより押圧する工程を含む」という事項を備えているといえる。

ウ 上記アとイより、引用発明の「偏光板20の製造方法」は、本件発明の「プロテクトフィルム付偏光板の製造方法」に相当する。

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
上記(1)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用例1発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「偏光板の片面にプロテクトフィルムを重ねて一対の貼合ロール間に通すことにより押圧する工程を含むプロテクトフィルム付偏光板の製造方法であって、
前記偏光板は、偏光フィルムと、その一方の面に積層される第1熱可塑性樹脂フィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムは、前記第1熱可塑性樹脂フィルム側に配置される、製造方法。」

イ 相違点
本願発明と引用例1発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件発明1は、「前記押圧する工程を式(I)を満たす条件下で行う」ものであるのに対して、
引用発明1は、[プロテクトフィルム貼合工程(D-1)]において、「貼合」される「プロテクトフィルム26」は、「ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下」であり、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールを若干正カールとすることを可能としているものの、「前記押圧する工程を式(I)を満たす条件下で行う」ものであるのか明らかでない点。
ここで、式(I)は、以下のものである。
【数1】

(プロテクトフィルムの厚みをT_(1)〔μm〕、MDにおける引張弾性率をE_(1)〔MPa〕、一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(1)〔N/m〕とし、偏光板の厚みをT_(2)〔μm〕、MD方向における引張弾性率をE_(2)〔MPa〕、一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(2)〔N/m〕とする。)

(3) 判断
上記相違点1について検討する。
ア 「プロテクトフィルム26」について
(ア) 引用文献1の段落【0020】及び【0124】の記載からは、「プロテクトフィルム26」の「ガーレ法鋼軟度」が「1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下の範囲内」であれば、「外側フィルム25」に貼合したときに補強材として十分な剛性を有し、偏光板のカールを抑制することができること、「プロテクトフィルム26のガーレ法剛軟度」が1.0×10^(2)mgfより小さければ、「プロテクトフィルム26」の剛性が小さく、補強材としてカール抑制作用を十分に発揮しくく、反対に、「プロテクトフィルム26」のガーレ法剛軟度が1.0×10^(5)mgfより大きければ、「プロテクトフィルム26」の剛性が大きすぎてロール状に巻きにくくなり、またロール状に巻いたときのロールの直径が大きくなりすぎて保管や搬送の際に不便であることが理解される。
そして、引用文献1の段落【0129】、【表1】及び【図4】には、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の厚みとガーレ法剛軟度との間には相関があり、市販されている二軸延伸ポリステル系樹脂からなる「基材フィルム26a」の厚みとガーレ法剛軟度の値との関係を測定すると、「PET基材の厚み(μm)」が、「25μm」、「38μm」、「75μm」、「180μm」の時、「ガーレ法剛軟度(mgf)」は、それぞれ「183mgf」、「300mgf」、「1200mgf」、「40000mgf」となることが記載され、段落【0130】には、このような二軸延伸ポリステル系樹脂からなる「基材フィルム26a」(PET基材)の厚みは市販品として容易に入手可能であり、かつ偏光板のカールを抑制できる程度に十分な範囲であり、通常は「25μm以上、120μm以下」であること、この範囲内(「25μm以上、120μm以下」)であれば「プロテクトフィルム26」の「ガーレ法剛軟度」が、「好ましくは1.0×10^(4)mgf以下」の数値範囲内となることが記載されている。

(イ) 一方、片面にアクリル系粘着剤層が設けられた厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、偏光板のプロテクトフィルムとして周知・慣用の構成である(例えば、特開2011-154257号公報の段落【0151】、特開2009-251213号公報の段落【0039】、【0040】、特開2009-237489号公報の段落【0053】?【0055】、特開2001-305346号公報の段落【0029】、【0030】等を参照)。そして、38μm程度の厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなるプロテクトフィルム(表面保護フィルム)が、フィルムの強度に加え、フィルムの取り扱い、貼合・剥離作業、あるいはコストの面で好ましいものであることは、当業者の技術常識である(例えば、特開2001-305346号公報の段落【0018】?【0020】、特開2013-235024号公報の段落【0022】、特開2007-304317号公報の段落【0010】?【0011】等参照。)。

(ウ) 引用発明において、「プロテクトフィルム26」として、「ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下」という範囲のものから、どのような値にするかは、各数値のものを用いる場合のメリット等を考慮して、当業者が適宜に決定すれば足りる設計事項である。そうすると、引用発明において、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」として、上記(ア)と(イ)に示したように、好ましい「1.0×10^(4)mgf以下」の範囲を満たし、フィルム強度に加え、フィルムの取り扱い、貼合・剥離作業、あるいはコストの面でメリットがあり、周知慣用でもある厚みが38μmの市販の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるものを用いることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 「内側フィルム23」について
(ア) 引用発明1の「偏光板20」は「直線偏光板(保護フィルム付き)」であり、その「内側フィルム23」は、「内側フィルム23(無配向性フィルム)」である。
引用発明1の「内側フィルム23」に関し、引用文献1の段落【0042】等には、その材料として、オレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が、光弾性係数が小さく、また、透湿度が低く湿熱条件での耐久性に優れ、好ましいことが記載されている。また、「無配向性フィルム」に関し、引用文献1の段落【0112】には、「内側フィルム23自体のハンドリング性も考慮すると35?45μmのものがより好ましい」と記載されているところ、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるフィルムと比較して、コシ等の機械的特性が劣る。

(イ) そうすると、上記(ア)の引用文献1の記載・示唆より、引用発明1の「内側フィルム23(無配向性フィルム)」を、ポリプロピレン系樹脂からなる、比較的厚い(例:45μm)フィルムとすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 「外側フィルム25」について
(ア) 引用発明1の「偏光板20」の「直線偏光板(保護フィルム付き)」の「外側フィルム25」に関し、引用文献1の段落【0115】及び【0116】には、「保護フィルム」としての「外側フィルム25」材料としては、内側フィルム23と同じく湿熱条件での耐久性の高さや偏光フィルム21との接着性の良さから、オレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂が好ましいことが記載されている。また、「外側フィルム25」の厚みついて、引用文献1の【0117】には、外側フィルム25の厚みは、通常、20?200μmであり、好ましくは20?120μmであること、保護フィルム25の厚みが20μm未満であるとハンドリングしにくくなり、反対に厚みが120μmを超えると偏光板20が厚くなりすぎることが記載されている。

(イ) ここで、保護フィルムとしては、厚みが厚い方がその保護機能が高いものとなることは当業者にとって明らかである。そうすると、上記(ア)の引用文献1の記載・示唆に基づき、引用発明1の「外側フィルム25」を、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムとすること、また、該フィルムの厚みを、保護機能が高く、ハンドリング性に優れる厚さ(例:120μm)とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 「偏光フィルム21」、「接着剤層」、「粘着剤層27」及び「セパレートフィルム28」について
(ア) 引用発明1の「偏光フィルム21」に関し、引用文献1の段落【0026】、【0030】、【0038】等には、「偏光フィルム21」を、一軸延伸、二色性色素による染色とホウ酸処理が施されたものとすること、「偏光フィルム21」の延伸倍率を3?8倍程度とすること、また、「偏光フィルム21」の厚みを、例えば2?40μm程度とすることが記載されている。

(イ) 引用発明1の2つの「接着剤層」に関し、引用文献1の段落【0149】?【0169】には、特に、偏光フィルム25や内側フィルム23との接着性に優れる無溶剤型のエポキシ系接着剤が好ましいこと、また、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着材層の厚みは、通常、50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また、通常は1μm以上とすることが記載されている。

(ウ) 引用発明1の「粘着剤層27」に関し、引用文献1の段落【0135】、【0146】には、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましいこと、粘着剤層27の厚みは3?25μm程度とすることが好ましいことが記載されている。

(エ) 引用発明1の「セパレートフィルム28」に関し、引用文献1の段落【0147】、【0148】には、その透明基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂を用いることや、セパレートフィルム28のガーレ法剛軟度は70mgf以上であることがより好ましいことが記載されている。

オ [プロテクトフィルム貼合工程(D-1)]について
引用発明1は、[プロテクトフィルム貼合工程(D-1)]において、「第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールを若干正カールとすることを可能と」するものであるところ、引用文献1の段落【0207】等には、得られる偏光板20のカールを若干正カールとする手段として、各貼合ロールの周速度に差を設けること以外にも、一方(外側)のフィルムの貼合前張力を他方(内側)のフィルムの貼合前張力よりも大きくし、貼合前張力に差を設けることでカールの制御を行うことができることが記載されている。

カ また、引用発明1は、「第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合する」構成を具備するところ、これを、「プロテクトフィルム26」のフィルム張力(本件発明でいう「F_(1)」)を「偏光板積層体」のフィルム張力(本件発明でいう「F_(2)」)よりも大きくする構成に替えることは、上記オに示した事項が示唆する範囲内の設計変更にすぎない。

キ そして、引用発明において、以上ア?カで述べた構成を採用してなるものは、上記相違点1に係る本件発明の構成を具備したものとなるといえる。
すなわち、例えば、「基材フィルム26a」、「内側フィルム23」及び「外側フィルム25」の厚みを、それぞれ38μm、45μm及び120μmとした場合について計算してみると、以下のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)の引張弾性率は2800?4200MPa程度、ポリプロピレン(PP)の引張弾性率1100?1600MPa程度であることが知られているところ(PETの引張弾性率については、例えば、「身の回りの代表的なプラスチック/ポリエチレン(PE)」、[online]、日本プラスチック工業連盟、(平成30年10月5日検索)、インターネット<URL:http://www.jpif.gr.jp/00plastics/conts/pet_c.htm>、特開2011-154257号公報の段落【0151】、引用文献2の段落【0144】等を、ポリプロピレン(PP)の引張弾性率については、例えば、「身の回りの代表的なプラスチック/ポリプロピレン(PP)」、[online]、日本プラスチック工業連盟、(平成30年10月5日検索)、インターネット<URL:http://www.jpif.gr.jp/00plastics/conts/pp_c.htm>、「PP(ポリプロピレン)樹脂物性表2」、[online]、株式会社KDA、(平成30年10月5日検索)、インターネット<URL:https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pp2b.htm>(平成30年6月20日提出の意見書に参考資料として添付されたもの)等を参照。)、上記のPETの引張弾性率(範囲)及びPPの引張弾性率(範囲)に基づけば、厚みが38μmのPETからなる「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性は106400?159600μm・MPa(=(38μm)×(2800?4200MPa))程度、厚みが45μmのPPからなる「内側フィルム23」と厚みが120μmのPPからなる「外側フィルム25」の合計の剛性は181500?264000μm・MPa(=(45μm+120μm)×(1100?1600MPa))程度と見積もることができることから、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性よりも、「内側フィルム23」と「外側フィルム25」の合計の剛性の方が大きくなると考えられる(仮に、引用発明1の「内側フィルム23(無配向性フィルム)」を、厚みが35μm(上記イ(ア)参照)のポリプロピレン系樹脂からなるフィルムとしたとしても同様である。)。
また、引用発明1の「偏光板積層体」は、これらフィルムに加えて、「偏光フィルム21」及び「セパレートフィルム28」をも具備するものである。そうしてみると、引用発明1において、「プロテクフィルム26」の剛性(本件発明でいう「E_(1)×T_(1)」)が、「偏光板積層体」の剛性(本件発明でいう「E_(2)×T_(2)」)を下回ることは明らかである(さらに、接着剤層や粘着剤層を考慮しても、同様である。)。
したがって、引用発明1において前記ア?カで述べた構成を採用してなる「プロテクトフィルム貼合工程(D-1)」は、「下記式(I):

を満たす条件下で行う」という要件を満たしたものとなる。

ク 請求人は、平成30年6月20日付け意見書において、概略、引用文献1の記載に接した当業者ならば、プロテクトフィルム26の厚みとして、120μmを採用すると主張する。
そこで、念のため、引用発明1の「プロテクトフィルム26」の厚みを「120μm」(引用文献1の段落【0130】に記載の「通常は、25μm以上、120μm以下」の上限値)、「内側フィルム23(無配向性フィルム)」の厚みを「35μm」(同段落【0112】の記載の「35?45μmのものがより好ましい」の下限値)、「外側フィルム25」の厚みを「20μm」(同段落【0117】に記載の「好ましくは20?120μmである」の下限値)とした場合についても検討すると、以下のとおりである。
すなわち、フィルムの張力の調整に積層体を正カールの状態で貼合せることに関して、引用文献2の段落【0036】、【0037】、【0144】及び【0145】には、フィルムの一方側の張力を他方側の張力の10倍程度とする技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)を把握することができる。
そうしてみると、引用発明1の「第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合する」構成を、「プロテクトフィルム26のフィルム張力を偏光板積層体のフィルム張力の10倍程度とする」構成とすることは、上記各フィルムの厚み及び材質と引用文献2に記載された事項を勘案した当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項と考えられる。
そして、引用発明1の各フィルムの厚みとして、上記厚みを採用した場合においては、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性は336000?504000μm・MPa(=(120μm)×(2800?4200MPa))程度、「内側フィルム23」と「外側フィルム25」の合計の剛性は60500?88000μm・MPa(=(35μm+20μm)×(1100?1600MPa))程度となるから、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性が、「内側フィルム23」と「外側フィルム25」の合計の剛性の10倍を超えないことが分かる。さらに上記エ(ア)、(イ)及び(ウ)に示した構成の「偏光フィルム21」、「接着剤層」(2層)、「セパレートフィルム28」の偏光板の剛性への加算的な寄与があるから、「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))が、「偏光板積層体」の剛性(E_(2)×T_(2))の10倍を超えることはない(より具体的には、延伸倍率が5?6倍程度の偏光フィルムのMD方向(延伸方向)の引張弾性率(ヤング率)が12000MPa程度であることが知られているところ(例えば、国際公開第2013/054642号の段落[0061]、[0077]、[0078][表4]、特開2006-18245号公報の段落【0219】、特開2006-267503号公報の段落【0054】等を参照。)、延伸倍率の他に水分量、架橋密度等に依存する引張弾性率が半分の6000MPa程度まで大きく低下することがあったとしても、厚みを2?40μm程度(上記エ(ア)参照)とした偏光フィルムの偏光板の剛性への加算的な寄与が、12000?480000μm・MPa(=(2?40μm)×(6000?12000MPa)程度あると見積もることができる。そうすると、「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))が、「偏光板積層体」の剛性(E_(2)×T_(2))の10倍を超えることはないといえる。)。
そうしてみると、引用発明1において、得られる偏光板20のカールを若干正カールとするために、偏光板の製造方法において、フィルムの一方側の張力を他方側の張力の10倍程度として、得られる積層体を他方側が凸となる正カールとする引用文献2記載技術を採用して、上記相違点1に係る本件発明の構成を具備したものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ケ よって、引用発明1において、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(4) 以上のとおりであるから、本件発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
あるいは、本件発明は、引用発明1及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 引用発明2を主引用発明とした場合の対比及び判断
(1) 対比及び一致点、相違点
ア 対比及対比
引用発明2と引用発明1とは、製造される「偏光板20」及び「内側フィルム23」が、引用発明2においては、「直線偏光板(光学補償機能付き)」及び「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」であり、引用発明1においては、「直線偏光板(保護フィルム付き)」及び「内側フィルム23(無配向性フィルム)」である点においてのみ異なる。
そうすると、上記2(1)ア?2(1)カにおける対比と同様な対比により、本願発明と引用発明2とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「偏光板の片面にプロテクトフィルムを重ねて一対の貼合ロール間に通すことにより押圧する工程を含むプロテクトフィルム付偏光板の製造方法であって、
前記偏光板は、偏光フィルムと、その一方の面に積層される第1熱可塑性樹脂フィルムとを含み、
前記プロテクトフィルムは、前記第1熱可塑性樹脂フィルム側に配置される、製造方法。」

イ 相違点
本願発明と引用発明2とは、以下の点で相違する。
(相違点2)
本件発明1は、「前記押圧する工程を式(I)を満たす条件下で行う」ものであるのに対して、
引用発明2は、[プロテクトフィルム貼合工程(D-1)]において、「貼合」される「プロテクトフィルム26」は、「ガーレ法剛軟度が1.0×10^(2)mgf以上、1.0×10^(5)mgf以下、好ましくは1.0×10^(4)mgf以下」であり、第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合することで、得られる偏光板20のカールを若干正カールとすることを可能としているものの、「前記押圧する工程を式(I)を満たす条件下で行う」ものであるのか明らかでない点。
ここで、式(I)は、以下のものである。
【数1】

(プロテクトフィルムの厚みをT_(1)〔μm〕、MDにおける引張弾性率をE_(1)〔MPa〕、一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(1)〔N/m〕とし、偏光板の厚みをT_(2)〔μm〕、MD方向における引張弾性率をE_(2)〔MPa〕、一対の貼合ロールに通す前のMDにおけるフィルム張力をF_(2)〔N/m〕とする。)

(2) 判断
上記相違点2について検討する。
ア 「内側フィルム23」について
(ア) 引用発明2の「偏光板20」は「直線偏光板(光学補償機能付き)」であり、その「内側フィルム23」は、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」である。
引用発明2の「内側フィルム23」に関し、引用文献1の段落【0104】?【0108】には、「内側フィルム23」を「(3-2)二軸性位相差フィルム」とした場合について、「二軸性位相差フィルム」は、未延伸フィルムに二軸延伸を行い、二軸方向に複屈折性を発現させたフィルムであり、薄膜化されており、フィルム自体の剛性も高く表面保護機能が高いこと、延伸倍率は、縦方向及び横方向のいつ、光軸を発現させる方向(延伸倍率が大きい方向であって、遅相軸となる方向)で1.1?10倍程度、それと直交する方向(延伸倍率が小さい方向であって、進相軸となる方向)で1.1?7倍程度の範囲から適宜選択すればよいこと、フィルムの横方向に光軸を発現させてもいし、縦方向に光軸を発現させてもよいこと、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、「KC4FR-1(コニカミノルタオプト(株)製)」、「KC4HR-1(コニカミノルタオプト(株)製)」などが挙げられること、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」の面内位相差R_(0)が30?200nmの範囲にあり、厚み方向位相差R_(th)が30?350nmの範囲にあるものが好ましいこと、R_(0)は、好ましくは100nm以下であり、R_(th)は好ましくは80nm以上、200nm以下であることが記載されている。

(イ) ここで、位相差板として市販されているコニカミノルタオプト(株)製の「KC4FR-1」、あるいは「KC4HR-1」は、トリアセチルセルロース(TAC)からなること、厚みはそれぞれ40μm、あるいは48μmであること、また、そのR_(0)及びR_(th)の値が上記(ア)の好ましいとされる、R_(0)=30?100nm、R_(th)=80?200nmの範囲内のものであることは、当業者の技術常識である(「KC4FR-1」の材料、厚み、R_(0)及びR_(th)については、例えば、特開2009-169393号公報の段落【0066】、特開2013-205741号公報の段落【0067】等を、「KC4HR-1」については、特開2010-39222号公報の段落【0204】、特開2011-39093号公報の段落【0077】等を参照。)。

(ウ) そうすると、上記(ア)と(イ)より、引用発明2において、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」として、例えば、厚みが48μmのTACからなる「KC4HR-1」を用いることは、当業者であれば容易になし得たことである。あるいは、引用発明2において、厚みが40μmのTACからなる「KC4FR-1」を用いることは、当業者であれば容易になし得たことである。また、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」をTACとすることは、偏光フィルム21に対する接着性が良好であり、内側フィルム23を十分な強度で偏光フィルムに接着できる(引用文献1段落【0042】参照)ことからも、好ましいことである。

イ 引用発明2の「プロテクトフィルム26」、「外側フィルム25」、「偏光フィルム21」、「接着材層」、「粘着剤層27」及び「セパレートフィルム28」については、上記2(3)ア、2(3)ウ及び2(3)エ(ア)?(エ)と同様なことがいえる。
また、引用発明2の「プロテクトフィルム貼合工程(D-1)」についても、上記2(3)オ及びカと同様なことがいえる。

ウ そして、上記アとイによれば、上記2(3)キと同様、引用発明2において、上記2(3)ア、2(3)ウ?カ及び上記アで述べた構成を採用してなるものは、上記相違点2に係る本件発明1の構成を具備したものとなるといえる。
すなわち、例えば、「基材フィルム26a」、(TACからなる)「内側フィルム23」及び「外側フィルム25」の厚みを、それぞれ38μm、48μm及び120μmとした場合について計算してみると、以下のとおりである。
トリアセチルセルロース(TAC)樹脂の引張弾性率は、3200?4500MPa程度であることが知られているところ(TACの引張弾性率について、例えば、特開2009-37223号公報の段落【0019】【表1】、特開2012-179893号公報の段落【0062】【表1】(実施例5)、特開2013-210446号公報の段落【0099】、【0102】【表1】(実施例2)等参照。)、上記2(3)キにおけるPET及びPPの引張弾性率に基づけば、厚みが38μmのPETからなる「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性は106400?159600μm・MPa程度、厚みが48μmのTACからなる「KC4HR-1」である「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」と厚みが120μmのPPからなる「外側フィルム25」の合計の剛性は285600?408000μm・MPa(=(48μm)×(3200?4500MPa)+(120μm)×(1100?1600MPa))程度と見積もることができるから、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性よりも、「内側フィルム23」と「外側フィルム25」の合計の剛性の方が大きくなることが導かれる(あるいは、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」を、厚みが40μmのTACからなる「KC4FR-1」としたとしても同様である。)。
また、引用発明2の「偏光板積層体」は、これらフィルムに加えて、「偏光フィルム21」及び「セパレートフィルム28」をも具備するものである。そうしてみると、引用発明2において、「プロテクフィルム26」の剛性(本件発明でいう「E_(1)×T_(1)」)が、「偏光板積層体」の剛性(本件発明でいう「E_(2)×T_(2)」)を下回ることは明らかである(さらに、接着剤層や粘着剤層を考慮しても、同様である。)。
したがって、引用発明2において上記2(3)ア、2(3)ウ?カ及び上記アで述べた構成を採用してなる「プロテクトフィルム貼合工程(D-1)」は、「下記式(I):

を満たす条件下で行う」という要件を満たしたものとなる。

エ 上記2(3)クと同様に、念のため、引用発明2の「プロテクトフィルム26」の厚みを「120μm」(引用文献1の段落【0130】に記載の「通常は、25μm以上、120μm以下」の上限値)、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」の厚みを「40μm」(同段落【0105】に市販品として例示された「KC-4FR-1(コニカミノルタオプト(株))」を採用した場合)、「外側フィルム25」の厚みを「20μm」(同段落【0117】に記載の「好ましくは20?120μmである」の下限値)とした場合についても検討すると、以下のとおりである。
引用発明2の「第3の貼合ロール16の周速度よりも第4の貼合ロール17の周速度を早くして貼合する」構成を、「プロテクトフィルム26のフィルム張力を偏光板積層体のフィルム張力の10倍程度とする」構成とすることは、上記各フィルムの厚み及び材質と引用文献2に記載された事項を勘案した当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項と考えられる。
そして、引用発明2の各フィルムの厚みとして、上記厚みを採用した場合においては、「プロテクトフィルム26」の「基材フィルム26a」の剛性は336000?504000μm・MPa程度(上記2(3)ク参照。)、「内側フィルム23(二軸性位相差フィルム)」と「外側フィルム25」の合計の剛性は150000?212000μm・MPa(=(40μm)×(3200?4500MPa)+(20μm)×(1100?1600MPa)程度と見積もることができるところ、さらに、「偏光フィルム21」、「セパレートフィルム28」、「接着剤層」等の加算的な寄与があるから、「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))が、「偏光板積層体」の剛性(E_(2)×T_(2))の10倍を超えることはない。
そうしてみると、引用発明2において、得られる偏光板20のカールを若干正カールとするために、偏光板の製造方法において、フィルムの一方側の張力を他方側の張力の10倍程度として、得られる積層体を他方側が凸となる正カールとする引用文献2記載技術を採用して、上記相違点2に係る本件発明の構成を具備したものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

オ よって、引用発明2において、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

(4) 以上のとおりであるから、本件発明は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
あるいは、本件発明2は、引用発明2及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 上記2、3においては、それぞれ、「(iii)直線偏光板(保護フィルム付き)」(引用文献1段落【0181】)の製造方法を引用発明1、「(ii)直線偏光板(光学補償機能付き)」(同段落【0180】)の製造方法を引用発明2として検討したが、「(i)楕円偏光板」(同段落【0179】)の製造方法、あるいは「(iv)偏光板(保護フィルム付き)」(同段落【0182】)の製造方法を主引用発明として検討しても同様である。

5 平成30年6月20日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)における当審拒絶理由に対する請求人の主張について
(1) 請求人は、意見書の「2.拒絶理由に対する意見」において、〔a〕(2頁下から16行?4頁4行)の点として、『拒絶理由通知書において述べられている請求項1の進歩性を否定するための論理付けにおいて、引用例1に記載されている数あるプロテクトフィルムの中から「厚みが38μmのプロテクトフィルム」を特定的に選択したことには、本願請求項1に記載の式(I)の関係式を見た後で、できるだけ「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))<「偏光板20」の剛性(E_(2)×T_(2))となる蓋然性が高まるようにするという恣意的な意図があるとしか思えません。この点において、拒絶理由通知書において述べられている請求項1の進歩性を否定するための論理付けは、後知恵であると考えます。』、『引用例1に記載された発明において、プロテクトフィルムは、偏光板に対して保形・補強の役割を果たすものであり([0020]、[0124])、また、[0130]の教示に鑑みても、引用例1に接した当業者は、[0129][表1]及び[0130]に記載の厚みの中から、できるだけ厚くて剛軟度が高いものを選択するはずです。』、『そうしますと、引用例1の[0129][表1]及び[0130]に記載に照らして、プロテクトフィルム26として、仮に、厚み120μmのものを選択した場合(プロテクトフィルムの剛性=120μm×3500MPa=420000μm・MPa)、内側フィルム23及び外側フィルム25が最大の厚みであっても、「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))<「偏光板20」の剛性(E_(2)×T_(2))の関係を満たすことはありません。偏光板20の剛性の最大値は、拒絶理由通知書の算出方法に従えば、(内側フィルム23の最大厚み+外側フィルム25の最大厚み)×ポリプロピレン樹脂の引張弾性率の最大値=(45μm+120μm)×1600MPa=264000μm・MPaです。「プロテクトフィルム26」の剛性(E_(1)×T_(1))<「偏光板20」の剛性(E_(2)×T_(2))の関係を満たすことがない以上、F_(1)>F_(2)とした場合でも、引用発明1において、F_(1)/(E_(1)×T_(1))>F_(2)/(E_(2)×T_(2))が満たされる蓋然性が高いとはいえません。』、『以上のとおり、引用例1に接した当業者は、プロテクトフィルムの厚みとして38μmを選択することはないのであり、恣意的にこの厚みを選択して議論している拒絶理由通知書の論理付けは後知恵に相当します。』、『引用例1の教示に従えば、プロテクトフィルムの厚みとして、当業者は例えば120μm([0130])を選択します。この場合、F_(1)>F_(2)とした場合でも、引用発明1において、F_(1)/(E_(1)×T_(1))>F_(2)/(E_(2)×T_(2))が満たされる蓋然性が高いとは到底いえません。』と主張している。

(2) しかしながら、上記2(3)アで述べたとおり、引用発明1(あるいは引用発明2)において、プロテクトフィルム26の基材フィルム26aを、厚みが38μmのPETフィルムとすることには十分な動機付けがあり、引用文献1の記載に接した当業者にとってごく自然な選択である。
そして、上記2(3)ク、あるいは上記3(2)エで述べたとおり、プロテクトフィルム26の厚みとして、120μmを採用したとしても、引用発明1あるいは引用発明2に、引用文献2記載技術を採用して、F_(1)/(E_(1)×T_(1))>F_(2)/(E_(2)×T_(2))を満たす構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
してみると、意見書の点〔a〕に係る請求人の上記(1)の主張を採用することはできない。

(3) また、請求人は、意見書の「2.拒絶理由に対する意見」において、〔b〕(4頁5?31行)の点として、『引用例1の[0207]は、外側フィルム25/偏光フィルム21/粘着剤付き内側フィルム24の積層体(プロテクトフィルムなしの偏光板)を製造する際に、外側フィルム25の貼合前張力を粘着剤付き内側フィルム24の貼合前張力より若干大きくすることを述べているのであり、プロテクトフィルム付き偏光板を製造するにあたって、プロテクトフィルムの貼合前張力と偏光板の貼合前張力との関係を制御することについて、引用例1に開示もなければ示唆もありません。』、『引用例2もまた、プロテクトフィルム付き偏光板のカール抑制については言及しません。』、『プロテクトフィルムなしの偏光板に関する記載を、何らの動機付けなしにプロテクトフィルム付き偏光板に適用して本願発明の進歩性を否定することは、プロテクトフィルム付き偏光板に係る本願発明を知ったうえで進歩性否定の論理付けを行った後知恵に他ならないといえます。』、『以上のとおり、拒絶理由通知書に記載されている進歩性否定の論理付けは、後知恵であって認められるものではありません。この意味で、本願発明は、進歩性欠如の拒絶理由を有するものではありません。』、『後知恵を排除して考察したとき、上記〔a〕で述べましたとおり、F_(1)>F_(2)とした場合でも、引用発明1において、F_(1)/(E_(1)×T_(1))>F_(2)/(E_(2)×T_(2))が満たされる蓋然性が高いとは到底いえず、したがって、引用発明1に基づいて本願発明に想到することは当業者において容易になし得たことではありません。引用例2は、プロテクトフィルム付き偏光板のカール抑制については何も言及しませんので、引用例2に記載された事項をさらに参酌しても、本願発明に想到することは当業者において容易になし得たことではありません。』と主張している。

(4) しかしながら、引用文献1の段落【0203】?【0207】には、「第1の貼合ロール14」と「第2の貼合ロール15」とにより、「外側フィルム25」、「偏光フィルム12」、「粘着剤付き内側フィルム24」を貼合する際に、得られる偏光板20を若干正カールとするために、「第1の貼合ロール14」の周速度よりも「第2の貼合ロール15」の周速度を早くして貼合を行って、「外側フィルム25」には収縮応力が、「粘着剤付き内側フィルム24」には引張応力がそれぞれ付与された状態で貼合し、それぞれの応力解放に伴って偏光板20が歪み、カールを発生させてもよいし、「外側フィルム25」の貼合前張力を、「粘着剤付き内側フィルム24」の貼合前張力よりも若干大きくしてもよいことが記載されているところ、上記の引用文献1の記載・示唆に接した当業者は、得られる偏光板20を若干正カールとするための上記の両手段が、貼合後の積層体における(貼合時に付与した)非対称な応力の差に基づいて積層体のカールを制御するものであること、また、このような貼合後の積層体における(貼合時に付与した)非対称な応力の差に基づくカール制御技術は、貼合時の貼合対象がどのようなものか、あるいは貼合後の積層体がどのようなものかに関係なく適用することができると理解する。
そして、引用発明1は、「プロテクトフィルム26」を「外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23/粘着剤層27/セパレートフィルム28」の「積層体」(偏光板)に貼合する際、「第3の貼合ロール16」の周速度よりも「第4の貼合ロール17」の周速度を早くして貼合して、得られる偏光板20を若干正カールとすることを可能としているところ、上記と同じカール制御作用・機序に基づき、得られる偏光板20(プロテクトフィルム付偏光板)を正カールとしていると理解できるから、これに替え、「プロテクトフィルム26」の貼合前張力を、「外側フィルム25/偏光フィルム21/内側フィルム23/粘着剤層27/セパレートフィルム28」の「積層体」(偏光板)の貼合前張力よりも大きくした構成とすることは、上記の引用文献1の記載に接した当業者が容易になし得たことということができる。
また、引用文献2記載技術も、同じカール制御作用・機序に基づくものであるから、引用発明1において、引用文献2記載技術を採用して、プロテクトフィルムの貼合前張力を、偏光板の貼合前張力よりも大きくした構成とすることは、引用文献1及び2の記載に接した当業者であれば容易になし得たことということができる。
してみると、意見書の点〔b〕に係る請求人の上記(3)の主張を採用することはできない。

6 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
あるいは、本件発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本件出願の請求項1に係る発明は、特許を受けることができないから、請求項2?8に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-25 
結審通知日 2018-10-30 
審決日 2018-11-12 
出願番号 特願2016-18968(P2016-18968)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 清水 康司
河原 正
発明の名称 プロテクトフィルム付偏光板の製造方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ