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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23D
管理番号 1347396
審判番号 不服2017-16962  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-15 
確定日 2018-12-27 
事件の表示 特願2013-200836「加熱調理用油脂組成物及び該加熱調理用油脂組成物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月13日出願公開、特開2015- 65833〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月27日の出願であって、平成29年2月24日付けで拒絶理由が通知され、平成29年4月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年9月4日付けで拒絶査定され、その後、平成29年11月15日に拒絶査定不服審判が請求され、平成30年8月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)及び特許法第39条第6項に基づく協議指令が通知され、平成30年10月9日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成29年4月24日の手続補正により補正された明細書及び平成30年10月9日の手続補正により補正された特許請求の範囲からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
加熱用油脂組成物中に、25℃での動粘度が1000mm^(2)/sのシリコーンオイルを合計1?5ppm、ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計0.2?0.5質量%含有し、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成するポリグリセリンの平均重合度が3?7であり、平均エステル化度が45?80%であることを特徴とする加熱用油脂組成物(但し、シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている揚げ物用油脂組成物を除く)。」

第3 当審拒絶理由
当審が、平成30年8月28日付けで通知した拒絶理由のうち、理由2及び理由3は、以下のとおりである。

[理由2]本件出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用例一覧>
引用例1:特開2004-173614号公報 (以下、「引用例1」という。)
引用例2:日下兵爾、柿崎淳一、飛松尚孝、太田静行,”揚げ油におけるシリコーンオイルの機能について(第1報)”,油化学,日本,1977年,第26巻、第11号,P709-P714
(以下、「引用例2」という。)

[理由3]この出願の請求項1ないし4に係る発明は、本件出願の一部を新たに特許出願とした特願2017-220233号の特許請求の範囲における請求項1及び3ないし5に係る発明と同一と認められるから、この通知書と同日に発送した特許庁長官名による別紙指令書に記載した届出がないときは特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 当審の判断
第4-1[理由2]について
1.引用例1
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には、「揚げ物用油脂組成物」に関して以下の記載がある。(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下、同様。)

(1)引用例1の記載
1a)「【0015】
本発明で用いるシリコーン樹脂は、食用油脂に添加可能なものであれば特に限定されるものではなく、食品用シリコーン樹脂としては、オイル型、エマルジョン型、コンパウンド型があるが、このいずれでもよい。添加量は食品衛生法より鑑みて油脂に対して50ppm以下であることが必須であるが、10ppmを超えると、フライ用として使用した場合に特有な気泡の発生がみられるため好ましくない。望ましくは油脂に対して0.1?10ppmであり、さらに望ましくは1?5ppmである。
【0016】
揚げ物用油脂の耐熱性向上を狙って添加されるシリコーン樹脂は、油脂の界面に集まり、酸化される不飽和脂肪酸の界面濃度を低下させて熱酸化を抑制することが知られている。乳化剤の介在により、乳化剤とシリコーンの相乗効果でシリコーン膜が油脂表面に均一にでき、乳化剤が界面付近に集まると、酸化される不飽和脂肪酸の界面における濃度が低下する。そのため、シリコーンのみよりも不飽和脂肪酸、特にα-リノレン酸、リノール酸の熱酸化による分解速度が低下し、着色、加熱臭の原因となるカルボニル化合物の生成が抑制される。その効果は、乳化剤の構成脂肪酸が耐熱性のあるステアリン酸、またはオレイン酸の時に著しく発揮される。さらに、油脂に溶解した乳化剤が油脂のトリグリセライド分子間に存在することにより、加熱による分子間重合を阻害し、それに伴う劣化を抑制している。」

1b)「【0017】
アニシジン価の低下が無添加と比較して10に満たない場合、および吸光度の低下が無添加と比較して0.03に満たない場合には、上記のような乳化剤による熱酸化の抑制が起きておらず、着色の抑制はみられない。乳化剤の平均分子量が345以上の場合は、加熱分解による減少が少ないため少量で効果を発揮するが、平均分子量が345に満たない場合には、熱分解の影響を受けやすいため、特に不充分な温度管理などの原因で揚げ物調理中に適温より高くなってしまうような状況下では、徐々に減少して劣化抑制効果が小さくなってしまう。さらに、アニシジン価および吸光度を上記のように低下させる当該揚げ物用油脂組成物においても、乳化剤の添加量が5重量部を超える場合は、油への溶解性が悪く、濁りや沈殿を生じてしまうと共に、乳化剤の風味が強く感じられて好ましくない。また、平均分子量345以上の乳化剤を使用した揚げ物用油脂組成物においても、0.005重量部に満たない場合は、酸化抑制効果が十分でない。乳化剤の油脂への添加量は、0.01?1.0重量部が好ましく、さらに好ましくは、0.01?0.1重量部である。
【0018】
本発明で用いる食用乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド等があるが、ポリグリセリン脂肪酸エステルは風味が好ましく、かつ劣化抑制効果が大きいため特に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均グリセリン重合度2?6であり、かつ平均エステル化率(エステル化されたポリグリセリンの水酸基の割合)が15%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または平均グリセリン重合度10であり、かつ平均エステル化率が40%以上であることが好ましく、さらには、平均グリセリン重合度4?6であり、かつ平均エステル化率が50%以上であることが好ましい。重合度や平均エステル化率が前記好ましい範囲に入らないポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しても本発明の効果は得られるが、単位重量あたりの効果が相対的に少なく、十分に効果を発揮させるためには多く配合しなければならないので、結果として風味を損ねる場合もある。」

1c)「【0022】
【表1】

色度:ロビボンド法(133.4mmセル、10×赤+黄+20×青)数
値が大きいほど色が濃いことを示す。
A0-A1:無添加とのアニシジン価の差
B0-B1:無添加との吸光度の差
上記の結果から、本発明の規定した条件を満たす油脂組成物は、唐揚げフライによる着色が抑制されていることがわかる。」

1d)前記1c)の段落【0022】【表1】の比較例4には、ベース油が「シリコーン3ppm添加菜種油」であって、乳化剤として、「ヘキサグリセリンペンタオレエート」を油脂100重量部に対して0.2重量部添加したことが記載されている。

1e)前記1a)の段落【0015】において、本発明で用いる食品用のシリコーン樹脂は、オイル型でもよいことが記載されている。

1f)上記1d)における「ヘキサ(6)グリセリンペンタ(5)オレエート」のポリグリセリンの重合度は6であるから、エステル化度を計算すると、5/(6+2)=約63%であることが分かる。

(2)引用発明
上記(1)から、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100重量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2重量部配合し、
前記ヘキサグリセリンペンタオレエートが、構成するポリグリセリンの重合度が6であり、エステル化度が約63%である揚げ物用油脂組成物。」

2.引用例2
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には「揚げ油におけるシリコーンオイルの機能」に関して以下の記載がある。

(1)引用例2の記載
2a)「シリコーンオイル(以後SiOと略す)を添加した揚げ油は熱劣化が著しく抑制され,その熱安定性が向上する。」(709ページ左欄第2ないし4行)

2b)「2・1 試料
実験にはポリジメチルシロキサン系のKF96タイプ(信越化学株式会社製)の種々の粘度(10cSt・・100cSt・・500cSt・・1,000cSt・・3,000cSt・・10,000cSt・・)のSiOを用いた。
基質となる揚げ油はSiOの含まれていない脱色大豆油(味の素株式会社製)を用いた。」(710ページ左欄第6ないし13行)

2c)「3・2・3 SiOの重合の程度と添加量の相異の影響
次に240℃の高温度で種々の粘度をもつSiOを0.5ppm及び2.0ppm添加した大豆油を静置加熱した場合について,それらの粘度変化をFig.-1に示した。これらの結果から,1000cStのSiOを2ppm添加した場合が最大の効果を示し,次で500cSt 2ppmであった。添加濃度においては0.5ppmよりも2ppm添加がより効果を示した。」(711ページ右欄第8行ないし712ページ左欄第1行)

2d)上記2c)のFig.-1において、100cSt、500cSt、1000cSt、3000cSt、10000cStのSiO(シリコーンオイル)をそれぞれ0.5ppmあるいは2ppm大豆油に添加した場合の時間による粘度変化が示されており、1000cStのSiOを2ppm添加した場合において粘度変化が最も少ないことが示されている。

(2)引用例2記載事項
上記(1)から、引用例2には以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「100ないし10000cStの粘度をもつ種々のシリコーンオイルを0.5ppmまたは2.0ppm添加した大豆油を240℃で静置加熱した場合において、大豆油にシリコーンオイルを2ppm添加し、シリコーンオイルの粘度を1000cStとした場合に大豆油の熱劣化が最も効果的に抑制されること。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「揚げ物用油脂組成物」は、その機能、構成及び技術的意義から、本願発明における「加熱用油脂組成物」に相当し、同様に、「ヘキサグリセリンペンタオレエート」は「ポリグリセリン脂肪酸エステル」に、
相当する。
そして、引用発明における「シリコーン3ppm添加菜種油」は、ベース油である菜種油中にシリコーンオイルを3ppm含有するものであるから、本願発明における「加熱用油脂組成物中に」、「シリコーンオイルを合計1?5ppm」含有することとは、「加熱用油脂組成物中に」、「シリコーンオイルを3ppm」含有することにおいて共通し、
引用発明における「油脂100重量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2重量部配合」することと、本願発明における「ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計0.2?0.5質量%含有」することとは、「ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2質量%含有」することにおいて共通し、
引用発明における「ポリグリセリンの重合度が6である」ことと、本願発明における「ポリグリセリンの平均重合度が3?7である」こととは、「ポリグリセリンの重合度が6である」ことにおいて共通し、
引用発明における「エステル化度が約63%である」ことと、本願発明における「平均エステル化度が45?80%であること」とは、「エステル化度が約63%である」ことにおいて共通する。

したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「加熱用油脂組成物中に、シリコーンオイルを3ppm、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.2質量%含有し、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成するポリグリセリンの重合度が6であり、エステル化度が約63%である加熱用油脂組成物。」

[相違点1]
本願発明においては、シリコーンオイルの25℃での動粘度が1000mm^(2)/sであるのに対して、引用発明においては、シリコーンオイルの動粘度について不明である点。

[相違点2]
本願発明においては、加熱油脂組成物が、「シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている」ものを除いたものであるのに対して、引用発明においては、揚げ物用油脂組成物が、「シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合」したものである点。

以下、相違点について検討する。

[相違点1について]
上記引用例2記載事項は、「100ないし10000cStの粘度をもつ種々のシリコーンオイルを0.5ppmまたは2.0ppm添加した大豆油を240℃で静置加熱した場合において、大豆油にシリコーンオイルを2ppm添加し、シリコーンオイルの粘度を1000cStとした場合に大豆油の熱劣化が最も効果的に抑制されること」であるから、揚げ油に数ppm添加するシリコーンオイルの動粘度を100ないし10000cSt(mm^(2)/s)の範囲とすることは当業者が想定し得る範囲である。
そして、上記引用例2記載事項によれば、上記シリコーンオイルの動粘度の範囲のうち1000cSt(mm^(2)/s)とすることが高温の大豆油の熱劣化に対して最も効果的であり、シリコーンオイルに関して表記の動粘度が得られる温度については引用例2において特に明記されていないが、上記1.2a)の引用例2の記載において「実験にはポリジメチル系のKF96タイプ(信越化学株式会社製)の種々の粘度(10cSt・・100cSt・・500cSt・・1,000cSt・・3,000cSt・・10,000cSt・・)のSiOを用いた。」とあり、シリコーンオイル製品の動粘度は、製品カタログ等からみると25℃においての動粘度として表示されるのが一般的である。
したがって、引用発明におけるシリコーンオイルの動粘度に関して、揚げ物用油脂組成物の熱劣化を最小限とするために、上記引用例2記載事項を考慮して25℃において1000mm^(2)/sのものを採用することにより上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

なお、引用発明は、引用例1において比較例とされているものではあるが、シリコーンは、実施例と共通のベース油に添加されるものであって、油脂の熱酸化を抑制するものである(段落【0016】参照。)から、引用発明のシリコーンについて熱劣化をより小さくするものを選択する動機付けは認められる。

[相違点2について]
引用例1の上記1.(1)1a)の段落【0015】には、「本発明で用いるシリコーン樹脂は、・・・添加量は食品衛生法より鑑みて油脂に対して50ppm以下であることが必須であるが、10ppmを超えると、フライ用として使用した場合に特有な気泡の発生がみられるため好ましくない。望ましくは油脂に対して0.1?10ppmであり、さらに望ましくは1?5ppmである。」(下線は、当審による。)と記載されている。前記1.(1)1c)の表1における実施例及び比較例は共に共通のベース油が用いられているところ、その実施例について上記のとおりシリコーンを1?5ppm添加することが想定されているから、比較例も、実施例と共通のベース油として、シリコーンを1?5ppm添加したものが想定されるといえる。
よって、引用発明における「シリコーン3ppm添加菜種油」のシリコーン添加量を3ppmとする必然性はなく、3ppm以外の1?5ppmの範囲、例えば、2ppmなども採用しうることは明らかである。
したがって、引用発明における菜種油のシリコーンを3ppm以外の1?5ppmの範囲で添加したものを採用して、揚げ物用油脂組成物を「シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている」ものでないようにすることにより、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明は、引用発明及び引用例2記載事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

4.小括
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4-2[理由3]について
1.同日出願に係る発明
当審拒絶理由における本件出願の一部を新たな特許出願とした特願2017-220233号(以下、「同日出願」という。)に係る発明は、本件審理が終結した時点において、平成30年10月9日の手続補正により補正された(以下、「補正後」という。)特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項2に係る発明(以下、「同日出願発明」という。)は、次のとおりのものである。(下線は、補正箇所を示す。)

「 【請求項2】
加熱用油脂組成物中に、25℃での動粘度が800?2000mm^(2)/sのシリコーンオイルを合計1?5ppm、ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計0.2?0.5質量%含有し、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成するポリグリセリンの平均重合度が3?7であり、平均エステル化度が45?80%であることを特徴とする加熱用油脂組成物(但し、シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている揚げ物用油脂組成物を除く)。」

2.補正について
同日出願における補正前(出願当初)の請求項1は、
「【請求項1】
加熱用油脂組成物中に、25℃での動粘度が500?3000mm^(2)/sのシリコーンオイルを合計1?5ppm、ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計0.2?0.5質量%含有し、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成するポリグリセリンの平均重合度が3?7であり、平均エステル化度が45?80%であり、
酸価上昇及び/又は重合物量増加を抑えることを特徴とする加熱用油脂組成物。」であって、
補正後の同日出願の請求項2は、実質的に、同日出願における上記補正前(出願当初)の請求項1の記載における、シリコーンオイルの25℃での動粘度が「500?3000mm^(2)/s」であったのを「800?2000mm^(2)/s」と補正し、「酸化上昇及び/又は重合物量増加を抑える」を削除し、「(但し、シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている揚げ物用油脂組成物を除く)」を加えた補正をしたものに相当する。

3.本願発明と同日出願発明との対比
本願発明と同日出願発明とを対比すると、
「加熱用油脂組成物中に、シリコーンオイルを合計1?5ppm、ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計0.2?0.5質量%含有し、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、構成するポリグリセリンの平均重合度が3?7であり、平均エステル化度が45?80%であることを特徴とする加熱用油脂組成物(但し、シリコーン3ppm添加菜種油に、油脂100質量部に対してヘキサグリセリンペンタオレエートを0.2質量部配合されている揚げ物用油脂組成物を除く)。」の点で一致し、以下の点で一応相違する。

[相違点]
シリコーンオイルの25℃での動粘度に関して、本願発明においては「1000mm^(2)/s」であるのに対して、同日出願発明においては「800?2000mm^(2)/s」である点。(以下、「相違点」という。)

以下、相違点について検討する。

両者は、シリコーンオイルの25℃での動粘度に関して「1000mm^(2)/s」の数値において一致しており、かつ、同日出願発明が本願発明を包含する関係となっている。

次に、シリコーンオイルの25℃での動粘度についての本願明細書の記載をみると、
「【0019】
<シリコーンオイル>
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン構造を持ち、動粘度が25℃で500?3000mm^(2)/sのものが使用される。シリコーンオイルの動粘度は、特に800?2000mm^(2)/s、さらに900?1100mm^(2)/sであることが好ましい。シリコーンオイルの25℃での動粘度が500mm^(2)/s未満であると、加熱調理用油脂組成物中の酸価及び重合物量の上昇抑制効果が不十分であり、3000mm^(2)/s超であると、油脂組成物中への溶解作業に時間を要すようになる。
これらの、シリコーンオイルは、食品用途として市販されているものを用いることができる。
なお、ここでいう「動粘度」とは、JIS K 2283(2000)に準拠して測定される値を指すものとする。」と記載されている。

また、同日出願においても全く同じ記載がされている。

以上の記載から、本願発明におけるシリコーンオイルの25℃での動粘度と同日出願発明におけるシリコーンオイルの25℃での動粘度とは、「シリコーンオイルの25℃での動粘度が500mm^(2)/s未満であると、加熱調理用油脂組成物中の酸価及び重合物量の上昇抑制効果が不十分であり、3000mm^(2)/s超であると、油脂組成物中への溶解作業に時間を要すようになる」という同一の技術的意義を有するものであって、加熱調理用油脂組成物中に含有するシリコーンオイルの25℃での動粘度を1000mm^(2)/sとするか、800?2000mm^(2)/sとするかは、課題解決のための具体化手段における微差であるから上記相違点は実質的な相違点とはいえない。
したがって、本願発明は、同日出願発明と同一である。

また、特許法第39条第6項の協議の届出は提出されていないので、特許法第39条第7項の規定により、協議が成立しなかったものとみなされる。

4.小括
以上のとおり、本願発明は、同日出願発明と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2記載事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明は、同日出願発明と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-29 
結審通知日 2018-10-30 
審決日 2018-11-12 
出願番号 特願2013-200836(P2013-200836)
審決分類 P 1 8・ 4- WZ (A23D)
P 1 8・ 121- WZ (A23D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 晴絵  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 松下 聡
田村 嘉章
発明の名称 加熱調理用油脂組成物及び該加熱調理用油脂組成物の製造方法  
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