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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1347401
審判番号 不服2018-1062  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-25 
確定日 2018-12-27 
事件の表示 特願2013- 26933「画像が形成された媒体および媒体の確認方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日出願公開、特開2014-156024〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月14日の出願であって、平成28年12月28日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年6月8日付けで手続補正がなされ、同年11月8日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年1月25日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 平成30年1月25日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の【請求項1】を、下記(2)に示す本件補正後の【請求項1】へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の【請求項1】
「基材上に画像が形成された媒体であって、
前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み、
前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み、
第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、
前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、
前記第1光が照射されたときの、前記第1背景領域からの反射光の色相に対する前記第1絵柄領域からの反射光の色相の関係と、前記第2光が照射されたときの、前記第2背景領域からの反射光の色相に対する前記第2絵柄領域からの反射光の色相の関係と、が反転関係にある、媒体。」

(2)本件補正後の【請求項1】
「基材上に画像が形成された媒体であって、
前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
前記第1画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第1絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1背景領域と、を含み、
前記第2画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第2絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2背景領域と、を含み、
前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成しており、
第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されず、
前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、
前記第1光が照射されたときの、前記第1背景領域からの反射光の色相に対する前記第1絵柄領域からの反射光の色相の関係と、前記第2光が照射されたときの、前記第2背景領域からの反射光の色相に対する前記第2絵柄領域からの反射光の色相の関係と、が反転関係にある、媒体。」(下線は当審で付した。以下同じ。)

2 補正の適否
(1)各補正事項
上記1によれば、本件補正は、
(1-1)本件補正前の【請求項1】の発明特定事項である「前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み」を「前記第1画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第1絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1背景領域と、を含み」、とする補正(以下「補正事項1」という。)、
(1-2)本件補正前の【請求項1】の発明特定事項である「前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み」を「前記第2画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第2絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2背景領域と、を含み」、とする補正(以下「補正事項2」という。)、
(1-3)本件補正前の【請求項1】に、「前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成しており」、との発明特定事項を追加する補正(以下「補正事項3」という。)、
(1-4)本件補正前の【請求項1】の発明特定事項である「前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され」を「前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されず」、とする補正(以下「補正事項4」という。)、
(1-5)本件補正前の【請求項1】の発明特定事項である「前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され」を「前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず」、とする補正(以下「補正事項5」という。)、
を含むものである。

(2)新規事項の追加の有無について
(2-1)補正事項1について
補正事項1について、本件補正後の請求項1に係る発明に記載された事項から想定される態様として、第1絵柄領域とは、「領域」との特定から、輪郭が認識し得る領域、例えば、第1の実施の形態の「O」のような輪郭を有し、所定の色に塗り潰された領域を含むものとなることから、そのような領域に互いに離間して配置された複数の単位領域があわせて形成されているような態様を含むものと解される。
また、同様に、第1背景領域とは、「領域」との特定から、輪郭が認識し得る領域の周囲に配置された領域、例えば、第1の実施の形態の「O」のような輪郭を有する領域の周囲に配置され、所定の色に塗り潰された領域を含むものとなることから、そのような領域に互いに離間して配置された複数の単位領域があわせて形成されているような態様を含むものと解される。
これに対し、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。特に、【0079】及び【0080】並びに【図20】及び【図21】)には、互いに離間して配置された複数のドット領域21a,22aしか記載されておらず、上記のような態様の第1絵柄領域及び第1背景領域は、記載も示唆もされていない。
また、上記のように、第1絵柄領域及び第1背景領域は、その境界を特定するものを要する。しかし、上記当初明細書等(特に、【0079】及び【0080】並びに【図20】及び【図21】)には、互いに離間して配置された複数のドット領域21a,22aしか記載されておらず、領域を特定する境界は、記載も示唆もされていないから、当初明細書等からは「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる第1絵柄領域」及び「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる第1背景領域」を観念できるものは記載も示唆もされていない。
そうすると、補正事項1は、当初明細書等に記載されているとはいえない。
以上のことから、補正事項1である「第1画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第1絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1背景領域と、を含み」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2-2)補正事項2について
補正事項2について、本件補正後の請求項1に係る発明に記載された事項から想定される態様として、第2絵柄領域とは、「領域」との特定から、輪郭が認識し得る領域、例えば、第1の実施の形態の「K」のような輪郭を有し、所定の色に塗り潰された領域を含むものとなることから、そのような領域に互いに離間して配置された複数の単位領域があわせて形成されているような態様を含むものと解される。
また、同様に、第2背景領域とは、「領域」との特定から、輪郭が認識し得る領域の周囲に配置された領域、例えば、第1の実施の形態の「K」のような輪郭を有する領域の周囲に配置され、所定の色に塗り潰された領域を含むものとなることから、そのような領域に互いに離間して配置された複数の単位領域があわせて形成されているような態様を含むものと解される。
これに対し、当初明細書等(特に、【0079】及び【0081】並びに【図20】及び【図21】)には、互いに離間して配置された複数のドット領域26a,27aしか記載されておらず、上記のような態様の第2絵柄領域及び第2背景領域は、記載も示唆もされていない。
また、上記のように、第2絵柄領域及び第2背景領域は、その境界を特定するものを要する。しかし、上記当初明細書等(特に、【0079】及び【0081】並びに【図20】及び【図21】)には、互いに離間して配置された複数のドット領域26a,27aしか記載されておらず、領域を特定する境界は、記載も示唆もされていないから、当初明細書等からは「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる第2絵柄領域」及び「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる第2背景領域」を観念できるものは記載も示唆もされていない。
そうすると、補正事項2は、当初明細書等に記載されているとはいえない。
以上のことから、補正事項2である「第2画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第2絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2背景領域と、を含み」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(3)補正目的について
(3-1)補正事項1について
上記補正事項1は、本件補正前の請求項1の「媒体」における「第1画像領域」に関して、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第1絵柄領域と、「前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう」前記第1絵柄領域の周囲に「互いに離間して」配置された「複数の単位領域を含む」第1背景領域と、を含み、と具体的に特定したものであるから、上記補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項1は、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

(3-2)補正事項2について
上記補正事項2は、本件補正前の請求項1の「媒体」における「第2画像領域」に関して、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第2絵柄領域と、「前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう」前記第2絵柄領域の周囲に「互いに離間して」配置された「複数の単位領域を含む」第2背景領域と、を含み、と具体的に特定したものであるから、上記補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項2は、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

(3-3)補正事項3について
上記補正事項3は、本件補正前の請求項1の「媒体」に、「前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成しており」、との事項を付加したものであるから、上記補正事項3は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項3は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

(3-4)補正事項4について
上記補正事項4は、本件補正前の請求項1の「媒体」に、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、「このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されず」、と第2絵柄領域からの反射光および第2背景領域からの反射光が同色の光として視認されることを、第2絵柄領域と第2背景領域とが判別されず、と具体的に特定したものであるから、上記補正事項4は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項4は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

(3-5)補正事項5について
上記補正事項5は、本件補正前の請求項1の「媒体」に、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、「このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず」、と第1絵柄領域からの反射光および第1背景領域からの反射光が同色の光として視認されることを、第1絵柄領域と第1背景領域とが判別されず、と具体的に特定したものであるから、上記補正事項5は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項5は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

(4)独立特許要件の適否について
前記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないものであるが、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるところ、念のため、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(4-1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(4-2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成24年1月5日に頒布された刊行物である特開2012-779号公報(以下「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
基材上に背景部と偽造防止印刷部が設けられている偽造防止印刷物であって、前記偽造防止印刷部が、異なる2つの波長特性の光源からの光を照射した場合の色が異なる偽造防止印刷部である偽造防止印刷物において、前記背景部が、各々異なる一方の波長特性の光源からの光を照射した場合の偽造防止印刷部と色差Δが5%以下であり、かつ、各々他方の波長特性の光源からの光を照射した場合の偽造防止印刷部と色差Δが8%以上である2種の背景部が用いられていることを特徴とする偽造防止印刷物。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機などによる複製を防止するための偽造防止インキおよび偽造防止印刷物とこの偽造防止印刷物の真偽判定方法に関する。」
(ウ)「【0014】
そこで本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、市販のカラー複写機などでは偽造が極めて困難であり、かつ廉価で製造が可能で、真偽判定を目的としなくとも利用において自然に真偽判定が可能な偽造防止インキおよび偽造防止印刷物、および偽造防止印刷物の真偽判定方法を提供することを目的とする。」
(エ)「【0033】
図3は、本発明の偽造防止印刷物1の一実施例を示す平面図であるが、偽造防止印刷物は偽造防止印刷部17、19、第一背景部13、第二背景部15から成り立っている。」
(オ)「【0037】
本発明では、太陽光下で偽造防止印刷物2が、第一背景部23と偽造防止印刷部27の色差ΔEが8%以上、好ましくは10%以上、太陽光下で第二背景部25と偽造防止印刷部29の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下である。
【0038】
また、三波長蛍光灯下では、偽造防止印刷物3が、第一背景部33と偽造防止印刷部37の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下、三波長蛍光灯下で第二背景部35と偽造防止印刷部39の色差ΔEが8%以上好ましくは10%以上とする。」
(カ)「【0044】
光源の分光分布×試料の分光反射率×人間の目に対応する分光感度=三刺激値(式2)
標準光照射による三刺激値÷標準光分光分布×三波長光の分光分布=三刺激値(式3)
人間には色差が8%以上好ましくは10%以上であるとき異なる色として識別され、5%以下好ましくは3%以下ならば同色として識別する。図4に示すように、太陽光下で見る偽造防止印刷物は、偽造防止印刷部29と第二背景部25が同色に見えるため偽造防止印刷部の模様、すなわち、「2」がわからないが、他方、偽造防止印刷部27と第一背景部23が全く異なる色に見えるため偽造防止印刷部の模様、すなわち、「3」が容易に認識できる。
【0045】
同様に図5に示すように、3波長発光形蛍光灯、詳しくは波長450nm(青)、540nm(緑)、610nm(赤)の3波長域を発光する光下で見る偽造防止印刷物は、偽造防止印刷部39と第一背景部35が違った色に見えるため偽造防止印刷部の模様、すなわち、「2」が容易に認識できるが、他方、偽造防止印刷部37と第一背景部33が同じ色に見えるため偽造防止印刷部の模様、すなわち、「3」がわからない。」
(キ)「【0056】
つぎに第一背景部、第二背景部上に、太陽光下でブルー発色し、太陽光を遮断すると無色に戻るフォトクロミックインキ(PTM-125 SNO 帝国インキ)と3波長発光形蛍光灯下でピンク色に発色し、太陽光下で白色となるランタノイド系希土類化合物含有インキ(下記組成)を混合することからなる偽造防止インキを用いて文字を印刷して印刷部とし、偽造防止印刷物を得た。
「ランタノイド系希土類化合物含有インキの組成」
オリゴマー(フォトマー5018:サンノプコ製) 60部
モノマー(カヤラッドTMPTA:日本化薬製) 14部
重合開始剤(カヤキュアーMBP:日本化薬製) 1部
重合開始剤(ニッソキュアーTX:日本曹達製) 8部
重合開始剤(サンドリー1000:サンド製) 1部
白色ワセリン 4部
Ho_(2)O_(3) 30部
得られた偽造防止印刷物を太陽光下で見ると、第一背景部(水色)においては一面水色に見え、第二背景部(淡いピンク色)においては、淡いピンクを背景として水色の文字が認識された。なお、この時の背景部と印刷部の色差をミノルタ製分光測色計CM-2002で測色したところ、第一背景部と印刷部の色差Δ=2.5%、第二背景部と印刷部の色差Δ=12%、であった。
【0057】
また、得られた偽造防止印刷物を3波長発光形蛍光灯下(波長450nm(青)、540nm(緑)、610nm(赤)の3波長蛍光灯)で見ると、第二背景部(淡いピンク色)においては一面淡いピンク色に見え、第一背景部(水色)においては、水色を背景として淡いピンクの文字が認識された。なお、この時の背景部と印刷部の色差をミノルタ製分光測色計CM-2002で測色したところ、第二背景部と印刷部の色差Δ=2.5%、第一背景部と印刷部の色差Δ=12%、であった。」
(ク)【0033】?【0047】及び【図3】?【図5】より、第一背景部(13、23、33)には、偽造防止印刷部(17、27、37)が形成され、第二背景部(15、25、35)には、偽造防止印刷部(19、29、39)が形成されており、以下、区別のために、偽造防止印刷部(17、27、37)を第一偽造防止印刷部、偽造防止印刷部(19、29、39)を第二偽造防止印刷部と称する。

上記(ア)乃至(ク)から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「基材上に第一背景部と第一背景部に形成された第一偽造防止印刷部、第二背景部と第二背景部に形成された第二偽造防止印刷部が設けられている偽造防止印刷物であって、
太陽光下で偽造防止印刷物が、第一背景部と第一偽造防止印刷部の色差ΔEが8%以上、好ましくは10%以上、太陽光下で第二背景部と第二偽造防止印刷部の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下であり、
三波長蛍光灯下では、偽造防止印刷物が、第一背景部と第一偽造防止印刷部の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下、三波長蛍光灯下で第二背景部と第二偽造防止印刷部の色差ΔEが8%以上好ましくは10%以上とし、
人間には色差が8%以上好ましくは10%以上であるとき異なる色として識別され、5%以下好ましくは3%以下ならば同色として識別され、
太陽光下で見ると、第一背景部(水色)においては一面水色に見え、第二背景部(淡いピンク色)においては、淡いピンクを背景として水色の文字が認識され、
3波長発光形蛍光灯下(波長450nm(青)、540nm(緑)、610nm(赤)の3波長蛍光灯)で見ると、第二背景部(淡いピンク色)においては一面淡いピンク色に見え、第一背景部(水色)においては、水色を背景として淡いピンクの文字が認識される、偽造防止印刷物。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前である平成24年2月23日に頒布された刊行物である特開2012-35548号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項7】
基材上に発光画像を有する発光媒体において、
前記発光画像は、
第1蛍光体を含む複数の第1絵柄要素と、
第2蛍光体を含む複数の第2絵柄要素と、
基材、前記第1絵柄要素および前記第2絵柄要素上に形成された保護層と、を有し、
前記第1絵柄要素と前記第2絵柄要素は、複数のマイクロ文字を形成し、
前記複数のマイクロ文字は、マイクロ文字列を形成すると共に、前記第1絵柄要素は前記マイクロ文字列上の潜像を形成し、
第1波長領域内の不可視光を照射されたとき、前記第1蛍光体および前記第2蛍光体は、互いに同色として視認される色の光を発光し、
第2波長領域内の不可視光を照射されたとき、前記第1蛍光体および前記第2蛍光体は、互いに異色として視認される色の光を発光し、これにより前記マイクロ文字列上の前記潜像を発現させる
ことを特徴とする発光媒体。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の波長領域内の不可視光が照射されたときに現れる発光画像を有する発光媒体に関する。」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有価証券が偽造されたものかどうかを判別するための手順は、簡易かつ迅速に実施されることが好ましい。また、有価証券は偽造が困難であることが好ましい。従って、判別具などの道具を用いることなく、肉眼によって、有価証券が偽造されたものかどうかを簡易
かつ迅速に判別することができ、且つ、偽造され難い媒体が求められている。」
(エ)「【0103】
発光画像12は、複数の第1絵柄要素200と、複数の第2絵柄要素250と、を有する。図15に示す例において、第1絵柄要素200及び第2絵柄要素250は、それぞれ「D」、「N」及び「P」というマイクロ文字を構成している。これらのマイクロ文字の組「DNP」がx方向に10組並んで、マイクロ文字列mを形成している。マイクロ文字列mは、y方向に12個並んでいる。第1絵柄要素200はマイクロ文字列上の潜像を形成している。ここでは、潜像は「A」という文字である。

【0104】
図16に示すように、発光画像12の第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、基材11上に第1蛍光インキ13および第2蛍光インキ14を印刷することにより形成されている。」
(オ)「【0112】
(可視光照射時)
はじめに、可視光下での偽造防止媒体10を観察する。この場合、上述のように、基材11、発光画像12の第1絵柄要素200および第2絵柄要素250はそれぞれ白色のものとして視認される(図15参照)。このため、可視光下においては、発光画像12の第1絵柄要素200の潜像は現れない。
【0113】
(UV-A照射時)
次に、UV-A照射時の偽造防止媒体10を観察する。照射されるUV-Aとしては、例えば、波長365nmの紫外線が用いられる。UV-Aは、オーバーコート層30を透過して、第1絵柄要素200を形成する第1蛍光インキ13と、第2絵柄要素250を形成する第2蛍光インキ14とに到達する。
【0114】
図17Aは、UV-A照射時の偽造防止媒体10の発光画像12を示す平面図である。第1絵柄要素200を形成する第1蛍光インキ13は蛍光体DE-RBを含んでおり、このため、第1蛍光インキ13は青色光を発光する。従って、第1絵柄要素200が青色部分21bとして視認される。一方、第2絵柄要素250を形成する第2蛍光インキ14は蛍光体DE-GBを含んでおり、このため、第2蛍光インキ14は青色光を発光する。従って、第2絵柄要素250も青色部分26bとして視認される。ここで、第1絵柄要素200の第1蛍光インキ13と第2絵柄要素250の第2蛍光インキ14との間に厚みや表面の粗さの違いが存在していても、オーバーコート層30がこれらを打ち消すので、青色部分21bと青色部分26bとが同色として視認される。このように、UV-A照射時において、第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、同色のマイクロ文字として視認される。従って、UV-A照射時において、発光画像12の第1絵柄要素200の潜像はマイクロ文字列m上で埋没していて現れない。
【0115】
(UV-C照射時)
次に、UV-C照射時の偽造防止媒体10を観察する。照射されるUV-Cとしては、例えば、波長254nmの紫外線が用いられる。UV-Cは、オーバーコート層30を透過して、第1絵柄要素200を形成する第1蛍光インキ13と、第2絵柄要素250を形成する第2蛍光インキ14とに到達する。
【0116】
図17Bは、UV-C照射時の偽造防止媒体10の発光画像12を示す平面図である。
第1絵柄要素200を形成する第1蛍光インキ13は蛍光体DE-RBを含んでおり、このため、第1蛍光インキ13は赤色光を発光する。従って、第1絵柄要素200が赤色部分21cとして視認される。一方、第2絵柄要素250を形成する第2蛍光インキ14は蛍光体DE-GBを含んでおり、このため、第2蛍光インキ14は緑色光を発光する。従って、第2絵柄要素250は緑色部分26cとして視認される。このように、UV-C照射時において、第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、異なった色のマイクロ文字として視認される。従って、UV-C照射時において、発光画像12の第1絵柄要素200からなる、マイクロ文字列m上の潜像が発現して視認される。前述のように、ここでは、「A」という文字の潜像が視認される。

【0118】
変形例
なお本実施の形態において、1つのマイクロ文字は第1絵柄要素200又は第2絵柄要素250のいずれかで構成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、1つのマイクロ文字は第1絵柄要素200及び第2絵柄要素250の両方を含んでいても良い。以下、図18A乃至図19Bを参照して、1つのマイクロ文字が第1絵柄要素200及び第2絵柄要素250を含んでいる例について説明する。」
(カ)上記(オ)【0118】及び図18A乃至図19Bより、第1絵柄要素200又は第2絵柄要素250の単位領域「D」、「N」及び「P」が、マイクロ文字であることが看取できる。

上記(ア)乃至(カ)から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「基材11上に第1蛍光インキ13および第2蛍光インキ14を印刷することにより発光画像12の第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、形成され、
第1絵柄要素200及び第2絵柄要素250の単位領域「D」、「N」及び「P」は、マイクロ文字であって、
可視光下で、発光画像12の第1絵柄要素200および第2絵柄要素250はそれぞれ白色のものとして視認され、
UV-C照射時において、第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、異なった色のマイクロ文字として視認され、第1絵柄要素200は、「A」という文字の潜像が発現して視認される、偽造防止媒体10。」

(4-3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
ア 後者の「基材」、「第一背景部と第一背景部に形成された第一偽造防止印刷部、第二背景部と第二背景部に形成された第二偽造防止印刷部」及び「偽造防止印刷物」は、それぞれ、前者の「基材」、「画像」及び「媒体」に相当する。
イ 後者の「第一背景部」及び「第一背景部に形成された第一偽造防止印刷部」は、前者の「第1背景領域」及び「第1絵柄領域」に対応し、後者の「第一背景部」と「第一背景部に形成された第一偽造防止印刷部」とを併せて、前者の「第1画像領域」に相当する。
ウ 後者の「第二背景部」及び「第二背景部に形成された第二偽造防止印刷部」は、前者の「第2背景領域」及び「第2絵柄領域」に対応し、後者の「第二背景部」と「第二背景部に形成された第二偽造防止印刷部」とを併せて、前者の「第2画像領域」に相当する。
エ 後者の「偽造防止印刷物」は、「太陽光下で偽造防止印刷物が、第一背景部と第一偽造防止印刷部の色差ΔEが8%以上、好ましくは10%以上、太陽光下で第二背景部と第二偽造防止印刷部の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下であり」、「人間には色差が8%以上好ましくは10%以上であるとき異なる色として識別され、5%以下好ましくは3%以下ならば同色として識別され」るものであるから、前者の「媒体」と、後者の「偽造防止印刷物」とは、「第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別され」ないものである点で共通する。
オ 後者の「偽造防止印刷物」は、「三波長蛍光灯下では、偽造防止印刷物が、第一背景部と第一偽造防止印刷部の色差ΔEが5%以下、好ましくは3%以下、三波長蛍光灯下で第二背景部と第二偽造防止印刷部の色差ΔEが8%以上好ましくは10%以上とし」、「人間には色差が8%以上好ましくは10%以上であるとき異なる色として識別され、5%以下好ましくは3%以下ならば同色として識別され」るものであるから、前者の「媒体」と、後者の「偽造防止印刷物」とは、「前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され」るものである点で共通する。
カ 後者の「偽造防止印刷物」は、「太陽光下で見ると、第一背景部(水色)においては一面水色に見え、第二背景部(淡いピンク色)においては、淡いピンクを背景として水色の文字が認識され、3波長発光形蛍光灯下(波長450nm(青)、540nm(緑)、610nm(赤)の3波長蛍光灯)で見ると、第二背景部(淡いピンク色)においては一面淡いピンク色に見え、第一背景部(水色)においては、水色を背景として淡いピンクの文字が認識される」ものであるから、前者の「媒体」と、後者の「偽造防止印刷物」とは、「前記第1光が照射されたときの、前記第1背景領域からの反射光の色相に対する前記第1絵柄領域からの反射光の色相の関係と、前記第2光が照射されたときの、前記第2背景領域からの反射光の色相に対する前記第2絵柄領域からの反射光の色相の関係と、が反転関係にある」ものである点で共通する。

したがって、両者は、
「基材上に画像が形成された媒体であって、
前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
前記第1画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第1絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第1背景領域と、を含み、
前記第2画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第2絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む第2背景領域と、を含み、
第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されず、
前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、
前記第1光が照射されたときの、前記第1背景領域からの反射光の色相に対する前記第1絵柄領域からの反射光の色相の関係と、前記第2光が照射されたときの、前記第2背景領域からの反射光の色相に対する前記第2絵柄領域からの反射光の色相の関係と、が反転関係にある、媒体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明が、第1画像領域は、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第1絵柄領域と、「前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第1絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第1背景領域と、を含み、第2画像領域は、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第2絵柄領域と、「前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記第2絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第2背景領域と、を含み、「前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成して」いるものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。

(4-4)判断
以下、上記相違点について検討する。
引用発明2の「発光画像12」及び「マイクロ文字」及び「偽造防止媒体10」は、それぞれ、本願補正発明の「画像領域」、「マイクロ文字」及び「媒体」に相当する。そして、引用発明2の「単位領域」は、「マイクロ文字」である。
引用発明2の「偽造防止媒体10」は、「UV-C照射時において、第1絵柄要素200および第2絵柄要素250は、異なった色のマイクロ文字として視認され、第1絵柄要素200は、「A」という文字の潜像が発現して視認される」ものであるから、引用発明2の「第1絵柄要素200」及び「第2絵柄要素250」は、それぞれ、本願補正発明の「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる絵柄領域」及び「互いに離間して配置された複数の単位領域からなる背景領域」に相当する。
そうすると、引用発明2には、上記相違点に係る本願補正発明の「画像領域は、互いに離間して配置された複数の単位領域を含む絵柄領域と、前記絵柄領域の前記単位領域と接しないよう前記絵柄領域の周囲に互いに離間して配置された複数の単位領域を含む背景領域と、を含み、前記絵柄領域、前記背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成しているもの」が示されていることとなる。
そして、引用発明1も引用発明2も、偽造防止印刷物である点で技術分野が共通する。
また、引用発明1も引用発明2も、偽造が極めて困難な偽造防止印刷物を提供するという点で課題が共通する。
そうすると、引用発明1において、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、引用発明1の「第一背景部」及び「第一背景部に形成された第一偽造防止印刷部」、並びに「第二背景部」及び「第二背景部に形成された第二偽造防止印刷部」のそれぞれに、引用発明2のマイクロ文字を構成する「第1絵柄要素200及び第2絵柄要素250」を適用することにより、本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測しうる範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
また、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下された。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年6月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「基材上に画像が形成された媒体であって、
前記画像は、第1画像領域および第2画像領域を有し、
前記第1画像領域は、第1絵柄領域と、前記第1絵柄領域の周囲に配置された第1背景領域と、を含み、
前記第2画像領域は、第2絵柄領域と、前記第2絵柄領域の周囲に配置された第2背景領域と、を含み、
第1発光スペクトルを有する第1光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、
前記第1発光スペクトルとは異なる第2発光スペクトルを有する第2光が照射されたとき、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、かつ、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、異色の光として視認され、
前記第1光が照射されたときの、前記第1背景領域からの反射光の色相に対する前記第1絵柄領域からの反射光の色相の関係と、前記第2光が照射されたときの、前記第2背景領域からの反射光の色相に対する前記第2絵柄領域からの反射光の色相の関係と、が反転関係にある、媒体。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由とされた、平成28年12月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、以下のとおりである。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)について
・請求項 1?4
・引用文献等 1

●理由2(進歩性)について
・請求項 4
・引用文献等 1、2

・請求項 5?11
・引用文献等 1?3

・請求項 12
・引用文献等 1?4

・請求項 12、13
・引用文献等 1?3、5

・請求項 14、15
・引用文献等 1、6

<引用文献等一覧>
1.特開2012-779号公報
2.特開2002-270899号公報
3.特開2002-46339号公報
4.特開2004-188808号公報
5.特開2012-35548号公報
6.特開2000-327978号公報」

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1、及びその記載内容は上記「第2 2 (4) (4-2) ア」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、実質的に、上記「第2 2 (1)」で検討した本願補正発明の、第1画像領域は、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第1絵柄領域と、「前記第1絵柄領域の前記単位領域と接しないよう」前記第1絵柄領域の周囲に「互いに離間して」配置された「複数の単位領域を含む」第1背景領域と、を含み、前記第2画像領域は、「互いに離間して配置された複数の単位領域を含む」第2絵柄領域と、「前記第2絵柄領域の前記単位領域と接しないよう」前記第2絵柄領域の周囲に「互いに離間して」配置された「複数の単位領域を含む」第2背景領域と、を含み、「前記第1絵柄領域、前記第1背景領域、前記第2絵柄領域および前記第2背景領域に含まれる前記単位領域が、マイクロ文字を形成しており」、前記第2絵柄領域からの反射光および前記第2背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、「このため前記第2絵柄領域と前記第2背景領域とが判別されず」、前記第1絵柄領域からの反射光および前記第1背景領域からの反射光は、同色の光として視認され、「このため前記第1絵柄領域と前記第1背景領域とが判別されず」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比した場合の相違点は、実質的にないこととなる。

したがって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明1が備えているから、本願発明と、引用発明1とに差異はない。

したがって,本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-30 
結審通知日 2018-11-02 
審決日 2018-11-14 
出願番号 特願2013-26933(P2013-26933)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (B42D)
P 1 8・ 575- Z (B42D)
P 1 8・ 55- Z (B42D)
P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤井 達也  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 画像が形成された媒体および媒体の確認方法  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 中村 行孝  
代理人 岡村 和郎  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
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