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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1347446
審判番号 不服2017-10608  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-14 
確定日 2019-01-23 
事件の表示 特願2015-533517「電子デバイスおよび電子デバイスの接続部の生成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日国際公開,WO2014/048713,平成27年11月 2日国内公表,特表2015-531548,請求項の数(7)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2013年(平成25年)9月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年9月28日 (DE) ドイツ連邦共和国;以下,「本願優先日」という。)を国際出願日とする出願であって,平成28年5月20日付けで拒絶理由通知がされ,同年11月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,平成29年3月13日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,同年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたところ,当審から,平成30年8月3日付けで最後の拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)がされ,同年8月10日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下,「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1ないし7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は,本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりである。

「1つの第1のメタライジング部(8)と当該第1のメタライジング部上に配設されている1つの第2のメタライジング部(9)とを備えた少なくとも1つの外部接続部(7)を有する電子デバイスであって,
前記第1のメタライジング部(8)および前記第2のメタライジング部(9)は,焼成されており,
前記第2のメタライジング部(9)は,1つの欠損部(12)を有することで前記第1のメタライジング部(8)を部分的にのみ覆うU形状に形成されており,
前記第1のメタライジング部(8)は,前記欠損部(12)の下方に存在し,
前記第2のメタライジング部(9)には,1つの接続部材(14)が固定され,
接続ピンとして形成されている延長接続部(18)は,前記接続部材(14)に固定され,
前記接続ピンは,前記U形状の平面視で,前記U形状の開口部(17)の上方から前記U形状の中央領域へ延伸している,
ことを特徴とする電子デバイス。」

なお,本願発明2ないし7は,本願発明1を引用するものであって,本願発明1を減縮する発明である。

第3 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開2007/114002号)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線加筆。以下,同様。)。

「技術分野
[0001] 本発明は,磁気ヘッドなどの電子デバイスや弁などの機械的要素を操作するために用いられる圧電アクチュエータに関し,より詳細には,厚膜導体を用いた外部導体が圧電体の外表面に形成されている圧電アクチュエータに関する。」

「発明の開示
・・・
[0011] 本発明の目的は,上述した従来技術の現状に鑑み,圧電体の外表面に厚膜導体を用いて形成された外部導体を有し,しかも長期間使用されて繰り返し圧電体が変位したとしても,外部導体における導通不良が生じ難い,信頼性に優れた圧電アクチュエータを提供することにある。
・・・
(発明の効果)
[0017] 本発明に係る圧電アクチュエータでは,圧電体の少なくとも一方主面に外部導体が形成されており,外部導体が,厚膜導体と導電性補強材とを有し,厚膜導体が,上記面状の第1の厚膜導体と,第1の厚膜導体上に部分的にかつ面接触されるように形成されている複数の第2の厚膜導体とを備え,導電性補強材は,第1の厚膜導体と直接接触しないように,第2の厚膜導体の外表面に接合されているので,第1の厚膜導体と第2の厚膜導体との接合力が十分高くされている。加えて,導電性補強材は,第1の厚膜導体に直接接合されていない。従って,第1の厚膜導体にたとえクラックや亀裂が生じたとしても,該クラックや亀裂の影響が,導電性補強材に及び難い。よって,導電性補強材が切断し難く,従って導電性補強材により,外部導体の面方向の導通性が確実に保たれる。よって,長期間に渡り圧電アクチュエータが駆動され,圧電体が繰り返し伸縮し,該伸縮による変位が外部導体に加えられたとしても,第1,第2の厚膜導体及び導電性補強材の相互の接合部分における剥離が生じ難い。従って,圧電アクチュエータにおいて,外部導体の導通不良が生じ難いため,圧電アクチュエータの信頼性を効果的に高めることが可能となる。」

「発明を実施するための最良の形態
・・・
[0021] 図1(a),(b)及び(c)は,本発明の第1の実施形態に係る圧電アクチュエータの斜視図,横断面図及び縦断面図である。
[0022] 圧電アクチュエータ1は,直方体状の積層型の圧電体2を有する。積層型の圧電体2は,上面2aと,下面2bと,側面2c,2dとを有する。側面2cと側面2dとを結ぶ方向が,圧電体2の長さ方向である。圧電体2内には,複数の第1の内部電極3と,複数の第2の内部電極4とが,それぞれ,側面2c,2dと平行な方向に延びるように,すなわち上下方向に延びるように形成されている。
[0023] また,第1の内部電極3と,第2の内部電極4が,側面2c,2dを結ぶ方向において交互に配置されている。複数の第1の内部電極3は,上面2aに引き出されており,下面2bには至っていない。複数の第2の内部電極4は,下面2bに引き出されており,上面2aには至っていない。第1,第2の内部電極3,4は,図1(c)に示されているように,圧電体2の中間高さ位置において圧電体層を介して重なり合うように配置されている。
・・・
[0025] 上面2a上には,第1の外部導体5が,下面2b上には,第2の外部導体6が形成されている。第1の外部導体5は,厚膜導体と,導電性補強材9とを有する。厚膜導体は,圧電体2の上面2a上に直接形成された第1の厚膜導体7と,第1の厚膜導体7の外表面において,部分的にかつ面接触されるように形成された複数の第2の厚膜導体8a,8bとを有する。本実施形態では,複数の第2の厚膜導体8a,8bは,図2に分解斜視図で示すように,帯状すなわちストリップ状の平面形状を有する。
[0026] 第2の厚膜導体8a,8bは,所定距離を隔てて平行に配置されている。第2の厚膜導体8a,8bの長さ方向寸法は,矩形の平面形状を有する第1の厚膜導体7の長さ方向寸法よりも短くされている。従って,図1(a),(c)から明らかなように,第2の厚膜導体8a,8bの長さ方向端部は,第1の厚膜導体7の長さ方向端部よりも内側に位置しており,矢印Aで示す段差が形成されている。
[0027] また,複数本の帯状の第2の厚膜導体8a,8bの外部導体5の幅方向において外側に位置している側縁8c,8dは,第1の厚膜導体7の幅方向外側端縁7a,7bよりも内側に位置している。従って,図1(a),(b)に矢印Bで示す段差が外部導体5に形成されている。
[0028] 導電性補強材9は,本実施形態ではAgのような金属からなる網状部材により形成されている。導電性補強材9は,矩形の平面形状を有するが,導電性補強材9の幅方向外側端縁9a,9bは,第2の厚膜導体8a,8bの外側の側縁よりも内側に位置している。よって,矢印Cで示す段差が外部導体5に設けられている。
[0029] 上記第1の厚膜導体7及び第2の厚膜導体8a,8bは,金属粉末と,ガラスフリットと,有機ビヒクルと,溶剤とを含む導電ペーストを塗布し,焼き付けることにより形成されている。もっとも,厚膜導体7,8a,8bは,他の方法で形成されていてもよい。
・・・
[0034] 図3(a),(b)及び(c)は,本発明の第2の実施形態に係る圧電アクチュエータを示す斜視図,横断面図及び縦断面図である。
[0035] 第2の実施形態の圧電アクチュエータ11は,第1の実施形態の圧電アクチュエータ1と同様に,積層型圧電体2を有する。そして,積層型圧電体2の上面2aに,第1の外部導体15が形成されており,下面2b上に第2の外部導体16が形成されている。
[0036] 第2の実施形態の圧電アクチュエータ11が,第1の実施形態の圧電アクチュエータ1と異なるところは,外部導体15,16において,複数の第2の厚膜導体18a?18dが平面形状が矩形枠状の形状を有するように配置されていることにある。その他の点については,第2の実施形態の圧電アクチュエータ11は,第1の実施形態の圧電アクチュエータ1と同様に構成されているため,同一部分については同一の参照番号を付することにより,第1の実施形態の説明において行った説明を援用することとする。
[0037] 図4に外部導体15を分解斜視図で示すように,第1の厚膜導体7上に,4本の帯状の第2の厚膜導体18a?18dが,部分的にかつ面接触されるように形成されている。この場合,互いに平行に延びる一対の帯状の第2の厚膜導体18a,18bが,圧電体2の長さ方向に延ばされている。そして,厚膜導体18a,18bに直交する方向に延びる一対の第2の厚膜導体18c,18dが矩形枠状を形成するように,厚膜導体18a,18bの長さ方向端部同士を連結するように配置されている。
[0038] そして,導電性補強材9は,図4の破線Cで示す位置に導電性補強材9の外周縁が位置するように第2の厚膜導体18a?18d上に面接触されるように接合されている。図5は,外部導体15の平面図を示す。
[0039] 第2の実施形態の圧電アクチュエータ11では,複数の第2の厚膜導体18a?18dが,枠状の平面形状を有するように配置されているので,駆動に際し積層型圧電体2が繰り返し変位したとしても,該変位による応力による外部導体15の部分的な剥離や亀裂がより一層生じ難くされている。すなわち,複数本の第2の厚膜導体18a?18dが,矩形枠状の平面形状を有するように配置されているため,上記変位により加わる応力のうち,積層型圧電体2の上面2aの面内方向の応力が加わったとしても,該応力によって第2の厚膜導体18a?18dが変形し難い。従って,外部導体15では,積層型圧電体2の変位により応力が加わったとしても,外部導体15の部分的な亀裂や剥離がより一層生じ難くされ得る。
[0040] なお,第2の実施形態で,複数の帯状の第2の厚膜導体18a?18dは,矩形枠状の平面形状を有するように配置されていたが,四方形以外の他の多角形枠状,あるいは円環状の形状を有するように配置されていてもよい。」

したがって,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「圧電体2の上面2a上に直接形成された第1の厚膜導体7と,前記第1の厚膜導体7の外表面において,部分的にかつ面接触されるように形成され,所定距離を隔てて平行に配置されている複数の第2の厚膜導体8a,8bと,導電性補強材9を有する第1の外部導体5を備える圧電アクチュエータであって,
前記第1の厚膜導体7及び前記複数の第2の厚膜導体8a,8bは,導電ペーストを塗布し,焼き付けることにより形成され,
前記第2の厚膜導体8a,8bの外側の側縁よりも内側に,前記導電性補強材9が位置している,
圧電アクチュエータ。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(国際公開2010/137618号)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「技術分野
[0001] 本発明は,例えば,圧電駆動素子(圧電アクチュエータ),圧力センサ素子および圧電回路素子等として用いられる積層型圧電素子に関する。」

「発明を実施するための形態
・・・
[0040] 図3に示すように,本実施の形態の積層型圧電素子1は,圧電体層3と内部電極層5とが交互に積層された積層体7と,この積層体7の側面に接合されて内部電極層5に電気的に接続された,導電性粒子およびガラスの焼結体から成る外部電極8とを含む積層型圧電素子1であって,外部電極8は,積層体7側に位置し,ガラスを副成分として含有している積層体側層領域8aと,表面側に位置し,ガラスを微量成分として含有している表面側層領域8bとを有している。また,外部電極8の表面には半田10を介して外部リード部材9が接続されている。」

「[0045] 外部電極8において積層体側層領域8aおよび表面側層領域8bを形成する方法としては,それぞれガラスの含有量の異なる導電性ペーストによって,印刷および焼き付け処理を行なうという方法がある。」

「[0070] また,本発明は,図3に示す実施の形態に限らず,図6に示すように積層体側層領域8aと表面側層領域8bとが互いに当接していて,表面側層領域8bの最表面を含む露出面81bにおいて,図4に示すように導電性粒子11の粒界11aに沿ってガラスが分布しているものであってもよい。・・・」

したがって,上記引用文献2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「圧電体層3と内部電極層5とが交互に積層された積層体7と,この積層体7の側面に接合されて内部電極層5に電気的に接続された,導電性粒子およびガラスの焼結体から成る外部電極8とを含む積層型圧電素子1であって,
前記外部電極8は,前記積層体7側に位置し,ガラスを副成分として含有している積層体側層領域8aと,表面側に位置し,ガラスを微量成分として含有している表面側層領域8bとを有し,前記積層体側層領域8aと前記表面側層領域8bは当接しており,前記外部電極8の表面には外部リード部材9が接続されている積層型圧電素子1。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2008-243924号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は,積層型圧電アクチュエータ素子及び積層型圧電アクチュエータに係り,特に燃料噴射用インジェクタ等の駆動源として好適な積層型圧電アクチュエータ素子及び積層型圧電アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,印加電圧に応じて伸張する複数の圧電層と印加電圧供給用の内部電極とを交互に積層してなる積層体を利用する積層型圧電アクチュエータ素子が開発され,実用化されている。このような積層型圧電アクチュエータ素子では,各内部電極と電気的に接続された外部電極を設ける必要があり,かつ,積層型圧電アクチュエータ素子の伸縮が繰り返し行われても外部電極と内部電極との電気的接続を維持できる構造とする必要がある。
【0003】
このため,積層体の側面に,導電性ペースト等から形成された外装電極(下地電極)を形成し,この外装電極と金属メッシュ状に形成された伸縮可能な外部電極とを接続した構成の積層型圧電アクチュエータ素子が知られている(例えば,特許文献1参照。)。また複数の同極の外部電極を設け,これらの外部電極に夫々リード線を接続した構成の積層型圧電アクチュエータ素子も知られている(例えば,特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002-261339号公報
【特許文献2】特開平5-226721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した外装電極と金属メッシュ状に形成された外部電極とを用いた積層型圧電アクチュエータ素子では,駆動を繰り返し行うと,外装電極の一部に亀裂等の破損が生じ,内部電極と外装電極との電気的な接続が失われてしまう場合がある。この様な状態となると,圧電層の一部に電圧が印加されず駆動時の変位量が減少してしまうという問題が生じる。また,電気的接続を失った内部電極と,外装電極又は外部電極との間で放電が発生する場合があり,この放電が誤動作の原因となったり,放電による電波ノイズが発生するという問題があった。
【0005】
また,上記した複数の外部電極を設けてこれらの外部電極に夫々リード線を接続した構成の積層型圧電アクチュエータ素子では,外装電極上に外部電極とリード電極との接続箇所を設けると,リード線がはがれやすいため,外部電極とリード線との接続の信頼性を確保するために,わざわざ外部電極を大きくしたり素子を長くしたりして,外部電極とリード線との接続箇所が外装電極上に配置されないように設ける必要がある。そういった場合,素子が大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は,かかる従来の事情に対処してなされたもので,素子の大型化を招くことなく従来に比べて信頼性の向上を図ることのできる積層型圧電アクチュエータ素子及び積層型圧電アクチュエータを提供しようとするものである。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明の詳細を,図面を参照して実施形態について説明する。図1は,本発明の一実施形態に係る積層型圧電アクチュエータ素子の全体概略構成を模式的に示す縦断面図である。図1に示すように,積層型圧電アクチュエータ素子1は,圧電セラミック例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電層2と,導電性を有する内部電極3,4とを交互に複数積層して構成された積層体5を具備している。なお,図1等において,積層体5の積層数は,省略して少なく示してあるが,実際の積層型圧電アクチュエータ素子1では,例えば,数十層?数百層等の多数の積層数となっている。
・・・
【0015】
内部電極3は,積層体5の一方の側面(図1において左側の側面)に一方の側辺が露出するようにその端部まで形成されており,内部電極3の他方の側辺は積層体5の他方の側面(図1において右側の側面)より所定距離手前まで形成され積層体5の他方の側面に露出しないように構成されている。一方,内部電極4は,積層体5の他方の側面(図1において右側の側面)に他方の側辺が露出するようにその端部まで形成されており,内部電極4の一方の側辺は積層体5の一方の側面(図1において左側の側面)より所定距離手前まで形成され積層体5の一方の側面に露出しないように構成されている。このように内部電極3,4を構成することによって,異極の内部電極3,4同士が電気的に短絡しないようになっている。
【0016】
積層体5の両側の側面には,正極と負極を有する外装電極6,7が形成されている。これらの外装電極6,7は,後述するように,例えば,導電性ペーストをスクリーン印刷等によってパターニングして形成されている。また,図2,3に示すように,同極の外装電極6,7は,各々導通先の1層の内部電極3又は内部電極4に対して,少なくとも離間した2箇所以上で接続するように複数(図2,3に示す例では2つの外装電極6,6(例えば正極)及び外装電極7,7(例えば負極))設けられている。
【0017】
そして,図3に示すように,一方の複数の同極の外装電極6,6に対しては,単一部材で構成された(1つの)外部電極10が電気的に接続され,他方の複数の同極の外装電極7,7に対しては,単一部材で構成された(1つの)外部電極11が電気的に接続されている。外部電極10は,はんだ層8によって,外装電極6,6に接続されており,外部電極11は,はんだ層9によって,外装電極7,7に接続されている。このようにして,外部電極10が,内部電極3と電気的に接続され,外部電極11が,内部電極4と電気的に接続された状態とされている。外部電極10,11は,導電性部材から例えばメッシュ状に形成されており,積層体5の伸縮に応じて変形可能とされている。例えば,金属メッシュ,エキスパンドメタル等から構成されている。これらの外部電極10,11には,外部と電気的に接続するための外部接続端子として,例えばリード線12,13が設けられている。リード線12は,外装電極6,6の間に位置するように,リード線13は,外装電極7,7の間に位置するように配置されている。なお,本実施形態では,積層体5の積層方向に垂直な断面形状は,四角形状とされており,外装電極6,6は,同一の側面に形成され,外装電極7,7も反対側の同一の側面に形成されている。
【0018】
上記のように,本実施形態では,各極となる外装電極6,6,外装電極7,7は,各々導通先の1層の前記内部電極3,4に対して少なくとも離間した2箇所以上で接続するように複数設けられている。そして,外装電極6,6,に対してこれらが同極となるように,単一部材で構成された外部電極10が接続され,外装電極7,7に対してこれらが同極となるように,単一部材で構成された外部電極11が接続されている。このように,1層の内部電極3,4に対して複数の同極の外装電極6,6,外装電極7,7を設けることにより,仮に1つの外装電極6,外装電極7に損傷が発生して内部電極3,4との電機的接続が失われた場合においても,もう1つの外装電極6,外装電極7によってこの内部電極3,4に対する電気的接続を維持することができ,信頼性の向上を図ることができる。また,複数の同極の外装電極6,6,外装電極7,7に対して,単一部材で構成された外部電極10,11が接続されており,外部接続端子としてのリード線12等も各極に1つずつで済むので,素子の大型化を招くこともない。
【0019】
また,図3に示したように,リード線12,13等からなる外部接続端子は,外装電極6,6の間,及び外装電極7,7の間の位置,すなわち,積層方向に垂直な断面において積層体5の側面の略中央付近に配置されている。・・・
【0022】
上記のとおり,本実施形態の積層型圧電アクチュエータ素子1では,素子の大型化を招くことなく従来に比べて信頼性の向上を図ることができる。なお,本発明において,複数の外装電極6,6,及び外装電極7,7は,1層の内部電極3,4に対して少なくとも離間した2箇所以上で接続するように形成されていれば良い。この理由は,内部電極3,4に対する接続箇所が離間していれば,1つの接続箇所に亀裂等が生じても,もう1つの接続箇所に亀裂が伝搬しないのに対して,1箇所で接続されていると亀裂が全体に伝搬して接続が失われる可能性が高まるからである。したがって,例えば,図5に示すように,外装電極6,6,及び外装電極7,7が,積層体5の端部の不活性領域(伸縮に寄与しない領域)等で接続されていても良い。また,外装電極は同極に対して2つに限られるものではなく,3以上であっても良い。」

また,【図5】は,外装電極の変形例の構成を示す図であり,当該図から,二つの外装電極6を積層体5の端部で接続することにより一体化しており,その形状は,いわゆるU字状であることが看取できる。

したがって,上記引用文献3には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「印加電圧に応じて伸張する複数の圧電層と印加電圧供給用の内部電極とを交互に積層してなる積層体と,当該積層体の側面に導電性ペースト等から形成された外装電極と,金属メッシュ状に形成された外部電極とを用いた積層型圧電アクチュエータ素子では,駆動を繰り返し行うと,前記外装電極の一部に亀裂等の破損が生じ,前記内部電極と前記外装電極との電気的な接続が失われてしまう場合があるため,複数の前記外装電極を,前記内部電極に対して少なくとも離間した2箇所以上で接続するように形成しているところ,前記複数の外装電極を積層体の端部で接続することにより一体化し,U字状の形状として構成してもよいこと。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 引用発明1を主たる引用発明とした場合の検討
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
(ア) 引用発明1の「第1の厚膜導体7」は,本願発明1の「第1のメタライジング部(8)」に相当する。
(イ) 引用発明1の「第2の厚膜導体8a,8b」と,本願発明1の「第2のメタライジング部(9)」は,「第1のメタライジング部(8)上に配設されている第2の部材」である点で共通するといえる。
なお,引用発明1の「第2の厚膜導体8a,8b」は,「第1の厚膜導体7の外表面において,部分的にかつ面接触されるように形成され,所定距離を隔てて平行に配置されている」から,「第2の厚膜導体8a,8b」間に,「1つの欠損部」を有しているということができる。そうすると,引用発明1の「第2の厚膜導体8a,8b」は,「1つの欠損部を有することで前記第1の厚膜導体7を部分的にのみ覆う形状に形成されているといえるから,本願発明1の「第2のメタライジング部(9)」とは,「1つの欠損部(12)を有することで前記第1のメタライジング部(8)を部分的にのみ覆う形状に形成されて」いる点で共通するといえ,また,引用発明1の「第1の厚膜導体7」は,「前記欠損部(12)の下方に存在し」ているということができる。
(ウ) 引用発明1の「第1の外部導体5」は,「外部接続部」であるということができる。
(エ) 引用発明1の「前記第1の厚膜導体7及び前記複数の第2の厚膜導体8a,8bは,導電ペーストを塗布し,焼き付けることにより形成されている」ことと,本願発明1の「前記第1のメタライジング部(8)および前記第2のメタライジング部(9)は,焼成されて」いることは,「前記第1のメタライジング部(8)および前記第2の部材は,焼成されて」いる点で共通する。
(オ) 引用発明1の「導電性補強材9」は,本願発明1の「接続部材(14)」に相当する。そうすると,引用発明1の「前記第2の厚膜導体8a,8bの外側の側縁よりも内側に,導電性補強材9が位置している」ことと,本願発明1の「前記第2のメタライジング部(9)には,1つの接続部材(14)が固定され」ていることは,「前記第2の部材には,1つの接続部材(14)が固定され」ている点で共通する。
(カ) 引用発明1の「圧電アクチュエータ」は,「電子デバイス」の一種である。

したがって,本願発明1と引用発明1とは,以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「1つの第1のメタライジング部(8)と当該第1のメタライジング部上に配設されている第2の部材とを備えた少なくとも1つの外部接続部(7)を有する電子デバイスであって,
前記第1のメタライジング部(8)および前記第2の部材は,焼成されており,
前記第2の部材は,1つの欠損部(12)を有することで前記第1のメタライジング部(8)を部分的にのみ覆う形状に形成されており,
前記第1のメタライジング部(8)は,前記欠損部(12)の下方に存在し,
前記第2の部材には,1つの接続部材(14)が固定されている,
電子デバイス。」

(相違点)
(相違点1)
「第2の部材」について,本願発明1は,「1つの第2のメタライジング部(9)」であって,「U形状」であるのに対し,引用発明1は,「複数の第2の厚膜導体8a,8b」であって,それぞれ,「所定距離を隔てて平行に配置されている」点。

(相違点2)
本願発明1は,「接続ピンとして形成されている延長接続部(18)は,前記接続部材(14)に固定され,前記接続ピンは,前記U形状の平面視で,前記U形状の開口部(17)の上方から前記U形状の中央領域へ延伸している」のに対し,引用発明1は,このような構成を有していない点。

イ 相違点についての判断
(相違点1)について
引用文献3は,圧電アクチュエータに関する文献であって,引用発明1と同じ技術分野に属するものであるところ,引用文献3には,前記第3の3のとおり,「複数の外装電極を積層体の端部で接続することにより一体化し,U字状の形状」とすることを含む技術的事項が記載されている。
しかしながら,引用文献3の「外装電極」は,積層体の側面に導電性ペースト等から形成されるものであるから,引用発明1において対応させるとすれば,「第1の厚膜導体7」であって,「第2の厚膜導体8a,8b」ではない。
そうすると,引用発明1において,引用文献3に記載された前記技術的事項を採用したとしても,「第1の厚膜導体7」が「U形状」となるにとどまり,「第2の厚膜導体8a,8b」の形状は何ら変更されないから,相違点1に係る構成が,当業者にとって容易に想到し得るものであるということはできない。
また,引用文献3に記載された前記技術的事項は,「外装電極」が,積層体の側面に導電性ペースト等から形成されていることを前提とし,駆動を繰り返し行うことで,その一部に亀裂等の破損が生じ,内部電極との電気的な接続が失われてしまう場合があり,その問題を解決するために,「外装電極」の形状をU字状としてもよいというものであるところ,引用発明1の「第2の厚膜導体8a,8b」は,「圧電体2の上面2a上に直接形成された第1の厚膜導体7」の外表面に形成されるものであって,圧電体(引用文献3の「積層体」に対応。)の側面に直接形成されるものではないから,上記前提を欠いている。よって,引用文献3に記載された技術的事項を引用発明1に採用する動機付けは存在しないから,この観点からも,相違点1に係る構成が,当業者にとって容易に想到し得るものであるということはできない。
したがって,上記相違点2について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明1及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(2) 引用発明2を主たる引用発明とした場合の検討
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
(ア) 引用発明2の「積層体側層領域8a」及び「表面側層領域8b」は,本願発明1の「第1のメタライジング部(8)」及び「第2のメタライジング部(9)」に相当するとともに,これらは「外部接続部」であるということができる。
(イ) 引用発明2の「積層体側層領域8a」及び「表面側層領域8b」が,「ガラスの焼結体から成る」ことは,本願発明1の「前記第1のメタライジング部(8)および前記第2のメタライジング部(9)は,焼成されて」いることに相当する。
(ウ) 引用発明2の「外部リード部材9」は,本願発明1の「接続ピン」及び「延長接続部(18)」に相当する。
(エ) 引用発明2の「積層型圧電素子1」は,「電子デバイス」の一種である。

したがって,本願発明1と引用発明2とは,以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「1つの第1のメタライジング部(8)と当該第1のメタライジング部上に配設されている1つの第2のメタライジング部(9)とを備えた少なくとも1つの外部接続部(7)を有する電子デバイスであって,
前記第1のメタライジング部(8)および前記第2のメタライジング部(9)は,焼成されており,
接続ピンとして形成されている延長接続部(18)を備える,
電子デバイス。」

(相違点)
(相違点1)
本願発明1では,「前記第2のメタライジング部(9)は,1つの欠損部(12)を有することで前記第1のメタライジング部(8)を部分的にのみ覆うU形状に形成されており,前記第1のメタライジング部(8)は,前記欠損部(12)の下方に存在し」ているのに対し,引用発明2では,「前記第2のメタライジング部(9)は,前記第1のメタライジング部(8)を部分的にのみ覆う形状に形成されて」いるものの,「1つの欠損部(12)」を有していないから,「U形状」であるとはいえないし,「第1のメタライジング部(8)」が,「前記欠損部(12)の下方に存在し」ているともいえない点。

(相違点2)
本願発明1は,「1つの接続部材(14)」が,「第2のメタライジング部(9)」に固定されているのに対し,引用発明2は,「接続部材」を備えていない点。

(相違点3)
「接続ピンとして形成されている延長接続部(18)」について,本願発明1は,「前記接続部材(14)に固定され」ているのに対し,引用発明2は,このような構成を有しておらず,「接続ピン」について,本願発明1は,「前記U形状の平面視で,前記U形状の開口部(17)の上方から前記U形状の中央領域へ延伸している」のに対し,引用発明2は,このような構成を有していない点。

イ 相違点についての判断
上記相違点1は,「第2のメタライジング部(9)」(表面側層領域8b)が「U形状」であることを含むものである。
そして,引用発明2では,「積層体側層領域8a」が「積層体7」側に位置しており,「表面側層領域8b」は当該「積層体側層領域8a」に当接しているものである。
そうすると,前記(1)イの判断と同様,引用文献3に記載された技術的事項に基づいて,引用発明2の「積層体7」に接していない「表面側層領域8b」の形状を「U形状」にすることは,当業者にとって容易に想到し得るものであるということはできない。
したがって,上記相違点2及び3について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は,本願発明1の「第2のメタライジング部(9)」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1,引用発明2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1ないし7に係る発明について,上記引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,本件補正により補正された請求項1は,上記相違点1に係る構成である「第2のメタライジング部(9)」を有するものであって,上記のとおり,本願発明1ないし7は,上記引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
当審では,請求項3の「・・・前記第1のメタライジング部(8)は,ガラス成分を含み,前記第2のメタライジング部(9)は,ガラス成分を全く含まないか,または前記第2のメタライジング部(8)より少ないガラス成分を含むことを特徴とする,請求項1または2に記載の電子デバイス。」という記載の意味が不明確であるから,請求項3を引用する請求項4,5及び7を含め,いずれの請求項に係る発明も明確ではなく,本願は,特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないとの拒絶の理由を通知しているが,本件補正によって,この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1ないし7は,当業者が引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-08 
出願番号 特願2015-533517(P2015-533517)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 俊哉  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 小田 浩
梶尾 誠哉
発明の名称 電子デバイスおよび電子デバイスの接続部の生成方法  
代理人 長門 侃二  
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