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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02S
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H02S
管理番号 1347494
審判番号 不服2018-1949  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-13 
確定日 2019-01-22 
事件の表示 特願2015- 88418「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月24日出願公開、特開2015-211634、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月23日(パリ優先権主張平成26年4月23日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
平成28年 3月31日付け:拒絶理由通知(同年4月5日発送)
平成28年 7月 5日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年12月28日付け:拒絶理由通知(最初、平成29年1月10
日発送)
平成29年 4月10日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 9月29日付け:拒絶査定(平成29年10月10日送達)
平成30年 2月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成30年10月23日付け:当審拒絶理由通知(最初、同年同月30日
発送)
平成30年11月14日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は次のとおりである。
本願の請求項1?17に係る発明は、以下の引用文献1?5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:登録実用新案第3185702号公報
引用文献2:特開2001-24206号公報
引用文献3:特開2003-197944号公報(なお、原査定は、当該文献を、「引用文献4」として表記しているが、「引用文献3」の誤記であると解される。)
引用文献4:特開2003-52185号公報(なお、原査定は、当該文献を、「引用文献3」として表記しているが、「引用文献4」の誤記であると解される。)
引用文献5:特表2012-527767号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明の認定
本願請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明17」という。)は、平成30年11月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定される発明であるところ、本願発明1は、次のとおりであると認められる。
「太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの後面に位置する一体型インバータと、
を含み、
前記一体型インバータは、
前記太陽電池パネルに接続される端子と、前記端子に電気的に接続される直流-交流インバータを含むインバータ部材とを含む回路部と、
ガイド部材と、
前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面、及び前記太陽電池パネルに対向した、前記ガイド部材の開口部分により定められる内部空間部を有し、前記内部空間部内に前記回路部を収容する収容部と、を含み、
前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされるように、前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され、
前記回路部は、前記底面上に形成され、
前記底面は、前記端子に対応する開口部、及び前記開口部を覆うカバー部を有する、太陽電池モジュール。」

なお、本願発明2?17は、本願発明1を直接的又は間接的に引用する発明である。

第5 進歩性欠如の有無の判断
1 引用発明等の認定
(1)引用文献1について
ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(登録実用新案第3185702号公報)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【実用新案登録請求の範囲】」、
「穿孔を設けたカバーと、
前記カバー内に収納され、一方の面にインバータ回路および接線回路が半田付けされ、前記接線回路は複数の導電端子および複数のダイオードを有し、前記複数の導電端子はそれぞれ前記インバータ回路に電気的に接続し、任意の隣り合う前記二つの導電端子の間には前記ダイオードが配置され、前記ダイオードも隣り合う前記二つの導電端子とそれぞれ電気的に接続している回路板と、を含むことを特徴とするインバータモジュール。」(【請求項1】)、
「前記カバーは、框体および蓋を有し、前記框体は開口、および前記開口に対する底板を有し、前記蓋は前記開口を覆うのに用いられ、前記開口の片側に枢接されていることを特徴とする請求項1に記載のインバータモジュール。」(【請求項2】)

(イ)「【技術分野】」、
「本考案は、ソーラーパネルに用いられるインバータに関し、特に、インバータおよびジャンクションボックスを統合したインバータモジュールに関する。」(【0001】)

(ウ)「【考案が解決しようとする課題】」、
「本考案の目的は、インバータおよびジャンクションボックスを統合したインバータモジュールを提供することにある。」(【0005】)

(エ)「【課題を解決するための手段】」、
「上述の目的を達成するため、本考案は、インバータモジュールを提供する。本考案のインバータモジュールは、カバーおよび回路板を含む。カバーは、穿孔を設けている。回路板は、カバー内に収納され、一方の面にインバータ回路および接線回路が半田付けされている。接線回路は、複数の導電端子および複数のダイオードを有する。複数の導電端子は、それぞれインバータ回路に電気的に接続している。任意の隣り合う二つの導電端子の間には、ダイオードが配置されている。ダイオードも隣り合う二つの導電端子とそれぞれ電気的に接続している。」(【0006】)

(オ)「【考案の効果】」、
「本考案のインバータモジュールは、インバータ回路、導電端子およびダイオードを回路板上に統合して設けるため、従来のジャンクションボックスを設ける必要がなく、インバータモジュールを配置するスペースを削減することができる。また、製造および組立において、従来技術より大幅に簡単になった。さらに、インバータ回路は、電子デバイスを回路板の嵌め込みスペース内に配置することにより、カバーの厚さを減少させることができる。」(【0007】)

(カ)「【実施例】」、
「図1?4を参照して説明する。図1は、本考案の一実施形態によるインバータモジュールを示す分解斜視図である。図2は、本考案の一実施形態によるインバータモジュールを示す斜視図である。図3は、本考案の一実施形態によるインバータモジュールを示す斜視図である。図4は、本考案の一実施形態によるインバータモジュールを示す断面図である。図1?4に示すように、本考案のインバータモジュールは、ソーラーパネル10(図5,6参照)に接続され、カバー100および回路板200を含む。」(【0010】)、
「カバー100は、框体110および蓋120を有する。框体110は、四角形を呈し、開口111、および開口111に対する底板112を有する。底板112には、細長い開口111が設けられている。框体110は、外側に入力ポート101および出力ポート102を一対ずつそれぞれ設けている。底板112の外側の面に内側に凹むように放熱空間103が形成されている。底板112は、外側縁から固定片114が延伸している。」(【0011】)、
「蓋120は、開口111を覆うのに用いられ、開口111の片側に枢接されるのが好適で、開口111の反対側にある嵌合構造121により嵌合固定を行なう。框体110は、蓋120との間に防水パッキング131を設け、蓋120が開口111に被せられると、防水パッキング131が蓋120と開口111との間に挟まれ、カバー100を密閉する。固定片114が螺着孔115も設けているため、カバー100は、螺着孔115上で螺着方式によりソーラーパネル10(図5,6参照)に固定される。」(【0012】)、
「回路板200は、四角形を呈し、框体110内に収納され、框体110の底板112の内側に固定されるのが好適である。回路板200は、一辺が穿孔113に隣接するように配置されている。また、回路板200には、異なる位置に相互に独立したインバータ回路300および接線回路400が半田付けされている。接線回路400は、穿孔113の側面に沿って配置され、複数の導電端子410および複数のダイオード420を有する。回路板200は、少なくとも一つの嵌め込みスペース210を設けている。
また、框体110の底板112とソーラーパネル10(図5,6参照)との間にも防水パッキング132が設けられ、その間を密閉する」(【0013】)、
「インバータ回路300は、入力ポート101および出力ポート102にそれぞれ電気的に接続し、複数の電子デバイス310(例えば、コンデンサ)を有する。回路板200上には、体積が大きめな電子デバイス310を配置するのに用いられる回路板200が設けられている。」(【0014】)、
「導電端子410は、それぞれ金属片が曲げられてなり、クリップ状を呈するのが好適であるが、これに限定されるものではない。導電端子410は、回路板200の一辺に沿って直列に設けられている。回路板200のこの一辺は、穿孔113の一方の長辺に隣接して設けられるのが好適である。これにより、導電端子410が穿孔113に隣接して配置されるからである。導電端子410は、それぞれインバータ回路300に電気的に接続し、任意の隣り合う二つの導電端子410の間には、ダイオード420が配置され、どのダイオード420も隣り合う二つの導電端子410とそれぞれ電気的に接続している。これにより、導電端子410を通過した電流が逆流するのを防いでいる。」(【0015】)、
「回路板200上には導熱板500が設けられるのが好適である。導熱板500は、一方の面が回路板200に付着し、もう一方の面が框体110の底板112に付着している。これにより、インバータ回路300の稼動時に発生した熱エネルギーを底板112に伝動し、さらに放熱空間103を介してカバー100の外部に放出する。」(【0016】)、
「図5?7を参照して説明する。図5は、本考案のインバータモジュールの配置状態を示す分解斜視図である。図6は、本考案のインバータモジュールの配置状態を示す斜視図である。図7は、本考案のインバータモジュールの配置状態を示す断面図である。図5?7に示すように、本考案のインバータモジュールは、ソーラーパネル10上に配置され、複数の導電端子410によりソーラーパネル10に接続されている。ソーラーパネル10の発生した直流電流が複数の導電端子410を介してインバータ回路300に流れ込み、交流電流に変換され、入力ポート101から出力され、使用される。」(【0017】)、
「ソーラーパネル10上にジャンクションボックスがすでに設けられている場合、本考案のインバータモジュールは、導電端子410を介してソーラーパネル10に電気的に接続する必要がなく、出力ポート102によりソーラーパネル10上のジャンクションボックスに電気的に接続すればよい。」(【0018】)

イ 上記アによれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた段落番号等を括弧内に示してある。
「穿孔を設けたカバーと、
前記カバー内に収納され、一方の面にインバータ回路および接線回路が半田付けされ、前記接線回路は複数の導電端子および複数のダイオードを有し、前記複数の導電端子はそれぞれ前記インバータ回路に電気的に接続し、任意の隣り合う前記二つの導電端子の間には前記ダイオードが配置され、前記ダイオードも隣り合う前記二つの導電端子とそれぞれ電気的に接続している回路板と、
を含むインバータモジュールを有し、(【請求項1】)
前記インバータモジュールが、防水パッキングを介して、ソーラーパネル上に配置され、複数の導電端子によりソーラパネルに接続されている、(【0013】・【0017】)
装置。」

(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2001-24206号公報)には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
(i)「太陽電池素子と出力リード線との電気的接続部を被覆する保護部材を有する太陽電池モジュールの端子取出し構造において、該保護部材の天板部に該保護部材内部に充填剤を充填するための充填剤注入孔と充填剤確認孔の少なくとも2つの孔部を有し、かつ該保護部材内部に充填剤を有することを特徴とする太陽電池モジュールの端子取出し構造。」(【請求項1】)、
(ii)「保護部材は、あらかじめ保護部材の底面に貼り付けてある両面テープを剥がして、太陽電池モジュールの所定の場所に貼着している。」(【0016】、図2)

(3)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2003-197944号公報)には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
(i)「ケーブル接続部を有する端子ボックス本体と、この端子ボックス本体内に配設された電極接続端子と、端子ボックス本体の天面開口部を閉鎖する蓋体と、から構成され、前記蓋体の裏面には、端子ボックス本体に配設された電極接続端子の一端部に対応する位置に押圧部が形成され、端子ボックス本体のケーブル接続部を通して挿入された接続ケーブルの芯線が、電極接続端子の一端部と蓋体の押圧部との間を通過することにより、電極接続端子に接続されることを特徴とする端子ボックス。」(【請求項1】)、
(ii)「端子ボックス本体2は、方形枠状の周壁3および周壁3の底面に連続する底壁4からなり、また、底壁4は、その上方側略一半部が開口されており、この開口部4aを通して太陽電池モジュール10の出力端を端子ボックス本体2の内部に導くことができる。」(【0019】、図3)。

(4)引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2003-52185号公報)には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
(i)「光起電力素子の出力を変換して出力する電力変換回路と、前記電力変換回路を収容する保護容器と、を備える電力変換器であって、前記保護容器は、前記保護容器を前記光起電力素子を有する光起電力素子モジュールの所定部位に固定する第1の部位と、前記電力変換回路を固定する第2の部位と、を有し、前記第1の部位と前記第2の部位とが異なる熱伝導率を有する材料で作製されていることを特徴とする電力変換器。」(【請求項1】)、
(ii)「電力変換器2107では、電力変換回路201は実装されている放熱性に優れるプリント配線板上に配置され、プリント配線板は第二の部材206と接触するように接着剤2402(あるいは充填剤)を用いて設置されている。」(【0093】、図4)

(5)引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特表2012-527767号公報)には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
(i)「光起電性パネルへの電気的接続を行うために使用する電気的に絶縁した接続箱であって、前記第1のチャンバー内に原位置で接着された金属製のヒートシンクであって、前記第1のチャンバーは電力変換用の回路基板を受け、前記金属製ヒートシンクは前記回路基板により生み出される熱を放散するよう構成されるヒートシンクを備えた、接続箱。」(【請求項17】)、
(ii)「光起電性パネル16の背面4には、回路基板260及び蓋108を含むチャンバーAが設けられており、蓋108は、前記背面4側に存在している。」(【0019】、Fig.2A)。

2 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 引用発明との対比
(ア)本願発明1の「太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの後面に位置する一体型インバータと、を含み、」との特定事項について
a 引用発明の「ソーラーパネル」は、本願発明1の「太陽電池パネル」に相当する。

b 引用発明の「インバータモジュール」は、「インバータ回路」と「複数の導電端子」とを備えるとともに、当該「複数の導電端子」は「ソーラパネルに接続され」るものであるから、本願発明1の「一体型インバータ」に相当する。

c 引用発明の「ソーラーパネル上に配置され」た「インバータモジュール」は、上記a及びbにも照らせば、本願発明1の「前記太陽電池パネルの後面に位置する」「一体型インバータ」に相当するといえる。

d したがって、引用発明は、本願発明1の「太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの後面に位置する一体型インバータと、を含み、」との特定事項を備える。

(イ)本願発明1の「前記一体型インバータは、前記太陽電池パネルに接続される端子と、前記端子に電気的に接続される直流-交流インバータを含むインバータ部材とを含む回路部と、ガイド部材と、前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面、及び前記太陽電池パネルに対向した、前記ガイド部材の開口部分により定められる内部空間部を有し、前記内部空間部内に前記回路部を収容する収容部と、を含み、」との特定事項について
a 引用発明の「ソーラパネルに接続され」る「複数の導電端子」は、本願発明1の「前記太陽電池パネルに接続される端子」に相当する。

b 引用発明の「前記複数の導電端子」に「電気的に接続」される「インバータ回路」は、本願発明1の「前記端子に電気的に接続される直流-交流インバータを含むインバータ部材」に相当する。

c 上記a及びbによれば、引用発明は、本願発明1でいう「回路部」を備える。

d 引用発明の「カバー」が本願発明1でいう「前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面」を有することは、明らかである。
さらに、引用発明の「カバー」が本願発明1の「内部空間部内に前記回路部を収容する収容部」に該当することも、明らかである。

e したがって、引用発明は、本願発明1の「前記一体型インバータは、前記太陽電池パネルに接続される端子と、前記端子に電気的に接続される直流-交流インバータを含むインバータ部材とを含む回路部と、」「前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面」「により定められる内部空間部を有し、前記内部空間部内に前記回路部を収容する収容部と、」「を含み」との特定事項を備える。
しかし、引用発明は、「防水パッキング」を備えるが、「ガイド部材」を備えるといえるのかは明らかではなく、さらに、引用発明の「内部空間部」は、「前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面」によっては定められるが、「前記太陽電池パネルに対向した、前記ガイド部材の開口部分」によっては定められない。

(ウ)本願発明1の「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされるように、前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され、」との特定事項について
引用発明は、本願発明1の当該特定事項を備えない。

(エ)本願発明1の「前記回路部は、前記底面上に形成され、」との特定事項について
引用発明は、本願発明1の当該特定事項を備えない。

(オ)本願発明1の「前記底面は、前記端子に対応する開口部、及び前記開口部を覆うカバー部を有する、」との特定事項について
引用発明は、本願発明1の当該特定事項を備えない。

(カ)本願発明1の「太陽電池モジュール。」との特定事項について
引用発明の「装置。」が、本願発明1の「太陽電池モジュール。」に相当することは明らかである。

イ 一致点及び相違点の認定
上記アによれば、本願発明1と引用発明とは
「太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの後面に位置する一体型インバータと、
を含み、
前記一体型インバータは、
前記太陽電池パネルに接続される端子と、前記端子に電気的に接続される直流-交流インバータを含むインバータ部材とを含む回路部と、
前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面により定められる内部空間部を有し、前記内部空間部内に前記回路部を収容する収容部と、を含む、
太陽電池モジュール。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明1は、
「ガイド部材」を有するとともに、
「収容部」が有する「内部空間部」が、「前記太陽電池パネルから離隔した底面、前記底面から延びる側面」のみならず、「前記太陽電池パネルに対向した、前記ガイド部材の開口部分」によっても定められるものであって、
さらに、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされるように、前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」ているのに対し、
引用発明は、
「防水パッキング」を有するとともに、
「収容部」が有する「内部空間部」が「前記太陽電池パネルに対向した、前記ガイド部材の開口部分」によっては定められず、
さらに、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされるように、前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」てもいない点。

[相違点2]
本願発明1は、「前記回路部は、前記底面上に形成され」ているのに対し、引用発明は、そうなっていない点。

[相違点3]
本願発明1は、「前記底面は、前記端子に対応する開口部、及び前記開口部を覆うカバー部を有する」のに対し、引用発明は、そうなっていない点。

相違点の判断
(ア)相違点1について
a 相違点1は上記イで認定したとおりであるところ、このうち、少なくとも、「内部空間部」に関して、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされるように、前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」る点は、以下のとおり、原査定が引用した引用文献2?5のいずれにも記載されていない。

(a)引用文献2に記載された発明は、「保護部材内部に充填剤を充填するための」構造に係るものであるから、保護部材内部に充填剤をいきわたらせることを前提とするものと解され(上記(2)(i))、よって、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされる」ものではない。
加えて、引用文献2に記載された発明は、(保護部材の)「前記側面が」「前記太陽電池パネルに接合され」ている(上記(2)(ii))とはいえても、「前記側面」の「前記太陽電池パネル」への「接合」が、「前記ガイド部材の前記開口部分を介して」なされていない。

(b)引用文献3に記載された発明は、端子ボックス本体2が開口部4aを備えているけれども、開口部4aは底壁4に形成されたものである(上記(3)(ii))から、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間」を備えるとはいえても、その「空間」に、「前記回路部と空気」以外の構成である「底壁4」をも備えている。よって、引用文献3に記載された発明は、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされる」ものではない。
加えて、引用文献3に記載された発明は、(端子ボックス本体2の)「前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」るものでもない。

(c)引用文献4に記載された発明は、太陽電池モジュールと(箱状の)第2の部材206との間に第1の部材205を設けるものである(上記(4)(i)、(ii))から、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間」を備えるとはいえても、その「空間」に、「前記回路部と空気」以外の構成である「第1の部材205」をも備えている。よって、引用文献4に記載された発明は、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされる」ものではない。
加えて、引用文献4に記載された発明は、(第2の部材206の)「前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」るものでもない。

(d)引用文献5に記載された発明は、外側筐体102の光起電性パネルの背面4側に蓋108を設けるものである(上記(5)(ii))から、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間」を備えるとはいえても、その「空間」に、「前記回路部と空気」以外の構成である「蓋108」をも備えている。よって、引用文献5に記載された発明は、「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が前記回路部と空気で満たされる」ものではない。
加えて、引用文献5に記載された発明は、(外側筐体102の)「前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」るものでもない。

b このように、相違点1に係る構成は、引用文献2?引用文献5のいずれにも記載されていないから、当業者は、引用発明及び引用文献2?引用文献5に記載された発明に基づいて、相違点1の構成に至ることはない。

(イ)小括
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者が、引用発明及び引用文献2?引用文献5に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。

(2)本願発明2?17について
本願発明2?17は、本願発明1を直接的又は間接的に引用する発明であるから、上記(1)と同様の理由で、当業者が、引用発明及び引用文献2?引用文献5に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定の理由に対する判断
上記第5のとおりであるから、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由に対する判断
1 当審拒絶理由は、明確性要件違反を指摘するものであるところ、これらの理由は、以下のとおり、平成30年11月14日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)によって解消された。
(1)本件補正前の請求項1の「太陽電池パネルに対向した開口部分」という記載の不明確性については、本件補正により「ガイド部材」が特定されたことによって解消した。

(2)本件補正前の請求項1の「前記側面の内部空間」という記載の不明確性については、本件補正によりその文言が使用されなくなったことによって解消した。

(3)本件補正前の請求項1の「前記底面と前記太陽電池パネルの底面との間の空間が空気で満たされるように、」との記載の不明確性については、本件補正により当該空間に「回路部」をも存在することが特定されたことによって解消した。

(4)本件補正前の請求項1の「前記開口部分として形成された前記太陽電池パネル」との記載の不明確性については、本件補正により当該記載が「前記側面が前記ガイド部材の前記開口部分を介して前記太陽電池パネルに接合され」と表現されたことによって解消した。

(5)本件補正前の請求項4の「(fin)」との記載の不明確性については、本件補正によりその記載が削除されたことによって解消した。

(6)本件補正前の請求項6の「第2の面」との記載の不明確性については、本件補正により当該記載が「前記太陽電池パネルの反対側の面」と表現されたことによって解消した。

2 したがって、当審拒絶理由により、本願を拒絶することはできない。

第8 むすび
このように、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
そして、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2015-88418(P2015-88418)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H02S)
P 1 8・ 121- WY (H02S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 元彦  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 山村 浩
星野 浩一
発明の名称 太陽電池モジュール  
代理人 南山 知広  
代理人 竹本 実  
代理人 青木 篤  
代理人 河合 章  
代理人 三橋 真二  
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