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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07D
管理番号 1347541
審判番号 不服2017-17910  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-01 
確定日 2019-01-22 
事件の表示 特願2013-225570号「紙葉搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年5月7日出願公開、特開2015-87932号、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月30日の出願であって、平成29年1月26日付けで拒絶理由が通知され、同年3月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月5日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、同年12月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1及び6?8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項2?5及び9?10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[刊行物]
1.特開2012-38241号公報
2.米国特許出願公開第2009/0230616号明細書
3.特開2013-43722号公報
以下、それぞれ、「引用文献1?3」という。

第3 本願発明
本願の請求項1?10に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1?10」という。)は、平成29年12月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
紙葉の表面が搬送ガイド面に沿った状態で当該紙葉の搬送が行われる2つの主搬送部を備えて搬送路が構成され、前記2つの主搬送部は、前記搬送ガイド面が互いに異なる平面上に位置したものであり、前記主搬送部の一方から連絡搬送部を介して前記主搬送部の他方に紙葉を搬送する紙葉搬送装置において、
前記2つの主搬送部は、一方が他方よりも低い位置にあり、
前記連絡搬送部は、
前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次湾曲するように構成した湾曲部を有する湾曲通路構成部と、
前記湾曲通路構成部の一方の端部に接続され、前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第1のねじれ通路構成部と、
前記湾曲通路構成部の他方の端部に接続され、前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第2のねじれ通路構成部と
を備えたことを特徴とする紙葉搬送装置。
【請求項2】
前記第1のねじれ通路構成部及び前記第2のねじれ通路構成部は、紙葉が通過する搬送空間を有した複数の単位通路構成体を備え、それぞれの搬送空間が互いに連通し、かつ搬送空間を通過する共通の軸線を中心として互いに回転可能となるように複数の単位通路構成体を連結することによって構成したことを特徴とする請求項1に記載の紙葉搬送装置。
【請求項3】
複数の単位通路構成体は、搬送空間を通過する共通の軸線を中心とした円弧状を成す回転ガイド面を有し、前記回転ガイド面をガイドとして相互に回転可能となるように連結したことを特徴とする請求項2に記載の紙葉搬送装置。
【請求項4】
複数の単位通路構成体は、互いに共通となる位置に係合連結片を有し、弾性を有する一連の連結部材によってこれら係合連結片を相互に連係したことを特徴とする請求項3に記載の紙葉搬送装置。
【請求項5】
単位通路構成体には、それぞれ前記係合連結片を複数箇所に形成し、
対応する位置の係合連結片を個別の連結部材によって互いに連係したことを特徴とする請求項4に記載の紙葉搬送装置。
【請求項6】
前記湾曲通路構成部は、搬送ガイド面が単一の平面上に延在する搬送基部の両端部にそれぞれ湾曲部を有したことを特徴とする請求項1に記載の紙葉搬送装置。
【請求項7】
2つの湾曲部は、前記搬送基部の搬送ガイド面に対して同一の方向に湾曲することを特徴とする請求項6に記載の紙葉搬送装置。
【請求項8】
前記搬送路の内部には、搬送ガイド面に沿って移動することにより搬送ガイド面との間に紙葉を挟んだ状態で当該紙葉の搬送を行う搬送走行体を配設したことを特徴とする請求項1に記載の紙葉搬送装置。
【請求項9】
前記搬送走行体は、複数の搬送コマを紙葉の搬送方向に沿って鎖状に連結することにより構成したものであり、
搬送コマの相互間は、前記湾曲部の搬送ガイド面に沿って変位可能、かつ前記第1のねじれ通路構成部及び前記第2のねじれ通路構成部の搬送ガイド面に沿って変位可能となるように互いに傾動可能に連結したことを特徴とする請求項8に記載の紙葉搬送装置。
【請求項10】
前記搬送路には、搬送ガイド面に沿ってガイドレールを設け、
前記搬送走行体の搬送コマには、前記ガイドレールをガイドとして搬送方向に移動するようにガイド係合部を設けたことを特徴とする請求項9に記載の紙葉搬送装置。」

第4 引用文献に記載された事項及び発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図とともに、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付加した。以下、同様である。)。
(1a)
「【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、外部から受け入れた紙葉類の折り目を除去・軽減してから搬送路へ送り込むことのできる紙葉類取込装置を提供することを目的としている。」
(1b)
「【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る紙幣取込装置24が取り付けられた紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
・・・
【0029】
本例では、図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に、空気流発生装置14と金庫5が配置されており、紙葉類搬送装置10の搬送管12は、空気流発生装置14が設置された側の遊技機島2の端部にその始端部と終端部を備え、始端部から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、終端部まで延設された復路12cで構成されている。
・・・
【0032】
搬送管12の始端部には、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置21が設けてある。また、搬送管12の終端部には紙幣分離装置20が配置され、紙幣分離装置20のやや上流には搬送補助体分離装置22が配置されている。また、搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置24が配設されている。紙幣取込装置24は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6と、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6とを取り込むべく、搬送管12の側壁の両側に設けられている。紙幣取込装置24は、復路12cを構成する搬送管と搬送管の間に介在してこれらを連結する役割も果たす。
【0033】
紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在する。この搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が搬送補助体挿入装置21によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送補助体挿入装置21から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。」
(1c)
「【0054】
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ34の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6は複数本のリブ34の先端部分で支持されるため、リブ34の周辺やリブ34とリブ34の間では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。
【0055】
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ34は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ34を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ34を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。」
(1d)
引用文献1の図1?8は、以下のとおりである。


(2)引用文献1に記載された発明
摘記(1a)?(1d)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「紙葉類搬送装置10の搬送管12は、空気流発生装置14が設置された側の遊技機島2の端部にその始端部と終端部を備え、始端部から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、終端部まで延設された復路12cで構成され、
搬送管12の始端部には、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置21が設けてあり、
搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置24が配設され、
紙幣取込装置24は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6と、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6とを取り込むべく、搬送管12の側壁の両側に設けられ、
紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在し、
搬送補助体挿入装置21から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動し、このとき、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて紙幣6が搬送される、紙葉類搬送装置10。」

2 引用文献2について
引用文献2には、図とともに、以下の事項が記載されている(なお、和訳は、当審が作成した。)。
(2a)ABSTRACT
「・・・In an arrangement comprising two such obliquely oriented diverting elements (1, 2) and a diverting roller (3) in between, the sheet material (4) transported along a transport path can be turned over by 180°without any interruption of transport, using up little space.・・・」
[和訳]
「・・・2つのこのような斜め方向転換要素(1, 2)とそれらの間に配置された転向ローラ(3)とを備える構成では、搬送経路に沿って搬送されるシート材料(4)は、僅かな空間を使用して、輸送を中断することなく、180°反転させることができる。・・・」
(2b)[0031]
「・・・The sheet material 4 to be turned over in the shown exemplary embodiment meets the inner surface of the first oblique diverting element 1 and is passed on in such a manner that after passing the centrally arranged diverting roller 3 it meets the inner surface of the second obliquely arranged diverting element 2. Thereby the transport planes upstream and downstream from the diverting device lie in different planes parallel to each other.・・・ 」
[和訳]
「・・・図示の実施例で反転されるシート材料4は、第1の斜め方向転換要素1の内面と接すると共に、中央に配置された転向ローラ3を通過した後、第2の斜め方向転換要素2の内側表面に接触するように通過される。これにより、分岐装置の上流側及び下流側の搬送平面は互いに平行な異なる平面内に位置する。・・・」

3 引用文献3について
引用文献3には、図とともに、以下の事項が記載されている。
(3a)
「【0018】
図2は、略S字上に配列される遊技機75列に沿ってその背面側に延設される湾曲形状の紙幣搬送路3の構成を示す図であって、(a)は要部斜視図、(b)はその湾曲形状の紙幣搬送路3を構成する短形の湾曲通路ブロック21を示す斜視図、(c)はこの紙幣搬送路3の通路断面を示す断面図である。図に示すように、この紙幣搬送路3の内部には、後述の搬送レール12,13に案内されて一方向に循環し、紙幣を紙幣収納部76に向けて搬送する搬送部材35を備えた無端状の搬送チェーン5が配設されている。また、この紙幣搬送路3は、複数の湾曲通路ブロック21を連結することにより、湾曲状に形成される。
【0019】
図3は、湾曲状の紙幣搬送路3を構成する湾曲通路ブロック21の構造を示す図であって、(a)はその全体斜視図、(b)はこの湾曲通路ブロック21を構成するメインフレームの形態を示す斜視図、(c)は、湾曲通路ブロック21を連結する場合の搬送レール12の連結状態を示す平面図である。この湾曲通路ブロック21は、紙幣の搬送方向に沿って短形に形成されるものであって、搬送チェーン5を案内する搬送レール12,13を備えたメインフレーム(フレーム部)11と、その搬送レール12,13に沿ってメインフレーム11の両側に装着される側板部17,18と、メインフレーム11の上方にこれと平行に設けられ、メインフレーム11の両側に装着される側板部17,18に挟まれてその上部を装着する上部フレーム15等を備えて構成されている。なお、上部フレーム15の上面には、これを取付具等を介して遊技島80の基台等に取り付けるためのネジ穴部16が設けられている。
【0020】
図3(b)に示すようにメインフレーム11は、その上部に搬送チェーン5を案内する搬送レール12が設けられている。この搬送レール12は、断面形状が上部を開放した略C字状であって、直線状に短く形成されている。また、この搬送レール12の下方には、上部の搬送レール12と上下方向に対称に搬送レール13が同様に設けられている。また、この下方の搬送レール13の下方側にはこれと対向するように樋状のカバー部14が形成されている。この樋状のカバー部14は、搬送チェーン5に備えられて、紙幣を搬送する搬送部材35を外側から覆うものである。また、このメインフレーム11に設けられる上下の搬送レール12,13の長さ方向の両端側には、その端部から突出して連結部25?28が設けられている。この連結部25,27及び連結部26,28は、上下方向にそれぞれ軸心が一致するように設けられ、この軸心に装着される連結軸30を介して複数のメインフレーム11を自在に搬送レール12,13の幅方向に揺動可能に連結するものである。また、この連結部25?28は、搬送レール12,13を案内される搬送チェーン5がその幅方向に湾曲可能な曲率に沿って搬送レール12,13を連結可能なように、搬送レールの両端から突出して設けられている。すなわち、搬送レール12,13の両端から突出して連結部25?28を設けることにより、連結される搬送レール12,13の端部間に適宜な隙間を設け、その隙間によって搬送レール12(13)を図3(c)に示すように所定の角度に傾けて連結することで、それらを搬送チェーン5が幅方向に湾曲可能な曲率に沿って連結するものである。また、図3(c)に示すように、搬送レール12(13)の長さ方向の両端に設けられる連結部25,26(または27,28)のピッチPは、搬送チェーン5を構成する後述のリンク部40の全長Lより若干長く構成されている。これにより、搬送レール12,13が湾曲形状に連結される場合、そのつなぎ目による引っ掛かり等を少なくして、搬送チェーン3を連結された搬送レール12,13に沿って円滑に搬送することができる。
【0021】
なお、上部フレーム15の長さ方向の両端側には、その端部から突出して連結部23、24が設けられている。これらの連結部23,24は、それぞれが連結部25,27及び連結部26,28と上下方向に軸心が一致するように設けられ、この軸心に装着される連結軸30を介して複数の湾曲通路ブロック21を自在に搬送レール12、13の幅方向に揺動可能に連結するものである。
【0022】
また、メインフレーム11の両側に装着される側板部17,18は、図3(a)に示すように、その内側に搬送レール12,13に沿って延設される複数の突条部19,20が設けられている。この突条部19,20は、搬送レール12,13に案内される搬送チェーン3の搬送部材35に設けられる後述の作用部36と隙間を介して噛み合うように配置されている(図2(c)参照)。すなわち、この側板部17,18の内側には、紙幣を搬送する紙幣通路31が形成され、この紙幣通路31を搬送される紙幣10は、側板部17,18の突条部19,20により、搬送チェーン5の搬送部材35に適宜に押圧され、紙幣通路31に沿って安定に搬送される。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

引用発明では、「紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在し」、「搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて紙幣6が搬送され」ることから(図3及び図4も参照)、引用発明の「搬送管12の復路12」は、「紙幣6」の表面が「搬送管12の復路12c内」の内面に沿った状態で、当該「紙幣6」の搬送が行われる、主搬送部を構成していることが明らかである(摘記(1c)の段落【0054】及び【0055】も参照)。

引用発明の「紙幣6」は、本願発明1の「紙葉」に相当する。
引用発明の「搬送管12」は、本願発明1の「搬送路」に相当する。
引用発明の「搬送管12の復路12c」は、本願発明1の「主搬送路」に相当する。

上記ア及びイを踏まえると、引用発明の「紙葉類搬送装置10の搬送管12は、空気流発生装置14が設置された側の遊技機島2の端部にその始端部と終端部を備え、始端部から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、終端部まで延設された復路12cで構成され、搬送管12の始端部には、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置21が設けてあり、搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置24が配設され」、「紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在し、搬送補助体挿入装置21から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動し、このとき、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて紙幣6が搬送される」構成と、本願発明1の「紙葉の表面が搬送ガイド面に沿った状態で当該紙葉の搬送が行われる2つの主搬送部を備えて搬送路が構成され」る構成とは、「紙葉の表面が搬送ガイド面に沿った状態で当該紙葉の搬送が行われる主搬送部を備えて搬送路が構成される」構成の限りで共通している。

引用発明の「紙葉類搬送装置10」は、本願発明1の「紙葉搬送装置」に相当する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「紙葉の表面が搬送ガイド面に沿った状態で当該紙葉の搬送が行われる主搬送部を備えて搬送路が構成される紙葉搬送装置。」
<相違点>
本願発明1は、主搬送部が、「2つの主搬送部」であり、「前記2つの主搬送部は、前記搬送ガイド面が互いに異なる平面上に位置したものであり」、
紙葉搬送装置が、「前記主搬送部の一方から連絡搬送部を介して前記主搬送部の他方に紙葉を搬送する紙葉搬送装置」であり、
「前記2つの主搬送部は、一方が他方よりも低い位置にあり、
前記連絡搬送部は、
前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次湾曲するように構成した湾曲部を有する湾曲通路構成部と、
前記湾曲通路構成部の一方の端部に接続され、前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第1のねじれ通路構成部と、
前記湾曲通路構成部の他方の端部に接続され、前記搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第2のねじれ通路構成部と
を備えた」構成であるのに対して、
引用発明は、そのような構成を備えていない点。

(2)判断
以下、相違点について検討する。

上記相違点に係る本願発明1の構成(特に、当該構成の「2つの主搬送部」、「前記2つの主搬送部は、一方が他方よりも低い位置にあり、」及び「湾曲通路構成部の一方の端部に接続され、搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第1のねじれ通路構成部と、湾曲通路構成部の他方の端部に接続され、搬送ガイド面が紙葉の搬送方向に沿って漸次ねじれるように構成した第2のねじれ通路構成部」)は、上記のいずれの引用文献にも記載も示唆もされていない。
特に、引用文献2は、「搬送経路に沿って搬送されるシート材料(4)」を「180°反転させることができる」だけであり(摘記(2a)))、この「搬送経路」は、「搬送ガイド面」や「ねじれ通路構成部」等を有する通路として構成されているものではなく、「分岐装置の上流側及び下流側の搬送平面は互いに平行な異なる平面内に位置する」(摘記(2b))ものの、これらの「搬送平面」の高さの関係は不明であり、上述のとおり、引用文献2にも、上記相違点に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。

そうすると、引用文献2に記載された技術事項を引用発明に適用してみても上記相違点に係る本願発明1の構成に至るものではないから、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明6?8について
本願発明6?8は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2?5及び9?10について
本願発明2?5及び9?10は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであること、摘記(3a)及び上記1(2)アを参照すると、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2ないし3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 小括
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-10 
出願番号 特願2013-225570(P2013-225570)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 和田 雄二
出口 昌哉
発明の名称 紙葉搬送装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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