• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08B
管理番号 1347601
審判番号 不服2017-17595  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-28 
確定日 2019-01-04 
事件の表示 特願2013- 39676「物体検知装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月11日出願公開、特開2014-167741〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月28日の出願であって、平成28年2月16日に手続補正がなされ、平成29年1月23日付けで拒絶理由が通知され、同年3月22日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年8月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年11月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、平成30年10月15日に上申書が提出されたものである。

第2 平成29年11月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年11月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「検知素子を含むセンサ本体と、
前記センサ本体の背面に一部または全部が位置する収納ボックスとを備え、被装着部に装着される物体検知装置であって、
前記センサ本体からの出力信号を無線送信する送信器を収納する送信器収納部と、
前記収納ボックスに構成され、前記センサ本体および前記送信器に給電する電池を保持する電池保持部とを有し、
前記収納ボックスに構成された前記電池保持部は、前記センサ本体が前記収納ボックスから分離されず、かつ、当該物体検知装置が前記被装着部から取り外されない状態で、前記電池保持部に保持されている電池の交換を可能にするように、前記電池保持部を開放する保持部開放手段を含む、物体検知装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「検知素子を含むセンサ本体と、
前記センサ本体の背面に一部または全部が位置する収納ボックスとを備え、被装着部に装着される物体検知装置であって、
前記センサ本体からの出力信号を無線送信する送信器を収納する送信器収納部と、
前記収納ボックスに構成され、前記センサ本体および前記送信器に給電する電池を保持する電池保持部とを有し、
前記電池保持部は、前記センサ本体が前記収納ボックスから分離されず、かつ、当該物体検知装置が前記被装着部から取り外されない状態で、前記電池保持部に保持されている電池の交換を可能にするように、前記電池保持部を開放する保持部開放手段を含む、物体検知装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記電池保持部」に「前記収納ボックスに構成された」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願出願日前に頒布された引用文献である国際公開第2010/079527号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。下線は強調のため当審で付与した。
「[0001] 本発明は、物体を検出する物体検出部および無線送信器を有する防犯センサと、無線送信器から送信される信号を受信する受信器とを備えた防犯センサシステムに関する。」(明細書1頁4?6行)
「[0013] 以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明に係る防犯センサを示す斜視図である。図2は第1実施形態に係る防犯センサシステムを示すブロック図である。図1のように、防犯センサ1は、投光ユニット2と受光ユニット3が相対向してそれぞれ例えば取付けポールPに取り付けられて、投光ユニット2から検知エリア内で赤外線(IR)が投光され、受光ユニット3で投光された赤外線(IR)を受光するAIR(能動型赤外線)センサである。投光ユニット2および受光ユニット3は、それぞれバックボックス部4とセンサカバー6とからなり、投光ユニット2のセンサカバー6内にセンサ本体部5Aが、受光ユニット3のセンサカバー6内にセンサ本体部5Bが収納されており、各バックボックス部4内に後述する無線送信器17やバッテリーなどが収納される。
[0014] 図2のように、この防犯センサシステムは、防犯センサ1と受信器18とを備えており、防犯センサ1は、各ユニットについて、物体を検出する物体検出部10(受光ユニット3のみ)、制御部15および信号入力に応じた出力信号を無線送信する無線送信器17を有し、受信器18は無線送信器17から送信された出力信号を受信する。
[0015] この防犯センサシステムは、受信器18がモード切替手段20を備え、夜間や不在時などの警戒モードと、昼間や在宅時などの非警戒モードとに切り替えるようになっており、受信器18は、非警戒モードでは無線送信器17から送信された出力信号を受信しても警報出力を行うことなく、つまり警戒動作を行わず、警戒モードで出力信号を受信して警報出力を行い、警戒動作を行う。物体検出に関しては夜間等の必要な時だけ非警戒モードから警戒モードに切り替えて使用される場合が多く、物体検出以外のタンパ、ローバッテリー等に関しては通常24時間警戒モードに設定される。
[0016] 図2のように、防犯センサ1の投光ユニット2は、センサ本体部5Aが、投光素子のような投光器12、制御部15、出力端子部16および前記した無線送信器17を備えている。また、センサ本体部5Aは、図示しないバッテリー、バッテリーセービングスイッチおよびタンパスイッチ等を備えており、ローバッテリー信号出力部21およびタンパ信号を出力するタンパ信号出力部22を備えている。
[0017] ローバッテリー信号出力部21は、バッテリーが所定電圧以下になると、投光ユニット2のローバッテリーの異常状態が継続していることを示すローバッテリー信号の異常検出信号を出力する。防犯センサ1がバッテリーを搭載して直流電力で駆動させているのは、低消費電力化や配線工事の手間を少なくするなどのためである。タンパ信号出力部22は、妨害行為を目的としてセンサ本体部5Aからセンサカバー6が取り外されたとき、タンパスイッチがオンまたはオフして、この異常状態が継続していることを示すタンパ信号の異常検出信号を出力する。この妨害行為は、例えば、センサカバー6が取り外されて信号出力されないように配線加工等をする行為である。
[0018] 受光ユニット3は、センサ本体部5Bが、受光素子のような受光器13および物体を検出する物体検出部10を備え、投光ユニット2と同様に、制御部15、出力端子部16および無線送信器17を備えている。また、センサ本体部5Bは、投光ユニット2と同様に、図示しないバッテリー、バッテリーセービングスイッチ、間欠スイッチおよびタンパスイッチ等を備えており、ローバッテリー信号出力部21、タンパ信号出力部22のほかに悪環境信号出力部24を備えている。
[0019] ローバッテリー信号出力部21およびタンパ信号出力部22は、投光ユニット2と同様に各信号を出力する。物体検出部10は、検知エリア内で物体により赤外線(IR)が遮光されている場合、遮光されている間継続して物体検出信号を出力する。制御部15はこの物体検出信号に基づき警報信号を出力する。悪環境信号出力部24は、霧、霜などにより赤外線の受光レベルが低下した場合、例えば受光レベルが所定の悪環境検出レベル以下で、警報出力レベルに至らない状態が所定時間継続した場合に、悪環境信号の異常検出信号を出力する。
[0020] 投光ユニット2および受光ユニット3の無線送信器17と屋内の受信器18には、例えば汎用の送受信モジュールが使用される。この場合、投光ユニット2および受光ユニット3は、汎用の無線送信器17を例えば2台収納する収納スペース19を有している。この例では、各無線送信器17に対してそれぞれ受信器18が設けられているが、各出力を区別できるチャンネル機能を持った受信器18を1台だけ設けるようにしてもよい。」(明細書5頁3行?7頁6行)
「[0024] 制御部15は、物体検出部10からの物体を継続して検出した物体検出信号に基づき警報信号を生成し、間欠信号生成手段27により間欠させた警報信号(センサ信号)を生成してこれを出力端子部16から無線送信器17に入力させ、この信号入力に基づく間欠出力信号を無線送信器17から受信器18に送信させる。無線送信器17が信号入力に基づいて1パルスのみの出力信号を送信する汎用品を使用する場合であっても、間欠させたセンサ信号入力に基づいてそれぞれ出力信号を送信するので、間欠出力信号を送信することとなる。例えば、警報信号は1分おきに1出力される。各ユニットのローバッテリー信号、タンパ信号および悪環境信号の異常検出信号(センサ信号)も、同様に間欠出力信号として送信される。例えば、ローバッテリー信号は5分おきに1出力、悪環境信号は1分おきに1出力される。」(明細書7頁25行?8頁7行)
「[0028]また、図5(A)のように、各ユニットにおいて間欠信号生成手段27により所定の間欠時間で間欠させたセンサ信号を出力させると、バッテリーの消費が増大する。このため、図5(B)のように、バッテリーセービング手段26の制御によって、間欠信号生成部27により、該間欠させたセンサ信号の間欠時間の間隔を例えば2倍に大きくすることにより、バッテリーセービング時間内の出力を制限して、バッテリーのセービングがなされる。これにより、バッテリー消費を低減させることができる。」(明細書9頁6?12行)
「[0036]なお、上記各実施形態では、防犯センサはバッテリーが搭載されて直流電力で駆動するが、これに限定されるものではなく、電源線などは有線で接続し、間欠させたセンサ信号などの出力信号は無線送信器17に接続して、受信器18へ送信するようにしてもよい。」(明細書11頁6?9行)

(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1に記載された技術は、物体を検出する物体検出部および無線送信器を有する防犯センサと、無線送信器から送信される信号を受信する受信器とを備えた防犯センサシステムに関するに関するもの([0001])である。
b 防犯センサ1は、投光ユニット2と受光ユニット3が相対向して取り付けポールPに取り付けられて使用されるものであり、そのうち受光ユニット3は、センサカバー6内にセンサ本体部5Bが収納されており、バックボックス部4内に無線送信器17やバッテリーなどが収納されるもの([0013])といえ、前記バックボックス部4は、図1も参照すると、前記センサ本体部5Bの背面の少なくとも一部に位置するといえる。
c 前記センサ本体部5Bは、受光素子のような受光器13および物体を検出する物体検出部10を備え、さらに制御部15、出力端子部16を備えて([0018])おり、前記物体検出部10は、検知エリア内で物体により赤外線(IR)が遮光されている場合、遮光されている間継続して物体検出信号を出力し([0019])、前記制御部15は、前記物体検出信号に基づき警報信号(センサ信号)を生成し、これを出力端子部16から無線送信器17に入力させ、前記無線送信器17から送信させる([0024])ものであり、出力端子部16から出力される警報信号(センサ信号)が前記センサ本体部5Bの出力信号といえる。
d 上記bの受光ユニット3は、前記無線送信器17を収納する収納スペース19を有する([0020])。
e 上記bのバックボックス部4内に収納されるバッテリーは、当然該バックボックス4部に構成されたバッテリー保持部に保持されていことが明らかである。さらに、[0017]、[0024]、[0028]及び[0036]の記載から、前記バッテリーは、前記センサ本体部5Bおよび前記無線送信器17に給電することが明らかである。
上記aないしeより、引用文献1には、「受光ユニット3」に関して次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「センサカバー内に収納され、受光素子のような受光器および物体を検出する物体検出部を含むセンサ本体部と、
前記センサ本体部の背面の少なくとも一部に位置するバックボックス部とを備え、取り付けポールに取り付けられる受光ユニットであって、
前記センサ本体部からのセンサ信号を送信する無線送信器を収納する収納スペースと、
前記バックボックス部に構成され、前記センサ本体部および前記無線送信器に給電するバッテリーを収納する収納部とを有する、
受光ユニット。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された本願出願日前に頒布された引用文献である特開平10-269474号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。下線は強調のため当審で付与した。
「【0028】実施形態2.図7は本発明の実施形態2の本体の平面図、図8は本発明の実施形態2の本体の斜視図である。実施形態2を示す図7と図8には本体8に電池を収納する電池内蔵型の簡易型火災警報機が示されているが、実施形態1と異なる構造の部分について説明する。なお、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して説明は省略する。
【0029】図7において、35は火災感知器3の本体8内に設けられた本来の電池ホルダである。電池ホルダ35は収納箱4内のものと同一構造のもので、図7では本体8の内部に設けられて拡大して示されている。図示のように、電池ホルダ35はプリント基板10の両側に設けられ、前述と同じようにそれぞれ上,下2本分の電池5の装着部が形成されている。35aは電池ホルダ35の側板、35bは側板35aの一部に弾性を持たせて形成された係止片である。また、35cと35dは、電池ホルダ35の+端子と-端子で、各端子35c,35dはジャック15に接続されている。7はダミー電池である。ダミー電池7は、それぞれ電池5の2本分と同じ大きさに作られていて、一方の電池7は+電極から(+)コード61が引き出されており、他方の電池7は-電極から(-)コード61が引き出されていて、各コード61,61の先端は収納箱4の(+)端子及び(-)端子を接続されるようになっている。
【0030】このような構成の実施形態2において、図8のように本体8から保護カバー9を取り外す。そして、本体8を実施形態1と同様に天井1に固定した後、鎖線で示されたように本体8内の電池ホルダ35に、2本のダミー電池7がプリント基板10を挟んで左右に装着される。ダミー電池7の装着後、コードを引き出し、下から保護カバー9を本体8に嵌め合わせて組み付けが終了する。その後の簡易型火災警報機3の火災の検出動作や電池5の交換操作等は、実施形態1と変わるところはない。実施形態2によれば、ダミー電池7を利用することにより、大掛かりな設計変更をすることなく電池内蔵型の簡易型火災警報機に本発明を適用できる利点がある。なお、ダミー電池7を設ける代わりに、電池ホルダーの(+)端子と(-)端子に接続されたジャック15を図7に示すように本体8の側部に設けるようにしてもよい。この場合には収納箱として図1と同じものが使用できる。
【0031】なお、上述の本発明の実施形態では火災時に発生する煙による受光量の変化で火災を検出する光学式の簡易型火災警報機の場合を例示して説明したが、熱的な変化で火災を検出する簡易型火災警報機等の場合にも本発明を適用することができる。また、天井の簡易型火災警報機にコネクタでコードを接続したが、コネクタを省略してコードを直接簡易型火災警報機に接続してもよい。また、ブザーを側壁に取り付けた収納箱側に配置するようにしてもよく、収納箱等の構造や形状等についても必ずしも実施形態に限定するものではない。
【0032】
【発明の効果】この発明は、簡易型火災警報機が部屋内の天井付近に取り付けられて電源に電池を用いて火災を検出する簡易型火災警報機において、電池を部屋内の側壁に取り付けられた収納箱に収納した簡易型火災警報機を構成した。
【0033】また、この発明は、簡易型火災警報機が部屋内の天井付近に取り付けられて電源に電池を用いて火災を検出する簡易型火災警報機において、簡易型火災警報機の内部に設けられた電池ホルダにダミー電池を装着して電池を部屋内の側壁に取り付けられた収納箱に収納した簡易型火災警報機を構成した。また、本体と配線を着脱するコネクタを設けた簡易型火災警報機を構成した。また、収納箱に点検スイッチを設けた簡易型火災警報機を構成した。さらに、収納箱に復帰スイッチを設けた簡易型火災警報機を構成した。
【0034】この結果、電池を交換するときに、従来のように脚立や踏み台を用意する必要がない。電池を交換するときは床面に近い屋内の側壁に取り付けられた収納箱の開閉蓋を開いて、電池ホルダに挿入された古い電池を新しい電池に取り換えればよい。したがって、電池を交換するときに脚立や踏み台を部屋内に持ち込んで取り換えるような従来の簡易型火災警報機と異なり、文字通り部屋内に居ながらにして交換することができる。また、収納箱の点検スイッチを押すだけで作動状態が確認でき、復帰スイッチを押せば作動時から監視時に復帰させることもできる。特に、実施形態2によれば電池内蔵型の外筐を、外部収納箱収納型にそのまま転用することができて極めて都合が良い。
【0035】よって、本発明によれば、身障者や老人に限らず健常者でも電源電圧が低下したときは簡単に電池を交換することができ、しかも容易に火災の検出動作の確認や監視状態への復帰もできて取扱が便利で利用効率の良い簡易型火災警報機を提供することができる。」(4頁6欄?5頁8欄)


」(図7)


」(図8)
引用文献2に記載された実施形態2について、「実施形態2によれば、ダミー電池7を利用することにより、大掛かりな設計変更をすることなく電池内蔵型の簡易型火災警報機に本発明を適用できる利点がある。」(【0030】)と記載されているところ、大掛かりな設計変更をすることなく本発明を適用できる従来の電池内蔵型の簡易型火災警報機は、ダミー電池7を装着する電池ホルダに、電池が装着されるものであり、前記簡易型火災警報機の主たる構造は、図7及び図8に記載された構造と略同じものといえる。そうすると、従来の電池内蔵型の簡易型火災警報機は、天井に固定された後、保護カバー9を取り外すことで、本体内に設けられた電池ホルダの電池を交換できるものといえるから、引用文献2には、従来の電池内蔵型の簡易型火災警報機に関して、次の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認める。
「火災検出部と、電池ホルダを設けた本体と、保護カバーとを備え、保護カバーを取り外すことで、前記電池ホルダに装着された電池を交換可能とする、天井に固定された電池内蔵型の簡易型火災警報機。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「センサカバー内に収納され、受光素子のような受光器および物体を検出する物体検出部を含むセンサ本体部」は、「受光素子のような受光器および物体を検出する物体検出部」を含むから、本願補正発明の「検知素子を含むセンサ本体」に含まれる。
(イ)引用発明の「前記センサ本体部の背面の少なくとも一部に位置するバックボックス部」は、配置される位置を含めて、本件補正発明の「前記センサ本体の背面に一部または全部が位置する収納ボックス」に含まれる。
(ウ)引用発明の「受光ユニット」は、物体を検出する機能を有するから、本願発明の「物体検知装置」に含まれ、引用発明の前記「受光ユニット」が「取り付けポールに取り付けられる」ことは、本願発明の前記「物体検知装置」が「被装着部に装着される」ことに相当する。
(エ)引用発明の「前記センサ本体部からのセンサ信号」、「センサ信号を送信する無線送信器」及び「無線送信器を収納する収納スペース」は、それぞれ本件補正発明の「前記センサ本体からの出力信号」、「出力信号を無線送信する送信器」及び「送信器を収納する送信器収納部」に相当する。
(オ)引用発明の「前記センサ本体部および前記無線送信器に給電するバッテリー」及び「バッテリーを収納する収納部」は、それぞれ本件補正発明の「前記センサ本体および前記送信器に給電する電池」及び「電池を保持する電池保持部」に相当し、引用発明の前記「収納部」が「前記バックボックス部に構成され」る点は、本件補正発明の前記「電池保持部」が「前記収納ボックスに構成され」る点に相当する。

上記(ア)ないし(オ)から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「検知素子を含むセンサ本体と、
前記センサ本体の背面に一部または全部が位置する収納ボックスとを備え、被装着部に装着される物体検知装置であって、
前記センサ本体からの出力信号を無線送信する送信器を収納する送信器収納部と、
前記収納ボックスに構成され、前記センサ本体および前記送信器に給電する電池を保持する電池保持部とを有する、
物体検知装置。」

(相違点)
一致点である「電池保持部」に関し、本件補正発明では、「前記センサ本体が前記収納ボックスから分離されず、かつ、当該物体検知装置が前記被装着部から取り外されない状態で、前記電池保持部に保持されている電池の交換を可能にするように、前記電池保持部を開放する保持部開放手段を含む」点が特定されているのに対し、引用発明ではこの点が特定されていない点。

(4)判断
以下、相違点について判断する。
引用文献2には、上記(2)イのとおり、「火災検出部と、電池ホルダを設けた本体と、保護カバーとを備え、保護カバーを取り外すことで、前記電池ホルダに装着された電池を交換可能とする、天井に固定された電池内蔵型の簡易型火災警報機。」(引用文献2記載事項)が記載されている。
引用発明の受光ユニットと引用文献2記載事項の簡易型火災警報機とは、ともに電源の供給に交換可能なバッテリー(電池)を用い、被装着部に装着された状態で動作するものであるから、バッテリーを交換するための構成が特定されていない引用発明において、引用文献2記載事項を採用して、取り付けポールに取り付けられた状態で、保護カバー、すなわち引用発明のセンサカバーを取り外すことで、電池を交換できるように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。この場合、前記「センサカバー」を「保持部開放手段」と称することは任意であり、また、電池交換する際にセンサ本体部を取り外す必要がないことも明らかである。

そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用発明2記載事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

なお、審判請求人は、平成30年10月15日に提出した上申書において、請求項1を以下のとおりに補正した場合の見解を主張している。
「検知素子を含むセンサ本体と、
前記センサ本体の背面に一部または全部が位置する収納ボックスと、
前記センサ本体を覆う本体カバーとを備え、被装着部に装着される物体検知装置であって、
前記センサ本体からの出力信号を無線送信する送信器を収納する送信器収納部と、
前記収納ボックスに構成され、前記センサ本体および前記送信器に給電する電池を保持する電池保持部とを有し、
前記収納ボックスに構成された前記電池保持部は、前記本体カバーが開放されず、前記センサ本体が前記収納ボックスから分離されず、かつ、当該物体検知装置が前記被装着部から取り外されない状態で、前記電池保持部に保持されている電池の交換を可能にするように、前記電池保持部を開放する保持部開放手段を含む、物体検知装置。」
しかしながら、被装着部に装着される装置において、本体カバーとは別に電池交換するためのカバーを設けることは、特開2011-54495号公報(【0049】、図10の、「下部分113bを本体部12aから取り外すことで、内部に設けられた乾電池15を交換できる」構成参照。)、登録実用新案第3151184号公報(図1ないし6で、電池交換用の蓋4を設ける構成参照。)、登録実用新案第3139482号公報(図3の電池交換用の蓋3を設ける構成参照。)及び特開2011-13939号公報(図1の電池カバー26を設ける構成参照。)にみられるように周知事項である。
また、上記記載は、物体検知装置が「光軸調整」や「検知エリア調整」を必要とすることを特定するものではないから、上申書に記載された「電池交換後に光軸調整や検知エリア調整が不要になるという格別の効果」を奏するとの主張を採用することはできない。
そうすると、仮に上記のとおりに請求項1を補正したとしても、その発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、上記周知事項を勘案することにより当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年11月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明と引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:国際公開第2010/079527号
引用文献2:特開平10-269474号公報

3 引用文献及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。
また、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の「前記収納ボックスに構成された前記電池保持部」から「前記収納ボックスに構成された」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-05 
結審通知日 2018-11-06 
審決日 2018-11-19 
出願番号 特願2013-39676(P2013-39676)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G08B)
P 1 8・ 121- Z (G08B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西巻 正臣  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 中野 浩昌
山中 実
発明の名称 物体検知装置  
代理人 谷口 洋樹  
代理人 野田 雅士  
代理人 堤 健郎  
代理人 林田 久美子  
代理人 杉本 修司  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ