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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1347633
異議申立番号 異議2018-700409  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-18 
確定日 2018-11-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6235650号発明「医薬品在庫管理システム及び、医薬品在庫管理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6235650号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔9-15〕について訂正することを認める。 特許第6235650号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 特許第6235650号の請求項9ないし15に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6235650号の請求項1-15に係る特許についての出願は、平成28年5月12日に出願され、平成29年11月2日にその特許権の設定登録がされ、平成29年11月22日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年5月18日に特許異議申立人北野好人により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年7月23日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成30年9月21日に意見書の提出及び訂正の請求を行ったものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容(以下、「本件訂正」という。)は、請求項9-15を削除するというものである。
また、本件訂正請求は、一群の請求項〔9-15〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正は、訂正前の請求項9-15の記載を削除するというものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該訂正は、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔9-15〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-15に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1-15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
なお、本件の請求項1-8に係る発明を、「本件発明1」-「本件発明8」という。

【請求項1】
医薬品の流通において、前記医薬品の納入先からの返品の可否を判定する医薬品在庫管理システムであって、
前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段と、
前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、
前記医薬品が前記環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段と、
前記保管環境検知手段及び前記保管状態検知手段による検知情報から、前記医薬品の返品の可否を判断する返品判定手段と、
を備え、
前記返品判定手段は、前記医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が前記環境条件から外れた環境に晒された時間および/または、前記環境条件から外れた程度に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、医薬品在庫管理システム。
【請求項2】
前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段と、
前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段と、
前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段と、
をさらに備え、
前記返品判定手段は、前記保管環境検知手段、前記運搬環境検知手段、前記保管状態検知手段及び、前記運搬状態検知手段による検知情報から、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項3】
前記返品判定手段は、前記医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が前記環境条件から外れた環境に晒された時間が所定時間以下であり、且つ、前記環境条件から外れた程度が所定程度以下である場合に、前記医薬品の返品を可能と判断することを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項4】
前記返品判定手段は、前記保管環境検知手段により、前記医薬品の保管中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間及び、前記運搬環境検知手段により、前記医薬品の運搬中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間は、前記環境条件から外れた環境に晒された時間とすることを特徴とする、請求項2または3に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項5】
前記医薬品に応じた環境条件は、前記医薬品の周囲温度が所定温度範囲であることであり、
前記保管環境検知手段は、前記環境維持保管手段における前記医薬品の周囲温度を検知する第1温度センサであり、
前記運搬環境検知手段は、前記環境維持運搬手段における前記医薬品の周囲温度を検知する第2温度センサであることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項6】
前記返品判定手段は、さらに、前記返品に係る医薬品の使用期限までの残存期間に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項7】
前記保管環境検知手段、前記運搬環境検知手段、前記保管状態検知手段及び、前記運搬状態検知手段の少なくとも一部は、無線通信手段を有し、
前記返品判定手段に対し、前記無線通信手段により、リアルタイムの情報を送信することを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項8】
前記環境維持保管手段、前記保管環境検知手段及び、前記保管状態検知手段を、前記納入先における複数部署に対して各々備え、
前記環境維持運搬手段、前記運搬環境検知手段及び、前記運搬状態検知手段を、前記複数部署間における前記医薬品の運搬に対して備えることを特徴とする、請求項2に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
(削除)

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項9-15に係る特許に対して、当審が平成30年7月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1) 請求項9-15に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2) 請求項9-15に係る発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作ではなく、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

2 当審の判断
本件訂正請求による訂正により、取消理由の対象とした訂正前の請求項9-15が削除されたため、前記(1)及び(2)の取消理由については解消した。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立書における申立理由の概要
(1)請求項1-15に係る発明は、主たる証拠としての甲第1号証(特開2014-228931号公報)及び従たる証拠としての甲第2号証(特表2009-500903号公報)、甲第3号証(特表2006-524388号公報)、甲第4号証(特開2003-237945号公報)及び甲第5号証(特開2005-157457号公報)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1-15に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1-15に係る特許を取り消すべきものである。
(2)特許請求の範囲の記載には不備があり、請求項1-15に係る特許は特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるから、請求項1-15に係る特許を取り消すべきものである。

2 当審の判断
(1)特許法第29条第2項について
ア 各甲号証の記載
(ア)甲第1号証(特開2014-228931号公報)
甲第1号証には、以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。
a.「【0001】
本発明は、調剤薬局で使用される医薬品の発注及び備蓄を含む在庫管理業務を支援するシステムに関し、特に、発注/流通単位以下の少量を単位として患者に在庫から払い出される医薬品について複数の調剤薬局の在庫/管理負担を軽減できるシステムに関する。」
b.「【0009】
在庫管理用のコンピュータには、納入された薬剤については、数量に加えて、薬剤の有効期限を管理するために薬剤の製造ロット番号と有効期限が入力されて在庫管理データベースが作成される。在庫管理データベース中の各薬剤毎のデータは、通常、患者に薬剤が処方箋に基づいて払い出される毎に、その薬剤の数量が在庫管理データベースから減算される。そして、例えば、ある薬剤の残り数量が安全な基準在庫値、又は新規に発注すべき所定値のしきい値(以後、発注しきい値と記載)以下にまで減った時点で、その薬剤が問屋又は卸し業者(以下、卸し業者と記載)に対して新規に発注される。発注量は、当該薬剤が所定の備蓄量に達するか、又は有効期限までに使用が予想される量で発注される。近年では、在庫管理データベースに薬剤のデータを入力する際や、薬剤を処方箋に基づいてピッキングする時の薬剤のデータの薬剤保管場所における入力用に、在庫管理用のコンピュータと無線LANで接続されるハンディ端末も使用されている。ハンディ端末には、薬剤の梱包や包装に印刷されたバーコードから薬剤のJANコードを読み取るバーコードリーダが備えられる。
【0010】
そのような在庫管理用のコンピュータには、入力される薬剤のデータについて、レセコン内の処方箋に基づいて入力された薬剤データを、レセコンの有線LAN出力ポートから払い出しデータとして入力できるものがある。また、医薬品コードからJANコードの変換を、少なくとも一部について自動化できる変換データベースを有するものもある(例えば、引用文献1参照)。しかし、JANコードは自動的に入力できるが、薬剤の製造ロット番号と有効期限の付加等は、納品された薬剤に添付された書類や納品された薬剤の梱包上の表示等から手作業で別個に入力する必要が有り、エラーが発生する可能性がある。また、調剤薬局毎の在庫確認と、発注量の検討は、煩雑な作業であり、作業の回数を減らしたり作業内容を容易にすることで、エラーの発生する可能性を軽減させることが要望されている。
【0011】
ところで、調剤薬局の在庫管理データベースの所定薬剤の在庫量が発注しきい値以下になったことから、その薬剤を卸し業者に発注する場合には、卸し業者にJANコードで発注される。つまり、JANコードが付与されている流通時のパッケージ(箱や瓶などの容器単位で、場合によっては、それらの容器単位を複数セットにした箱詰めなど)の単位で発注しなければならない。さらに、JANコードは同等品であっても薬剤の銘柄(製造会社名又はブランド名等)毎に別のコードが付与されており、パッケージも別になっている。一方で調剤薬局では、少量多品種の医薬品について、各店舗で薬剤が不足する問題を回避するために、常時、ある程度の量の在庫量を維持する必要がある。
【0012】
そのため、薬剤の発注は、一般的に実際に使用される薬剤の消費量よりも多めに発注する必要が有る。さらにその際には、各薬剤の有効期限を厳守しつつ維持する必要があり、有効期限に余裕を持たせて期限前に予め発注する必要が有る。そのような理由から調剤薬局の在庫量は、実際の必要量よりも多く発注されて多く在庫される傾向にある。その結果、調剤薬局では、全く使用されない不動在庫が増加したり、不動在庫のまま有効期限を迎える所謂デッドストックの在庫が発生するという問題もあった。
【0013】
<調剤薬局のチェーンの本部サーバーについて>
そのような調剤薬局における薬剤の不足、有効期限の厳守、不動在庫及びデッドストックという問題に対して、例えば、大規模なチェーンの調剤薬局では、多数の店舗の仕入れや在庫等の管理情報を、大規模なシステムにより本部のサーバーにインターネット等の有線回線を介して集中させ、本部の在庫管理担当者が各店舗に在庫された薬剤の量と使用期限及び使用実績を調査し、予め又は所定しきい値以下に不足した分の薬剤を発注したり、各店舗の不動在庫の薬剤を使用実績の多い店舗に振り替える等により店舗間の在庫を調整することで、上記の各問題を軽減することがある。」
c.「【0019】
上記した課題を解決するため本発明に係る一実施態様の薬剤在庫管理システムは、複数店舗を有する調剤薬局チェーンの各店舗において、コンピューターネットワークに接続されて、薬剤の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量の各データを管理し、前記各データを前記ネットワークを介して送受信できる個別管理コンピュータと、前記調剤薬局チェーンの本部において、前記コンピューターネットワークに接続されて、前記各個別管理コンピュータから受信した薬剤の在庫データについての在庫データベースを有し、前記在庫データベースの在庫データから、チェーンの各店舗毎における一つの薬剤についての現在の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量を読み出し、他店舗に供出可能な薬剤量を演算する本部サーバーと、前記調剤薬局チェーンの各店舗において、携帯電話ネットワークに接続されて、当該携帯電話ネットワークから前記コンピューターネットワークを介して前記本部サーバーにアクセスし、前記本部サーバーにより演算された所定薬剤について他店舗が供出可能な薬剤量のデータをダウンロードする携帯電話端末を少なくとも含む。」
d.「【0022】
また、本発明に係る一実施態様の薬剤在庫管理システムは、前記個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータには、当該薬剤毎の有効期限のデータが含まれるようにしてもよい。
本実施態様の薬剤在庫管理システムでは、個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータに薬剤毎の有効期限のデータが含まれることで、本部サーバーに所定薬剤の在庫量のデータを送信する時に有効期限データも送信されるので、有効期限が近いデータの薬剤を優先して他店舗に供出可能な薬剤とすることができ、各店舗に在庫の薬剤における有効期限切れを減少させることができる。
【0023】
また、本発明に係る一実施態様の薬剤在庫管理システムは、前記個別管理コンピュータの前記安全在庫量のデータは、当該薬剤毎の有効期限のデータが所定の安全管理期日以降の薬剤のデータのみを含むようにしてもよい。
本実施態様の薬剤在庫管理システムでは、個別管理コンピュータの薬剤の安全在庫量のデータに薬剤毎の有効期限のデータが、例えば3ヶ月以上後等の所定の安全管理期日以降の薬剤のデータのみを含むので、払い出された薬剤を服用者が服用する期間中に使用期限となる事態を避けることができる。
【0024】
また、本発明に係る一実施態様の薬剤在庫管理システムは、前記個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータには、既に発注されて納入前の薬剤の数量と納入予定日のデータが関連付けられて付帯するようにしてもよい。
本実施態様の薬剤在庫管理システムでは、個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータに発注済みだが納入前の薬剤の数量と納入予定日のデータが関連付けられて付帯するので、将来的な薬剤の在庫量又は安全在庫量に対する不足の解消を予想でき、薬剤の発注をより正確に判断することができる。」
e.以上のa?dの記載から、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数店舗を有する調剤薬局チェーンの各店舗において、コンピューターネットワークに接続されて、薬剤の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量の各データを管理し、前記各データを前記ネットワークを介して送受信できる個別管理コンピュータと、前記調剤薬局チェーンの本部において、前記コンピューターネットワークに接続されて、前記各個別管理コンピュータから受信した薬剤の在庫データについての在庫データベースを有し、前記在庫データベースの在庫データから、チェーンの各店舗毎における一つの薬剤についての現在の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量を読み出し、他店舗に供出可能な薬剤量を演算する本部サーバーを備え、前記各個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータに薬剤毎の有効期限のデータが含まれ、本部サーバーに所定薬剤の在庫量のデータを送信する時に有効期限データも送信されることで、有効期限が近いデータの薬剤を優先して他店舗に供出可能な薬剤とする、薬剤在庫管理システム。」

(イ)甲第2号証(特表2009-500903号公報)
甲第2号証には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。
a.「【0002】
多くの医薬品は、温度および/または湿度などの環境に関する影響に敏感である。それゆえ、製品を周囲の環境からシールドする密閉可能な容器または製品パッケージ内に提供される。このような医薬品の製品パッケージには、例えばネジ式またはスナップ式の再度密閉可能なふたを有するさまざまな形状の錠剤瓶、再度密閉不可能な大小のブリスタ・パックなどの多くの異なるタイプがある。製品パッケージのすべてのタイプの1つの共通の特徴は、中に入れられた医薬品のために本質的に密閉された環境を提供することである。市販されている製品パッケージの基本的なデザインは比較的似ているが、外部の環境に関する影響によって、性能および構造安定性は変わる。」
b.「【0004】
上記有効期限の推定の代わりとして、製品パッケージがさらされる実際の外部の状態を登録するための装置がある。US6810350(特許文献2)及びEP1262161(特許文献3)は、パッケージ内の環境パラメータを登録するための一体化されたセンサユニットを有する医薬品パッケージを開示する。US6810350は、より詳細に医薬品の有効期限を能動的に決定するためのシステムを開示する。それは、温度を登録し、登録された温度履歴に基づいて有効期限を計算する。US4972099(特許文献4)、EP0511807A1(特許文献5)、EP1319928A1(特許文献6)、WO8903020(特許文献7)はすべて、データ記録能力を有するスタンドアロン環境センサユニットの例を開示する。センサユニットは、例えば食物、医薬品などの温度に敏感な商品の配送中に、環境状態を自動的に管理するために使用されることを目的としている。その後、このように格納された環境データはコンピュータに分析のため転送される。」
c.「【0013】
図1は、本発明に係る医薬品パッケージ内の環境状態を検出するための環境センサ装置1およびシステム2のブロック図を示す。センサ装置1は、湿度センサ3、温度センサ4、制御回路5、メモリ回路6、電源7、および通信インタフェース8を有するスタンドアロン装置である。さらに、センサ装置1は、センサ装置1を医薬品パッケージ内部に合わせる外形寸法を規定するハウジング9を有する。医薬品パッケージにおいて、サイズおよび形状に幅広いバリエーションがあるものが市販されている。従って、センサ装置の寸法は、特定の機能を維持しながら可及的に小さいものである。ある実施形態によれば、センサ装置は直径25mm以下および長さ50mm以下の円柱として形成される。ある実施形態によれば、1以上のセンサおよび回路はいくつかの機能を実行する集積回路において提供される。要するに、電源は別としてすべてのセンサのコンポーネントは1つの集積回路において提供され得る。それによって、センサ装置は非常に小さなサイズになる。
【0014】
センサシステム2は、評価用環境パラメータデータを受信するために、センサ装置1と通信インタフェースを介して通信するように配置される制御ユニット14をさらに含む。
【0015】
好ましくは、図2に示すように、センサ装置の外形寸法は、センサ装置1に加えて多量の医薬品10が医薬品パッケージ11内に入れられ得るほど小さい。図2に示す医薬品パッケージ11は、シーリングガスケット13を含むねじ式のふたを有する錠剤瓶である。センサ装置1を多量の医薬品10と共にパッケージ11内に入れることによって、断熱、吸水などの製品への影響が登録されるので、登録された環境パラメータは、製品およびパッケージの組み合わせ10、11をよりよく代表するものである。
【0016】
電力を節約し、必要以上のデータ登録を避けるために、装置1は所定の間隔で、温度および湿度の記録を取るように配置される。ある実施形態によれば、間隔の時間は任意である。別の実施形態によれば、環境パラメータの記録は、所定の基準に合う温度および/または湿度の1以上の読み込みによって開始される。記録の開始基準は、例えば温度および/または湿度のある上昇の傾きであってもよい。
【0017】
本発明に係る環境センサ装置1は、好ましくは医薬品パッケージ11によって提供される環境の保全を評価するために使用される。また、医薬品パッケージ11内の乾燥剤の機能を評価するために使用されてもよいし、輸送中の医薬品10への環境に関する影響を評価するために使用されてもよいし、医薬品パッケージ11内の製品10の有効期限を決定するために使用されてもよい。
【0018】
別の実施形態によれば、医薬品パッケージ11内に入っている医薬品10の有効期限を決定するために提供されたシステム2であって、
予め規定された外部の環境評価サイクル中に医薬品パッケージ11内の環境パラメータを検出するための、医薬品パッケージ11内部にぴったり合うサイズであるスタンドアロン環境センサ装置1と、
評価用環境パラメータデータを受信するために、センサ装置1と通信インタフェース8を介して通信するように配置される制御ユニット14と、を含むシステム2がある。
【0019】
システム2の1つの実施形態によれば、センサ装置は環境パラメータデータを格納するためのメモリ6を備える。制御ユニット14は、評価サイクル後センサ装置1から格納された環境データを読み込むように配置される。また、通信インタフェース8は無線であり、制御ユニット14は評価サイクル中、即時にセンサ装置1から環境データを読み込むように配置される。
【0020】
さらに、医薬品パッケージ11によって提供される環境の保全を評価する方法であって、
登録された環境データを格納することができる環境パラメータセンサ装置1を製品パッケージ11内に入れるステップと、
センサ装置1を含む製品パッケージ11を環境変化にさらすステップと、登録された環境データを制御ユニット14に取り戻すステップと、
保全を評価するステップと、を含む方法が提供される。
【0021】
できるだけ現実的な環境データとして登録するために、上記方法はさらに、
多量の医薬品10を製品パッケージ11内に入れるステップと、
乾燥剤を製品パッケージ11内に配置するステップと、
実際の充填状況において医薬品パッケージ11を閉じるのと同様に、医薬品パッケージ11を閉じるステップのうち1以上のステップを含む。
【0022】
これらの方法によって、製品それ自体からのどんな影響、乾燥剤、または充填プロセスも記録され、従って評価され得る。当該方法は、特に医薬品内の見込み残留含水量を検出し、湿度を予め規定されたレベルに保つのに必要とされる乾燥剤の量を最適化するのに有用である。また、実際の充填状況において閉じられたパッケージの環境データが、最適な状態で閉じられたパッケージからのデータと比較されるとき、その方法は充填プロセスにおいて効果的にどんな問題をも識別する。
【0023】
上述したように、製品が輸送中や格納中など頻繁にさらされる環境パラメータにより医薬品の有効期限を決めることは複雑な仕事である。このように不確定であるため、有効期限は、ほとんどの場合、起こる可能性が低い最悪のシナリオに基づいている。しかしながら、本発明は、輸送および/または格納などの後、有効期限を評価するために使用され得る方法であって、
センサ装置1が入っている製品パッケージを一回の輸送分に入れるステップと、
制御ユニット14を用いて、目的地に到着したときまたは格納後に環境履歴を登録するステップと、を含む方法を提供する。
このような方法により、環境履歴が完全であれば、推定誤りは大いに小さくなるので、有効期限は著しく延期され得る。
【0024】
上述したように、パッケージ内の環境パラメータを登録するための一体化されたセンサユニットを有する医薬品の製品パッケージ/容器、および医薬品の有効期限を能動的に決定するためのシステムがある。しかしながら、多くの医薬品は、非常に制限された期間での使用を対象としている。例えば、抗生物質は細菌感染のために1週間または10日間、1日2錠で処方される。このような製品(特に敏感な製品)の有効期限のより効果的な決定を得るために、上記方法は使用され得る。」
d.以上のa?cの記載から、甲第2号証には「医薬品が晒されている温度や湿度等の環境状態を測定し、有効期限を評価する手段」(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(ウ)甲第3号証(特表2006-524388号公報)
甲第3号証には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。
a.「【0001】
本発明は、特に病院や医療施設で使用される使い捨てエレメントおよび一般消耗品目の在庫管理の方法および装置に関し、より具体的には、様々なタイプの使い捨て器具を使用するポイントオブケア(point-of-care)試料分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院では、近年のポイントオブケア検査機能の導入によって、在庫管理に関するユニークな要求が発生している。この在庫管理要求は、院内の様々な場所で様々なタイプの使い捨て試料検査器具を使用することから発生している。病院は、各使用現場において、各タイプの器具の十分な供給を行わなければならない。しかしながら、病院は、各現場が過剰在庫を抱えることのコストを気にかけようとする。このことは、軍隊の戦闘現場、クルーズ船、養護施設など、ポイントオブケア検査が行われる他の場所にも当てはまる。
【0003】
試料検査器具は、保管寿命が有限である場合があり、その保管寿命は、試料検査器具が冷蔵されているか、常温または室温(たとえば、病院の室温)で管理されているかによって異なる可能性がある。たとえば、血液検査器具の保管寿命は、冷蔵されていれば6?9ヶ月であるが、常温であれば2週間しかもたない場合がある。保管寿命がまちまちなので、病院では一般に、器具を中央の冷蔵場所に保管し、要求に応じて各部門に供給している。各部門は、使用可能な冷蔵保管庫がある場合とない場合とがあり、このことがそれぞれの部門で保有する在庫に関わってくる。部門によっては、一般保管庫が少ない場合があり、そうしたことも部門の保有在庫のレベルに影響する。」
b.「【0013】
複数のポイントオブケア診断器具の在庫管理のシステムおよび方法を開示する。この複数の器具は、少なくとも1つのタイプの器具を含む。各器具は、少なくとも1つの試料分析を実施するように構成され、各器具には使用寿命がある。在庫は、メイン在庫と少なくとも1つのサブ在庫とを含む。各サブ在庫は、ポイントオブケア場所に関連付けられている。本発明の第1の態様によれば、在庫管理システムは、器具に関連付けられたデータを入力するためのデータ入力インターフェースと、器具に関連付けられたデータを表示するためのデータ出力インターフェースとを備える。このデータは、少なくとも1つのタイプの器具の、メイン在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、メイン在庫における所定の最小個数とを含むことが可能であり、さらに、少なくとも1つのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における所定の最小個数とを含むことが可能である。器具に関連付けられたデータがメモリに格納され、さらに、少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を変化させるイベントが発生したことに応答して、少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を自動的に更新する、コンピュータプログラムのステップがメモリに格納される。たとえば、そのイベントは、(i.)少なくとも1つの試料分析を実施するために少なくとも1つのサブ在庫にある器具が用いられる、(ii.)少なくとも1つのサブ在庫にある器具が別のサブ在庫に移される、(iii.)少なくとも1つのサブ在庫にある器具の使用寿命が切れる、のうちの少なくとも1つを含むことが可能である。本在庫管理システムはさらに、メモリにアクセスしてコンピュータプログラムを実行するプロセッサを含む。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、複数のポイントオブケア試料分析器具の在庫管理方法(在庫は、メイン在庫と少なくとも1つのサブ在庫とを含む。複数の器具は、少なくとも1つのタイプの器具を含む。各器具は、少なくとも1つの試料分析を実施するように構成される。各器具には使用寿命がある。)は、(i.)器具に関連付けられたデータを入力するステップ(このデータは、少なくとも1つのタイプの器具の、メイン在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、メイン在庫における所定の最小個数とを含み、さらに、少なくとも1つのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における所定の最小個数とを含む。少なくとも1つのサブ在庫のそれぞれは、ポイントオブケア場所に関連付けられている。)と(ii.)少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を変化させるイベントが発生したことに応答して、少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を自動的に更新するステップとを含む。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、有限の使用寿命を有する器具の配布方法(この器具は器具の在庫に含まれている)は、(i.)第1の場所の在庫における器具の現在の個数を変化させるイベントが発生したことに応答して、その在庫における器具の在庫レベルを決定するステップと、(ii.)第1の場所の器具使用率を計算するステップと、(iii.)器具使用率と在庫レベルとに基づいて器具の過剰分を求めるステップ(器具の過剰分は、使用寿命が切れても在庫に残る器具を意味する)と、(iv.)器具の過剰分を第2の場所に移すステップとを含む。代替の例示的実施形態によれば、所定の在庫レベルは、在庫に含まれる器具の最小個数を意味する。本方法はさらに、(v.)所定の在庫レベルを、器具使用率に基づいて調整するステップと、(vi.)所定の在庫レベルを、器具の過剰分に基づいて調整するステップとを含み、それによって、有限の使用寿命を有する器具の在庫管理に動的かつ柔軟な手法を提供することが可能である。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、複数のポイントオブケア診断器具の在庫を管理する在庫管理システムは、器具に関連付けられたデータを入力する手段を含む。在庫は、メイン在庫と少なくとも1つのサブ在庫とを含む。この複数の器具は、少なくとも1つのタイプの器具を含む。各器具は、少なくとも1つの試料分析を実施するように構成され、各器具には使用寿命がある。データは、少なくとも1つのタイプの器具の、メイン在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、メイン在庫における所定の最小個数とを含み、さらに、少なくとも1つのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における現在の個数と、そのタイプの器具の、少なくとも1つのサブ在庫における所定の最小個数とを含み、少なくとも1つのサブ在庫のそれぞれがポイントオブケア場所に関連付けられている。本在庫管理システムは、器具に関連付けられたデータを表示する手段と、器具に関連付けられたデータを格納する手段とを含む。本在庫管理システムはさらに、少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を変化させるイベントが発生したことに応答して、少なくとも1つのサブ在庫における器具の現在の個数を自動的に更新する手段を含む。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、在庫にある複数のポイントオブケア診断器具の使用を管理する在庫管理システムは、器具に関連付けられたデータを入力するためのデータ入力インターフェースを含む。データは、少なくとも1つの器具に関連付けられたインジケータを含む。複数の器具は、少なくとも1つのタイプの器具を含み、各器具は、少なくとも1つの試料分析を実施するように構成されている。在庫は、冷蔵された在庫と、常温のサブ在庫とを含む。器具は、冷蔵された在庫に保管され、使用される前に常温のサブ在庫に移される。各器具は、常温での使用寿命を有する。本在庫管理システムはメモリを含み、このメモリは、器具に関連付けられたデータを格納し、コンピュータプログラムの、(i.)少なくとも1つの器具を用いて試料分析を実施する前に、少なくとも1つの器具に関連付けられたインジケータからの指示を受け取るステップと、(ii.)その指示を用いて、少なくとも1つの器具の常温での使用寿命が切れていないかどうかを調べるステップと、(iii.)少なくとも1つの器具の常温での使用寿命が切れていることが確定した場合に、その少なくとも1つの器具が使用されないようにするステップとを格納する。本在庫管理システムはさらに、メモリにアクセスしてコンピュータプログラムを実行するプロセッサを含む。
【0018】
本発明の第5の態様の代替の例示的実施形態によれば、インジケータは、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードである。メモリは、コンピュータプログラムの、少なくとも1つの器具が、冷蔵された在庫から常温のサブ在庫に移されたときに、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第1のインスタンスを受け取るステップと、第1の時間表示を、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第1のインスタンスに関連付けるステップとを格納する。指示を受け取るステップについては、メモリは、コンピュータプログラムの、少なくとも1つの器具を用いて試料分析を実施する前に、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第2のインスタンスを受け取るステップと、第2の時間表示を、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第2のインスタンスに関連付けるステップとを格納する。確定するステップについては、メモリは、コンピュータプログラムの、第1および第2の時間表示を、少なくとも1つの器具の常温での使用寿命と比較するステップを格納する。別の代替の例示的実施形態によれば、インジケータは、時間-温度インジケータである。
【0019】
本発明の第6の態様によれば、在庫にある複数のポイントオブケア診断器具の使用を管理する方法は、(i.)器具に関連付けられたデータを入力するステップ(データは、少なくとも1つの器具に関連付けられたインジケータを含む。複数の器具は、少なくとも1つのタイプの器具を含む。各器具は、少なくとも1つの試料分析を実施するように構成される。在庫は、冷蔵された在庫と、常温のサブ在庫とを含む。器具は、冷蔵された在庫に保管され、使用される前に常温のサブ在庫に移される。各器具は、常温での使用寿命を有する)と、(ii.)少なくとも1つの器具を用いて試料分析を実施する前に、少なくとも1つの器具に関連付けられたインジケータからの指示を受け取るステップと、(iii.)その指示を用いて、少なくとも1つの器具の常温での使用寿命が切れていないかどうかを調べるステップと、(iv.)少なくとも1つの器具の常温での使用寿命が切れていることが確定した場合に、その少なくとも1つの器具が使用されないようにするステップとを含む。
【0020】
本発明の第6の態様の代替の例示的実施形態によれば、インジケータは、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードであり、本方法は、少なくとも1つの器具が、冷蔵された在庫から常温のサブ在庫に移されたときに、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第1のインスタンスを受け取るステップと、第1の時間表示を、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第1のインスタンスに関連付けるステップとを含む。指示を受け取るステップは、少なくとも1つの器具を用いて試料分析を実施する前に、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第2のインスタンスを受け取るステップと、第2の時間表示を、少なくとも1つの器具に関連付けられたコードの第2のインスタンスに関連付けるステップとを含む。確定するステップは、第1および第2の時間表示を、少なくとも1つの器具の常温での使用寿命と比較するステップを含む。別の代替の例示的実施形態によれば、インジケータは、時間-温度インジケータである。」
c.「【0022】
本発明の例示的実施形態は、病院内の複数の場所において様々なタイプの使い捨て器具の十分な在庫が維持されることを保証する、自動化されたシステムを提供する。使い捨て診断器具としては、たとえば、血液分析器具、尿分析器具、血清分析器具、血漿分析器具、唾液分析器具、ほお標本(cheek swab)分析器具、または他の任意のタイプの、ポイントオブケア試料検査に使用可能な使い捨て診断器具がある。読取装置の試料検査器具と併用される他の消耗品目も本自動化システムにおける在庫品目であり、本自動化システムは、それらの品目の十分な在庫も同様に提供することが可能である。そのような消耗品目としては、たとえば、注射器、真空採血管、綿棒、針、毛細管および収集装置、様々なタイプの対照液(control fluids)、プリンタ用紙、バッテリ、その他がある。例示的実施形態による自動化システムは、所与の組織における器具の消費に関連して、様々なタイプの器具を、納入業者に自動的に再注文することが可能である。たとえば、1つの特定部門で器具の需要を急増させる緊急の医療状況が発生した場合や、輸送の突発事故によって納入業者から病院への新しい器具の供給が遅滞している場合など、院内の中央保管室の在庫が一時的に不足した場合には、本自動化システムは、院内の現場間で器具を再分配することが可能である。
【0023】
さらに、保管寿命が決まっている器具に関しては、本発明の自動化システムが、たとえば先入れ先出し(FIFO)方式での運用によって、残存保管寿命の長いものが中央在庫にあるように、中央在庫からの在庫供給を制御する。自動化システムは、コンピュータによって制御されることが可能であり、必要であれば既存の臨床検査情報システムおよび病院情報システムに統合されることが可能である。本発明の自動化システムは、器具が使用または保管されている各現場における各器具タイプの在庫レベルを、ユーザフレンドリな形で、必要であればほぼリアルタイムに、表示することができる。本発明の例示的実施形態はさらに、経営分析、予測、プランニングなどの面で病院を支援するために、院内における様々なタイプの器具消費状況を追跡する、ユーザフレンドリな追跡手段を提供する。
【0024】
本発明の例示的実施形態は、在庫にある複数のポイントオブケア診断器具の使用を管理することが可能である。器具は、冷蔵された在庫に保管され、使用される前に常温のサブ在庫に移されることが可能である。各器具は、常温での使用寿命を有する。器具または器具の集合の、常温での保管寿命が切れていることが確定した場合には、それらの器具が使用されないようにすることが可能である。この確定は、たとえば、各器具に関連付けられて、その器具の常温での保管寿命がいつ切れたかを示す時間-温度インジケータを用いることによって行われることが可能である。あるいは、(たとえば、バーコード、RFタグなどの)コードを器具または器具の集合に関連付けることが可能である。それらの器具が 、冷蔵された在庫から常温のサブ在庫に移された場合は、第1のタイムスタンプをコードに関連付けることが可能である。それらの器具を使用する前に、第2のタイムスタンプをコードに関連付けることが可能であり、第2のタイムスタンプを第1のタイムスタンプと比較することが可能である。その2つのタイムスタンプの時間差がそれらの器具の常温での保管寿命を超えている場合は、それらの器具が使用されないようにすることが可能である。」
d.「【0032】
器具104は、有限の、冷蔵での保管寿命と常温での保管寿命とを有することが可能である。たとえば、器具104は、任意の範囲で冷蔵での使用寿命を有することが可能と考えられるが、たとえば約3か月から3年の範囲で、冷蔵での使用寿命を有することが可能である。たとえば、器具104は、任意の範囲で常温での使用寿命を有することが可能と考えられるが、たとえば約3日から3か月の範囲で、常温での使用寿命を有することが可能である。器具104が有限の、冷蔵での保管寿命と常温での保管寿命とを有することが可能な場合は、期限切れの器具104(すなわち、冷蔵または常温での保管寿命が切れた器具104)が使用されないようにする必要がある。
【0033】
例示的実施形態によれば、器具104は、器具104が期限切れかどうかを表示するインジケータ111(たとえば、時間-温度インジケータなど)を含むことが可能である。器具104は、インジケータ111については、器具104の温度を監視する温度検知回路(たとえば、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せ)を含むことが可能である。器具104に含まれた温度検知回路は、所定のしきい値(たとえば、常温での保管寿命)より長い期間にわたって器具104の温度が特定の範囲(たとえば、常温)にとどまっていることを検知した場合に、器具104が期限切れであることの表示(たとえば、閃光、点滅または点灯、色の変化、音など)をインジケータ111に行わせる電気信号をインジケータ111に送ることが可能である。あるいは、温度監視部品が、温度に依存する物理的または化学的変化に基づくようにすることが可能である。これによって、たとえば、読取装置102で登録されている物理的変化または色の変化が起こるようにすることが可能である。たとえば、温度監視部品は、液晶デバイスまたは機械的デバイス(たとえば、特定温度でワックスシールが溶けてバネが解放されるしきい値デバイス)、または他の任意のタイプの、温度に敏感で、器具104が期限切れであることを温度に基づいて登録するか、他の方法で表示することが可能な液晶デバイスまたは機械的デバイスであることが可能である。
【0034】
あるいは、温度監視部品は、しきい値が安全な(ただし、可変の)寿命と等しくなる時間-温度モニタとして動作するデバイスであることが可能である。言い換えると、この時間-温度モニタは、器具104が保管されている温度に応じて器具104の寿命を長くしたり短くしたりすることが可能である。たとえば、冷蔵庫から取り出されて、低い周囲温度(たとえば、冷蔵温度またはそれに近い温度)、たとえば、冬期展開中の陸軍移動外科病院部隊で保管されている器具104は、たとえば、周囲温度が低いので、冷蔵での保管後さらに一週間長く保管できる時間-温度インジケータを有することができる。あるいは、同じ陸軍移動外科病院部隊が周囲温度の高い(たとえば、冷蔵温度をゆうに超えている)砂漠に展開中であれば、そこでの時間-温度インジケータは、周囲温度がより低い場合より早く期限切れになる可能性がある。ただし、当業者であれば、器具104の寿命の増減量が、冷蔵庫から取り出した後の環境の実際の周囲温度に依存し、したがって、周囲温度に応じて変化することを理解されよう。本明細書で用いられているように、「冷蔵での保管」は、大まかに、華氏約36?約46度(摂氏約2?約8度)の範囲での保管を意味し、「常温での保管」は、大まかに、華氏約64?約86度(摂氏約18?約30度)の範囲での保管を意味する。常温での保管の条件は、室温での保管とほぼ同等であることが可能であるが、これには華氏約36?約104度(摂氏約2?約40度)の範囲である可能性がある。」
e.「【0051】
さらに、当業者であれば、ローカル在庫305が、冷蔵されている器具104と、常温で保管されている器具104とを含むことが可能であることを理解されよう。中央保管庫302が各タイプの器具104の正しい在庫管理を維持できるように、器具104は、冷蔵されている器具か、常温の器具かを(たとえば、それらに関連付けられている識別情報によって)識別されることが可能である。
【0052】
データベース312(図3)にローカル在庫305が入力されていれば、システム300は、図4を参照して説明されたように、読取装置102からの、消費についての電子通知を受けたことによる、器具104または消耗品目の消費の認識に基づいて、ローカル在庫305内の残存在庫をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで推定することが可能である。通信とリアルタイム推定とは実質的に同時であることが望ましいが、高いレベルの可搬性を有するタイプのポイントオブケア読取装置102の場合は、通信が不可能な場所に読取装置102が一時的に放置される場合がありうる。さらに、読取装置102は、同じ場所で複数の器具104を動作させることが可能である。したがって、読取装置102のRAM318または他のコンピュータメモリは、器具104の結果を、その使用が通信できるまで記憶しておけるだけのサイズを有する。例示的実施形態によれば、RAM318は、最大100セットの結果を収容することが可能であるが、用いられるメモリの容量に応じて、任意のセット数の結果をRAM318に格納することが可能である。したがって、本発明の例示的実施形態は、在庫の使用状況のリアルタイム更新を可能にするとともに、使用状況情報を、たとえば中央保管室302に、送信または別の方法でダウンロードできるようになるまで、その情報を読取装置102に記憶させることを可能にする。
【0053】
システム300は、データベース312に集められているデータの分析に基づいて残存在庫のオンデマンド推定を提供することも可能である。これらの結果を、たとえば、中央保管室102のLISの中央データステーションや、個々の読取装置102のそれぞれのユーザインターフェース324に表示することが可能である。さらにこの結果表示は、推定在庫が所定の最小レベルまで下がるか、近づくか、それを下回ると可視または可聴のフラグまたは警告を含むことが可能である。経済的および医療的検討に基づいて全体としての在庫管理がより効率的に行われるように、所定のレベルを、部門ごとに、または病院内で統一して設定することが可能である。病院の経営では、こうした検討は既知である。
【0054】
前述のように、器具104は、有限の保管寿命を有することが可能である。したがって、保管寿命が残存する器具104の十分な供給を維持し、器具104の保管寿命が切れた場合はローカル在庫305を補充することが望ましい。図5は、本発明の例示的実施形態による、器具104の保管寿命を監視し、ローカル在庫305を補充するステップを示すフローチャートである。まず、ローカル在庫305に関連付けられた器具104のタイムスタンプ情報をデータベース312に入力することが可能である(ブロック502)。このタイムスタンプ情報は、操作者によって手動で入力されるか、電子的に(たとえば、器具104がローカル在庫305に入庫された時点でのバーコード読み取りによって)入力され、中央保管室302に伝達されることが可能である。このタイムスタンプ情報が、中央保管室302のデータベース312で保持されることが可能である。タイムスタンプ情報は、器具104がローカル在庫305に追加された日時(すなわち、作成日時)、または器具104の保管寿命が切れる日時(すなわち、有効期限)を示すことが可能である。中央保管室302は、タイムスタンプデータベースのエントリと、現在のタイムスタンプ(すなわち、現在の時刻)とを比較することが可能である(ブロック504)。器具104が期限切れでないことが確定した場合(ブロック506)、すなわち、現在のタイムスタンプが器具104の有効期限より前である場合は、中央保管室302がタイムスタンプデータベースのエントリの監視を続行することが可能であり、制御がステップ504に戻る。器具104が期限切れであることが確定した場合(ブロック506)、すなわち、現在のタイムスタンプが器具104の有効期限より後である場合は、器具104がローカル在庫305から、物理的にも、それらの在庫のコンピュータ記録からも除去される(ブロック508)ことが可能
である。
【0055】
そして、期限切れの器具104が除去された後に、ローカル在庫305にある器具104の個数が、ローカル在庫305の器具104の所定の個数を下回るかどうかが確定する(ブロック510)。ローカル在庫305にある器具104の個数が器具104の所定の個数を上回ることが確定した場合は、制御がステップ504に戻る。ローカル在庫305にある器具104の個数が器具104の所定の個数を下回ることが確定した場合は、器具104の個数が器具104の所定の最小個数を上回るように、中央保管室302が追加の器具104を発送してローカル在庫305を補充することが可能である(ブロック512)。この後、制御がステップ504に戻り、タイムスタンプデータベースのエントリの監視が続行される。器具104が経済的に効率よく消費されるようにするために、ローカル在庫305は、需要を満たす十分なレベルに設定されるだけでなく、有効期限に達する器具104の個数を低減するか最小にするようなレベルに設定されることも可能である。ローカル在庫305に含まれる器具104の個数は、使用動向に基づいてローカル在庫305間で器具104の個数が動的に再割り当てされるように、使用状況に基づいて監視されることが可能である。」
f.「【0063】
器具104は常温設定の中に置かれてからの期間に期限切れになるので、実際の使用状況に基づいて所定の在庫レベルを維持することが望ましい。たとえば、ある部門が、割り当てられた器具104を常温または室温の保管期間内に使用しない場合、残った器具104は無駄になる。図8は、本発明の例示的実施形態による、器具104をローカル在庫610間で再発送して過剰な器具104を減らすステップを示すフローチャートである。器具104の使用率が監視される(ブロック802)。この監視は、中央保管室302、読取装置102、または他の任意のコンピューティングシステムによって実施されることが可能である。器具104の監視された使用率に基づいて、期限切れになる器具104があるかどうか、すなわち、室温または常温の保管期間が経過しても使用されない器具104があるかどうかを判断することが可能である(ブロック804)。器具104が期限切れにならない場合は、器具104の使用率が再度監視され、制御がブロック802に戻る。器具104が期限切れになる場合は、実際の使用状況に基づく、より適切なレベルを反映するように、その部門の所定の在庫レベルを下げることが可能である(ブロック806)。次に、追加の器具104(すなわち、期限切れになる器具104)を期限が切れる前に使用できる場所を調べることが可能である(ブロック808)。その過剰な器具104は、それらを期限切れ前に使用できる別の部門に送られることが可能である(ブロック810)。最後に、送られた器具104が最初の部門ではもはや消費のために使用可能でないことを反映するように、最初の部門の実際の在庫レベルが調整される(ブロック812)。したがって、本発明の例示的実施形態によれば、新しい器具104を部門に送り、別の器具104が期限切れになるのを容認する代わりに、期限切れになる器具104が使用され、無駄が減る。
【0064】
代替の例示的実施形態によれば、ローカル在庫(たとえば、ローカル在庫610)の器具104が期限切れになったのを認識することによって、無駄の割合を計算することが可能である。具体的には、ローカル在庫610にいくつかの器具104が含まれていたが、それらが期限切れのために使用されなかったので、それらは無駄になった。ローカル在庫610に発送された器具104の個数と、使用された器具104の個数とを比較すると、無駄になった(すなわち、使用されずに期限が切れた)器具104の個数を求めることが可能である。無駄になった割合の計算に基づいて、所定のローカル在庫レベルを再計算し、無駄の割合を減らしたり、それ以外の形で緩和したりすることが可能である。そして、新しい所定のローカル在庫レベルを、たとえば、中央保管庫302のデータベース312において更新することが可能である。
【0065】
本発明の別の例示的実施形態によれば、特定の器具104を使用不能にすることが望ましい。たとえば、器具104が室温または常温の保管期間を過ぎて期限切れになった場合、その器具104は使用されてはならない。図9は、本発明の例示的実施形態による、器具104を「ロックアウト」するフローチャートである。まず、特定の器具104が冷蔵庫から取り出された日時の通知が読取装置102に提供される(ブロック902)。読取装置102は、この通知に基づいて、取り出された器具104が、常温または室温への露出によって期限切れになる日時を確定することが可能である。そのような確定は、直接情報(たとえば、取り出された器具104が特定の日時に期限切れになるという情報)または計算による情報(たとえば、取り出された器具104が、冷蔵庫から取り出された日時から(たとえば、実際の周囲温度または室温などの要因に依存する)特定の時間を経て期限切れになるという情報)に基づいて行われることが可能である。次に、取り出された器具104の常温または室温での保管期間が経過したかどうかを調べることが可能である(ブロック904)。常温または室温での保管期間が経過していない場合は、制御がブロック904に戻り、読取装置102が、常温または室温での保管期間が経過したかどうかの監視を続行する。常温または室温での保管期間が経過した場合は、読取装置102が期限切れの器具104をロックアウトする(ブロック906)。期限切れの器具104はロックアウトされるので、使用されない。したがって、本発明の例示的実施形態は、期限切れの器具104を使用しないようにすることが可能である。」
g.以上のa?fの記載から、甲第3号証には「医療器具等の在庫管理システムにおいて、冷蔵や常温での保管に対する保管寿命に基づいて、使用や移動を判断する手段」(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(エ)甲第4号証(特開2003-237945号公報)
甲第4号証には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。また、『』は丸付き数字を示すものである。
a.「【0003】
また、小売業では、食品、薬品等の衛生、安全上の必要から、入荷物品の賞味期限、有効期限に基づく受入期限管理が必要とされる。食品では、賞味期限年月日や製造年月日を食品に付している。また、薬品では有効期限年月日を物品に付すことが法律により定められており、返品回収の判断材料とされている。」
b.「【0075】
制御コンピュータ12は、入荷端末13の読取り結果である有効期限情報から受入期限ルールに基づいて当該物品の受入期限を算定し、受入期限内に受入れた物品は当該物品の店発注データ等により予め定めた仕分け先(配送先店)に対応する仕分けゾーン50と間口52、53に仕分ける他、受入期限外に受入れた物品は返品するように、一次仕分けライン30、二次仕分けライン40を以下の如くに制御する。
【0076】
『1』一次仕分けライン30のバーコードリーダ31により採取された各ケースの商品名等のコードデータが制御コンピュータ12に転送されたとき、制御コンピュータ12は当該ケース物品についての上述の受入期限算定結果に基づき、下記(a)又は(b)を行なう。
【0077】
(a)上流入荷ライン20への受入年月日が受入期限内にある物品については、制御コンピュータ12は、前述の仕分け動作に従い物流コンピュータ11が保有する店発注データ等を参照し、当該ケースの一次仕分けライン30からの分岐先となる二次仕分けライン40と、当該二次仕分けライン42における当該ケースの仕分け先となる仕分けゾーン50と間口52、53の指定を行ない、それらの間口52、53への仕分けを行なう。
【0078】
(b)上流入荷ライン20への受入年月日が受入期限外となる物品については、制御コンピュータ12は、当該ケースの一次仕分けライン30からの分岐先となる二次仕分けライン40と、当該二次仕分けライン40における当該ケースの仕分け先となる仕分けゾーン50と返品間口80の指定を行ない、それらの返品間口80への仕分けを行なう。
【0079】
このとき、制御コンピュータ12は、複数の仕分けゾーン50の各間口のうち、前述の仕分け基準により、上述(a)の受入期限内物品のための仕分け先として割当て済の間口52、53を除いたものを返品間口80として割当てる。そして、制御コンピュータ12は、1つの仕分けゾーン50を返品専用ゾーンとして全ての間口を返品間口80として用いても良く、1つの仕分けゾーン50の一部又は唯1個の間口を返品間口80として用いても良い。制御コンピュータ12は、複数の間口を返品間口80として用いるとき、各間口80を納入業者別に特定しても良い。」
c.以上のa及びbの記載から、甲第4号証には「返品の対象が薬であり、入荷端末の読取り結果である有効期限情報から受入期限ルールに基づいて当該物品の受入期限を算定し、受入期限外に受入れた物品は返品するように、有効期限情報による返品の判断が制御コンピュータにより行われ、納入業者へ返品されること」(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

(オ)甲第5号証(特開2005-157457号公報)
甲第5号証には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与したものである。
a.「【0010】
また、倉庫SK1には、包装体の置かれている環境の温度を検知する温度センサTS及び非接触ICタグIG1、IG2・・・IGnと通信する倉庫通信装置TC2が設けられる。倉庫SK2?SKnにも同様に非接触ICタグが付された包装体が格納され、温度センサ及び倉庫通信装置が設けられる。温度センサTSは温度検知手段としての温度検知素子TD及び通信手段TC1からなる。倉庫SK1?SKmはインターネット、LAN等のネットワークITを介して在庫管理サーバSVと接続される。温度検知素子TDは時計(図示せず)を有しており倉庫内の温度を検知し、検知した値とともに、検知時間の情報を生成する。
【0011】
以下、倉庫SK1を例に説明する。
【0012】
画像形成材格納庫としては、生産工場から出荷された製品を格納し、各市場向けの製品の配送元となる物流倉庫、仕向地に配置された市場倉庫、卸倉庫、小売り倉庫、ユーザ倉庫等がある。ユーザ倉庫には、印刷感光材料における印刷会社、Xレイ感光材料における病院のような大量ユーザの倉庫がある。 なお、画像形成材格納庫には、倉庫の他に、トラック、コンテナ、飛行機等の運搬手段が含まれる。
【0013】
画像形成材料としては、銀塩Xレイ感光材料、印刷製版用感光材料、熱転写型画像形成材料等があり、例えば、数十メーター長を有するロールが1個の包装体単位として梱包され、画像形成材料の包装体P1?Pnが形成される。各包装体P1?Pnには、非接触ICタグIG1?IGn(以下ICタグと言う)がそれぞれ取り付けられる。
【0014】
ICタグIG1?IGnは、少なくても半導体チップと送受信用のコイルを内蔵し、外部のリーダーライター(図1における通信手段TC1、倉庫通信装置TC2)と非接触で情報の交信ができるように構成されたものであり、半導体チップは半導体メモリ及び制御部を有する。
【0015】
図2はICタグの機能ブロック図であり、ICタグIGはICチップ1及びアンテナ2で構成される。
ICチップ1は、制御部11、記憶部12、通信部13及び電源部14を有する。
【0016】
アンテナ2で送受信した信号は通信部12を介して制御部11で処理される。受信した温度情報及び時間情報は記憶部12に記憶される。また、記憶部12に記憶された情報及びICタグIGを特定する情報は通信装部13を介して外部に送信される。これらの動作のための電源は電源部14から供給される。
【0017】
ICタグIG1?IGnに蓄積される情報は、包装体個体を識別する情報及び温度情報のほか、湿度、ある波長の光量、感光材料に影響を及ぼすガスの濃度等の環境情報を蓄積し、温度情報と同じように使用することができる。
【0018】
温度情報を含む前記環境情報は、ICタグIG1?IGn内で時間の情報とともに記憶されるが、前記環境情報は、例えば、温度値のような環境値が、該環境値を受信した時刻とともに、記憶されるか、又は受信した時刻に基づいて、環境値を時間に関して積分した値が記憶される。
【0019】
温度センサTSは、倉庫SK1内の温度を検知し、検知した温度の情報を検知時間とともに、通信手段TC1によりICタグIG1?IGnに送信する。例えば、30分?3時間の時間間隔で温度の情報を送信する。なお、温度センサTSに加えて、湿度センサ、特定波長の光を検知する光センサ、画像形成材料に影響を及ぼすガズを検知するガスセンサ等を設置して、これらの環境情報を検知し、ICタグIG1?IGnに送信し、前記のように、これらの環境情報を記憶することもできる。
【0020】
本発明で使用する温度センサTSは画像形成材格納庫に少なくとも1個設置される。温度を発信する間隔は30分?3時間間隔が好ましい。あまり間隔が狭いと蓄積するデータが大きくなりすぎるし、間隔が大きすぎると正確な熱履歴が把握できない温度センサTSは感材を保管する倉庫だけでなく、運搬するトラック、コンテナ、飛行機等にも設置することが好ましい。感材を移動するときにもセンサは移動させる必要は無く、感材は、次の保管場所に移されると、次の保管場所に設置されているセンサから温度情報を得ることができる。在庫管理サーバSVは倉庫通信装置TC2を介して、ICタグIG1?IGnからの温度情報を受信し、解析する。
【0021】
前記に説明したように、ICタグIG1?IGnには、温度を含む環境情報及び環境情報が検知された時間の情報が記録されるが、検知時間は、温度センサTSが有する時計の計時時間をICタグIG1?IGnに送信し記録される。」
b.「【0029】
表1において、「製品No.」は図1における包装体P1、P2・・・Pnのそれぞれに付与された番号であり、「倉庫No.」は、各倉庫に付与された番号であり、倉庫No.の情報は図1における倉庫通信装置TCからサーバSVに送信される。「温度・時間積算量」はΣtn×F(T)で表される温度・時間積算量であり、tnは温度検知時間長、F(T)は温度関数である。
【0030】
温度関数F(T)は、例えば、検知された温度値そのものが用いられるが、温度により劣化度に相違ある感光材料では、検知された温度に、温度域による重み付を行った温度関数が用いられる。従って、温度関数F(T)としては、感光材料の種類毎に容易される。
【0031】
例えば、1時間毎に温度を検知する場合には、ある時間t1において、温度T1が検知され、1時間後の時間t2において、温度T2が検知され、x時間後の時間txにおいて温度Txが検知された場合には、1時間×T1+1時間×T2+・・・・・1時間×Txが温度・時間積算量となる。
【0032】
「使用期限」は温度・時間積算量に基づいて算出された各包装体中の画像形成材料の推定使用可能期間であり、画像形成材料が使用される温度の上限値等の標準温度を用いて、算出された使用可能期間である。
【0033】
記憶部22には、各画像形成体の包装体が経験した温度・時間積算量が、画像形成材格納庫に収納されている画像形成材料の各包装体について蓄積されているが、このようなデータベースの他に、使用期限を決定するためのプログラムが格納されている。」
c.「【0049】
工場30から出荷された画像形成材料の製品は、製品倉庫31に保管された後に、トラック32で運搬され、更に、飛行機33で運搬されて、物流倉庫34に格納される。物流倉庫34からトラック35により運搬されて、印刷会社倉庫36に入荷する。
【0050】
画像形成材格納庫である、製品倉庫31?印刷会社倉庫36には、それぞれ温度センサが設置されており、画像形成材料が置かれた環境の情報と時間(工場出荷時を基準時間、すなわち、0時間として計時した時間)が得られ、各格納庫における温度と時間長の積が積算され、図3における在庫管理サーバSVの記憶部22に集計され蓄積される。
【0051】
なお、トラック、飛行機等の運搬手段における格納期間は短いので、運搬手段等の画像形成材料格納庫からの温度・時間積算量の収集を省略することもできる。」
d.以上のa?cの記載から、甲第5号証には「晒されている環境の温度により変質し、使用期限が変化する物質に対して、保管場所や輸送中のそれぞれにおいて、それぞれの温度センサで温度を随時測定し、リアルタイムで送信する手段」(以下、「甲5記載事項」という。)が記載されていると認められる。

イ 対比・判断
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明は、「複数店舗を有する調剤薬局チェーンの各店舗において、コンピューターネットワークに接続されて、薬剤の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量の各データを管理し、前記各データを前記ネットワークを介して送受信できる個別管理コンピュータと、前記調剤薬局チェーンの本部において、前記コンピューターネットワークに接続されて、前記各個別管理コンピュータから受信した薬剤の在庫データについての在庫データベースを有し、前記在庫データベースの在庫データから、チェーンの各店舗毎における一つの薬剤についての現在の在庫量及び次の発注により当該薬剤が納入されるまでの安全在庫量を読み出し、他店舗に供出可能な薬剤量を演算する本部サーバーを備え、前記各個別管理コンピュータの各薬剤の在庫量のデータに薬剤毎の有効期限のデータが含まれ、本部サーバーに所定薬剤の在庫量のデータを送信する時に有効期限データも送信されることで、有効期限が近いデータの薬剤を優先して他店舗に供出可能な薬剤とする薬剤在庫管理システム」であり、すなわち、医薬品の流通において、調剤薬局チェーンを構成する複数の店舗における薬剤の在庫量を本部のサーバーの在庫データベースにより管理し、薬剤の安全在庫量に基づく発注処理や、薬剤の有効期限に基づく他店舗への供出処理により、各店舗における在庫を適正に管理するシステムであることから、本件発明1とは、医薬品の流通において、広い意味での医薬品の在庫を管理するためのシステムである点において共通するものである。
したがって、本件発明1と甲1発明は、以下の点で一致し、また、相違する。
<一致点>
医薬品の流通における医薬品在庫管理システム。

<相違点>
(相違点1)
本件発明1の医薬品在庫管理システムは、医薬品の納入先からの返品の可否を判定するものであるのに対し、甲1発明は、一般的な在庫発注管理及び有効期限に基づく店舗間での薬剤の供出処理を行うものである点。
(相違点2)
本件発明1では、医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段を備えているが、甲1発明では、そのような手段は備えていない点。
(相違点3)
本件発明1では、環境維持保管手段における環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段を備えているが、甲1発明では、そのような手段は備えていない点。
(相違点4)
本件発明1では、医薬品が環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段を備えているが、甲1発明では、そのような手段は備えていない点。
(相違点5)
本件発明1では、保管環境検知手段及び保管状態検知手段による検知情報から、医薬品の返品の可否を判断する返品判定手段を備えているが、甲1発明では、そのような手段は備えていない点。
(相違点6)
本件発明1では、返品判定手段において、医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が環境条件から外れた環境に晒された時間および/または、前記環境条件から外れた程度に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断するものであるが、甲1発明では、そのような手段は備えていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
上記相違点1-6に係る手段は、本件発明1の課題である医薬品が晒されている環境条件に基づいて返品の可否を判断するために採用した手段であるが、甲1発明にはそもそも返品についての記載はない。
また、甲2記載事項-甲5記載事項についてみても、確かに甲4記載事項には薬を対象とする返品について記載されているが、これは発注した薬の納品時に、当該薬の有効期限情報から受入期限ルールに基づいて受入期限を算定し、受入期限外に受入れた薬は返品するというものであり、仮に甲1発明に組み合わせたとしても、本件発明1のように医薬品が晒された環境条件に基づいて返品の可否を判断することにはならないし、また、甲2記載事項には「医薬品が晒されている温度や湿度等の環境状態を測定し、有効期限を評価する手段」が、甲3記載事項には「医療器具等の在庫管理システムにおいて、冷蔵や常温での保管に対する保管寿命に基づいて、使用や移動を判断する手段」が、また、甲5記載事項には「晒されている環境の温度により変質し、使用期限が変化する物質に対して、保管場所や輸送中のそれぞれにおいて、それぞれの温度センサで温度を随時測定し、リアルタイムで送信する手段」が記載されているものの、これらの手段を返品の可否のための判断に使用することの示唆はないし、甲1発明に組み合わせる動機づけもない。
したがって、本件発明1は甲1発明及び甲2記載事項-甲5記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(イ)本件発明2-8について
本件発明2-8は、本件発明1を直接または間接的に引用するものであり、本件発明1の構成をさらに限定したものである。
したがって、上記(ア)で示した理由と同様の理由により、本件発明2-8についても甲1発明及び甲2記載事項-甲5記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)まとめ
以上(ア)及び(イ)のとおり、本件発明1-8は、甲1発明及び甲2記載事項-甲5記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
なお、請求項9-15に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。

(2)特許法第36条第6項第2号について
ア 異議申立人の主張する記載不備の理由
(a)請求項1、9には「前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段」との記載があるが、「環境条件に関する情報」とは、どのような情報が「環境条件」に関する「情報」であるのか不明である。(例えば、環境条件の条件を規定する情報なのか、環境条件とは別の何らかの情報なのか、別の情報であるとしたらどのような情報を特定するものなのか、不明である。)
請求項2、10には「前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段」との記載があるが、「環境条件に関する情報」とは、どのような情報が「環境条件」に関する「情報」であるのか不明である。(例えば、環境条件の条件を規定する情報なのか、環境条件とは別の何らかの情報なのか、別の情報であるとしたらどのような情報を特定するものなのか、不明である。)
請求項1、2を引用する請求項3-8、請求項9、10を引用する請求項11-15にも同様の点が指摘される。
よって、請求項1-15に係る発明は明確でない。
(b)請求項2、10には「前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段」との記載があるが、当該記載は、運搬状態検知手段によって得られる結果を記載しているに過ぎず、「環境維持運搬手段によって運搬されている」か否かを検知するための具体的な技術的手段を特定するものではないから、請求項2、10に係る発明を明確に把握することができない。
請求項2を引用する請求項3-8、請求項10を引用する請求項11-15にも同様の点が指摘される。
よって、請求項2-8、10-15に係る発明は明確でない。
(c)請求項1、9には「前記環境条件から外れた程度に基づいて」という記載があるが、「環境条件から外れた程度」とは、具体的にどのようなものなのか、どのようにして「外れた程度」を得る(算出)するのかが不明であるから、請求項1、9に係る発明を明確に把握することができない。
請求項3、11には「前記環境条件から外れた程度が所定程度以下である場合に」との記載があるが、「環境条件から外れた程度」とは、具体的にどのようなものなのか、どのようにして「外れた程度」を得る(算出)するのかが不明であり、また、比較する閾値としての「所定程度」以下の「程度」とは、どれくらいの範囲を意味するのかが曖昧であるから、請求項3、11に係る発明を明確に把握することができない。
請求項1、9を引用する請求項2-8、10-15、請求項3、11を引用する請求項4-8、12-15にも同様の点が指摘される。
よって、請求項1-15に係る発明は明確でない。
(d)請求項4には「前記医薬品の保管中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間」、「前記医薬品の運搬中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間」との記載があるが、「前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間」や「前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間」をどのようにして計測(又は、算出)するのか不明である。医薬品自体が、温度センサや時間計測手段を備えるものではないから、環境維持保管手段で保管されていない時間や、環境維持運搬手段により運搬されていない時間を取得することは不可能ではないか。
請求項12には「前記医薬品の保管中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間」、「前記医薬品の運搬中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間」との記載があるが、「前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間」や「前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間」をどのようにして計測(又は、算出)するのか不明である。医薬品自体が、温度センサや時間計測手段を備えるものではないから、環境維持保管手段で保管されていない時間や、環境維持運搬手段により運搬されていない時間を取得することは不可能ではないか。
請求項4を引用する請求項5-8、請求項12を引用する請求項13-15にも同様の点が指摘される。
よって、請求項4-8、12-15に係る発明は明確でない。

イ 判断
(ア)理由(a)について
請求項1における「前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段」について、ここでいう「前記環境条件」とはその前に記載された「環境維持保管手段」における「医薬品に応じた環境条件」を示したものである。
また、該「医薬品に応じた環境条件」とは、例えば、【0002】段落には「近年、抗がん剤、血友病治療剤、バイオ製剤、血漿分画製剤、ワクチン製剤、コンパニオン診断薬、希少疾病用製剤、再生医療等製品といった、スペシャリティ領域の医薬品と呼ばれる医薬品の取扱量が増加している。これらのスペシャリティ領域の医薬品は、例えば2?8℃、15?25℃、0℃以下といった厳格な温度管理を含む周囲環境管理や、高度なトレーサビリティが求められる場合が多い。・・・」、また、【0009】段落には「これに対し、本発明では、医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段に保管することが前提となっている。そして、環境維持保管手段における環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、医薬品が環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段からの情報によって、医薬品が求められる環境条件から外れた環境に晒された時間と、求められる環境条件から外れた程度についての情報を取得し、これらの情報に基づいて、医薬品の返品の可否を判断する。これによれば、医薬品の品質の劣化を、明確なデータに基づいて客観的に評価することが可能となり、品質保持の観点からの正確な根拠に基づいて医薬品の返品の可否を判断することが可能となる。なお、本発明において、環境条件としては、例えば、周囲の温度、湿度、照度、気圧、衝撃、振動などが挙げられる。」と記載されていることから、医薬品に応じて設定され、品質保持に必要な周囲の温度や湿度などの環境条件を意味するものであることは明らかである。
よって、「保管環境検知手段」が取得する「前記環境条件に関する情報」とは、「環境維持保管手段」において保管される医薬品の周囲の温度や湿度などの情報であることは明確である。
さらに、この点について【0036】段落に「また、本実施例では、流通業者2及び医療機関等3に備えられている冷蔵保管庫7、17にも識別素子5aによる医薬品5の識別情報を検知可能な読取センサ7a、16a及び温度履歴情報の取得が可能な温度センサ7b、17bが取り付けられる。そして、読取センサ7a、17a及び温度センサ7b、17bの出力信号は、無線通信により情報管理装置8にリアルタイムに送信・記録される。これにより、所定のIDを有する医薬品5が、冷蔵保管庫7、17内に保管されているか否かの情報と、冷蔵保管庫7、17内の温度履歴情報がリアルタイムに記録可能となっている。なお、上記において識別素子5aと読取センサ7a、17aとは、保管状態検知手段を構成する。識別素子5aと読取センサ6a、16aとは、運搬状態検知手段を構成する。また、温度センサ6b、16bは、運搬環境検知手段及び第2温度センサに相当する。また、温度センサ7b、17bは、保管環境検知手段及び第1温度センサに相当する。」と記載しているように、ここでは温度センサにより取得する温度情報である。
また、同様に請求項2における「運搬環境検知手段」の「環境条件に関する情報」についても明確である。
したがって、請求項1-8についての異議申立人の記載不備の主張には理由がない。
なお、同様の記載不備を指摘する請求項9-15は、本件訂正により削除された。

(イ)理由(b)について
請求項2の「前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段」との記載について、前記「環境維持運搬手段」は請求項2の「前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段」との記載からも、医薬品の品質を維持するための環境条件を維持可能な状態で運搬可能な手段であればよく、また、「運搬状態検知手段」は医薬品が前記「環境維持運搬手段」に格納されていることを検知できる手段であればよいことは明らかである。
例えば、【0035】段落に「次に、本実施例における医薬品5の流通の態様について図2に示す。本実施例では、医薬品5(医薬品自体若しくは医薬品の梱包)にその医薬品のIDが記録された識別素子5aを取り付ける。また、識別素子5aによる医薬品5の識別情報を検知可能な読取センサ6a及び内部の温度履歴情報の取得が可能な温度センサ6bを保冷コンテナ6に取り付ける。そして、読取センサ6a及び温度センサ6bの出力信号は、無線通信により情報管理装置8に送信され、必要に応じ記録される。これにより、所定のIDを有する医薬品5が、保冷コンテナ6内に収納されているか否かの情報と、保冷コンテナ6内の温度履歴情報がリアルタイムに記録可能となっている。その結果、医薬品メーカー1から流通業者2、流通業者2から医療機関等3への医薬品の移動中に医薬品5が保冷コンテナ6内に確実に収納されていることが検知可能となり、また、保冷コンテナ6内の温度履歴が記録可能となっている。」と記載されているように、前記「環境維持運搬手段」は「保冷コンテナ」などの温度を維持して運搬可能な手段であり、また、当該段落の記載には、医薬品にその医薬品のIDが記録された識別素子を取り付けており、保冷コンテナ内に識別素子による医薬品の識別情報を検知可能な読取センサが設けられ、当該読取センサの出力信号が無線通信により情報管理装置に送信され記録されることにより、所定のIDを有する医薬品が保冷コンテナ内に収納されているか否かの情報をリアルタイムに記録可能としていることから、「環境維持運搬手段」としての保冷コンテナ内に設けられた読取センサが「運搬状態検知手段」に相当することは明らかである。
したがって、請求項2-8についての異議申立人の記載不備の主張には理由がない。
なお、同様の記載不備を指摘する請求項10-15は、本件訂正により削除された。

(ウ)理由(c)について
「環境条件」については、前記(ア)で示したように医薬品に応じて設定され、品質保持に必要な周囲の温度や湿度などの環境条件を意味するものであるから、請求項1の「前記返品判定手段は、前記医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が前記環境条件から外れた環境に晒された時間および/または、前記環境条件から外れた程度に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断する」との記載における「前記環境条件から外れた程度」は、例えば設定された温度に対して、どの程度高い温度に晒されていたかということであることは明らかであるし、また、前記(ア)で示した第【0036】段落の記載のように、「環境維持保管手段」(冷蔵保管庫)内に設置されている「保管環境検知手段」(温度センサ)により検知された温度に基づいて、どの程度高い温度に晒されていたかは取得可能である。
また、請求項3の「前記環境条件から外れた程度が所定程度以下である場合に」との記載における閾値としての「所定程度」について、そもそも環境条件が医薬品毎に異なるのであるから、その外れた程度についても対象となる医薬品の性質に応じて設定される閾値となることは明らかである。
したがって、請求項1-8についての異議申立人の記載不備の主張には理由がない。
なお、同様の記載不備を指摘する請求項9-15は、本件訂正により削除された。

(エ)理由(d)について
請求項4における「前記医薬品の保管中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間」及び「前記医薬品の運搬中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間」は、それぞれ「保管状態検知手段」及び「運搬状態検知手段」により医薬品が保管されていないとされる時間(それぞれに設置された読取センサにより対象の医薬品のIDが検知されない時間)であることは明らかである。
したがって、請求項4-8についての異議申立人の記載不備の主張には理由がない。
なお、同様の記載不備を指摘する請求項12-15は、本件訂正により削除された。

(オ)まとめ
以上、(ア)-(エ)のとおり、特許異議申立人が主張する特許請求の範囲の記載不備はいずれも理由がない。

3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した前記特許異議申立理由によっては、本件請求項1-8に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-8に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項9-15に係る特許は、上記のとおり、本件訂正により削除された。これにより、特許異議申立人北野好人による特許異議の申立てについて、請求項9-15に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の流通において、前記医薬品の納入先からの返品の可否を判定する医薬品在庫管理システムであって、
前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段と、
前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、
前記医薬品が前記環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段と、
前記保管環境検知手段及び前記保管状態検知手段による検知情報から、前記医薬品の返品の可否を判断する返品判定手段と、
を備え、
前記返品判定手段は、前記医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が前記環境条件から外れた環境に晒された時間および/または、前記環境条件から外れた程度に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、医薬品在庫管理システム。
【請求項2】
前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段と、
前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段と、
前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段と、
をさらに備え、
前記返品判定手段は、前記保管環境検知手段、前記運搬環境検知手段、前記保管状態検知手段及び、前記運搬状態検知手段による検知情報から、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項3】
前記返品判定手段は、前記医薬品がメーカーから出荷された後における、前記医薬品が前記環境条件から外れた環境に晒された時間が所定時間以下であり、且つ、前記環境条件から外れた程度が所定程度以下である場合に、前記医薬品の返品を可能と判断することを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項4】
前記返品判定手段は、前記保管環境検知手段により、前記医薬品の保管中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持保管手段により保管されていないとされた時間及び、前記運搬環境検知手段により、前記医薬品の運搬中にも拘わらず前記医薬品が前記環境維持運搬手段により運搬されていないとされた時間は、前記環境条件から外れた環境に晒された時間とすることを特徴とする、請求項2または3に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項5】
前記医薬品に応じた環境条件は、前記医薬品の周囲温度が所定温度範囲であることであり、
前記保管環境検知手段は、前記環境維持保管手段における前記医薬品の周囲温度を検知する第1温度センサであり、
前記運搬環境検知手段は、前記環境維持運搬手段における前記医薬品の周囲温度を検知する第2温度センサであることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項6】
前記返品判定手段は、さらに、前記返品に係る医薬品の使用期限までの残存期間に基づいて、前記医薬品の返品の可否を判断することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項7】
前記保管環境検知手段、前記運搬環境検知手段、前記保管状態検知手段及び、前記運搬状態検知手段の少なくとも一部は、無線通信手段を有し、
前記返品判定手段に対し、前記無線通信手段により、リアルタイムの情報を送信することを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項8】
前記環境維持保管手段、前記保管環境検知手段及び、前記保管状態検知手段を、前記納入先における複数部署に対して各々備え、
前記環境維持運搬手段、前記運搬環境検知手段及び、前記運搬状態検知手段を、前記複数部署間における前記医薬品の運搬に対して備えることを特徴とする、請求項2に記載の医薬品在庫管理システム。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-11-06 
出願番号 特願2016-96505(P2016-96505)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06Q)
P 1 651・ 537- YAA (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齊藤 貴孝  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 田中 秀樹
金子 幸一
登録日 2017-11-02 
登録番号 特許第6235650号(P6235650)
権利者 株式会社スズケン
発明の名称 医薬品在庫管理システム及び、医薬品在庫管理方法  
代理人 今堀 克彦  
代理人 平川 明  
代理人 関根 武彦  
代理人 平川 明  
代理人 今堀 克彦  
代理人 中村 剛  
代理人 中村 剛  
代理人 関根 武彦  
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