• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01B
管理番号 1347634
異議申立番号 異議2017-700877  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-15 
確定日 2018-11-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6095054号発明「低曇価透明導体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6095054号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕,8,9,10について訂正することを認める。 特許第6095054号の請求項1,3?10に係る特許を維持する。 特許第6095054号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6095054号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?10に係る特許についての出願は、2011年(平成23年)1月14日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年1月15日,米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成29年2月24日に特許権の設定登録がされ、同年3月15日に特許掲載公報が発行され、同年9月15日付けで請求項1?10の全請求項に対し、特許異議申立人である小松一枝及び前田知子(以下、「申立人」という。)によって特許異議の申立てがされ、同年10月31日付けで当審から特許権者に対して取消理由が通知され、平成30年1月26日付けで特許権者から意見書の提出とともに訂正請求がされ、同年3月29日付けで申立人から意見書が提出され、さらに、同年4月19日付けで当審から特許権者に対して取消理由が通知され、同年7月19日付けで特許権者から意見書の提出とともに訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、同年9月7日付けで申立人から意見書が提出されたものである。
なお、本件訂正請求がされたため、同年1月26日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否について

1 本件訂正請求の趣旨

本件訂正請求の趣旨は、「特許第6095054号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを求める。」というものである。

2 訂正事項

本件訂正請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1?10のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すために当審において付したものである。

(1)訂正事項1

ア 請求項1の「前記透明導体の曇価が1.5%未満であり」を「前記透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり」に訂正する。

イ 請求項1の「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え」を「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であり」に訂正する。

ウ 請求項1の「シート抵抗が50オーム/スクエア未満であり」を「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり」に訂正する。

エ 請求項1の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径55nm以下であり」を「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり」に訂正する。

(2)訂正事項2

請求項2を削除する。

(3)訂正事項3

請求項3の「請求項1、又は2に記載の透明導体」を「請求項1に記載の透明導体」に訂正する。

(4)訂正事項4

請求項4の「請求項1、又は2に記載の透明導体」を「請求項1に記載の透明導体」に訂正する。

(5)訂正事項5

請求項5の「請求項1、又は2に記載の透明導体」を「請求項1に記載の透明導体」に訂正する。

(6)訂正事項6

請求項6の「請求項1、又は2に記載の透明導体」を「請求項1に記載の透明導体」に訂正する。

(7)訂正事項7

請求項7の「請求項1、又は2に記載の透明導体」を「請求項1に記載の透明導体」に訂正する。

(8)訂正事項8

請求項8の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、請求項1、又は2に記載の透明導体。」を「複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。」に訂正する。

(9)訂正事項9

請求項9の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が29nmであり、標準偏差が4?5nmの範囲である、請求項1、又は2に記載の透明導体。」を「複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が29nmであり、標準偏差が4?5nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。」に訂正する。

(10)訂正事項10

請求項10の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmであり、前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、請求項1、又は2に記載の透明導体。」を「複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、 前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmであり、前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。」に訂正する。

3 一群の請求項について

本件訂正前の請求項1?10は、請求項2?10が、本件訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1?10について請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
また、特許権者は、本件訂正後の請求項8,9,10に係る訂正について、本件訂正が認められるときに、請求項1?7とは別の訂正単位として扱われることを求めている。

4 訂正要件の検討

(1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

ア 訂正事項1について

(ア)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項1に係る本件訂正は、上限値のみが特定されていた「透明導体の曇価」の範囲を、下限値の特定(1.29%以上)によって限定し、下限値のみが特定されていた「透明導体」の「波長400nm?700nmの光における光透過率」の範囲を、上限値の特定(91.4%以下)によって限定し、上限値のみが特定されていた「透明導体」の「シート抵抗」の範囲を、下限値の特定(30オーム/スクエア以上)によって限定し、さらに、上限値のみが特定されていた「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超」の「直径」範囲を、下限値の特定(15nm超)によって限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(イ)新規事項の有無

a 本件特許の願書に添付された明細書及び図面(以下、「本件明細書等」という。)には、「透明導体」のシート抵抗と曇価及び光透過率との関係について、「図7は、薄膜の曇価と抵抗の逆相関を示す。抵抗が増加するにつれ(すなわち、より少数のナノワイヤが存在すると)、散乱の低下に起因して曇価が低下する」(【0164】)、「図8は、薄膜の透過率と抵抗の正相関を示す。抵抗が増加するにつれ(すなわち、より少数のナノワイヤが存在すると)、透過率が増加する」(【0165】)と記載されており、上記記載によれば、ナノワイヤを少数にしてシート抵抗を増加させると、曇価は低くなり、透過率は高くなること、すなわち、シート抵抗の増加(又は低減)と、曇価及び光透過率の改善(又は劣化)との間には、トレードオフの関係があるものと認められる。
ここで、本件明細書等には、「シート抵抗が約30?50オーム/スクエアである、透明導体」(【0014】,【0041】)という記載があり、上記トレードオフの関係によれば、このシート抵抗の範囲では、シート抵抗が下限値の「約30」「オーム/スクエア」である場合に、曇価が最大になり、光透過率が最小となるところ、これらの値に関し、本件明細書等に記載された「実施例」のうち、シート抵抗が最も低い「32オーム/□」である場合(表5バッチ1の第1行目)について見てみると、それぞれ、曇価は1.29%、光透過率は91.4%となっている。
そして、上記の曇価(1.29%)は、シート抵抗が32オーム/□である場合に低くできる限界値(下限値)であるということができ、同様に、光透過率(91.4%)は、シート抵抗が32オーム/□である場合に高くできる限界値(上限値)であるということができ、さらに、32オーム/□というシート抵抗は、上記記載の「約30」「オーム/スクエア」とほぼ同等の値であるといえるから、本件明細書等には、「透明導体」のシート抵抗が「約30?50オーム/スクエア」の範囲で、曇価が1.29%以上、光透過率が91.4%以下の範囲の「透明導体」が、実質的に記載されているものと認められる。

b また、本件明細書等に記載された「実施例」では「精製プロセス」で「直径15nm以下のほぼすべての銀ナノワイヤを除去」しており(【0151】)、3つの異なるバッチで調製された銀ナノワイヤの直径分布を示す【表3】(【0156】)には、バッチ1?3のいずれも、0?5nm、5?10nm、10?15nm、55?60nmの値域範囲は全て0%であることが示されているから、本件明細書等には、「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超?55nm以下」であることが記載されているものと認められる。

c 以上によれば、訂正事項1に係る本件訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

イ 訂正事項2について

訂正事項2に係る本件訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合し、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3?7について

訂正事項3?7に係る本件訂正は、訂正事項2に係る本件訂正(請求項2の削除)に伴って、請求項2を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合し、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

エ 訂正事項8について

(ア)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項8に係る本件訂正は、請求項8について、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて、請求項1の記載を引用しない記載にするとともに、上限値のみが特定されていた「透明導体の曇価」の範囲を、下限値の特定(1.0%以上)によって限定し、上限値のみが特定されていた「透明導体」の「シート抵抗」の範囲を、下限値の特定(30オーム/スクエア以上)によって限定し、さらに、上限値のみが特定されていた「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超」の「直径」の範囲を、下限値の特定(15nm超)によって限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(イ)新規事項の有無

a 本件明細書等には、「別の一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、透明導体の曇価が約1.0?1.5%であり、シート抵抗が約30?50オーム/スクエアである、透明導体を提供する。」(【0014】,【0041】)と記載されている。

b また、本件明細書等の「実施例」では「精製プロセス」で「直径15nm以下のほぼすべての銀ナノワイヤを除去」しており(【0151】)、3つの異なるバッチで調製された銀ナノワイヤの直径分布を示す【表3】(【0156】)には、バッチ1?3のいずれも、0?5nm、5?10nm、10?15nm、55?60nmの値域範囲は全て0%であることが示されているから、本件明細書等には、「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超?55nm以下」であることが記載されているものと認められる。

c したがって、訂正事項8に係る本件訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

オ 訂正事項9について

訂正事項9に係る本件訂正は、請求項9について、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて、請求項1の記載を引用しない記載にするとともに、上限値のみが特定されていた「透明導体の曇価」の範囲を、下限値の特定(1.0%以上)によって限定し、上限値のみが特定されていた「透明導体」の「シート抵抗」の範囲を、下限値の特定(30オーム/スクエア以上)によって限定し、さらに、上限値のみが特定されていた「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超」の「直径」の範囲を、下限値の特定(15nm超)によって限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項9に係る本件訂正は、前記エ(イ)で検討したとおりの理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

カ 訂正事項10について

訂正事項10に係る本件訂正は、請求項10について、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて、請求項1の記載を引用しない記載にするとともに、上限値のみが特定されていた「透明導体の曇価」の範囲を、下限値の特定(1.0%以上)によって限定し、上限値のみが特定されていた「透明導体」の「シート抵抗」の範囲を、下限値の特定(30オーム/スクエア以上)によって限定し、さらに、上限値のみが特定されていた「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超」の「直径」の範囲を、下限値の特定(15nm超)によって限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号及び第1号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
また、訂正事項10に係る本件訂正は、前記エ(イ)で検討したとおりの理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(2)独立特許要件

特許異議の申立ては、本件訂正前の請求項1?10の全請求項に対してされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は適用されない。

5 小括

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第4項並びに、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1?7〕,8,9,10について訂正することを認める。

第3 本件発明

本件訂正が認められたので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?10に係る発明(以下、「本件発明1?10」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であり、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmである、請求項1に記載の透明導体。
【請求項4】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均平方長さが120?400μm2である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項5】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項6】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が直径15から50nmである請求項1に記載の透明導体。
【請求項7】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が直径20から40nmである、請求項1に記載の透明導体。
【請求項8】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項9】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が29nmであり、標準偏差が4?5nmの範囲である透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項10】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmであり、前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

本件訂正前の請求項1?10に係る発明に対し、平成29年10月31日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。

(1)取消理由1(実施可能要件違反)

発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件訂正前の請求項2及びこれを引用する請求項3?10に係る発明を実施するすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件訂正前の請求項2?10に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)取消理由2(サポート要件違反)

本件訂正前の請求項1?10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

なお、平成30年4月19日付けで特許権者に通知した取消理由は、同年1月26日付けの訂正請求が適法であることを前提としても、上記取消理由2(サポート要件違反)が依然として解消していないことを通知したものである。

2 当審の判断

(1)取消理由1(実施可能要件違反)について

ア 取消理由1の内容

取消理由1は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第58頁第17行?第59頁第6行の記載に基づくものであるところ、その内容は、以下のとおりである。
本件訂正前の請求項1では、「透明導体」の「シート抵抗が50オーム/スクエア未満」であることが特定されており、この請求項1を引用する訂正前の請求項2では、「透明導体」の「曇価が0.5%未満である」ことが特定されている。
しかし、本件明細書等の発明の詳細な説明には、「シート抵抗が50オーム/スクエア未満」であって、かつ、「曇価が0.5%未満である」「透明導体」を形成できることは記載も示唆もされておらず、このことが可能であることを裏付ける技術常識の存在も認められないから、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件訂正前の請求項2及びこれを引用する請求項3?10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
したがって、本件訂正前の請求項2?10に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

イ 取消理由1の検討

本件訂正によって、請求項2は削除され、その結果として、請求項3?10は、いずれも請求項2を引用しないものとなったから、取消理由1は解消した。

(2)取消理由2(サポート要件違反)について

ア 取消理由2の内容

取消理由2は、申立書の第59頁第8行?第60頁第9行の記載に基づくものであるところ、その内容は、以下のとおりである。

(ア)取消理由2-1(申立書の第59頁第8行?同頁下から第4行)

本件訂正前の請求項1は、「透明導体の曇価が1.5%未満」かつ「透明導体」の「シート抵抗が50オーム/スクエア未満」を発明特定事項としているから、透明導体の「シート抵抗が50オーム/スクエア未満」であって、曇価が0.7%や0.1%等の極めて低い値である場合を含む。
ここで、シート抵抗と曇価はトレードオフの関係にあるところ、図7を参酌しても、発明の詳細な説明には、「シート抵抗が50オーム/スクエア未満」である場合には、曇価として1.16%以上(バッチ3)か、せいぜい0.9%以上が開示されているにとどまり、また、実施例として具体的に開示されているのは、バッチ1でシート抵抗:32オーム/□、曇価:1.29%、バッチ2でシート抵抗:34オーム/□、曇価:1.39%、バッチ3でシート抵抗:38オーム/□、曇価:1.16%である(表6?8)から、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件訂正前の請求項1及びこれを引用する請求項2?10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(イ)取消理由2-2(申立書の第59頁下から第3行?第60頁第9行)

本件訂正前の請求項1は、「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径55nm以下」であることを発明特定事項とするものであるところ、発明の詳細な説明の【0151】では、精製プロセスによって「直径15nm以下のほぼすべてのナノワイヤを除去」することが記載されており、表3を踏まえても実施例では直径15nm超のナノワイヤが開示されているのみであり、このようなナノワイヤによって、本件訂正前の請求項1に記載の、曇価、光透過率及びシート抵抗を同時に達成できる「透明導体」が実現されていることを踏まえると、出願時の技術常識に照らしても、ナノワイヤの直径が15nm以下の範囲を含む請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件訂正前の請求項1及びこれを引用する請求項2?10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

イ 取消理由2の検討

(ア)取消理由2-1の検討

本件訂正によって、本件発明1,3?7では、「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であ」ることが特定され、本件発明8?10では、「透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、」「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であ」ることが特定されたから、曇価が0.7%や0.1%等の極めて低い値である場合は排除された。
そして、発明の詳細な説明に「実施例」として記載されたバッチ1?3の「透明導体」の「シート抵抗」と「曇価」の対応関係は、それぞれ、
バッチ1では、シート抵抗:32オーム/□,曇価:1.29%,
バッチ2では、シート抵抗:34オーム/□,曇価:1.39%,
バッチ3では、シート抵抗:38オーム/□,曇価:1.16%
となっており、これらによれば、バッチ1,2は、本件発明1,3?7の上記特定を満たし、バッチ1?3は、本件発明8?10の上記特定を満たすから、本件発明の「透明導体」の「シート抵抗」と「曇価」の組合せは、その全ての範囲について、実施例によって支持されているか、上記の極めて低い値等の実施例から離れた値が排除されたことによって、実施可能と推定されるものとなった。
したがって、理由2-1は、サポート要件違反の理由にはならない。
よって、請求項1,3?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものではない。

(イ)取消理由2-2の検討

本件訂正によって、本件発明1,3?10のいずれにおいても、「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であ」ることが特定されたことによって、銀ナノ構造体の直径の範囲が、実施例によって実施可能であることが確認された範囲に限定されたから、取消理由2-2は解消した。
よって、請求項1,3?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものではない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要

取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(以下、「申立理由」という。)の概要は、以下のとおりである。

(1)申立理由1(新規性欠如)

本件訂正前の請求項1,3?7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、本件訂正前の請求項1,3?7に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。

(2)申立理由2(進歩性欠如)

本件訂正前の請求項1?10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)申立理由3(進歩性欠如)

本件訂正前の請求項1?10に係る発明は、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(4)申立理由4(進歩性欠如)

本件訂正前の請求項1?10に係る発明は、甲第10号証及び甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(5)申立理由5(サポート要件違反)

本件訂正前の請求項1?10に係る発明は、申立書第60頁第10?21行に記載した理由によって、発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件訂正前の請求項1?10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

[証拠方法]

甲第1号証:国際公開第2009/108306号
甲第2号証:特表2011-515510号公報
甲第3号証:斉藤正光,「プラスチックの表面改質4.表面コートによる工学機能の付与」,日本印刷学会誌,1999年,第36巻,第1号,第50?55頁
甲第4号証:国際公開第2008/131304号
甲第5号証:特表2010-525526号公報
甲第6号証:特願2012-526929号の手続補足書,受付日:平成26年12月9日(提出日:平成26年12月8日)
甲第7号証:特願2012-526929号の手続補足書に添付された宣誓書(甲第1号証の表示あり)及び抄訳,受付日:平成26年12月9日
甲第8号証:特願2012-526929号の意見書,受付日:平成26年12月8日(提出日:平成26年12月8日)
甲第9号証:特開2005-18551号公報
甲第10号証:国際公開第2009/063744号
甲第11号証:特開2009-181856号公報
(以下、甲第1号証を「甲1」という。甲第2号証?甲第11号証についても同様。)

2 甲各号証の記載事項

(1)甲1(甲2)

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲1には、以下の記載がある。なお、訳は、甲1の翻訳文である甲2の記載に基づいて、当審が作成した。また、下線は当審にて付した(以下同様)。

(1a)「Title: METHOD AND COMPOSITION FOR SCREEN PRINTING OF CONDUCTIVE FEATURES」
(訳:発明の名称:導電体をスクリーン印刷するための方法及び組成物)

(1b)「12. An electrically conductive feature formed on a substrate wherein: the electrically conductive feature includes metallic anisotropic nanostructures; and the electrically conductive feature is formed by screen printing onto the substrate a coating solution containing the metallic anisotropic nanostructures.」(第32頁第8?13行)
(訳:12.基板上に形成される導電体であって、該導電体は、金属異方性ナノ構造を含み、該導電体は、該金属異方性ナノ構造を含有する塗膜溶液を該基板上にスクリーン印刷することによって形成される、導電体。)

(1c)「The nanostructures can be solid or hollow. Solid anisotropic nanostructures include, for example, nanowires. Hollow anisotropic nanostructures include, for example, nanotubes. Typically, anisotropic nanostructures have a diameter from 5 to 500 nm, more preferably from 10 to 100 nm, and more preferably from 30 to 90 nm with length from 100 nm to 10 um. and more preferably from 500 nm to 1 um.」(第5頁第2?6行)
(訳:ナノ構造は、中実または中空であり得る。中実の異方性ナノ構造は、例えば、ナノワイヤを含む。中空の異方性ナノ構造は、例えば、ナノチューブを含む。典型的には、異方性ナノ構造は、直径5乃至500nm、より好ましくは、10乃至100nm、より好ましくは、30乃至90nmと、長さ100nm乃至10μm、より好ましくは、500nm乃至1μmを有する。)

(1d)「Typically, the matrix is an optically clear material. A material is considered "optically clear" or "optically transparent", if the light transmission of the material is at least 80% in the visible region (400nm - 700nm). Unless specified otherwise, all the layers (including the substrate and the anisotropic nanostructure layer) in a transparent conductor described herein are preferably optically clear. The optical clarity of the matrix is typically determined by a multitude of factors, including without limitation: the refractive index (RI), thickness, consistency of RI throughout the thickness, surface (including interface) reflection, and haze (a scattering loss caused by surface roughness and/or embedded particles).」 (第13頁第13?21行)
(訳:典型的には、基質は、光学的透明材料である。材料は、材料の光透過率が可視領域(400nm-700nm)において少なくとも80%である場合、「光学的に透明」または「光学的に透過性」であると考えられる。特別の定めのない限り、本明細書に記載される透過性導体内の全層(基板および異方性ナノ構造層を含む)が、好ましくは、光学的に透明である。基質の光学的透明度は、典型的には、屈折率(RI)、厚さ、厚さ全体のRIの一貫性、表面(界面を含む)反射、ならびにヘイズ(表面粗度および/または埋入粒子によって生じる散乱損失)を含むが、それらに限定されない、多数の要因によって決定される。)

(1e)「Example 1
Synthesis of Silver Nanowires
Silver nanowires were synthesized by a reduction of silver nitrate dissolved in ethylene glycol in the presence of poly(vinyl pyrrolidone) (PVP). The method was described in, e.g. Y. Sun, B. Gates, B. Mayers, & Y. Xia, "Crystalline silver nanowires by soft solution processing", Nanolett, (2002), 2(2) 165-168. Uniform silver nanowires can be selectively isolated by centrifugation or other known methods.」(第26頁第14?22行)
(訳:実施例1
銀ナノワイヤの合成
銀ナノワイヤは、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の存在下において、エチレングリコール中で溶解された硝酸銀の還元によって合成した。本方法は、例えば、Y. Sun, B. Gates, B. Mayers, & Y. Xia, "Crystalline silver nanowires by soft solution processing", Nanolett, (2002), 2(2) 165-168 に記載されている。一様な銀ナノワイヤは、遠心分離または他の周知の方法によって、選択的に分離可能である。)

(1f)「Example 3
Screen Printing Conductive Coating Solution; Electrical and Optical Properties
Silver nanowires prepared as described herein and purified via sedimentation and solvent exchange were allowed to sediment in water for 1 week. The nanowires had lengths of approximately 1 1.5 um to 15.5 um ranged in diameter from approximately 35 nm to 45 nm. The water was decanted. Portions of the resultant nanowires were then separately added to different weight percents (as shown below in Table 2 and Table 3) of Polymer Innovations(R) WB40B-63 (Table 2) and, separately, WB40B-64 (Table 3) to produce solutions having 0.7% by weight silver nanowires, the below indicated weight percent of thickener, with the remaining solution water. Each mixture was screen printed to produce approximately 3 by 4 inch, rectangular conductive features on transparent PET. The resistivity, transparency and haze of each feature were then measured. The resistivity was measure(当審注:「measured」の誤記と認められる。) both by using a Delcom resistance measurement device and by using a four point contact resistance measurement probe. The results of the resistivity measurement for each mixture are shown below in Table 2 and Table 3.




As shown, for either thickener WB40B-63 (Table 2) or thickener WB40B-64 (Table 3) the resistance of the features becomes relatively quite high after about 0.5% thickener is used.」(第28頁第9行?第29頁第9行)(当審注:登録商標を示す丸囲みのRは「(R)」と表記した。訳も同様。)
(訳:実施例3
スクリーン印刷導電性塗膜溶液;電気および光学特性
本明細書に記載されるように調製し、沈殿および溶剤交換を介して精製した銀ナノワイヤを1週間、水中に沈殿させた。ナノワイヤは、約11.5μm乃至15.5μmの長さ、および約35nm乃至45nmの直径を有していた。水を他へ移した。次いで、得られたナノワイヤの一部を異なる重量パーセント(以下の表2および表3に示されるように)のPolymer Innovations(R) WB40B-63(表2)およびWB40B-64(表3)に別々に添加し、0.7重量%の銀ナノワイヤ、以下に示される重量パーセントの増粘剤、残留溶液水を有する溶液を生成した。各混合物は、スクリーン印刷され、透過性PET上に約3×4インチの矩形の導電体を生成した。次いで、各導電体の抵抗率、透過性、およびヘイズを測定した。抵抗率は、Delcom抵抗測定装置および四点接触抵抗測定プローブの両方を使用して測定した。各混合物の抵抗率測定値の結果を以下の表2および表3に示す。




示されるように、増粘剤WB40B-63(表2)または増粘剤WB40B-64(表3)のいずれの場合も、導電体の抵抗は、約0.5%の増粘剤使用後に比較的に非常に高くなる。)

(2)甲3

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲3には、以下の記載がある。

(3a)「プラスチックの表面改質4.」(標題)

(3b)「通常,膜の透明性は,ヘイズ(曇り度)により表す.ヘイズとは散乱により入射光軸から2.5度以上外れた光の百分率である.
ポリエステルフィルムは,高透明なものではヘイズが1%前後である.」(第52頁左欄下から第5行?最下行)

(3)甲4(甲5)

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲4には、以下の記載がある。なお、訳は、甲4の翻訳文である甲5の記載に基づいて、当審が作成した。

(4a)「Title: COMPOSITE TRANSPARENT CONDUCTORS AND METHODS OF FORMING THE SAME」
(訳:発明の名称:複合透明導電体およびその形成方法)

(4b)「1. A composite transparent conductor comprising: a primary conductive medium including a plurality of metal nanowires or a plurality of metal nanotubes; and a secondary conductive medium coupled to the primary conductive medium, the secondary conductive medium including a second type of nanostructures or a continuous conductive film.」(第32頁第2?7行)
(訳:1.複数の金属ナノワイヤまたは複数の金属ナノチューブを含む一次導電性媒体と、該一次導電性媒体に連結される二次導電性媒体であって、第2の種類のナノ構造または連続導電性薄膜を含む、二次導電性媒体とを備える、複合透明導電体。)

(4c)「7. The composite transparent conductor of claim 1 wherein the metal nanowires are silver nanowires.」(第32頁下から第2行?最下行)
(訳:前記金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤである、請求項1に記載の複合透明導電体。)

(4d)「Description of the Related Art
Transparent conductors refer to optically transparent, thin conductive films. They are widely used as transparent electrodes in flat panel electrochomic displays such as liquid crystal displays, plasma displays, touch panels, electroluminescent devices and thin film photovoltaic cells, as anti-static layers and as electromagnetic wave shielding layers.」(第1頁第7?12行)
(訳:背景技術
透明導電体は、光透過性導電性薄膜を指す。透明導電体は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル、エレクトロルミネセント素子、および薄膜太陽電池等のフラットパネルディスプレイにおける透明電極として、帯電防止層として、ならびに電磁波遮蔽層として広く使用されている。)

(4e)「In various embodiments, the metal nanowires are about 5-100 μm long and 5-100 nm in diameter (or cross-section). In certain embodiments, the metal nanowires are about 5-30 μm long and 20-80 nm in diameter. In a preferred embodiment, the metal nanowires (e.g., silver nanowires) are about 20 μm long and 50 nm in diameter.」(第8頁第12?16行)
(訳:種々の実施形態では、金属ナノワイヤは、約5-100μmの長さを有し、5-100nmの直径(または、断面)を有する。特定の実施形態では、金属ナノワイヤは、約5-30μmの長さを有し、20-80nmの直径を有する。好適な実施形態では、金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)は、約20μmの長さを有し、50nmの直径を有する。)

(4f)「As used herein, "conductive network" or "network" refers to an interconnecting network formed by conductive nanostructures above an electrical percolation threshold. Typically, a conductive network surface resistivity (or "sheet resistance") of no higher than 10^(8)ohms/square (also referred to as "Ω/□"). Preferably, the surface resistivity is no higher than 1O^(4)Ω/□, 3,000 Ω/□, 1 ,000 Ω/□ or 100 Ω/□. Typically, the surface resistivity of a conductive network formed by metal nanowires is in the ranges of from 10 Ω/□ to 1000 Ω/□, from 100 Ω/□ to 750 Ω/□, 50 Ω/□ to 200 Ω/□, from 100 Ω/□ to 500 Ω/□, or from 100 Ω/□ to 250 Ω/□, or 10 Ω/□ to 200 Ω/□, from 10 Ω/□ to 50 Ω/□, or from 1 Ω/□ to 10 Ω/□.」(第9頁第12?20行)
(訳:本明細書において使用する際、「導電性網」または「網」は、電気的パーコレーション閾値を上回る導電性ナノ構造によって形成される相互接続網を指す。典型的には、導電性網の表面抵抗率(または、「シート抵抗」)は、10^(8)オーム/スクエア(「Ω/□」とも呼ばれる)程度である。好ましくは、表面抵抗率は、10^(4)Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□、または100Ω/□程度である。典型的には、金属ナノワイヤにより形成される導電性網の表面抵抗率は、10Ω/□から1000Ω/□、100Ω/□から750Ω/□、50Ω/□から200Ω/□、100Ω/□から500Ω/□、または100Ω/□から250Ω/□、10Ω/□から200Ω/□、10Ω/□から50Ω/□、または1Ω/□から10Ω/□の範囲である。)

(4g)「EXAMPLE 1
SYNTHESIS OF SILVER NANOWIRES
Silver nanowires were synthesized by a reduction of silver nitrate dissolved in ethylene glycol in the presence of polyvinyl pyrrolidone) (PVP). The method was described in, e.g. Y. Sun, B. Gates, B. Mayers, & Y. Xia, "Crystalline silver nanowires by soft solution processing", Nanolett, (2002), 2(2) 165-168.」 (第27頁第25?30行)
(訳:実施例1
銀ナノワイヤの合成
ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下でエチレングリコール中に溶解された硝酸銀の還元によって、銀ナノワイヤを合成した。本方法は、例えば、Y. Sun, B. Gates, B. Mayers, & Y. Xia, "Crystalline silver nanowires by soft solution processing", Nanolett, (2002), 2(2) 165-168.に説明されている。)

(4h)「The substrate can be any material onto which nanowires are deposited. The substrate can be rigid or flexible. Preferably, the substrate is also optically clear, i.e., light transmission of the material is at least 80% in the visible region (400nm - 700nm).」(第29頁第18?21行)
(訳:基板は、その上にナノワイヤが蒸着される任意の材料であることが可能である。基板は、剛性または可塑性であることが可能である。好ましくは、基板は、光学的に透明であり、すなわち、材料の光透過性は、可視領域(400nm-700nm)において少なくとも80%である。)

(4i)「As a specific example, an aqueous dispersion of silver nanowires, i.e., an ink composition was first prepared. The silver nanowires were about 35nm to 45nm in width and around 10μm in length. The ink composition comprises, by weight, 0.2% silver nanowires, 0.4% HPMC, and 0.025% Triton x100. The ink was then spin-coated on glass at a speed of 500rpm for 60s, followed by post-baking at 50°C for 90 seconds and 180° for 90 seconds. The coated film had a resistivity of about 20 ohms/sq, with a transmission of 96% (using glass as a reference) and a haze of 3.3%.」(第30頁第6?13行)
(訳:具体的な例として、銀ナノワイヤの水分散液、すなわち、インク組成物を最初に調製した。銀ナノワイヤの幅は、約35nmから45nmであり、長さは、約10μmであった。インク組成物は、0.2重量%の銀ナノワイヤ、0.4重量%のHPMC、および0.025重量%のトリトンx100からなる。次いで、60秒間500rpmの速度で、ガラス上にインクをスピンコートし、その後、90秒間50℃でポストベーキングし、90秒間180℃でポストベーキングした。塗膜の抵抗率は、約20オーム/スクエアであり、透過性は96%(参照としてガラスを使用)、ヘーズは3.3%であった。)

(4)甲9

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲9には、以下の記載がある。

(9a)「【発明の名称】電磁波シールド機能を有するタッチパネル、およびそれに用いる透明積層フィルム」

(9b)「【請求項1】
2つの透明基体(c)のそれぞれの少なくとも一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、少なくとも一方の当該透明基体における透明導電層dまたはeの反対側の当該透明基体の面に、下記(イ)?(ニ)を順次有してなり、かつ全光線透過率が85?95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
(イ)バックコート層
(ロ)高分子フィルム
(ハ)アンダーコート層
(ニ)抵抗値が20?40Ω/□である透明導電層」

(9c)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド性を有するタッチパネル、タッチパネル付液晶表示装置、及びそれらに好適に用いられる積層フィルムに関するものである。」

(5)甲10

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲10には、以下の記載がある。なお、「・・・」は、記載の省略を表す。

(10a)「発明の名称:金属ナノワイヤの製造方法、金属ナノワイヤ及び透明導電体」

(10b)「[0029] 具体的には、本発明における核形成工程(A)とは、反応容器内の還元性を有する溶液中に、金属塩溶液を添加して金属イオンを還元して、粒子成長工程(B)において成長の核となる金属の微粒子(核粒子)を形成するための工程である。一方、本発明における粒子成長工程(B)とは、反応容器内の核粒子を含む還元性を有する溶液中に金属塩溶液を添加して金属イオンを還元し、核形成工程(A)において形成した金属核粒子をワイヤ状の形態を有する金属粒子に成長させるための工程である。本発明における粒子成長工程(B)は、「金属イオンの還元→金属微粒子の析出→溶解→核粒子表面への再析出→ワイヤ状粒子へ成長」というプロセスを経ることなく、金属イオンを還元して核粒子表面に直接還元して生成した金属を沈積させてワイヤ状粒子へ成長させることを特徴とする。」

(10c)「[0033] 本発明における粒子成長工程(B)では、新たな金属微粒子が生成しないように金属イオンの還元反応を制御することが重要である。そのためには、粒子成長工程(B)における金属イオンを含む金属塩溶液の添加速度や還元速度の調整が必要である。本発明において、金属塩溶液の添加速度を制御するためには、シングルジェット法やマルチジェット法を用いることが有効である。還元反応速度を制御するためには、還元剤の種類や濃度、反応温度、pHなどを好ましい条件に設定することが有効である。」

(10d)「[0037] 本発明の金属ナノワイヤの製造方法においては、粒子成長工程(B)における形態制御剤(後述)の添加量や反応液中での濃度、反応液の水素イオン濃度(pH)や金属イオン濃度、温度などの諸条件を適切に制御することにより、粒子成長工程(B)における成長方位を実質的に一次元方向(ワイヤ状粒子の長軸方向)に特定付けることができる。従って、粒子成長工程終了後におけるワイヤ状粒子の短軸方向の平均粒径(平均直径)を、該粒子成長工程開始前の核粒子の粒径、即ち核形成工程(A)や上記熟成工程(D)によって形成される核粒子の平均粒径によって制御することも可能である。」

(10e)「[0049] 本発明の透明導電体に適用する導電層は、ワイヤ状の金属粒子が互いに接触し合うことによって三次元的な導電ネットワークを形成することにより、導電性を発現する。従って、ワイヤが長い方が導電ネットワーク形成に有利であり好ましい。一方で、ワイヤが長すぎるとワイヤ状粒子同士が絡み合って凝集体を生じ、光散乱を劣化させる場合がある。導電ネットワーク形成や凝集体生成には、ワイヤ状の金属粒子の剛性や直径等も影響するため、使用するワイヤ状粒子に応じて最適なワイヤ長のものを使用することが好ましい。本発明の金属ナノワイヤを本発明の透明導電体に用いる場合には、金属ナノワイヤにおける長軸方向の平均粒径(以下、長軸方向の粒径を長さと称する場合もある)として、3μm以上であることが好ましく、更には3?500μmが好ましく、特に、5?300μmであることが好ましい。併せて、長軸方向の粒径分布は40%以下であることが好ましい。
[0050] 本発明の金属ナノワイヤを透明導電材料として用いる場合、光散乱の影響を軽減し透明性を高めるために金属ナノワイヤの短軸方向の平均粒径(以下、短軸方向の粒径を直径と称する場合もある)は300nmより小さいことが好ましく、一方で、導電性を高めるために短軸方向の平均粒径は大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの短軸方向の平均粒径として10?200nmが好ましく、30?180nmであることがより好ましい。併せて、短軸方向の粒径分布は20%以下であることが好ましい。」

(10f)「[0051] ・・・長軸方向や短軸方向の粒径分布は、測定粒径の標準偏差を平均粒径で除した値に100を乗じた値で示す。
[0052] 粒径分布[%]=粒径の標準偏差/平均粒径粒子×100(当審注:「平均粒径粒子」は「平均粒径」の誤記と認められる。)
計測対象の金属ナノワイヤ数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上のワイヤ状粒子を計測することが更に好ましい。」

(10g)「[0086] 実施例1
《金属ナノワイヤの作製》
〔金属ナノワイヤNW-11の作製:本発明〕
前記非特許文献4(Adv.Mater.2002,14,833?837)に記載の方法に準拠して、還元剤としてエチレングリコール(EG)を、保護コロイド剤兼形態制御剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を使用し、かつ下記核形成工程1と下記粒子成長工程1とを分離して、ワイヤ状の形態を有する銀粒子である金属ナノワイヤNW-11を作製した。
[0087] (核形成工程1)
反応容器内で160℃に保持したEG液100mlを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.5×10^(-4)モル/L)10mlを、一定の流量で10秒間かけて添加した。その後、160℃で5分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。
[0088] (粒子成長工程1)
上記核形成工程1を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10^(-1)モル/L)100mlと、PVPのEG溶液(PVP濃度:VP換算5.0×10^(-1)モル/L)100mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。粒子成長工程において、20分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。
[0089] (水洗工程1)
上記粒子成長工程1を終了した後、反応液を室温まで冷却した後、平均孔径が1μm以下のフィルターを用いて濾過し、濾別された銀粒子をエタノール中に再分散した。フィルターによる銀粒子の濾過とエタノール中への再分散を5回繰り返した後、最終的に銀粒子のエタノール分散液を調製した。なお、濾液を回収して定量分析したところ、濾液に含まれる銀は、粒子形成に使用した銀の0.1%未満であることが確認された。
[0090] 〔金属ナノワイヤNW-12の作製:本発明〕
上記金属ナノワイヤNW-11の作製において、核形成工程1を終了した後、下記の粒子成長工程2の前に、下記熟成工程1を施した以外は同様にして、ワイヤ状銀粒子である金属ナノワイヤNW-12を作製した。
[0091] (核形成工程1)
上記金属ナノワイヤNW-11の作製に用いた核形成工程1と同様にして、核形成を行った。
[0092] (熟成工程1)
上記核形成工程1が終了した後、核粒子を含む反応液を攪拌しながら、PVPのEG溶液(PVP濃度:VP換算5.0×10^(-1)モル/L)10mlを3秒間で添加した。その後、170℃に昇温して、そのまま10分間保持して熟成を行った。
[0093] (粒子成長工程2)
上記熟成工程1を終了した後、核粒子を含む反応液を160℃に降温した後、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10^(-1)モル/L)100mlと、PVPのEG溶液(PVP濃度:VP換算5.0×10^(-1)モル/L)90mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。粒子成長工程2において、20分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程1で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。」

(10h)「[0107] 《金属ナノワイヤの形状測定》
上記の様にして作製した各金属ナノワイヤについて、長軸方向および短軸方向の平均粒径、粒径分布と、収率を下記の方法に従って測定し、得られた結果を表1に示す。
[0108] (平均粒径の測定)
上記調製した各金属ナノワイヤについて、電子顕微鏡写真を撮影し、それぞれ300個の金属ナノワイヤ像の長軸方向および短軸方向の粒径を測定し、算術平均を求めた。
[0109] (粒径分布の測定)
長軸方向及び短軸方向の粒径分布は、上記測定した粒径の標準偏差を平均粒径で除した値に100を乗じた値として求めた。
[0110] 粒径分布[%]=粒径の標準偏差/平均粒径粒子×100(当審注:「平均粒径粒子」は「平均粒径」の誤記と認められる。)
(収率の測定)
収率は、水洗工程において濾液に流出した銀粒子をワイヤ状の形態を有さない粒子と見なしロスとして扱うことで、濾液の定量分析値から算出した。
[0111][表1]



(10i)「[0113] 実施例2
《透明導電体の作製》
〔透明導電体TC-11の作製:本発明〕
実施例1で作製した金属ナノワイヤNW-11の分散液を用いて、以下に示す方法に従って透明導電体TC-11を作製した。
[0114] 全光透過率90%のポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に、ワイヤ状銀粒子の目付け量が0.3g/m^(2)となるように金属ナノワイヤNW-11の分散液を、スピンコーターを用いて塗布し乾燥した。続いて、金属ナノワイヤNW-11の塗布層にカレンダー処理を施した後、ウレタンアクリレートのメチルイソブチルケトン溶液をスピンコーターを用いて塗布し乾燥して、透明導電体TC-21(当審注:「TC-11」の誤記と認められる。)を作製した。なお、ウレタンアクリレート層の膜厚は、金属ナノワイヤ層を完全に埋没させず、その一部がウレタンアクリレート層から露出する厚みで、かつ金属ナノワイヤ層を支持体に固定化できる厚みに設定した。
[0115] 〔透明導電体TC-12?15の作製〕
上記透明導電体TC-11の作製において、使用した金属ナノワイヤNW-11に代えて、それぞれ金属ナノワイヤNW-12?NW-15を用いた以外は同様にして、透明導電体TC-12?TC-15を作製した。
[0116] 《透明導電体の全光透過率及び表面抵抗率の測定》
以上の様にして作製した各透明導電体について、全光透過率と表面抵抗率の測定を行い、得られた結果を表2に示す。
[0117] 全光透過率は、日立製作所製分光光度計U-4000型を用いて、可視光領域(360nm?700nm)における全光透過率(積分値)を測定した。また、表面抵抗率は、JIS K7194に準拠して測定した。
[0118][表2]



(10j)「請求の範囲
[1]ワイヤ状の形態を有する金属ナノワイヤの製造方法であって、
溶液中で金属イオンを還元して核金属粒子を形成する核形成工程(A)と、
該核形成工程(A)の後に、金属イオンを還元して得られる還元金属を該核金属粒子の表面に直接沈積して、該核金属粒子を成長させる粒子成長工程(B)と
を有することを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法。」

(10k)「[8] 請求の範囲第1項から第7項のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤの製造方法により製造された金属ナノワイヤであって、少なくとも銀を含むワイヤ状の形態を有し、長軸方向の平均粒径が3μm以上で、かつ長軸方向の粒径分布が40%以下であることを特徴とする金属ナノワイヤ。」

(6)甲11

本件特許に係る出願の優先日前に公知となった甲11には、以下の記載がある。

(11a)「【発明の名称】透明導電膜付き透明板および有機エレクトロルミネッセンス素子」

(11b)「【0029】
ワイヤ状の導電体は、径の小さいものが好ましく、例えば径が400nm以下のものが用いられ、好ましくは径が200nm以下のものであり、さらに好ましくは径が100nm以下のものである。膜本体に配置されるワイヤ状の導電体は、透明導電膜3を通る光を回折または散乱するので、透明導電膜3のヘイズ値を高め、光の透過率を低下させるが、可視光の波長程度または可視光の波長よりも小さい径のワイヤ状の導電体を用いることによって、可視光に対するヘイズ値を低く抑えるとともに、光の透過率を向上させることができる。また、ワイヤ状の導電体の径は、小さすぎると電気抵抗が高くなるので、径が10nm以上のものが好ましい。なお、有機EL素子を例えば照明装置に用いる場合には、透明導電膜3のヘイズ値のある程度高い方が拡散機能を併せて付与することも可能となる。従って、有機EL素子用の透明板1としては、ヘイズ値の高い透明導電膜3が好適に用いられる場合もあるので、透明導電膜3の光学的特性は、有機EL素子が用いられる装置に応じて適宜設定される。」

3 当審の判断

(1)申立理由1,2(新規性欠如,進歩性欠如)について

ア 甲1に記載された発明

甲1の(1d)には、光透過率の測定における可視光の領域が400?700nmであることが記載されており、(1e)には、銀ナノワイヤの合成方法が記載されており、(1f)には、上記合成方法で合成された銀ナノワイヤを用いて透過性PET上に生成された導電体が実施例3として記載されているところ、上記実施例3の導電体について、表2及び表3における増粘剤が0%である場合(各表の一行目)の測定結果にそれぞれ注目すると、甲1には、以下の「甲1発明1」及び「甲1発明2」(これらをまとめて「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(なお、「抵抗率」(本件発明の「シート抵抗」に相当)の測定値については、JIS(K7194)にも採用され(甲10,[0117])、一般的に用いられている「四点接触抵抗測定プローブ」によるものを採用した。)。

(甲1発明1)
銀ナノワイヤを含む導電体であって、
透過性PETを含む前記導電体の、ヘイズが2.66%、波長400nm?700nmの光の透過率が88.6%であり、
抵抗率が21.5オーム/スクエアであり、
前記導電体に含まれる前記銀ナノワイヤの直径が約35nm乃至約45nmであり、
前記導電体に含まれる前記銀ナノワイヤの長さが約11.5μm乃至約15.5μmである、
導電体。

(甲1発明2)
銀ナノワイヤを含む導電体であって、
透過性PETを含む前記導電体の、ヘイズが2.66%、波長400nm?700nmの光の透過率が88.5%であり、
抵抗率が21.8オーム/スクエアであり、
前記導電体に含まれる前記銀ナノワイヤの直径が約35nm乃至約45nmであり、
前記導電体に含まれる前記銀ナノワイヤの長さが約11.5μm乃至約15.5μmである、
導電体。

イ 本件発明1について

(ア)甲1発明1,2における「抵抗率」と「ヘイズ」及び「波長400nm?700nmの光の透過率」との関係について

a 本件発明1では、「シート抵抗」と「曇価」及び「光透過率」との関係について、「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、」「曇価が0.04%」「の基板を含む測定により得られた」「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた」「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であ」ることが特定されている。
一方、甲1発明1では、「透過性PET」を基板とした場合における「ヘイズ」及び「光の透過率」(それぞれ、本件発明1の「曇価」及び「光透過率」に相当)の値が特定されているため、本件発明1と同一の曇価及び光透過率の基板を用いた場合の値を算出するためには、上記「透過性PET」の曇価及び光透過率が必要になるところ、甲1には、それらの値についての記載はないから、正確な値を算出することはできない。
そこで、上記「透過性PET」の曇価を甲3(3b)に基づいて「1.0%」と認定し、「光透過利率」の値を甲10の[0114](10i)に基づいて「90%」と認定して、本件発明1と同一の曇価及び光透過率の基板を用いた場合のおおよその値を算出する。
まず、曇価については、「ヘイズ」が「曇価」を意味すること、及び、積層体の曇価は各層の曇価を足し合わせたものであることは、当業者の技術常識であるところ、基板を含まない導電体単体の値は、
2.66%(導電体+透過性PET)-1.0%(透過性PET)
=1.66%(導電体)
となるから、曇価0.04%の基板を含む曇価は、
1.66%(導電体)+0.04%(基板)=1.7%
となる。
次に、光透過率については、積層体の光透過率が各層の光透過率を掛け合わせたものであることは、当業者の技術常識であるところ、基板を含まない導電体単体の値は、
0.886(導電体×透過性PET)÷0.9(透過性PET)
となるから、透過率93.4%の基板を含む光透過率は、
0.886÷0.9×0.934=0.919=91.9%
となる。
同様に甲1発明2についても算出すると、曇価:1.7%,光透過率:91.8%となる。

b 以上をまとめると、甲1発明1,2の各抵抗率(本件発明1の「シート抵抗」に相当)における曇価及び光透過率を、「曇価が0.04%で」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値」に換算した場合のおおよその値は、それぞれ、以下のとおりになる。
(甲1発明1)
シート抵抗:21.5Ω/□,曇価:1.7%,光透過率:91.9%
(甲1発明2)
シート抵抗:21.8Ω/□,曇価:1.7%,光透過率:91.8%
したがって、これらの値を、本件発明1と対比すると、甲1発明1,2のいずれも、本件発明1の「曇価が0.04%」「の基板を含む測定により得られた」「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた」「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であり、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であ」るという発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない。
また、甲9には、タッチパネルに用いる透明導電層の抵抗値(本件発明1の「シート抵抗」に相当)を20?40Ω/□の範囲にすることが記載されていることに照らし(9b)、甲1発明1,2において、シート抵抗を、それぞれの21.5Ω/□,21.8Ω/□から、本件発明1で特定される30Ω/□以上50Ω/□未満の範囲に変更することに動機付けがあるとしても、甲1には、「シート抵抗と曇価及び光透過率との定量的な関係」については記載がなく、他の甲号証についても同様であるから、甲1発明1,2において、シート抵抗を上記のように変更した場合に、具体的に、曇価が1.29以上1.5未満となり、光透過率が90%超91.4%以下になるとはいえず、このようにすることが当業者にとって容易であるともいえない。

(イ)甲1発明1,2における「銀ナノワイヤ」の「直径」及び「長さ」の「分布」について

甲1発明1,2では、導電体に含まれる「銀ナノワイヤ」の「直径」が「約35nm乃至約45nm」であり、「長さ」が「約11.5μm乃至約15.5μm」であることが特定されている。
しかし、甲1には、銀ナノワイヤの「直径」及び「長さ」として特定された上記の値について、その定義や測定方法、値の分布について、何らの記載もされていないから、上記の「直径」及び「長さ」の値から、銀ナノワイヤの「直径」及び「長さ」の「分布」(各区分毎の存在割合)を導くことはできず、他の甲号証を参照しても、銀ナノワイヤの製造方法や製造条件は、甲1に記載された銀ナノワイヤの製造方法や製造条件とは異なるから、上記銀ナノワイヤの「直径」及び「長さ」の「分布」を導くことはできない。
したがって、甲1発明1,2は、本件発明1の「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であ」り、「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」という発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない。
また、甲1を含む甲各号証の記載を参酌しても、甲1発明の銀ナノワイヤの「直径」及び「長さ」それぞれの分布について、具体的に、99%超を直径15nm超55nm以下とし、95%超を5?30μmの長さとすることを動機付ける記載を見いだすことはできない。

(ウ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明3?7について

本件特許の請求項3?7は、いずれも請求項1を引用しており、本件発明3?7は、本件発明1の発明特定事項を全て有しているから、前記イで検討したとおりの理由により、本件発明3?7は、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明8?10について

本件発明8?10は、「透明導体」の「曇価」と「光透過率」に対する特定が、「透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え」る点で、本件発明1とは異なるが、この点を読み替えれば、前記イの判断のうち、曇価についてされたものは、本件発明8?10に対しても、そのまま妥当するから、本件発明8?10は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括

以上のとおり、本件発明1,3?7は、甲1に記載された発明ではないから、請求項1,3?7に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。
また、本件発明1,3?10は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1,3?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(2)申立理由3(進歩性欠如)について

ア 甲4に記載された発明

甲4の前記(4h)、(4i)の記載によれば、甲4には、以下の「甲4発明」が記載されているものと認められる。

(甲4発明)
ガラス上に形成された銀ナノワイヤを含む塗膜であって、
波長400nm?700nmの光の透過性が96%(参照としてガラスを使用)、ヘーズが3.3%であり、
抵抗率が約20オーム/スクエアであり、
前記銀ナノワイヤの幅が約35nmから45nmであり、長さが約10μmである、
塗膜。

イ 本件発明1について

(ア)甲4発明における「抵抗率」と「ヘーズ」及び「波長400nm?700nmの光の透過率」との関係について

a 本件発明1では、「シート抵抗」と「曇価」及び「光透過率」との関係について、「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、」「曇価が0.04%」「の基板を含む測定により得られた」「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた」「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であ」ることが特定されている。

b 一方、「ガラス上に形成された銀ナノワイヤを含む塗膜」である甲4発明では、「抵抗率が約20オーム/スクエアであり、」「波長400nm?700nmの光の透過性が96%」であり、「ヘーズが3.3%であ」ることが特定されており、甲4発明の「抵抗率」,「光の透過性」及び「ヘーズ」は、それぞれ、本件発明1の「シート抵抗」,「光透過率」及び「曇価」に相当するから、甲4発明は、本件発明1の前記aの発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない。
また、甲9には、タッチパネルに用いる透明導電層の抵抗値(本件発明1の「シート抵抗」に相当)を20?40Ω/□の範囲にすることが記載されていることに照らし(9b)、甲4発明において、シート抵抗を「約20オーム/スクエア」から、本件発明1で特定される30Ω/□以上50Ω/□未満の範囲に変更することに動機付けがあるとしても、甲4には、「シート抵抗と曇価及び光透過率との定量的な関係」については記載がなく、他の甲号証についても同様であるから、シート抵抗を上記のように変更した場合に、具体的に、曇価が1.29以上1.5未満となり、光透過率が90%超91.4%以下の範囲になるとはいえず、このようにすることが当業者にとって容易であるともいえない。

c なお、申立人は、本件特許の出願時の出願人による追加実験の結果が記載された甲7によれば、甲4発明と同一の銀ナノワイヤを用いて形成した塗膜について、「抵抗(オーム/平方)」が163.4,「透過率(T%)」が92.5,「ヘーズ(%)」が0.62の値が得られており、この値と甲4発明の「抵抗率が約20オーム/スクエア」,「光の透過性が96%」,「ヘーズが3.3%」の値を用いて、曇価(ヘーズ)とシート抵抗(抵抗)との関係を示す曲線を求めれば、シート抵抗が50Ω/□未満の範囲で曇価が1.5未満となる旨の主張をしている(申立書第45頁下から第10行?第48頁下から第7行)。
しかし、上記追加実験で得られた値は、シート抵抗が163.4Ω/□であり、銀ナノ粒子の数は、シート抵抗が約20Ω/□である甲4発明よりも少ないと考えられるにもかかわらず、光透過率は甲4発明の96%を下回る92.5%となっているため、不合理であると考えられるところ、この点について、申立人は何らの説明もしていない。
また、甲4には、銀ナノワイヤの具体的な製造条件は記載されておらず、甲7にも銀ナノワイヤの具体的な製造条件は記載されていない。
したがって、甲7に記載された追加実験は、甲4発明と同一の銀ナノワイヤを用いたものであるとは認められない。
仮に、甲7に記載された追加実験が、甲4発明と同一の銀ナノワイヤを用いたものであるとしても、わずか2個の実験結果から、曇価とシート抵抗との関係を示す曲線を一義的に決定することはできないから、申立人の上記主張は前提を欠くものである。
よって、申立人の上記主張を採用することはできない。

(イ)甲4発明における「銀ナノワイヤ」の「幅」及び「長さ」の「分布」について

甲4発明では、塗膜に含まれる「銀ナノワイヤ」の「幅が約35nmから45nmであり、長さが約10μmである」ことが特定されている。
しかし、甲4には、銀ナノワイヤの「幅」及び「長さ」として特定された上記の値について、その定義や測定方法、値の分布について、何らの記載もされていないから、上記の「幅」及び「長さ」の値の範囲から、銀ナノワイヤの「幅」及び「長さ」の「分布」(各区分毎の存在割合)を導くことはできず、他の甲号証を参酌しても、銀ナノワイヤの製造方法や製造条件は、甲4に記載された銀ナノワイヤの製造方法や製造条件とは異なるから、上記銀ナノワイヤの「幅」及び「長さ」の「分布」を導くことはできない。
したがって、甲4発明は、本件発明1の「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であ」り、「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」という発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない。
また、甲4を含む甲各号証の記載を参酌しても、甲4発明の銀ナノワイヤの「幅」及び「長さ」それぞれの分布について、具体的に、99%超を直径15nm超55nm以下とし、95%超を5?30μmの長さとすることを動機付ける記載を見いだすことはできない。

(ウ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明3?7について

本件特許の請求項3?7は、いずれも請求項1を引用しており、本件発明3?7は、本件発明1の発明特定事項を全て有しているから、前記イで検討したとおりの理由により、本件発明3?7は、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明8?10について

本件発明8?10は、「透明導体」の「曇価」と「光透過率」に対する特定が、「透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え」る点で、本件発明1とは異なるが、この点を読み替えれば、前記イの判断は、本件発明8?10に対しても、そのまま妥当するから、本件発明8?10は、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括

以上のとおり、本件発明1,3?10は、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1,3?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(3)申立理由4(進歩性欠如)について

ア 甲10に記載された発明

甲10の(10g)には、ワイヤ状の形態を有する銀粒子である金属ナノワイヤNW-11,NW-12の作製について記載されており、(10h)には、表1に上記金属ナノワイヤの長軸方向及び短軸方向における平均粒径と粒径分布が記載されており、(10i)には、上記金属ナノワイヤを用いて形成された透明導電体とその特性値が記載されているところ、特に、表1及び表2のNW-11,NW-12及びTC-11,TC-12に注目すると、甲10には、以下の「甲10発明1」(透明導電体番号TC-11に対応)及び「甲10発明2」(透明導電体番号TC-12に対応)が記載されているものと認められる。

(甲10発明1)
ワイヤ状の形態を有する銀粒子である金属ナノワイヤを含む透明導電体であって、
全光透過率90%のポリエチレンテレフタレート支持体を含む前記透明導電体の、可視光領域(360nm?700nm)における全光透過率が82%であり、
表面抵抗率が36Ω/□であり、
前記透明導電体に含まれる前記金属ナノワイヤの短軸方向の平均粒径が72nmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が22%であり、
前記透明導電体に含まれる前記金属ナノワイヤの長軸方向の平均粒径が6.2μmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が32%である、
透明導電体。

(甲10発明2)
ワイヤ状の形態を有する銀粒子である金属ナノワイヤを含む透明導電体であって、
全光透過率90%のポリエチレンテレフタレート支持体を含む前記透明導電体の、可視光領域(360nm?700nm)における全光透過率が85%であり、
表面抵抗率が28Ω/□であり、
前記透明導電体に含まれる前記金属ナノワイヤの短軸方向の平均粒径が88nmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が14%であり、
前記透明導電体に含まれる前記金属ナノワイヤの長軸方向の平均粒径が7.6μmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が23%である、
透明導電体。

イ 本件発明1について

(ア)甲10発明1,2における「表面抵抗率」と「全光透過率」との関係について

a 本件発明1では、「シート抵抗」と「曇価」及び「光透過率」との関係について、「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、」「曇価が0.04%」「の基板を含む測定により得られた」「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた」「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であ」ることが特定されている。
一方、甲10発明1では、「ポリエチレンテレフタレート支持体」を基板とした場合における「全光透過率」(本件発明1の「光透過率」に相当)の値が特定されているため、上記「ポリエチレンテレフタレート支持体」の光透過率90%((10i)[0114])を用いて、本件発明1と同一の光透過率の基板を用いた場合の値を算出すると、基板を含まない透明導電体単体の値は、
0.82(透明導電体×基板)÷0.9(基板)
となるから、透過率93.4%の基板を含む光透過率は、
0.82÷0.9×0.934=0.851=85.1%
となる。
同様に甲10発明2についても光透過率を算出すると88.2%となる。

b また、甲10には「曇価」についての記載はないから、甲10発明1,2の「曇価」については不明である。

c したがって、甲10発明1,2は、本件発明1の「曇価が0.04%」「の基板を含む測定により得られた」「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、」「光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた」「波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であり、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であ」るという発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない(なお、甲10発明1は、表面抵抗率(本件発明1の「シート抵抗」に相当)については、本件発明1の範囲内の36Ω/□となっているが、光透過率93.4%の基板を用いた場合の光透過率は、前記bのとおり、本件発明1の範囲外の85.1%であり、曇価については不明であるから、上記発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない)。
また、甲9には、タッチパネルに用いる透明導電層の抵抗値(本件発明1の「シート抵抗」に相当)を20?40Ω/□の範囲にすることが記載されていることに照らし(9b)、甲10発明1,2において、シート抵抗を、それぞれの36Ω/□,28Ω/□という値から、上記の20?40Ω/□の範囲の値に変更すること(シート抵抗を上記範囲のより高い値に変更することによって金属ナノワイヤの量を減らして光透過率を高くすること)に動機付けがあるとしても、甲10には、「シート抵抗と光透過率との定量的な関係」については記載がなく、他の甲号証についても同様であるから、甲10発明1,2において、シート抵抗を上記のように変更した場合に、具体的に、光透過率が90%超91.4%以下になるとはいえず、このようにすることが当業者にとって容易であるともいえない。
また、曇価については、上記のとおり、甲10には何らの記載もなく、甲11を含め他の甲号証を参酌しても、1.29以上1.5未満とすることを動機付ける記載を見いだすことはできない。

(イ)甲10発明1,2における「銀粒子である金属ナノワイヤ」の「長軸方向の粒径」及び「短軸方向の粒径」の「分布」について

a 「銀粒子である金属ナノワイヤ」の「長軸方向の粒径」に関して、甲10発明1では、「平均粒径が6.2μmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が32%である」ことが特定されている。
上記特定における粒径分布の値から、「長軸方向の粒径」の標準偏差σ_(1)を算出すると、
σ_(1)=6.2μm(平均粒径)×0.32(粒径分布)=1.98μm
となり、「平均粒径±2σ_(1)の値」は、それぞれ、
平均粒径-2σ_(1)=2.24μm,平均粒径+2σ_(1)=10.16μm
とるから、「長軸方向の粒径」が正規分布をすることを前提にすれば、金属ナノワイヤの95.4%が2.24μm?10.16μmの範囲に存在することになる。
同様に、甲10発明2について、「長軸方向の粒径」の標準偏差σ_(2)を算出すると1.75μmとなるから、「長軸方向の粒径」が正規分布をすることを前提にすれば、金属ナノワイヤの95.4%が4.10(平均粒径-2σ_(2))μm?11.10(平均粒径+2σ_(2))μmの範囲に存在することになる。
したがって、甲10発明1,2は、本件発明1の「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」という発明特定事項に相当する事項を有している蓋然性が高い。

b 他方、「銀粒子である金属ナノワイヤ」の「短軸方向の粒径」に関して、甲10発明1では、「平均粒径が72nmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が22%である」ことが特定され、甲10発明2では、「平均粒径が88nmであって、粒径分布(粒径の標準偏差/平均粒径×100)が14%である」ことが特定されている。
しかし、「短軸方向の粒径」については、いずれの「平均粒径」(それぞれ、72nm,88nm)も、本件発明1の「銀ナノ構造体」の「直径15nm超55nm以下」の範囲を超える値であるから、前記aと同様に検討をを行っても、甲10発明1,2は、本件発明1の「透明導体に含まれる」「銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であ」るという発明特定事項に相当する事項を有しているとはいえない。
また、甲10を含む甲各号証の記載を参酌しても、甲10発明1,2の銀粒子である金属ナノワイヤの「短軸方向の粒径」の分布について、具体的に、99%超を直径15nm超55nm以下にすることを動機付ける記載を見いだすことはできない。

(ウ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲10及び甲11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明3?7について

本件特許の請求項3?7は、いずれも請求項1を引用しており、本件発明3?7は、本件発明1の発明特定事項を全て有しているから、前記イで検討したとおりの理由により、本件発明3?7は、甲10及び甲11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明8?10について

本件発明8?10は、「透明導体」の「曇価」と「光透過率」に対する特定が、「透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え」る点で、本件発明1とは異なるが、この点を読み替えれば、前記イの判断は、本件発明8?10に対しても、そのまま妥当するから、本件発明8?10は、甲10及び甲11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 小括

以上のとおり、本件発明1,3?10は、甲10及び甲11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1,3?10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(4)申立理由5(サポート要件違反)について

1 申立理由5の内容

申立理由5は、申立書第60頁第10?21行の記載に基づくものであるところ、その内容は以下のとおりである。
本件訂正前の請求項1は、「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」ことを発明特定事項とするものであるところ、発明の詳細な説明の表1におけるバッチ1?3の値域範囲5?30μmまでの範囲の数値を足し合わせると、それぞれ88.4%,94.7%,92.2%であり、いずれも95%未満であって、請求項1の記載と矛盾する一方で、発明の詳細な説明の表2における95パーセンタイルの数値は、請求項1に記載の数値と一致するから、本件訂正前の請求項1に記載の「95%超が5?30μmの長さ」及び発明の詳細な説明に記載された長さに関する%の用語が不統一であり、その結果両者の対応関係が不明確となっているため、本件発明1?10は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

2 申立理由5の検討

(1)特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
そこで、以下、本件発明が解決しようとする課題を踏まえつつ、本件特許の特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かを検討する。

(2)本件発明の解決しようとする課題(本件課題)

ア 本件明細書等の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)には、「【発明が解決すべき課題】」の欄がないため、発明の詳細な説明には、本件発明が解決しようとする課題(以下、「本件課題」という。)は、明示的には記載されていないが、「【背景技術】」の欄には、「透明導体の多数の商業的応用例(例えば、タッチパネル及びディスプレイ)は、曇価レベルを2%未満に維持する必要がある。したがって、低曇価透明導体の製造は、かかる低レベルの曇価を達成する際に満足な導電率を維持することが不可能であり得るので、特に困難である。」(【0005】)という記載があり、「【発明を実施するための形態】」の欄には「導電膜の導電率は・・・オーム/スクエア(又は「Ω/□」)で表される。・・・本明細書では、薄膜は、10^(8)Ω/□以下のシート抵抗を有する場合に導電性とみなされる。好ましくは、シート抵抗は10^(4)Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□又は350Ω/□、又は100Ω/□以下である。」(【0028】)という記載がある。

イ 前記アの各記載によれば、従来、多数の商業的応用例に用いる透明導体の曇価レベルは2%未満に維持する必要があるにもかかわらず、このような低曇価を維持しつつ、満足な導電率を維持することが不可能であり得たところ、本件発明では、導電率をシート抵抗の単位であるオーム/スクエア(Ω/□)で表した場合に、10^(4)Ω/□以下、3,000Ω/□以下、1,000Ω/□以下、350Ω/□以下、又は、100Ω/□以下であることが好ましいとされており、これらのシート抵抗の値は、曇価が2%未満であることを前提にするものであることは明らかである。
したがって、本件課題は、「曇価を2%未満に維持しつつ、シート抵抗が10^(4)Ω/□以下、3,000Ω/□以下、1,000Ω/□以下、350Ω/□以下、又は100Ω/□以下の透明導体を提供すること」であると認められる。

(3)検討

ア 申立人が主張するように、発明の詳細な説明の表1におけるバッチ1?3の値域範囲5?30μmの範囲の数値を足し合わせると、それぞれ、88.4%,94.7%,92.2%となるところ、本件発明1の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」という発明特定事項が、発明の詳細な説明に記載されたものであることは直ちには明らかとはならない。

イ しかし、発明の詳細な説明には「更なる一実施形態は、曇価が1.5%未満である複数の導電性ナノ構造体を含む透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmである、透明導体を提供する。」(【0054】)、「更なる一実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含み、曇価が1.5%未満である、低曇価透明導体であって、アスペクト比が少なくとも10である導電性ナノ構造体の95%超が長さ約5から30μmであ・・・る、低曇価透明導体を提供する。」(【0075】)と、前記(1)の発明特定事項に相当する記載がされている。
また、発明の詳細な説明には、導電性ナノ構造体(ナノワイヤ)の製造方法に関し、「2段階合成は、ナノワイヤの半径方向及び軸方向の成長を別々に促進し、その結果、ナノワイヤの直径と長さを別々に制御することができる。」(【0083】),「第1段階の最後では、ナノワイヤの長さは最終の所望の長さよりも短いが、ナノワイヤの直径はその最終寸法にかなり近い。」(【0085】),「第2段階中、主なワイヤ成長は軸方向である一方、半径方向の成長は効果的に減速され、又は停止さえされる。」(【0086】)と記載されるとおり、「2段階合成」によって、ナノワイヤの半径方向及び軸方向の成長を別々に制御することができ、第2段階では、実質的に軸方向のみの成長が可能であることが記載されており、実施例として表1に記載された「バッチ2」についても、値域範囲5?50μmにおける境界値(5μm,50μm)を包含するのか否かが明らかではないものの、その値は94.7%であり、小数第1位を四捨五入すれば、95%となるものであって、当業者であれば、第2段階の条件を調整することによって、その値をさらに大きくすることも可能であることを理解できる。
さらに、発明の詳細な説明の表2に記載された95パーセンタイルの値(28.5μm)は、表1の値域範囲0?5μmの値も含めた積算値に基づくものであるから、請求項1の「95%超が5?30μmの長さ」という記載との間に不整合はない。

ウ したがって、発明の詳細な説明に接した当業者であれば、発明の詳細な説明には、本件発明1の「前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである」という発明特定事項が実質的に記載されており、当該発明特定事項が、表2に記載された95パーセンタイルの値とも矛盾しないことを理解できるといえるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであると認められる。
また、同様の理由により、上記の発明特定事項を共通に有している本件発明3?10についても、発明の詳細な説明に記載されたものであると認められる。

エ 以上のとおり、本件発明1,3?10は、いずれも発明の詳細な説明に記載されたものであるところ、本件発明1,3?7は、いずれも「透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり」「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり」という発明特定事項を有し、本件発明8?10は、いずれも「透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり」「シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり」という発明特定事項を有するから、本件発明1,3?10は、いずれも、前記(2)イの本件課題を解決することができるものである。
よって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合するといえるから、前記1の申立人の主張を採用することはできない。

3 小括

以上のとおり、本件発明1,3?10は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、請求項1,3?10に係る本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。

第6 結び

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1,3?10に係る本件特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1,3?10に係る本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2に係る本件特許は、訂正により存在しないものとなったため、請求項2に係る本件特許に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.29%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%超91.4%以下であり、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さである透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmである、請求項1に記載の透明導体。
【請求項4】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均平方長さが120?400μm^(2)である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項5】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径45nm以下である、請求項1に記載の透明導体。
【請求項6】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が直径15から50nmである請求項1に記載の透明導体。
【請求項7】
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が直径20から40nmである、請求項1に記載の透明導体。
【請求項8】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項9】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が29nmであり、標準偏差が4?5nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
【請求項10】
複数の導電性の銀ナノ構造体を含む透明導体であって、前記透明導体の曇価が1.0%以上1.5%未満であり、波長400nm?700nmの光における光透過率が90%を超え、シート抵抗が30オーム/スクエア以上50オーム/スクエア未満であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体は、少なくともアスペクト比が10であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の99%超が直径15nm超55nm以下であり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の95%超が5?30μmの長さであり、
前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均長さが10?22μmであり、前記透明導体に含まれる前記銀ナノ構造体の平均直径が26?32nmであり、標準偏差が4?6nmの範囲である、透明導体(ただし、前記光透過率と前記曇価は、曇価が0.04%で前記光透過率が93.4%の基板を含む測定により得られた値である)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-11-05 
出願番号 特願2012-549113(P2012-549113)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H01B)
P 1 651・ 121- YAA (H01B)
P 1 651・ 537- YAA (H01B)
P 1 651・ 536- YAA (H01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高木 康晴  
特許庁審判長 池渕 立
特許庁審判官 結城 佐織
長谷山 健
登録日 2017-02-24 
登録番号 特許第6095054号(P6095054)
権利者 シーエーエム ホールディング コーポレーション
発明の名称 低曇価透明導体  
代理人 家入 健  
代理人 家入 健  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ