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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B65H
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  B65H
管理番号 1347636
異議申立番号 異議2018-700251  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-26 
確定日 2018-11-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6201491号発明「排紙装置及び画像形成システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6201491号の明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6201491号の請求項1乃至6,及び10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6201491号についての出願は,平成25年7月30日に特許出願(国内優先権主張平成24年8月17日(以下,「本件優先日」という。))したものであって,平成29年9月8日付けでその特許権の設定登録がなされ,その後,その請求項1乃至6,及び10に係る特許に対し,平成30年3月26日に特許異議申立人富川恵美により特許異議の申立てがなされたものである。そして,その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月15日:取消理由通知書(同年5月18日発送)
平成30年 7月17日:訂正請求書,意見書(特許権者提出)
平成30年 8月27日:訂正請求があった旨の通知書(同年8月29日発送)

なお,異議申立がされている請求項10は,請求項1ないし9のいずれか1項を引用しており,請求項10には,異議申立がされない請求項7ないし9のいずれか1項を引用するものも含まれる。
しかしながら,異議申立人が提出した特許異議申立書において,請求項7ないし9のいずれか1項を引用する請求項10に対しての申立ての理由はなんら記載されておらず,この異議の決定では,請求項10に対する申立ての理由は,請求項1ないし6のいずれか1項を引用する請求項10に対するものとして検討することとする。

第2 訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
1 請求の趣旨及び訂正の内容
平成30年7月17日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は,本件特許6201491号(以下「本件特許」という。)の願書に添付した特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものである。
そして,その訂正内容は,以下のとおりである。
訂正事項1
請求項1において
「前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していることを特徴とする排紙装置。」とあるのを,
「前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,」に訂正する。

訂正事項2
請求項1において
「前記送風手段は,前記排紙手段から前記用紙の先端部が排紙される際には,水平方向よりも上向きの角度の送風を行い,前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には,前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う,ことを特徴とする排紙装置。」と訂正する。

訂正事項3
請求項4において
「請求項3に記載の排紙装置において,
前記制御手段が,前記偏向手段からの送風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。」とあるのを,
独立形式請求項に改め,
「搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段と,
前記偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段と,を備え,
前記制御手段が,前記偏向手段からの送風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。」に訂正する。

訂正事項4
請求項7において
「請求項1に記載の排紙装置において,
前記積載手段が,前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導き,当該積載手段の前記上面の予め設定された位置に設けられた排気口から排気するエアー流路を備えていることを特徴とする排紙装置。」とあるのを,
独立形式請求項に改め,
「搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,
前記積載手段が,前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導き,当該積載手段の前記上面の予め設定された位置に設けられた排気口から排気するエアー流路を備えていることを特徴とする排紙装置。」に訂正する。

訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0006】において,
「前記課題を解決するため,本発明の一態様は,搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していることを特徴とする。」と記載されているのを,
「前記課題を解決するため,本発明の一態様は,搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,前記送風手段は,前記排紙手段から前記用紙の先端部が排紙される際には,水平方向よりも上向きの角度の送風を行い,前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には,前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う,ことを特徴とする。」に訂正する。

2 当審の判断
(1) 訂正事項1及び2について
訂正事項1及び2は,互いに関連した訂正事項であるので,併せて検討することとし,訂正の内容に鑑みて,先に訂正事項2を検討する。
訂正事項2は,送風手段に関して,排紙される用紙の部位(用紙の先端部,もしくは,用紙の後端部)と送風の向き(角度)の関係を限定したものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項2の訂正の内容に関しては,明細書の段落【0054】に「…そこで,排出される用紙Pの移動動作に合わせて後行紙P2の先端に向けて送風装置400から送風する。その際,第2の可動ルーバ425の水平方向に対する角度制御を行い,風Wが効率よく後行紙P2の先端に届くように送風し,効果的に空気層ALを形成するようにする。この角度制御は,用紙面に対して上下方向の風向きの制御である。(下線は当審によるもの。以下も同じ。)」,段落【0055】に「本実施例1では,図15の排紙開始直後では,2枚目の用紙(後行紙)P2の先端の位置に合わせて第2の可動ルーバ425の角度を水平方向よりも上向きの角度(第1の方向L1)としている。図16に示すように排紙がある程度進んだ状態では,第2の可動ルーバ425の角度を水平に近い角度(第2の角度L2)まで下げている。図17に示すように排紙が最終段階に近くなった状態では,水平方向よりも下向き(第3の角度L3)とし,シフトトレイ202の上面に沿って風が流れるようにしている。このようにして,後行紙P2の排紙状態に応じて第2の可動ルーバ425の上下方向の角度を調整し,適切な空気層ALを形成する。」と記載されているとおりであって,特に段落【0055】の「排紙開始直後」,及び「『排紙がある程度進んだ状態』,『排紙が最終段階に近くなった状態』」が,訂正事項2における「用紙の先端部が排紙される際」,及び「先端部よりも後端部側の部位が排紙される際」に対応すること,同じく段落【0055】の「水平方向よりも上向きの角度」,及び「『水平に近い角度』,『水平方向よりも下向き』」が,訂正事項2における「水平方向よりも上向きの角度」,及び「前記上向きの角度よりも下向きの角度」に対応することは明らかである。
したがって,訂正事項2は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

訂正事項1は,訂正前の請求項1の末尾に付加して限定される(訂正事項2による)発明特定事項を,もともと存在した文章につなげるためのものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして,訂正事項1は,単に,もともと存在した文章を,その後に追加された文章につなげるようにしただけで,実質的な内容をなんら変更するものではないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2) 訂正事項3について
訂正事項3は,請求項2及び3を介して訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項4を,訂正前の引用形式から独立形式に書き改めて,引用関係の解消を目的とするものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして,引用形式から独立形式に書き改めたものにすぎないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3) 訂正事項4について
訂正事項4は,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項7を,訂正前の引用形式から独立形式に書き改めて,引用関係の解消を目的とするであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして,引用形式から独立形式に書き改めたものにすぎないから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4) 訂正事項5について
訂正事項5は,訂正事項1及び2によって請求項1が訂正されたことに伴い,発明の詳細な説明における請求項1に関連する段落の記載を,訂正事項1及び2に合わせて訂正するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして,訂正事項5は,訂正事項1及び2と実質的に同じ内容であるから,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。
よって,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(5) 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許についての特許異議の申立て事件では,訂正前の請求項1乃至6,及び10について特許異議の申立ての対象とされているから,本件訂正における訂正前の請求項1及び4に係る訂正事項1乃至3に関して,特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
また,訂正事項4は,特許異議の申立ての対象とされていない訂正前の請求項7に係るものであるところ,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから,本件訂正における訂正前の請求項7に係る訂正事項4に関して,特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(6) 一群の請求項等について
訂正前の請求項1?10について,請求項2?10は,それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって,訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項1?10に対応する訂正後の請求項1?10は,特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。

(7) 小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第第1号又は3号又は4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項1?10について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1乃至10に係る発明(以下,「本件訂正特許発明」,「本件特許発明2」などという。)は,その特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,
を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,
前記送風手段は,前記排紙手段から前記用紙の先端部が排紙される際には,水平方向よりも上向きの角度の送風を行い,前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には,前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う,ことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排紙装置において,
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段を備えたことを特徴とする排紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排紙装置において,
前記偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段を備えたことを特徴とする排紙装置。
【請求項4】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段と,
前記偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段と,を備え,
前記制御手段が,前記偏向手段からの送風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の排紙装置において,
前記偏向手段は角度調整可能なルーバを備え,
前記制御手段が,前記ルーバの角度を偏向し,前記上下方向の送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の排紙装置において,
前記制御手段が紙種情報に応じて前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項7】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて,
前記積載手段が,前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導き,当該積載手段の前記上面の予め設定された位置に設けられた排気口から排気するエアー流路を備えていることを特徴とする排紙装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排紙装置において,
前記排気口は前記積載手段の先端側に設けられていることを特徴とする排紙装置。
【請求項9】
請求項8に記載の排紙装置において,
前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導く流入口が,前記積載手段の前記上面の幅方向の両側にそれぞれ設けられ,前記排気口が前記積載手段の中央部に1箇所設けられていることを特徴とする排紙装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の排紙装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。」

2 取消理由の概要
当審において通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。
理由1 請求項1,及び10に係る特許は,本件優先日前に日本国内において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

理由2 請求項2,3,5,6及び10に係る特許は,本件優先日前に日本国内において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 刊行物の記載
(1)引用文献1:特開平6-179559号公報(異議申立書における甲第1号証)
ア「【0015】
【実施例】以下,図面を参照しつつ,この発明の実施例について説明する。図3は,この発明の一実施例であるレーザプリンタにおける内部機構の全体構成概略図である。図中符号10で示すものは,装置本体である。装置本体10内には,ほぼ中央にドラム状の感光体11を設ける。」

イ「【0019】そして,画像転写後のシートSを定着器20に搬送し,その定着器20で転写画像を定着する。そして,定着器20を出たシートSは,搬送路21内を搬送し,排紙ローラ対22によって排紙トレイ23上へと記録面を下にしたフェイスダウンで排出する。他方,画像転写後の感光体11は,クリーニング器15で残留トナーを除去する。
【0020】ところで,装置本体10における排紙ロ-ラ対22の下側に送風装置30を設ける。そして,その送風装置30の送風口31を排紙ロ-ラ対22のやや斜め前方に向けて設ける。また,装置本体10内には,図2に示すような送風装置30と電気的に接続した電気制御手段32を設ける。
【0021】そして,手動入力または自動入力で前記電気制御手段32を働かせ,図1(a)に示すように,画像記録後のシ-トSが排紙ロ-ラ対22に到達すると,送風装置30を時間を限って作動させる。すると,図1(b)に示すように,送風口31から空気を斜め上方へ矢示のように吹き出す。そして,その空気によって排紙ロ-ラ対22で送り出されるシ-トSの先端を吹き上げ,その記録面aをオペレ-タが目視可能な状態とする。更に,シ-トSが送り出されると,電気制御手段32が送風装置30の作動を停止する。すると,図1(c)に示すように,シ-トSは,先端の吹き上げが止まるとともに落下して排紙トレイ23上へスタックされる。これをシ-トSが排出される毎に繰り返して行い,または始めのシ-トSだけについて行う。」

ウ 【図1】及び【図3】から,以下の事項が看て取れる。
・装置本体10の側面には,排紙ローラ対22から排出されたシートSを排紙トレイ23に排出する排紙口が設けられていること。
・排紙口が設けられた装置本体10の側面は,シートS排紙方向最上流側の排紙トレイ23から立ち上がった装置本体10の側面であること。
・送風口31は,排紙口と排紙トレイ23の上面との間の装置本体10の側面に開口していること。

上記記載事項ア乃至ウによれば,引用文献1には以下の事項(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「搬送路21内を搬送されたシートSを,排紙ローラ対22によって排紙トレイ23上へと記録面を下にしたフェイスダウンで排出し,
該排紙ロ-ラ対22の下側に送風装置30を設け,
該送風装置30の送風口31を排紙ロ-ラ対22のやや斜め前方に向けて設けるとともに,送風口31から空気を斜め上方へ吹き出し,その空気によって排紙ロ-ラ対22で送り出されるシ-トSの先端を吹き上げ,その記録面aをオペレ-タが目視可能な状態として,更に,シ-トSが送り出されると,電気制御手段32が送風装置30の作動を停止するものであって,
装置本体10の側面には,排紙ローラ対22から排出されたシートSを排紙トレイ23に排出する排紙口が設けられ,
該排紙口が設けられた装置本体10の側面は,シートS排紙方向最上流側の排紙トレイ23から立ち上がった装置本体10の側面であり,
また,送風口31は,排紙口と排紙トレイ23の上面との間の装置本体10の前記側面に開口しているレーザプリンタ。」

(2)引用文献2:特開2000-95414号公報(異議申立書における甲第2号証)
ア 「【0033】定着ローラ対35を通過した定着処理済みシート材Sは搬送ローラ対36によって排出ローラ対37へ送られ,該排出ローラ対37によって機外の排出トレイ38上へ排出される。」

イ 「【0053】次に,図1?図3を用いて,上記画像形成装置における排出部周辺の構成と動作について詳しく説明する。図1は画像形成装置における排出部周辺の概略構成を示す模式断面図である。
【0054】図1において,50は送風手段としての排出ファン部であり,51は排出ファン,52は排出ファンダクト,53は排出部カバーである。この排出ファン部50は,排出ローラ対37から排出トレイ38へ排出されるシート材Sに対して風を送るものであり,本発明ではこの排出ファン部50による風量を変更可能に構成している。また排出ファンダクト52の背面はシート材Sを案内する搬送ガイドを兼ねており,ガイド板58aと対になってシート材Sを案内する縦パス58を形成している。」
ウ 「【0058】そして,排出ファン51によって装置外から導入された空気は,図1に示す矢印のように排出ファンダクト52に案内されて,排出ローラ対37によって排出されるシート材Sと排出トレイ38の間から吹き出す。即ち,排出ローラ対37によって排出トレイ38上に排出されるシート材Sを下方から支えるように,該シート材Sの下面に対して風を送る。」

エ 「【0083】図7に示すように,排出ファン51は排出部カバー53に設けられた吸気口53cから外気を取り入れ,シート排出位置と排出トレイ38の間にある空気吹き出し口53a,53bから吐き出す。尚,排出ファン51と空気吹き出し口53a,53bは排出ファンダクト52(図1参照)で連結されている。」

オ 【図1】及び【図9】から,画像形成装置の筐体には,定着処理済みシート材Sを排出する排出ローラ対37に面して排紙口が設けられていること,また排出ローラ対37が設けられた排紙口が,用紙排紙方向最上流側の排出トレイ38から立ち上がった画像形成装置の筐体の側面に形成されていることが看て取れる。

上記記載事項ア乃至オによれば,引用文献2には以下の事項(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「定着処理済みシート材Sを搬送ローラ対36によって排出ローラ対37へ送り,該排出ローラ対37によって機外の排出トレイ38上へ排出する排出部を備えた画像形成装置であって,
排出ファン51,排出ファンダクト52,排出部カバー53からなる送風手段としての排出ファン部50を備え,
該排出ファン部50は,排出ファン51によって装置外から導入された空気は,排出ファンダクト52に案内されて,排出ローラ対37によって排出されるシート材Sと排出トレイ38の間にある空気吹き出し口53a,53bから吹き出し,排出ローラ対37によって排出トレイ38上に排出されるシート材Sを下方から支えるようにシート材Sの下面に対して風を送るものであり,
画像形成装置の筐体には,定着処理済みシート材Sを排出する排出ローラ対37に面して排紙口が設けられていること,また排出ローラ対37が設けられた排紙口が,用紙排紙方向最上流側の排出トレイ38から立ち上がった画像形成装置の筐体の側面に形成されている画像形成装置。」

引用文献3:特開2011-184176号公報(異議申立書における甲第3号証)
ア 「【0030】
図1は本発明に係るシート折り装置100と,このシート折り装置100を後処理装置(原文では「後処理送致」であるが,当審で誤記と認めて上記のとおりとした)として利用するために連結した画像形成装置200を示す。画像形成装置200は種々のものが対応するため,説明は省略するが,図中に示すように用紙を装置本体144外へ排出し,これをシート折り装置100が受け入れる構成となっている。」

イ 「【0044】
<実施例1>
図1のシート折り装置の動作の流れを説明する。
排紙ローラ145が設置されている反対側の排紙トレイ131の側面に,ファン148及び風力調整装置149が設置されており,排紙トレイ131に積載されたスタック紙147によって,図3に示すように,ファン148から発生される風力及び気流が変化しない位置及び角度にファン148を設置するのが好適である。
【0045】
またファン148の風の送り側(前方)には可変調整スリット150が設置されている。風力調整装置149では風力Fの調整が可能であり,可変調整スリット150のスリットは可変式であり,スリットの角度を調整する事によって,風向き(角度)の調整を行う事が可能である。
【0046】
そして,排紙ローラ145からZ折り用紙151が排出され始めると,同時にファン148が作動し,Z折り用紙151の先端を保持する。またファンの風力Fと風向きの角度αの調整値としては,排出される用紙の重心重量Wとした場合に,Fsinα≧Wの関係となるように,風力Fと風向きの角度αを調整すると,Z折りの用紙151先端の保持に好適である。
【0047】
用紙種類及び折り種類(排紙ローラから重心までの距離L,重心重量(W)によって風向きの角度α,風力Fを調整する事によって,Z折りの用紙151先端の保持が幅広い紙種類にも対応できるので好適である。また,風向き角度αを大きい値に調整する程,風力Fの値を小さい値に調整する事ができるので,ファン148の省電力化に好適である。
【0048】
また,Z折り用紙151以外の用紙の座屈が発生しない折り種類では,ファン148を停止させると省電力化に好適であり,また,排紙トレイ131にスタック紙147が一定以上に積載されると,Z折り用紙151の先端がスタック紙147によって保持され,風力Fの必要が無くなるのでファン148を停止させると省電力化に好適である。
【0049】
ファン148の水平方向の風力Fの調整方法としては,積載されたスタック紙147を排紙されるZ折り用紙151がその排紙線速度Vでも飛び越えないようにFcosαに調整する事によって,用紙の順狂いを防止する事ができるので好適である(図5参照)
【0050】
また,図6に示すように,排出されたZ折り用紙152を多段階にスタックできるように,排紙されるZ折り用紙151の順序毎に風力F及び風向きの角度αを調整することによって,スタック紙147の用紙の重なる位置を変えることができるので,スタック紙147のスタック量増加に繋がって好適である。」

ウ 【図1】乃至【図6】から,シート折り装置100の筐体には,Z折り用紙151を排出する排紙ローラ145に面して排紙口が設けられていること,また排紙ローラ145が設けられた排紙口が,用紙排紙方向最上流側の排紙トレイ131から立ち上がったシート折り装置100の筐体の側面に形成されていることが看て取れる。

エ 【図1】乃至【図6】から,ファン148は排出される用紙の用紙面に対して送風していることは明らかである。

オ 【図4】乃至【図6】,【0045】の「可変調整スリット150のスリットは可変式であり,スリットの角度を調整する事によって,風向き(角度)の調整を行う事が可能である」との記載から,可変調整スリット150のスリットは,上下方向に風向き(角度)の調整を行うことは自明である。

上記記載事項ア乃至オより,引用文献3には以下の事項(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「画像形成装置200が装置本体144外へ排出した用紙を後処理装置として利用するシート折り装置100であって,
シート折り装置100の筐体には,Z折り用紙151を排出する排紙ローラ145に面して排紙口が設けられ,該排紙口は,用紙排紙方向最上流側の排紙トレイ131から立ち上がったシート折り装置100の筐体の側面に設けられており,
排紙口及び排紙ローラ145が設置されている反対側の排紙トレイ131の側面に,ファン148及び風力調整装置149が設置され,
ファン148は排出されるZ折り用紙151の用紙面に対して送風するものであって,風の送り側(前方)には可変調整スリット150が設置されて,風力調整装置149では風力Fの調整が可能であり,可変調整スリット150のスリットは可変式であり,スリットの角度を調整する事によって,上下方向に風向き(角度)の調整を行う事が可能である画像形成装置200の後処理装置であるシート折り装置100において,
排紙ローラ145からZ折り用紙151が排出され始めると,同時にファン148が作動し,
用紙種類及び折り種類(排紙ローラから重心までの距離L,重心重量(W)によって風向きの角度α,風力Fを調整し,
排出されたZ折り用紙152を多段階にスタックできるように,排紙されるZ折り用紙151の順序毎に風力F及び風向きの角度αを調整するシート折り装置100。」

(4)引用文献4:特開2009-249071号公報,
引用文献5:特開2010-181632号公報
引用文献4(特に段落【0046】?【0053】,【図10】?【図12】)及び引用文献5(特に段落【0023】?【0029】,【図2】)には,画像形成装置(画像形成システム)において,排紙部に設けた角度調整可能なルーバである偏向手段の送風方向を制御する制御手段を具備し,紙種情報に応じて送風方向を制御するという周知技術が記載されている。

4 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 理由1について(特許法第29条第1項第3号)
取消理由の理由1は,請求項1,及び10に対して通知されたものである。
本件訂正特許発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「シートS」は,「搬送路21内を搬送され」たものであるから,本件訂正特許発明1の「搬送されてきた用紙」に相当する。
引用発明1の「排紙口」は,「排紙ローラ対22」から排出されたシートSを排紙トレイ23に排出するものであるから,引用発明1の「排紙口」及び「排紙ローラ対22」は,本件訂正特許発明1の「排紙手段」に相当する。
引用発明1の「排紙トレイ23」は,シートSを排紙ローラ対22によって排紙トレイ23上へと記録面を下にしたフェイスダウンで排出するものであるから,引用発明1の「排紙トレイ23」は,本件訂正特許発明1の「用紙を積載する積載手段」に相当する。
引用発明1の「送風装置30」は,「送風口31」から空気を斜め上方へ吹き出し,その空気によって排紙ロ-ラ対22で送り出されるシ-トSの先端を吹き上げるものであり,送風口31は排紙口と排紙トレイ23の上面との間に開口しているから,引用発明1の「送風装置30」及び「送風口31」は,本件訂正特許発明1の「送風手段」に相当する。
引用発明1の「排紙口」は,シートS排紙方向最上流側の排紙トレイ23から立ち上がった装置本体10の側面に設けられているから,本件訂正特許発明1の「(排紙手段の)排紙口」に相当する。
引用発明1の「送風口31」は,排紙ローラ対22と排紙トレイ23の上面との間の装置本体10の前記側面に開口しており,該前記側面は,「シートS排紙方向最上流側の排紙トレイ23から立ち上がった装置本体10の側面」のことであるから,本件訂正特許発明1の「送風口」に相当する。
引用発明1において,排紙口及び排紙ローラ対22で構成される「排紙手段」,排紙トレイ23で構成される「積載手段」,送風装置30及び送風口31で構成される「送風手段」により,「排紙装置」が構成されていることは明らかであるから,引用発明1は本件訂正特許発明1の「排紙装置」に相当する構成を備えたレーザプリンタであることは自明である。
以上のことより,両者は,
<一致点>
「搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,
を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口している排紙装置。」
で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点1
本件訂正特許発明の送風手段は「排紙手段から用紙の先端部が排紙される際には,水平方向よりも上向きの角度の送風を行い,前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には,前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う」ものであるのに対して,引用発明1では,「送風口31から空気を斜め上方へ吹き出し」ているものの,排紙手段から排紙される用紙の部位の変化に応じて送風の角度を変えるものではない点。

上記のとおり,本件訂正特許発明1と引用発明1の間には相違点が存在するから,本件訂正特許発明1は引用発明1ではない。
また,本件訂正特許発明10は,本件訂正特許発明1に,さらに発明特定事項を付加して限定したものであるから,本件訂正特許発明1と引用発明1の間に存在する上記相違点1が存在することは明らかであるから,本件訂正特許発明10は引用発明1ではない。
したがって,本件の請求項1及び10に係る発明は特許法第29条第1項第3号に該当せず,請求項1及び10に係る特許は,特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。

イ 理由2について(特許法第29条第2項)
取消理由の理由1は,請求項2,3,5,6及び10に係る特許に対して通知されたものである。
本件訂正特許発明2と引用発明1とを対比する。
本件訂正特許発明2は,本件訂正特許発明1を引用するものであって,本件訂正特許発明1に,送風方向を用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段を限定したものである。
したがって,本件訂正特許発明2と引用発明1とは,上記「イ 理由2について」で検討した相違点1に加えて,以下の相違点2において相違する。
相違点2
本件訂正特許発明2の送風手段は「送風方向を用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段」を備えるものであるのに対して,引用発明1では,「偏向手段」を有するものではない点。

上記相違点について検討する。
相違点1について検討する。
引用文献2乃至5において,相違点1に係る本件訂正特許発明2の発明特定事項である「排紙手段から用紙の先端部が排紙される際には,水平方向よりも上向きの角度の送風を行い,前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には,前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う」ものについて,記載も示唆もされておらず,該発明特定事項は本願出願前において周知技術であるともいえない。
そして,本件訂正特許発明2は,当該発明特定事項を備えることによって「風Wが効率よく後行紙P2の先端に届くように送風し,効果的に空気層ALを形成するようにする。(段落【0054】)」という,本願明細書に記載された顕著な効果を奏するものである。
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,請求項2に係る発明は,引用文献1乃至3に記載された各引用発明,また引用文献4及び5に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず,請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
また,請求項3,5,6及び10はいずれも,本件訂正特許発明2である請求項2に係る発明を直接的又は間接的に引用しており,本件訂正特許発明2が引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上,本件訂正特許発明2に新たな発明特定事項を付加して限定した請求項3,5,6及び10に係る発明についての特許も,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立人の主張
特許異議申立人富川恵美は,訂正前の特許請求の範囲に関し,特許異議申立書において, ア 本件特許発明1は甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明と同一である,本件特許発明2は甲第3号証に記載の発明と同一である,本件特許発明3は甲第3号証に記載の発明と同一である,本件特許発明4は甲第3号証に記載の発明と同一である,本件特許発明5は甲第3号証に記載の発明と同一である,本件特許発明6は甲第3号証に記載の発明と同一である,本件特許発明10は甲第1号証,甲第2号証又は甲第3号証に記載の発明と同一であると主張している。
イ 本件特許発明1は甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明2は甲第3号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明3は甲第3号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明4は甲第3号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明5は甲第3号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明6は甲第3号証に記載の発明に基づいて,本件特許発明10は甲第1号証,甲第2号証又は甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたもの,と主張している。

(2)アについて検討する。
ア 本件訂正特許発明1と甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明について
本件訂正特許発明1と甲第1号証に記載の発明である引用発明1との間に,上記の相違点1が存在することは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「ア 理由1について(特許法第29条第1項第3号)」で検討したとおりである。
甲第2号証に記載の発明である引用発明2において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明1と甲第2号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
したがって,本件訂正特許発明1は,甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明とは同一ではない。

イ 本件訂正特許発明2及び3と甲第3号証に記載の発明について
本件訂正特許発明2及び3は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第3号証に記載の発明である引用発明3において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明2及び3と甲第3号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
したがって,本件訂正特許発明2及び3は甲第3号証に記載の発明と同一ではない。

ウ 本件訂正特許発明4と甲第3号証に記載の発明について
本件訂正特許発明4と甲第3号証に記載の発明である引用発明3とを対比する。
引用発明3において,画像形成装置200の後処理装置であるシート折り装置100に設けられた「排紙ローラ145」によって,「排紙されるZ折り用紙151」を排出して,「排紙トレイ131」に「排出されたZ折り用紙152」としてスタックしている。
したがって,引用発明3の「排紙されるZ折り用紙151」は,画像形成装置200より後処理装置であるシート折り装置100に搬送されたものであるから,本件訂正特許発明4の「搬送されてきた用紙」に相当し,引用発明3の「排紙口及び排紙ローラ145」は,本件訂正特許発明4の「排紙手段」に相当し,引用発明3の「排紙トレイ131」は,排紙されるZ折り用紙151を,排出されたZ折り用紙152としてスタックするものであるから,本件訂正特許発明4の「(排紙手段によって排紙される用紙を積載する)積載手段」に相当する。
引用発明3の「ファン148」は,「排出されるZ折り用紙151の用紙面に対して送風」するものであるから,本件訂正特許発明4の「(用紙の用紙面に対して送風する)送風手段」に相当する。
引用発明3の「可変調整スリット150」は,「スリットの角度を調整する事によって,上下方向に風向き(角度)の調整を行う事が可能」であるものであるから,本件訂正特許発明4の「(送風手段の送風方向を用紙面に対して上下方向に偏向させる)偏向手段」に相当する。
引用発明3の「シート折り装置100の筐体」は,本件訂正特許発明4の「本体」に相当する。
引用発明3の「排紙口」は、用紙排紙方向最上流側の排紙トレイ131から立ち上がったシート折り装置100の筐体の側面に設けられており、上述したとおり、引用発明3の「排紙トレイ131」及び「シート折り装置100の筐体」は、本件訂正特許発明4の「積載手段」及び「本体」に相当するから、引用発明3の「排紙口」は、本件訂正特許発明4の「排紙口」と同様に「用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成」されているといえる。
引用発明3において,排紙ローラ145で構成される「排紙手段」,排紙トレイ131で構成される「積載手段」,ファン148で構成される「送風手段」により,「排紙装置」が構成されていることは明らかであるから,引用発明3は本件訂正特許発明4の「排紙装置」に相当する構成を備えたシート折り装置100であることは自明である。
以上のことより,両者は,
<一致点>
「搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段を備えた排紙装置」
で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点3
本件訂正特許発明4の送風手段は「排紙手段と積載手段の間から記用紙の用紙面に対して送風」するものである,具体的には「送風手段の送風口が排紙口と積載手段の上面との間の用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側に開口」しているのに対して,引用発明3では,「排紙口及び排紙ローラ145が設置されている反対側の排紙トレイ131の側面」である点。
相違点4
本件訂正特許発明4は「送風手段の送風方向を用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段」と「偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段」を有し,該制御手段が「偏向手段からの送風が排紙中の用紙の先端に届くように送風方向を制御」するものであるのに対して,引用発明3は,偏向手段及び(偏向手段を制御する)制御手段を有するものではない点。

上記のとおり,本件訂正特許発明4と引用発明3の間には相違点3及び4が存在するから,本件訂正特許発明4は引用発明3と同一ではない。

エ 本件訂正特許発明5,6及び10と甲第3号証に記載の発明について
請求項5,6及び10は,いずれも,本件訂正特許発明1である請求項1,又は本件訂正特許発明4である請求項4を直接的又は間接的に引用しているため,それぞれについて検討する。
(ア)請求項1を引用する場合
本件訂正特許発明5,6及び10は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第3号証に記載の発明である引用発明3において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明5,6及び10と甲第3号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
したがって,本件訂正特許発明5,6及び10は甲第3号証に記載の発明と同一ではない。
(イ)請求項4を引用する場合
本件訂正特許発明5,6及び10は,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点3及び4に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項を備えるものである。
そして,「5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について」,「(2)アについて検討する。」,「ウ 本件訂正特許発明4について」で述べたとおり,本件訂正特許発明4は引用発明3と同一ではないから,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定した請求項5,6及び10に係る発明である本件訂正特許発明5,6及び10も,引用発明3と同一ではない。

オ 本件訂正特許発明10と甲第2号証に記載の発明について
請求項10は,いずれも,本件訂正特許発明1である請求項1,又は本件訂正特許発明4である請求項4を直接的又は間接的に引用しているため,それぞれについて検討する。
(ア)請求項1を引用する場合
本件訂正特許発明10は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第2号証に記載の発明である引用発明2において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明10と甲第2号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
したがって,本件訂正特許発明10は甲第2号証に記載の発明と同一ではない。
(イ)請求項4を引用する場合
まず,本件訂正特許発明10と甲第2号証に記載の発明である引用発明2とを対比する。
本件訂正特許発明4と引用発明2とを対比する。
引用発明2において,「排出部」は,定着処理済みシート材Sを搬送ローラ対36によって排出ローラ対37へ送り,該排出ローラ対37によって機外の排出トレイ38上へ排出している。
したがって,搬送ローラ対36によって排出ローラ対37に送られた「定着処理済みシート材S」は,本件訂正特許発明4の「搬送されてきた用紙」に相当し,「排出ローラ対37」は,本件訂正特許発明4の「排紙手段」に相当し,「排出トレイ38」は,本件訂正特許発明4の「積載手段」に相当する。
引用発明2の「排出ファン部50」は,シート材Sの下面に対して風を送るものであって,「シート材Sの下面」は用紙の用紙面に他ならないから,引用発明2の「排出ファン部50」は,本件訂正特許発明4の「送風手段」に相当する。
引用発明2の「空気吹き出し口53a,53b」は,本件訂正特許発明4の「送風口」に相当する。
引用発明2の「(画像形成装置の)筐体」は,本件訂正特許発明4の「本体」に相当する。
引用発明2の「排出部」は,用紙を排紙口から排紙してして積載手段に積載するという点で,本件訂正特許発明4の「排紙装置」に共通する。

以上のことより,両者は,
<一致点>
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と,
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と,
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と,を備えた排紙装置において,
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され,
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口している排紙装置。
で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点5
本件訂正特許発明4は「送風手段の送風方向を用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段」と「偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段」を有し,該制御手段が「偏向手段からの送風が排紙中の用紙の先端に届くように送風方向を制御」するものであるのに対して,引用発明2は,偏向手段及び(偏向手段を制御する)制御手段を有するものではない点。

上記のとおり,本件訂正特許発明4と引用発明2の間には相違点5が存在するから,本件訂正特許発明4は引用発明2と同一ではない。
そして,本件訂正特許発明10は,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点5に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項を備えるものであり,本件訂正特許発明4は引用発明2と同一ではないから,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定した請求項10に係る発明である本件訂正特許発明10も,引用発明2と同一ではない。

(3)イについて検討する。
ア 本件訂正特許発明1と甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明について
本件訂正特許発明1と甲第1号証との間に上記相違点1が存在することは,「5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について」,「(2)アについて検討する。」で検討したとおりである。
また,甲第2号証に記載の発明において,上記相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「ア 理由2について(特許法第29条第2項)」で検討したとおりである。
そして,上記相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項1に係る発明は,甲第1号証又は甲第2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正特許発明2及び3と甲第3号証に記載の発明について
本件訂正特許発明2及び3は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第3号証に記載の発明である引用発明3において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明2及び3と甲第3号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
そして,上記相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項2及び3に係る発明は,甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件訂正特許発明4と甲第3号証に記載の発明について
本件訂正特許発明1と甲第1号証との間に上記相違点3及び4が存在することは,「5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について」,「(2)アについて検討する。」,「ウ 本件訂正特許発明4と甲第3号証に記載の発明について」で検討したとおりである。
そして,上記相違点3及び4に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項4に係る発明は,甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件訂正特許発明5,6及び10と甲第3号証に記載の発明について
請求項5,6及び10は,いずれも,本件訂正特許発明1である請求項1,又は本件訂正特許発明4である請求項4を直接的又は間接的に引用しているため,それぞれについて検討する。
(ア)請求項1を引用する場合
本件訂正特許発明5,6及び10は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第3号証に記載の発明である引用発明3において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明5,6及び10と甲第3号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
そして,上記相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項5,6及び10に係る発明は,甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)請求項4を引用する場合
本件訂正特許発明5,6及び10は,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点3及び4に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項を備えるものである。
そして,上記相違点3及び4に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項5,6及び10に係る発明は,甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件訂正特許発明10と甲第2号証に記載の発明について
請求項10は,いずれも,本件訂正特許発明1である請求項1,又は本件訂正特許発明4である請求項4を直接的又は間接的に引用しているため,それぞれについて検討する。
(ア)請求項1を引用する場合
本件訂正特許発明10は,本件訂正特許発明1に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
そして,甲第2号証に記載の発明である引用発明2において,少なくとも上記の相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項について記載も示唆もないことは,「4 判断」,「(1)取消理由通知に記載した取消理由について」,「イ 理由2について(特許法第29条第2項)」,「相違点1について検討する。」で述べたとおりであるから,本件訂正特許発明10と甲第2号証に記載の発明との間にも上記の相違点1が存在することになる。
そして,上記相違点1に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項10に係る発明は,甲第2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)請求項4を引用する場合
本件訂正特許発明10は,本件訂正特許発明4に新たな発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記の相違点5に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項を備えるものである。
そして,上記相違点5に係る本件訂正特許発明4の発明特定事項は,本願出願前において周知技術であるともいえないから,請求項10に係る発明は,甲第3号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件請求項1乃至6,及び10に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件請求項1乃至6,及び10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
排紙装置及び画像形成システム
【技術分野】
【0001】
この発明は、排紙装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置から排出された用紙に対して種々の処理、例えば、整合、綴じ、折り、製本などの後処理を行う用紙処理装置、ここでは後処理を行うことから用紙後処理装置と称される装置が知られ、広く使用されている。近年、この種の用紙後処理装置に要求される用紙対応力の幅が格段に広がってきている。特に、カラー画像形成装置においてはカタログ、チラシ等に画像映えのするコートされた用紙(以下、コート紙と称する。)へのプリント比率が高くなっているが、コート紙は一般的に1)表面平滑度が高い。 2)用紙間密着力が高い。 3)クラーク鋼度が低い。 という特徴を有する。そのため、これらの特徴が原因となってコート紙の積載性を悪化させる場合がある。
【0003】
そこで、このような積載性の悪化を改善する発明として例えば特開2010-006560号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。この技術は、シートを排出する排出手段と、排出手段から排出されたシートを積載する積載手段と、積載手段上に積載されたシートに風を吹き付ける送風手段と、送風手段からの風の向きを変更する風向切り替え部と、を備え、風向切り替え部が積載手段上に積載されたシートの積載量に応じて送風手段からの風の向きを変更するシート積載装置を特徴とするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の技術では、積載手段上に積載されたシートの積載量に応じて前記送風手段からの風の向きを変更するようにしている。しかし、シートの積載量のみに応じて風向を変化させているため、搬送速度、紙種、紙サイズ、紙厚などの条件が変わると積載不良が発生する場合があり、積載性の悪化が解消には至っていなかった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、搬送速度、紙種、紙サイズ、紙厚などの条件が変わっても、積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の一態様は、搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と、前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と、前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と、を備えた排紙装置において、前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され、前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて、前記送風手段は、前記排紙手段から前記用紙の先端部が排紙される際には、水平方向よりも上向きの角度の送風を行い、前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には、前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることができる。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における実施例1に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置と画像形成装置とからなるシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図1における端面綴じ処理トレイをトレイの積載面側から見た概略構成図である。
【図3】図1における端面綴じ処理トレイ及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図1における放出ベルトの動作を示す斜視図である。
【図5】図1におけるシフトトレイの待機状態を示す要部正面図である。
【図6】シフトトレイ上における搬送方向の揃え動作を示す動作説明図である。
【図7】シフトトレイ及び排紙ローラを含む排紙部の斜視図である。
【図8】シフトトレイ上における用紙幅方向の揃え動作を示す図である。
【図9】シフトトレイに先行の用紙が積載された状態で後行の用紙が排出されたときの状態を示す図である。
【図10】図9の状態から用紙間密着による貼り付きが発生し、後行の用紙が先行の用紙を押し出したときの状態を示す図である。
【図11】図9の状態から用紙間密着による貼り付きが発生し、後行の用紙が腰砕け(座屈)したときの状態を示す図である。
【図12】図10の左側面図で、用紙を省略した状態を示す。
【図13】実施例1における送風装置を備えた排紙部の構成を示す要部正面図である。
【図14】第1の可動ルーバの駆動機構を示す図13における要部平面図である。
【図15】2枚目の用紙の排紙が開始された直後の送風装置の動作及び送風の状態を示す動作説明図である。
【図16】図15の状態から排紙がある程度進んだ状態を示す動作説明図である。
【図17】図16の状態から排紙が完了する直前の状態を示す動作説明図である。
【図18】図17の状態から排紙が完了し、シフトトレイ上に落ちるときの状態を示す動作説明図である。
【図19】用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図20】送風モードにおける送風動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】送風モード選択処理時の操作パネルの選択画面を示す図である。
【図22】実施例2に係る用紙後処理装置の全体構成を示す図である。
【図23】上トレイにおける早期満杯検知の状態を示す説明図である。
【図24】上トレイに先行紙が排紙されている状態を示す動作説明図である。
【図25】上トレイ上への先行紙の排紙完了が近い状態を示す動作説明図である。
【図26】上トレイに先行紙が積載された状態を示す動作説明図である。
【図27】上トレイに後行紙が排紙されている状態を示す動作説明図である。
【図28】上トレイ上への後行紙の排紙完了が近い状態を示す動作説明図である。
【図29】上トレイ上に後行紙が積載された状態を示す動作説明図である。
【図30】用紙後処理装置の要部斜視図である。
【図31】上トレイ内のエアー流路を透視して示す用紙後処理装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、送風装置から排紙される用紙の下面に送風し、排紙中の用紙先端まで空気層を形成して積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な用紙の揃え精度を得るようにしたものである。
【実施例1】
【0010】
実施例1は、送風装置からの送風方向を排紙中の用紙面の下面側で上下方向に偏向させ、排紙中の用紙先端に届くように制御することにより、用紙間に効率よく空気層を形成するようにした例である。
【0011】
図1は本実施形態の実施例1に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置PDと画像形成装置PRとからなる画像形成システムを示すシステム構成図である。以下、実施例1について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像を用紙に転写する転写装置、及び用紙転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着された用紙を用紙後処理装置PDに送り出し、用紙後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。
【0013】
用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。用紙後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施例1では穿孔手段としてのパンチユニット50)を有する搬送路Aへまず搬送される。
【0014】
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ用紙を導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ用紙を導く搬送路である。搬送路Dは整合及びステープル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に用紙を導く搬送路である。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0015】
この用紙後処理装置PDでは、用紙に対して、穴明け(パンチユニット50)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じステープラS1)、用紙揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じステープラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが処理に応じて選択される。また、搬送路Dは用紙収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
【0016】
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット50、パンチかすホッパ50a、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変更し、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
【0017】
搬送路Bへ用紙を導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、用紙は搬送ローラ3から上排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、用紙は搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202を用紙搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とによって行われる。
【0018】
搬送路Dへ用紙を導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15及び分岐爪16ともに上方に回動した状態となり、用紙は搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイFへ導かれる。この端面綴じ処理トレイFで整合及びステープル等を施された用紙は、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、用紙束PBは排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれた用紙束PBは、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り下排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
【0019】
搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されている。この状態で、搬送ローラ7によって搬送される用紙の後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9,10、ステープル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、用紙をターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、用紙後端から用紙を用紙収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
【0020】
搬送路Dに導かれ、用紙揃えと端部綴じを行う場合、ステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向一用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束PBの最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、後述のCPU101からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束PBは、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)により(シフト)排紙ローラ対6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
【0021】
放出ベルト52は図2及び図4に示すように用紙幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
【0022】
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっている。この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBを交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これから用紙束PBを移動させるように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBの搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
【0023】
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容された用紙束PBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出された用紙Pは、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われる。しかし、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端がカールし、あるいは腰が弱かったりすると用紙自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次の用紙が入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、用紙後端PTの膨らみを少なくして用紙Pが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、用紙Pもしくは用紙束PBを直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
【0024】
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれ用紙検知センサであり、設けられた位置における用紙の通過の有無、もしくは用紙の積載の有無を検知する。
【0025】
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れた用紙の幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側に用紙後端PTが当接し、保持されるスタック面51a1,51b1を備え、用紙後端PTを2点で支持するようになっている。整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施される。その後、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後の用紙束PBは、後端基準フェンス51a,51bによって所定位置まで持ち上げられる。
【0026】
持ち上げられた用紙束PBは、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
【0027】
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙Pは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出される用紙Pの枚数が1枚の場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51との間で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われる。その後、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙後端PTを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は図示反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後一対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に対称に近接・離間するように往復移動する。
【0028】
図1に戻って、端面綴じ処理トレイFの用紙搬送方向下流側には、用紙束偏向機構が設けられている。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを送る搬送路、及び用紙束PBを搬送する搬送手段は、用紙束PBに搬送力を与える搬送機構35、用紙束PBをターンさせる放出ローラ56、用紙束PBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
【0029】
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によって用紙束PBを挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
【0030】
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBをターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。
【0031】
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合された用紙束PBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する従動ローラ42との間で用紙束PBを挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、用紙束PBの先端にぶつからないような位置で待機している。次に、用紙束先端が通過してから用紙表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、用紙束PBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
【0032】
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなる用紙束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記用紙束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
【0033】
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、用紙搬送方向に直交する方向(用紙の幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、用紙の幅方向に所定の間隔をおいて二対設けられている。
【0034】
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構により用紙搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記用紙束偏向機構から離れる方向と用紙束PBの後端(用紙束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
【0035】
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られた用紙束PBを搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされた用紙を検出するための折り部通過センサ、符号321は用紙束PBが中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
【0036】
また、この実施例1では、下トレイ203に中折りされた用紙束PBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
【0037】
図5はシフトトレイ202の排紙部を示す要部正面図で、図5(a)は排紙時の待機状態を示す図であり、同図(b)は同図(a)の丸で示した部分の要部をさらに拡大して示す図である。用紙は前述のように排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送され、シフトトレイ202で用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、前述のように特にシフト排紙ローラ対6(6a,6b)、戻しコロ13、シフトトレイ202と、シフト機構と、シフトトレイ昇降機構とによって行われる。
【0038】
図6は搬送方向の揃え動作を示す動作説明図である。揃え動作は、用紙排出後、戻しコロ13が用紙Pをエンドフェンス210方向へ戻す方向(矢印R1方向)に回転しながら用紙Pに接触し、積極的に用紙Pをエンドフェンス210方向に戻す動作を行うことにより行われる。戻しコロ13は、図示しない戻しコロ駆動モータによって駆動され、駆動力は図示しないタイミングベルトによって伝達される。
【0039】
図7は排紙部の斜視図である。排紙部はシフトトレイ202及び排紙ローラ対6を含む。同図から分かるようにシフトトレイ202の上側には、シフトトレイ202上で用紙Pの幅方向の揃えを行う一対のジョガー205a,205bが設けられている。ジョガー205a,205bは、ジョガー駆動機構206によって用紙Pの幅方向に可動である。なお、ジョガー駆動機構206自体は公知の構造であり、駆動機構自体は本願発明と直接関係がないので、詳細は省略する。なお、図5等において符号202aはジョガー205a,205bの移動を許容するための逃げ部(凹部)である。
【0040】
図8はシフトトレイ202上における用紙幅方向の揃え動作を示す図である。用紙排出後、手前側ジョガー205a及び奥側ジョガー205bにより用紙幅方向手前側からと奥側から用紙Pの幅方向を揃える。しかし、コート紙のように平滑度が高い用紙Pの場合には、図9のようにシフトトレイ202に先行の用紙(先行紙)P1が積載された状態で後行の用紙(後行紙)P2が排出されると、用紙間密着による貼り付きが発生し、図10に示すように後行紙P2が先行紙P1に接触した状態でそのまま先行紙P1を押し出してしまうことがある。あるいは、先端が密着した状態でそれ以上搬送されず、図11のように腰砕けの状態(座屈した状態)になってしまうこともある。いずれの現象が生じても排出不良となる。
【0041】
このような先行紙P1の押し出し、あるいは座屈を防止するために、本実施例1では、送風装置を設け、後行紙P2が排出される際、先行紙P1との間(後行紙の下面側)に風を送り込み、先行紙P1に対する後行紙P2の貼り付きを防止するようにした。
【0042】
図12は図10の左側面図、図13は本実施例1における送風装置を備えた排紙部の構成を示す要部正面図である。なお、図12では用紙を、図13では用紙後処理装置PDの図1における正面視中央部分をそれぞれ省略している。
【0043】
図12及び図13において、送風装置400は、用紙の幅方向に4個設けられている排紙ローラ対6のさらに外側に一対設けられている。送風装置400は、図13に示すように、送風ファン411、送風ガイド412、第1の可動ルーバ421、減速機構422及び第1の可動ルーバ421の駆動モータ423から基本的に構成されている。送風ファン411は同軸上の図示しないモータによって駆動され、送風ガイド412の送風口413からモータの回転速度に応じた風速の風を送風する。第1の可動ルーバ421は減速機構422を介して駆動モータ423によって駆動され、送風口413からのシフトトレイ202の上面と略平行な方向の風向を制御する。すなわち、第1の可動ルーバ412は角度調整可能に設置され、角度調整によりシフトトレイ202の上面と略平行な方向の風向を変えることができる。
【0044】
送風口413は送風ガイド412の最下流側に開口し、図13に示すように排紙ローラ対6の上側のローラよりも下方であって、シフトトレイ202よりも上の位置に開口している。これにより、シフトトレイ202の上面と排紙ローラ対6から排紙される用紙Pとの間(排紙される用紙Pの下面)に風を送り込むことが可能である。また、画像形成装置PR側から送信される用紙情報に基づき、通紙される場合のみ送風を行うようになっている。ここで、送風装置400は一対(2個)設けられているが、それ以上、設けてもよいことは言うまでもない。
【0045】
送風ガイド412は搬送路Cの下側に位置し、送風ファン411によって上方に向けて送風された空気流を送風ガイド412の形状に沿って斜め上方向に偏向させ、送風口413から前述のようにして送風する。
【0046】
図14は第1の可動ルーバ421の駆動機構を示す図13における要部平面図である。図14(a)は第1の可動ルーバ421が送風方向W1に対して直交する方向に回転したときの状態を、図14(b)は図14(a)の状態から送風方向W1に対して平行な方向に所定角回転(図示矢印R2方向)したときの状態を示す。
【0047】
第1の可動ルーバ421は、制御用の駆動モータ423により減速機構422を介して当該第1の可動ルーバ421の回転軸421aを駆動することにより、シフトトレイ202のシート載置面(用紙面)と平行な方向の送風方向が制御される。送風方向W1は、ここでは、用紙搬送方向に対して平行な方向、あるいは前記平行な方向に対して斜めになる方向である。
【0048】
減速機構422は、駆動モータ423の駆動軸423a上の第1のギア422aと、これと噛み合う第1の可動ルーバ421の回転軸421a上の第2のギア422bとを含み、駆動モータ423の回転駆動力を第1の可動ルーバ421の回転軸421aに伝達することにより制御することができる。
【0049】
第1の可動ルーバ421の回転軸421a上の第2のギア422bの一部には位置検知用のフィラー424が設けられている。このフィラー424を位置検知センサ(例えば透過型光センサ)340で検知することにより第1の可動ルーラ421のホームポジションを検知することができる。そして、このホームポジションを基準に駆動モータ423の回転を制御し、第1の可動ルーバ421の回転角度を制御することができる。なお、本実施例1では、駆動モータ423をステッピングモータで構成しているので、駆動ステップ制御によって可動ルーバ421の回転角度を制御することができる。また、ステッピングモータを使用しない場合には、例えば、エンコーダを使用し、エンコーダの検出パルスに応じて駆動モータ423の回転制御を行えばよい。
【0050】
送風装置400の第1の可動ルーバ421の側面には、図15に示すように3枚の第2の可動ルーバ425が設けられている。この第2の可動ルーバ425は、第1の可動ルーバ421より小さく、垂直方向に回転する(回転軸は第1の可動ルーバ421に対して垂直な方向)。第2の可動ルーラ425の駆動機構も、図14に示した第1の可動ルーバ421の駆動機構と同様であり、取り付け方向が水平方向となっている点が第1の可動ルーバ421の駆動機構と異なる。また、第2の可動ルーバ425のサイズが小さいので、その分、駆動モータの駆動トルクも小さいものが使用される。その他、ここでは図示しないが、図14に示した機構と同等である。
【0051】
図15ないし図18は第2の可動ルーバを備えた送風装置の動作及び送風の状態を示す動作説明図である。
【0052】
図15は1枚目の用紙(以下、先行紙とも称する。)P1がシフトトレイ202上に排紙された後、2枚目の用紙(以下、後行紙とも称する。)P2の排紙が開始された直後の状態を示す。この状態になる前、すなわち、先行用P1がシフトレイ202上に排出される際には、送風装置400の送風ファン411が駆動され、この先行紙P1の裏面側に風Wが送り込まれる。この送風動作によってシフトトレイ202と先行紙P1間に空気層ALが形成される。先行紙P1は空気層ALを排除しながらシフトトレイ202上に落下する。そして、戻しコロ13の下側に移動すると、先行紙P1は戻しコロ13によって搬送方向と逆方向に搬送され、用紙後端がエンドフェンス210に突き当たって用紙の搬送方向が揃えられる。
【0053】
次いで、ジョガー205a,205bによって用紙の幅方向の揃えが行われる。搬送方向及び幅方向の揃え動作完了後、図15に示すように後行紙P2が先行紙P1に接触する場合も送風装置400が駆動され、後行紙P2の裏面側に風Wを送り込む。これにより先行紙P1と後行紙P2との間に空気層ALが形成され、用紙間密着を防止し、もしくは低減する。
【0054】
用紙Pが排出される際、搬送路C上の用紙検知センサ303によって用紙Pは検知されるので、後述の用紙後処理装置PDのCPU101は用紙Pの先端、もしくは後端を検知してからの時間の情報を得ることができる。また、排紙ローラ対6を駆動しているモータのパルス、もしくは排出速度情報から用紙のシフトトレイ202側への排出(移動)量を得ることができる。これにより用紙Pの排出が開始されてから完了するまでの用紙の移動の状態が分かる。そこで、排出される用紙Pの移動動作に合わせて後行紙P2の先端に向けて送風装置400から送風する。その際、第2の可動ルーバ425の水平方向に対する角度制御を行い、風Wが効率よく後行紙P2の先端に届くように送風し、効果的に空気層ALを形成するようにする。この角度制御は、用紙面に対して上下方向の風向きの制御である。
【0055】
本実施例1では、図15の排紙開始直後では、2枚目の用紙(後行紙)P2の先端の位置に合わせて第2の可動ルーバ425の角度を水平方向よりも上向きの角度(第1の方向L1)としている。図16に示すように排紙がある程度進んだ状態では、第2の可動ルーバ425の角度を水平に近い角度(第2の角度L2)まで下げている。図17に示すように排紙が最終段階に近くなった状態では、水平方向よりも下向き(第3の角度L3)とし、シフトトレイ202の上面に沿って風が流れるようにしている。このようにして、後行紙P2の排紙状態に応じて第2の可動ルーバ425の上下方向の角度を調整し、適切な空気層ALを形成する。
【0056】
さらに、後行紙P2が排紙ローラ対6のニップから抜けた後は、図18に示すように第2の可動ルーバ425を完全に閉じる(第4の角度L4)ようにする。その際、送風ファン411も停止させる。しかし、送風ファン411は直ぐには停止しないので、第2の可動ルーバ425を閉止状態とすることにより、後行紙P2の排紙完了にタイミングを合わせて送風を停止することができる。これにより、落下中の排出紙(後行紙P2)がシフトトレイ202の積載面や積載紙上に落ちやすくなり、積載品質の悪化を防止することができる。
【0057】
なお、図15ないし図17における送風動作において、用紙後処理装置PDのCPU101は、画像形成装置PRから用紙情報を受信し、用紙情報に応じて最適な風速への切り替えを行う。用紙情報は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報、厚紙、薄紙などの紙厚情報、及びA3、A4、B4などの用紙サイズ情報を含む。そのため、図16及び図17に示したように先行紙P1と後行紙P2との間に風Wを送り込む場合には、画像形成装置PRから送信されてくる用紙の紙種、紙厚、紙サイズを含む用紙情報に基づいて用紙Pの貼り付きを防止するに最適な風量への切り替えを行い、紙面全体に空気層ALをつくる。最適な風量の切り替えでは、例えば、排出用紙に対して強弱を付けて送風を行い、紙面全体に空気層ALが行き渡るようにする。
【0058】
最適な風量は、予め実験室で用紙の紙種、紙厚、紙サイズを変数として紙面全体に空気層ALが行き渡る最適な風量(もしくは風速)を計測し、その計測データをテーブル化してメモリに記憶させておく。そして、送風装置400から送風する風量を設定する際にCPU101がメモリを参照して第2の可動ルーバ425の角度(回転量及び回転方向)と送風ファン411を駆動するモータの回転速度を設定する。なお、風量や第2の可動ルーラ425の角度もしくは角度変化はユーザが後述の画像形成装置PRの操作パネル105から数値入力もしくは選択入力によりマニュアルで調整することも可能である。
【0059】
また、本実施例1では、第1の可動ルーバ421と第2の可動ルーバ425の上下方向425の可動方向は直交している。そのため、第1の可動ルーバ421が送風装置の出口に1個しか配置されていない場合には、両者を共に回転させても干渉しない。しかし、第1の可動ルーバ421を複数設けた場合、隣り合う第1の可動ルーバ421に設けられた第2の可動ルーバ425同士あるいは第1及び第2の可動ルーバ421,425が互いに干渉して破損することのないような寸法関係に設定する必要がある。
【0060】
図19は用紙後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。用紙後処理装置PDはCPU101、I/Oインターフェイス102等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU101には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネル105の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイス103を介して入力され、CPU101は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU101は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイス102を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU101が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0061】
また、本実施例1においては送風モードが設定されている。送風モードでは、ユーザが操作パネル105上でコート紙を選択した場合にONになる設定となっている。しかし、強制OFFを選択することによってコート紙であっても送風を行わないようにすることができる。また、普通紙の場合、デフォルトでは、送風は行わないが、強制ONにすることによって送風を行うことができる。
【0062】
図20は、この送風モードにおける送風動作の処理手順を示すフローチャート、図21は送風モード選択処理時の操作パネルの選択画面を示す図である。このフローチャートに示した処理は、用紙後処理装置PDのCPU101によって実行される。
【0063】
送風モードの選択処理では、図21の操作パネル105の送風モードの指示画面105aから「あり」105bを選択すると、送風モードの処理が開始される。送風モードの処理が開始されると、操作パネル105上の操作画面が図示しない用紙の種類の選択画面に切り替わる。この選択画面には、図示しないが、紙種が選択ボタンとして表示される。そこで、紙種の選択が行われ(ステップS101)、コート紙が選択された場合には(ステップS102:YES)、送風強制OFFの選択画面に切り替わる。
【0064】
すなわち、コート紙が選択された場合には、送風ファン411はONになる設定となっているので、その前に送風ファン411の強制OFFが選択されたか否かが判断される(ステップS103)。強制OFFが選択された場合には(ステップS103:YES)、送風ファン411をOFFして(ステップS104)、このルーチンから抜ける。
【0065】
強制OFFが選択されていなければ(ステップS103:NO)、送風ファン411をONし(ステップS105)、空気流Wを生じさせてこのルーチンから抜ける。
【0066】
コート紙以外では、デフォルトでは送風OFFとなっているので、さらに、送風強制ONが選択されたか否かを判断する(ステップS106)。送風強制ONが選択されていれば(ステップS106:YES)、送風ファン411をONし(ステップS105)、選択されていなければ(ステップS106:NO)、送風ファン411をOFFし(ステップS107)、このルーチンから抜ける。
【0067】
また、送風モード画面で「なし」105cを選択すると、送風モードに入らずに通常の排紙処理が実行される。
【0068】
このように、本実施例1では、送風モードでは、ユーザが操作パネル105上で紙種情報を選択した場合にONになる設定であるが、強制OFFを選択することで、送風を行わないことができる。また、普通紙の場合デフォルトでは、送風は行わないが、強制ONにすることで送風を行うことができる。
【実施例2】
【0069】
実施例2は、先行紙の排紙時は上トレイに形成されたエアー流路にエアーを入れ、先行紙の先端部のエアー排出口から先行紙の下面に風を吹き付けて上トレイと先行紙との間に空気層を形成し、後行紙では、後行紙の下面に送風し、先行紙との間に空気層を形成するようにした例である。
【0070】
図22は実施例2に係る用紙後処理装置PDの全体構成を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は正面図である。用紙後処理装置PD自体の内部構成及び機能は図1に示した用紙後処理装置PDに準じている。
【0071】
図22において、用紙後処理装置PDは、図1に示したように上部から下部にかけて上トレイ201、シフトトレイ202及び下トレイ203を備えている。上トレイ201、シフトトレイ202及び下トレイ203の機能及び用紙の処理は図1を参照して説明した実施例1と同様である。
【0072】
図23は上トレイ201における早期満杯検知の状態を示す説明図である。上トレイ201は、用紙後処理装置PDに固定されており、用紙Pは搬送路Bを経て上排紙ローラ4から上トレイ201上に排出される。用紙Pが平滑度の高いコート紙の場合、用紙Pは上トレイ201との間で貼り付きが生じることが多い。また、用紙Pのコシが弱い場合(薄紙、長尺紙など)は図23のように用紙Pに座屈が生じることが多い。前述の図11においても同様である。座屈が生じると、用紙後端が排紙口4aの近くに留まり、満杯検知センサ306の検知範囲にかかる。このように満杯検知センサ306の検知範囲にかかると、CPU101は満杯検知センサ306の検知出力に基づいて満杯と検知することになる。この場合、上トレイ201上に満杯となるだけの用紙Pは排紙されていないため、満杯となっていないにも拘わらず満杯と誤検知する早期満杯検知となってしまう。本実施例は、このような早期満杯検知を防止するための例である。
【0073】
なお、図23では、実施例1に示した第1の可動ルーバ421、送風ファン411及び送風ガイド412に代えてルーバ426、送風ファン431及び送風ガイド414を設けた例を示している。本実施例2では、ルーバ426は固定でよいので、前記第1の可動ルーバ421を駆動する減速機構422及び駆動モータ423は不要である。なお、実施例1における第1の可動ルーバ421及び第2の可動ルーバ425と組み合わせることも可能である。
【0074】
図24ないし図29は、実施例2に係る送風装置400を備えた排紙部の内部構成と動作を示す図である。
【0075】
図24に示すように、本実施例2では、図23に示した排紙部の構成に対して上トレイ201に、エアー流路201aを設けたものである。エアー流路201aは、排紙口4aの下流側直後にエアー流入口201bが、上トレイ201の先端側であって用紙幅方向の中央部上面にエアー排気口201cがそれぞれ設けられ、両者間を繋ぐように流路が形成されたものである。これによりエアー流入口201bから流入されるエアーが上トレイ201の中を通ってエアー排気口201cから上方に風Wとなって排気される。本実施例では、図30及び図31に示すように、エアー流入口201bは左右2箇所開口し、エアー排気口201cは1箇所開口している。このため、後述するがエアー流路201aは2箇所のエアー流入口201bからの流路が上トレイ201の内部で繋がり、1箇所にまとまってエアー排気口201cに連通している。したがって、本実施例2では、送風装置400は、ファン431、送風ガイド414、ルーバ426及びエアー流路201aから構成されている。
【0076】
図24は上トレイ201に1枚目の用紙(先行紙)P1が排紙されている状態を示す。先行紙P1は、上排紙ローラ(対)4により上トレイ201上に排出される。これと並行して、用紙後処理装置PDのCPU101が用紙検知センサ(排紙センサ)302により先行紙P1の先端を検知したとき(排紙動作を確認したとき)、ファン431が駆動され、送風ガイド414の送風口414aからエアーが吹き出される。ファン431及び送風ガイド414は搬送路Bの排紙口4aの直近下方の幅方向の2箇所に設けられている。送風口414aは排紙口4aと上トレイ201との間の用紙後処理装置PDの側面(エンドフェンス201e)に開口している。
【0077】
送風口414aから上トレイ201に向けて吹き出された風(エアー)Wは、エアー流路201aに吹き込み、エアー排気口201cから上トレイ201に向けて吹き出す。図24では、先行紙P1が排紙口4aから排紙を開始した時点で、風Wがすでにエアー排気口201cから吹き出している。
【0078】
図25は上トレイ201上への先行紙P1の排紙完了が近い状態を示す。先行紙P1は、上排紙ローラ4により上トレイ201に排紙されるが、排紙の過程で、用紙先端が上トレイ201の先端付近に到達すると、先行紙P1は上トレイ201表面から風Wにより押し上げられる。すなわち、先行紙P1は、上トレイ201に設けられたエアー排気口201cから吹き出している(排気されている)風(エアー)Wにより押し上げられ、上トレイ201の上面との密着が防止される。さらに風Wは上トレイ201の中央付近より排気されているので、先行紙P1は搬送方向に対して直角な向きにコシを持つようになる。その結果、座屈が発生することなく、先行紙P1は排紙される。
【0079】
図26は上トレイ201上に先行紙P1が積載された状態を示す。先行紙P1は自重により上トレイ201に落ちて積載される。この上トレイ201上の積載により、上トレイ201のエアー流入口201bは先行紙P1により塞がれてしまう。これにより、エアー流路201a内への風(エアー)Wの流入がなくなる。同時に上トレイ201の先端部のエアー排気口201cからの風(排気)Wもなくなる。
【0080】
図27は上トレイ201上に後行紙P2が排紙されている状態を示す。後行紙P2は上排紙ローラ4により上トレイ201上に排紙される。先行紙P1の排紙時には、図24に示したようにファン431を稼働させ排紙口下部より上トレイ201の上面に向けて風Wが送風されていた。しかし、今回は先行紙P1が上トレイ201に積載されているため、排気された風Wは上トレイ201のエアー流路201aに入ることができない。そのため、風Wは上トレイ201上に積載された先行紙P1上に吹き付けられることになる。この状態は実施例1の図15に示した状態と同様である。
【0081】
図28は上トレイ201上への後行紙P2の排紙完了が近い状態を示す。この状態は実施例1の図17に示した状態に対応する。この過程で図16に示した状態を経ることになる。このようにファン431によって発生した風Wは送風口414aから吹き出し、後行紙P2の先端まで届くように先行紙P1と後行紙P2との間に送風される。これにより先行紙P1と後行紙P2との間に空気層ALが形成され、後行紙P2の先行紙Pに対する密着が防止される。
【0082】
図29は上トレイ201上に後行紙P2が積載された状態を示す。図28の状態から排紙ローラ4により後行紙P2が排紙ローラ4から放出されると、後行紙P2は自重により上トレイ201に落下し、積載される。この状態は、上トレイ201上に2枚積載されていることになるが、風Wの送風状態は図26の状態を同様となる。そのためさらに後行紙(3枚目以降の用紙)がある場合には、図26から図29に示した動作が繰り返され、所定枚数の用紙P1?Pnが上トレイ201上に積載される。
【0083】
図30は用紙後処理装置PDの要部斜視図、図31は上トレイ201内のエアー流路201aを透視して示す用紙後処理装置PDの要部斜視図である。
【0084】
図30から分るように、上トレイ201の上面の用紙幅方向の2箇所にエアー流入口201bが設けられ、エアー流入口201b近傍の排紙口4aと上トレイ201の上面の間のエンドフェンス201eに送風口414aが2箇所開口している。送風口414aは前述のように送風ガイド414の末端であり、送風ガイド414の始端側にファン431が配置されている。また、上トレイ201の上面の用紙先端側の用紙幅方向中央部にエアー排気口201cが開口している。
【0085】
図31から分るように、2箇所のエアー流入口201bと1箇所のエアー排気口201cはエアー流路201aによって連通しており、平面視V字形となって排気側で1つにまとまっている。これにより、エアー流入口201bから流入したエアーがエアー排気口201cから風Wとなって排気される。
【0086】
また、図30及び図31に示すように、上トレイ201のエアー排気口201cが形成された先端側は伸長部201fとなっており、用紙サイズに応じて引き出せば、大サイズ(長尺)の用紙Pに対しても対応することができる。
【0087】
本実施例2においても実施例1において図20に示した送風モードの処理手順と同様の処理で送風動作が行われる。送風モードの選択は、実施例1における図21の送風モード選択処理時の操作パネルの選択画面から行われる。ただし、その前段階で、図示はしないが、実施例1の場合にはシフトトレイ202を選択し、実施例2の場合には上トレイ201を選択する。
【0088】
そのため、実施例1と実施例2の送風動作処理をまとめて行う場合には、図20のステップS101の前段にシフトトレイ202と選択するか、上トレイ201を選択するかの選択処理と、いずれが選択されたかの判定処理を付加し、シフトトレイ202か上トレイ201かの選択が確定した後で、ステップS101以降の処理を実行すればよい。
【0089】
この場合、実施例1と実施例2を組み合わせ、先行紙P1については実施例2の動作を、後行紙P2?Pnについては実施例1の動作を行わせることもできる。
【0090】
その他、特に説明しない各部の構成及び各部の機能並びに動作は、実施例1と同様である。
【0091】
以上のように、本実施例2では、先行紙P1の排紙時は上トレイ201に形成されたエアー流入路201aにエアーが入り、先行紙P1の先端部のエアー排出口201cから先行紙P1の下面に風Wを吹き付けることができる。これにより、用紙先端と上トレイ201の間に空気層ALが形成され、先行紙P1と上トレイ201表面との間の密着を防止することが可能となる。
【0092】
また、エアー排出口201cから先行紙P1の下面に風Wを吹き付けることができるの、先行紙P1の中間部を空気圧により湾曲させて先行紙P1に対して腰付けを行うことが可能となる。これにより、用紙が座屈することなく排紙され、上トレイ201上に積載される。
【0093】
2枚目以降の後行紙P2?Pnの排紙時は、上トレイのエアー流入口201bが先行紙P1によって閉ざされるため、送風口414aからの風(エアー)Wは積載された先行紙P1あるいは先行する用紙の上面に吹き付けられる。これにより先行紙P1と後行紙P2との間、あるいは先行する用紙と後行する用紙との間に空気層ALが形成され、用紙間の密着が防止される。
【0094】
この座屈防止及び用紙の密着防止に本実施例2では、複雑な制御や機構を必要とすることがない。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0096】
1)搬送されてきた用紙を排紙する排紙ローラ対6と、当該排紙ローラ対6によって排紙される前記用紙を積載するシフトトレイ202と、排紙ローラ対6とシフトトレイ202の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風装置400と、当該送風装置400の送風方向を上下方向(第1ないし第4の方向L1?L4)に偏向させる第2の可動ルーバ425と、を備えているので、排紙される前記用紙の下面の紙面全域に十分な空気層ALを形成することが可能となり、積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることができる。なお、上下方向の変更は、上トレイ201に形成したエアー流入口201bを有するエアー流路201aでも可能である。
【0097】
2)前記第2の可動ルーバ425の上下方向の送風方向を制御するCPU101を備えているので、送風方向を用紙に応じて上下方向に変更することが可能となり、より効率的に前記空気層ALを形成することができる。
【0098】
3)前記CPU101は、送風した風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記第2の可動ルーバ425の送風方向を制御するので、さらに効率的に前記空気層ALを形成することができる。
【0099】
4)前記CPU101は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報に応じて前記送風方向を制御するので、積載する用紙の種類に応じて効率よく前記空気層ALを形成することができる。
【0100】
5)前記CPU101は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報に応じて送風の有無を制御するので、デフォルトで送風の必要のない例えば普通紙では、無駄な送風動作を防止することができる。これにより、無駄な電力消費を押さえることができる。
【0101】
6)前記CPU101は第2の可動ルーバ425の角度調整によって前記上下方向の送風方向を変更することができるので、簡単な構成で送風方向の制御が可能となる。
【0102】
7)前記CPU101は、前記第2の可動ルーバ425によって前記送風装置400の送風口413を閉鎖し、前記シフトトレイ202側への送風を停止させるので、用紙の搬送タイミングに応じた送風停止が可能となる。
【0103】
8)前記CPU101は、操作パネル105からのユーザの操作入力に基づいて前記送風制御を実行するので、ユーザの意図に沿った制御が可能となる。
【0104】
なお、特許請求の範囲における用紙は本実施形態では符号P,P1,P2に、排紙手段は排紙ローラ対6あるいは上排紙ローラ(対)4に、積載手段はシフトトレイ202あるいは上トレイ201に、積載手段側はシフトトレイ202側あるいは上トレイ201側に、送風手段は送風装置400に、送風方向は第1ないし第4の方向L1,L2,L3,L4に、偏向手段は第2の可動ルーバ425に、制御手段はCPU101に、送風口は符号413、414aに、操作手段は操作パネル105に、排紙装置は用紙後処理装置PDに、画像形成システムは画像形成装置PR及び用紙後処理装置PDを含むシステムに、それぞれ対応する。
【0105】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
4 上排紙ローラ(対)
6 排紙ローラ対
101 CPU
105 操作パネル
201 上トレイ
202 シフトトレイ
400 送風装置
413,414a 送風口
425 第2の可動ルーバ
L1 第1の方向
L2 第2の方向
L3 第3の方向
L4 第4の方向
P,P1,P2 用紙
PD 用紙後処理装置
PR 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2010-006560号公報
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と、
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と、を備えた排紙装置において、
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され、
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて、
前記送風手段は、前記排紙手段から前記用紙の先端部が排紙される際には、水平方向よりも上向きの角度の送風を行い、前記排紙手段から前記用紙のうちの前記先端部よりも後端部側の部位が排紙される際には、前記上向きの角度よりも下向きの角度の送風を行う、
ことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排紙装置において、
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段を備えたことを特徴とする排紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排紙装置において、
前記偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段を備えたことを特徴とする排紙装置。
【請求項4】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と、
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と、を備えた排紙装置において、
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され、
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて、
前記送風手段の送風方向を前記用紙面に対して上下方向に偏向させる偏向手段と、
前記偏向手段の上下方向の送風方向を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段が、前記偏向手段からの送風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の排紙装置において、
前記偏向手段は角度調整可能なルーバを備え、
前記制御手段が、前記ルーバの角度を偏向し、前記上下方向の送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の排紙装置において、
前記制御手段が紙種情報に応じて前記送風方向を制御することを特徴とする排紙装置。
【請求項7】
搬送されてきた用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙される前記用紙を積載する積載手段と、
前記排紙手段と前記積載手段の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風手段と、を備えた排紙装置において、
前記排紙手段の排紙口が用紙排紙方向最上流側の前記積載手段から立ち上がった本体側の側面に形成され、
前記送風手段の送風口が前記排紙口と前記積載手段の上面との間の前記側面に開口していて、
前記積載手段が、前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導き、当該積載手段の前記上面の予め設定された位置に設けられた排気口から排気するエアー流路を備えていることを特徴とする排紙装置。
【請求項8】
請求項7に記載の排紙装置において、
前記排気口は前記積載手段の先端側に設けられていることを特徴とする排紙装置。
【請求項9】
請求項8に記載の排紙装置において、
前記送風口からの送風を当該積載手段の内部に導く流入口が、前記積載手段の前記上面の幅方向の両側にそれぞれ設けられ、前記排気口が前記積載手段の中央部に1箇所設けられていることを特徴とする排紙装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の排紙装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-11-08 
出願番号 特願2013-157948(P2013-157948)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (B65H)
P 1 652・ 121- YAA (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 吉村 尚
荒井 隆一
登録日 2017-09-08 
登録番号 特許第6201491号(P6201491)
権利者 株式会社リコー
発明の名称 排紙装置及び画像形成システム  
代理人 篁 悟  
代理人 篁 悟  
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