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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C10M
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C10M
審判 全部申し立て 2項進歩性  C10M
管理番号 1347670
異議申立番号 異議2018-700214  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-09 
確定日 2018-11-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6203604号発明「温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6203604号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。 特許第6203604号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 特許第6203604号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6203604号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成25年11月7日に出願され、平成29年9月8日にその特許権の設定登録がされ、平成29年9月27日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許について、平成30年3月9日に特許異議申立人畑山千里(以下、「申立人A」という。)及び平成30年3月27日に特許異議申立人福井豊明(以下、「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 6月18日付け:取消理由通知
平成30年 8月 8日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
平成30年 9月21日 :意見書の提出(申立人A)
平成30年 9月25日 :意見書の提出(申立人B)

2.訂正請求について
(1)訂正の内容
平成30年8月8日に提出された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」ということがある。)の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1 請求項1、2に係る訂正
特許請求の範囲の請求項1に、「(B1)アニオン性高分子であって、分子量が5000以上で100000以下である水溶性高分子化合物の1種以上」と記載されているのを、「(B1)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。

イ 訂正事項2 請求項1、2に係る訂正
特許請求の範囲の請求項1に、「(B2)分子量が100000を超え500000以下である水溶性高分子化合物の1種以上」と記載されているのを、「(B2)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。

ウ 訂正事項3 請求項3に係る訂正
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(2)訂正の適否についての判断
ア 訂正の目的について
(ア)訂正事項1について
(ア-1)「分子量」を「重量平均分子量」とする訂正について
訂正前の請求項1には、「(B1)アニオン性高分子」の分子量に関する規定について、単に「分子量」とのみ記載され、特段の特定がない。
しかしながら、高分子化合物の分子量は、モノマーの分子量と重合度との積で表されるところ、モノマーの分子量は特定の値だとしても、一般に、高分子化合物は、重合度が異なる高分子を含む高分子の集合体であるから、その集合体には、様々な分子量の高分子化合物が含まれることになる。すなわち、高分子化合物の分子量の値は、単一の値ではなく、分布を有することになる。
そして、その分子量は、一般に、平均分子量として表されるところ、平均分子量を観測する場合、後記する引用文献(摘記9-1)に記載されているように、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧によって分子量を測定するような観測方法では、数平均分子量と呼ばれる、単位体積中の溶質の数(モル数)のみで決まる値が観測データとなり、光散乱、超遠心によって分子量を測定するような観測方法では、重量平均分子量と呼ばれる、溶質のモル数の他にその分子の重さである分子量に比例する値が観測データとなり、粘度によって分子量を測定するような観測方法では、それらとは異なるメカニズムにより、数平均分子量や重量平均分子量とは異なる値である粘度平均分子量と呼ばれる値が観測データとなって、観測される分子量は観測方法によって異なり、重量平均>粘度平均>数平均のようになることは、本件特許に係る出願の出願時における技術常識である。
そうすると、訂正前の請求項1に記載された「分子量」という記載は、重量平均分子量、粘度平均分子量及び数平均分子量のいずれによるものかを特定できない点で、「明瞭でない記載」に当たる。
そうすると、訂正事項1のうち、上記「分子量」という記載を「重量平均分子量」とする訂正は、本件明細書の[0051]において、実施例及び比較例で用いられた高分子の分子量が「重量平均分子量」によるものとして記載されていることに基づいて、「(B1)アニオン性高分子」の分子量が、「重量平均分子量」によるものであることを明らかにするものであるから、訂正前に不明瞭となっていた記載を正し、その記載内容を明確にするものである。
よって、上記訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(ア-2)分子量の数値範囲の訂正について
訂正事項1のうち、訂正前の請求項1において、「(B1)アニオン性高分子」の分子量の数値範囲が「5000以上で100000以下」と記載されているのを「20000以上で100000以下」とする訂正は、本件明細書の[0060][表1]に記載された実施例4?6及び[0061][表2]に記載された実施例25、26において、「(B1)アニオン性高分子」に相当する高分子として、「MW(重量平均分子量)20000」のアクリル酸重合体ナトリウム塩が用いられていることに基づいて、重量平均分子量の数値範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ア-3)水溶性高分子化合物の訂正について
訂正事項1のうち、訂正前の請求項1に記載されている(B1)成分の「水溶性高分子化合物」を、所定の選択肢から選択されるものとする訂正は、本件明細書の[0040]における、「水溶性高分子化合物の具体例としては、アクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、メタクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、マレイン酸又は無水マレイン酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、・・・カルボキシメチルセルロースやカルボキシエチルセルロース等のセルロース系水溶性ポリマー等が例示される」という記載、及び本件明細書の[0060][表1]?[0064][表5]に記載された「実施例1」?「実施例65」において、(B1)成分として用いられた高分子化合物の具体例に基づいて、「水溶性高分子化合物」の構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項2について
(イ-1)「分子量」を「重量平均分子量」とする訂正について
訂正事項2のうち、訂正前の請求項1に記載されている(B2)成分の「水溶性高分子化合物」の「分子量」という記載を「重量平均分子量」とする訂正は、上記2.(2)ア(ア-1)に記載した理由と同じ理由により、訂正前に不明瞭となっていた「分子量」という記載について、本件明細書の[0051]の記載に基づいて、「重量平均分子量」によるものであることを明らかにすることにより、その記載内容を明らかにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ-2)水溶性高分子化合物の訂正について
訂正事項2のうち、訂正前の請求項1に記載されている(B2)成分の「水溶性高分子化合物」を、「アニオン性高分子」であって、所定の選択肢から選択されるものとする訂正は、訂正前の請求項3の記載、本件明細書の[0027]における「(第3発明の効果)・・・(B1)成分及び(B2)成分である水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物が好ましい。」との記載、[0039]における「 ((B)成分)・・・又、『第3発明の効果』の項で前記した理由から、特にアニオン性高分子化合物が好ましい。」との記載、[0040]における、「水溶性高分子化合物の具体例としては、アクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、メタクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、マレイン酸又は無水マレイン酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩・・・等が例示される」という記載、及び本件明細書の[0060][表1]?[0064][表5]に記載された「実施例1」?「実施例65」において、(B2)成分として用いられた高分子化合物の具体例に基づいて、「水溶性高分子化合物」の構造を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ウ)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記2.(2)ア「訂正の目的について」に記載したとおり、訂正事項1?3の訂正は、いずれも本件特許明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、訂正事項1?3の訂正が、いずれも訂正の前後において請求項に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項1?3の訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

ウ 一群の請求項について
訂正事項1?3に係る訂正前の請求項1?3は、請求項2及び3が請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。また、訂正事項1?3により訂正された後の請求項2は、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正される。よって、訂正事項1?3は一群の請求項に対して請求されたものといえるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
本件においては、訂正前のすべての請求項1?3に対して特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1?3に係る訂正事項1?3については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

オ 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正を認める。

3.本件発明について
本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」及び「本件発明2」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「「[請求項1]
下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)下記(B1)成分及び(B2)成分
(B1)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上
(B2)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上
(C)水
[請求項2]
前記温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物が下記(1)?(3)のいずれか1以上に該当することを特徴とする請求項1に記載の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(1)潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量のAtと(B)成分の合計含有量Btとの質量比At:Btが1:3?10:1の範囲内である。
(2)潤滑剤組成物中の全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが0.7以上である。
(3)潤滑剤組成物中の(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10?10:1の範囲内である。」

4.取消理由通知に記載した取消理由の概要
訂正前の請求項1?3に係る特許に対して平成30年6月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
なお、各引用文献は、下記5.(1)「引用文献及びその記載事項」に記載したとおりである。

(1)理由I(進歩性)
(I-1)引用文献1を主引例とする場合
本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献1、4?6に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(I-2)引用文献2を主引例とする場合
本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献2に記載された発明及び引用文献2、4?6に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(I-3)引用文献3を主引例とする場合
本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献3に記載された発明及び引用文献3、4?6に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)理由II(実施可能要件)
本件発明1においては、(B)成分が「水溶性高分子化合物」と規定されているが、「水溶性高分子化合物」という技術用語は、水溶性である限りにおいてすべての高分子化合物を包含するという極めて広範な表現であり(例えば、引用文献8を参照。)、「水溶性高分子化合物」について、本件発明1のような潤滑剤分野においてどのようなものを用いてどのように実施するかを見出すためには、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤を強いることになる。そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとすることができない。本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明2、3についても同様である。
よって、本件の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(3)理由III(サポート要件)
本件明細書の[0010]等の記載によると、本件発明の課題は、「黒鉛系潤滑剤に比較しても遜色のない潤滑性と離型性を実現した無黒鉛型の潤滑剤を提供すること」にあるものと認められるが、本件発明1の「水溶性高分子化合物」という技術用語は、水溶性である限りにおいてすべての高分子化合物を包含するという極めて広範な表現であり、「アニオン性」のものに限るとしても、その構造、性質及び機能はなお多岐に渡るものといえるから(例えば、引用文献8を参照。)、本件明細書の[0011]及び[0020]等に記載された芳香族カルボン酸化合物との相溶性、金型への付着性等の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物として好ましい性質が、任意の「(アニオン性)水溶性高分子化合物」において得られるものであると解することはできない。
また、本件明細書における実施例の記載、及び本件特許に係る出願の出願日当時における技術常識を参酌しても、上記課題を解決できる潤滑剤組成物の成分範囲、特に(B)成分の範囲を本件発明1に記載されたような「(アニオン性)水溶性高分子化合物」まで拡張ないし一般化できるものとは認められない。本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明2、3についても同様である。
よって、本件発明1?3は、いずれも上記課題を解決できるものとして発明の詳細な説明に実質的に記載されたものとすることができないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(4)理由IV(明確性)
本件発明1においては、(B)成分の分子量について単に「分子量」とのみ記載されているが、例えば引用文献9(摘記9-1)に記載されているような、本件特許に係る出願の出願時における技術常識を参酌すると、上記「分子量」の数値範囲が、重量平均分子量、粘度平均分子量及び数平均分子量のいずれによるものか明確でない。本件発明1を直接又は間接的に引用して記載されている本件発明2、3についても同様である。
よって、本件発明1?3は、いずれも特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

5.取消理由通知に記載した取消理由についての判断
(1)引用文献及びその記載事項
<引用文献等一覧>
1.特開2001-240891号公報(申立人Bの甲第1号証、申立人Aの甲第5号証)
2.特開2009-132885号公報(申立人Bの甲第2号証、申立人Aの甲第6号証)
3.特開平6-212184号公報(申立人Aの甲第1号証)
4.特開2003-206493号公報(申立人Bの甲第3号証、申立人Aの甲第2号証)
5.特開平4-246499号公報(申立人Aの甲第3号証)
6.特開2002-265974号公報(申立人Aの甲第4号証)
7.株式会社クラレ, "アルカリ水溶性ポリマー イソバン(R)(当審注:○で囲まれたRを、以下「(R)」と表記する。)ISOBAM", 商品カタログ, 第3版, 日本, 株式会社クラレ, 2012.07, p.1-13(申立人Bの甲第4号証)
8.堀内照夫, "水溶性高分子の物理化学的性質", 表面技術, 日本, 一般社団法人表面技術協会, 2009, vol.60, No.12, p.746-753(申立人Bの甲第5号証)
9.蒲池幹治, "高分子化学入門?高分子の面白さはどこからくるか?", 初版第三刷, 日本, 株式会社エヌ・ティー・エス, 2004年11月1日, p.33-47(申立人Bの甲第6号証)

(i)引用文献1には、以下の事項が記載されている。
(1-1)「[請求項1] (a)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩、並びに(b)芳香族カルボン酸塩を含有することを特徴とする温間・熱間塑性加工用潤滑剤。
[請求項2] 本潤滑剤全体を100重量%とした場合に、(a)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の含有量は0.5?25重量%、(b)芳香族カルボン酸塩の含有量は0.5?25重量%である請求項1記載の温間・熱間塑性加工用潤滑剤。
[請求項3] 上記(a)成分は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムのうちの少なくとも一種であり、上記(b)成分は、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム、イソフタル酸ナトリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、トリメリット酸ナトリウム、トリメリット酸カリウム、ピロメリット酸ナトリウム及びピロメリット酸カリウムのうちの少なくとも一種である請求項1及び2記載の温間・熱間塑性加工潤滑剤。」

(1-2)「[0001]
[発明の属する技術分野]本発明は、金属の温間・熱間塑性加工に用いられる水溶性潤滑剤に関し、更に詳しくは、優れた焼き付き防止性能を発揮するとともに作業環境の悪化もない温間・熱間塑性加工用潤滑剤に関する。
・・・
[0004]
[発明が解決しようとする課題]本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、難加工においても摩擦係数が小さく、優れた耐焼き付き性を発揮するとともに、作業環境の悪化もない温間・熱間塑性加工用潤滑剤を提供することを目的とする。」

(1-3)「[0007]また、本発明の(b)成分の「芳香族カルボン酸塩」を構成する「芳香族カルボン酸」としては、特に限定されず、一塩基酸でも二塩基酸でも三以上のポリ塩基酸でもよいし、芳香環についてもベンゼン環でもそれが縮合したナフタレン環等であってもよいし、この芳香環に種々の置換基(アルキル基、アルコキシ等)が形成されたものでもよい。これらのうち、ベンゼン骨格を有する二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸が好ましい。この例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、上記「芳香族カルボン酸」の「塩」を構成する対化合物としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、エチレンジアミン等)、アンモニア等とすることができる。上記「芳香族カルボン酸塩」としては、例えば、第3発明に示すように、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム、イソフタル酸ナトリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、トリメリット酸ナトリウム、トリメリット酸カリウム、ピロメリット酸ナトリウム、ピロメリット酸カリウム等が挙げられる。
[0008]本発明においては、上記(b)成分は一種を用いてもよく、二種以上を用いてもよい。また、その配合量は潤滑剤全体を100重量部とした場合に、第2発明に示すように、0.5?25重量%とすることができ、更に、2?20重量%がより好ましく、5?10重量%が更に好ましい。この含有量が0.5重量%未満では耐焼き付き性が不十分となり、含有量が25重量%を越えると液安定性が不十分となる。」

(1-4)「[0009]本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤は、上記必須成分の他に、必要に応じて公知の各種添加剤、例えば、増粘剤、造膜剤(バインダー)、潤滑添加剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防食剤、消泡剤等を適宜添加することができる。増粘剤としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の各種水溶性高分子化含物が、造膜剤(バインダー)としては、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、スチレン-アクリル系、エチレン-酢酸ビニル系等の水溶性樹脂エマルション、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル-無水マレイン酸共重合体等のアルカリ可溶性樹脂のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。」

(1-5)「[0012]
[発明の実施の形態]以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。図1に示す熱間摩擦試験機を用いて、下記に示す試験条件の概要に示す方法にて、耐焼き付き性の評価及び摩擦係数の測定を行った。実施例1?9及び比較例1?7で用いた潤滑剤組成は表1の通りである。なお、表1において組成を表す数値は重量部を示す。また、ここで使用した成分を以下に示す。
「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩」:クラレ社製、商品名「ISOBAM110」、
「カルボキシメチルセルロースナトリウム塩」:第一工業製薬社製、商品名「ファインガムHES」、
「黒鉛」:中越黒鉛工業所社製、商品名「K-3」、
「鉱物油」:日石三菱社製、商品名「ニュートラルオイル10」を示す。」

(1-6)「[0014]
[表1]



(ii)引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(2-1)「[請求項1]
炭素数1?4の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ土類金属塩、炭素数2?4の脂肪族ジカルボン酸のアルカリ土類金属塩、及び1?2個のヒドロキシル基を有する炭素数2?4の脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする塑性加工用水溶性潤滑剤。
[請求項2]
さらに、イソブチレン・マレイン酸共重合体の水溶性塩を含むことを特徴とする請求項1記載の塑性加工用水溶性潤滑剤。
[請求項3]
さらに、脂肪族ポリカルボン酸アルカリ金属塩、及び芳香族カルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の塑性加工用水溶性潤滑剤。
・・・
[請求項7]
芳香族カルボン酸アルカリ金属塩が、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、p-オキシ安息香酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項3?6いずれか1項記載の塑性加工用水溶性潤滑剤。」

(2-2)「[0005]
本発明の目的は、沈殿固化の懸念のない、潤滑性に優れた塑性加工用水溶性潤滑剤を提供することである。
本発明の他の目的は、沈殿固化が発生せず、鋼材、非鉄金属材料等の被加工材料の、温熱間圧延、温熱間鍛造、温熱間ダイス加工、温熱間プレス加工等の高温塑性加工において、工具と材料の双方又は一方に、直接塗布又はエアースプレー方式、ウォーターインジェクション方式等によって給油された場合、潤滑性不足を原因とする工具の肌荒れや摩耗を起こさない塑性加工用水溶性潤滑剤を提供することである。」

(2-3)「[0007]
本発明の塑性加工用水溶性潤滑剤は、従来の固体潤滑剤を分散させた潤滑剤の欠点である沈殿固化を解消すると共に、潤滑性不足を原因とする工具の肌荒れや摩耗を起こさないという優れた効果を奏する。」

(2-4)「[0010]
本発明の潤滑剤は、さらに、イソブチレン・マレイン酸共重合体の水溶性塩を含むことが好ましい。その水溶性塩としてはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニア変成アンモニウム塩等が挙げられる。例えば、イソブチレン-マレイン酸共重合体ナトリウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体カリウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体リチウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体の炭素原子数5以下の1級アミン塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体の炭素原子数3以下のアルカノールアミン塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体ハーフメチルエステルアンモニウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体ハーフエチルエステルアンモニウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩、等が挙げられる。中でもイソブチレン:無水マレイン酸=1:1(モル比)の共重合体で分子量が50,000?400,000のものを、中和度=0.4?1.0となるようにアンモニアにて中和したイソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩、水酸化ナトリウムにて中和したイソブチレン-マレイン酸共重合体ナトリウム塩、が特に好ましい。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の潤滑剤中、「イソブチレン・マレイン酸共重合体の水溶性塩」の量は潤滑剤100質量部中、好ましくは0?50質量部、さらに好ましくは5?30質量部である。
[0011]
本発明の潤滑剤はさらに、脂肪族ポリカルボン酸アルカリ金属塩、及び芳香族カルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
脂肪族ポリカルボン酸としては、炭素原子数5?32の脂肪族ジ、トリ、テトラカルボン酸が挙げられる。具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、イタコン酸、プロパントリカルボン酸、等が挙げられる。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、p-オキシ安息香酸、ジオキシ安息香酸、トリオキシ安息香酸、安息香酸、メチルサリチル酸、オキシフタル酸、ジオキシフタル酸、オキシテレフタル酸、等が挙げられる。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が挙げられる。
塩は完全塩でも部分塩でも良い。
本発明の潤滑剤中、「脂肪族ポリカルボン酸アルカリ金属塩、及び芳香族カルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種」の量は潤滑剤100質量部中、好ましくは0?50質量部、さらに好ましくは5?30質量部である。」

(2-5)「[0012]
本発明の潤滑剤は上記成分を水中に溶解又は分散させ製造する。溶解又は分散時間を短縮させる為に、ホモジナイザー、ホモミクサー、モントン-ゴーリン分散機等を用いても良い。
本発明の潤滑剤には、さらに消泡剤、防腐剤、防錆剤等、通常の潤滑剤に使用されている添加剤を通常の量添加しておく事が望ましい。
[0013]
本発明の潤滑剤は、炭素鋼、特殊鋼、非鉄金属材料等の金属材料の塑性加工、特に温間または熱間の圧延、鍛造、ダイス加工、プレス加工等の潤滑剤として好ましく使用される。
本発明の潤滑剤には、通常、水が配合されるが、この水の配合量は特に限定されない。また、水を配合しない潤滑剤として、使用の際に水を加える水系潤滑剤として使用することもできる。
本発明の潤滑剤は、使用時には更に水で2?50倍に希釈し、通常は噴霧給油して使用する。特に限定されないが、本発明の塑性加工用水溶性潤滑剤は、直接塗布又はエアースプレー方式、ウォーターインジェクション方式等により給油される。」

(2-6)「[0014]
本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。
実施例1?31及び比較例1?11
表1?表4に示す組成の成分(質量部)を水に希釈して100質量部の潤滑剤試料(実施例1?31及び比較例1?11)を作製した。
使用したイソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩とイソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩は株式会社クラレ製の「イソバン」(イソブチレン・マレイン酸共重合体の分子量は5000?400000)であり、その中和状態は「中和度」(=全てのカルボキシル基が中和された場合に1とする値)で表示した。
これらの試料を水で10倍に希釈し、以下の試験法により潤滑性の評価を行った。
〔潤滑性〕
特開平5-7969号公報記載の通称「スパイクテスト」にて評価する。試験条件は以下のとおりである。
1)金型:SKD-11(150℃)
2)試験片:S45C(800℃)25φmm×高さ30mm
3)試料:10倍に調整した希釈液を対角線に各々2mlスプレー。
4)評価:スパイク高さ(mm)と鍛造荷重(ton)を記録。潤滑性はスパイク高さ/鍛造荷重(mm/ton)で表示する。実機での要求値は0.135以上である。
〔安定性〕
表1?表4に示す組成の成分(質量部)を水に希釈して100質量部の潤滑剤試料(実施例1?31及び比較例1?11)を作製した。これらの試料をガラス容器に移して密栓し、室温で1週間静置後、状態を目視で観察した。
評価 ○:沈殿なし
×:沈殿固化発生」

(2-7)「[0017]
[表3]



(iii)引用文献3には、以下の事項が記載されている。
(3-1)「[請求項1](a)マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、
(b)イソフタル酸及びアジピン酸のアルカリ金属塩またはイソフタル酸、アジピン酸及びオルトフタル酸のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、
(c)水溶性高分子化合物0.1?10重量%を有し、残部が水からなることを特徴とする塑性加工用水溶性潤滑離型剤。」

(3-2)「[0001]
[産業上の利用分野]本発明は塑性加工用水溶性潤滑離型剤に関するものである。この潤滑剤は、鍛造、押出し、伸線等の温間及び熱間塑性加工の際に、黒鉛系潤滑剤にかわって使用できる。」

(3-3)「[0008]本発明において使用する上記成分(a)におけるマレイン酸共重合体は、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体およびビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の共重合体から成る。
[0009]上記のマレイン酸共重合体のアルカリ金属塩の配合量は0.1?30重量%の範囲でなければならない。この理由は配合量が0.1重量%未満では離型剤と高温度の金型との付着性が低下し、均一な潤滑皮膜が得られていないので、離型性に難点が生じてカジリ、ハリツキ等が発生し、一方30重量%より多くなると粘度が増粘しすぎることにより、金型まわりにベタツキや堆積が発生するためである。
[0010]本発明において、使用する成分(b)のイソフタル酸、及びアジピン酸のアルカリ金属塩またはイソフタル酸、アジピン酸及びオルトフタル酸のアルカリ金属塩は0.1?30重量%の範囲でなければならない。上記アルカリ金属塩が0.1重量%未満では良好な潤滑性が得られず、また、アルカリ金属塩が30重量%より多くなると濃度が高すぎて安定な製品が得られず好ましくない。
[0011]また本発明で使用する成分(c)の水溶性高分子化合物の配合量は0.1?10重量%でなければならない。配合量が0.1重量%未満では離型剤の粘性が低いために100℃前後の金型への付着性が悪くなり、また、10重量%より多いと、製品の粘度が高くなりすぎるため、使用上、取扱いが悪くなり好ましくない。使用し得る水溶性高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等が適切である。」

(3-4)「[0013]
[実施例]以下本発明を実施例および比較例により説明する。
実施例1
以下に挙げる配合剤を以下に示す配合量で配合し、常温で十分に混合して実施例1の水溶性潤滑離型剤を得た。
イソブテン無水マレイン酸共重合体のナトリウム金属塩 1.5kg
((株)クラレ製)
ポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成化学工業(株)製) 100g
イソフタル酸のナトリウム金属塩 3kg
アジピン酸のナトリウム金属塩 1.6kg
水 14.3kg
上述のようにして、得た実施例1の水溶性潤滑離型剤を評価するために、水で10倍に希釈し、4000t機械プレスにて、約150℃?400℃に熱せられた鍛造型にスプレー塗布して薬1150℃?1200℃に熱せられたS45C素材の熱間鍛造を行った。約8000個鍛造しても、ハリツキ、カジリもなく良好な結果を得た。
[0014]実施例2
スチレン・無水マレイン酸共重合体のナトリウム金属塩 400g
(積水化成品工業(株)製)
カルボキシメチルセルロース(ニチリン化学工業(株)製)200g
イソフタル酸のナトリウム金属塩 1.7kg
オルトフタル酸のナトリウム金属塩 0.8kg
アジピン酸のナトリウム金属塩 0.8g
水 16.1kg
実施例1と同様にして実施例2の水溶性潤滑離型剤を調製して水で10倍に希釈して、1500t機械プレスにて、約150℃?300℃に熱せられた鍛造型にスプレー塗布して約1150℃?1200℃に熱せられたS45C素材の熱間鍛造を行った。約5000個鍛造しても製品のハリツキ、カジリもなくまた、金型への堆積もなく良好な結果を得た。
[0015]実施例3
ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体のナトリウム
金属塩(三菱化成(株)製) 1kg
ボリアクリル酸ナトリウム(東亜合成化学工業(株)) 100g
イソフタル酸のナトリウム金属塩 2.3kg
アジピン酸のナトリウム金属塩 1.9kg
水 14.7kg
実施例1と同様にして実施例3の水溶性潤滑離型剤を調製して水で15倍に希釈して、2000t機械プレスにて、約150℃?400℃に熱せられた鍛造型にスプレー塗布して約1150℃?1200℃に熱せられたS45C素材の熱間鍛造を行った。約8000個鍛造しても製品のハリツキ、カジリもなくまた、金型への堆積もなく良好な結果を得た。」

(3-5)「[0019]
[発明の効果]本発明においては(a)?(c)成分を含み、残部が水である混合液を熱間塑性加工用潤滑離型剤として使用することで従来の白色潤滑剤以上の潤滑性及び離型性が得られ、黒鉛潤滑剤に匹敵する特性が得られた。さらに、白色であるために作業環境の改善も得られた。また従来の白色潤滑剤と比べてマレイン酸共重合体のアルカリ金属塩を使用しているため高温の金型(400℃前後)に本発明の潤滑剤をスプレー塗布しても、良好な潤滑皮膜を形成し、良好な潤滑製を示した。」

(iv)引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(4-1)「[請求項1] (a)分子量が1万?100万のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩、並びに(b)分子量が500?1万未満のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩を含むことを特徴とする温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤。」

(4-2)「[0001]
[発明の属する技術分野]本発明は、温間又は熱間領域における金属の鍛造、押し出し、プレス及び伸線等の塑性加工に用いられる温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤に関し、更に詳しくは、型と被加工物との間に供給され、両者間の摩擦を軽減する潤滑性や接触時間を短くするための離型性に優れると共に、作業環境及び作業効率の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤に関する。」

(4-3)「[0005]しかし、上記ガラス系潤滑剤では、加工数の増加に伴って、金型の凹部又はコーナー部に潤滑剤の不揮発成分や、潤滑剤の不揮発成分と金属摩耗粉との混合固着物が堆積し易く、その結果、塑性加工後の製品に欠肉が生じ易いという問題がある。また、上記カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤は、作業環境や作業効率の悪化及び金型への堆積は解消される反面、上記黒鉛系潤滑剤と比較して潤滑性及び離型性がやや劣っている。しかも、上記カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤では、増粘剤を併用しているため、潤滑剤の粘度が高くなり、その結果、冷却性が低下して金型温度の上昇(即ち、連続加工における定常状態での金型温度が高くなること)により、金型寿命を低下させるという問題がある。
[0006]
[発明が解決しようとする課題]本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、型と被加工物との間に供給され、両者間の摩擦を軽減する潤滑性や接触時間を短くするための離型性に優れると共に、作業環境及び作業効率の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を提供することを目的とする。
[0007]
[課題を解決するための手段]これまでの白色系潤滑剤では、高分子化合物を主剤に用いた場合、金型への堆積汚れによるノックアウトピンの稼動不良や金型コーナー部へのスラッジ堆積による製品形状の不良が問題となるため、カルボン酸塩等を主剤に用い、高分子化合物はバインダーとしての役割しか求められていなかった。一方、高分子化合物を主剤に用いた場合の上記問題を解決するために、高分子化合物の分子量を低下させて水溶液に流動性を持たせてスラッジを除去しやすくしたり、皮膜形成を阻害する化合物を添加して皮膜強度を低下させて金型への堆積を抑制したりする方法が考えられるが、何れの場合も一次性能である潤滑性を低下させるおそれがあるという問題がある。
[0008]かかる点に鑑み、本発明者らは、潤滑剤の成分と潤滑性、離型性、金型への堆積等の諸性質との関係について鋭意研究を行なった。その結果、特定の分子量である高分子量アニオン系高分子化合物に、特定の分子量である低分子量アニオン系高分子化合物を併用することによって、潤滑性を低下させることなく離型性に優れると共に、型汚れが少ない温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。」

(4-4)「[0011]
[発明の効果]本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤は、特定の高分子量であるアニオン系高分子化合物と、それよりも分子量が低い特定の分子量のアニオン系高分子化合物とを併用するという構成を備えている。これにより、従来の黒鉛系潤滑剤と同等以上の潤滑性及び離型性を示すと共に、かかる黒鉛系潤滑剤と異なり、金型汚れも少なく、作業環境の悪化や作業効率の低下を抑制することができる。従って、本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤は、潤滑性及び離型性に優れていることが求められる温間又は熱間領域を対象とする塑性加工に好適に使用することができる。」

(4-5)「[0017]上記アニオン系高分子化合物の具体例としては、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物のナトリウム塩又はアンモニウム塩、スチレンスルホン酸とアクリル酸若しくはメタクリル酸との共重合物のナトリウム塩又はアンモニウム塩、とアクリル酸若しくはメタクリル酸とマレイン酸との共重合物のナトリウム塩又はアンモニウム塩、(メタ)ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸のナトリウム塩又はアンモニウム塩、ポリメタクリル酸のナトリウム塩又はアンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体のナトリウム塩又はアンモニウム塩、ポリアルケニルコハク酸のナトリウム塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。」

(4-6)「[0019]本発明の上記(a)成分の平均分子量は1万?100万、好ましくは2万?50万、更に好ましくは2万?40万、より好ましくは3万?30万、特に好ましくは3万?25万、最も好ましくは5万?25万である。この平均分子量が1万未満では、潤滑性に劣るため好ましくない。一方、この平均分子量が100万を超えると、潤滑性は良好になる反面、スプレー塗布が難しくなり、作業効率が低下するため好ましくない。
[0020]また、本発明の上記(b)成分の平均分子量は500?1万未満、好ましくは1000?1万未満、更に好ましくは1000?9000、より好ましくは1000?8000、特に好ましくは2000?8000、最も好ましくは2000?7000である。この平均分子量が500未満では、皮膜強度が低下し、その結果、潤滑性が低下するため好ましくない。一方、この平均分子量が1万以上であると、型汚れが生じるため好ましくない。」

(4-7)「[0023]更に、上記(a)成分及び(b)成分の合計100質量%中の上記(b)成分の含有量は、通常1?70質量%、好ましくは5?60質量%、更に好ましくは5?50質量%、より好ましくは10?50質量%、特に好ましくは20?50質量%である。この含有量を5質量%以上とすることにより、型汚れによる製品形状の悪化を抑制できることから好ましく、一方、70質量%以下とすることにより、潤滑性を向上させて、製品形状の悪化や型寿命の低下を抑制することができるので好ましい。」

(4-8)「[0026]
[実施例]以下に本発明の実施例を示して、本発明の効果を説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものでない。
(1)温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤の調製
以下に示す各成分を表2に示す質量%の割合で常法により配合することにより、実施例1?7及び比較例1?8の各温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を調製した。
高分子量イソブチレン-無水マレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量9万)
アクリル酸-マレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量7万)
ポリスチレンスルホン酸-アクリル酸共重合物のナトリウム塩(分子量20万)
アクリル酸重合物のナトリウム塩(分子量3000)
低分子量イソブチレン-無水マレイン酸共重合物のナトリウム塩(分子量2万及び分子量6000)
エチルセルロース(分子量6000)」

(4-9)「[0029]
[表2]



(v)引用文献5には、以下の事項が記載されている。
(5-1)「[請求項1] カルボキシル基を2個以上有し融解又は熱分解温度が 300℃以上である芳香族炭化水素アルカリ金属塩 0.2?40重量%と、水溶性付着向上剤0.05?20重量%と、炭素数10?16のアルカン二酸アルカリ金属塩 0.2?5重量%と、界面活性剤 0.5?15重量%を水中へ溶解及び/又は分散してなることを特徴とする塑性加工用潤滑油剤。」

(5-2)「[0001]
[産業上の利用分野]本発明は炭素鋼、合金鋼、非鉄金属を温間、熱間にて鍛造、圧延、伸線、押出し等の塑性加工するときに使用される潤滑油剤に関する。本発明の潤滑油剤は塑性加工時に工具と被加工物の間に給油し、加工時の工具と被加工物の摩擦を低減させると共に焼き付け防止や離型性の向上を図る他、黒鉛系の潤滑油剤に代わって作業環境を改善する事を目的として使用される塑性加工用潤滑油剤として有用である。」

(5-3)「[0009]本発明の第1番目の成分であるカルボキシル基を2個以上有し融解又は熱分解温度が 300℃以上である芳香族炭化水素アルカリ金属塩としてはイソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、トリメリット酸リチウム、ナフタリン 1, 4 ジカルボン酸ナトリウム、ナフタリン 1, 5 ジカルボン酸ナトリウム等が挙げられるがこれに限定している訳ではない。
これらは結晶性があり 300℃以上で融解又は熱分解する芳香族化合物であって金属と容易に反応する官能基を有するものであり温間、熱間における金属の塑性加工時に燃え尽きる事なく、優れた潤滑性を示ししかも加工後に被加工物へ悪影響を及ぼす様な残渣を残さない物であればよい。融解又は熱分解温度が 300℃未満の時は燃え尽きてしまう為か潤滑性に乏しい。
[0010]芳香族炭化水素にカルボキシル基が2個以上必要な事及びアルカリ金属塩が好ましいのは水に対する均一溶解あるいは分散性及び皮膜の均一性からでありアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムがあげられる。カルボキシル基を2個以上有し融解又は熱分解温度が 300℃以上である芳香族炭化水素アルカリ金属塩は 0.2重量%未満では潤滑性不足で40重量%を超えると塑性物の流動性が悪くなりいずれも適当でない。」

(5-4)「[0011]本発明の第2番目の成分である水溶性付着向上剤はポリビニルピロリドン、デンプンリン酸エステルアンモニウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、デンプンリン酸エステルリチウム、トリアルキルアンモニウムヒドロキシルアルキルエーテル澱粉(例えばペトロサイズ-J:日澱化学(株)製)等が挙げられる。
[0012]これらが天然水溶性高分子といわれている生デンプン、ゼラチン、カゼインやセルロース系半天然高分子であるカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等に比べ付着性に優れかつ潤滑性が良好になる理由は定かではないが単なる水の増粘効果ではなく、分子中に窒素あるいはリン元素を含有している事に起因しているのではないかと考える。水溶性付着向上剤は0.05重量%未満では付着性及び潤滑性不足で20重量%を超えると組成物の流動性が悪くいずれも適当でない。」

(5-5)「[0014]本発明の第4番目の成分である界面活性剤は水に透明に溶解あるいは分散し付着性及び潤滑性に対して悪影響を及ぼさないすべての界面活性剤を包含する。好ましくは特公昭63-2319号、特開昭62-11799 号公報、特願平01-134325号明細書に記載の界面活性剤の内、分子量が 1,000?1,000,000 で分子中にリン酸イオンを含有するものが挙げられるが、より好ましくは 次式化1
[化1]

L=H又はCH_(3)
M=アルキレンオキサイド
l=1?100
R_(1) =H又は C_(1-24)のアルキル基又はアルケニル基X=H,Na又はK
R_(2) =H又は C_(1-24)のアルキル基
m=0?6
n=1?6
および化2
[化2]

R_(1) =H又は CH_(3)
R_(2) =H,CH_(3) 又は C_(2)H_(5) X=H,Na 又は K
m=1?6
n=0?6
[0015]分子量が 10,000 ?300,000 で上記式(I) 又は、式(II)で示される分子構造を有する共重合体にその窒素含有基1モルに対しリン酸イオン 0.3?1.5 モルを加えたものを挙げる事が出来る。これは水へ溶解又は分散し得る界面活性剤で高分子量分散剤である。」

(5-6)「[0018]・・・
[実施例]次に本発明を実施例及び比較例により説明する。
実施例1?11, 比較例1?10表1および表2に示す組成の成分を用い、上記の製造方法で実施例1?11及び比較例1?8の試料を作った。これらの試料及び更に比較の為、市販非黒鉛系水溶性温間鍛造油(比較例9)及び市販黒鉛含有水溶性温間鍛造油(比較例10)の試料につき、次に示す試験法により性能試験を行い、得た結果を表1および表2に併記する。
・・・
表1および表2の※1は式(I) において L=H , M=エチレンオキサイド,R_(1) =CH_(3) , l=10 , R_(1) =C_(12)H_(25) , X= Na , m=1 ,n=2である。共重合体にその窒素含有基1モルに対しリン酸イオン1モルを加えた界面活性剤である。」

(5-7)「[0019]
[表1]



(vi)引用文献6には、以下の事項が記載されている。
(6-1)「[請求項1] 平均分子量500?1000000のアニオン系高分子化合物と、平均分子量500?1000000のノニオン系高分子化合物とを含有する水溶性塑性加工用潤滑剤であって、該潤滑剤を100重量%とした場合に、上記アニオン系高分子化合物の含有量が0.5?50重量%であり、且つ上記ノニオン系高分子化合物の含有量が0.2?30重量%であることを特徴とする温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤。
・・・
[請求項6] 上記アニオン系高分子化合物は、α-オレフィンと、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、マレイン酸誘導体、これらの各アルカリ金属塩及び各アンモニウム塩のうちの少なくとも一種と、の共重合体である請求項1又は2に記載の温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤。」

(6-2)「[0001]
[発明の属する技術分野]本発明は、温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤に関し、更に詳しくは、潤滑性及び離型性に優れ、金属堆積を抑制でき、且つ作業環境及び作業効率を悪化させない温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤に関する。」

(6-3)「[0002]
・・・ところが、カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤は、作業環境や作業効率の悪化および金型への堆積は解消されるが、黒鉛系潤滑剤と比較して潤滑性及び離型性がやや劣っている。また、増粘剤を併用しているため潤滑剤の濃度が高くなって冷却性が劣り、金型温度の上昇(すなわち連続加工における定常状態での金型温度が高くなること)により金型寿命を低下させてしまう。
[0003]
[発明が解決しようとする課題]本発明は上記問題点を解決するものであり、潤滑性及び離型性に優れ、金属堆積を抑制でき、且つ作業環境及び作業効率を悪化させない温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤を提供することを目的とする。
[0004]
[課題を解決するための手段]これまでの白色系潤滑剤はカルボン酸塩等を主剤に用いており、高分子化合物はバインダーとしての役割しか求められていなかった。これは高分子化合物を主剤に用いた場合、型汚れによるノックアウトピンの稼動不良や金型コーナー部へのスラッジ堆積による製品形状不良が問題となるためである。この現象を解決又は抑制するためには、高分子化合物の分子量を低下させて水溶液に流動性を持たせてスラッジを除去しやすくしたり、皮膜形成を阻害する化合物を添加して皮膜強度を低下させて金型への堆積を抑制したりする方法が考えられるが、何れの場合も一次性能である潤滑性を低下させてしまうことになる。本発明者は、高分子化合物の持つ潤滑性の高さ及び皮膜強度の強さに着目し、種々の高分子化合物について鋭意検討した結果、アニオン系高分子化合物が良好な潤滑と離型性能を併せ持つことを確認し、これに特定のノニオン系高分子化合物を併用することによって、潤滑性を低下させることなく、且つ型汚れが少ない温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。」

(6-4)「[0005]本発明の温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤は、平均分子量500?1000000のアニオン系高分子化合物と、平均分子量500?1000000のノニオン系高分子化合物とを含有する水溶性塑性加工用潤滑剤であって、該潤滑剤を100重量%とした場合に、上記アニオン系高分子化合物の含有量が0.5?50重量%であり、且つ上記ノニオン系高分子化合物の含有量が0.2?30重量%であることを特徴とする。」

(6-5)「[0013]また、上記アニオン系高分子化合物は、請求項6に示すように、α-オレフィンと、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、マレイン酸誘導体、これらの各アルカリ金属塩及び各アンモニウム塩(各々、イオンの状態でもよい。)のうちの少なくとも一種と、の共重合体とすることができる。即ち、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、マレイン酸誘導体、これらの各アルカリ金属塩及び各アンモニウム塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。上記αオレフィン、上記マレイン酸誘導体及び上記アルカリ金属塩においては、上記の説明をそのまま適用できる。
[0014]上記アニオン系高分子化合物の具体例としては、ポリスチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等、好ましくはナトリウム塩)若しくはそのアンモニウム塩、ポリアクリル酸又はそのナトリウム塩若しくはそのアンモニウム塩、ポリメタクリル酸又はそのナトリウム塩若しくはそのアンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体又はそのナトリウム塩若しくはそのアンモニウム塩、スチレンスルホン酸と(メタ)アクリル酸との共重合物又はそのナトリウム塩若しくはそのアンモニウム塩、ポリアルケニルコハク酸又はそのナトリウム塩若しくはそのアンモニウム塩等が挙げられる。これらのアニオン系高分子化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
・・・
[0016]上記アニオン系高分子化合物の平均分子量は500?1000000であり、好ましくは5000?500000、より好ましくは10000?200000である。この平均分子量が500未満の場合、型汚れは少ないが潤滑性に劣るため好ましくない。一方、この平均分子量が1000000を超える場合、潤滑性は良好になるが、スプレー塗布が難しくなり、型汚れが激しいため好ましくない。並びに、上記ノニオン系高分子化合物の平均分子量は500?1000000であり、好ましくは1000?100000、より好ましくは1000?50000である。この平均分子量が500未満の場合、皮膜強度を低下させ、潤滑性が低下するため好ましくない。一方、この平均分子量が1000000を超える場合、潤滑性が低下したり、潤滑剤の液安定性が低下するため好ましくない。」

(6-6)「[0021]
[発明の実施の形態]以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて、具体的に説明する。
(1)水溶性塑性加工用潤滑剤の調製(実施例1?9)
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量500000)、ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量50000)、ポリアルケニルコハク酸ナトリウム[α-オレフィン(1-ドデセン及び1-テトラデセンの混合物)と無水マレイン酸との共重合体を、NaOHで加水分解したもの。両者の割合(モル比);1/1モル、分子量12400]、スチレンスルホン酸/アクリル酸共重合体のナトリウム塩(両者の割合(モル比);1/2モル、平均分子量200000)、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩(両者の割合(モル比);1/1モル、平均分子量90000)、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体[両者の割合(モル比);1/1モル、平均分子量(90000)]のイミド化変性タイプ(イミド化率;50%)のナトリウム塩、ポリエチレングリコール(分子量6000)、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体[両者の割合(モル比);2/3モル、平均分子量(2000)]、ステアリン酸カルシウム、防腐剤(イソチアゾリン系化合物)、及び水とを表1に示す割合となるように混合し、実施例1?9の潤滑剤を調製した。尚、アニオン系高分子化合物及びノニオン系高分子化合物の全体に対するノニオン系高分子化合物の含有割合は、実施例1、2、4及び5は17重量%、実施例3は14重量%、実施例6は29重量%、実施例7は2重量%、実施例8は6重量%及び実施例9は7重量%である。」

(6-7)「[0022]
[表1]



(6-8)「[0023](2)水溶性塑性加工用潤滑剤の調製(比較例1?9)
上記(1)で用いた、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩、防腐剤、及び水と、イソフタル酸ナトリウム(分子量189.1)、ヒドロキシエチルセルロース(分子量90000)、黒鉛(粒径5μm)、ポリエチレンオキサイド(分子量4000000)及びグリセリン(分子量92.1)とを用いて表2に示す割合となるように混合し、比較例1?9の潤滑剤を調製した。」

(6-9)「[0024]
[表2]



(vii)引用文献7には、以下の事項が記載されている。
(7-1)「『イソバン』とは
『イソバン』とは、株式会社クラレがポバール(ポリビニルアルコール)で培った技術を応用して開発したイソブチレン・無水マレイン酸の共重合ポリマーの商標です。」(第1頁1?3行)

(7-2)「■応用例
・・・
・金属加工油用途
-焼き入れ剤
-金属加工用の潤滑剤」(第1頁下欄)

(7-3)「『イソバン』の銘柄構成

」(第2頁上欄)

(7-4)「『イソバン』の物理特性

」(第2頁下欄)

(7-5)「■『イソバン』-04,06,10,18
上記のグレードは中高域の分子量を持っており、アルカリ溶解後、主にバインダーや乳化重合安定剤として使用される。

」(第4頁)

(7-6)「アンモニア変性『イソバン』

CASNo.55893-87-3
TSCA登録済

■『イソバン』-104,110
『イソバン』-104および110は、『イソバン』の易水溶性タイプです。これらはスタンダードタイプの『イソバン』をベースにアンモニア変性された銘柄で、スタンダードタイプの『イソバン』と同じ特徴をもっており、かつ容易に水に溶かすことが可能です。」(第5頁)

(viii)引用文献8には、以下の事項が記載されている。
(8-1)「2.水溶性高分子の分類
図1に示すように,水溶性高分子は天然高分子(多糖類系,微生物系,動物系),半合成高分子(セルロース系,デンプ系,アルギン酸系)および合成高分子(ビニル系,その他)に分類される。

」(第746頁左欄16行?右欄3行)

(8-2)「3.水溶性高分子の機能と応用分野
表1に水溶性高分子の機能とその応用分野を示す^(5)6))。
水溶性高分子の機能はレオロジー的性質の改善(ex.増粘作用),界面活性作用(表面張力低下作用,乳化作用),皮膜形成作用,保湿作用,包接作用,殺菌作用などの多岐に渡り,広範囲な作業分野で利用されている。」(第746頁右欄18?23行)

(8-3)「表1 水溶性高分子の機能,配合目的および応用例

」(第3頁下欄)

(ix)引用文献9には、以下の事項が記載されている。
(9-1)「2.分子量の測定
・・・
分子量の測定には二つのケースがある。一つは沸点上昇,凝固点降下,浸透圧のように,溶解している溶質の性質には測定値は無関係で,単位体積中の溶質の数(モル数)のみで決まるような場合である。もう一つは光散乱,超遠心,粘度法のように,測定により得られた観測量の中に,溶質のモル数の他に,その分子の大きさや重さなどの重合度を反映する要因が含まれる場合である。分子量に分布がない場合には,どの方法も同じ分子量を示すはずである。だが,特殊な生体高分子を除くと,高分子には分子量分布があるので,平均分子量として測定される。したがって観測データに重合度が反映されるような場合と,そうでないものとでは得られる分子量は異なる。沸点,凝固点,浸透圧のように,測定値が溶解している溶質の単位体積中の数だけで決まる場合には,得られる分子量は数平均分子量である。だが,光散乱,超遠心,粘度法の場合のように,単なる溶質のモル濃度だけでない場合には,得られる分子量は数平均分子量とは異なる値となる。つまり光散乱や超遠心法のような場合には,観測値は分子量に比例するから,それから誘導される分子量は重量平均分子量となる。粘度の場合には得られる測定データの分子量依存性は少し複雑で,得られる分子量は粘度平均分子量と呼ばれ,理論的考察により数平均重合度と重量平均重合度の間になることが明らかにされている。
・・・
このように重量平均で得られる分子量は,分子量の高いところが大きく反映されるので,得られる分子量は,重量平均>粘度平均>数平均の順に減少する(図4-1)。」(第34頁4行?第35頁4行)

(2)引用文献等に記載された発明
ア 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、「(a)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩、並びに(b)芳香族カルボン酸塩を含有することを特徴とする温間・熱間塑性加工用潤滑剤。」が記載されており(摘記1-1)、上記(b)成分の「芳香族カルボン酸塩」を構成する「芳香族カルボン酸」としては、「ベンゼン骨格を有する二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸」が好ましく、上記「芳香族カルボン酸塩」の「塩」を構成する対化合物としては、「アルカリ金属・・・アミン・・・アンモニア等」とすることができ、例えば、「フタル酸ナトリウム・・・イソフタル酸ナトリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸ナトリウム・・・トリメリット酸ナトリウム・・・等が挙げられる。」ことが記載されている(摘記1-3、1-1)。また、上記潤滑剤は、「上記必須成分の他に、必要に応じて公知の各種添加剤、例えば、増粘剤、造膜剤(バインダー)・・・等を適宜添加することができ」、「増粘剤としては、・・・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩・・・等の各種水溶性高分子化含物が、造膜剤(バインダー)としては、・・・イソブチレン-無水マレイン酸共重合体・・・等のアルカリ可溶性樹脂のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。」ことが記載されている(摘記1-4)。さらに、表1(摘記1-6)には、上記潤滑剤の具体例の一つとして実施例9が記載されており、炭酸ナトリウム4重量部、イソフタル酸ナトリウム8重量部、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.5重量部及び残部水からなり、合計が100重量部であることが表1から読み取れる。そして、使用した成分については、「『イソブチレン-無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩』:クラレ社製、商品名『ISOBAM110』・・・『カルボキシメチルセルロースナトリウム』:第一工業製薬社製、商品名『ファインガムHES』」と記載されているが(摘記1-5)、前者については、クラレ株式会社のカタログ(引用文献7)における「イソバン-110」についての記載(摘記7-3、7-6)を参酌すると、表1に記載されているとおり「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩」が正しい記載であると解される。
そうすると、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「イソフタル酸ナトリウム8重量部、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩(クラレ社製、商品名「ISOBAM110」)5重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.5質量部及び残部水からなり、合計が100重量部である、温間・熱間塑性加工用潤滑剤。」(以下、「引用発明1」という。)

イ 引用文献2に記載された発明
引用文献2には、「炭素数1?4の脂肪族モノカルボン酸のアルカリ土類金属塩、炭素数2?4の脂肪族ジカルボン酸のアルカリ土類金属塩、及び1?2個のヒドロキシル基を有する炭素数2?4の脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする塑性加工用水溶性潤滑剤。」が記載されており(摘記2-1)、「さらに、イソブチレン・マレイン酸共重合体の水溶性塩を含むこと」が好ましいこと(摘記2-4、2-1)、「さらに、脂肪族ポリカルボン酸アルカリ金属塩、及び芳香族カルボン酸アルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むこと」が好ましいこと(摘記2-4、2-1)及び「芳香族カルボン酸アルカリ金属塩が、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、p-オキシ安息香酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である」こと(摘記2-1)が記載されている。また、上記潤滑剤は、「炭素鋼、特殊鋼、非鉄金属材料等の金属材料の塑性加工、特に温間または熱間の圧延、鍛造、ダイス加工、プレス加工等の潤滑剤として好ましく使用される」ものであることが記載されている(摘記2-5、2-2)。さらに、上記潤滑剤の具体例の一つとして実施例30が記載されており(摘記2-7)、乳酸カルシム5質量部、イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)5質量部、イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)5質量部、イソフタル酸モノNa塩10質量部の各成分を水に希釈して100質量部の潤滑剤試料を作製したこと、及び「使用したイソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩とイソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩は株式会社クラレ製の『イソバン』(イソブチレン・マレイン酸共重合体の分子量は5000?400000)であり、その中和状態は「中和度」(=全てのカルボキシル基が中和された場合に1とする値)で表示した。」ことが記載されている(摘記2-7、2-6)。
そうすると、引用文献2には、以下の発明が記載されている。
「イソフタル酸モノNa塩10質量部、イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)5質量部、イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)5質量部及び乳酸カルシム5質量部を水に希釈して100質量部とした、温間又は熱間の金属材料の塑性加工用潤滑剤。」(以下、「引用発明2」という。)

ウ 引用文献3に記載された発明
引用文献3には、「(a)マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、(b)イソフタル酸及びアジピン酸のアルカリ金属塩またはイソフタル酸、アジピン酸及びオルトフタル酸のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、(c)水溶性高分子化合物0.1?10重量%を有し、残部が水からなることを特徴とする塑性加工用水溶性潤滑離型剤。」が記載されており(摘記3-1)、「この潤滑剤は、鍛造、押出し、伸線等の温間及び熱間塑性加工の際に、黒鉛系潤滑剤にかわって使用できる」ものであること(摘記3-2)、「上記成分(a)におけるマレイン酸共重合体は、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体およびビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の共重合体から成る」こと(摘記3-3)、上記成分(c)として「使用し得る水溶性高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等が適切である」こと(摘記3-3)が記載されている。また、上記潤滑離型剤の具体例として実施例1?3が記載されており(摘記3-4)、実施例1の配合剤及び各配合量は、イソブテン無水マレイン酸共重合体のナトリウム金属塩((株)クラレ製)1.5kg、ポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成化学工業(株)製)100g、イソフタル酸のナトリウム金属塩3kg、アジピン酸のナトリウム金属塩1.6kg及び水14.3kgであり、実施例2の配合剤及び各配合量は、スチレン・無水マレイン酸共重合体のナトリウム金属塩(積水化成品工業(株)製)400g、カルボキシメチルセルロース(ニチリン化学工業(株)製)200g、イソフタル酸のナトリウム金属塩1.7kg、オルトフタル酸のナトリウム金属塩0.8kg、アジピン酸のナトリウム金属塩0.8g及び水16.1kgであり、実施例3の配合剤及び各配合量は、ビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体のナトリウム金属塩(三菱化成(株)製)1kg、ボリ(当審注:「ポリ」の誤記と認められる。)アクリル酸ナトリウム(東亜合成化学工業(株))100g、イソフタル酸のナトリウム金属塩2.3kg、アジピン酸のナトリウム金属塩1.9kg及び水14.7kgであったことが記載されている。
そうすると、引用文献3には、以下の発明が記載されている。
「(b)イソフタル酸及びアジピン酸のアルカリ金属塩またはイソフタル酸、アジピン酸及びオルトフタル酸のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、(a)イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体の共重合体から選択されるマレイン酸共重合体のアルカリ金属塩を0.1?30重量%、(c)カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリビニルアルコールから選択される水溶性高分子化合物0.1?10重量%を含有し、残部が水からなる、温間・熱間塑性加工用潤滑剤。」(以下、「引用発明3」という。)

(3)理由I(進歩性)について
(I-1)引用発明1を主引例とする場合
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明1との対比
本件発明1と引用発明1とを対比すると、後者における「イソフタル酸ナトリウム」は、前者における「(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩」に相当し、後者における「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩(クラレ社製、商品名「ISOBAM110」)」は、前者における「(B1)アニオン性高分子であって、・・・無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」又は「(B2)アニオン性高分子であって、・・・無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」に相当し、後者における「カルボキシメチルセルロースナトリウム」は、「(B1)アニオン性高分子であって、・・・セルロース系水溶性ポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」に相当し、後者における「水」、「温間・熱間塑性加工用潤滑剤」は、前者における「(C)水」、「温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物」に相当するから、両者は、
「下記(A)?(C)成分を含有する温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)2種類のアニオン性高分子であって、無水マレイン酸をモノマーとして含むコポリマーの塩である水溶性高分子化合物、及びセルロース系水溶性ポリマーの塩である水溶性高分子化合物
(C)水」である点で一致し、
相違点1:(B)アニオン性高分子である水溶性高分子化合物が、前者においては「(B1)重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」及び「(B2)重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」であることが特定されているのに対し、後者においては「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩」及び「カルボキシメチルセルロースナトリウム」は、そのような水溶性高分子であるかどうか明らかではなく、それらの重量平均分子量は不明な点、
で相違する。そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点1について(その1:引用文献1の記載に基づく容易想到性について)
引用発明1の「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩」(クラレ社製、商品名「ISOBAM110」)は、当該商品のカタログ(引用文献7)を参照すると、重量平均分子量が160000?170000であり(摘記7-4)、「水に容易に溶かすことが可能」なものであるから(摘記7-6)、本件発明1における「(B2)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、・・・無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」に相当するといえる。
一方、引用発明1の「カルボキシメチルセルロースナトリウム」の重量平均分子量について検討すると、「カルボキシメチルセルロースナトリウム」自体は高分子化合物であり、様々な分子量のものが存在する。そして、引用文献1の実施例では、「第一工業製薬社製、商品名『ファインガムHES』」が用いられているが(摘記1-5)、その重量平均分子量は明らかではない。また、引用文献1には、「増粘剤としては、・・・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩・・・等の各種水溶性高分子化合物が、造膜剤(バインダー)としては、・・・イソブチレン-無水マレイン酸共重合体・・・等の・・・アンモニウム塩等が挙げられる。」(摘記1-4)と記載されていることから、引用発明1における「カルボキシメチルセルロースナトリウム」は増粘剤として添加されているものと解されるが、増粘剤として必要な重量平均分子量を具体的に示す記載はない。また、造膜剤(バインダー)の重量平均分子量と増粘剤の重量平均分子量とを関係づける記載もないから、上記「イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩」が造膜剤であって、その重量平均分子量が、上述したように160000?170000であるとしても、増粘剤としての「カルボキシメチルセルロースナトリウム」の重量平均分子量が連動して明らかになるものではない。加えて、本件特許に係る出願の出願時において、引用文献1の実施例の増粘剤として用いられる「カルボキシメチルセルロースナトリウム」の重量平均分子量は、必ず「20000以上で100000以下」であるという技術常識が存在したとは認められない。
そうすると、引用発明1における「カルボキシメチルセルロースナトリウム」の重量平均分子量は不明というほかなく、しかも引用文献1の記載からは、本件発明1における「(B1)」に相当する「重量平均分子量が20000以上で100000以下」のものを採用することを動機付ける記載は見出せない。

(ウ)相違点1について(その2:引用文献4の記載に基づく容易想到性について)
(ウ-1) 引用文献4には、「(a)分子量が1万?100万のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩、並びに(b)分子量が500?1万未満のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩を含むことを特徴とする温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤。」(摘記4-1)が記載されており、「温間又は熱間領域における金属の鍛造、押し出し、プレス及び伸線等の塑性加工に用いられる温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤」(発明の属する技術分野)であること(摘記4-2)、「型と被加工物との間に供給され、両者間の摩擦を軽減する潤滑性や接触時間を短くするための離型性に優れると共に、作業環境及び作業効率の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を提供すること」(解決しようとする課題)(摘記4-3)が記載されているから、引用文献4に記載された技術は、引用発明1と技術分野及び解決しようとする課題(摘記1-2)は一応共通するものといえる。
しかし、引用文献4には、従来技術の課題について、「上記カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤は、作業環境や作業効率の悪化及び金型への堆積は解消される反面、上記黒鉛系潤滑剤と比較して潤滑性及び離型性がやや劣っている。しかも、上記カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤では、増粘剤を併用しているため、潤滑剤の粘度が高くなり、その結果、冷却性が低下して金型温度の上昇(即ち、連続加工における定常状態での金型温度が高くなること)により、金型寿命を低下させるという問題がある。」(摘記4-3)と記載され、カルボン酸塩と増粘剤とを併用することについての問題点を指摘していて、引用文献4の実施例では、「カルボン酸塩」及び「エチルセルロース」をいずれも使用しない潤滑剤組成が採用されている(摘記4-9)。
これに対し、引用発明1は、「イソフタル酸ナトリウム」と「エチルセルロースナトリウム」とを必須のものとしており、これらはそれぞれ「カルボン酸塩」、「増粘剤」といえるものであるから、引用文献4に記載された潤滑剤組成物に関する技術は、「カルボン酸塩」及び「増粘剤」に相当する成分を使用する引用発明1に適用されるものではない。
また、引用文献4には、他の従来技術について、「高分子化合物を主剤に用いた場合、金型への堆積汚れによるノックアウトピンの稼動不良や金型コーナー部へのスラッジ堆積による製品形状の不良が問題となるため、カルボン酸塩等を主剤に用い、高分子化合物はバインダーとしての役割しか求められていなかった。」と記載され(摘記4-3)、対応する比較例として高分子化合物を1種類だけ用いた潤滑剤組成物が記載され(摘記4-9)、これらを受けて、「特定の分子量である高分子量アニオン系高分子化合物に、特定の分子量である低分子量アニオン系高分子化合物を併用することによって、潤滑性を低下させることなく離型性に優れると共に、型汚れが少ない温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。」と記載されているから(摘記4-3)、引用文献4に記載された技術は、高分子化合物を主剤に用いた潤滑剤組成物を改良するものであり、分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせて用いることにより従来技術の課題を解決しようとするものであるから、分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせる技術思想を有していない引用発明1に適用されるものではない。
そうすると、引用文献4に、分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせて用いることが記載されているとしても、これにより引用発明1において分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせて用いることが動機付けられるものではない。

(ウ-2) 仮に、上記の点が動機付けられたとしても、以下のとおり、本件発明1は容易想到のものとはいえない。
すなわち、引用文献4には、「(a)分子量が1万?100万のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩、並びに(b)分子量が500?1万未満のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩を含むことを特徴とする温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤。」(摘記4-1)が記載されており、(a)成分については、「この平均分子量が1万未満では、潤滑性に劣るため好ましくない。一方、この平均分子量が100万を超えると、潤滑性は良好になる反面、スプレー塗布が難しくなり、作業効率が低下するため好ましくない。」と記載され(摘記4-6の[0019])、(b)成分については、「この平均分子量が500未満では、皮膜強度が低下し、その結果、潤滑性が低下するため好ましくない。一方、この平均分子量が1万以上であると、型汚れが生じるため好ましくない。」と記載されている(摘記4-6の[0020])。また、実施例としては、分子量90000と分子量6000との組合せ(実施例1?3)、分子量70000と分子量6000との組合せ(実施例4、5)、及び分子量200000と分子量6000との組合せ(実施例6、7)が記載されており、分子量90000と分子量20000との組合せ(比較例4)では型汚れの点で課題を解決できず、分子量3000と分子量6000との組合せ(比較例5)では潤滑性の点で課題を解決できなかったことが記載されている(摘記4-9)。
そうすると、仮に、引用発明1において、引用文献4に記載された分子量の異なるアニオン系高分子化合物の組合せを適用することが動機付けられることがあるとしても、それらの化合物の分子量は「1万?100万」と「500?1万未満」という本件発明1とは異なる組合せになるから、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項である「重量平均分子量が20000以上で100000以下」と「重量平均分子量が100000を超え500000以下」というアニオン系高分子化合物の組合せを採用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(エ)相違点1について(その4:引用文献5の記載に基づく容易想到性について)
(エ-1) 引用文献5には、「炭素鋼、合金鋼、非鉄金属を温間、熱間にて鍛造、圧延、伸線、押出し等の塑性加工するときに使用される潤滑油剤」において、「塑性加工時に工具と被加工物の間に給油し、加工時の工具と被加工物の摩擦を低減させると共に焼き付け防止や離型性の向上を図る他、黒鉛系の潤滑油剤に代わって作業環境を改善する」という課題を解決するものとして(摘記5-2)、「カルボキシル基を2個以上有し融解又は熱分解温度が 300℃以上である芳香族炭化水素アルカリ金属塩 0.2?40重量%と、水溶性付着向上剤0.05?20重量%と、炭素数10?16のアルカン二酸アルカリ金属塩 0.2?5重量%と、界面活性剤 0.5?15重量%を水中へ溶解及び/又は分散してなることを特徴とする塑性加工用潤滑油剤。」が記載されており(摘記5-1)、具体的には、水溶性付着向上剤としてMw=360000のポリビニルピロリドン、界面活性剤としてMw=10000の高分子量分散剤を併用添加した潤滑剤(摘記5-7の実施例1、6)により、付着試験及び潤滑性試験において良好な評価が得られたことが記載されているから、引用文献5に記載された技術は、引用発明1と技術分野及び解決しようとする課題(摘記1-2)は一応共通するものといえる。
しかし、引用文献5に「水溶性付着向上剤」の具体例として記載されている「ポリビニルピロリドン」は中性の高分子化合物であり、また、「高分子量分散剤」の好ましい例として記載されているのは、「分子量が10,000?300,000で上記式(I)又は、式(II)で示される分子構造を有する共重合体にその窒素含有基1モルに対しリン酸イオン0.3?1.5モルを加えたもの」(摘記5-5の[0015])であり、式(I)及び(II)(摘記5-5の[0014])を参照すると、「COOX」(X=H、Na又はK)及び「N(R_(2))CH_(2)CH_(2)OH」(R_(2)=H又はC_(1-24)のアルキル基)又は「N(R_(2))R_(2)」(R_(2)=H,CH_(3)又はC_(2)H_(5))で表される基を有する共重合体であることが読み取れるから、リン酸イオンを加えることによってアニオン(COO^(-))とカチオン(N^(+))を生じる両性界面活性剤に相当するものであり、いずれも「アニオン系高分子化合物」ではない。
そうすると、引用文献5の記載を参照しても、引用発明1において分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせて用いることが動機付けられるものではない。

(エ-2) 仮に、上記の点が動機付けられたとしても、以下のとおり、本件発明1は容易想到のものとはいえない。
すなわち、引用文献5には、水溶性付着向上剤の重量平均分子量の好ましい範囲については特段記載されておらず、実施例ではMW=360000のポリビニルピロリドンが用いられている。また、引用文献5には、高分子量分散剤の重量平均分子量は1000?1000000、好ましくは10000?300000であることが記載されているが(摘記5-5)、実施例で用いられているのはMW=10000の高分子量分散剤である。
そうすると、仮に、引用発明1において、引用文献5の記載に基づいて分子量の異なる高分子化合物の組合せを適用することが動機付けられることがあるとしても、引用文献5の高分子分散剤の重量平均分子量は本件発明1のアニオン系高分子化合物の範囲内のものではなく、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項である「重量平均分子量が20000以上で100000以下」と「重量平均分子量が100000を超え500000以下」というアニオン系高分子化合物の組合せを採用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(オ)相違点1について(その6:引用文献6の記載に基づく容易想到性について)
(オ-1) 引用文献6には、「温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤」において、「潤滑性及び離型性に優れ、金属堆積を抑制でき、且つ作業環境及び作業効率を悪化させない温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤を提供する」という課題を解決し得るものとして(摘記6-3)、「平均分子量500?1000000のアニオン系高分子化合物と、平均分子量500?1000000のノニオン系高分子化合物とを含有する水溶性塑性加工用潤滑剤であって、該潤滑剤を100重量%とした場合に、上記アニオン系高分子化合物の含有量が0.5?50重量%であり、且つ上記ノニオン系高分子化合物の含有量が0.2?30重量%であることを特徴とする温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤。」が記載されており(摘記6-1)、具体的には、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量500000)と、ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量50000)の2種類のアニオン系高分子化合物を併用添加した潤滑剤(摘記6-7の実施例3)により、潤滑性及び型汚れの評価において良好な評価が得られたことが記載されているから、引用文献6に記載された技術は、引用発明1と技術分野及び解決しようとする課題(摘記1-2)は一応共通するものといえる。
しかし、引用文献6には、従来技術の課題について、「カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤は、作業環境や作業効率の悪化及び金型への堆積は解消されるが、黒鉛系潤滑剤と比較して潤滑性及び離型性がやや劣っている。また、増粘剤を併用しているため潤滑剤の濃度が高くなって冷却性が劣り、金型温度の上昇(すなわち連続加工における定常状態での金型温度が高くなること)により金型寿命を低下させてしまう。」(摘記6-3)と記載され、カルボン酸塩と増粘剤とを併用することについての問題点を指摘していて、引用文献6の実施例では、「カルボン酸塩」及び「エチルセルロース」をいずれも使用しない潤滑剤組成が採用されているから(摘記6-7)、上記5.(3)(I-1)ア(ウ)(ウ-1)で述べたように、引用文献6に記載された技術は、引用発明1に適用されるものではない。
また、引用文献6には、他の従来技術について、「これまでの白色系潤滑剤はカルボン酸塩等を主剤に用いており、高分子化合物はバインダーとしての役割しか求められていなかった。これは高分子化合物を主剤に用いた場合、型汚れによるノックアウトピンの稼動不良や金型コーナー部へのスラッジ堆積による製品形状不良が問題となるためである。」と記載され(摘記6-3)、対応する比較例として高分子化合物を1種類だけ用いた潤滑剤組成物が記載され(摘記6-9)、これらを受けて、「アニオン系高分子化合物が良好な潤滑と離型性能を併せ持つことを確認し、これに特定のノニオン系高分子化合物を併用することによって、潤滑性を低下させることなく、且つ型汚れが少ない温間或いは熱間水溶性塑性加工用潤滑剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。」と記載されているから(摘記6-3)、引用文献6に記載された技術は、高分子化合物を主剤に用いた潤滑剤組成物を改良するものであり、アニオン系高分子化合物とノニオン系高分子化合物とを組み合わせて用いることにより従来技術の課題を解決しようとするものであるから、引用発明1とは用いる高分子化合物の種類が異なる。
そうすると、引用文献6の記載を参照しても、引用発明1において分子量の異なるアニオン系高分子化合物を組み合わせて用いることが動機付けられるものではない。

(オ-2) 仮に、上記の点が動機付けられたとしても、以下のとおり、本件発明1は容易想到のものとはいえない。
すなわち、引用文献6には、「平均分子量500?1000000のアニオン系高分子化合物」と、「平均分子量500?1000000のノニオン系高分子化合物」とを組み合わせて用いることが記載されており(摘記6-1、6-4)、アニオン系高分子化合物については、「この平均分子量が500未満の場合、型汚れは少ないが潤滑性に劣るため好ましくない。一方、この平均分子量が1000000を超える場合、潤滑性は良好になるが、スプレー塗布が難しくなり、型汚れが激しいため好ましくない。」と記載され、ノニオン系高分子化合物については、「この平均分子量が500未満の場合、皮膜強度を低下させ、潤滑性が低下するため好ましくない。一方、この平均分子量が1000000を超える場合、潤滑性が低下したり、潤滑剤の液安定性が低下するため好ましくない。」と記載されている(摘記6-5)。また、実施例としては、分子量500000のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(アニオン系高分子)と分子量6000のポリエチレングリコール(ノニオン系高分子化合物)との組合せ(実施例1)、分子量500000のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(アニオン系高分子)と分子量50000のポリアクリル酸ナトリウム(アニオン系高分子)と分子量6000のポリエチレングリコール(ノニオン系高分子化合物)との組合せ(実施例3)、及び分子量200000のスチレンスルホン酸/アクリル酸共重合体のナトリウム塩(アニオン系高分子)と分子量6000のポリエチレングリコール(ノニオン系高分子化合物)との組合せ(実施例5)等が記載されており、比較例としては、アニオン系高分子化合物単独又はノニオン系高分子化合物単独(比較例1、6、7?9)、分子量50000のポリアクリル酸ナトリウム(アニオン系高分子化合物)と分子量6000のポリエチレングリコール(ノニオン系高分子化合物)との組合せ(比較例2)、分子量90000のイソブチレン/無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩(アニオン系高分子化合物)と分子量6000のポリエチレングリコール(ノニオン系高分子化合物)との組合せ(比較例3、4)等では課題を解決できなかったことが記載されている(摘記6-9)。
そうすると、仮に、引用発明1において、引用文献6に記載された分子量の異なる高分子化合物の組合せを適用することが動機付けられることがあるとしても、その分子量は本件発明1のものとは異なり、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項である「重量平均分子量が20000以上で100000以下」と「重量平均分子量が100000を超え500000以下」という2種類のアニオン系高分子化合物の組合せを採用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(カ)本件明細書に記載された水溶性高分子化合物の効果について
本件明細書の[0020]には、「水溶性高分子化合物には、潤滑剤組成物の金型への付着性を高める(第1の効果)点と、潤滑性に寄与する(第2の効果)点が期待されている」ことが記載され、[0021]には、「上記第1の効果は水溶性高分子化合物の増粘性から」生じ、「上記第2の効果については、温間・熱間条件では加工時の金型と被加工材の摺動時に水溶性高分子化合物の一部が分解し、液体状潤滑剤となって潤滑性に寄与すると言うメカニズム」から生じること、及び「第1の効果に寄与する高分子量の水溶性高分子化合物と、第2の効果に寄与する低分子量化した水溶性高分子化合物との境界が、分子量が『100000を超える』か、『100000以下である』かの差異であることが判明した」と記載されており、[0060][表1]?[0065][表6]に記載された実験データも、[0021]の記載と特段矛盾するものではない。
これに対し、引用文献1及び4?6には、本件明細書に記載されたような金型への付着性の観点と潤滑性の観点とから、重量平均分子量の異なる水溶性高分子化合物を使い分けるという技術的思想は記載されておらず、かつ、本件明細書に記載されたような100000を超えるか100000以下であるかという重量平均分子量の区分についても記載されていない。
そうすると、上記相違点1に係る重量平均分子量の異なるアニオン系高分子化合物の組合せは、引用文献1及び4?6に記載されたものではなく、それにより有利な効果がもたらされるものといえる。

(キ)相違点1についてのまとめ
以上のことから、相違点1は実質的な相違点であり、引用文献1及び4?6の記載を参照しても、当業者が相違点1に係る構成に容易に想到し得たとすることはできない。

(ク)本件発明1についてのまとめ
よって、本件発明1は引用発明1及び引用文献1、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2について
本件発明1を引用して記載されている本件発明2についても、本件発明1と同様である。
よって、本件発明2は引用発明1及び引用文献1、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 引用発明1を主引例とする場合のまとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、いずれも引用発明1及び引用文献1、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
よって、取消理由通知に記載した理由I(進歩性)の(I-1)の理由によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(I-2)引用発明2を主引例とする場合
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明2との対比
本件発明1と引用発明2とを対比すると、後者における「イソフタル酸モノNa塩」は、前者における「(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩」に相当し、後者における「イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)」及び「イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)」は、いずれも前者における「(B1)アニオン性高分子であって、・・・無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」又は「(B2)アニオン性高分子であって、・・・無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」に相当し、後者における「水」、「温間又は熱間の金属材料の塑性加工用潤滑剤」は、前者における「(C)水」、「温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物」に相当するから、両者は、
「下記(A)?(C)成分を含有する温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)2種類のアニオン性高分子であって、無水マレイン酸をモノマーとして含むコポリマーの塩である水溶性高分子化合物
(C)水」である点で一致し、

相違点1’:(B)アニオン性高分子である水溶性高分子化合物が、前者においては「(B1)重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」及び「(B2)重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」であることが特定されているのに対し、後者においては「イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)」及び「イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)」は、それらの重量平均分子量は不明な点、
で相違する。そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点1’について(その1:引用文献2の記載に基づく容易想到性について)
引用文献2には、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体について、「中でもイソブチレン:無水マレイン酸=1:1(モル比)の共重合体で分子量が50,000?400,000のものを、中和度=0.4?1.0となるようにアンモニアにて中和したイソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニウム塩、イソブチレン-マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩、水酸化ナトリウムにて中和したイソブチレン-マレイン酸共重合体ナトリウム塩、が特に好ましい。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。」と記載されているが(摘記2-4)、重量平均分子量が「20000以上で100000以下」のものと「100000を超え500000以下」のものとを組み合わせることは記載されていない。
また、実施例においては、「使用したイソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩とイソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変成アンモニウム塩は株式会社クラレ製の「イソバン」(イソブチレン・マレイン酸共重合体の分子量は5000?400000)であり、その中和状態は「中和度」(=全てのカルボキシル基が中和された場合に1とする値)で表示した。」と記載されており(摘記2-6)、実施例30には、「イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)」及び「イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)」を組み合わせて用いた引用発明2の組成物が記載されているが、それぞれの具体的な分子量は明らかではなく、「イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩」を1種類だけ用いた他の実施例と比較しても、2種類を併用することにより特段の効果が得られることが記載されているとはいえない。
そうすると、引用文献2には、引用発明2における「イソブチレン・マレイン酸共重合体Na塩(中和度0.4)」及び「イソブチレン・マレイン酸共重合体アンモニア変性アンモニウム塩(中和度1.0)」として、「重量平均分子量が20000以上で100000以下」のものと「重量平均分子量が100000を超え500000以下」のものとを併用する技術思想はなく、上記相違点1’に係る本件発明1の発明特定事項を採用することを動機付ける記載は見出せない。

(ウ)相違点1’について(その2:引用文献4?6の記載に基づく容易想到性について)
上記5.(3)(I-1)ア(ウ)「相違点1について(その2:引用文献4の記載に基づく容易想到性について)」?同(カ)「本件明細書に記載された水溶性高分子化合物の効果について」における検討を踏まえると、同様の理由により、引用発明2において、上記相違点1’に係る本件発明1の発明特定事項である「重量平均分子量が20000以上で100000以下」と「重量平均分子量が100000を超え500000以下」という2種類のアニオン系高分子化合物の組合せを採用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(エ)相違点1’についてのまとめ
以上のことから、相違点1’は実質的な相違点であり、引用文献2及び4?6の記載を参照しても、当業者が相違点1’に係る構成に容易に想到し得たとすることはできない。

(オ)本件発明1についてのまとめ
よって、本件発明1は引用発明2及び引用文献2、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2について
本件発明1を引用して記載されている本件発明2についても、本件発明1と同様である。
よって、本件発明2は引用発明2及び引用文献2、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 引用発明2を主引例とする場合のまとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、いずれも引用発明2及び引用文献2、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
よって、取消理由通知に記載した理由I(進歩性)の(I-2)の理由によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(I-3)引用発明3を主引例とする場合
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と引用発明3との対比
本件発明1と引用発明3とを対比すると、後者における「イソフタル酸のアルカリ金属塩」及び「オルトフタル酸のアルカリ金属塩」は、前者における「(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩」に相当し、後者における「(a)イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体の共重合体から選択されるマレイン酸共重合体のアルカリ金属塩」及び「(c)・・・ポリアクリル酸ナトリウム・・・から選択される水溶性高分子化合物」は、いずれも前者における「(B1)アニオン性高分子であって、・・・アクリル酸・・・又は無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」又は「(B2)アニオン性高分子であって、・・・アクリル酸・・・又は無水マレイン酸・・・をモノマーとして含む・・・コポリマー・・・の塩から選択される水溶性高分子化合物」に相当し、後者における「水」、「温間・熱間塑性加工用潤滑剤」は、前者における「(C)水」、「温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物」に相当するから、両者は、
「下記(A)?(C)成分を含有する温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)2種類のアニオン性高分子であって、アクリル酸又は無水マレイン酸をモノマーとして含むコポリマーの塩である水溶性高分子化合物
(C)水」である点で一致し、
相違点1”:(B)アニオン性高分子である水溶性高分子化合物が、前者においては「(B1)重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」及び「(B2)重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上」であることが特定されているのに対し、後者においては「(a)イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びビニルメチルエーテル・無水マレイン酸共重合体の共重合体から選択されるマレイン酸共重合体のアルカリ金属塩」及び「(c)カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリビニルアルコールから選択される水溶性高分子化合物」はそのような種類の組合せであるか明らかではなく、それらの重量平均分子量は不明な点、
で相違する。そこで、上記相違点について検討する。

(イ)相違点1”について(その1:引用文献3の記載に基づく容易想到性について)
引用文献3には、実施例の記載も含め、「(a) マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩」及び「(c) 水溶性高分子化合物」の重量平均分子量は記載されていないから、引用文献3には、引用発明3における「(a) マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩」及び「(c) 水溶性高分子化合物」として、「重量平均分子量が20000以上で100000以下」のものと「重量平均分子量が100000を超え500000以下」のものとを併用する技術思想はなく、上記相違点1”に係る本件発明1の発明特定事項を採用することを動機付ける記載は見出せない。

(ウ)相違点1”について(その2:引用文献4?6の記載に基づく容易想到性について)
上記5.(3)(I-1)ア(ウ)「相違点1について(その2:引用文献4の記載に基づく容易想到性について)」?同(カ)「本件明細書に記載された水溶性高分子化合物の効果について」における検討を踏まえると、同様の理由により、引用発明3において、上記相違点1”に係る本件発明1の発明特定事項である「重量平均分子量が20000以上で100000以下」と「重量平均分子量が100000を超え500000以下」という2種類のアニオン系高分子化合物の組合せを採用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(エ)相違点1”についてのまとめ
以上のことから、相違点1”は実質的な相違点であり、引用文献3及び4?6の記載を参照しても、当業者が相違点1”に係る構成に容易に想到し得たとすることはできない。

(オ)本件発明1についてのまとめ
よって、本件発明1は引用発明3及び引用文献3、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2について
本件発明1を引用して記載されている本件発明2についても、本件発明1と同様である。
よって、本件発明2は引用発明3及び引用文献3、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 引用発明3を主引例とする場合のまとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、いずれも引用発明3及び引用文献3、4?6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
よって、取消理由通知に記載した理由I(進歩性)の(I-3)の理由によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(4)理由II(実施可能要件)について
本件訂正前の本件発明1における(B)成分は、「水溶性高分子化合物」という、水溶性である限りにおいてすべての高分子化合物を包含するという極めて広範(引用文献8)な表現を含むものであったが、本件訂正により、本件明細書における(B1)及び(B2)成分についての一般的な記載、及び実施例において(B1)及び(B2)成分として用いられた高分子化合物の具体例に基づいて、「水溶性高分子化合物」の構造が減縮された。
これにより、当業者であれば、本件明細書の記載に鑑みて、本件発明1における(B1)及び(B2)成分として用い得る水溶性高分子化合物の範囲を理解することができ、その実施において過度の試行錯誤を強いられることはないといえる。本件発明1を引用する本件発明2についても同様である。
そうすると、本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1、2を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえるから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。
よって、取消理由通知に記載した理由II(実施可能要件)によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(5)理由III(サポート要件)について
上記5.(4)「理由II(実施可能要件)について」にも記載したとおり、本件訂正前の本件発明1における(B)成分は、「水溶性高分子化合物」という、水溶性である限りにおいてすべての高分子化合物を包含するという極めて広範(引用文献8)な表現を含むものであったが、本件訂正により、本件明細書における(B1)及び(B2)成分についての一般的な記載、及び実施例において(B1)及び(B2)成分として用いられた高分子化合物の具体例に基づいて、「水溶性高分子化合物」の構造が減縮された。
これにより、当業者であれば、潤滑剤組成物の成分範囲が本件発明1の範囲、特に(B)成分が本件発明1における(B1)及び(B2)成分である場合には、「黒鉛系潤滑剤に比較しても遜色のない潤滑性と離型性を実現した無黒鉛型の潤滑剤を提供すること」という本件発明の課題([0010])を解決できることを、本件明細書に記載された実施例の実験データ及び本件特許に係る出願の出願日当時における技術常識を参酌することにより理解することができる。本件発明1を引用する本件発明2についても同様である。
そうすると、本件発明1及び2は、本件明細書の発明の詳細な説明に、上記課題を解決し得るものとして実質的に記載されたものといえるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
よって、取消理由通知に記載した理由III(サポート要件)によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

(6)理由IV(明確性)について
本件訂正により、本件発明1における(B)成分の「分子量」が「重量平均分子量」であることが明らかになった。本件発明1を引用する本件発明2についても同様である。
そうすると、本件発明1及び2は、いずれも特許を受けようとする発明を明確に記載したものということができるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。
よって、取消理由通知に記載した理由IV(明確性)によって、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

6.特許異議申立理由について
申立人Aが申し立てた特許異議申立理由は、上記4.「取消理由の概要」に記載した理由I(進歩性)の理由(I-1)?理由(I-3)に相当するものであり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。
また、申立人Bが申し立てた特許異議申立理由は、上記4.「取消理由の概要」に記載した理由I(進歩性)の理由(I-1)?理由(I-2)、理由II(実施可能要件)、理由III(サポート要件)及び理由IV(明確性)に相当するものであり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。

7.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項3に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項3に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)下記(B1)成分及び(B2)成分
(B1)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が20000以上で100000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー、セルロース系水溶性ポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上
(B2)アニオン性高分子であって、重量平均分子量が100000を超え500000以下であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸のいずれかをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びこれらの塩から選択される水溶性高分子化合物の1種以上
(C)水
【請求項2】
前記温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物が下記(1)?(3)のいずれか1以上に該当することを特徴とする請求項1に記載の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
(1)潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量のAtと(B)成分の合計含有量Btとの質量比At:Btが1:3?10:1の範囲内である。
(2)潤滑剤組成物中の全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが0.7以上である。
(3)潤滑剤組成物中の(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10?10:1の範囲内である。
【請求項3】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-11-21 
出願番号 特願2013-231429(P2013-231429)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (C10M)
P 1 651・ 121- YAA (C10M)
P 1 651・ 537- YAA (C10M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 天野 宏樹
日比野 隆治
登録日 2017-09-08 
登録番号 特許第6203604号(P6203604)
権利者 株式会社シダーブライト
発明の名称 温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  
代理人 山田 和寛  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  
代理人 山田 和寛  
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