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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A61K
管理番号 1347698
異議申立番号 異議2018-700793  
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-10-01 
確定日 2019-01-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第6315864号発明「化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6315864号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第6315864号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成29年8月24日の出願であって、平成30年4月6日にその特許権の設定登録がされ、同年4月25日に特許掲載公報が発行され、同年10月1日にその特許に対し、特許異議申立人:特許業務法人藤央特許事務所(以下、単に「申立人」ということがある)により特許異議の申立てがされたものである。

[2]本件発明
特許第6315864号の請求項1?4の特許に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、順に「本件発明1」?「本件発明4」ということがあり、また、これらをまとめて単に「本件発明」ということがある)。

『 【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C)、
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル 0.1?5質量%、
(B)グリチルリチン酸ジカリウム、グルコン酸、水溶性プラセンターエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、グリシン、ニコチン酸アミド、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、パントテニルアルコール、セリン、ローヤルゼリーエキス、トリプトファン及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上の生理活性物質、及び
(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有質量比(A/B)が0.1?50であり、成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)が0.1?200である化粧料。
【請求項2】
成分(B)が、グリチルリチン酸ジカリウム、グルコン酸、水溶性プラセンターエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、グリシン、ニコチン酸アミド及びL-アスコビル酸2-グルコシドから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
成分(C)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸がオレイン酸、ステアリン酸、ジステアリン酸、トリステアリン酸、ジイソステアリン酸及びトリイソステアリン酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
成分(A)が、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)エステルである請求項1?3のいずれか1項記載の化粧料。 』

[3]特許異議申立ての理由
申立人は、特許異議申立書(以下、単に「異議申立書」ということがある)において、本件発明は以下の理由1及び2:
・理由1:特許法第29条第1項第2号(同法第113条第2号)
・理由2:特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
により取り消されるべきものと主張しており、具体的には、以下の甲号証を提出しつつ、次の(1)、(2)の取消理由を挙げている。

(1)特許法第29条第1項第2号について
本件発明1、2、4は、甲第1号証、甲第2号証のそれぞれの開示から、その出願前に日本国内において公然実施された発明である。
また、本件発明3は、甲第1号証の開示から、その出願前に日本国内において公然実施された発明である。
(2)特許法第29条第2項について
本件発明1?4は、甲1号証、甲第2号証にそれぞれ開示された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明である。
また、本件発明1?4は、甲第3号証に開示された発明、又は甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明である。

[甲号証]
・甲第1号証:Mintel GNPD 「Lotion」, Sato Pharmaceutical,掲載時期:2012年4月,ID#1763302
・甲第1号証の2:「NIKKOL DGMO-CV(オレイン酸ポリグリセリル-2)」https://www.chemical-navi.com/product_search/detail238.html
・甲第2号証:Mintel GNPD 「UV Protector Bright」, Pola,掲載時期:2010年5月,ID#1317804
・甲第2号証の2:「NIKKOL DECAGLYN 5-SV(ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10)」https://www.chemical-navi.com/product_search/detail265.html
・甲第3号証:Mintel GNPD 「Cleansing Oil」, Kose,掲載時期:2016年6月,ID#4050059
・甲第3号証の2:「植物由来/製品情報/日本エマルジョン株式会社」https://www.nihon-emulsion.co.jp/products/category_plant?HLB=4-6
・甲第4号証:特開2009-35497号公報
・甲第4号証の2:「Cosmetic-Info.jp 加水分解コラーゲン」https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=3104
・甲第4号証の3:「Cosmetic-Info.jp 水溶性コラーゲン」https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=3403

[4]当審の判断

1.甲号証の記載事項(※合議体注:各『 』内の下線は合議体による)

(1)甲第1号証、甲第1号証の2

(1-1)甲第1号証
・1a[第1頁左上欄 標題「Lotion」下]
『 記録番号(ID#): 1763302
会社: Sato Pharmaceutical
ブランド: Excellula Whitening
カテゴリー: 【スキンケア製品】
サブカテゴリー: フェイス/ネックケア
国: 日本
掲載時期: 2012年4月
情報源: 購入者
市場の位置付け: 新製品
現地小売価格: JPY3780.00
米ドル価格: 45.93
ユーロ価格: 34.56
バーコード: 4987316092256 』

・1b[第1頁中段「商品説明」の項](※合議体注:英文のため合議体で作成した和訳文にて記す)
『 ・・・。本製品は・・・。・・・活性美白成分であるアスコルビルグルコシド及び抗炎症性のグリチルリチン酸ジカリウムが処方された医薬部外品に位置付けられる製品です。・・・。パラベン-、アルコール-、香料-及び合成着色料-フリーの本品はまた、保湿性藻類抽出物、インディゴ抽出物、ヒナギク抽出物、ナツメ抽出物及び水分を閉じ込めるためのヒアルロン酸を、朝鮮人参、ローヤルゼリー及びゼラニウム由来のアンチエイジング成分と共に含んでいます。本品は2012年3月1日、3,780円で発売されました。』

・1c[第2頁中段「成分(標準形式)」の項]
『 活性成分(active ingredients): アスコルビルグルコシド,グリチルリチン酸2K
他の成分(other ingredients): DPG,BG,グリセリン(化粧グレード),1,2-ペンタンジオール,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール,フェノキシエタノール,クエン酸ナトリウム,エデト酸四ナトリウム,アルブチン,キサンタンガム,PPG-2ブテス-2,ヒアルロン酸Na,ポリエチレングリコール,硬化ヒマシ油(加水分解),ピロ亜硫酸Na,アルニカエキス(エキス),タイソウエキス(エキス),ヒメフウロエキス(エキス),ヒナギク花エキス(エキス),オタネニンジンエキス(エキス,根),オウゴンエキス(エキス,根),ローヤルゼリーエキス(エキス),ポリクオタニウム-51(リピジュア),青201(エキス),サルガッスムムティカムエキス(エキス),アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸),カミツレエキス(エキス),グリセリン,オレイン酸ポリグリセリル-2,水素添加大豆リン脂質(加水分解),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,レシチン,コメヌカ油,コレステロール(コレステロールフリー),コメヌカスフィンゴ糖脂質(フスマ),セラミド-2,オレイン酸,パルミチン酸,水酸化ナトリウム,クエン酸,水』

(1-2)甲第1号証の2
・1d[「製品詳細 NIKKOL DGMO-CV 【化粧品成分表示名称】オレイン酸ポリグリセリル-2」の項]
『 製品名 NIKKOL DGMO-CV
組成名 モノオレイン酸ジグリセリル
・・・
産業分野詳細 ポリグリセリン脂肪酸エステル
化粧品成分表示名称 オレイン酸ポリグリセリル-2
・・・
詳細情報 ・・・
・・・
用途 親油性乳化剤、W/O乳化剤、HLB5.5 』

(2)甲第2号証、甲第2号証の2

(2-1)甲第2号証

・2a[第1頁左上欄 標題「UV Protector Bright」下]
『 記録番号(ID#): 1317804
会社: Pola
ブランド: WHITISSIMO
カテゴリー: 【スキンケア製品】
サブカテゴリー: フェイス/ネックケア
国: 日本
掲載時期: 2010年5月
情報源: 購入者
市場の位置付け: 新処方
現地小売価格: JPY4725.00
米ドル価格: 50.61
ユーロ価格: 37.16
バーコード: 4953923337325 』

・2b[第1頁中段「商品説明」の項](※合議体注:英文のため合議体で作成した和訳文にて記す)
『 ・・・。アレルギーテスト済みの本製品は香料やUV吸収剤を含んでおらず、2010年2月23日に推奨小売価格4,725円で発売されました。・・・ 』

・2c[第5頁中?下段「成分(標準形式)」の項]
『 活性成分(active ingredients): アスコルビルグルコシド,グリチルリチン酸2K
不活性成分(inactive ingredients): 水,BG,グリセリン,シクロペンタシロキサン,トリエチルヘキサノイン,ジフェニルジメチコン,酸化チタン,マイカ,ポリメタクリロイルリシン,水素添加大豆リン脂質(加水分解,ダイズ由来),メリッサ葉エキス(エキス),セイヨウノコギリソウエキス(エキス),クララ根エキス(エキス),アルニカエキス(エキス),クインスシードエキス(エキス),ダイズステロール,(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリル,ペンタステアリン酸デカグリセリル,ベヘニルアルコール,ジメチコン,水酸化カリウム,ステアリン酸ポリグリセリル-10,キサンタンガム,アルコール,トリメチルシロキシケイ酸,ステアロイル乳酸Na,メチコン,含水シリカ(含水、水和),クエン酸ナトリウム,アルコール,ポリアクリル酸アンモニウム,クエン酸,トコフェロール,乾燥水酸化アルミニウムゲル,酸化チタン,ココグリセリル硫酸Na,タルク,ピグメントイエロー42,酸化鉄(CI 77491),メチルパラベン,プロピルパラベン,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール』

(2-2)甲第2号証の2
・2d[「製品詳細 NIKKOL DECAGLYN 5-SV 【化粧品成分表示名称】ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10」の項]
『 製品名 NIKKOL DECAGLYN 5-SV
組成名 ペンタステアリン酸デカグリセリル
・・・
産業分野詳細 ポリグリセリン脂肪酸エステル
化粧品成分表示名称 ペンタステアリン酸ポリグリセリル
-10
・・・
詳細情報 ・・・
・・・
用途 親油性乳化剤、HLB3.5 』

(3)甲第3号証、甲第3号証の2

(3-1)甲第3号証
・3a[第1頁左上欄 標題「Cleansing Oil」下]
『 記録番号(ID#): 4050059
会社: Kose
ブランド: Kose Elsia
カテゴリー: 【スキンケア製品】
サブカテゴリー: フェイス/ネックケア
国: 日本
製造国: 日本
輸入状況: 輸入されていません
店舗名: Cocokarafine
店舗形態: ドラッグストア
店舗住所: Suginami Tokyo
167-0043
掲載時期: 2016年6月
情報源: 購入者
市場の位置付け: 再投入
現地小売価格: JPY1512.00
米ドル価格: 13.84
ユーロ価格: 12.68
バーコード: 4971710463163 』

・3b[第1頁中段「商品説明」の項](※合議体注:英文のため合議体で作成した和訳文にて記す)
『 ・・・。その香料-及び着色料-フリーの処方は保湿のために2種のタイプのコラーゲン、ヒアルロン酸、カフェイン及びグリセリンで強化されています。本製品は2016年2月16日に推奨小売価格1,512円で発売されました。』

・3c[第2頁上?中段「成分(標準形式)」及び「成分(パッケージ表示)」の項]
『 成分(標準形式): 水,イソステアリン酸PEG-8グリセリル,ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル,流動パラフィン,グリセリン,BG,2-エチルヘキサン酸セチル,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール,ジイソステアリン酸ポリグリセリル,カフェイン,トコフェロール,ヒアルロン酸Na,イングリッシュラベンダーオイル,加水分解コラーゲン(Hydrolysed),水溶性コラーゲン(水溶性),BHT,エデト酸Na,クエン酸,クエン酸ナトリウム,ミリスチン酸イソプロピル,フェノキシエタノール,メチルパラベン
成分(パッケージ表示): ・・・,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール,ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2,カフェイン,・・・,加水分解コラーゲン,水溶性コラーゲン,BHT,・・・』

(3-2)甲第3号証の2
・3d(※合議体注:罫線省略)

製品名 表示名称 INCI Name HLB
Product Name Japanese Labelling Name 4?6
・・・ ・・・ ・・ ・・
EMALEX DISG-2 ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2 ・・ 4
EMALEX DISG-2EX ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2 ・・ 4
EMALEX DISG-3 ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 ・・ 5
EMALEX DISG-3EX ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 ・・ 5
EMALEX DSG-2 ジステアリン酸ポリグリセリル-2 ・・ 4
・・・ ・・・ ・・ ・・ 』

(4)甲第4号証、甲第4号証の2、甲第4号証の3
(4-1)甲第4号証
・4a[特許請求の範囲]
『 【請求項1】
化1で表されるジカルボン酸と化2で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステルを含有する浸透促進剤。
(化1)
HO-CO-R1-CO-OH
(式中、R1は炭素数2?10の直鎖、分岐鎖若しくは環状の炭化水素基を表す)
(化2)
R2-(OCH2CH2)n-OH
(式中、R2は炭素数1?12の直鎖、分岐鎖若しくは環状の炭化水素基であり、nは2?11の整数を表す)
・・・
【請求項7】
水溶性の有効成分を浸透促進させることを特徴とする請求項1?6の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項8】
請求項1?6の何れかに記載の浸透促進剤と水溶性有効成分とを含有する化粧料又は皮膚外用剤。』

・4b[【0004】?【0006】]
『 【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとしている課題は、毛髪若しくは皮膚への優れた浸透促進効果を有し、更に水溶性を兼ね備えた浸透促進剤を提供することにある。また、該浸透促進剤と水溶性有効成分とを含有した、有効成分の浸透性に優れる化粧料又は皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、化1で表されるジカルボン酸と化2で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステルを用いると、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
・・・
【発明の効果】
【0006】
本発明のジエステルを含有する浸透促進剤は、有効成分の毛髪若しくは皮膚への優れた浸透促進効果を有し、更に水溶性を兼ね備えたものであるため、化粧料又は皮膚外用剤に好ましく配合することが可能であり、化粧料又は皮膚外用剤の有効成分の効果を増強させることができる。また、本発明の化粧料又は皮膚外用剤は、上記の浸透促進剤の効果により、有効成分の有用性を高められたものである。』

・4c[【0010】?【0012】]
『 【0010】
本発明に用いる化1で表されるジカルボン酸と化2で表されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステルとして・・・、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステルが最も好ましい。
【0011】
本発明に用いるジエステルの製造方法は・・・原料のジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物とポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを無溶媒で150?260℃でエステル化反応させると、経済的に有利に製造できる。・・・
【0012】
このようにして得られたジエステルは・・・そのまま浸透促進剤として用いることができるが、酸化防止剤や他の化粧料用又は皮膚外用剤用保湿剤・感触向上剤等と混合して用いることもできる。酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体;・・・等を用いることができる。・・・』

・4d[【0013】]
『 【0013】
本発明の浸透促進剤は・・・化粧料又は皮膚外用剤に有効成分の浸透促進目的で好ましく配合することができる。本発明の浸透促進剤の化粧料又は皮膚外用剤への配合量は、特に限定されないが、ジエステルとして0.01?99重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1?50重量%、更に好ましくは0.2?20重量%である。』

・4e[【0014】]
『 【0014】
一方、本発明の化粧料又は皮膚外用剤は、本発明の浸透促進剤と水溶性有効成分とを含有するものである。・・・。本発明の化粧料又は皮膚外用剤に含有させる水溶性有効成分としては、十分な水溶性があり、毛髪又は皮膚に有効性を発揮する成分であれば特に制限はないが、具体例を挙げると、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等のアシル化ペプチド類;ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等のアミノ酸類及びその塩並びに誘導体;18-メチルエイコサン酸塩、分岐脂肪酸(12?31)塩、ラノリン脂肪酸塩、エチル硫酸18-メチルエイコサン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12?31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の18-メチルエイコサン酸及びアンテイソ脂肪酸誘導体;糖セラミド等の水溶性スフィンゴ脂質;アスコルビン酸及びそのナトリウム等の塩等のビタミンC類;アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸-2-グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、パルミトイルアスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸リン酸エステル塩等のアスコルビン酸誘導体;チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、コリン類等のビタミンB群類;パントテン酸、パンテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン等のその他ビタミン類;トコフェロールリン酸エステル等の水溶性ビタミンE類;アルブチン、α-アルブチン等のヒドロキノン配糖体及びそのエステル類;コウジ酸、エラグ酸塩、トラネキサム酸塩及びその誘導体、フェルラ酸塩及びその誘導体、プラセンタエキス、グルタチオン、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、グアイアズレン、アラントイン、インドメタシン、カフェイン、α-リポ酸、ルチン及び配糖体等の誘導体;ヘスペリジン及び配糖体等の誘導体;西河柳エキス等の各種植物エキス等が挙げられる。本発明の化粧料又は皮膚外用剤への水溶性有効成分の配合量は、有効成分の種類によって異なるが、概ね0.01?10重量%である。』

・4f[【0015】?【0028】]
『 【0015】
また、本発明の化粧料又は皮膚外用剤には、必要に応じて一般的に化粧料又は皮膚外用剤に配合される添加成分、例えば油性基剤、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、水等を配合することができる。
・・・
【0018】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が好ましいものとして挙げられる。界面活性剤のHLBには特に制限はなく、1程度の低いものから20程度の高いものまで使用でき、HLB低いものと高いものを組み合わせることも好ましい。界面活性剤として好ましいものを例示すると、陰イオン性界面活性剤では、ラウリン酸カリウム・・・等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム・・・等のアルキル硫酸エステル塩;ラウレス硫酸ナトリウム・・・等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;・・・リン脂質類;・・・シリコーン系陰イオン性界面活性剤等;非イオン界面活性剤では、・・・種々のポリオキシエチレン付加数のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;・・・ヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンフィトステロール;ポリオキシエチレンコレステロール;ポリオキシエチレンコレスタノール;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン;・・・ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール;・・・(ポリ)グリセリンポリオキシプロピレングリコール;ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸部分エステル類;ステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、同10、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(ジイソステアリン酸ジグリセリル)、同3、同10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、同3、同4、同5、同6、同8、同10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、デカオレイン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;・・・等の糖誘導体部分エステル;・・・等;陽イオン性界面活性剤では、・・・アルキルトリメチルアンモニウムクロリド;・・・アルキルトリメチルアンモニウムブロミド;・・・ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;・・・脂肪酸アミドアミン及びその塩;・・・;ポリアミン脂肪酸誘導体;・・・シリコーン系陽イオン性界面活性剤等;
両性界面活性剤では、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ酸ベタイン;・・・等;高分子界面活性剤では、・・・が好ましいものとして挙げられる。
・・・
【0025】
美白剤としては、アルブチン、α-アルブチン等のヒドロキノン配糖体及びそのエステル類;・・・、アスコルビン酸-2-グルコシド等のアスコルビン酸グルコシドおよびその脂肪酸エステル類、・・・が好ましいものとして挙げられる。
【0026】
ビタミン類及びその誘導体類としては、・・・、アスコルビン酸-2-グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステル、・・・、その他各種ビタミン誘導体類が好ましいものとして挙げられる。
【0027】
消炎剤・抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、・・・が好ましいものとして挙げられる。・・・
【0028】
植物・動物・微生物エキス類としては、・・・、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。』

・4g[実施例1]
『 【0042】
実施例1 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステルの合成、及びこれを含有する浸透促進剤組成物の調製
・・・反応器に1,4-シクロヘキサンジカルボン酸602g(3.5モル)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル1503g(11.2モル)を仕込み、窒素を吹き込みながら150℃?230℃に加熱し、水を留去しながら33時間反応させた。次いで、未反応のジエチレングリコールモノエチルエーテルを減圧留去し、スチーム脱臭を行い、目的の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル1358g(収率96%)を得た。・・・。得られた1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステルにδ-d-トコフェロール0.03重量%を添加し、攪拌、混合することにより、浸透促進剤組成物1(1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル99.97重量%、δ-d-トコフェロール0.03重量%の浸透促進剤組成物)を得た。』

・4h[実施例26]
『 【0062】
実施例26 乳液
下記処方の乳液を調製した。この乳液は、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン等の有効成分の浸透性に優れるものであった。

成 分 配合量(重量%)
---------------------------------
1 実施例1の浸透促進組成物 5.0
2 スクワラン 8.0
3 IOTG(日本精化) 8.0
4 セチルジメチコンコポリオール 1.0
5 ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 0.8
6 ポリソルベート40 3.0
7 ステアリン酸グリセリル 1.0
8 テトラオレイン酸ソルベス-60 1.0
9 ジメチコン(10cs) 4.0
10 エチルパラベン 0.1
11 メチルパラベン 0.1
12 フェノキシエタノール 0.2
13 加水分解コラーゲン 0.2
14 加水分解ケラチン 0.2
15 カルボマー 0.5
16 水酸化K 0.2
17 精製水 合計で100となる量
---------------------------------
(調製方法)
No.17の一部にNo.15を加え、よく攪拌した後No.16を加えて粘性の液とする(A部)。No.1、11?12、残余のNo.17を約80℃に加温し、溶解させる(B部)。No.2?10を約70℃に加温し、溶解させる(C部)。C部に、攪拌しながらB部を加え、ホモミキサーにて70℃で5分間攪拌する。約50℃まで冷却し、A部、No.13、14を加え、攪拌ながら室温まで冷却する。』

(4-2)甲第4号証の2
・4i
『 ・・・
表示名称 加水分解コラーゲン
・・・ ・・・
定義 本品は、コラーゲン(^(*))を酸、酵素又は他の方法により加水分解して得られるものである。
・・・ ・・・ 』

(4-3)甲第4号証の3
・4j
『 ・・・
表示名称 水溶性コラーゲン
・・・ ・・・
定義 本品は、哺乳動物又は魚介類、鳥類等の結合組織から得られる可溶性の非加水分解天然タンパクである。
・・・ ・・・ 』

2.対比・判断

2-1.甲第1号証を主引例とする新規性及び進歩性の判断

(1)甲第1号証に開示された発明
上の摘示事項1a及び1cによれば、甲第1号証から
「 活性成分として アスコルビルグルコシド,グリチルリチン酸2K;
及び
その他の成分として DPG,BG,グリセリン(化粧グレード),1,2-ペンタンジオール,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール,フェノキシエタノール,クエン酸ナトリウム,エデト酸四ナトリウム,アルブチン,キサンタンガム,PPG-2ブテス-2,ヒアルロン酸Na,ポリエチレングリコール,硬化ヒマシ油(加水分解),ピロ亜硫酸Na,アルニカエキス(エキス),タイソウエキス(エキス),ヒメフウロエキス(エキス),ヒナギク花エキス(エキス),オタネニンジンエキス(エキス,根),オウゴンエキス(エキス,根),ローヤルゼリーエキス(エキス),ポリクオタニウム-51(リピジュア),青201(エキス),サルガッスムムティカムエキス(エキス),アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸),カミツレエキス(エキス),グリセリン,オレイン酸ポリグリセリル-2,水素添加大豆リン脂質(加水分解),トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル,レシチン,コメヌカ油,コレステロール(コレステロールフリー),コメヌカスフィンゴ糖脂質(フスマ),セラミド-2,オレイン酸,パルミチン酸,水酸化ナトリウム,クエン酸,水;
からなる、Excellula Whiteningブランドの「Lotion」なる名称のスキンケア製品」
の発明(以下、単に「引用発明1」ということがある)が把握され、また、摘示事項1bによれば、当該発明のスキンケア製品が、本件特許出願前の2016年2月16日に日本国内において発売された(即ち、公然実施をされた)ことを把握することができる。

(2)対比・判断

(2-1)本件発明1について
(i) 本件発明1と引用発明1とを対比する。
・引用発明1のアスコルビルグルコシド、グリチルリチン酸2K、アルブチン、ローヤルゼリーエキス(エキス)は、この順に、本件発明1における「成分(B)」中の「L-アスコルビン酸2-グルコシド」、「グリチルリチン酸ジカリウム」、「アルブチン」、「ローヤルゼリーエキス」に相当し;
・引用発明1のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、本件明細書中の表1?3で本件発明の実施例において本件発明1の成分(A)として採用されている「ジカルボン酸エステル(A)」であるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(本件明細書【0034】)と同一化合物成分であって、化学構造上、本件発明1の「(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル」に相当し;
・引用発明1のオレイン酸ポリグリセリル-2は、摘示事項1dによれば、HLBが5.5であるから、本件発明1の「(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する;
ことを踏まえると、両者は
「 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルであるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、
(B)グリチルリチン酸ジカリウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、及びローヤルゼリーエキスの4種の生理活性物質、及び
(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステルであるオレイン酸ポリグリセリル-2
を含有する 化粧料 」
の点で一致するが、
1) 成分(A)の含有量について、本件発明1では「0.1?5質量%」であるのに対し、引用発明1ではそのような限定はない点;
2) 「成分(A)と成分(B)の含有質量比(A/B)」及び「成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)」について、本件発明1ではA/Bが「0.1?50」であり、A/Cが「0.1?200」であるのに対し、引用発明1ではA/BについてもA/Cについてもそのような特段の限定はない点;
(以下、順に「相違点1」、「相違点2」ということがある)において、相違する。

(ii)新規性について
上の(i)での対比のとおり、引用発明1は本件発明1と同一の発明ではないから、本件発明1は甲第1号証に基づいて本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるということはできない。

(iii)進歩性について
以下、上の(i)の相違点1及び2について検討する。

(iii-1)相違点1について
甲第1号証からは、引用発明1の(A)相当成分:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール の含有量を0.1?5質量%とすることの動機付けとなるような特段の記載乃至示唆を見出すことはできない。
また、この点に関し、引用発明1のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、その化学構造からみて甲第4号証における浸透促進剤に相当するところ(摘示事項4c、4g)、甲第4号証における当該浸透促進剤の化粧料への配合量は「特に限定されないが、ジエステルとして0.01?99重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1?50重量%、更に好ましくは0.2?20重量%であ」り(摘示事項4d)、かかる広範囲の配合割合の中から、例えば引用発明1における上記シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールのような経皮浸透促進剤の配合量として特に0.1?5質量%の範囲を好ましく採用することの具体的な動機付けは、当業者といえども直ちに得ることができたとはいえない。甲第1、4号証以外の他の甲号証の記載事項(1.)を併せ踏まえても同様である。

(iii-2)相違点2について
ア. 甲第1号証中には、引用発明1の(A)相当成分:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの質量 と、(B)相当成分:グリチルリチン酸ジカリウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、及びローヤルゼリーエキスの合計質量 との比(即ちA/B)を0.1?50の範囲内とすることの動機付けとなるような特段の記載乃至示唆を見出すこともできない。
また、引用発明1における(B)相当成分:アスコルビルグルコシド、グリチルリチン酸2K、アルブチン、ローヤルゼリーエキス(エキス)の4種の生理活性物質 のうち、前3者は、甲第4号証においても「水溶性有効成分」の例としてそれぞれ「アスコルビン酸-2-グルコシド」、「グリチルリチン酸及びその誘導体」、「アルブチン」として例示されているが(例えば摘示事項4e)、同甲第4号証では、それら「水溶性有効成分」の化粧料への配合量については、「有効成分の種類によって異なるが、概ね0.01?10重量%である」(摘示事項4e)とされているのみである。その他、甲第4号証では、上記4種の生理活性物質は、「水溶性有効成分」以外の「必要に応じて一般的に化粧料又は皮膚外用剤に配合される添加成分」として例示される成分のうち「美白剤」、「ビタミン類及びその誘導体類」、「消炎剤・抗炎症剤」、「植物・動物・微生物エキス」のいずれかとして例示されてもいるものの(摘示事項4f)いわば任意成分としてのそれら生理活性物質の化粧料中への好ましい配合量についてまで、特段の記載乃至示唆がなされているわけでもない。
ましてや、それら甲第4号証の記載乃至示唆を踏まえても、引用発明1の(A)相当成分の質量と(B)相当成分の合計質量との比(A/B)を好ましくは特に0.1?50の範囲内とすることの具体的な動機付けまでは、当業者といえども直ちに得ることができたとはいえない。
甲第1、4号証以外の他の甲号証の記載事項(1.)を併せ踏まえても同様である。

イ. さらに、甲第1号証には、引用発明1の(A)相当成分:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの質量 と、(C)相当成分:オレイン酸ポリグリセリル-2の質量 との比(A/C)を0.1?200の範囲内とすることの動機付けとなるような特段の記載乃至示唆を見出すこともできない。
また、引用発明1における(C)相当成分:オレイン酸ポリグリセリル-2等のポリグリセリン脂肪酸エステルについては、甲第4号証においても、同号証の化粧料中の配合成分として採用し得ることの記載がなされているものの(摘示事項4f)、それはあくまで同号証の発明に係る化粧品における「水溶性有効成分」及び「浸透促進剤」(摘示事項4a)以外の、いわば任意成分の一である「界面活性剤」としての記載がなされているに過ぎず(摘示事項4f)、しかも、当該「界面活性剤」としては、上記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外にも、様々な種類の「非イオン界面活性剤」、及び様々な「陰イオン性活性剤」、「陽イオン性界面活性剤」、「両性界面活性剤」、「高分子界面活性剤」のいずれかも同様に採用し得ることが記載され、それら「界面活性剤」がとり得るHLB値も「特に制限はなく、1程度の低いものから20程度の高いものまで使用でき、HLB低いものと高いものを組み合わせることも好ましい」(摘示事項4f)とされているのみである。
してみると、これら甲第4号証の「界面活性剤」に係る記載乃至示唆(摘示事項4f)、及び、同号証の「浸透促進剤」の化粧料への配合量に関する記載乃至示唆(摘示事項4d)に基づくことによっては、引用発明1の(A)相当成分:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール と (C)相当成分:オレイン酸ポリグリセリル-2 との含有質量比(A/C)を特に0.1?200とすることの動機付けを得ることまでは、当業者といえども直ちに得ることができたとはいえない。
甲第1、4号証以外の他の甲号証の記載事項(1.)を併せ踏まえても同様である。

ウ. これらア.?イ.の検討結果を踏まえると、1.の各甲号証の記載乃至示唆を併せ考慮したとしても、引用発明1に含まれる(A)相当成分:シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、(B)相当成分:アスコルビルグルコシド、グリチルリチン酸2K、アルブチン、ローヤルゼリーエキス(エキス)の4種の生理活性物質、及び(C)相当成分:オレイン酸ポリグリセリル-2 について、A/Bを0.1?50の範囲内とし、かつ、A/Cを0.1?200の範囲内とすることが、当業者にとり直ちに容易に想到し得たとまではいうことはできない。

(iii-3)相違点1及び2の要件と生理活性物質の経皮浸透性との関係について
ア. さらに、本件明細書の実施例の項(【0027】?【0034】)には、上記相違点1及び2に係る要件を具備するか否かによる、正常ヒト皮膚3次元モデルEPI-606X(クラボウ製)(【0028】)への一定条件下での経皮吸収指数(各表で成分(A)、成分(C)を配合していない比較例1の経皮吸収量を経皮吸収指数100とする)を指標とした場合の、様々な生理活性物質の経皮浸透性の差異について、次の表1?3の試験結果が記載されている。
(表1(ローション))




(表2(水中油型乳化組成物(クリーム)))




(表3(水中油型乳化組成物(乳液)))




[ ※合議体注:本件明細書の【0034】によれば、
(ア1) 表1?表3中の各「ジカルボン酸エステル(A)」は、「商品名Neosolue^(TM)-Aqulio 日本精化株式会社 シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール」であって、その化学構造上、本件発明1の成分(A):「ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル」に該当し;
(ア2) 表1中の「ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(C):商品名EMALEX DISG-2 日本エマルジョン株式会社」、表2中の「ジステアリン酸ポリグリセリル-2(C):商品名EMALEX DSG-2 日本エマルジョン株式会社 」、及び表3中の「トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(C):商品名NIKKOL DGTIS 日光ケミカルズ株式会社」の各HLBは、順に4、4、及び3(この点については、要すれば、例えば特許権者が本件特許出願の審査係属時に提出した平成30年2月19日受付意見書に添付した資料3:日本エマルジョン株式会社による「EMALEX AMITER and PYROTER 2015-2016」商品カタログ 中の各対応する「表示名称」の行の「HLB」欄を参照のこと)であるから、いずれも本件発明1の成分(C):「HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル」に該当し;
(ア3) 表1中の「ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10:商品名EMALEX DISG-10EX 日本エマルジョン株式会社」は、上記(ア2)の資料3中の対応する「表示名称」の行の「HLB」欄によればHLB=10であることから、本件発明1の成分(C)とは異なる、いわば成分(C)の比較対照であるポリグリセリン酸脂肪酸エステルとして(比較例8のローションにおいて)採用されているものと解される(なお、この点については、上記平成30年2月19日受付意見書の4.(4)における特許権者の説明からも理解できる)。 ]

イ.ここで、これら表1?表3の実施例-比較例間の経皮浸透性上の差異に係る試験結果をみた当業者は、少なくとも次の事項(イ1)?(イ2)を把握し得るものといえる。
(イ1) 表1?表3で採用されている(A)相当成分:「ジカルボン酸エステル(A)」即ちシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、引用発明1のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールと同一成分であり、また当該成分は、甲第4号証における水溶性有効成分の皮膚に対する「浸透促進剤」に相当するものである(例えば摘示事項4c、4g)。そうすると、かかる甲第4号証の知見に基づけば、上記水溶性有効成分に相当する何らかの生理活性物質を含む化粧料において、当該(A)相当成分が摘示事項4dに記載乃至示唆される範囲内の量で多少なりとも配合されていれば、それ相応の当該生理活性物質の皮膚への浸透促進性の向上がもたらされる(本件明細書の実施例の試験条件下では、経皮吸収指数が基準値100(成分(A)、(B)を共に含まない対照化粧料の場合)を超えて増大する)ものと予測される。
しかしながら、かかる予測に反し、実際には、上記(A)相当成分が配合された態様であっても、上記相違点1及び2に係る要件を併せ具備する化粧料でなければ、本件発明1の(B)相当成分である生理活性物質の経皮吸収性は促進されず、むしろ抑制される傾向すらみられる場合がある。
[ 具体的には、
・(B)相当成分がグリチルリチン酸ジカリウムである場合の表3の比較例24(経皮吸収指数96); や
・(B)相当成分がL-アスコルビン酸2-グルコシドである場合の表2の比較例15(経皮吸収指数96);
を参照のこと。なお、これらグリチルリチン酸ジカリウムやL-アスコルビン酸2-グルコシドは、いずれも甲第4号証中で(上記(A)相当成分:「ジカルボン酸エステル(A)」即ちシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等の)「浸透促進剤」により経皮浸透(経皮吸収)が促進され得る「水溶性有効成分」として例示されている生理活性物質である(摘示事項4e)]。
また、本件発明1の(B)成分には該当しないが、例えば(B)相当成分である生理活性物質がトラネキサム酸又はショウキョウエキス(これらがいずれも水溶性であることは周知であり、甲第4号証にいう「水溶性有効成分」に相当するものといえる)の場合にも、上記(A)相当成分が配合されていても上記相違点1及び2に係る要件を併せ具備していない化粧料の場合では、成分(A)及び成分(C)を含まない比較例1の対照化粧料に比して経皮吸収性は促進されず、むしろ抑制をもたらす傾向がある例すらみられる場合がある(例えば、
・(B)相当成分がトラネキサム酸である場合の表1の比較例6、比較例8(順に経皮吸収指数95、98); や
・(B)相当成分がショウキョウエキスである場合の表2の比較例17(経皮吸収指数96)
を参照のこと)。
(イ2) (A)相当成分の配合により経皮吸収性が向上している化粧料の態様であっても、本件発明1の(B)に規定されるいずれかの生理活性物質、及びそれら以外の様々な生理活性物質のいずれか1種又は2種以上を含む化粧料において、上記相違点1及び2に係る要件を併せ充足しない態様の化粧料の場合には、比較対照化粧料に対する各生理活性物質の経皮吸収性は、高々1.35倍程度(表1の比較例7(経皮吸収指数135))向上するに過ぎない。

即ち、これら本件明細書の実施例の試験結果を示す表1?表3のデータは、
・化粧料において生理活性物質の経皮浸透促進剤として機能することが知られていた本件発明1の成分(A):ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルを有意に配合してなる化粧料であっても、実際には、経皮吸収促進対象である生理活性物質(本件発明1の(B)相当成分)の種類によっては、当該生理活性物質の経皮吸収性は向上せず、むしろ抑制される傾向がみられる場合すらあり((イ1));
・また、経皮吸収性が向上する場合であっても、上記相違点1及び2に係る要件を共に充足する態様のものでなければ、その向上の程度は高々1.35倍程度である((イ2));
ということを実証しているものと理解できる。
してみると、このような本件明細書の記載に基づく上記理解事項を踏まえればなおのこと、引用発明1において、(B)成分に相当する生理活性物質の経皮浸透性をより顕著に(例えば上記1.35倍を超えて)向上せしめることを企図して、(A)?(C)相当成分における上記相違点1及び2に係る要件を併せ充足せしめることが、当業者にとり容易に想到し得た、とは、到底いえるものではない。

(iii-4)本件発明の効果について
そして、本件明細書の実施例の表1?表3の試験結果によれば、本件発明1は、成分(B)として請求項1に記載される特定の13種の生理活性物質のいずれかを採用し、かつ、成分(A)?(C)について上記相違点1及び2に係る要件を併せ具備する化粧料とすることにより、成分(B)の経皮吸収性の向上において、本件明細書の表1?3の各比較例の化粧料から予想されるところを超えて優れた顕著な効果(経皮吸収指数500超)をもたらすものである(具体的には、表1?表3中の
・成分(B)がグリチルリチン酸ジカリウムの場合:実施例2、実施例28;
・成分(B)がグルコン酸の場合:実施例5;
・成分(B)が水溶性プラセンタ-エキスの場合:実施例8;
・成分(B)が塩酸ジフェンヒドラミンの場合:実施例9;
・成分(B)がグリシンの場合:実施例11;
・成分(B)がニコチン酸アミドの場合:実施例12;
・成分(B)がL-アスコルビン酸2-グルコシドの場合:実施例14;
・成分(B)がアルブチンの場合:実施例19、実施例33;
・成分(B)がパントテニルアルコールの場合:実施例22;
・成分(B)がセリンの場合:実施例25;
・成分(B)がローヤルゼリーエキスの場合:実施例32;
・成分(B)がトリプトファンである場合:実施例39;
・成分(B)がコウジ酸である場合:実施例42;
を参照のこと)。

(iii-5) 以上、(iii-1)?(iii-4)での検討のとおりであるから、本件発明1は、甲第1号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。甲第1号証以外の他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても同様である。

(iv)申立人の主張について
ア. 申立人は、異議申立書において、甲第1号証、甲第2号証の記載内容において、各成分の配合量は不明であるが、成分表示欄の記載順や本件発明1の各成分の配合量(質量比)が当該技術分野における一般的な値(例えば甲第4号証の【0013】、【0014】、実施例26の記載を参照)であることを考慮すると、甲第1号証、甲第2号証の各化粧料における各成分の配合量は本件請求項1に記載される数値範囲を満たしている蓋然性が高く、よって本件発明1は、甲第1号証の記載からその出願前に日本国内において公然実施された発明であるから特許法第29条第1項第2号に該当するか、もしくは、甲第1号証に開示される公然実施された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであることを主張する[異議申立書第10頁第12?22行]。

イ. しかしながら、本件発明1に規定される成分(A)、(B)及び(C)を併せ含有する化粧料において、上記相違点1及び2に係る次の要件:
1)成分(A)の含有量を0.1?5質量%とし;
2)A/Bを0.1?50とし、A/Cを0.1?200とする;
を併せ充足せしめることは、申立人が引用する甲第4号証の【0013】、【0014】、実施例26には何ら具体的に記載乃至示唆されておらず(甲第4号証の4d、4e、4h。なお、甲第4号証における実施例26の化粧料(「乳液」)は、生理活性物質として本件発明1の(B)に規定されるいずれかの生理活性物質を含むものではない)、他の甲号証にも何ら具体的に記載乃至示唆されていないから、本件発明1における上記1)?2)の規定に係る成分(A)?(C)の配合量が「当該技術分野における一般的な値」である旨の申立人の上記主張は、その前提となる具体的又は合理的な根拠を欠くものといわざるを得ない。
そして、もしくは甲第1号証、甲第4号証及びそれら以外の甲号証を併せ考慮しても、引用発明1の化粧料において、(A)?(C)の各相当成分について当該1)?2)の規定に関する上記相違点1及び2の要件を併せ充足せしめる化粧料を得ることが、当業者に容易に想到し得たとはいえず、また、本件発明1の成分(A)?(C)を含む化粧料において当該相違点1及び2の要件を併せ充足せしめることで、そうでない化粧料に比して、(B)成分の経皮吸収性の向上において顕著な効果がもたらされることも、上の(iii)で述べたとおりである。

ウ. よって、申立人による上記ア.の主張は、そもそもその前提において具体的又は合理的な根拠を欠くものであり、採用できない。

(v)小括
以上、(i)?(iv)での検討のとおりであるから、本件発明1は、甲第1号証の開示からその出願前に日本国内又は外国において公然実施された発明であるとはいえないし、また、申立人が提出した他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第1号証に開示される公然実施された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、いずれも本件発明1の従属発明であって、本件発明1と同様に、(2-1)(i)で挙げた相違点1及び2の要件を共に具備するものである。
そして、(2-1)(ii)?(v)で述べたとおり、本件発明1は、甲第1号証に開示される本件特許出願前公然実施をされた発明であるということはできないし、また、その他の申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第1号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないのだから、同じ相違点1及び2に係る要件を併せ具備する本件発明2?4についてもまた、甲第1号証に開示される本件特許出願前公然実施をされた発明であるということはできないし、また、その他の申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第1号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

2-2.甲第2号証を主引例とする新規性及び進歩性の判断

(1)甲第2号証に開示された発明
上の摘示事項2a及び2cによれば、甲第2号証から
「 活性成分としてアスコルビルグルコシド,グリチルリチン酸2K;
及び
不活性成分として 水,BG,グリセリン,シクロペンタシロキサン,トリエチルヘキサノイン,ジフェニルジメチコン,酸化チタン,マイカ,ポリメタクリロイルリシン,水素添加大豆リン脂質(加水分解,ダイズ由来),メリッサ葉エキス(エキス),セイヨウノコギリソウエキス(エキス),クララ根エキス(エキス),アルニカエキス(エキス),クインスシードエキス(エキス),ダイズステロール,(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリル,ペンタステアリン酸デカグリセリル,ベヘニルアルコール,ジメチコン,水酸化カリウム,ステアリン酸ポリグリセリル-10,キサンタンガム,アルコール,トリメチルシロキシケイ酸,ステアロイル乳酸Na,メチコン,含水シリカ(含水、水和),クエン酸ナトリウム,アルコール,ポリアクリル酸アンモニウム,クエン酸,トコフェロール,乾燥水酸化アルミニウムゲル,酸化チタン,ココグリセリル硫酸Na,タルク,ピグメントイエロー42,酸化鉄(CI 77491),メチルパラベン,プロピルパラベン,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール;
からなる、WHITISSIMOブランドの「UV Protector Bright」なる名称のスキンケア製品」
の発明(以下、単に「引用発明2」ということがある)が把握され、また、摘示事項2bによれば、当該発明のスキンケア製品が、本件特許出願前の2010年2月23日に日本国内において発売された(即ち、公然実施をされた)ことを把握することができる。

(2)対比・判断

(2-1)本件発明1について
(i) 本件発明1と引用発明2とを対比する。
・引用発明2のアスコルビルグルコシド、グリチルリチン酸2Kは、この順に、本件発明1における「成分(B)」中の「L-アスコルビン酸2-グルコシド」、「グリチルリチン酸ジカリウム」に相当し;
・引用発明2のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、本件明細書中の表1?3で本件発明の実施例において本件発明1の成分(A)として採用されている「ジカルボン酸エステル(A)」であるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(本件明細書【0034】)と同一化合物成分であって、化学構造上、本件発明1の「(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル」に相当し;
・引用発明2のペンタステアリン酸デカグリセリルは、摘示事項2dによれば、HLBが3.5であるから、本件発明1の「(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する;
ことを踏まえると、両者は
「 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルであるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、
(B)グリチルリチン酸ジカリウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、及びローヤルゼリーエキスの4種の生理活性物質、及び
(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタステアリン酸デカグリセリル
を含有する 化粧料 」
の点で一致するが、
1) 成分(A)の含有量について、本件発明1では「0.1?5質量%」であるのに対し、引用発明2ではそのような限定はない点;
2) 「成分(A)と成分(B)の含有質量比(A/B)」及び「成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)」について、本件発明1ではA/Bが「0.1?50」であり、A/Cが「0.1?200」であるのに対し、引用発明2ではA/BについてもA/Cについてもそのような特段の限定はない点;
において相違する。
そして、当該2つの相違点は2-1.(2)(2-1)(i)の相違点1、相違点2と同じである(以下、単に「相違点1」、「相違点2」ということがある)。

(ii)新規性について
上の(i)での対比のとおり、引用発明2は本件発明1と同一の発明ではないから、本件発明1は甲第2号証に基づいて本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であるということはできない。

(iii)進歩性について
ア. 2-1.(2)(2-1)(iii)で述べたとおり、
・本件発明1に規定される成分(A)、(B)及び(C)を併せ含有する化粧料において、上記相違点1及び2に係る次の要件:
1)成分(A)の含有量を0.1?5質量%とし;
2)A/Bを0.1?50とし、A/Cを0.1?200とする;
を併せ充足せしめることは、甲第2号証、甲第4号証、及び申立人が引用するそれら以外の甲号証のいずれにも何ら具体的に記載乃至示唆されていないことから、引用発明2の化粧料において、(A)?(C)の各相当成分について当該1)?2)の規定に関する上記相違点1及び2の要件を併せ充足せしめる化粧料を得ることが、当業者に容易に想到し得たとはいえない。また、本件発明1の成分(A)?(C)を含む化粧料において当該相違点1及び2の要件を併せ充足せしめることで、そうでない化粧料に比して、(B)成分の経皮吸収性の向上において顕著な効果がもたらされることも、上の2-1.(2)(2-1)(iii)で述べたとおりである。

イ. してみれば、2-1.(2)(2-1)(iii)で述べたのと同様の理由により、本件発明1は、甲第2号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。甲第2号証以外の他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても同様である。

(iv)申立人の主張について
また、異議申立書における甲第2号証に基づく取消理由1,2に関する主張[異議申立書第10頁第12?22行]が、そもそもその前提において具体的又は合理的な根拠を欠くものであって採用できないこともまた、2-1.(2)(2-1)(iii)で述べたとおりである。

(v)小括
以上、(i)?(iv)での検討のとおりであるから、本件発明1は、甲第2号証の開示からその出願前に日本国内又は外国において公然実施された発明であるとはいえないし、また、申立人が提出した他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第2号証に開示される公然実施された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、いずれも本件発明1の従属発明であって、本件発明1と同様に、(2-1)(i)で挙げた相違点1及び2の要件を共に具備するものである。
そして、(2-1)で検討したとおり、本件発明1は、甲第2号証に開示される本件特許出願前公然実施をされた発明であるということはできないし、また、その他の申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第2号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないのだから、同じ相違点1及び2に係る要件を併せ具備する本件発明2及び4についてもまた、甲第2号証に開示される本件特許出願前公然実施をされた発明であるということはできないし、また、本件発明2?4は、その他の申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても、甲第2号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

2-3.甲第3号証を主引例とする進歩性の判断

(1)甲第3号証に開示された発明
上の摘示事項3c中において、「成分(標準形式)」における成分組成は「成分(パッケージ表示)と同様と解されることから、前者中のジイソステアリン酸ポリグリセリルは、後者中のジイソステアリン酸ポリグリセリル-2に対応する。
この点を踏まえつつ、摘示事項3a及び3cをみると、甲第3号証から
「 水,イソステアリン酸PEG-8グリセリル,ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル,流動パラフィン,グリセリン,BG,2-エチルヘキサン酸セチル,シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール,ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2,カフェイン,トコフェロール,ヒアルロン酸Na,イングリッシュラベンダーオイル,加水分解コラーゲン(Hydrolysed),水溶性コラーゲン(水溶性),BHT,エデト酸Na,クエン酸,クエン酸ナトリウム,ミリスチン酸イソプロピル,フェノキシエタノール,メチルパラベン
からなる、Koseブランドの「Cleansing Oil」なる名称のスキンケア製品」
の発明(以下、単に「引用発明3」ということがある)が把握され、また、摘示事項3bによれば、当該発明のスキンケア製品が、本件特許出願前の2016年2月16日本国内において発売された(即ち、公然実施をされた)ことを把握することができる。

(2)対比・判断

(2-1)本件発明1について
(i) 本件発明1と引用発明3とを対比する。
・引用発明3のシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、本件明細書中の表1?3で本件発明の実施例において本件発明1の成分(A)として採用されている「ジカルボン酸エステル(A)」であるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(本件明細書【0034】)と同一化合物成分であって、化学構造上、本件発明1の「(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル」に相当し;
・引用発明3のジイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、摘示事項3dによれば、HLBが4であるから、本件発明1の「(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当する;
ことを踏まえると、両者は
「 次の成分(A)及び(C):
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルであるシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、
(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステルであるジイソステアリン酸ポリグリセリル-2
を含有する 化粧料 」
の点で一致するが、
3) 本件発明1では、成分(A)及び成分(C)と共に次の成分(B):「(B)グリチルリチン酸ジカリウム、グルコン酸、水溶性プラセンターエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、グリシン、ニコチン酸アミド、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、パントテニルアルコール、セリン、ローヤルゼリーエキス、トリプトファン及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上の生理活性物質」を含有するのに対し、引用発明3ではそのようなことは規定されていない点;
4) 成分(A)の含有量について、本件発明1では「0.1?5質量%」であるのに対し、引用発明3ではそのような限定はない点;
5) 「成分(A)と成分(B)の含有質量比(A/B)」及び「成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)」について、本件発明1ではA/Bが「0.1?50」であり、A/Cが「0.1?200」であるのに対し、引用発明3ではA/BについてもA/Cについてもそのような特段の限定はない点;
(以下、順に「相違点3」?「相違点5」ということがある)において、相違する。

(ii) 以下、上記相違点について検討する。
(ii-1)相違点3について
引用発明3は、生理活性物質として2種のタイプのコラーゲン、即ち加水分解コラーゲン及び水溶性コラーゲン、を含有するものであるところ、そもそも引用発明3のスキンケア製品は、保湿のためにヒアルロン酸、カフェイン及びグリセリンと併せて当該2種のコラーゲンで強化してなるものであることを主な特徴点とするものであることから(摘示事項3b)、引用発明3において、例えば上記2種のコラーゲンに代えて、それら2種のコラーゲンのいずれかとは化学構造上及び性質上類似していない、本件発明1の成分(B)に規定される13種の生理活性物質のいずれかを配合することの動機付けなど、当業者といえども容易に得られるものではない。
また、甲第3号証には、引用発明3において、それら2種のコラーゲン等に加えて、本件発明1の成分(B)に規定される13種の生理活性物質のいずれかを配合することの動機付けとなる記載乃至示唆がなされている箇所を見出すこともできない。甲第3号証以外の他の甲号証を併せ考慮しても同様である。

(ii-2)相違点4、相違点5について
さらに、当該相違点4、相違点5は、2-1.(2)(2-1)(i)の相違点1、相違点2と同じであるところ、
・本件発明1に規定されるような成分(A)、(B)及び(C)を併せ含有する化粧料において、それら相違点1及び2に係る要件を併せ具備せしめることの動機付けは、申立人が提示した甲号証のいずれからも得ることができないこと; 及び、
・本件発明1は、当該成分(A)、(B)及び(C)を併せ含む化粧料において、当該相違点1及び2に係る要件を併せ充足せしめることで、そうでない化粧料に比して、(B)成分の経皮吸収性の向上において顕著な効果がもたらすものであること;
は、既に上の2-1.(2)(2-1)(iii)で詳述したとおりである。

(ii-3) これら(ii-1)?(ii-2)での検討結果を踏まえると、本件発明1は、甲第3号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。甲第3号証以外の他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を考慮しても同様である。

(iii)申立人の主張について
申立人は、異議申立書において、甲第4号証の【0014】及び実施例26の記載等を引用しつつ、甲第3号証の化粧料における加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲンに代えて本件発明1の生理活性物質を含有せしめた化粧料を得ることは当業者にとって容易になし得る旨を縷々主張している[異議申立書第10頁第23行?13頁第20行]が、それらの主張は、上の(ii)での検討・判断によらず、引用発明3において上記相違点3?5の相違点に係る要件を併せ全て具備せしめることが当業者にとり容易想到の範囲であり、またそうすることによる効果も予想外の顕著なものではない、ということを、何ら具体的かつ論理的に説明するものではない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

(iv)小括
以上、(i)?(iii)での検討のとおりであるから、本件発明1は、第3号証に開示される公然実施された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。申立人が提出した他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても同様である。

(2-2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、いずれも本件発明1の従属発明であって、本件発明1と同様に、(2-1)(i)で挙げた相違点3?5(即ち相違点1?3)の要件を共に具備するものである。
そして、(2-1)で検討したとおり、本件発明1は、申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても、甲第3号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないのだから、同じ相違点3?5(相違点1?3)に係る要件を併せ具備する本件発明2?4についてもまた、申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても、甲第3号証に開示された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

2-4.甲第4号証を主引例とする進歩性の判断

(1)甲第4号証に開示された発明
甲第4号証中で、実施例26として記載された「乳液」(摘示事項4h)は、請求項8の化粧料(摘示事項4a)の例として挙げられたものであって、同「乳液」中の成分1「実施例1の浸透促進組成物」(摘示事項4g、4h)中の主成分である1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル(摘示事項4c,4g)を請求項8の「浸透促進剤」として採用され、同「乳液」中の成分13「加水分解コラーゲン」及び成分14「加水分解ケラチン」は、摘示事項4cで例示されている請求項8の「水溶性有効成分」として採用されたものと解される。
そうすると、甲第4号証の特に実施例26(摘示事項4h)には、
「 下記の成分組成からなる乳液であって、成分1中の浸透促進剤により成分13:加水分解コラーゲン、成分14:加水分解ケラチン等の有効成分の浸透性が促進されてなる、乳液:

成 分 配合量(重量%)
---------------------------------
1 実施例1の浸透促進組成物 5.0
2 スクワラン 8.0
3 IOTG(日本精化) 8.0
4 セチルジメチコンコポリオール 1.0
5 ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 0.8
6 ポリソルベート40 3.0
7 ステアリン酸グリセリル 1.0
8 テトラオレイン酸ソルベス-60 1.0
9 ジメチコン(10cs) 4.0
10 エチルパラベン 0.1
11 メチルパラベン 0.1
12 フェノキシエタノール 0.2
13 加水分解コラーゲン 0.2
14 加水分解ケラチン 0.2
15 カルボマー 0.5
16 水酸化K 0.2
17 精製水 合計で100となる量
---------------------------------
ここで、成分1「実施例1の浸透促進組成物」は、浸透促進剤:1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル99.97重量%、及びδ-d-トコフェロール0.03重量%からなる浸透促進剤組成物である。」
の発明(以下、単に「引用発明4」ということがある)が記載されているものと認められる。

(2)対比・判断

(2-1)本件発明1について
(i) 本件発明1と引用発明4とを対比する。
・引用発明4の成分1中に含まれる浸透促進剤:1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル は、化学構造上、本件発明1の「(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル」に相当し;
・引用発明4の成分5:ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、甲第3号証の2(摘示事項3d)によれば、HLBが5であるから、本件発明1の「(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステル」に相当し;
・引用発明4の上記 1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル と ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 との質量比は、成分1の構成成分のほぼ100%(99.97%)が1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステルで占められていることから、
成分1の量/成分5の量 = 約5.0/0.8 = 約6.25
にほぼ等しく、これは本件発明1の「(A/C)が0.1?200である」に相当し;
・引用発明4における1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル(約5.0質量%) と 水溶性有効成分である加水分解コラーゲン(0.2質量%)及び加水分解ケラチン(0.2質量%) と含有質量比は
成分1の量/(成分13+成分14)の量
= 約5.0/(0.2+0.2) = 約12.5
である;
ことを踏まえると、両者は
「 次の成分(A)及び(C):
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルである1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル 約5質量%、
(C)HLB3?8のポリグリセリン脂肪酸エステルであるジイソステアリン酸ポリグリセリル-3
を含有し、成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)が約6.25である 化粧料」
の点で一致するが、
3’) 本件発明1では、成分(A)及び成分(C)と共に次の成分(B):「(B)グリチルリチン酸ジカリウム、グルコン酸、水溶性プラセンターエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、グリシン、ニコチン酸アミド、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、パントテニルアルコール、セリン、ローヤルゼリーエキス、トリプトファン及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上の生理活性物質」を含有するのに対し、引用発明4で含有されているのは 加水分解コラーゲン 0.2質量%、及び 加水分解ケラチン 0.2質量%であって、上記成分(B)のいずれかを含有するものではない点;
5’) 本件発明1では、「成分(A)と成分(B)(「グリチルリチン酸ジカリウム、グルコン酸、水溶性プラセンターエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、グリシン、ニコチン酸アミド、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アルブチン、パントテニルアルコール、セリン、ローヤルゼリーエキス、トリプトファン及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上の生理活性物質」)の含有質量比(A/B)」が「0.1?50」であるのに対し、引用発明4では、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステル と 水溶性有効成分である加水分解コラーゲン及び加水分解ケラチン の含有質量比 が約12.5である点;
(以下、順に「相違点3’」、「相違点5’」ということがある)において、相違する。

(ii) 以下、上記相違点3’及び5’についてまとめて検討する。
ア. 2-1.(2)(2-1)(iii)(iii-3)(「相違点1及び2の要件と生理活性物質の経皮浸透性との関係について」)で検討し詳述したとおり、本件明細書の実施例の試験結果を示す表1?表3のデータは、
・化粧料において生理活性物質の経皮浸透促進剤として機能することが知られていた本件発明1の成分(A):ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルに相当する浸透促進剤成分を有意に配合してなる化粧料であっても、実際には、経皮吸収促進対象である生理活性物質(本件発明1の(B)相当成分)の種類によっては、当該生理活性物質の経皮吸収性は向上せず、むしろ抑制される傾向がみられる場合すらあり;
・また、本件発明1規定の成分(A)、(B)及び(C)に相当する各成分を共に含有する化粧料であって、(B)相当成分の経皮吸収性が向上する場合であっても、上記相違点1及び2に係る要件を共に充足しない場合(即ち、(A)相当成分と(B)相当成分の含有質量比(A/B)が0.1?50の範囲内ではない場合、及び/又は、(A)相当成分と(C)相当成分の含有質量比(A/C)が0.1?200の範囲内でない場合)は、その向上の程度は高々1.35倍程度である;
ということを実証しているものと理解できる。

このような本件明細書の記載に基づく上記理解事項を踏まえれば、引用発明4の化粧料において、
・水溶性有効成分(生理活性物質)である加水分解コラーゲンや加水分解ケラチンに代えて、もしくはそれらに加えて、甲第4号証中で例示されている様々な多数種の水溶性有効成分(摘示事項4c)の中から、本件発明1の(B)成分であるいずれかの生理活性物質を採用すること;
かつ、
・当該(B)成分の配合割合を、(A)相当成分である1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ビス(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)エステルと当該(B)成分との含有質量比(A/B)が特に0.1?50の範囲内となるようにすることにより、そのよう配合割合を採用しない場合に比して当該(B)成分のいずれかの経皮浸透性をより顕著な程度に(例えば、経皮吸収性を約1.35倍超に)向上せしめることは、当業者といえども到底想起し得なかったというほかはない。

イ.そして、2-1.(2)(2-1)(iii)(iii-4)で述べたとおり、本件発明1は、
・生理活性物質として(B)に規定されるいずれかの成分を採用し;
かつ、
・当該(B)に規定されるいずれかの成分を、A/Bが0.1?50の範囲内となるようにする;
ことを、成分(A)と成分(C)の含有質量比(A/C)を0.1?200の範囲内とすることと併せて充足せしめることで、当該(B)成分の経皮吸収性において予想されるところを超えて優れた顕著な効果(本件明細書の表1?3にいう経皮吸収指数として500超)をもたらすものであることが、本件明細書の表1?表3の試験結果から理解できる。

ウ. してみれば、摘示事項4e等を含む甲第4号証の記載全体を考慮しても、また、その他の甲号証や本件特許出願時の技術常識を併せて考慮したとしても、引用発明4の化粧料において、水溶性有効成分(生理活性物質)である加水分解コラーゲンや加水分解ケラチンに代えて、もしくはそれらに加えて、本件発明1の(B)成分であるいずれかの生理活性物質を選択し、かつ、当該(B)成分の配合割合をA/Bが0.1?50となるようにすることが、当業者にとり容易になし得たことということはできない。

(iii)申立人の主張について
また、申立人は異議申立書において、本件発明1の進歩性に係る甲第4号証記載の発明との対比・判断については、甲第3号証開示の発明との対比・判断についてと同様の主張をするのみであって[異議申立書第10頁第23行?13頁第20行]、上の(ii)での検討・判断によらず、引用発明4において上記相違点3’及び5’に係る要件を併せ具備せしめることが当業者にとり容易想到の範囲であり、またそうすることによる効果も予想外の顕著なものではない、ということを、何ら具体的かつ論理的に説明していない。

(iv)小括
以上、(i)?(iii)での検討のとおりであるから、本件発明1は、第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。申立人が提出した他の甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても同様である。

(2-2)本件発明2?4について
本件発明2?4は、いずれも本件発明1の従属発明であって、本件発明1と同様に、(2-1)(i)で挙げた相違点3’及び5’の要件を共に具備するものである。
そして、(2-1)で検討したとおり、本件発明1は、申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないのだから、同じ相違点3’及び5’に係る要件を併せ具備する本件発明2?4についてもまた、申立人が提出した甲号証もしくは本件特許出願時の技術常識を併せ考慮しても、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。


[5]むすび
以上、[4]での検討・判断をまとめると、
・本件発明1、2、4は、甲第1号証又は甲第2号証に基づいてその出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明である とはいえず;
・本件発明3は、甲第1号証に基づいてその出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明である ともいえない;
から、本件発明1?4は、甲第1号証又は甲第2号証に基づく特許法第29条第1項第2号の規定に違反して特許されたものとはいえない([4]2.2-1.?2-2.)。また、
・本件発明1?4は、甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ開示された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明である とはいえず、;
・本件発明1?4は、甲第3号証に開示された発明、又は甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明である ともいえない;
から、本件発明1?4は、甲第1?4号証のいずれかに基づく特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない([4]2.2-1.?2-4.)。

したがって、申立人の主張する上記[3]の特許異議申立て理由によっては、本件請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-12-27 
出願番号 特願2017-160929(P2017-160929)
審決分類 P 1 651・ 112- Y (A61K)
P 1 651・ 121- Y (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 周士郎  
特許庁審判長 阪野 誠司
特許庁審判官 井上 明子
大久保 元浩
登録日 2018-04-06 
登録番号 特許第6315864号(P6315864)
権利者 株式会社天真堂
発明の名称 化粧料  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
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