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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B41J
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B41J
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B41J
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B41J
管理番号 1347944
審判番号 訂正2018-390130  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-09-06 
確定日 2018-12-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4432025号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4432025号の明細書および特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書および特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

特許第4432025号(以下「本件特許」という。)は、平成15年8月8日に出願され、平成22年1月8日に特許権の設定登録がされ、平成30年9月6日に本件審判の請求がされたものである。


第2 請求の趣旨

本件審判の請求の趣旨は、本件審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、特許第4432025号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。


第3 本件訂正の内容

本件訂正の内容は、次のとおりである。(審決注:下線部分は審決で付した。以下同様。)

1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に
「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造を備えた液体消費装置」
とあるのを、
「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造と、電気的な接続に使用される接点とを備えた液体消費装置」
と訂正する(請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2ないし9も同様に訂正する。)。

2 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に
「液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留する液体容器において、」
とあるのを、
「液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備えた液体容器であって、前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる液体容器において、」
と訂正する(請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2ないし9も同様に訂正する。)。

3 訂正事項3
本件特許の発明の詳細な説明の段落【0013】に
「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造を備えた液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留する液体容器において、」
とあるのを、
「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造と、電気的な接続に使用される接点とを備えた液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備えた液体容器であって、前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる液体容器において、」
と訂正する。


第4 当審の判断

1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項1は、「液体消費装置」について、訂正前の請求項1に係る発明では「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造を備えた」と特定していたものを、訂正後の請求項1に係る発明では「ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造と、電気的な接続に使用される接点とを備えた」と特定するものであって、「液体消費装置」が「電気的な接続に使用される接点」を備えるという発明特定事項を付加するものであるから、訂正前の請求項1に係る発明における「液体消費装置」をさらに限定するものである。
よって、本件審判の請求にかかる訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書の段落【0038】には「インクジェット式記録装置100のカートリッジ装着部101にインクカートリッジ1を装着した状態を示しており、カートリッジ装着部101には、インクカートリッジ1の前面部が接続されるスライダー部材102が設けられている。」と記載されており、「スライダー部材102」は「インクジェット式記録装置100」の一部であるといえるところ、本件特許明細書の段落【0046】には「スライダー部材102の前面の一端部には、記憶装置8の電極8aに接続される装置側接点113を有する接点用突出部114が設けられている。」と記載されているから、本件特許明細書には「インクジェット式記録装置100」が「装置側接点113」を備えることが記載されていると認められる。そして、本件特許明細書に記載の「装置側接点113」は、「電極8aに接続される」ものであるから、電気的な接続に使用されるものであることは自明である。
してみると、「液体消費装置」が「電気的な接続に使用される接点」を備えることは、本件特許明細書等の記載から自明な事項である。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記(1)のとおり、訂正事項1は「液体消費装置」が「電気的な接続に使用される接点」を備えるという発明特定事項を付加するものであって、訂正前の請求項1に係る発明における「液体消費装置」をさらに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項2は、「液体容器」について、訂正前の請求項1に係る発明では「液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留する」と特定していたものを、訂正後の請求項1に係る発明では「液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備えた液体容器であって、前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる」と特定するものであって、「液体容器」が「前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備え」るとともに「前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる」という発明特定事項を付加するものであるから、訂正前の請求項1に係る発明における「液体容器」をさらに限定するものである。
よって、本件審判の請求にかかる訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(2)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
ア 本件特許明細書の段落【0034】には「カートリッジ側固定構造7に近い側の容器本体2の一方の側面には、インクの種類、残量等の情報を記憶させるIC(半導体記憶素子)を搭載した回路基板8bが設けられており、この回路基板8bの表面にはICと電気的に接続されていると共に、記録装置本体の装置側接点と接触する電極(カートリッジ側電極)8aを備え、記憶装置8を構成している。」と記載されているから、本件特許明細書等には「容器本体2」が「装置側接点と接触する電極(カートリッジ側電極)8a」を備える「回路基板8b」を備えることが記載されていると認められる。
してみると、「液体容器」が「前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備え」ることは、本件特許明細書等に記載されている。
イ(ア) 本件特許明細書の段落【0079】には「係止ピン112はバネ部材109によってインクカートリッジ1の一側面の方向に向かって付勢されおり、該一側面には記憶装置8の電極8aが設けられている。バネ部材109の付勢力は、係止ピン112及び最終停止用側壁部18aを介して、記憶装置8の電極8aを装置側接点113(図9,図10)の方向に押し付けるように作用し、これにより、記憶装置8の電極8aと装置側接点113との接続状態を良好に維持することができる。」と記載されているから、本件特許明細書等には「バネ部材109」によって付勢された「係止ピン112」は「電極8aを装置側接点113(図9,図10)の方向に押し付ける」という技術的事項(以下、「技術的事項1」という。)が記載されていると認められる。
(イ) ところで、訂正後の請求項1に係る発明における「前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる」という発明特定事項(以下、「発明特定事項1」という。)は、技術的事項1に対して「係止ピン」が「バネ部材によって」付勢されているという技術的事項を捨象しており、「バネ部材によって」付勢される以外の手法により「係止ピン」に力が加えられることも包含される。そこで、当該捨象が、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでないか検討する。
「係止ピン112」が、「バネ部材109」によって付勢されるのではなく、その他の何らかの手法により力を加えられるのであっても、「電極8aと装置側接点113との接続状態を良好に維持する」という課題を解決できることは明らかであり、この点について、技術的事項1と発明特定事項1とは、同様の技術上の意義を有する。そして、発明特定事項1においては「係止ピン」に力を加える個別具体的な手法が特定されているわけではないことに鑑みれば、上記捨象をしたとしても、それにより、そのような個別具体的な手法に特有の技術上の意義が新たに追加されるということはできない。
(ウ) してみると、上記捨象は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものということはできない。
ウ 上記アおよびイより、訂正事項2は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
上記(1)のとおり、訂正事項2は「液体容器」が「前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備え」るとともに「前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる」という発明特定事項を付加するものであって、訂正前の請求項1に係る発明における「液体容器」をさらに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

3 訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて
「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正後の請求項1、および、これを直接的または間接的に引用する請求項2ないし9に係る発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1および2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

4 訂正事項3について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前の明細書の段落【0013】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に対応する記載があるところ、訂正事項1および2による訂正後の請求項1の発明特定事項と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項3は、訂正事項1および2による訂正後の特許請求の範囲の記載と、明細書の記載を整合させる訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
上記1(2)および2(2)で検討したとおり、「液体消費装置」が「電気的な接続に使用される接点」を備えること、「液体容器」が「前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備え」ること、および、「液体容器」が「前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる」ることは、いずれも、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項3は、明細書の記載を、訂正事項1および2による訂正後の請求項1の発明特定事項と整合させるための訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。


第5 むすび

以上のとおり、本件審判の請求に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号および第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液体容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着される液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体消費装置の代表例としては、噴射ヘッドから液滴を噴射する液体噴射装置があり、この液体噴射装置の代表例としては、画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置がある。その他の液体噴射装置としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等が挙げられる。
【0003】
液体噴射装置の代表例であるインクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。
【0004】
インクジェット式記録装置で代表される液体消費装置に対する液体の供給方式としては、液体を貯留した液体容器から液体消費装置に液体を供給する方式がある。さらに、この液体容器による液体供給方式においては、液体容器内の液体が消費された時点でユーザーが簡単に液体容器を交換できるようにするために、液体消費装置に対して着脱可能に構成されたカートリッジとして液体容器を構成するのが一般的である。
【0005】
一般にインクジェット式記録装置は、インク滴を吐出する記録ヘッドが搭載され記録媒体の記録面に沿って往復動するキャリッジを備えており、インクカートリッジから記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジにインクカートリッジを装着し、記録ヘッドと共に往復動するインクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給する方式がある。また、他の方式としては、インクカートリッジを装置本体のケース等に装着すると共に、可撓性チューブ等で形成したインク流路を介してインクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給する方式がある。
【0006】
上記いずれのインク供給方式においても、インクカートリッジを装置本体の所定の位置に容易且つ確実に装着し固定できることが求められており、さらに、インクカートリッジの交換等に際してはインクカートリッジを装置本体から容易且つ確実に取り外せることが求められている。
【0007】
そこで、従来のインクジェット式記録装置及びインクカートリッジにおいては、インクカートリッジを装置本体の所定の位置に確実に固定するための機構として、例えば、インクカートリッジを装置本体のカートリッジホルダー等に挿入した後、係止レバー等を操作してインクカートリッジを係止レバー等によって押さえて固定する機構が採用されていた。
【特許文献1】WO99/59823
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなカートリッジ固定機構では、カートリッジホルダー等へのインクカートリッジの挿入ステップと、係止レバー等を操作する挿入後の固定ステップとが別個独立のステップとなり、装置本体へのインクカートリッジの装着操作が煩雑であった。また、この従来のカートリッジ固定機構においては、インクカートリッジを取り外す際にも2ステップの操作が必要となる。
【0009】
また、装着時におけるインクカートリッジの固定が挿入ステップと同時に達成される機構も考えられるが、この場合でも、インクカートリッジを取り外す際には固定を解除するステップが必要となり、この固定解除ステップは、それに続いて行われるインクカートリッジの引き抜き動作とはまったく異なる動作で行われる。このため、インクカートリッジの取り外し操作が煩雑なものとなってしまう。
【0010】
また、従来のインクジェット式記録装置及びインクカートリッジの中には、インクの種類、残量等の情報を記憶させる記憶素子(IC)をインクカートリッジに設けると共に、装置本体側(例えばカートリッジホルダー)に、IC側電極に接続される装置側接点を設けた構成のものがある。
【0011】
そして、このようなICを備えたインクカートリッジを装置本体に装着する際には、装置本体へのインクカートリッジの装着時にIC側電極と装置側接点とを確実に接続する必要があり、さらにその接続状態を確実に維持する必要がある。つまり、装置側接点とIC側電極との間のズレを導通可能な範囲内に抑える必要がある。例えば、IC側電極の寸法を大きくすることによって装置側接点に対するズレの許容範囲を大きくすることも考えられるが、IC側電極の大型化に伴ってインクカートリッジ自体も大型になってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、液体消費装置に対して容易且つ確実に装着することができる液体容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造と、電気的な接続に使用される接点とを備えた液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備えた液体容器であって、前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる液体容器において、前記液体消費装置に供給される液体を送出する液体供給口が形成された容器本体と、前記液体容器が前記容器装着部に装着された状態において、前記容器装着部に設けられた前記装置側固定構造と協働して、前記液体容器の引抜き方向における移動を解除可能に規制する容器側固定構造と、を備え、前記容器側固定構造は、前記装置側固定構造の前記係止ピンが挿入され、前記容器装着部への前記液体容器の着脱操作に際して前記係止ピンを案内する案内溝を有し、前記案内溝は、前記液体容器が前記容器装着部に装着された状態において前記係止ピンが係合して前記液体容器の引抜き方向への移動を規制する係止部を含み、前記案内溝の入口部に、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対移動する前記係止ピンの移動方向に沿って溝深さが徐々に浅くなるように傾斜した入口部傾斜面が形成されており、前記案内溝の、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記入口部傾斜面に続く位置に、前記入口部傾斜面に続く平坦部が形成されており、前記案内溝は、前記入口部傾斜面に対応する部分の溝幅が前記ピン取付部の径よりも大きく設定されており、前記入口部傾斜面の後に前記係止ピンが通過する主要部分の溝幅が前記ピン取付部の径よりも小さく設定されており、前記入口部傾斜面によって形成された最も浅い部分及び前記平坦部における前記案内溝の深さは前記係止ピンの長さよりも小さいことを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、前記案内溝は、前記液体容器が前記容器装着部に挿入される際に前記係止ピンを案内する入口側案内部と、前記容器装着部に挿入された前記液体容器が引抜き方向へ押し返される際に前記係止ピンを前記係止部に導く中間案内部と、前記容器装着部から前記液体容器を取り外す際に、前記液体容器を挿入方向へ押し込むことにより前記係止部から外れた前記係止ピンを、前記案内溝の出口に案内する出口側案内部と、を有する。
【0015】
また、好ましくは、前記容器側固定構造は、前記係止ピンが前記案内溝の前記係止部に位置している状態において、前記ピン取付部の頂面の周縁部が係合する溝縁部を備えており、前記案内溝の係止部における溝の深さは、前記係止ピンの長さよりも大きい。
【0017】
また、好ましくは、前記平坦部と前記係止部との間に、前記容器装着部への前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記案内溝が深くなるように傾斜した深溝形成用傾斜面が設けられている。
【0018】
また、好ましくは、前記案内溝の、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記深溝形成用傾斜面に続く位置に、前記深溝形成用傾斜面に続く第2の平坦部が形成されており、前記第2の平坦部における前記案内溝の深さは、前記係止部における溝の深さと同様に前記係止ピンの長さよりも大きい。
【0020】
また、好ましくは、前記案内溝は、前記容器装着部に対して前記液体容器が十分に深く挿入された時点で前記係止部の方向に移動する前記係止ピンを、前記係止部の手前で暫定的に停止させる暫定停止用側壁部を有し、前記案内溝の前記係止部は、前記容器装着部に十分に深く挿入された前記液体容器が引抜き方向へ押し返された際に前記暫定停止用側壁から解放されて前記係止部に移動する前記係止ピンを、所定の係止位置で停止させる最終停止用側壁部を含む。
【0021】
また、好ましくは、前記案内溝の出口部は前記入口部に接続されており、その接続部において前記出口部の溝の深さが前記入口部の溝の深さよりも浅く、これにより、前記液体容器を前記容器装着部に挿入する際に前記係止ピンを案内するための段差が前記接続部に形成されている。
【0023】
また、好ましくは、前記案内溝は矩形断面を有している。
【0024】
また、好ましくは、前記液体容器は、前記液体消費装置としてのインクジェット式記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液体消費装置に対して容易且つ確実に装着することができる液体容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明による液体容器の一実施形態として、インクジェット式記録装置用のインクカートリッジについて図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施形態によるインクカートリッジ1及びこのインクカートリッジ1が装着されるインクジェット式記録装置100のカートリッジ装着部101を示した斜視図である。この例においては6つのカートリッジ装着部101がインクジェット式記録装置100に設けられており、各カートリッジ装着部101はインクジェット式記録装置100の前面に開口している。また、6つのカートリッジ装着部101は同一水平面内に並置されており、6つのインクカートリッジ1は平置きして並置される。
【0028】
図2乃至図4は、インクカートリッジ1の外観形状を示した図であり、インクカートリッジ1は略直方体状の容器本体2を有し、この容器本体2の前面にはインクジェット式記録装置100に供給されるインクを送出するインク供給口3が形成されている。
【0029】
また、容器本体2の前面には、容器本体2の内部のインクを加圧してインク供給口3から送出するための加圧流体を容器本体2の内部に導入する加圧流体導入口4が形成されている。
【0030】
さらに、容器本体2の前面には、カートリッジ装着部101に設けられた一対の位置決め突起部が挿入される一対の位置決め孔5a、5bが形成されている。一対の位置決め孔5a、5bの周囲には、カートリッジ装着部101の装置側位置決め面に当接されてインクカートリッジ1の挿入方向の位置決めを行うカートリッジ側位置決め面24a、24bが形成されている。一対の位置決め孔5a、5b及び一対のカートリッジ側位置決め面24a、24bは、カートリッジ側位置決め部を構成している。
【0031】
また、前面を含む容器本体2の一隅部、つまりインク供給口3に関してカートリッジ側固定構造7と反対側の隅部には、誤装着防止構造6が設けられている。この誤装着防止構造6は、インクカートリッジ1をインクジェット式記録装置100に装着する際に、所定の位置に所定のインク種のインクカートリッジ1が正しく装着されるようにするために、正しいインク種のインクカートリッジ以外は装着できないようにする形状が付与されたものである。
【0032】
また、容器本体2の裏面(底面)には、容器本体2の前面に隣接して、誤装着防止構造6が設けられた隅部とは反対側の隅部に、カートリッジ側固定構造7が設けられている。このカートリッジ側固定構造7は、インクカートリッジ1が容器装着部101に装着された状態において、インクカートリッジ1の引抜き方向における移動を解除可能に規制するものである。
【0033】
なお、本実施形態においては容器本体2の裏面にカートリッジ側固定構造7を設けているが、カートリッジ側固定構造7の形成位置は容器本体2の裏面に限られず、例えば容器本体2の上面に配置することもできる。
【0034】
また、カートリッジ側固定構造7に近い側の容器本体2の一方の側面には、インクの種類、残量等の情報を記憶させるIC(半導体記憶素子)を搭載した回路基板8bが設けられており、この回路基板8bの表面にはICと電気的に接続されていると共に、記録装置本体の装置側接点と接触する電極(カートリッジ側電極)8aを備え、記憶装置8を構成している。記憶装置8は、カートリッジ側固定構造7と共に、容器本体2全体のうちのインク供給口3に近い位置に配置されている。なお、本実施形態においては回路基板8b上に記憶素子と電極8が形成されているが、記憶素子と電極8aとをFPC上に形成して両者を容器本体2の異なる位置に配置することもできる。
【0035】
図5は、インクカートリッジ1の分解斜視図であり、容器本体2は、上面が開口したケース本体2Aと、このケース本体2Aの上面開口を封止する蓋部材2Bとから成っている。図6は、インクカートリッジ1からその蓋部材2Bを外した状態を示している。
【0036】
図5及び図6から分かるように、容器本体2の内部には、インクが充填された可撓性のインク収容部(説明のため破線で図示)を有するインク袋9が収納される。このインク袋9には、その内部のインクを外部に送出するためのポート部10が設けられている。このポート部10の内側端部には、逆止弁11を内部に配置して蓋12が取り付けられている。一方、ポート部10の外側端部には、バネ13で付勢されたバネ座14を内部に配置してシール供給蓋15が取り付けられている。
【0037】
ケース本体2Aのインク袋9を収容した領域の外周を囲むように形成された溶着部26には、フィルム25が熱溶着によって固定されて内部を密閉空間としている。この密閉空間は、加圧流体導入口4から導入された加圧流体(本実施形態では加圧空気)が外部に漏れることなく密閉され、加圧流体によってインク袋9のインク収容部を押圧して外部にインクを供給可能に構成されている。さらに、蓋部材2Bは、フィルム25を覆うように蓋部材2Bに形成された係合突起27によりケース本体2Aに固定され、前記フィルム25の保護と加圧時におけるフィルム25の無用な膨張の防止をしている。
【0038】
図7及び図8は、インクジェット式記録装置100のカートリッジ装着部101にインクカートリッジ1を装着した状態を示しており、カートリッジ装着部101には、インクカートリッジ1の前面部が接続されるスライダー部材102が設けられている。このスライダー部材102は、インクカートリッジ1の挿抜方向にスライド可能に設けられており、インクカートリッジ1の挿入方向Xに対向する方向(引抜き方向Y)に向かって弾発手段によって付勢されている。
【0039】
図9及び図10は、インクカートリッジ1が装着されていない状態のカートリッジ装着部101を示している。スライダー部材102のインクカートリッジ前面に対向する面には、一対の位置決め突起部103a、103bが設けられており、各位置決め突起部103a、103bの各基部には、各肩部によって装置側位置決め面104a、104bが設けられている。一対の位置決め突起部103a、103b及び一対の装置側位置決め面104a、104bは、装置側位置決め部を構成している。
【0040】
そして、スライダー部材102にインクカートリッジ1が接続される際に、インクカートリッジ1の前面の一対の位置決め孔5a、5bに一対の位置決め突起部103a、103bが挿入され、一対のカートリッジ側位置決め面24a、24bと一対の装置側位置決め面104a、104bとが当接する。
【0041】
一対の位置決め孔5a、5b、一対の位置決め突起部103a、103b、一対のカートリッジ側位置決め面24a、24b、及び一対の装置側位置決め面104a、104bのうち、一方の位置決め孔5a、一方の位置決め突起部103a、一方のカートリッジ側位置決め面24a、及び一方の装置側位置決め面104aが、スライダー部材102に対してインクカートリッジ1をより正確に位置決めする機能を有している。とりわけ、インクカートリッジ1の挿入方向における位置決めは、カートリッジ側位置決め面24a及び装置側位置決め面104aによって正確に行われる。
【0042】
図4(b)から分かるように、正確な位置決めに利用される位置決め孔5a及びカートリッジ側位置決め面24aは、電極8aを含む記憶装置8の近傍に配置されている。このように記憶装置8の近傍には、位置決め孔5a及びカートリッジ側位置決め面24a、並びにカートリッジ側固定構造7が配置されている。
【0043】
また、位置決め孔5aに挿入された位置決め突起部103aとカートリッジ側固定構造7とが容器本体2の厚さ方向において重なり合うように、位置決め孔5a及びカートリッジ側固定構造7が配置されている。
【0044】
図11(a)及び(b)は、位置決め孔5a、位置決め突起部103a、カートリッジ側位置決め面24a、及び装置側位置決め面103aによって、インクカートリッジ1がスライダー部材102に対して正確に位置決めされた状態を示している。容器本体2の案内溝16の係止部18に、装置側固定構造107の係止ピン112が挿入かつ保持される。
【0045】
さらに、図9及び図10に示したように、スライダー部材102のインクカートリッジ前面に対向する面には、インクカートリッジ1の加圧流体導入口4に接続される加圧流体ポート105が設けられている。
【0046】
また、図9及び図10に示したように、スライダー部材102の前面の一端部には、記憶装置8の電極8aに接続される装置側接点113を有する接点用突出部114が設けられている。
【0047】
図12及び図13は、カートリッジ装着部101からスライダー部材102を取り外した状態を示している。カートリッジ装着部101の内部にはインク供給針106が固設されており、インクカートリッジ1がスライダー部材102と共に押し込まれることにより、インクカートリッジ1のインク供給口3にインク供給針106が挿入される。
【0048】
また、カートリッジ装着部101の内部には、インクカートリッジ1のカートリッジ側固定構造7と協働してインクカートリッジ1の引抜き方向における移動を解除可能に規制する装置側固定構造107が設けられている。
【0049】
装置側固定構造107は回動レバー部材108を備えており、この回動レバー部材108はその基端部を中心として回動可能に支持されており、バネ部材109によって一方の回転方向(図12中の反時計回り方向)に付勢されている。
【0050】
図14に示したように回動レバー部材108は、細長のレバー本体110と、このレバー本体110の先端部に設けられた略円柱状のピン取付部111と、このピン取付部111の頂面に設けられた、ピン取付部111よりも小径の略円柱状の係止ピン112とを備えている。
【0051】
図15及び図16に示したようにカートリッジ側固定構造7は、係止ピン112が挿入される矩形断面の案内溝16から構成されている。高精度の位置決めに利用される位置決め孔5a及びカートリッジ側位置決め面24aの近傍のカートリッジ裏面隅部には凹部17が形成されており、この凹部17の底面に案内溝16が刻設されている。案内溝16の底面は、記憶装置8が配置された容器本体2の側面と垂直を成している。
【0052】
そして、カートリッジ装着部101へのインクカートリッジ1の着脱操作に際して、装置側固定構造107の回動レバー部材108の係止ピン112が、カートリッジ側固定構造7の案内溝16によって案内される。
【0053】
案内溝16は、インクカートリッジ1がカートリッジ装着部101に装着された状態において係止ピン112が係合されてインクカートリッジ1の引抜き方向への移動を規制する係止部18を含んでいる。
【0054】
また、案内溝16は、インクカートリッジ1がカートリッジ装着部101に挿入される際に係止ピン112を案内する入口側案内部19と、カートリッジ装着部101に挿入されたインクカートリッジ1が引抜き方向へ押し返される際に係止ピン112を係止部18に導く中間案内部20と、カートリッジ装着部101からインクカートリッジ1を取り外す際に、インクカートリッジ1を挿入方向へ押し込むことにより係止部18から外れた係止ピン112を、案内溝16の出口に案内する出口側案内部21と、を備えている。
【0055】
案内溝16の入口側案内部19の主要部分(直線部分)は、インクカートリッジ1の挿入・引抜き方向に対して約30°?約50°を成して延設されている。また、入口側案内部19の終端部は、突起状壁部19dによって湾曲形状が付与されている。
【0056】
また、案内溝16の入口部16aには、入口部傾斜面22が形成されている。この入口部傾斜面22は、カートリッジ装着部101に対するインクカートリッジ1の挿入動作に伴って相対移動する係止ピン112の移動方向に沿って溝深さ徐々にが浅くなるように傾斜している。
【0057】
入口部傾斜面22の幅は、係止部18を含み略同一幅にて形成された案内溝16の主要部分における溝幅よりも大きく設定されている。また、入口部傾斜面22の幅は、係止ピン112が取り付けられたピン取付部111の径よりも大きく設定されている。一方、案内溝16の主要部分における溝幅は、ピン取付部111の径よりも小さく設定されている。
【0058】
さらに、入口部傾斜面22と係止部18との間の入口側案内部19には、カートリッジ装着部101へのインクカートリッジ1の挿入動作に伴って相対移動する係止ピン112の移動方向に沿って案内溝16が深くなるように傾斜した深溝形成用傾斜面19aが形成されている。この深溝形成用傾斜面19aと入口部傾斜面22との間には平坦部19bが形成されている。また、深溝形成用傾斜面19aに続いて平坦部19cが形成されている。
【0059】
入口部傾斜面22によって形成された最も浅い部分の案内溝16の深さ、即ち平坦部19bの部分の溝深さは、係止ピン112の長さよりも小さい。また、深溝形成用傾斜面19aによって形成された最も深い部分の案内溝16の深さ、即ち平坦部19cの溝深さは、係止ピン112の長さよりも大きい。
【0060】
さらに、案内溝16の中間案内部20は、カートリッジ装着部101に対してインクカートリッジ1が十分に深く挿入された時点で係止部18の方向に移動する係止ピン112を、係止部18の手前で暫定的に停止させる暫定停止用側壁部20aを含む。
【0061】
また、案内溝16の係止部18は、カートリッジ装着部101に十分に深く挿入されたインクカートリッジ1が引抜き方向へ押し返された際に暫定停止用側壁20aから解放されて係止部18に移動する係止ピン112を、所定の係止位置で受け止めて停止させる最終停止用側壁部18aを含む。
【0062】
また、出口側案内部21の始端部には湾曲側壁部21aが形成されており、この湾曲側壁部21aに続いて直線状の傾斜面21bが形成され、さらにそれに続いて直線上の平坦部21cが形成されている。
【0063】
また、案内溝16の出口部16bは入口部16aに接続されており、これにより案内溝16は全体としてループを成している。入口部16aと出口部16bとの接続部においては、出口部16bの溝の深さが入口部16aの溝の深さよりも浅く、これにより接続部において段差23(図16(b))が形成されている。この段差23は、インクカートリッジ1がカートリッジ装着部101に挿入される際に係止ピン112が平坦部21Cに進入するのを防止する。
【0064】
次に、図17を参照して、インクカートリッジ1の着脱操作時における案内溝16内での係止ピン112の動作について説明する。なお、図17中の矢印Zは、バネ部材109による回動レバー部材108の付勢方向を示している。
【0065】
カートリッジ装着部101にインクカートリッジ1を挿入し、インクカートリッジ1のがスライダー部材102に接続された後、スライダー部材102の付勢力に抗してインクカートリッジ1を挿入方向Xにさらに押し込むと、回動レバー部材108の係止ピン112が案内溝16の入口部16aに挿入される(図17中の位置A)。
【0066】
案内溝16の入口部16aには入口部傾斜面22が形成されているので、係止ピン112はこの入口部傾斜面22上を摺動しながら、溝深さ方向と反対の方向に変位する。これにより、回動レバー部材108若しくは回動レバー部材108を支持する部材が弾性的に変形し、案内溝16の底面の方向に向けて係止ピン112を付勢する力が生じる。
【0067】
なお、係止ピン112の先端が入口部傾斜面22に最初に接触した時点では、ピン取付部111の頂面は案内溝16の縁部のレベルよりも落ち込んだ位置にあり、係止ピン112が入口部傾斜面22上を移動する過程で、ピン取付部111の頂面が案内溝16の縁部のレベルを越えるように溝深さが変化している。
【0068】
そして、入口部傾斜面22を通過して平坦部19bに係止ピン112が乗り上げた時点(図17中の位置B)では、係止ピン112のみが案内溝16中に挿入された状態にあり、ピン取付部111は案内溝16の外側に位置している。これは、平坦部19bの部分における案内溝16の深さが、係止ピン112の長さよりも小さく設定されているためである。
【0069】
このように案内溝16の入口部16aに入口部傾斜面22を設けることにより、案内溝16の入口部16aに係止ピン112が挿入される際に、係止ピン112がインクカートリッジ1の前面に引っ掛かることを防止することが可能であり、案内溝16の入口部16aへの係止ピン112の挿入を円滑且つ確実に行うことができる。
【0070】
また、入口部傾斜面22を形成すると共にこれに続く平坦部19bの部分の溝深さを係止ピン112の長さよりも小さく設定したので、本実施形態のように案内溝16の入口部16aの幅を大きく設定してこれに続く溝の幅を狭くした場合でも、ピン取付部111が案内溝16の狭幅部に挟まってしまうことがない。そして、案内溝16の入口部16aの幅を大きく設定することにより、係止ピン112を案内溝16内に確実に挿入させることができる。
【0071】
インクカートリッジ1が挿入方向Xにさらに押し込まれると、係止ピン112は平坦部19bを通過し、深溝形成用傾斜面19a上を摺動しながら、溝深さ方向に変位する(図17中の位置C)。
【0072】
そして、深溝形成用傾斜面19aを通過して係止ピン112が平坦部19cの位置に来た時点(図17中の位置D)では、ピン取付部111の頂面の周縁部が案内溝16の縁部に係合し且つこの縁部に対して押圧されている。これは、係止ピン112が入口部傾斜面22を通過する際に回動レバー部材108等に生じた弾性変形がこの時点でもまだ残っているためである。このようにピン取付部111の頂面の周縁部を案内溝16の縁部に係合させることによって、案内溝16の縁部を含む面(凹部17の底面)に回動レバー部材108が接触して係止ピン112が案内溝16から外れてしまうことを防止できる。
【0073】
また、係止ピン112が平坦部19cの位置に来た時点(図17中の位置D)では、係止ピン112の先端部は案内溝16の底面から浮いた状態にある。これは、平坦部19cにおける溝深さが、係止ピン112の長さよりも大きく設定されていることによる。
【0074】
インクカートリッジ1がさらに挿入方向Xに押し込まれ、入口側案内部19の終端部に位置する突起状壁部19dの先端近傍位置(図17中の位置E)を係止ピン112が越えると、バネ部材109の付勢力によって矢印Zの方向へ係止ピン112が移動する。そして、係止ピン112は暫定停止用側壁部20aに衝突して止まり(図17中の位置F)、このときにクリック音が生じる。このクリック音によりユーザーは、インクカートリッジ1が十分に深く挿入されたことを確認することができる。
【0075】
次に、ユーザーによる挿入方向Xへのインクカートリッジ1の押圧が解除されると、スライダー部材102の付勢力によってインクカートリッジ1が引抜き方向Yに僅かに押し返される。これにより、暫定停止用側壁部20aにおける係止ピン112の係合が解除され、バネ部材109の付勢力によって矢印Zの方向へ係止ピン112が移動する。そして、係止ピン112は最終停止用側壁部18aに衝突して係止位置(図17中の位置G)で止まり、このときにクリック音が生じる。このクリック音によりユーザーは、インクカートリッジ1がカートリッジ装着部101に固定されたことを確認することができる。
【0076】
ここで、案内溝16の係止部18における溝の深さは、入口側案内部19の平坦部19cと同様に係止ピン112の長さよりも大きく設定されている。また、係止ピン112が入口部傾斜面22を通過する際に生じた回動レバー部材108等の弾性変形によって、案内溝16の底面の方向に向けて係止ピン112が付勢されている。
【0077】
このため、係止部18で所定の係止位置に固定されている係止ピン112は、その全長が案内溝16の内部に入り込んでおり、ピン取付部111の頂面の周縁部が案内溝16の縁部に係合した状態にある。これにより、案内溝16の側壁との係合により係止ピン112に加えられる力によって係止ピン112(特にその基部)がクリープを起こすことを防止できる。つまり、案内溝16に対して係止ピン112が浅く引っ掛かっている状態の場合には、係止ピン112の基部に加えられる力が、いわゆる梃子の原理によって大きくなってしまうが、本実施形態においては上述のように係止ピン112がその全長にわたって案内溝16に引っ掛かっているので、係止ピン112のクリープを防止することができる。
【0078】
また、案内溝16に対して係止ピン112が十分に深く引っ掛かっていることにより、係止ピン112が案内溝16から外れてしまうようなこともない。なおこの効果は、係止部18のみに限られず、案内溝16内を係止ピン112が相対移動している最中においても、ピン取付部111の頂面の周縁部が案内溝16の縁部を摺動している場合に発揮される。
【0079】
また、係止ピン112はバネ部材109によってインクカートリッジ1の一側面の方向に向かって付勢されおり、該一側面には記憶装置8の電極8aが設けられている。このため、バネ部材109の付勢力は、係止ピン112及び最終停止用側壁部18aを介して、記憶装置8の電極8aを装置側接点113(図9,図10)の方向に押し付けるように作用し、これにより、記憶装置8の電極8aと装置側接点113との接続状態を良好に維持することができる。
【0080】
次に、カートリッジ装着部101からインクカートリッジ1を取り外す際には、ユーザーによってインクカートリッジ1が挿入方向Xに僅かに押し込まれる。すると、最終停止用側壁部18aにおける係止ピン112の係合が解除され、バネ部材109の付勢力によって矢印Zの方向へ係止ピン112が移動する。そして、係止ピン112は、案内溝16の出口側案内部21の湾曲側壁部21aに衝突して暫定的に停止し(図17中の位置H)、このときにクリック音が生じる。このクリック音によりユーザーは、カートリッジ装着部101に対するインクカートリッジ1の固定が解除されたことを確認することができる。
【0081】
続いて、ユーザによる挿入方向Xへのインクカートリッジ1の押圧が解除され、引抜き方向Yへインクカートリッジ1が移動すると、係止ピン112は出口側案内部21の直線上の傾斜面21bに沿って移動する(図17中の位置I)。このとき、傾斜面21bの途中から係止ピン112の先端が傾斜面21bに接触し、溝深さ方向と反対の方向に係止ピン112が変位する。傾斜面21bを通過した係止ピン112は、平坦部21cを通り(図17中の位置J)、案内溝16の出口部16bを通過する。
【0082】
次に、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部101に装着する際の、インク供給針106等へのインクカートリッジ1の接続過程について説明する。
【0083】
インクカートリッジ1をカートリッジ装着部101に挿入すると、まず初めに、インクカートリッジ1の位置決め孔5a、5bに、スライダー部材102の位置決め突起部103a、103bが挿入される。また、インクカートリッジ1の加圧流体導入口4にスライダー部材102の加圧流体ポート105が接続される。さらに、記憶装置8の電極8aと装置側接点113とが接続されて両者が導通する。
【0084】
記憶装置8の電極8aと装置側接点113とが接続された時点では、まだインク供給針106はインクカートリッジ1のインク供給口3に挿通されていない。従って、この時点で記憶装置8からデータを読み取り、正しいインクカートリッジ1が挿入されたか否かを判定することによって、間違ったインクカートリッジ1が挿入された場合には、インク供給針106が当該間違ったインクカートリッジ1のインク供給口3に挿通される前に正しいインクカートリッジ1に交換することができる。これにより、装置本体のインク流路に間違ったインクが流れ込んでしまうことを確実に防止することができる。また、間違って挿入されたインクカートリッジ1のインク供給口3がシール等で封止されている場合には、当該シール等を不必要に破ってしまうことを回避することができる。
【0085】
そして、インクカートリッジ1がスライダー部材102に接続された後、スライダー部材102の付勢力に抗してインクカートリッジ1を挿入方向Xにさらに押し込むことにより、インク供給針106がインクカートリッジ1のインク供給口3に挿通される。
【0086】
次に、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部101から取り外す際の、インク供給針106等からのインクカートリッジ1の切り離し過程について説明する。
【0087】
上述したようにインクカートリッジ1を挿入方向Xに押し込むことによって、カートリッジ側固定構造7及び装置側固定構造107によるインクカートリッジ1の固定が解除され、インクカートリッジ1の引抜き方向Yへの移動が可能となる。固定が解除されたインクカートリッジ1は、最初はスライダー部材102と共に引抜き方向Yに移動し、この移動によりインク供給針106がインクカートリッジ1のインク供給口3から抜ける。
【0088】
このようにしてインク供給針106がインク供給口3から抜けた時点では、記憶装置8の電極8aと装置側接点113との接続が維持されているので、装置本体と記憶装置8との間のデータの授受が可能である。このようにインクカートリッジ1の固定が解除された後も、インクカートリッジ1の記憶装置8と装置本体との間でデータの授受が可能であり、データの読み取りミスを防止することができる。
【0089】
インクカートリッジ1をさらに引抜き方向Yに移動させると、スライダー部材102が所定の停止位置で移動不能となる。ここからさらにインクカートリッジ1を引抜き方向Yに移動させることにより、インクカートリッジ1の加圧流体導入口4から加圧流体ポート105が分離されると共に、インクカートリッジ1の位置決め孔5a、5bから位置決め突起部103a、103bが抜ける。また、記憶装置8の電極8aと装置側接点113とが切り離される。
【0090】
以上述べたように本実施形態によるインクカートリッジ1は、インクジェット式記録装置100のカートリッジ装着部101に対して容易且つ確実に装着することができる。
【0091】
特に、本実施形態によるインクカートリッジ1においては、案内溝16の入口部16aに形成する入口部傾斜面22の幅を大きく取ることができるので、案内溝16に対する係止ピン112の挿入を確実に行うことができる。係止ピン112を含む回動レバー部材108は、その機能上、インクカートリッジ1の挿抜方向X、Yに直交する方向Zに揺動するように設計されるため、係止ピン112の初期位置(インクカートリッジ未装着状態での位置)にバラツキが生じる可能性があるが、入口部傾斜面22の幅を大きく取ることでこのようなバラツキを許容することができる。
【0092】
また、本実施形態によるインクカートリッジ1においては、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部101に挿入するという一つの動作(ワンプッシュ動作)のみで装着操作を完了することが可能であり、一方、カートリッジ装着部101からインクカートリッジ1を取り外す際には、インクカートリッジ1を僅かに押し込むという簡単な動作のみでインクカートリッジ1の固定状態を解除することができる。このように本実施形態においてはインクカートリッジ1の着脱操作を極めて容易に行うことができる。
【0093】
また、本実施形態によるインクカートリッジ1においては、案内溝16が、カートリッジ表面に形成された凹部17の底面に形成されているので、案内溝16に係止ピン112を挿入した状態において、カートリッジ表面からの回動レバー部材108の突出量を小さくし又はゼロにすることが可能である。このため、カートリッジ装着部101の厚みを小さくすることが可能であり、ひいてはインクジェット式記録装置100全体を薄くすることができる。特に、図1に示したインクジェット式記録装置100のように複数のインクカートリッジ1を平置きして並置する形式の装置の場合、装置全体の薄型化が重要であるから、カートリッジ装着部101の厚みを小さくできる本実施形態によるインクカートリッジ1は極めて有効である。
【0094】
また、本実施形態によるインクカートリッジ1によれば、電極8aを含む記憶装置8をカートリッジ側固定構造7の近傍に配置したので、記憶装置8の電極8aをカートリッジ装着部101の装置側接点113に確実に接続することができる。
【0095】
特に、バネ部材109の付勢力が、係止ピン112及び最終停止用側壁部18aを介して、記憶装置8の電極8aをカートリッジ装着部101の装置側接点113の方向に押し付けるように作用するので、装置側接点113に対する記憶装置8の電極8aの接続を確実なものとすることができる。
【0096】
また、容器本体2全体のうちのインク供給口3に近い位置に、カートリッジ側固定構造7及び電極8aを含む記憶装置8を配置することによって、装置側接点113に対する記憶装置8の電極8aの接続をより一層確実なものとすることができる。
【0097】
また、カートリッジ側固定構造7並びに正確な位置決めに利用される位置決め孔5a及びカートリッジ側位置決め面24aの近傍に、電極8aを含む記憶装置8を配置することによって、装置側接点113に対する記憶装置8の電極8aの接続をより一層確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態によるインクカートリッジ及びこのインクカートリッジが装着されるインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部を示した斜視図。
【図2】本発明の一実施形態によるインクカートリッジを示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は正面図。
【図3】本発明の一実施形態によるインクカートリッジを示した図であり、(a)は底面図、(b)は側面図。
【図4】本発明の一実施形態によるインクカートリッジを示した斜視図であり、(a)は斜め上方の後面が見える方向から見た図、(b)は斜め下方の前面が見える方向から見た図、(c)は斜め下方の後面が見える方向から見た図、(d)は斜め上方の前面が見える方向から見た図。
【図5】本発明の一実施形態によるインクカートリッジの分解斜視図。
【図6】本発明の一実施形態によるインクカートリッジからその蓋部材を外した状態を示した図であり、(a)はインク袋を収納した状態の平面図、(b)は(a)の正面図、(c)はインク袋を収納していない状態の平面図、(d)は(c)の正面図。
【図7】本発明の一実施形態によるインクカートリッジをインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部に装着した状態を装置内部が見えるように示した平面図。
【図8】本発明の一実施形態によるインクカートリッジをインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部に装着した状態を装置内部が見えるように示した斜視図。
【図9】図7に示したインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部を、インクカートリッジ未装着の状態で装置内部が見えるように示した平面図。
【図10】図8に示したインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部を、インクカートリッジ未装着の状態で装置内部が見えるように示した斜視図。
【図11】(a)は本発明の一実施形態によるインクカートリッジをインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部に装着した状態を装置内部が見えるように示した平面図、(b)は(a)のb-b線に沿った断面図。
【図12】図7に示したインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部を、スライダーを取り外した状態で装置内部が見えるように示した平面図。
【図13】図8に示したインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部を、スライダーを取り外した状態で装置内部が見えるように示した斜視図。
【図14】図12及び図13に示したカートリッジ装着部の回動レバー部材を拡大して示した斜視図であり、(a)は斜め上方から見た図、(b)は斜め下方から見た図。
【図15】本発明の一実施形態によるインクカートリッジを拡大して示した図であり、(a)は前端部の裏面を示した図、(b)は前面を示した図。
【図16】本発明の一実施形態によるインクカートリッジの案内溝の深さ形状を説明するための図であり、(a)に示したb-b線及びc-c線に沿った各断面図が(b)及び(c)にそれぞれ示されている。
【図17】本発明の一実施形態によるインクカートリッジの着脱操作時における案内溝内での係止ピンの動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0099】
1 インクカートリッジ
2 容器本体
2A ケース本体
2B 蓋部材
3 インク供給口
4 加圧流体導入口
5a、5b 位置決め孔
6 誤装着防止構造
7 カートリッジ側固定構造
8 記憶装置
8a 電極(カートリッジ側電極)
8b 回路基板
9 インク袋
16 案内溝
16a 案内溝の入口部
16b 案内溝の出口部
17 案内溝形成用の凹部
18 案内溝の係止部
18a 最終停止用側壁部
19 案内溝の入口側案内部
20 案内溝の中間案内部
20a 暫定停止用側壁部
21 案内溝の出口側案内部
21a 出口側案内部の湾曲側壁部
21b 出口側案内部の直線状傾斜面
21c 出口側案内部の直線状平坦部
22 入口部傾斜面
23 案内溝の入口部と出口部との接続部における段差
24a、24b カートリッジ側位置決め面
100 インクジェット式記録装置
101 カートリッジ装着部
102 スライダー部材
103a、103b 位置決め突起部
104a、104b 装置側位置決め面
105 加圧流体ポート
106 インク供給針
107 装置側固定構造
108 回動レバー部材
109 バネ部材
110 レバー本体
111 ピン取付部
112 係止ピン
113 装置側接点
114 スライダー部材の接点用突出部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン取付部の頂面に設けられた前記ピン取付部よりも小径の係止ピンを有する装置側固定構造と、電気的な接続に使用される接点とを備えた液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、前記液体消費装置に供給される液体を内部に貯留し、前記液体消費装置の前記接点と電気的に接続するための電極が形成された回路基板を備えた液体容器であって、前記係止ピンにより、前記電極が前記接点の方向に押し付けられる液体容器において、
前記液体消費装置に供給される液体を送出する液体供給口が形成された容器本体と、
前記液体容器が前記容器装着部に装着された状態において、前記容器装着部に設けられた前記装置側固定構造と協働して、前記液体容器の引抜き方向における移動を解除可能に規制する容器側固定構造と、を備え、
前記容器側固定構造は、前記装置側固定構造の前記係止ピンが挿入され、前記容器装着部への前記液体容器の着脱操作に際して前記係止ピンを案内する案内溝を有し、
前記案内溝は、前記液体容器が前記容器装着部に装着された状態において前記係止ピンが係合して前記液体容器の引抜き方向への移動を規制する係止部を含み、
前記案内溝の入口部に、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対移動する前記係止ピンの移動方向に沿って溝深さが徐々に浅くなるように傾斜した入口部傾斜面が形成されており、
前記案内溝の、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記入口部傾斜面に続く位置に、前記入口部傾斜面に続く平坦部が形成されており、
前記案内溝は、前記入口部傾斜面に対応する部分の溝幅が前記ピン取付部の径よりも大きく設定されており、前記入口部傾斜面の後に前記係止ピンが通過する主要部分の溝幅が前記ピン取付部の径よりも小さく設定されており、
前記入口部傾斜面によって形成された最も浅い部分及び前記平坦部における前記案内溝の深さは前記係止ピンの長さよりも小さいことを特徴とする液体容器。
【請求項2】
前記案内溝は、前記液体容器が前記容器装着部に挿入される際に前記係止ピンを案内する入口側案内部と、前記容器装着部に挿入された前記液体容器が引抜き方向へ押し返される際に前記係止ピンを前記係止部に導く中間案内部と、前記容器装着部から前記液体容器を取り外す際に、前記液体容器を挿入方向へ押し込むことにより前記係止部から外れた前記係止ピンを、前記案内溝の出口に案内する出口側案内部と、を有する請求項1記載の液体容器。
【請求項3】
前記容器側固定構造は、前記係止ピンが前記案内溝の前記係止部に位置している状態において、前記ピン取付部の頂面の周縁部が係合する溝縁部を備えており、
前記案内溝の係止部における溝の深さは、前記係止ピンの長さよりも大きい請求項1又は2記載の液体容器。
【請求項4】
前記平坦部と前記係止部との間に、前記容器装着部への前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記案内溝が深くなるように傾斜した深溝形成用傾斜面が設けられている請求項3記載の液体容器。
【請求項5】
前記案内溝の、前記容器装着部に対する前記液体容器の挿入動作に伴って相対的に移動する前記係止ピンの移動方向に沿って前記深溝形成用傾斜面に続く位置に、前記深溝形成用傾斜面に続く第2の平坦部が形成されており、
前記第2の平坦部における前記案内溝の深さは、前記係止部における溝の深さと同様に前記係止ピンの長さよりも大きい請求項4記載の液体容器。
【請求項6】
前記案内溝は、前記容器装着部に対して前記液体容器が十分に深く挿入された時点で前記係止部の方向に移動する前記係止ピンを、前記係止部の手前で暫定的に停止させる暫定停止用側壁部を有し、
前記案内溝の前記係止部は、前記容器装着部に十分に深く挿入された前記液体容器が引抜き方向へ押し返された際に前記暫定停止用側壁から解放されて前記係止部に移動する前記係止ピンを、所定の係止位置で停止させる最終停止用側壁部を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項7】
前記案内溝の出口部は前記入口部に接続されており、その接続部において前記出口部の溝の深さが前記入口部の溝の深さよりも浅く、これにより、前記液体容器を前記容器装着部に挿入する際に前記係止ピンを案内するための段差が前記接続部に形成されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項8】
前記案内溝は矩形断面を有している請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項9】
前記液体容器は、前記液体消費装置としてのインクジェット式記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体容器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-11-20 
結審通知日 2018-11-26 
審決日 2018-12-07 
出願番号 特願2003-290713(P2003-290713)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (B41J)
P 1 41・ 855- Y (B41J)
P 1 41・ 851- Y (B41J)
P 1 41・ 854- Y (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 島▲崎▼ 純一  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
後藤 昌夫
登録日 2010-01-08 
登録番号 特許第4432025号(P4432025)
発明の名称 液体容器  
代理人 清水 紘武  
代理人 奥津 啓太  
代理人 奥津 啓太  
代理人 清水 紘武  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 隈部 泰正  
代理人 隈部 泰正  

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