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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1347986 |
審判番号 | 不服2018-2918 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-28 |
確定日 | 2019-01-10 |
事件の表示 | 特願2013-180756号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月16日出願公開、特開2015-47320号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成25年8月31日の出願であって、平成29年4月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月28日付け(発送日:同年12月5日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成30年2月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 平成30年2月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?2のうち、請求項1を補正する内容を含むものであり、平成29年6月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における 「演出態様を表示する表示手段と、 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有するものであることを特徴とする遊技機。」は、審判請求時に提出された手続補正書(平成30年2月28日付け)における 「演出態様を表示する表示手段と、 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有し、 前記遊技機は、前記第1タイミングを含む期間から前記有効期間の開始タイミングを少なくとも含む期間に跨って、前記操作手段の操作が有効となる期間の開始タイミングを動的に示唆可能であることを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に「前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間」とあったものを「前記有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間」と補正すると共に、補正前の請求項1に「前記遊技機は、前記第1タイミングを含む期間から前記有効期間の開始タイミングを少なくとも含む期間に跨って、前記操作手段の操作が有効となる期間の開始タイミングを動的に示唆可能である」ことを加えるものであって、請求項1を限定することを含むものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0721】?【0723】、【0740】の記載、及び、願書に最初に添付した図面の【図72】?【図73】の図示内容からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため当審で付した。)。 「A 演出態様を表示する表示手段と、 B 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 C その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 D その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 E 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 F 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有し、 G 前記遊技機は、前記第1タイミングを含む期間から前記有効期間の開始タイミングを少なくとも含む期間に跨って、前記操作手段の操作が有効となる期間の開始タイミングを動的に示唆可能であることを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-253673号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。以下同様。)。 ・記載事項 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、可変表示の開始条件の成立にもとづいて複数種類の識別情報の可変表示を開始し、当該複数種類の識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機等の遊技機に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 しかし、特許文献1に記載されているような可変表示の停止の仕方では、停止操作スイッチが操作されたときに、リーチ演出や、可変表示中に遊技者に大当りへの期待を抱かせるような各種演出が遊技者に提供されないまま直ぐに可変表示が停止してしまうことが多い。そのため、遊技者が大当りへの期待感を持てないという不都合が生じる。また、遊技がいたって単調なものになってしまう。 【0012】 そこで、本発明は、可変表示の結果をはやめに知りたいという遊技者の希望にも応えられるようにしつつ、遊技者に可変表示中の演出を提示して、遊技者が演出による期待感の向上等の楽しみを得ることができ、興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」 イ 「【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明による遊技機は、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば特別図柄や飾り図柄)を可変表示可能な可変表示手段(例えば可変表示装置11)を備え、あらかじめ定められている可変表示の実行条件(例えば始動入賞口14への遊技球の入賞)が成立した後、当該実行条件に対応する可変表示の開始条件(例えば特別図柄の最終停止および大当り遊技の終了後であること)の成立にもとづいて複数種類の識別情報の可変表示を開始し、当該複数種類の識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果(例えば大当り図柄)となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、遊技者によって操作される操作手段(例えばストップスイッチ34)と、操作手段が操作されたことを検出する検出手段(例えば、ステップS21の処理を実行する部分)と、識別情報の可変表示の表示結果を特定表示結果とするか否かを決定する事前決定手段(例えば、ステップS56の判定にもとづいてステップS62,S63,S66,S67の処理を実行する部分)と、第1可変表示演出態様(例えば、「ノーマル」などの低信頼度の変動パターンとして分類される変動パターン)および第1可変表示演出態様とは異なる第2可変表示演出態様(例えば、「スーパーリーチ」などの高信頼度の変動パターンとして分類される変動パターン)を含む複数の可変表示演出態様のうちから一の可変表示演出態様を選択する可変表示演出態様選択手段(例えばステップS302の変動パターン設定処理を実行する部分)と、可変表示演出態様選択手段が選択した可変表示演出態様にもとづいて、可変表示手段に識別情報の可変表示を行わせる可変表示制御手段(例えばステップS705の演出制御プロセス処理を実行する部分)と、操作手段の操作として可変表示の表示結果を表示させる操作の検出を有効にする結果表示操作有効期間(例えば、第1有効期間(期間B))の開始および終了を設定する結果表示操作有効期間設定手段(例えばステップS146,S143の処理を実行する部分)と、検出手段が結果表示操作有効期間中に操作手段が操作されたことを検出したときには、可変表示演出態様選択手段が選択した可変表示演出態様に応じた可変表示期間の経過前であっても、事前決定手段の決定結果にもとづく表示結果の表示を行う結果表示手段(例えば、ステップS941でYとなり、ステップS952に移行し、ステップS803の全図柄停止処理を実行させるようにする部分)とを備え、可変表示演出態様選択手段は、第1可変表示演出態様にもとづいて識別情報の可変表示が行われたときと比較して、第2可変表示演出態様にもとづいて識別情報の可変表示が行われたときの方が高い割合で特定表示結果となるように、決定用データ(例えば、変動パターン決定用乱数の値)が第1可変表示演出態様と第2可変表示演出態様とに割り振られている決定用データテーブル(例えば、図17に例示するような、大当り時にはノーマル、スーパーリーチにそれぞれ0個、63個の判定値が割り振られ、非大当り時にはノーマル、スーパーリーチにそれぞれ94個、2個の判定値が割り振られた変動パターンテーブル)を用いて、可変表示演出態様を選択し、結果表示操作有効期間設定手段は、可変表示演出態様選択手段によって第2可変表示演出態様が選択されたときには、第1可変表示演出態様が選択されたときよりも結果表示操作有効期間の開始の設定タイミングを遅らせるタイミング遅延手段(例えば、高信頼度の変動パターンとして分類される変動パターンの方が、低信頼度の変動パターンとして分類される変動パターンよりも期間Bの開始タイミングが遅くなるよう予め定めておくことにより、高信頼度の変動パターンとして分類される変動パターンにおける期間Bの開始タイミングを遅らせる部分)を含むことを特徴とする。 【0014】 結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定してから結果表示操作有効期間の終了を設定するまでの間、結果表示操作有効期間中であることを報知する結果表示操作有効期間報知手段(例えば、ステップS936,S938の処理を実行する部分)を備えた構成であってもよい。 ・・・ 【0019】 結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定する前に、操作手段の操作として可変表示の状態が所定の状態(例えば、リーチ演出の開始タイミング以降の状態(図7(b)に例示するタイミングY以降の状態)や第1有効期間の開始タイミングの状態(図7(b)に例示する期間Bの開始タイミングの状態))となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作の検出を有効にする可変表示状態操作有効期間(例えば第2有効期間)の開始および終了を設定する可変表示状態操作有効期間設定手段(例えばステップS152,S149の処理を実行する部分)と、検出手段が可変表示状態操作有効期間中に操作手段が操作されたことを検出したときには、可変表示の状態が所定の状態となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる可変表示状態変更手段(例えば、ステップS948,S950の処理を実行する部分)とを備えた構成であってもよい。」 ウ 「【0069】 本実施形態では、期間B中であることの報知は、特別図柄の一方(本例では「左」の特別図柄)を所定の態様(例えば、所定の色)で停止させることによって行うものとする。すなわち、期間Aは、変動開始後の期間であるので左右の特別図柄は、両方とも可変表示している状態である。期間Aが終了し、期間Bが開始すると、左の特別図柄が例えば赤色で停止した状態になる。この状態によって、遊技者に期間B中であることを報知する。期間Bが終了し、期間Cが開始すると、左の特別図柄は停止したままとし、表示色を例えば青色に変化させる。この状態によって、期間B(有効期間)が終了したことを遊技者に報知する。」 エ 「【0077】 期間A内に第2の有効期間を設ける場合について説明する。図7は、期間A内に設けられる第2の有効期間を示す説明図である。以下の説明では、期間Bを第1有効期間と記し、期間A内に設けられる有効期間を第2有効期間と記す。ある特定の高信頼度変動パターンよりも信頼度が低い変動パターンでは、例えば、期間A全体を第2有効期間とする(図7(a)参照)。この場合、第2有効期間終了後、すぐに第1有効期間が開始される。 ・・・ 【0080】 第1有効期間中におけるストップスイッチ34の操作は、可変表示の表示結果(特別図柄および飾り図柄の停止図柄)を表示させる操作である。一方、第2有効期間中におけるストップスイッチ34の操作は、可変表示の状態が所定の状態となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作である。ここで所定の状態とは、例えば、リーチ演出の開始タイミング以降の状態や第1有効期間の開始タイミングの状態などである。本実施形態では、所定の状態が第1有効期間の開始タイミングの状態であるものとする。また、高信頼度の変動パターンが選択されていて、その変動パターンがリーチ演出を有する場合(図7(b)参照)、期間B(第1有効期間)の開始タイミングは、そのリーチ演出の開始タイミングよりも遅い。従って、第1有効期間の開始タイミングを所定の状態とした場合、その所定の状態において、既にリーチ演出は開始されている。 【0081】 高信頼度の変動パターンが選択されていて(図7(b))、第2有効期間中にストップスイッチが操作されると、その操作タイミングから期間Bの開始タイミングまでの期間が短縮され、直ちに期間Bが開始される。図7(b)に示すように、高信頼度の変動パターン選択時には、期間Bの開始タイミングで、リーチ演出が既に開始されている状態になっている。 【0082】 なお、低信頼度の変動パターンが選択されていて(図7(a)参照)、第2有効期間中にストップスイッチが操作されると、その操作タイミングから期間Bの開始タイミングまでの期間が短縮され、直ちに期間Bが開始される。」 オ 上記ア?エの記載事項、及び、図面の図示内容を総合勘案すると、刊行物には、次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる(a?gは、本件補正発明のA?Gに対応させて付与した。)。 「a 可変表示演出態様にもとづいて、可変表示制御手段による識別情報の可変表示が行われる可変表示手段(可変表示装置11)(【0013】)と、 b 遊技者によって操作される操作手段(ストップスイッチ34)(【0013】)と、 c 操作手段の操作として可変表示の表示結果を表示させる操作の検出を有効にする結果表示操作有効期間(第1有効期間(期間B))の開始および終了を設定する結果表示操作有効期間設定手段(【0013】)と、 d 検出手段が結果表示操作有効期間中に操作手段が操作されたことを検出したときには、可変表示演出態様選択手段が選択した可変表示演出態様に応じた可変表示期間の経過前であっても、事前決定手段の決定結果にもとづく表示結果の表示を行う結果表示手段(【0013】)と、 e 複数の可変表示演出態様のうちから一の可変表示演出態様を選択する可変表示演出態様選択手段(【0013】)とを備えた遊技機において(【0001】)、 f 結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定する前に、操作手段の操作として可変表示の状態が所定の状態(第1有効期間の開始タイミングの状態)となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作の検出を有効にする可変表示状態操作有効期間(第2有効期間)の開始および終了を設定する可変表示状態操作有効期間設定手段(【0019】)を備え、 g 期間A全体を第2有効期間とした場合、信頼度の低い変動パターンでは、 第2有効期間(期間A)中にストップスイッチが操作されると、その操作タイミングから第1有効期間(期間B)の開始タイミングまでの期間が短縮され、直ちに第1有効期間(期間B)が開始されると共に、 第2有効期間(期間A)終了後、すぐに第1有効期間(期間B)が開始され、 第1有効期間(期間B)が開始されると、左の特別図柄が例えば赤色で停止した状態になり、遊技者に第1有効期間(期間B)中であることを報知する(【0069】、【0077】、【0081】、【0082】) 遊技機。」 (3)対比 本件補正発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本件補正発明の構成A?Gと刊行物発明の構成a?gについて、それぞれ(a)?(g)の見出しを付して行った。)。 (a)刊行物発明における「可変表示演出態様」は、本件補正発明における「演出態様」に相当する。 そして、刊行物発明における「識別情報の可変表示が行われる」ことは、本件補正発明における「表示する」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成aの「可変表示手段(可変表示装置11)」は、本件補正発明における構成Aの「表示手段」に相当する。 (b)刊行物発明における構成bの「遊技者によって操作される操作手段(ストップスイッチ34)」は、本件補正発明における構成Bの「遊技者が操作することが可能な操作手段」に相当する。 (c)刊行物発明における「操作手段の操作として可変表示の表示結果を表示させる操作の検出を有効にする結果表示操作有効期間(第1有効期間(期間B))」は、本件補正発明における「操作手段が操作されたことを有効とする有効期間」に相当する。 したがって、刊行物発明における構成cの「結果表示操作有効期間設定手段」は、本件補正発明における構成Cの「有効期間設定手段」に相当する。 (d)刊行物発明における「検出手段が結果表示操作有効期間中に操作手段が操作されたことを検出したとき」は、本件補正発明における「有効期間設定手段により有効期間が設定されている場合に操作手段が操作されたことに基づ」くことに相当する。 そして、刊行物発明における「可変表示演出態様選択手段が選択した可変表示演出態様に応じた可変表示期間の経過前であっても、事前決定手段の決定結果にもとづく表示結果の表示を行う」ことは、「表示結果の表示」を設定されたタイミングよりも早いタイミングとなるように「可変表示演出態様」を変化させることであるから、本件補正発明における「演出態様を可変させる」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成dの「結果表示手段」は、本件補正発明における構成Dの「演出可変手段」に相当する。 (e)刊行物発明における「複数の可変表示演出態様のうちから一の可変表示演出態様を選択する」ことは、構成aより、「可変表示演出態様」に基づいて「可変表示手段(可変表示装置11)」での表示が行われるものであるから、本件補正発明における「表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成eの「可変表示演出態様選択手段」は、本件補正発明における構成Eの「演出態様決定手段」に相当する。 (f)刊行物発明における「結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定する前」のタイミングは、本件補正発明における「有効期間の開始よりも前の第1タイミング」に相当する。 そして、刊行物発明における「操作手段の操作として可変表示の状態が所定の状態(第1有効期間の開始タイミングの状態)となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作の検出を有効にする」ことは、「結果表示操作有効期間の開始を設定する前」に「操作手段(ストップスイッチ34)」が「操作」された場合、「第1有効期間」の開始タイミングを前倒して、当該操作タイミングが開始タイミングとなるように「第1有効期間」を設定し直すことであるから、本件補正発明における「操作手段が操作されていれば、有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間で操作手段の操作を有効とする」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成fの「可変表示状態操作有効期間設定手段」は、本件補正発明における構成Fの「期間変更手段」に相当する。 (g)刊行物発明における「ストップスイッチが操作される」ことが可能な「第2有効期間(期間A)中」は、本件補正発明における「第1タイミングを含む期間」に相当する。 そして、刊行物発明における「第2有効期間(期間A)終了後、すぐに」「開始され」る「第1有効期間(期間B)」は、構成cの「結果表示操作有効期間設定手段」によって設定される「第1有効期間」の開始タイミングを含む期間であることから、本件補正発明における「前記有効期間の開始タイミングを少なくとも含む期間」に相当する。 また、刊行物発明における「左の特別図柄が例えば赤色で停止した状態にな」ることにより「報知する」ことは、本件補正発明における「動的に示唆」することに相当するから、刊行物発明における「第1有効期間(期間B)が開始されると、左の特別図柄が例えば赤色で停止した状態になり、遊技者に第1有効期間(期間B)中であることを報知する」ことは、本件補正発明における「操作手段の操作が有効となる期間の開始タイミングを動的に示唆可能である」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成gの「遊技機」とは、本件補正発明における構成Gの「遊技機」に相当する。 (h)上記(a)?(g)によれば、本件補正発明と刊行物発明は、 [一致点] 「A 演出態様を表示する表示手段と、 B 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 C その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 D その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 E 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 F 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有し、 G 前記遊技機は、前記第1タイミングを含む期間から前記有効期間の開始タイミングを少なくとも含む期間に跨って、前記操作手段の操作が有効となる期間の開始タイミングを動的に示唆可能である遊技機。」 の点で一致し、相違点はない。 よって、本件補正発明は、刊行物発明である。 (4)請求人の主張について 請求人は、平成30年2月28日付けの審判請求書の「4.(1-3)本願請求項1と引用文献1との対比について」において、次の点について主張をする。 「引用文献1の構成では、第2有効期間であることを示すランプを第1有効期間が開始したと勘違いしてストップスイッチ34が操作されたとしても、リーチ状態となるタイミングが早まるだけで、第1有効期間と勘違いしている遊技者にとっては、特別図柄が停止するものと思っていたのに、その演出が実行されないことで違和感を感じてしまい、遊技の演出に対する興趣が低下してしまうものです。 一方、本願発明は、有効期間よりも前に、有効期間が開始したと誤って操作した場合にも、有効期間中に操作した場合と同様の演出態様が可変されるように制御され、有効期間の開始タイミングもそのタイミングに合わせて可変して動的に示唆されるので、遊技者に違和感を低減した演出を提供することができるという引用文献1では奏し得ない効果を奏するものであるので、引用文献1から容易に上記した本願発明の構成を容易に想到することができないことは明らかです。」と主張する。 そこで、請求人の上記主張について検討する。 刊行物発明は、構成fにより、「結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定する前に」「操作手段の操作」が「検出」された場合、「可変表示状態操作有効期間設定手段」によって「第1有効期間の開始タイミングの状態」まで「可変表示期間の途中期間を短縮させ」ることにより、「第1有効期間」を「検出手段が」「操作手段が操作されたことを検出した」タイミングから開始するように設定し直すものである。 したがって、一旦、「可変表示状態操作有効期間設定手段」によって「第1有効期間」が設定し直された場合、「結果表示操作有効期間設定手段」により設定される「第1有効期間」が開始される前のタイミングで操作手段が操作されても「可変表示演出態様に応じた可変表示期間の経過前であっても、事前決定手段の決定結果にもとづく表示結果の表示を行う」(構成d)ことが可能となる。 すなわち、刊行物発明は、「第1有効期間」よりも前に操作手段が操作された場合であっても、「可変表示の結果をはやめに知りたいという遊技者の希望にも応えられる」(【0012】)という刊行物に記載された課題を解決するものである。 したがって、刊行物発明は、請求人が上記主張する「有効期間よりも前に、有効期間が開始したと誤って操作した場合にも、有効期間中に操作した場合と同様の演出態様が可変されるように制御され」るという、本願発明が奏する効果と同様の効果を奏するものである。 よって、請求人の上記主張を採用することはできない。 (5)小括 上記(3)、(4)において検討したように、本件補正発明は、刊行物発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、刊行物発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 まとめ 上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年6月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「A 演出態様を表示する表示手段と、 B 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 C その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 D その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 E 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 F 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有するものであることを特徴とする遊技機。」 2 拒絶の理由(平成29年4月13日付け) 原査定の拒絶の理由は、 「1.(新規性)この出願の下記の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36 条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というものである。 引用文献1:特開2005-253673号公報 3 刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2005-253673号公報(前記「第2 3(2)」における「刊行物」に対応する。)の記載事項及び刊行物発明の認定については、前記「第2 3(2)刊行物」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明において、補正前の請求項1の構成Fに「前記有効期間の開始時期よりも前のタイミングを含む期間」とあったものを「前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間」と補正すると共に、本件補正発明から構成Gについての限定を省くものである。 そして、前記「第2[理由]3(3)対比(f)」において検討したと同様に、刊行物発明における「操作手段の操作として可変表示の状態が所定の状態(第1有効期間の開始タイミングの状態)となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作の検出を有効にする」ことは、「結果表示操作有効期間の開始を設定する前」に「操作手段(ストップスイッチ34)」が「操作」された場合、「第1有効期間」の開始タイミングよりも先のタイミングが、開始タイミングとなるように「第1有効期間」を設定し直すことであるから、本願発明における「操作手段が操作されていれば、有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間で操作手段の操作を有効とする」ことに相当する。 したがって、刊行物発明における構成fの「結果表示操作有効期間設定手段が結果表示操作有効期間の開始を設定する前に、操作手段の操作として可変表示の状態が所定の状態(第1有効期間の開始タイミングの状態)となるまで可変表示期間の途中期間を短縮させる操作の検出を有効にする可変表示状態操作有効期間(第2有効期間)の開始および終了を設定する可変表示状態操作有効期間設定手段」は、本願発明における構成Fの「前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段」に相当する。 そうすると、本件補正発明における構成Gを備えない本願発明と刊行物発明とは、 「A 演出態様を表示する表示手段と、 B 遊技者が操作することが可能な操作手段と、 C その操作手段が操作されたことを有効とする有効期間を設定する有効期間設定手段と、 D その有効期間設定手段により前記有効期間が設定されている場合に前記操作手段が操作されたことに基づいて演出態様を可変させることが可能な演出可変手段と、 E 前記表示手段に表示させる演出態様として複数の演出態様から決定する演出態様決定手段と、を有した遊技機において、 F 前記有効期間の開始よりも前の第1タイミングで前記操作手段が操作されていれば、前記有効期間の開始時期よりも先のタイミングを含む期間で前記操作手段の操作を有効とすることが可能な期間変更手段を有するものである遊技機。」 の点で一致し、相違する点はない。 したがって、本願発明は、刊行物発明と同一のものであり、刊行物1に記載された発明である。 5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 また、本願発明は、刊行物発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-11-08 |
結審通知日 | 2018-11-13 |
審決日 | 2018-11-27 |
出願番号 | 特願2013-180756(P2013-180756) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 智也、柳 重幸、岩永 寛道 |
特許庁審判長 |
安久 司郎 |
特許庁審判官 |
田邉 英治 長崎 洋一 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 工藤 洋平 |