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審決分類 審判 全部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益  H01L
管理番号 1348027
審判番号 無効2017-800160  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-12-27 
確定日 2019-01-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第4094047号発明「発光装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 本件審判の概要
1 本件特許
本件特許第4094047号(以下「本件特許」という。)は、平成16年12月15日に出願した特願2004-363534号(優先権主張 平成16年4月27日、平成16年6月21日、平成16年6月30日)の一部を、平成19年8月13日に新たな特許出願としたものであって、平成20年3月14日に本件特許の設定登録がなされたものである。

2 請求の趣旨
特許第4094047号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

3 答弁の趣旨
本件審判は利害関係を有しないものによる審判請求であるから却下するとの審決を求める。

第2 手続の経緯
本件特許についての手続の経緯の概要は以下のとおりである。
1 平成26年1月22日に請求人永井義久が請求した審判請求についての手続の概要は、以下のとおりである。

平成26年 1月22日 審判請求(無効2014-800013号)(以下「前無効審判請求」という。)
平成26年 4月 7日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成26年 5月28日 審理事項通知
平成26年 7月 2日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成26年 7月 2日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成26年 7月10日 上申書提出(請求人)
平成26年 7月16日 口頭審理
平成26年 7月18日 上申書提出(被請求人)
平成26年 8月 1日 上申書(第2回)提出(請求人)
平成26年 8月 1日 上申書提出(被請求人)
平成26年 8月25日 上申書(第3回)提出(請求人)
平成26年 9月24日 審決の予告
平成26年11月28日 訂正請求書提出(被請求人)
平成26年11月28日 上申書提出(被請求人)
平成27年 1月 7日 上申書(第4回)提出(請求人)
平成27年 2月20日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成27年 4月 6日 審決(訂正を認める。請求成立。以下「一次審決」という。)
平成27年 5月15日 知的財産高等裁判所出訴(平成27年(行ケ)第10097号)
平成28年 3月 8日 判決(審決取消。以下「一次判決」という。)
平成28年 5月30日 上申書(第5回)提出(請求人)
平成28年 8月 5日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成29年 1月12日 審決(訂正を認める。請求不成立。以下「二次審決」という。)
平成29年 2月16日 知的財産高等裁判所出訴(平成29年(行ケ)第10047号)
平成30年 1月23日 判決(請求棄却。以下「二次判決」という。)
平成30年 2月 6日 二次審決及び二次判決確定

2 平成29年12月27日に請求人永井義久が請求した本件審判請求についての手続の概要は、以下のとおりである。

平成29年12月27日 審判請求(無効2017-800160号)
平成30年 2月22日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成30年 6月12日 答弁書副本の送付通知
平成30年 7月19日 審判事件弁駁書提出(請求人)

当審は、答弁書における、請求人の主張する「請求人適格」についての主張に対して、請求人は、弁駁書において、具体的に反論すると共に、「利害関係の釈明」について、詳細に主張するよう、上記「答弁書副本の送付通知」により求めた。

第3 本件審判の請求について
本件審判の請求については、請求人と被請求人の間に、利害関係人としての請求人適格について争いがある。請求人適格に係る両者の主張の概要及び当審の対応は、以下のとおりである。

1 請求人の審判請求書における主張
審判請求書の「第1 手続の経緯及ぶ争いの経緯」には、以下のように記載されている。
「・請求人適格
本件審判請求において、本請求人は、利害関係を有するので請求人適格がある。
すなわち、本件特許権について争いがあり、その争いは未確定であるから、特許庁が平成27年2月25日に発表した「無効審判における請求人適格に関する運用」3頁(6)の「当該特許権について訴訟関係にある者」に該当する。」(審判請求書3頁)

2 被請求人の答弁書における主張の概略と当審の対応
(1)本件審判は、上記「第1」「3 答弁の趣旨」のとおり、被請求人が利害関係について争う場合であって、請求人が利害関係を有することが合議体において明らかでなかったことから、当審では、上記「第2」「2」のとおり、下記の内容の「答弁書副本の送付通知」を送付し、請求人に、弁駁書において、利害関係の釈明をするように求めた。

「被請求人は、答弁書において、請求人の主張する「請求人適格」について、概略、下記のように主張しています。
請求人は、弁駁書において、下記の主張に対して、具体的に反論すると共に、「利害関係の釈明」について、詳細に主張してください。


1.請求人は、請求人適格に関する「当該特許権について訴訟関係にある者」についての解釈を誤っている(答弁書6(2)?(4)参照。)。
2.仮に審決取消請求訴訟(平成29年(行ケ)第10047号)が「当該特許権について訴訟関係にある者」の訴訟関係に該当するとしても、当該訴訟は判決が確定して終了したのであるから、請求人はもはや「利害関係人」ではない(答弁書6(5)第1段落参照。)。
3.「何人も」請求できる無効審判の請求人については、審決及び判決により無効でないことが確定したということのみでは、「利害関係人」に限定された無効審判の請求人適格は認められない(答弁書6(5)第2段落参照。)。
4.請求人は、本件特許発明の発光装置に係る製品を開発したり、実施を計画することなどとは無縁の者であり、本件特許権について訴訟関係にある者でもないから、本件無効審判の請求人適格を有しない(答弁書6(6)第1段落参照。)。
5.仮に、審判請求人である永井義久氏が利害関係を有する者から依頼を受けているとしても、裁判例にあるように、弁理士が代理人ではなく審判請求人本人となることは、弁理士個人には無効審判を請求する法律上の利益がないとして認められていないから、本件無効審判の請求人適格を有しない(答弁書6(6)第2段落参照。)。」

(2)被請求人が提出した証拠
ア 被請求人が、答弁書に添付して提出した証拠は、以下のとおりである。
乙第1号証:審判請求人である永井義久氏の事務所のホームページ
http://www.intnagai.com/outline.html
乙第2号証:審判便覧 31-01 P T 利害関係人
乙第3号証:審判便覧 31-02 P T 利害関係人の具体例

イ 乙第1号証の2/3ページの一部を抜粋した記載
「所長 永井義久
(弁理士 特定侵害訴訟代理付記)
…(略)…
業務内容 ・特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願および商標登録
出願
・前記各出願の外国出願(米国,欧州,中国,韓国,東南アジア
諸国その他)
・特許調査、実用新案調査、意匠調査、商標調査
・特許、実用新案に関する見解書、鑑定書作成
・拒絶査定不服審判、無効審判、訂正審判および取消審判の代理
・侵害訴訟および審決取消訴訟の相談及び代理
・異議申立ての相談、申立て
・ライセンス交渉および契約締結の支援
・発明創作の支援
・著作物に関する権利の契約締結の代理
・特定不正競争に関する事項についての裁判所における補佐」

3 請求人の弁駁書における主張
請求人は、弁駁書の「7」において、以下のように主張している。
「7 理由
…(略)…
そこでまず、請求人が、利害関係を有することについて説明するとともに、必要な範囲で被請求人の主張に対して反論する。
(1)請求人が利害関係を有すること
本件のように、平成15年法律第47号による改正後の特許法であって、平成26年法律第36号による改正前の特許法(以下「平成15年特許法」という。)123条に基づいて無効審判請求した者は、平成26年法律第36号による改正後の特許法(以下「平成26年特許法」という。)123条2項の「利害関係人」に該当する。
少なくとも、平成15年特許法123条に基づいて無効審判請求を行い、その審決の確定前に平成26年特許法が施行された場合、とりわけ、本件のように特許無効の審決がなされることが合理的に予測され、平成26年特許法施行前に新たな無効審判の請求をすることが期待できない場合には、当該請求人は、平成26年特許法123条第2項の「利害関係人」に該当するというべきである。

ア.「利害関係人」の解釈について
…(略)…
そして、請求人は、平成26年改正法施行前は、平成15年特許法123条に基づく無効審判請求の請求人適格を有しており、現に同法同条に基づき無効審判を請求した者である。そのため、請求人は、本件特許の帰趨について利害関係を有するに至ったものであって、「利害関係人」に該当することは明らかである。

イ.本件の特殊性
本件は、以下に述べるとおり、平成15年特許法123条に基づいて無効審判請求を行い、その審決の確定前に平成26年特許法が施行された無効審判請求人による同法123条に基づく無効審判請求である。とりわけ、平成26年特許法施行前の無効審判の状況に鑑みて、同施行前に平成15年特許法123条に基づく新たな無効審判の請求が期待できない事件であった。このような事件の特殊性に鑑みて、本件における無効審判請求人は、平成26年改正法123条2項の「利害関係人」に該当すると言うべきである。
…(略)…このように、平成26年特許法施行前に特許無効審判を請求し、その審決が確定していない場合には、平成26年特許法施行時において、少なくとも当該特許を無効とすることに利害関係を有していることは明らかであるから、そのような無効審判の請求人は、平成26年特許法123条2項の「利害関係人」であると認めるべきであるといえる。
特に、前無効審判請求では、平成26年9月24日に本件特許を無効とするとの審決の予告がなされている。…(略)…、この審決の予告が覆る可能性は極めて低く、したがって、前無効審判請求の経過に鑑みても、当該無効審判の請求人に、平成26年特許法施行前に、本件のような新たな無効審判を請求することを期待することはできない。
しかしながら、結果として、…(略)…、審決取消訴訟において審決が取り消され、請求人は、本件のような新たな無効審判を請求せざるを得ない状況に陥った。
…(略)…

(2)被請求人の主張に対する反論
…(略)…
乙第3号証の「審判便覧31-02PT 利害関係人の具体例」には、…(略)…との記載があり、被請求人は、これを根拠に、「何人も」請求できる無効審判の請求人については、審決及び判決により無効でないことが確定したということのみでは、「利害関係人」に限定された無効審判の請求人適格は認められないと主張している(答弁書6(5)第2段落参照。)。
しかし、平成26年改正法では、特許異議と無効審判の2つの制度が併存し、…(略)…特許異議申立人に、無効審判請求の利害関係を認めてしまっては、その申立人・請求人適格を区別した実益がなくなる。したがって、単に特許異議申立人に、無効審判請求人の請求人適格を認めないことは妥当であるが、本件のように、無効審判のみが認められていた平成15年特許法123条に基づく無効審判請求人に利害関係を認めないことの理由にはならない。
また、乙第3号証の「審判便覧31-02PT 利害関係人の具体例」には、…(略)…としており、被請求人は、この記載の根拠となった裁判例に照らして、弁理士が代理人ではなく審判請求人本人となることは、弁理士個人には無効審判を請求する法律上の利益がないとして認められていないから、本件無効審判の請求人適格を有しないと主張する(答弁書6(6)第2段落参照。)。
しかし、この記載の根拠となる裁判例は、異議申立てと無効審判が認められていた時期の裁判例に過ぎず、本件のように、無効審判のみが認められていた平成15年特許法123条に基づく無効審判請求人について当てはまるものではない。むしろ、平成15年特許法123条に基づく無効審判請求において、第三者より特許を無効とすることを依頼されてこれを行っていたとすれば、その依頼が継続する限りにおいて、当該無効審判請求人は、特許を無効とすることに利害関係があるといえる。」

第4 請求人適格についての当審の判断
1 請求人適格について
本件特許無効審判は、上記「第2」「2」のとおり、平成29年12月27日に請求されたものであって、特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)による改正後の特許法(以下「平成26年法」という。)第123条第2項の規定が適用される事案である。
そして、特許無効審判を請求することができる者(請求人適格)は、平成26年法第123条第2項で「利害関係人」と規定されている。
また、無効審判請求の請求人適格を判断するための「利害関係の判断の基準時」は、本件「審決の時」を基準とすべきものである(最二小判昭37.12.7(昭36(オ)465号))。

2 判断
(1)本件審判の請求人永井義久は、特許業務法人永井国際特許事務所の所長弁理士であり、その業務内容をみても、弁理士としての業務に限られている(乙第1号証参照。)。
上記「第3」「2(1)」のとおり、当審では、請求人に対し、「4.請求人は、本件特許発明の発光装置に係る製品を開発したり、実施を計画することなどとは無縁の者であり、本件特許権について訴訟関係にある者でもないから、本件無効審判の請求人適格を有しない」との被請求人の主張に対して、具体的に反論するように求めたが、弁駁書において、前記主張に対する反論はなされなかった。
よって、請求人本人が、本件特許発明の発光装置に係る事業を計画したり、事業を行っていたりする事情はなく、請求人本人が、本件特許の存在により直接不利益を被るおそれがある者とはいえない。
そうすると、現時点、すなわち、本件「審決の時」において、請求人は、本件特許の無効を求めることについて利害関係を有する者であるということはできない。

(2)請求人の主張について
ア 審判請求書における主張について
上記「第3」「1」のとおり、請求人は、「当該特許権について訴訟関係にある者」に該当すると主張している。

請求人は、審判便覧31-02「利害関係人の具体例」(乙第3号証2頁)の「(6) 当該特許権にある/あった者又は警告を受けた者」という記載を根拠として、上記主張を行っている。
平成15年改正特許法では、特許異議制度の廃止に伴い、異議申立てが「何人でも」可能であったことから、無効審判においても、利害関係人だけでなく、利害関係を有しない者も、無効審判請求が可能とされたものである。

審判便覧の上記記載は、蓄積された平成15年改正前の裁判例を類型化して整理したもの(乙第3号証1頁)で、(6)の類型は、「裁判例12?16」(乙第3号証6?7頁)から抽出された具体例であって、いずれの裁判例も、本件特許に基づく侵害訴訟を提起された者や、侵害差し止めの仮処分を申し立てられた者、侵害の警告等を受けた者、あるいは、これらを提起されたり、申し立てられたり、受けるおそれがある者を利害関係人とした裁判例である。
請求人は、弁駁書において、「訴訟関係にある者でもない」との被請求人の主張に対して、本件特許に基づく侵害訴訟を提起されたり、侵害差し止めの仮処分を申し立てられたり、侵害の警告等を受けたりするおそれがある者であることを主張立証していないから、利害関係を有しない者が無効審判請求できた平成15年改正特許法に基づく前無効審判請求をした請求人による審決取消し訴訟は、審判便覧31-02「利害関係人の具体例」(6)の類型の「訴訟」に含まれるとはいえない。

平成26年法第123条第2項でいう「利害関係人」とは、平成15年改正前の特許法において、判例(東京高判昭45.2.25(昭44(行ケ)81号)など)上、特許無効の審判を請求しうる者の要件として、当該審判請求について法律上正当な利益を有することが必要とすると解されていたものを、平成26年法において「利害関係人」という文言で明文化したものである。

上述したように、請求人は、専ら弁理士としての業務しか行っておらず、本件特許に基づく侵害訴訟を提起されたり、侵害差し止めの仮処分を申し立てられたり、侵害の警告等を受けたりするおそれがあるとはいえないから、本件無効審判について法律上正当な利益を有しているとはいえない。

仮に、審判便覧31-02「利害関係人の具体例」(6)の類型の「訴訟」に、前無効審判請求をした請求人による審決取消し訴訟が含まれるとしても、上記「第2」「1」のとおり、本件特許権の二次審決についての平成29年(行ケ)第10047号審決取消請求事件は平成30年1月23日に判決(上記「二次判決」)が言い渡され、当該二次判決及び二次審決は平成30年2月6日に確定しており、現時点、すなわち、本件「審決の時」において、請求人は、「当該特許権について訴訟関係にある者」には該当せず、本件特許の無効を求めることについて利害関係を有する者であるということはできない。

イ 弁駁書における主張について
上記「第3」「3」のとおり、請求人は、弁駁書の「7(1)請求人が利害関係を有すること」の「ア.」「イ.」において、請求人が利害関係を有することについて以下の主張をしている。

「請求人は、平成26年改正法施行前は、平成15年特許法123条に基づく無効審判請求の請求人適格を有しており、現に同法同条に基づき無効審判を請求した者である。そのため、請求人は、本件特許の帰趨について利害関係を有するに至ったものであって、「利害関係人」に該当することは明らかである。」
「とりわけ、平成26年特許法施行前の無効審判の状況に鑑みて、同施行前に平成15年特許法123条に基づく新たな無効審判の請求が期待できない事件であった。このような事件の特殊性に鑑みて、本件における無効審判請求人は、平成26年改正法123条2項の「利害関係人」に該当すると言うべきである。」

要するに、請求人は、平成15年特許法123条に基づき、「前無効審判請求」をした者は、「利害関係人」に該当する旨の主張をしている。
ところで、平成15年特許法123条2項では、「何人も請求することができる」とされ、利害関係人に限らず、利害関係を有さない者も請求可能であったのであるから、請求人の当該主張は根拠がない。
さらに、無効審判請求の請求人適格を判断するための「利害関係の判断の基準時」は、「審決の時」を基準とすべきものであるところ、請求人の主張する「前無効審判請求」は、既に平成30年2月6日に確定していることから、「前無効審判請求」における「事件の特殊性」を考慮しても、「審決の時」である現時点において、請求人が「利害関係人」であるか否かの判断に影響するものではない。

また、上記「第3」「3」のとおり、請求人は、弁駁書の「7(2)被請求人の主張に対する反論」において、「むしろ、平成15年特許法123条に基づく無効審判請求において、第三者より特許を無効とすることを依頼されてこれを行っていたとすれば、その依頼が係属する限りにおいて、当該無効審判請求人は、特許を無効とすることに利害関係があるといえる。」と主張している。
この請求人の主張によれば、請求人は、第三者より特許を無効とする依頼をされており、代理人としての立場を根拠に、本件「審決の時」である現時点においても、「利害関係人」であるという主張とも解される。
しかしながら、平成26年法第123条第2項でいう「利害関係人」とは、上記アで上述したように特許を無効にすることについて法律上の利益を有する者でなければならないところ、特許を無効とする依頼をされた者(代理人)は、依頼契約に基づく利益があるにすぎず、特許を無効とすることについて法律上の利益を有する当事者ではない。そして、請求人が第三者の代理人として特許を無効にしようとしている場合、その第三者自身が請求人として「利害関係人」であることを別途の無効審判請求において主張立証すべきであって、本件無効審判請求において、第三者自身を請求人とすることは、請求の要旨変更にあたるため、第三者自身を請求人とする補正も認められない。また、代理人本人が、本件特許発明の発光装置に関連する特許を出願人として出願したり、本件特許発明の発光装置に係る事業を計画したり、事業を行っていたりする事情はなく、本件特許の存在により直接不利益を被るおそれがあるとはいえない。
よって、本件「審決の時」である現時点において、請求人が特許を無効とする依頼をされた者であるとしても、「利害関係人」であるとはいえない。

(3)請求人適格についての当審の判断のまとめ
以上のとおり、本件「審決の時」において、請求人が、利害関係を有する者であるということはできないから、利害関係人と認めることはできない。
また、請求人が利害関係人であるその他の理由も見当たらない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、請求人は、平成26年法第123条第2項でいう利害関係人には当たらず、本件審判の請求人適格を有さない。そうすると、本件審判の請求は不適法であって、その補正をすることができないものであるから、本件審判の請求は、同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-10-31 
結審通知日 2018-11-02 
審決日 2018-11-28 
出願番号 特願2007-210888(P2007-210888)
審決分類 P 1 113・ 02- X (H01L)
最終処分 審決却下  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 恩田 春香
近藤 幸浩
登録日 2008-03-14 
登録番号 特許第4094047号(P4094047)
発明の名称 発光装置  
代理人 豊岡 静男  
代理人 鈴木 修  
代理人 大山 丈二  
代理人 安武 成記  
代理人 ▼廣▲瀬 文雄  
代理人 松山 美奈子  
代理人 永井 秀男  

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