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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F24F
管理番号 1348109
審判番号 不服2018-6753  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-17 
確定日 2019-02-05 
事件の表示 特願2014- 58111「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月22日出願公開、特開2015-183873、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月20日の出願であって、平成29年6月29日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年9月8日に手続補正がされ、平成30年2月9日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年5月17日に拒絶査定不服審判の請求(審判請求書の提出)がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
1.補正の却下の決定の結論
平成30年5月17日の手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

2.補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の【請求項1】を、補正後の【請求項1】に変更する補正事項(以下、「補正事項」という。)を含むものである。
補正前の【請求項1】及び補正後の【請求項1】は、それぞれ以下のとおりである。

ア 本件補正前の【請求項1】
「【請求項1】
室外機と、
空調室における人体動作を検知する人感センサを有する室内機と、
暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人感センサによる検知を継続して行い、前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合、前記所定時間経過前であっても前記室外機を制御して除霜運転を開始する空気調和機。」

イ 本件補正後の【請求項1】
「【請求項1】
室外機と、
空調室における人体動作を検知する人感センサを有する室内機と、
暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人感センサによる検知を継続して行い、
前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合、前記所定時間経過前であっても前記室外機を制御して除霜運転を開始し、
前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知された場合、除霜解除条件が成立しているか否かを判断し、前記除霜解除条件が成立している場合には、除霜運転を中止する空気調和機。」

(2)本件補正の適否の判断
本件補正の補正事項は特許請求の範囲の【請求項1】に「前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知された場合、除霜解除条件が成立しているか否かを判断し、前記除霜解除条件が成立している場合には、除霜運転を中止する」という事項を追加する補正を含むものである。
しかしながら、「前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知された場合、除霜解除条件が成立しているか否かを判断し、前記除霜解除条件が成立している場合には、除霜運転を中止する」という事項は、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書、図面(以下、「当初明細書等」という。)には記載がなく、当初明細書等から自明でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
なお、請求人は審判請求書において、上記補正事項は、「出願時の明細書の段落[0023]、[0024]の記載、および図1に基づいており」と主張するが、当初明細書等の図1は「本発明の第1の実施形態に係る空気調和機の全体構成図である」(【0014】)ところ「除霜運転を中止する」ことに係る事項の記載はないし、当初明細書等の段落【0023】、【0024】の記載は、当該記載において参照する図2について「図2は、空気調和機1が暖房運転中に除霜運転の開始を判定するときの制御処理のフローチャートを示している」(【0021】)と記載されているように、除霜運転の開始を判定するときの制御処理を説明しているのであって、除霜運転の開始前に係る事項についてであって、「除霜運転を中止する」といった除霜運転の終了に係る事項ではないから、該主張は採用できない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、上記のとおり本件補正を却下する。

第3 原査定の概要
原査定(平成30年2月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1及び2に係る発明は、引用文献1(特開2009-109099号公報)に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の請求項3に係る発明は、引用文献1及び引用文献2(特開2012-83088号公報)に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項4ないし6に係る発明は、引用文献1ないし引用文献3(特開2012-102927号公報)に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 本願発明
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。したがって、本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成29年9月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
室外機と、
空調室における人体動作を検知する人感センサを有する室内機と、
暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人感センサによる検知を継続して行い、前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合、前記所定時間経過前であっても前記室外機を制御して除霜運転を開始する空気調和機。」

また、本願発明2ないし6は、概略、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【請求項1】
圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、ディアイス開始条件を満足した場合、前記設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後にディアイスを開始することを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
ディアイス終了後、設定温度に加えられた温度シフトを解除することを特徴とした請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
人の在否を検知する人体検知センサを設け、前記人体検知センサにより人の不在が検知されたときは、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行うことを特徴とした請求項1に記載の空気調和機。」

・「【0002】
従来、セパレートタイプの空気調和機での暖房運転の際は、室内熱交換器は高温に、室外熱交換器は低温となる。その為、外気温がある程度低いときは(例えば、2度?5度以下)、室外熱交換器の温度は0度以下となり、ある程度水分が介在する場合は、霜となり室外熱交換器に付着する。その後も暖房運転が継続すると、その霜が徐々に成長する為、やがては、室外熱交換器での熱交換能力を阻害し、暖房能力を徐々に落としてしまうという課題が生じる。それを防止する為に、ある程度霜が成長したと推定できる場合は、空気調和機の電子制御装置にて判定を行い、霜を融かすための運転(以降、ディアイスと呼ぶ)を実施する。
【0003】
この運転は、通常の暖房運転と異なり、四方弁を切り替えて冷房運転とし、室外の熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かす。この際、室外は、高温を維持する為に、また、室内は、ユーザーに冷風感を感じさせない為にも、どちらもファンを止めて運転するのが一般的である。つまり、基本的に暖房能力はゼロで運転されていることとなる。
【0004】
また、従来は、図4に示すように、外気温度をXとし、室外熱交換器温度をYとして、一次式からなる第一の条件式と第二の条件式を設け、前記第一の条件式の下領域に室外熱交換器温度があった場合、所定のディアイス開始条件を満足すればディアイスを開始する、あるいは前記室外熱交換器温度が前記第二の条件式の下領域にあった場合、ディアイスを開始するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006-145080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような、上記従来の空気調和機の構成では、ディアイス中の寒さ軽減手段を特に設けておらず、ユーザーがディアイス中に寒く感ずるという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、暖房運転時のディアイス中の寒さ軽減の為、ディアイス直前に設定温度を所定温度シフトさせることで、室内を予め暖めるようにして、必要以上に室温が低下するのを防止することが出来る空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、ディアイス開始条件を満足した場合、前記設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後にディアイスを開始するもので、ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減することができ、ディアイス中に感じるユーザーの寒さを軽減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機は、ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温
の低下を軽減することができ、ディアイス中に感じるユーザーの寒さを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、ディアイス開始条件を満足した場合、前記設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後にディアイスを開始するもので、ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減することができ、ディアイス中に感じるユーザーの寒さを軽減することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明のディアイス終了後、設定温度に加えられた温度シフトを解除するもので、一度上げられたシフトを解除するので、通常暖房運転では、ユーザーの設定する室温に調整することができ、通常暖房時のユーザーの要求を満足することができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1の発明の空気調和機に人の在否を検知する人体検知センサを設け、前記人体検知センサにより人の不在が検知されたときは、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行うもので、人が不在の場合のディアイス直前に、寒さ対策で行う温度シフトをする必要がないので、無駄な電力の消費を押さえることができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1の発明の圧縮機の運転周波数が所定周波数以上の場合、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行うもので、所定周波数以上だった場合、温度シフトをしても室温の上昇が見込めず、所定時間通常暖房運転を継続しても、寒さ対策にならないが、温度シフトを行わず、直ちにディアイスを行うので、所定時間ディアイスを遅延する無駄を省くことができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における空気調和機について、図1?3を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の構成図、図2は、同空気調和機のフローチャート、図3は、同空気調和機の効果に関する室温と時間のグラフである。
【0015】
図1?3において、本実施の形態における空気調和機は、圧縮機32と、四方弁36と、室外熱交換器31と、絞り装置33と、室内熱交換器35とが一系統にて繋がった冷凍サイクルを備えている。同空気調和機は、さらに、室外熱交換器31の温度を検知する室外熱交温度センサ37と、外気温を検知する外気温度センサ38と、電子制御装置39と、空気調和機が設置された被調和室の室温が設定温度に至るように圧縮機32の運転能力を自動調整する制御部(図示せず)を備えている。
【0016】
34は、室外送風機で、その室外送風機34によって出される風により、室外熱交換器31で熱交換が行われている。
【0017】
暖房運転時は、長時間運転されると徐々に、室外熱交換器31の温度が下がり、条件により、霜が発生・成長する。この時、圧縮機32の運転周波数が高い場合、室外熱交換器31の入り口、出口間での、冷媒の圧力損失が大きく、出口部の冷媒温度が大きく低下し
霜の成長が他の部分より早くなる。霜が徐々に成長するに従い、通風抵抗が大きくなり、熱交換量が少なくなって暖房能力が低下する。空気調和機では、ある程度霜が成長したとおもわれる状態を、室外熱交温度センサ37と、外気温度センサ38の出力により、電子制御装置39で推定・判断して、除霜運転を行う。
【0018】
以上のように構成された空気調和機について、以下その動作、作用を説明する。
【0019】
使用者がリモコン(図示しない)などで希望の温度(以下「設定温度」という)に設定して、暖房運転を開始すると、ステップ21(以下「S21」という)で、ディアイス開始条件成立かどうかの判断が行われ、そうであればS22に進み、そうでなければS21に戻る。S22において、室内に人が居るかどうかの判断が行われ、居ればS23に進み、居なければS26に進む。S23において、圧縮機32の運転周波数が所定周波数以下かどうかの判断が行われ、以下ならS24に進み、以下でなければS26に進む。S24において、設定温度を所定温度だけプラス方向にシフトしてから、S25に進む。
【0020】
S25において、温度シフトをプラスしてから所定時間経過したかどうかの判断が行われ、経過していればS26に進み、経過していなければS25に戻る。S26において、ディアイスが実行され、S27に進む。S27において、ディアイスが終了したかどうかの判断が行われ、終了していればS28に進み、終了していなければS27に戻る。S28において、温度シフトが解除され、S29に進む。S29において、通常暖房運転に復帰する。」

・「【0024】
なお、室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサ関しては、特に図示しないが、赤外線センサなどで人の在否を検知することができる。赤外線センサでなくとも人の在否を判断できる手段であればなんでも構わない。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、ディアイス開始条件を満足した場合、ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減するように、前記設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後に室外の熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かすディアイスを開始する空気調和機であって、
室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサを設け、前記人体検知センサにより人の不在が検知されたときは、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行う空気調和機。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「被調和室」、「暖房運転時」、「ディアイス」、「ディアイスを開始する」態様は、それぞれ、本願発明1における「空調室」、「暖房運転中に」、「除霜」、「除霜運転を開始する」態様に相当する。
また、本願発明1の「人体動作を検知する人感センサ」と引用発明の「室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサ」とは「人に係るセンサ」の限りにおいて一致している。さらに、引用発明の「人体検知センサにより人の不在が検知されたとき」とは「人体検知センサにより人の存在が検知されないとき」といえるから、結局、本願発明1の「人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合」と引用発明の「人体検知センサにより人の不在が検知されたとき」とは「人に係るセンサにより前記空調室内における人に係る検知がされない場合」の限りにおいて一致している。
そして、引用発明の「圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え」「る空気調和機」は技術常識からして「室内機」と「室外機」とを備えるし、引用発明の「室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサ」は「空気調和機」の室内側にあるから「室内機」が有するのが普通であるし、引用発明の「室外の熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かすディアイスを開始する」ことは「室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え」といえるから、結局、本願発明1の「室外機と、空調室における人体動作を検知する人感センサを有する室内機と、暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え」る態様と引用発明の「圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、絞り装置を有する冷凍サイクルと、被調和室の室温が設定温度に至るように前記圧縮機を制御する制御部とを備え、暖房運転時、ディアイス開始条件を満足した場合、ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減するように、前記設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後に室外の熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かすディアイスを開始する空気調和機」とは「室外機と、空調室における人に係るセンサを有する室内機と、暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え」る態様の限りにおいて一致する。さらに、本願発明1の「前記制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人感センサによる検知を継続して行い、前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合、前記所定時間経過前であっても前記室外機を制御して除霜運転を開始する」態様と引用発明の「室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサを設け、前記人体検知センサにより人の不在が検知されたときは、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行う」態様とは「前記制御装置は、前記人に係るセンサにより前記空調室内における人に係る検知がされない場合、前記室外機を制御して除霜運転を開始する」態様の限りにおいて一致する。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「室外機と、
空調室における人に係るセンサを有する室内機と、
暖房運転中に除霜開始条件が成立してから、所定時間経過後に前記室外機を制御して除霜運転を開始する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記人に係るセンサにより前記空調室内における人に係る検知がされない場合、前記室外機を制御して除霜運転を開始する空気調和機。」

(相違点)
(相違点1)「人に係るセンサ」の検知機能に関し、本願発明1は「人体動作を検知する人感センサ」であるのに対し、引用発明では「室内に人が居るかどうかを検知する人体検知センサ」である点。
(相違点2)「制御装置」に関し、本願発明1は「制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人感センサによる検知を継続して行い、前記人感センサにより前記空調室内における人体動作が検知されない場合、前記所定時間経過前であっても」「除霜運転を開始する」のに対し、引用発明では「(人の存在が検知されないとき、すなわち、)人の不在が検知されたときは、ディアイス開始条件を満足しても、設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行う」ものである点。

(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、「ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減するように、設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ、所定時間経過後に室外の熱交換器にホットガスを送り、室外熱交換器に付着した霜を溶かすディアイスを開始する」引用発明において、「所定時間経過」させるのは「設定温度を、所定温度プラス方向にシフトさせ」て「ディアイスに入る直前に室温を上昇させ、ディアイス中の室温の低下を軽減するように」するためといえる。そうすると、上記相違点2に係る引用発明の構成は「設定温度を所定温度プラス方向にシフトせず、直ちにディアイスを行う」ものであるから、引用発明において「室内に人が居るかどうかを検知する」ことを「所定時間」継続する動機付けはないというべきであって、引用発明をして「制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人体検知センサによる検知を継続して行(い)」うものとすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
また、引用文献2及び引用文献3には、「制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人体検知センサによる検知を継続して行(い)」うことに係る記載も示唆もない。
そして、本願発明1は、相違点2に係る本願発明1の構成によって、本願の明細書に記載された「利用者が不快に感じず且つ短時間で除霜運転を行うことができる」効果を奏するものである。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2ないし本願発明6について
本願発明2ないし本願発明6も、本願発明1の「制御装置は、前記除霜開始条件の成立後、前記所定時間が経過するまで、前記人体検知センサによる検知を継続して行(い)」うと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし本願発明6は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-01-22 
出願番号 特願2014-58111(P2014-58111)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F24F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 横溝 顕範金丸 治之  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 井上 哲男
田村 嘉章
発明の名称 空気調和機  
代理人 特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所  
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