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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1348194 |
審判番号 | 不服2018-4932 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-04-10 |
確定日 | 2019-02-05 |
事件の表示 | 特願2017-100255「情報表示プログラム、情報表示方法、情報表示装置、及び配信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月 6日出願公開、特開2018-195199、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年5月19日の出願であって、平成29年11月27日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年1月19日付けで手続補正がされ、同年2月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成30年2月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1-11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-2の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.佐藤信正,はじめて作る人のためのiPhoneウェブ・アプリケーション for Windows,株式会社ラトルズ,2011年 3月31日,初版,第74-82頁 引用文献2.特開2012-221094号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって請求項1を「前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを前記画面に平行な軸を回転軸として回転表示する」とする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを回転表示する」という構成を、「前記画面に平行な軸を回転軸として回転表示する」ものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0125】等に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成30年4月10日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 第1コンテンツと第2コンテンツとを重ねて画面に配置する表示制御手順と、 前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを前記画面に平行な軸を回転軸として回転表示するとともに、前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を徐々に高くし、前記第2コンテンツの透明度を徐々に低くするコンテンツ変更手順と、 をコンピュータに実行させるための情報表示プログラム。」 なお、本願発明2-8は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明9-11は、本願発明1を実質的に、第1,第2コンテンツの透明度の高低を入れ替えると共に、「情報表示方法」、「情報表示装置」、「配信装置」とした発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 a)「2-7イベントでCSSアニメーションを動かす イベントをJavaScriptで処理して、アニメーションが開始できる。 CSSアニメーションを制御する CSSを使ってアニメーションを指定できることがわかりました。イベントの使い方も2-5で理解できたはずです。そこで今度は、イベントを使ってCSSアニメーションを動かしてみましょう。つまり、JavaScriptプログラムを使ってCSSを制御するということです。 作例としては、クエスチョンマークの表示のカードをタップすると、そのイベントでカードが回転扉のように立体的に回転して、裏面からラッキーナンバーが表示されるようにします。」(第74頁第1-13行の記載。) b)「裏と表で回転させる イベントを使ってアニメーション指定のCSSを入れ替えることで、アニメーションを制御できることがわかりました。今度は裏面にラッキーナンバーが表示されるようにしましょう。 HTMLによる指定は少し複雑になります。解説図を見ながら理解してください。 ・・・(中略)・・・ 表面の要素にclass="front"、裏面の要素にclass="back"が付いています。指定をidにしなかったのは、同一の1枚のカードの表の状態と裏の状態を示すためです。 同様に、数字カードもデザインは表裏なので同じということで、class="numbercard"とします。しかし、裏面は数字をランダムに入れ替える都合からid="number"を指定しておきます。 以上が横回転のための設定です。 その他のCSSは、id="main"、id="setting"については先ほどの例題と同じです。class="numbercard"も先ほどのid="numbercard"とほとんど同じですが、背景にグラデーションが指定してあります。 ・・・(中略)・・・ 表面(front)と裏面(back)には多少ややこしい工夫がしてあります。構造上は別の要素になっていますが、デザイン的には重なるようになっている点です。」(第79-80頁の記載。) c)「frontクラスとbackクラスに絶対指定をしたのは、この2つのクラスを適用するdiv要素を同じ位置に設置し、表の面と裏の面として重ね合わせるためです。 frontクラスとbackのクラス指定をしているdiv要素は、id="setting"内に含まれています。そして、id="setting"は絶対位置が指定されています。この状態で、そのなかに含まれる要素にも絶対位置を指定すると、これらは上位の要素の位置に重なります。つまり、HTMLの構造上はfrontの上にbackが重なるようになります。"backface-visibility:hidden"の指定は、背面を隠すということです。先ほどの例ではこの指定をしてなかったので、左右逆のクエスチョンマークが透けて表示されました。この指定をすると、背面が表になるときは全体が透けるようになります。 backクラスの"transform:rotateY(180deg)"は、裏面を最初から裏返しておくという指定です。"backfacevisibility:hidden"で、その背面は見えません。下になっているfrontの表面の?が透けて表に見えるようになります。 180度回転をすると、backの背面だったnumberの値が表になります。frontはこの陰に隠れて見えなくなります。 カードを回転させる仕掛けの全体は右のような構造になっています。 アニメーションの指定は先ほどの例と同じanimationクラスとflippedクラスをそのまま使います。こちらの例の指定のコツは、裏面から表面に戻る仕掛けです。 裏面に返すときは、animationクラスを"animation flipped"という二重のクラスに入れ替えました。表に戻すときは逆に、"animation flipped"という二重のクラスをanimationクラスに戻します。これでbackクラスの"transform:rotateY(180deg)"が回転アニメーションを起こし、回転して最初の状態のクエスチョンマークの表示に戻ります。 プログラムの動作としては、"animation"と"animation flipped"をイベントごとに交互に入れ替えればよいことになります。」(第81頁第1-29行の記載。) d)第81頁には、?を表側に向けたfrontの上に、透明背面を表側に向けたbackを配置した状態から、180度回転させ、透明背面を表側に向けたfrontの上に、3を表側に向けたbackを配置した状態とすることにより、?が見える状態から3が見える状態に見え方が変わることが示されている。 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、入力装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「クエスチョンマークの表示のカードをタップすると、そのイベントでカードが回転扉のように立体的に回転して、裏面からラッキーナンバーが表示されるようにした、CSSアニメーションを動かすプログラムであり、 frontクラスとbackクラスの2つのクラスを表の面と裏の面として重ね合わせ、frontの上にbackが重なるようにし、 "backface-visibility:hidden"の指定は、背面を隠すということであり、この指定をすると、背面が表になるときは全体が透けるようになり、 backクラスの"transform:rotateY(180deg)"は、裏面を最初から裏返しておくという指定で、"backfacevisibility:hidden"で、その背面は見えず、下になっているfrontの表面の?が透けて表に見えるようになり、 180度回転をすると、backの背面だったnumberの値が表になり、frontはこの陰に隠れて見えなくなり、 ?を表側に向けたfrontの上に、透明背面を表側に向けたbackを配置した状態から、180度回転させ、透明背面を表側に向けたfrontの上に、3を表側に向けたbackを配置した状態とすることにより、?が見える状態から3が見える状態に見え方が変わるようになっており、 アニメーションの指定はanimationクラスとflippedクラスを使い、 裏面に返すときは、animationクラスを"animation flipped"という二重のクラスに入れ替え、表に戻すときは逆に、"animation flipped"という二重のクラスをanimationクラスに戻し、これでbackクラスの"transform:rotateY(180deg)"が回転アニメーションを起こし、回転して最初の状態のクエスチョンマークの表示に戻る プログラム。」 2.引用文献2について 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 e)「【0014】 図3(a)は、アニメーションを実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS310において、読み込み部212は、コンテンツデータ211から実行するアニメーションに必要な情報を読み込む。次に、ステップS320において、選択部213は、読み込まれた情報を解析して、アニメーション方法を選択する。次に、ステップS330において、実行部214は、選択されたアニメーション方法に従って、アニメーションを実行する。尚、ここでアニメーションとは、時間の経過に従って表示形態の少なくとも一部が徐々に変化していく表現技法のことをいう。 【0015】 図3(b)は、ステップS310の処理を詳細に示すフローチャートである。まず、ステップS311において、読み込み部212は、コンテンツデータ211から、実行するアニメーションに必要な情報を探索する。尚、コンテンツデータ211には、アニメーション情報(図5(a))、オブジェクトデータ(図5(b))が含まれているものとする。 【0016】 本実施形態では、アニメーション情報として、図5(a)のアニメーション1、アニメーション2が探索されたものとする。尚、図5(a)のアニメーション情報に含まれるアニメーション1の情報は、以下のようなアニメーションを示す情報である。即ち、図5(b)のオブジェクトデータに示された情報に基づいて、アニメーション開始時にオブジェクト1が表示されていたものが、120ミリ秒かけてオブジェクト2が表示されるよう徐々に変化するアニメーションことを示す情報である。尚、アニメーション1の情報には、120ミリ秒の間オブジェクトの表示形態の変化量が逐次一定量だけ変化することが定められている。また、図5(a)のアニメーション情報に含まれるアニメーション2の情報は、以下のようなアニメーションを示す情報である。即ち、図5(b)のオブジェクトデータに示された情報に基づいて、アニメーション開始時にオブジェクト2が表示されていたものが、200ミリ秒かけてオブジェクト1が表示されるよう徐々に変化するアニメーションことを示す情報である。尚、アニメーション2の情報には、200ミリ秒の間オブジェクトの表示形態の変化量が逐次小さくなるように変化することが定められている。」 f)「【0023】 図3(c)は、ステップS330の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS331において、実行部214は、アニメーションの実行開始時点からの経過時間(現在時刻)を取得する。次に、ステップS332において、実行部214は、現在時刻がアニメーションの終了時点に達しているか否かを判定する。尚、ステップS332において、現在時刻がアニメーションの終了時点に達していると判定された場合、一連の処理を終了し、現在時刻がアニメーションの終了時点に達していないと判定された場合、ステップS333の処理を実行する。ステップS333において、実行部214は、選択されたアニメーション方法に応じて、現在時刻におけるオブジェクトの情報を決定する。次に、ステップS334において、実行部214は、ステップS333で決定したオブジェクトの情報に基づいて、オブジェクトを描画し、ディスプレイ204に出力する処理を実行する。 【0024】 即ち、ステップS334において、アニメーション1については、アニメーション開始時からアニメーション継続時間の中間時点である60ミリ秒後の時点までは、オブジェクトの不透明度を1.0(不透明)となる。そして、アニメーション開始時から60ミリ秒後の時点からアニメーション終了時までは、オブジェクトの不透明度を0.0(透明)となる。また、ステップS334において、アニメーション1については、中塗色がアニメーション開始時から60ミリ秒かけて、緑色から緑色と青色の中間色へ変化する。また、アニメーション開始時から60ミリ秒より後については、オブジェクトの不透明度が0.0となるため、オブジェクトは表示されない。また、ステップS334において、アニメーション1については、サイズを一定に保ったまま、表示位置がアニメーション開始時から60ミリ秒かけて徐々に移動することになる。尚、アニメーション開始時の表示位置とは、オブジェクトの左上の端が、画面の端部(左上の端)から右方向に20ミリメートル、下方向に20ミリメートル離れている位置である。また、アニメーション開始時から60ミリ秒の表示位置とは、オブジェクトの左上の端が、画面の端部(左上の端)から左方向に15ミリメートル、上方向に15ミリメートル離れている位置である。即ち、表示位置がアニメーション開始時から60ミリ秒には、オブジェクトは一部だけ画面上に表示され、残りが画面外となっている。また、アニメーション開始時から60ミリ秒より後については、オブジェクトの不透明度が0.0となるため、オブジェクトは表示されない。また、ステップS334において、アニメーション1については、オブジェクトの拡縮率、回転角も変化しない。尚、アニメーション開始時のオブジェクトとアニメーション終了時のオブジェクトとで、拡縮率、回転角が変化している場合には、拡縮率、回転角が徐々に変化するようなアニメーションとなる。 【0025】 また、ステップS334において、アニメーション2については、アニメーション開始時から200ミリ秒かけて、オブジェクトの不透明度が0.0(透明)から1.0(不透明)となるよう徐々に変化する。また、ステップS334において、アニメーション2については、中塗色がアニメーション開始時から200ミリ秒かけて、青色から緑色へ変化する。また、ステップS334において、アニメーション2については、サイズを一定に保ったまま、表示位置がアニメーション開始時から200ミリ秒かけて徐々に移動することになる。尚、アニメーション開始時の表示位置とは、オブジェクトの左上の端が、画面の端部(左上の端)から左方向に50ミリメートル、上方向に50ミリメートル離れている位置である。即ち、表示位置は画面外であり、実質的にオブジェクトは表示されていない。また、表示位置がアニメーション開始時から200ミリ秒の位置とは、オブジェクトの左上の端が、画面の端部(左上の端)から右方向に20ミリメートル、下方向に20ミリメートル離れている位置である。また、ステップS334において、アニメーション2については、オブジェクトの拡縮率、回転角も変化しない。尚、アニメーション開始時のオブジェクトとアニメーション終了時のオブジェクトとで、拡縮率、回転角が変化している場合には、拡縮率、回転角が徐々に変化するようなアニメーションとなる。 【0026】 図6(a)は、アニメーション2について、時間の経過とともに不透明度が変化する様子を示す図である。図6(c)は、アニメーション1について、アニメーションの継続時間の半分が経過した時点である60ミリ秒後で、オブジェクトの不透明度を1.0から0.0に切り替える様子を示す図である。従って、アニメーション1については、図6(b)に示すような、時間の経過とともに不透明度が変化するアニメーションは実行されない。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明は、「クエスチョンマークの表示のカードをタップすると、そのイベントでカードが回転扉のように立体的に回転して、裏面からラッキーナンバーが表示されるように」、「frontクラスとbackクラスの2つのクラスを表の面と裏の面として重ね合わせ」たものであるから、引用発明の「クエスチョンマーク」は本願発明1の「第1コンテンツ」、引用発明の「ラッキーナンバー」は本願発明1の「第2コンテンツ」にそれぞれ相当し、引用発明の「frontクラスとbackクラスの2つのクラスを表の面と裏の面として重ね合わせ」ることは、本願発明1の「第1コンテンツと第2コンテンツとを重ねて画面に配置する表示制御手順」に相当する。 イ.引用発明の「クエスチョンマークの表示のカードをタップすると、そのイベントでカードが回転扉のように立体的に回転して、裏面からラッキーナンバーが表示されるようにした」ものであり、「frontの表面の?が透けて表に見え」る状態から、「180度回転をすると、backの背面だったnumberの値が表になり、frontはこの陰に隠れて見えなくな」ることは、本願発明1の「前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを前記画面に平行な軸を回転軸として回転表示する」「コンテンツ変更手順」に相当する。 ウ.引用発明は、「?を表側に向けたfront」を「180度回転させ」「透明背面を表側に向けたfront」とするものであり、「"backface-visibility:hidden"の指定は、背面を隠すということであり、この指定をすると、背面が表になるときは全体が透ける」ものであるから、「透明背面を表側に向けたfront」が「?を表側に向けたfront」より透明度が高いのは明らかである。 したがって、引用発明の「?を表側に向けたfront」を「180度回転させ」「透明背面を表側に向けたfront」とすることは、本願発明1の「前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を徐々に高く」「するコンテンツ変更手順」と「前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を高く」「するコンテンツ変更手順」である点で共通するといえる。 エ.引用発明は、「透明背面を表側に向けたback」を「180度回転させ」「3を表側に向けたback」とするものであり、「"backface-visibility:hidden"の指定は、背面を隠すということであり、この指定をすると、背面が表になるときは全体が透ける」ものであるから、「3を表側に向けたback」が「透明背面を表側に向けたback」より透明度が低いのは明らかである。 したがって、引用発明の「透明背面を表側に向けたback」を「180度回転させ」「3を表側に向けたback」とすることは、本願発明1の「前記回転表示の間に、」「前記第2コンテンツの透明度を徐々に低くするコンテンツ変更手順」と「前記回転表示の間に、」「前記第2コンテンツの透明度を低くするコンテンツ変更手順」である点で共通するといえる。 オ.引用発明の「CSSアニメーションを動かすプログラム」は、本願発明1の「コンピュータに実行させる」「情報表示プログラム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。 〈一致点〉 「第1コンテンツと第2コンテンツとを重ねて画面に配置する表示制御手順と、 前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを前記画面に平行な軸を回転軸として回転表示するとともに、前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を高くし、前記第2コンテンツの透明度を低くするコンテンツ変更手順と、 をコンピュータに実行させるための情報表示プログラム。」 である点。 〈相違点〉 本願発明1の「コンテンツ変更手順」は、「前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を徐々に高くし、前記第2コンテンツの透明度を徐々に低くする」ものであるのに対し、引用発明は、「カードが回転扉のように立体的に回転」し「背面が表になるときは全体が透ける」ものではあるものの、「回転表示の間」に「透明度を徐々に」変化させるものではない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 引用文献2の上記摘記事項e)、f)に記載されるように、アニメーションにおいて、不透明度(透明度)を徐々に変化させること自体は、本願出願前周知技術であると認められる。 一方、引用発明は、「カードが回転扉のように立体的に回転」するアニメーションを動かすものであるから、実際のカードがカードの面内の軸を回転軸として回転する状態を模擬することを意図したものであることは明らかである。 そして、実際のカードの当該状態を模擬する場合、カードの表面と裏面との表示の切替えに応じて、表示されるコンテンツの透明度を0%とし、非表示となるコンテンツの透明度を100%とすることが自然であり、コンテンツの透明度を徐々に変化させるものとする動機があるとはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-8について 本願発明2-8は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明9-11について 本願発明9-11は、本願発明1を実質的に、第1,第2コンテンツの透明度の高低を入れ替えると共に、「情報表示方法」、「情報表示装置」、「配信装置」とした発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定について 本願発明1-8は、「前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を徐々に高くし、前記第2コンテンツの透明度を徐々に低くする」との構成を、本願発明9-11は、「前記回転表示の間に、前記第1コンテンツの透明度を徐々に低くし、前記第2コンテンツの透明度を徐々に高くする」との構成を有するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-01-21 |
出願番号 | 特願2017-100255(P2017-100255) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 間野 裕一 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山田 正文 |
発明の名称 | 情報表示プログラム、情報表示方法、情報表示装置、及び配信装置 |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |