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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  B65G
審判 一部無効 1項2号公然実施  B65G
管理番号 1348339
審判番号 無効2018-800004  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-01-23 
確定日 2019-01-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第4348588号発明「容器処理装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
平成12年11月24日 本件出願
平成21年7月31日 特許権の設定登録(特許第4348588号 請求項数2)
平成30年1月23日付け 本件無効審判の請求
平成30年2月7日付け 手続補正指令書(方式)
平成30年2月13日付け 審判事件上申書(請求人)の提出
平成30年3月7日付け 上申書、手続補正書(審判請求書)、手続補正書(証拠説明書)、及び甲第5号証の提出
平成30年5月7日付け 審判事件答弁書の提出
平成30年6月28日付け 審理事項通知書
平成30年8月1日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)の提出
平成30年8月13日付け 第2口頭審理陳述要領書(請求人)の提出
平成30年8月30日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)の提出
平成30年9月20日 口頭審理
平成30年9月20日 証拠説明書(2)(請求人)の提出

第2 本件特許発明
特許第4348588号(以下、「本件特許」という。)の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、「本件特許発明」という。)

「【請求項1】
搬送される容器に散水処理を施す処理部を構成するメインコンベヤと、メインコンベヤの入口側に隣接し、搬送方向がメインコンベヤと直交する供給コンベヤと、メインコンベヤの出口側に隣接し、搬送方向がメインコンベヤと直交する排出コンベヤとを備え、供給コンベヤから供給される容器をメインコンベヤ上で処理し、排出コンベヤへ排出するようにした容器処理装置において、上記入口側および出口側の少なくとも一方に、供給コンベヤもしくは排出コンベヤに併設され、メインコンベヤの端部を覆ってメインコンベヤの搬送面と供給コンベヤもしくは排出コンベヤの搬送面とを接続する接続コンベヤと、供給コンベヤもしくは排出コンベヤとは独立して接続コンベヤを供給コンベヤもしくは排出コンベヤの搬送方向と同方向に作動させる作動手段を設け、少なくとも容器処理中の接続コンベヤの搬送速度が、上記メインコンベヤの搬送速度以上であって、併設する供給コンベヤもしくは排出コンベヤよりも低速であることを特徴とする容器処理装置。」

第3 請求人の主張
1.主張の概要
(1)公然実施(特許法第29条第1項第2号)についての無効理由(無効理由1)
本件特許発明は、甲第1号証ないし甲第2号証の6及び甲第8号証ないし甲第8号証の2によると、その出願前にJA清水市ペットボトル工場において施工され、公然と実施された発明と同一のものであるから、特許法第29条第1項第2号に規定する、本件特許の出願前に日本国内において公然実施をされた発明である。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

(2)進歩性(特許法第29条第2項)についての無効理由(無効理由2)
本件特許発明は、甲第3号証の1ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。

なお、請求人により、発明の明確性(特許法第36条第6項2号)についての無効理由(無効理由3)の主張は口頭審理において取り下げられた。

2.証拠方法
請求人は、証拠方法として以下のものを提出した。
(1)甲第1号証:JA清水市ペットボトル工場施工時の状況説明書(望月則男氏作成)
(2)甲第2号証:JA清水市ペットボトル工場施工時の情況説明書(加藤勉氏作成)
(3)甲第2号証の1:平成11年5月納入機PC-45145パストクーラー自動乗り移り図面
(4)甲第2号証の2:JA清水市ペットボトル工場の現状写真
(5)甲第2号証の3:JA清水市ペットボトル工場建設工事施工図
(6)甲第2号証の4:パストライザー取扱説明書バインダー
(7)甲第2号証の5:電気関係説明書バインダーPET-IIIラインリンサ:フィラ・キャパシンクロ装置
(8)甲第2号証の6:イントラロックス エンジニアマニュアル
(9)甲第3号証の1:米国特許第3734267号明細書
(10)甲第3号証の2:米国特許第3734267号明細書の日本語訳
(11)甲第4号証:特開平11-9244号公報
(12)甲第5号証:特開平08-239117号公報
(13)甲第6号証:特開平07-285632号公報
(14)甲第7号証:特開昭62-240214号公報
(15)甲第8号証:加藤勉陳述書
(16)甲第8号証の1:コンベヤ速度を示す写真
(17)甲第8号証の2:コンベヤスピード計算書

第4 被請求人の主張
1.主張の概要
(1)無効理由1について
本件特許発明は、甲第1号証ないし甲第2号証の6及び甲第8号証ないし甲第8号証の2によっても、その出願前にJA清水市ペットボトル工場において施工されたものと同一であるとはいえず、また、当該施工されたものがその出願前に公然と実施されたともいえないから、特許法第29条第1項第2号に規定する、本件特許の出願前に日本国内において公然実施をされた発明であるとはいえない。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものではない。

(2)無効理由2について
本件特許発明は、甲第3号証の1ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものではない。

第5 当審の判断
(以下、「甲A号証」、「甲A号証のB」を、単に「甲A」、「甲AのB」などと略していう。)

第5-1 無効理由1について
1.甲2の4発明について
請求人は、「本件特許の発明(以下本発明と記す)は、特に甲第1号証及び甲第2号証、甲第2号証の1?同6に説明されているJA清水市ペットボトル工場で施工され公然と実施された発明と同一であり、従って特許法第29条第1項第2号に該当するものであり、特許を受けることができない。」(平成30年3月7日付け手続補正書第4ページ第14ないし17行)と主張するので、まず、JA清水市ペットボトル工場で実施された発明を特定する。

(1)甲2の4の記載及び甲2の4の記載から認定できる事項
甲2の4「パストライザー取扱説明書バインダー」における、「作図1999年7月6日」、「註文先 清水市農業協同組合殿」、「名称 パストクーラー PC-45145」、「品名 パーツリスト-3」と記載された図面(7葉目)には、パストライザー取扱説明書の35ページ(6葉目)「パーツリスト-3(搬送)」における部材の名称と番号を併せて参照すると、

「本体コンベアネット1」、「本体コンベアネット1の入口側に隣接し、搬送方向が本体コンベアネット1と直交する供給コンベア2ネット2a」、「本体コンベアネット1の出口側に隣接し、搬送方向が本体コンベアネット1と直交する排出コンベアネット3」、「本体コンベアネット1の入口側に、供給コンベア2ネット2aに併設され、本体コンベアネット1と供給コンベア2ネット2aとの間に設けられた供給コンベア3ネット2b」、「供給コンベア2ネット2aを作動させる供給コンベア2モーター18b」及び「供給コンベア2ネット2bを作動させる供給コンベア3モーター18c」がそれぞれ看取できる。
そして、上記から、供給コンベア2ネット2aを作動させる供給コンベア2モーター18bと、供給コンベア3ネット2bを作動させる供給コンベア3モーター18cとにより、供給コンベア2ネット2aと供給コンベア3ネット2bとは独立して作動させるものであって、上記図面の供給コンベア2ネット2aと供給コンベア3ネット2bは、ともに容器を本体コンベアネット1に供給する位置にあり、両者に共通する部分に白抜きの矢印が記載されているから、両者は同方向に作動するものと認められる。
さらに、パストクーラーは、技術常識(例えば、甲4の段落【0002】、【0007】及び【0008】を参照)からみて、搬送される容器に散水処理を施す処理部を備え、供給コンベアから供給される容器をメインコンベア上で処理し、排出コンベアへ排出するものである。

(2)甲2の4発明
上記(1)から、上記甲2の4(7葉目)の図面には、以下の発明(以下、「甲2の4発明」という。)が記載されている。

「搬送される容器に散水処理を施す処理部を構成する本体コンベアネット1と、本体コンベアネット1の入口側に隣接し、搬送方向が本体コンベアネット1と直交する供給コンベア2ネット2aと、本体コンベアネット1の出口側に隣接し、搬送方向が本体コンベアネット1と直交する排出コンベアネット3とを備え、供給コンベア2ネット2aから供給される容器を本体コンベアネット1上で処理し、排出コンベアネット3へ排出するようにしたパストクーラーにおいて、
上記本体コンベアネット1の入口側に、供給コンベア2ネット2aに併設され、本体コンベアネット1と供給コンベア2ネット2aとの間に設けられた供給コンベア3ネット2bと、供給コンベア2ネット2aとは独立して供給コンベア3ネット2bを供給コンベア2ネット2aの搬送方向と同方向に作動させる供給コンベア3モーター18cを設けたパストクーラー。」
なお、甲2の4の図面(7葉目)及びパストライザー取扱説明書35ページ(6葉目)と、PC-45145 パストクーラー制御盤 電気結線図(1)(8葉目)及びPC-45145 パストクーラー制御盤シーケンサ接続図(9)(10葉目)とは、供給コンベア及びモータの付番について整合が取れていない点があるものの、前記甲2の4発明は、甲2の4の図面(7葉目)及び前記パストライザー取扱説明書35ページ(6葉目)から認定したものである。

2.甲2の4発明と平成11年に稼働を開始した清水市農業協同組合加工部 庵原工場(当時)におけるパストクーラーとの関係について

甲1には、パストクーラーに関して、「静岡ジェイエイフーズ株式会社(当時清水市農業協同組合加工部)が、平成11年、稼働を開始した清水市農業協同組合加工部 庵原工場・・・具体的な対象設備は株式会社加藤製缶鉄工所の設計・施工に係る形式PC-45145のパストクーラです。」(甲1第1ページ第6ないし11行)との説明がある。
さらに、甲2の4は、その記載(背表紙、2葉目ほか)から、「清水市農業協同組合 ペット3号ライン」において使用されるために作成された、1999年5月に請求人(株式会社 加藤製缶鉄工所)が施工したパストクーラー(機種:PC-45145型)の取扱説明書を綴じたバインダーであって、そのうち甲2の4(7葉目)の図面は、該取扱説明書のパーツリストに添付されたものであり、該甲2の4(7葉目)の図面には名称「パストクーラ-PC-45145」、品名「パーツリスト-3」、作図「1999年 7月 6日」と記載されている
そうすると、甲2の4(7葉目)の図面は、平成11年に稼働を開始した清水市農業協同組合加工部 庵原工場(当時)において施工されたパストクーラーの図面であると認められるから、甲2の4発明は、同パストクーラーに係る発明である。

3.甲2の4発明の公然性について
(1)甲1、甲2、甲8及び平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人)における公然性に関する説明

ア 甲1の記載
「ところで実際の試運転では最も懸念したパストクーラーにおけるペットボトルの載り移りが実に円滑に行われ、感心し且つ安心したことが印象に残っています。この一連の試運転は当然他の充填工程や包装工程を担当する他社の技術者も合同で確認にあたっており、同じような感想を持ったものと思います。」(第3ページ第12ないし16行)(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)

イ 甲2の記載
「3.設備の公然実施
この設備は、完成後約1カ月の試運転期間を経て、1999年7月頃より営業生産を開始しました。試運転期間中は多くの企業の技術者等不特定多数の者が、自社設備のみならず、他の一連の設備を見てその構成や作動を把握、また点検していました。このペットボトル製造ラインの設備全体が一連の流れラインとなっており、各機能設備の施工メーカーが違っていても各装置やライン全体の同調に特に意を払う必要があったからです。もちろんこの際、設備について格別守秘義務を求められたことはありません。また竣工後、客先である飲料メーカーは設備検証のために幾度かこの設備の検分を行っており、その際も格別守秘義務の要求がなされていません。」(第2ページ第12ないし20行)

ウ 甲8の記載
「(1)工場建設時の現場状況(入退場者の管理実態)について

現場で工事に携わっていた者の感覚としては、もちろん管理等のために保安要員は配置されていたものの多くの施工業者、資材納入業者等が現場入構時に簡単に記名をしただけで入場しており、ほとんど出入りに制約はない状態でした。しかも記名する場所には特にそれを確認する管理者等はおらず、置いてある用紙に記入するだけでした。
また退場時にあっても、前記入構時に記載した用紙に退場時間を自主的に記入するだけで、特にチェックは受けませんでした。当然ながら、工事中の各設備は多くの作業者が目にすることができ、且つ守秘義務が課せられたというような認識はありません。

(2)本件請求に係る無効理由1(JA清水市ペットボトル工場での公然実施)に関し、充填機側設備とパストラクーラーとの施工技術者相互の間で作動確認をどのように行っていたか、について

当然ながら製造ラインの上流でいかに円滑、確実に飲料の充填作業がされたとしても下流側の処理装置で不具合が発生すれば、製品は最悪の場合全廃棄となります。従って当社の担当したパストクーラーのゾーンでは、容器が確実にメインコンベヤに載り移るか、具体的には倒瓶やボトルのつぶれ、変形が生じないかを確認するための試験運転が入念にされていました。当然ながら施主たるJA清水市農協ペットボトル工場の担当者、澁谷工業株式会社の技術者、電動機器メーカーの技術者等多くが立ち会い、念には念を入れた作動確認がされていました。」(第1ページ第11行ないし第2ページ8行)

エ 平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人)
「3.-(6) 工場の入退管理について
工場建設時には、入退する者は工事関係者を主としていることは確かであるが、入場時、各工事担当の責任者が作業員の人数を記載するのみで、その人数の確認はされていなかった。退出時は特に管理はされていなかった。
見学は、顧客となる大手飲料メーカーの担当者はほぼ自由に入場でき、工場建設時及び竣工時及び後もこの状況は変わりない。写真撮影は自由に認められていた。見学通路は特に専用には設けないが、その外部廊下から透明アクリル板のウィンドーを通して充分検証可能であった。」(第5ページ14ないし21行)

(2)判断
ア 試運転時のパストクーラーに関して、
・「この一連の試運転は当然他の充填工程や包装工程を担当する他社の技術者も合同で確認にあたっ(た)」(甲1)
・「試運転期間中は多くの企業の技術者等不特定多数の者が、自社設備のみならず、他の一連の設備を見てその構成や作動を把握、また点検してい(た)」(甲2)、
・「施主たるJA清水市農協ペットボトル工場の担当者、澁谷工業株式会社の技術者、電動機器メーカーの技術者等多くが立ち会い、念には念を入れた作動確認がされてい(た)」(甲8)
と請求人は説明しているが、試運転時におけるパストクーラーのコンベヤは、営業運転時の態様で動作していたか不明であり、また、試運転時は多くの企業の技術者が工場内に立ち入り、一連の設備を点検、確認していたとはいえ、試運転における関係者であって不特定多数の者ではないから限られた者というべきであって、不特定多数の者が立ち入っていたとはいえない。

イ 工場建設時の入退場者の管理実態について
・「多くの施工業者、資材納入業者等が現場入構時に簡単に記名をしただけで入場しており、ほとんど出入りに制約はない状態でした。」(甲8)
・「工場建設時には、入退する者は工事関係者を主としていることは確かであるが、入場時、各工事担当の責任者が作業員の人数を記載するのみで、その人数の確認はされていなかった。」(平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人))
と請求人は説明しているが、工場建設時におけるパストクーラーのコンベヤは、そもそも動作していたかも不明であり、また、施工時のJA清水市ペットボトル工場に関係者以外の不特定の者が自由に出入りを許可されていたとまではいえない。

ウ 工場の見学について
・「見学は、顧客となる大手飲料メーカーの担当者はほぼ自由に入場でき、工場建設時及び竣工時及び後もこの状況は変わりない。写真撮影は自由に認められていた。見学通路は特に専用には設けないが、その外部廊下から透明アクリル板のウィンドーを通して充分検証可能であった。」(平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人))と請求人は説明しているが、顧客となる大手飲料メーカーの担当者は、限られた者というべきであって不特定の者とまではいえない。
また、「外部廊下から透明アクリル板のウィンドーを通して充分検証可能であった」というが、パストクーラーは、技術常識からみて、搬送される容器に散水処理を施す処理部を備えるものであるから、筐体によって全体が覆われる通常運転中は、ウィンドーが水滴や水蒸気によって曇って外部から内部の構造を把握することが困難であることも考えられ、外部からパストクーラーの構造が十分検証可能であることが立証されていない。
さらに、施工時から本件特許の出願前までの期間において、「見学の希望があれば、不特定多数の一般人に対しても、当該機械装置を公開し、その機械装置の見学を自由に許すとの方針をとっていた」(東京高裁平成13年(行ケ)第264号判決)という事実も前記甲各号証からは見出せない。

(3)小括
以上によれば、甲2の4発明が本件特許の出願前に公然実施されたとはいえない。

4.本件特許発明と甲2の4発明との同一性について
(1)対比
本件特許発明と甲2の4発明とを対比する。
甲2の4発明における「本体コンベアネット1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件特許発明における「メインコンベヤ」に相当し、以下同様に、「本体コンベアネット1の入口側」は「メインコンベアの入口側」に、「供給コンベア2ネット2a」は「供給コンベヤ」に、「排出コンベアネット3」は「排出コンベヤ」に、「供給コンベア3モーター18c」は「作動手段」に、「パストクーラー」は「容器処理装置」に、それぞれ相当する。
そして、甲2の4発明における「本体コンベアネット1と供給コンベア2ネット2aとの間に設けられた供給コンベア3ネット2b」と、本件特許発明における「メインコンベヤの端部を覆ってメインコンベヤの搬送面と供給コンベヤもしくは排出コンベヤの搬送面とを接続する接続コンベヤ」とは、「メインコンベヤと供給コンベヤとの間に設けられた中間コンベヤ」という限りにおいて一致する。

(2)一致点及び相違点
したがって、両者は、

[一致点]
「搬送される容器に散水処理を施す処理部を構成するメインコンベヤと、メインコンベヤの入口側に隣接し、搬送方向がメインコンベヤと直交する供給コンベヤと、メインコンベヤの出口側に隣接し、搬送方向がメインコンベヤと直交する排出コンベヤとを備え、供給コンベヤから供給される容器をメインコンベヤ上で処理し、排出コンベヤへ排出するようにした容器処理装置において、上記入口側に、供給コンベヤに併設され、メインコンベヤと供給コンベヤとの間に設けられた中間コンベヤと、供給コンベヤとは独立して中間コンベヤを供給コンベヤの搬送方向と同方向に作動させる作動手段を設けた容器処理装置。」
である点において一致し、以下の点において相違する。

[相違点1]
「中間コンベヤ」が、本件特許発明においては「接続コンベヤ」であって、「メインコンベヤの端部を覆ってメインコンベヤの搬送面と供給コンベヤもしくは排出コンベヤの搬送面とを接続する」のに対して、
甲2の4発明においては、「供給コンベア3ネット2b」であって、「本体コンベアネット1と供給コンベア2ネット2aとの間に設けられた」ものであるが、「供給コンベア3ネット2b」が本体コンベアネット1の端部を覆うものか不明である点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
本件特許発明においては、「少なくとも容器処理中の接続コンベヤの搬送速度が、上記メインコンベヤの搬送速度以上であって、併設する供給コンベヤもしくは排出コンベヤよりも低速である」のに対して、
甲2の4発明においては、容器処理中の、供給コンベア3ネット2bの搬送速度と、本体コンベアネット1の搬送速度及び供給コンベア2ネット2aの搬送速度との関係が不明である点(以下、「相違点2」という。)。

(3)相違点について
以下、上記各相違点について検討する。

[相違点1について]
・甲1において、望月氏は、「実際の試運転では最も懸念したパストクーラーにおけるペットボトルの載り移りが実に円滑に行われ、感心し且つ安心したことが印象に残っています。この一連の試運転は当然他の充填工程や包装工程を担当する他社の技術者も合同で確認にあたっており、同じような感想を持ったものと思います。」(第3ページ第12ないし16行)と説明している。
しかし、甲2の4の図面(7葉目)の供給コンベア3ネット2bと本体コンベアネット1との間において、上記望月氏の説明による「パストクーラーにおけるペットボトルの載り移りが実に円滑に行われ」たことが、供給コンベア3ネット2bが本体コンベアネット1の端部を覆って、本体コンベアネット1の搬送面と供給コンベア2ネット2aの搬送面とを接続する構造を備えることによるものか、それとも別の手段によるものかは甲2の4の図面(5葉目及び7葉目)をみても不明である。
したがって、上記望月氏の説明による「パストクーラーにおけるペットボトルの載り移りが実に円滑に行われ」たという説明及び甲2の4の図面(5葉目及び7葉目)の記載によって、甲2の4発明のパストクーラーが、供給コンベア3ネット2bが本体コンベアネット1の端部を覆って、本体コンベアネット1の搬送面と供給コンベア2ネット2aの搬送面とを接続する構造を備えるものであるとはいえない。

・甲1において望月氏は、「排出コンベアは供給コンベア1と同様構造であり」(第2ページ第3及び4行)と説明している。そして、甲2の4のパストクーラー取扱説明書の29ページ(5葉目)「≪2≫本体コンベアネットの弛みについて」の上下の図面を参照すると、排出コンベアが本体コンベアの端部を覆っていることが看取できる。
しかし、甲2の4の図面(7葉目)において、供給コンベア側は供給コンベア2ネット2a及び供給コンベア3ネット2bを備えるのに対して、排出コンベア側は排出コンベアネット3を備えており、供給コンベア側と異なる構造となっている。
そうすると、上記「排出コンベアは供給コンベア1と同様構造であり」において、排出コンベア及び供給コンベア1のどのような構造が同様構造であるのか不明である。

・甲1の図3及び図4の説明図は、2016年12月21日に請求人の従業者(加藤勉氏)により作成されたものである(平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人)第5ページc.参照。)。
そして、加藤氏による甲1の図3及び図4の説明図における図示内容からは、接続コンベヤのメインコンベヤ側の側面が尖っており、その尖った側面がメインコンベヤを覆っていることが窺える。
そして、望月氏により、「形状面での特徴は接続コンベヤ(図中表記:供給コンベヤ2)がメインコンベヤ(図中表記:パストラ搬送コンベヤ)に接近している部位の側縁部が尖ったような形状をしていることです。つまり接続コンベヤの側縁部のコンベヤ要素の部品はその自由端側が尖るように形成され、メインコンベヤの有効搬送開始面と滑らかに接続される形状を採っています。(図3、4参照)。」(第2ページ第24ないし28行)と説明がされている。
しかし、甲1の図3及び図4の説明図は、上記のように本件特許の出願後の2016年12月21日に請求人の従業者(加藤氏)により作成されたものであって、接続コンベアが供給コンベアよりも幅が狭く記載されているのに対して、甲2の4の図面(7葉目)の供給コンベア2ネット2aと供給コンベア3ネット2bの幅は、ほぼ等しく記載されているばかりでなく、甲1の図3の説明図において、接続コンベアと供給コンベアとが上流端及び下流端において、それぞれ異なる位置から始まる記載となっているのに対して、甲2の4の図面(7葉目)においては、供給コンベア2ネット2aと供給コンベア3ネット2bとが上流端及び下流端において、それぞれほぼ同じ位置から始まる記載となっていることからみて、甲1の図3及び図4の説明図におけるパストクーラーが、甲2の4発明におけるパストクーラーと同じものか疑義がある。

・甲2には、「前記供給コンベヤ1は、イントラロックス900FTというコンベヤユニットを適用し、一方、搬送コンベヤ2はイントラロックス900ライブトランスファというコンベヤユニットを用いています。またメインコンベヤであるパストクーラーのコンベヤはイントラロックス900FTタイプを用いています。これらイントラロックス社のコンベヤについては、資料6に示すとおりです。この供給コンベヤ2に用いたイントラロックス900ライブトランスファは、カタログに示されているようにメインコンベヤ側のコンベヤスラットがメインコンベヤの端部上方に充分に覆い被さるような形態を採っています。」(第1ページ第23行ないし第2ページ第5行)との説明がされており、甲2の1の2葉目、3葉目の図示内容からは、接続コンベヤのメインコンベヤ側の側面が尖っており、その尖った側面がメインコンベヤを覆っていることが窺える。
そして、甲2の6(イントラロックス エンジニアリングマニュアル)の2葉目(136ページ)右下に、900シリーズ「4.7インチ(119mm)シングルトラッキングタブベルト」として、ベルトの尖った先端(左側)が、他のベルト(右側)に覆い被さるように設けられていることが看取できる。
しかし、甲2は請求人の従業者による説明であり、甲2の1の図面は、本件特許の出願後に作成された請求人の従業者による説明図であって、甲2の4発明におけるパストクーラーとの関係も立証されていない。
また、甲2の6のマニュアルは、本件特許の出願後の2014年に作成されたものであって、カタログに記載されたイントラロックス社の上記コンベアの構造が甲2の4発明におけるパストクーラーのコンベヤに用いられたことについても立証されていない。
さらに、甲2の4の5葉目(取扱説明書第29ページ ≪本体コンベアネットの弛みについて≫の欄)の上下2つの図面において、排出コンベアの本体コンベア側が尖っており、本体コンベアを覆っていることが看取できる。
この点につき、請求人は、「甲第2号証の4第29頁「本体コンベヤネットの弛みについて」の記載において、排出側であるものの、接続コンベヤの補助がメインコンベヤの端部を覆っているという構成が図示されている。」(平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人))と主張している。
しかし、上記甲2の4に示されたコンベアの構成は、本体コンベアに隣接する排出コンベアに関するものであって、本体コンベアと排出コンベアとの間には中間コンベアが設けられていないことから、中間コンベヤの尖った先端が本体コンベアを覆うことについては甲2の4に開示されていない。

その他、甲2の2、甲2の3、甲2の5及び甲8ないし甲8の2には、「中間コンベヤ」が、「メインコンベヤの端部を覆う」ことについて窺わせる記載はない。

したがって、甲2の4発明における「供給コンベア3ネット2b」が、「本体コンベアネット1の端部を覆って本体コンベアネット1の搬送面と供給コンベア2ネット2aの搬送面とを接続する」ものかについて、甲1ないし甲2の6及び甲8ないし甲8の2によっては不明であるから、上記相違点1は実質的な相違点である。

[相違点2について]
・甲1には「具体的に設定された速度は、V1=・・、V2=、・・V3=・・とのことですが、・・」と速度の具体的な数値は伝聞形式で記載されており、「作動状態を目視した感覚としてそのとおりの速度差があるように思われます」と説明されている。
しかし、「作動状態を目視した」のがいつの時点か明確ではなく、速度差の認識も感覚的なものであって、客観的な証拠に基づくものではない。
さらに、甲1における図2には、それぞれメインコンベヤ、供給コンベヤ、接続コンベヤの速度が記載されているが、作図が2016年11月2日であるから本件特許の出願後に作成されたものであり、図3及び図4においても、それぞれメインコンベヤ、供給コンベヤ、接続コンベヤの速度が記載されているが、請求人が平成30年8月1日付けで提出した口頭審理陳述要領書(第5ページ c.)の記載によれば、作図が2016年12月21日であるから本件特許の出願後に作成されたものであって、甲2の4発明の本体コンベアネット1、供給コンベア2ネット2a、供給コンベア3ネット2bの速度との関係も立証されていない。

・甲2には、「供給側には供給コンベヤ1として示すように毎分16.3mの速度で走行するコンベヤがあります。そしてこの供給コンベヤ1は、直接にはメインコンベヤと接続されておらず、その間に供給コンベヤ2が設けられております。この供給コンベヤ2は毎分3.9mの速度で走行しています。更にメインコンベヤは毎分0.73mの速度で動いています。」(第1ページ第20ないし23行)と説明されているが、請求人の従業者による主張であって、甲2の4発明におけるコンベヤ速度と同じであることが客観的には立証されていない。
さらに、甲2の1の1葉目における「名称:平成11年5月納入機 PC-45145 パストクーラー」の図面の右端の図には、供給コンベヤー1の速度、供給コンベヤー2の速度及びパストラ搬送(メインコンベヤー)の速度が示されているものの、作図が2016年11月2日であるから本件特許の出願後に作成されたものであって、甲2の1の2葉目、3葉目も、本件特許の出願後の平成28年11月2日に作成された請求人の従業者による説明図であって、甲2の4発明におけるコンベア速度との関係が立証されていない。

・平成30年8月1日付け口頭審理陳述要領書(請求人)には、「甲第2号証の2第3葉右欄最下段写真の「パストクーラー供給コンベヤ○2モーター」(「接続コンベヤ」駆動用)では、その減速比が50:1となっていることが銘板上に記され、また同第3(1の誤記)葉左欄最上段写真の「パストクーラ-供給コンベヤ○1モーター」(「供給コンベヤ」駆動用)では、その減速比を30:1とすることが銘板上に記されている。このことから、両コンベヤの間に速度差(供給コンベヤ>接続コンベヤ)があることは明らかである。」(第3ページ第17ないし23行)(当審注:「○1」は○の中に1、「○2」は○の中に2を表す。以下同様。)と記載されている。
しかし、甲2の2の第1葉左欄最上段写真の「パストクーラ-供給コンベヤ○1モーター」が供給コンベヤを駆動すること、第3葉右欄最下段写真の「パストクーラー供給コンベヤ○2モーター」が接続コンベヤを駆動することについては主張するのみであって立証はされておらず、甲2の2の「JA清水市ペットボトル工場の現状写真」は、本件特許の出願後の平成28年11月2日に撮影されたものであり、甲2の4発明との関係も立証されていない。
また、甲2の4(7葉目)の図面では、供給コンベア2モーター18bと供給コンベア3モーター18cとが供給コンベア2ネット2aと供給コンベア3ネット2bをはさんで反対側に設置されているのに対して、甲2の2(3葉目右欄上から3段目)の写真によると、清水市農協 パストクーラー供給コンベア2列モーターが同じ側に設置されており、甲2の4(7葉目)の図面と整合していない。

・甲8には、「審判請求理由1における当社の主張に関し、メインコンベヤ、接続コンベヤ、供給コンベヤについて、速度差があることについての立証は、当社としては、第三者である現静岡ジェイエイフーズ株式会社 代表取締役 望月則男氏による説明で充分と判断した結果、別件訴訟事件(東京地裁 平成28年(ワ)第31107号)における速度差に関する資料(乙第18号証、乙第21号証)については提出を控えました。
しかしながら、各コンベヤの速度差についてより明確にするため、改めて本書に添付します。
この資料では、実際にコンベヤを走行させるために電源を入れ、その速度を計測したものです(乙第18号証)。即ち、
接続コンベヤ(供給コンベヤ2)の速度は、3.9m/sec、
供給コンベヤ(供給コンベヤ1)の速度は、16.4m/sec、
であり、計算値(乙第21号証)どおりと言える数値を示しています。」(第2ページ19行ないし第3ページ5行)(当審注:「乙第18号証」は「甲8の1」、「乙第21号証」は「甲8の2」である。なお、甲8における3.9m/sec、16.4m/secは、それぞれ、3.9m/分、16.4m/分の誤記と認める。)と説明され、甲8の1、1葉目の上段には、「清水農協 ○1供給コンベア2スピード 3.9メートル/分」と記載され、測定機器が3.9という数字を表示する写真、同下段には、「清水農協 ○2供給コンベア1スピード 16.4メートル/分」と記載され、測定機器が16.4という数字を表示する写真、2葉目の上段には、「清水農協 ○3スピードメーター SHIMPO製」と記載された測定機器の写真、同下段には、「清水農協 ○4供給コンベア駆動部解体前」と記載された写真、3葉目の上段には、「清水農協 ○5供給コンベア解体 供給コンベア2、供給コンベア1」と記載された供給コンベアの写真、同下段には、「清水農協 ○6供給コンベア ベルト解体 供給コンベア2 供給コンベア3(当審注:供給コンベア1の誤記)、供給CV2 1/50モーター、供給CV1 1/30モーター」と記載されたモーター及び供給コンベアの写真、4葉目の上段には、「清水農協 ○7 供給コンベア2 イントラロックススプロケットPCD173ミリ」と記載されたコンベアのスプロケットの写真、同下段には、「清水農協 ○8供給コンベア1 イントラロックススプロケットPCD173ミリ」と記載されたコンベアのスプロケットの写真、5葉目の上段には、「清水農協 ○9供給コンベア スプロケット イントラロックス」と記載されたコンベアスプロケットの写真、同下段には、「清水農協 ○10本体搬送モーター」と記載されたモーターの写真、6葉目には、「清水農協 ○11本体搬送モーター 減速比1 1247」と記載されたモーターの銘板の写真がそれぞれ示されている。
そして、甲8の2において、「清水農協庵原工場殿(平成11年5月納入機)コンベアスピード計算」として、「1.供給コンベア1」の速度が、16.3メートル/分、「2.供給コンベア2」の速度が3.9メートル/分、「3.パストラ搬送」の速度が0.73メートル/分であることを、スプロケットのPCD(甲8の1の4葉目の写真から、PCDはスプロケットの直径と認められる)、回転数、モーターの減速比、電源周波数の設定値から計算により導き出している。
しかし、上記甲8の1に示された写真は、1999年5月に請求人が製造して清水農協に納入したパストクーラー(機種:PC-45145型)のものであることが立証されておらず、仮に該納入したパストクーラーのものであるとしても、甲8及び甲8の1、2における「供給コンベヤ1」、「供給コンベヤ2」が上記甲2の4発明における「供給コンベア2ネット2a」、「供給コンベア3ネット2b」にそれぞれ対応するのかも不明である。
また、撮影日が平成28年12月21日であって、撮影時における装置を特定の条件で駆動した時に、供給コンベア2の搬送速度が3.9メートル/分、供給コンベア1の搬送速度が16.4メートル/分であることを示すのみであって、甲2の4発明における供給コンベア3ネット2bと供給コンベア2ネット2aのコンベアスピードと同じかどうかは不明である。
さらに、上記甲8の2の各コンベアの速度の計算結果も、平成29年3月1日に作成されたものであって、その計算の根拠となるスプロケットのPCD(直径)、モーターの回転数、減速比や設定されたモーターの駆動周波数が、甲2の4発明のものと同じであることは立証されていない。

その他、甲2の3ないし甲2の6には、甲2の4発明の各コンベアの速度について窺わせる記載はない。
また、本件特許の出願前に作成されたパストクーラー本体の図面としては甲2の4以外には提出されなかった。

したがって、甲2の4発明における各コンベア速度については甲1ないし甲2の6及び甲8ないし甲8の2によって立証されたということはできず、不明であるから、上記相違点2は実質的な相違点である。

(4)小括
以上によれば、上記相違点1及び2は実質的な相違点であるから本件特許発明は甲2の4発明と同一とはいえない。

5.まとめ
以上のとおり、本件特許発明は、甲2の4発明と同一とはいえず、また、甲2の4発明は公然実施されたものとはいえないから、本件特許発明は、特許法第29条第1項第2号に規定する、本件特許の出願前に日本国内において公然実施をされた発明であるとはいえない。
そうすると、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものであるとはいえない。

第5-2 無効理由2について
1.甲3の1
甲3の1には、「物品保管及び再循環装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。(括弧内の当審訳は、甲3の2における請求人による翻訳を参考として当審が作成したものである。)

(1)甲3の1の記載事項
1a)"This invention relates to an article accumulator and more particularly to an accumulator which will automatically accumulate the articles being transferred from a main conveyor responsive to the main conveyor overloading. "(第1欄第3ないし7行)
(当審訳:本発明は、物品蓄積機に関し、より詳しくはメインコンベヤ過負荷に応答してメインコンベヤから移送される物品を自動的に蓄積することになる蓄積機に関する。)

1b)"The accumulator constructed in accordance with the present invention utilizes a completely live deck so that the articles located thereon are always moving and it is not necessary for them to be pushed over any particular area.
Accordingly, it is an important object of the present invention to provide an apparatus for accumulating and transferring articles, as well as shifting the direction of flow of such articles.
Another important object of the present invention is to provide an apparatus which can be positioned adjacent a main line conveyor over which articles are being transferred so that when overloading of the articles on the main line conveyor occurs such will automatically be transferred onto the apparatus and returned to the main conveyor responsive to the overloading ceasing.
Another important object of the present invention is to provide a conveyor system which utilizes at least a pair of conveyor belts positioned perpendicular to each other with the edge of the belt that abuts the end of the other conveyor being beveled so that the junction is minimized in order that a smooth transfer of articles thereover can take place.
Another important object of the present invention is to provide an apparatus for receiving articles from a main conveyor and automatically returning the articles to vacant spaces provided between the articles on the main conveyor, and if there are no vacant spaces between the articles on the main conveyor, recirculating the articles.
Still another object of the present invention is to provide an apparatus for accumulating articles when overloading occurs on the main conveyor and recirculating the articles until the overloading ceases."(第1欄第45行ないし第2欄第11行)
(当審訳:本発明に従って構成される蓄積機は、その上に位置する物品が、常に移動しており、それらがどんな特定の領域にも押し込まれることが必要でないように、完全に活動的なデッキを利用する。
それに応じて、物品を蓄積しかつ移送するための、ならびにそのような物品の流れの方向を変えるための装置を提供することが、本発明の重要な目的である。
本発明の別の重要な目的は、メインラインコンベヤ上で物品の過負荷が起こると、その物品が自動的に、本装置上に移送され、過負荷が終わることに応答してメインコンベヤに戻されることになるように、その上の物品が移送されているメインラインコンベヤに隣接して位置決めされてもよい装置を提供することである。
本発明の別の重要な目的は、その上の物品の滑らかな移送が行われてもよいために、接合部が最小化されるように、もう一方のコンベヤの端部に隣接するベルトのエッジが斜角をつけられている状態で互いに直交して位置決めされる少なくとも一対のコンベヤベルトを利用するコンベヤシステムを提供することである。
本発明の別の重要な目的は、メインコンベヤから物品を受け入れ、メインコンベヤ上の物品間に提供される空きスペースに物品を自動的に戻し、もしメインコンベヤ上の物品間に空きスペースがないならば、物品を再循環させるための装置を提供することである。
本発明のなお別の目的は、過負荷が、メインコンベヤ上で起こると、物品を蓄積し、過負荷が終わるまで物品を再循環させるための装置を提供することである。)

1c)"FIG. 1 is a perspective view of an apparatus for accumulating and transferring articles from a main conveyor constructed in accordance with the present invention,
FIG. 2 is an enlarged sectional view taken along line 2-2 of FIG. 6, illustrating the beveled edge of the conveyor belt at a junction formed with another conveyor belt positioned perpendicular thereto, ・・・(中略)・・・
FIG. 5 is a plan view illustrating the articles being transferred from a main conveyor onto the recirculating conveyor,
FIG. 6 is a plan view illustrating the articles being returned to the main conveyor,
FIG. 6A is a plan view illustrating the articles being returned to the recirculating conveyor when there is no room on the main conveyor for such to be returned thereto,
FIG. 7 is a plan view illustrating the articles being transferred from the main conveyor onto the recirculating conveyor and being recirculated thereon. "(第2欄第20行ないし47行)
(当審訳: 図1は、本発明に従って構成されるメインコンベヤから物品を蓄積しかつ移送するための装置の斜視図である。
図2は、それに直交して位置決めされる別のコンベヤベルトと一緒に形成される接合部におけるコンベヤベルトの傾斜したエッジを例示する、図6の線2-2に沿った拡大断面図である。・・・(中略)・・・
図5は、物品がメインコンベヤから再循環コンベヤ上に移送されるのを例示する平面図である。
図6は、物品がメインコンベヤに戻されるのを例示する平面図である。
図6Aは、メインコンベヤに戻すべきそのような物品のための余裕が、メインコンベヤ上にないとき、物品が再循環コンベヤに戻されるのを例示する平面図である。
図7は、物品がメインコンベヤから再循環コンベヤ上に移送され、その上で再循環されるのを例示する平面図である。)

1d)"The drawings illustrate an apparatus for transferring and accumulating articles being moved along a main conveyor A. The apparatus includes a recirculating conveyor B carried adjacent the main conveyor A in article transfer relationship therewith so that when the articles begin overloading the main conveyor such are directed onto the recirculating conveyor B. The recirculating conveyor has a rear receiving portion C which receives the articles from the main conveyor and a forward return portion D over which the articles are shifted back onto the main conveyor A. The guide means E is carried adjacent the rear receiving portion C of the recirculating conveyor B and directs the articles from the main conveyor A onto the recirculating conveyor B when the articles begin overloading the main conveyor. Means are provided for driving the recirculating conveyor B so that the articles being transferred onto the recirculating conveyors from the main conveyor A are shifted to the forward return portion D. A movable guide means F is carried adjacent the forward return portion D of the recirculating conveyor B and is capable of shifting from a first position to a second position so that when it is in a first position the articles being shifted over the forward return portion D are directed back onto the main conveyor A and when it is in the second position the articles remain on the recirculating conveyor B. Sensing means G is provided for shifting the movable guide means F from the first position to the second position responsive to the articles being transferred from the main conveyor A to the recirculating conveyor B. Thus, when the main conveyor is overloaded with articles the articles are transferred to the recirculating conveyor B and returned to the main conveyor when overloading ceases. The apparatus is also provided with a pivotal means H which directs the articles being returned to the main conveyor into vacant spaces provided between the articles, and if there are no spaces pivots rearwardly so that the articles can be returned to the recirculating conveyor B.
The main conveyor A can be any conventional elongated conveyor belt over which the articles are transferred. As shown in FIG. 5, the articles 10 may be bottles being moved to an inspection station or to a station where such are filled with the desired contents. If the receiving station is shut down or slowed down, the bottles 10 will begin to back up on the main conveyor, requiring the main conveyor to be stopped if such condition is allowed to persist. "(第2欄第48行ないし第3欄第28行)
(当審訳:図面は、メインコンベヤAに沿って移動される物品を移送しかつ蓄積するための装置を例示する。本装置は、物品が、メインコンベヤに過負荷を掛け始めると、その物品が、再循環コンベヤB上に導かれるように、それとの物品移送関係でメインコンベヤAに隣接してもたらされる再循環コンベヤBを含む。再循環コンベヤは、物品をメインコンベヤから受け入れる後方受け入れ部分C、およびその上の物品がメインコンベヤA上に移されて戻る前方戻り部分Dを有する。ガイド手段Eは、再循環コンベヤBの後方受け入れ部分Cに隣接してもたらされ、物品が、メインコンベヤに過負荷を掛け始めると、物品をメインコンベヤAから再循環コンベヤB上に導く。メインコンベヤAから再循環コンベヤ上に移送される物品が、前方戻り部分Dに移されるように、再循環コンベヤBを駆動するための手段が、提供される。可動ガイド手段Fは、再循環コンベヤBの前方戻り部分Dに隣接してもたらされ、それが、第1の位置にあるときは、前方戻り部分Dの上に移される物品が、メインコンベヤA上に導かれて戻り、それが、第2の位置にあるときは、物品が、再循環コンベヤB上にとどまるように、第1の位置から第2の位置に変わる能力がある。感知手段Gは、メインコンベヤAから再循環コンベヤBに移送される物品に応答して可動ガイド手段Fを第1の位置から第2の位置に変えるために提供される。それ故に、メインコンベヤが、物品で過負荷を掛けられると、物品は、再循環コンベヤBに移送され、過負荷が、終わると、メインコンベヤに戻される。本装置はまた、ピボット手段Hも提供され、それは、メインコンベヤに戻される物品を物品間に提供される空きスペースに導き、もしスペースがないならば、物品が、再循環コンベヤBに戻されてもよいように、後方に旋回する。
メインコンベヤAは、その上の物品が移送される任意の従来の細長いコンベヤベルトとすることができる。図5に示されるように、物品10は、検査ステーションまたはその物品が所望の内容物で満たされるステーションに移動されるボトルであってもよい。もし受け入れステーションが、停止するまたは速度を落とすならば、ボトル10は、メインコンベヤ上で停滞し始めることになり、もしそのような条件が、持続することを許されるならば、メインコンベヤが止められることを必要とする。)

1e)"Positioned perpendicular to the in-feed conveyor 17 is the accumulating conveyor 18 which includes an endless belt 31. As noted in FIG. 2, the endless belt 31 forming a part of the accumulating conveyor 18 is journalled between a pair of spaced rollers 32 which drive and maintain the upper surface of the conveyor belt 31 taut. Only one of the space rollers is shown and the one not shown is carried adjacent the cross-feed conveyor 19. One of the rollers 32 is driven for propelling the belt 31. The lower edge 33 of the top portion of the in-feed belt 17 is beveled to an angle corresponding to the tangent of the end of belt 31 of the accumulating conveyor so that at the junction where the belts 17 and 31 meet there is a very small gap permitting the articles to flow smoothly thereover. In order to obtain this small gap at the junction between the belts 17 and 31 the roller 32 is positioned so that the inner end of the belt 31 extends inwardly beyond the outer edge of the in-feed conveyor belt 17. In one particular embodiment the angle of the bevel is 30°.
The cross-feed conveyor 19 mates with the other end of the accumulating conveyor 18 and has its inner edge beveled in the same manner as the in-feed conveyor 17. As best seen in FIGS. 5 through 7, the width of the accumulating conveyor 17 is much greater than the width of the in-feed and cross-feed conveyors 17 and 18. This is to allow a large amount of articles 10 to accumulate on the accumulating conveyor C. Interposed between the forward ends of the in-feed conveyor 17 and the cross-feed conveyor 19 is a return conveyor 20. The return conveyor 20 is carried on rolls similar to that of the accumulator conveyor and mates with the beveled inner edges of the in-feed and cross-feed conveyors 17 and 19, respectively, in the same manner as the accumulating conveyor 18. Thus, as can be seen, the recirculating conveyor B includes the in-feed conveyor 17, the accumulating conveyor 18, the cross-feed conveyor 19, and the return conveyor 20.
Means including a rotating shaft 34 is provided for rotating the sprocket 22 and the in-feed belt 17 carried thereon in the forward direction. Means is also provided for driving the accumulating conveyor 18 in a direction away from the in-feed conveyor such as shown by the arrow in FIGS. 5 through 7. The means for driving the cross-feed conveyor 19 rearwardly includes a driven rotating shaft 35. The return conveyor 20 is driven by means which rotates the conveyor 20 in a direction towards the in-feed conveyor 17 as illustrated by the arrows in FIGS. 5 through 7. The shaft 34 which rotates the in-feed conveyor and the drive means which rotates the accumulating conveyor 18 includes a gear box which has a pair of output shafts and an input shaft which is driven by a variable speed D.C. motor. The shaft 35 which drives the cross-feed conveyor and the return conveyor 20, is also driven by a gear box which has a pair of output shafts and an input shaft that is connected to a variable speed D.C. motor. In one particular embodiment, the in-feed conveyor 17, the cross-feed conveyor 19, and the return conveyor 20 are driven at twice the speed of the accumulating conveyor 18 with the speed of the accumulating conveyor 18 being variable between 1 to 5 feet per minute and the other conveyors 17, 19 and 20 being variable between 2 to 10 feet per minute. "(第4欄第11行ないし第5欄第7行)
(当審訳:インフィードコンベヤ17に直交して位置決めされるのは、蓄積コンベヤ18であり、それは、エンドレスベルト31を含む。図2で示されるように、蓄積コンベヤ18の一部を形成するエンドレスベルト31は、コンベヤベルト31の上面を駆動しかつピンと張った状態に維持する一対の間隔の空いたローラ32間に軸支される。間隔の空いたローラの片方だけが、図示され、図示されないものは、クロスフィードコンベヤ19に隣接してもたらされる。ローラ32の片方は、ベルト31を推進するために駆動される。インフィードベルト17の最上部の下側エッジ33は、ベルト17および31が会合する接合部において、物品がその上を滑らかに流れることを可能にする非常に小さいギャップがあるように、蓄積コンベヤのベルト31の端部の接線に対応する角度に斜角をつけられる。ベルト17と31との間の接合部にこの小さいギャップを得るために、ローラ32は、ベルト31の内側端部が、インフィードコンベヤベルト17の外側エッジを越えて内向きに延びるように位置決めされる。1つの特定の実施形態では、傾斜の角度は、30°である。
クロスフィードコンベヤ19は、蓄積コンベヤ18のもう一方の端部と一緒になり、インフィードコンベヤ17と同じように斜角をつけられたその内側エッジを有する。図5から図7で最も良く示されるように、蓄積コンベヤ17の幅は、インフィードおよびクロスフィードコンベヤ17および18の幅よりもはるかに大きい。これは、大量の物品10が蓄積コンベヤC上に蓄積することを可能にするためである。インフィードコンベヤ17およびクロスフィードコンベヤ19の前方端部間に挿入されるのは、戻りコンベヤ20である。戻りコンベヤ20は、蓄積機コンベヤのそれに似たロール上にもたらされ、蓄積コンベヤ18と同じように、インフィードおよびクロスフィードコンベヤ17および19それぞれの斜角をつけられた内側エッジと一緒になる。それ故に、図に見られるように、再循環コンベヤBは、インフィードコンベヤ17、蓄積コンベヤ18、クロスフィードコンペヤ19、および戻りコンベヤ20を含む。
回転軸34を含む手段は、スプロケット22およびその上にもたらされるインフィードベルト17を前方方向に回転させるために提供される。図5から図7で矢印によって示されるなどのインフィードコンベヤから離れる方向に蓄積コンベヤ18を駆動するための手段もまた、提供される。クロスフィードコンベヤ19を後方に駆動するための手段は、被駆動回転軸35を含む。戻りコンベヤ20は、図5から図7で矢印によって例示されるようにインフィードコンベヤ17に向かう方向にコンベヤ20を回転させる手段によって駆動される。インフィードコンベヤを回転させる軸34および蓄積コンベヤ18を回転させる駆動手段は、一対の出力軸および可変速D.C.モータによって駆動される入力軸を有するギヤボックスを含む。クロスフィードコンベヤを駆動する軸35および戻りコンベヤ20もまた、一対の出力軸および可変速D.C.モータに接続される入力軸を有するギヤボックスによって駆動される。1つの特定の実施形態では、インフィードコンベヤ17、クロスフィードコンベヤ19、および戻りコンベヤ20は、蓄積コンベヤ18の速度の2倍で駆動され、蓄積コンベヤ18の速度は、1から5フィート毎分の間で可変であり、他のコンベヤ17、19および20は、2から10フィート毎分の間で可変である。)

1f)"In summarizing the operation, reference is made to FIGS. 5 through 7. In FIG. 5 the articles are shown as being backed up onto the main conveyor A as a result of either the receiving station being inoperative or the flow of articles being too great and, therefore, the guide mean E deflects some of the articles onto the rear receiving portion of the recirculating conveyor B. This causes the sensing means G to be activated, which in turn, causes the blade 43 of the movable guard F to be retracted. The articles being fed onto the recirculating conveyor are circled rearwardly in a counterclockwise direction back onto the in-feed conveyor 17. The articles are then moved forward, such as illustrated in FIG. 7, on the in-feed conveyor 17 until such strikes the deflection plate 44 to feed them back onto the accumulating conveyor 18. This continues until the overloading of a main conveyor ceases at which time the microswitch 60 forming a part of the sensing means G is allowed to open, such as illustrated in FIG. 6. When this occurs the tapered blade 43 forming part of the movable guide means F is extended to deflect the articles back onto the main conveyor A. As shown in FIG. 6 the pivotal means H is extended and directs the articles into the vacant spaces therebetween. If there are no vacant spaces between the articles on the main conveyor A, the articles being returned from the recirculating conveyor B overcomes the tension provided in spring 52 associated with the pivotal arm H to cause the arm to be pivoted rearwardly, such as shown in FIG. 6A and the articles are shifted down the main conveyor A until such strikes the guide means E and are returned to the recirculating conveyor B.
Thus, as seen from FIGS. 5 through 7, when overloading occurs on conveyor A the excessive articles are automatically shifted onto the recirculating conveyor B and recirculated until the overloading ceases. "(第6欄第53行ないし第7欄第21行)
(当審訳:動作を要約する際に、図5から図7に言及される。図5では、物品は、受け入れステーションが正常に動作しないかまたは物品の流れが大きすぎる結果として、メインコンベヤA上で停滞しているとして示され、従ってガイド手段Eは、物品のいくつかを再循環コンベヤBの後方受け入れ部分上に向きを変えさせる。これは、感知手段Gを作動させ、それは順に、可動ガードFのブレード43を引き込ませる。再循環コンベヤ上に送り込まれる物品は、後方に反時計方向に循環されてインフイードコンベヤ17上に戻る。物品は次いで、それらを蓄積コンベヤ18上に送り込んで戻すために、物品が変向プレート44に当たるまで、図7に例示されるなどのように、インフイードコンベヤ17上で前方に移動される。これは、メインコンベヤの過負荷が終わるまで続き、その時に感知手段Gの一部を形成するマイクロスイッチ60は、図6に例示されるなどのように、開くことを許される。これが、起こると、可動ガイド手段Fの一部を形成するテーパ状ブレード43は、物品をメインコンベヤA上に向きを変えさせて戻すために延長される。図6に示されるように、ピボット手段Hは、延長され、物品をその間の空きスペース内に導く。もしメインコンベヤA上の物品間に空きスペースがないならば、再循環コンベヤBから戻される物品は、図6Aに示されるなどのように、アームを後方に旋回させるためにピボットアームHと関連するスプリング52に提供される張力に打ち勝ち、物品は、ガイド手段Eに当たり、再循環コンベヤBに戻されるまで、メインコンベヤAの下方に移される。
それ故に、図5から図7で見られるように、過負荷が、コンベヤA上で起こると、過剰な物品は、再循環コンベヤB上に自動的に移され、過負荷が終わるまで再循環される。)

1g)上記1d)の「物品10は、検査ステーションまたはその物品が所望の内容物で満たされるステーションに移動されるボトルであってもよい。」の記載から、蓄積コンベヤ18は、容器を蓄積するためのものであるといえる。

1h)Fig.1及び5ないし7には、メインコンベヤAは、蓄積コンベヤ18の入口側に隣接しており、特にFig.5ないし7の物品の搬送方向を示す矢印から、メインコンベヤAの搬送方向が蓄積コンベヤ18と直交することが示されている。

1i)Fig.1及び5ないし7には、蓄積コンベヤ18の出口側に隣接し、搬送方向が蓄積コンベヤ18と直交するクロスフィードコンベヤ19が示されている。

1j)Fig.1には、蓄積コンベヤ18の入口側に、メインコンベヤAに併設されたインフィードコンベヤ17が示されており、上記1c)のFig.2の図示内容及び上記1e)の「インフィードベルト17の最上部の下側エッジ33は、ベルト17および31が会合する接合部において、物品がその上を滑らかに流れることを可能にする非常に小さいギャップがあるように、蓄積コンベヤのベルト31の端部の接線に対応する角度に斜角をつけられる。」の記載から、インフィードコンベヤ17が蓄積コンベヤ18の端部を下部エッジ33により覆うことが分かる。

1k)Fig.5ないし7の図示内容、及び上記1e)の「回転軸34を含む手段は、スプロケット22およびその上にもたらされるインフィードベルト17を前方方向に回転させるために提供される。」の記載から、インフィードコンベヤ17をメインコンベヤAとは独立してメインコンベヤAの搬送方向と同方向に作動させる軸34及び駆動手段が設けられていることが分かる。

1l)Fig.1及び5ないし7の図示内容、及び上記1e)の「インフィードコンベヤ17およびクロスフィードコンベヤ19の前方端部間に挿入されるのは、戻りコンベヤ20である。」の記載から、戻りコンベヤ20は、蓄積された容器をメインコンベヤA側に戻すためのものであって、インフィードコンベヤ17とクロスフィードコンベヤ19との間に設けられるものであることが分かる。

1m)上記1e)の「1つの特定の実施形態では、インフィードコンベヤ17、クロスフィードコンベヤ19、および戻りコンベヤ20は、蓄積コンベヤ18の速度の2倍で駆動され、蓄積コンベヤ18の速度は、1から5フィート毎分の間で可変であり、他のコンベヤ17、19および20は、2から10フィート毎分の間で可変である。」の記載から、インフィードコンベヤ17及びクロスフィードコンベヤ19の速度が、蓄積コンベヤ18の速度の2倍で駆動されることが分かる。

(2)甲3発明
上記(1)及びFig.1、2及び5ないし7の図示内容を総合すると、甲3の1には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。

「容器を蓄積するための蓄積コンベヤ18と、蓄積コンベヤ18の入口側に隣接し、搬送方向が蓄積コンベヤ18と直交するメインコンベヤAと、蓄積コンベヤ18の出口側に隣接し、搬送方向が蓄積コンベヤ18と直交するクロスフィードコンベヤ19とを備え、メインコンベヤAから供給される容器を蓄積コンベヤ18上で蓄積し、クロスフィードコンベヤ19へ排出するようにした容器の蓄積機において、上記入口側に、メインコンベヤAに併設され、蓄積コンベヤ18の端部を下側エッジ33により覆って蓄積コンベヤ18の搬送面とメインコンベヤAの搬送面とを接続するインフィードコンベヤ17と、メインコンベヤAとは独立してインフィードコンベヤ17をメインコンベヤAの搬送方向と同方向に作動させる軸34及び駆動手段と、インフィードコンベヤ17とクロスフィードコンベヤ19との間に蓄積された容器をメインコンベヤA側に戻すための戻りコンベヤ20とを設け、容器搬送中のインフィードコンベヤ17及びクロスフィードコンベヤ19の速度が蓄積コンベヤ18の速度の2倍で駆動される、容器の蓄積機。」

2.甲4
甲4には、「パストライザ」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)甲4の記載事項
2a)「【請求項1】 処理室内にメインコンベヤと、このメインコンベヤの端部に接続され、移送方向をメインコンベヤと直交方向に設定される供給コンベヤと排出コンベヤとを接続して成り、前記供給コンベヤからメインコンベヤを経て排出コンベヤに至る移送経路を被処理体が移送されながら所定の加熱等の処理を受ける装置において、前記供給コンベヤと排出コンベヤとのいずれか一方または双方は、メインコンベヤと連接される部位におけるキャリヤスラットの側端部を、メインコンベヤの搬送作用面直近に位置させたことを特徴とするパストライザ。
【請求項2】 前記キャリヤスラットの側端部は尖端状であることを特徴とする請求項1記載のバストライザ。」

2b)「【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明に係るパストライザ1を図示の実施の形態に基づき説明する。パストライザ1は、本実施の形態にあっては、容器入り飲料等の被処理体Fを温水等の散水によりいったん加熱殺菌し、そして再び冷却して次工程へ排出するものである。
【0008】パストライザ1は、図1に示されるように処理室内にメインコンベヤ2と、供給コンベヤ3と、排出コンベヤ4とを具えて成り、メインコンベヤ2の上方には一例として前段に温水シャワー施設5が設けられ、後段には冷水シャワー施設6が設けられる。一方メインコンベヤ2の下方には貯水槽7、8が設けられ、ここに前記温水及び冷水シャワー施設5、6により散水された温水及び冷水が貯水される。貯水された温水及び冷水は、図示を省略する循環ポンプにより汲み上げられ再び前記温水及び冷水シャワー施設5、6に供給される。なお符号M1で示す部材は、メインコンベヤ2を駆動する駆動モータである。また供給コンベヤ3の始端側に連接される符号L1は前方搬送コンベヤであり、排出コンベヤ4の終端側に連接される符号L2は後方搬送コンベヤである。」

2c)「【0009】供給コンベヤ3について説明する。供給コンベヤ3は、図1(a)の平面図に示すようにメインコンベヤ2の入口側に連接して設けられ、その搬送方向をメインコンベヤ2と直交方向としている。供給コンベヤ3は、具体的には多数の孔を有したキャリヤスラット31が連接して無端帯状とされたバンドチェーンを適用するものであり、これが駆動モータM2により駆動される。本発明の特徴として図1(b)及び図2に示すようにキャリヤスラット31のメインコンベヤ2と近接する側の側端部31aが尖端状に形成され、メインコンベヤ2の搬送作用面2aと供給コンベヤ3の搬送作用面3aが直近に位置している。なお符号33はガイド体であって、例えば平板状部材を湾曲して形成したもので、供給コンベヤ3の終端へ到達した被処理体Fを塞き止めるとともにメインコンベヤ2上へ被処理体Fを進路変更させる。また図1(b)及び図2中符号32に示す部材はスプロケットである。
【0010】排出コンベヤ4について説明する。排出コンベヤ4は、図1(a)の平面図に示すようにメインコンベヤ2の出口側に連接して設けられ、駆動モータM3により駆動してその搬送方向をメインコンベヤ2と直交方向としている。排出コンベヤ4の具体的形態は、前記供給コンベヤ3と同様であり、図1(b)及び図2に示すようにキャリヤスラット41のメインコンベヤ2と近接する側の側端部41aが尖端状に形成され、メインコンベヤ2の搬送作用面2aと排出コンベヤ4の搬送作用面4aが直近に位置している。また図1(b)及び図2中、符号42に示す部材はスプロケットである。」

(2)甲4技術
上記(1)及び図1ないし3の図示内容から、甲4には次の技術(以下、「甲4技術1」という。)が記載されている。

「メインコンベヤ2と、このメインコンベア2と直交方向に移送方向が設定される供給コンベヤ3及び排出コンベヤ4とを接続したパストライザ1において、メインコンベア2の上方の前段に温水シャワー施設5、後段に冷水シャワー施設6を設けることにより、容器入り飲料等の被処理体Fを温水または冷水の散水により加熱殺菌し、再び冷却する技術。」

また、上記(1)及び図1ないし3の図示内容から、甲4には次の技術(以下、「甲4技術2」という。)が記載されている。

「メインコンベヤ2と、このメインコンベア2と直交方向に移送方向が設定される供給コンベヤ3及び排出コンベヤ4とを接続したパストライザ1において、供給コンベヤ3と排出コンベヤ4とのいずれか一方または双方は、メインコンベヤ2と連接される部位におけるキャリヤスラット41の側端部を、メインコンベヤ2の搬送作用面直近に位置させる技術。」

3.甲5
甲5には、「交差コンベヤ間で物品を移送するための方向変更機構」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)甲5の記載事項
3a)「【0007】より詳しく言えば、本発明は交差配置された上流側及び下流側コンベヤで、一実施例においては直角に配置されて突き当りターン部を形成する両コンベヤを具備したコンベヤ装置を提供する。またコンベヤ装置は、上流側コンベヤから下流側コンベヤへ物品を向き変えする物品移送機構も具備している。移送機構は、搬送物品の方向を変えるためのガイドレールと、上流側及び下流側両コンベヤ間に位置して搬送物品を両者間で移送する移送補助コンベヤとを含む。
【0008】移送補助コンベヤは上流側及び下流側両コンベヤの一方と平行に同じ速度で走行し、その際移送補助コンベヤの片側が上記一方のコンベヤと密に隣接するかあるいは当接するのが好ましい。移送補助コンベヤの他側は上流側及び下流側両コンベヤの他方のスプロケット位置の上方において片持ち支持され、両コンベヤ間の隙間を実質上埋めるための移送プレートして作用する。一実施例において、移送補助コンベヤはピンで相互に接続された複数のチェーンリンクを含むチェーンである。各チェーンリンクは、他のリンクモジュールと噛み合う型成形プラスチック製のリンクモジュールと、このリンクモジュールの片側に片持ち式に装着可能な取付体と具備する。」

3b)「【0030】移送機構236は、搬送物品238を上流側コンベヤ216から下流側コンベヤ220へ隙間232を横切って搬送するための移送補助コンベヤ244も含んでいる。図9に示すように、移送補助コンベヤ244は上流側コンベヤ216と並置して平行に位置され、上流側コンベヤ216と同じ方向に走行する。移送補助コンベヤ244は、フレーム部204のテールスプロケット214とフレーム部204にその一部として支持された補助スプロケット246(図9に概略的に示す)にわたって架け渡されたエンドレスループを形成するのが好ましい。上流側コンベヤ216と移送補助コンベヤ244は共通の駆動軸(すなわちスプロケット214)を共有するのが好ましいが、その他の構成としてそれらのコンベヤを別々に駆動することもできる。これらその他の構成では、図示の実施例においてスプロケット箇所214に一致して支持された両コンベヤ216と244の端を一致させる必要はない。
【0031】移送補助コンベヤ244は、上流側及び下流側コンベヤ216と220の物品支持面224及び226と同一平面の物品支持面250を具備する。また移送補助コンベヤ244は、横方向に離間した端部252と254も具備している。物品支持面224と250がほぼ連続状となるように、端部252が上流側コンベヤ216と当接あるいは密に隣接する一方、端部254は下流側コンベヤ220の移行部230の上方に張り出している。端部254は移送プレートとして作用し、物品支持面250と226間において滑らかな移行を与える。」

3c)「【0040】動作時、上流側コンベヤ216上を走行してきた物品238は、突き当りターン部に進入してガイドレール240と接触し、物品238はこのガイドレール240により、上流側コンベヤ216の方向には減速され、下流側コンベヤ220の方向には加速される。そして向きを変えながら上流側コンベヤ216を横切ると、物品238は移送補助コンベヤ244上へ移動し、今度はこのコンベヤ244が物品238を隙間232上を経て下流側コンベヤ220上へと滑らかに載置する。移送補助コンベヤ244は上流側コンベヤ216と共に走行しているので、移送補助コンベヤ244はコンベヤ走行域の終端においてその上の物品を自動的に一掃している。本発明の各種特徴は、特許請求の範囲の各項に記載されている。」

3d)図9には、上流側コンベヤ216と下流側コンベヤ220との間に、上流側コンベア216と平行に移送補助コンベア244が設けられることが図示されている。

3e)図10には、移送補助コンベア244の端部254が、下流コンベア220の移行部230の上方に張り出していることが図示されている。

(2)甲5技術
上記(1)及び図9及び10の図示内容から、甲5には次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されている。

「直角に配置された上流側コンベヤ216及び下流側コンベヤ220において、下流側コンベヤ220上へ物品238を滑らかに載置するために、上流側コンベヤ216と下流側コンベヤ220との間に、上流側コンベア216と平行に同じ速度で走行し、横方向に離間した端部252と254を具備しており、一方の端部252が上流側コンベア216と隣接し、他方の端部254が下流コンベア220の移行部230の上方に張り出している移送補助コンベア244を設ける技術。」

4.甲6
甲6には、「速度分布を有するベルトコンベア装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)甲6の記載
4a)「【請求項1】 駆動源により駆動される1つの駆動軸にそれぞれ固定された段階的に径の異なる複数の駆動ローラと、各駆動ローラと係合し、段階的に径の異なる複数の回転伝達ローラと、各回転伝達ローラと係合して各駆動ローラの周速度に対応する速度でそれぞれ駆動されて複数のレーンを構成する複数の無端コンベアベルトとからなる速度分布を有するベルトコンベア装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、駆動ローラは駆動軸長さ方向中心部において径が最大、周辺部において径が最小であり、中心部レーンが高速、周辺部レーンが低速であることを特徴とする速度分布を有するベルトコンベア装置。」

4b)「【0006】
【作用】本発明はベルトコンベアを複数のレーンに分割し、周辺部レーンからの荷積み、荷下ろしが容易にできるように周辺部レーンは低速走行、搬送対象物を能率良く移送できるように中央部レーンは高速走行させ、その中間は周辺部レーンと中央部レーンとの間の搬送対象物の移行が円滑に行えるように段階的に速度を変えることにより、高速移送と容易な荷積み、荷下ろしとを同時に実現することができる。」

4c)「【0010】本実施例においては中心部レーンの速度が最大で、周辺部レーンにいくにつれて速度が小さくなっているので、中心部レーンで搬送すれば高速搬送することができ、周辺部レーンで荷物の積み下ろしを行えば、低速のため容易に行うことができる。なお、駆動ローラ3と回転伝達ローラ5とコンベアベルト4との間の力の伝達は、面間の摩擦によってでも、あるいは歯車のような歯状のものの噛み合わせによってでも良い。」

(2)上記(1)及び図面の図示内容から、甲6には次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されている。

「ベルトコンベアを複数のレーンに分割するとともに、駆動ローラを駆動軸長さ方向中心部において径が最大、周辺部において径が最小となるようにして、搬送を行う中心部レーンが高速、荷積み、荷下ろしを行う周辺部レーンが低速となる速度分布とすることにより、高速移送と容易な荷積み、荷下ろしとを同時に実現する技術。」

5.甲7
甲7には、「整列装置」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)甲7の記載
5a)「1.供給コンベアと該供給コンベアに並行して設置された整列コンベアと供給コンベアの上方に固定された押出し壁と該押出し壁に接続して、整列コンベアの上方に固定された整揃壁とで構成し、供給コンベアよりも高速でかつ供給コンベアと同一方向に進行する整列コンベアを持つことを特徴とする整列装置。」(第1ページ左欄第4ないし10行)

5b)「作用
第2図により動作を説明する。供給コンベア1は、整揃コンベア3よりも遅い速度で運転されている。被供給部品は供給コンベアlの始端7に投入される。押出し壁6は供給コンベアlの上方に斜めに供給コンベアlを横切るように設けであるので、被供給部品は供給コンベアlに乗って運ばれ、押出し壁6にあたり、該押出し壁6によって整揃コンベアの方に移動させられる。整揃コンベア3は供給コンベアより速い速度で運転されているので、供給コンベアの上を押出し壁6に沿って移動してきた被供給部品は、該被供給部品の重心が押出し壁6の終端を通過すると同時に整列コンベア3に乗り、速い速度で整列コンベア3により移動されるので、被供給部品は被供給部品相互の間隔を持ちなから整揃壁5に沿って整列コンベア3によって移動される。間隔を持った被供給部品は、整揃壁5によって整列コンベア3の一側に押出され、整列コンベア3の外側と整揃壁の関係により被供給部品の形状、重心位置により機械的に選別されるか、整揃壁5に取付けたセンサにより得意点の情況を判断して整揃される。」(第2ページ右下欄第6行ないし第3ページ左上欄第7行)

(2)上記(1)及び図1及び2の図示内容から、甲7には次の技術(以下、「甲7技術」という。)が記載されている。

「供給コンベア1に供給コンベア1よりも高速かつ同一方向に進行する整列コンベア3を並行して設け、被供給部品を供給コンベア1の終端から整列コンベア3に移動することにより、被供給部品相互の間隔を持ちながら移動させる技術。」

6.対比・判断
本件特許発明と甲3発明とを対比すると、甲3発明における「メインコンベアA」は、蓄積コンベア18との配置関係からみて、本件特許発明における「供給コンベヤ」に相当し、以下同様に、「クロスフィードコンベア19」は「排出コンベヤ」に、「インフィードコンベア17」は「接続コンベヤ」に相当し、甲3発明における「下側エッジにより覆って」は本件特許発明における「覆って」に、「軸34及び駆動手段」は「作動手段」に、それぞれ相当する。
そして、甲3発明における「容器を蓄積するための蓄積コンベア18」及び「蓄積コンベア18」と、本件特許発明における「搬送される容器に散水処理を施す処理部を構成するメインコンベヤ」及び「メインコンベヤ」とは、「容器コンベヤ」という限りにおいて一致し、
甲3発明における「蓄積コンベア18上で蓄積」することと、本件特許発明における「メインコンベヤ上で処理」することとは、「容器コンベヤ上で取扱う」という限りにおいて一致し、
甲3発明における「容器の蓄積機」と、本件特許発明における「容器処理装置」とは、「容器取扱装置」という限りにおいて一致し、
甲3発明における「容器搬送中のインフィードコンベア17及びクロスフィードコンベア19の速度が蓄積コンベア18の速度の2倍で駆動される」ことと、本件特許発明における「少なくとも容器処理中の接続コンベアの搬送速度が、上記メインコンベアの搬送速度以上であって、併設する供給コンベアもしくは排出コンベアよりも低速である」こととは、「容器搬送中の接続コンベアの搬送速度が、容器コンベアの搬送速度以上である」という限りにおいて一致する。

したがって両者は、
「容器コンベヤと、容器コンベヤの入口側に隣接し、搬送方向が容器コンベヤと直交する供給コンベヤと、容器コンベヤの出口側に隣接し、搬送方向が容器コンベヤと直交する排出コンベヤとを備え、供給コンベヤから供給される容器を容器コンベヤ上で取扱い、排出コンベヤへ排出するようにした容器取扱装置において、上記入口側に、供給コンベヤに併設され、容器コンベヤの端部を覆って容器コンベヤの搬送面と供給コンベヤの搬送面とを接続する接続コンベヤと、供給コンベヤとは独立して接続コンベヤを供給コンベヤの搬送方向と同方向に作動させる作動手段を設け、容器搬送中の接続コンベアの搬送速度が、容器コンベアの搬送速度以上である容器取扱装置。」
である点において一致し、以下の点において相違する。

[相違点3]
本件特許発明においては、「容器コンベア」が「容器処理装置」の「メインコンベア」であって、「搬送される容器に散水処理を施す処理部を構成する」ものであるのに対して、甲3発明においては、「容器コンベア」が「容器の蓄積機」の「蓄積コンベア18」であって、「容器を蓄積するため」のものである点。

[相違点4]
本件特許発明においては、「接続コンベア」と「排出コンベア」との間に、「容器」を「供給コンベヤ」側に戻すための「コンベア」を備えるものではないのに対して、甲3発明においては、「インフィードコンベヤ17とクロスフィードコンベヤ19との間に蓄積された容器をメインコンベヤA側に戻すための戻りコンベヤ20」が備えられる点。

[相違点5]
本件特許発明においては「少なくとも容器処理中の接続コンベアの搬送速度が、上記メインコンベアの搬送速度以上であって、併設する供給コンベアもしくは排出コンベアよりも低速である」のに対して、甲3発明においては「容器搬送中のインフィードコンベア17及びクロスフィードコンベア19の速度が蓄積コンベア18の速度の2倍で駆動される」ものであるが、インフィードコンベア17の速度とメインコンベアAの速度との関係が不明である点。

以下、相違点3ないし5について検討する。

[相違点3について]
甲4技術1は、「メインコンベヤ2と、このメインコンベア2と直交方向に移送方向が設定される供給コンベヤ3及び排出コンベヤ4とを接続したパストライザ1において、メインコンベア2の上方の前段に温水シャワー施設5、後段に冷水シャワー施設6を設けることにより、容器入り飲料等の被処理体Fを温水または冷水の散水により加熱殺菌し、再び冷却する技術。」である。
一方、甲3発明は、「容器を蓄積するための蓄積コンベヤ18」を備えた「容器の蓄積機」であって、甲3発明における「容器の蓄積機」は、上記1.(1)1a)の甲3の1の記載によれば、「メインコンベヤ過負荷に応答してメインコンベヤから移送される物品を自動的に蓄積する」ものであるから、甲4技術1の「容器入り飲料等の被処理体Fを温水または冷水の散水により加熱殺菌し、再び冷却する技術」とは技術分野が異なる。
したがって、甲3発明における「容器の蓄積機」の「蓄積コンベア18」に甲4技術1を適用する動機付けが見出せないから、甲3発明に甲4技術1を適用して上記相違点3に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。

[相違点4について]
甲3発明の「容器の蓄積機」は、上記1.(1)1f)の甲3の1の記載によれば、「過負荷が、コンベヤA上で起こると、過剰な物品は、再循環コンベヤB(蓄積コンベア18)上に自動的に移され、過負荷が終わるまで再循環される」ものであって、Fig.5ないし7の図示内容によれば、「戻りコンベア20」は、物品を再循環させる過程で、物品をクロスフィードコンベヤ19からメインコンベヤA側へ戻すためのものである。
そうすると、甲3発明から「戻りコンベア20」を省くと、上記1.(1)1b)の甲3の1に記載されるような甲3発明の「過負荷が、メインコンベヤ上で起こると、物品を蓄積し、過負荷が終わるまで物品を再循環させるための装置を提供する」という課題が解決できないから、甲3発明から「戻りコンベア20」を省く動機付けは見出せない。
したがって、甲3発明から「戻りコンベヤ20」を省くことにより上記相違点4に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。

[相違点5について]
甲4技術1は、「メインコンベヤ2と、このメインコンベア2と直交方向に移送方向が設定される供給コンベヤ3及び排出コンベヤ4とを接続したパストライザ1において、メインコンベア2の上方の前段に温水シャワー施設5、後段に冷水シャワー施設6を設けることにより、容器入り飲料等の被処理体Fを温水または冷水の散水により加熱殺菌し、再び冷却する技術」であるが、メインコンベア2の搬送面と供給コンベヤ3または排出コンベヤ4の搬送面とを接続する接続コンベアについて示唆するものではない。
また、甲4技術2は、「メインコンベヤ2と、このメインコンベア2と直交方向に移送方向が設定される供給コンベヤ3及び排出コンベヤ4とを接続したパストライザ1において、供給コンベヤ3と排出コンベヤ4とのいずれか一方または双方は、メインコンベヤ2と連接される部位におけるキャリヤスラット41の側端部を、メインコンベヤ2の搬送作用面直近に位置させる技術」であって、メインコンベヤ2と連接される部位におけるキャリヤスラット41は、供給コンベヤ3と排出コンベヤ4とのいずれか一方または双方が備えるものであるから、メインコンベア2の搬送面と供給コンベヤ3または排出コンベヤ4の搬送面とを接続する接続コンベアについて示唆するものではない。
甲5技術は、「直角に配置された上流側コンベヤ216及び下流側コンベヤ220において、下流側コンベヤ220上へ物品238を滑らかに載置するために、上流側コンベヤ216と下流側コンベヤ220との間に、上流側コンベア216と平行に同じ速度で走行し、横方向に離間した端部252と254を具備しており、一方の端部252が上流側コンベア216と隣接し、他方の端部254が下流コンベア220の移行部230の上方に張り出している移送補助コンベア244を設ける技術」であるが、移送補助コンベヤ244(接続コンベヤ)は、上流側コンベヤ216(供給コンベヤ)と平行に同じ速度で走行するものであって、下流側コンベヤ220(メインコンベア)との速度との関係は不明である。
さらに、甲6技術は、「ベルトコンベアを複数のレーンに分割するとともに、駆動ローラを駆動軸長さ方向中心部において径が最大、周辺部において径が最小となるようにして、搬送を行う中心部レーンが高速、荷積み、荷下ろしを行う周辺部レーンが低速となる速度分布とすることにより、高速移送と容易な荷積み、荷下ろしとを同時に実現する技術」であって、複数のレーンに分割されたベルトコンベアの速度分布について開示するものであり、また、甲7技術は、「供給コンベア1に供給コンベア1よりも高速かつ同一方向に進行する整列コンベア3を並行して設け、被供給部品を供給コンベア1の終端から整列コンベア3に移動することにより、被供給部品相互の間隔を持ちながら移動させる技術」であるが、いずれも、「容器処理中の接続コンベアの搬送速度が、上記メインコンベアの搬送速度以上であって、併設する供給コンベアもしくは排出コンベアよりも低速である」ことについて開示や示唆をするものではない。
また、請求人は、「物品を円滑に各コンベヤ間に移載させるために、並行走行しつつ、速度差をもたせるという技術自体は周知慣用技術に過ぎない。」(請求人による平成30年3月7日提出の手続補正書第17ページ第12及び13行)として、甲6及び甲7を例として挙げている。
しかし、甲6技術は「高速移送と容易な荷積み、荷下ろしとを同時に実現する」ために「搬送を行う中心部レーンが高速、荷積み、荷下ろしを行う周辺部レーンが低速となる速度分布」としたものであり、甲7技術は「被供給部品相互の間隔を持ちながら移動させる」ために「供給コンベア1に供給コンベア1よりも高速かつ同一方向に進行する整列コンベア3を並行して設け」たものであるから、これら甲6技術及び甲7技術からは、「物品を円滑に各コンベヤ間に移載させるために、並行走行しつつ、速度差をもたせるという技術」が周知慣用技術であるとはいえない。

したがって、甲3発明に甲4技術1及び2ないし甲7技術を適用して、上記相違点5に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。

以上で検討したとおり、上記相違点3ないし5に係る本件特許発明の発明特定事項は、当業者が甲3発明、甲4技術1及び2並びに甲5ないし甲7技術に基いて容易になし得たということができないから、本件特許発明は、甲3発明、甲4技術1及び2並びに甲5ないし甲7技術に基いて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

7.小括
以上のとおり、本件特許発明は、甲3発明、甲4技術1及び2並びに甲5ないし甲7技術に基いて当業者が容易に発明することができたとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。
そうすると、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明を無効とすることはできない。
審判に関する費用は、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-11-16 
結審通知日 2018-11-20 
審決日 2018-12-03 
出願番号 特願2000-357151(P2000-357151)
審決分類 P 1 123・ 112- Y (B65G)
P 1 123・ 121- Y (B65G)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 松下 聡
鈴木 充
登録日 2009-07-31 
登録番号 特許第4348588号(P4348588)
発明の名称 容器処理装置  
代理人 永島 孝明  
代理人 山岸 勇紀  
代理人 安國 忠彦  
代理人 磯田 志郎  
代理人 東山 喬彦  
代理人 矢野 千秋  

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