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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1348498
審判番号 不服2017-19137  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-25 
確定日 2019-01-28 
事件の表示 特願2016-110665号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月29日出願公開、特開2016-172065号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成23年10月12日に出願した特願2011-224557号の一部を平成28年6月2日に新たな特許出願(特願2016-110665号)としたものであって、平成28年7月29日に手続補正書が提出され、平成29年3月10日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年5月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年9月19日付け(発送日:平成29年9月26日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成30年9月4日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年11月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。記号A?Hは、分説するため当審で付した。)は、平成30年11月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「A 遊技機に対する異常状態を報知する報知音と、遊技の進行による演出音とを出力する複数の音声出力手段と、
B 演出表示手段と、
C 前記音声出力手段から出力する音量を調整可能な第1音量調整手段と、
D 前記音声出力手段と前記演出表示手段とを演出の進行にもとづいて制御する演出制御手段と、
E 前記音声出力手段から出力する音量を調整可能な前記第1音量調整手段とは異なる第2音量調整手段と、
F を備える遊技機において、
C1 前記第1音量調整手段と前記第2音量調整手段のうち、前記第1音量調整手段は、遊技者が操作することができない調整手段とされ、
D1 前記演出制御手段は、前記第1音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音の音量を設定する演出音音量設定制御手段と、
D2 前記演出表示手段が待機状態とされている期間において、遊技者が操作可能な前記第2音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音音量設定制御手段が設定した演出音の音量を変更する演出音音量変更制御手段と、
D3 異常状態に基づく異常報知期間において前記遊技機に対する異常状態を報知するための前記報知音の音量を前記演出音音量設定制御手段で設定されて出力している音量とは異なる音量に設定する報知音音量設定制御手段と、
D4 前記遊技機に対する異常状態を報知する前記報知音が前記音声出力手段から出力される前記異常報知期間を所定時間経過したことによって終了させる報知期間終了手段と、
D5 異常状態の発生に伴い前記異常報知期間が発生した際に前記音声出力手段から進行しているスケジュールデータに従って出力されていた前記演出音について、前記演出音に対応するスケジュールデータの進行を停止することなく継続したまま前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了されるまで前記演出音の音量を消音に変更設定し、前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了された際に消音に変更設定された状態でスケジュールデータの進行が継続している前記演出音の音量を前記異常報知期間発生以前に所定条件が成立していたかに応じて異なる音量で復旧設定されるように、前記所定条件が成立していない場合においては前記第1音量調整手段の操作に応じて設定されている音量に復旧設定し、前記所定条件が成立していた場合においては前記第2音量調整手段の操作に応じて設定されていた音量に復旧設定することで前記演出音を音量が消音に変更設定されてから復旧設定されるまでにスケジュールデータの進行が継続した期間分進行した状態で復旧させる演出音進行継続制御手段と、
D6 前記演出音及び前記報知音を前記音声出力手段から出力する制御を実行する音出力実行制御手段と、を備え、
G 前記報知音音量設定制御手段は、前記演出音音量設定制御手段が前記第1音量調整手段の操作に応じて前記演出音の音量を小さく設定している状態又は前記演出音音量変更制御手段が前記第2音量調整手段の操作に応じて前記演出音音量設定制御手段が設定した前記演出音の音量を小さく変更している状態であっても、前記異常報知期間においては、当該演出音の音量と比べて大きい音量を前記報知音の音量として設定し、
H 前記音出力実行制御手段は、前記異常報知期間においては、前記異常報知期間以外に出力しない前記報知音の音データを前記異常報知期間以外に出力する前記演出音の音データに加えて出力することで前記報知音を前記音声出力手段から出力し聴取可能にしていることを特徴とする遊技機。」

3 当審における拒絶の理由
当審における平成30年9月4日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
「1.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1?5

<引用文献等一覧>
1.特開2009-5735号公報(新たに引用された文献)
2.特開2005-288020号公報(新たに引用された文献)
3.特開2009-34354号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2004-215805号公報(周知技術を示す文献、新たに引用された文献)
5.特開2011-142953号公報(周知技術を示す文献、新たに引用された文献) 」

4 刊行物について
(1)刊行物1に記載された事項
当審において平成30年9月4日付けの拒絶理由において引用された本願の遡及日前に頒布された刊行物である引用文献1:特開2009-5735号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。)。

(ア)「【0001】
本発明は、遊技の進行に合わせて所定の効果音を出力する遊技機に関する。」

(イ)「【0027】
中央装置26には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。また、中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられており、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。」

(ウ)「【0035】
また、裏機構盤102の中央部付近においては、演出制御基板ケース114、アンプ基板ケース115、装飾駆動基板ケース116、サブ制御基板ケース117などが設けられている。演出制御基板ケース114は、演出表示装置27を駆動する演出制御基板230を収容している。アンプ基板ケース115は、各種スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226を収容している。装飾駆動基板ケース116は、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板228を収容している。サブ制御基板ケース117は、これら演出制御基板230、アンプ基板226や装飾駆動基板228などを制御するサブ制御基板220を収容している。そして、サブ制御基板ケース117の前面には、各種スピーカ5y,6cから出力される音量を調節するための音量設定スイッチ300が設けられている。」

(エ)「【0075】
ここで、前述したように主制御基板200は、図10に示した遊技制御処理を実行する中で、遊技の演出に関する種々の制御コマンド(演出コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する。サブ制御基板220では、受け取った演出コマンドに基づいて具体的な演出の態様を決定し、演出表示装置27、各種スピーカ5y,6c、各種LEDやランプ類4b?4fを用いて様々な演出を行っている。また、遊技機1において何らかの異常が発生した場合には、その旨が主制御基板200からサブ制御基板220に伝達され、サブ制御基板220は、演出表示装置27、各種スピーカ5y,6c、各種LEDやランプ類4b?4fを用いてエラーの発生を報知するようになっている。そして、本実施例の遊技機1では、エラーの発生を効果音によって確実に報知するために、サブ制御基板220によって効果音のボリューム設定を変更する特別な処理が行われている。以下では、サブ制御基板220が効果音のボリューム設定を変更するために行う処理(ボリューム設定処理)の内容について詳しく説明する。
【0076】
C-2.ボリューム設定処理 :
ボリューム設定処理の内容を説明するにあたって、理解を容易にするために、先ず、効果音を発生させるための回路構成、およびサブ制御基板220を中心として入出力される制御コマンドや制御信号について簡単に説明しておく。図11は、効果音の出力に関連する回路構成と、サブ制御基板220に対して入出力される制御コマンドおよび制御信号を示したブロック図である。図示されているように、主制御基板200がサブ制御基板220に向けて遊技の演出に関する制御コマンド(演出コマンド)や、遊技機1に何らかのエラーが発生した旨を伝達する制御コマンド(エラー報知コマンド)を出力すると、これらのコマンドは、サブ制御基板220に搭載されたCPU221に供給される。CPU221では、受け取ったコマンドの内容を解析して具体的な演出態様やエラー報知態様を決定する。そして、CPU221が効果音による演出やエラー報知を行うことを決定した場合には、同じくサブ制御基板220に搭載された音源IC224に向かって、効果音の内容を指定するための信号(効果音指定信号)を出力するとともに、必要に応じて効果音のボリューム設定の変更を指示するための信号(ボリューム設定信号)を出力する。
【0077】
ここで、音源IC224は、効果音出力チャンネルと呼ばれる複数のチャンネルを備えており、各チャンネルには、それぞれ異なる効果音データが予め割り当てられている。図12は、本実施例の遊技機1における効果音出力チャンネルの構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の音源IC224は、チャンネル0?7の全部で8チャンネルの効果音出力チャンネルを有している。このうち、チャンネル0?6の7チャンネルは、演出に関する様々な効果音データ(演出音データ)がそれぞれ割り当てられたチャンネル(演出用チャンネル)である。本実施例の遊技機1では、演出の態様(図柄変動演出、予告演出、リーチ演出、大当り演出など)に応じた7種類の効果音データ(演出音データ)が予め用意されており、それぞれ演出用チャンネル(チャンネル0?6)の何れかに割り当てられている。一方、チャンネル7は、演出に用いられることないエラー報知のためだけの効果音データ(エラー音データ)が割り当てられたチャンネル(エラー報知用チャンネル)である。尚、ここでは、エラー報知用チャンネルは1チャンネルのみであるものとして説明するが、エラー報知の態様を増やしたい場合には、エラー報知用チャンネルを複数にして、それぞれ異なる効果音データ(エラー音データ)を割り当てることも可能である。また、本実施例の遊技機1では、演出用チャンネルの各チャンネルに割り当てる効果音データ(演出音データ)を演出態様毎に分けているが、これに限られるわけではなく、例えば、音の高さや、楽器の種類、あるいは楽曲などの違いによって分類しておいてもよい。
【0078】
上述したサブ制御基板220のCPU221が音源IC224に向かって出力する効果音指定信号には、効果音出力チャンネル(チャンネル0?7)の何れかを指定するようになっている。例えば、効果音による演出を行う場合には、演出の態様に応じて演出用チャンネル(チャンネル0?6)の何れかを指定した効果音指定信号を出力する。一方、効果音によるエラー報知を行う場合には、エラー報知用チャンネル(チャンネル7)を指定した効果音指定信号を出力する。
【0079】
効果音指定信号を受け取ると、音源IC224では、効果音指定信号に何れの効果音出力チャンネルが指定されているかに基づいて、サブ制御基板220に搭載された音源ROM225から効果音データの読み出しを行う。音源ROM225にはチャンネル数に対応する様々な効果音データが予め記憶されており、その中から指定されたチャンネルに割り当てられた効果音データを読み出して、アンプ基板226に向かって効果音データ信号を出力する。こうして出力された効果音データ信号はアンプ基板226で増幅されて、スピーカ5y,6cから効果音が出力される。尚、効果音指定信号には同時に複数のチャンネルを指定することも可能である。このような効果音指定信号を受け取った音源ICは、指定された複数のチャンネルの各々に割り当てられた効果音データを音源ROM225から読み出して、複合効果音データ信号をアンプ基板226に向けて出力する。これにより、種類の異なる複数の効果音を組み合わせて出力することも可能である。ただし、本実施例の遊技機1では、演出用チャンネル(チャンネル0?6)とエラー報知用チャンネル(チャンネル7)とを明確に区別しており、効果音指定信号に演出用チャンネルとエラー報知用チャンネルとを同時に指定しないようになっている。また、音源IC224から出力された効果音データ信号はアンプ基板226で増幅されて、スピーカ5y,6cから音波として出力されることから、本実施例の第1スピーカ5yおよび第2スピーカ6cは、本発明の「効果音出力手段」の一態様を構成している。」

(オ)「【0080】
ここで、音源IC224がアンプ基板226に向かって出力する効果音データ信号の出力レベル(効果音のボリューム)は、サブ制御基板220のCPU221からのボリューム設定信号に基づいて設定される。また、効果音のボリュームは、効果音出力チャンネルの各チャンネルに対して個別に設定されるボリューム(チャンネルボリューム)と、全てのチャンネルに対して一律に設定されるボリューム(トータルボリューム)とから構成されている。本実施例の遊技機1では、チャンネルボリュームおよびトータルボリュームは、それぞれ4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)に設定可能であり、チャンネルボリュームは、トータルボリュームの設定の範囲内で設定に応じて4段階に切り換わる。従って、トータルボリュームの設定が「消音」であると、チャンネルボリュームの設定にかかわらず、効果音は全て消音されることになる。また、チャンネルボリュームの設定が「消音」であれば、トータルボリュームの設定が「大」音量であっても、効果音は消音される。
【0081】
そして、サブ制御基板220のCPU221は、音源IC224に向かって出力するボリューム設定信号によって、チャンネルボリュームあるいはトータルボリュームの何れかの設定変更を指示するようになっている。このうち、チャンネルボリュームの設定変更については、主制御基板200から演出コマンドを受け取ったCPU221が演出の進行に合わせて適宜指示しており、例えば、効果音(演出音)をフェードアウトあるいはフェードインさせるなど、遊技状況に応じて効果音の音量(ボリューム)を変更することが可能となっている。また、図11に示されているように、サブ制御基板220のCPU221には、音量設定スイッチ300が接続されており、CPU221は、この音量設定スイッチ300の状態に基づいてトータルボリュームの設定を決定して、変更を指示するようになっている。尚、トータルボリュームの設定および各チャンネルボリュームの設定を指示する処理はサブ制御基板220のCPU221によって行われていることから、本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「全体音量設定手段」および「個別音量設定手段」の一態様を構成している。」

(カ)「【0089】
こうして音量設定スイッチ300の状態に基づくトータルボリュームの設定を指示するボリューム設定信号を音源IC224に向かって出力したら、ボリューム設定処理の先頭に戻って、再び電源投入時か否かを判断する(S200)。当然ながら、2回目以降のS200の処理では必ず「no」と判断されるので、続いて、演出の進行に伴うボリューム設定の変更を行うか否かを判断する(S206)。前述したように、主制御基板200から演出コマンドを受け取ったサブ制御基板220のCPU221は、演出用チャンネル(チャンネル0?6)の各チャンネルボリュームの設定を、演出の進行に合わせて適宜変更するようになっている。そして、演出の進行に伴ってボリューム設定の変更を行う場合には(S206:yes)、まず、各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)を、サブ制御基板220に搭載されたRAM222(図11参照)の所定領域に記憶する(S208)。ここで、各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)、すなわち変更後の音量は、サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている。また、音量の変更時期も演出パターンに応じて予め設定されている。このため、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から受信した演出コマンドを解析することで、その演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することができる。尚、演出の進行に合わせて各チャンネルボリュームを個別に変更する処理はサブ制御基板220のCPU221が行っていることから、本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「個別音量変更手段」の一態様を構成している。また、変更後のチャンネルボリュームの設定をRAM222に記憶しておくことから、本実施例のサブ制御基板220に搭載されたRAM222は、本発明の「個別音量記憶手段」の一態様を構成している。」

(キ)「【0094】
以上、エラー発生に伴うボリューム設定の変更を行う場合(S214:yes)について説明したが、エラーの発生に伴うボリューム設定の変更を行わない場合は(S214:no)、次に、エラー報知の終了に伴うボリューム設定の変更を行うか否かを判断する(S220)。本実施例の遊技機1では、遊技ホールの管理者(店員)等によってエラーが解除されると、その旨を示す制御コマンド(エラー解除コマンド)が主制御基板200から出力されるようになっており、サブ制御基板220のCPU221は、このコマンドに基づいてエラー報知の終了時期を判断することができる。尚、CPU221がエラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了するようにしてもよい。」

(ク)「【0096】
以上では、エラー報知の終了に伴うボリューム設定の変更を行う場合(S220:yes)について説明したが、エラー報知の終了に伴うボリューム設定の変更を行わない場合には(S220:no)、今度は、音量設定スイッチ300の操作に伴うボリューム設定の変更を行うか否かを判断する(S226)。前述したように、本実施例の音量設定スイッチ300は、遊技機1の裏面にあるサブ制御基板ケース117の前面に設置されており(図5参照)、遊技ホールの管理者(店員)は、この音量設定スイッチ300を操作してスイッチ0?3(図13参照)の何れの状態にしておくかによって、トータルボリュームの設定を選択できるようになっている(図16参照)。また、このような音量設定スイッチ300の操作は、遊技機1に電源を投入した後においても可能である。そして、電源投入後に音量設定スイッチ300の操作がされていない場合には、音量設定スイッチ300の操作に伴うボリューム設定の変更を行わないと判断して(S226:no)、そのままボリューム設定処理の先頭に戻って、S200以降の一連の処理を繰り返す。」

(ケ)「【0101】
そして、遊技を進行するうちに遊技機1に何らかのエラーが発生すると、エラー時用のボリュームテーブル(図17)を参照して、トータルボリュームが決定される(図15のS218)。本実施例のエラー時用のボリュームテーブルでは、音量設定スイッチ300の全ての状態(スイッチ0?3)に対して「大」音量が対応付けられているので、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、トータルボリュームは「大」音量に設定される。その後、エラーが解除されてエラー報知を終了すると、再び通常時用のボリュームテーブルを参照して、トータルボリュームは「小」音量に設定される(図15のS224)。尚、電源投入後に音量設定スイッチ300が操作された場合には、操作後の音量設定スイッチ300の状態に応じて、トータルボリュームは変更される(図15のS230)。ただし、エラー報知音の出力中に音量設定スイッチ300が操作されても(例えば、スイッチ0の状態に変更されても)、エラー報知を終了するまで、トータルボリュームは「大」音量に設定されたままである(図15のS228:yes)。」

(コ)「【0103】
図18(b)および(c)に示すように、電源投入直後には、演出用チャンネルの全てのチャンネルボリュームは、初期設定の「大」音量になっている(図14のS202)。遊技が開始された後、演出の進行に伴って演出音量が変更される場合には、各チャンネルボリュームの新たな設定(変更後の音量設定情報)を記憶すべく、RAM222上の記憶内容が更新されるとともに(図14のS208)、音源IC224でチャンネルボリュームが新たな設定に変更される(図14のS212)。そして、遊技機1に何らかのエラーが発生すると、音源IC224では、演出用チャンネルの全てのチャンネルボリュームが一斉に「消音」に設定される(図15のS216)。
【0104】
エラー報知音の出力中も演出は進行するので、それに合わせて演出用チャンネルの各チャンネルボリュームの設定が変更される場合には、RAM222上の記憶は更新されていくが、音源IC224には新たな設定が伝達されないようになっており(図14のS210:yes)、その結果、音源IC224での設定は「消音」のまま維持される。その後、エラーの解除によりエラー報知を終了すると、RAM222上に記憶されている最新の設定が音源IC224に伝達されて(図15のS224)、演出用チャンネルの各チャンネルボリュームは、エラー報知の終了時に進行していた演出に合った設定に復帰する。」

(サ)「【0109】
これに対して、本実施例の遊技機1では、効果音出力チャンネルを演出用とエラー報知用とに明確に分けており、エラー報知用チャンネルをエラー報知音の出力にのみ用いることとしている。そして、エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定するようになっている。これにより、演出の進行中にエラーが発生しても、エラー報知音だけが「大」音量で出力されるので、エラー報知音が演出音に紛れてしまうことはなく、その結果、エラーが発生した旨を確実に報知することが可能となる。」

(シ)「【0111】
もちろん、エラー報知の終了と同時に演出の進行を確認し、その結果に応じて演出用チャンネルの各チャンネルボリュームの変更を直ぐに演出用チャンネルに反映させる場合には、進行中の演出にあった音量で演出音の出力を再開することが可能である。しかし、演出用チャンネルの各チャンネルボリュームは、常に(連続的に)変更されているわけではなく、演出の進行に伴って演出音の音量を変化(例えば、フェードアウト)させるときにだけ変更される。このため、エラー報知の終了後しばらくの間、演出の進行に伴う演出音の音量変化がない場合には、演出用チャンネルの各チャンネルボリュームの設定が変更される(新たな設定に変更される)ことはなく、「消音」のまま維持される。結果として、エラー報知を終了しているにもかかわらず、演出音の出力を再開できないということが起こり得る。そこで、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)も、演出の進行に合わせて変更される各チャンネルボリュームの変更後の設定を記憶しておき、エラー報知音の出力終了と同時に、記憶しておいた設定を各チャンネルボリュームに反映させるようにすれば、エラー報知を終了した直後から、進行中の演出に合った適切な音量で演出音の出力を再開することができる。その結果、異常が解消された遊技機1を円滑かつ速やかに通常時の状態へと復帰させることが可能となる。」

(ス)【図18】


【0103】には「図18(b)および(c)に示すように、・・・遊技が開始された後、演出の進行に伴って演出音量が変更される場合には、各チャンネルボリュームの新たな設定・・・を記憶すべく、RAM222上の記憶内容が更新されるとともに・・・チャンネルボリュームが新たな設定に変更される・・・遊技機1に何らかのエラーが発生すると、・・・演出用チャンネルの全てのチャンネルボリュームが一斉に「消音」に設定される」と記載され、【0104】には「エラー報知音の出力中も演出・・・に合わせて・・・RAM222上の記憶は更新されていく・・・エラー報知を終了すると、RAM222上に記憶されている最新の設定が音源IC224に伝達されて・・・、演出用チャンネルの各チャンネルボリュームは、エラー報知の終了時に進行していた演出に合った設定に復帰する」と記載され、【0111】には「・・・エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)も、演出の進行に合わせて変更される各チャンネルボリュームの変更後の設定を記憶しておき、エラー報知音の出力終了と同時に、記憶しておいた設定を各チャンネルボリュームに反映させ・・・エラー報知を終了した直後から、進行中の演出に合った適切な音量で演出音の出力を再開する」と記載されていることからすると、【図18】には、遊技が開始された後、エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更し、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定し、エラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させることが図示されている。

上記記載事項(ア)?(シ)及び図示内容(ス)から、以下の事項が導かれる。なお、(a)?(h)は、本願発明の構成A?Hに対応した事項を示している。

(a)【0075】には「・・・サブ制御基板220・・・は、・・・各種スピーカ5y,6c・・・を用いて様々な演出を行っている・・・サブ制御基板220は、・・・各種スピーカ5y,6c、・・・を用いてエラーの発生を報知する」と記載され、【0076】には「・・・サブ制御基板220に搭載されたCPU221・・・が効果音による演出やエラー報知を行う・・・場合には、・・・音源IC224に向かって、効果音の内容を指定するための信号(効果音指定信号)を出力する」と記載され、【0077】には「・・・効果音データ(演出音データ)・・・エラー報知のためだけの効果音データ(エラー音データ)・・・」と記載され、【0079】には「効果音指定信号を受け取ると、音源IC224・・・は、・・・指定された・・・効果音データを・・・アンプ基板226に向けて出力する・・・音源IC224から出力された効果音データ信号は・・・スピーカ5y,6cから・・・出力される」と記載されているから、刊行物1には、エラー報知音と、演出音とを効果音として出力するスピーカ5y,6cが記載されているといえる。

(b)【0027】には「・・・演出表示装置27・・・」と記載されているから、刊行物1には、演出表示装置27が記載されているといえる。

(c)【0035】には「・・・スピーカ5y,6cから出力される音量を調節するための音量設定スイッチ300・・・」と記載されているから、刊行物1には、スピーカ5y,6cから出力される音量を調節するための音量設定スイッチ300が記載されているといえる。

(d)【0035】には「・・・演出表示装置27を駆動する演出制御基板230・・・スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226・・・演出制御基板230、アンプ基板226・・・を制御するサブ制御基板220」と記載され、【0075】には「サブ制御基板220・・・は、・・・演出表示装置27、各種スピーカ5y,6c・・・を用いて様々な演出を行っている」と記載されているから、刊行物1には、演出表示装置27を駆動する演出制御基板230と、スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226を制御し、様々な演出を行うサブ制御基板220が記載されているといえる。

(f)段落【0001】には「・・・遊技機・・・」と記載されているから、刊行物1には、遊技機が記載されているといえる。

(c1)【0096】には「・・・音量設定スイッチ300は、遊技機1の裏面にあるサブ制御基板ケース117の前面に設置されており・・・、遊技ホールの管理者(店員)は、この音量設定スイッチ300を操作して・・・」と記載されているから、刊行物1には、音量設定スイッチ300は、遊技機1の裏面にあるサブ制御基板ケース117の前面に設置されており、遊技ホールの管理者(店員)が、この音量設定スイッチ300を操作することが記載されているといえる。

(d1)【0080】には「・・・効果音データ信号の出力レベル(効果音のボリューム)は、サブ制御基板220のCPU221からのボリューム設定信号に基づいて・・・4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)に設定可能であり」と記載され、【0081】には「サブ制御基板220の・・・CPU221は、・・・音量設定スイッチ300の状態に基づいてトータルボリュームの設定を決定して、変更を指示する」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、効果音のボリュームのうちトータルボリュームについて、音量設定スイッチ300の状態に基づく4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)の設定を決定して、変更を指示することが記載されているといえる。

(d3)【0076】には「サブ制御基板220に搭載されたCPU221・・・が・・・エラー報知を行う・・・場合には、・・・効果音のボリューム設定の変更を指示する」と記載され、【0101】には「・・・エラーが発生すると、・・・音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、トータルボリュームは「大」音量に設定され」と記載され、【0109】には「・・・エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに・・・エラー報知音だけ・・・「大」音量で出力される」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生すると、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともにエラー報知音だけ「大」音量で出力することが記載されているといえる。

(d4)【0094】には「・・・サブ制御基板220のCPU221・・・がエラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了する・・・」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了することが記載されているといえる。

(d5)【0089】には「サブ制御基板220のCPU221は、演出用チャンネル・・・の設定を、演出の進行に合わせて適宜変更する・・・各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)・・・は、サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている。また、音量の変更時期も演出パターンに応じて予め設定されている。このため、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から受信した・・・演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することができる」と記載され、【0094】には「エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了する」と記載され、【図18】には、遊技が開始された後、エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更し、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定し、エラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させることが図示されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)と音量の変更時期とを用いて主制御基板200から受信した演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することで演出用チャンネルの設定を演出の進行に合わせて適宜変更するとともに、エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更し、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定し、エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後のエラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させることが記載されているといえる。

(d6)【0075】には「・・・サブ制御基板220・・・は、・・・各種スピーカ5y,6c・・・を用いて様々な演出を行っている・・・サブ制御基板220は、・・・各種スピーカ5y,6c、・・・を用いてエラーの発生を報知する」と記載され、【0076】には「・・・サブ制御基板220に搭載されたCPU221・・・が効果音による演出やエラー報知を行う・・・場合には、・・・音源IC224に向かって、効果音の内容を指定するための信号(効果音指定信号)を出力する」と記載され、【0077】には「・・・効果音データ(演出音データ)・・・エラー報知のためだけの効果音データ(エラー音データ)・・・」と記載され、【0079】には「効果音指定信号を受け取ると、音源IC224・・・は、・・・指定された・・・効果音データを・・・アンプ基板226に向けて出力する・・・音源IC224から出力された効果音データ信号は・・・スピーカ5y,6cから・・・出力される」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、スピーカ5y,6cを用いて演出音及びエラー報知音を出力することが記載されているといえる。

(g)【0076】には「サブ制御基板220に搭載されたCPU221・・・が・・・エラー報知を行う・・・場合には、・・・効果音のボリューム設定の変更を指示する」と記載され、【0101】には「・・・エラーが発生すると、・・・音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、トータルボリュームは「大」音量に設定され」と記載され、【0109】には「・・・エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに・・・エラー報知音だけ・・・「大」音量で出力される」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生すると、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともにエラー報知音だけ「大」音量で出力することが記載されているといえる。

(h)【0078】には「サブ制御基板220のCPU221が・・・効果音による演出を行う場合には、演出の態様に応じて演出用チャンネル・・・を指定し・・・効果音によるエラー報知を行う場合には、エラー報知用チャンネル・・・を指定し」と記載され、【0109】には「エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定する・・・これにより、・・・エラー報知音だけが「大」音量で出力される」と記載されているから、刊行物1には、サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定し、エラー報知音だけ「大」音量で出力することが記載されているといえる。

上記記載事項(ア)?(シ)、図示内容(ス)、及び、認定事項(a)?(h)に基づくと、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されているといえる。

「a エラー報知音と、演出音とを効果音として出力するスピーカ5y,6cと、
b 演出表示装置27と、
c スピーカ5y,6cから出力される音量を調節するための音量設定スイッチ300と、
d 演出表示装置27を駆動する演出制御基板230と、スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226を制御し、様々な演出を行うサブ制御基板220と、
f を備える遊技機において、
c1 音量設定スイッチ300は、遊技機1の裏面にあるサブ制御基板ケース117の前面に設置されており、遊技ホールの管理者(店員)が、この音量設定スイッチ300を操作し、
d1 サブ制御基板220のCPU221は、効果音のボリュームのうちトータルボリュームについて、音量設定スイッチ300の状態に基づく4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)の設定を決定して、変更を指示し、
d3 サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生すると、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともにエラー報知音だけ「大」音量で出力し、
d4 サブ制御基板220のCPU221は、エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了し、
d5 サブ制御基板220のCPU221は、サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)と音量の変更時期とを用いて主制御基板200から受信した演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することで演出用チャンネルの設定を演出の進行に合わせて適宜変更するとともに、エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更し、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定し、エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後のエラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させ、
d6 サブ制御基板220のCPU221は、スピーカ5y,6cを用いて演出音及びエラー報知音を出力し、
g サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生すると、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともにエラー報知音だけ「大」音量で出力し、
h サブ制御基板220のCPU221は、エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定し、エラー報知音だけ「大」音量で出力する、遊技機。」

(2)刊行物2に記載された事項
当審において平成30年9月4日付けの拒絶理由において引用された、本願の遡及日前に頒布された刊行物である特開2005-288020号公報(以下「刊行物2」という。)には、には、図面と共に次の事項が記載されている(下線部は当審で付した。)。

(ア)「【0023】
次に、本発明の実施例により発明の実施の形態を説明する。
[実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、長方形の外枠51と前面枠52とからなる筐体にて構成の各部を保持する構造である。」

(イ)「【0053】
次に、操作ボタン75の操作と音量変更等と関係を説明する。
まず図4を参照してサブ統合基板90が実行する初期音量設定処理を説明する。この初期音量設定処理においては、サブ統合基板90は主制御装置30からの電源投入時であることを示す信号が入力されると(S1:YES)、音量変更処理により、スピーカ5から出力する音声の音量を初期音量に設定する(S3)。初期音量は、サブ統合基板90に設けられているホール用音量調整スイッチ(図示略)によって、遊技店が設定できる。
・・・
【0056】
このパチンコ機50においては、遊技状態や図柄の変動状態等に応じて、遊技者が操作ボタン75を操作することで音量を調整できる音量調節可能期間がある。そのための音量調整処理を図5に従って説明する。」

(ウ)「【0114】
また、実施例では音量調整可能期間が特定変動の特定時以外の時であるが、デモ表示されている期間のみ音量調整が可能になるといった構成でもよい。上述したように変動表示中に音量調整する場合であると、音量表示、図柄、遊技球などを見なければならず遊技に集中できなくなってしまうおそれがあるが、デモ表示中であれば音量調整のみ行なえばよいので、通常中は遊技に集中できる。」

上記(ア)?(ウ)の記載事項から、刊行物2には、次の事項(以下「刊行物2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。(なお、 c?fは、本願発明の構成C?Fに対応した事項を示している。)

「c、d1 遊技店がスピーカ5から出力する音声の音量を初期音量に設定する、サブ統合基板90に設けられているホール用音量調整スイッチ(【0053】)と、
e ホール用音量調整スイッチとは異なる、音量調整可能期間に遊技者が操作することで音量を調整できる操作ボタン75(【0056】)と、
f を備えるパチンコ機50(【0023】)において、
d2 音量調整可能期間がデモ表示されている期間のみである(【0114】)、パチンコ機50。」

5 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する(対比にあたっては、本願発明の構成A?Hと刊行物発明の構成a?hについて、それぞれ(a)?(h)の見出しを付して行った。)。

(a)刊行物発明における構成aの「エラー報知音と、演出音とを効果音として出力するスピーカ5y,6c」は、本願発明における構成Aの「遊技機に対する異常状態を報知する報知音と、遊技の進行による演出音とを出力する複数の音声出力手段」に相当する。

(b)刊行物発明における構成bの「演出表示装置27」は、本願発明における構成Bの「演出表示手段」に相当する。

(c)刊行物発明における構成cの「スピーカ5y,6cから出力される音量を調節するための音量設定スイッチ300」は、本願発明における構成Cの「前記音声出力手段から出力する音量を調整可能な第1音量調整手段」に相当する。

(d)刊行物発明における「演出表示装置27を駆動する演出制御基板230」と「スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226」を「制御」して「様々な演出を行う」「サブ制御基板220」において、「サブ制御基板220」が「演出表示装置27」及び「スピーカ5y、6c」を演出の進行に基づいて制御していることは明らかである。
したがって、刊行物発明における構成dの「演出表示装置27を駆動する演出制御基板230と、スピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板226を制御し、様々な演出を行う」「サブ制御基板220」は、本願発明における構成Dの「前記音声出力手段と前記演出表示手段とを演出の進行にもとづいて制御する」「演出制御手段」に相当する

(f)刊行物発明における構成fの「遊技機」は、本願発明における構成Fの「遊技機」に相当する。

(c1)刊行物発明における「音量設定スイッチ300」は、「遊技機1の裏面にあるサブ制御基板ケース117の前面に設置されており、遊技ホールの管理者(店員)が操作する」ものであるから、遊技者が操作することができないことは明らかである。
したがって、刊行物発明における構成c1の「音量設定スイッチ300」は、本願発明における構成C1の「遊技者が操作することができない調整手段」である「第1音量調整手段」に相当する。

(d1)刊行物発明における「効果音のボリュームのうちトータルボリュームについて、音量設定スイッチ300の状態に基づく4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)の設定」をすることは、本願発明における「第1音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音の音量を設定する」に相当する。
したがって、刊行物発明における構成d1の「効果音のボリュームのうちトータルボリュームについて、音量設定スイッチ300の状態に基づく4段階(「消音」、「小」音量、「中」音量、「大」音量の何れか)の設定を決定して、変更を指示」する「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明の構成D1の「前記第1音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音の音量を設定する演出音音量設定制御手段」に相当する。

(d3)刊行物発明における「エラーが発生すると」、「音量設定スイッチ300の状態にかかわらず」、「エラー報知音だけ「大」音量で出力」することは、「音量設定スイッチ300」が「大」音量以外の音量(例えば、「小」音量、「中」音量)の状態であっても、エラー報知音を、「音量設定スイッチ300」の状態とは異なる状態である「大」音量として出力することといえるから、本願発明の「異常状態に基づく異常報知期間において」、「前記遊技機に対する異常状態を報知するための前記報知音の音量を前記演出音音量設定制御手段で設定されて出力している音量とは異なる音量」を出力することに相当する。
したがって、刊行物発明における構成d3の「エラーが発生すると」、「音量設定スイッチ300の状態にかかわらず」、「エラー報知音だけ「大」音量で出力」する「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明の構成D3の「異常状態に基づく異常報知期間において」、「前記遊技機に対する異常状態を報知するための前記報知音の音量を前記演出音音量設定制御手段で設定されて出力している音量とは異なる音量に設定する」「報知音音量設定制御手段」に相当する。

(d4)刊行物発明における構成d4の「エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後にエラー報知を終了」する「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明における構成D4の「遊技機に対する異常状態を報知する前記報知音が前記音声出力手段から出力される前記異常報知期間を所定時間経過したことによって終了」させる「報知期間終了手段」に相当する。

(d5)刊行物発明における「演出パターンに応じて予め設定されている各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)と音量の変更時期」を用いて「主制御基板200から受信した演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定」し、「演出用チャンネルの設定を演出の進行に合わせて適宜変更」し、「エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更」することは、本願発明の「演出音に対応するスケジュールデータ」に従って「演出音」を「音声出力手段」に「出力」することに相当する。
また、刊行物発明における「エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定」することは、本願発明の「異常状態の発生に伴い前記異常報知期間が発生した際に」「演出音に対応するスケジュールデータの進行を停止することなく継続したまま前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了されるまで前記演出音の音量を消音に変更設定」することに相当する。
そして、刊行物発明の「エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後のエラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させ」ることは、本願発明の「前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了された際に消音に変更設定された状態でスケジュールデータの進行が継続している前記演出音の音量」を「前記演出音を音量が消音に変更設定されてから復旧設定されるまでにスケジュールデータの進行が継続した期間分進行した状態で復旧させる」ことに相当する。
したがって、刊行物発明の構成d5の「サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)と音量の変更時期とを用いて主制御基板200から受信した演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することで演出用チャンネルの設定を演出の進行に合わせて適宜変更するとともに、エラーが発生していない時は、演出の進行に合わせて、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)と演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量を適宜変更し、エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続し、演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量は「消音」に設定し、エラー報知の効果音指定信号を音源IC224に向かって出力するのと同時にタイマをセットしておき、所定時間の経過後のエラー報知音の出力終了と同時に、「消音」に設定されていた演出用チャンネル用のボリューム(音源ICでの設定)の音量として、エラー報知音の出力中も停止することなく継続して変更されていた演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の最新の設定を反映させて演出音の出力を再開させ」る「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明における構成D5の「演出音進行継続制御手段」と、「異常状態の発生に伴い前記異常報知期間が発生した際に前記音声出力手段から進行しているスケジュールデータに従って出力されていた前記演出音について、前記演出音に対応するスケジュールデータの進行を停止することなく継続したまま前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了されるまで前記演出音の音量を消音に変更設定し、前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了された際に消音に変更設定された状態でスケジュールデータの進行が継続している前記演出音の音量を」「前記演出音を音量が消音に変更設定されてから復旧設定されるまでにスケジュールデータの進行が継続した期間分進行した状態で復旧させる」点で共通している。

(d6)刊行物発明における構成d6の「スピーカ5y,6cを用いて演出音及びエラー報知音を出力」する「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明における構成D6の「前記演出音及び前記報知音を前記音声出力手段から出力する制御を実行する音出力実行制御手段」に相当する。

(g)刊行物発明における「エラーが発生すると」、「音量設定スイッチ300の状態にかかわらず」、「エラー報知音だけ「大」音量で出力」することは、「音量設定スイッチ300」が「大」音量より小さい音量(例えば、「小」音量、「中」音量)の状態であっても、エラー報知音を、「音量設定スイッチ300」の状態の音量と比べて大きい音量でである「大」音量として出力することであるから、本願発明の「演出音音量設定制御手段が前記第1音量調整手段の操作に応じて前記演出音の音量を小さく設定している状態」であっても、「前記異常報知期間においては、当該演出音の音量と比べて大きい音量を前記報知音の音量として設定」することに相当する。
したがって、刊行物発明の構成gにおける「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明における構成Gの「報知音音量設定制御手段」と、「演出音音量設定制御手段が前記第1音量調整手段の操作に応じて前記演出音の音量を小さく設定している状態」であっても、「前記異常報知期間においては、当該演出音の音量と比べて大きい音量を前記報知音の音量として設定」する点で共通する。

(h)刊行物発明における構成hの「エラーが発生したら、演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定し、エラー報知音だけ「大」音量で出力する」「サブ制御基板220のCPU221」は、本願発明における構成Hの「音出力実行制御手段」と、「前記異常報知期間においては、異常報知期間以外に出力しない前記報知音の音データ」を「出力することで前記報知音を前記音声出力手段から出力し聴取可能にしている」点で共通している。

よって、両者は、次の点で一致し、相違点1?5で相違する。

[一致点]
「A 遊技機に対する異常状態を報知する報知音と、遊技の進行による演出音とを出力する複数の音声出力手段と、
B 演出表示手段と、
C 前記音声出力手段から出力する音量を調整可能な第1音量調整手段と、
D 前記音声出力手段と前記演出表示手段とを演出の進行にもとづいて制御する演出制御手段と、
F を備える遊技機において、
C1 前記第1音量調整手段は、遊技者が操作することができない調整手段とされ、
D1 前記演出制御手段は、前記第1音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音の音量を設定する演出音音量設定制御手段と、
D3 異常状態に基づく異常報知期間において前記遊技機に対する異常状態を報知するための前記報知音の音量を前記演出音音量設定制御手段で設定されて出力している音量とは異なる音量に設定する報知音音量設定制御手段と、
D4 前記遊技機に対する異常状態を報知する前記報知音が前記音声出力手段から出力される前記異常報知期間を所定時間経過したことによって終了させる報知期間終了手段と、
D5’異常状態の発生に伴い前記異常報知期間が発生した際に前記音声出力手段から進行しているスケジュールデータに従って出力されていた前記演出音について、前記演出音に対応するスケジュールデータの進行を停止することなく継続したまま前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了されるまで前記演出音の音量を消音に変更設定し、前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了された際に消音に変更設定された状態でスケジュールデータの進行が継続している前記演出音の音量を、前記演出音を音量が消音に変更設定されてから復旧設定されるまでにスケジュールデータの進行が継続した期間分進行した状態で復旧させる演出音進行継続制御手段と、
D6 前記演出音及び前記報知音を前記音声出力手段から出力する制御を実行する音出力実行制御手段と、を備え、
G’ 報知音音量設定制御手段は、演出音音量設定制御手段が前記第1音量調整手段の操作に応じて前記演出音の音量を小さく設定している状態であっても、前記異常報知期間においては、当該演出音の音量と比べて大きい音量を前記報知音の音量として設定し、
H’ 前記音出力実行制御手段は、前記異常報知期間においては、異常報知期間以外に出力しない前記報知音の音データを出力することで前記報知音を前記音声出力手段から出力し聴取可能にしている
ことを特徴とする遊技機。」

[相違点1](構成E)
本願発明は「前記音声出力手段から出力する音量を調整可能な前記第1音量調整手段とは異なる第2音量調整手段」を備えるのに対し、
刊行物発明はそのような構成を備えるものではない点。

[相違点2](構成D2)
本願発明は「前記演出表示手段が待機状態とされている期間において、遊技者が操作可能な前記第2音量調整手段が操作されたことにより該操作に応じて前記演出音音量設定制御手段が設定した演出音の音量を変更する演出音音量変更制御手段」を備えるのに対し、
刊行物発明はそのような構成を備えるものではない点。

[相違点3](構成D5)
「前記異常報知期間が前記報知期間終了手段によって所定時間経過し終了された際に消音に変更設定された状態でスケジュールデータの進行が継続している前記演出音の音量」を、
本願発明は「演出音進行継続制御手段」は、「前記異常報知期間発生以前に所定条件が成立していたかに応じて異なる音量で復旧設定されるように、前記所定条件が成立していない場合においては前記第1音量調整手段の操作に応じて設定されている音量に復旧設定し、前記所定条件が成立していた場合においては前記第2音量調整手段の操作に応じて設定されていた音量に復旧設定する」のに対し、
刊行物発明においては、異常報知期間発生以前に所定条件が成立していたかに応じて異なる音量で復旧設定されるものではない点。

[相違点4](構成G)
「前記異常報知期間においては、当該演出音の音量と比べて大きい音量を前記報知音の音量として設定」するのは、
本願発明は「前記演出音音量設定制御手段が前記第1音量調整手段の操作に応じて前記演出音の音量を小さく設定している状態」だけでなく、「前記演出音音量変更制御手段が前記第2音量調整手段の操作に応じて前記演出音音量設定制御手段が設定した前記演出音の音量を小さく変更している状態」であっても行うのに対し、
刊行物発明はそのような構成を備えるものではない点。

[相違点5](構成H)
「前記異常報知期間において」、「異常報知期間以外に出力しない前記報知音の音データ」を「出力することで前記報知音を前記音声出力手段から出力し聴取可能にしている」ときに、
本願発明は「前記異常報知期間以外に出力しない前記報知音の音データを前記異常報知期間以外に出力する前記演出音の音データに加えて出力する」のに対し、
刊行物発明は「演出用チャンネルのチャンネルボリュームを全て「消音」に設定して、演出音を出力しないようにする(消音させる)とともに、「大」音量に設定されたエラー報知用チャンネルを指定し、エラー報知音だけ「大」音量で出力する」点。

6 当審の判断
(1)相違点1?2について
刊行物2記載の事項のとおり、刊行物2には、

「c、d1 遊技店がスピーカ5から出力する音声の音量を初期音量に設定する、サブ統合基板90に設けられているホール用音量調整スイッチと、
e ホール用音量調整スイッチとは異なる、音量調整可能期間に遊技者が操作することで音量を調整できる操作ボタン75と、
f を備えるパチンコ機50において、
d2 音量調整可能期間がデモ表示されている期間のみである、
パチンコ機50。」

が記載されている。
ここで、刊行物2記載の事項の「スピーカ5」、「サブ統合基板90に設けられているホール用音量調整スイッチ」、「遊技者が操作することで音量を調整できる操作ボタン75」及び「デモ表示されている期間」は、本願発明の「音声出力手段」、「第1音量調整手段」、「第2音量調整手段」及び「前記演出表示手段が待機状態とされている期間」にそれぞれ相当する。
したがって、刊行物2記載の事項は、相違点1?2に係る本願発明の構成を備えるといえる。
そして、遊技機の興趣向上のため、遊技者も所望の音量に調整ができるように、刊行物発明に刊行物2記載の事項を適用することに当業者に格別の困難性はなく、そのようにして相違点1?2に係る本願発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点3について
刊行物発明は、「エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)も、演出の進行に合わせて変更される各チャンネルボリュームの変更後の設定を記憶しておき、エラー報知音の出力終了と同時に、記憶しておいた設定を各チャンネルボリュームに反映させるようにすれば、エラー報知を終了した直後から、進行中の演出に合った適切な音量で演出音の出力を再開することができる。その結果、異常が解消された遊技機1を円滑かつ速やかに通常時の状態へと復帰させることが可能となる(【0111】)」ものであって、演出の進行に合わせて変更される各チャンネルボリュームの変更後の設定を記憶しておくことで、エラー報知を終了した直後における音量の再設定の手間を省くとともに、エラー報知を終了した直後から進行中の演出にあった適切な音量で演出音の出力を再開することでエラー報知前後の演出音の音量に違和感がないように設計していることも当業者にとって明らかであることを考慮すれば、上記「(1)相違点1?2について」で検討した、刊行物発明に刊行物2記載の事項を適用した場合にも、エラー報知の所定時間の経過後に再開される演出音としてエラー報知音の出力直前の音量を再設定すること(つまり、エラー報知の所定時間が発生する以前に操作ボタン75で遊技者が音量を調整していない場合には、ホール用の調整手段で調整されている音量に設定し、エラー報知の所定時間が発生する以前に操作ボタン75で遊技者が音量を調整していた場合には、遊技者が操作ボタン75の操作に応じて変更していた演出音の音量に設定すること)、すなわち、相違点3に係る本願発明の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点4について
刊行物発明は、「エラー時用のボリュームテーブルでは、音量設定スイッチ300の全ての状態(スイッチ0?3)に対して「大」音量が対応付けられているので、音量設定スイッチ300の状態にかかわらず、トータルボリュームは「大」音量に設定される(【0101】参照)」ものであるところ、上記「(1)相違点1?2について」で検討した、刊行物発明に刊行物2記載の事項を適用して遊技者が所望の音量に調整した場合も同様に、確実にエラー報知を行うことができるように、遊技者の調整した音量が小さく設定されている状態であっても、エラー報知を「大」音量に設定されるようにすることは当業者にとって格別の困難性はなく、そのようにして相違点4に係る本願発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

(4)相違点5について
遊技機の分野において、演出音と警告音とを同時に出力可能な音出力手段は、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、当審拒絶理由で引用された特開2009-34354号公報の【0337】、特開2004-215805号公報の【0028】、特開2011-142953号公報の【0007】、【0011】?【0012】、【0037】参照。また、技術常識を参酌しても、演出音と警告音とを同時に出力する際に、演出音と警告音とを合成して出力していることも自明である(一例として、特開2011-142953号公報の【0007】、【0037】参照。)。以下、この事項を「周知の技術事項」という。)。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項は、いずれも演出音及び警告音を出力する遊技機という点で、作用・機能が共通しているから、刊行物発明において周知の技術事項を適用することにより、エラー報知音を出力する際に、「消音」に設定された演出音と「大」音量に設定されたエラー報知音とを同時に(つまり、演出音にエラー報知音を合成するように)出力するようにすることは当業者にとって格別の困難性はなく、そのようにして相違点5に係る本願発明の構成に想到することは当業者が容易になし得たものである。

(5)請求人の主張について
審判請求人は、平成30年11月2日付け意見書において、本願発明の進歩性に関して、次のとおり主張している。(下線部は当審で付した。)。

「[3]本願発明が特許されるべき理由
・・・
この第3補正事項による補正により、補正前において「音声出力手段から出力されていた演出音」とだけ特定していた「演出音」が「スケジュールデータに従って出力されている」ものであることを明確に特定するとともに、補正前において「前記異常報知期間に亘って消音に変更設定される前記演出音を前記異常報知期間の間も停止することなく進行を継続させ」と特定していた「消音に変更設定される演出音」について具体的に「スケジュールデータが進行している」状態、所謂バックグラウンドで進んでいる状態(進行した状態)であることを明確に特定しております。
このように消音に変更設定される演出音を消音にしている間においてもスケジュールデータを停止することなく進行を継続させるように構成することで、進行した状態で演出音を復旧させる際に消音にした音量のみ再設定することで進行している状態となるため、演出音を進行した状態で復旧させることが容易となります。
・・・
上述したように、引用文献1の段落[0089]に「・・・このため、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から受信した演出コマンドを解析することで、その演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することができる。・・・」と記載されていることから、音量が特定されるまでには主制御基板からの演出コマンドをサブ制御基板が解析した後、解析した演出コマンドに対応する演出をサブ制御基板が特定し、その後演出に応じた音量に特定するようにされていることが明らかであります。このように、実行されている演出をサブ制御基板が演出コマンドの解析により特定する必要がある点が記載されていることから、サブ制御基板は演出コマンドを解析する前の状態では少なくとも演出を特定していない(演出がわらかない状態である)ことは自明であります。
これに対して、補正後の本願発明は「スケジュールデータに従って出力されている演出音を消音に変更設定した際にスケジュールデータの進行を停止することなく継続させた状態」としております。つまり、バックグラウンドで進んでいる状態(進行した状態)を維持しているものであり、復旧タイミングで演出を特定する引用文献1では明らかに構成が異なります。つまり、進行した状態で演出音を復旧させる際に消音にした音量のみ再設定することで進行している状態とすることが出来る補正後の本願発明においては、実行されている演出を特定するといった処理を実行せずに容易に演出音を進行した状態で復旧させることが可能になると言う本願特有の効果を奏しえることが可能ではありますが、引用文献1の構成からは本願特有の効果を奏しえることが出来ません。
また、審判合議体は「進行中の演出にあった適切な音量で演出音の出力を再開するのであれば、エラー報知音の出力直前の音量で演出音の出力を再開するのが適切であることは当業者に明らかであり」とご認定されておりますが、・・・「警報音としてエラー音が出力されるエラーが発生した後に、エラーが解除されエラー音が停止した状態」や「警報音として精算音が出力される精算操作が行われた後、精算音が停止した状態」は、いずれも遊技が中断した状態でありこのような遊技が中断した状態において、遊技中と同様に大きな音量で演出音が出力されると周囲の遊技者に迷惑をかけてしまうため、遊技者により遊技が再開されるまではミュートした音量を遊技中の音量に
復旧させないようにしております。これは昔から市場に設置してある遊技機の仕様であり、当業者であれば自明なことであります。
つまり、エラー報知音が出力されるエラーが発生し、そのエラーが解除され、エラー報知音が停止したときにエラー報知音の出力直前の音量で演出音の出力を再開するのが必ずしも適切ではないため、審判合議体の「エラー報知音の出力直前の音量で演出音の出力を再開するのが適切であることは当業者に明らかであり」とするご認定については、当業者としては疑問があります。
・・・
そして、上述したように審判合議体の「進行中の演出にあった適切な音量で演出音の出力を再開するのであれば、エラー報知音の出力直前の音量で演出音の出力を再開するのが適切であることは当業者に明らかであり」とするご認定や「引用発明1に引用発明2を適用した場合に、エラー報知の所定時間が発生する以前に操作ボタン75で遊技者が音量を調整していた場合には、エラー報知音の出力直前の音量たる、エラー報知の所定時間の経過後に再開される演出音を、エラー報知の所定時間が発生する以前に遊技者が操作ボタン75の操作に応じて変更していた演出音の音量に設定することは当業者が容易になし得たといえる。」とするご認定についても理由付けや動機がありません。」

以下、上記主張について検討する。

まず、本願発明の「スケジュールデータ」について、本願明細書段落【0626】には「また周辺制御MPU4150aは、主制御基板4100からのコマンドと対応する音生成用スケジュールデータの先頭の音指令データを、周辺制御部4150の周辺制御ROM4150b又は周辺制御RAM4150cの各種制御データコピーエリア4150ceから抽出して・・・」と記載され、段落【0601】には「音生成用スケジュールデータは、音指令データが時系列に配列されて構成されており、音楽や効果音が流れる順番が規定されている」と記載されている。
そして、既に上記「4 刊行物について」の「(1)刊行物1に記載された事項」の(d5)で示したとおり、刊行物1の【0089】には「サブ制御基板220のCPU221は、演出用チャンネル・・・の設定を、演出の進行に合わせて適宜変更する・・・各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)・・・は、サブ制御基板220のCPU221の制御下で行われる種々の演出パターンに応じて予め設定されている。また、音量の変更時期も演出パターンに応じて予め設定されている。このため、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から受信した・・・演出コマンドに対応する演出の実行時における音量の変更時期や変更後の音量を特定することができる」と記載されているから、刊行物発明においても、サブ制御基板220は、主制御基板200から受信した演出コマンドに対応する、各チャンネルボリュームの変更後の設定(音量設定情報)及び音量の変更時期が予め設定されているデータ、つまり、本願発明の「スケジュールデータ」に相当するデータを有していると認められ、かつ、「4 刊行物について」の「(1)刊行物1に記載された事項」の(d5)で示したとおり、刊行物発明においては、「エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)は、演出用チャンネル用のボリューム(RAM上の記憶)の音量の変更については停止することなく継続」しており、審判請求人が主張する「「消音に変更設定される演出音」について具体的に「スケジュールデータが進行している」状態、所謂バックグラウンドで進んでいる状態(進行した状態)」を維持している」点においても、刊行物発明と本願発明とは、差異は認められない。

さらに、エラー報知音が出力されるエラーが発生し、そのエラーが解除され、演出音の出力を再開する際に設定する音量として、「ミュートした音量」を設定するという遊技機の仕様が存在することは審判請求人が主張するとおりである。
しかしながら、既に上記「6 当審の判断」の「(2)相違点3について
」で示したとおり、刊行物発明は、「エラー報知音の出力中(演出用チャンネルのチャンネルボリュームの全てが「消音」に設定されている間)も、演出の進行に合わせて変更される各チャンネルボリュームの変更後の設定を記憶しておき、エラー報知音の出力終了と同時に、記憶しておいた設定を各チャンネルボリュームに反映させるようにすれば、エラー報知を終了した直後から、進行中の演出に合った適切な音量で演出音の出力を再開することができる。その結果、異常が解消された遊技機1を円滑かつ速やかに通常時の状態へと復帰させることが可能となる(【0111】)」ものであることを考慮すると、刊行物発明に刊行物2記載の事項を適用した場合に、エラー報知の所定時間の経過後に再開される演出音の音量として、進行中の演出やエラー発生時の音量の設定に依存しない「ミュートした音量」を固定的に設定するのではなく、エラー報知音の出力直前の音量を設定することで、異常が解消された遊技機をより円滑かつ速やかに通常時の状態へと復帰させるようにすることは、当業者にとって容易に選択し得る設計事項にすぎず、かつ、当該選択により奏される効果も、当業者が、刊行物発明、及び、上記刊行物2記載の事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)小括
よって、本願発明は、刊行物発明、刊行物2記載の事項、及び、上記周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-03 
結審通知日 2018-12-04 
審決日 2018-12-18 
出願番号 特願2016-110665(P2016-110665)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 美佐  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 松川 直樹
赤穂 州一郎
発明の名称 遊技機  
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