• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1348519
審判番号 不服2018-5802  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-26 
確定日 2019-03-04 
事件の表示 特願2016- 15165「ナノ複合材バリア被膜を有する採取容器組立品」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月25日出願公開、特開2016-153785、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2009年(平成21年)3月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年3月20日 米国)を国際出願日とする特願2011-500810号の一部を平成25年10月11日に新たな特許出願とした特願2013-213400号の一部を平成28年1月29日に新たな特許出願としたものであって、平成29年1月25日付けで拒絶理由が通知され、同年7月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対して、平成30年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要

原査定(平成29年12月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし77に係る発明は、以下の引用文献1又は2に記載された発明、及び引用文献3ないし12に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
特に、請求項1に係る発明は、引用文献1又は2に記載された発明、及び引用文献3ないし9に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

引用文献等一覧
1.特表2004-532756号公報
2.特開平09-253077号公報
3.特表2002-537148号公報(周知技術を示す文献)
4.特表2003-508274号公報(周知技術を示す文献)
5.米国特許出願公開第2006/0121228号明細書(周知技術を示す文献)
6.特開2007-039060号公報(周知技術を示す文献)
7.国際公開第2007/088815号(周知技術を示す文献)
8.特表2007-504297号公報(周知技術を示す文献)
9.国際公開第2006/115729号(周知技術を示す文献)
10.特表2006-503963号公報(周知技術を示す文献)
11.特開2005-324461号公報(周知技術を示す文献)
12.米国特許第05925428号明細書(周知技術を示す文献)


第3 本願発明

本願の請求項1ないし11に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、平成30年4月26日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明1は以下のとおりである。

「 【請求項1】
ポリプロピレンで形成され、空洞を内表面によって明確に画定する側壁及び開口端を有する容器部材(a)、
該容器部材表面に設けられ、30ミクロンまでの厚さを有し、ポリエステル樹脂を含む分散したバリア用マトリックスポリマー(i)、及びアスペクト比が50を超えるモンモリロナイトを含む実質的に剥離したケイ酸塩充填材(ii)を含む水性分散液から得られるナノ複合材バリアフイルム(b)、ここで、該実質的に剥離したケイ酸塩充填材は、該ナノ複合材バリアフイルムの全固形物の20?50重量%存在する、及び
該空洞を密閉するように容器部材の開口に設けられた密閉部材(c)、を有し、
該空洞は脱気され、大気圧より低い気圧を維持し、ナノ複合材バリアフイルムを除いた場合の同じ組立品に対して少なくとも10倍低い吸込み体積損失を示す、
生体試料採取に用いられる脱気容器組立品。」

なお、本願発明2ないし11の概要は以下のとおりである。
本願発明2ないし11は、本願発明1を減縮した発明である。


第4 引用文献の記載事項、引用発明

1 引用文献2について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。標題を除き、以下同様。)。

(引2-ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器、特にプラスチック製採血管に対する気体および水の透過性に有効な障壁を提供する多層障壁被膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術および解決課題】プラスチック製医療用製品の需要が増大するのに伴って、ポリマー製品の障壁特性を改善するという格別な必要性が存在する。
【0003】障壁特性を改善することによって顕著な利益が与えられるであろう医療用製品として、採取管、特に採血に用いられる採血管が挙げられるが、それに限定されるものではない。
【0004】医療用途で用いる場合、ある種の性能基準が採血管に求められる。そのような性能基準としては、例えば1年以上にわたって当初の吸引容量の約90%以上が保持されること、放射線によって滅菌されること、試験および分析の際に干渉がないことが挙げられる。
【0005】したがって、ポリマーからなる製品の障壁特性を改善する必要性が存在する。特に、プラスチック製真空採血管は医療用途に適合するある種の性能基準を有し、さらに効果的かつ有用であることからそのような特性の改善が求められている。」

(引2-イ)「【0042】
・・・
図4に本発明の別の実施形態例を示す。この図において、採血管アセンブリ40は、管42の開口端部41を閉じる栓部48を有する。図示したように、側壁43は開口端部41から閉端部44に至る。また、栓部48は管42の先端縁部を覆う円環状上部50を有する。さらに、栓部48は円環状下部またはスカート部49を有し、この円環状下部は側壁43の内面46に向けて伸び、かつ該内面46を圧することによって上記栓部48をその場に保持する。また、栓部はカニューレを受け、かつ該カニューレが貫通するための隔壁部52を有する。
【0043】したがって、ユーザは、図4に示すような容器を試料が入った状態で受け取り、隔壁部52にカニューレを貫通させ、管42の内容物の一部または全部を採取して試料を試験に供することができる。多層障壁被膜45は、開口端部41実質的に管の大部分を覆う。多層障壁被膜45は、ポリマー材料からなる第1の層54と、酸化珪素およびアクリレート等の無機および有機材料からなる第2の層56と、PVDC等の有機障壁材料からなる第3の層とを備える。図4に示す実施形態例は図3に示すものと異なり、図4に示すものでは管に層54および56を塗布した後に、栓部48を管に嵌めると同時に排気してもよい。あるいは、排気した後に管に多層障壁被膜を施してもよい。」

(引2-ウ)「【0098】多層障壁被膜によって被覆されたプラスチック製採血管は、1年以上にわたって当初の吸引容量(draw volume )の約90%以上を保持することが可能である。吸引容量保持は、管内の粒子真空(particle vacuum )の存在、または減圧に依存している。したがって、吸引容量は優れた真空保持に依存している。障壁被膜によって被覆されたプラスチック製採血管は、真空保持および吸引容量保持を維持し、かつ強化するように、実質的に管材料からのガス透過が防がれている。本発明の多層被膜のないプラスチック製採血管は、約3ないし4ヶ月間にわたって約90%の吸引容量を保持するであろう。」

(引2-エ)「【0103】実施例1
多層障壁被膜をプラスチック製基体からなる管に被覆する方法
アクリレート被膜をチャンバー内でポリプロピレン管および種々の厚さの膜(基板)に塗布した。チャンバー内で、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)をエバポレータに導入し、チャンバー内で約343℃で基板上にフラッシュ蒸発せ、縮合させた。縮合モノマー膜をつぎに電子線ビーム銃による電子線ビームによって硬化させた。
【0104】アクリレート被膜(TPGDA)で被覆された基板をミクロ洗浄剤と脱イオン(DI)水とを等量部含む混合溶液で洗浄した。この基板をDI水で全体的に濯ぎ、つづいて空気乾燥した。洗浄基板を真空オーブンに入れ、被覆作業を行うまで室温で保管した。
【0105】清浄基板をホルダーに取り付けた。このホルダーはガラス真空チャンバー内の電極と電極との中間にしっくり収まっている。チャンバーを閉じ、5mTorrのベース圧力にするためにメカニカル・ポンプを用いた。
【0106】電極の構成は、裏側に永久磁石が設けられたチタニウム電極同士が内側方向にキャパシティブリに結合している。このような構成によって、電極間のグロー放電を確認することができる。なぜなら、電極間の衝突確率が増大し、ガス分子が反応するからである。電場を与えた場合の正味の結果は、電極に付与する電圧を増加させた場合と類似する。しかし、よりいっそう高いボンバードメント・エネルギーの不都合がなく、また基板の加熱が高まることもない。マグネトロン放電によって低圧領域およびポリマー蒸着速度の実質的増加下での操作が可能となる。
【0107】トリメチルシラン(TMS)および酸素の混合物からなるモノマーを電極近傍のステンレス・スチール製管状材料を介して導入した。チャンバーに導入する前に、気体をモノマー注入口ラインで混合した。また、流速はステンレス・スチール製の計量バルブを用いて手動制御した。可聴周波数40kHzで動作する電源供給源を用いて電極に電力を供給した。ポリマー基板上にプラズマ重合TMS/O2の薄膜蒸着に用いるシステム・パラメータは以下の通りとした。
【0108】
表面前処理 TMSフロー = 0 sccm
ベース圧力 = 5 mTorr
酸素フロー = 10 sccm
システム圧力 = 140 mTorr
電力 = 50 ワット
時間 = 2 分
酸化物蒸着 TMSフロー = 0.75-1.0 sccm
酸素フロー = 2.5-3.0 sccm
システム圧力 = 90-100 mTorr
電力 = 30 ワット
蒸着時間 = 5 分
薄膜を蒸着した後、反応器を冷却した。つぎに、この反応器を開き、基板を取り出した。
【0109】アクリレート被膜を塗布して酸化物蒸着を行うプロセスを繰り返した。
【0110】PVDCの水を主成分とするエマルジョンからなる保護用上塗り被膜を浸漬被覆によって塗布し、65℃、約10分で硬化させ、最終被膜厚を平均約6μmとした。」

(引2-オ)【図4】




(2)上記(引2-ア)ないし(引2-オ)の記載から、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 管42とその開口端部41を閉じる栓部48を有する採血管アセンブリ40であって、
管42は、ポリプロピレン管であり、
管42の側壁43は開口端部41から閉端部44に至り、多層障壁被膜45が実質的に管42の大部分を覆っており、
多層障壁被膜45は、ポリマー材料からなる第1の層54と、酸化珪素及びアクリレート等の無機及び有機材料からなる第2の層56と、PVDC等の有機障壁材料からなる第3の層とを備え、
栓部48を管42に嵌めると同時に排気してあり、
多層障壁被膜45のないポリプロピレン製採血管は、約3ないし4ヶ月間にわたって約90%の吸引容量を保持するのに対し、1年以上にわたって当初の吸引容量の約90%以上を保持することが可能である、採血管アセンブリ40。」

2 引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

(引3-ア)「【0001】
(発明の背景)
本発明は、ポリマーフィルムおよび剛性容器すなわち成形容器用の改良型水性ガスバリヤ塗料組成物に関し、詳細には、ガスバリヤ層中に層状鉱物を含み、吹付け塗装に特によく適した改良型の2層塗装系に関する。本発明はさらに、コーティングしていないポリマー基材(非コートポリマー基材)ならびに他の周知のガスバリヤ系でコーティングしたポリマー基材よりも大幅に向上したガスバリヤ性能を示すコーティングされたポリマー基材(コートポリマー基材)に関する。
【0002】
米国特許第5700560号には、ポリビニルアルコールなどの高水素結合樹脂および非塗膜形成無機層状コンパウンドから成る樹脂組成物、ならびにこの樹脂組成物でコーティングされたフィルムが記載されている。無機層状コンパウンドは、そのアスペクト比を増大させることによって、結果として得られるフィルムのガスバリヤ特性を向上させる。
【0003】
米国特許第5571614号には、層状鉱物および架橋剤を含む組成物から塗膜層が形成されたコートポリマーフィルムが記載されている。このコートフィルムは、さらに、層状鉱物塗膜でコーティングする前にフィルム基材に塗布される、エチレンとビニルモノマーの共重合体から形成されたプライマー層を含む。
【0004】
射出ストレッチブロー成形されたPETボトル用の、信頼性が高く経済的で環境的にも受け入れ可能な、すなわちリサイクル可能な塗装系であって、特に、バリヤ性能が劇的に向上し、これによって12オンス(33ml)サイズの炭酸飲料およびビールに対してPETボトルが使用できるようになる塗装系が求められている。
【0005】
(発明の概要)
本発明は、容器またはフィルムの少なくとも1面に他に類のない水性組成物を塗布して第1の塗膜層を形成することによって、従来の剛性プラスチック容器すなわち成形プラスチック容器およびフィルムのガスバリヤ性能を大幅に、例えば20倍または30倍、あるいはそれ以上に向上させることができることの発見に基づく。この水性組成物は、水溶性または水分散性有機結合剤および任意選択で架橋剤を含み、この有機結合剤は、モンモリロナイト、ラポナイト、有機修飾モンモリロナイトおよびこれらの混合物から選択された、第1の塗膜層の乾燥重量を基準として10重量%から90重量%未満の無機層状鉱物とを含む。この第1の塗膜層は、非架橋層、部分架橋層または完全架橋層とすることができる。
【0006】
この塗料組成物を吹付け塗布して、乾燥厚さ20ミクロンまでのほぼ均一な第1の塗膜層を生み出す。しかし実際には、厚さわずか3から4ミクロンの比較的に薄い塗膜層で優れたバリヤ特性が観察された。鉱物の小板は、乾燥塗膜層の有機結合剤部分の内部で、ほぼ平行で間隔をあけて重なり合った3次元構造に配向する。応用によっては、ガスバリヤ特性を向上させるために第1の塗膜層を有する成形プラスチック容器が、さらに、前記第1の塗膜層に付着された実質的に透明な第2の塗膜層を含むことができる。この第2の塗膜層は、(a)結合剤成分および(b)有機溶剤を含む硬化性組成物を含む。
【0007】
一態様によれば、本発明は、食品および飲料用のポリマー容器である。この容器は、
(A) 食品または飲料用の容器を画定するように成形されたポリマー基材と、
(B) ポリマー基材の少なくとも1面に付着され、前記基材を通した酸素および二酸化炭素の透過を遅らせることができる第1の塗膜層と、
を含み、
前記第1の塗膜層は、水溶性または水分散性有機結合剤、ならびにモンモリロナイト、ラポナイト、有機修飾モンモリロナイトおよびこれらの混合物から選択された、第1の塗膜層の乾燥重量の10重量%から90重量%未満の無機層状鉱物を含む。その少なくとも1面に本発明に基づく第1の塗膜層を有する最も一般的な剛性ないし成形ポリマー容器は、ボトルの壁から切り取った試験サンプルについて、約0.7ccミル/100in^(2)/日/気圧の酸素透過性値を示す。ただし、酸素透過性値が0.07ccミル/100in^(2)/日/気圧になることもある。いくつかのケースでは、壁および/またはフィルム試験サンプルについて0.03ccミル/100in^(2)/日/気圧よりも低い酸素透過性値が観察された。総ボトル透過性(cc/パック/日。Mocon Oxtran 2/60または2/20装置で測定)は、コーティングしていない対照ボトルの最高35倍の酸素透過性値を示す。しかし、(ボトル側壁の試験サンプルではなしに)ボトル全体の絶対バリヤ性能は、塗膜の均一性および厚さ、覆われるボトル表面積の割合、塗膜層内での層状鉱物の最適配向、ならびにブロー成形プロセスに由来する容器欠陥などの因子に左右される。」

(引3-イ)「【0016】
第1の塗膜層
第1の塗膜層、すなわちガスバリヤ塗膜層は、少なくとも2重量%の固体を含む水性組成物から形成される。バリヤ組成物の固体成分の主たる担体または溶剤は水はであるが、組成物は任意選択で、適当な助溶剤を小量、例えば溶剤の総量を基準として約10重量%未満の助溶剤を含むことができる。水性バリヤ組成物の固体部分は、フィロシリケート、特にモンモリロナイト、ラポナイト、有機修飾モンモリロナイトおよびこれらの混合物から選択された無機層状鉱物を、乾燥/硬化後の第1の塗膜層の重量のほぼ10%から90重量%未満含む。用語「有機修飾モンモリロナイト」は、本明細書において、粘土中に存在するラメラ間無機カチオンを有機カチオンで置換するイオン交換プロセスにかける処理によって有機部分を粘土小板に強く付着させた粘土材料を記述するのに使用される。有機カチオンは、4価アンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウムなどの陽性塩原子団に結合された有機原子団、または陽性アミン塩原子団を含む有機化合物を含む。ただし、これらに限定されるわけではない。
【0017】
これらの層状鉱物は市販されており、厚さ10から60オングストローム、アスペクト比すなわち小板の最大幅と厚さの比が一般に150超の小板を含む。フィロシリケート層状鉱物の組成および構造についての詳細は、1983年11月9?10日のロンドンにおけるRoyal Society Discussionの予稿集「Clay Minerals:Their Structure,Behaviour & Use」,英国学士院(1984)に出ている。
【0018】
市販のモンモリロナイト小板の長さおよび幅はともに150から250nmであり、市販のラポナイト小板の長さおよび幅は2から20nm、最大20から200nmである。小板の厚さは一般に1nm以下である。石英、シリカ、雲母などの不純物濃度の低い層状鉱物のほうが、使用時のバリヤ性能が高いため、その他の商用等級の層状鉱物よりも好ましい。
【0019】
水性バリヤ組成物の固体部分はさらに、10重量%超から90重量%未満の水溶性または水分散性塗膜形成有機結合剤を含む。この有機結合剤は、以下のものから成るグループから選択される。
【0020】
(a) ホモポリエステル;コポリエステル、特にコア/シェル型のコポリエステル(「コア」は、数平均分子量が12,000?25,000付近のコポリエステル、「シェル」は、修飾(例えばアクリル修飾)された親水性ポリマー層である);およびスルホテレフタル酸およびスルホイソフタル酸から選択されたカルボン酸のスルホ誘導体から誘導されたコポリエステル、
(b) 重量平均分子量が少なくとも3,000の線状または枝分れアクリル樹脂、
(c) アクリル酸、メタアクリル酸およびそれらの低級アルキルエステルの共重合体、
(d) ポリオレフィン、特にマレイン酸化したポリブタジエンなどの官能性ポリオレフィン、
(e) 単糖の重縮合によって合成されたセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロース、プルーラン、デンプン、ヒドロキシエチルセルロースなどから選択されたセルロース誘導体材料を含む多糖類、
(f) ポリビニルアルコール、
(g) 水性脂肪族または芳香剤ウレタン、
(h) エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニリデンジクロリド(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)およびポリエチレンイミン(ポリエチレンイミンポリマーは、数平均分子量が3,000から100,000であり、単独で、またはポリビニルアルコール、ポリビニルラクタム、ポリビニルピロリドンなどとともに使用することができる)、
(i) メラミンホルムアルデヒド樹脂、
(j) アクリルラテックス、
(k) ポリ酢酸ビニルラテックス、
(l) ポリエチレングリコール、および
(m) これらのブレンド。」

(引3-ウ)「【0042】
本発明の好ましい実施形態では、水性バリヤ塗料組成物が、アスペクト比20から500、平均粒径5ミクロン未満の小板の形態の無機層状鉱物としてモンモリロナイト(例えば、米テキサス州のSouthern Clay Products社のモンモリロナイトミネラルコロイドMO)を含む。観察されたバリヤ性能に基づく第1の塗膜層用の好ましい有機結合剤は、(i)メラミンホルムアルデヒド樹脂(イミノ官能基性、メチロール官能基性および部分的または高いアルコキシメチル官能基性を有するメラミンホルムアルデヒドを含む)と、(ii)結合剤の重量の5%から25重量%のアクリルラテックスとのブレンドである。バリヤ組成物の好ましい第1の塗膜層は、10から75%(w/w)の無機鉱物小板および25から90%(w/w)の有機結合剤を含む(乾燥重量ベース)。」

(引3-エ)「【0067】
ガスバリヤ塗料組成物の調製
後に記載する実施例では、特に断らない限り、本発明に基づく水性ガスバリヤ塗料組成物を調製する一般の手順に従った。まず、4リットルビーカ中でモンモリロナイト粘土120gと脱塩水1871gを合わせることによって、モンモリロナイト粘土を4重量%含むスラリ2kgを調製した。脱塩水を4リットルビーカに加え、ビーカーを、Silverson高せん断力ミキサの下に置いた。空気の混入を減らし最大混合効率を得るため、ミキサのヘッドはビーカの1側面に配置した。ミキサは最初2500rpmで回転させた。ミキサのrpmを8200rpmまで上げ、モンモリロナイト粘土をゆっくりと加えて水中に分散させた。この混合物を5分間撹拌し、次いで、ミキサのヘッドを持ち上げ、未分散の粘土を拭ってスラリへ戻した。次いで、混合を継続し、rpmを8200rpmまで徐々に高めた。このプロセスを、塊または集塊のない均一なスラリが観察されるまで繰り返した。これにはおよそ30分かかった。
【0068】
まず、Cymel(登録商標)385(Cytec Industries社から79%(w/w)水溶液として入手可能)13.5gを計量して250mlビーカに入れることによって有機結合剤成分を調製した。これに脱塩水89グラムを加え、この混合物をマグネチックスターラを使用して、Cymel(登録商標)385が水に完全に溶けるまで攪拌した(約5分)。その後、この溶液に、PTSA10%溶液3.5 mlおよびSynperonic NP10 10%溶液0.5 mlを「1滴ずつ」加え、さらに10分間撹拌した。
【0069】
次いで、モンモリロナイトスラリ370グラムを1000mlビーカに計量して入れ、空気動力モータ付きの錨型撹拌機を使用して攪拌した。シキソトロピーを破壊するためスラリは最初、高速で撹拌した。スラリが流動化したら、撹拌機のパドルがちょうど渦で覆われる程度まで撹拌機を減速した。次いで、調製した結合剤溶液を滴下漏斗に注ぎ、これを撹拌したモンモリロナイトスラリに滴下漏斗を通して、極くゆっくりと添加した。このプロセスは均一な混合を保証するために実施したもので、完了までに約20分かかった。添加終了後、撹拌機を減速して、渦は消えるが溶液は全体が依然として流動状態を保つようにした。その結果、得られた混合物を約30分間ゆっくりと撹拌し、これによって混合物を脱気した。これで塗料組成物は使用可能である。」

(引3-オ)「【0077】
実施例
バリヤ塗料組成物#1
脱イオン水355.2グラムおよびモンモリロナイト粘土(Southern Clay社のミネラルコロイドMO)14.8グラムを高速ミキサに入れ、混ざり合うまで低速(2000rpm)で混合した。ミキサの速度を5000rpmまで上げ、30分維持した。その後、脱イオン水89.0グラム、メラミンホルムアルデヒド樹脂(Cytec Industries社のCymel(登録商標)385)13.5グラム、および1%p-トルエンスルホン酸脱イオン水溶液35.0グラムを先の混合物にこの順番で加え、さらに15分、2000rpmで混合した。
【0078】
バリヤ塗料組成物#2
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、溶解するまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 85.902
トリポリリン酸ナトリウム 0.179
II. 2000rpmで連続混合しながら以下の原料成分を加えた。
ミネラルコロイドMO 3.580
III. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
IV. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
脱イオン水 7.014
Cymel(登録商標)385(メラミンホルムアルデヒド樹脂)(Cytec Industries) 3.265
10%Synperonic NP10非イオン性活性剤脱イオン水溶液(ICI Americas) 0.120
0.63%p-トルエンスルホン酸脱イオン水溶液 15.485
【0079】
バリヤ塗料組成物#3
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、混ざり合うまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 96.0
ミネラルコロイドMO(Southern Clay) 4.0
II. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
III. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
水性枝分れアクリル樹脂 4.9
Cymel(登録商標)385(メラミンホルムアルデヒド樹脂、Cytec Industries) 3.5
【0080】
バリヤ塗料組成物#4
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、混ざり合うまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 96.0
ミネラルコロイドMO(Southern Clay) 4.0
II. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
III. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
アクリルラテックス 3.43
Cymel(登録商標)385(Cytec Industriesのメラミンホルムアルデヒド樹脂) 3.5
【0081】
バリヤ塗料組成物#5
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、混ざり合うまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 96.0
ミネラルコロイドMO(Southern Clay) 4.0
II. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
III. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
Zeneca(登録商標)R-9699樹脂(アクリル修飾ウレタン)
5.0
Cymel(登録商標)385(メラミンホルムアルデヒド樹脂、Cytec Industries) 2.5
【0082】
バリヤ塗料組成物#6
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、混ざり合うまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 96.0
ミネラルコロイドMO(Southern Clay) 4.0
II. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
III. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
30%Carbowax 8000脱イオン水溶液(Union Carbideのポリエチレングリコール) 13.33
【0083】
バリヤ塗料組成物#7
I. 以下の原料成分(グラム)を記載順に高速ミキサに入れ、溶解するまで2000rpmで混合した。
脱イオン水 56.17
トリポリリン酸ナトリウム 0.23
II. 以下の原料成分(グラム)を高速ミキサに加え、混ざり合うまで2000rpmで混合した。
ミネラルコロイドMO(Southern Clay) 4.68
III. ミキサ速度を5000rpmに上げ、30分維持した。
IV. ミキサ速度を2000rpmまで下げ、以下の追加の原料成分を記載順に加え、さらに15分間混合し続けた。
脱イオン水 32.29
アクリルラテックス(前述のもの) 1.33
Cymel(登録商標)385(Cytec Industriesのメラミンホルムアルデヒド樹脂) 3.5」

(引3-カ)「【0092】
以下の実施例は、本発明の他のガスバリヤ塗料組成物を示す。
【0093】
実施例1
前述の手順にしたがって以下のガスバリヤ塗料組成物を調製し、試験体に吹き付けた。
370g 4%(w/w)モンモリロナイトミネラルコロイドMOスラリ
89g 脱塩水
13.5g Cymel(登録商標)385
3.5ml 10%p-トルエンスルホン酸溶液
0.5ml 10%Synperonic NP10溶液
【0094】
実施例2
最終的な塗料調合物中のモンモリロナイトの量は減らした(すなわち最終的な乾燥塗膜中に粘土固体34%)他は先と同様にして、以下のガスバリヤ塗料組成物を調製した。
モンモリロナイトミネラルコロイト゛MO(4%(w/w)%水性スラリ) 143.4g
Cymel(登録商標)385 13.5g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
脱塩水 89.0g
【0095】
実施例3
粘土スラリ中の固体量を増やし、モンモリロナイトの代わりにLaponite(Southern Clay Products社)を使用した他は前述の手順にしたがって、以下のガスバリヤ塗料組成物を調製した。
Laponite RDS(18%(w/w)水性スラリ)164.4g
Cymel(登録商標)385 27.0g
PTSA(10%(w/w)溶液) 7.0ml
Synperonic NP10(10%(w/w)溶液) 1.0ml
脱塩水 89.0g
【0096】
実施例4
供給業者から予め溶液の状態で供給された粘土スラリを使用し、それをSilversonミキサ内で簡単に剪断した他は前述のとおりに、以下のガスバリヤ塗料組成物を調製した。
SCPX 944(有機カチオン交換した実験用モンモリロナイトグレード、Southern Clay Products社)(10.8%(w/w)水性スラリ) 200ml
Cymel(登録商標)385 13.5g
脱塩水 89.0g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
【0097】
実施例5
粘度を下げるために、バリヤ組成物にトリポリリン酸ナトリウムを加えた。これによって、Seta No.6フローカップを使用して測定した4%モンモリロナイトスラリの粘度は29秒から9秒に低下した。。ミキサが2500rpmの間にトリポリリン酸ナトリウムを脱塩水に加え5分間溶解させた他は先と同様に、ガスバリヤ塗料組成物を調製した。
4.5%モンモリロナイトミネラルコロイドMOスラリ(ミネラルコロイドMO14.8g、トリポリリン酸ナトリウム0.74gおよび水から成る) 329.0g
Cymel(登録商標)385 13.5g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
脱塩水 30.0g
【0098】
実施例6
4%モンモリロナイトミネラルコロイドMOスラリ(ミネラルコロイドMO14.8g、トリポリリン酸ナトリウム0.74gおよび水から成る)
370.74g
Cymel(登録商標)385 13.5g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
脱塩水 89.0g
【0099】
実施例7
粘土スラリの調製中、両方のタイプの粘土粉を脱塩水に別々に加えせん断した他は前述のとおりに作成した粘土混合物を使用してガスバリヤ塗料組成物を調製した。モンモリロナイトスラリをラポナイトスラリに加え、Silversonミキサ中で30分間、高速でせん断した。
6%モンモリロナイトミネラルコロイドMOスラリ(ミネラルコロイドMO14.8g、トリポリリン酸ナトリウム0.74gおよび水から成る)
234.0g
Laponite RDS(18%(w/w)水性スラリ) 4.11g
Cymel(登録商標)385 13.5g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
脱塩水 89.0g
【0100】
比較例
実施例8
粘土スラリなしで前述と同様に結合剤調合物を調製し、吹き付けた。
Cymel(登録商標)385 12.2ml
脱塩水 89.0g
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
【0101】
実施例9
モンモリロナイトの代わりにバーミキュライト(W.R.Grace社から8%(w/w)水性スラリとして供給されている)を使用し、これに有機結合剤液を直接に撹拌しながら加えたほかは前述のとおりに塗料調合物を調製した。
Cymel(登録商標)385 12.2ml
脱塩水 89.0g
PTSA(10%(w/w)水溶液) 3.5ml
Synperonic NP10(10%(w/w)水溶液)0.5ml
Vermiculite963(WR Grace)(8%(w/w)水性スラリ) 200.0ml」

3 引用文献8について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献8には、次の事項が記載されている。

(引8-ア)「【技術分野】
【0002】
本発明は、新規なバリアコーティング組成物に関し、特に、気体透過性が高度に低減されているコーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
気体、蒸気、化学物質、及び/又は芳香に関して、選ばれた支持体の透過性を妨害し、低減し、又は抑制するバリアコーティング(層)は広く記述されており、そのようなコーティングは、多様な産業、例えば、包装産業、自動車産業、ペンキ産業、タイヤ産業等で用いられている。コーティングに用いられる典型的なバリア材料には、ポリエステル、PVDC、ポリウレタン、アクリルポリマー等が含まれる。」

(引8-イ)「【発明の要旨】
【0012】
有利には、本発明は、酸又は塩基で処理されていてもいなくてもよい実質的に分散された剥離層状シリケート充填剤及び水分散非弾性ポリマーを含有するコーティング組成物を提供することにより先行技術の課題を解決する。このコーティングは、乾燥したとき、充填されていないポリマーに比較して、透過性における大きな低減を有するバリアをもたらす。
【0013】
一つの態様では、本発明は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケート充填剤が25より大きいアスペクト比を有し、そのシリケート充填剤の%が全固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;の水性分散液から誘導されるバリアコーティングであって、そのコーティングが、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において少なくとも5倍の低減を示すコーティングを提供する。
【0014】
バリアコーティングは、さらに、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において、少なくとも25倍、50倍、100倍、500倍、及び1000倍の低減を示す。
【0015】
分散液は、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にある。
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは70℃未満のT_(g)を有し、好ましくは35℃未満のT_(g)を有する。
【0016】
シリケート充填剤は、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト(sauconite)、マガディアイト(magadiite)、ケニアイト(kenyaite)、レディカイト(ledikite)、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれる。シリケート充填剤は、好ましくはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは約10?約50%である。
【0017】
シリケート充填剤を、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理することができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0018】
分散液は、約1?約30%の全固形分を有し、好ましくは、約5?約25%である。
さらなる側面では、本発明は:非弾性ポリマー;有機カチオンで機能付与されていない実質的に剥離されたシリケート充填剤材料であって、そのシリケート充填剤が25を超えるアスペクト比を有し、そのシリケートの%が固形分の60%未満であるシリケート充填剤;及び、界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤;を含有する水性分散液を支持体に塗布すること:及び、その分散液を乾燥して、分散液におけるものと同じポリマー対充填剤比を有するバリアコーティングとすることを含んでなるバリアコーティングフィルムを製造する方法であって、そのコーティングが、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングよりも、気体透過性において少なくとも5倍の低減を示す方法を提供する。
【0019】
バリアコーティングは、さらに、非弾性ポリマー単独から形成されるコーティングと比較して、気体透過性において、少なくとも25倍、50倍、100倍、500倍、及び1000倍の低減を示す。
【0020】
分散液は、分散液、乳濁液、懸濁液、及びラテックスからなる群から選ばれる形態にある。
非弾性ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン及びそのコポリマー及びブレンド、ポリエステル含有ポリマー、及びポリエステルから選ばれ、好ましくは、そのポリエステルは、70℃未満のT_(g)を有し、好ましくは、35℃未満のT_(g)を有する。
【0021】
シリケート充填剤は、ベントナイト、バーミキュライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及び、上記シリケートの混合物及び溶液からなる群から選ばれる。シリケート充填剤は、好ましくはバーミキュライトであり、全固形分の60%未満で存在し、好ましくは約10?約50%である。
【0022】
シリケート充填剤を、前記非弾性ポリマーとの混合前に、酸又は塩基で処理することができる。酸は、酢酸、グリシン、及びクエン酸から選択され、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる。
【0023】
分散液は、約1?約30%の全固形分を有し、好ましくは、約5?約25%である。
支持体は、防腐性包装フィルム、腐食保護フィルム、ガス置換包装及び真空包装、吹込成形容器、熱成形容器、及び電子ディスプレーフィルムからなる群から選ばれる。
【0024】
本発明は、透過性特性における大きな改善(>5倍)が、非弾性ポリマーを含むバリアコーティングで得られるという発見に、部分的には基づいている。これらのポリマーは、典型的にはエラストマーよりも低い透過性を有し、その理由から、包装用塗布によく用いられる。それらは、弾性ポリマーより硬くもある。これらの材料の多くのバリア特性を改善する、剥離された充填剤ナノコンポジットアプローチの使用は、上記のように、充填剤の有機的な機能付与を用い、次いで、熱又は溶媒加工を通して、試みられている。本発明の目的は、剥離された充填剤の有機的な機能付与を含まず、ポリマーを溶媒に溶解することを含まず、他の方法により達成されるものよりもより大きい充填剤濃度、アスペクト比、及びより良好な配向を有する、優れたバリア特性を有するナノコンポジットコーティングをもたらす、コーティング組成物及びナノコンポジットコーティングを製造する方法を記載することである。」

(引8-ウ)「【0044】
II.バリアコーティング
本発明に従うバリアコーティングには、次の成分:
(a)水分散非弾性ポリマー;
(b)酸又は塩基で前処理されて25を超えるアスペクト比を有していてもよい、分散された剥離層状小板シリケート充填剤;及び、
(c)界面活性剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、レべリング剤、及び増粘剤からなる群から選ばれる、少なくとも1つの添加剤;
が含まれ、
その全固形分は、望ましくは、30%固形分に等しいかそれ未満であり、処理された充填剤の量は、全固形分の5?60%までで存在する。これらのバリアコーティング混合液は、5倍?1500倍の高さまで又は充填されていないポリマーよりも高い程度にまで透過性が低減しているフィルムをもたらす。これらの結果は、他の小板充填バリアコーティングに関する先行技術よりも、実質的に高い。
【0045】
コーティング組成物とそれらから形成されるナノコンポジットコーティング組成物は、次の点で独特である:
1.用いられる分散されたポリマーが弾性的でない-(驚くべきことに、分散されたポリマー粒子は、変形してナノコンポジットバリアフィルムを形成することができる);
2.剥離された充填剤は、有機的に機能付与されていない(典型的には、それは、有機カチオンでのイオン交換工程を用いて行われる);
3.分散液における剥離された充填剤の濃度とアスペクト比は、メソスコピック領域を形成するために選択される。これは、最終的なナノコンポジットコーティングにおいて小板の配向を促進し、バリア特性の大きな改善を部分的に与える;
4.充填剤の濃度を高くでき(全重量に対して60%まで)、それも透過性における大きな低減をもたらす。
【0046】
本発明のバリアコーティング混合物は、乾燥バリアコーティングで望まれる透過性の低減を達成するため、いくつかの重要な特徴、すなわち、非弾性ポリマーにおける充填剤の適切な分散、非弾性ポリマーにおける充填剤小板の適切な配向、並びに充填剤の高いアスペクト比のバランスにより特徴付けられる。本発明のバリアコーティング混合物は、望ましくは、通常、低い全固形分、すなわち、約1?約30%固形分を含有する。より望ましい固形分の範囲は、約5%?約25%固形分である。固形分は高いアスペクト比の充填剤の分散に影響するので、バリアコーティング組成物及び乾燥コーティングの性能における重要な考慮点である。バリアコーティング組成物において高い全固形分が用いられるならば、本発明のコーティングの良好に分散された充填剤、例えば、バーミキュライトや、透過性低減の特徴を達成できないであろう。そして、実施例で報告するものや本明細書中の形も達成されない。固形分の好ましい範囲は、予期せぬことに、コーティング産業で典型的に用いられているものよりもかなり低く、ゆえに、バリアコーティング組成物について示唆する先行技術により予測され得ない。
【0047】
特に、ポリマーが、以下に定義するように、PVDC及びそのコポリマー及びブレンド又はポリエステルのような非弾性ポリマーであり、充填剤がバーミキュライト懸濁液であるときは、本発明のコーティング混合物の全固形分は、好ましくは、30%未満であり、全固形分の5?60%を含んでなるシリケート充填剤を有する。実施例3?9及び12?20は、様々な本発明の望まれる組成物を示す。
【0048】
好ましくは、乾燥バリアコーティング(フィルム)において、ポリマーは、約65?約95重量%で存在し、分散された層状充填剤は、約5?約35重量%で存在する。
A.非弾性ポリマー
本発明のコーティング混合物を形成するのに有用な非弾性ポリマーには、多くのクラスの中から一般的に選ばれるポリマーが含まれる。その選ばれるポリマーは、溶媒に溶解性であってもよいが、本発明の目的のためには、水性分散液として用いられるだろう。水性分散液は、乳化重合によっても、溶媒に溶解しているポリマーを水(非溶媒)に分散することによる転相によっても形成される。そのようなポリマーには、ポリエステル、ポリエステル含有ポリマー、ポリアミド、塩素化ポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ビニル樹脂、及びフルオロポリマーが含まれるがこれらに限定されない。好ましい塩素化ポリマーは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)とそのコポリマー及びブレンドである。好ましいポリエステルには、T_(g)値が70℃未満であり、好ましくは35℃未満であるポリエステルが含まれる。
【0049】
あらゆる特定の理論にしばられることなく、出願人が、本発明に記載されたアプローチがこれらの非弾性ポリマーで作用するという事実を信じていることは驚くべきことである。非弾性ポリマーの分散物がコーティングを形成するとき、典型的にはいくつかの段階を経る。まず、コーティングが形成し、乾燥して、界面活性剤により分離されたポリマーの球状粒子の集まりになる。より高い温度に加熱されるとき、粒子は変形して、より間隔をあけて充填する。ついには、内部のポリマーは、界面活性剤を含有する部分を通じて拡散し、完全に融合したフィルムを形成する。初期の組成物に、剥離されたナノ分散充填剤がかなりの量あるときは、これらの比較的硬いポリマーの分散された球状粒子(Feeney等の米国特許番号6,087,016に記載された弾性ポリマーに比較して)が、小板充填剤粒子とともにナノコンポジットフィルムを形成するために変形することは驚くべきことである。透過性において見られる大きな低減は、この現象が起こった証拠である。一方、フィルムは溶融点まで加熱されておらず、詳細なメカニズムは、現時点では完全にはわかっていない。」

(引8-エ)「【0061】
B.充填剤
上記の本発明のコーティング混合物には、約25?約30,000までもの高い範囲にわたる固有の高いアスペクト比を混合時に有する、分散された層状充填剤が含まれる。現時点で好ましい充填剤はバーミキュライトである。より詳しくは、望ましいバーミキュライトは、7.5重量%水溶液の分散マイカである、MICROLITE^(R) 963水ベースバーミキュライト分散液(W. R. Grace)である(1994年1月15日に刊行された欧州出願番号601,877を参照のこと)。本発明の混合物の1つの新規な側面は、乾燥コーティングにおける選択された充填剤のアスペクト比である。本発明に従い、乾燥コーティングにおいて、充填剤は、実質的に分散され、良好な配向を保持している。本発明の乾燥コーティングにおいて、層状充填剤は、乾燥コーティングの最小約5?最大約60重量%で存在する。本発明の組成物は、乾燥されたとき、良好な分散形態で充填剤を保持し、透過性における大きな低減をもたらす。
【0062】
充填剤の例には、剥離されたシリケート、例えば、ベントナイト、バーミキュライト、モントモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、ケニアイト、レディカイト、及びそれらの混合物が含まれる。MICROLITE^(R)バーミキュライトは、その非常に高いアスペクト比のために好ましい充填剤である。そのバーミキュライト板は、10?30ミクロンの平均横幅サイズを有する。その板は、水において大きく剥離され、かくして、それらの厚さは1?3nmである。水分散液におけるその充填剤のアスペクト比は、平均10,000?30,000である。多くの板が、本発明のコーティング工程及び乾燥工程中に再集合することは明らかである。しかしながら、できるだけ大きなアスペクト比で開始することが非常に有利である。MICROLITE^(R)バーミキュライトのそれと同等の特性並びに十分に高いアスペクト比を有する他の既知のシリケートの選択及び使用は、本発明の教示に従い、当業者に自明であると考えられる。
【0063】
充填剤における大きなアスペクト比の小板は、局所的に配向させることができる。懸濁された板のメソスコピックな性質は、そのアスペクト比の直接的な結果である。MICROLITE^(R) 963の大きいアスペクト比の簡便な証明は、それが0.02重量%又は0.01容量%の濃度で水に分散されるときに、配向したマクロスコピック領域が観察できるという事実である。小板充填剤が懸濁液で局所的に配向するであろう上の濃度は、だいたい1/アスペクト比により与えられる。かくして、25のアスペクト比で開始する充填剤は、高度な局所的配向を達成するために、分散液において約4容量%を超えて分散されるべきであろう。
【0064】
MICROLITE^(R) 963バーミキュライト(W. R. Grace)が好ましいが、良好な結果は、MICROLITE^(R) 963バーミキュライトの他の剥離グレード(すなわち、グレード963++、923、及び903)でも達成される。他の層状シリケートも、本発明のバリアコーティング及びフィルムに有用である。特に、CO-OP Chemical co. Ltd.(東京、日本)のSOMASIF^(TM) ME-100、及びSourthern Filler Products(Gonzales、Texas)のSCPX-2041である。本発明のバリアコーティングにおける他のシリケートの有効性は、小板の横幅サイズ、水における剥離の程度、及び、コーティング工程と乾燥工程中にそれらが再集合してより大きな粒子を形成する程度に依存する。」

(引8-オ)「【0137】
ポリエステルナノコンポジット
実施例10:充填されていないポリエステル
母材がポリエステルである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。このフィルムは充填剤を含有しておらず、参考のために作成された。
【0138】
8オンス壷で、50グラムのポリエステルラテックス(WD-30、30%固形分、Eastman)を、3.0グラムのCOATOSIL 1301(OSI)とともに攪拌した。このコーティング溶液を、ポリプレピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、その充填されていないポリエステルのコーティングが評価される。
【0139】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。ポリプロピレン上のポリエステルフィルムについてのOTRは、1気圧、0%RH、23℃で、42.3cc/m^(2)日である。65.5ミクロン厚さのPVDCフィルムの透過性は、0%RH、23℃で、2.8cc mm/m^(2)日気圧である。
【0140】
実施例11:ポリエステルナノコンポジット、未処理の充填剤
母材がポリエステル(WD-30、Easrman、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では未処理であり、標準として用いられた。
【0141】
8オンス壷に、0.17グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.35グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.69グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0142】
上の溶液に、32グラムのMICROLITE^(R) 963(7.5%、W. R. Grace)と46gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0143】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、77.2重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、0.5重量%ACUSOL^(R) 880、0.5重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0144】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、1.1cc/m^(2)日である。27.9ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.03cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の90倍である。
【0145】
実施例12:ポリエステルナノコンポジット-18%グリシン/3日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%グリシンで3日間処理された。
【0146】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び13.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、51.09グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び29.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0147】
上の溶液に、18%グリシンを用いて手順Aで処理された75グラムの充填剤と3gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.7%固形分を有している。
【0148】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.9重量%ポリエステル、19.1重量%充填剤、2.2%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL 880、1.9重量%ACUSOL 882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0149】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、0.2cc/m^(2)日である。18.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.0037cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の756倍である。
【0150】
実施例13:ポリエステルナノコンポジット-18%グリシン/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%グリシンで30分間処理された。
【0151】
8オンス壷に、0.17グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.35グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.69グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0152】
上の溶液に、18%グリシンを用いて手順Aで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0153】
このコーティング溶液を、ポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、77.2重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、3.0%COATSIL 1300湿潤剤、0.5重量%ACUSOL^(R) 880、0.5重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0154】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。19.0ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0038cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>710倍である。
【0155】
実施例14:ポリエステルナノコンポジット-18%NH4OH/3日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%水酸化アンモニウムをで3日間処理された。
【0156】
8オンス壷に、1.1グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、2.28グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び13.15グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、51.09グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1300(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び29.38グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0157】
上の溶液に、18%水酸化アンモニウムを用いて手順Aで処理された75グラムの充填剤と3gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.7%固形分を有している。
【0158】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.9重量%ポリエステル、19.1重量%充填剤、2.2重量%COATSIL 1300湿潤剤、1.9重量%ACUSOL^(R )880、1.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0159】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。35.0ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.007cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>400倍である。
【0160】
実施例15:ポリエステルナノコンポジット-18%NH4OH/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Aに従って18%水酸化アンモニウムで30分間処理された。
【0161】
8オンス壷に、0.937グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、1.93グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び18.29グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、43.24グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.5グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び6.09グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0162】
上の溶液に、18%水酸化アンモニウムを用いて手順Aで処理された63.46グラムの充填剤と14.54gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において11.6%固形分を有している。
【0163】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.6重量%ポリエステル、19.0重量%充填剤、2.6%COATSIL 1301湿潤剤、1.9重量%ACUSOL^(R) 880、1.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0164】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。16.7ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0033cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>818倍である。
【0165】
実施例16:ポリエステルナノコンポジット-2%NaOH/1日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%グリシンで1日間処理された。
【0166】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0167】
上の溶液に、2%水酸化ナトリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0168】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOL^(R) 880、0.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0169】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。26.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0053cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>509倍である。
【0170】
実施例17:ポリエステルナノコンポジット-2%NaOH/2日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化ナトリウムをで2日間処理された。
【0171】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOL^(R )882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0172】
上の溶液に、2%水酸化ナトリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0173】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOL^(R) 880、0.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0174】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。11.9ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0024cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>1125倍である。
【0175】
実施例18:ポリエステルナノコンポジット-2%KOH/30分間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順B従って2%水酸化カリウムを用いて30分間処理された。
【0176】
8オンス壷に、0.85グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、1.75グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び21.64グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、39.3グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.25グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び7.21グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0177】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された57.69グラムの充填剤と20.31gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において10.5%固形分を有している。
【0178】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、74.8重量%ポリエステル、19.0重量%充填剤、2.4%COATSIL 1301湿潤剤、1.9重量%ACUSOL^(R) 880、1.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0179】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、1.51cc/m^(2)日である。15.4ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、0.0233cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>120倍である。
【0180】
実施例19:ポリエステルナノコンポジット-2%KOH/1日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。その充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化カリウムで1日間処理された。
【0181】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0182】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0183】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOL^(R) 880、0.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0184】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。20.8ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0042cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>643倍である。
【0185】
実施例20:ポリエステルナノコンポジット-2%KOH/2日間充填剤前処理
母材がポリエステル(Easrman、WD-30、30%)であり、充填剤がMICROLITE^(R)剥離シリケートである、本発明に従う水性バリアコーティング溶液を次のように調製する。充填剤は、この実施例では、処理された充填剤の手順Bに従って2%水酸化カリウムで2日間処理された。
【0186】
8オンス壷に、0.32グラムのACUSOL^(R)880(35.2%、Rohm & Haas)、0.70グラムのACUSOL^(R) 882(17.1%、Rohm & Haas)、及び28.1グラムの蒸留水を量り入れた。攪拌子を入れ、溶液を一晩ゆっくりと攪拌した。この溶液に、32.28グラムのポリエステルラテックス(Eastman WD-30)、1.2グラムのCOATOSIL 1301(OSI)、4滴のFOAMASTER VL(Cognis)、及び9.36グラムの蒸留水の混合物を加えた。生じた溶液を完全に混合した。
【0187】
上の溶液に、2%水酸化カリウムを用いて手順Bで処理された46.15グラムの充填剤と31.85gの蒸留水を加えた。生じた溶液を攪拌子で攪拌した。生じた分散液を、室温で、プラスチック又はゴム支持体上への塗布、例えば、スプレーコーティング用に準備する。そのコーティング混合液は、水分において8.5%固形分を有している。
【0188】
このコーティング溶液をポリプロピレンフィルム支持体に塗布し乾燥させておいた後、そのコーティングは、76.4重量%ポリエステル、18.9重量%充填剤、2.8%COATSIL 1301湿潤剤、0.9重量%ACUSOL^(R) 880、0.9重量%ACUSOL^(R)882、及び0.1重量%FOAMASTER VL消泡剤を含有している。
【0189】
酸素透過率(OTR)は、Mocon OXTRAN 2/20モジュールを用いて測定される。OTRは、1気圧、0%RH、23℃で、<0.2cc/m^(2)日(このモジュールの検出限界)である。9.1ミクロンポリエステルナノコンポジットの透過性は、0%RH、23℃で、<0.0018cc mm/m^(2)日気圧である。このコーティングの透過性における低減は、充填されていないポリエステルラテックスの透過性における低減の>1500倍である。」


第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「ポリプロピレン管であり」、「側壁43は開口端部41から閉端部44に至」る「管42」は、本願発明1の「ポリプロピレンで形成され、空洞を内表面によって明確に画定する側壁及び開口端を有する容器部材」に相当する。

イ 引用発明の「実質的に管42の大部分を覆っており」、「ポリマー材料からなる第1の層54と、酸化珪素及びアクリレート等の無機及び有機材料からなる第2の層56と、PVDC等の有機障壁材料からなる第3の層とを備え」た「多層障壁被膜45」と、本願発明1の「該容器部材表面に設けられ、30ミクロンまでの厚さを有し、ポリエステル樹脂を含む分散したバリア用マトリックスポリマー、及びアスペクト比が50を超えるモンモリロナイトを含む実質的に剥離したケイ酸塩充填材を含む水性分散液から得られるナノ複合材バリアフイルム、ここで、該実質的に剥離したケイ酸塩充填材は、該ナノ複合材バリアフイルムの全固形物の20?50重量%存在する」とは、「該容器部材表面に設けられたバリア層」の点で共通する。

ウ 引用発明の「管42」の「開口端部41を閉じる栓部48」は、本願発明1の「該空洞を密閉するように容器部材の開口に設けられた密閉部材」に相当する。

エ 引用発明の「栓部48を管42に嵌めると同時に排気してあり、多層障壁被膜45のないプラスチック製採血管は、約3ないし4ヶ月間にわたって約90%の吸引容量を保持するのに対し、1年以上にわたって当初の吸引容量の約90%以上を保持することが可能である」ことと、本願発明1の「該空洞は脱気され、大気圧より低い気圧を維持し、ナノ複合材バリアフイルムを除いた場合の同じ組立品に対して少なくとも10倍低い吸込み体積損失を示す」こととは、「該空洞は脱気され、大気圧より低い気圧を維持し、バリア層を除いた場合の同じ組立品に対して低い吸込み体積損失を示す」ことの点で共通する。

オ 引用発明の「栓部48を管42に嵌めると同時に排気してあ」る「採血管アセンブリ40」は、本願発明1の「生体試料採取に用いられる脱気容器組立品」に相当する。

(2)よって、本願発明1と引用発明とは、

「 ポリプロピレンで形成され、空洞を内表面によって明確に画定する側壁及び開口端を有する容器部材、
該容器部材表面に設けられたバリア層、及び
該空洞を密閉するように容器部材の開口に設けられた密閉部材、を有し、
該空洞は脱気され、大気圧より低い気圧を維持し、バリア層を除いた場合の同じ組立品に対して低い吸込み体積損失を示す、
生体試料採取に用いられる脱気容器組立品。」

の発明である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
「容器部材表面に設けられたバリア層」が、本願発明1は、「30ミクロンまでの厚さを有し、ポリエステル樹脂を含む分散したバリア用マトリックスポリマー、及びアスペクト比が50を超えるモンモリロナイトを含む実質的に剥離したケイ酸塩充填材を含む水性分散液から得られるナノ複合材バリアフイルム、ここで、該実質的に剥離したケイ酸塩充填材は、該ナノ複合材バリアフイルムの全固形物の20?50重量%存在する」ものであり、「ナノ複合材バリアフイルムを除いた場合の同じ組立品に対して少なくとも10倍低い吸込み体積損失を示す」のに対し、引用発明は、「ポリマー材料からなる第1の層54と、酸化珪素及びアクリレート等の無機及び有機材料からなる第2の層56と、PVDC等の有機障壁材料からなる第3の層とを備え」た「多層障壁被膜45」であり、「多層障壁被膜45のないプラスチック製採血管は、約3ないし4ヶ月間にわたって約90%の吸引容量を保持するのに対し、1年以上にわたって当初の吸引容量の約90%以上を保持することが可能である」点。

(3)相違点についての判断

ア 上記相違点について検討する。

(ア)引用文献3ないし9(特に、引用文献3、4、6、8、9)の記載から、特に飲食品用の容器等におけるガスバリア性を向上させる手段として、特定の有機母材とモンモリロナイト等の充填剤を含む水性分散液を塗布したガスバリア層を設けることが、本願の優先権主張日前において周知な技術であると認められる(以下、当該技術を「周知技術1」という。)。
しかしながら、引用文献3ないし9には、ポリエステル樹脂とモンモリロナイトを含む水性分散液からガスバリア層を形成した具体例は記載されておらず、ポリエステル樹脂とモンモリロナイトを含む水性分散液からガスバリア層を形成することが、本願の優先権主張日前において周知な技術であったと認めることはできない。
よって、引用発明の多層障壁被膜45に代えて上記周知技術1のバリア層を設けたとしても、本願発明1の構成を得ることはできない。

(イ)引用文献3には、充填剤としてモンモリロナイトを用いることが記載されている。
一方、有機結合剤としては、複数の材料が列記され、その中にホモポリエステル及びコポリエステルが含まれているが(段落【0020】)、バリア性能に基づく好ましい有機結合剤は、メラミンホルムアルデヒド樹脂とアクリルラテックスとのブレンドであることが記載されており(段落【0042】)、多数記載された実施例で使用されている有機結合剤は、ポリエチレングリコールの1例を除き、メラミンホルムアルデヒド樹脂、又は、メラミンホルムアルデヒド樹脂とアクリルラテックスとのブレンドのみである。
そのため、有機結合剤としてホモポリエステル又はコポリエステルを用いた場合のガスバリア性能は不明であり、メラミンホルムアルデヒド樹脂、又は、メラミンホルムアルデヒド樹脂とアクリルラテックスとのブレンドに代えてホモポリエステル又はコポリエステルを採用する動機付けがあるとはいえない。

(ウ)引用文献8には、有機母材としてポリエステルを用いることが記載されている。
一方、充填剤しては、複数の材料が列記され、その中にモンモリロナイトが含まれているが(段落【0062】)、好ましい充填剤はバーミキュライトであることが記載されており(段落【0061】)、多数記載された実施例で使用されている充填剤は、バーミキュライトのみである。
そのため、充填剤としてモンモリロナイトを用いた場合のガスバリア性能は不明であり、バーミキュライトに代えてモンモリロナイトを採用する動機付けがあるとはいえない。

(エ)引用文献1、10ないし12も、ポリエステル樹脂とモンモリロナイトを含む水性分散液からガスバリア層を形成することを開示するものではない。

イ したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献1ないし12の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし11について

本願発明2ないし11は、本願発明1の「30ミクロンまでの厚さを有し、ポリエステル樹脂を含む分散したバリア用マトリックスポリマー、及びアスペクト比が50を超えるモンモリロナイトを含む実質的に剥離したケイ酸塩充填材を含む水性分散液から得られるナノ複合材バリアフイルム、ここで、該実質的に剥離したケイ酸塩充填材は、該ナノ複合材バリアフイルムの全固形物の20?50重量%存在する」ものを有し、「ナノ複合材バリアフイルムを除いた場合の同じ組立品に対して少なくとも10倍低い吸込み体積損失を示す」との特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献1ないし12の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 むすび

以上のとおり、本願発明1ないし11は、引用発明及び引用文献1ないし12の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-20 
出願番号 特願2016-15165(P2016-15165)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 萩田 裕介土岐 和雅  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 渡戸 正義
信田 昌男
発明の名称 ナノ複合材バリア被膜を有する採取容器組立品  
代理人 山本 修  
代理人 中西 基晴  
代理人 山本 修  
代理人 中西 基晴  
代理人 中田 尚志  
代理人 宮前 徹  
代理人 宮前 徹  
代理人 小野 新次郎  
代理人 中田 尚志  
代理人 小野 新次郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ