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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1348529
審判番号 不服2018-5209  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-16 
確定日 2019-02-26 
事件の表示 特願2013-241822「透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 4日出願公開、特開2015-102942、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月22日の出願であって、平成29年6月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月1日付けで手続補正がされ、平成30年1月5日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年4月16日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年1月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1-4の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.特開2009-237673号公報
引用文献2.特開2011-221938号公報
引用文献3.特開2013-225266号公報
引用文献4.特許第4606495号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1の「第1電極層」を「前記第1電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極と、複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線」とする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「第1電極層」に含まれる「第1配線」を、「各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線」に限定したものであり、審判請求時の補正によって請求項1の「配線不可領域」を「部品を配置する配線不可領域」とする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「配線不可領域」を「部品を配置する」ものに限定したものであり、審判請求時の補正によって請求項1の「接続要素」を「前記複数の第1配線が2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐」するとする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「複数の接続要素」を「2つの接続要素」に限定したものであり、また、審判請求時の補正によって請求項1の「分岐接続要素」を「前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有」するとする補正は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「分岐接続要素」を「基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有」するものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であり、また、前記追加された事項は当初明細書の段落【0034】、【0035】、【0037】、【0087】、図2、図3等に記載されているから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成30年4月16日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層とを備える透明導電性積層体であって、
前記第1電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極と、複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線であり、
前記第2電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極と、複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続し、
前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ、前記一側縁部には部品を配置する配線不可領域が含まれ、相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であり、
前記複数の第1配線が2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、
前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、
前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有し、
第1電極層および第2電極層の少なくとも一方は、前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす補正パターンを備え、前記補正パターンは前記一側縁部に位置する
ことを特徴とする透明導電性積層体。」

なお、本願発明2-7は、本願発明1を直接又は間接的に引用した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、静電容量の変化によって指示位置を検出するにあたって、配線に寄生する容量の配線毎のばらつきを圧縮することにより、検出感度の向上を図ることのできる静電容量型入力装置、入力機能付き表示装置および電子機器を提供することにある。」(下線は、当審において付与した。以下、同様。)

b)「【0023】
図1において、本形態の入力装置付き表示装置100は、概ね、画像生成装置としての液晶装置50と、この画像生成装置において表示光を出射する側の面に重ねて配置されたパネル状の入力装置10(タッチパネル)とを有している。液晶装置50は、透過型、反射型あるいは半透過反射型のアクティブマトリクス型の液晶パネル50aを備えており、透過型あるいは半透過反射型の液晶パネルの場合、表示光の出射側とは反対側にバックライト装置(図示せず)が配置される。また、液晶装置50においては、液晶パネル50aに対して位相差板や偏光板(図示せず)が重ねて配置される。液晶パネル50aは、素子基板51と、素子基板51に対して対向配置された対向基板52と、対向基板52と素子基板51との間に保持された液晶層とを備えており、素子基板51において、対向基板52の縁から張り出した領域にはフレキシブル基板53が接続されている。素子基板51には駆動用ICがCOG実装されることもある。いずれの場合も、液晶装置50は動画や静止画を表示可能であり、入力装置10に対する入力を行う際、入力情報に対応する指示画像を表示する。従って、利用者は、入力装置10で表示された指示画像を指で接触すれば、情報の入力を行うことができる。
【0024】
入力装置10は静電容量型のタッチパネルであり、透光性基板15と、この透光性基板15に後述する粘着剤層(透光性樹脂層)を介して貼り合わされた透光性のカバー基板40と、透光性基板15の端部に接続されたフレキシブル基板19とを備えている。フレキシブル基板19には、入力装置10において入力位置の検出を行うための駆動回路(図示せず)が接続されており、フレキシブル基板19と透光性基板15との接続領域が、後述する信号入出力領域とされる。入力装置10においては、カバー基板40の上面によって入力面10bが構成されており、カバー基板40の略中央領域が指先による入力が行われる入力領域10aになっている。
【0025】
図2に示すように、透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、矢印Xで示す第1方向に延在する複数列の第1透光性電極パターン11と、矢印Yで示す第1方向に交差する第2方向に延在する複数列の第2透光性電極パターン12とが形成されている。」

c)「【0031】
また、透光性基板15において入力領域10aの外側領域(周辺領域10e)には、第1透光性電極パターン11および第2透光性電極パターン12の各々に電気的に接続する複数の金属配線9aが形成されており、これらの金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成している。これらの金属配線9aは、図2を参照して後述する第1配線911?917、および第2配線921?926、929を構成する。」

d)「【0033】
(配線の引き回し構造)
再び図2において、本形態では、透光性基板15において入力領域10aの外側の周辺領域10eには、複数の第1透光性電極パターン11から延在する複数の第1配線911?919が第1信号入出力領域950まで互いに並列して延在する第1配線領域955が形成されている。第1信号入出力領域950は、入力領域10aに対してY方向における一方側に配置され、第1配線領域955は、複数個所で屈曲しながら、入力領域10aのX方向における一方の端辺10sから端辺10sに沿うように第1信号入出力領域950まで延在している。このため、本形態では、第1配線領域955(第1配線911?919)は、周辺領域10eにおいて第1透光性電極パターン11からX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有している。
【0034】
また、透光性基板15において入力領域10aの外側の周辺領域10eには、複数の第2透光性電極パターン12から延在する複数の第2配線921?926、929が第2信号入出力領域960まで延在している。第2信号入出力領域960も、第1信号入出力領域950と同様、入力領域10aに対してY方向における一方側に配置され、第2信号入出力領域960と第1信号入出力領域950とは透光性基板15の基板辺に沿うように直線状に並んでいる。
【0035】
ここで、入力領域10aは、Y方向において第2信号入出力領域960側に位置する第1入力領域101aと、Y方向において第2信号入出力領域960側とは反対側に位置する第2入力領域102aとに分割され、それに伴って、第2透光性電極パターン12も、第1入力領域101aと第2入力領域102aとの間で分割されている。このため、複数の第2透光性電極パターン12から延在する配線の配線領域(第2配線領域)は、2つに分割されており、かかる配線領域のうち、第1入力領域101aから第2信号入出力領域960に向けて延在する第2配線929が並列する近距離第2配線領域961については、第2配線929同士が略等しい長さ寸法をもって十分な間隔を空けて延在している。このため、第2配線929については配線抵抗および寄生容量がばらついていても、それレベル自身が低いので、支障がない。
【0036】
これに対して、第2入力領域101a(当審注:「101a」は「102a」の誤記と認める。)から第2信号入出力領域960に向けて延在する遠距離第2配線領域962は、入力領域10aに対して第2信号入出力領域960側とは反対側に位置する端辺10tから、複数個所で屈曲しながら、入力領域10aのX方向における端辺10sとは反対側の端辺10uに沿うように第2信号入出力領域960まで屈曲しながら延在している。このため、本形態では、遠距離第2配線領域962(第2配線921?926)は、第2透光性電極パターン12の延長線上で入力領域10aの端辺10tからY方向に直線的に延在する部位962eと、部位962eから端辺10tに平行にX方向に延在する部位962dと、部位962dから入力領域10aの端辺10uに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位962cと、部位962cから第2信号入出力領域960と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位962bと、部位962bから第2信号入出力領域960に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位962aとを有している。
【0037】
(寄生容量および配線抵抗のばらつき対策)
図2を参照して説明したように、第1配線領域955は、入力領域10aのX方向における一方の端辺10sから端辺10sに沿うように第1信号入出力領域950まで延在しているため、第1配線領域955では、各第1配線911?919の長さ寸法が大きく相違し、かつ、配線同士が近接している。それ故、かかる構成のままでは、複数の第1配線911?919において、隣接する配線との間に寄生する容量や、配線抵抗が配線毎に大きく相違する。また、第1配線911?919のうち、配線の配列方向(第1配線領域955の幅方向)の両端部に位置する第1配線911、919では、片側のみに、隣接する配線が存在することから寄生容量が小さい。
【0038】
また、遠距離第2配線領域962は、入力領域10aの端辺10tから端辺10uに沿うように第2信号入出力領域960まで延在しており、かかる遠距離第2配線領域962では、各第2配線921?926の長さ寸法が大きく相違し、かつ、配線同士が近接している。それ故、かかる構成のままでは、複数の第2配線921?926において、隣接する配線との間に寄生する容量や、配線抵抗が配線毎に大きく相違する。また、第2配線921?926のうち、配線の配列方向(遠距離第2配線領域962の幅方向)における外側端部(入力領域10aから離れている側の端部)に位置する第2配線926では、片側のみに、隣接する配線が存在することから寄生容量が小さい。なお、第2配線921?926のうち、内側端部(入力領域10aに近い側の端部)に位置する第2配線921は、第1透光性電極パターン11の三角形に分割されたパッド部分の底辺部と並列しているため、遠距離第2配線領域962の幅方向における内側を通る第2配線922?925に近い寄生容量を備えている。
【0039】
このような寄生容量の配線毎のばらつきを解消するために、本形態では、まず、第1配線領域955の両端部の各々に沿うように、両端部で延在する第1配線911、919との間に寄生容量を生成する第1補助配線971および第2補助配線972が延在している。このような第1補助配線971および第2補助配線972のうち、第1補助配線971は、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有している。また、第2補助配線972も、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有している。
【0040】
また、本形態では、遠距離第2配線領域962でも、第1配線領域955と同様、外側の端部に沿うように、この端部で延在する第2配線926との間に寄生容量を生成する第1補助配線971が延在している。従って、第1補助配線971は、第2配線領域962(第2配線921?926)と同様、Y方向に直線的に延在する部位962eと、部位962eから端辺10tに平行にX方向に延在する部位962dと、部位962dから入力領域10aの端辺10uに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位962cと、部位962cから第2信号入出力領域960と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位962bと、部位962bから第2信号入出力領域960の側方向に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位962aとを有している。
【0041】
ここで、第1補助配線971は、第2補助配線972に比して入力領域10aから遠い位置を通っており、入力領域10aを外周側で囲む外周側シールド線を構成している。また、第2補助配線972は、第1補助配線971と同一電位に保持されており、本形態では、第1補助配線971および第2補助配線972に定電位(グランド電位)が印加されている。
【0042】
かかる第1補助配線971および第2補助配線972を形成するにあたって、具体的には、第1補助配線971および第2補助配線972を第1配線911?919および第2配線921?926、929の形成と同時に行い、第1信号入出力領域950と第2信号入出力領域960に並列した端子を介して第1補助配線971および第2補助配線972を外部と接続し、外部から第1補助配線971および第2補助配線972にグランド電位を印加する。かかる構成を採用すれば、図3(c)に示す金属配線9aによって、第1配線911?917、および第2配線921?926、929とともに、第1補助配線971および第2補助配線972を形成することができる。従って、新たな工程を追加しなくても第1補助配線971および第2補助配線972を形成できるので、生産性を向上することができる。
【0043】
また、第1補助配線971および第2補助配線972を形成するにあたっては、第1補助配線971および第2補助配線972を第1配線911?919および第2配線921?926、929とは別の層で形成してもよい。例えば、図3(c)に示すように、第1配線911?919および第2配線921?926、929を層間絶縁膜4bで覆うとともに、層間絶縁膜4bの上層に第1補助配線971および第2補助配線972形成し、第1信号入出力領域950と第2信号入出力領域960に並列した端子に層間絶縁膜4bの除去領域を介して第1補助配線971および第2補助配線972を接続してもよい。この場合も、第1補助配線971および第2補助配線972を端子を介して外部と接続し、外部からグランド電位を印加すればよい。このように構成すると、第1補助配線971およ
び第2補助配線972が第1配線911?919と第2配線921?926、929と交差するように形成しても短絡することがない。それ故、第1補助配線971と第2補助配線972とを繋げた構成や、第1補助配線971が入力領域10aの外周側を全周で囲んだ構成などを実現することができる。第1補助配線971と第2補助配線972とを繋げた構成を採用すれば、第1補助配線971と第2補助配線972にグランド電位を印加するための端子の数を減らすことができるなどの利点がある。また、第1補助配線971が入力領域10aの外周側を全周で囲んだ構成を採用すれば、外部から入力領域10aにノイズが侵入することを確実に防止できるという利点がある。
【0044】
また、本形態では、第1配線領域955に形成された第1配線911?919は、隣接する配線の間隔が、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。本形態では、外側に位置する第1配線919から内側に位置する配線に向かって順に配線長が短くなっているので、外側で隣接する配線同士の間隔は、内側で隣接する配線同士の間隔に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。また、第1配線領域955に形成された第1配線911?919は、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で幅寸法が広くなっている。本形態では、外側に位置する第1配線919から内側に位置する配線に向かって順に配線長が短くなっているので、外側に位置する配線は、内側に位置する配線よりも、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。
【0045】
また、長距離第2配線領域962に形成された第2配線921?926は、隣接する配線の間隔が、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。本形態では、内側に位置する第2配線921から外側に位置する配線に向かって順に配線長が長くなっているので、外側で隣接する配線同士の間隔は、内側で隣接する配線同士の間隔に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。また、長距離第2配線領域962に形成された第2配線921?926は、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で幅寸法が広くなっている。本形態では、内側に位置する第2配線921から外側に位置する配線に向かって順に配線長が長くなっているので、外側に位置する配線は、内側に位置する配線よりも、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっている。」


上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、静電容量型入力装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「静電容量の変化によって指示位置を検出するにあたって、配線に寄生する容量の配線毎のばらつきを圧縮することにより、検出感度の向上を図ることのできる静電容量型入力装置であって、
入力装置10は静電容量型のタッチパネルであり、透光性基板15と、この透光性基板15に貼り合わされた透光性のカバー基板40と、透光性基板15の端部に接続されたフレキシブル基板19とを備え、フレキシブル基板19には、入力装置10において入力位置の検出を行うための駆動回路が接続されており、フレキシブル基板19と透光性基板15との接続領域が、信号入出力領域とされ、
入力装置10においては、カバー基板40の上面によって入力面10bが構成されており、カバー基板40の略中央領域が指先による入力が行われる入力領域10aになっており、
透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、第1方向に延在する複数列の第1透光性電極パターン11と、第1方向に交差する第2方向に延在する複数列の第2透光性電極パターン12とが形成され、
透光性基板15において入力領域10aの外側領域(周辺領域10e)には、第1透光性電極パターン11および第2透光性電極パターン12の各々に電気的に接続する複数の金属配線9aが形成されており、これらの金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成し、これらの金属配線9aは、第1配線911?917、および第2配線921?926、929を構成し、
透光性基板15において入力領域10aの外側の周辺領域10eには、複数の第1透光性電極パターン11から延在する複数の第1配線911?919が第1信号入出力領域950まで互いに並列して延在する第1配線領域955が形成され、第1信号入出力領域950は、入力領域10aに対してY方向における一方側に配置され、第1配線領域955は、複数個所で屈曲しながら、入力領域10aのX方向における一方の端辺10sから端辺10sに沿うように第1信号入出力領域950まで延在し、
また、透光性基板15において入力領域10aの外側の周辺領域10eには、複数の第2透光性電極パターン12から延在する複数の第2配線921?926、929が第2信号入出力領域960まで延在し、第2信号入出力領域960も、第1信号入出力領域950と同様、入力領域10aに対してY方向における一方側に配置され、第2信号入出力領域960と第1信号入出力領域950とは透光性基板15の基板辺に沿うように直線状に並んでおり、
複数の第2透光性電極パターン12から延在する配線の配線領域(第2配線領域)は、2つに分割されており、遠距離第2配線領域962は、入力領域10aに対して第2信号入出力領域960側とは反対側に位置する端辺10tから、複数個所で屈曲しながら、入力領域10aのX方向における端辺10sとは反対側の端辺10uに沿うように第2信号入出力領域960まで屈曲しながら延在し、
第1配線領域955は、入力領域10aのX方向における一方の端辺10sから端辺10sに沿うように第1信号入出力領域950まで延在しているため、第1配線領域955では、各第1配線911?919の長さ寸法が大きく相違し、かつ、配線同士が近接し、複数の第1配線911?919において、隣接する配線との間に寄生する容量や、配線抵抗が配線毎に大きく相違し、
また、遠距離第2配線領域962は、入力領域10aの端辺10tから端辺10uに沿うように第2信号入出力領域960まで延在しており、かかる遠距離第2配線領域962では、各第2配線921?926の長さ寸法が大きく相違し、かつ、配線同士が近接し、複数の第2配線921?926において、隣接する配線との間に寄生する容量や、配線抵抗が配線毎に大きく相違し、
このような寄生容量の配線毎のばらつきを解消するために、第1配線領域955の両端部の各々に沿うように、両端部で延在する第1配線911、919との間に寄生容量を生成する第1補助配線971および第2補助配線972が延在し、
第1補助配線971は、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有し、
また、第2補助配線972も、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有し、
遠距離第2配線領域962でも、第1配線領域955と同様、外側の端部に沿うように、この端部で延在する第2配線926との間に寄生容量を生成する第1補助配線971が延在し、
第1補助配線971は、第2配線領域962(第2配線921?926)と同様、Y方向に直線的に延在する部位962eと、部位962eから端辺10tに平行にX方向に延在する部位962dと、部位962dから入力領域10aの端辺10uに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位962cと、部位962cから第2信号入出力領域960と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位962bと、部位962bから第2信号入出力領域960の側方向に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位962aとを有し、
第1補助配線971および第2補助配線972に定電位(グランド電位)が印加され、
第1配線領域955に形成された第1配線911?919は、隣接する配線の間隔が、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっており、
また、第1配線領域955に形成された第1配線911?919は、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で幅寸法が広くなっており、
長距離第2配線領域962に形成された第2配線921?926は、隣接する配線の間隔が、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で広くなっており、
また、長距離第2配線領域962に形成された第2配線921?926は、配線長が長い配線では、配線長が短い配線に比して、長さ方向の少なくとも一部分で幅寸法が広くなっている
静電容量型入力装置。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明は、「透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、第1方向に延在する複数列の第1透光性電極パターン11と、第1方向に交差する第2方向に延在する複数列の第2透光性電極パターン12とが形成され」たものであるから、引用発明が「第1透光性電極パターン11」、「第2透光性電極パターン12」が形成される層を備えることは明らかであり、引用発明の「第1透光性電極パターン11」、「第2透光性電極パターン12」が形成される層は、本願発明1の「第1電極層」、「第2電極層」と、「電極層」である点で共通するといえ、引用発明の「透光性基板15」は、本願発明1の「前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層」と「透明誘電体層」である点で共通するといえる。
また、引用発明の「静電容量型入力装置」は、「透光性基板15と、この透光性基板15に貼り合わされた透光性のカバー基板40」を備えるものであるから積層体であり、本願発明1の「第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層とを備える透明導電性積層体」と「電極層と、透明誘電体層とを備える透明導電性積層体」である点で共通するといえる。

イ.引用発明が「透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、」「第1方向に交差する第2方向に延在する複数列の第2透光性電極パターン12とが形成され」るものであることは、本願発明1の「前記第1電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極」「を含」むことと「前記電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極」「を含」点では共通するといえる。
また、引用発明は、「透光性基板15において入力領域10aの外側領域(周辺領域10e)には、」「第2透光性電極パターン12の各々に電気的に接続する複数の金属配線9aが形成されており、これらの金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成し、これらの金属配線9aは、」「第2配線921?926、929を構成し、」「透光性基板15において入力領域10aの外側の周辺領域10eには、複数の第2透光性電極パターン12から延在する複数の第2配線921?926、929が第2信号入出力領域960まで延在し、第2信号入出力領域960も、」「入力領域10aに対してY方向における一方側に配置され、第2信号入出力領域960」「は透光性基板15の基板辺に沿うように直線状に並んで」いることは、本願発明1の「前記第1電極層は、」「複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線であ」ることと「前記電極層は、」「複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線であ」る点では共通するといえる。

ウ.引用発明は、「透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、第1方向に延在する複数列の第1透光性電極パターン11」「が形成され」るものであることは、本願発明1の「前記第2電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極」「を含」むことと「前記電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極」「を含」む点では共通するといえる。
また、引用発明は、「透光性基板15において入力領域10aの外側領域(周辺領域10e)には、第1透光性電極パターン11」「に電気的に接続する複数の金属配線9aが形成されており、これらの金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成し、これらの金属配線9aは、第1配線911?917」「を構成」することは、本願発明1の「前記第2電極層は、」「複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続」することと「前記電極層は、」「複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続」する点では共通するといえる。

エ.引用発明の「複数の第2配線921?926、929が第2信号入出力領域960まで延在」することは、本願発明1の「前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ」ることに相当する。
また、引用発明の「複数の第2配線」の隣り合う配線同士は配線対ともいい得るものである。
したがって、引用発明の「複数の第2配線」は、本願発明1の「前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ、前記一側縁部には部品を配置する配線不可領域が含まれ、相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であ」ることと「前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ、相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であ」る点で共通するといえる。

オ.引用発明は、「寄生容量の配線毎のばらつきを解消するために、第1配線領域955の両端部の各々に沿うように、両端部で延在する第1配線911、919との間に寄生容量を生成する第1補助配線971および第2補助配線972が延在し、第1補助配線971は、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有し、また、第2補助配線972も、第1配線領域955(第1配線911?919)と同様、周辺領域10eにおいてX方向に直線的に延在する部位955dと、部位955dから入力領域10aの端辺10sに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位955cと、部位955cから第1信号入出力領域950と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位955bと、部位955bから第1信号入出力領域950に隣接する位置に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位955aとを有し、」「遠距離第2配線領域962でも、第1配線領域955と同様、外側の端部に沿うように、この端部で延在する第2配線926との間に寄生容量を生成する第1補助配線971が延在し、第1補助配線971は、第2配線領域962(第2配線921?926)と同様、Y方向に直線的に延在する部位962eと、部位962eから端辺10tに平行にX方向に延在する部位962dと、部位962dから入力領域10aの端辺10uに沿うようにY方向に直角に折り曲がって延在する部位962cと、部位962cから第2信号入出力領域960と入力領域10aとによって挟まれた領域に向けてX方向に直角に折れ曲がった部位962bと、部位962bから第2信号入出力領域960の側方向に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位962aとを有」するものであり、配線間の寄生容量のばらつきが時定数の差を生じさせることは当業者には明らかであるから、引用発明が「第2信号入出力領域960の側方向に向けてY方向に直角に折れ曲がった部位962aとを有」する「第1補助配線971」を有することは、本願発明1の「第1電極層および第2電極層の少なくとも一方は、前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす補正パターンを備え、前記補正パターンは前記一側縁部に位置する」ことと「電極層は、前記配線対における時定数の差を減らす補正パターンを備え、前記補正パターンは前記一側縁部に位置する」点で共通するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。

〈一致点〉
「電極層と、透明誘電体層とを備える透明導電性積層体であって、
前記電極層は、第1方向に沿って延びる複数の第1電極と、複数の第1配線とを含み、前記複数の第1配線の各々が相互に異なる前記第1電極に接続し、かつ、各第1配線に共通して基板の一側縁部に配置される単一の回路に接続するための配線であり、
前記電極層は、第2方向に沿って延びる複数の第2電極と、複数の第2配線とを含み、前記複数の第2配線の各々が相互に異なる前記第2電極に接続し、
前記複数の第1配線は、矩形板状を有する基板の周縁部の中で前記基板の一辺に沿った部分である前記一側縁部に設けられ、相互に隣合う2つの前記第1配線が1つの配線対であり、
電極層は、前記配線対における時定数の差を減らす補正パターンを備え、前記補正パターンは前記一側縁部に位置する
透明導電性積層体。」
である点。

〈相違点1〉
本願発明1は、「第1電極層と、第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層との間に位置する透明誘電体層とを備える」ものであり、「第1電極」は「第1電極層」に、「第2電極」は「第2電極層」に、「補正パターン」は「第1電極層および第2電極層の少なくとも一方」に含まれるものであるのに対し、引用発明は、「透光性基板15の入力面10b側の面のうち、入力領域10aに相当する領域には、第1方向に延在する複数列の第1透光性電極パターン11と、第1方向に交差する第2方向に延在する複数列の第2透光性電極パターン12とが形成され」、「第1補助電極」、「第2補助電極」も「透光性基板15」上の配線領域に形成されるものである点。

〈相違点2〉
本願発明1は、「基板」の「前記一側縁部には部品を配置する配線不可領域が含まれ」るものであるのに対し、引用発明は、「透光性基板1」は配線不可領域が含まれるものとはされていない点。

〈相違点3〉
本願発明1は、「前記複数の第1配線が2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有」するものであるのに対し、引用発明は、「第2配線」が2つの接続要素を構成するものではない点。

〈相違点4〉
本願発明1は、「補正パターン」は「前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす」ものであるのに対し、引用発明は、「寄生容量の配線毎のばらつきを解消する」ものではあるものの、「前記基準接続要素と前記分岐接続要素とに跨る前記配線対における前記分岐による時定数の差を減らす」ものとはされていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2及び相違点3について、第1配線に関連する相違点であるので、まとめて検討する。
一般に、基板上に、他の部品の配置位置やネジ孔など、配線をすることができない領域が生じることは、例示するまでも無く周知のことであり、当該領域を迂回するように配線することも例示するまでも無く周知技術に過ぎないものと認められる。
しかしながら、配線をすることができない領域(配線不可領域)を「単一の回路」が配置される「基板の一側縁部」に設けると共に、「複数の第1配線が2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路」とすることまでが周知のことであるとはいえない。
また、引用文献2-4にも、配線を経路の異なる2つの接続要素を構成するものとすることは、記載も示唆もされていない。
そして、配線不可領域を含まない引用発明において、「第2配線」を「2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路」のものとする、積極的な動機はない。
したがって、本願発明1は、相違点1及び相違点4を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
本願発明1-7は、「基板」の「前記一側縁部には部品を配置する配線不可領域が含まれ」、「前記複数の第1配線が2つの接続要素を構成し、前記2つの接続要素のうちの1つである基準接続要素と、前記2つの接続要素のうちの1つである分岐接続要素とが隣合い、前記分岐接続要素の経路が前記基準接続要素の経路から分岐し、前記基準接続要素は、前記一側縁部において前記配線不可領域と隣合う直線形状を有した経路を通り、前記分岐接続要素は、前記基準接続要素が通る経路から離れ、前記配線不可領域を折れ線状に迂回した後前記基準接続要素が通る経路に合流する経路を有」するものであり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2013-241822(P2013-241822)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 昌幸  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 山田 正文
稲葉 和生
発明の名称 透明導電性積層体、タッチパネル、および、表示装置  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
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