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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B41J
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1348571
審判番号 不服2017-19155  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-25 
確定日 2019-02-26 
事件の表示 特願2013-144367「画像形成システム、画像形成システム制御方法及び画像形成システム制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月29日出願公開、特開2015- 16602、請求項の数(27)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月10日の出願であって、平成29年7月14日付けで手続補正がされ、同年9月20日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成30年4月24日付けで拒絶理由通知(以下、「第1回当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年5月25日付けで手続補正がされ、同年7月9日付けで拒絶理由通知(以下、「第2回当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年8月24日付けで手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成29年9月20日付け拒絶査定)の拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 :1-30
・引用文献等:1-5
(独立請求項1、11、21に対しては、引用文献1及び5)

<引用文献等一覧>
1.特開2012-101477号公報
2.特開2007-41754号公報
3.特開2002-254762号公報(周知技術)
4.特開2005-246795号公報(周知技術)
5.特開2003-58351号公報(周知技術)


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1.第1回当審拒絶理由通知
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

本願発明の課題が「複数の画像形成装置が接続された画像形成システムにおいて、装置情報のリスト出力のための用紙の無駄と、複数の画像形成装置間での無駄なデータ転送とを回避しつつ、装置情報を効率的にリスト出力することを目的とする。」(【0014】参照。)であるところ、請求項1、11、及び21の「前記装置情報を前記用紙に画像形成する際には、各画像形成装置間で前記装置情報を転送する機能を有する」との特定だけでは、各画像形成装置間で無駄なデータ転送を回避するものではないし、装置情報のリスト出力のための用紙の無駄を回避するものでもないから、発明の課題を解決する手段が記載されてものではない。

2.第2回当審拒絶理由通知
(1)この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)について(請求項9、18、27に対して)
請求項9、18、27に係る発明が発明の詳細な説明に記載のどの実施例に対応するのかが不明である。
(2)について
ア.請求項2?5、8、9、11?14、17、18、20?23、26、27に対して
請求項2に「空白面が減少するよう」と記載されているが、画像形成の際の前提条件(どの様な画像形成情報をどのように用紙に画像形成するのか)、及び比較対象(どの様に画像形成した場合の空白面と比較して「空白面が減少する」のか)が何ら特定されていないから、「空白面が減少するよう」とはどのような技術的な意味であるのか不明である。
請求項11、請求項20についても同様。
イ.請求項8、9、17、18、26、27に対して
請求項8には「それぞれの前記記憶部にそれぞれの前記共通装置情報を記憶するよう管理する」と記載されているのに対し、請求項8が引用する請求項1には「いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し」と記載されている結果、「共通装置情報」の記憶場所に関して、上記請求項1の記載と請求項8の記載とは矛盾するものとなっている。
同様に、請求項10と請求項17、請求項19と請求項26とは、それぞれ、矛盾するものである。


第4 本願発明
本願の請求項1乃至27に係る発明は、平成30年8月24日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至27に記載された次のとおりのものと認められる。(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明27」という。)
「【請求項1】
用紙のいずれかの領域にそれぞれ画像形成することが可能に用紙の流れに沿って接続された複数の画像形成装置を備える画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置のそれぞれは、
各種情報を記憶する記憶部と、
該画像形成装置の画像形成に関する設定情報である装置情報を前記記憶部に記憶するよう管理する制御部と、
を備え、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記装置情報を前記用紙に画像形成する際には、各画像形成装置間で前記装置情報を転送する機能を有し、
前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、
いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合であって、前記用紙の一方の面において画像が形成されない面である空白面が生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうち前記空白面が生じない側の前記装置情報を前記空白面が生じる側に移して前記空白面が減少するよう前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、
前記装置情報が、前記複数の画像形成装置内の各々の前記記憶部において有効であるか無効であるかを示すテーブルを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記用紙の片面を使用して前記複数の画像形成装置の前記装置情報を画像形成して出力する際に、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記用紙に画像形成する前記画像形成装置に前記装置情報を集約するように、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記第1装置情報を用紙の両面に画像形成するのに続いて、前記第2装置情報を用紙の両面に画像形成する場合、
前記第1画像形成装置は、前記第1装置情報のうち、前記用紙第2面に形成すべきものを、前記第2画像形成装置に転送し、
前記第2画像形成装置は、前記第2装置情報のうち、前記用紙第1面に形成すべきものを、前記第1画像形成装置に転送する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合に、いずれか一方の面に画像が形成されない空白面が生じるか否かを判断し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記空白面が2頁以上生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの多い頁の画像の一部を、前記空白面側に移すことで前記空白面が減少するよう、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの少ない頁となる側の前記制御部は、転送された前記装置情報を、先頭頁として画像形成するように、画像形成する頁を入れ替えるよう制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
一方の前記画像形成装置を第1画像形成装置、他方の前記画像形成装置を第2画像形成装置とした場合に、
前記第1画像形成装置は各種操作を受け付ける操作部を備えて構成されており、
前記第1画像形成装置の前記制御部が、前記操作部からの入力に基づいて、該第1画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記第1画像形成装置の前記制御部と前記第2画像形成装置の前記制御部とは、前記操作部からの入力に基づいて、それぞれの前記記憶部にそれぞれの前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第2画像形成装置についての前記個別装置情報が入力された場合に、
前記第2画像形成装置の前記制御部は、前記第1画像形成装置の前記制御部の制御を受け、前記第2画像形成装置の前記記憶部に前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
用紙のいずれかの領域にそれぞれ画像形成することが可能に用紙の流れに沿って接続された複数の画像形成装置を備える画像形成システムを制御する画像形成システム制御方法であって、
前記複数の画像形成装置のそれぞれは、
各種情報を記憶する記憶部と、
該画像形成装置の画像形成に関する設定情報である装置情報を前記記憶部に記憶するよう管理する制御部と、
を備え、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記装置情報を前記用紙に画像形成する際には、各画像形成装置間で前記装置情報を転送する機能を有し、
前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、
前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、
いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する、
ことを特徴とする画像形成システム制御方法。
【請求項11】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合であって、前記用紙の一方の面において画像が形成されない面である空白面が生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうち前記空白面が生じない側の前記装置情報を前記空白面が生じる側に移して前記空白面が減少するよう前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項12】
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、
前記装置情報が、前記複数の画像形成装置内の各々の前記記憶部において有効であるか無効であるかを示すテーブルを有する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項13】
前記用紙の片面を使用して前記複数の画像形成装置の前記装置情報を画像形成して出力する際に、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記用紙に画像形成する前記画像形成装置に前記装置情報を集約するように、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項14】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記第1装置情報を用紙の両面に画像形成するのに続いて、前記第2装置情報を用紙の両面に画像形成する場合、
前記第1画像形成装置は、前記第1装置情報のうち、前記用紙第2面に形成すべきものを、前記第2画像形成装置に転送し、
前記第2画像形成装置は、前記第2装置情報のうち、前記用紙第1面に形成すべきものを、前記第1画像形成装置に転送する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項15】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合に、いずれか一方の面に画像が形成されない空白面が生じるか否かを判断し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記空白面が2頁以上生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの多い頁の画像の一部を、前記空白面側に移すことで前記空白面が減少するよう、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項16】
前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの少ない頁となる側の前記制御部は、転送された前記装置情報を、先頭頁として画像形成するように、画像形成する頁を入れ替えるよう制御する、
ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項17】
一方の前記画像形成装置を第1画像形成装置、他方の前記画像形成装置を第2画像形成装置とした場合に、
前記第1画像形成装置は各種操作を受け付ける操作部を備えて構成されており、
前記第1画像形成装置の前記制御部が、前記操作部からの入力に基づいて、該第1画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記第1画像形成装置の前記制御部と前記第2画像形成装置の前記制御部とは、前記操作部からの入力に基づいて、それぞれの前記記憶部にそれぞれの前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項16のいずれか一項に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項18】
前記第2画像形成装置についての前記個別装置情報が入力された場合に、
前記第2画像形成装置の前記制御部は、前記第1画像形成装置の前記制御部の制御を受け、前記第2画像形成装置の前記記憶部に前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項17に記載の画像形成システム制御方法。
【請求項19】
各種情報を記憶する記憶部と、画像形成に関する設定情報である装置情報を前記記憶部に記憶するよう管理する制御部とを備えた画像形成装置が、用紙のいずれかの領域にそれぞれ画像形成することが可能に用紙の流れに沿って画像形成システムとして接続され、この画像形成システムを制御するために、前記画像形成装置のコンピュータを機能させる画像形成システム制御プログラムであって、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記装置情報を前記用紙に画像形成する際には、各画像形成装置間で前記装置情報を転送する機能を有し、
前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、
いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する、
ことを特徴とする画像形成システム制御プログラム。
【請求項20】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合であって、前記用紙の一方の面において画像が形成されない面である空白面が生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうち前記空白面が生じない側の前記装置情報を前記空白面が生じる側に移して前記空白面が減少するよう前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項19に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項21】
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、
前記装置情報が、前記複数の画像形成装置内の各々の前記記憶部において有効であるか無効であるかを示すテーブルを有する、
ことを特徴とする請求項19乃至請求項20のいずれか一項に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項22】
前記用紙の片面を使用して前記複数の画像形成装置の前記装置情報を画像形成して出力する際に、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記用紙に画像形成する前記画像形成装置に前記装置情報を集約するように、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項19乃至請求項21のいずれか一項に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項23】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記第1装置情報を用紙の両面に画像形成するのに続いて、前記第2装置情報を用紙の両面に画像形成する場合、
前記第1画像形成装置は、前記第1装置情報のうち、前記用紙第2面に形成すべきものを、前記第2画像形成装置に転送し、
前記第2画像形成装置は、前記第2装置情報のうち、前記用紙第1面に形成すべきものを、前記第1画像形成装置に転送する、
ことを特徴とする請求項19乃至請求項21のいずれか一項に記載の画像形成システム制
御プログラム。
【請求項24】
前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、
前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合に、いずれか一方の面に画像が形成されない空白面が生じるか否かを判断し、
前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記空白面が2頁以上生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの多い頁の画像の一部を、前記空白面側に移すことで前記空白面が減少するよう、前記複数の画像形成装置間での前記装置情報の転送を制御する、
ことを特徴とする請求項19乃至請求項21のいずれか一項に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項25】
前記第1装置情報と前記第2装置情報のうちの少ない頁となる側の前記制御部は、転送された前記装置情報を、先頭頁として画像形成するように、画像形成する頁を入れ替えるよう制御する、
ことを特徴とする請求項24に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項26】
一方の前記画像形成装置を第1画像形成装置、他方の前記画像形成装置を第2画像形成装置とした場合に、
前記第1画像形成装置は各種操作を受け付ける操作部を備えて構成されており、
前記第1画像形成装置の前記制御部が、前記操作部からの入力に基づいて、該第1画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、
前記第1画像形成装置の前記制御部と前記第2画像形成装置の前記制御部とは、前記操作部からの入力に基づいて、それぞれの前記記憶部にそれぞれの前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項19乃至請求項25のいずれか一項に記載の画像形成システム制御プログラム。
【請求項27】
前記第2画像形成装置についての前記個別装置情報が入力された場合に、
前記第2画像形成装置の前記制御部は、前記第1画像形成装置の前記制御部の制御を受け、前記第2画像形成装置の前記記憶部に前記個別装置情報を記憶するよう管理する、
ことを特徴とする請求項26に記載の画像形成システム制御プログラム。」


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前である平成24年5月31日に頒布された刊行物である引用文献1(特開2012-101477号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同じ。)
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙の表裏を分担して画像形成することが可能に複数の画像形成装置が直列に接続された画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
画像形成を担当する頁の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記画像データを用いて画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像形成する頁の追加もしくは削除があった場合には、前記追加された頁もしくはその隣接頁、あるいは前記削除された隣接頁の最大1頁の画像データを複数の画像形成装置間で移動すると共に、各画像形成装置における表裏の担当を変更する、
ことを特徴とする画像形成システム。」
(2)「【0042】
画像形成装置300は、画像形成装置300内の各部を制御する制御部301と、接続されている他の装置と通信するための通信部302と、利用者による操作入力と画像形成装置300の状態とを行う操作表示部305と、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する記憶部330と、画像形成に必要な各種画像処理を実行する画像処理部340と、画像形成命令と画像データとに基づいて画像形成を実行する画像形成部350と、を備えて構成されている。」
(3)「【0054】
また、以下の具体例では、画像形成装置100の操作者が操作表示部105から頁編集に関する各種操作を行うものとするが、画像形成装置300の操作者が操作表示部305から頁編集に関する各種操作を行うことも可能である。また、以下の具体例では、画像形成装置100の制御部101が、画像形成システム全体を制御するものとするが、画像形成装置300の制御部301システム全体を制御することも可能である。
【0055】
また、以下の具体例では、装置情報において、前段の画像形成装置100を装置1、後段の画像形成装置300を装置2と称する。
【0056】
まず、画像形成装置100と画像形成装置300とが担当頁の画像データをそれぞれの記憶部に記憶した状態で画像形成実行開始前であるとする。この場合、たとえば、図6に示されるジョブテーブルが存在している。」
(4)「【0059】
この状態において、操作者が操作表示部105から、頁追加あるいは頁削除といった頁編集の操作を行う。この場合、画像形成しようとする一連の画像データ(ジョブ)の何頁目の位置に、所望の頁の画像データを追加あるいは削除する、といった操作を行う。この場合、追加する頁の画像データは、記憶部130に既に記憶されているものであってもよいし、この時点で外部から入力されるものであってもよい。」
(5)「【0082】
以上のようにして、装置情報の修正とモード情報の修正(図4中のステップS109、図5全体)を終了すると、制御部101は、装置情報の修正(図5中のステップS204)に従って移動が必要になる画像データについて画像形成装置間で移動を行う(図4中のステップS110)。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「記録紙の表裏を分担して画像形成することが可能に複数の画像形成装置が直列に接続された画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
画像形成を担当する頁の画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記画像データを用いて画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像形成する頁の追加もしくは削除があった場合には、前記追加された頁もしくはその隣接頁、あるいは前記削除された隣接頁の最大1頁の画像データを複数の画像形成装置間で移動すると共に、各画像形成装置における表裏の担当を変更する、
画像形成システム。」

2.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前である平成15年2月28日に頒布された刊行物である引用文献5(特開2003-58351号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ネットワークを介して接続されている単数または複数の画像形成装置の管理が可能な画像形成管理装置において、
前記ネットワークを介して接続されている画像形成装置を仮想装置情報として取得し、仮想装置画面として表示する仮想装置表示手段と、
前記画像形成装置のメンテナンス、マニュアルなどの情報を取得し、装置情報として格納する装置情報格納手段と、
前記仮想装置表示手段によって表示された仮想装置画面に基づいて、前記装置情報格納手段に格納されている装置情報に対する情報取得要求の入力をする要求入力手段と、
前記要求入力手段によって入力された情報取得要求に基づいて、該当する装置情報を前記装置情報格納手段から抽出し、前記仮想装置画面上に提示する装置情報提示手段と、を備え、
前記要求入力手段によってメンテナンス、マニュアルに関する情報の取得要求が入力された場合、前記装置情報提示手段は、前記仮想装置画面上に当該画像形成装置のメンテナンス、マニュアルに関する情報を提示することを特徴とする画像形成管理装置。

【請求項4】 前記装置情報格納手段が前記複数の画像形成装置に関する装置情報を格納している場合、前記装置情報格納手段内の複数の装置情報を地域、会社、業種などのカテゴリ別に分類し、カテゴリ別装置情報として格納する分類情報格納手段と、
前記分類情報格納手段に格納されているカテゴリ別装置情報を提示し、取得要求対象のカテゴリの選択を促すカテゴリ選択手段と、
前記カテゴリ選択手段によって取得要求対象のカテゴリが選択された場合、前記分類情報格納手段から該当するカテゴリ内のカテゴリ別装置情報を抽出し、前記仮想装置画面上に表示するカテゴリ別装置情報表示手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の画像形成管理装置。
【請求項5】 前記カテゴリ別装置情報表示手段によって表示されたカテゴリ別装置情報に基づいて、当該カテゴリ別装置情報を前記画像形成装置において画像形成するか、または、前記仮想装置画面上に仮想排紙するかどうかの選択指示を促す印刷指示選択手段と、
前記印刷指示選択手段によって前記画像形成装置において画像形成すると選択された場合、当該カテゴリ別装置情報を前記画像形成装置に転送するカテゴリ別装置情報転送手段と、
前記印刷指示選択手段によって前記仮想装置画面上に仮想排紙すると選択された場合、当該カテゴリ別装置情報を前記仮想装置画面上に印刷結果として仮想排紙する仮想排紙手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の画像形成管理装置。」
(2)「【0025】次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係る画像形成管理システムの概念を示した図である。なお、説明上、第1の実施形態と同様の部分には同じ番号を付して、説明を省略する。図7に示されるように、第2の実施形態の画像形成管理システムは、本発明の一実施形態としてのWeb管理サーバー100を備え、このWeb管理サーバー100にネットワーク200を介して、複数のPC端末300、300a、300b、300cと、LP(画像形成装置)400、400a、400b、400cとが接続されている。第2の実施形態の画像形成管理システムでは、ネットワーク200上のLP情報をカテゴリ別にデータベース化し、ユーザやLP所有者からの要求に応じて、データベース化した情報を配信する(以下、ネット配信サービスという)実施形態である。なお、配信する情報としては、ネットワーク200上の他のLPで印刷されたページ情報、LP設定情報などがあげられる。なお、カテゴリとは地域、業種、会社の規模などをいうものとする。」

したがって、上記引用文献5には次の技術事項(以下、「引用文献5に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「ネットワークを介して接続されている単数または複数の画像形成装置の管理が可能な画像形成管理装置において、
前記ネットワークを介して接続されている画像形成装置を仮想装置情報として取得し、仮想装置画面として表示する仮想装置表示手段と、
前記画像形成装置のメンテナンス、マニュアルなどの情報を取得し、装置情報として格納する装置情報格納手段と、
前記仮想装置表示手段によって表示された仮想装置画面に基づいて、前記装置情報格納手段に格納されている装置情報に対する情報取得要求の入力をする要求入力手段と、
前記要求入力手段によって入力された情報取得要求に基づいて、該当する装置情報を前記装置情報格納手段から抽出し、前記仮想装置画面上に提示する装置情報提示手段と、を備え、
前記要求入力手段によってメンテナンス、マニュアルに関する情報の取得要求が入力された場合、前記装置情報提示手段は、前記仮想装置画面上に当該画像形成装置のメンテナンス、マニュアルに関する情報を提示し、
前記装置情報格納手段が前記複数の画像形成装置に関する装置情報を格納している場合、前記装置情報格納手段内の複数の装置情報を地域、会社、業種などのカテゴリ別に分類し、カテゴリ別装置情報として格納する分類情報格納手段と、
前記分類情報格納手段に格納されているカテゴリ別装置情報を提示し、取得要求対象のカテゴリの選択を促すカテゴリ選択手段と、
前記カテゴリ選択手段によって取得要求対象のカテゴリが選択された場合、前記分類情報格納手段から該当するカテゴリ内のカテゴリ別装置情報を抽出し、前記仮想装置画面上に表示するカテゴリ別装置情報表示手段と、をさらに備え、
前記カテゴリ別装置情報表示手段によって表示されたカテゴリ別装置情報に基づいて、当該カテゴリ別装置情報を前記画像形成装置において画像形成するか、または、前記仮想装置画面上に仮想排紙するかどうかの選択指示を促す印刷指示選択手段と、
前記印刷指示選択手段によって前記画像形成装置において画像形成すると選択された場合、当該カテゴリ別装置情報を前記画像形成装置に転送するカテゴリ別装置情報転送手段と、
前記印刷指示選択手段によって前記仮想装置画面上に仮想排紙すると選択された場合、当該カテゴリ別装置情報を前記仮想装置画面上に印刷結果として仮想排紙する仮想排紙手段と、をさらに備えた画像形成管理装置。」


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「記録紙」、「画像形成すること」、「複数の画像形成装置」、「画像形成システム」、及び「記憶部」は、それぞれ、前者の「用紙」、「画像形成すること」、「複数の画像形成装置」、「画像形成システム」、及び「記憶部」に相当する。
後者の「記録紙の表裏」は、記録紙の表面及び裏面を意味し、画像形成することが可能な領域を備えているといえるから、後者の「記録紙の表裏」は、前者の「用紙のいずれかの領域」に相当する。
後者の「複数の画像形成装置」は、直列に接続されているものであるから、「用紙の流れに沿って接続された」ものといえる。
前者の「装置情報」とは、「画像形成装置の画像形成に関する設定情報」であって、本願明細書を参酌すると、「画像形成に対する各部の電圧や濃度や位置等の調整値、各部の使用状況や通紙枚数をカウントしたカウント値、場所毎のトラブル発生履歴、など」(【0003】参照。)が含まれているものであるのに対し、後者の「画像データ」とは、「画像形成しようとする一連の画像データ(ジョブ)」(上記「第5 1.(4)」参照。)であるから、前者の「装置情報」と、後者の「画像データ」とは、上記概念である「情報」という意味で共通するにすぎない。
なお、前者の「各種情報」と、後者の「画像データ」とを対比したとしても、前者の「各種情報」は、「複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報」と、「複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報」とが包含されるものであるのに対して、後者の「画像データ」は、そのような情報を包含するものとはいえないから、前者の「各種情報」と、後者の「画像データ」とは、相当するものではない。
そして、後者の「画像形成システム」は、画像データを複数の画像形成装置間で移動するものであって、「各画像形成装置間で情報を転送する機能を有している」といえるにすぎず、各画像形成装置間で各種情報(装置情報)を転送するものではないから、前者の「画像形成システム」と、後者の「画像形成システム」とは、相当するものではない。
また、前者の「制御部」とは、「画像形成装置の装置情報を前記記憶部に記憶するよう管理する」ものであるのに対し、後者の「制御部」は、「画像形成する頁の追加もしくは削除があった場合には、前記追加された頁もしくはその隣接頁、あるいは前記削除された隣接頁の最大1頁の画像データを複数の画像形成装置間で移動すると共に、各画像形成装置における表裏の担当を変更する」ものであって、両者は、「制御部」との表現で一致するものの、その機能において、何ら共通するものはないから、前者の「制御部」と、後者の「制御部」とは、相当するものではない。

したがって、両者は、
「用紙のいずれかの領域にそれぞれ画像形成することが可能に用紙の流れに沿って接続された複数の画像形成装置を備える画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置のそれぞれは、
情報を記憶する記憶部と、
を備え、
各画像形成装置間で前記情報を転送する機能を有する、
画像形成システム。」
の点で一致しているにすぎず、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明1が、「各種」情報を記憶する記憶部と、「該画像形成装置の画像形成に関する設定情報である装置情報を前記記憶部に記憶するよう管理する制御部と」、を備え、「前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部は、前記装置情報を前記用紙に画像形成する際には」、各画像形成装置間で前記「装置」情報を転送する機能を有し、「前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する」ものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について、以下、検討する。
引用文献5に記載の技術事項の「装置情報」とは、「画像形成装置のメンテナンス、マニュアルなどの情報」であって、本願発明1の「画像形成装置の画像形成に関する設定情報」とは異なるものである。
仮に、引用文献5に記載の技術事項の「装置情報」と、本願発明1の「画像形成装置の画像形成に関する設定情報」とが、「画像形成装置に関する設定情報」との概念で共通するものであるとしても、引用文献5に記載の技術事項の「装置情報」は、本願発明1の「複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報」、及び「複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報」とは相違するものである。
さらに、引用文献5に記載の技術事項は、カテゴリ別装置情報を画像形成装置に転送する画像形成管理装置であって、画像形成装置と画像形成管理装置間で装置情報を転送するものであって、本願発明1の画像形成装置間で装置情報を転送するものとは相違するものである。
そして、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、原査定の他の引用文献のいずれにも示されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「複数の画像形成装置間での無駄なデータ転送を回避することが可能になり、装置情報を効率的にリスト出力することが可能になる。」(【0028】参照。)という作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献5に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.本願発明2乃至27について
本願発明2乃至9は、本願発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明2乃至9は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2乃至5に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、本願発明10は、本願発明1に対応する画像形成システム制御方法の発明であり、本願発明19は、本願発明1に対応する画像形成システム制御プログラムの発明であるから、本願発明10及び19は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2乃至5に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明11乃至18は、本願発明10の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明11乃至18は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2乃至5に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本願発明20乃至27は、本願発明19の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明20乃至27は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2乃至5に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第7 原査定についての判断
平成30年5月25日付けの補正により、補正後の請求項1乃至請求項27に係る発明は「前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する」という技術的事項を有するものとなった。
前記技術事項は、原査定における引用文献1乃至引用文献5のいずれにも記載されておらず、本願の出願日前における周知技術でもないので、本願発明1乃至27は、当業者であっても、原査定における引用発明1及び引用文献2乃至5に記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものとすることはできない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由について
1.特許法第36条第6項第1号について(第1回当審拒絶理由通知)
平成30年5月25日付けの補正により、補正後の請求項1乃至請求項27が「前記装置情報として、前記複数の画像形成装置で共通して使用される共通装置情報と、前記複数の画像形成装置それぞれで個別に使用される個別装置情報とが設けられ、いずれか1の前記画像形成装置に備えられた前記制御部が、該画像形成装置内の前記記憶部に前記共通装置情報を記憶するよう管理し、前記複数の画像形成装置それぞれに備えられた前記制御部が、それぞれの画像形成装置内の前記記憶部に前記個別装置情報を個別に記憶するよう管理する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2.特許法第36条第4項第1号について(第2回当審拒絶理由通知)
平成30年8月24日付けの補正により、補正後の請求項9に「第1画像形成装置の制御部の制御を受け」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
請求項18及び27についても同様である。

3.特許法第36条第6項第2号について(第2回当審拒絶理由通知)
(1)請求項2?5、8、9、11?14、17、18、20?23、26、27について
平成30年8月24日付けの補正により、補正後の請求項2が「前記用紙の第1面に画像形成する前記画像形成装置を第1画像形成装置、前記用紙の第2面に画像形成する前記画像形成装置を第2画像形成装置、前記第1画像形成装置の前記装置情報を第1装置情報、前記第2画像形成装置の前記装置情報を第2装置情報として、前記複数の画像形成装置のいずれかの前記制御部は、前記第1装置情報を用紙の第1面に画像形成し前記第2装置情報を用紙の第2面に画像形成する場合であって、前記用紙の一方の面において画像が形成されない面である空白面が生じる場合には、前記第1装置情報と前記第2装置情報のうち前記空白面が生じない側の前記装置情報を前記空白面が生じる側に移して前記空白面が減少するよう前記装置情報の転送を制御する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
請求項3?5、8、9、11?14、17、18、20?23、26、27についても同様である。

(2)請求項8、9、17、18、26、27について
平成30年8月24日付けの補正により、補正後の請求項8が「それぞれの記憶部にそれぞれの個別装置情報を記憶するよう管理する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
請求項9、17、18、26、27についても同様である。


第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-13 
出願番号 特願2013-144367(P2013-144367)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41J)
P 1 8・ 537- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岡▲崎▼ 輝雄  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 画像形成システム、画像形成システム制御方法及び画像形成システム制御プログラム  
代理人 特許業務法人信友国際特許事務所  

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