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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F16L
管理番号 1348591
審判番号 不服2018-4363  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-02 
確定日 2019-02-26 
事件の表示 特願2017- 5893号「不断流式の流路閉塞装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年5月18日出願公開,特開2017- 83019号,請求項の数(10)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯の概略
本願は,平成25年9月11日に出願された特願2013-188626号の一部を,平成29年1月17日に新たな特許出願としたものであって,平成29年2月14日に手続補正書が提出され,平成29年11月6日付けで拒絶の理由が通知され,平成29年12月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが,平成30年1月12日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し,平成30年4月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され,平成30年10月22日付けで拒絶の理由が通知され,平成30年11月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?10に係る発明(以下,請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は,平成30年11月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1?10は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
流体管に形成されている分岐口を介して前記流体管内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記流体管の管内流路を閉止する閉塞バッグを備えた不断流式の流路閉塞装置であって,
前記分岐口に連通し弁部材を有する分岐管部に着脱自在に接続される密閉ケースと,
密封状態を維持したまま前記分岐管部の軸芯に沿って前記密閉ケースの内部に貫設され,内部に通流路を備えた軸と,
前記軸の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される拡径用流体により拡径側に弾性膨張変形自在な前記閉塞バッグと,
前記流体管内の流体圧に抗して前記軸を押し込み移動させる押込み操作手段と,
前記軸の先端部又は前記閉塞バッグの基端部位に固設された軸芯調整部とを備え,
前記閉塞バッグの前記基端部位は,前記通流路に連通する流体給排路を含む口金部材が前記軸芯調整部の内部に位置するように固設されていると共に,前記口金部材よりも径方向外側の部位が前記軸芯調整部の先端面と近接しており,
前記押込み操作手段により前記軸と共に移動した前記閉塞バッグが所定の管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部が前記流体管の径方向において前記分岐口に対応する箇所に位置するように規制する挿入位置規制手段が,前記軸の外周面から径方向外方側に突出形成されており,
前記挿入位置規制手段は,前記閉塞バッグが前記管内流路の閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部の先端と前記分岐口における前記流体管の径方向内方側端とが,前記流体管の径方向において同一位置に位置するように規制する不断流式の流路閉塞装置。
【請求項2】
前記軸芯調整部および縮小した状態の前記閉塞バッグが内部に収容され,前記軸と共に移動可能な状態で前記密閉ケース内に挿入された挿入ガイド筒をさらに備え,
前記押込み操作手段により移動した前記挿入ガイド筒の先端部の少なくとも一部が前記分岐口の外面側周縁部に当接しており,
前記押込み操作手段により前記挿入ガイド筒内から移動した前記閉塞バッグが前記管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記挿入位置規制手段が前記挿入ガイド筒の底部に当接するように構成されている請求項1に記載の不断流式の流路閉塞装置。
【請求項3】
流体管に形成されている分岐口を介して前記流体管内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記流体管の管内流路を閉止する閉塞バッグを備えた不断流式の流路閉塞装置であって,
前記分岐口に連通し弁部材を有する分岐管部に着脱自在に接続される密閉ケースと,
密封状態を維持したまま前記分岐管部の軸芯に沿って前記密閉ケースの内部に貫設され,内部に通流路を備えた軸と,
前記軸の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される拡径用流体により拡径側に弾性膨張変形自在な前記閉塞バッグと,
前記流体管内の流体圧に抗して前記軸を押し込み移動させる押込み操作手段と,
前記軸の先端部又は前記閉塞バッグの基端部位に固設された軸芯調整部と,
前記軸芯調整部および縮小した状態の前記閉塞バッグが内部に収容され,前記軸と共に移動可能な状態で前記密閉ケース内に挿入された挿入ガイド筒とを備え,
前記閉塞バッグの前記基端部位は,前記通流路に連通する流体給排路を含む口金部材が前記軸芯調整部の内部に位置するように固設されていると共に,前記口金部材よりも径方向外側の部位が前記軸芯調整部の先端面と近接しており,
前記押込み操作手段により前記軸と共に移動した前記閉塞バッグが所定の管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部が前記流体管の径方向において前記分岐口に対応する箇所に位置するように規制する挿入位置規制手段が,前記軸の外周面から径方向外方側に突出形成されており,
前記密閉ケースが,少なくとも前記挿入ガイド筒と前記挿入ガイド筒内から移動した状態の前記閉塞バッグとを収容可能な長さを有する内部空間を備えており,
前記挿入位置規制手段は,前記閉塞バッグが前記管内流路の閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部の先端と前記分岐口における前記流体管の径方向内方側端とが,前記流体管の径方向において同一位置に位置するように規制する不断流式の流路閉塞装置。
【請求項4】
流体管に形成されている分岐口を介して前記流体管内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記流体管の管内流路を閉止する閉塞バッグを備えた不断流式の流路閉塞装置であって,
前記分岐口に連通する状態で前記流体管に一体形成される装着口部と前記装着口部に装着される弁部材とを有する分岐管部に着脱自在に接続される密閉ケースと,
密封状態を維持したまま前記分岐管部の軸芯に沿って前記密閉ケースの内部に貫設され,内部に通流路を備えた軸と,
前記軸の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される拡径用流体により拡径側に弾性膨張変形自在な前記閉塞バッグと,
前記流体管内の流体圧に抗して前記軸を押し込み移動させる押込み操作手段と,
前記軸の先端部又は前記閉塞バッグの基端部位に固設された軸芯調整部とを備え,
前記閉塞バッグの前記基端部位は,前記通流路に連通する流体給排路を含む口金部材が前記軸芯調整部の内部に位置するように固設されていると共に,前記口金部材よりも径方向外側の部位が前記軸芯調整部の先端面と近接しており,
前記押込み操作手段により前記軸と共に移動した前記閉塞バッグが所定の管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部が前記流体管の径方向において前記分岐口に対応する箇所に位置するように規制する挿入位置規制手段が,前記軸の外周面から径方向外方側に突出形成されており,
前記挿入位置規制手段は,前記閉塞バッグが前記管内流路の閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部の先端と前記分岐口における前記流体管の径方向内方側端とが,前記流体管の径方向において同一位置に位置するように規制する不断流式の流路閉塞装置。
【請求項5】
前記軸芯調整部および縮小した状態の前記閉塞バッグが内部に収容され,前記軸と共に移動可能な状態で前記密閉ケース内に挿入された挿入ガイド筒をさらに備え,
前記押込み操作手段により移動した前記挿入ガイド筒の先端部の少なくとも一部が前記装着口部に形成された被当接部に当接しており,
前記押込み操作手段により前記挿入ガイド筒内から移動した前記閉塞バッグが前記管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記挿入位置規制手段が前記挿入ガイド筒の底部に当接している請求項4に記載の不断流式の流路閉塞装置。
【請求項6】
流体管に形成されている分岐口を介して前記流体管内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記流体管の管内流路を閉止する閉塞バッグを備えた不断流式の流路閉塞装置であって,
前記分岐口に連通する状態で前記流体管に一体形成される装着口部と前記装着口部に装着される弁部材とを有する分岐管部に着脱自在に接続される密閉ケースと,
密封状態を維持したまま前記分岐管部の軸芯に沿って前記密閉ケースの内部に貫設され,内部に通流路を備えた軸と,
前記軸の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される拡径用流体により拡径側に弾性膨張変形自在な前記閉塞バッグと,
前記流体管内の流体圧に抗して前記軸を押し込み移動させる押込み操作手段と,
前記軸の先端部又は前記閉塞バッグの基端部位に固設された軸芯調整部と,
前記軸芯調整部および縮小した状態の前記閉塞バッグが内部に収容され,前記軸と共に移動可能な状態で前記密閉ケース内に挿入された挿入ガイド筒とを備え,
前記閉塞バッグの前記基端部位は,前記通流路に連通する流体給排路を含む口金部材が前記軸芯調整部の内部に位置するように固設されていると共に,前記口金部材よりも径方向外側の部位が前記軸芯調整部の先端面と近接しており,
前記押込み操作手段により前記軸と共に移動した前記閉塞バッグが所定の管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部が前記流体管の径方向において前記分岐口に対応する箇所に位置するように規制する挿入位置規制手段が,前記軸の外周面から径方向外方側に突出形成されており,
前記密閉ケースが,少なくとも前記挿入ガイド筒と前記挿入ガイド筒内から移動した状態の前記閉塞バッグとを収容可能な長さを有する内部空間を備えており,
前記挿入位置規制手段は,前記閉塞バッグが前記管内流路の閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部の先端と前記分岐口における前記流体管の径方向内方側端とが,前記流体管の径方向において同一位置に位置するように規制する不断流式の流路閉塞装置。
【請求項7】
前記挿入ガイド筒の先端部には,前記挿入ガイド筒の外径側部位よりも内径側部位が先端側に突出形成された段部を有し,
前記押込み操作手段により移動した前記挿入ガイド筒は,前記外径側部位の少なくとも一部が前記分岐口の外面側周縁部に当接しており,且つ,前記内径側部位の少なくとも一部が前記分岐口に内嵌している請求項2又は3に記載の不断流式の流路閉塞装置。
【請求項8】
前記密閉ケースが,少なくとも前記挿入ガイド筒と前記挿入ガイド筒内から移動した状態の前記閉塞バッグとを収容可能な長さを有する内部空間を備えている請求項2又は5に記載の不断流式の流路閉塞装置。
【請求項9】
前記閉塞バッグが,前記分岐管部の軸芯に沿って前記流体管の管内流路における前記管内流路閉塞位置に挿入された後,前記流体管の管軸芯方向及び径方向外方側に弾性膨張変形自在に構成されて,前記閉塞バッグが弾性膨張変形することにより,前記流体管の内周面における前記分岐口の内面側周縁部を閉塞する状態で,前記流体管の管内流路を閉止するように構成されている請求項1?8の何れか一項に記載の不断流式の流路閉塞装置。
【請求項10】
前記閉塞バッグの外周面において,前記管軸芯方向における前記軸の両側に位置する箇所には,前記閉塞バッグが弾性膨張変形した際に,前記流体管の内周面に対して周方向の全周に亘って圧接して前記閉塞バッグを摩擦保持する環状シール部が突設されている請求項9に記載の不断流式の流路閉塞装置。」

第3 原査定の概要
原査定(平成30年1月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。すなわち,平成30年11月5日提出の手続補正書による補正前の請求項1,4,8,10,11に係る発明(本願発明1,4,9,10)は,以下の引用文献1?4に記載された発明に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
なお,同請求項3,6に係る発明(本願発明3,6)について,以下の引用文献1?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである旨の付言がある。
(引用文献)
1 米国特許第1860855号明細書
2 特開平8-75077号公報
3 特開2013-130244号公報
4 特許第2760674号公報
5 米国特許第3842864号明細書

第4 当審にて通知した拒絶の理由の概要
当審にて通知した拒絶の理由の概要は次のとおりである。すなわち,請求項1,3,4,6において,「軸芯調整部」と「閉塞バッグ」の位置関係に係る記載が明確でなく,構成を明確に把握することができないから,請求項1?10に係る発明は明確でない。よって,本願は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第5 対比及び判断
1 引用文献,引用発明等
(1) 引用文献1
ア 引用文献1には,以下の事項が記載されている。
・「In carrying out my invention as herein shown, I employ a bag-housing 10 consisting of a metal cylinder large enough to receive the bag 11 when it is collapsed, the said housing and bag being adapted in size to the size of the gas-main 12. The bag, which may be of any approved construction and which consists, as shown, of a rubber-body 13 having a canvas cover 14, is formed with a neck 15 which is clamped by a clip 16 upon the lower end of an air-pipe 17 thereto provided with a plurality of grooves 18 into which the material of the neck is forced, as shown in Fig. 5, by the constriction of the clamp. 」(1頁44?57行)
(本明細書に示す本発明を実施する際には,バッグ11が折り畳まれたときにバッグ11を収容するのに十分な大きさの金属製シリンダからなるバッグハウジング10を使用し,前記ハウジング及びバッグは,ガス本管12の大きさに合わせて寸法決めされる。バッグは,任意の承認された構造であってよく,そして図示されるようにキャンバスカバー14を有するゴム体13からなり,空気パイプ17の下端にクリップ16によって締め付けられている首部15で形成されている。そこには,図5に示すように,クランプの狭窄部によって首部の材料が押し込まれる複数の溝18が設けられている。)
・「The lower end of the cylindrical bag-housing 10 is externally threaded to adapt it to be screwed into a threaded hole 19 tapped in the gas-main at the point therein where the bag is to be introduced. After the removal of the "stopper," as such devices are commonly spoken of, this "tapping," so called, is closed by means of any suitable plug in the ordinary manner.」(1頁58?66行)
(円筒形のバッグハウジング10の下端部は,バッグが導入されるべき箇所のガス本管の中でタップされたねじ穴19にねじ込まれるように適合されるように雄ねじが切られている。そのような装置が一般的にいわれているように,「ストッパ」の除去後,いわゆる「タッピング」は,通常の方法で任意の適切なプラグによって閉じられる。)
・「The upper end of the said housing 10 is threaded for the application of a threaded domical cap 20 forming a bearing for a plunger 21 which projects beyond it for a sufficient distance to provide for the play required for the ejection of the gas-bag into the gas-main. Near its inner end the plunger is threaded for the application of a packing-ring 22 held in place by nuts 23 located on opposite sides of it, this packing-ring preventing the escape of gas from the housing in the use of the "stopper." The outer end of the air-pipe 17 aforesaid projects beyond the outer end of the plunger and is provided with a T 24 carrying a pressure-gauge 25 of any approved construction and having a nipple 26 containing any suitable air-valve 27 and providing for the attachment of a tube leading to any source of supply of gas under pressure for the inflation of the gas-bag. 」(1頁67?86行)
(前記ハウジング10の上端部は,ガス本管内へのガスバッグの排出に必要な遊びを提供するために十分な距離にわたって突出するプランジャ21用の軸受を形成するねじ付きドーム状キャップ20の適用のためにねじ切りされている。その内側端部近くで,その両側に配置されたナット23によって定位置に保持されたパッキンリング22の適用のために,プランジャにねじが切られている。このパッキンリングは,「ストッパ」の使用においてハウジングからのガスの漏出を防止する。前述の空気パイプ17の外側端部は,プランジャの外側端部を越えて突出し,任意の承認された構造の圧力計25を担持し,任意の適切な空気弁27を含むニップル26を有し,ガスバッグの膨張のための加圧下のガス源に通じるチューブの取付けを提供する,T24を備える。)
・「The neck 15 of the bag 11 receives a rubber-tube 28 which is directly clamped upon the grooved end of the air-pipe 17 by the clip 16 before described, as shown in Fig. 5, the said clamp also clamping the said neck upon the pipe through the intermediary of the said tube. The tube 28, which thus virtually forms an extension of the bag, surrounds the air-pipe 17 nearly throughout its length and fits within the plunger 21, its projecting outer end being provided with a clamp 29 acting as a stop to prevent the air-pipe from being forced through the plunger when the same is forced through the housing in injecting the bag into the gas-main. A stop-collar 30 mounted upon the plunger provides for limiting its inward movement with respect to the housing 10. To prevent any escape of gas through the plunger, I employ, as shown, a packing 3l applied over the lower end of the rubber-tube 28.」(1頁87行?2頁7行)
(バッグ11の首部15は,図5に示すように,前述のクリップ16によって空気パイプ17の溝付き端部に直接締め付けられたゴム管28を受容し,前記締め付け具はまた,前記首部を前記管を介して前記パイプ上に締め付ける。このように実質的にバッグの延長部を形成するチューブ28は,その長さ全体にわたって空気パイプ17を取り囲み,プランジャ21内に嵌合し,その突出する外側端部には,空気パイプがハウジングを通してガス本体内に押し込まれるときに空気パイプがプランジャを通って押し込まれるのを防止するためのストッパとして作用するクランプ29が設けられている。プランジャに取り付けられたストップカラー30は,ハウジング10に対するその内側への移動を制限するために設けられている。プランジャを通るガスの漏れを防止するために,図示のように,ゴム管28の下端部上にパッキン31が適用されている。)
・「In the use of my improved device, the bag is normally housed entirely within the housing l0, where it is fully protected against injury in the transportation and handling of the "stopper," and also provides for that convenience of introducing the bag into the gas-main which constitutes the outstanding novelty and advantage of my invention.」(2頁8?15行)
(本発明の改良された装置の使用において,バッグは,通常,ハウジング10内に完全に収容され,ここでは,「ストッパ」の輸送および取扱いにおける損傷から完全に保護され,また,本発明の卓越した新規性および利点を構成する,ガス本管内へバッグを導入する便宜を提供する。)
・「In using the device, a hole is tapped at the desired point in the gas-main and the housing quickly screwed into it. The housing having been firmly mounted in the tapping as described, the plunger is forced downward in the housing until stopped by the collar 30 carried by it. At this time the bag is forced out of the housing into the main without any abrasion whatever of the bag, since its full course from the housing into the main is protected. When the bag has been forced into the main as described, air under pressure is applied to the nipple 26, whereby the bag is inflated until it fully fills the main, as shown in Fig.4, so as to constitute a complete stop for the gas flowing through the same. It will be understood that the pressure of air introduced into the bag must be sufficient to expand it against the pressure of gas within the main. After the bag has been fully expanded it is sealed by the valve 27, or in any other convenient manner.」(2頁16?38行)
(装置を使用する際には,ガス本管の所望の箇所に穴を開け,ハウジングをそれに素早くねじ込む。上述のようにハウジングはタッピングにしっかりと取り付けられているので,プランジャはそれによって支持されているカラー30によって停止されるまでハウジング内を下方に押しやられる。この時点で,バッグは,ハウジングから本管へのその全経路が保護されているので,バッグが如何なるものであっても摩耗することなく,ハウジングから本管へ押し出される。バッグが上述のように本管内に押し込まれると,加圧空気がニップル26に加えられ,それによって図4に示すようにバッグが本管を完全に満たすまで膨張させられて,バッグは流れるガスの完全な停止を構成する。バッグ内に導入される空気の圧力は,本管内のガスの圧力に対してバッグを膨張させるのに十分でなければならないことが理解されるであろう。バッグが完全に拡張された後,それはバルブ27によって,または他の任意の便利な方法でシールされる。)
・「When the bag is introduced into the main, it may be displaced one way or the other out of center, as shown in Fig. 4, according to the direction in which the gas is flowing through the same, and dependent upon the pressure of the gas.」(2頁39?44行)
(バッグが本管内に導入されると,ガスが流れる方向に従って,ガスの圧力に依存して,図4に示されるように,バッグは一方向または他方向に偏心して変位することがある。)
イ 上記の記載及び図面の記載からみて,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「ガス本管12に形成されているねじ穴19を介して前記ガス本管12内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記ガス本管12の管内流路を閉止するバッグ11を備えたガス本管用のストッパであって,
前記ねじ穴19に着脱自在に接続されるバッグハウジング10及びドーム状キャップ20と,
密封状態を維持したまま前記ねじ穴19の軸芯に沿って前記バッグハウジング10及びドーム状キャップ20の内部に貫設され,内部に通流路を備えた空気パイプ17を有するプランジャ21と,
前記空気パイプ17の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される加圧空気により拡径側に弾性膨張変形自在な前記バッグ11と,
前記プランジャ21の先端部に固設されたパッキングリング22とを備え,
前記空気パイプ17及びプランジャ21と共に移動した前記バッグ11が所定の管内流路閉塞位置に位置する状態で,プランジャ21の位置を規制するストップカラー30が,前記空気パイプ17の外周面から径方向外方側に突出形成されているガス本管用のストッパ。」

(2) 引用文献2?5
ア 引用文献2には,以下の事項が記載されている。
・「【0010】そこで,図1に示した如く破損箇所に接近した配管P_(1)の上流側と下流側に不断水継手1を接続する。不断水継手1はサドル継手11の分岐部12にボールバルブ13を内蔵した継手14を接続したものであって,前記サドル継手11と半割状のサドル17とで配管P_(1)を上下から挾持すると共に,それぞれの端縁に設けたフランジにボルトを挿通して配管P_(1)の外周面に固定する。
【0011】次に,不断水継手1にカッター装置2を取付ける。カッター装置2はキャップ21に軸棒22を気密に嵌挿したものであって,該軸棒22の下端部にはカッター23が設けられている。このカッター装置2のキャップ21を継手14の上端に螺合し,軸棒22を開口したボールバルブ13に挿通して垂下させる。そこで,軸棒22を回転させてその下端部に設けたカッター23で配管P_(1)の管壁に貫通孔Hを穿設し,ねじ切り部231で貫通孔Hに雌ねじを設ける。この様にして配管P_(1)に貫通孔Hと雌ねじを設けてから軸棒22を上方に引き上げ,カッター23がボールバルブ13より上方にきたとき,ボールバルブ13を閉じる。
【0012】前記カッター装置2を不断水継手1の上端から取外してから,図2に示した如く不断水継手1の継手14の上端に補助継手3を接続する。補助継手3はバイパス継手部31とエアーバッグ挿入口32とを備えており,前記バイパス継手部31にバイパス配管P_(2)を接続してそれぞれの不断水継手1,1同志を接続する。そして,エアーバッグ挿入口32から配管P_(1)内にエアーバッグ4を挿入し,導管41から圧力流体を吹込んでエアーバッグ4を膨らませて破損箇所に近い側の管内を閉塞する。
【0013】破損箇所に近い側の管内がエアーバッグ4で閉塞されると,配管P_(1)内のガス等の管内流体はバイパス配管P_(2)を流れる。そこで,図3に示した如く配管P1の破損箇所を所定長さに亘って切除し,該切除した部分に短管P_(3)を介在させて該短管P_(3)と配管P_(1)の切除した端部とを管継手5を用いて接続する。」
イ 引用文献3には,以下の事項が記載されている。
・「【0035】
〔第1実施形態〕
以下,図面に基づいて,本発明に係る流路閉塞装置S,当該流路閉塞装置Sを用いた流路閉塞システム及び流路閉塞方法について説明する。
【0036】
本発明に係る流路閉塞装置Sは,図1に示すような流体配管系を構成する流体管の一例である水道管1の管内流路2を任意の箇所で閉止して,水道管1内の上水(流体の一例である水(水道水))Wの流れを遮断する装置であり,流路閉塞装置Sによる管内流路2の閉塞後に,閉塞された閉塞空間3やその近傍で各種作業,例えば,閉塞空間3内の洗浄作業,或いは,設定耐久年数に至った又は劣化による漏水や故障等により閉弁操作不能に陥った仕切弁(図示せず)等を交換・修理する作業等を行うことが可能となる(図9,図10参照)。
【0037】
本実施形態では,流路閉塞装置Sにて閉塞する対象の水道管1の閉止箇所として,図1に示すように,鋳鉄管や鋼管等から構成される水道管1の途中に径方向外方(図1では上方)に向かって突出形成された一対の分岐管部4間(上流側分岐管部4Aと下流側分岐管部4Bとの間の管内流路2)を,水道管1内の上水Wの流れを維持した不断水状態のまま閉止する例について説明する。
【0038】
具体的には,図1に示すように,水道管1の上流側分岐管部4A及び下流側分岐管部4Bの各連結フランジ部4aに,作業用開閉弁の一例である仕切弁5の上下方向中間部位に形成された上流側(下方側)連結フランジ部5aが,仕切弁5の筒状下端部5bを水密状態で連結フランジ部4aの係合溝部4bに係合させた状態で,締結具6の一例であるボルト6A・ナット6Bを介してそれぞれ脱着自在に締付け連結されているとともに,各仕切弁5の下流側(上方側)連結フランジ部5cには,流体機器の一例である空気弁7の各連結フランジ部7aが,締結具6の一例であるボルト6A・ナット6Bを介して脱着自在に水密状態でそれぞれ締付け連結されている分岐接続構造において,図3に示すように,空気弁7の各連結フランジ部7aに接続される仕切弁5の下流側(上方側)連結フランジ部5cを利用して,仕切弁5の弁体5dを閉弁した状態で空気弁7を取り外した下流側連結フランジ部5cに,流路閉塞装置Sの密閉ケース本体8の下方側連結フランジ部8aが締結具6の一例であるボルト6A・ナット6Bを介して脱着自在に水密(気密)状態でそれぞれ締付け連結される。
【0039】
従って,流路閉塞装置Sが,水道管1の上流側分岐管部4A及び下流側分岐管部4Bの各連結フランジ部4aにそれぞれ接続されて,これら一対の流路閉塞装置Sが,本発明に係る流路閉塞システムとして機能する。
【0040】
図3及び図4に示すように,流路閉塞装置Sは,水道管1に形成された分岐口1Aに連通する分岐管部4に接続される筒状の密閉ケース本体8と,密閉ケース本体8内を分岐管部4の軸芯Yに沿って摺動自在に配設された筒軸9と,筒軸9の先端部に配設されて,拡径側に弾性膨張変形して水道管1の管内流路2を閉止する閉塞バッグ10とを主として備える。」
ウ 引用文献4には,以下の事項が記載されている。
・「【0010】
【作用】サービスチー部分を掘削して露出させ,このサービスチーの上口に取り付けたプラグを開き,ここから萎んだ状態のガスバッグをガス導管内に挿入し,エアーホースを介して,エアーを注入し,ガス導管においてガスバッグを鼓状に膨らませる。膨らんだガスバッグはそのシール部が管の内面に密着し,サービスチーの入口部分は丁度小径の中空円筒状本体部分に位置する。この結果,サービスチーの入口はガスバッグで囲まれるため,ガス導管側からのガスの流れは遮断される。但し,ガス導管内の流れはガスバッグが中空状態のために確保されている。サービスチーの交換或いは分岐管の交換等の工事終了後は,エアーホースからガスバッグ内のエアーを抜き,萎ませた状態で抜き出す。
【0011】
【実施例】図1及び図2に本発明に係るガスバッグを示す。
【0012】符号の1は中央にガス通路2を貫通して設けた中空円筒状の本体にして,素材はゴム引きナイロン布から成り,中央上部にはエアーホース3が取り付けられている。
【0013】4,4aは前記本体1と一体であって,この直径より大径のドーナツ状シール部にして,このシール部4,4aの内部は前記本体部1内と連通している。
【0014】5はシール部4,4aの外表面に貼り付けた弾性シール材にして,気密性の向上と補強を兼ねている。」
エ 引用文献5には,以下の事項が記載されている。
・「In accordance with the present invention, the bag 20 is inserted into and withdrawn from the pipe 12 in a manner which minimizes the possibility of damage to the bag. To this end, the linestopper 10 comprises an upstanding housing 21 and a bag-insertion assembly 22 mounted to slide longitudinally inside the housing 21 between a retracted position illustrated in FIG. 2 and an extended position illustrated in FIG. 3. The housing 21 is in the form of a hollow elongated cylinder and has an enlarged base 23 which surrounds its lower end 21a and which mounts onto the valve assembly 11. ・・・The baginsertion assembly 22 comprises a hollow elongated insertion tube 26 and a plunger 27. The plunger 27 is mounted to slide longitudinally inside the tube 26, and the plunger 27 has a lower end 27a which is connected to the bag 20 so that the bag 20 is pushed from the insertion tube 26 ahead of the plunger 27. With this structure, contact and possible abrasion between the bag 20 and the edge of the port 14 is avoided because of the interposition of the tube 26 between the edge of the port 14 and the bag 20. As best seen in FIGS. 3, 4 and 5, the lower end of the insertion tube 26 is threaded at 26c to mate with the threads in the port 14 for preventing them from being damaged due to lateral loads on the insertion tube 26 caused by pressure on the bag 20. Thus, when the plunger 27 is displaced downwardly relative to the insertion tube 26, the bag 20 is ejected from the insertion tube 26 without contacting the edge of the port 14.」(3欄下から21行?4欄12行)
(本発明によれば,バッグ20は,バッグへの損傷の可能性を最小にするような方法でパイプ12内に挿入されかつそこから引き出される。この目的のために,ラインストッパー10は直立ハウジング21と,図2に示された格納位置と図3に示された伸張位置との間でハウジング21の内側で長手方向にスライドするように取り付けられたバッグ挿入組立体22とを含む。ハウジング21は,中空の細長いシリンダの形をしており,その下端部21aを取り囲み,そして弁組立体11上に取り付けられている拡大ベース23を有している。・・・バッグ挿入アセンブリ22は,中空の細長い挿入チューブ26とプランジャ27とを含む。プランジャ27は,チューブ26内を長手方向に摺動するように取り付けられ,プランジャ27は,バッグ20がプランジャ27の前方で挿入チューブ26から押されるようにバッグ20に接続される下端27aを有する。この構造では,ポート14の縁部とバッグ20との間にチューブ26が介在しているため,バッグ20とポート14の縁部との間の接触および起こり得る摩耗が回避される。 図3,4及び5に最もよく分かるように示すように,挿入管26の下端は,バッグ20への圧力によって生じる挿入チューブ26への横方向荷重による損傷を防止するために,ポート14のねじと噛み合う26cでねじ込まれる。したがって,プランジャ27が挿入チューブ26に対して下方に変位すると,バッグ20はポート14の縁に接触することなく挿入チューブ26から排出される。)
・「For the purpose of telescoping the insertion tube 26 relative to the housing 21 and for the purpose of displacing the plunger 27 relative to the insertion tube 26, operating means is provided. As best seen in FIG. 2, the operating means for the plunger 27 includes an elongated rod 30 connected to the upper end 27b of the plunger 27 and extending longitudinally through the housing 21. ・・・The rod 30 projects upwardly beyond the upper end 21b of the housing 21, and a handle 31 with diametrically extending grips is fastened to the upper end of the rod 30. The operating means for the insertion tube 26 includes an operating rod 32 connected to an endwall 26a of the insertion tube 26. Like the plunger-operating-rod 30, the insertion-tube-operating-rod 32 extends longitudinally in the housing 21 and projects beyond the upper end 21b of the housing 21.A handle 33, similar to the handle 31, is fastened to the upper end of the rod 32. As best seen in FIG. 4, the insertion-tube-operating-rod 32 is hollow and slidably receives the plunger-operating-rod 30. 」(4欄13?38行)
(ハウジング21に対して挿入チューブ26を伸縮させる目的で,そして挿入チューブ26に対してプランジャ27を変位させる目的で,操作手段が設けられている。図2で最もよく分かるように示すように,プランジャ27の操作手段は,プランジャ27の上端27bに接続されかつハウジング21を通って長手方向に延びる細長いロッド30を含む。・・・ロッド30はハウジング21の上端21bを越えて上方へ突出しており,直径方向に延びるグリップを有するハンドル31がロッド30の上端に固定されている。挿入チューブ26の操作手段は,挿入チューブ26の端壁26aに接続された操作ロッド32を含む。プランジャ操作ロッド30と同様に,挿入チューブ操作ロッド32は,ハウジング21内を長手方向に延在し,ハウジング21の上端21bを越えて突出している。ハンドル31と同様のハンドル33がロッド32の上端に固定されている。図4で最もよく分かるように示すように,挿入チューブ操作ロッド32は中空であり,プランジャ操作ロッド30をスライド可能に収容している。)
・「In order to insert the bag 20 in the pipe 12, the lower or insertion-tube operating-rod handle 33 is displaced downwardly and rotated to extend the insertion tube 26 and to screw it into the port 14. The bag 20 is ejected from the insertion tube 26 when the upper or plunger-operating-rod handle 31 is displaced downwardly. The bag 20 is withdrawn from the pipe 12 when this procedure is reversed.」(4欄48?56行)
(バッグ20をパイプ12内に挿入するために,下部すなわち挿入チューブ操作ロッドハンドル33を下方に移動させ,回転させて挿入チューブ26を延ばし,それをポート14にねじ込む。上部すなわちプランジャ操作ロッドハンドル31が下方に変位すると,バッグ20は挿入チューブ26から排出される。この手順を逆にすると,バッグ20はパイプ12から引き出される。)
・「During insertion and withdrawal, the bag 20 moves between a deflated position normal to the pipe 12 when the bag 20 is in its insertion tube 26 (FIG. 2) and a position coaxial with the pipe 12 when the bag 20 is inflated and in operating relation in the pipe 12 (FIG. 3). In order to enable the bag 20 to be moved readily between these positions, there is provided means to couple the bag 20 to the plunger 27 in a manner which enables a workman to control the movement of the bag 20 during insertion and withdrawal. To this end, a knuckle assembly 35 (FIG. 3) cooperates with a rigid cylindrical neck 36 mounted in the bag 20 to provide an axis transverse to the path of movement of the bag 20 about which the bag 20 can pivot; however, the neck 36 of the bag 20 is otherwise rigidly coupled to the knuckle assembly 35 so that the bag 20 can be twisted inside its insertion tube 26.」(4欄57行?5欄6行)
(挿入および引き抜き中,バッグ20は,バッグ20がその挿入チューブ26内にあるパイプ12に垂直な収縮位置(図2)と,バッグ20がパイプ12内で膨張して動作中にあるパイプ12と同軸の位置との間(図3)で移動する。バッグ20をこれらの位置の間で容易に移動させることを可能にするために,作業員が挿入および引き抜き中のバッグ20の移動を制御することを可能にする方法でバッグ20をプランジャ27に結合する手段が設けられる。この目的のために,ナックル組立体35(図3)は,バッグ20内に取り付けられた剛性の円筒形首部36と協働して,その周りでバッグ20が旋回できる,バッグ20の移動経路を横切る軸を提供する。しかしながら,バッグ20の首部36はナックルアセンブリ35に堅固に結合されているので,バッグ20はその挿入チューブ26の内側でねじることができる。)
・「In the present instance, as best seen in FIGS. 5 and 7, the bag 20 is fabricated with a reduceddiameter portion 20d, and the neck 36 matingly engages inside the reduced-diameter portion 20d of the bag 20. A collar 34 with an inturned peripheral flange 34c engages the outside of the reduced portion 20d of the bag 20 and is fastened as by suitable threaded fasteners to ensure a positive non-slip mounting of the bag 20 to the neck 36 and to protect the bag-neck against possible abrasion. In order to mount the neck 36 to the plunger 27, the neck 36 has a tongue 37 which extends into a bifurcated extension 38 on the lower end of the plunger 27. As illustrated in FIG. 7, pivotal action between the plunger-extension 38 and the bag-neck 36 is provided by means of a pivot pin 39 which extends through the neck 36 and across the bifurcated extension and which is fastened in place by means of a snap-ring 41. 」(5欄7?23行)
(この例では,図5及び7に最もよく分かるように示すように,バッグ20は縮径部分20dを有して製造され,首部36はバッグ20の縮径部分20dの内側に嵌合する。内周フランジ34cを有するカラー34は,バッグ20の縮径部分20dの外側に係合し,バッグ20の首部36への確実な滑り止め取り付けを確実にし,可能性のある摩耗に対してバッグの首部を保護するために適切なねじ付きファスナによって締付けられる。首部36をプランジャ27に取り付けるために,首部36は,プランジャ27の下端部の分岐した延長部38内に延びている舌部37を有している。図7に示すように,プランジャ延長部38とバッグの首部36との間の枢動作用は,首部36を貫通して分岐延長部を横切って延びかつスナップリング41によって適所に固定されたピボットピン39によってもたらされる。)
・「After the bag 20 is inserted in the pipe 12, it is inflated when it is desired to block fluid flow, and it is deflated when it is desired to afford fluid flow. To this end, the bag 20 is coupled to a source of pressure fluid, such as compressed air, by means of a passage or conduit 40, which extends longitudinally in the plunger-operating-rod 30 and which is connected at its lower end to the bag 20 and which is connected at its upper end to a supply of compressed air through an assembly 43 of valves and gauges (FIG. 1). As best seen in FIGS. 7 and 7a, the lower end of the passage 40 is connected to the bag 20 by means of a flexible hose 44, one end of which mounts onto a cubical extension 42 on the right-hand end of the pivot pin 39.」(5欄30?43行)
(バッグ20がパイプ12内に挿入された後,流体の流れを遮断したいときに膨張し,流体の流れを与えたいときに収縮する。この目的のために,バッグ20は,プランジャ操作ロッド30内を長手方向に延び,その下端部でバッグ20に接続され,その上端部で弁及びゲージのアセンブリ43を介して圧縮空気の供給源に接続された通路又は導管40によって,圧縮空気などの圧力流体源に連結されている(図1)。図7及び7aに最もよく分かるように示すように,通路40の下端部は,その一方の端部がピボットピン39の右側端部の立方体状の延長部42に取り付けられている可撓性ホース44によってバッグ20に接続されている。)

2 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを,その有する機能に照らして対比してみるに,引用発明の「ガス本管12」,「ねじ穴19」,「バッグ11」,「ガス本管用のストッパ」,「バッグハウジング10」及び「ドーム状キャップ20」,「空気パイプ17を有するプランジャ21」,「ストップカラー30」が,それぞれ,本願発明1の「流体管」,「分岐口」,「閉塞バッグ」,「不断流式の流路閉塞装置」,「密閉ケース」,「軸」,「挿入位置規制手段」に相当する。
そうすると,本願発明1と引用発明とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点)
「流体管に形成されている分岐口を介して前記流体管内に挿入され,拡径側に膨張変形して前記流体管の管内流路を閉止する閉塞バッグを備えた不断流式の流路閉塞装置であって,
前記分岐口に対応する位置に着脱自在に接続される密閉ケースと,
密封状態を維持したまま前記分岐管部の軸芯に沿って前記密閉ケースの内部に貫設され,内部に通流路を備えた軸と,
前記軸の先端部に固設されて,前記通流路を介して供給される拡径用流体により拡径側に弾性膨張変形自在な前記閉塞バッグとを備え,
挿入位置規制手段が,前記軸の外周面から径方向外方側に突出形成されている不断流式の流路閉塞装置。」
(相違点1)
本願発明1は,「密閉ケース」が「前記分岐口に連通し弁部材を有する分岐管部に着脱自在に接続される」のに対し,引用発明は,「バッグハウジング10及びドーム状キャップ20」が「前記ねじ穴19に着脱自在に接続される」点。
(相違点2)
本願発明1は,「前記流体管内の流体圧に抗して前記軸を押し込み移動させる押込み操作手段」を有するのに対し,引用発明は,その点が明らかでない点。
(相違点3)
本願発明1は,a.「前記軸の先端部又は前記閉塞バッグの基端部位に固設された軸芯調整部」を備え,b.「前記閉塞バッグの前記基端部位は,前記通流路に連通する流体給排路を含む口金部材が前記軸芯調整部の内部に位置するように固設されていると共に,前記口金部材よりも径方向外側の部位が前記軸芯調整部の先端面と近接しており」,c.「挿入位置規制手段」が「前記軸と共に移動した前記閉塞バッグが所定の管内流路閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部が前記流体管の径方向において前記分岐口に対応する箇所に位置するように規制する」とともに,「前記閉塞バッグが前記管内流路の閉塞位置に位置している状態で,前記軸芯調整部の先端と前記分岐口における前記流体管の径方向内方側端とが,前記流体管の径方向において同一位置に位置するように規制する」のに対し,引用発明は,「パッキングリング22」が軸芯調整機能を有するか明らかでなく,「パッキングリング22」及び「バッグ11」がそのように構成されていない上,「ストップカラー30」が「プランジャ21」の位置を規制するものである点。

(2) 判断
事案に鑑み,まず,相違点3についてみるに,引用文献1によれば(前記1(1)),引用発明の「パッキングリング22」は,ハウジング10からのガスの漏出を防止するために設けられたものであるが,引用文献1には,軸芯調整機能に関する記載は特段認められない。当該「パッキングリング22」が軸芯調整機能を有するとしても,引用文献1には,相違点3のb,cに係る構成について,記載も示唆もない。
引用文献2?5をみても,相違点3に係る構成について記載はなく(前記1(2)),引用発明において,相違点3に係る構成とする動機付けは特段認められない。
そして,本願発明1は,「不断流状態において管内流路を通流する流体からの流体圧によって当該閉塞バッグが,分岐口の下流側(分岐管部の軸芯よりも流体管の下流側)に移動するように押圧されたとしても,閉塞バッグは分岐口の内面のバリや分岐管部の内面の突起等には接触しない。これにより,不断流状態において,管内流路閉塞位置に位置して管内流路を閉止している閉塞バッグが分岐口の内面のバリや分岐管部の内面の突起等により破損することを防止できる。」(平成29年2月14日提出の手続補正書により補正された本願明細書【0009】)といった効果を奏するものである。
したがって,引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて,相違点3に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
以上のとおりであるから,本願発明1は,その余の事項を検討するまでもなく,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

3 本願発明2について
本願発明1を特定するための事項をすべて含む本願発明2は,さらに限定された事項について検討するまでもなく,本願発明1と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

4 本願発明3について
本願発明1と引用発明との関係を参考に(前記2(1)),本願発明3と引用発明とを,その有する機能に照らして対比すると,本願発明3と引用発明とは,少なくとも,前記相違点3と同じ点で相違する。
そして,本願発明1と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて,相違点3に係る本願発明3の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって,本願発明3は,その余の事項を検討するまでもなく,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

5 本願発明4について
本願発明1と引用発明との関係を参考に(前記2(1)),本願発明4と引用発明とを,その有する機能に照らして対比すると,本願発明4と引用発明とは,少なくとも,前記相違点3と同じ点で相違する。
そして,本願発明1と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて,相違点3に係る本願発明4の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって,本願発明4は,その余の事項を検討するまでもなく,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

6 本願発明5について
本願発明4を特定するための事項をすべて含む本願発明5は,さらに限定された事項について検討するまでもなく,本願発明4と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

7 本願発明6について
本願発明1と引用発明との関係を参考に(前記2(1)),本願発明6と引用発明とを,その有する機能に照らして対比すると,本願発明6と引用発明とは,少なくとも,前記相違点3と同じ点で相違する。
そして,本願発明1と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて,相違点3に係る本願発明5の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたものとは認められない。
よって,本願発明6は,その余の事項を検討するまでもなく,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

8 本願発明7について
本願発明1,3を特定するための事項をすべて含む本願発明7は,さらに限定された事項について検討するまでもなく,本願発明1,3と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

9 本願発明8について
本願発明1,4を特定するための事項をすべて含む本願発明8は,さらに限定された事項について検討するまでもなく,本願発明1,4と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

10 本願発明9,10について
本願発明1,3,4,6を特定するための事項をすべて含む本願発明9,10は,さらに限定された事項について検討するまでもなく,本願発明1,3,4,6と同様の理由により,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

第6 原査定についての判断
前記第5のとおり,本願発明1?10は,引用発明及び引用文献2?5に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,原査定を維持することはできない。

第7 当審にて通知した拒絶の理由についての判断
平成30年11月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲は前記のとおりであるところ(前記第2),当該補正により,特許請求の範囲の記載に関する不備は解消した。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由及び当審にて通知した拒絶の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2017-5893(P2017-5893)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F16L)
P 1 8・ 121- WY (F16L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西塚 祐斗柳本 幸雄大谷 光司  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 窪田 治彦
槙原 進
発明の名称 不断流式の流路閉塞装置  
代理人 特許業務法人R&C  

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