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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1348659 |
審判番号 | 不服2018-2461 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-21 |
確定日 | 2019-02-26 |
事件の表示 | 特願2014-229421「触感呈示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日出願公開、特開2016- 95549、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年11月12日の出願であって、平成29年3月24日付けで拒絶理由通知がされ、同年5月24日付けで意見書が提出されると共に手続補正がされ、同年9月21日付けで拒絶理由が通知され、同年11月20日付けで意見書が提出され、同年11月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年11月7日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成31年1月7日付けで手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成29年11月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1,4に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1-4に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の引用文献A,Bに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 <引用文献等一覧> A.特開2014-56337号公報 B.特開2006-146611号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1)本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1または2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2)本件出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1-4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 <引用文献等一覧> 1:特表2010-506499号公報 2:特開2013-66995号公報 3:特開2006-146611号公報(拒絶査定時の引用文献B) 4:特開2014-56337号公報(拒絶査定時の引用文献A) 第4 本願発明 本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成31年1月7日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 パネルと、 前記パネルを該パネルの厚み方向に変位させるアクチュエータと、 前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部と を備える触感呈示装置。」 なお、本願発明2-4は、本願発明1を直接又は間接的に引用した発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 a.「【0012】 図1は、一実施形態による携帯電話10の断面図である。電話10は、タッチスクリーン14を含み、タッチスクリーン14は、電話キーと、ユーザがタッチスクリーン14に触れるか、または他の接触によって選択することができる他の機能キーとを表示する。電話10は、電話10の内部構成要素を収容し、タッチスクリーン14を支持するハウジングまたは本体12をさらに含む。ユーザが電話10を使用する際に、ユーザは、典型的には、片方の手でハウジング12によって電話10を保持し、もう一方の手でタッチスクリーン14に触れる。他の実施形態は、携帯電話ではなく、タッチスクリーンを有さないが、他の形式の入力インタフェースを備えた触覚装置である。タッチスクリーン以外の他の入力インタフェースは、ミニジョイスティック、スクロールホイール、d-パッド、キーボード、タッチセンサー式の表面等とすることができる。携帯電話と同様に、これらの装置には、入力インタフェースにリンクするクリック感、および装置全体に生じる通知振動が望まれる。 【0013】 タッチスクリーン14は、タッチスクリーン14を包囲するサスペンション18によって、ハウジング12上に柔軟に懸架/浮遊されるか、または載置される。一実施形態では、サスペンション18は、PORON(登録商標)のような発泡材料製の粘弾性ベゼル密封ガスケットから形成される。他の実施形態では、後述するように「調整」できるものであれば、あらゆるタイプの材料をサスペンション18に使用することができる。 【0014】 リニア共振アクチュエータ(Linear Resonant Actuator:「LRA」)または他の形式のアクチュエータ16(例えば、形状記憶合金、電気活性ポリマー、圧電物質等)が、タッチスクリーン14に堅固に結合される。LRAは、ばねに取り付けられた磁性体を含む。磁性体は、電気コイルによってエネルギーを与えられ、タッチスクリーン14に垂直な方向に、ばねに対して前後に駆動されて、振動を生じさせる。一実施形態では、アクチュエータ16は、約150Hz乃至190Hzの共振周波数を有する。共振周波数は、加速応答性がピークを示す、周波数範囲である。アクチュエータ16に信号を生じさせて、動力を供給して、所望の触覚効果を生じさせるために、制御器/プロセッサ、メモリ装置、および他の必要な構成要素(図示せず)が、アクチュエータ16に結合される。異なる触覚効果は、アクチュエータ16に対する駆動信号の周波数、振幅、およびタイミングを変化させさせることによって、既知の様式でアクチュエータ16によって発生させることができる。振動は、タッチスクリーン14に垂直、または別の方向(例えば、面内)に起こすことができる。一実施形態では、スクリーン表面に沿った振動(XまたはY振動)は、振動が同等な触覚情報を生成し、また、それらの方向に対するスクリーンの本来の剛性のために、タッチスクリーン全面にわたって、より均一に分配されるので、好都合である。 【0015】 一実施形態では、サスペンション18は、ボタンの押圧を擬態させるようにタッチスクリーン14に印加されるクリック周波数(200Hzを超える)で、装置10のハウジング12を振動から隔離させるが、通知周波数(150Hz以下)(該周波数は、アクチュエータ16の共振周波数にほぼ等しい)では、効率的にハウジング12に振動を伝えて、通知触覚効果を生じさせるように調整される。サスペンション18は、例えば、所望の特性を得るように、材料の選択を変更したり、総断面積を変化させたり、厚さを変化させること等によって、調整することができる。」(下線は、当審で付与。) これら引用例の記載及び関連する図面から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「携帯電話10は、タッチスクリーン14を含み、 タッチスクリーン14は、ユーザがタッチスクリーン14に触れるか、または他の接触によって選択することができる他の機能キーとを表示し、 タッチスクリーン14を支持するハウジングまたは本体12をさらに含み、 タッチスクリーン14は、タッチスクリーン14を包囲するサスペンション18によって、ハウジング12上に柔軟に懸架/浮遊されるか、または載置され、 リニア共振アクチュエータ(Linear Resonant Actuator:「LRA」)または他の形式のアクチュエータ16、例えば、圧電物質が、タッチスクリーン14に堅固に結合され、 LRAは、タッチスクリーン14に垂直な方向に、振動を生じさせ、 サスペンション18は、タッチスクリーン14に印加されるクリック周波数(200Hzを超える)で、装置10のハウジング12を振動から隔離させるが、通知周波数(150Hz以下)(該周波数は、アクチュエータ16の共振周波数にほぼ等しい)では、効率的にハウジング12に振動を伝えて、通知触覚効果を生じさせるように調整され、 サスペンション18は、所望の特性を得るように、材料の選択を変更したり、総断面積を変化させたり、厚さを変化させること等によって、調整することができる 携帯電話10。」 2.引用文献2について 引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 本願の出願日前に頒布された、特開2013-66995号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 b.「【0022】 図1は、触覚伝達装置の構成を示す図である。図1を参照すれば、触覚伝達装置100は、ディスク部101、ディスク復元部103、弾性部材109を備える駆動部105、および制御部107を備える。また、他の実施形態として、触覚伝達装置100は、ディスク部101の高さまたは角度を固定するためのガイド部材111をさらに備えてもよい。 【0023】 ディスク部101は、ユーザの指が接触する部分として触覚伝達装置100の上面に位置し、例えば、プレート(plate)状であってもよい。ディスク部101は、駆動部105による放射対称点ごとの支持の高さの調整に応じて、その高さ、傾斜方向、または傾斜程度が相異するようにすることによって検出器から検出された力を接触したユーザの指に伝達する。ここで、ディスク部101はx、y、z方向に回転または移動可能できるため、3自由度の動きを支援する。」 c.「【0039】 図3は、一実施形態に係る触覚伝達装置を示す平面図である。図3を参照すれば、触覚伝達装置200はディスク部203の下部に、例えば、放射対称形に配置する3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3を含む。ここで、3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3は、ディスク部203の重心を基準にする3つの放射対称点P1、P2、P3に対して注入される空気量に基づいた各空気の圧力に支持し、3つの放射対称点P1、P2、P3における支持の高さを調整する。 【0040】 3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3は注入される空気量をそれぞれ独立的に制御し、3つの放射対称点P1、P2、P3でディスク部203に対する押す程度を個別に調整することによって、ディスク部203に接触した指を刺激する方向と力の強度を調整する。 【0041】 また、触覚伝達装置200は、ディスク部203とボディの上面303との間に位置するディスク復元部305を備えてもよい。ディスク復元部305はディスク部203とボディの上面303との間に接続され、ディスク部203の傾斜を元の状態に復元しようとする特性を有する。」 d.「【0053】 図7は、図5の触覚伝達装置の他の実施形態を示す断面図である。図7を参照すれば、触覚伝達装置200は前記駆動部としてモータ駆動部501-1、501-2が備えられる状態で、モータ駆動部501-1、501-2それぞれに傾斜面703-1、703-2を有する三角支持台701-1、701-2を備える。 【0054】 ここで、三角支持台701-1、701-2は、モータ駆動部501-1、501-2によって生成された水平方向の力を用いて駆動軸503-1、503-2が上下運動し、ディスク部203を支持する機能を有する。すなわち、三角支持台701-1、701-2はモータ駆動部501-1、501-2にパルス印加することによって形成された水平方向のプッシュ強度を垂直方向に変換して駆動軸503-1、503-2に伝達する。このために三角支持台701-1、701-2には、前記プッシュによる水平移動によって駆動軸503-1、503-2が傾斜移動しながら上下移動する傾斜面703-1、703-2を有する。」 これら引用例の記載及び関連する図面から、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「触覚伝達装置は、ディスク部、ディスク復元部、弾性部材を備える駆動部、および制御部を備え、 ディスク部は、ユーザの指が接触する部分として触覚伝達装置の上面に位置し、例えば、プレート(plate)状であり、 触覚伝達装置200はディスク部203の下部に、放射対称形に配置する3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3を含み、 3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3は、ディスク部203の重心を基準にする3つの放射対称点P1、P2、P3に対して注入される空気量に基づいた各空気の圧力に支持し、3つの放射対称点P1、P2、P3における支持の高さを調整し、 3つの空圧バルーン駆動部301-1、301-2、301-3は注入される空気量をそれぞれ独立的に制御し、3つの放射対称点P1、P2、P3でディスク部203に対する押す程度を個別に調整することによって、ディスク部203に接触した指を刺激する方向と力の強度を調整し、 ディスク部203とボディの上面303との間に位置するディスク復元部305を備え、 ディスク復元部305はディスク部203とボディの上面303との間に接続され、ディスク部203の傾斜を元の状態に復元しようとする特性を有する 触覚伝達装置。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)引用発明1について (1-1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 ア.引用発明1の「タッチスクリーン14」は、本願発明1の「パネル」に相当する。 イ.引用発明1の「リニア共振アクチュエータ(Linear Resonant Actuator:「LRA」)または他の形式のアクチュエータ16」は、「タッチスクリーン14に垂直な方向に、振動を生じさせ」るものであるから、本願発明1の「前記パネルを該パネルの厚みの方向に変位させるアクチュエータ」に相当する。 ウ.引用発明1は、「タッチスクリーン14は、タッチスクリーン14を包囲するサスペンション18によって、ハウジング12上に柔軟に懸架/浮遊されるか、または載置され」るものであるから、タッチスクリーン14がサスペンション18を介してハウジング12に当接しており、タッチスクリーン14の厚み方向の変位が、サスペンション18が伸縮することによって変形可能な範囲に規制されていることは明らかであり、引用発明1の「サスペンション18」及び「ハウジング12」は、本願発明1の「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」と「前記パネルに当接し、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」である点では共通するといえる。 エ.引用発明1は、「タッチスクリーン14に垂直な方向に、振動を生じさせ」、「効率的にハウジング12に振動を伝えて、通知触覚効果を生じさせるように調整され」るものであるから、引用発明1の「携帯電話10」は、「触感呈示装置」ともいい得るものである。 したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。 〈一致点〉 「パネルと、 前記パネルを該パネルの厚み方向に変位させるアクチュエータと、 前記パネルに当接し、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部と を備える触感呈示装置。」 である点。 〈相違点〉 本願発明1は、「規制部」が「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する」ものであるのに対し、引用発明1は、タッチスクリーン14がサスペンション18を介してハウジング12に当接したものである点。 (1-2)判断 上記〈相違点〉について検討する。 引用発明1は、「タッチスクリーン14は、タッチスクリーン14を包囲するサスペンション18によって、ハウジング12上に柔軟に懸架/浮遊されるか、または載置され」るものであるから、「タッチスクリーン14」は、「サスペンション18」及び「ハウジング12」により保持されるものであり、「タッチスクリーン14」と「サスペンション18」及び「ハウジング12」とを当接していないものとすることには、阻害要因があるといえる。 また、引用文献1-4のいずれにも、「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」は記載も示唆もされておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。 したがって、本願発明1は、引用発明1と同一ではなく、また、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び上記引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (2)引用発明2について (2-1)対比 本願発明1と引用発明2とを対比する。 ア.引用発明2の「ディスク部」は、本願発明1の「パネル」に相当する。 イ.引用発明2の「駆動部」は、「ディスク部203に対する押す程度を個別に調整することによって、ディスク部203に接触した指を刺激する方向と力の強度を調整」するものであるから、本願発明1の「前記パネルを該パネルの厚みの方向に変位させるアクチュエータ」に相当する。 ウ.引用発明2は、「ディスク部203とボディの上面303との間に位置するディスク復元部305を備え、ディスク復元部305はディスク部203とボディの上面303との間に接続され、ディスク部203の傾斜を元の状態に復元しようとする特性を有する」ものであるから、ディスク部203がディスク復元部305によりその変位が規制されていることは明らかであり、引用発明2の「ディスク復元部305」は、本願発明1の「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」と「前記パネルに当接し、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」である点では共通するといえる。 エ.引用発明2は、「触覚伝達装置」は、本願発明1の「触感呈示装置」に相当する。 したがって、本願発明2と引用発明1との間には、次の一致点と相違点とがあるといえる。 〈一致点〉 「パネルと、 前記パネルを該パネルの厚み方向に変位させるアクチュエータと、 前記パネルに当接し、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部と を備える触感呈示装置。」 である点。 〈相違点〉 本願発明1は、「規制部」が「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する」ものであるのに対し、引用発明2は、ディスク復元部305はディスク部203とボディの上面303との間に接続されるものである点。 (2-2)判断 上記〈相違点〉について検討する。 引用発明2は、「ディスク部203とボディの上面303との間に位置するディスク復元部305を備え、ディスク復元部305はディスク部203とボディの上面303との間に接続され、ディスク部203の傾斜を元の状態に復元しようとする特性を有する」ものであるから、「ディスク部203」は、「ディスク復元部305」に接続されるものであり、「ディスク部203」と「ディスク復元部305」とを当接していないものとすることには、阻害要因があるといえる。 また、引用文献1-4のいずれにも、「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」は記載も示唆もされておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。 したがって、本願発明1は、引用発明2と同一ではなく、また、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2及び上記引用文献1,3-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-4について 本願発明2-4は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明1又は引用発明2及び引用文献1-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成31年1月7日付けの補正により、補正後の請求項1-4は、「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」という技術的事項を有するものとなった。当該「前記パネルの変位前には前記パネルに当接しておらず、前記パネルに当接した後、前記パネルの変位を厚み方向に規制する規制部」は、原査定における引用文献A,B(当審拒絶理由における引用文献4,3)には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-4は、当業者であっても、原査定における引用文献A,Bに基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-02-12 |
出願番号 | 特願2014-229421(P2014-229421) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 尊志、星野 昌幸 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山田 正文 |
発明の名称 | 触感呈示装置 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 大倉 昭人 |
代理人 | 太田 昌宏 |