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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H02G
管理番号 1348764
異議申立番号 異議2018-700940  
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-21 
確定日 2019-02-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6330081号発明「角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6330081号の請求項1ないし8、10、11に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯

特許第6330081号の請求項1ないし8、10、11に係る特許についての出願は、平成29年5月12日の出願であって、平成30年4月27日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、平成30年11月21日に特許異議申立人 西田 志有子により特許異議の申立てがされたものである。


第2.本件特許発明

本件特許第6330081号の請求項1ないし8、10、11に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」、「本件特許発明10」、「本件特許発明11」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8、10、11に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである

「【請求項1】
管体の端部に雄型嵌合部と雌型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間に、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての管体大径部と、円形状の谷部としての管体小径部が交互に形成される角型電線管の、前記管体小径部で切断した角型電線管の前記管体小径部と角型電線管の前記雌型嵌合部を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体とΠ型固定部材により形成され、
前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され、
前記継手本体の一方の側には、前記管体小径部を固定する小径部固定部が形成され、前記小径部固定部には、前記管体小径部を挟んで前記管体小径部の両側に配置される前記管体大径部が挿入される筒状部と、さらに前記筒状部の奥側に配置される円筒部とを有し、
前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、
前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定され、
前記継手本体の他方の側には前記雌型嵌合部の固定部として雄型継手部が形成され、前記継手本体の前記小径部固定部と前記雄型継手部の間には、前記継手本体の管軸方向に垂直な接続壁が形成され、
前記小径部固定部と前記雄型継手部とが前記接続壁で接続されていることを特徴とする角型電線管用管継手。
【請求項2】
前記雄型継手部は、管軸方向に離間して配置される一対の係止壁と、
前記係止壁で挟まれた領域に配置されるリング部材と、を具備し、
前記リング部材は、円周方向の一部が切断された略C字状であり、
前記リング部材は、前記リング部材の一方の端部側の縮径部と、前記縮径部に対して、円周方向にスリットを介して互いに離間して併設される複数の爪部と、を有し、前記爪部は、前記縮径部から先端に行くにつれて、徐々に外径が大きくなるように拡径され、
前記リング部材は、前記爪部の先端が、前記管体の奥側に位置し、前記縮径部が前記管体の先端側に位置するように配置され、
前記係止壁で挟まれた領域の、前記管体の先端側には前記雄型継手部の大径部が形成され、前記係止壁で挟まれた領域の前記管体の基部側には前記雄型継手部の小径部が形成され、前記雄型継手部の大径部と前記雄型継手部の小径部との間に斜面部が形成され、
前記リング部材は、少なくとも一方の前記係止壁との間にクリアランスを有し、前記リング部材が前記係止壁で挟まれた領域において、管軸方向にスライド可能であることを特徴とする請求項1に記載の角型電線管用管継手。
【請求項3】
前記継手本体の前記小径部固定部側であって、前記切欠き部に対応する位置の前記筒状部の側面内側には、係合段部が形成され、前記Π型固定部材の前記段部より下方の所定位置に、前記両足部の外側に向けて係合部が形成され、前記係合段部と、前記係合部とが相互に上下方向に係合することを特徴とする請求項2に記載の角型電線管用管継手。
【請求項4】
前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記小径部固定部の前記開口部に挿入された時に、前記両足部が、前記底部の外面から突出しないことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の角型電線管用管継手。
【請求項5】
前記Π型固定部材の前記天面部の内周面が略円弧形状またはアーチ形状であることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項6】
前記切欠き部より奥側の前記継手本体の前記小径部固定部には、前記筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材が配置されるか、前記雄型継手部の前記係止壁よりもさらに奥側に止水部材が配置されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の角型電線管用管継手。
【請求項7】
前記止水部材は、ポリエステル繊維とポリアクリル酸ナトリウム繊維とバインダー樹脂を含む水膨張不織布かあるいはゴムパッキンであることを特徴とする請求項6記載の角型電線管用管継手。
【請求項8】
前記継手本体と前記Π型固定部材は、それぞれ高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、PC樹脂、ABS樹脂またはPC樹脂のポリマーアロイのいずれかからなることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の角型電線管用管継手。」
「 【請求項10】
請求項2から請求項9のいずれかに記載の角型電線管用管継手の一方の端部に、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての前記管体大径部と、円形状の谷部としての前記管体小径部が交互に形成される角型電線管の、前記管体小径部で切断した角型電線管を接続し、
角型電線管用管継手の他方の端部の前記雄型継手部に、前記管体の内周部に形成され、先端側から、雌側筒状部と、前記雌側筒状部から徐々に縮径する雌側斜面部と、前記雌側斜面部の最小内径部から拡径したリング嵌合部と、を具備する前記雌型嵌合部を接続することを特徴とする角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。
【請求項11】
前記管体小径部で切断した角型電線管の前記管継手の一方の端部への固定は、前記Π型固定部材と前記継手本体の嵌合により行なわれ、前記雌型嵌合部の前記管継手の前記雄型継手部への固定は、前記リング嵌合部と前記リング部材の嵌合により行なわれることを特徴とする請求項10に記載の角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造。」


第3.申立理由の概要

1.特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、以下のように主張している。

取消理由(特許法第29条2項)
請求項1ないし8、10、11に係る特許は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2?8号証に記載された技術事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1ないし8、10、11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


甲第1号証: 特開2009-279907号公報
甲第2号証: 実願昭62-64296号(実開昭63-172214号公報)のマイクロフィルム
甲第3号証: 特開2002-276878号公報
甲第4号証: 米国特許第6860758号
甲第5号証: 特開平9-112764号公報
甲第6号証: 特開2009-19294号公報
甲第7号証: 特開2009-250343号公報
甲第8号証: 特開2005-57933号公報

第4.甲号証の記載事項

1.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。)

(1)「【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2は、この発明の一実施形態に係る取付装置1によって止水用の吸水膨張性不織布(被覆材)2が一体的に貼り付けられた合成樹脂製の管継手(管材)3を示している。
【0025】
管継手3は、電線や光ファイバーケーブルを挿通させる地中埋設型の合成樹脂製のケーブル保護管4、4同士を接続するためのものである。この管継手3は、ブロー成形によって成形されており、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造となっている。角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、その開口端付近にはフランジ部7が全周に亘って形成され、その管軸方向の中央付近には径外方向へ膨出した膨出部8が全周に亘って形成されている。また、角筒状部5の内周面には、膨出部8よりも開口端側において一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられ、膨出部8よりも奥側においてシート状の吸水膨張性不織布2が全周に亘って一体的に貼り付けられている。吸水膨張性不織布2は、例えば吸水性及び保水性に優れた高吸水性ポリマーを合成樹脂製の不織布に含有させたものであって、水を吸収して膨張する能力を有している。円筒状部6は、管径方向の断面が略円形状に形成されており、その開口端付近には外周に傾斜案内面を有するフランジ部11が全周に亘って形成され、その管軸方向に間隔をあけて径外方向へ膨出した複数の膨出部12・・が全周に亘って形成されている。また、円筒状部6の外周面には、膨出部12、12間の凹所において円環状のパッキン13が外嵌されている。
【0026】
一方、ケーブル保護管4は、図3に示すように、管径方向の断面が略正方形状の凸部20・・と管径方向の断面が略円形状の凹部21・・とを管軸方向に交互に有する管壁25を備えている。また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されている。そして、雌型アダプター22を他のケーブル保護管4の雄型アダプター23に外嵌するとともに、雄型アダプター23を別のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌することで、ケーブル保護管4・・が継ぎ足し配管されるようになっている。
【0027】
上記のケーブル保護管4・・は、ハンドホール間において配管されるが、定尺のものを継ぎ足し配管すると、ハンドホール間の長さとケーブル保護管4・・の長さが合わなくなることがある。そこで、図4に示すように、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に上記の管継手3の角筒状部5を外嵌させるとともに、その管継手3の円筒状部6を他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させて、管継手3を介してケーブル保護管4、4同士を接続することで、ケーブル保護管4・・全長をハンドホール間の長さに合うように調整可能としている。この接続状態において、管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されている。また、管継手3の角筒状部5と切断したケーブル保護管4の凸部20との間には吸水膨張性不織布2が介在しており、この吸水膨張性不織布2が地中の水分を吸収して膨張することで、管継手3と切断したケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。さらに、管継手3の円筒状部6と他方のケーブル保護管4の雌型アダプター22との間にはパッキン13が介在して、管継手3と他方のケーブル保護管4との接続部分に生じる隙間を塞いで良好な止水性が確保される。」

(2)「図1



(3)「図3




(4)「図4




・上記(1)の段落【0026】には、ケーブル保護管4は、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、また、管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が一体的に形成され、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されていることが記載されている。
また、上記(1)の段落【0027】には、管継手3は、任意のケーブル保護管4の管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に外嵌させることが記載されている。
したがって、甲第1号証には、管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4の、前記管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に外嵌させる管継手3が記載されているといえる。

・上記(1)の段落【0025】には、前記管継手3は、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造であって、前記角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられることが記載されている。

・上記(1)の段落【0027】には、切断端部に管継手3の角筒状部5を外嵌させるとともに、管継手3の円筒状部6を他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させることが記載されている。
また、図1及び図4によれば、管継手3の角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、角筒状部5の奥側には円筒状の部分があり、円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入されていることが看取できる。

・上記(1)の段落【0027】には、接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止されることが記載されている。

・図1及び図4によれば、管継手3の角筒状部5の奥側の円筒状の部分と円筒状部6の間には、管継手3の軸方向に対して径方向外側に突出した接続壁があり、管継手3の角筒状部5の奥側の円筒状の部分と円筒状部6は、接続壁を介して接続されていることが看取できる。

以上総合すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。

「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4の、前記管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に外嵌させる管継手3において、
前記管継手3は、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造であって、前記角筒状部5は、管径方向の断面が略正方形状に形成されており、また、角筒状部5の内周面には、一対の金属製の抜け止め片9、9が互いに対向して取り付けられるものであって、
前記切断端部に管継手3の角筒状部5を外嵌させるとともに、管継手3の円筒状部6を他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させ、
前記管継手3の角筒状部5には、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入され、さらに、角筒状部5の奥側には円筒状の部分があり、該円筒状の部分に切断端部である凹部21が挿入され、
接続状態において、前記管継手3の角筒状部5側の抜け止め片9、9が切断したケーブル保護管4の凸部20に係合して、そのケーブル保護管4の抜けが防止され、
管継手3の角筒状部5の奥側の前記円筒状の部分と円筒状部6の間には、管継手3の軸方向に対して径方向外側に突出した接続壁があり、
管継手3の角筒状部5の奥側の前記円筒状の部分と円筒状部6は、接続壁を介して接続されている、
管継手3。」

2.甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載又は示されている。

(1)「2 実用新案登録請求の範囲
波形管の端部に外嵌され、筒状本体に設けた嵌合凹所内のスリツトから、嵌合固定部に一体形成されたリブを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体を波形管に固定する波形管接続具であつて、
上記筒状本体には、その嵌合凹所に隣接した係合部を形成し、上記嵌合固定部には、上記係合部に係合する被係合部を形成するとともに、
上記筒状本体のスリツトは、該嵌合凹所内に円周方向に沿つてかつ分割して形成され、上記嵌合固定部のリブは、上記スリツトに対応して分割して形成され、スリツトへの差込時に、その先端部が波形管の谷部に圧入嵌合するように突設したことを特徴とする波形管接続具。」(明細書1頁4-18行)

(2)「[産業上の利用分野]
本考案は、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管を接続するための波形管接続具に関する。
[従来の技術]
建築物の屋内配線、輸送機器内の配線などに使用される可撓性の配線保護用導管として、外周部に環状の山条を一定の間隔で多数設けた波形管が使用されている。
この種の波形管を相互に接続し或いは他の部材と接続するために、従来、特公昭60-28215号公報に示されるようなソケット筒状の接続管が提案されている。
この接続管は、波形管の端部に外嵌可能なソケット筒の外周壁に窓が設けられ、この窓からC形の止め部材をソケット筒内に差し込み、止め部材の両側先端部を波形管の谷部に圧入嵌合してソケット筒を波形管の端部に固定する構造である。
[考案が解決しようとする問題点]
しかしながら、この従来の接続具は、止め部材を嵌入するためにソケット筒に設けられた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下し、ソケット筒が破損したり、外力によって波形管から外れることがあった。
本考案は、上記の問題点を解決するものであって、筒状本体の外周壁のスリットと係合部のみ開口し、このスリットと係合部に嵌合固定部のリブと被係合部を嵌合する構造としたため、筒状本体の外周壁の強度を充分確保でき、筒状本体が破損したり、外力によって波形管から容易に外れることのない波形管接続具を提供することを目的とする。」(明細書1頁19行-3頁12行)

(3)「この筒状本体1の外周側には嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられている。この嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、壁部5の上下(図面中)に筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成されている。7a、7b、7c、7dは、筒状本体1の嵌合凹所内に形成された側壁である。8a、8bは嵌合凹所4に隣接した係合部で、本実施例では嵌合凹所4の長手方向一杯に開口しその上部にカバー部8c、8dが設けられている。」(明細書5頁7-18行)

(4)「次に、嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成る。このリブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられている。嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている。」(明細書6頁4-14行)

(5)「第1図



以上総合すると、甲第2号証には、以下の技術事項(以下、「甲2記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「波形管3の端部に外嵌され、筒状本体1に設けた嵌合凹所内のスリツト6a、6bから、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bを差し込み、波形管の谷部に該リブを圧入嵌合させて該筒状本体1を波形管に固定する波形管接続具であって、
前記筒状本体1には、外周側に嵌合固定部2を嵌合するための一段低い嵌合凹所4が設けられ、そして、該嵌合凹所4には中間に嵌合凹所の底面より突出した壁部5が設けられ、該壁部5の上下の筒状本体1の円周方向に沿って、かつ壁部5によって分割されたスリット6a、6bが形成され、また、前記嵌合凹所4に隣接して係合部8a、8bが設けられ、さらに、嵌合凹所4の長手方向一杯に開口してその上部にカバー部8c、8dが設けられており、
前記嵌合固定部2は、嵌合固定部2に一体形成されたリブ10a、10bと筒状本体1の係合部8a、8bに係合される被係合部11a、11bから成り、前記リブ10a、10bは、スリット6a、6bに差し込まれるように嵌合固定部2の内部へ突出形成して設けられており、また、嵌合固定部2は略U字形に形成され、中央内部に筒状本体1の前記壁部5に密接する嵌合部12が全体より低くなって設けられている、
波形管接続具。 」


3.甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とする配管用継手。」

(2)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配管用継手に係り、特に、機械の流体回路などでパイプやチューブ同士の接続に用いられるクイックコネクター形の配管用継手に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の燃料供給系では、燃料パイプを接続する管継手にクイックコネクター形の継手が用いられている。
【0003】クイックコネクター形の継手は、接続すべきパイプにそれぞれ取り付けられる雌継手部材、雄継手部材と、これらを結合するリテーナーを主要な構成要素としており、ボルト等の締結要素を用いることなく、雄継手部材を雌継手部材に挿入するだけでワンタッチで簡単にパイプ同士を接続することができる。」

(3)「【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来のクイックコネクター形の配管継手では、回り止め防止用のカバー等を、配管の接続部位、配管の曲がり具合、管のサイズ、振動系などの実際の配管状況に応じて、個別に用意して取り付けなければならないため、その分、部品点数が増えコストが高くなるとともに、実際の配管作業の工数が増えるという問題がある。しかも、取り付ける部位の形状、寸法等の制約が大きく、配管状況が異なってくると、他の配管接続箇所には、流用できないこともあり、汎用性という点で問題があった。
【0017】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、カバー等を別途設けることなく、しかも、実際の配管接続状況でのさまざまな制約を受けることなく、雌継手部材と雄継手部材との間の相対的な回転を確実に防止することができ、振動等に起因するOリングの摩耗を防止して長期間に亘ってシール性能を維持できるようにしたクイックコネクター形の配管用継手を提供することにある。」

(4)「【0018】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、スプール部を有する雄継手部材と、雌継手部材と、前記雌継手部材のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材と雌継手部材とを結合するリテーナーと、前記雌継手部材の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、前記雄継手部材のスプール部が係合して当該雄継手部材の端末を抜けないように保持する保持部を前記リテーナーに設け、前記雄継手部材と前記リテーナーの保持部とが協働して当該雌継手部材と雄継手部材との相対的な回転を阻止する回り止め手段を構成することを特徴とするものである。」

(5)「【0021】第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による配管用継手を示す斜視図である。この図1において、参照符号40は、配管用継手の全体を示す。この配管用継手40は、雌継手部材42と、雄継手部材44と、これらを結合するリテーナー46とから構成されている。図2(b)は、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46によって完全に結合されている接続状態を示す縦断面図である。
【0022】本実施形態は、基本的に、横から雌継手部材42に差し込む形式のリテーナー46によって、雌継手部材42と雄継手部材44を結合する形式の配管用継手であれば適用することができる。この実施形態は、本発明を特に雌継手部材42に雄継手部材44を完全に挿入しないかぎり、リテーナ46を雌部材44の窓部から差込んでもリテーナー46が正常にロック作動しないようにする疑似ロック防止構造を有しているクイックコネクター形の配管用継手に適用した実施の形態である。この種のクイックコネクター形継手での擬似ロックとは、雄継手部材44が雌継手部材42に完全に差込まれていない状態のまま、雄継手部材44がOリング52aまたは52bに接し、内部をシールする状態のことをいう。
【0023】図1において、雌継手部材42は、チューブ43を取り付ける側である圧入取付部45と円筒状のハウジング47とが一体となっているもので、図2(b)に示すように、内部には段付きの通路48が軸方向に貫通形成されている。ハウジング47は、雄継手部材44が挿入される側の連結部49を含み、この連結部49の側面には、リテーナ46を軸方向と直角な方向から挿入するための窓部50が形成されている。ハウジング47は、このような連結部49から、これよりも順次小径になる第1の円筒部49a、第2の円筒部49bにつながり、さらに圧入取付部45に連続するようになっている。また、図2(b)に示すように、ハウジング47の第1円筒部49aの内部には、スペーサ51を間において0リング52a、52bが装着されている。53は、0リング52a、52bの脱落を防止するためのトップハットである。
【0024】一方、雄継手部材44には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部54が形成されている。このスプール部54に雌継手部材42の窓部50から差込まれたリテーナー46が係合すると、雄継手部材54が抜けないように拘束される。
【0025】リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含む。この脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、このリブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっている。」

(6)「【0028】この実施形態では、図1、図3、4に示されるように、雄継手部材44には、非円形の横断面形状を有する非円形部として、雄継手部材44の管体の一部を両側からつぶして形成した平坦面60a、60bが形成されている。一方、リテーナー46の方では、平坦面60a、60bを固定する固定部がリブ56a、56bに一体で設けられている。この場合、リブ56a、56bに設けた固定部61a、61bは、雄継手部材44の非円形部の形状に対応して、平坦面60a、60bに密着する平坦な面を有する凸部からなっている。

・・・中略・・・
【0031】そして、雌継手部材42と雄継手部材44がリテーナー46で結合された状態では、図3、図4に示されるように、雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たっていることから、振動等が伝わっても雌継手部材42と雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる。このため、両者の相対的な回転は完全に阻止されるので、接続後に雌継手部材42内部の0リング52a、52bが雄継手部材44との摩擦によって摩耗するようなことを防止でき、シール性能を長期間にわたって維持することが可能となる。」

(7)「図1



(8)「図4



以上総合すると、甲第3号証には、以下の技術事項(以下、「甲3記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「スプール部54を有する雄継手部材44と、雌継手部材42と、前記雌継手部材42のハウジングに開口する窓部から軸方向と直角な方向から挿入され前記雄継手部材44と雌継手部材42とを結合するリテーナー46と、前記雌継手部材42の内部に装着されるOリングと備えた配管用継手において、
前記雌継手部材42は、チューブ43を取り付ける側である圧入取付部45と円筒状のハウジング47とが一体となっており、該ハウジング47は、雄継手部材44が挿入される側の連結部49を含み、この連結部49の側面には、リテーナ46を軸方向と直角な方向から挿入するための窓部50が形成され、また、連結部49には、これよりも順次小径になる第1の円筒部49a、第2の円筒部49bにつながり、さらに圧入取付部45に連続するようになっており、ハウジング47の第1円筒部49aの内部には、スペーサ51を間において0リング52a、52bが装着されており、
前記雄継手部材44には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部54が形成されており、該スプール部54に前記雌継手部材42の窓部50から差込まれたリテーナー46が係合すると、雄継手部材54が抜けないように拘束され、
前記リテーナー46は、一体成形されたプラスチック製のU字形の部材で、その本体52は、両側に平行に延びる脚部55a、55bを含み、該脚部55a、55bの内側には、対向し合ったリブ56a、56bが一体形成されており、該リブ56a、56bは、雄継手部材44の外周部に嵌合するようになっており、
前記雄継手部材44には、非円形の横断面形状を有する非円形部として、雄継手部材44の管体の一部を両側からつぶして形成した平坦面60a、60bが形成され、一方、前記リテーナー46の方では、平坦面60a、60bを固定する固定部61a、61bがリブ56a、56bに一体で設けられ、前記雌継手部材42と前記雄継手部材44が前記リテーナー46で結合された状態では、前記雄継手部材44の非円形部である平坦面60a、60bの全体が、リテーナー46のリブ56a、56の対向し合う固定部61a、61bの内側面に密着するように当たって、振動等が伝わっても前記雌継手部材42と前記雄継手部材44との間には相対的な回転が生じないように両者を結合することができる、
配管用継手。」


4.甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(当審仮訳は特許異議申立人による一部翻訳を参考にした。)

(1)「The foregoing objects and other features and advantages are attained by an electrical connector having a connector body provided with an inlet end having an inlet opening sized to receive armored cable, BX type conductors, non-metallic sheathed conductors or co-axial cables and the like, and an outlet end defining the outlet opening. 」(第2欄14-19行)
(当審仮訳:さらなる目的、特徴、利点は、被覆ケーブル、BX型導電体、非金属製さや管形式の導電材、同軸ケーブルなどの径に合わせた開口部を有する端部を備えた接続部本体を具備する電子接続端子により得られるものである。)

(2)「the electrical connector 10 includes a connector body 11 that has a cable or inlet end 11 A and an outlet end 11 B.」(第3欄6-10行)
(当審仮訳:電気接続端子10は、ケーブルを受け入れる受け口の端部11Aおよび差し込み口端部11Bとを備えた接続部本体11を有する。)

(3)「A radially outwardly extending intermediate flange 12 circumscribes the connector body 11 between the inlet end 11 A and the outlet end 11B. The outlet end 11B is generally circular and is provided with a pair of spaced apart shoulders 13 and 14 circumscribing the outlet end 11B that define therebetween a space or recess 15 . Circumscribing the shoulder 14 is a radially outwardly extending end flange 16 .
In accordance with this invention, a specially constructed retaining or snap fit ring 17 is loosely supported on shoulders 13 and 14 , as best viewed in FIG. 6 . 」(第3欄13-23行)
(当審仮訳:半径方向外側に突出する中間フランジ12が接続部本体11の端部11Aと端部11Bとをわける。差し込み口の端部11Bは、円筒状であり、端部11Bを構成するように一対の肩部13、14が離れて設けられており、それらの間に溝15が設けられている。肩部14は、半径方向外側に向かって突出する末端フランジ16によって構成されている。
この発明において、図6に示すように、肩部13、14に緩く支持されてスナップ式係止リング17が配置されている。)

(4)「Referring to FIGS. 1 and 2 , the retainer or snap fit retainer ring 17 is formed from a flat blank 17A of spring steel having a width size sufficient to extend to and ride on or be supported by shoulders 13 and 14 in the assembled position, as best seen in FIGS. 4 to 6 . The length of the blank 17 A is such that, when formed into the retainer ring 17 as shown in FIG. 3 , will define a complete ring having an expandable circumference sufficiently expandable to be fitted over the end flange 16 for positioning the same onto shoulders 13 and 14 , as shown in FIG. 6 .
Referring to FIGS. 1 and 2 , the blank 17A of the retaining ring 17 is formed with two series of tangs, e.g. a series of A tangs and a series of B tangs.」(第3欄25-38行)
(当審仮訳:スナップ式係止リング17は、図4-図6に示すように肩部13、14によって支持される程度の幅を備えた板バネの基部17A(図1、図2参照)によって形成される。基部17Aの長さは、図3に示すように、リング状に形成した際に、拡径して末端フランジ16を乗り越えて肩部13、14に位置できるようになっている。
図1、2に示すように、係止リング17の基部17Aは、A型爪部およびB型爪部の2種類の爪部を備えている。)

以上総合すると、甲第4号証には、以下の技術事項(以下、「甲4記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「ケーブルを受け入れる受け口の端部11Aおよび差し込み口端部11Bとを備えた接続部本体11を有する電気接続端子10であって、
半径方向外側に突出する中間フランジ12が前記接続部本体11の端部11Aと端部11Bとをわけ、
前記差し込み口の端部11Bは、円筒状であって、端部11Bを構成するように一対の肩部13、14と、それらの間に溝15が設けられ、さらに、肩部14は、半径方向外側に向かって突出する末端フランジ16によって構成されおり、また、肩部13、14の間にはスナップ式係止リング17が配置されており、
前記スナップ式係止リング17は、肩部13、14によって支持される程度の幅を備えた板バネの基部17Aによって形成され、該基部17Aの長さは、リング状に形成した際に、拡径して末端フランジ16を乗り越えて肩部13、14に位置できる程度であって、また、係止リング17の基部17Aは、A型爪部およびB型爪部の2種類の爪部を備えている、
電気接続端子10。」


5.甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パイプの接続に用いるパイプジョイントに係るものであって、特に、電気ケーブルを地中に埋設する場合に、電気ケーブルを被覆して用いるパイプの接続に好都合なものである。」

(2)「【0033】この内周パッキン(23)は、図1に示す如く、内周表面に環状段部(24)を突設し、この環状段部(24)に、接続する2本のパイプ(22)の先端部を突当て接触する事が可能である。また、内周パッキン(23)は、本体筒(20)の内周に凹設した係合凹部(25)に挿入係合し、内周側の表面を本体筒(20)の内周面と同一の径で形成している。このように形成すると、開口部(21)にパイプ(22)を挿入しても、内周パッキン(23)の両端部にパイプ(22)の先端部が引っ掛かるおそれがなく、内周パッキン(23)のズレ、脱落等を防止する事が可能となる。」

以上総合すると、甲第5号証には、以下の技術事項(以下、「甲5記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手本体の奥側には、筒状部の内周面全周を取り囲むように止水部材であるパッキンが配置されること。」


6.甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1)「【0002】
地中に埋設された電線やケーブルを保護するためのケーブル保護管のような管を相互に接続する管継ぎ手部分には、確実かつ充分な防水機能・止水機能が求められている。このような部位に用いられる止水部材として、吸水膨張性樹脂の繊維を利用した不織布状の止水部材が知られており、そのような吸水膨張性樹脂繊維としては、例えば、ランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)やベルオアシス(登録商標 カネボウ合繊株式会社製品)などの製品が市販されている。
【0003】
しかしながら、これら吸水膨張性樹脂繊維は、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とした樹脂繊維であり、純水やイオン濃度の低い水(以下淡水と記載する)には、充分な吸水膨張性を発揮して止水効果を発揮するものであるが、海水などのイオン濃度の高い水(以下単に海水と記載する)に対しては、イオンの存在によって、樹脂の吸水膨張性が阻害されるものであった(以下、これら吸水膨張性樹脂繊維を淡水膨張性樹脂繊維と記載する)。従って、これらの止水部材を海水の浸入が予想される地域において管継ぎ手に使用することは困難であり、淡水に対しても海水に対しても確実かつ充分な防水機能・止水機能を発揮できる止水部材が求められていた。」

(2)「【0046】
以下、本発明の実施例を説明する。淡水膨張性樹脂を含み淡水膨張性を有する不織布として、淡水膨張性樹脂繊維であるランシール(登録商標 東洋紡績株式会社製品)とポリエステル繊維を7:3の混合比率で混紡した不織布(目付け300g/平方メートル)を使用した。
海水膨張性熱可塑性樹脂として、アクアコーク(登録商標 住友精化株式会社製品)を使用した。アクアコークをイソプロピルアルコール(IPA)にて溶解し、樹脂溶液とした。」

以上総合すると、甲第6号証には、以下の技術事項(以下、「甲6記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手の止水部材として、ポリエステル繊維またはポリアクリル酸ナトリウム繊維を用いること。」

7.甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、凸部(大径部)と凹部(小径部)を管軸方向に交互に有する樹脂製の波形管の一端部を受容して同種又は異種の樹脂製波形の保護管を接続するための接続雌部構造に関するものである。本発明の接続雌部構造は、樹脂製波形管の一端部に設けられてもよく、異なる形状の樹脂管に接続する接続雄部構造を有する管継手の接続雌部ないし同じ構造の接続雌部が筒状管で接続された管継手の接続雌部であってもよい。」

(2)「【0015】
本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を構成する樹脂材料は、公知の熱可塑性樹脂を特に限定なく使用することができ、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等を例示することができる。これらの中でも、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の使用が、低コストであり、しかも土中埋設時の耐久性に優れている点で好ましい。」

以上総合すると、甲第7号証には、以下の技術事項(以下、「甲7記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「継手の材料として、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を用いること。」


8.甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、内部にケーブルが送通される可撓管であるケーブル保護管に被着される保護カバー、および該保護カバーを使用した該ケーブル保護管の配管構造に関するものである。」

(2)「【0012】
本発明を図1?図9に示す一実施例によって説明すれば、可撓管(1) は図1に示すように凸環部(2) と凹環部(3) とが長手方向に沿って交互に配置されている独立波付け管であって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる。該可撓管(1) の一端には受け口部(4) が設けられ、他端には差し口部(5) が設けられている。
【0013】
図2に示すように該受け口部(4) の中間内周には外周を凹陥させることによって凹環部(4A)が形成されており、また該差し口部(5) の前端部には外周を凹陥させて係止リング溝(5A)、中間部には外周を凹陥させてゴム輪装着溝(5B)が形成されている。」

(3)「【0016】
上記複数個の可撓管(1) は相互連結されるが、この場合図2に示すように一方の可撓管(1) の差し口部(5) を他方の可撓管(1) の受け口部(4) に内側嵌合する。該一方の可撓管(1) の差し口部(5) の係止リング溝(5A)にはリング基部(16)から係止爪(17)の複数個を斜め上方に差出した係止リング(18)が装着されるが、該リング基部(16)は図5に示すようにパルス波状に屈曲されており径が弾性的に拡縮可能にされており、該係止リング(18)を該係止リング溝(5A)に装着する時には、該リング基部(16)の径を拡大せしめる。そして該係止リング(18)の係止爪(17)が他方の可撓管(1) の受け口部(4) の凹環部(4A)に係合することによって、可撓管(1,1) 双方の抜け止めが行われ、また該一方の可撓管(1) の差し口部(5) のゴム輪装着溝(5B)にはゴム輪(19)が装着され、可撓管(1,1) 相互連結部の水密性を確保している。
また可撓管(1) の差し口部(5) の内径は、該可撓管(1) の凹環部(3) の内径に略等しく設定されており、該可撓管(1) の受け口部(4) の外径は該可撓管(1) の凸環部(2) の外径と略等しく設定されているので、保護カバー(6) は可撓管(1) 相互連結部において拡径される必要がなく、省スペースである。」

以上総合すると、甲第8号証には、以下の技術事項(以下、「甲8記載の技術事項」という。)が開示されていると認められる。

「一方の可撓管(1) の差し口部(5) を他方の可撓管(1) の受け口部(4) に内側嵌合させる嵌合構造であって、前記受け口部(4)には中間内周には外周を凹陥させることによって凹環部(4A)が形成され、また、前記差し口部(5) の前端部には外周を凹陥させて係止リング溝(5A)、中間部には外周を凹陥させてゴム輪装着溝(5B)が形成され、該係止リング溝(5A)にリング基部(16)から係止爪(17)の複数個を斜め上方に差出した係止リング(18)が装着し、該係止リング(18)の係止爪(17)が他方の可撓管(1) の受け口部(4) の凹環部(4A)に係合することによって、可撓管(1,1) 双方の抜け止めが行なわれること。」


第5.対比・判断

ア.本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。

a.甲1発明の「雌型アダプター22」、「雄型アダプター23」が、それぞれ、本件特許発明1の「雌型嵌合部」、「雄型嵌合部」に相当する。
さらに、甲1発明の「凸部20」は、管径方向の断面が略正方形状のものであるから、本件特許発明1の「略矩形状の山部としての管体大径部」に相当し、また、甲1発明の「凹部21」は、管径方向の断面が略円形状のものであるから、本件特許発明1の「円形状の谷部としての管体小径部」に相当する。
したがって、甲1発明の「管径方向の断面が略正方形状の凸部20と管径方向の断面が略円形状の凹部21とを管軸方向に交互に有する管壁25を備え、該管壁25の一方の端部には、雌型アダプター22が、他方の端部には、雄型アダプター23が一体的に形成されているケーブル保護管4」は、本件特許発明1の「管体の端部に雄型嵌合部と雌型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間に、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての管体大径部と、円形状の谷部としての管体小径部が交互に形成される角型電線管」に相当する。

b.甲1発明の「管継手3」は、角筒状部5と円筒状部6を有し、該角筒状部5はケーブル保護管4の切断端部に外嵌させるものであって、円筒状部6は他のケーブル保護管4の雌型アダプター22に内嵌させるものであり、また、切断端部は管壁25の凹部21であるから、凹部21で切断されているものと認められる。
したがって、甲1発明の「前記管壁25を長さ調整しながら切断して雄型アダプター23側を切り落とし、その切断端部に外嵌させる管継手3」は、本件特許発明1の「前記管体小径部で切断した角型電線管の前記管体小径部と角型電線管の前記雌型嵌合部を接続する管継手」に相当する。

c.また、甲1発明の「管継手3」は、管継手3と他の部材を組合わせて継手を構成するものではなく、管継手3の本体部分のみで構成されていると認められることから、本件特許発明1の「前記管継手は、継手本体により形成され」るに相当する。
但し、「管継手」が、本件特許発明1では、「Π型固定部材により形成され、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点で相違する。

d.甲1発明の「管継手3の角筒状部5」は、凹部21を挟んで凹部21の両側に配置される凸部20が挿入されるものであるから、本件特許発明1の「前記管体小径部を挟んで前記管体小径部の両側に配置される前記管体大径部が挿入される筒状部」に相当する。
また、甲1発明の「円筒状の部分」は、角筒状部5の奥側にあり、本件特許発明1の「前記筒状部の奥側に配置される円筒部」に相当する。
そして、甲1発明の「角筒状部5」及び「円筒状の部分」に、切断端部が挿入され固定されており、「角筒状部5」及び「円筒状の部分」は管継手3の一方の側にあるものと認められる。
したがって、甲1発明の「角筒状部5」と「円筒状の部分」を合わせた部分が、本件特許発明1の「小径部固定部」に相当し、そして、甲1発明は、本件特許発明1の「前記継手本体の一方の側には、前記管体小径部を固定する小径部固定部が形成され、前記小径部固定部には、前記管体小径部を挟んで前記管体小径部の両側に配置される前記管体大径部が挿入される筒状部と、さらに前記筒状部の奥側に配置される円筒部とを有」に相当する構成を有しているといえる。

但し、本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定され」るのに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点で相違する。

e.甲1発明の「前記管継手3は、雌型接続部としての角筒状部5と、雄型接続部としての円筒状部6とを管軸方向に連続させた構造であって」、「管継手3の角筒状部5の奥側の前記円筒状の部分と円筒状部6の間には、管継手3の軸方向に対して径方向外側に突出した接続壁があ」ることは、本件特許発明1の「前記継手本体の他方の側には前記雌型嵌合部の固定部として雄型継手部が形成され、前記継手本体の前記小径部固定部と前記雄型継手部の間には、前記継手本体の管軸方向に垂直な接続壁が形成され、」に相当する。

f.甲1発明の「管継手3の角筒状部5の奥側の前記円筒状の部分と円筒状部6は、接続壁を介して接続されている」ことは、本件特許発明1の「前記小径部固定部と前記雄型継手部とが前記接続壁で接続されてい」ことに相当する。

そうすると、両者は、

「管体の端部に雄型嵌合部と雌型嵌合部を有し、前記雄型嵌合部と前記雌型嵌合部の間に、前記管体の外周面に複数の略矩形状の山部としての管体大径部と、円形状の谷部としての管体小径部が交互に形成される角型電線管の、前記管体小径部で切断した角型電線管の前記管体小径部と角型電線管の前記雌型嵌合部を接続する管継手であって、
前記管継手は、継手本体により形成され、
前記継手本体の一方の側には、前記管体小径部を固定する小径部固定部が形成され、前記小径部固定部には、前記管体小径部を挟んで前記管体小径部の両側に配置される前記管体大径部が挿入される筒状部と、さらに前記筒状部の奥側に配置される円筒部とを有し、
前記継手本体の他方の側には前記雌型嵌合部の固定部として雄型継手部が形成され、前記継手本体の前記小径部固定部と前記雄型継手部の間には、前記継手本体の管軸方向に垂直な接続壁が形成され、
前記小径部固定部と前記雄型継手部とが前記接続壁で接続されている角型電線管用管継手。」

の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
管継手が、本件特許発明1では、「Π型固定部材により形成され、前記Π型固定部材は、天面部と前記天面部に略直交するように接続された下方に向けて突出する両足部を有し、前記天面部の下面には、前記両足部と前記天面部の接続部から、外方に向けて突出する段部がそれぞれ形成され」るものであるのに対して、甲1発明では、そのような固定部材から形成されていない点。

(相違点2)
本件特許発明1では、「前記筒状部の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面が開口する切欠き部が形成され、前記Π型固定部材が上方から前記切欠き部へ挿入される際に、前記筒状部の側面上部に、前記Π型固定部材の前記段部が載置され、前記Π型固定部材の前記両足部が前記継手本体の前記筒状部の底部の両側に設けた開口部に挿入されることで、前記Π型固定部材が前記継手本体へ固定され」るのに対して、甲1発明では、そのような特定を有していない点。

相違点1ないし相違点2について検討する。
甲第2号証は、甲第2号証の明細書1頁19行-3頁12行に記載されるように、従来、止め部材を挿入するためにソケット筒に形成されていた窓が、ソケット筒の外周壁のほぼ半周を連続開口して形成されているため、ソケット筒の強度が著しく低下していたことを課題として、窓をスリットとして小さくしたものである。
一方、甲1発明の管継手3は、管継手3自体(角筒状部5の内周面)に設けられる抜け止め片9でケーブル保護管4の接続を行うものであって、窓が設けられるものではなく、窓の形成による強度の低下という課題は存在せず、さらに、仮に、甲1発明において管継手3にスリットを設ければ強度が低下することは明らかであるから、甲1発明に甲第2号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第3号証のものは、甲第3号証の段落【0017】に記載されるように、雄継手部材44と雌継手部材42との結合に関して、雄継手部材44と雌継手部材42の相対的な回転を確実に防止することを課題として、リテーナー46に固定部61a、61bを設け、雄継手部材44に平坦面60a、60bを設けたものである。
しかしながら、甲1発明は、断面が略正方形状の凸部20を有するケーブル保護管4を管継手3の角筒状部5に挿入し結合するものであって、継手同士の結合に関するものではなく、さらに、略正方形状のケーブル保護管4と角筒状部5の結合では相対的な回転は生じないことから、甲1発明に甲第3号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けが存在しない。
また、甲第4ないし甲第8号証には、継手本体に切欠を設け、該切欠に固定部材を挿入する記載はされていない。

したがって、本件特許発明1は、甲1発明、甲第2号証-甲第8号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

イ.本件特許発明2ないし8、10、11について
本件特許発明2ないし8、10、11は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加して限定したものであるから、本件特許発明2ないし8、10、11は、上記ア.と同様の理由により、甲1発明、甲第2号証-甲第8号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。


第6.むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8、10、11に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1ないし8、10、11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-02-01 
出願番号 特願2017-95197(P2017-95197)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H02G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保 正典  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 東 昌秋
山澤 宏
登録日 2018-04-27 
登録番号 特許第6330081号(P6330081)
権利者 古河電気工業株式会社
発明の名称 角型電線管用管継手、角型電線管と角型電線管用管継手の接続構造  
代理人 櫻井 雄三  
代理人 井上 誠一  
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