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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部無効 2項進歩性  A61K
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
管理番号 1349062
審判番号 無効2017-800110  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-08-10 
確定日 2019-02-14 
事件の表示 上記当事者間の特許第5775022号発明「癌の処置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 理 由
第1 手続の経緯

本件特許第5775022号に係る発明についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、2002年2月18日(パリ条約による優先権主張 2001年2月19日、2001年10月17日、いずれも英国(GB))を国際出願日とする出願の一部を平成19年8月6日に新たに出願した特願2007-204409号の、さらに一部を平成24年4月26日に新たな出願としたものであり、平成27年7月10日に特許権の設定登録がなされた。
これに対して、請求人は、平成29年8月10日付け審判請求書により、請求項1?9に係る発明についての特許を無効にすることを求めて本件特許無効審判を請求した。以後の手続は次のとおりである。

平成30年 2月27日付け 答弁書(被請求人)
同年 5月11日付け 審理事項通知書(当審)
同年 6月18日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
同年 6月18日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同年 7月 2日 第1回口頭審理
同年 7月17日付け 上申書(被請求人)
同年 7月31日付け 上申書(請求人)
同年 8月 3日付け 上申書(被請求人)

第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1?9に係る発明は、同特許の特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件特許発明1」?「本件特許発明9」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。)。

「【請求項1】
乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物であって、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン及びエクセメスタンを含む、医薬組成物。
【請求項2】
40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン及びエクセメスタンが、1つの組合せ単位投与形態または2つの別個の単位投与形態で、ともに、一方の後に他方が、または個別的に、投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記乳癌がホルモン受容体陽性乳房腫瘍である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記乳癌が進行した乳癌である、請求項1?3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンが1日当たり単回投与または分割投与で0.1?25mgの投与量で投与されるものである、請求項1?4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンが、0.05?10mgの40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンと共に1又は複数種類の医薬的に許容可能な希釈剤又は担体を含む単位投与形態で経口投与されるものである、請求項1?5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンが、10mgの40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンと共に1又は複数種類の医薬的に許容可能な希釈剤又は担体を含む単位投与形態で経口投与されるものである、請求項1?5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
エクセメスタンが、ヒトに対して5?200mg/日で経口的に投与されるか、または50?500mg/日で非経腸的に投与されるものである、請求項1?7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
エクセメスタンが、ヒトに対して10?25mg/日で経口的に投与されるか、または100?250mg/日で非経腸的に投与されるものである、請求項1?7のいずれか一項に記載の医薬組成物。」

第3 当事者の主張、及び、提出した証拠方法
1 請求人の主張する無効理由、及び、提出した証拠方法
請求人は、「特許第5775022号の特許請求の範囲に記載された請求項1?9に係る発明についての特許を無効とする。審判の費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として以下の無効理由1?5を主張し、証拠方法として、甲第1?32号証(以下、「甲1」?「甲31」という。)を提出している。

ア 無効理由1(サポート要件)
本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件特許発明に係る特許は特許法第123条第1項第4号に該当し無効とされるべきである。

[主張の概要]
本件特許発明は「乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物」に係る発明であり、式Iで示されるラパマイシン化合物の中の特定の化合物である「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」(以下、本件明細書に倣い「化合物A」または一般名の「エベロリムス」ということがある。)及び、エクセメスタンを有効成分として含む。しかしながら、本件明細書には、乳癌に関する化合物Aとエクセメスタンの組合せはおろか、ラパマイシン化合物とエクセメスタンの組み合わせすら具体的に開示した記載はなく、化合物Aとエクセメスタンとを組み合わせたことによる効果の開示や実施例の記載は存在しないから、本件特許発明は、「請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超える」ものである。
また、本件明細書には数多くの「固形腫瘍」の一例として「乳房の腫瘍」が挙げられてはいるが、化合物Aはおろかラパマイシン化合物が「乳癌の予防、進行の遅延化または処置」という新規な用途に使用できることを具体的に示す実施例などの記載も存在しない。
以上の明細書の開示からすれば、本件明細書に接した当業者において、化合物A単体であっても、それが「乳癌の予防、進行の遅延化または処置」という新規な課題を解決できると認識できるはずがなく、まして、「化合物Aとエクセメスタンとの併用」が「乳癌の予防、進行の遅延化または処置」との課題を解決できると理解できるはずもない。
被請求人は、本件明細書にエベロリムスがVEGF-誘発性増殖に対する阻害活性を有することが記載されていることを取り上げ、VEGFの発現と、乳癌における微小血管増加、悪性度及び転移との間に高い相関性が知られているとして、サポート要件違反はない旨を主張するが、VEGF依存性血管新生の阻害剤が乳癌に適用できるかは現在も未だ確証がなく、本件出願当時の技術常識であったとはいえない。また、エベロリムスのmTOR阻害作用は知られていたが、他の作用がないかまでは知られておらず、エクセメスタンとの併用で拮抗を生じないかは明らかでなかった。
そうすると、本件明細書は、当業者がエベロリムスとエクセメスタンという特定の組合せに係る発明がその課題を解決できることを認識できる程度に記載されていたものではない。
したがって、本件特許はサポート要件に違反する。

イ 無効理由2(実施可能要件)
本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件特許発明に係る特許は特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とされるべきである。

[主張の概要]
前述のとおり、本件明細書にはラパマイシン化合物や化合物Aが「乳癌の予防、進行の遅延化または処置」という新規な課題を解決できることに関する実施例の記載はない。
本件特許の出願経過において、出願後に顕著な効果が認められたことが詳細に主張されているが、仮に、当該主張のように、化合物Aとエクセメスタンの組み合わせを採用することが困難であり、また、本件特許発明に当業者が予想できない顕著な効果が認められるというのであれば、尚更、そのような構成・効果(発明)は本件明細書において具体的に開示されていなければならない。仮に、出願経過におけるこのような出願人の主張が正しいのであれば、尚更、本件特許発明が実施可能要件に違反することが明らかになる。

ウ 無効理由3(分割要件、新規性進歩性)
本件特許出願は分割要件を満たさない出願であるから、その出願日は現実の出願日である平成24年4月26日となる。本件特許発明1?9は、甲3又は甲19に記載された発明であるか、これと周知技術等に基づいて当業者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項3号又は第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件特許発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[主張の概要]
本件特許出願は特願2007-204409号(以下、「原出願」という。)からの分割出願であって、分割が適法とされるためには、いわゆる「新規事項の追加」がなされていないことが必要である。しかしながら、本件明細書と原出願明細書の内容は実質的に同一であるところ、上述のとおり、本件明細書には、「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」と「エクセメスタン」という特定の組み合わせにかかる発明は開示されていないから、これと実質的に同一の内容である原出願明細書にも本件特許発明1は開示されていない。したがって、本件特許出願は明らかに新規事項が追加された出願であり、その出願日は現実の出願日である平成24年4月26日となる。
そうすると、本件特許出願前に頒布された刊行物であり原出願の公開公報である甲3は本件明細書と実質的に同一の内容であるから、甲3には、本件特許発明が記載されているか、何らかの相違点があるとしても、本件特許発明は甲3に周知技術を組み合わせることで容易に想到できる。
また、本件特許出願の現実の出願日以前に公知となった甲19は本件特許発明の効果の顕著性を示すために甲5の手続補正書に添付された資料であって、出願人の学会での報告を記載したものであるから、ここに本件特許発明の開示があることは本件出願人自身が認めるところである。したがって、本件特許発明は甲19によって新規性を欠如するか、仮に何らかの相違点があるとしても、甲19に周知技術を組み合わせることで容易に想到できる。

エ 無効理由4(進歩性)
本件特許発明1?9は、甲11に記載された発明及び甲12?14、あるいは周知技術等に基いて当業者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件特許発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

[主張の概要]
出願経過で示された進歩性欠如の理由を無効理由4として主張する。
甲11には「乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物であって、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンからなる医薬組成物。」である発明(以下、「甲11発明」という。)が記載されており、エクセメスタンを含有することが特定されていない点で本件特許発明1と相違する。ラパマイシン化合物を種々の抗腫瘍剤と併用し、抗腫瘍作用を相乗的に高めることは周知・慣用であり(必要なら甲12及び甲13等参照)、エクセメスタン等のアロマターゼインヒビターが乳癌の治療剤として、他の抗腫瘍剤とともに用いられることも周知・慣用である(必要なら甲14の1を参照)。よって、甲11発明においてさらにエクセメスタンを併用することは当業者が容易になし得るものであり、その効果も格別優れているとの記載は本件特許明細書にはない。
本件特許発明2?9は、本件特許発明1において、用量や乳癌の種類などの点でさらに特定するものであるが、いずれも甲11に記載されているか周知の事項、または当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。

オ 無効理由5(進歩性)
本件特許発明1?9は、甲14の1に記載された発明及び甲15?甲17の1、あるいは周知技術等に基いて、当業者が容易に想到できた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件特許発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
なお、当該無効理由との関係では、本件特許の優先日が問題となるところ、本件特許の第1優先権の基礎出願明細書(甲2)には、「エクセメスタン」という単語さえ存在しないから、本件特許発明の優先日はどれほど早いとしても、第2優先権の主張日である平成13年10月17日である。

[主張の概要]
本件は平成13年2月19日の英国出願を第1優先権とする出願である。
前述の分割要件違反の点を措いて優先権について議論をしたとしても、本件特許発明は当該第1優先権の利益を享受できない。すなわち、本件特許の第1優先権の基礎出願が甲2であるが、そこには、「エクセメスタン」という単語さえ存在しないから、本件特許発明が記載されていないことは明らかである。
したがって、本件特許発明の優先日がどれほど早いとしても、第2優先権の主張日である平成13年10月17日となる(以下、「本件優先日」という。)。
本件優先日前に頒布された刊行物である甲14の1(以下の引用は、訳文に代えて提出する特表2003-512301号(甲14の2)による。)には、「乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物であって、抗腫瘍剤、及びエクセメスタンを含む、医薬組成物。」(以下、「甲14発明」とする。)が記載されており、本件特許発明1と甲14発明とは、甲14発明では本件ラパマイシンを含有することが特定されていない点で相違する。
甲15、甲17の1より、本件優先日当時、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(本件ラパマイシン)が抗腫瘍剤であり、かつ、mTOR(「哺乳類ラパマイシン標的蛋白質」)の阻害剤であること、及び、mTOR阻害剤が乳癌に対する抗腫瘍剤として注目されていることが知られていたといえ、甲14発明においてエクセメスタンと併用する抗腫瘍剤として本件ラパマイシンを使用することは当業者が容易に想到できたことである。そして、本件明細書には、本件ラパマイシンとエクセメスタンの組み合わせによる効果について記載されていないから、本件特許発明1には特段の効果は認められない。
また、本件特許発明2?9は、本件特許発明1において、用量や乳癌の種類などの点でさらに特定するものであるが、いずれも甲11に記載されているか周知の事項、または当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。

[証拠方法]
甲1:特許第5775022号公報
甲2: 英国特許出願第0104072.4号明細書
甲3:特開2007-284454号公報
甲4:本件審査経緯、平成25年10月29日付け拒絶理由通知書
甲5:本件審査経緯、平成26年5月2日付け手続補正書
甲6:本件審査経緯、平成26年12月4日付け拒絶査定
甲7:本件審査経緯、平成27年4月8日付け査定不服審判請求書
甲8:本件審査経緯、平成27年4月17日付け手続補正指令書(方式)
甲9:本件審査経緯、平成27年5月21日付け手続補正書(方式)
甲10:本件審査経緯、平成27年4月8日付け手続補正書
甲11:特表2000-514415号公報
甲12:特開昭55-73616号公報
甲13:CANCER RESEARCH 61, p.1527-1532
甲14の1:国際公開第00/69467号
甲14の2:特表2003-512301号公報
甲15:Proceedings of the American Association for Cancer Research,Vol. 42 March 2001
甲16:RAPID COMMUNICATIONS IN MASS SPECTROMETERY, 14, 1965-1971(2000)
甲17の1:Endocrine-Related Cancer (2001) 8 249-258
甲17の2:文献データベース(PubMed Commons)
甲18:FDA Label-Aromasin Tablet
甲19:「エベロリムスとエキセメスタンの併用で閉経後の進行乳癌患者のPFSが延長」と題する報告文(日経メディカル、2011年9月28日)
以上、審判請求書に添付して提出

甲20の1:国際公開第01/12633号
甲20の2:特表2003-507382号公報
甲21:Proc. Natl. Acad. Sci. Nol. 97, No. 8, 4285-4290
甲22:日経メディカルONCOLOGYの記事(日経メディカル、2012年1月20日)
甲23:癌治療の新たな試み・新編III
甲24:医学のあゆみ Vol. 215, No. 7, 607-612
甲25:「米国における、アバスチンの乳癌に対する適応削除について」(医薬品医療機器総合機構、2011年11月30日)
甲26:Journal of Clinical Oncology, Vol. 33, No. 2, 141-147
甲27:「アバスチン」の医薬品インタビューフォーム(一部抜粋)
甲28:J. Steloid Biochem. Molec. Biol. Vol. 44, No. 4-6, pp677-680
以上、口頭陳述要領書に添付して提出

甲29:癌治療の新たな試み 新編II 95?103頁
甲30:最新医学 2001年第56巻3月増刊号 癌の化学療法(前篇)
甲31:癌治療の新たな試み 新編II 11?24頁
甲32:ウエブサイト記事「がんの治療に使われる主な薬 ドキソルビシン:注射」更新・確認日:2017年04月05日 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/medicine/anticancer_agents/data/doxorubicin0101.html)
以上、平成30年7月31日付け上申書に添付して提出

2 被請求人の主張、及び、提出した証拠方法
被請求人は、本件特許には上記無効理由1?5は存在しないことを主張し、証拠方法として、乙第1?24-2号証(以下、「乙1」?「乙24-2」という。)を提出している。

[証拠方法]
乙1:特公平4-43919号公報
乙2:Invest New Drugs. 1999; 17(3):195-212
乙3:Anticancer Res. 1999;19(5B): 4203-14
乙4:J Cancer Res Clin Oncol. 1998; 124(11):615-20
乙5:Am J Pathol. 1993; 143(2): 401-9
乙6:Proc Natl Acad Sci USA. 1998; 95(8):4579-83
乙7:J Clin Invest. 1995; 96(4):1815-22
乙8:Arch Pathol Lab Med. 2000;124(7):966-78
乙9:アフィニトール(登録商標)錠2.5mg及び5mgの「医薬品インタビューフォーム」2014年3月(改定第9版)
乙10:N Engl J Med. 2012; 366(6):520-9
乙11:Adv Ther. 2013;30(10):870- 84
乙12:Bull Cancer. 1999; 86(10): 808-11
乙13:Transplant Proc. 1998; 30(5): 2192-4
乙14:Schweiz Med Wochenschr. 1992;122(25):957-68 Abstract (https:/www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1621078)
乙15:Int J Technol Assess Health Care. 1998; 14(3):514-25 Abstract (https:/www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9780538)
乙16:Cancer. 2000;88(12 Suppl):3073-9
乙17-1:Oncologist. 2001;6 Suppl 3:13-6
乙17-2:The Oncologist Online - Archive of 2001 Issues
(http://theoncologist.alphamedpress.org/content/by/year/2001)
乙18:Int J Biol Markers. 2000;15(4):308-11
以上、平成30年2月27日付け答弁書に添付して提出

乙16-2:乙16の追加抄訳文
乙19:医系薬理学、遠藤ら編、中外医学社、1997年、490頁
乙20:Ragaz, Endocr Relat Cancer. 1999;6(2):277-91
乙21:The CANCER Dictionary by Roberta Altman, et al., 1992, 79
乙22:WHO Drug Information, 1998;12(3):i-ii, 153-164
以上、平成30年6月18日付け口頭陳述要領書に添付して提出

乙23:「GOODMAN & GILMAN'S The PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS」第9版、1996年、1225-1232頁
以上、平成30年7月17日付け上申書に添付して提出

乙24-1:Investigational New Drugs 19: 219-227, 2001
乙24-2:Mechanisms of Action of the Novel Sulfonamide Anticancer Agent E7070 on Cell Cycle Progression in Human Non-Small Cell Lung Cancer Cells|SpringerLink (https://link. springer.com/article/10.1023/A%3A1010608317361)、フロントページ
以上、平成30年8月3日付け上申書に添付して提出

第4 主要な証拠の記載事項
原文が外国語のものは翻訳文で示す。また、下線は当審にて付与した。

甲2(本件特許出願の優先権主張の基礎となる出願のうち、最先のものである英国特許出願第0104072.4号明細書)

(甲2a)
「有機化合物

本発明は新規使用、特にラパマイシンの誘導体を含んでなる化合物群の新規使用に関する。

ラパマイシンの適当な誘導体には、例えば、式I



式中、
R_(1)はCH_(3)またはC_(3?6)アルキニルであり、
R_(2)はHまたは-CH_(2)-CH_(2)-OHであり、
Xは=O、又は(H,OH)であり、
ただし、R_(1)はCH_(3)で、Xが=Oである場合、R_(2)は-CH_(2)-CH_(2)-OHである。

式Iの化合物は、WO94/09010、WO95/16691またはWO96/41807において開示されており、これらを引用することにより本明細書の一部とする。Xが=Oで、R_(1)が2-ペンチニルで、R_(2)が-CH_(2)-CH_(2)-OHである式Iの化合物は新規で、本発明の一部を形成する。

好ましい化合物としては、WO94/09010中の実施例8として開示された、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(以下、「化合物A」という。)である。

例えばWO94/09010、WO95/16691またはWO96/41807において記載されたような、例えばマクロフィリン-12(FK-506結合タンパク質またはFKBP-12としても知られる。)に結合するといった観察された活性に基づいて、式Iの化合物は、例えば急性同種移植拒絶反応の処置において、例えば免疫抑制剤として有用であることが見出されている。今回、式Iの化合物は、特に固形腫瘍の、とりわけ進行固形腫瘍(advanced solid tumor)の癌化学療法に有用となる強力な抗増殖特性を有することが見出された。とりわけ抗癌性化合物が疾患の退行または安定化と関連しない場合において、今なお、固形腫瘍の癌処置の医療的手段を拡大する必要性が存在する。」(1頁1行?2頁7行)

(甲2b)
「「固形腫瘍(solid tumor)」なる用語は、リンパ癌以外の(いかなる箇所の)腫瘍および/または転移、例えば、膵臓腫瘍、メラノーマ、小細胞肺癌等の肺癌、乳癌、扁平上皮癌、腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌等の泌尿器癌、胃癌、大腸癌等の胃腸器癌、膠芽細胞腫、頭頸部癌、軟組織癌、を意味する。」(2頁最終段落)

(甲2c)
「A.インビボ
A.1 KB-31ヒト類表皮性腫瘍異種移植片における活性
KB-31腫瘍のフラグメント(約25mg;Roswell Park Memorial Institute Buffalo、NY、USAから入手した細胞株由来)を、BALB/cヌードマウスの左わき腹に皮下移植する。
腫瘍移植後7日目または10日目に、処置を開始する。試験化合物を、それぞれ、7/10日目?25/35日目に、1日1回経口投与する。
抗腫瘍活性をT/C%(処置動物の腫瘍容積における平均増加を、対照動物の腫瘍容積の平均増加で除し、100をかけたもの)で表す。本アッセイにおいて、1日に0.5mg/kg?2.5mg/kgの範囲で投与する場合、式Iの化合物は腫瘍の増殖を阻害する;例えば、1つの典型的な実験において、2.5mg/kg/日の投与量で投与された場合の「化合物A」は、25%の最終的T/C値をもたらす(対照動物のT/Cは100%である。)。

A.2 HCT116ヒト結腸癌異種移植片における活性
HCT116細胞(セルラインCCL247 ATCC,Rockville MD、USA)1×106個を、BALB/cヌードマウスの左わき腹に皮下移植する。腫瘍移植後7日目または10日目に、処置を開始する。試験化合物を、それぞれ、7/9日目?25/37日目に、1日1回経口投与する。抗腫瘍活性を上述したT/C%で表す。本アッセイにおいて、1日に2.5mg/kg?10mg/kgの範囲で投与する場合、式Iの化合物は腫瘍の増殖を阻害する;例えば、1つの典型的な実験において、2.5mg/kg/日または5mg/kg/日の投与量で投与された場合の「化合物A」は、それぞれ50%及び37%の最終的T/C値をもたらす(対照動物のT/Cは100%である。)。

A.3 CA20948ラット膵臓腫瘍における活性
雄性Lewisラットにおいて、ドナーラット由来のCA20948腫瘍細胞懸濁液を左わき腹に皮下注射することにより、腫瘍を確立する。
種後4日目に処置を開始する。試験化合物を、接種後4日目から12?14日目に、1日1回(週に6日)経口投与する。抗腫瘍活性を、上で示したT/C%で表す。本アッセイにおいて、0.5mg/kg?2.5mg/kgの1日投与量で投与した場合、式Iの化合物は腫瘍増殖を阻害する;例えば、典型的な実験において、2.5mg/kgの1日投与量で投与した場合の「化合物A」は、23%の最終的T/C値をもたらす(対照動物のT/Cは100%と定義される。)。」(3頁下から7行?4頁下から7行)

(甲2d)
「B.臨床試験
目的
第1の目的
化合物A等の式Iの化合物の急性及び蓄積性の毒性と最大認容投与量を決定することを含んだ安全性プロフィールを特徴付けるため、標準的な全身療法に失敗した、または標準的な全身療法が終了しない進行性固形腫瘍を有する成人患者へ静脈内投与する。
第2の目的
化合物A等の式Iの化合物の抗腫瘍活性の予備的な証拠を得るため、患者群へ静脈内投与する。
有効性および応答と相関する生物学的因子を同定するために、治療前および治療後に入手可能な腫瘍生検試料から腫瘍に関する情報を収集する。
計画
これは、標準的な全身療法に失敗した、または標準的な全身療法が終了しない進行した固形腫瘍を有する成人患者に、静脈内注入によって投与される化合物Iの化合物の安全性および有効性にアクセスするための、オープンラベル用量漸増研究である。
治療期間は3ヶ月までである。容認できない毒性または疾患の進行を経験している患者は、早期に中止される。完全または部分応答を達成した患者、または3ヶ月の終わりに病態が安定している患者は、治験責任医師の裁量で、およびスポンサーの承認後に延長プロトコルに従ってさらなる治療を続ける。適格な患者は、疾患の進行または容認できない毒性が観察されるまで、追加の治療を受ける。
用量制限毒性(DLT)がない場合、エスカレーションは次のように進める:
1. 最初の用量漸増:100%用量の増加(グレード2の毒性が最初のコホートで同定されない場合、用量漸増は25%?67%である)。
2. 第1コホートから第2コホートへの100%用量増加後の用量漸増:グレード2の毒性が同定されるまで67%の用量が増加する。
3. グレード2の毒性の同定後の最終用量漸増:研究者およびスポンサーの合意に基づき、25%?67%の用量が増加する。

用量上昇は、患者の各コホートについての最初のサイクルからの毒性に基づく。暫定最大耐量(MTD)は、3?6人の患者のうち少なくとも2人においてDLTが観察される直下の用量レベルとして定義される。次に、仮のMTDとして定義されたコホートは、試験した式Iの化合物の安全性、薬物動態、および薬力学プロフィールのさらなる評価によってMTDを確認するために合計12人の患者を登録する。
すべての毒性は、改訂された米国国立がん研究所共通毒性基準に従って定義される。

患者
組み入れ基準
研究に含めるためには、以下の基準を満たさなければならない。
i. 18歳以上の男性または女性の患者。
ii. 標準的な全身療法および最大1つの追加の全身療法に失敗した、または標準的な全身療法が存在しない進行した進行した固形腫瘍。
iii. Southwestern Oncology Group(SWOG)の固形腫瘍反応基準(正常の組織上限を超える腫瘍マーカー値を含む)によって定義されるような、測定可能、評価可能または評価不可能な少なくとも1つの疾患部位。
iv. 妊娠可能性のある女性は、試験開始前に有効な避妊方法を採用することに同意する前に、試験薬物の中止後3ヶ月まで、陰性の血清β-HCG妊娠検査を受けなければならない。
v. 世界保健機関(WHO)のパフォーマンス状況≦2。
vi. 少なくとも3ヶ月の平均余命。
vii. スクリーニング手続きの前に、インフォームドコンセントが得られる。

除外基準:次のいずれかに該当する場合、試験からの除外が必要である。
i. 妊娠しているか乳房感がある女性の患者。 閉経後の女性は、妊娠可能性がないとみなされるためには少なくとも12ヶ月間無月経でなければならない。
ii. 重度のおよび/または制御されていない医学的疾患(すなわち、制御されていない糖尿病、うっ血性心不全、研究の6ヶ月以内の心筋梗塞、慢性腎疾患、または制御不能な能動感染)を有する患者。
iii. 既知の脳転移を有する患者。
iv. 急性または既知の慢性肝疾患(すなわち、慢性活動性肝炎、肝硬変)を有する患者。
v. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の診断を有する患者。
vi. 研究エントリーの30日前に治験薬を受けた患者は。
vii. 試験開始前に4週間以内に化学療法を受けた(ニトロソウレアまたはマイトマイシンCについては6週間)患者。
viii. 試験開始前の4週間以内に以前の放射線療法を受けた患者。
ix. 以前に骨髄の≧25%まで放射線療法を受けた患者。
x. 研究エントリーの2週間前に大手術を受けた患者。
xi. 医療レジメンに対する不適合の履歴を有する患者。
xii. 肝臓、腎臓または血液機能の障害を有する患者。
xiii. 別の原発性悪性腫瘍がないことが5年未満の患者。しかし、非メラノーマス皮膚癌およびその場での子宮頸癌は、患者の活動性疾患の場合にのみ除外される。

処置
式Iの化合物、例えば、化合物Aは、経口的にまたは非経口的に、例えば、皮下、約0.75mgの投与量レベルで開始する。用量上昇は、上記のスキームに従って進行する。研究は、化合物に起因することが知られている血液学的または他の毒性を経験している個人の治療遅延、用量の減少または治療からの離脱を定義する。

有効性の変数
活性は、客観的腫瘍応答の速度および無増悪期間および全生存期間の関数として示される。ベースラインの腫瘍評価には、測定可能、評価可能、および価値のないすべての疾患の最適評価が含まれる。」(4頁下から6行?7頁下から11行)

(甲2e)
「本発明による方法において使用する場合、式Iの化合物は、唯一の活性成分として、または他の化学療法薬と一緒に投与することができる。用語「他の化学療法剤」は、特に、式1の化合物以外の化学療法剤を意味する。例えば、式Iの化合物は、例えば、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、例えば、ホルモン剤または拮抗薬、例えば(特に前立腺癌の場合)抗アンドロゲン剤またはミトキサントロン、または(特に乳癌の場合)レトロゾールのような抗エストロゲン剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、生物学的応答調節物質、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン、プロテインチロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼ、または他のまたは未知の作用機序を有する薬剤、例えば任意のエピトロンまたはエピトロン誘導体を含む。式Iの化合物が他の化学療法剤と一緒に投与される場合、同時投与される化合物の用量は、使用される共薬剤のタイプ、使用される特定の薬剤、治療される状態、等により変化する。本明細書において使用される「共投与」または「併用投与」などの用語は、選択された治療剤の単一の患者への投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路または同時に投与することが必須ではない治療レジメンを含むことを意図する。」(8頁1?18行)

(甲2f)
「好ましい薬学的組み合わせには、化合物Aと、例えば、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビンまたはドキソルビシンの組合せである。」(8頁下から2?1行)

甲11(特表2000-514415号公報)
(甲11a)
「【特許請求の範囲】
1.ラパマイシンマクロライドと配合して、細胞の過度増殖を防止もしくは処置に相乗的有効量を使用する薬学的組成物の製造に用いる遊離型もしくは薬学的に許容される塩型であるソマトスタチンクラス化合物の使用。
2.細胞の過度増殖の防止もしくは処置にラパマイシンマクロライドと配合して、相乗的有効量の遊離型もしくは薬学的に許容される塩型であるソマトスタチンクラス化合物の使用。
・・・(略)・・・
5.遊離型もしくは薬学的に許容される塩型であるソマトスタチンクラスの化合物およびラパマイシンマクロライドの相乗的有効量を投与することを含む処置を必要とする、対象者において細胞の過度増加を防止もしくは処置する方法。
6.細胞の過度増加の処置もしくは防止のためのキットもしくはパッケージであり、遊離型もしくは薬学的に許容される塩型であるソマトスタチンクラスの化合物を含む薬学的組成物を含み、ラパマイシンマクロライドを含む薬学的組成物を含み、使用説明書をともなう当該キットもしくはパッケージ。」(特許請求の範囲)

(甲11b)
「【発明の詳細な説明】
ソマトスタチン類似体およびラパマイシンの配合
本発明は薬学的配合ならびに過剰の良性および悪性細胞増殖、例えば腫瘍もしくは脈管内膜細胞の増殖を伴う疾患処置におけるその使用に関与する。
好ましくない細胞増殖を阻害または遅延する効果を高める薬剤の開発が、特に癌分野および血管障害の分野において常に必要とされている。
従って、ソマトスタチンクラスの化合物およびラパマイシンマクロライドを含む薬学的配合を提供する。」(9頁1?8行)

(甲11c)
「この文書で用いる“マクロライド”という語は、大環状ラクトンをいい、例えば12-員環もしくはそれ以上のラクトン環の化合物をいう。特に興味あるのは、“ラクタムマクロライド”すなわちラクトン(エステル)結合の他に大環(macrocycle)にラクタム(アミド)結合のある大環状化合物、例えばラパマイシンおよびその多数の誘導体および類似体である。ラパマイシンは免疫抑制ラクタムマクロライドであり、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によりつくられ、式Aに示す構造である。




例えばMcAlpine,J.B.,et al.,J.Antibiotics(1991)44:688;Schreiber,S.L.,et al.,J.Am.Chem.Soc.(1991)113:7433;アメリカ合衆国特許No.3 929 992参照。ラパマイシン誘導体基の1つには、式IVの構造をもつラパマイシンの40-O-置換誘導体がある


式中、
X_(4)は(H, H)もしくはOであり、
Y_(3)は(H, OH)もしくはOであり、
R_(20)およびR_(21)は、H、アルキル、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキルアリールアルキル、ジヒドロキシアルキルアリールアルキル、アシルオキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アリールスルホンアミドアルキル、アリル、ジヒドロキシアルキルアリル、ジオキソラニルアリル、ジアルキル-ジオキソラニルアルキル、ジ(アルコキシカルボニル)-トリアゾリル-アルキルおよびヒドロキシアルコキシ-アルキル[式中、“アルキ-(alk-)”“アルキル”とはC_(1-6)アルキル、分枝状もしくは直線状、好ましくはC_(1-3)アルキルをいい、“アリール”はフェニルもしくはトリルであり、アシルはカルボン酸から得られるラジカルである]から独立して選択され、そして
R_(22)はメチル、もしくはR_(22)およびR_(20)は同時にC_(2-6)アルキルとなる;ただしR_(20)およびR_(21)は両方ともHとはならず、そしてヒドロキシアルコキシアルキルはヒドロキシアルコキシメチル以外である。
この種の化合物はWO 94/09010で開示されており、この文献は、特に例示する化合物に関して引用によりこの明細書に含める。
好ましい化合物は、例えば40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシン(以下、化合物Bと示す)である。」(17頁下から7行?19頁14行)

(甲11d)
「ラパマイシンおよび上記誘導体には強力な免疫抑制作用があることが判明している。ラパマイシンは、平滑筋の細胞増殖の阻害、癌の増殖を阻害することも判明している。
オクトレオチド、バプレオチドおよびランレオチド等のソマトスタチン類似体が、成長ホルモンの分泌を阻害し、乳がん等の悪性腫瘍の増殖を阻害する効果があることが開示されている。オクトレオチドおよびランレオチドが、平滑筋の細胞増殖を阻害することも開示されている。
本発明により、ソマトスタチン類似体およびラパマイシンもしくはその誘導体等の基本的に異なる機構で作用すると信じられている2活性成分の組み合わせが可能で、細胞の過度増殖を相乗的に阻害し得ることが驚くべきことに判明した。」(20頁3?12行)

(甲11e)
本発明によると、ソマトスタチンクラスの化合物とラパマイシンマクロライドの配合は、乳がん、肺がん、GEP腫瘍、下垂体腺腫、リンパ腫等の悪性腫瘍増殖の防止もしくは処置を示唆し、再狭窄、アテローム性動脈硬化、血管閉塞、創傷に伴う経皮経管的冠動脈形成術、血管手術、または例えば心臓、腎臓、膵臓、肺、肝臓、腸、気管および心臓-肺の組み合わせといった様々な組織および器官の慢性拒絶等の移植手術、移植組織血管障害等の脈管内膜肥厚が原因となる生物学的もしくは機械的に誘発される血管創傷等の増殖性脈管疾患の防止もしくは処置を示唆する。」(21頁1?8行)

(甲11f)
「A.インビトロ検定
10%胎児ウシ血清(FCS)を添加したDMEM、5%CO_(2)でAR42J細胞培養物を増殖させる。
細胞は抗生物質もしくは抗菌剤のない状態で増殖させる。DMEMおよび10%FCSを添加したDMEMで増殖するサブコンフルエント(subconfluent)AR42J細胞をトリプシン処理し、DMEM+2.5%FCSで希釈し、そしてコーティングを施していない96-wellプレートに接種する(180μl入ったwellあたり5'000?10'000細胞)。48-時間のインキュベーション期間(Day 0)の後、別のコントロールプレートの細胞数を、Coulter counterによる細胞数の測定およびスルホローダミンB(SRB)染色検定の両方により測定する。オクトレオチド等のソマトスタチン類似体のみ、またはラパマイシンもしくはその類似体のみ、またはソマトスタチン類似体およびラパマイシンもしくはその類似体との配合の何れかに、様々な濃度で5日目までその細胞を接触させる。最初の薬剤の添加の後、5日目までの全薬剤接触および上記SRB分析は、例えば2日目および5日目に行う。増殖は、0日とX日の値(=デルタOD)の吸収(OD)の差により測定する。計算は、Webbの画分産物法(fractional product method)(Valeriote and Lin,1975;Cory and Carter,1986;Berenbaum,J.Theor.Biol.114:413-431,1985)およびChou and Talalay(Adv.Enz.Regul.22:27-55,1984)の方法に基づいて行う。測定した細胞増殖(コントロールの%)が、計算した細胞増殖未満ならば、共同作用的な効果の証明になる。これらのコンディションにおいて、濃度10^(-10)?10^(-6)Mのソマトスタチン類似体と濃度1?1000nMのラパマイシンマクロライドとの配合により、重要なことに腫瘍細胞の増殖が阻害される。
この検定では、オクトレオチドのみ、化合物Bのみ、およびオクトレオチドと化合物Bの配合から、以下の結果が得られる。Webb法による共同作用は、Chou-Talalay法を用いて確かめられる。


(22頁6?9行、表)

(甲11g)
「B.インビトロ検定
AR42J(AR4-2J)ラット膵臓腫瘍細胞系をアゼセリン誘導性外分泌膵臓腫瘍から得る(Jessop and Hay, 1980)。それはATCCより得た。培養物は、10%胎児ウシ血清(FCS)を添加したDMEM、5%CO_(2)で増殖させる。細胞は、抗生物質もしくは抗菌剤のない状態で増殖させる。19-22gの重さのメスヌードマウス(Iffa Credo, Lyon, France由来のnu/nu Balbc-A)をマクロロン(macrolon)のゲージ(typeIII, 16×22×11cm)に5匹ずつ飼う。そのゲージは、24℃±1℃に保温されている風通しのよいキャビネット(Iffa Credo)に置く。その動物は、飲み水および病原体のついていない齧歯動物用の餌(Diet A, Kliba, Basel, Switzerland)を自由に喫食できる。培養した細胞から腫瘍が生じるよう、AR42J細胞をトリプシン処理し、10×10^(6)腫瘍細胞(0.2mlのうち)をヌードマウスの両わき腹に皮下注射する。腫瘍が体積0.03cm^(3)に達すると、動物をコントロールグループおよび処置グループにランダマイズする。コントロール動物は、プラシーボを投与される。動物を下記のように、3週間単剤または配合剤を用いて処置する。ソマトスタチン類似体は、遅効製剤として30mg/kgで単回皮下注射する。腫瘍の大きさはカリパスで測定する。mlあたりの腫瘍体積の計算に、“体積(楕円体)=長さ×奥行×高さ×0.52”の等式を用いた。

結果
4週間後、以下の腫瘍サイズを測定した。
(コントロールグループの値は、腫瘍が過度に大きくなりすぎて動物が死亡したため3週間目のものとなっていることに注意してください。)
処置 体積mm^(3) SE
コントロール 4020 579
A)化合物B, 5mg/kgp.o. 3685 263
B)ラパマイシン, 5mg/kgp.o. 2748 325
C)オクトレオチド パモエイト(pamoate)
(生物分解徐放性調剤),
30mg/kg, 単回注射 2205 339
化合物B+オクトレオチド(C) 130 75
ラパマイシン+オクトレオチド(C) 106 44」
(22頁表の下の行?23頁21行)

(甲11h)
「C.臨床試験
組織学的生検(腺分析-EOA)によって確認された乳がん患者を含める。患者たちは計測および評価可能な転移性の疾患ならびに/またはロコ-局所局在(loco-regional localisation)を有する。必要ならば、外科手術、放射線療法、他の化学療法および/もしくはホルモン療法等の通常療法、その他の処置に耐性のある患者を含めてもよい。
患者には、皮膚もしくは皮下の一次転移腫瘍といった測定もしくは評価し得るX-線分析の標的が少なくとも1つある。それは神経節もしくは内臓であってもよい。好ましくは、試験前1ヶ月以内に病状が悪化し、生存期間があと3ヶ月であると判断される患者である。
ラパマイシンもしくは化合物B等のラパマイシンマクロライドは経口投与する。その処置は少なくとも3月間行い、完全に緩解するまで行う。その応答は、進行、定常化、部分的もしくは完全緩解等のIUCC応答基準に従う通常方法論によって追跡する。
オクトレオチド等のソマトスタチン類似体は、皮下、特に携帯用シリンジポンプ(点滴ポンプ)を使用する継続的皮下注射法等のように非経口的に投与する。
本発明によると、ソマトスタチン類似体およびラパマイシンマクロライドは好ましくは薬学的組成物型で投与する。化合物B等のラパマイシンおよびその誘導体は通常の用法で投与され得る。それは錠剤、カプセル、飲料溶液、エマルジョンもしくはマイクロエマルジョン濃縮液等の形による特に経口等の経腸投与であり、経鼻腔的、経肺(吸入による)的であり、注射液もしくは懸濁液等の形による非経口的であり、または局所的投与である。ラパマイシンおよびその誘導体は、好ましくは経口的に投与され、ソマトスタチン類似体は、好ましくは点滴等により非経口的に投与される。ソマトスタチン類似体は、イギリス特許明細書2,265,311Bに開示のように遅効性製剤でも投与され得る。その配合の各成分の投与は、別々に、同時に、もしくは連続しての何れかで行い得る。例えばラパマイシンもしくは化合物Bを最初に投与した後、例えば8?24時間後にソマトスタチン類似体を投与し得る。
投与する各成分量は、病因および重症度、ならびに患者の状態等の様々な要因を考慮して決定する。ラパマイシンもしくはその誘導体は、対宿主性移植片病、移植拒絶もしくは自己免疫疾患の防止および処置等の免疫抑制の応用に使用し得る範囲の用量、例えば一日用量として約0.5?500mgを単回または数回に分けて好都合に投与し得る。その投与は、1日おき、3日おきといった具合に断続的にもなし得る。ソマトスタチン類似体は、1日あたり約100μg?10mgの範囲の用量を単回もしくは数回に分けて例えば皮下投与し得る。それゆえ、オクトレオチドは、一日に2, 3回0.2?10mgの用量を投与し得る。緩効性型で投与するとき、この調剤には濃度2.0?10(重量)%のソマトスタチンペプチドを含み得る。その調剤の放出期間は1週間?約2月となり得る。ソマトスタチン類似体とラパマイシンもしくはその誘導体の配合により増殖抑制効果は最大となる。
本発明から、本文中で論ずる活性成分は薬学的に許容される希釈剤および担体と配合して使用され得ることが予想される。

調剤例:
A.ソマトスタチン調剤:
1.アンプル
オクトレオチド 0.5mg
マンニトール 45.0mg
乳酸(88%) 3.4mg
炭酸水素ナトリウム pH4.2に合わせる
水(注射グレード) 1mlにする
二酸化炭素 十分量
2.生体内で崩壊し得る徐放性調剤:
酢酸オクトレオチド 4.65% (重量)
ポリ(DL-ラクチド-コーグリコリド) 78.35%
滅菌マンニトール 17%
賦形剤:カルボキシメチルセルロース 0.5% (重量)
マンニトール 0.6%
注射用水 98.9%
3.ラパマイシン(もしくはその誘導体)調剤:例えばカプセル
エタノール 20.0mg
1, 2-プロピレングリコール 81.0mg
精製油 121.5mg
クレモホア(Cremophor)RH40 202.5mg
ラパマイシンもしくは化合物B 20.0mg
合計 500mg 」
(23頁22行?26頁1行)

甲12:特開昭55-73616号公報
(甲12a)
「2.特許請求の範囲
(1)ラパマイシンを有効成分とする抗腫瘍剤。
(2)リンパ球性白血病、結腸腫瘍、色素ガン性腫瘍、上衣芽細胞腫に対し有効である第(1)項記載の薬剤。
(3)ラパマイシン0.5?500mgを含む第(1)項記載の薬剤。
(4)ラパマイシン10?250mgを含む第(1)項記載の薬剤。
(5)ツウイン80を含む生理食塩水にラパマイシンの有効量を含有させてなる第(1)項記載の薬剤。
(6)ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロルエタミン塩酸塩、メルファラン、ピポブロマン、チトテパ、ウラシルマスタード、シタラビン、フルオロウラシル、フロックスウリジン、メルカプトピュリン、メソトレキセイト、チオグアニン、ダカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、プロカルバジン塩酸塩、キナクリン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、クロロトリアニセン、共役発情物質、ジエチルスチルベストロール、メチルテストステロン、テストステロン、プレドニソン、メゲストロール、ヒドロキシプロゲステロン・カプロエイト、ブレオマイシン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩から選ばれた抗新生物形成剤を併用する第(1)項記載の薬剤。」(特許請求の範囲)

(甲12b)
「3.発明の詳細な説明
本発明はラパマイシン(rapamycin)を有効成分として含有する抗ガンまたは抗腫瘍剤に関する。」(1頁右下欄11?12行)

(甲12c)
「ラパマイシンは経口または非経口的に発ガン性腫瘍を有する哺乳類に投与され、腫瘍の大きさを減少させるとともに生存期間を延長させる。」(2頁右上欄5?7行)

(甲12d)
「ラパマイシンは腫瘍サイズを減少させおよび生存期間を延長するが、特に次の発ガン性腫瘍を制御するのに有用である。リンパ球性白血病、結腸腫、乳腫瘍、色素ガン(黒腫)および上衣芽細胞腫に対し有用である。」(2頁左下欄8?12行)

(甲12e)
「第1?6表にはげつ歯動物の種々の腫瘍またはガンに対するラパマイシンの治療効果を示す。
・・・(略)・・・第4表は雄CD8F_(1)ラットのCD8F_(1)乳腫瘍の大きさの減少効果を示す。・・・(略)・・・


処置:ツウイン-80を含む生理食塩水にとかして使用し、1、8、15、22および29日目に1回腹腔内注射を行つた。
評価:T/C%=MTW(Median tumor weight)の比×100、T/C%が42以下はかなりの抑制効果を示す。評価は30日目に行つた。」(2頁左下欄最終行?3頁右下欄最終行)

(甲12f)
「ラパマイシンはガン治療に通常使用される抗新生物形成剤の治療的有効量と組合せて使用すると悪性腫瘍に対しても有効である。この種抗新生物形成剤の具体例として、アルキル化剤(例えば、ブスルフアン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucll)、シクロホスフアミド、メクロルエタミン(mechlorethamine)塩酸塩、メルフアラン(melphalan)、ピポブロマン(pipobroman)、チオテパ(thiotepa)、ウラシルマスタード、抗代謝産物(例えばシタラビン(cytarabine)、フルオロウラシル、フロクスウリジン(floxuridine)、メルカプトピユリン(mercaptopurine)、メソトレキセイト(methotrexate)およびチオグアニン、種々の制ガン剤(例えばダカルバジン(dacarbazine)、ヒドロキシウレア、ミトタン(mitotane)、プロカルバジン塩酸塩、キナクリン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩およびビンクリスチン(vincristine)硫酸塩)、発情物質(例えばクロロトリアニセン(chlorotrianisene)、共役発情物質(例えば、商品名PREMARIN)およびジエチルスチルベストロール等)、アンドロゲン類(例えばメチルテストステロン、テストステロン等)、副腎皮質ホルモン(例えばフレドニソン(prednison等)、プロゲスタゲン類(例えばメゲストロール、ヒドロキシプロゲステロン・カプロエイト等)、放射性同位元素、抗生物質(例えばブレオマイシン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩等が挙げられる。抗新生物形成剤の適当な投与方法、組成および投与量については医学教科書に記載されている。例えば、″PHYSICIANS′ DESK REFERENCE″32版Medical Economics Co.,Oradell N.J.USA(1978)および″AMA DRUG EVALUATIONS″3版PSG Publishing Company,Inc.,Littleton,Mass.,USA pp 1106-1151(1977)がある。
組合せて使用されるときは、ラパマイシンは前述したように投与される。しかしながら、より低い投与量でも有効な結果を得ることができる。」(4頁右上欄下から4行?右下欄14行)

甲13:CANCER RESEARCH 61, p.1527-1532
(甲13a)
「ヒト原発神経外胚葉腫瘍/髄芽腫モデルにおける単剤としての、および併用化学療法におけるラパマイシン誘導体CCI-779の抗腫瘍活性。

要旨
我々は、インビトロおよびインビボでのヒト脳腫瘍細胞株における免疫抑制剤ラパマイシンおよびその誘導体CCI-779の単剤および標準化学療法剤との細胞傷害性を試験した。ラパマイシン感受性PNET / MB細胞株DAOYにおいて、ラパマイシンは、シスプラチンおよびカンプトテシンと相加的な細胞毒性を示した。インビボで、CCI-779は、コントロールと比較して、1週間後に160%、全身処置の2週間後に240%のDAOY異種移植の増殖を遅延させた。単剤の高用量処置は、腫瘍体積の37%退縮を誘導した。DAOY異種移植片の増殖阻害は、CCI-779およびシスプラチンの同時処置後、シスプラチン単独よりも1.3倍大きかった。興味深いことに、CCI-779はまた、インビトロでラパマイシンに耐性があるヒト細胞株であるU251悪性神経膠腫細胞に由来する異種移植の増殖阻害を生じた。これらの研究は、ラパマイシン誘導体CCI-779がヒト脳腫瘍、特にPNET / MBの治療において研究する重要な新しい薬剤であることを示唆している。」(題名及び要旨)

甲14の1:国際公開第00/69467号
(甲14a)
「1.超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中抗腫瘍剤、及び(b)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中アロマターゼ阻害剤を含む、ヒトにおける乳癌治療で用いるための組成物。
2.該抗腫瘍剤を、抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤、抗腫瘍性微小管阻害剤、抗腫瘍性アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤、及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤から選択し、該アロマターゼ阻害剤を、エクセメスタン、フォルメスタン、アミノグルテチミド、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、アナストロゾール及びYM511から選択する、請求項1に記載の組成物。
3.該抗腫瘍剤を、アントラサイクリン化合物、アントラキノン化合物、ポドフィロトキシン化合物、タキサン化合物、ビンカアルカロイド、アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤から選択する、請求項2に記載の組成物。
4.該アントラサイクリン化合物を、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びネモルビシンから選択し;該アントラキノン化合物を、ミトキサントロン及びロソキサントロンから選択し;該ポドフィロトキシン化合物を、エトポシド及びテニポシドから選択し;該タキサン化合物を、パクリタキセル及びドセタキセルから選択し;該ビンカアルカロイドを、ビンブラスチン及びビノレルビンから選択し;該アルキル化剤を、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びPNU-159548から選択し;該抗腫瘍性代謝拮抗剤を、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキセート及びエダトレキセートから選択し;及び該抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤を、トポテカン、イリノテカン、9-ニトロカンプトテシン及びPNU-166148から選択する、請求項3に記載の組成物。
5.該組成物が、エピルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド及びビノレルビンから選択される1,2又は3種類の抗腫瘍剤と、エクセメスタン、フォルメスタン、アナストロゾール、レトロゾール及びファドロゾールから選択される1又は2種類のステロイド性アロマターゼ阻害剤とを含む、請求項3記載の方法。
6.該組成物が、エピルビシン及びドセタキセルから選択される1又は2種類の抗腫瘍剤を含み、該ステロイド性アロマターゼ阻害剤がエクセメスタンである、請求項5に記載の組成物。
7.ビンブラスチンの有効抗腫瘍量が、約3mg/m^(2)?約10mg/m^(2)であり;
ドキソルビシンの有効抗腫瘍量が、約20mg/m^(2)?約100mg/m^(2)であり;
エピルビシンの有効抗腫瘍量が、約20mg/m^(2)?約200mg/m^(2)であり;
イダルビシンの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約50mg/m^(2)であり;
ミトキサントロンの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約20mg/m^(2)であり;
パクリタキセルの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約300mg/m^(2)であり;
ドセタキセルの有効抗腫瘍量が、約50mg/m^(2)?約100mg/m^(2)であり;
ビノレルビンの有効抗腫瘍量が、約15mg/m^(2)?約30mg/m^(2)であり;
シクロホスファミドの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約1500mg/m^(2)であり;
メルファランの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約10mg/m^(2)であり;
5-フルオロウラシルの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)であり;
カペシタビンの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)であり;
メトトレキセートの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)であり;
トポテカンの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約5mg/m^(2)であり;
イリノテカンの有効抗腫瘍量が、約50mg/m^(2)?約350mg/m^(2)であり;
及び、アロマターゼ阻害剤の有効量が、約0.5?約500mgである、
請求項1?6のいずれかに記載の組成物。
8.経口投与する場合、アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタンの量が約5?約200mgであり、ファドロゾールが約0.5?約10mgであり、レトロゾールが約0.5?約10mgであり、及びアナストロゾールが約0.5?約10mgである、請求項7に記載の組成物。
9.非経口投与する場合、アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタンの量が約50?約500mgであり、フォルメスタンが約250?約500mgである、請求項7に記載の組成物。
10.ヒトにおける乳癌治療において、別々に、同時に又は逐次的に投与するための、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で抗腫瘍剤とアロマターゼ阻害剤とを含む医薬品。
11.超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量でアロマターゼ阻害剤を投与することを更に含む方法で乳癌治療のための医薬組成物の製造における抗腫瘍剤の使用。
12.超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)抗腫瘍剤及び(b)アロマターゼ阻害剤を、治療を要するヒトに対して投与することを含む、ヒトにおける乳癌を治療する方法。
13.該抗腫瘍剤を、抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤、抗腫瘍性微小管阻害剤、抗腫瘍性アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤、及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤から選択し、該アロマターゼ阻害剤を、エクセメスタン、フォルメスタン、アミノグルテチミド、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、アナストロゾール及びYM511から選択する、請求項12に記載の方法。
14.該抗腫瘍剤を、アントラサイクリン化合物、アントラキノン化合物、ポドフィロトキシン化合物、タキサン化合物、ビンカアルカロイド、アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤から選択する、請求項13に記載の方法。
15.該アントラサイクリン化合物を、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びネモルビシンから選択し;該アントラキノン化合物を、ミトキサントロン及びロソキサントロンから選択し;該ポドフィロトキシン化合物を、エトポシド及びテニポシドから選択し;該タキサン化合物を、パクリタキセル及びドセタキセルから選択し;該ビンカアルカロイドを、ビンブラスチン及びビノレルビンから選択し;該アルキル化剤を、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びPNU159548から選択し;該抗腫瘍性代謝拮抗剤を、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキセート及びエダトレキセートから選択し;及び該抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤を、トポテカン、イリノテカン、9-ニトロカンプトテシン及びPNU166148から選択する、請求項14に記載の方法。
16.エピルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド及びビノレルビンから選択される1,2又は3種類の抗腫瘍剤と、エクセメスタン、フォルメスタン、アナストロゾール、レトロゾール及びファドロゾールから選択される1又は2種類のステロイド性アロマターゼ阻害剤とを投与する、請求項14に記載の方法。
17.エピルビシン及びドセタキセルから選択される1又は2種類の抗腫瘍剤と、ステロイド性アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタンを投与する、請求項15に記載の方法。
18.ビンブラスチンの有効抗腫瘍性量が、約3mg/m^(2)?約10mg/m^(2)であり;
ドキソルビシンの有効抗腫瘍量が、約20mg/m^(2)?約100mg/m^(2)であり;
エピルビシンの有効抗腫瘍量が、約20mg/m^(2)?約200mg/m^(2)であり;
イダルビシンの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約50mg/m^(2)であり;
ミトキサントロンの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約20mg/m^(2)であり;
パクリタキセルの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約300mg/m^(2)であり;
ドセタキセルの有効抗腫瘍量が、約50mg/m^(2)?約100mg/m^(2)であり;
ビノレルビンの有効抗腫瘍量が、約15mg/m^(2)?約30mg/m^(2)であり;
シクロホスファミドの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約1500mg/m^(2)であり;
メルファランの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約10mg/m^(2)であり;
5-フルオロウラシルの有効抗腫瘍量が、約100mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)であり;
カペシタビンの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)であり;
メトトレキセートの有効抗腫瘍量が、約10mg/m^(2)?約1000mg/m^(2)
であり;
トポテカンの有効抗腫瘍量が、約1mg/m^(2)?約5mg/m^(2)であり;
イリノテカンの有効抗腫瘍量が、約50mg/m^(2)?約350mg/m^(2)であり;
及び、アロマターゼ阻害剤の有効量が、約0.5?約500mgである、
請求項15又は16に記載の方法。
19.経口投与する場合、アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタンの量が約5?約200mgであり、ファドロゾールが約0.5?約10mgであり、レトロゾールが約0.5?約10mgであり、及びアナストロゾールが約0.5?約10mgである、請求項18に記載の方法。
20.非経口投与する場合、アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタンの量が約5?約500mgであり、フォルメスタンが約250?約500mgである、請求項18に記載の組成物。
21.抗腫瘍剤を用いる乳癌治療によって引き起こされるヒトにおける副作用を減弱するための方法であって、該方法が、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)抗腫瘍剤及び(b)アロマターゼ阻害剤とを含む組合わせ製剤を、その方法を必要としているヒトに対して投与することを含む前記方法。」(特許請求の範囲)

(甲14b)
「(発明の分野)
本発明は、ヒトの乳癌の治療法に関するものであり、詳しくは、細胞毒性薬を用いる単剤又は多剤の化学療法と組合わせてアロマターゼ(エストロゲンシンセターゼ)阻害剤を投与することを含む併用療法に関する。」(1頁5?9行)

(甲14c)
「乳癌は、細胞毒性薬による化学療法で治療される最初の固形腫瘍の1つであり、また多剤化学療法で治療された最初の腫瘍の1つであった。更年期障害の状態及びERの状態は、初期又は転移性の乳癌における療法の選択において重要な役割を演ずる。化学療法は、ER陰性腫瘍を有する可能性がより高い閉経前の女性でより普通に用いられる。進行型疾患では、化学療法は、ER陰性腫瘍及びER陽性腫瘍のホルモン療法失敗後に推奨される。いくつもの無作為化試験では、多剤化学療法は、アジュバント設定又は転移性設定で、単剤化学療法に対しての優位性が確立された。
乳癌の多剤化学療法において又は臨床評価中において一般的に用いられる細胞毒性化合物は:すなわち、
1)トポイソメラーゼII阻害剤、例えばアントラサイクリン系のドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びネモルビシン、及びアントラキノン系のミトキサントロン及びロソキサントロン(losoxantrone)、及びポドフィロトキシン系のエトポシド及びテニポシド
2)微小管阻害剤、例えばタキサン系のパクリタキセル及びドセタキセル、及びビンカアルカロイド系のビンブラスチン及びビノレルビン
3)アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、イホスファミド及びメルファラン、及びアルキサイクリン(alkycycline)誘導体PNU-159548(C. Geroni et al., Proc. Am. Assoc, Cancer Res 39, p223, 1998 (Abstr. #1517)
4)抗腫瘍性代謝拮抗剤、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、ゲムシタビン、メトトレキセート及びエダトレキセート
5)トポイソメラーゼI阻害剤、例えばトポテカン(topotecan)、イリノテカン、9-ニトロカンプトテシン、及び高分子カンプトテシン抱合体PNU-166148(WO99/17804における化合物A1)
を含む様々なクラスに属する。」(2頁25行?3頁16行)

(甲14d)
「広範な研究の後、本発明者は、驚くべきことに、化学的治療法である細胞毒性薬(抗腫瘍剤)の治療効果が、アロマターゼ阻害剤制癌剤、すなわち酵素アロマターゼを阻害することによってエストロゲンの形成を抑制する化合物と一緒に同時投与することにより、有意に改善され、かつ副作用が減弱することを発見した。」(4頁15?19行)

(甲14e)
「(発明の詳細な説明)
第一の面では、本発明は、乳癌を治療するための医薬組成物の製造における抗腫瘍剤の使用を提供する。前記乳癌の治療は、更に、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量でアロマターゼ阻害剤を含む少なくとも1つの医薬組成物を投与することも含む。
また、本発明は、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で(a)抗腫瘍剤及び(b)アロマターゼ阻害剤を含む医薬品を、ヒトにおける乳癌治療において、同時に、別々に又は逐次的に使用するための組合わせ製剤として提供する。而して、抗腫瘍剤及びアロマターゼ阻害剤は、単一の異なる容器手段を用いて存在させても良い。
また、本発明は、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中抗腫瘍剤及び(b)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中アロマターゼ阻害剤とを含む、ヒトの乳癌治療で用いるための組成物を提供する。
本発明の更なる面は、必要としているヒトで用いるための乳癌治療法であり、該方法は、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)抗腫瘍剤及び(b)アロマターゼ阻害剤を、該ヒトに対して投与することを含む。
また、本発明は、必要としているヒトにおいて、抗腫瘍剤による乳癌治療によって引き起こされる副作用を減弱させる方法も提供する。該方法は、超加成性抗腫瘍効果を生じさせる量で、(a)抗腫瘍剤及び(b)アロマターゼ阻害剤との組合わせ製剤を、該哺乳類に対して投与することを含む。
而して、該組合わせ製剤を用いて、腫瘍の成長を抑えながら、ヒトを含む哺乳類における乳癌抗腫瘍療法によって引き起こされる副作用を減弱させることができる。」(4頁21行?5頁16行)

(甲14f)
「本発明の好ましい面にしたがって、超加成性抗腫瘍効果により、腫瘍形成を、抑える、すなわち遅延させ、妨害し、抑止し、停止させ又は逆転させることにおいて有効性が増した乳癌治療が得られる。
本発明によると、「超加成性(superadditive)効果」とは、各成分の作用の総和よりも大きい腫瘍増殖抑制効果を意味している。本明細書において、腫瘍の「増殖抑制」とは、腫瘍の増殖を遅延させる、妨害する、抑止する又は停止させることであり、腫瘍をすべて排除することを必ずしも意味していない。」(5頁17?25行)

(甲14g)
「「抗腫瘍剤」という用語は、1種類の抗腫瘍性細胞毒性薬と、「カクテル」、すなわち臨床的習慣にしたがう前記薬剤の混合物との双方を含むことを意味している。」(5頁26?28行)

(甲14h)
「本発明によると、抗腫瘍剤は、好ましくは:抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤、抗腫瘍性微小管阻害剤、抗腫瘍性アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤、及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤を含む群から選択する。
抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤は、好ましくは:
a)アントラサイクリン化合物、例えばドキソルビシン(リポソーム処方を含む)、エピルビシン(リポソーム処方を含む)、イダルビシン及びネモルビシン(nemorubicin);及び
b)アントラキノン化合物、例えばミトキサントロン及びロソキサントロン(losoxantrone);及び
c)ポドフィロトキシン化合物、例えばエトポシド及びテニポシド
である。
微小管阻害剤は、好ましくは:
a)タキサン化合物、例えばパクリタキセル(リポソーム処方を含む)及びドセタキセル;及び
b)ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン及びビノレルビン
である。
アルキル化剤は、好ましくはシクロホスファミド、イホスファミド及びメルファラン及びPNU-159548である。
抗腫瘍性代謝拮抗剤は、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキセート及びエダトレキセートである。
抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤は、例えばトポテカン、イリノテカン、9-ニトロカンプトテシン及びPNU-166148である。
抗腫瘍剤は、好ましくはエピルビシン、ドキソルビシン、リポソームカプセル化ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、及びリポソームカプセル化パクリタキセルである。」(6頁11?31行)

(甲14i)
「本発明によると、アロマターゼ阻害剤は、ステロイド性化合物、特に、エグゼメスタン及びフォルメスタンから選択されるステロイド性化合物、又はアミノグルテチミド、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、アナストロゾール及びYM511から選択される非ステロイド性化合物であっても良い。
好ましくは、アロマターゼ阻害剤は、エクセメスタン、フォルメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、又はレトロゾールから選択される化合物であり、特に好ましくはエクセメスタンである。」(6頁最終行?7頁5行)

(甲14j)
「(ラットのジメチルベンズアントラセン(DMBA)誘発乳癌における抗腫瘍活性)
ゴマ油1mL中DMBA20mgを単回経口投与することによって乳癌を誘発させた。腫瘍は、DMBA投与後、開始約40日で認められた。ラットは、少なくとも1つの直径1cmの腫瘍が認められた時に、実験群中に逐次的に選んで入れた。実験中に1週間に1度、カリパスで2つの直交腫瘍軸(perpendicular tumor axes)を測定した。腫瘍の重量は、式d^(2)xD/2(式中、dは最少直径及びDは最大直径である)にしたがって計算した。
対照群及び治療群の腫瘍増殖は、最初に治療した日に測定した初期腫瘍重量に関する比で表した。治療期間(4週間)の最後に、薬剤に対する腫瘍応答を、CR(完全退縮、腫瘍の消失)、PR(部分的退縮、腫瘍重量の>50%減少);NC(変化無し、50%以下の増加又は減少)又はP(進行、>50%増加)で表した。更に、4週間の治療中における新しい腫瘍の出現を評価した。
ベンジルアルコール中に溶かし(最終体積3%)、ゴマ油で希釈したエグゼメスタンを、1週間に6日を4週間、皮下投与した。無菌の0.9%NaCl溶液中に溶かしたエピルビシンを、1週間に1度を4週間、静脈内投与した。13%エタノール中に溶かし、5%グルコース溶液で希釈したドセタキセルを、1週間に1度を4週間、静脈内投与した。




表1の結果は、腫瘍退縮を引き起こすことにおいて、エクセメスタン(CR+PRが44%)に比して、エピルビシンは、有効ではない(1mg/kg/日、CR+PRが7%)か、又は有効性が低い(3mg/kg/週;CR+PRが27%)ことを示している。前記2種類の薬剤を組合わせて投与すると、エピルビシン低用量とエクセメスタンとの組合わせ(CR+PRが75%)において又はエピルビシン高用量とエピルビシン(当審注:エクセメスタンとすべきところの誤記と認める)との組合わせ(CR+PRが90%)において、非常に興味深い超加成性抗腫瘍効果が観察された。新しい腫瘍の出現は、エピルビシン3mg/kg/週及びエクセメスタン(単独又はエピルビシン1mg/kg/週との組合わせ)による単剤治療によって減少した。また、非常に興味深いことに、エクセメスタンとエピルビシン3mg/kg/週との組合わせは、4週間の治療期間中、新しい腫瘍の出現を完全に防止した(対照群においてラット1匹当たり2.1個の腫瘍に対して、前記の組み合わせで治療した群では、ラット1匹当たり0個であった)。体重増加からは、エピルビシンは、試験用量においてわずかな抑制効果を有していたが、エグゼメスタンは、単独又は組合わせて投与した場合、同化効果を示すことが分かった。
図1は、ラットのDMBA誘発腫瘍の増殖に関する、単独で又は組合わせて投与したエクセメスタン及びエピルビシンの効果を示している図である。




図1は、対照群及び治療群の4週間治療中の腫瘍増殖(初期腫瘍重量に対する比で表してある)を示している。エクセメスタン又はエピルビシン3mg/kg/週による単独治療は腫瘍増殖を低下させたが、前記2つの薬剤を組合わせた場合には、より高い抗腫瘍効果が観察された。興味深いことに、併用治療により、腫瘍応答の期間がより長くなった:実際に、治療後4週間(第8週)、単剤で治療された群では腫瘍が再増殖したが、エクセメスタンとエピルビシンとの組合わせ3mg/kg/週で治療した群では、依然として腫瘍重量が抑制された。




表2は、エクセメスタンとドセタキセルとの組合わせから得られた結果である。1.5mg/kg/週のドセタキセルは、有効であり、腫瘍応答41%(CR+PR)を引き起こしている。これは、エクセメスタン治療後に観察された結果(腫瘍応答44%)と同様な効果である。前記2つの薬剤を組合わせると、超加成性効果が観察され、殆どすべての腫瘍が退縮した(92%)。また、新しい腫瘍の出現は、前記の組合わせでのみ完全に抑制された(ラット1匹当たり腫瘍0)。
明らかな一般毒性の増大は、例えば体重損失について評価したように、この組合わせで観察されなかったことが注目される。
図2は、ラットのDMBA誘発腫瘍の増殖に関する、エクセメスタン単独で又はエクセメスタンとドセタキセルとを組合わせて投与した4週間の治療の時間経過効果を示している図である。
図中の記号は以下の通りである。




図2に示してあるように、エクセメスタンとドセタキセルとの組合わせの効果は、単剤のそれに比して高く、また腫瘍の寛解はより長期間継続した。
これらの結果は、アロマターゼ阻害剤制癌剤との併用療法における抗腫瘍剤の使用を支持している。」(7頁22行?10頁9行)

甲15:Proceedings of the American Association for Cancer Research,Vol. 42 March 2001
#1972 Antitumor Activity of RAD001, an Orally Active Rapamycin Derivative.
(甲15a)
「#1972 経口活性ラパマイシン誘導体RAD001の抗腫瘍活性
RA001は経口吸収性のラパマイシンのヒドロキシエチルエーテル誘導体である。RAD001は、多くのヒト腫瘍細胞株に対してインビロトでの抗増殖活性を示した。IC10、IC50、IC90の濃度応答曲線での桁数の異なる値は、細胞増殖の阻害の可能性と、殺腫瘍細胞性がない事を示唆している。fM?μMの幅のIC50値は、数種の腫瘍細胞株はRAD001処置に対して非常に感受性であるけれども、他は本質的に抵抗性であることを示している。このような増殖応答性の違いに関わらず、p70S6キナーゼ活性のダウンレギュレーション(活性低下現象)と4E-BP1のリン酸化(mTORキナーゼ経路の下流因子)の低下が、感受性細胞株(A549;IC50:6fM)と抵抗性細胞株(HCT-116;IC50:6μM)の双方で認められた。洗い出し(wash-out)実験は、RAD001の単回30分のパルス処理が、最大2-3日のmTORのダウンレギュレーションを維持するということを、更に劇的に実証した。これらのデータは、RAD001がもたらすmTOR機能の喪失を相殺することができる抵抗性細胞株が存在するけれども、RAD001がラパマイシンについて報告されている持続的作用と類似機序を有していることを示している。RAD001は経口的に活性であり、0.5?5.0mg/kg/d幅の投与量において、ヌードマウスに移植したヌードマウスの増殖を阻害する。これらの投与量において、RAD001は忍容であった。」

甲16:RAPID COMMUNICATIONS IN MASS SPECTROMETERY, 14, 1965-1971(2000)
(甲16a)
「半自動96ウェル固相抽出システムを用いた液体クロマトグラフィー/質量分析法による全血中のエベロリムス(RAD001)およびシクロスポリンA(CsA)のハイスループット解析

(要旨)
ヒト血液中のエベロリムス(RAD001)およびシクロスポリンA(CsA)の同時測定のために、半自動固相抽出(SPE)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC / MS)手順を評価した。全血サンプル(350mL)をアセトニトリル/硫酸亜鉛混合物で前処理して、サンプルタンパク質を沈殿させた。サンプルを遠心分離し、得られた上清を手動で96ウェルプレートフォーマットに移した。その後のすべての試料移送および固相抽出は、Tomtec Quadra 96ワークステーションを用いて自動化された。大気圧化学イオン化(APcI)インターフェースを使用してLC / MSによって試料を分析した。感度を高めるために、MS法は、RAD001([M]^(-))およびその内部標準について陰イオンモードを使用し、CsA([M+H]^(+))及びその内部標準には陽イオンモードとした。定量の下限は、RAD001の場合は0.375ng.ml^(-1)、CsAの場合は6.95ng.ml^(-1)であった。この方法の再現性は、公称濃度範囲で5回以上の品質管理(QC)レベルで6回反復分析することによって評価され、RAD001については0.375から253ng.ml^(-1)、CsAについては6.95から1530ng.ml^(-1)であった。日間および日中の精度は89.7から114%の範囲であり、両方の化合物の精度(%CV)は12%未満であった。この方法の感度、必要な少量のサンプル量、および高いサンプルスループットは、小児患者における薬物動態試験のための魅力的な選択肢になっている。」(題名、要旨)

甲17の1:Endocrine-Related Cancer (2001) 8 249-258
(甲17a)
「mTOR、乳癌における新規な標的。CCI-779、mTOR阻害剤、乳癌前臨床モデルでの効果

要旨
mammalian target of rapamaycin(mTOR)は、正常な細胞複製の関与に先行する、細胞周期G1タンパク合成の中心的調節因子である。我々は、mTOR機能を阻害するラパマイシンエステルであるCCI-779の、乳癌細胞株パネルの増殖における効果を研究した。CCI-779において、試験した6/8株が感受性(IC_(50)≦50nM)であり、2株が抵抗性(IC_(50)>1μM)であった。感受性株はエストロゲン依存性(MCF-7,BT-474,T-47D)であり、又は癌抑制PTEN発現の欠損(MDA-MB-468, BT-549)、及び/又はHer-2/neuがん遺伝子の高発現(SKBR-3, BT-474)であった。抵抗性株(MDA-MB-435, MDA-MB-231)はこれらの性質を全く共有していなかった。CCI-779(50nM)は、感受性株及び抵抗性株の両方のmTOR機能を阻害した。Nu/nuマウス移植系において、CCI-779はMDA-MB-468(感受性)の増殖を抑制したが、MDA-MB-435抵抗性腫瘍の増殖は抑制しなかった。CCI-779による感受性株の処理は、Dタイプサイクリンとc-mycレベルを低下させ、p27^(kip-1)レベルを増加させた。Akt経路の活性化とCCI-779の感受性の間の良い相関があった。Akt経路の下流にあるmTORが調節するp70S6キナーゼの増幅は、MCF-7細胞へのCCI-779感受性を与えられても良いだろう。総合すれば、このデータは、mTORは乳癌、特に、増殖因子依存性、又はPTEN機能の喪失によるAkt活性化がされている腫瘍において、その治療の良い標的になるだろうことを示唆している。」(題名、要旨)

甲18:FDA Label-Aromasin Tablet
(甲18a)
「臨床薬理学
作用機序
乳癌細胞成長はエストロゲン依存性である。アロマターゼ(エクセメスタン)は、閉経前及び閉経後女性の両方において、アンドロゲンをエストロゲンに変換する主要な酵素である。エストロゲン(主としてエスラジオール)の主要な供給源は、閉経前女性においては卵巣であり、閉経後女性における循環エストロゲンの主要な供給源は、末梢組織のアロマターゼ酵素による副腎及び卵巣のアンドロゲン(アンドロステンジオン及びテストステロン)のエストロゲン(エストロン及びエストラジオール)である。アロマターゼ阻害によるエストロゲンの消失は、ホルモン依存性乳癌における閉経後患者のための効果的で選択的な処置である。」(1頁下から7行?2頁3行)

(甲18b)
「適応症と用法
アロマシン(エキセメスタン)錠は、タモキシフェン療法の後に病状が進行した閉経後女性の進行性乳癌の処置のためと記される。」(7頁下から3行?同頁最終行)

(甲18c)
「用量と投与
アロマシン(エキセメスタン)錠の推奨投与量は食後1日1回25mgである。
アロマシンによる治療は、腫瘍の進行が明らかになるまで継続すべきである。」(12頁下から3行?同頁最終行)

甲20の1:国際公開第01/12633号
(甲20a)
「1.構造式(I)で示される化合物。

[式中、nは5?450の整数。]

2. n=5?200である請求項1記載の化合物。
3. n=8?135である請求項1記載の化合物。
4. n=8?20である請求項1記載の化合物。
5. n=90?120である請求項1記載の化合物。
6. SDZ-RAD-PEG SH5000複合体である請求項1記載の化合物。
・・・(略)・・・
13.それを必要とする哺乳動物の充実性腫瘍を治療する方法であって、該哺乳動物に、抗腫瘍有効量の請求項1?6のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物を投与することからなる方法。
14.充実性腫瘍が癌腫または肉腫である請求項13記載の方法。
15.請求項1?4のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物と医薬上許容される担体または補形剤とからなる医薬組成物。
16.式(I)で示される化合物がSDZ-RAD-PEG SH5000複合体である請求項15記載の医薬組成物。」(特許請求の範囲)

(甲20b)
「水溶性SDZ-RADエステル
本発明は、水溶性SDZ-RADエステル、それらの製造方法、ならびに、免疫抑制を誘発するための、また、移植拒絶反応、自己免疫疾患、充実性腫瘍の治療における、それらの使用方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、SDZ-RADのペグ化(pegylated)エステル、それらの製造方法、ならびに、免疫抑制を誘発するために、また、移植拒絶反応、宿主対移植片病、自己免疫疾患、炎症の疾患、成人T細胞白血病/リンパ腫、充実性腫瘍、真菌感染症および過増殖性血管障害の治療において、それらを用いる方法に関する。

SDZ-RADは40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンであり、その構造および合成はWO94/09010(コットンズ(Cottens)ら)に開示されている。

著者のクロー(Crowe)およびルメール(Lemaire)は、構造式:


で示されるラパマイシン類似体であるSDZ-RADのインビトロおよびインシトゥー吸収をファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)、第15巻、第11号、1998年における彼らの論文に記載している。」(1頁1?最終行)

(甲20c)
「SDZ-RADは動物モデルにおいて免疫抑制活性を有するラパマイシン誘導体である(米国特許第5,665,772号)。
(発明の開示)
本発明は、ラパマイシン類似体であるSDZ-RADの新規なポリエチレングリコールエステルを提供する。それは式(I):

[式中、nは約5?約450の整数]
で示される化合物である。
本発明の化合物は水溶性であり、免疫抑制薬、抗炎症薬、抗真菌薬、抗増殖薬および抗腫瘍薬として有用である。本発明の化合物のうち、n=5?200であることが好ましい;より好ましくはn=8?135である。最も好ましいメンバーはn=8?20のものおよびn=90?120のものである。また、本発明の化合物は、それらのエステル鎖を生成するのに用いたポリエチレングリコール鎖の平均分子量に基いて記載し理解すればよい。例えば、SDZ-RAD-PEG-SH5000エステルは、平均分子量範囲が5,000またはその付近であるポリエチレングリコール誘導体を利用して42-O-(2-ヒドロキシ)エチルの位置でエステルが形成される上記一般式で示される化合物を意味する。」(3頁14行?4頁最終行)

(甲20c)
「これらの化合物は、ラパマイシン、その類似体およびプロドラッグを用いればよい状態を治療、予防または阻害するのに有用である。これらの方法としては、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、膵臓(島細胞)、角膜、小腸および皮膚の同種移植片、ならびに心臓弁の異種移植片などの移植拒絶反応の治療または阻害;宿主対移植片病の治療または阻害;狼瘡、慢性関節リウマチ、糖尿病、重症筋無力症および多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療または阻害;乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、炎症性腸疾患、肺炎症(喘息、慢性閉塞性肺疾患、気腫、急性呼吸障害症候群、気管支炎などを含む)および眼のブドウ膜炎などの炎症の疾患が挙げられる。
また、得られた活性プロファイルゆえに、本発明の化合物は、抗腫瘍活性、抗真菌活性および抗増殖活性を有すると考えられる。それゆえ、本発明の化合物は、星状細胞腫、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌および卵巣癌などの肉腫および癌腫を含む充実性腫瘍;成人T細胞白血病/リンパ腫;真菌感染症;ならびに再狭窄およびアテローム性動脈硬化症などの過増殖性血管疾患を治療するのに有用である。再狭窄に用いる場合、本発明の化合物は、血管形成術後に生じる再狭窄を治療するのに用いることが好ましい。この目的に用いる場合、本発明の化合物は、術前、術中、術後、またはそのいずれかの組合せで投与することができる。
・・・(略)・・・
本発明の化合物は、それらの水溶性ゆえに、免疫抑制薬、抗炎症薬、抗真菌薬、抗増殖薬および抗腫瘍薬として、特に有利である。」(5頁15行?6頁13行)

(甲20d)
「U87MGヒト神経膠芽細胞腫(ATCC#HTB-14)
3Hチミジン導入プロトコル
増殖培地:アール塩(Earle Salts)を含むBRL最小必須培地(500ml)
+5mL BRL MEM非必須アミノ酸(10mM)
+5mL BRL ペニシリン-ストレプトマイシン
(10000u/ml、10000μg/ml)
+5mL BRL ピルビン酸Na溶液(100mM)
+5mL BRL L-グルタミン200mM
+50mL BRL ウシ胎児血清(適格)

アッセイ:
1.細胞をトリプシン処理し、96ウェル平底プレートに増殖培地200μlの最終容量中、10^(4)細胞/ウェルの濃度でプレートし、37℃で24時間付着させた。
2.細胞単層を乱さないように注意しながら培地を吸引で除去した。新鮮な増殖培地200μlを各ウェルに加え、試料用の十分なウェルを3通りで試験した。化合物をPBS溶液10μlに加え、37℃でさらに48時間インキュベートした。
3.インキュベーションの最後の5時間、プレートをウェルあたり1μCi 3Hチミジンで標識した。(NENチミジン、カタログ#NET-027、6.7Ci/ミリモル)。1μCiをPBS10μlに加えた(採取日)。プレートを最後の5時間インキュベーターに戻した。
4.細胞単層を乱さないように注意しながら放射活性な培地を吸引で除去した。BRL10Xトリプシン50μLを各ウェルに加えた後、37℃で10分間または単層がウェル底から離れるまでインキュベートした。スカトロン(Skatron)96ウェル・ハーベスターを用いて、試料をガラス繊維フィルターマット上に採取した。マットをウォラック・ベータプレート(Wallac Betaplate)カウンターでカウントした。

結果
化合物 IC_(50)
?????????????????????????????????
ラパマイシン 0.5ng/mL
SDZ-RAD 2.0ng/mL
SDZ-RAD-PEG 5000複合体 0.5ng/mL*
*SDZ-RADにモル等価 」
(15頁19行?16頁最終行)

甲21:Proc. Natl. Acad. Sci. Nol. 97, No. 8, 4285-4290
(甲21a)
「標準的な免疫抑制剤は、移植後のリンパ増殖性障害(PTLD)の発達を促進するが、これらの障害に対するRAD、強力な免疫抑制特性を有するマクロライド、および他の免疫抑制性マクロライドの影響は不明である。我々は、RADが、6つの異なるPTLD様Epstein-Barrウイルス+リンパ芽球B細胞株のインビトロでの増殖に対して、強力な阻害効果を有することを見出した。正常なT細胞と同様に、RADはPTLD様B細胞における早期(G0/G1)期の細胞周期の進行を阻止した。さらに、RADはそのような細胞のアポトーシスの比率を増加させた。またこの薬物は、SCIDマウスに皮下移殖したPTLD様Epstein-Barrウイルス+B細胞の増殖に、強力な阻害効果を有していた。RAD効果の程度は、試験した3つのB細胞株の間で異なり、インビトロでの細胞株へのその効果に比例していた。このin vivo異種移植モデルにおいて、RADは、確立された腫瘍の増殖を顕著に遅らせ、または退縮を誘導した。1つの株で、8匹中4匹のマウスで腫瘍を根絶することができた。腫瘍細胞の注射前にRAD処置を開始した場合、腫瘍増殖の顕著な阻害が3つの系統すべてに見られた。そのうちの2つにおいて、薬物はマウスの約50%(5/11および5/8)の腫瘍の定着を妨げた。まとめると、RADはインビトロおよびインビボでPTLD様細胞の強力な阻害剤である。これらの知見は、標準的な免疫抑制剤とは対照的に、RADなどのマクロライドがPTLDの予防および治療に有効であることを示している。」(要旨)

(甲21b)
「樹立したEBV+ B細胞腫瘍の治療
PTLD様細胞によるRADのin vivo効果を決定するために、15A、20A、およびA1細胞系腫瘍を、細胞系統ごとに7-16匹のSCIDマウスに移植した。腫瘍が直径5mmに達したら治療を開始した。これは50mm^(3)の体積に相当する。RADは、耐容性が良好で(上記参照)、効果的な免疫抑制用量である5mg / kgの毎日胃管栄養法によって投与した。図5に示すように、RADは、異種移植されたPTLD様腫瘍に対して、3つの腫瘍において明らかな違いを以って、著しい増殖阻害効果を有した。15A腫瘍を移植したマウスでは、薬剤誘発の腫瘍増殖の著しい遅延があったが、絶対腫瘍増殖阻害または退行はなかった。21日目に、処置マウスの腫瘍体積の中央値は約240mm^(3)であり、コントロールの未処置マウスでは2,720mm^(3)であった。38日目の遅くに、15A腫瘍系の処置マウスは約1,000mm^(3)にしか達しなかった。
RADの20A腫瘍への影響はさらに顕著であった。19日目にコントロールの20A腫瘍系は中央値1440mm^(3)であるのに対し、処置平均腫瘍は50mm^(3)しか測定されず、これは最初の腫瘍サイズに等しい。さらに、10匹の処置マウスのうち6匹に腫瘍体積の有意な退縮が見られた。したがって、53日目の腫瘍体積の中央値は、このサブセットについてわずか5mm^(3)であった。
RADは、A1細胞株に対して最も有効であることが判明した。21日目に、治療された腫瘍の中央体積は50mm^(3)であり、8つの腫瘍のいずれも増殖の証拠を示さなかった。その日の未治療腫瘍の平均体積は約1,800mm^(3)であった。さらなる治療は、8匹すべてのマウスにおいて安定した退行をもたらした。53日目に、平均腫瘍体積は5mm^(3)に減少し、4匹のマウスではリンパ腫は検出されず、これは全腫瘍撲滅を示した。他の4匹のマウスには顕微鏡的に残存するリンパ腫が確認された。15A、20A、およびA1腫瘍に対するRADのインビボ有効性の差異は、増殖(図1)および他のインビトロアッセイ(図2および3)に見られる差と並行していたことは注目に値する。この観察は、インビトロでの細胞分析がインビボでのRADに対する応答を予測することができることを示唆している。」(4288頁右欄5行?図5の上の行)

(甲21c)



図5 PTLD様B細胞のインビボ増殖のRAD媒介阻害;確立された腫瘍の治療。EBV + B細胞株15A、20AおよびA2D6由来の腫瘍の断片をレシピエントSCIDマウスに移植した。腫瘍が直径5mm(50mm^( 3))に達したときに、5mg / kg /日の薬物による治療を開始した。グループあたりのマウスの数を括弧内に示す。 いくつかのマウスからの結果を示す線は、特にRAD処置マウスにおいて重ね合わされる。」(4288頁図5)

甲28:T. Zaccheo et al., Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology vo44, 4-6 1993 677-680

(甲28a)
「ラットのDMBA誘発乳腺腫瘍に対するアロマターゼ阻害剤エキクセメスタンおよびタモキシフェン併用治療の阻害効果

要旨
不可逆アロマターゼ阻害剤であるエクセメスタン(FCE 24304)の単独またはタモキシフェンと組み合わせによる抗腫瘍効果を、7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)誘発乳腺腫瘍を有するラットにおいて調べた。化合物は1日1回、週6日、4週間投与した。20mg / kg /日の用量で与えられたエキセメスタンは、26%の完全腫瘍退縮(CR)および18%部分腫瘍退縮(PR)を誘導し、コントロールは0%のCRおよび6%のPRと比較された。タモキシフェンは、1mg / kg /日p.o.で与えられ、16%のCRおよび13%のPRを誘導した。併用療法はCRが41%、PRが16%であり、いずれの治療よりも抗腫瘍効果が高かった。新しい腫瘍の出現は、それぞれの単剤治療において減少し、併用治療によってほぼ完全に予防された。最後の投与から4時間後に測定した血清プロラクチン(PRL)レベルは、併用群では変化しなかったが、タモキシフェン単独では血清PRLのわずかな増加を引き起こした。これらの結果は、アロマターゼ阻害およびエストロゲン受容体拮抗作用によるエストロゲン欠乏が、いずれかの治療様式単独よりもDMBA誘発乳腺腫瘍のより良い阻害を引き起こすことを示す。」(題名及び要旨)

第5 当審の判断

ア 無効理由1(サポート要件)について
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきであるところ、まず、本件特許発明が発明の詳細な説明に記載されているかを検討する。
本件特許発明は、「乳癌の予防、進行の遅延化または処置(以下、「乳癌の処置」ともいう。)用の医薬組成物であって、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(「化合物A」ともいう。一般名はエベロリムス。)及びエクセメスタンを含む、医薬組成物」に関するものである。本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0002】?【0004】には、ラパマイシンの適当な誘導体として式Iの化合物が挙げられた後に、「そしてさらに好ましくは、WO 94/09010中の実施例8として開示された、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(以下、「化合物A」という。)である。」として、式Iで表される化合物のうち、式I中の置換基R_(1)、R_(2)、XがそれぞれCH_(3)、-CH_(2)-CH_(2)-OH、Oの特定の化合物である化合物Aが特に好ましいことが記載されている。発明の詳細な説明の段落【0005】には「今回、式Iの化合物は、特に固形腫瘍の、とりわけ進行固形腫瘍(advanced solid tumor)の癌化学療法に有用となる強力な抗増殖特性を有することが見出された。」と、式Iの化合物について固形腫瘍に対する抗増殖作用を新たに見出したことが記載されている。
さらに、発明の詳細な説明の段落【0009】には「固形腫瘍」の用語がリンパ癌以外の腫瘍及び転移をいうことが記載され、ここで「乳房の腫瘍」も挙げられている。発明の詳細な説明の段落【0020】には「a)ラパマイシンまたはその誘導体、例えばCCI779、ABT578または式Iの化合物、例えば「化合物A」である第1の剤」と「b)化学療法剤、例えば後記のものである、コエージェント」との組合せ医薬が、段落【0021】には「治療上有効量のラパマイシンまたはその誘導体、例えばCCI779、ABT578または式Iの化合物、例えば「化合物A」」と「化学療法剤、例えば後記のものである第2の医薬物質」との共投与がそれぞれ記載されており、どちらの箇所でも、式Iの化合物としては「例えば「化合物A」」と、化合物Aのみが記載されている。よって、本件明細書の発明の詳細な説明には、化合物Aと化学療法剤との組合せ医薬や共投与が記載されているといえる。
また、発明の詳細な説明の段落【0024】?【0025】には「化学療法剤」の具体例としてアロマターゼインヒビターが最初に(i.?x.のうち「i.アロマターゼインヒビタ-」)記載され、段落【0026】にはアロマターゼインヒビターとしてエクセメスタンが記載され、段落【0027】には「アロマターゼインヒビターである化学療法剤を含んでなる本発明の組合せ剤は、特に、ホルモン受容体陽性腫瘍、例えば乳房の腫瘍の処置に有用である。」と記載されている。発明の詳細な説明の段落【0081】にも、「本発明の1つの特異的実施態様は、乳癌の予防、進行の遅延化または処置のための、あるいは乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬製造のための、本発明の組合せ剤の使用に関する。好ましくは、このような実施態様において、組合せ剤は、コエージェントb)として、アロマターゼインヒビター、・・・」と記載されている。
これらの記載を総合すると、アロマターゼインヒビターとしてエクセメスタンを化合物Aと組み合わせて、ホルモン受容体陽性腫瘍である乳房の腫瘍、すなわち乳癌の処置に用いることは、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているといえる。

次に、本件特許発明の課題は、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0001】「本発明は新規使用、特にラパマイシンおよびその誘導体を含んでなる化合物群の新規使用に関する。」、段落【0004】「 好適な化合物は・・・(略)・・・、そしてさらに好ましくは、WO 94/09010中の実施例8として開示された、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(以下、「化合物A」という。)である。」、段落【0005】「今回、式Iの化合物は、特に固形腫瘍の、とりわけ進行固形腫瘍(advanced solid tumor)の癌化学療法に有用となる強力な抗増殖特性を有することが見出された。」、段落【0006】「とりわけ抗癌性化合物が疾患の退行または安定化と関連しない場合において、今なお、固形腫瘍の癌処置の医療的手段を拡大する必要性が存在する。」、段落【0009】「「固形腫瘍(solid tumor)」なる用語は、リンパ癌以外の(いかなる箇所の)腫瘍および/または転移、例えば、・・・(略)・・・の癌;乳房の腫瘍;・・・(略)」の記載からみて、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン(化合物A、またはエベロリムス)及びエクセメスタンを含む、乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物を提供することと認められる。
明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例について見ると、「実施例」として記載される部分はA、B、Cの3つに分けられ、Aはインビトロ、Bはインビボの実験とその結果、Cは臨床試験の目的と計画が示されているが、乳癌に関する具体的な試験結果や臨床試験計画は記載されていない。
Aのインビトロ実験については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0051】?【0053】に「A.1 他の剤との組合せの抗増殖活性」として、「化合物A」耐性の細胞株であるA549株、KB-31株、HCT116株に対して化合物Aとシスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、ドキソルビシンとを組み合わせて処理した場合の、薬剤の相互作用を示す「非排他的組合せインデックス」(CI)を測定した結果が記載されている。CI値について「CI 約1=相互作用はほとんど相加的;0.85?0.9=やや相乗的、<0.85=相乗的である。」と説明されており、CI値が小さいほど相乗効果が大きいといえる。そして、表1に示される化合物Aと他剤との組合せ使用のCI値は、KB-31株に対してパクリタキセルと組み合わせて用いた場合、及びHCT116株に対してゲムシタビンと組み合わせて用いた場合にいずれもCI値が0.9である以外は全て0.8を下回る結果となっている。
また、明細書の発明の詳細な説明の段落【0054】には「A.2 抗血管新生活性」として、「ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対するラパマイシンまたはその誘導体、例えば「化合物A」の抗増殖活性のインビトロアッセイにおいて、VEGF-およびbFGF-およびFBS-刺激性増殖に関して、それぞれ、120±22pMおよび841±396、および>10000pMのIC_(50)値が示される。さらに、bFGF-刺激性正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)増殖に対する「化合物A」の有意な効果は、同じ濃度範囲で観察されない。これらの結果により、「化合物A」がHUVECの増殖を阻害し、特にVEGF-誘発性増殖に対して強力であることが示される。VEGFは重要なプロ-血管新生因子である。」と記載され、化合物AはVEGF-誘発性増殖の阻害作用が強いことが示されている。
明細書の発明の詳細な説明の段落【0055】によれば、Bのインビボ実験は、各種の腫瘍を移植した実験動物に試験化合物を投与し、腫瘍に対する効果を調べたものであり、抗腫瘍活性がT/C%(処置動物の腫瘍容積における平均増加を、対照動物の腫瘍容積の平均増加で除し、100をかけたもの)、および%縮退(腫瘍容積から最初の腫瘍容積を引き、最初の腫瘍容積で除し、そして100をかけたもの)で表されている。
Bのインビボ実験について、まず明細書の発明の詳細な説明の段落【0056】、【0057】には、それぞれ「B.1 A549ヒト肺腫瘍異種移植片における活性」、「B.2 KB-31ヒト類表皮性腫瘍異種移植片における活性」として、それぞれの細胞株に由来する腫瘍フラグメントを移植したヌードマウスに化合物Aを経口投与し、B.1では0.1mg/kg?2.5mg/kgの1日投与量の場合に用量依性の腫瘍増殖の効果が見られたこと(2.5mg/kgで持続的縮退(41%)、0.5mg/kgで一過性の縮退(7日目で38%)がもたらされ、最終的なT/Cは16%)、B.2では1日0.5mg/kg?2.5mg/kgの範囲で投与する場合に腫瘍の増殖を阻害したこと(2.5mg/kgで最終的T/C値が25%)が記載されている。
また、明細書の発明の詳細な説明の段落【0058】?【0059】には「B.3 CA20948ラット膵臓腫瘍における活性」として、雄性Lewisラットにおいてドナーラット由来のCA20948腫瘍細胞懸濁液を移植して腫瘍を確立し、化合物Aを経口投与した結果、0.5mg/kg?2.5mg/kgの1日投与量で投与した場合に腫瘍増殖を阻害すること(2.5mg/kgで最終的T/C値23%、5mg/kg週2回の断続的投与で最終的T/C値32%)が記載されている。さらに、化合物Aを上記の手順にしたがう更なる腫瘍モデルで試験したところ、2.5mg/kgまたは5mg/kgの1日投与量でヒトNCI H-596肺腫瘍モデルおよびヒトMEXF 989メラノーマ腫瘍モデルに投与した場合、また同所性マウスB16/BL6メラノーマ腫瘍モデル、ヒトAR42J膵腫瘍モデル、多剤耐性(MDR)ヒトKB-8511類表皮性腫瘍モデルに対して投与した場合や、ヒトAR42J膵腫瘍移植マウスに断続的に投与した場合にも、良好な抗腫瘍応答が得られることが記載されている。
化学療法剤との併用については、明細書の発明の詳細な説明の段落【0060】に「B.4 ドキソルビシンとの組合せ」として、ヒトKB-31類表皮腫瘍を移植したマウスを週1回5mg/kgの静脈注射によるドキソルビシン投与とともに、1日1回2.5mg/kg経口投与の化合物Aで処置した場合、いずれか一方(化合物AでのT/C32%、ドキソルビシンでの44%縮退)に比べてより大きな抗腫瘍効果(74%縮退)をもたらし、ドキソルビシンにより引き起こされる体重減少の憎悪は全く起こらないこと、ドキソルビシン単独治療群の腫瘍容積は組合せ処置群よりも有意に大きいこと、組合せ剤処置群はドキソルビシン単独治療群よりも処置終了後14日目の治癒率が大きいことが記載されている。さらに、明細書の発明の詳細な説明の段落【0061】の「B.5 シスプラチンとの組合せ」として、ヒトNCI H-596肺腫瘍が移植されたマウスを、週1回2.5mg/kgの静脈注射によるシスプラチン投与とともに、1日1回2.5mg/kg経口投与の化合物Aで処置した場合、どちらか一方の剤と比べて(化合物AはT/C26%、シスプラチンはT/C26%)より優れた抗腫瘍効果(5%縮退)をもたらすこと、組合せ剤で耐容性の悪化はなかったことが記載されている。
また、抗血管新生活性に関するインビボでの検討についても記載されている。明細書の発明の詳細な説明の段落【0062】?【0063】には「B.6 抗血管新生活性」として、B16/BL6細胞(5×10^(4))を耳に皮内注射したC57BL/6マウスにおいて5mg/kg経口投与の化合物Aが、一次腫瘍および転移での管密度を減少させ、また転移における管サイズ分布も減少させることが記載されるが、数値データは示されていない。明細書の発明の詳細な説明の段落【0064】?【0065】には「B.7 抗血管新生剤との組合せ」として、B16/BL6細胞(5×10^(4))を耳に皮内注射したC57BL/6マウスを化合物A、VEGFレセプター チロシンキナーゼインヒビター、あるいは両者の組合せで処置した場合に、抗血管新生剤(100mg/kg経口投与)または化合物A(1mg/kg経口投与)の単独投与は一次腫瘍の大きさを減少させる(最終T/Cがそれぞれ65%および74%)が、組合せ剤は相乗効果を呈する(T/C12%)こと、また、両者それぞれ単独での処置は局所的転移に関連する頚部リンパ節の重量を減少させる(化合物Aと抗血管新生剤についてT/Cがそれぞれ75%および34%)が組合せ剤はさらにリンパ節重量を減少させる(T/C13%)こと、また、有意に体重増加を促進すること、転移に関して化合物Aと抗血管新生剤が相乗的であることが記載されている。
そして「C.臨床試験」と題される部分(明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】以降)には、臨床試験の目的および計画として、式Iの化合物、例えば「化合物A」について固形腫瘍における最適投与量を検討すること、特に進行性固形腫瘍を有する患者を対象に調査を行うことや、組合せ剤の効果を調べることが記載されているが、その結果は示されていない。
以上の実施例によって、化合物Aは多種の固形腫瘍に対して抗増殖効果を示すこと、抗血管新生活性を示すこと、少なくともドキソルビシンやシスプラチンなど、試験を行った範囲では既存の化学療法剤との組合せによる弊害や副作用は確認できず、相乗効果が見られたことが理解できる。
Aのインビトロ、Bのインビボの実験結果のいずれにも乳癌の処置の実例はないが、化合物Aの効果が確認された腫瘍はいずれも固形腫瘍という点で乳癌と共通しており、乳癌に対しても効果を得られると当業者が認識できるといえ、これを否定する具体的な根拠は見出せない。インビトロの試験「A.2」およびインビボの試験「B.6」、「B.7」より化合物Aに抗血管新生活性が認められることも、乳癌に対しても効果があると考えることを支持こそすれ、否定する材料とはならない。そして、エクセメスタンを含むアロマターゼ阻害剤がホルモン受容体を介する乳癌治療に有用であることは周知であって、mTOR阻害剤であるラパマイシン誘導体とは作用機序が異なるため、併用した場合も両者の拮抗による作用の阻害は生じないとみられることから、当業者は、固形腫瘍である乳癌に化合物Aを適用する際にエクセメスタンを併用することで一定の効果が得られると認識できるといえる。
そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明は本件特許発明の課題を解決できることを当業者が認識できる程度に記載されているといえ、無効理由1に係る請求人の主張は理由がない。

イ 無効理由2(実施可能要件)について
医薬に関する発明については、一般に、物質名や成分組成等が示されることのみによっては、その有用性及びそのための当該医薬の有効量を予測することは困難であり、当該医薬を使用することができないから、実施可能要件に適合するものといえるためには、明細書の発明の詳細な説明が、その医薬を生産することができるだけでなく、出願時の技術常識に照らし、医薬としての有用性を当業者が理解できるように記載される必要があるというべきである。
上記の観点で検討すると、上記アで説示したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には具体的に乳癌に対して化合物Aとエクセメスタンとを組み合わせて処方した例は記載されていないものの、化合物Aが各種の固形腫瘍に対して抗増殖作用を示したことが動物を用いた実験系における具体的な用量(マウスまたはラットで0.1?5mg/kgの範囲)とともに記載されており、化合物Aが抗血管新生活性を有することも記載されているから、これらの事項から当業者は化合物Aの固形腫瘍一般に対する有用性を理解できるといえ、乳癌を除外して考えるべき具体的な理由は見出せない。また、医薬をヒトに適用するに当たって動物実験の結果をもとに適切な用量を設定することは、当該分野において当業者が通常行うことである。特に、本件特許発明5、6は、動物種などを特定されない対象に投与する化合物Aの用量について、それぞれ「1日当たり単回投与または分割投与で0.1?25mgの投与量で投与されるものである」、「0.05?10mgの40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」と特定しているところ、発明の詳細な説明に記載された実施例のうちインビボ実験B.1?B.7では動物に対する化合物Aの1日の投与量が総じて0.1mg/kgから5mg/kgの範囲にあり、これらの記載から当業者は化合物Aの用量が特定された本件特許発明5、6についても、その有用性を理解できるものである。
他方、エクセメスタンは乳癌に有効であることが既に知られていたところ、明細書の発明の詳細な説明の段落【0094】にはその有効量等について「エクセメスタンは、ヒトに、約5?約200mg/日、好ましくは約10?約25mg/日の間を変動して経口的に、または約50?500mg/日、好ましくは約100?約250mg/日の間を変動して非経腸的に、投与され得る。」と記載されており、当業者であればこの記載に基づいて化合物Aと併用する場合の適切な用法用量を設定することができるといえる。
よって、無効理由2に係る請求人の主張は理由がない。

ウ 無効理由3(分割要件、新規性進歩性)について
本件特許出願は、平成13年2月19日、同年10月17日をそれぞれ出願日とする2件の英国特許出願を優先権主張の基礎とし平成14年2月18日を国際出願日とする特願2002-565579号の一部を、平成19年8月6日に新たな出願とした特願2007-204409号の、さらに一部を平成24年4月26日に新たな出願としたものである。便宜上、以下では特願2007-204409号を「原出願」、特願2002-565579号を「原-1出願」という。
本件特許出願は、原出願に対して平成23年12月19日付けで拒絶査定がされた後、平成24年4月26日に拒絶査定不服審判が請求されるのと同時に出願されたものであり、原出願は、原-1出願に対して平成19年2月2日付け拒絶理由通知が通知され、3ヶ月の期間延長がされた後、平成19年8月6日に意見書及び手続補正書が提出されるのと同時に出願されたものである。
原-1出願、原出願、本件特許出願のいずれにおいても、出願当初の明細書に対してその後手続補正はされておらず、3件の出願の明細書の発明の詳細な説明の記載事項は、見出しの有無などの形式的な点などを除き、全て同じである。そうすると、本件特許発明は上記の「ア 無効理由1(サポート要件)について」で説示したとおり本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているのであるから、本件明細書と同じ事項が全て記載されている原出願の明細書、及び原-1出願の明細書にも記載されていることになり、何ら新規な事項を追加するものとはいえない。また、原出願の出願当初の特許請求の範囲は、原-1出願の出願当初の特許請求の範囲と同じであり、これも原-1出願の明細書および特許請求の範囲に対して新規な事項を追加するものではない。よって、原出願は原-1出願から適法に分割されたものであり、本件特許出願は原出願から適法に分割されたものである。
したがって、分割が適法でないことを前提とする無効理由3に係る請求人の主張はその前提を欠くものであり、理由がない。

エ.無効理由4(進歩性)について
甲11には、「ラパマイシンマクロライドと配合して、細胞の過度増殖を防止もしくは処置に相乗的有効量を使用する薬学的組成物の製造に用いる遊離型もしくは薬学的に許容される塩型であるソマトスタチンクラス化合物の使用」(摘記(甲11a))が記載され、その適用疾患として乳がんが挙げられ(摘記(甲11d)、(甲11e))、臨床試験において乳がん患者を対象とすることが記載され(摘記(甲11g))、ラパマイシンマクロライドの好ましい化合物として、40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシン(摘記(甲11c)、「化合物B」ともいう。)が記載され、化合物Bを実験で使用したことも記載されている(摘記(甲11f)、(甲11g))。
そうしてみると、甲11には「乳癌の増殖の防止もしくは処置用の薬学的組成物であって、40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンに、相乗的有効量のソマトスタチンクラス化合物を配合する、薬学的組成物。」という発明が記載されているといえる(以下、「甲11発明」という。)。
甲11発明と本件特許発明1とを対比すると、両者は、乳癌の処置用の医薬組成物であって40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンを含む点で一致し、本件特許発明1はエクセメスタンを含むのに対して甲11発明はソマトスタチンクラス化合物を相乗的有効量で含む点で相違する。
上記相違点について検討する。
甲11に「B.インビトロ検定(当審注:内容からみて「インビボ検定」の誤りと認める。)」として記載される実験によれば、メスヌードマウスに移植したラット膵臓腫瘍(AR42J)において、化合物Bまたはラパマイシンを単独で投与する場合は腫瘍の大きさがコントロールに比べて1割弱?3割程度減少し、ソマトスタチンクラス化合物であるオクトレオチドを単独で投与した場合には腫瘍はコントロールの半分近くの大きさまで減少するのに対して、オクトレオチドと化合物Bまたはラパマイシンを組み合わせて投与した場合にはコントロールの4%以下の大きさにまで腫瘍が減少している(摘記(甲11g))。
この実験結果からみると、ラパマイシンマクロライド(ラパマイシン、化合物B)単独による抗腫瘍効果は、ばらつき(SE)も考慮すれば治療上有用といえるか疑問である程度のものに過ぎず、甲11発明において治療効果を得るためには単独でもより大きな効果を示したソマトスタチンクラス化合物が必要であると考えられる。よって、甲11発明のソマトスタチンクラス化合物のみを他の薬剤に置換する理由は見出せないし、仮に他の薬剤と置換するとしても、ラパマイシンマクロライドと組み合わせた場合にソマトスタチン化合物よりも大きいか少なくとも同等の相乗効果を見込める薬剤が他にあるという根拠も、さらにはそのような薬剤にアロマターゼ阻害剤が該当するという根拠も、請求人が提示する証拠からは見出せず、技術常識であるとも認められない。そうすると、甲11発明においてソマトスタチンクラス化合物に換えてアロマターゼ阻害剤、中でもエクセメスタンを採用し、本件特許発明1とすることは、当業者が容易に想到するものとはいえない。

一方、本件特許発明1は医薬組成物においてエベロリムスとエクセメスタンを共に含むに際し他の有効成分を排除するものではないから、甲11発明においてソマトスタチンクラス化合物を除くことなく、単にエクセメスタンを加えた場合にも、本件特許発明1になる。この点も検討する。
甲14の1には、乳癌治療で用いるための組成物において、抗腫瘍剤とエクセメスタン等のアロマターゼ阻害剤とを、超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で含む組成物が記載され(摘記(甲14a))、「超加成性抗腫瘍効果を生じさせる」とは、抗腫瘍効果においていわゆる相乗効果を得られることと理解されるところ、アロマターゼ阻害剤と組み合わせる抗腫瘍剤として抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤、抗腫瘍性微小管阻害剤、抗腫瘍性アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤、抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤が挙げられるが(摘記(甲14a);請求項2、13、摘記(甲14c))、ラパマイシンマクロライド化合物やソマトスタチンクラス化合物については全く言及されていない。また、癌治療において作用機序の異なる複数の薬剤を組み合わせる多剤併用を行うことは良く知られているとはいえ、投与する薬剤の数が増えればそれら薬剤の作用の関係はより複雑になると推測され、用法用量の調整や副作用の管理もさらに注意を要することになる。そして、甲11発明は2剤の併用で相当な抗腫瘍効果を得られている。これらの事情を総合すると、甲14の1を参照しても、甲11発明において、さらにエクセメスタンを追加する積極的な理由は見当たらない。
仮に、乳癌に対する周知のホルモン療法を組み合わせることが容易に想到できるとしても、抗エストロゲン剤など、アロマターゼ阻害剤以外にも実績のあるホルモン療法剤が知られるところ、アロマターゼ阻害剤、とりわけエクセメスタンを選択する具体的根拠は見出せない。エクセメスタンに関して請求人が他に提出した証拠を見ても、甲18にはタモキシフェン療法の後に病状が進行した閉経後女性の進行性乳癌の処置にエクセメスタンを用いることが(摘記(甲18b))、甲28にはラットの7,12-ジメチルベンズアントラセン(DMBA)誘発乳腺腫瘍に対してエクセメスタンとタモキシフェンの併用治療が有効であることが(摘記(甲28a))、それぞれ記載されているが、ラパマイシンマクロライド化合物やソマトスタチンクラス化合物については何ら言及されておらず、甲11発明におけるラパマイシンマクロライド化合物とソマトスタチンクラス化合物との2剤併用に対し、多数のホルモン療法剤から特にエクセメスタンを選択して追加する根拠は見出せない。
よって、甲11発明において特にエクセメスタンを選択して追加し、本件特許発明1とすることは、当業者が容易に想到するものとはいえない。

また、本件特許発明2?9は、それぞれ、本件特許発明1をさらに限定して特定するものであるから、いずれも、本件特許発明1の構成を全て備えている。よって、本件特許発明1についての上記説示と同様に、刊行物に基いて当業者が容易に想到するものではない。

以上のとおり、無効理由4に係る請求人の主張は理由がない。

オ.無効理由5(進歩性)について
本件特許出願の優先権主張の基礎となる2つの英国出願のうち、最先(2001年2月19日)の出願である英国特許出願第0104072.4号の出願明細書は甲2として提出されている。甲2には、式Iで表されるラパマイシンの誘導体のうち好ましい「化合物A」として40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンが記載され(摘記(甲2a))、固形腫瘍の処置方法に用いること(摘記(甲2a))、固形腫瘍がリンパ癌以外の腫瘍および/または転移であって乳癌を包含すること(摘記(甲2b))が記載され、例としてマウスやラットに移植した3種の腫瘍に対する化合物Aの効果が記載され(摘記(甲2c))、また臨床試験の計画として、進行性固形腫瘍を有する成人患者へ「化合物A」等の式Iの化合物を投与することが記載され(摘記(甲2d))、さらに、式Iの化合物を他の化学療法薬と一緒に投与することができ、「他の化学療法剤」は特に式Iの化合物以外の化学療法剤を意味することが記載され、特に乳癌の場合は「レトロゾールのような抗エストロゲン剤」が挙げられている(摘記(甲2e))。また、好ましい薬学的組み合わせとして、化合物Aと、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビンまたはドキソルビシンの組合せが記載されている(摘記(甲2f))。
上記の「レトロゾール」はアロマターゼ阻害剤として知られる化合物であるから、甲2に記載の「抗エストロゲン剤」が、タモキシフェンなどエストロゲン受容体に作用する狭義の抗エストロゲン剤のみに限定されず、何らかの機序で女性ホルモンすなわちエストロゲンの作用を抑制する、乳癌治療におけるいわゆるホルモン療法剤を広く包含すること、そしてそこに不特定のアロマターゼ阻害剤を含むことは認められるものの、アロマターゼ阻害剤のうち特定の化合物である「エクセメスタン」についても記載されているに等しいとする被請求人の主張は、その根拠が不明である。甲2には「抗エストロゲン阻害剤」としてレトロゾール以外に具体的な化合物例は記載されておらず、例えばアロマターゼ阻害剤といえば実用的にはエクセメスタンを指すのが当然であったなど、具体的な記載のない「エクセメスタン」が記載されていたに等しいといえるような事情なども示されていない。よって、甲2には、「化合物A」と、「レトロゾールのような抗エストロゲン剤」として「エクセメスタン」を選択して組み合わせる特定の組合せについては、記載されているとはいえない。
そうすると、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン及びエクセメスタンを含むことを特定する本件特許発明は英国特許出願第0104072.4号に基づく優先権主張の効果を得ることはできず、新規性進歩性に係る要件を検討するための基準日は、少なくとも、もう一つの基礎出願の出願日である平成13年(2001年)10月17日となる。
一方、2000年11月23日に発行された刊行物である甲14の1には、「超加成性抗腫瘍効果を生じさせるのに有効な量で、(a)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中抗腫瘍剤、及び(b)薬学的に許容しうる担体及び/又は希釈剤中アロマターゼ阻害剤を含む、ヒトにおける乳癌治療で用いるための組成物」において「該抗腫瘍剤を、抗腫瘍性トポイソメラーゼII阻害剤、抗腫瘍性微小管阻害剤、抗腫瘍性アルキル化剤、抗腫瘍性代謝拮抗剤、及び抗腫瘍性トポイソメラーゼI阻害剤から選択し、該アロマターゼ阻害剤を、エクセメスタン、フォルメスタン、アミノグルテチミド、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、アナストロゾール及びYM511から選択する、・・・組成物」が記載され((甲14a)請求項1、2)、さらに「好ましくは、アロマターゼ阻害剤は、・・・から選択される化合物であり、特に好ましくはエクセメスタンである。」(摘記(甲14a))と記載され、エクセメスタンをエピルビシンまたはドセタキセルと組み合わせて投与した例(摘記(甲14j))も記載されている。
そうすると、甲14の1には、「乳癌治療用の組成物であって、抗腫瘍剤及びエクセメスタンを含む、組成物」である発明(以下、「甲14発明」という。)が記載されている。
本件特許発明1と甲14発明とを対比すると、甲14発明の「乳癌治療用の組成物」は本件特許発明1の「乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物」に相当するから、両者は、「乳癌の予防、進行の遅延化または処置用の医薬組成物であって、エクセメスタンを含む、医薬組成物」である点で一致し、本件特許発明1はエクセメスタンとともに「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」を含むのに対し甲14発明は「抗腫瘍剤」を含む点で相違する。
上記相違点について検討する。
甲15は発行日は不明であるものの、2001年3月に行われた米国癌研究学会(American Association for Cancer Research)の要旨集であり、少なくとも2001年3月には公開されたものであって、「#1972 経口活性ラパマイシン誘導体RAD001の抗腫瘍活性」と題した発表の要旨には「ラパマイシン誘導体RAD001」のヒト腫瘍細胞株に対する抗増殖活性について調べたことが記載され、A549が感受性株、HCT-116が抵抗性株として挙げられ、非常に感受性である株と、本質的に抵抗性である株とが存在することが記載されているが、ヒト乳癌細胞株がRAD001に対して感受性と抵抗性のどちらであるのかは示されていない(摘記(甲15a))。
なお、ここで、甲15の「RAD001」が「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」であることは、甲16の「RAD001」として示される化学式からも明らかである。
また、請求人が2001年9月に発行されたものとして提出した甲17の1には、mTOR阻害作用を有するラパマイシン誘導体である「CCI-779」の、乳癌細胞株パネルの増殖における効果の検討結果が記載されており、試験したものの6株が感受性、2株が抵抗性であったこと、mTORは乳癌、特に増殖因子依存性であるか又はAkt活性化がされている腫瘍において、治療の良い標的になるだろうと示唆されることも記載されている(摘記(甲17a))。しかしながら、「CCI-779」はラパマイシン誘導体ではあるものの本件特許発明1の「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」とは異なる化合物であって、「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」の場合にも「CCI-779」と同じ結果が得られるのかは不明である。
さらに、2001年2月22日公開の甲20の1にはラパマイシンの誘導体である「SDZ-RAD」を水溶性にするためにPEG化エステルとした化合物が記載されている(摘記(甲20a)、式(I))。
甲20の1の「SDZ-RAD」は「40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシン」であることが記載され、本件特許発明1の「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」と同じ化合物であることは摘記(甲20b)の構造式からも明らかである。甲20の1には「SDZ-RAD」について免疫抑制活性を有することが記載される(摘記(甲20c))ものの、固形腫瘍や乳癌に対する作用については何ら言及されていない。「SDZ-RAD」の水溶性エステルである式(I)の化合物が抗腫瘍活性を有し、乳癌などの肉腫および癌種を含む充実性腫瘍の治療に有用であることは記載されるが(摘記(甲20a)、(甲20b)、(甲20c))、「SDZ-RAD」についても同様であるのかは記載されていない。
また、具体的にU87MGヒト神経膠芽細胞腫を用いてIC_(50)を調べたところ、ラパマイシンとSDZ-RAD-PEG 5000複合体はIC_(50)が0.5ng/mL、SDZ-RADは2.0ng/mLであったことも記載されている(摘記(甲20d))が、SDZ-RADが乳癌に対して有効であるかは確認できない。仮に3種のラパマイシン化合物が乳癌に対してもヒト神経膠芽細胞腫と同様に作用するとしても、SDZ-RADの効果の大きさはラパマイシンやPEG化SDZ-RADに比べてIC_(50)で4分の1程度のものに過ぎない。
2000年4月11日発行の甲21には、RAD(SDZ RAD)がヒトエプスタイン-バールウイルス形質転換Bリンパ球の増殖を阻害することを確認したことが記載されているが、これは移植後リンパ増殖性障害(PTLD)を模した障害に対する作用であって、固形腫瘍、特に乳癌に対する作用については何ら言及されていない。
その他、甲12にはラパマイシンを有効成分とする抗腫瘍剤が記載され(摘記(甲12a)、(甲12b))、ラットの乳腫瘍に対する効果を示したことが記載され(摘記(甲12d)、(甲12e))、甲13にはヒト脳腫瘍細胞株に対してラパマイシンとその誘導体であるCCI-779が増殖阻害の効果を示すことが記載される(摘記(甲13a))が、いずれも「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」に関するものではない。
結局、甲12、13、15、17の1、20の1、21の記載事項を参照しても「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」という特定の化合物が乳癌の治療に有用であるという具体的な根拠は見出せず、甲14発明においてエクセメスタンと併用する「抗腫瘍剤」として、甲14の1に好ましいものとして記載されている各種の化学療法剤に換えて、敢えて「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」を採用する動機づけはない。仮にmTOR阻害作用を有することを理由にラパマイシン化合物を採用するとしても、乳癌細胞に対する一定の効果を確認されている甲17の1の「CCI-779」ではなく、甲20の1によれば、ヒト固形腫瘍であるU87MGヒト神経膠芽細胞腫に対してラパマイシンやペグ化エステルよりも効果が低いことが示された「SDZ-RAD」である、「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」を敢えて選択する理由は見出せない。
したがって、甲14発明におけるエクセメスタンと併用する抗腫瘍剤として、甲14の1に例示される化学療法剤に換えて、甲15のRAD001すなわち「40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン」を選択して採用し、本件特許発明1とすることは当業者が容易に想到するものとはいえない。

また、本件特許発明2?9は、それぞれ、本件特許発明1をさらに限定して特定するものであるから、いずれも、本件特許発明1の構成を全て備えている。よって、本件特許発明1についての上記説示と同様に、刊行物に基いて当業者が容易に想到するものではない。

したがって、無効理由5に係る請求人の主張には理由がない。

第6 むすび
以上のとおり、請求人の主張及び立証方法によっては、本件特許発明1?9に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-10 
結審通知日 2018-12-12 
審決日 2019-01-04 
出願番号 特願2012-101519(P2012-101519)
審決分類 P 1 113・ 113- Y (A61K)
P 1 113・ 536- Y (A61K)
P 1 113・ 537- Y (A61K)
P 1 113・ 121- Y (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷尾 忍  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 淺野 美奈
榎本 佳予子
登録日 2015-07-10 
登録番号 特許第5775022号(P5775022)
発明の名称 癌の処置  
代理人 牧野 知彦  
代理人 小林 浩  
代理人 植竹 友紀子  
代理人 三橋 規樹  
代理人 西澤 恵美子  
代理人 古城 春実  
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