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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1349292
審判番号 不服2017-10799  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-20 
確定日 2019-02-20 
事件の表示 特願2016-505685「デバイス発見情報の受信方法、デバイス発見情報の送信方法及びユーザ機器」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/161383、平成28年 7月21日国内公表、特表2016-521483〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)1月24日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年4月1日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年12月 3日 手続補正書の提出
平成28年11月 1日付け 拒絶理由通知書
平成29年 2月 8日 意見書、手続補正書の提出
平成29年 3月15日付け 拒絶査定
平成29年 7月20日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

第2 平成29年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年7月20日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含み、
前記ユーザ機器の属性情報が、属性更新計数値、ユーザ機器能力情報、ユーザ機器タイプ情報、ユーザ機器グループ情報、及びユーザ機器カバレッジ情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報の受信方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年2月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含み、
前記ユーザ機器識別情報が、前記第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス直通発見識別子及び/又は第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス識別子を含むデバイス発見情報の受信方法。」

2 補正の適否
(1)補正の目的要件
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載されたユーザ機器識別情報に関する「前記ユーザ機器識別情報が、前記第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス直通発見識別子及び/又は第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス識別子を含む」との発明特定事項を削除した上で、新たに、ユーザ機器の属性情報に関し「前記ユーザ機器の属性情報が、属性更新計数値、ユーザ機器能力情報、ユーザ機器タイプ情報、ユーザ機器グループ情報、及びユーザ機器カバレッジ情報の中の少なくとも一つを含む」との限定を付加するものである。ここで、「前記ユーザ機器識別情報が、前記第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス直通発見識別子及び/又は第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス識別子を含む」との発明特定事項を削除することは、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものではなく、かつ、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでもないことは明らかである。
よって、上記補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものである。

(2)独立特許要件
上記(1)のとおりであるが、更に進めて、仮に、上記補正が、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるとして、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

ア 本願補正発明
本願補正発明は、上記「1 本件補正について」の「(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載」に記載した次のとおりのものと認める(再掲)。

「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含み、
前記ユーザ機器の属性情報が、属性更新計数値、ユーザ機器能力情報、ユーザ機器タイプ情報、ユーザ機器グループ情報、及びユーザ機器カバレッジ情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報の受信方法。」

イ 引用例に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された国際公開第2012/006446号(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(ア)「[0024] Devices 120 may be dispersed throughout the wireless network, and each device may be stationary or mobile. A device may also be referred to as a user equipment (UE), a user device, a mobile station, a terminal, an access terminal, a subscriber unit, a station, etc.
(中略)
[0027] A device that can and/or desire to communicate peer-to-peer may perform peer discovery. For peer discovery, the device may (i) transmit a peer detection signal (PDS) to enable other devices to detect the device and/or (ii) receive peer detection signals from other devices. A peer detection signal may also be referred to as a peer discovery signal, a proximity detection signal, etc. A peer detection signal may comprise one or more signals that may carry identification information for a transmitter of the peer detection signal and/or other information.
(中略)
[0030] For autonomous peer discovery based on the pull mode, device X may desire to detect peer devices and/or services in its proximity and may then transmit a peer discovery request. The peer discovery request may be sent via a peer detection signal or some other signal and may also be referred to as a PDS request, a request PDS, etc. A peer discovery request may include one or more service identifiers (IDs) of one or more services and/or one or more device IDs of one or more peer devices that device X desires to detect. Peer device Y may receive the peer discovery request from device X and may determine whether the peer discovery request applies to device Y. This may be the case, for example, if peer device Y provides a service that is requested by device X and/or peer device Y is identified by the peer discovery request. If the peer discovery request applies, then peer device Y may begin transmitting its peer detection signal (if device Y was not already transmitting the signal) or may increase the rate of PDS transmissions, e.g., for a predetermined duration of time. Peer device Y may also send a peer discovery response for the peer discovery request. The pull mode for autonomous peer discovery may reduce battery consumption and/or latency associated with peer discovery. 」(5ページ4行?7ページ21行)

([当審仮訳]:
[0024]無線ネットワークの全体にわたって複数のデバイス120が分布しうる。そして、おのおののデバイスは、固定式または移動式でありうる。デバイスは、ユーザ機器(UE)、ユーザ・デバイス、移動局、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局等とも称されうる。
(中略)
[0027]ピア・トゥ・ピアで通信しうる、および/または、ピア・トゥ・ピアで通信することを望むデバイスは、ピア発見を実行しうる。ピア発見のために、デバイスは、(i)デバイスを別のデバイスが検出できるようにするために、ピア検出信号(PDS)を送信しうるか、および/または、(ii)別のデバイスからのピア検出信号を受信しうる。ピア検出信号はまた、ピア発見信号、近隣検出信号等とも称されうる。ピア検出信号は、ピア検出信号の送信機のための識別情報、および/または、その他の情報を伝送しうる、1または複数の信号を備えうる。
(中略)
[0030]プル・モードに基づく自律的なピア発見の場合、デバイスXは、近隣のピア・デバイスおよび/またはサービスを検出することを望み、そして、ピア発見要求を送信しうる。ピア発見要求は、ピア検出信号またはその他いくつかの信号によって送信され、PDS要求、要求PDS等とも称されうる。ピア発見要求は、1または複数のサービスの1または複数のサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望む1または複数のピア・デバイスの1または複数のデバイスID、を含みうる。ピア・デバイスYは、デバイスXからのピア発見要求を受信し、このピア発見要求がデバイスYに当てはまるか否かを判定しうる。例えば、ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、ピア発見要求によって識別される場合、このケースでありうる。このピア発見要求が、デバイスYに当てはまる場合、ピア・デバイスYは、(もしもデバイスYがまだ信号を送信していないのであれば)ピア検出信号の送信を開始しうるか、または、例えば、予め定められた期間の間、PDS送信のレートを高めうる。ピア・デバイスYはまた、ピア発見要求に対するピア発見応答をも送信しうる。自律的なピア発見のためのプル・モードは、ピア発見に関連付けられたバッテリ消費量および/またはレイテンシを低減しうる。)

(イ)「[0052] A peer detection signal may be implemented in various manners. In one design, a peer detection signal may be implemented based on a beacon signal. A beacon signal may be transmitted in one or more symbol periods and may be transmitted on one subcarrier (or a few subcarriers) in each symbol period in which the beacon signal is transmitted. A symbol period in which the beacon signal is transmitted may be referred to as a beacon symbol period. A subcarrier on which the beacon signal is transmitted may be referred to as a beacon subcarrier. A beacon signal may comprise a beacon symbol in each beacon symbol period. A beacon symbol may be an orthogonal frequency division multiplex (OFDM) symbol, an SC-FDMA symbol, or some other transmission symbol having energy in one beacon subcarrier (or a few beacon subcarriers). A beacon symbol may also be referred to as a beacon. For clarity, much of the description below assumes one beacon subcarrier in each beacon symbol.
[0053] In one design, a beacon signal may comprise a single beacon symbol and may be transmitted in a single beacon symbol period. The location of the beacon subcarrier in this beacon symbol may be selected based on the information to send in the peer detection signal. For example, K subcarriers may be available for use, up to K device IDs may be defined, and each device ID may be mapped to a different subcarrier. The beacon subcarrier may then be selected based on the device ID of a device transmitting the beacon signal for the peer detection signal. The device ID may help to identify the transmitting device, possibly with assistance from the network or from an application that supports P2P functionality.
[0054] In another design, a beacon signal may comprise multiple beacon symbols and may be transmitted in multiple beacon symbol periods. The sequence of beacon symbols may be used to increase the size of the payload of the peer detection signal. The payload may carry a device ID, a service ID, and/or other information. In one design, the increased payload may be used to minimize collisions of device IDs by increasing the size of the device ID space. In another design, the increased payload may be used to send additional information in the peer detection signal. This additional information may include the services requested or provided by a device.
(中略)
[0056] In general, a beacon signal may be used for a peer detection signal for autonomous peer discovery and/or network-assisted peer discovery and also for the pull mode and/or the push mode. A beacon signal may be especially suitable for autonomous peer discovery based on the push mode.」(14ページ7行?15ページ21行)

([当審仮訳]:
[0052]ピア検出信号は、さまざまな方式で実現されうる。1つの設計では、ピア検出信号は、ビーコン信号に基づいて実現されうる。ビーコン信号は、1または複数のシンボル期間において送信されうる。そして、ビーコン信号が送信される各シンボル期間において、1つのサブキャリア(または、数個のサブキャリア)で送信されうる。ビーコン信号が送信されるシンボル期間は、ビーコン・シンボル期間と称されうる。ビーコン信号が送信されるサブキャリアは、ビーコン・サブキャリアと称されうる。ビーコン信号は、各ビーコン・シンボル期間内にビーコン・シンボルを備えうる。ビーコン・シンボルは、直交周波数分割多重(OFDM)シンボル、SC-FDMAシンボル、または、1つのビーコン・サブキャリア(または数個のビーコン・サブキャリア)内にエネルギを有するその他いくつかの送信シンボルでありうる。ビーコン・シンボルはまた、ビーコンとも称されうる。明確化のために、後述する説明のほとんどは、各ビーコン・シンボル内に、1つのビーコン・サブキャリアを仮定する。
[0053]1つの設計では、ビーコン信号は、単一のビーコン・シンボルを備えることができ、単一のビーコン・シンボル期間で送信されうる。このビーコン・シンボルにおけるビーコン・サブキャリアの位置は、ピア検出信号で送信するための情報に基づいて選択されうる。例えば、K個のサブキャリアが利用可能であり、最大K個のデバイスIDが定義され、各デバイスIDは、異なるサブキャリアにマップされうる。ビーコン・サブキャリアは、その後、ピア検出信号のためのビーコン信号を送信するデバイスのデバイスIDに基づいて選択されうる。デバイスIDは、恐らくは、ネットワークからの、または、P2P機能をサポートするアプリケーションからの支援を用いて、送信元のデバイスを識別するのに役立ちうる。
[0054]別の設計では、ビーコン信号は、複数のビーコン・シンボルを備えることができ、複数のビーコン・シンボル期間で送信されうる。ビーコン・シンボルのシーケンスは、ピア検出信号のペイロードのサイズを増加させるために使用されうる。当該ペイロードは、デバイスID、サービスID、および/または、その他の情報を伝送しうる。1つの設計では、当該増加したペイロードは、デバイスIDスペースのサイズを増加させることにより、デバイスIDの衝突を最小化するために使用されうる。別の設計では、当該増加したペイロードは、ピア検出信号で、追加の情報を送信するために使用されうる。この追加の情報は、デバイスによって要求または提供されるサービスを含みうる。
(中略)
[0056]一般に、ビーコン信号は、自律的なピア発見、および/または、ネットワークによって支援されたピア発見のための、さらには、プル・モードおよび/またはプッシュ・モードのためのピア検出信号のために使用されうる。ビーコン信号は、プッシュ・モードに基づいた自律的なピア発見に特に適切でありうる。)

上記(ア)?(イ)の各摘記事項及び当該技術分野の技術常識を考慮すると、
(a)上記(ア)の段落0024の記載によれば、「デバイス」は「ユーザ機器」と称される。
また、上記(ア)の段落0030の記載によれば、デバイスXは、サービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含むピア発見要求を送信し、ピア・デバイスYは、デバイスXからのピア発見要求を受信する。
そして、上記(ア)の段落0030の記載によれば、ピア発見要求は、ピア検出信号によって送信され、上記(イ)の段落0054の記載によれば、ピア検出信号のペイロードは、デバイスID、サービスID、および/または、その他の情報を伝送しうることから、ピア発見要求も、デバイスID、サービスID、および/または、他の情報を伝送しうるといえる。
よって、「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、サービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求を受信する」といえる。
ここで、上記(ア)の段落0030の記載によれば、ピア発見要求を受信したピア・デバイスYは、ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定することから、ピア発見要求に含まれるサービス識別子(ID)は、「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」といえる。
よって、引用例には、「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求を受信する」ことが記載されている。

(b)上記(ア)の段落0030の記載によれば、ピア・デバイスYは、デバイスXからのピア発見要求を受信し、「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合」、および/または、「ピア・デバイスYが、ピア発見要求によって識別される場合」、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定する。そして、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定した場合に、ピア・デバイスYは、ピア発見要求に対するピア発見応答を送信する。
そして、上記(ア)の段落0027及び0030の記載によれば、ピア検出信号はデバイスを別のデバイスが検出できるように送信されていることから、ピア検出信号によって送信されるピア発見要求を受信したピア・デバイスYは、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定した場合には、デバイスXをピア・トゥ・ピア通信のデバイスとして発見しているといえ、ピア発見応答を送信することでその後のピア・トゥ・ピア通信を実行しているといえることは明らかである。
よって、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定した場合に、「ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行する」といえる。
よって、引用例には、「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行する」ことが記載されている。

(c)上記(a)によれば、デバイスYはピア発見要求を受信していることから、引用例には、デバイスYの「ピア発見要求の受信方法」が記載されている。

以上を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。
「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求を受信することと、
ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行することと、を含む、ピア発見要求の受信方法。」

ウ 対比・判断
(ア)対比1
(a)引用発明1において、ピア発見要求を送信するデバイスがデバイスXであり、受信するデバイスがピア・デバイスYであるから、引用発明1の「ユーザ機器であるピア・デバイスY」は、本願補正発明の「第1のユーザ機器」に相当し、引用発明1の「ユーザ機器であるデバイスX」は、本願補正発明の「第2のユーザ機器」に相当する。
引用発明1の「デバイスID」は、本願補正発明の「ユーザ機器識別情報」に相当する。
引用発明1の「ピア発見要求」は、ピア・デバイスを発見するための情報を含んだ要求であるから、本願補正発明の「デバイス発見情報」に相当する。
引用発明1の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求」とは、「ピア発見要求」が「デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID」のみを含む場合を含んでいる。
そして、本願補正発明の「ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報」も、「デバイス発見情報」が「ユーザ機器識別情報」のみを含む場合を含んでいる。
よって、引用発明1の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求」と、本願補正発明の「ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報」は、いずれも「ユーザ機器識別情報を含むデバイス発見情報」の点で一致している。
したがって、引用発明1の「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求を受信すること」と、本願補正発明の「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信すること」は、いずれも「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報を含むデバイス発見情報を受信する」点で一致している。

(b)引用発明1の「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合」とは、「ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合」のみを含む場合を含んでいる。
ここで、上記(a)より、引用発明1の「ピア発見要求」は、本願補正発明の「デバイス発見情報」に相当する。
また、引用発明1の「ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合」とは、ピア発見要求に含まれる、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDが、ピア・デバイスYを識別する場合であるから、ピア発見要求に含まれる情報が所定の条件を満たす場合といえ、本願補正発明の「デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合」に相当する。
そして、ピア・トゥ・ピア通信とは、デバイス間の直接通信であるから、引用発明1の「ピア・トゥ・ピア通信」は、本願補正発明の「デバイス直通通信」に相当する。
よって、引用発明1の「ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見」することは、本願補正発明の「第1のユーザ機器がデバイス直通発見」「を実行」することに相当する。
また、引用発明1の「ピア・トゥ・ピア通信を実行」することは、本願補正発明の「デバイス直通通信を実行」することに相当する。
したがって、引用発明1の「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行すること」に含まれる「ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行すること」は、本願補正発明の「前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行すること」に相当する。

(c)上記(a)で述べたとおり、本願補正発明の「ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報」は、「デバイス発見情報」が「ユーザ機器識別情報」のみを含む場合を含む記載であるから、その場合において、本願補正発明の「前記ユーザ機器の属性情報が、属性更新計数値、ユーザ機器能力情報、ユーザ機器タイプ情報、ユーザ機器グループ情報、及びユーザ機器カバレッジ情報の中の少なくとも一つを含む」との事項は、発明特定事項としての意味を何ら有していない。

(d)引用発明1の「ピア発見要求の受信方法」は、本願発明の「デバイス発見情報の受信方法」に相当する。

以上のことから、本願補正発明と引用発明1との一致点は、次のとおりである。

(一致点)
「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報を含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含む、デバイス発見情報の受信方法。」

(イ)判断1
以上のことから、本願補正発明と引用発明1とに相違はなく、本願補正発明は、引用発明1と同一であり、また、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、また、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(ウ)対比2
上記「(イ)判断1」のとおりであるが、更に進めて、上述した(ア)の検討に加え、本願補正発明と引用発明1とを対比する。

(a)引用発明1の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、デバイスXが要求したサービスを提供するピア・デバイスに関する情報といえる。よって、「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、ピア・デバイスが提供するサービスの情報といえ、ピア・デバイスの属性情報といえる。したがって、引用発明1の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、本願補正発明の「ユーザ機器の属性情報」に相当する。
そして、引用発明1の「ピア発見要求」は、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むことから、「デバイスID」と「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」「の中の少なくとも一つを含む」ことは明らかである。
よって、引用発明1の「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスID、および/または、その他の情報を含むピア発見要求を受信すること」は、本願補正発明の「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信すること」に相当する。

(b)引用発明1の「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合」とは、ピア発見要求に含まれる、デバイスXによって要求されたサービス識別子(ID)のサービスを、ピア・デバイスYが提供する場合であるから、ピア発見要求に含まれる情報が所定の条件を満たす場合といえ、本願補正発明の「デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合」に相当する。
したがって、引用発明1の「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行すること」は、本願補正発明の「前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行すること」に相当する。

以上のことから、本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含むデバイス発見情報の受信方法。」

(相違点)
本願補正発明は、デバイス発見情報に含まれる「前記ユーザ機器の属性情報が、属性更新計数値、ユーザ機器能力情報、ユーザ機器タイプ情報、ユーザ機器グループ情報、及びユーザ機器カバレッジ情報の中の少なくとも一つを含む」のに対して、引用発明1は、ピア発見要求にその他の情報を含むことしか特定されていない点。

(エ)判断2
上記相違点について検討するに、ピア・トゥ・ピア通信の相手デバイスを発見するための発見要求に、デバイスタイプ情報、デバイス能力情報、ユーザ機器カバレッジ情報である接続するアクセスポイントの識別子を含めることは周知技術である(デバイスタイプ情報については、例えば、米国特許出願公開第2006/0291434号(段落0004、0012)及び国際公開第2011/056878号(段落0067、00110、請求項16)参照。デバイス能力情報については、例えば、米国特許出願公開第2006/0291434号(段落0004、0012)、国際公開第2012/040567号(段落0045、0055?0057、0060?0061)及び国際公開第2011/146513号(段落0034?0035、0037?0038、請求項1)参照。接続するアクセスポイントの識別子については、例えば、国際公開第2011/056878号(段落0099、請求項19)、国際公開第2012/040567号(段落0058、0060)及び国際公開第2011/146513号(段落0038、0041)参照)。
そして、引用発明1において、ピア発見要求に含まれるその他の情報として、必要とする種々の情報を取捨選択して含めることは当業者が適宜成し得た設計的事項といえるから、引用発明1において、デバイスタイプ情報、デバイス能力情報、ユーザ機器カバレッジ情報である接続するアクセスポイントの識別子の中の少なくとも一つを含めることは、当業者であれば適宜成し得た事項である。

そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであり、また、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?26に係る発明は、平成29年2月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2 平成29年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の[理由]「1 本件補正について」の「(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載」に記載した次のとおりのものと認める(再掲)。

「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信することと、
前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行することと、を含み、
前記ユーザ機器識別情報が、前記第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス直通発見識別子及び/又は第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス識別子を含むデバイス発見情報の受信方法。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、
(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものであり、本件補正前の請求項1に対して、引用例(国際公開第2012/006446号)が引用されている。

3 引用例に記載された事項及び引用発明
上記「第2 平成29年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の[理由]「2 補正の適否」の「(2)独立特許要件」の「イ 引用例に記載された事項及び引用発明」の項の(ア)、(イ)(以下、この項では「上記(ア)」、「上記(イ)」と称する。)及び(b)、(c)(以下、この項では「上記(b)」、「上記(c)」と称する。)の検討を援用し、当該分野の技術常識を考慮しつつ、引用例に記載された技術事項についてさらに検討する。

(1)上記(ア)の段落0024の記載によれば、「デバイス」は「ユーザ機器」と称される。
また、上記(ア)の段落0030の記載によれば、デバイスXは、サービス識別子(ID)、および/または、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含むピア発見要求を送信し、ピア・デバイスYは、デバイスXからのピア発見要求を受信する。よって、「ピア・デバイスYが、デバイスXから送信された、サービス識別子(ID)、および/または、デバイスIDを含むピア発見要求を受信する」といえ、「デバイスIDは、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含む」といえる。
ここで、上記(ア)の段落0030の記載によれば、ピア発見要求を受信したピア・デバイスYは、ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、ピア発見要求がデバイスYに当てはまると判定することから、ピア発見要求に含まれるサービス識別子(ID)は、「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」といえる。
よって、引用例には、「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスIDを含むピア発見要求を受信する」こと、及び、「デバイスIDは、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含む」ことが記載されている。

(2)上記(b)によれば、引用例には、「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行する」ことが記載されている。

(3)上記(c)によれば、引用例には、デバイスYの「ピア発見要求の受信方法」が記載されている。

以上を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。
「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスIDを含むピア発見要求を受信することと、
ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行することと、を含み、
デバイスIDは、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含む、ピア発見要求の受信方法。」

4 対比・判断
(1)本願発明と引用発明2との対比
上記「第2 平成29年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の[理由]「2 補正の適否」の「(2)独立特許要件」の「ウ 対比・判断」の「(ウ)対比2」の項の(b)(以下、この項では「上記(b)」と称する。)を援用して、本願発明と引用発明2とを対比する。

ア 引用発明2において、ピア発見要求を送信するデバイスがデバイスXであり、受信するデバイスがピア・デバイスYであるから、引用発明2の「ユーザ機器であるピア・デバイスY」は、本願発明の「第1のユーザ機器」に相当し、引用発明2の「ユーザ機器であるデバイスX」は、本願発明の「第2のユーザ機器」に相当する。
引用発明2の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、デバイスXが要求したサービスを提供するピア・デバイスに関する情報といえる。よって、「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、ピア・デバイスが提供するサービスの情報といえ、ピア・デバイスの属性情報といえる。したがって、引用発明2の「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」は、本願補正発明の「ユーザ機器の属性情報」に相当する。
引用発明2の「デバイスID」は、本願発明の「ユーザ機器識別情報」に相当する。
引用発明2の「ピア発見要求」は、ピア・デバイスを発見するための情報を含んだ要求であるから、本願発明の「デバイス発見情報」に相当する。
そして、引用発明2の「ピア発見要求」は、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスIDを含むことから、「デバイスID」と「デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)」「の中の少なくとも一つを含む」ことは明らかである。
したがって、引用発明2の「ユーザ機器であるピア・デバイスYが、ユーザ機器であるデバイスXから送信された、デバイスXによって要求されたサービスのサービス識別子(ID)、および/または、デバイスIDを含むピア発見要求を受信すること」は、本願発明の「第1のユーザ機器が、第2のユーザ機器から送信された、ユーザ機器識別情報とユーザ機器の属性情報の中の少なくとも一つを含むデバイス発見情報を受信すること」に相当する。

イ 上記(b)によれば、引用発明2の「ピア・デバイスYが、デバイスXによって要求されたサービスを提供する場合、および/または、ピア・デバイスYが、前記ピア発見要求によって識別される場合、ピア・デバイスYがピア・トゥ・ピア通信のデバイスを発見し、ピア・トゥ・ピア通信を実行することと」は、本願発明の「前記デバイス発見情報が所定の条件を満たす場合、前記第1のユーザ機器がデバイス直通発見及び/又はデバイス直通通信を実行すること」に相当する。

ウ 引用発明2の「デバイスXが検出することを望むピア・デバイス」とは、デバイスXが発見しようとするピア・デバイスであるから、引用発明2の「デバイスIDは、デバイスXが検出することを望むピア・デバイスのデバイスIDを含む」ことは、本願発明の「ユーザ機器識別情報が、第2のユーザ機器が発見しようとするユーザ機器のデバイス識別子を含む」ことに相当する。

エ 引用発明2の「ピア発見要求の受信方法」は、本願発明の「デバイス発見情報の受信方法」に相当する。

(2)以上のことから、本願発明と引用発明2とに相違はなく、本願発明は、引用発明2と同一であり、また、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、また、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-09-20 
結審通知日 2018-09-25 
審決日 2018-10-09 
出願番号 特願2016-505685(P2016-505685)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 572- Z (H04W)
P 1 8・ 57- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤江 大望  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 羽岡 さやか
本郷 彰
発明の名称 デバイス発見情報の受信方法、デバイス発見情報の送信方法及びユーザ機器  
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所  

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