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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1349328
審判番号 不服2018-4263  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-29 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 特願2013-232460号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年5月18日出願公開、特開2015-92920号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月8日の出願であって、平成29年8月15日付けの拒絶理由通知に対し、同年9月15日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年1月17日付け(発送日:1月23日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、平成30年3月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前の請求項1における「最初に演出を変化可能なタイミング以前において」との記載を、「最初に演出を変更可能なタイミング以前において」と補正することを含むものであって、この補正は、請求項1の他の記載からみて、「変化可能」が「変更可能」の誤記であるとして、それを訂正するものであることは明らかであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。(下線は当審で付した。)
また、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであるから、同法第17条の2第3項の規定に適合する。
したがって、本件補正は適法になされたものである。


第3 本願発明
本件補正は適法になされたものであるから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
(A?Cは本願発明の構成を分説するため当審で付した。)

「【請求項1】
A 変動表示を実行し、有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに、所定の演出を所定回繰返し実行することにより、前記有利状態となることを示唆する特定演出を実行する特定演出手段を備え、
前記特定演出手段は、
B-1 前記特定演出の実行中において、演出を前記有利状態となる可能性が異なる複数種類の他の演出のいずれかに変更して前記特定演出を実行可能であり、
B-2 前記特定演出の実行中において、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能であり、
B-3 最初に演出を変更可能なタイミング以前において、共通の演出により前記特定演出を実行可能であり、
B-4 演出を他の演出に変更する以前に、演出が変更されることを示唆する示唆演出を実行可能である、
C 遊技機。」


第4 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2011-19766号公報
引用文献2.特開2010-63802号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2009-39212号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2013-198556号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2011-115395号公報(周知技術を示す文献)


第5 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア 「【0031】
本実施形態のパチンコ遊技機10において、演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームの変動内容は、図柄(飾り図柄)の変動開始から図柄(飾り図柄)の変動停止までを1回とする変動サイクルを含んで構成されている。なお、1回の図柄変動ゲームは、図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了し、1球の始動保留球に対して実行される。そして、本実施形態のパチンコ遊技機10において、演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームは、1回の変動サイクルから構成される通常変動系の変動内容、又は複数回の変動サイクルから構成される特殊変動系の変動内容で実行されるようになっている。そして、特殊変動系の変動内容を伴う1回の図柄変動ゲームは、内部制御において1回の図柄変動ゲームを、恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現してなされるものである。以下の説明において、特殊変動系の変動内容で実行される図柄変動ゲームを「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」と示す場合もある。
【0032】?【0034】
(省略)
【0035】
そして、擬似連を伴う1回の図柄変動ゲームは、変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになっている。本実施形態のパチンコ遊技機10は、大当り抽選に当選した場合、大当り抽選に当選していない場合に比して変動サイクルの実行回数が多い特殊変動系の変動内容で図柄変動ゲームが行われ易くなっている。このため、遊技者は、図柄(飾り図柄)の変動中に示唆演出が行われるか否かによって図柄変動ゲームが擬似連を伴って行われているのか、又は擬似連を伴わずに行われているのかを判別し、擬似連を伴って行われている場合には示唆演出を伴う変動サイクルが何回連続するかによって大当りへの期待感を変化させる。また、本実施形態において、擬似連を伴う図柄変動ゲームでは、擬似連を構成する
複数回の変動サイクルのうち、最終回の変動サイクルでリーチが形成され、リーチ演出が行われるようになっている。すなわち、擬似連を伴う図柄変動ゲームでは、最終回の変動サイクルよりも前の変動サイクルでは、リーチが形成されないようになっている。」

イ 「【0037】
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、特に擬似連を伴う図柄変動ゲーム(変動サイクル)中に、当該擬似連を伴う図柄変動ゲームが大当りとなる可能性(大当り期待度)の高低を示唆する予告演出を実行させるように構成されている。ここでいう大当り期待度には、予告演出の演出内容毎に、大当り期待度の高低に関して大当り期待度が最も低いこととなる「弱ランク」に分類されるものと、大当り期待度が「弱ランク」よりも高いこととなる「中ランク」に分類されるものと、大当り期待度が最も高いこととなる「強ランク」に分類されるものとが設定されている。このため、擬似連を伴う図柄変動ゲームでは、変動サイクルの実行回数とともにゲーム中に実行される予告演出によって大当り期待度の高低が変化するようになっている。したがって、擬似連を伴う図柄変動ゲームでは、変動サイクルの実行回数の多少に関し、変動サイクルの実行回数が少ない場合であっても予告演出によっては変動サイクルの実行回数が多い場合よりも大当り期待度が高いと感じる場合もある。
【0038】
擬似連を伴う変動内容(図柄変動ゲーム)では、予告演出の中で、図柄変動ゲームで最終の変動サイクルでリーチを形成するまでの間において大当り期待度の高低を認識させるための主な予告演出(主予告)として位置付けされるメイン予告演出を変動サイクル毎に実行可能になっている。メイン予告演出には、実行可能な変動サイクルの全てで同一演出態様となる予告演出を連続して出現させる場合と、実行可能な変動サイクル毎に異なる演出態様となる予告演出を出現可能な場合とがある。本実施形態では、メイン予告演出として実行可能な変動サイクルの全てで同一演出態様となる予告演出を連続して出現させる擬似連を伴う変動内容が、擬似連として特殊擬似連を伴う変動内容に分類される。また、本実施形態では、メイン予告演出として実行可能な変動サイクル毎に異なる演出態様となる予告演出を出現可能な擬似連を伴う変動内容が、擬似連として通常擬似連を伴う変動内容に分類される。なお、本実施形態において、予告演出の演出態様とは、予告演出で遊技者に大当り期待度を把握させることとなる要素(予告演出で主体とするテーマなど)のことであり、この要素が異なる場合に予告演出の演出態様が異なるとしている。
【0039】
そして、特殊擬似連を伴う変動内容においては、特殊種に分類される予告演出(特殊変遷前予告種)が変動サイクル毎に出現することで、実行可能な変動サイクルの全てで同一演出態様となる予告演出を連続して出現させるようになっている。本実施形態では、特殊種に分類される予告演出を、「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」のいずれかを予告画像として演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告としている。このため、キャラクタ背景予告の「テーマ」は、表示領域の全体にキャラクタを出現させることを主体としている。その結果、特殊擬似連を伴う変動内容では、キャラクタ背景予告の「テーマ」による同一演出態様の予告演出が変動サイクル毎に実行される。
【0040】
キャラクタ背景予告では、大当り期待度の高低がキャラクタ毎にそれぞれ設定されており、「弱ランク」に分類される「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「中ランク」に分類される「期待中キャラCc」<「強ランク」に分類される「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるようになっている。そして、キャラクタ背景予告が展開される場合には、図3(a)に示す態様で特殊擬似連を伴う変動内容が展開される。図3(a)では、特殊擬似連を伴う変動内容で1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合を示している。すなわち、特殊擬似連を伴う変動内容のもと1回目の変動サイクルが実行される結果、演出表示装置22では、図3(a)に示すように、「期待低キャラCa」が出現する。また、続いて、特殊擬似連を伴う変動内容のもと2回目の変動サイクルが実行される結果、演出表示装置22では、図3(a)に示すように、「期待中キャラCc」が出現する。また、続いて、特殊擬似連を伴う変動内容のもと3回目の変動サイクルが実行される結果、演出表示装置22では、図3(a)に示すように、「期待中キャラCc」が出現する。また、続いて、特殊擬似連を伴う変動内容のもと4回目の変動サイクルが実行される結果、演出表示装置22では、図3(a)に示すように、「期待高キャラCd」が出現する。なお、特殊擬似連を伴う変動内容において、演出表示装置22では、各変動サイクルの実行に合わせて演出表示装置22や各種ランプ部16a?16c,21bやスピーカ17a?17cでは、対応する回数目の変動サイクルの実行中であることを示す示唆演出が展開される。」

ウ 「【0053】
次に、擬似連予告パターンについて図4に基づき説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、図4に示すように、擬似連予告パターンGP1?GP26の26種類が用意されている。そして、擬似連予告パターンGP1?GP25は、1回目?4回目の変動サイクルでメイン予告演出としてキャラクタ背景予告の出現を特定するパターンであって、特殊擬似連を伴う変動内容を特定するパターンとなっている。例えば、図4に示すように、擬似連予告パターンGP8は、1回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、2回目及び3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させることを定めている。また、これら擬似連予告パターンGP1?GP25では、1回目?4回目の変動サイクルで変動サイクルの前後に関して前の変動サイクルの演出内容が後の変動サイクルの演出内容よりも大当り期待度が高くならない(高いランクとならない)ように構成されており、変動サイクルの経過によっては少なくとも大当り期待が維持される。そして、これら擬似連予告パターンGP1?GP25では、1回目?4回目の変動サイクルでキャラクタ背景予告として出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている。また、これら擬似連予告パターンGP1?GP25は、1回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)によって、キャラCaグループと、キャラCbグループと、キャラCcグループ、キャラCdグループの4つのグループに分類されている。キャラCaグループには、擬似連予告パターンGP1?GP10が属している。また、キャラCbグループには、擬似連予告パターンGP11?GP20が属している。また、キャラCcグループには、擬似連予告パターンGP21?GP24が属している。また、キャラCdグループには、擬似連予告パターンGP25が属している。」

エ 「【0065】
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について図7に基づき説明する。
パチンコ遊技機10の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御装置としての主制御基板35が装着されている。主制御基板35は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御指令としての制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板36と、演出表示制御基板37と、音声・ランプ制御基板38が装着されている。本実施形態では、サブ統括制御基板36と、演出表示制御基板37と、音声・ランプ制御基板38によって副制御装置が構成されている。
【0066】
サブ統括制御基板36は、主制御基板35が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板37、及び音声・ランプ制御基板38を統括的に制御する。演出表示制御基板37は、主制御基板35とサブ統括制御基板36が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置22の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。また、音声・ランプ制御基板38は、主制御基板35とサブ統括制御基板36が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、各種ランプ部16a?16c,21bの発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)及びスピーカ17a?17cの音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。」

オ 「【0080】
以下、主制御基板35、サブ統括制御基板36及び演出表示制御基板37が実行する制御内容を説明する。
最初に、主制御基板35が実行する制御内容として、図柄変動ゲーム及び普通図柄変動ゲームの実行に係る制御内容を説明する。本実施形態では、メイン制御プログラムに基づき以下の各種処理を実行する主制御基板35の主制御用CPU35aが、大当り抽選手段、及び変動内容決定手段として機能する。
【0081】
(省略)
【0082】
そして、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始直前に、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、該値と主制御用ROM35bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当り遊技を付与するか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、主制御用CPU35aは、大当りを決定する。大当りを決定した主制御用CPU35aは、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した特図振分用乱数の値を読み出し、該値に基づいて特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定する。また、大当りを決定した主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定する。
【0083】?【0086】
(省略)
【0087】
また、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始時に特別図柄用の保留記憶数を1減算(-1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。そして、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数の書き換えに伴って該書き換え後の前記保留記憶数に対応する数の保留ランプを点灯させる。また、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始に伴って特別図柄表示装置23の表示内容を制御する。すなわち、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させる。」

カ 「【0089】
次に、サブ統括制御基板36について説明する。
サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、その変動パターン指定コマンドを演出表示制御基板37、及び音声・ランプ制御基板38に出力する。また、統括制御用CPU36aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力した際、当該停止図柄指定コマンドにより大当り図柄が指定されている場合には、その指定された特別図柄の大当り図柄を統括制御用RAM36cに記憶する。また、統括制御用CPU36aは、図柄停止コマンドを入力すると、該コマンドを演出表示制御基板37、及び音声・ランプ制御基板38に出力する。
【0090】
また、統括制御用CPU36aは、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの種類と停止図柄指定コマンドで指定された停止図柄(特別図柄)の種類から、演出表示装置22で実行される図柄変動ゲームにおいて導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定する。具体的に言えば、統括制御用CPU36aは、大当り演出用の変動パターンが指定され、かつ指示された特別図柄が大当り図柄の場合には、最終的に確定停止表示させる前記飾り図柄の図柄組み合わせとして大当り図柄を決定する。
【0091】
また、統括制御用CPU36aは、はずれ演出用の変動パターンが指定され、特別図柄の停止図柄指定がはずれ図柄の場合には、最終的に確定停止表示させる前記飾り図柄の図柄組み合わせとしてはずれ図柄を決定する。このとき、統括制御用CPU36aは、飾り図柄の図柄組み合わせとしてリーチ図柄を含めずに(左右列の図柄が同一図柄とならないように決定する。一方、統括制御用CPU36aは、はずれリーチ演出用の変動パターンが指定され、特別図柄の停止図柄指定がはずれ図柄の場合には、最終的に確定停止表示させる前記飾り図柄の図柄組み合わせとしてはずれ図柄を決定する。このとき、統括制御用CPU36aは、飾り図柄の図柄組み合わせとしてリーチ図柄を含めて(左右列の図柄が同一図柄となるように)決定する。そして、飾り図柄を決定した統括制御用CPU36aは、飾り図柄を指示する飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを演出表示制御基板37に出力する。
【0092】
次に、演出表示制御基板37について説明する。本実施形態では、表示制御プログラムに基づき以下の各種処理を実行する演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aが、表示制御手段として機能する。
【0093】?【0094】
(省略)
【0095】
また、表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う変動内容での図柄変動ゲームの開始に伴って該ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように画像表示部GHの表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行する。また、表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う変動内容での図柄変動ゲームにおいて、1回の変動サイクルの終了に伴って、変動サイクルが継続して実行される条件下で、その旨を示唆する「チャンス目」をはずれ図柄として一旦停止させるように画像表示部GHの表示内容を制御する。「チャンス目」は、各列の図柄が[123]のように連続する並び(所謂、順目)や、各列の図柄が[113]や[224」のような奇数や偶数のみの並びとなるリーチを形成しないはずれの図柄組み合わせのことである。そして、「チャンス目」によって遊技者は、擬似連を伴う図柄変動ゲームの実行中であるとともに、変動サイクル(擬似連)がこれからも継続することを把握可能となっている。また、表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う変動内容での図柄変動ゲームにおいて、最終の変動サイクルでリーチを形成する場合には、所定のリーチ演出の展開となるように画像表示部GHの表示内容を制御する。
【0096】
次に、予告演出に係る制御内容を説明する。
本実施形態では、以下に説明する予告演出に係る制御内容において、図柄変動ゲームで実行させる予告演出種を決定する統括制御用CPU36aが、予告決定手段となる。また、本実施形態では、統括制御用CPU36aが決定した予告演出種、及び予告演出の演出内容にしたがって演出表示装置22に予告演出を実行させる表示制御用CPU37aが、予告実行制御手段となる。」

キ 「【0104】
そして、統括制御用CPU36aは、擬似連予告パターンとして擬似連予告パターンGP1?GP25を決定する場合、その決定によって特殊擬似連を伴う変動内容を特定して決定したことになる。また、統括制御用CPU36aは、擬似連予告パターンGP1?GP25を決定する場合、これらパターンを特定することで各変動サイクルのメイン予告演出(キャラクタ背景予告)で出現させる演出内容を特定したこととなる。」

ク 「【0158】
具体的に言えば、表示制御用CPU37aは、各予告演出に関するコマンドを入力すると、当該コマンドにしたがう演出内容で、各予告演出に対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、各予告演出を予め定めた図6に示すような実行タイミングで実行させる。そして、表示制御用CPU37aは、メイン予告演出としてキャラクタ背景予告を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、キャラクタ背景予告を実行させる。また、表示制御用CPU37aは、メイン予告演出として通常種に分類される予告演出(ノーマルステップアップ予告など)を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、通常種に分類される予告演出(ノーマルステップアップ予告など)を実行させる。なお、表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う変動内容における各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら対応するメイン予告演出(キャラクタ背景予告や、ノーマルステップアップ予告など)を変動サイクル毎に実行させる。また、表示制御用CPU37aは、サブ予告演出としてリーチロゴ予告を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、リーチロゴ予告を実行させる。また、表示制御用CPU37aは、サブ予告演出としてリーチ分岐予告を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、リーチ分岐予告を実行させる。また、表示制御用CPU37aは、サブ予告演出としてチャンスアップ予告を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し、チャンスアップ予告を実行させる。なお、音声・ランプ制御基板38は、演出表示装置22の表示内容に同調させて、発光や音声出力を実行させる。したがって、本実施形態では、各予告演出を実行させる演出表示装置22、各種ランプ部16a?16c,21b、及びスピーカ17a?17cが予告演出実行手段となる。」

ケ [図3]


コ [図4]


サ [図8]


上記ア?サの記載事項から、以下の認定事項が導かれる。

(1)上記エ【0065】?【0066】には、「主制御基板35」、「サブ統括制御基板36」、「演出表示制御基板37」及び「演出表示装置22」を備えた「パチンコ遊技機10」が記載されており、上記オ【0080】には、「主制御基板35の主制御用CPU35aが、大当り抽選手段、及び変動内容決定手段として機能する」ことが記載されている。
また、上記オ【0087】には、「主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させる」ことが記載されている。
そして、上記オ【0082】には、「主制御用CPU35a」は、「大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合」、「大当りを決定」し、「特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定」し、「複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定する」ことが記載されている。
そうすると、引用文献1には、
「主制御基板35、サブ統括制御基板36、演出表示制御基板37及び演出表示装置22を備えたパチンコ遊技機10であって、
前記主制御基板35の主制御用CPU35aは、大当り抽選手段及び変動内容決定手段として機能し、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させるものであり、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定し、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定するものである」ことが記載されているといえる。

(2)上記ア【0031】には、「図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了」する「1回の図柄変動ゲーム」において、「演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲーム」を「恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現」した「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」が実行可能であることが記載されている。
そして、上記カ【0089】?【0091】には、「サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36a」が、「変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの種類と停止図柄指定コマンドで指定された停止図柄(特別図柄)の種類から、演出表示装置22で実行される図柄変動ゲームにおいて導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定」し、「飾り図柄を指示する飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを演出表示制御基板37に出力する」ことが記載されているから、「サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36a」は、上記「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」において、「導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定」し、「演出表示制御基板37」に「飾り図柄を指示する」と認められる。
また、上記カ【0092】及び【0095】には、「演出表示制御基板37の表示制御用CPU37a」が、「擬似連を伴う変動内容での図柄変動ゲームの開始に伴って該ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように画像表示部GHの表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行する」ことが記載されている。
また、上記ア【0035】には、「擬似連を伴う1回の図柄変動ゲーム」では、「変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになっている」ことが記載されている。
そうすると、引用文献1には、
「図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了する1回の図柄変動ゲームにおいて、前記演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームを恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現した擬似連を伴う図柄変動ゲームを実行可能であり
前記サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aは、前記擬似連を伴う図柄変動ゲームにおいて、導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定し、前記演出表示制御基板37に飾り図柄を指示し、
前記演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う図柄変動ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように前記演出表示装置22の表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行し、
擬似連を伴う1回の図柄変動ゲームでは、変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになって」いることが記載されているといえる。

(3)上記イ【0037】には、「擬似連を伴う図柄変動ゲーム...中に、当該擬似連を伴う図柄変動ゲームが大当りとなる可能性(大当り期待度)の高低を示唆する予告演出」が実行されることが記載されている。
また、上記イ【0038】?【0040】には、「最終の変動サイクルでリーチを形成するまでの間において大当り期待度の高低を認識させるため」の「予告演出」として、「大当り期待度の高低がキャラクタ毎にそれぞれ設定され」た「「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」のいずれかを予告画像として演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告」を「変動サイクル毎に実行可能」であり、「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「期待中キャラCc」<「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるようになっていることが記載されている。
上記カ【0096】には、「図柄変動ゲームで実行させる予告演出種を決定する統括制御用CPU36aが、予告決定手段とな」り、「統括制御用CPU36aが決定した予告演出種、及び予告演出の演出内容にしたがって演出表示装置22に予告演出を実行させる表示制御用CPU37aが、予告実行制御手段となる」ことが記載されている。
上記ウ【0053】には、「キャラクタ背景予告の出現を特定するパターン」として、「擬似連予告パターンGP1?GP25」が用意されており、「擬似連予告パターンGP1?GP25では、1回目?4回目の変動サイクルでキャラクタ背景予告として出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている」ことが記載されており、上記キ【0104】には、「統括制御用CPU36aは、擬似連予告パターンGP1?GP25を決定する場合、これらパターンを特定することで各変動サイクルのメイン予告演出(キャラクタ背景予告)で出現させる演出内容を特定したこととなる」と記載されている。
また、上記ク【0158】には、「表示制御用CPU37a」は、「キャラクタ背景予告を実行させる場合には対応する予告画像を演出表示装置22に画像表示し」、「擬似連を伴う変動内容における各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら」「変動サイクル毎に実行させる」ことが記載されている。
そうすると、引用文献1には、
「擬似連を伴う図柄変動ゲーム中に、最終の変動サイクルでリーチを形成するまでの間において大当り期待度の高低を認識させるため、予告画像を前記演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告が変動サイクル毎に実行可能であり、
当該キャラクタ背景予告では、大当り期待度の高低がキャラクタ毎にそれぞれ設定された「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」のいずれかを予告画像として、「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「期待中キャラCc」<「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるようになっており、
前記統括制御用CPU36aは、1回目?4回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている擬似連予告パターンGP1?GP25を決定し、キャラクタ背景予告で出現させる演出内容を特定する予告決定手段であり、
前記表示制御用CPU37aは、キャラクタ背景予告の対応する予告画像を各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら変動サイクル毎に前記演出表示装置22に画像表示させる予告実行制御手段である」ことが記載されているといえる。


(4)上記イ【0040】には、「キャラクタ背景予告」では、「1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合」があることが記載されており、この場合に対応した図面である上記ケ[図3](a)から、「1回目の変動サイクル」及び「2回目の変動サイクル」で「演出表示装置22」に出現した「キャラCa」が、「3回目の変動サイクル」が実行された結果、「キャラCc」に変更され、「4回目の変動サイクル」が実行された結果、「キャラCd」に変更されることが読み取れる。
そうすると、引用文献1には、
「前記キャラクタ背景予告では、1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合があり、かかる場合では、1回目の変動サイクル及び2回目の変動サイクルで前記演出表示装置22に出現したキャラCaが、3回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCcに変更され、4回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCdに変更される」ことが記載されているといえる。


2 引用発明
上記(1)?(4)の認定事項を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(a?cは引用発明の構成を分説するため当審で付した。)

[引用発明]
「a 主制御基板35、サブ統括制御基板36、演出表示制御基板37及び演出表示装置22を備えたパチンコ遊技機10であって、
前記主制御基板35の主制御用CPU35aは、大当り抽選手段及び変動内容決定手段として機能し、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させるものであり、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定し、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定するものであり、

b 図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了する1回の図柄変動ゲームにおいて、前記演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームを恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現した擬似連を伴う図柄変動ゲームを実行可能であり
前記サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aは、前記擬似連を伴う図柄変動ゲームにおいて、導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定し、前記演出表示制御基板37に飾り図柄を指示し、
前記演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う図柄変動ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように前記演出表示装置22の表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行し、
擬似連を伴う1回の図柄変動ゲームでは、変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになっており、

b-1 擬似連を伴う図柄変動ゲーム中に、最終の変動サイクルでリーチを形成するまでの間において大当り期待度の高低を認識させるため、予告画像を前記演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告が変動サイクル毎に実行可能であり、
当該キャラクタ背景予告では、大当り期待度の高低がキャラクタ毎にそれぞれ設定された「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」のいずれかを予告画像として、「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「期待中キャラCc」<「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるようになっており、
前記統括制御用CPU36aは、1回目?4回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている擬似連予告パターンGP1?GP25を決定し、キャラクタ背景予告で出現させる演出内容を特定する予告決定手段であり、
前記表示制御用CPU37aは、キャラクタ背景予告の対応する予告画像を各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら変動サイクル毎に前記演出表示装置22に画像表示させる予告実行制御手段であり、

b-2 前記キャラクタ背景予告では、1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合があり、かかる場合では、1回目の変動サイクル及び2回目の変動サイクルで前記演出表示装置22に出現したキャラCaが、3回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCcに変更され、4回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCdに変更される、

c パチンコ遊技機10。」


第6 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
なお、見出しは(a)?(c)とし、引用発明の分説に対応させている。

(a)引用発明の「パチンコ遊技機10」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
また、引用発明では、「前記主制御基板35の主制御用CPU35a」が、「図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させ」ているから、引用発明の「パチンコ遊技機10」においても「変動表示を実行」しているといえる。
また、引用発明では、「前記主制御基板35の主制御用CPU35a」が、「大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定し、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定」しているところ、この「大当り」は、本願発明の「有利状態」に相当するといえるから、引用発明の「パチンコ遊技機10」は「有利状態に制御可能な」ものであるといえる。
したがって、引用発明の構成aである「主制御基板35、サブ統括制御基板36、演出表示制御基板37及び演出表示装置22を備えたパチンコ遊技機10であって、前記主制御基板35の主制御用CPU35aは、大当り抽選手段及び変動内容決定手段として機能し、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させるものであり、大当り判定の判定結果が肯定の場合、大当りを決定し、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から1つの変動パターンを選択し、決定するものであり」は、
本願発明の構成Aである「変動表示を実行し、有利状態に制御可能な遊技機であって」に相当する。


(b)引用発明の「1回の図柄変動ゲーム」は「図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了する」ところ、この「図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始」及び「確定停止表示」は、それぞれ本願発明の「変動表示が開始」及び「表示結果が導出表示」に相当するといえるから、引用発明の「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」は、「変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに」実行されるものであるといえる。
また、引用発明の「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」は、「前記演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームを恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現した」ものであるから、「所定の演出を所定回繰返し実行」しているといえる。
そして、引用発明の「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」は、「変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになって」いるから、「所定の演出を所定回繰返し実行することにより、前記有利状態となることを示唆する」ものであるといえる。
したがって、引用発明の「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」は、本願発明の構成Bの「変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに、所定の演出を所定回繰返し実行することにより、前記有利状態となることを示唆する特定演出」に相当する。
そして、引用発明では、「統括制御用CPU36a」が「擬似連を伴う図柄変動ゲームにおいて、導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定し、前記演出表示制御基板37に飾り図柄を指示し」、「表示制御用CPU37a」が「擬似連を伴う図柄変動ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように前記演出表示装置22の表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行し」ているから、引用発明の「統括制御用CPU36a」と「表示制御用CPU37a」は、「擬似連を伴う図柄変動ゲーム」の演出を実行する手段であり、本願発明の構成Bの「特定演出手段」に相当する。
以上のことから、引用発明の構成bである「図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了する1回の図柄変動ゲームにおいて、前記演出表示装置22で行われる1回の図柄変動ゲームを恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現した擬似連を伴う図柄変動ゲームを実行可能であり
前記サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aは、前記擬似連を伴う図柄変動ゲームにおいて、導出する飾り図柄の図柄組み合わせを決定し、前記演出表示制御基板37に飾り図柄を指示し、
前記演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aは、擬似連を伴う図柄変動ゲームの開始から実行させる変動サイクルに定める時間の経過時に1回の変動サイクルを終了させるように前記演出表示装置22の表示内容を制御し、この制御を実行可能な変動サイクル分だけ繰り返し実行し、
擬似連を伴う1回の図柄変動ゲームでは、変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が導出されるか否かの可能性(大当り期待度)が変化するようになっており」は、
本願発明の構成Bである「変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに、所定の演出を所定回繰返し実行することにより、前記有利状態となることを示唆する特定演出を実行する特定演出手段を備え」に相当する。

(b-1)引用発明において、「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」の「予告画像」は、「「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「期待中キャラCc」<「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるように」設定されているから、これらの「予告画像」を「前記演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告」は、「前記有利状態となる可能性が異なる複数種類」の「演出」であるといえる。
また、引用発明の「キャラクタ背景予告」は、「擬似連を伴う図柄変動ゲーム中」に実行され、「統括制御用CPU36a」が「1回目?4回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている擬似連予告パターンGP1?GP25を決定し、キャラクタ背景予告で出現させる演出内容を特定する予告決定手段」となり、「表示制御用CPU37a」が、「キャラクタ背景予告の対応する予告画像を各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら変動サイクル毎に前記演出表示装置22に画像表示させる予告実行制御手段」となって実行されるところ、上記(b)において検討した事項によれば、「統括制御用CPU36a」と「表示制御用CPU37a」は、本願発明の「特定演出手段」に相当するから、引用発明の「キャラクタ背景予告」は、本願発明の「特定演出手段」に相当する手段により実行されるといえる。
そして、引用発明では、「予告決定手段」としての「統括制御用CPU36a」が決定した「擬似連予告パターン」により、「1回目?4回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)」を変更することが可能であるから、「演出を前記有利状態となる可能性が異なる複数種類の他の演出のいずれかに変更して実行可能」であるといえる。
以上のことから、引用発明の構成b-1である「擬似連を伴う図柄変動ゲーム中に、最終の変動サイクルでリーチを形成するまでの間において大当り期待度の高低を認識させるため、予告画像を前記演出表示装置22の表示領域の全体に出現させる態様で展開されるキャラクタ背景予告が変動サイクル毎に実行可能であり、当該キャラクタ背景予告では、大当り期待度の高低がキャラクタ毎にそれぞれ設定された「期待低キャラCa」、「期待低キャラCb」、「期待中キャラCc」、「期待高キャラCd」のいずれかを予告画像として、「期待低キャラCa」及び「期待低キャラCb」<「期待中キャラCc」<「期待高キャラCd」の順に大当り期待度が高まるようになっており、前記統括制御用CPU36aは、1回目?4回目の変動サイクルで出現させるキャラクタ(演出内容)がそれぞれに予め定められている擬似連予告パターンGP1?GP25を決定し、キャラクタ背景予告で出現させる演出内容を特定する予告決定手段であり、前記表示制御用CPU37aは、キャラクタ背景予告の対応する予告画像を各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら変動サイクル毎に前記演出表示装置22に画像表示させる予告実行制御手段であり」は、
本願発明の構成B-1である「前記特定演出の実行中において、演出を前記有利状態となる可能性が異なる複数種類の他の演出のいずれかに変更して前記特定演出を実行可能であり」に相当する。

(b-2)引用発明の「キャラクタ背景予告」は、「擬似連を伴う図柄変動ゲーム中」に実行され、「1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合」には、「キャラCaが、3回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCcに変更され、4回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCdに変更され」ているところ、「予告実行制御手段」としての「表示制御用CPU37a」が、「キャラクタ背景予告の対応する予告画像を各変動サイクルの実行に合わせてタイミングを計りながら変動サイクル毎に前記演出表示装置22に画像表示させ」ており(構成b-1参照)、1?4回目の各変動サイクルを「複数のタイミング」とみることができるから、引用発明の「キャラクタ背景予告」は、「特定演出の実行中において、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能」であるといえる。
よって、引用発明の構成b-2である「前記キャラクタ背景予告では、1回目及び2回目の変動サイクルで「期待低キャラCa」、3回目の変動サイクルで「期待中キャラCc」、4回目の変動サイクルで「期待高キャラCd」を出現させる場合があり、かかる場合では、1回目の変動サイクル及び2回目の変動サイクルで前記演出表示装置22に出現したキャラCaが、3回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCcに変更され、4回目の変動サイクルが実行された結果、キャラCdに変更される」は、
本願発明の構成B-2である「前記特定演出の実行中において、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能であり」に相当する。

(c)引用発明の構成cである「パチンコ遊技機10。」は、本願発明の構成Cである「遊技機。」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、

「A 変動表示を実行し、有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに、所定の演出を所定回繰返し実行することにより、前記有利状態となることを示唆する特定演出を実行する特定演出手段を備え、
前記特定演出手段は、
B-1 前記特定演出の実行中において、演出を前記有利状態となる可能性が異なる複数種類の他の演出のいずれかに変更して前記特定演出を実行可能であり、
B-2 前記特定演出の実行中において、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能である、
C 遊技機。」

である点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。

[相違点1]
「前記特定演出手段」について、本願発明では、「最初に演出を変更可能なタイミング以前において、共通の演出により前記特定演出を実行可能であ」る(構成B-3)のに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

[相違点2]
「前記特定演出手段」について、本願発明では、「演出を他の演出に変更する以前に、演出が変更されることを示唆する示唆演出を実行可能である」(構成B-4)のに対して、引用発明では、そのような特定がなされていない点。


第7 判断
上記相違点1及び2について検討する。
1 相違点1について
遊技機において実行される演出に関し、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能であるとき、最初に演出を変更可能なタイミング以前においては、共通の演出にて実行可能とすることは、例えば、上記引用文献2、上記引用文献3及び特開2012-152239号公報に記載されているように周知の技術である(以下、「周知技術1」という)。

(上記引用文献2である特開2010-63802号公報の段落【0163】、【0173】?【0177】、【図8】には、大当たり遊技状態に制御される可能性があることを報知する予告演出として、予め定められた通常系統で演出が段階的に変化する「通常ステップアップ演出」と、所定段階までは通常系統と共通の演出に変化し、所定段階以降は通常系統と異なる演出に変化する分岐系統で演出が段階的に変化する「分岐ステップアップ演出」とが含まれるとき、「分岐ステップアップ演出」における、分岐ステップアップ前の段階では、「通常ステップアップ演出」の第1段階において表示されるキャラクタ画像Aと共通のものが表示されることが開示されている。
そして、「分岐ステップアップ演出」における第1回目の分岐ではキャラクタ画像Aがキャラクタ画像AAとABのどちらかに変化することにより演出内容が分岐し(【図8】の「分岐ステップアップ1段階」)、第2回目の分岐ではキャラクタ画像AAがキャラクタ画像AAAとAABのどちらかに変化し、キャラクタ画像ABがキャラクタ画像ABBとABAのどちらかに変化することにより演出内容が分岐するところ(【図8】の「分岐ステップアップ2段階」)、分岐ステップアップ前の段階においては、いずれの分岐についてもキャラクタ画像Aの演出で共通しており、この分岐ステップアップ前の段階は、演出が段階的に変化する最初のタイミング(「第1の所定時間T1」が経過する時点)よりも前にある(【図8】の「分岐ステップアップ前段階」)ことが開示されている。

上記引用文献3である特開2009-39212号公報の段落【0048】?【0069】、【図4】?【図6】には、擬似連続変動パターンとして、第1?第4擬似連続変動パターンのいずれかが選択された場合でも、初変動中は共通した演出画像を演出表示装置60に表示させることが開示されている(【図4】及び【図5】では「(1)初変動」の「演出画像」が「(通常)」とされている)。
そして、初変動の後の再変動中に演出画像を「通常」のものから、より信頼度の高いことを示す「流れ星の画像」に変更しているから(【0053】、【0057】参照)、最初に演出を変更可能なタイミング(1回目の再変動)以前においては、共通の演出(初変動中の通常の演出画像)にて実行されることが開示されている。

特開2012-152239号公報の段落【0080】?【0094】、【図7】?【図9】には、擬似変動パターンに基づいて、大当たり期待度が高くなるように各変動サイクルで背景画像を変化させる演出である「背景チェンジ擬似連」について、擬似変動パターンに基づく図柄変動ゲームの開始時の演出モードが低潜確モードL1である場合しか背景チェンジ擬似連が実行されないことが開示されており(【0083】参照)、擬似2回を特定する変動パターンP3が選択された際に参照される背景決定テーブルT1(【図7】)、擬似3回を特定する変動パターンP4が選択された際に参照される背景決定テーブルT2(【図8】)、擬似4回を特定する変動パターンP5が選択された際に参照される背景決定テーブルT3(【図9】)のいずれにおいても、遷移演出パターンとしては、すべてL1を起点としていることが開示されている。
すなわち、遊技機において実行される擬似連演出に関し、複数タイミング(各変動サイクル)のうちいずれかのタイミングで背景画像の演出を他の背景画像の演出に変更可能であるとき、最初に背景画像の演出を変更可能なタイミング以前においては、共通の背景画像(低潜確モードL1の背景画像)にて実行されている。)

そして、引用発明は、擬似連を伴う図柄変動ゲーム中に実行されるキャラクタ背景予告により、キャラクタの演出画像を変動サイクル毎に変更可能にして、大当り期待度の高低を認識させるものであるから(構成b2を参照)、上記周知技術1を引用発明の「キャラクタ背景予告」の1回目の変動サイクルにおける演出に適用して、キャラクタの演出画像を最初に変更可能なタイミング以前においては、共通のキャラクタの演出画像として、擬似連を伴う図柄変動ゲームを実行可能とすることにより、上記相違点1に係る本願発明の構成B-3を得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。

2 相違点2について
遊技機において実行される演出に関し、複数タイミングのうちいずれかのタイミングで演出を他の演出に変更可能であるとき、演出を他の演出に変更する以前に、演出が変更されることを示唆する示唆演出を実行可能とすることは、例えば、上記引用文献4、上記引用文献5及び特開2012-152239号公報に記載されているように周知の技術である(以下、「周知技術2」という)。

(上記引用文献4である特開2013-198556号公報の段落【0205】、【図18】、【図19】には、擬似連の可変表示演出中に可変表示結果が大当りとなる可能性があることなどを遊技者に報知するための一連の演出(擬似連時予告演出)が実行される際の擬似連時予告演出パターンとして、1回目の変動で陸の乗り物の第1段階のキャラクタ画像(例えば図18のA1)を表示し(図19(b))、2回目の変動で陸の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のA2)を一旦表示してから(図19(e))、演出態様(キャラクタ属性)を変更して海の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のB2)を表示する(図19(g))特別第1パターンが開示されており、演出態様(キャラクタ属性)を「陸」から「海」の乗り物に変更する前に、演出態様が変更されることを示唆する示唆演出が図19(f)において実行されている。
また、段落【0205】、【図18】、【図20】には、1回目の変動で海の乗り物の第1段階のキャラクタ画像(例えば図18のB1)を表示し(図20(b))、2回目の変動で海の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のB2)を一旦表示してから(図20(e))、演出態様(キャラクタ属性)を変更して空の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のC2)を表示する(図20(g))特別第2パターンが開示されており、演出態様(キャラクタ属性)を「海」から「空」の乗り物に変更する前に、演出態様が変更されることを示唆する示唆演出が図20(f)において実行されている。
さらに、段落【0233】、【図18】、【図25】?【図26】には、上記特別第1パターンを、1回目の変動で陸の乗り物の第1段階のキャラクタ画像(例えば図18のA1)を表示し(図25(b))、2回目の変動で陸の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のA2)を一旦表示してから(図25(e))、演出態様(キャラクタ属性)を変更して海の乗り物の第2段階のキャラクタ画像(例えば図18のB2)を表示し(図25(g))、3回目の変動で海の乗り物の第3段階のキャラクタ画像(例えば図18のB3)を一旦表示してから(図25(j))、演出態様(キャラクタ属性)を変更して、空の乗り物の第3段階のキャラクタ画像(例えば図18のC3)を表示し(図26(l))、4回目の変動で空の乗り物の第4段階のキャラクタ画像(例えば図18のC4)を表示する(図26(o))パターンとすることも開示されており、演出態様(キャラクタ属性)を「陸」から「海」の乗り物に変更する前と、「海」から「空」の乗り物に変更する前に、演出態様が変更されることを示唆する示唆演出が、それぞれ図25(f)と図26(k)において実行されている。

上記引用文献5である特開2011-115395号公報の段落【0162】?【0183】には、遊技機の演出図柄表示装置104において、背景画像を特別モード専用背景画像から、他の背景画像(低信頼度示唆演出背景画像、中信頼度示唆演出背景画像、高信頼度示唆演出背景画像、確率変動状態確定示唆演出背景画像)に変更する前に、シャッター演出(シャッターが閉じた後に該シャッターが開く演出)を表示することが開示されており、このシャッター演出は、背景画像を用いた演出を他の背景画像を用いた演出に変更する前に実行される、演出が変更されることを示唆する示唆演出であるといえる。

特開2012-152239号公報の段落【0099】?【0105】、【図11】?【図12】には、擬似変動パターンに基づいて、大当たり期待度が高くなるように各変動サイクルで背景画像を変化させる演出である「背景チェンジ擬似連」において、擬似3回の変動パターンP4が選択されるとともに、遷移演出パターンとして「L1→L2→H」が選択されたとき、演出表示装置11では、図11(a)に示すように、図柄変動ゲームの開始とともに1回目の変動サイクルが開始され、その後、所定時間が経過したことを契機に、図11(b)に示すように、「背景チェンジスタート」からなるメッセージ画像が表示され、背景チェンジ擬似連が開始される旨の報知画像が表示され、その後、図11(c)に示すように、演出モードが1段階移行したことを示す「1UP」からなるメッセージ画像によって低潜確モードL2に対応する背景画像が表示されることが報知され、1回目の変動サイクルの停止タイミングに到達すると、図11(d)に示すように、はずれの図柄組み合わせ(この例では、「122」)が一旦停止表示されて1回目の変動サイクルが終了し、2回目の変動サイクルの開始時には、図11(e)に示すように、「低潜確モードL2移行!」からなるメッセージ画像が画像表示部GHの全領域を覆うように表示され、2回目の変動サイクルの開始によって全列の変動が開始されるとき、図11(f)に示すように、低潜確モードL1に対応する背景画像から低潜確モードL2に対応する背景画像に変化していることが開示されている。
ここで、図11(b)の「背景チェンジスタート」からなるメッセージ画像、図11(c)の「1UP」からなるメッセージ画像及び図11(e)の「低潜確モードL2移行!」からなるメッセージ画像は、低潜確モードL1に対応する背景画像から低潜確モードL2に対応する背景画像に変化する前に、背景画像を用いた演出が変更されることを示唆する示唆演出であるといえる。
さらに、図12(a)に示すように、「3UP」からなるメッセージ画像によって高潜確モードHに対応する背景画像が表示されることが報知され、2回目の変動サイクルの停止タイミングに到達すると、図12(b)に示すように、はずれの図柄組み合わせ(この例では、「233」)が一旦停止表示されて2回目の変動サイクルが終了し、3回目の変動サイクルの開始時には、図12(c)に示すように、「高潜確モードH移行!」からなるメッセージ画像が画像表示部GHの全領域を覆うように表示され、その後、3回目の変動サイクルの開始によって全列の変動が開始されるときの背景画像は、図12(d)に示すように、低潜確モードL2に対応する背景画像から高潜確モードHに対応する背景画像に変化していることが開示されている。
ここで、図12(a)の「3UP」からなるメッセージ画像及び図12(c)の「高潜確モードH移行!」からなるメッセージ画像は、低潜確モードL2に対応する背景画像から高潜確モードHに対応する背景画像に変化する前に、背景画像を用いた演出が変更されることを示唆する示唆演出であるといえる。)

そして、引用発明は、擬似連を伴う図柄変動ゲーム中に実行されるキャラクタ背景予告により、キャラクタの演出画像を変動サイクル毎に変更可能にするものであるから(構成b2を参照)、上記周知技術2を引用発明の「キャラクタ背景予告」の演出画像の変更に適用して、キャラクタの演出画像を変更する前に、演出画像が変更されることを示唆する示唆演出を実行可能とすることにより、上記相違点2に係る本願発明の構成B-4を得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。

3 請求人の主張について
ここで、審判請求書において、請求人は、
「さらに、審査官殿は、本願発明の構成C3については、引用文献2,3に示すような周知技術であり、本願発明の構成C4については、引用文献4,5に示すような周知技術であるから容易に想到し得ることであると判断されました。
確かに、構成C3および構成C4のそれぞれに対応する構成については、引用文献2?5に記載があります。しかし、本願発明は、構成C3に示すように、特定演出中における最初に演出を変更可能なタイミング以前において共通の演出が実行可能であるとともに、構成C4に示すように、特定演出中における演出を他の演出に変更する以前に、演出が変更されることを示唆する示唆演出が実行可能であることを限定しております。よって、本願発明においては、演出が変更される前に共通演出を実行するとともに示唆演出を実行することが可能であることを限定しております。
本願発明は構成C3,C4を備える相乗的な効果として、共通の演出から始まる特定演出において、演出が変更されることを示唆する示唆演出により特定演出の途中において演出がどのような演出に変更されるのかを遊技者に注目させることができるという特有の効果を奏します。
このような構成C3,C4を備えることから奏される本願発明特有の効果は、構成C3,C4を備えない引用文献1および周知技術として示された引用文献2?5から奏するはずがありません。
したがいまして、引用文献1?5に基づいて当業者が本願発明に容易に想到し得たことの論理付けはできません。」 と主張している。
(「(3) 引用文献との対比」を参照)

しかしながら、上記1及び2において検討したとおり、変更可能な演出の始まりを共通の演出とすることや、演出が変更されることを変更前に示唆する示唆演出を実行することは、いずれも周知の技術であって、請求人が「相乗的な効果」として主張する、「共通の演出から始まる特定演出において、演出が変更されることを示唆する示唆演出により特定演出の途中において演出がどのような演出に変更されるのかを遊技者に注目させることができる」という効果についても、引用発明並びに上記周知技術1及び2から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできないから、請求人の上記主張を採用することはできない。
なお、周知例として引用した特開2012-152239号公報には、変更可能な演出の始まりを共通の演出とすること、及び、演出が変更されることを変更前に示唆する示唆演出を実行することのいずれも開示されている。


第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-11 
結審通知日 2018-12-18 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2013-232460(P2013-232460)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 573- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三田村 陽平  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 濱野 隆
田付 徳雄
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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