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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1349332
審判番号 不服2018-4778  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-09 
確定日 2019-02-21 
事件の表示 特願2016-231748号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月7日出願公開、特開2018-86197号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月29日の出願であって、平成29年9月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年11月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年12月27日付け(発送日:平成30年1月9日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年4月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成29年11月15日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材と、
前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段と、
演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を所定の発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光部材を構成する前記発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成30年4月9日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材と、
前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段と、
演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を、当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した)。

2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「発光制御手段」について、補正前に、「当該発光部材を所定の発光色で発光させる場合に」とあったのを、補正後に「当該発光部材を、当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に」と補正すると共に、補正前に、「当該発光部材を構成する前記発光体の輝度の比」とあったのを、補正後に「当該発光体の輝度の比」と補正するものであり、補正前に「所定の発光色」とあったのを、補正後に「当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色」と限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、当該限定した事項は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の明細書【0138】、【0151】に記載された事項であるから、本件補正は、当初明細書等の記載の範囲内においてしたものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

3 本願補正発明の独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明について
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要に示した次のとおりのものである(A?Eは、本願補正発明を分説するため当審にて付与した)。

「【請求項1】
A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
B 発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材と、
C 前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段と、
D 演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を、当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる発光制御手段と、
E を備えることを特徴とする、遊技機。」

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2016-64129号公報(平成28年4月28日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様)。

(ア)「【0016】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(イ)「【0024】
演出表示装置9の周囲には、図示するように、14個の多色発光体(多色発光ダイオード)で構成される装飾LED25が設けられている。装飾LED25を構成する多色発光ダイオードは、例えば、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化されたものである。遊技者は、赤色の発光素子、緑色の発光素子、青色の発光素子といったそれぞれの発光素子の点灯状況に応じて、これらが合成された色を認識する。なお、多色発光ダイオードの代わりに、赤色、緑色、青色のそれぞれで発光する3つの発光ダイオードを互いに近傍に配置するようにしてもよい。これにより、多色発光ダイオードと同様の機能を奏することが可能となる。また、それぞれの発光ダイオードを一定の距離離して配置するようにしてもよい。そのようにすれば、パチンコ遊技機1の近傍にいる遊技者に対し多色発光ダイオードとは異なる演出を提供できるとともに、パチンコ遊技機1から離れた位置にいる遊技者に対して多色発光ダイオードと同様の演出を提供することができる。なお、装飾LED25を構成する多色発光ダイオードは、それぞれ、基板ケースを有する発光体ユニット毎に遊技盤6に設置されており、発光体ユニット内に配置されている。」

(ウ)「【0052】
また、遊技領域7の外周には、遊技枠の前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。この実施の形態では、枠LED28も、装飾LED25と同様に、多色発光体(多色発光ダイオード)で構成されている。枠LED28を構成する多色発光ダイオードは、例えば、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化されたものである。遊技者は、赤色の発光素子、緑色の発光素子、青色の発光素子といったそれぞれの発光素子の点灯状況に応じて、これらが合成された色を認識する。なお、装飾LED25と同様、多色発光ダイオードの代わりに、赤色、緑色、青色のそれぞれで発光する3つの発光ダイオードを互いに近傍に配置するようにしてもよい。これにより、多色発光ダイオードと同様の機能を奏することが可能となる。また、それぞれの発光ダイオードを一定の距離離して配置するようにしてもよい。そのようにすれば、パチンコ遊技機1の近傍にいる遊技者に対し多色発光ダイオードとは異なる演出を提供できるとともに、パチンコ遊技機1から離れた位置にいる遊技者に対して多色発光ダイオードと同様の演出を提供することができる。」

(エ)「【0270】
ステップS833では、演出制御用CPU101は、変更後の輝度設定値に応じたレインボー演出用のプロセスデータへの切り替えを行い(ステップS833)、プロセスタイマを再スタートさせる(ステップS834)。その後、ステップS833で切り替えられたプロセスデータを用いてステップS828の処理が実行されることによって、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28および装飾LED25の輝度が変更される。
【0271】
ステップS821?S834の処理が実行されることによって、輝度調整可能期間中にスティックコントローラ122を前方または後方に傾倒操作することにより、複数の発光色で確認しながら枠LED28および装飾LED25の輝度を調整することができる。
【0272】
なお、ステップS821?S834の処理が実行されて輝度が調整されると、その後、例えば、演出図柄の変動表示が開始されるときに、後述するように演出図柄変動開始処理のステップS8003の処理において、調整後の輝度設定値が読み出され、その読み出した調整後の輝度設定値に応じたプロセスデータが選択されることによって、調整後の輝度で枠LED28および装飾LED25の発光制御が行われる。」

(オ)「【0279】
次いで、演出制御用CPU101は、RAMに格納されている輝度設定値を読み出し、現在の輝度設定値、変動パターンおよび予告演出を実行する場合にはその予告演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS8003)。そして、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1におけるプロセスタイマをスタートさせる(ステップS8004)。」

(カ)「【0284】
また、演出制御用CPU101は、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)に従って演出装置(演出用部品としての演出表示装置9、演出用部品としての各種ランプおよび演出用部品としてのスピーカ27)の制御を実行する(ステップS8005)。例えば、演出表示装置9において変動パターンに応じた画像を表示させるために、VDP109に指令を出力する。また、各種ランプを点灯/消灯制御を行わせるために、ランプドライバ基板35に対して制御信号(ランプ制御実行データ)を出力する。また、スピーカ27からの音声出力を行わせるために、音声出力基板70に対して制御信号(音番号データ)を出力する。」

(キ)「【0298】
図33(1)に示すように、演出図柄の変動表示が実行されている場合には、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が表示されるととともに、枠LED28および装飾LED25は演出図柄の変動表示に応じたパターンで発光制御される。また、スピーカ27からは演出図柄の変動表示に応じた演出音が出力される(ステップS8005,S8105参照)。」

(ク)「【0302】
また、図33(3)に示すように、客待ちデモンストレーション表示200の表示およびレインボー演出が開始されると、例えば、演出表示装置9において輝度設定値を示すゲージ表示201などが表示され、輝度設定可能期間に移行する。そして、例えば、図33(4)に示すように、スティックコントローラ122を用いて前方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が高い値に変更され、ゲージ表示201が変更後の輝度設定値に応じた表示に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が上昇する(ステップS829、S830,S833参照)。一方、例えば、図33(5)に示すように、スティックコントローラ122を用いて後方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が低い値に変更され、ゲージ表示201が変更後の輝度設定値に応じた表示に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が低下する(ステップS831、S832,S833参照)。」

以上の記載事項(ア)?(ク)から、引用文献1には、「第1の実施の形態」を中心に、次の技術的事項が記載されているものと認められる(a?eは、本願補正発明の分説A?Eに対応させている)。

(a、e)記載事項(ア)から、パチンコ遊技機1が記載されている。
また、記載事項(キ)に、枠LED28および装飾LED25は演出図柄の変動表示に応じたパターンで発光制御されることが記載されている。
そうすると、引用文献1には、演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1が記載されている。

(b)記載事項(イ)から、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識される装飾LED25が記載されており、記載事項(ウ)から、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識される枠LED28が記載されている。
また、記載事項(エ)(【0270】)に、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28および装飾LED25の輝度が変更されることが、記載事項(エ)(【0272】)に、輝度が調整されると調整後の輝度設定値が読み出され、調整後の輝度で枠LED28および装飾LED25の発光制御が行われることが記載されており、枠LED28及び装飾LED25の輝度が変更可能であることが記載されている。
そうすると、引用文献1には、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識され、輝度が変更可能である装飾LED25及び枠LED28が記載されている。

(c)記載事項(ク)から、スティックコントローラ122を用いて前方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が高い値に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が上昇すること、スティックコントローラ122を用いて後方への傾倒操作が行われると、輝度設定値が低い値に変更され、発光中の枠LED28および装飾LED25の輝度が低下することが記載されており、このことから、引用文献1には、操作により、輝度設定値を高い値又は低い値に変更され、発光中の枠LED28及び装飾LED25の輝度が上昇又は低下するスティックコントローラ122が記載されている。

(d)記載事項(オ)、(カ)から、演出制御用CPU101は、輝度設定値を読み出し、現在の輝度設定値に応じたプロセステーブルを選択し、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1の内容に従って各種ランプの制御を実行することが記載されている。また、記載事項(エ)(【0270】)から、演出制御用CPU101は、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更することが記載されている。これらのことから、引用文献1には、輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更する演出制御用CPU101が記載されている。

以上の記載事項(ア)?(ク)及び認定事項(a)?(e)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?eは、本願補正発明の分説A?Eに対応させて付与した)。

「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1であって、
b 赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識され、輝度が変更可能である装飾LED25及び枠LED28と、
c 操作により、輝度設定値を高い値又は低い値に変更され、発光中の枠LED28及び装飾LED25の輝度が上昇又は低下するスティックコントローラ122と、
d 輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更する演出制御用CPU101と、
e を備えた、パチンコ遊技機1。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2010-232839号公報(平成22年10月14日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0022】
音響調整卓1の操作パネル上に配置された複数の操作子のうちには、LED(発光ダイオード(Light Emitting Diode))が組み込まれたLED操作子が含まれる。「多色LEDユニットが組み込まれたLED操作子」とは、その操作子の操作状態や、その操作子に関連するパラメータの状態等を発光により表示する多色LEDユニットが、その操作子に対応して設けられているものをいう。
【0023】
LED操作子の形態は、スライド式に操作されるレベル操作子、回転操作式のノブ型操作子、あるいは、押しボタンスイッチなど、色々な形態が可能である。
本実施例では、一例として、LED操作子が押しボタンスイッチにより構成される例について説明する。以下、本明細書において、多色LEDユニットが組み込まれたLED操作子を「LEDボタン」という。図1においては、例えば、チャンネルストリップセクション3の各チャンネルストリップに含まれる押しボタンスイッチ6や、コントロールセクション7のチャンネル選択ボタン8などがLEDボタンにより構成される。この場合、LEDボタンの発光機能は、例えば、点灯することにより、そのLEDボタンに割り当てられたパラメータのオン・オフ状態をユーザに視認させることや、或いは、発光色により、そのLEDボタンに割り当てられたパラメータの種類をユーザに視認させること等、色々な用途に用いることができる。
【0024】
図2は、LEDボタンの構成を説明するための概略斜視図である。図2において、網掛けで示す部分は操作パネルの表面であり、符号9はLEDボタンを示し、符号9aはLEDボタン9のキートップ部を示す。1つのLEDボタン9には、それぞれ異なる色で発光する複数のLEDを1組にユニット化した多色LEDユニット10が組み込まれている。多色LEDユニット10は、具体的には色の三原色である赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各色毎の3つのLED11,12及び13からなる。」

(イ)「【0040】
表示制御回路24は、CPU21から与えられる命令に基づき、従来から知られるダイナミック点灯という点灯制御方式により各多色LEDユニット10(LEDボタン9)を構成する各LEDを個別に点灯制御する。図5(a),(b)は、ダイナミック点灯方式による多色LEDユニット10(LEDボタン9)の点灯動作を説明する図であって、横軸は時間を示す。(a)は、ダイナミック点灯方式により、所定の点灯周期(図の例では12ミリ秒(12ms))毎に、所定の複数個(図の例では8個)の多色LEDユニット10を順次点灯させる様子を示す。」

(ウ)「【0046】
ところで、点灯時間の制御という観点からすれば、1.5msの期間内におけるLEDのオン・オフのタイミグが異なるだけで、同じ点灯時間を持つオン・オフタイミングのパターンについては、それらの区別をする必要は無い。そこで、本実施例では、図6に示すように、それぞれ点灯時間が異なる6通りの時間パターンを予め決めておき、各LEDに対する点灯制御データとして、図6に示す6通りの時間パターンのいずれかの時間パターンが設定されるものとする。
【0047】
図6において、「パターン6」は6ビットの全てのビットがオンに設定される時間パターン、「パターン5」は6ビットのうち5ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン4」は6ビットのうち4ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン3」は6ビットのうち3ビットがオンに設定される時間パターン、「パターン2」は6ビットのうち2ビットがオンに設定される時間パターン、及び「パターン1」は6ビットのうち1ビットがオンに設定される時間パターンである。これら6通りの時間パターン「パターン6」?「パターン1」は、「パターン6」が最も輝度が高い(明るい)パターンであり、以下、番号順に点灯時間が1段階ずつ短くなるにつれ、輝度が1段階ずつ低くなる。「パターン1」が最も輝度が低い(暗い)パターンである。」

(エ)「【0054】
《輝度調整モード》
LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合には、ユーザは、先ず、輝度調整モード選択ボタン(Brightness)15を操作して、上記図7の処理により輝度調整モードをオンにする。そして、調整対象指定ボタン17,18,19及び20を用いて、調整対象の色(LED)を指定し、LEDボタン9を操作して、該操作したLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10中の調整対象の色(LED)について輝度を調整する。」

(オ)「【0061】
また、指定された調整対象が全色(3つのLED)の場合、CPU21は、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10を構成する3つのLEDに対する点灯制御データを、ROM22又はRAM23から取得する(ステップS10)。そして、CPU21は、前記ステップS10で取得した各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更する(ステップS11)。CPU21は、ROM22又はRAM23の記憶内容を、前記点灯制御データの値の変更に応じて書き換える。これにより、操作されたLEDボタン9に対応する多色LEDユニット10の3つのLEDに対する点灯制御データの値が一斉に変更されて、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増す。すなわち、ステップS10及びステップS11と、前記ステップS8及びステップS9との違いは、調整対象に指定された1色分の点灯制御データについて処理するか、全色分(3つのLED分)の点灯制御データについて処理するか、という点である。」

(カ)「【0064】
また、調整対象として全色を指定した場合(調整対象指定ボタン20をオンにした場合)には、LEDボタン9を1回操作するごとに、CPU21がステップS10及びS11を実行することで、そのLEDボタン9に組み込まれた多色LEDユニット10の全てのLEDの明るさが1段階ずつ増す。したがって、この場合、ユーザは、多色LEDユニット10全体の輝度を調整して、その多色LEDユニット10の明るさを変更できる。そのLEDボタン9が所望の明るさになったら、そのLEDボタン9の操作を終了する。この作業を複数のLEDボタン9について行うことで、各LEDボタン9毎にユーザの好みの明るさを得ることができる。複数LEDボタン9の間での多色LEDユニット10全体の輝度のバラツキを補正したい場合には、この方法が適している。」

以上の記載事項(ア)?(カ)から、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されている。

「音響調整卓1として、それぞれ異なる色で発光する複数のLEDを1組にユニット化した多色LEDユニット10が組み込まれているLEDボタン9を複数備えたものであり(記載事項(ア))、表示制御回路24はLEDボタン9を構成する各LEDを個別に点灯制御し(記載事項(イ))、各LEDに対する点灯制御データとして輝度が異なる6通りの時間パターンがあり(記載事項(ウ))、LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合には、調整対象の色(LED)を指定し(記載事項(エ))、指定された調整対象が全色(3つのLED)の場合、各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更することで、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増すこと(記載事項(オ)、(カ))。」

ウ 引用文献3
周知技術の例として引用する、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2001-272938号公報(平成13年10月5日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0022】〔第4の実施の形態〕次に、図3に、この発明の第4実施形態としてのLED表示装置のブロック構成を示す。このLED表示装置は、16個のチッ化ガリウム系化合物体発光ダイオード90からなるLEDマトリックスユニットとドライバ部100を有する。
【0023】このドライバ部100は、16ビットLEDドライバ86と、光度調整用コントローラ部91と、順電流調整用コントローラ部92からなる。」

(イ)「【0025】順電流調整用コントローラ部92では、6ビットのデータ(64段階)を、16ビット×6ビットのシフトレジスタ89からデータラッチ88,カレントコントローラ87にシリアルに転送する。この6ビットのデータ(64段階)は、上記16個の各発光ダイオード90毎に順電流を設定するデータであり、16ビットLEDドライバ86が各発光ダイオード90を駆動する電流値を決定し、各発光ダイオード90の色調を決定する。図6(A),(B),(C)に、上記発光ダイオード90の青色光,緑色光、白色光の色調が、上記順電流値の値によって変化する一例を示す。
【0026】上記光度調整用コントローラ部91は、10ビットのデータ(1024段階)によって、各発光ダイオード90毎の点灯時間幅を決定する。」

(ウ)「【0029】図4に示すように、この実施形態によれば、順電流調整用コントローラ部92で各発光ダイオード90の順電流を調整して色調を調整し(ステップS1)、光度調整用コントローラ部91で上記順電流を流す時間幅を各発光ダイオード90毎に変えてデューティー比を調整することで光度を調整する(ステップS2)。」

エ 引用文献4
周知技術の例として引用する、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2005-93566号公報(平成17年4月7日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0014】 本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、携帯電話等の通信装置に設けられた複数のLEDの発光を制御するための制御装置に関する。複数のLEDは、緑色LED、青色LED、赤色LEDを含み、例えば、通信装置の着信音にあわせて、イルミネーションとして、それぞれのLEDが所定のパターンで点滅する。LEDの点灯は、ひとつのLEDが単独で点灯する場合のほかに、複数のLEDが同時に点灯して、点灯したLEDのそれぞれの発光色とは別の色に全体で発光する場合もある。複数のLEDで実現される発光色の色調は、それぞれ発光したLEDの発光量の割合に応じて決定され、例えば、緑色LEDと赤色LEDが同一の強度で発光し、青色LEDが発光しなければ、黄色で発光する。本実施例に係る制御装置は、トランジスタを介して、LEDとPWM回路をそれぞれ接続し、PWM回路で生成されるパルス信号のデューティ比を変化させて、トランジスタがONする期間を変化させる。その結果、トランジスタがONする期間に応じてLEDの発光期間が変化されて、発光色の色調が決定される。
【0015】 さらに、本実施例の制御装置は、複数のLEDで実現される発光色の色調に加えて、発光色の輝度も制御する。例えば、赤色LED単独の点灯であっても、明るい赤色の発光や暗い赤色の発光を実現する。そのために、前述のトランジスタがONになった場合のLEDの駆動電流の大きさを制御する。すなわち、LEDを明るく発光させるためには、駆動電流を大きくし、暗く発光させるためには、駆動電流を小さくするように制御する。」

オ 引用文献5
周知技術の例として引用する、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である特開2002-164182号公報(平成14年6月7日出願公開。以下「引用文献5」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「【0018】図1は、本発明に基づくカラー照明装置の好適実施例の正面図である。このカラー照明装置1は、基台2と、カラー光源として働くように基台2上に設けられた赤、緑、青の光を生成するための複数のカラー発光要素7と、これらのカラー発光要素7を覆い、生成された赤、緑、青の光を混合して様々な色の照明光を得るべく基台2に取り付けられた透過拡散性を有するカバー(グローブ)6Aとを有している。カラー発光要素7の各々は例えば発光ダイオード(LED)や小形の白熱電球にカラーフィルターを被せたものとすることができるが、発光効率、消費電力などからLEDが好適である。またカラー光源としてエレクトロルミネッセンス素子や放電ランプなどを用いることも可能である。後に詳述するように、複数のカラー発光要素7はCPU(またはマイクロプロセッサ)を含む制御装置によって制御され、生成される赤、緑、青の光の割合を変えることで様々な色の照明光を生成することが可能となっている。」

(イ)「【0020】基台2には、カラー照明装置1の動作モードを選択するため2つの位置(AUTO/MANUAL)を有するスイッチ4と、第1の調節器3と、第2の調節器5とが設けられている。第1調節器3はカラー照明装置1によって生成される照明光の明るさを調節するためのもので、図示した例では回転式のつまみによって操作可能な可変抵抗器からなり、時計方向に回すと明るさが増加するようになっている。好適には第1調節器3は電源のオン/オフ・スイッチを含んでおり、例えば第1調節器3を反時計方向にいっぱいに回すと装置の電源が切れるようになっている。第2の調節器5は、後に詳述するように、選択された動作モードに応じて所定の動作パラメータを調節するためのものであり、図示した例では回転式つまみによって操作可能な可変抵抗器からなる。」

(ウ)「【0034】本発明に基づくと、カラー照明装置1が手動色彩選択モードにあるとき、装置1から照射される照明光の色を第2調節器5の位置に応じて(即ち、第2調節器5によって設定される電圧値に応じて)変えることができる。例えば、第2調節器5を反時計方向にいっぱいに回した位置(設定電圧値は例えば0V)では青色の光が照射され、時計方向に回すにつれ(即ち設定電圧値が増加するにつれ)、照射される照明光の色が青→紫→赤→オレンジ→黄→緑→青緑→青のように連続的に変化するようにすることができる。これは、手動色彩選択モードが選択されているとき、CPU15が入力される第2調節器5の回転位置(またはそれに対応する電圧値)を照明光の色に変換し、それに応じて三原色のLEDセットLR、LG、LBから照射される赤、緑、青の光の強さを変えることにより実現される。即ち、CPU15は選択されている動作モードを記憶するとともに、第2調節器5の回転位置を選択されている動作モードに応じた所定の動作パラメータに変換する機能を有している。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(見出しa?eは、本願補正発明の分説A?Eに対応させて付与した)。

a、e 引用発明の「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1」について、「演出図柄の変動表示」が行われることは、遊技が行われることであり、「パターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御される」ことは、枠LED28及び装飾LED25が発光する演出が行われることであるから、引用発明の「a 演出図柄の変動表示に応じたパターンで枠LED28及び装飾LED25が発光制御されるパチンコ遊技機1」及び「e パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機」及び「E 遊技機」に相当する。

b 引用発明の「赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオード」の「発光素子」は、本願補正発明の「発光体」に相当する。また、引用発明の「輝度が変更可能である装飾LED25及び枠LED28」について、「輝度が変更可能である」ことから、「複数の輝度を設定可能」であることは明らかである。そうすると、引用発明の「b 赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードで構成され、それぞれの発光素子の点灯状況に応じてこれらが合成された色が認識され、輝度が変更可能である装飾LED25及び枠LED28」は、本願補正発明の「B 発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材」に相当する。

c 引用発明の「操作により、輝度設定値が高い値又は低い値に変更され、発光中の枠LED28及び装飾LED25の輝度が上昇又は低下するスティックコントローラ122」は、本願補正発明の「C 前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段」に相当する。

d 引用発明の「演出制御用CPU101」は、「枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更する」のであるから、「枠LED28及び装飾LED25」が複数の輝度のいずれで発光されるように制御しており、また、上記認定事項(a、e)で示したように、枠LED28及び装飾LED25は演出において発光するものである。
そうすると、引用発明の「d 輝度設定値に応じて各種ランプの制御を実行するとともに、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更する演出制御用CPU101」は、本願補正発明の「D 演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を、当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる発光制御手段」と、「演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を前記複数の輝度のいずれで発光させる発光制御手段」である点で共通する。

上記a?eによれば、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
B 発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材と、
C 前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段と、
D’ 演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を前記複数の輝度のいずれで発光させる発光制御手段と、
E を備える、遊技機」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点 「D’ 演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を前記複数の輝度のいずれで発光させる発光制御手段」について、本願補正発明では、「当該発光部材を、当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる」のに対し、引用発明ではそのような特定について明らかではない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
まず、引用発明は、変更後の輝度設定値に応じた輝度に枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更するものであるが、この枠LED28及び装飾LED25の輝度を変更することは、装飾LED25及び枠LED28を構成する、赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードの輝度を変更することでなされることは、当業者には明らかである。
次に、引用文献2には、上記「引用文献2に記載された技術的事項」として摘記したとおり、LEDボタン9の輝度(明るさ)を調整する場合に、全色が調整対象の場合、各LED毎の各点灯制御データの値を、それぞれ、1段階輝度の高い(明るい)パターンに変更することで、その多色LEDユニット10の輝度(明るさ)が一段階増すことが記載されている。
また、上記相違点に係る「当該発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる点」に関して、引用文献3には、光度調整用コントローラ部91と、順電流調整用コントローラ部92を有するLED表示装置において(記載事項(ア))、順電流調整用コントローラ部92で各発光ダイオード90を駆動する電流値を決定し、光度調整用コントローラ部91で各発光ダイオード90毎の点灯時間幅を決定し(記載事項(イ))、順電流調整用コントローラ部92で各発光ダイオード90の順電流を調整して色調を調整し(ステップS1)、光度調整用コントローラ部91で上記順電流を流す時間幅を各発光ダイオード90毎に変えてデューティー比を調整することで光度を調整すること(記載事項(ウ))が記載されている。また、引用文献4には、複数のLEDの発光を制御するための制御装置において、トランジスタに接続されるPWM回路のパルス信号のデューティ比を変化させることで、LEDに接続されるトランジスタのONする期間を変化させ、発光色の色調が決定し、トランジスタがONになった場合のLEDの駆動電流の大きさを制御することで、発光色の輝度も制御すること(記載事項(ア))が記載されている。さらに、引用文献5には、赤、緑、青の光を生成するための複数のLEDを有するカラー照明装置において(記載事項(ア))、カラー照明装置1によって生成される照明光の明るさを調節するための第1調節器3と、第2の調節器5とが設けられ(記載事項(イ))、CPU15が入力される第2調節器5の回転位置を照明光の色に変換し、それに応じて三原色のLEDセットLR、LG、LBから照射される赤、緑、青の光の強さを変えることで、装置1から照射される照明光の色を第2調節器5の位置に応じて変えることができること(記載事項(ウ))が記載されている。これら引用文献3?5に記載されるように、複数のLEDにより所定の色の発光を行う際に、発光色の調整と、輝度の調整とを別個に行うことは、多色発光ダイオードを用いて多色の発光を行う光源装置の技術分野における周知技術である。このような周知技術によれば、複数のLEDにより所定の色の発光を行う際に、発光色については所定の色の発光となるよう複数のLEDの輝度の比を保ったまま、発光色の調整とは別個に輝度の調整が行われるものである。
そうすると、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項のいずれも、多色発光ダイオードを用いて多色の発光を行うという点で技術分野が共通するものであり、また、多色発光ダイオードの各発光素子の輝度を制御することで発光色の調整を行うと共に、多色発光ダイオードで構成される装飾LED25及び枠LED28(LEDボタン9)の輝度を調整するという課題も共通するものであるから、引用発明において、操作手段の操作により枠LED28及び装飾LED25の輝度を設定した場合に、枠LED28及び装飾LED25を構成する赤色、緑色、青色の三原色で発光する3つの発光素子が一つにパッケージ化された多色発光ダイオードの輝度を変更することについて、引用文献2に記載された技術的事項を適用し、多色発光ダイオードの輝度をそれぞれ1段階ずつ高く又は低くしようとすること、その際に上記周知技術を参照し、発光色の調整と、輝度の調整とを別個に行い、発光色については所定の色の発光となるよう多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比を保ったまま、輝度について多色発光ダイオードの輝度を高く又は低くしようとすることで、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に為し得たことである。

そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、引用文献のいずれにも「発光部材を、発光部材を構成する発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色で発光させる場合に、複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、発光体の輝度の比が同じとなるように発光させることについては開示も示唆もされていない」点、また、当該構成を想到することは当業者にとって極めて困難である旨、主張している。
しかし、これらの点については、上記(4)判断で示したとおり、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項を適用する際に、上記周知技術を参照し、枠LED28及び装飾LED25を構成する多色発光ダイオードについて、発光色の調整と、輝度の調整とを別個に行い、発光色については所定の色の発光となるよう多色発光ダイオードの各発光素子の輝度の比を保ったまま、輝度について多色発光ダイオードの輝度を高く又は低くしようとすることは、当業者であれば容易に為し得た範囲内のことであり、請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成30年4月9日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年11月15日付け手続補正書により補正された、上記第2[理由]1で示した特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技に応じて発光部材の発光を含む演出を行う遊技機であって、
発光体を組み合わせて多色での発光が可能であり、複数の輝度を設定可能な発光部材と、
前記発光部材の発光における輝度を変更するための指示を受け付ける受付手段と、
演出における前記発光部材の発光を制御し、当該発光部材を所定の発光色で発光させる場合に、前記複数の輝度のいずれで発光させる場合であっても、当該発光部材を構成する前記発光体の輝度の比が同じとなるように発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概略


(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由(特許法第29条第2項)
・請求項1
・引用文献等1、2
<引用文献等一覧>
1.特開2016-064129号公報
2.特開2010-232839号公報


3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1及び引用文献2の記載事項は、上記第2[理由]3(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記第2[理由]2で示したとおり、本願発明に対して、補正前に「所定の発光色」とあったのを、補正後に「当該発光部材を構成する前記発光体におけるそれぞれ異なる輝度により特定される発光色」と限定したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]3(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであり、上記限定に対して周知技術を適用したものであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-12-19 
結審通知日 2018-12-25 
審決日 2019-01-07 
出願番号 特願2016-231748(P2016-231748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有賀 綾子  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 田邉 英治
濱野 隆
発明の名称 遊技機  
代理人 伊與田 幸穂  
代理人 古部 次郎  
代理人 尾形 文雄  

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