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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1349391
審判番号 不服2017-17852  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-01 
確定日 2019-02-27 
事件の表示 特願2013-186831「高解像度AMOLEDディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日出願公開、特開2014- 59560〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月10日(パリ条約による優先権主張2012年9月14日、米国)の出願であって、平成28年12月14日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年2月20日付けで手続補正がされ、同年7月24日付け(送達日:同年8月1日)で拒絶査定がされ、これに対して、同年12月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。


第2 補正の却下の決定

[結論]
平成29年12月1日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、

[補正前]
「 【請求項1】
少なくとも400dpiの合計解像度を有する複数のピクセルを形成するように配置される複数の有機発光デバイスと、
前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つを制御するようになっている回路であって、約10^(-15)A/μm以下のリーク電流を有する少なくとも1つのトランジスタを含む回路とを含み、
前記回路が、蓄積キャパシタを含まず、
前記回路によって制御されている前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つが、サブピクセルを含み、前記サブピクセルが、約60μm以下の最大寸法を有する、
ことを特徴とするデバイス。」

[補正後]
「 【請求項1】
少なくとも400dpiの合計解像度を有する複数のピクセルを形成するように配置される複数の有機発光デバイスと、
前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つを制御するようになっている回路であって、約10^(-15)A/μm以下のリーク電流を有する少なくとも1つのトランジスタを含む回路とを含み、
前記回路が、蓄積キャパシタを含まず、
前記回路によって制御されている前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つが、サブピクセルを含み、前記サブピクセルが、約60μm以下の最大寸法を有し、
前記回路が、2つ以下のトランジスタを含み、
少なくとも1つのトランジスタが、アクティブ層としてIGZOを含むことを特徴とするデバイス。」

と補正することを含むものであって、「回路」について「2つ以下のトランジスタを含」む点及び「トランジスタ」について「少なくとも1つのトランジスタが、アクティブ層としてIGZOを含む」点を限定するものであり、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、以下に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討を行う。

2 引用例
原査定の拒絶理由に引用された特開2012-79690号公報(以下「引用例」という。)には、図とともに次の記載がある(下線は、当審による。)。

ア 「【0001】
本発明は、酸化物半導体を用いた半導体装置、発光装置、およびその作製方法に関する。」
イ 「【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、酸化物半導体を用いた半導体素子と、第1の電極と第2の電極の間に発光物質を含む有機層を有する発光素子を備える半導体装置の構成について図1を参照して説明する。なお、本実施の形態で例示する発光素子の第2の電極は不活性な導電材料を用いるため、水素原子を含む不純物(例えば水分)を還元して水素イオン、又は水素分子を発生し難い。
【0035】
本実施の形態で説明する半導体装置は、トランジスタとそれに接続された発光素子を有する発光装置である。当該発光素子をマトリクス状に配置して設けることで、発光表示装置の画素部に用いることもできる。
【0036】
本実施の形態で例示する半導体装置は、絶縁表面を有する基板405上にトランジスタ410と発光素子400を備える。トランジスタ410はチャネル形成領域に酸化物半導体を用い、エンハンスメント型の動作をする。発光素子400は第1の電極401と第2の電極402の間に発光物質を含む有機層403を挟持し、第1の電極はトランジスタのソース電極層又はドレイン電極層と電気的に接続されている。また、トランジスタ410と発光素子400は封止され、水素原子を含む不純物(例えば水分)を含む大気から隔絶されている。」
ウ 「【0051】
<第1のステップ:トランジスタの形成>
図2(A)乃至(E)に酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタの断面構造の一例を示す。図2(A)乃至(E)に示すトランジスタは、ボトムゲート構造の逆スタガ型トランジスタである。
【0052】
本実施の形態の半導体層に用いる酸化物半導体は、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去し、酸化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することによりI型(真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体としたものである。
【0053】
なお、高純度化された酸化物半導体中ではキャリアが極めて少なく、キャリア濃度は1×10^(14)/cm^(3)未満、好ましくは1×10^(12)/cm^(3)未満、さらに好ましくは1×10^(11)/cm^(3)未満となる。また、このようにキャリアが少ないことで、オフ状態における電流(オフ電流)は十分に小さくなる。
【0054】
具体的には、上述の酸化物半導体層を具備するトランジスタでは、オフ状態でのソースとドレイン間のチャネル幅1μmあたりのリーク電流密度(オフ電流密度)は、ソースとドレイン間の電圧が3.5V、使用時の温度条件下(例えば、25℃)において、100zA/μm(1×10^(-19)A/μm)以下、もしくは10zA/μm(1×10^(-20)A/μm)以下、さらには1zA/μm(1×10^(-21)A/μm)以下とすることができる。
【0055】
また、高純度化された酸化物半導体層を具備するトランジスタは、オン電流の温度依存性がほとんど見られず、高温状態においてもオフ電流は非常に小さいままである。
【0056】
以下、図2(A)乃至図2(E)を用い、基板505上に酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタを作製する工程を説明する。なお、レジストマスクを用いる工程では、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。」
エ 「【0073】
酸化物半導体は、好ましくはInを含有する酸化物半導体、さらに好ましくは、In、及びGaを含有する酸化物半導体である。酸化物半導体層をI型(真性)とするため、脱水化または脱水素化は有効である。本実施の形態では、酸化物半導体膜530としてIn-Ga-Zn-O系酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。この段階での断面図が図2(A)に相当する。」
オ 「【0189】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した半導体装置を複数用いる発光表示装置について、図5、乃至図7を参照して説明する。
【0190】
<画素回路の構成>
本実施の形態で例示する発光表示装置が備える画素の等価回路図を図5に示す。なお、当該画素回路はデジタル時間階調駆動、又はアナログ階調駆動のいずれの駆動方法も適用できる。
【0191】
本実施の形態で例示する画素6400は、酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ備える。画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、発光素子駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有する。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極層及びドレイン電極層の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極層及びドレイン電極層の他方)が発光素子駆動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。発光素子駆動用トランジスタ6402は、ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1の電極(画素電極)に接続されている。発光素子6404の第2の電極は共通電極6408に相当し、共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0192】
発光素子6404の第1の電極(画素電極)に電源線6407を介して高電源電位を供給し、第2の電極(共通電極6408)に低電源電位を供給する。低電源電位は高電源電位に比べて低い電位であり、例えばGND、0Vなどを設定する。高電源電位は、低電源電位との電位差が発光素子6404の発光開始電圧以上となるように設定する。発光素子6404の二つの電極に電位差を設けることで電流を流して発光させる。
【0193】
なお、共通電極6408に高電源電位、電源線6407に低電源電位を設定しても良い。その場合、発光素子6404に流れる電流が逆になるため、発光素子6404の構成を適宜変更してもよい。
【0194】
なお、容量素子6403は発光素子駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。発光素子駆動用トランジスタ6402のゲート容量は、チャネル領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。また、オフ電流が低減されたトランジスタをスイッチング用トランジスタ6401に適用して、容量素子6403を省略することもできる。オフ電流が低減されたトランジスタとしては、酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタをその例に挙げることができる。」




3 引用発明
ア 引用例の【0034】を踏まえて【0189】をみれば、引用例には、「酸化物半導体を用いた半導体素子と、第1の電極と第2の電極の間に発光物質を含む有機層を有する発光素子を備える半導体装置を複数用いる発光表示装置」が記載されていると認められる。
また、引用例の【0035】には、上記半導体装置は、発光素子をマトリクス状に配置して設けることで、発光表示装置の画素部に用いられる旨記載されている。
イ 引用例の【0190】には、発光表示装置が備える画素回路について記載され、【0191】には、酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ備えると記載され、スイッチング用トランジスタ、発光素子駆動用トランジスタ、発光素子及び容量素子を有すると記載されているが、引用例の【0194】には、容量素子は省略することも可能であると記載されている。
ウ 引用例の【0054】には、酸化物半導体層を具備するトランジスタでは、オフ状態でのソースとドレイン間のチャネル幅1μmあたりのリーク電流密度(オフ電流密度)は、1×10^(-19)A/μm以下とすることができると記載されている。
エ 引用例の【0073】には、酸化物半導体として、In-Ga-Zn-O系酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜すると記載されている。
オ 図5には、発光表示装置が備える画素の等価回路図として、トランジスタを1つの画素に2つのみ備える構成が開示されている。
カ 以上によれば、引用例には、
「酸化物半導体を用いた半導体素子と、第1の電極と第2の電極の間に発光物質を含む有機層を有する発光素子を備える半導体装置を複数用いる発光表示装置であって、
半導体装置は、発光素子をマトリクス状に配置して設けることで、発光表示装置の画素部に用いられ、
発光表示装置が備える画素回路は、酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるトランジスタを1つの画素に2つのみ備え、スイッチング用トランジスタ、発光素子駆動用トランジスタ、発光素子を有し、容量素子を備えておらず、
トランジスタのオフ状態でのソースとドレイン間のチャネル幅1μmあたりのリーク電流密度(オフ電流密度)は、1×10^(-19)A/μm以下であり、
酸化物半導体として、In-Ga-Zn-O系酸化物を用いる発光表示装置。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

4 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「発光素子」は、「第1の電極と第2の電極の間に発光物質を含む有機層を有する発光素子」であるから、「有機発光デバイス」といえ、また、「マトリクス状に配置して設け」られるから、本願補正発明の「複数のピクセルを形成するように配置される複数の有機発光デバイス」に相当する。
イ 引用発明の「画素回路」のうち「発光素子」を除いた回路部分は、「スイッチング用トランジスタ」及び「発光素子駆動用トランジスタ」により「発光素子」の駆動を制御するものと認められ、また、これらのトランジスタは、「酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるトランジスタ」であり、「トランジスタのオフ状態でのソースとドレイン間のチャネル幅1μmあたりのリーク電流密度(オフ電流密度)は、1×10^(-19)A/μm以下」であるから、本願補正発明の「前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つを制御するようになっている回路であって、約10^(-15)A/μm以下のリーク電流を有する少なくとも1つのトランジスタを含む回路」に相当する。
ウ 引用発明の「容量素子」が本願補正発明の「蓄積キャパシタ」に相当するところであり、引用発明の上記回路部分を含む「画素回路」は、「容量素子を備えて」いないから、引用発明は、本願補正発明と「前記回路が、蓄積キャパシタを含まず」の点で一致する。
エ 引用発明の上記回路部分を含む「画素回路」は、「酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるトランジスタを1つの画素に2つのみ備え」るものであるから、引用発明は、本願補正発明と「前記回路が、2つ以下のトランジスタを含み」の点で一致する。
オ 引用発明の「トランジスタ」は、「酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるトランジスタ」であって、「酸化物半導体として、In-Ga-Zn-O系酸化物を用いる」ものであるから、引用発明は、本願補正発明と「少なくとも1つのトランジスタが、アクティブ層としてIGZOを含む」点で一致する。
カ 引用発明の「発光表示装置」は、「デバイス」といえる。
キ したがって、本願補正発明と引用発明には、次の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「複数のピクセルを形成するように配置される複数の有機発光デバイスと、
前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つを制御するようになっている回路であって、約10^(-15)A/μm以下のリーク電流を有する少なくとも1つのトランジスタを含む回路とを含み、
前記回路が、蓄積キャパシタを含まず、
前記回路が、2つ以下のトランジスタを含み、
少なくとも1つのトランジスタが、アクティブ層としてIGZOを含むデバイス。」

(相違点1)本願補正発明は、「少なくとも400dpiの合計解像度を有する」のに対し、引用発明がこのようなものか不明な点。
(相違点2)本願補正発明は、「前記回路によって制御されている前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つが、サブピクセルを含み、前記サブピクセルが、約60μm以下の最大寸法を有」するというものであるのに対し、引用発明がこのようなものであるか不明な点。

5 判断
上記相違点1及び2について検討するに、原査定の拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2012/0217515号明細書(以下、「引用例2」という。)には、段落[0048]において、
「The display device can be a multicolor display device when pixels of at least 2 colors, e.g., blue (B), green (G), and red (R), are provided in the pixel area 602 .・・・」(当審訳「画素部602に少なくとも2色以上の画素、例えば青(B)、緑(G)、赤(R)などを含むことで、多色表示を行う表示装置とすることができる。・・・」)
と記載され、また段落[0044]に、
「・・・Thus, a high-definition display device can be achieved. For example, a display device having a matrix of a plurality of pixels, specifically 350 pixels or more per one inch (i.e., the horizontal resolution is 350 pixels per inch (ppi) or more), more preferably 400 or more pixels per one inch (i.e., the horizontal resolution is 400 ppi or more) can be achieved.」(当審訳「・・・よって、表示装置の高精細化を図ることができる。例えば、マトリクス状に配置された複数の画素を一インチあたり350以上含む(水平解像度が350ppi(pixels per inch)以上である)、さらに好ましくは400以上含む(水平解像度が400ppi以上である)構成とすることが可能となる。」)
と記載されており、引用例2には、画素部が青(B)、緑(G)、赤(R)の3色の画素(サブピクセル)を含み、また水平解像度が400ppi(dpi)以上の高精細化を図った表示装置、という技術事項が開示されている。
また、例えば特開2011-138595号公報において、
「【0370】
図27に示す発光表示装置の画素部は、複数の画素を有し、・・・また、トランジスタ3001及びトランジスタ3003は、チャネル形成層としてIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体層を用いたトランジスタである。また、本実施例の発光表示装置の画素は、画素数が540×960×3であり、画素ピッチが0.026mm×0.078mm×3であり、解像度が326ppiであり開口率が40%である。
【0371】
また、図27に示す発光表示装置の画素は、・・・R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタがそれぞれ設けられた構造(カラーフィルタオンアレイ構造ともいう)である。また、発光素子は、白色の有機EL素子である。」
と記載されているように、本願の優先日以前において、IGZOを用いた有機発光デバイスの解像度として300ppi(dpi)程度の値は通常想定されるものであったことや、ディスプレイの分野において高解像度化を図ることは周知の課題であることに鑑みれば、引用発明において、上記引用例2の技術事項を採用し、サブピクセルを含んだ、少なくとも400dpiの合計解像度を有するデバイスとすることに格別の困難性は認められない。
なお、400dpi以上の合計解像度でサブピクセルを含む場合、1インチ(25400μm)に400以上のドット(ピクセル)を配置しなければならないことから、サブピクセルの最大寸法が約60μm以下となることは自明の事項である。

6 小括
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成29年2月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載される事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「少なくとも400dpiの合計解像度を有する複数のピクセルを形成するように配置される複数の有機発光デバイスと、
前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つを制御するようになっている回路であって、約10^(-15)A/μm以下のリーク電流を有する少なくとも1つのトランジスタを含む回路とを含み、
前記回路が、蓄積キャパシタを含まず、
前記回路によって制御されている前記複数の有機発光デバイスのうちの少なくとも1つが、サブピクセルを含み、前記サブピクセルが、約60μm以下の最大寸法を有する、
ことを特徴とするデバイス。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項 1-3及び5-10
・引用文献等 1及び2

・請求項 4
・引用文献等 1-3

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2012/0217515号明細書(上記引用例2と同じ。)
2.特開2012-79690号公報(原査定における主引用例であって、上記引用例と同じ。)
3.特開2012-78798号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1,2及びその記載事項は、上記第2の2,3,5のとおりである。

4 判断
本願発明は、本願補正発明から、「前記回路が、2つ以下のトランジスタを含み」との事項及び「少なくとも1つのトランジスタが、アクティブ層としてIGZOを含む」との事項を省いたものであるから、本願発明と引用発明の相違点は、上記第2の4の(相違点1)及び(相違点2)と同じであり、本願発明は、上記第2の5と同じ理由により、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められる。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-09-27 
結審通知日 2018-10-02 
審決日 2018-10-15 
出願番号 特願2013-186831(P2013-186831)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 謙仁田辺 正樹  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
中塚 直樹
発明の名称 高解像度AMOLEDディスプレイ  
代理人 松田 奈緒子  
代理人 廣田 浩一  
代理人 流 良広  

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