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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1349434 |
審判番号 | 不服2018-2830 |
総通号数 | 232 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-28 |
確定日 | 2019-03-19 |
事件の表示 | 特願2016-246754「店舗支援システム、店舗支援方法、および店舗支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月28日出願公開、特開2018-101270、請求項の数(23)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年12月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 7月26日付け:拒絶理由通知書 平成29年10月 5日 :意見書、手続補正書の提出 平成29年12月19日付け:拒絶査定 平成30年 2月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成29年12月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1,5-24,27に係る発明は、以下の引用文献1又は2、及び、3-13に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2004-078471号公報 2.特開2014-071814号公報 3.特開2002-083368号公報 4.国際公開第2015/118871号 5.特開2005-100175号公報 6.特開平11-219481号公報 7.特開2013-143027号公報 8.本村 陽一 外1名,ベイジアンネットワークによるヒューマンモデリ ング,人工知能学会誌,日本,(社)人工知能学会,2007年 5月 1日,第22巻 第3号,p.320-327 9.国際公開第2005/111880号 10.特開2012-168676号公報 11.特開2002-024586号公報 12.特開2007-199170号公報 13.特開2005-92439号公報 第3 本願発明 本願請求項1-23に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明23」という。)は、平成30年2月28日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-23に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部と、 前記ユーザ抽出部により抽出されたユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、 を備える店舗支援システム。」 また、本願発明18は以下のとおりの発明である。 「【請求項18】 タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部と、 前記ユーザ抽出部により抽出されたユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、を備え、 前記提供部は、前記ユーザの商品等の購入属性に基づいて、過去の来店時に前記特典が付与される前記タイムセールの対象の商品等以外の商品等を購入した履歴のあるユーザにより使用される端末装置に、前記セール情報を優先して提供する、 店舗支援システム。」 なお、本願発明2-17,19-23の概要は以下のとおりである。 本願発明2-17,19-21は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明22-23は、それぞれ本願発明1に対する方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。 ア. 「【0008】 図1は、本実施例のシステム全体構成図を示している。本実施例においては、POS端末(1-3)がLAN、WAN、インターネット等の通信手段(1-2)を介して店舗サーバ(1-1)に接続されるというシステム構成となっている。 【0009】 図2は、店舗サーバ(2-1)のブロック構成図を示している。店舗サーバは、CPU(2-1)、メモリ(2-2)、ハードディスク(2-3)、通信ネットワークと通信する通信部(2-4)、表示部(2-5)、ディスプレイ(2-6)、入出力制御部(2-7)、キーボード(2-8)、マウス(2-9)と、これらを接続するバス(2-10)とから構成されている。ハードディスク(2-3)には、取引管理部、時間帯別来店回数集計部、混雑時間帯特定部、顧客別来店傾向判別部、顧客別タイムサービス設定部、タイムサービス情報通知部がプログラムとして格納されており、メモリ(2-2)にロードされCPU(2-1)から読み出されて逐次実行される。ハードディスク(2-3)には図4および図5で示す顧客マスタ、図6で示す商品マスタ、図7で示すサービス種別マスタ、図8で示す来店履歴ログテーブル、から成るデータベースが格納されている。」 イ. 「【0022】 まず、店舗サーバの混雑時間帯特定部によって、本店舗における混雑時間帯の特定が行われる。図8の来店履歴ログテーブルによれば、時間帯別来店回数の合計の分布を見ると16時台が14回、17時台が15回となっており、16時?18時までに混雑が集中すること、また、13時?15時までは店舗が空いていることが特定される(12-1)。 【0023】 次に、店舗サーバの顧客別来店傾向判別部によって、各顧客の来店傾向が判別される。本実施例では現在が2002年8月1日とすると、顧客No.1?No.3の入会日が共に2002年7月1日であることから、当該3人の顧客の来店傾向を判別する。図8の来店履歴ログテーブルによれば、まず、顧客No.1の来店回数の分布をみると、前述した「来店時刻の分布が分散している」来店傾向、つまり来店傾向タイプ=1であり、図5の顧 客マスタ(タイムサービス設定後)の顧客No.1の来店傾向タイプに1が格納される。同様に、顧客No.2についても図5の顧客マスタ(タイムサービス設定後)の顧客No.2の来店傾向タイプに1が格納される。これに対して、顧客No.3は16時台、17時台、18時台に来店が集中し他の時間帯には来店がないことから、前述した「来店時刻の分布が特定の時間帯に集中している」来店傾向、つまり来店傾向タイプ=2であることがわかり、図5の顧客マスタ(タイムサービス設定後)の顧客No.3の来店傾向タイプに2が格納される(12-2)。 【0024】 次に、店舗サーバの顧客別タイムサービス設定部によって、混雑時間帯特定部が特定した16時?18時を避ける時間帯で、かつ、各顧客が過去に来店したことがある時間帯にタイムサービスを設定する。図8の来店履歴ログテーブルによれば、顧客No.1の場合、来店傾向タイプ=1であり、店舗が全体的に空いている13時台に来店した履歴があるので、13:00?14:00にタイムサービスが設定される。サービス種別を何にするかについては特にここでは規定せず店舗の運用に依るが、本実施例ではサービス種別に1を設定している。したがって、図5の顧客マスタ(タイムサービス設定後)において、顧客No.1のタイムサービス開始時刻=13:00、タイムサービス終了時刻=14:00、サービス種別=1が格納される。同様な方法で、顧客No.2については、図5の顧客マスタ(タイムサービス設定後)の顧客No.2のタイムサービス開始時刻=14:00、タイムサービス終了時刻=15:00、サービス種別=2が格納される。一方、顧客No.3は来店傾向タイプ=2であり、丁度店舗の混雑時間帯である16時?18時に集中して来店している。しかし、店舗全体で見れば16時?18時と比較すると18時台の来店回数は少なく、顧客No.3も18時台に来店したことがあるため、顧客No.3については18:00?19:00にタイムサービスが設定される。したがって、図5の顧客マスタ(タイムサービス設定後)において顧客No.3のタイムサービス開始時刻=18:00、タイムサービス終了時刻=19:00、サービス種別=3が格納される(12-3)。 【0025】 最後に、店舗サーバのタイムサービス情報通知部によって上記設定されたタイムサービスについて各顧客にその旨の通知が行われる(12-4)。図13に、顧客No.1への通知例を示す。タイムサービス情報通知の手段としては、ダイレクトメール、eメール、会員カードへの表示、レシート印字等の方法が考えられる。」 また、顧客へのタイムサービス情報の通知例として示された図13には、以下に示すとおり、「8月中の13:00?14:00に御来店頂くと、ポイント3倍サービス致します。」と記載されている。 【図13】 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「店舗サーバが、CPU、メモリ、ハードディスク等から構成されており、前記ハードディスクには、混雑時間帯特定部、顧客別来店傾向判別部、顧客別タイムサービス設定部、タイムサービス情報通知部がプログラムとして格納されており、メモリにロードされCPUから読み出されて逐次実行されるものであって(【0009】)、 前記店舗サーバにおいては、まず、混雑時間帯特定部によって、本店舗における混雑時間帯の特定を行い(【0022】)、次に、顧客別来店傾向判別部によって、各顧客の来店傾向を判別した後(【0023】)、顧客別タイムサービス設定部によって、前記混雑時間帯特定部が特定した16時?18時を避ける時間帯で、かつ、各顧客が過去に来店したことがある時間帯にタイムサービスを設定し(【0024】)、最後に、タイムサービス情報通知部によって、上記設定されたタイムサービスについて各顧客にタイムサービス情報(例えば、「8月中の13:00?14:00に御来店頂くと、ポイント3倍サービス致します。」)をeメール等によって通知する店舗サーバ(【0025】,図13)、 を含むシステム(【0008】)。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。 ア. 「【0026】 以下、図に示す実施例に基づいて、この発明を説明する。 なお、これによって、この発明が限定されるものではない。 <この発明の情報提供システムの概要> 図1に、この発明の情報提供システムの一実施例の概略構成図を示す。 図1において、この発明の情報提供システムは、主として、サーバ(情報提供装置)1と、複数の携帯端末(TE)2とから構成される。これらの装置は、ネットワーク3を介して接続され、互いに所定の情報の送受信を行う。 ネットワーク3は、種々の形態を利用することが可能であり、有線通信または無線通信により情報の通信を行う。 ただし、携帯端末2としては、主として小型軽量の移動して利用する情報端末が利用されるので、サーバと携帯端末との間の通信は、図1に示すように、インターネット等のWANを介した無線通信で行うことが好ましい。」 イ. 「【0028】 <サーバの構成> 図2に、サーバ(情報提供装置)の一実施例の構成ブロック図を示す。 図2において、サーバ1は、主として、制御部101,ユーザ情報処理部102,商品情報処理部103,特典情報生成部104,カレンダー情報生成部105,通信部110,記憶部120とを備える。 また、サーバ1は、商品に関する情報(商品識別情報と商品関連情報とを含む)を記憶し、ユーザごとに、そのユーザにとって有用な特典情報を生成して、ユーザに種々の情報を提供する。」 ウ. 「【0036】 カレンダー情報生成部105は、所定のユーザについて生成された特典情報を、そのユーザ別のカレンダー情報に追加記憶する部分である。 カレンダー情報は、所定の単位日付ごとに、ユーザに関するイベント情報を記憶したユーザ別の情報であり、一般的には、ユーザ自らが、予定内容、出来事、忘れては困る情報などを、日付ごとに記録しておくものである。 この発明では、このカレンダー情報を利用して、特典情報をユーザに知らせるようにする。 すなわち、特典情報生成部104が生成した特典情報が、購入特典を提供する日付情報を含む場合、その日付情報と同一の単位日付のカレンダー情報の中に、その日付情報を含む特典情報を追加記憶する。そして、上記したように、商品情報処理部103が、カレンダー情報を、ユーザが所有する情報端末に送信する。」 エ. 「【0118】 このとき、図8(a)に示すように、特典情報が提供される時間帯(特典時間帯)を、開始時刻=11時00分、終了時刻=12時00分に設定する。 これは、対象ユーザの特典時間帯を、店舗の混雑時間帯(10時00分から11時00分)に重ならないように設定した例であり、さらに、そのユーザの買物時間帯の一部分(11時00分から11時30分)を含むように設定したものである。 すなわち、特典時間帯(11時00分から12時00分)は、混雑時間帯(10時00分から11時00分)を含まず、対象ユーザの買物時間帯(10時30分から11時30分)の一部分を含んでいる。 【0119】 このように、特典情報を提供する特典時間帯を、混雑時間帯をさけるように設定すれば、ユーザが商品購入をしやすくなり、店舗側もユーザの商品購入数の増加を見込むことが可能となる。 また、特典情報を提供する特典時間帯を、ユーザの買物時間帯に一致するように、またはその一部分を含むように設定すれば、その買物時間帯はユーザの来店の可能性の高い時間帯であるので、そのユーザが自ら来店時間の時間調整をしたり、何度も来店することを回避することができ、商品の購入の可能性を高めることができる。」 したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「サーバ(情報提供装置)1と、複数の携帯端末(TE)2とから構成される情報提供システムであって(【0026】)、 前記サーバ1は、制御部101、ユーザ情報処理部102、商品情報処理部103、特典情報生成部104、カレンダー情報生成部105、通信部110、記憶部120とを備えており(【0028】)、 特典情報を提供する特典時間帯を、ユーザの買物時間帯に一致するように、またはその一部分を含むように設定すれば、その買物時間帯はユーザの来店の可能性の高い時間帯となり(【0119】)、 特典情報生成部104が生成した特典情報が、購入特典を提供する日付情報を含む場合、その日付情報と同一の単位日付のカレンダー情報の中に、その日付情報を含む特典情報を追加記憶し、商品情報処理部103が、カレンダー情報を、ユーザが所有する情報端末に送信する(【0036】)、 情報提供システム。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0037】の記載からみて、当該引用文献3には、ストアコンピュータのオペレータによってタイムサービスの時間帯が設定されるという技術的事項が記載されていると認められる。 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落【0032】の記載からみて、当該引用文献4には、ユーザの行動パターンに基づいて当該ユーザが店舗へ向かうことを推定するという技術的事項が記載されていると認められる。 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5の段落【0013】の記載からみて、当該引用文献5には、所定の車両が交差点を通過した場合に、当該車両に乗車している顧客が遊技店に来店することを推定するという技術的事項が記載されていると認められる。 6.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6の段落【0142】の(7)、段落【0188】の記載からみて、当該引用文献6には、当該店舗で購入したことがない顧客に対して広告するという技術的事項や、顧客の購入履歴に加えて、現在の時刻、現在の気温などの現在情報を組み合わせて広告用情報を選択するという技術的事項が記載されていると認められる。 7.引用文献7について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7の段落【0075】の記載からみて、当該引用文献7には、来店履歴としての来店頻度と環境情報としての天気情報とに基づいて来店促進情報を生成するという技術的事項が記載されていると認められる。 8.引用文献8について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献8の324頁「5.消費者・顧客個人のモデル化」の記載からみて、当該引用文献8には、顧客がとる行動、店への来店、物品の購入、広告への興味などの確率を求め、特定の状況における可能性を予測するという技術的事項が記載されていると認められる。 9.引用文献9について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献9の段落【0061】【0062】の記載からみて、当該引用文献9には、販売促進広告の対象となる商品を顧客の移動履歴に基づいて決定するという技術的事項が記載されていると認められる。 10.引用文献10について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献10の段落【0054】【0055】の記載からみて、当該引用文献10には、来客数と在庫数との関連性を、経時的変化を含めて記憶するという技術的事項が記載されていると認められる。 11.引用文献11について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献11の段落【0010】【0016】【0025】の記載からみて、当該引用文献11には、商品の在庫量と販売期間に応じて割引率を設定するという技術的事項が記載されていると認められる。 12.引用文献12について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献12の段落【0062】-【0072】の記載からみて、当該引用文献12には、POSシステムから得られた販売情報に基づいて在庫状況を判断し広告情報を提供するという技術的事項が記載されていると認められる。 13.引用文献13について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献13の段落【0015】-【0026】の記載からみて、当該引用文献13には、受付センターサーバが利用者端末からの特産品購入依頼を受信すると、会員情報データベース及び外出情報データベースを検索して代理購入会員を選択し、該当代理購入会員に代理購入依頼書を送付するという技術的事項が記載されていると認められる。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)引用発明1との対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明1の「顧客別タイムサービス設定部」は「各顧客が過去に来店したことがある時間帯にタイムサービスを設定」することから、引用発明1の「顧客別タイムサービス設定部」は、本願発明1の「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部」に相当する。 また、引用発明1は、「タイムサービスについて各顧客にその旨をeメール等によって通知する」ものであることから、引用発明1は前記eメールを受信する構成として、本願発明1の「ユーザにより使用される端末装置」に相当する構成を備えているといえる。 さらに、引用発明1において各顧客に通知される「タイムサービス情報」(例えば、「8月中の13:00?14:00に御来店頂くと、ポイント3倍サービス致します」)は、本願発明1の「前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報」に相当する。 そして、引用発明1において、「タイムサービス情報」を「各顧客に」「eメール等によって通知する」「タイムサービス情報通知部」は、本願発明1の「提供部」に相当する。 また、引用発明1の「店舗サーバ」を含む「システム」は、本願発明1の「店舗支援システム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 ユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、 を備える店舗支援システム。」 <相違点> 本願発明1は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」を備えているのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 (2)引用発明2との対比 本願発明1と引用発明2とを対比すると、本願発明1と引用発明1との対比と同様に、次のことがいえる。 <一致点> 「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 ユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、 を備える店舗支援システム。」 <相違点> 本願発明1は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」を備えているのに対し、引用発明2はそのような構成を備えていない点。 (3)相違点についての判断 ア.上記相違点について検討すると、当該相違点に係る本願発明1の「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」という構成が、上記「第4」の引用文献3-13にも記載されていない。また、当該構成は周知技術であるともいえない。 イ.上記ア.のとおり、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1又は2、及び、引用文献3-13に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明18について (1)引用発明1との対比 本願発明18と引用発明1とを対比すると、上記1.(1)に示した本願発明1と引用発明1との対比と同様に、次のことがいえる。 引用発明1の「顧客別タイムサービス設定部」は「各顧客が過去に来店したことがある時間帯にタイムサービスを設定」することから、引用発明1の「顧客別タイムサービス設定部」は、本願発明18の「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部」に相当する。 また、引用発明1は、「タイムサービスについて各顧客にその旨をeメール等によって通知する」ものであることから、引用発明1は前記eメールを受信する構成として、本願発明18の「ユーザにより使用される端末装置」に相当する構成を備えているといえる。 さらに、引用発明1において各顧客に通知される「タイムサービス情報」(例えば、「8月中の13:00-14:00にご来店頂くと、ポイント3倍サービス致します」)は、本願発明18の「前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報」に相当する。 そして、引用発明1において、「タイムサービス情報」を「各顧客に」「eメール等によって通知する」「タイムサービス情報通知部」は、本願発明18の「提供部」に相当する。 また、引用発明1の「店舗サーバ」を含む「システム」は、本願発明18の「店舗支援システム」に相当する。 したがって、本願発明18と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 ユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、を備える 店舗支援システム。」 <相違点> <相違点1> 本願発明18は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」を備えているのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。 <相違点2> 本願発明18の「提供部」は、「前記ユーザの商品等の購入属性に基づいて、過去の来店時に前記特典が付与される前記タイムセールの対象の商品等以外の商品等を購入した履歴のあるユーザにより使用される端末装置に、前記セール情報を優先して提供する」のに対し、引用発明1の「タイムサービス情報通知部」(本願発明18の「提供部」に相当)はそのような構成を備えていない点。 (2)引用発明2との対比 本願発明18と引用発明2とを対比すると、上記1.(2)に示した本願発明1と引用発明2との対比と同様に、次のことがいえる。 <一致点> 「タイムセールが行われる時間帯を設定する時間帯設定部と、 ユーザにより使用される端末装置に、前記時間帯設定部により設定された時間帯における前記店舗での利用を条件として付与される特典を含むセール情報を提供する提供部と、を備える 店舗支援システム。」 <相違点> <相違点1> 本願発明18は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」を備えているのに対し、引用発明2はそのような構成を備えていない点。 <相違点2> 本願発明18の「提供部」は、「前記ユーザの商品等の購入属性に基づいて、過去の来店時に前記特典が付与される前記タイムセールの対象の商品等以外の商品等を購入した履歴のあるユーザにより使用される端末装置に、前記セール情報を優先して提供する」のに対し、引用発明2の「商品情報処理部」(本願発明18の「提供部」に相当)はそのような構成を備えていない点。 (3)相違点についての判断 ア.上記相違点1及び2について検討すると、上記相違点1に係る本願発明18の「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」という構成、上記相違点2に係る本願発明18の「提供部」が、「前記ユーザの商品等の購入属性に基づいて、過去の来店時に前記特典が付与される前記タイムセールの対象の商品等以外の商品等を購入した履歴のあるユーザにより使用される端末装置に、前記セール情報を優先して提供する」という構成は、上記「第4」の引用文献3-13にも記載されていない。また、当該構成は周知技術であるともいえない。 イ.上記ア.のとおり、本願発明18は、当業者であっても、引用発明1又は2、及び、引用文献3-13に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明2-17,19-21について 本願発明2-17,19-21も、本願発明1の「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1又は2、及び、引用文献3-13に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4.本願発明22-23について 本願発明22-23は、それぞれ本願発明1に対応する方法、プログラムの発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1又は2、及び、引用文献3-13に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-17,19-21は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの現在の位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出し、前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが前記所定時間以内に開始されない場合、ユーザの位置履歴に基づいて、前記時間帯において前記店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-13に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 また、審判請求時の補正により、本願発明18は、「前記時間帯設定部により時間帯が設定された前記タイムセールが所定時間以内に開始される場合、ユーザの位置情報に基づいて、前記時間帯設定部により設定された時間帯において、店舗に来店する可能性があるユーザを抽出するユーザ抽出部」という事項、「提供部」が「前記ユーザの商品等の購入属性に基づいて、過去の来店時に前記特典が付与される前記タイムセールの対象の商品等以外の商品等を購入した履歴のあるユーザにより使用される端末装置に、前記セール情報を優先して提供する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-13に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 さらに、審判請求時の補正により、本願発明1に対する方法、プログラムの発明である本願発明22-23は、上記事項に対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-13に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-03-04 |
出願番号 | 特願2016-246754(P2016-246754) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松野 広一 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 田中 秀樹 |
発明の名称 | 店舗支援システム、店舗支援方法、および店舗支援プログラム |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 酒井 太一 |
代理人 | 林 康旨 |
代理人 | 松沼 泰史 |