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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F16T
管理番号 1349709
異議申立番号 異議2018-700925  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-16 
確定日 2019-03-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第6346751号発明「蒸気トラップ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6346751号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6346751号の請求項1に係る特許についての出願は、平成26年2月6日に特許出願され、平成30年6月1日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成30年11月16日に特許異議申立人小川鐡夫より特許異議の申立てがされたものである。

2.本件特許発明
特許第6346751号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記の事項によって特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
内部に蒸気をトラップする弁室が形成されたケーシングと、ドレンを前記弁室から流出させる弁孔の入口を開閉する弁体とを備え、
前記弁室に、前記弁室内に溜まった前記ドレンを排出するための排水弁が配置され、
前記ケーシングに、前記ドレンを排出するための流出路と、前記弁室と前記流出路とを連通するドレン流出孔が形成され、
前記排水弁は、前記ドレンを前記弁室から流出させる弁孔が形成された弁座部材と、前記弁孔を開閉する弁体を有し、
前記弁孔は、前記ドレン流出孔を介して前記流出路に連なり、
前記弁座部材に形成された雄ねじ部が、前記ドレン流出孔に形成された雌ねじに螺合されることにより、前記排水弁が前記ケーシングに取り付けられ、
前記流出路に、前記ドレン流出孔の近傍の一端部を閉塞するステンレス製の閉止部材が取り付けられ、
前記流出路は真直部分を有し、この真直部分の端部により前記一端部が形成され、
前記閉止部材は、前記流出路の一部を形成する中空部が設けられた有底の中空体からなり、
前記閉止部材は、前記流出路の前記一端部の内側に固定され、
前記中空部の内面を前記ドレン流出孔と対向させ、
前記有底の中空体の周壁の内面の一部が、前記ドレン流出孔に対向する対向面を形成し、
前記周壁に前記ドレン流出孔を絞ることなく前記中空部に連通させる連通孔が形成されている蒸気トラップ。」

3.申立理由の概要
特許異議申立人小川鐡夫は、主たる証拠として実願昭46-72179号(実開昭48-29418号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)を、並びに従たる証拠として実願昭53-125613号(実開昭55-41667号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)、特開2002-243096号公報(以下、「引用文献3」という。)及び特開平4-97号公報(以下、「引用文献4」という。)を提出し、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである旨主張している。

4.引用文献の記載
(1)引用文献1
ア.引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審が付与した。)。
(ア)「本考案はフロート式スチームトラップの改良に関するものである。」(明細書第1ページ第14行?第15行)

(イ)「(1)は本体で流入口(1a)および排出口(1b)を有する。(2)は蓋体で両者により復水溜り室(3)を構成する。また上記本体(1)には該復水溜り室(3)から上記排出口(1b)に通ずる復水排出通路(23)を有する。該復水溜り室(3)内にはレバー(4)の一端にフロート(5)を遊間を設けて連結し、他端には弁(6)を取付けたレバー機構を収容する。上記復水溜り室(3)下方側壁には外部から復水排出通路(23)を貫通し、その先端が復水溜り室(3)に突出するように弁座(7)を取付け、該弁座(7)に対向するように上記弁(6)をコイルばね(8)によつて閉弁方向に負勢させ、ばね受座(9)を弁座(7)に固着する。また上記弁座(7)の弁口(10)は排出通路(23)を経て上記排出口(1b)と連通している。」(明細書第3ページ第19行?第4ページ第13行)

(ウ)「更に上記復水溜り室(3)に復水が流入すると、フロート(5)は復水水位に追従して浮上し、他端に弁(6)を連結したレバー(4)を引上げ、弁座(7)先端を支点として回転させて開弁し復水を排出する。」(明細書第6ページ第7行?第11行)

さらに、記載事項(イ)及び(ウ)並びに図面の記載からみて、以下の事項が理解できる。
(エ)復水を前記復水溜り室(3)から排出させる弁口(10)を備えた弁座(7)と、弁口(10)の入口を開閉する弁(6)とを備えている。

(オ)本体(1)の復水溜り室(3)下方側壁には、弁座(7)が取付けられる孔が設けられている。

(カ)復水排出通路(23)は真直部分を有し、この真直部分の一方の端部側に弁座(7)が取付けられ、前記弁座(7)には、前記復水排出通路(23)と連通する中空部が設けられ、前記中空部の内面の一部が、前記弁口(10)に対向する対向面を形成している。

イ.以上のことから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「復水が流入する復水溜り室(3)を構成する本体(1)及び蓋体(2)と、前記復水を前記復水溜り室(3)から排出させる弁口(10)を備えた弁座(7)と、弁口(10)の入口を開閉する弁(6)とを備え、
前記本体(1)は前記復水溜り室(3)から前記排出口(1b)に通ずる復水排出通路(23)を有し、前記本体(1)の前記復水溜り室(3)下方側壁には、前記弁座(7)が取付けられる孔が設けられ、
前記復水溜り室(3)下方側壁には外部から復水排出通路(23)を貫通し、その先端が復水溜り室(3)に突出するように弁座(7)が取付けられ、
前記復水排出通路(23)は真直部分を有し、この真直部分の一方の端部側に前記弁座(7)が取付けられ、前記弁座(7)には、前記復水排出通路(23)と連通する中空部が設けられ、前記中空部の内面の一部が、前記弁口(10)に対向する対向面を形成しているフロート式スチームトラップ。」

(2)引用文献2
引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。
(キ)「この底壁14にステンレス鋼の如き耐侵蝕性のある金属材料製の鋲状部材28を嵌着することは、上記の如く侵蝕作用が起こり勝ちなこの種のバイメタル式スチームトラップに於いて、侵蝕が底壁14に及ぶことを完全に防止し、耐久性を増大させることができる。」(明細書第5ページ第14行?第19行)

(3)引用文献3
引用文献3には、図面とともに、以下の記載がある。
(ク)「弁座部材10とプラグ16は耐侵食性を有するステンレス鋼で作る。」(段落【0010】)

(4)引用文献4
引用文献4には、図面とともに、以下の記載がある。
(ケ)「トラップ弁室18の下部に弁室内に突設してトラップ弁座15を取付ける。トラップ弁座15に設けたトラップ弁口16は、立上通路17を経て流出ロ7と連通する。」(第2ページ右下欄第1行?第4行)

5.対比
本件特許発明と引用発明を対比すると、引用発明の「復水溜り室(3)」、「本体(1)及び蓋体(2)」は、それぞれ本件特許発明の「弁室」、「ケーシング」に相当し、引用発明の「復水が流入する復水溜り室(3)」の内部には、復水のみならず、蒸気も流入することは明らかであるから、引用発明の「復水が流入する復水溜り室(3)を構成する本体(1)及び蓋体(2)」は、本件特許発明の「内部に蒸気をトラップする弁室が形成されたケーシング」に相当する。また、引用発明の「復水」及び「復水排出通路(23)」は、それぞれ本件特許発明の「ドレン」及び「流出路」に相当する。
引用発明の「弁座(7)」は、本件特許発明の「弁座部材」に相当するとともに、復水排出通路(23)の真直部分の一方の端部側に取付けられるものであって、復水排出通路(23)を閉塞する機能も備えるから、本件特許発明の「閉止部材」にも相当する。また、引用発明の「弁口(10)」及び「弁(6)」は、それぞれ本件特許発明の「弁孔」及び「弁体」に相当する。そして、引用発明の「弁座(7)」と「弁(6)」とにより、本件特許発明の「排水弁」を構成するといえるから、引用発明の「前記復水を前記復水溜り室(3)から排出させる弁口(10)を備えた弁座(7)と、弁口(10)の入口を開閉する弁(6)とを備え」るという事項は、本件特許発明の「ドレンを前記弁室から流出させる弁孔の入口を開閉する弁体とを備え」るという事項、及び「前記排水弁は、前記ドレンを前記弁室から流出させる弁孔が形成された弁座部材と、前記弁孔を開閉する弁体を有」するという事項に相当する。また、引用発明の「弁座(7)」は、「その先端が復水溜り室(3)に突出するように」「取付けられ」るとともに、「弁座(7)」と「弁(6)」により「復水を前記復水溜り室(3)から排出させる」ものであるから、引用発明は、本件特許発明の「前記弁室に、前記弁室内に溜まった前記ドレンを排出するための排水弁が配置され」るという事項を備えているといえる。
引用発明の「弁座(7)が取付けられる孔」は、復水溜り室(3)と復水排出通路(23)とを連通する孔であるといえるから、引用発明の「前記本体(1)は前記復水溜り室(3)から前記排出口(1b)に通ずる復水排出通路(23)を有し、前記本体(1)の前記復水溜り室(3)下方側壁には、前記弁座(7)が取付けられる孔が設けられ」るという事項と、本件特許発明の「前記ケーシングに、前記ドレンを排出するための流出路と、前記弁室と前記流出路とを連通するドレン流出孔が形成され」るという事項とは、「前記ケーシングに、前記ドレンを排出するための流出路と、前記弁室と前記流出路とを連通する孔が形成され」る限りにおいて共通する。
また、引用発明の「前記復水を前記復水溜り室(3)から排出させる弁口(10)を備えた弁座(7)」を備え、「前記本体(1)は前記復水溜り室(3)から前記排出口(1b)に通ずる復水排出通路(23)を有」するという事項において、復水が復水溜り室(3)から弁座(7)の弁口(10)を通り、復水排出通路(23)に流れることは明らかであるから、引用発明の前記事項と、本件特許発明の「前記弁孔は、前記ドレン流出孔を介して前記流出路に連な」るという事項は、「前記弁孔は、前記流出路に連な」る限りにおいて共通する。
引用発明の「前記復水溜り室(3)下方側壁には外部から復水排出通路(23)を貫通し、その先端が復水溜り室(3)に突出するように弁座(7)が取付けられ」るという事項と、本件特許発明の「前記弁座部材に形成された雄ねじ部が、前記ドレン流出孔に形成された雌ねじに螺合されることにより、前記排水弁が前記ケーシングに取り付けられ」るという事項とは、「前記排水弁が前記ケーシングに取り付けられ」る限りにおいて共通する。
前記したように、引用発明の「弁座(7)」は、本件特許発明の「弁座部材」に相当するとともに、本件特許発明の「閉止部材」にも相当するから、引用発明の「前記復水排出通路(23)は真直部分を有し、この真直部分の一方の端部側に前記弁座(7)が取付けられ」るという事項は、本件特許発明の「前記流出路に、前記ドレン流出孔の近傍の一端部を閉塞するステンレス製の閉止部材が取り付けられ、前記流出路は真直部分を有し、この真直部分の端部により前記一端部が形成され」るという事項と対比して、「前記流出路に、前記弁室と前記流出路とを連通する孔の近傍の一端部側を閉塞する閉止部材が取り付けられ、前記流出路は真直部分を有し、この真直部分の端部側により前記一端部側が形成され」る限りにおいて共通する。同様に、引用発明の「前記復水排出通路(23)は真直部分を有し、この真直部分の一方の端部側に前記弁座(7)が取付けられ」るという事項は、本件特許発明の「前記閉止部材は、前記流出路の前記一端部の内側に固定され」るという事項と対比して、「前記閉止部材は、前記流出路の前記一端部側に固定され」ている限りにおいて共通する。
引用発明の「前記弁座(7)には、前記復水排出通路(23)と連通する中空部が設けられ」るという事項は、中空部が復水排出通路(23)の一部を形成しているともいえるから、本件特許発明の「前記閉止部材は、前記流出路の一部を形成する中空部が設けられた有底の中空体からな」るという事項と対比して、「前記閉止部材は、前記流出路の一部を形成する中空部が設けられた中空体からな」る限りにおいて共通する。
そして、引用発明の「フロート式スチームトラップ」は、本件特許発明の「蒸気トラップ」に相当する。

したがって、本件特許発明と引用発明とは、
「内部に蒸気をトラップする弁室が形成されたケーシングと、ドレンを前記弁室から流出させる弁孔の入口を開閉する弁体とを備え、
前記弁室に、前記弁室内に溜まった前記ドレンを排出するための排水弁が配置され、
前記ケーシングに、前記ドレンを排出するための流出路と、前記弁室と前記流出路とを連通する孔が形成され、
前記排水弁は、前記ドレンを前記弁室から流出させる弁孔が形成された弁座部材と、前記弁孔を開閉する弁体を有し、
前記弁孔は、前記流出路に連なり、
前記排水弁が前記ケーシングに取り付けられ、
前記流出路に、前記弁室と前記流出路とを連通する孔の近傍の一端部側を閉塞する閉止部材が取り付けられ、
前記流出路は真直部分を有し、この真直部分の端部側により前記一端部側が形成され、
前記閉止部材は、前記流出路の一部を形成する中空部が設けられた中空体からなり、
前記閉止部材は、前記流出路の前記一端部側に固定されている蒸気トラップ。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
弁室と流出路とを連通する孔について、本件特許発明は「ドレン流出孔」であり、弁孔は、「前記ドレン流出孔を介して」前記流出路に連なるのに対し、引用発明は弁座(7)が取付けられる孔であって、ドレンが流出する孔とはいえない点。

[相違点2]
排水弁のケーシングへの取付け態様について、本件特許発明は「前記弁座部材に形成された雄ねじ部が、前記ドレン流出孔に形成された雌ねじに螺合される」のに対し、引用発明はこのようなものであるか不明である点。

[相違点3]
閉止部材の構成及び取付け態様について、本件特許発明は「有底の」中空体からなり、「前記中空部の内面を前記ドレン流出孔と対向させ、前記有底の中空体の周壁の内面の一部が、前記ドレン流出孔に対向する対向面を形成し、前記周壁に前記ドレン流出孔を絞ることなく前記中空部に連通させる連通孔が形成されて」おり、「前記ドレン流出孔」の近傍の「一端部」を閉塞し、流出路の真直部分の「端部」により「前記一端部」が形成されるとともに、前記流出路の「前記一端部の内側」に固定されているのに対し、引用発明は有底の中空体でなく、中空部の内面の一部が、弁口(10)に対向する対向面を形成しているものの周壁の内面であるとはいえず、また、ドレン流出孔に対向するものでもなく、ドレン流出孔を絞ることなく中空部に連通させる連通孔を有さず、さらに、前記弁座(7)が取り付けられる孔の近傍の一端部側に取り付けられ、前記一端部側を閉塞するものではあるものの、前記一端部を閉塞し、前記一端部の内側に固定されるものではない点。

[相違点4]
閉止部材の材料について、本件特許発明は「ステンレス製」であるのに対し、引用発明はこのようなものか不明である点。

6.判断
以下、前記相違点について検討する。
[相違点1]について
本件特定発明の「ドレン流出孔」は、本件特定発明の「弁座部材」と「閉止部材」とが別部材で構成されており、弁座部材に設けられた弁孔と閉止部材に設けられた連通孔とが離れて配置されているため、その間におけるドレンが流れる流路を規定するものである。
一方、引用発明においては、「弁座(7)」という単一の部材が、本件特許発明の「弁座部材」及び「閉止部材」の両方に相当するため、本件特許発明のように弁座部材に設けられた弁孔と閉止部材に設けられた連通孔とが離れて配置されているわけではなく、その間にドレンが流れる流路を設ける必要がないものである。したがって、引用発明の本体(1)の復水溜り室(3)下方側壁に設けた孔をドレン流出孔とする必要性はないといえる。
そして、引用文献2、引用文献3及び引用文献4のいずれにも「弁座部材」と「閉止部材」とを別部材で構成し、その間におけるドレンが流れる流路をケーシングに設けた孔により規定することは、記載も示唆もされていない。また、引用文献1、引用文献2、引用文献3及び引用文献4の記載並びに技術常識を勘案しても、引用発明の単一の部材で構成された「弁座(7)」を、「弁座部材」と「閉止部材」とに分割し、その間におけるドレンが流れる流路をケーシングに設けた孔により規定することの動機付けとなり得る事項は存在しない。
したがって、本件特許発明の前記相違点1に係る発明特定事項は、当業者であっても引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基づいて、容易に想到し得るものとはいえない。

[相違点3]について
前記相違点1の検討で示したように、引用発明において「ドレン流出孔」を設けることは当業者が容易に想到し得るものとはいえないから、閉止部材においても、「前記中空部の内面を前記ドレン流出孔と対向させ」ること、「前記ドレン流出孔に対向する対向面を形成」すること、「前記周壁に前記ドレン流出孔を絞ることなく前記中空部に連通させる連通孔が形成され」ること、「前記ドレン流出孔の近傍の一端部」を閉塞することは当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
また、引用文献2、引用文献3及び引用文献4のいずれにも、閉止部材を有底の中空体とし、該有底の中空体の周壁の内面の一部に、ドレン流出孔に対向する対向面を形成し、該周壁に前記ドレン流出孔を絞ることなく中空部に連通させる連通孔を形成するとともに、この有底の中空体を、流出路の真直部分の端部(つまり、真直部分が延びる軸方向と直交する面で規定される真直部分の2つの端部)から形成された一端部を閉塞するように、前記一端部の内側に固定することは、記載も示唆もされていない。また、引用文献1、引用文献2、引用文献3及び引用文献4の記載並びに技術常識を勘案しても、引用発明の「弁座(7)」(本件特許発明の「弁座部材」及び「閉止部材」に相当する部材)を基に、閉止部材を有底の中空体とし、該有底の中空体の周壁の内面の一部に、ドレン流出孔に対向する対向面を形成し、該周壁に前記ドレン流出孔を絞ることなく中空部に連通させる連通孔を形成するとともに、この有底の中空体を、流出路の真直部分の端部から形成された一端部を閉塞するように、前記一端部の内側に固定することの動機付けとなり得る事項は存在しない。
したがって、本件特許発明の前記相違点3に係る発明特定事項は、当業者であっても引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基づいて、容易に想到し得るものとはいえない。

したがって、本件特許発明は、相違点2及び相違点4を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項及び引用文献4に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

7.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-02-28 
出願番号 特願2014-20960(P2014-20960)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (F16T)
最終処分 維持  
前審関与審査官 北村 一  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 山村 和人
柿崎 拓
登録日 2018-06-01 
登録番号 特許第6346751号(P6346751)
権利者 株式会社ミヤワキ
発明の名称 蒸気トラップ  
代理人 野田 雅士  
代理人 金子 大輔  
代理人 中田 健一  
代理人 堤 健郎  
代理人 杉本 修司  

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