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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
審判 全部申し立て 特174条1項  G06Q
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06Q
管理番号 1349715
異議申立番号 異議2019-700025  
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-17 
確定日 2019-03-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第6358322号発明「情報処理装置、情報処理システムとその処理方法及びプログラム、読取端末のプログラム、正規判定システムとその処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6358322号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6358322号の請求項1?14に係る特許についての出願は、平成28年12月21日(パリ条約による優先権主張2015年12月28日、中国)に出願され、平成30年6月29日にその特許権の設定登録がされ、平成30年7月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、平成31年1月17日に特許異議申立人加藤浩志(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。


第2 本件発明
特許第6358322号の請求項1?14の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明14」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置であって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記読取履歴に基づいて、一致する場所で前記読取対象物が読み取られているか否かを判定する場所判定手段を更に備え、
前記読取結果情報送信手段は、前記条件を満たさず、前記場所判定手段により一致しない場所で前記読取対象物が読み取られていると判定された場合に、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記読取結果情報送信手段は、前記条件を満たす場合であっても、前記場所判定手段により、一致する場所で前記読取対象物が読み取られていると判定された場合に、正規の物品を示す読取結果情報を送信することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記読取履歴に基づいて、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が同じ読取端末で読み取られたか否かを判定する端末判定手段を更に備え、
前記読取結果情報送信手段は、前記端末判定手段により、前記識別情報が同じ読取端末で読み取られたと判定した場合に、正規の物品を示す読取結果情報を送信し、
前記端末判定手段により、前記識別情報が同じ読取端末で読み取られていないと判定した場合であって、前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記読取結果情報送信手段は、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されていない場合に、非正規の物品であることを示す読取結果情報を送信し、
前記読取端末から、前記読取結果情報を基にして入力される前記物品の購入場所の情報である購入場所情報を受信する購入場所情報受信手段と、
前記購入場所情報受信手段により受信した前記購入場所情報を登録する登録手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記条件を入力可能な設定画面をクライアント端末に送信する設定画面送信手段と
前記設定画面で入力された条件を物品に関連する登録情報として登録する登録手段と
を更に備え、
前記読取数判定手段は、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記登録情報に基づいて、前記識別情報の読取数に係る条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記読取対象物は、RFID、又は、二次元コードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置と、読取端末と、を含む情報処理システムであって、
前記読取端末は、
前記読取対象物を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記読取対象物に係る識別情報の要求を前記情報処理装置に送信する要求送信手段と、
前記要求送信手段により送信した要求に基づき、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報、又は、正規の物品を示す読取結果情報を受信する読取結果情報受信手段と
を備え、
前記情報処理装置は、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置の処理方法であって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信工程と、
前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定工程と、
前記読取数判定工程で前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信工程と
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項10】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置と、読取端末と、を含む情報処理システムの処理方法であって、
前記読取端末により、
前記読取対象物を読み取る読取工程と、
前記読取工程で読み取られた前記読取対象物に係る識別情報の要求を前記情報処理装置に送信する要求送信工程と、
前記要求送信工程で送信した要求に基づき、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報、又は、正規の物品を示す読取結果情報を受信する読取結果情報受信工程と
を実行させ、
前記情報処理装置より、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信工程と、
前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定工程と、
前記読取数判定工程で前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信工程と
を実行させることを特徴とする処理方法。
【請求項11】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置のプログラムであって、
前記情報処理装置を、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な記憶手段と通信可能な情報処理装置であって、読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段とを備える情報処理装置と通信可能な読取端末のプログラムであって、
前記読取端末を、
前記読取対象物を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記読取対象物に係る識別情報の要求を前記情報処理装置に送信する要求送信手段と、
前記要求送信手段により送信した要求に基づき、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報、又は、正規の物品を示す読取結果情報を受信する読取結果情報受信手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な正規品判定システムであって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段による判定結果に従って、非正規の物品の可能性を示す結果、又は、正規の物品を示す結果を前記読取端末に表示すべく、前記判定結果に係る結果情報を送信する読取結果情報送信手段と
を備えることを特徴とする正規品判定システム。
【請求項14】
物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶し、前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な正規品判定システムの処理方法であって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信工程と、
前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報が登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、前記要求受信工程で受信した要求に係る識別情報に対応する前記条件を満たすか否かを判定する読取数判定工程と、
前記読取数判定工程での判定結果に従って、非正規の物品の可能性を示す結果、又は、正規の物品を示す結果を前記読取端末に表示すべく、前記判定結果に係る結果情報を送信する読取結果情報送信工程と
を実行させることを特徴とする処理方法。」


第3 申立理由の概要
異議申立人の申立理由の概要は、以下のとおりである。

1 異議申立人は、主たる証拠として特開2005-115640号公報(以下「甲1」という。)及び従たる証拠として特開2013-061844号公報(以下「甲2」という。)、国際公開2015/004803号(以下「甲3」という。)、特表2014-522010号公報(以下「甲4」という。)、特開2004-078573号公報(以下「甲5」という。)、特開2009-067498号公報(以下「甲6」という。)、及び特開2013-054398号公報(以下「甲7」という。)を提出し、請求項1?14に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?14に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下、申立理由1という。)。

2 異議申立人は、甲4に基づき、請求項1?14に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、請求項1?14に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下、申立理由2という。)。

3 異議申立人は、平成30年4月27日にされた手続補正により請求項1?14についてされた補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、請求項1?14に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下、申立理由3という。)。

4 異議申立人は、請求項1?14に係る特許についての出願は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないから、請求項1?14に係る特許を取り消すべきものである旨主張する(以下、申立理由4という。)。


第4 文献の記載
1 甲1について
甲1には、以下の事項が記載されている。

「【0020】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態としてのシステムを適用可能な電子商取引システム100について図1を用いて説明する。電子商取引システム100は、真贋の判定を行うサーバコンピュータ(真贋判定サーバと称する)101、販売を管理するサーバコンピュータ(販売管理サーバと称する)102、販売者が操作するクライアントコンピュータ(販売者クライアントと称する)111、エンドユーザが操作するクライアントコンピュータ(ユーザクライアントと称する)112、製造メーカーが操作するクライアントコンピュータ(製造者クライアントと称する)113を含み、これらはそれぞれインターネットなどのネットワークに接続されている。また、販売者クライアント111には、真贋判定情報を入力する判定情報入力装置121が接続されている。」

「【0022】
販売管理サーバ102はユーザクライアント112から受注情報を受信し、その受注情報を販売者クライアント111に送信する。販売者クライアント111は送信された受注情報に基づいて販売者が在庫している商品を検索し、判定情報入力装置121を用いてその商品に関する判定情報を入力する。ここで、判定情報入力装置121は、商品に埋め込まれたメモリタグを読み取ることによって判定情報を入力する。さらに販売者クライアント111は、入力した判定情報を、インターネットを介して真贋判定サーバ101に送信する。真贋判定サーバ101は、受信した判定情報に基づいて正規品であるか否かの判定を行い、販売者クライアント111、ユーザクライアント112、製造者クライアント113、及び販売管理サーバ102に判定情報を送信する。そして、正規品であるという判定情報が販売管理サーバ102に送信されると販売管理サーバ102は配送指示、決済などの受注処理を行う。
【0023】
なお、ここでは真贋判定サーバ101と販売管理判定サーバ102とを別々に図示しているが、これらは必ずしも物理的に別のコンピュータである必要はなく、1つのコンピュータにそれぞれの機能を実行させても良い。一方、各クライアントは、1台のコンピュータとして図示しているが、複数のコンピュータ全体としてそれらの機能を実現する構成でも良い。また、判定情報入力装置121に販売者クライアント111としての機能が内蔵されていてもよい。」

「【0025】
真贋判定サーバ101は、真贋判定データベース、製造者データベース、販売者データベース、及び顧客データベースを備えている。真贋判定データベースは、真贋判定用データと、真贋判定履歴データとを含む。真贋判定用データは、真贋判定を行うためのデータであり、商品名及び商品シリアルナンバーを含む。また、真贋判定履歴データは真贋判定を行った履歴を示すデータであり、商品名、商品シリアルナンバー、注文ナンバー、販売者ID、顧客ID、判定回数、及び不正情報を含む。」

「【0038】
(商品注文時の全体的な処理の流れ)
次に本システムにおける商品注文時の一連の処理について、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。図3の各ステップで行なわれる処理は、真贋判定サーバ101、販売管理サーバ102、販売者クライアント111、ユーザクライアント112、製造者クライアント113が備えている主記憶装置203または補助記憶装置205に記憶されたプログラムコードに基づく処理をCPU201が実行することによって実現されるものである。また、これらのコンピュータ間でのデータの送受信は例えばIPアドレスで行うことができる。
【0039】
まず、ステップS301でユーザクライアント112が顧客のユーザID、パスワードの入力情報を販売管理サーバ102に送信する。販売管理サーバ102では受信したユーザID、パスワードが登録されているか否かを判断し、登録されていればステップS302に進み、ユーザクライアント112に対し、ユーザ承認情報及び注文画面情報を送信する。
【0040】
次に、ステップS303において、ユーザクライアント112はユーザから入力された注文情報(商品名、納期、数量)をユーザIDとともに販売管理サーバ102に送信する。すると、ステップS304に進み、販売管理サーバ102は、受信した注文情報と、図8に示すGUI画面情報を販売者クライアント111に送信する。
【0041】
図8の画面で「真贋判定をする」ボタンが選択されると、ステップS305において、販売者クライアント111に接続された判定情報入力装置121で判定情報の読み込みを行う。読み込みが開始されると販売者クライアント111の出力装置204に図9に示すような画面が表示される。
【0042】
判定情報入力装置121は秘密鍵方式で暗号化された商品固有のシリアル番号を読み取る。ここでは、読み取ったシリアル番号を判定情報と呼ぶものとする。なお、判定情報は例えば画像情報のようなものも考えられる。ここでの画像情報とは正規品であることを証明する画像であり、例えばメーカーが正規品に埋め込んだマイクロ文字などである。また、販売者が在庫している商品の判定情報を、注文が来る前に予め販売管理サーバ102にアップロードしておいて、注文に応じて販売管理サーバ102内で注文情報に付与してもよい。
【0043】
ステップS306では、販売者クライアント111が読み込んだ判定情報を販売管理サーバ102に送信し、さらに販売管理サーバ102において判定情報に注文情報と販売者IDとを付加して真贋判定サーバ101に送信する。
【0044】
注文情報と判定情報とを受信した真贋判定サーバ101は、ステップS307において、暗号化された判定情報を、秘密鍵を使って解読し、解読結果と判定用データベースとを照合して真贋を判定する。そして、その結果に基づいて、判定結果情報(注文番号、判定結果、商品添付用ラベルデータ)を生成する。
【0045】
さらに、ステップS308において、真贋判定サーバ101は、販売者IDを管理する販売管理サーバ102に対し、判定結果情報を送信する。販売管理サーバ102は、受信した判定結果情報が「正規品」との判定に関する情報であればステップS309で商品の出荷手続きを行ない、ステップS310で商品の発送を行う。一方、真贋判定サーバ101は、ステップS311において、ユーザクライアント112に対し、判定結果情報(注文番号、販売者番号、商品名、判定結果、判定商品シリアルナンバー)を送信する。
【0046】
(真贋判定処理)
次に真贋判定サーバ101において行われる真贋判定処理の流れについて図4を用いて詳細に説明する。図4は、真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
まず、真贋判定サーバ101は、ステップS401において販売者クライアント111から注文情報及び判定情報を受信すると、ステップS402に進み、その主記憶装置203に注文情報及び暗号化された判定情報を記憶する。
【0048】
真贋判定サーバ101は判定情報解読用の秘密鍵と暗号解読用プログラムを備え、判定情報を入力するとステップS403で暗号解読を行ない、判定情報から、注文番号(PN)、商品名(PC)、販売者ID(SID)、顧客ID(CID)、商品シリアルナンバー(PSN)を抽出する。次に、真贋判定サーバ101はステップS404において、判定情報に含まれている商品シリアルナンバーが、真贋判定データベースに登録されているか否かを判定する。すなわち、真贋判定データベースを参照して、抽出した商品シリアルナンバーと一致する登録商品シリアルナンバーを探し出す。一致する商品シリアルナンバーが見つかれば、ステップS405に進み、注文番号の照合を行う。
【0049】
図5(a)?(c)は、真贋判定データベースにおいて管理されている情報を示すテーブルである。図5(a)に示す通り、真贋判定データベースは、商品名(PC)、商品シリアルナンバー(PSN)、注文番号(PNO)、販売者ID(SID)、顧客ID(CID)、判定回数(JN)、不正情報(II)などを登録商品毎に管理している。商品を生産又は入荷すると、このテーブルに商品名(PC)と商品シリアルナンバー(PSN)などの商品情報が随時追加登録される。
【0050】
ここで想定している販売者の不正事例について説明する。まず想定されるのは偽造品のみを仕入れ故意に販売する、もしくは誤って偽造品と知らずに販売してしまう場合がある。これらの場合には前述した通り真贋判定サーバで登録されている商品シリアルナンバーが読み取れない場合に判定した商品は正規品でないとみなされる。次に販売者が正規品と偽造品を両方持っている場合が想定される。例えば販売者が正規品を1つだけ持っていて偽造品を10個もっていたとする。判定情報の履歴を管理していなければ販売者は1つの正規品を利用して何度でも判定を行い、偽造品を正規品と偽って(偽造品を販売するにもかかわらず判定は正規品で行う)10個の偽造品を販売することが可能になる。そこで、ここではシリアルナンバーで管理された正規品を販売したら(販売情報と関連づけた判定が行われたら)二度とそのシリアルナンバーの商品は販売できなくする処理を行う。
【0051】
しかし、販売者は販売時以外、例えば商品入荷時、商品棚卸時などにも商品判定を行いたい場合もあるのでその場合も商品判定自体は可能である。ただし、この場合は図4に示す処理は行われない。図4の処理はあくまで販売者が購入者との間での販売処理を行う場合のみ行われる。
【0052】
ここで、判定回数(JN)とは商品名(PC)、及び商品シリアルナンバー(PSN)ごとに注文情報に関連づけられた判定(S404)が行なわれた回数を示す。判定回数(JN)が「0」であれば商品に関して一度も注文情報に関連づけられた判定が行なわれていないことを示し、判定回数(JN)が「1」であれば注文情報に関連づけられた判定が行なわれていることを示す。ここで、不正情報は同一シリアルナンバー商品の判定回数(JN)が2以上になると自動的に不正有りと表示されるロジックになっている。商品は一度注文がされれば2度と起こりえないわけなので判定回数(JN)が「1」であるにもかかわらず、さらに判定が行なわれたとすると、商品を不正に出荷しようとしている可能が高く、この場合には判定回数(JN)が「2」にインクリメントされ不正情報(II)が「無し」から「有り」に変更される。
【0053】
ただし、注文情報に関連付けられた判定情報に限ってインクリメントの処理が行なわれる。例えば販売者が販売時以外に在庫している商品に対し確認のために判定処理を施したとしても、この場合は販売と関連付けられていないのでインクリメント処理は行なわれない。販売者は販売時以外では何度でも判定処理を行うことはできるが、販売時は同じ商品について一度しか判定を行うことはできない。
【0054】
図5(a)においては、商品名(PC)「CRG-A」、商品シリアルナンバー(PSN)「ABC111」の商品に対し、販売と関連付けられた判定が1回行なわれているため判定回数(JN)「1」が記憶されている。また、この商品については、さらに、判定情報と同時に送信された注文情報に含まれる注文番号(PNO)「aaa111」、販売者ID(SID)「YAMA11」、顧客ID(CID)「KAWA12」が記憶されている。また、1回目の判定以降販売と関連付けられた判定は行なわれていないため、不正情報(II)には「無し」が記憶されている。一方、商品名(PC)「CRG-A」、商品シリアルナンバー(PSN)「ABC112」の商品に対してはまだ販売と関連付けられた判定が行なわれていないため判定回数(JN)は0、注文番号(PNO)、販売者ID(SID)、顧客ID(CID)には情報が記憶されていない。当然、不正情報(II)には「無し」が記憶されている。
【0055】
ステップS405では、さらに真贋判定データベースを参照し、判定情報を受信した商品について注文番号(PN)がプランクか否かを判定する。ブランクであれば、ステップS406に進み、商品判定DBに送信された販売情報PN、SID、UIDを登録し、判定回数JNをインクリメントする。
【0056】
例えば、図5(a)において、商品名(PC)「CRG-A」、商品シリアルナンバー(PSN)「ABC112」の商品についての判定情報を受信したとすると、ステップS406の処理により、真贋判定データベースは例えば図5(b)に示す状態へと遷移する。即ち、商品名(PC)「CRG-A」、商品シリアルナンバー(PSN)「ABC112」の商品の判定回数(JN)が「1」にインクリメントされ、その注文情報が記憶される(図5(b)の斜線部)。
【0057】
このように、判定対象となる商品の注文情報が真贋判定データベースに記憶されていない場合には、正規品と判断してステップS407に進み、販売店に対して注文を受けた商品が正規品であることを報知する真贋判定OK画面を生成し、ステップS408においてその画面情報を販売者クライアント111に送信する。この画面の例を図10に示す。
【0058】
さらに、真贋判定サーバ101ではステップS409において、出荷予定の商品が正規品である(真贋判定OK)ことをユーザに報知する真贋判定OK画面を生成し、ステップS410においてその画面情報をユーザクライアント112に送信する。この画面の例を図11に示す。
【0059】
ユーザは、商品が届けられたときに図11に示すような画面に表示されている商品情報(注文番号、商品名、商品シリアルナンバー)と商品に表示されている商品名、商品シリアルナンバーを照合することで商品が正規品であることを確認することができる。
【0060】
一方、ステップS404で商品シリアルナンバーが見つからなければステップS411に進み、その旨を販売店に伝える画面情報を作成し、ステップS412においてその画面情報を販売者クライアントに送信し、真贋判定サーバ101の処理は終了する。この画面の例を図12に示す。
【0061】
また、ステップS405で真贋判定データベースと判定情報の照合の結果、商品シリアルナンバーで特定された注文商品の注文番号(PN)がすでに登録済だった場合、ステップS413に進み、判定回数JNをインクリメントし、不正情報(II)を「有り」に更新する。
【0062】
図5(b)の状態から、商品名(PC)「CRG-B」、商品シリアルナンバー(PSN)「XYZ111」の商品に、さらにステップS405の判定が行なわれ注文情報が既に登録済であることが分かると、真贋判定データベースは、例えば図5(c)に示す状態へと遷移する。図5(c)では、判定回数(JN)が「1」から「2」にインクリメントされ、不正情報(II)が「無し」から「有り」に更新されている。
【0063】
その後、ステップS414で正規品判定NG画面情報を作成し、ステップS415でその画面情報を販売者クライアント111に送信する。この画面の例を図13に示す。販売者の判定した商品自体は正規品であるが既にそのシリアルナンバーの商品は「販売情報と関連づけられた判定」が過去に行われている(つまり既に一度販売されている。シリアルナンバーは商品にユニークに振られるので同じシリアルナンバーの商品が2度販売されることはありえない。)ので「シリアルナンバーが無効になっています」という表現になる。さらにステップS416に進み、製造者に不正情報を通知するための画面を作成し、ステップS417でその画面情報を製造者クライアント113に送信し、真贋判定サーバ101の処理は終了する。この画面の例を図14に示す。」

以上によれば、甲1には、
「真贋の判定を行うサーバコンピュータである真贋判定サーバ101であって、
ネットワークを介して販売者が操作するクライアントコンピュータである販売者クライアント111と接続され、当該販売者クライアント111には真贋判定情報を入力する判定情報入力装置121が接続されており、
判定情報入力装置121に販売者クライアント111としての機能が内蔵されていてもよく、
真贋判定データベースを備え、当該真贋判定データベースは、商品シリアルナンバー(PSN)を含む真贋判定用データと、判定回数(JN)及び不正情報を含む真贋判定履歴データとを登録商品毎に管理しており、
判定情報入力装置121が商品に埋め込まれたメモリタグを読み取ることによって入力された判定情報を、販売者クライアント111から受信し、受信した判定情報に基づいて正規品であるか否かの判定を行い、販売者クライアント11に判定結果情報を送信するものであり、
商品注文時に行う真贋判定処理として、販売者クライアント111から判定情報を受信して商品シリアルナンバー(PSN)を抽出し、当該商品シリアルナンバーが真贋判定データベースに登録されているか否かを判定し、一致する商品シリアルナンバーが見つかった場合に、判定回数(JN)が「0」であれば、判定回数(JN)を「1」にインクリメントして、商品が正規品であることを報知する真贋判定OK画面を生成して販売者クライアント111に送信し、判定回数(JN)が「1」であれば、判定回数(JN)を「2」にインクリメントし不正情報(II)を「無し」から「有り」に変更して、正規品判定NG画面情報を作成して販売者クライアント111に送信し、
販売者が販売時以外に在庫している商品に対し確認のために判定処理を施す場合には、上記インクリメント処理を行なわない、
真贋判定サーバ101。」
の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

2 甲2について
甲2には、段落【0001】,【0008】,【0022】,【0026】-【0027】,【0030】,【0040】,【0093】の記載からみて、物品の固有の物理的特徴に基づいて真贋検証を行う装置において、設備環境やセキュリティレベルに応じて検証を行う回数を指定するという技術的事項が記載されている。

3 甲3について
甲3には、段落[0001],[0007]-[0008],[0045]-[0047]の記載からみて、決済時の本人認証において、認証方法によって照合回数の上限を設定するという技術的事項が記載されている。

4 甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は可搬物品のモニターに関し、特に、物品が真正であることのモニター及びチェック、例えば、偽造商品を容易に特定し、あるいは偽造された文書を検出できるようにすることに関する。」

「【0023】
1: 当該製品又は物品が、タグとして(例えばハンドバッグ)、又はパッケージ上、例えば錠剤のブリスターパックを収容するボール箱上に製品ラベルを備えている場合。
2: 製品が、UPCバーコードを含むラベルを通常備えている場合。
3: 製品が、データマトリックス又は他の二次元コードを有するラベルを備えている場合、例えば、ラベルが電子部品に直接付されている場合。
4: 適当なラベルが存在しない場合。」

「【0028】
通常、特定の製造者の各製品は、特定のラベルスタイルを使用しており、その一つが図1に示されている。本発明のシステムを使用して製品がチェックされるとき、これは以下の態様で一層効果的に有益なものとなる。つまり、サーバーが、コード化されたデータと一緒に、ラベルスタイルに対応するデータも保存し、このデータが、図1において番号1から5で参照されるラベルの種々の構成要素の位置に関するデータ、又は、例えば、シリアル番号、及びラベル上のマークの一部を形成するランダムデータに関するデータを含んでいるならば、一層効果的に有益なものとなる。
【0029】
製品が本物であることをチェックするために、チェックする人は、例えば、適切なアプリが動いているスマートフォン装置を用いて、ラベルの写真を撮る。この写真は、アプリが提供する時間及び位置情報と一緒にリモートコンピュータへ送られる。リモートコンピュータは、写真からコード化されたデータを取り出し、大容量記憶装置に記憶されているデータと比較する。両者が合致すれば、製品は認証される。そうでなければ、製品は偽物であり、あるいは本物であっても流用品である。比較結果は直ちに、チェックを行った人、例えばカスタマー(顧客)又は税関吏のスマートフォンに送り返すことができる。
【0030】
さらに、認証検査の試みが行われたときに、いつ、どこで認証検査の試みが行われたか、そして誰が行ったかをリモートコンピュータがブランドオーナーに知らせるようにプログラムされていてもよい。これにより、ブランドオーナーは、1つのマーケットでの流通を意図した物品がグレーマーケット輸入によって別のマーケットに出ているかどうか、あるいは、例えば、「使用期限」の日付を過ぎて販売されたものであるかどうかを知ることができる。」

「【0068】
リモートサーバー37はインターネットを介して送信された製造画像を受信する。そして、自動的に安全パッケージを暗号解読し、典型的に次のような処理を実行するようにプログラムされている:
- データパッケージに欠陥が生じていないかどうかチェックし、欠陥が生じている場合は警報を発する。
- 製造画像から製造コードを読み取り、カメラが認証済みで適切な時間に適切な場所で使用中であることを確認する。カメラが適切な場所又は適切な時間から外れている場合は、サーバー37が警報を発する。
- 製造コードを用いて、タイプの異なるデータが印刷された個所を示すラベルテンプレートを見つける。
- 製造画像からシリアル番号を読み取る。
- 画像品質が十分良好で、印刷されたデータが読み取り可能なことをチェックする。そうでない場合は、印刷品質が良くないか否か、ブランドオーナーに警告する。
- 後の検索のための製造番号及びシリアル番号が付された、サーバー37の一部又は別のサーバーでもよい安全サーバー上の製造画像を含む情報の暗号化されたパッケージを保存する。
- ブランドオーナーにとって適切な課金情報を生成する。
【0069】
この処理は図7にフローチャートとして示されている。
図8は、ラベル34が付された容器30に行われる正当性検証の実行を図式的に示している。ラベルが付された容器30のチェック、つまり認証を行いたい人は、この目的のためにスマートフォン50を使用する。スマートフォン50は、スマートフォンアプリを動作させて、その人にラベルの写真(カスタマー画像)を撮るように促す。その人はカスタマー、税関吏等、適切なアプリが動くスマートフォンを有する人であれば誰でもよい。
【0070】
このアプリは、起動すると、次のような処理を実行する。
- ラベルのカスタマー画像を暗号化する。
- 暗号化された画像を安全パッケージの一部としてサーバー37に送信する。このパッケージは日時情報を含んでいる。プライバシー設定に応じて、スマートフォンの所有者の名前とスマートフォン自身の位置情報も暗号化されたデータと共に送信されてもよい。
【0071】
アプリとして、いくつかの変形アプリがあってよい。たとえば、税関吏用のアプリは、ラベルが付された製品が偽造品か否かを直接フィードバックするように設計される。他方、カスタマーバージョンのアプリは、おそらく、顧客フィードバックを登録するために、あるいはカスタマーにケア情報をアドバイスするために、あるいは、正規のカスタマーが認識されてロイヤリティボーナスが蓄積されるのを可能にするために、その製品の小売業者のウェブサイトに接続される。
【0072】
上述のように、商標所有者の製品の安全性を損なう可能性のあるデータはアプリに保存されない。
【0073】
サーバー37は、インターネットを介してカスタマー画像を受信すると、安全パッケージの解読を行い、次のような処理を実行する。
- データパッケージがデータ要件に合致し、欠陥が無いことをチェックする。パッケージが欠陥を有する場合は、警報を発する。
- カスタマー画像内から製造コードを見つける。
- 製造コードを用いて、シリアル番号及びランダムデータが配置された場所を示すラベルテンプレートを見つける。
- カスタマー画像からシリアル番号を読み取り、これを用いて、製品が製造されたときに保存されたラベルの製造画像を取り出し、製造画像のランダムデータを見つけ、このランダムデータが、アプリから送信されたカスタマー画像のランダムデータに合致することをチェックする。
【0074】
製造画像のランダムデータとカスタマー画像のランダムデータが合致する場合は、そのスキャンが登録され、ラベルがスキャンされた事実が記録され、サーバーは、ブランドオーナーにとって適切な課金情報を生成する。これは、ブランドオーナーがグレーマーケット活動のために物品の位置を確認し、カスタマーロイヤリティプログラムのデータを更新し、又は同一ラベルデータの多重使用を記録することができるようにするための物品データ(例えば、製品及びシリアル番号)を含んでいてもよい。
【0075】
ランダムデータが合致しない場合、あるいは、例えば、正当性検証に、ラベルが2回又は3回スキャンされたことが含まれているらしい場合は、偽造の疑いがあることが登録され、一連のアクションがブランドオーナーの希望に沿って生成される。例えば、疑わしい物品がユーザーによって所与の場所で所与の時間に見つけられたことを示す電子メールが自動的にブランドオーナーに送信される。」

「【0082】
システムが構築される際に、サーバー37は6個のメインデータベースを記憶し、又はアクセスする。
・ ブランドオーナーデータ
・ 有効なプリンターとそれらの位置及び使用時間
・ 製品ラベルテンプレート
・ 製造画像
・ アプリユーザー
・ 正当性検証の記録」

以上によれば、甲4には、
「製品ラベルを備えた可搬物品が真正であることのモニター及びチェックを行うためのサーバーであって、
製品ラベルの製造画像を記憶するデータベースと、正当性検証の記録を記憶するデータベースとを備え、
スマートフォンで撮影された製品ラベルの暗号化されたカスタマー画像を受信し、
受信したカスタマー画像を解読してシリアル番号を読み取り、当該シリアル番号を用いて製品が製造されたときに保存されたラベルの製造画像を取り出し、製造画像のランダムデータが送信されたカスタマー画像のランダムデータに合致することをチェックし、
製造画像のランダムデータとカスタマー画像のランダムデータが合致する場合は、ラベルがスキャンされた事実が記録されて、同一ラベルデータの多重使用を記録することができるようにし、
比較結果を直ちに、チェックを行った人のスマートフォンに送り返し、
正当性検証に、ラベルが2回又は3回スキャンされたことが含まれているらしい場合は、偽造の疑いがあることが登録され、一連のアクションがブランドオーナーの希望に沿って生成される、
サーバー。」
の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

5 甲5について
甲5には、段落【0026】,【0029】,【0037】の記載からみて、ポスターの設置場所の有効性を解析するためにポスターに基づいてアクセスを行った携帯端末の位置情報を取得するという技術的事項が記載されている。

6 甲6について
甲6には、段落【0026】-【0027】,【0050】の記載からみて、配達人が持ち帰った配達証の位置情報が配達物の宛先に一致する場合に、配達物が配達済みである旨を記録するという技術的事項が記載されている。

7 甲7について
甲7には、段落【0008】-【0011】,【0025】,【0029】,【0032】の記載からみて、ユーザ端末から取得した位置情報に基づいて、所定範囲内で開催されているイベントに関するクーポン情報を検索して発行するという技術的事項が記載されている。


第5 当審の判断
1 申立理由1について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者の間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶する記憶手段と通信可能な情報処理装置であって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品を示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

(相違点)
(相違点1)本件発明1は、記憶手段に「前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能」であり、当該記憶される条件のうち「前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する」条件を、読取数判定手段による判定に用いるものであるのに対し、甲1発明はそのような条件を含む登録情報を記憶しておらず、読取数判定手段による判定は、単に判定回数が「1」以上であるか否かを条件として行われる点。

(相違点2)本件発明1は、読取数判定手段により条件を満たすと判定した場合に、「非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報」を送信するのに対し、甲1発明は、「正規品判定NG画面情報」を送信するものである点。

上記相違点について検討する。
相違点1に関して、甲2には、真贋検証を行う回数を指定することが記載され、甲3には、本人認証において照合回数の上限を設定することが記載されている。また、甲4発明は、物品が真正であることをチェックする装置において、正当性検証の記録を記憶し、2回又は3回の正当性検証が行われた場合に偽造の疑いを検出するものである。しかしながら、「任意に設定された読取数に係る条件」を記憶し、当該条件に基づいて読取数の判定を行うことは、甲1?甲4のいずれにも記載されていない。また、甲1発明は、同じシリアルナンバーを有する正規品が2度販売されることはないという前提のもと、販売時にのみ判定回数のインクリメントを行い、記録された判定回数が「1」以上の状態でさらに判定が行われた場合に不正であるとの判定結果を出力するもの(段落【0050】-【0053】)であるから、甲1発明において、読取数の条件を「1」以外の任意の数に変更しようという動機付けは存在しない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2?甲4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
異議申立人は、甲1発明において真贋判定用の判定回数の条件を任意の回数とすることは、当業者であれば容易に推考しうる設計的事項である旨を主張しているが、上記検討したように、甲1発明においてそのような設計変更を行う動機付けはなく、異議申立人の主張には理由がない。

(2)本件発明2?本件発明7について
本件発明2?本件発明7は、本件発明1をさらに限定したものであって、本件発明1の上記相違点1に係る構成と同一の構成を備えている。また、甲5?甲7に記載された技術的事項は、位置情報を利用した判定処理に関するものであり、相違点1に関連するものではない。よって本件発明2?本件発明7は、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。

(3)本件発明8,11,12,13について
本件発明8,11,12,13も、本件発明1の上記相違点1に係る構成と同様の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。

(4)本件発明9,10,14について
本件発明9,10,14は、それぞれ本件発明1,8,13を方法のカテゴリーで記載したものであり、本件発明1の上記相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。

以上のとおり、本件発明1?本件発明14は、甲1発明及び甲2?甲7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 申立理由2について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲4発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 甲4発明の「サーバー」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「情報処理装置」に対応する。

イ 甲4発明の「製品ラベルの製造画像を記憶するデータベース」は、本件発明1の「物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報」を「記憶」する構成に相当する。

ウ 甲4発明の「正当性検証の記録を記憶するデータベース」は、製品ラベルのスキャンにより正当性検証が行われた事実を履歴として記録するものであるから、本件発明1の「前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴」を「記憶」する構成に相当する。

エ 甲4発明の「サーバー」は、上記イ、ウのデータベースに格納される情報の読み書きが可能であるから、「記憶手段と通信可能」である。

オ 甲4発明は、「スマートフォンで撮影された製品ラベルの暗号化されたカスタマー画像を受信」する構成を備えており、当該カスタマー画像は、読取対象物である製品ラベルを読み取った画像であって、製品についての識別情報を含み、正当性検証を要求するために送信されるものであるから、甲4発明は、本件発明1の「読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段」に相当する構成を備えている。

カ 甲4発明は、受信した要求に係る「カスタマー画像」に合致する「保存されたラベルの製造画像」が登録されている場合に、読取数について「正当性検証に、ラベルが2回又は3回スキャンされたことが含まれている」という条件を満たすか否かを判定しているから、甲4発明と本件発明1とは、条件の内容が異なるものの、「前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段」を備えるという点で共通する。

キ 甲4発明は、「カスタマー画像」と「保存されたラベルの製造画像」とが合致したうえで「ラベルが2回又は3回スキャンされたことが含まれているらしい場合」には「偽造の疑いがあること」が登録され、さらに、「比較結果を直ちに、チェックを行った人のスマートフォンに送り返」すものである。ここで、スマートフォンに送り返される「比較結果」は、「ラベルが2回又は3回スキャンされた」場合には「偽造の疑い」すなわち「非正規の物品の可能性あり」を示す情報であり、そうでない場合には「正規の物品」を示す情報となるから、甲4発明は、本件発明1の「前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には、非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

ク 上記ア?キから、両者の間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「物品の正規の判定に用いられる読取対象物に係る識別情報と、前記読取対象物に係る識別情報の読取履歴とを記憶する記憶手段と通信可能な情報処理装置であって、
読取端末で読み取られた読取対象物に係る識別情報の要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報が前記記憶手段に登録されている場合に、前記読取履歴に基づき、条件を満たすか否かを判定する読取数判定手段と、
前記読取数判定手段により、前記条件を満たすと判定した場合には非正規の物品の可能性ありを示す読取結果情報を送信し、前記条件を満たさないと判定した場合には、正規の物品を示す読取結果情報を送信する読取結果情報送信手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。」

(相違点)
(相違点3)本件発明1は、記憶手段に「前記識別情報に対応する物品に関連する登録情報であって、任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能」であり、当該記憶される条件のうち「前記要求受信手段により受信した要求に係る識別情報に対応する」条件を、読取数判定手段による判定に用いるものであるのに対し、甲4発明はそのような条件を含む登録情報を記憶しておらず、読取数判定手段による判定は、「2回又は3回スキャンされた」か否かを条件として行われる点。

以上のとおり、本件発明1と甲4発明とは相違するので、本件発明1は甲4に記載された発明であるということはできない。
異議申立人は、甲4に「ラベルが2回又は3回スキャンされたことが含まれているらしい場合は、偽造の疑いがあることが登録され」(段落【0075】)との記載があることを指摘し、甲4は「任意に設定された読取回数に係る条件」を備えている旨を主張しているが、甲4の上記記載は、単に「複数回のスキャン」が行われたことを検出する旨を記載したものと認められ、「2回」あるいは「3回」といった読取数条件が登録者によって任意に設定される旨を記載したものとは認められない。よって異議申立人の主張は理由がない。

(2)本件発明2?本件発明7について
本件発明2?本件発明7は、本件発明1をさらに限定したものであって、本件発明1の上記相違点3に係る構成と同一の構成を備えているから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明であるということはできない。

(3)本件発明8,11,12,13について
本件発明8,11,12,13も、本件発明1の上記相違点3に係る構成と同様の構成を備えているから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明であるということはできない。

(4)本件発明9,10,14について
本件発明9,10,14は、それぞれ本件発明1,8,13を方法のカテゴリーで記載したものであり、本件発明1の上記相違点3に係る構成に対応する構成を備えているから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明であるということはできない。

以上のとおり、本件発明1?本件発明14は、甲4に記載された発明であるということはできない。

3 申立理由3について
(1)本件発明1について
平成30年4月27日にされた補正により本件発明1に追加された、「任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な」との事項について検討する。
本件特許の明細書及び図面には、以下の記載がある。

「【0016】
・・・(略)・・・
クライアント端末101は、管理者装置であり、正規品判定サーバ200と通信し、正規品判定に用いる設定情報の入力を実行する端末である。」

「【0051】
まず、図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、クライアント端末101と正規品判定サーバ200によって行われるシステム管理者によって実施される設定処理である。上述した設定回数などを管理者によって設定するフローチャートである。
【0052】
ステップS601-1では、クライアント端末101のCPU301が、正規品判定サーバ200へアクセスする。そして、正規品判定サーバ200のCPU301が、ユーザ認証を実行し、ログイン処理を実行する。ステップS601-2では、正規品判定サーバ200のCPU301が、ログイン処理の結果として、正規品判定条件設定画面をクライアント端末101に送信する。
【0053】
ステップS602では、クライアント端末101のCPU301が、図12の正規品判定条件設定画面を表示する。この正規品判定条件設定画面は、クライアント端末101が正規品判定サーバ200から受信して表示する。
【0054】
ここで、図12の正規品判定条件設定画面について説明する。
【0055】
正規品判定条件設定画面は、複数回判定時(正規通知)1200、設定回数以上(非正規可能性通知)1210、読取情報不一致(非正規品通知)1220、直近履歴表示1230、端末識別1240、メール通知1250の項目を含む画面である。
【0056】
複数回判定時(正規通知)1200は、正規品として通知する場合の読取回数を設定する項目である。例えば、複数回判定時(正規通知)1200が、5回未満の設定である場合について説明する。同一の開封シールの識別情報の読み取りが5回未満であった場合に、正規品判定サーバ200が読み取った携帯端末に正規品として結果を通知される。
また、設定回数以上(非正規可能性通知)1210は、判定結果画面で表示する表示色と表示文言を任意に設定できるようになっている。
・・・(略)・・・
【0063】
ステップS605では、正規品判定サーバ200のCPU301が、受信した設定情報を外部メモリ311に登録する。登録された設定情報の例が、図11の設定情報1100である。
【0064】
ここで設定情報1100について説明する。設定情報1100は、正規品判定サーバ200で実行される正規品判定アプリケーションが参照する設定情報である。正規品判定条件として、正規品判定条件画面の、複数回判定時(正規通知)1200、設定回数以上(非正規可能性通知)1210、読取情報不一致(非正規品通知)1220で設定された条件、値が登録される。」

また、図11の「設定情報」から、正規品として通知する場合の読取回数の条件を含む各設定情報が、「企業名(ログインID)」に対応付けて記憶管理されることが看取される。

以上より、本件特許の明細書等には、
「管理者は、クライアント端末101を使用して正規品判定サーバ200へアクセスしてログイン処理を実行し、正規品判定に用いる設定情報の入力を行い、当該入力される設定情報には正規品として通知する場合の読取回数を設定する項目を含み、
正規品判定サーバ200は、受信した設定情報を外部メモリ311に登録し、登録される設定情報は、読取回数の条件を含み、「企業名(ログインID)」に対応付けて記憶管理される。」
ことが記載されている。
ここで、「正規品として通知する場合の読取回数」は、正規品と判断するための条件であって、管理者によって任意に入力設定されるものであるから、「任意に設定された読取数に係る条件」であるといえる。
また、「管理者」は、設定情報の登録を行う者であるから、「登録者」である。
また、正規品判定サーバ200に登録される「設定情報」は、登録者である「企業名(ログインID)」に対応付けて記憶管理されるものであるから、「登録者に対応する登録情報」であり、当該登録情報は、登録者ごとに記憶されるから、登録者の数に応じて複数記憶されることは自明である。
以上のことから、補正により本件発明1に追加された「任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な」との構成は、本件特許の明細書等から自明な事項である。

(2)本件発明2?本件発明14について
本件発明1を直接または間接的に引用する本件発明2?7、本件発明1と同様の補正事項を含む本件発明8?14についても、上記本件発明1と同様の点が指摘される。

以上のとおり、請求項1?14についてされた補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

4 申立理由4について
(1)本件発明1について
上記「3」で検討したとおり、本件発明1における「任意に設定された読取数に係る条件を含む登録者に対応する登録情報を複数記憶可能な」との構成は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、また、その意味を明確に理解することができる。本件発明2?14についても同様である。
よって請求項1?14に係る特許についての出願は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たすものである。


第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-03-15 
出願番号 特願2016-247879(P2016-247879)
審決分類 P 1 651・ 55- Y (G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q)
P 1 651・ 113- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松野 広一  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 宮久保 博幸
相崎 裕恒
登録日 2018-06-29 
登録番号 特許第6358322号(P6358322)
権利者 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 キヤノンITソリューションズ株式会社 佳能信息系統(上海)有限公司
発明の名称 情報処理装置、情報処理システムとその処理方法及びプログラム、読取端末のプログラム、正規判定システムとその処理方法  
代理人 伊藤 秀起  
代理人 伊藤 秀起  
代理人 木村 友輔  
代理人 伊藤 秀起  
代理人 木村 友輔  
代理人 木村 友輔  
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