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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H01L
審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正する H01L
審判 訂正 2項進歩性 訂正する H01L
管理番号 1349870
審判番号 訂正2018-390169  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-10-29 
確定日 2019-02-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5708546号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5708546号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[2?6,8,10,12?18]について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る主な経緯は、次のとおりである。
ここで、本願(特願2012-77682号)は、平成16年8月20日(優先権主張 平成15年8月21日、平成16年2月16日)を国際出願日とする出願である特願2005-513370号(以下「第1世代出願」ともいう。)の一部を平成21年1月23日に新たな出願とした特願2009-13514号(以下「第2世代出願」ともいう。)の一部を平成23年3月2日に新たな出願とした特願2011-45407号(以下「第3世代出願」ともいう。)の一部を平成24年3月29日に新たな出願としたものである。

平成15年 8月21日:優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)
平成16年 2月16日:優先権主張の日
平成16年 8月20日:第1世代出願
平成21年 1月23日:第2世代出願
平成23年 3月 2日:第3世代出願
平成24年 3月29日:本願出願
平成27年 3月13日:特許登録(この特許を以下「本件特許」という。)
平成30年10月29日:本件審判請求

第2 本件審判請求の趣旨
1 本件審判請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18について訂正することを認める、との審決を求めることである。
そして、その訂正事項(以下、総称して「本件訂正事項」といい、本件訂正事項による訂正を「本件訂正」という。)は、次のとおりである(下線は、訂正箇所であり、本件審判請求人が付したものである。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に
「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成される」
とあるのを、
「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」
と訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、請求項6、請求項8、請求項10、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に
「前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性である」
とあるのを、
「前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」
と訂正する(請求項4の記載を引用する請求項6、請求項8、請求項10、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18も同様に訂正する。)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に
「前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する請求項3又は4記載の露光装置。」
とあるものについて、請求項4の記載を引用するものについて独立形式に改め、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する露光装置。」
と訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18も同様に訂正する。)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項12に
「前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置されている請求項2?11のいずれか一項記載の露光装置。」
とあるのを、
「前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である請求項5、請求項7、請求項9、又は請求項11記載の露光装置。」
と訂正する(請求項12の記載を引用する請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18も同様に訂正する。)。

2 一群の請求項について
本件訂正は、一群の請求項である請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18について請求されたものである。

第3 当審の判断
訂正事項1?4について、訂正の適否を検討する。
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的
訂正事項1は、上記第2の1(1)のとおりであるところ、本件訂正前の請求項2に記載された特定事項に、「前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としている。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合する。

(2)新規事項追加の有無
ア 訂正事項1のうち、「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部」は、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0039】の「・・・光センサ部58は、・・・露光光ELを透過可能な透明部材と、・・・前記透明部材を介した露光光ELを受光する受光素子とを備えている。・・・」に記載されている。

イ 訂正事項1のうち、光センサ部が「前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と」「同じ高さを有し」ている点は、請求項1の「前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、」との記載と本件明細書の【0039】の「・・・光センサ部58は、・・・基板Pの表面とほぼ同じ高さを有し、・・・」との記載から導かれる。

ウ 訂正事項1のうち、光センサ部が「前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し」ている点は、本件明細書の【0037】の「・・・その基板Pの周囲を囲むように基板Pの表面とほぼ同じ高さの平坦面57Aを有する環状のプレート部57・・・」との記載と上記イで示した記載から導かれる。

エ 訂正事項1のうち、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」点は、本件明細書の【0092】の「なお、上述の実施形態において、露光中あるいは露光の前後に、基板Pのエッジとプレート部57との境界が液浸領域AR2に含まれてしまうようなショット領域・・・」との記載から導かれる。

オ 以上のとおりであるから、訂正事項1は、当業者によって、特許請求の範囲、本件明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項1は、上記(1)及び(2)をも踏まえれば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件の有無
訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件を判断する必要があるところ、これについては、後記5で判断する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項2は、上記第2の1(2)のとおりであるところ、本件訂正前の請求項4に記載された特定事項である「光学素子」について、「前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、」、「前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触」することを限定するとともに、当該特定事項に、「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項を直列的に付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としている。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合する。

(2)新規事項追加の有無
ア 訂正事項2のうち、「前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、」との点は、本件明細書の【0019】の「投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側(投影光学系PLの像面側)の終端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、・・・」に記載されている。

イ 訂正事項2のうち、「前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、」との点は、本件明細書の【0019】の「・・・また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子(レンズ)2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられており、光学素子2には液浸領域AR2の液体1が接触する。」に記載されている。

ウ 訂正事項2のうち、「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」及び「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」については、上記1(2)と同様である。

エ 以上のとおりであるから、訂正事項2は、当業者によって、特許請求の範囲、本件明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項2は、上記(1)及び(2)をも踏まえれば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件の有無
訂正事項2は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件を判断する必要があるところ、これについては、後記5で判断する。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的
訂正事項3は、上記第2の1(3)のとおりであるところ、本件訂正前の請求項5について、「請求項3又は4」を引用していたのを「請求項3」を引用していた部分を削除した上で、独立形式に改めるものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としている。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合する。

(2)新規事項追加の有無
上記(1)によれば、訂正事項3は、新規事項を追加するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項3は、上記(1)及び(2)をも踏まえれば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件の有無
訂正事項3は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件を判断する必要があるところ、これについては、後記5で判断する。

4 訂正事項4について
(1)訂正の目的
訂正事項1は、上記第2の1(4)のとおりであるところ、本件訂正前の請求項12に記載された特定事項である「光学素子」について、「前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、」、「前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触」することを限定するとともに、当該特定事項に、「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項を直列的に付加し、さらに、「請求項2?12」を引用していたのを「請求項5、請求項7、請求項9、又は請求項11」を引用するように限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としている。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合する。

(2)新規事項追加の有無
ア 訂正事項4のうち、「前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」点が新規事項を追加するものではないことは、上記2(2)と同様である。

イ 訂正事項4のうち、「請求項2?11のいずれか一項」を引用していたのを「請求項5、請求項7、請求項9、又は請求項11」を引用するようにする点が、新規事項を追加するものでないことは、明らかである。

ウ よって、訂正事項4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
訂正事項4は、上記(1)及び(2)をも踏まえれば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)独立特許要件の有無
訂正事項4は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、独立特許要件を判断する必要があるところ、これについては、後記5で判断する。

5 独立特許要件の有無
本件特許については、東京地方裁判所に特許権侵害差止等請求事件(平成29年(ワ)第13532号、以下「本件侵害事件」という。)が係属しているところ、本件侵害事件では、いわゆる無効の抗弁(以下「本件無効抗弁」という。)が、同事件の被告らの一であるエーエスエムエル・ジャパン株式会社(以下、単に「被告」という。)より提出され、審理されている。そして、本件無効抗弁は、本件特許の請求項1、2及び14に係る発明に対して主張されている。
他方で、当審が独立特許要件を判断する対象となる請求項(以下「当審判断対象請求項」という。)は、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18である。
このように、本件無効抗弁に係る請求項と当審判断対象請求項とは、請求項2及び請求項14において重複しており、しかも、当審判断対象請求項は一群の請求項を構成するのであるから、本件無効抗弁は、当審判断対象請求項に属する全ての請求項と関連性があるといえる。そこで、当審は、以下、本件無効抗弁に係る無効理由(以下「本件無効理由」という。)を、当審判断対象請求項に対して検討することとする。

(1)本件無効理由の概要
ア 本件無効理由の概要は、次のとおりである。
なお、以下では、「甲第○号証」及び「乙第○号証」の「第」及び「号証」の部分は略して表記する。

(ア)無効理由1(サポート要件違反)
本件特許の請求項1、請求項2及び請求項14の記載は、サポート要件違反である(答弁書6頁下から4行?14頁末行、被告準備書面(4)、被告準備書面(11))。

(イ)無効理由2(乙1に記載された発明に基づく進歩性欠如)
本件特許の請求項1、請求項2及び請求項14に係る発明は、乙1発明及び周知技術(乙2?乙4)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(被告準備書面(6)、被告準備書面(10))。

イ 本件無効抗弁において提出されている証拠は次のとおりである。
乙1:旧東ドイツ国経済特許第221563号明細書
乙2:特開平10-209031号公報
乙3:特開2002-14005号公報
乙4:特開2002-33272号公報
乙8:本件侵害事件の乙8(「NIKON CORPORATION v.ASML NETHERLANDS」事件において、2015年4月30日に、CHRIS ALAN MACKがした証言録取)
乙9:特開平11-135400号公報
乙10:本件侵害事件の乙10(米国特許第8233137号について、2014年9月30日に、Chris A.Mackがした証言録取)
乙11:国際公開第99/49504号
乙12:特開2000-114136号公報
乙13:特開昭61-53727号公報
乙14:特開平8-137550号公報
乙15:東京地裁平成29年(ワ)第27577号損害賠償請求事件被告第4準備書面
乙16:東京高裁平成12年(行ケ)第388号判決
甲15:特許・実用新案審査基準(「サポート要件」の項目)
甲20:広辞苑(「穴」の字義)

(2)本件訂正発明の認定
本件訂正後の請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明2」などといい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、本件訂正後の請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17及び請求項18に記載された次のとおりのものと認められる(下線は、訂正箇所である。)。

ア 本件訂正発明2
独立形式で書き下して認定する。
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射する露光装置であり、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

イ 本件訂正発明3
「前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面は撥液性である請求項2記載の露光装置。」

ウ 本件訂正発明4
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

エ 本件訂正発明5
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する露光装置。」

オ 本件訂正発明6
「前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている請求項2?5のいずれか一項記載の露光装置。」

カ 本件訂正発明8
本件訂正後の請求項8のうち、請求項1及び7を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明8として認定しない。そうすると、本件訂正発明8は、以下のとおりとなる。
「前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている請求項2?6のいずれか一項記載の露光装置。」

キ 本件訂正発明12
引用元の請求項ごとに独立形式で書き下した形で認定する。以下、請求項5、請求項7、請求項9及び請求項11を引用する部分ごとに、それぞれ、「本件訂正発明12-5」、「本件訂正発明12-7」、「本件訂正発明12-9」及び「本件訂正発明12-11」という。
(ア)本件訂正発明12-5
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する露光装置であり、
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

(イ)本件訂正発明12-7
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている露光装置であり、
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

(ウ)本件訂正発明12-9
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている露光装置であり、
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

(エ)本件訂正発明12-11
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口の外側に配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布の検出に用いられる露光装置であり、
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。」

ク 本件訂正発明13
「前記液体回収口は、前記液体供給口を囲むように配置されている請求項12記載の露光装置。」

ケ 本件訂正発明14
本件訂正後の請求項14のうち、請求項1,7,9及び11を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明14として認定しない。そうすると、本件訂正発明14は、以下のとおりとなる。
「前記液体回収口から、前記基板上の液体を気体とともに回収する請求項2?6,8,10,12,13のいずれか一項記載の露光装置。」

コ 本件訂正発明15
本件訂正後の請求項15のうち、請求項1,7,9及び11を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明15として認定しない。そうすると、本件訂正発明15は、以下のとおりとなる。
「前記液体供給口から供給された液体で前記基板の表面の一部に液浸領域が形成され、
前記投影光学系からの露光光が前記液浸領域の液体を介して前記基板上に照射される請求項2?6,8,10,12?14のいずれか一項記載の露光装置。」

サ 本件訂正発明16
本件訂正後の請求項16のうち、請求項1,7,9及び11を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明16として認定しない。そうすると、本件訂正発明16は、以下のとおりとなる。
「前記流路形成部材は、前記液体回収口に接続された回収流路を有し、
前記液体回収口から回収された液体は、前記回収流路において、鉛直上向きに流れた後、水平方向に流れる請求項2?6,8,10,12?15のいずれか一項記載の露光装置。」

シ 本件訂正発明17
本件訂正後の請求項17のうち、請求項1,7,9及び11を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明17として認定しない。そうすると、本件訂正発明17は、以下のとおりとなる。
「前記流路形成部材は、前記投影光学系の光軸と平行な方向に移動可能である請求項2?6,8,10,12?16のいずれか一項記載の露光装置。」

ス 本件訂正発明18
本件訂正後の請求項18のうち、請求項1,7,9及び11を引用している部分については、訂正がなされていないので、本件訂正発明18として認定しない。そうすると、本件訂正発明18は、以下のとおりとなる。
「請求項2?6,8,10,12?17のいずれか一項に記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。」

(3)各証拠に記載されている事項の認定
ア 乙1
(ア)本件優先日前に頒布された刊行物である乙1には、次の事項が記載されていると認められる(下線は当審が付した。以下、同じ。)。
a 「発明の適用分野」、
「本発明は、集積半導体回路を製造するフォトリソグラフィ法に用いられる、半導体ウェハ上にマスク構造を連続的に投影結像するための液浸対物レンズに関する。」(抄訳2頁3行?4行)

b 「公知の技術的解決手段の特性」、
「構造をさらに縮小するために、さらには、対物レンズの開口数の上限および分解可能な境界周波数をずらすために、またさらには、たとえば半導体基板が既に処理された段階におけるレジストの層厚の変動に関連した、レジスト層における干渉現象に起因する構造幅の変動を低減するために、欧州特許第23231号明細書から、半導体基板のレジスト被膜の屈折率に相応した屈折率を有する液体中で、半導体基板の露光を実施することが公知である。」(抄訳3頁1行?6行)、
「上記の投影方法を実施するためには、投影用の対物レンズと半導体基板との間に液体を供給して、対物レンズの開口部と半導体基板を備えた液体収容部とが完全に液体中に存在するようにされる。なお、この液体は、相応の装置によって対物レンズと基板収容部とを包囲している容器へと供給され、またこの容器から搬出される。」(抄訳3頁7行?10行)、
「上記の方法は、位置調整工程および露光工程を実施するために必要となる基板テーブルの移動を、緩慢にしか実施できないという欠点を有している。なぜなら、この基板テーブルの移動の加速値および減速値が高い場合には液体が漏れるおそれがあり、また、媒体が落ち着いている状態でしか高いパターン分解能を実現できないからである。さらには、液体が完全に濡れていることにより、基板を搬入および搬出する際、ならびに基板の裏面をクリーニングする際に、多大な手間が要求されることとなる。液体容器に半導体基板を入れる際にこの半導体基板に付着する空気泡またはガス泡、ならびにポジ型フォトレジストを露光する際に生じる窒素泡は、露光エラーをもたらすので露光工程に不利に作用する。」(抄訳3頁11行?下から5行)、
「旧東独経済特許第H01L/240786/8号明細書には、液浸対物レンズが開示されており、この液浸対物レンズでは、部分的に露光させたい基板面と、下側の対物レンズとの間の空間だけが浸液によって満たされている。この空間は、像面寸法に合わせて先細りされたスリーブによって形成される。このスリーブは、一方では、対物レンズと接続させることができ、他方では、露光させたい半導体基板との間隔がわずかになるまで降下させることができる。」(抄訳3頁下から4行?4頁2行)、
「浸液の供給は、外部の圧力制御部によって行われ、この浸液は、露光ステップの終了後には完全に基板上に残留し、その後に別個に除去する必要がある。さらには、制御不能な液体の漏れは、露光済みの半導体基板および基板収容部の、後処理およびクリーニングの手間を要求し、また浸液も失われることとなる。」(抄訳4頁3行?6行)、
「同様に、基板の交換時および基板収容部の移動時に混入した空気泡またはガス泡は、スリーブと基板との間の間隔に応じて欠陥を生じさせるおそれがあり、ひいては結像の妨げとなる影響を及ぼすおそれがある。」(抄訳4頁7行?9行)

c 「発明の目的」、
「本発明の目的は、液浸対物レンズを用いて連続的かつ部分的にパターン結像を実施する際において妨げとなるガス泡の混入を回避すること、ならびに浸液中におけるシュリーレン現象の発生を回避すること、さらにはウェハ縁部、ウェハテーブル、およびウェハ裏面が浸液によって濡れることを排除することにある。」(抄訳4頁11行?14行)

d 「発明の課題」、
「本発明の根底を成す課題は、浸液中におけるシュリーレン現象の発生および妨げとなるガス泡の混入が生じることなく、基板テーブルの高速な移動が達成され、ウェハ縁部、ウェハ裏面、ならびにウェハテーブルが浸液によって濡らされず、さらには、ウェハテーブルの移動の高い開始加速値および終了加速値が、投影結像するための装置の生産性および品質に影響を及ぼさない、半導体ウェハ上に高いパターン分解能のマスク構造を形成することが可能な、マスク構造を連続的に投影結像するための液浸対物レンズを提供することである。」(抄訳4頁下から5行?5頁2行)

e 「図1に図示されている液浸対物レンズの構成も、補助装置7を有している。この補助装置7は、一重壁に形成されており、対物レンズ側で最後の光学部材2と先細りされた下側の開口部との間に空間4を形成している。」(抄訳12頁4行?6行。なお、「図3」は、「図1」の誤記であると解されるので、誤記を正した上で認定した。)、
「フォトレジスト26によって被覆された半導体基板25の方を向いた、補助装置7の下側の開口部では、像面の直径に相応したフレーム3.1内に光透過性のディスク3が設けられており、また、補助装置7の対物レンズ側の開口部は、同様にリング6ならびに下側のストッパ6.1および上側のストッパ6.2を有している。先細りされた側において、光透過性のディスク3と同一平面上に位置するリング9.1には、複数の孔/開口部10;11が設けられており、これらの孔/開口部10;11は、それぞれ光軸Aを中心とした相互に異なる2つの部分円上に配置されている。」(抄訳12頁7行?13行)、
「開口部10は、内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられており、供給管17ならびに貯蔵装置28を介して中央において圧力補償および蓄積装置と接続されている。外側の部分円上には、少なくとも2つ以上の開口部11が間隔を空けて設けられており、これらの開口部11は、貯蔵装置29を備える排出管18を有している。これらの排出管18は、さらなる態様において相互に接続されており、パイプ管路またはチューブ管路13を介してフィルタおよびサーモスタット装置8に通じている。フィルタおよびサーモスタット装置8自体の出口側は、圧力補償または蓄積装置14の入口側と接続されている。」(抄訳12頁14行?下から5行)、
「本発明による補助装置の始動時/始動前には、浸液4.1は相応の蓄積装置内にあり、露光距離である間隙aは、補助装置7の降下またはウェハテーブルの上昇によって調整されている。第1の露光ステップに分類されている基板テーブル16の相対移動と一緒に、浸液4.1が、フォトレジスト26によって被覆されている半導体基板25の表面へと、供給管17を介して開口部10を通して供給される。この際、この供給は、間隔aが均一な液体膜で満たされるように、かつ基板テーブル16の相対移動に基づいてリング9.1の上流側に薄い液体壁4.2が生じるように行われる。供給管17を介して液体が供給された後、ならびに露光ステップが実施された後、貯蔵装置28,29;30と、圧力補償および蓄積装置14とを相応に制御することによって、浸液4.1は、排出管18を通じている開口部11を介して排出され、下流側に接続されている、クリーニング、温度調整、および蓄積のための装置8;14へと送られる。」(抄訳12頁下から4行?13頁7行)、
「図2には、露光工程のブロック回路図が図示されている。」(抄訳13頁8行)、
「事前に設定されたシーケンスプログラムにしたがって、半導体基板が界面活性剤を用いて前処理され、露光装置に運ばれ、事前位置調整工程後に基板テーブル上に固定されることによって、半導体基板の露光が行われる。」(抄訳13頁9行?11行)、
「界面活性剤を、事前調整工程または固定工程後に、直接的に露光装置において塗布することも考えられる。」(抄訳13頁12行?13行)、
「それに続いて、半導体基板を備えた基板テーブルが、補助装置が装着された対物レンズの下へと搬送され、そして、補助装置が、露光距離まで降下される。サーモスタットにより温度調整された浸液を、基板テーブルを円運動させながら相応の開口部を介して供給することによって、フォトレジストあるいは界面活性剤と、補助装置に装着された光透過性のディスクの下縁あるいはリングとの間に、安定した浸液膜が形成される。」(抄訳13頁下から9行?下から5行)、
「後続のステップでは、第1の露光位置への移動が行われ、その一方で、さらなる浸液が供給され、半導体基板が位置決めされ、第1の露光ステップが実施される。」(抄訳13頁下から4行?下から3行)、
「半導体基板が完全に露光されるまで、さらなる連続的な複数回の露光が、最初の露光と同様に行われ、そして浸液の供給が停止される。」(抄訳13頁下から2行?末行)

f 図1として次の図。


(イ)上記(ア)によれば、乙1には次の発明(以下「乙1発明」という。)が記載されていると認められる。
「マスク構造を連続的に投影結像するための液浸対物レンズを含む、装置であって、
液浸対物レンズは、補助装置7を有しており、この補助装置7は、一重壁に形成されており、対物レンズ側で最後の光学部材2と先細りされた下側の開口部との間に空間4を形成しており、
フォトレジスト26によって被覆された半導体基板25の方を向いた、補助装置7の下側の開口部では、像面の直径に相応したフレーム3.1内に光透過性のディスク3が設けられており、また、補助装置7の対物レンズ側の開口部は、リング6ならびに下側のストッパ6.1及び上側のストッパ6.2を有しており、
先細りされた側において、光透過性のディスク3と同一平面上に位置するリング9.1には、複数の孔/開口部10;11が設けられており、これらの孔/開口部10;11は、それぞれ光軸Aを中心とした相互に異なる2つの部分円上に配置されており、
開口部10は、内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられており、供給管17ならびに貯蔵装置28を介して中央において圧力補償および蓄積装置と接続されており、
外側の部分円上には、少なくとも2つ以上の開口部11が間隔を空けて設けられており、これらの開口部11は、貯蔵装置29を備える排出管18を有しており、
補助装置の始動時/始動前には、浸液4.1は相応の蓄積装置内にあり、露光距離である間隙aは、補助装置7の降下またはウェハテーブルの上昇によって調整されており、
第1の露光ステップに分類されている基板テーブル16の相対移動と一緒に、浸液4.1が、フォトレジスト26によって被覆されている半導体基板25の表面へと、供給管17を介して開口部10を通して供給され、この際、この供給は、間隔aが均一な液体膜で満たされるように、かつ基板テーブル16の相対移動に基づいてリング9.1の上流側に薄い液体壁4.2が生じるように行われるものであり、
供給管17を介して液体が供給された後、ならびに露光ステップが実施された後、貯蔵装置28,29;30と、圧力補償および蓄積装置14とを相応に制御することによって、浸液4.1は、排出管18を通じている開口部11を介して排出され、下流側に接続されている、クリーニング、温度調整、および蓄積のための装置8;14へと送られる
装置。」

イ 乙2
本件優先日前に頒布された刊行物である乙2には、次の事項が記載されていると認められる。
a 「投影光学系PLを介しての投影像を光電検出する光電検出手段としての光電センサユニット100であって、ウエハステージ50の一端部上面の突設部50a、受光ガラス62、受光ガラス62上の遮光体64aによって形成された開口パターン64、リレー光学系(66、68)、折り曲げミラー69及び光電センサユニット70によって構成されているもの(【0046】、【0049】)。」

b 図1として次の図。


c 図2として次の図。


ウ 乙3
本件優先日前に頒布された刊行物である乙3には、次の事項が記載されていると認められる。
a 「ウエハステージWSTの一端部上面に設けられた上部が開口した突設部58a部分に設けられている空間像計測器59であって、突設部58aの開口を塞ぐ状態で上方から嵌め込まれた平面視長方形の受光ガラス82、この受光ガラス82の上面に形成され、その一部にスリット22が形成された遮光膜を兼ねる反射膜83、スリット22下方ウエハステージWST内部に配置されたレンズ84、86から成るリレー光学系、該リレー光学系(84、86)によって所定光路長分だけリレーされる照明光束(像光束)の光路を折り曲げる折り曲げミラー88、及び光電変換素子としての光センサ24等を含んで構成されているもの(【0066】)。」

b 図2として次の図。


エ 乙4
本件優先日前に頒布された刊行物である乙4には、次の事項が記載されていると認められる。
a 「空間像計測系46であって、ウエハステージ39上のウエハホルダ38の近傍には、ガラス基板よりなる走査板43が設置され、走査板43上の遮光膜中にほぼ正方形の開口パターン43aが形成され、ウエハステージ39中の走査板43の底面側に集光レンズ44、及び光電検出器45が配置され、走査板43、集光レンズ44、及び光電検出器45よりテレセントリシティ計測機構として構成された空間像計測系46(【0066】)。」

b 図1として次の図。


オ 乙8?乙10
乙8は、平成27年4月30日に作成された証言録取であり、本件侵害事件の原告(本件審判請求人)の専門家が、乙9に記載された露光装置について、「液浸ツールにおいては、ある種の測定される特性について、その測定は液浸下で行わなければならない。・・・そのようにすることは、これらの発明以前における慣例的な方法であると考えられる。」と述べている。
乙10は、乙8に登場する「Taniguchi400」が乙9であることを説明したものである。

カ 乙11?乙15
これらの証拠は、本件侵害事件の原告(本件審判請求人)が、平成29年(ワ)第27577号損害賠償請求事件における第4準備書面(乙15)において、液浸タイプの露光装置に係る主引用文献(乙11)にドライ型露光装置の基板ステージに設けられたセンサを開示する文献(乙12?乙14)を組み合わせることが容易想到である旨主張したことに関するものである。

キ 乙16
「このような普遍的ないし周知の課題が存在する状況においては、刊行物1、2に訂正発明の課題が提示されていると否とにかかわりなく、刊行物1の発明に刊行物2の構成を適用する動機付けは存在するといってよい。」との判示が記載されている。

(4)無効理由1(サポート要件違反)についての検討
ア サポート要件適合性の有無の判断手法
(ア)特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(イ)ここで、発明の詳細な説明には、「発明が解決しようとする課題及びその解決手段」その他当業者が発明の意義を理解するために必要な事項の記載が義務付けられているものである(特許法施行規則24条の2)から、サポート要件の適否を判断する前提としての当該発明の課題についても、出願時の技術常識を参酌しつつ、発明の詳細な説明の記載に基づいてこれを認定するのが相当である。

(ウ)もっとも、発明の詳細な説明に明示的に記載された課題が、発明の詳細な説明の他の記載や出願時の技術常識からみて、請求項に係る発明の課題として不合理なものである場合(例えば、分割出願と原出願において、発明の詳細な説明に明示的に記載された課題が同じであり、その課題が、発明の詳細な説明の他の記載や出願時の技術常識からみて、請求項に係る発明の課題として不合理なものである場合)には、明細書及び図面の全ての記載に加え、出願時の技術常識を考慮した上で、課題を認定することも許されると解される。

(エ)以上を踏まえ、本件訂正発明の記載のサポート要件適合性について判断する。

イ 本件明細書の記載
本件明細書には、次の記載がある。
(ア)「【技術分野】」、
「本発明は、投影光学系と液体とを介して基板に露光光を照射して露光する露光方法及びデバイス製造方法に関する。・・・」(【0001】)

(イ)「【背景技術】」、
「半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、所謂フォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k_(1)・λ/NA … (1)
δ=±k_(2)・λ/NA^(2) … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k_(1)、k_(2)はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。」(【0002】)、
「焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2?1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。」(【0003】)

(ウ)「【先行技術文献】」、
「【特許文献】」、
「【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット」(【0004】)

(エ)「【発明が解決しようとする課題】」、
「ところで、上記従来技術は、液体供給装置及び液体回収装置により液体の供給及び回収を行うことで基板上に液浸領域を形成しているが、液体を回収するときに音や振動が発生する可能性があり、発生した音や振動が露光精度や各種の計測精度に影響を及ぼすおそれがある。」(【0005】)、
「また、露光精度や各種の計測精度を維持するためや基板上に露光されるパターンの劣化を防止するために液体を良好に回収することも重要である。液体を十分に回収できないと、例えば基板上に残存した液体が乾燥して、そこに液体の付着跡(水紋(ウォーターマーク))が生じたり、残存した液体が周辺の機械部品に飛散して錆を生じさせる不都合も生じる。また、液体が残存したり飛散すると、基板がおかれている環境(湿度等)の変動をもたらし、ステージ位置計測に用いる光干渉計の検出光の光路上の屈折率の変化を引き起こす等、露光処理に関する種々の計測動作に影響を与える可能性があり露光精度を低下させる。」(【0006】)、
「本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投影光学系と液体とを介して基板に露光光を照射することによって露光するときの露光精度を維持できる露光方法、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。」(【0007】)

(オ)「【課題を解決するための手段】」、
「本発明の第1の態様に従えば、基板を保持して移動可能な移動体の上面と投影光学系との間に局所的に液浸領域を形成し、前記投影光学系と前記液浸領域を形成する液体とを介して前記基板上に露光光を照射するとともに、該露光光に対して前記基板を移動することによって、前記基板上の複数のショット領域のそれぞれを走査露光する露光方法であって、前記基板の移動速度は、前記複数のショット領域のそれぞれの前記基板上での位置に応じて決定される露光方法が提供される。」(【0008】)、
「なお、ここでいう移動体の上面とは、その移動体に保持されている基板の表面も含むものである。」(【0009】)、
「本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の露光方法を用いるデバイス製造方法が提供される。」(【0010】)

(カ)「【発明を実施するための形態】」、
「以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。」(【0012】)、
「投影光学系PLの終端部の光学素子2の近傍には流路形成部材30が配置されている。」(【0027】)、
「流路形成部材30は、基板P(基板ステージPST)の上方において光学素子2の周りを囲むように設けられた環状部材である。流路形成部材30は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面(基板ステージPST上面)に対向するように配置された第1供給口13と第2供給口14とを備えている。また、流路形成部材30は、その内部に供給流路82(82A、82B)を有している。供給流路82Aの一端部は第1供給口13に接続し、他端部は第1供給管11Aを介して第1液体供給部11に接続している。供給流路82Bの一端部は第2供給口14に接続し、他端部は第2供給管12Aを介して第2液体供給部12に接続している。更に、流路形成部材30は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された回収口23を備えている。本実施形態において、流路形成部材30は、4つの回収口23A?23Dを有している。また、流路形成部材30は、その内部に回収口23(23A?23D)に対応した回収流路84(84A?84D)を有している。回収流路84A?84Dの一端部は回収口23A?23Dにそれぞれ接続し、他端部は回収管22A?22Dを介して液体回収部21にそれぞれ接続している。本実施形態において、流路形成部材30は液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。」(【0028】)、
「また、プレート部57の平坦面57Aのうち他方の幅広部には、光センサ部58が設けられている。光センサ部58は、投影光学系PLを通過した露光光ELを検出するものであって、投影光学系PLの像面側での露光光ELの照射量(照度)を検出する照度センサ、あるいは投影領域AR1の照度分布(照度むら)を検出する照度むらセンサにより構成されている。光センサ部58は、プレート部57に設けられ、基板Pの表面とほぼ同じ高さを有し、露光光ELを透過可能な透明部材と、Zステージ52(基板ステージPST)に埋設され、前記透明部材を介した露光光ELを受光する受光素子とを備えている。なお、ここでは、基準マークFMはプレート部57に設けられているが、プレート部57とは別に基準マークFMを配置するための基準マーク部材を基板ステージPST上に設けてもよい。同様に、光センサ部58を、基板ステージPST上のうちプレート部57とは別の位置に設けるようにしてもよい。」(【0039】)、
「図4は、流路形成部材30の概略斜視図である。」(【0041】)、
「図4に示すように、流路形成部材30は、投影光学系PLの終端部の光学素子2の周りを囲むように設けられた環状部材であって、第1部材31と、第1部材31の上部に配置される第2部材32と、第2部材32の上部に配置される第3部材33とを備えている。
流路形成部材30を構成する第1?第3部材31?33のそれぞれは板状部材であってその中央部に投影光学系PL(光学素子2)を配置可能な穴部31A?33Aを有している。第1?第4回収管22A?22Dの途中には、第1?第4バルブ24A?24Dがそれぞれ設けられている。」(【0042】)、
「流路形成部材30の内側面30Tと、投影光学系PLのうち液体1と接する終端部の光学素子2の側面2Tとの間には微小間隙100が形成されている。微小間隙100は、投影光学系PLの光学素子2と流路形成部材30とを振動的に分離するために設けられたものであり、これにより、液体供給機構10や液体回収機構20で発生した振動が、投影光学系PLに伝達することを防ぐことができる。流路形成部材30を含む液体供給機構10及び液体回収機構20のそれぞれは、投影光学系PL及びこの投影光学系PLを支持する支持部材以外の支持部材で支持されている。」(【0056】)、
「以上説明したように、基板Pに対する露光動作中など、露光光ELが投影光学系PLの像面側に照射されているときに、液体回収機構20による液体1の回収を行わないようにすることで、その基板Pに対する露光動作中に、液体1の回収動作に起因する音や振動を発生させないようにすることができる。したがって、音や振動によって露光精度が低下する不都合を防止することができる。」(【0089】)、
「また、本実施形態では、基板Pに対する露光完了後に、液体回収機構20の回収口23に対して基板Pを保持した基板ステージPSTをXY方向に移動することで、回収しきれずに基板P上あるいは基板ステージPST上に残存した液体1や基板PのエッジのギャップG1やギャップG2の液体を回収することができる。したがって、残存する液体1に起因するウォーターマークの発生や、装置の錆び、あるいは環境の変動等といった不都合の発生を防止することができる。」(【0090】)
「なお、上述の実施形態において、露光中あるいは露光の前後に、基板Pのエッジとプレート部57との境界が液浸領域AR2に含まれてしまうようなショット領域(例えばS3、S6、S15、S18)を露光するときの基板P(基板ステージPST)の走査速度を、基板Pの中央付近のショット領域(例えばS9)を露光するときの基板Pの走査速度よりも低く設定してもよい。これにより、プレート部57の上面57Aと基板P表面との間にわずかな段差が生じていても、投影光学系PLと基板Pとの間の液体1の圧力変化を抑制することができ、その圧力変化に起因する投影光学系PL(レンズ2)の変動や基板ステージPSTの変動を防止することができる。また液体1の流出や飛散も抑えることができる。更に、露光時に限らず、基板Pのエッジとプレート部57との境界が液浸領域AR2内に位置している場合に、基板ステージPSTの移動速度を小さくするようにしてもよい。」(【0092】)

(キ)「本実施形態では、基板Pの露光中にも液体供給機構20による基板P上の液体1の吸引回収動作を行う。そして、本実施形態の特徴的部分は、基板Pの露光中、液体供給機構10による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を、液体回収機構20による基板P上からの単位時間あたりの液体回収量よりも多く点にある。」(【0099】)、
「図15に示すように、制御装置CONTは、基板Pの露光中に、液体供給機構10の供給口13、14より基板P上に液体1を供給するとともに、真空系を備えた液体回収機構20の回収口23より基板Pの上方から基板P上の液体1を吸引回収し、投影光学系PLと基板Pとの間に液体1の液浸領域AR2を形成する。このとき、制御装置CONTは、基板Pの露光中において、液体供給機構10による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を、液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量よりも多くする。」(【0100】)、
「こうすることにより、液体回収機構20が基板Pの上方からその基板P上の液体1を吸引回収するときにその周囲の気体とともに回収し、それによって音や振動が発生しても、その音や振動を低減することができる。すなわち、上述したように、音や振動が発生する原因は、噛み込んだ気体により液体1が回収口23を介して回収流路84に断続的に流入し、断続的に流入することで液体1が粒状に分割され、その分割された液体1が回収流路84や回収管22に衝突することで音や振動を発生する。そこで、露光中の基板P上への液体供給量を回収量よりも多くし、回収口23A?23Dが極力液体1で塞がるようにして、液体回収機構20が液体1を気体とともに回収するときの液体1の割合を多くする。」(【0101】)、
「これにより、気体の噛み込み量が少なくなり、液体1を回収口23を介して回収流路84にほぼ連続的に流入させることができ、回収口23より流入する液体1は分割されにくくなるので、音や振動を低減することができる。」(【0102】)、
「なお、本実施形態において、供給流路82及び回収流路84は流路形成部材30内部に一体で設けられているが、図16に示すように、供給流路82と回収流路84とは互いに異なる部材により形成されていてもよい。図16において、投影光学系PL(光学素子2)の-X側には供給流路82Aを形成する第1供給部材120が設けられ、+X側には供給流路82Bを形成する第2供給部材121が設けられている。第1、第2供給部材120、121それぞれは、テーパ状溝部43、44を有しており、平面視略円弧状の供給口13、14より基板P上に液体1を供給する。また、投影光学系PLの光学素子2及び第1、第2供給部材120、121を取り囲むように、回収流路84を形成する回収部材122が設けられている。本実施形態において、回収流路84に接続する回収口23は、投影光学系PLの投影領域AR1及び供給口13、14の周囲を囲む円環状に形成されている。そして、その回収口23には、複数(4つ)のテーパ状流路123及び回収管22が接続されている。」(【0108】)

(ク)「【産業上の利用可能性】」、
「本発明は、投影光学系の像面側に配置された基板上に、前記投影光学系と液体とを介して露光光を照射することによって前記基板を露光する露光装置であって、前記基板上に液体を供給する液体供給機構と、前記基板上に供給された液体を回収する液体回収機構とを備え、前記露光光が前記投影光学系の像面側に照射されているとき、前記液体回収機構は、前記液体の回収を行わないので、音や振動を低減した状態で露光処理を行うことができ、また、液体の残存に起因するパターンの劣化を防止することができるので、高い露光精度を維持しつつ所望の性能を有するデバイスを製造することができる。」(【0141】)

ウ 判断
(ア)本件明細書に明示的に記載された発明の課題に基づく検討
a 上記イの各記載によれば、本件明細書に明示的に記載された発明の課題は、
第一に、液体供給装置及び液体回収装置により液体の供給及び回収を行うことで基板上に液浸領域を形成している従来技術では、液体を回収するときに音や振動が発生する可能性があり、発生した音や振動が露光精度や各種の計測精度に影響を及ぼすおそれがあること(【0005】、以下「課題1」という。)、
第二に、液体を十分に回収できないと、例えば基板上に残存した液体が乾燥して、そこに液体の付着跡(水紋(ウォーターマーク))が生じたり、残存した液体が周辺の機械部品に飛散して錆を生じさせる不都合も生じ、また、液体が残存したり飛散すると、基板がおかれている環境(湿度等)の変動をもたらし、ステージ位置計測に用いる光干渉計の検出光の光路上の屈折率の変化を引き起こす等、露光処理に関する種々の計測動作に影響を与える可能性があり露光精度を低下させること(【0006】、以下「課題2」という。)、
であると認められる。

b そして、本件明細書には、課題1の解決手段として、「基板Pに対する露光動作中など、露光光ELが投影光学系PLの像面側に照射されているときに、液体回収機構20による液体1の回収を行わないようにすること」(【0089】)、「基板Pの露光中において、液体供給機構10による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を、液体回収機構20による単位時間あたりの液体回収量よりも多くする」こと(【0100】)、が記載されていると認められる。
また、本件明細書には、課題2の解決手段として、「基板Pに対する露光完了後に、液体回収機構20の回収口23に対して基板Pを保持した基板ステージPSTをXY方向に移動することで、回収しきれずに基板P上あるいは基板ステージPST上に残存した液体1や基板PのエッジのギャップG1やギャップG2の液体を回収すること」(【0090】)、「露光中あるいは露光の前後に、基板Pのエッジとプレート部57との境界が液浸領域AR2に含まれてしまうようなショット領域(例えばS3、S6、S15、S18)を露光するときの基板P(基板ステージPST)の走査速度を、基板Pの中央付近のショット領域(例えばS9)を露光するときの基板Pの走査速度よりも低く設定」すること(【0092】)、が記載されていると認められる。

c このように、本件明細書に明示的に記載された課題は、課題1及び課題2である。
そして、本件明細書には、課題1の解決手段が、液体回収機構による液体回収についての具体的な制御に係るものであり、課題2の解決手段が、液体回収機構による液体回収についての具体的な制御に係るもの、あるいは、基板の走査速度の具体的な制御に係るものであることが、記載されている。

d しかしながら、本件訂正発明の記載は、上記cで説示した具体的な制御についての特定事項を含まないから、本件訂正発明は、課題1及び課題2の解決手段を反映したものとはなっていない。
その意味において、本件明細書に明示的に記載された課題が、本件訂正発明の課題であるとは、必ずしもいえないと解される。

(イ)明細書及び図面の全ての記載に加え、出願時の技術常識を考慮した上で、認定した課題に基づく検討
上記ア(ウ)の考え方を踏まえ、さらに検討する。

a 本願は、上記第1のとおり、第1世代出願である特願2005-513370号の第4世代出願に当たるものであって、課題1及び課題2は、第1世代出願に係る明細書に明示的に記載されたものと同じであると認められる。そうすると、本件明細書に明示的に記載された課題が本件訂正発明の課題であるとは必ずしもいえないと解される(上記(ア)d)理由は、本願が分割出願であるからなのであり、また、そのことは、当業者からみても明らかなことである。
そこで、当審は、本件訂正発明の課題を、本件明細書及び図面の全ての記載並びに出願時の技術常識に基づいて認定することとし、その課題に基づいてサポート要件適合性を、以下、判断する。

b 受光素子に関する構成に着目した判断
(a)ところで、本件訂正発明は、次の特定事項を共通して備えている。すなわち、それは、
「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」することについての特定事項(以下「本件特定事項1」という。)である。
このように、本件特定事項1は、本件訂正発明が共通に備えている特定事項なのであるから、本件特定事項1について相当の技術的意義を理解することができれば、この理解に基づいて、本件訂正発明の課題を一括して認定できる余地が生じる。
そこで、まずは、本件特定事項1に着目して、検討を進める。

(b)本件特定事項1では、受光素子には、投影光学系からの露光光が、投影光学系と透過部材との間の液体を介して入射する。そのため、本件特定事項1は、局所的液浸露光の露光装置において、液体を介することなく受光素子が露光光を受光する構成に比べて、より実態に即した露光光を受光することができるという技術的意義を有するといえる。
加えて、本件特定事項1では、受光素子と投影光学系との間に介在する透過部材が、基板ステージに存在する。そのため、本件特定事項1は、局所的液浸露光の露光装置において、当該透過部材が基板ステージに設けられずに別途のステージに設けられている構成に比べて、当該透過部材のための別途のステージを設ける必要がないという技術的意義を有するといえる。
そして、これらの技術的意義が本願(遡及)出願時における技術常識であるとは認められない。
よって、本件訂正発明の課題は、局所的液浸露光の露光装置において、第一に、より実態に即した露光光を受光することが困難であったこと、第二に、透過部材のための別途のステージが必要であったこと、を含むものと認めるのが相当である。そして、本件特定事項1が、これらの各課題の解決手段であると認められる。

(c)本件訂正発明の課題及び解決手段は、上記(b)のとおりに理解できるのであり、本件訂正発明は、技術常識に照らせば、当業者がこれらの課題を解決できると認識できる範囲のものである。
したがって、本件訂正発明の記載は、サポート要件に適合するというべきである。

c 液体回収口が液体供給口を囲むように配置されているとの構成に着目した判断
(a)上記bのとおり、本件訂正発明の記載は、サポート要件に適合しているけれども、当審は、本件侵害事件における両当事者の主張にかんがみ、「液体回収口」が「液体供給口を囲むように配置され」ているとの特定事項(以下「本件特定事項2」という。)に対しても判断を加えることとする。
もっとも、本件訂正発明のうち本件特定事項2を備える発明(以下「本件特定事項2発明」という。)は、本件訂正発明2、本件訂正発明3及び本件訂正発明13並びにこれらを引用する発明であるので、以下の判断は、これらの発明に対してのみ妥当する。

(b)まず、本件特定事項2の「囲む」の意味について検討する。
「囲む」の字義は、広辞苑によれば、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」又は「中に取りこめて周囲をふさぐ。かこう。」であるところ、本件特定事項2は、「投影領域を囲む」、「液体供給口を囲む」と特定しているから、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」との字義が、これに沿うと解される。

次に、本件明細書が「囲む」との用語を字義どおりに使用しているか、それとも、別の意味で使用しているのかについてみると、本件明細書には次の記載がある。
「図2は、流路形成部材30に形成された第1、第2供給口13、14及び第1?第4回収口23A?23Dと、投影光学系PLの投影領域AR1との位置関係を示す平面図である。図2において、投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状に設定されている。液体1が満たされた液浸領域AR2は、投影領域AR1を含むように実質的に4つの回収口23A?23Dで囲まれた領域内であって且つ基板P上の一部に局所的に形成される。第1供給口13は投影領域AR1に対して走査方向一方側(-X側)に設けられ、第2供給口14は他方側(+X側)に設けられている。つまり、第1、第2供給口13、14は、走査方向(X方向)に関して投影領域AR1を挟むようにその両側に配置されている。第1、第2供給口13、14のそれぞれは所定の長さを有する平面視略円弧状のスリット状に形成されている。第1、第2供給口13、14のY軸方向における長さは、少なくとも投影領域AR1のY軸方向における長さより長くなっている。液体供給機構10は、第1、第2供給口13、14より、投影領域AR1の両側で液体1を同時に供給可能である。」【0034】、
「第1?第4回収口23A?23Dは、供給口13、14、及び投影領域AR1を取り囲むように配置されている。複数(4つ)の回収口23A?23Dのうち、第1回収口23Aと第3回収口23CとがX軸方向に関して投影領域AR1を挟んでその両側に配置されており、第2回収口23Bと第4回収口23DとがY軸方向に関して投影領域AR1を挟んでその両側に配置されている。供給口13、14は投影領域AR1と回収口23A、23Cとの間に配置された構成となっている。回収口23A?23Dのそれぞれは平面視略円弧状の所定の長さを有するスリット状に形成されている。回収口23A、23CのY軸方向における長さは、供給口13、14のY軸方向における長さより長くなっている。回収口23B、23Dのそれぞれも回収口23A、23Cとほぼ同じ長さに形成されている。第1?第4回収口23A?23Dは第1?第4回収管22A?22Dのそれぞれを介して液体回収部21に接続されている。」【0035】、
「なお、図1?図15を用いて説明した上記各実施形態において、液体供給機構10の供給口13、14は投影領域AR1に対して走査方向(X軸方向)両側に設けられている構成であるが、非走査方向(Y軸方向)両側に別の供給口を設け、これら複数の供給口を組み合わせて液体供給を行うようにしてもよい。あるいは、供給口は投影領域AR1の周りを全て囲むように環状に設けられてもよい。」【0105】

図2は、次のとおりである。


以上によれば、本件明細書は、図2について、次のように表現している。
すなわち、本件明細書は、第1?第4回収口23A?23Dを、投影領域AR1を取り「囲む」ように配置されていると表現している。また、本件明細書は、複数(4つ)の回収口23A?23Dのうち、第1回収口23Aと第3回収口23Cとが、X軸方向に関して投影領域AR1を「挟」んでその両側に配置されていると表現しており、併せて、第2回収口23Bと第4回収口23Dとが、Y軸方向に関して投影領域AR1を「挟」んでその両側に配置されていると表現している。加えて、本件明細書は、第1、第2供給口13、14が、走査方向(X方向)に関して投影領域AR1を「挟む」ようにその両側に配置されている、と表現している。

このような本件明細書が採用している表現ぶりからみて、本件明細書は、「囲む」との文言を、その字義どおり、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」の意味で使用していると認められる。
他方で、本件明細書は、「挟む」との文言を、挟まれる対象に対して一方向両側に配置されている形態を意味するものとして使用しているともに、「囲む」形態を含めない意味で使用していると認められる。

以上のとおりであるから、本件特定事項2の「囲む」とは、その字義どおり、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」の意味であると認められる一方、挟まれる対象に対して一方向両側に配置されている形態を含まない意味であると認められる。

(c)上記(b)で認定した本件特定事項2の「囲む」の意味によれば、本件特定事項2は、局所的液浸露光の露光装置において、液体回収口が液体供給口を囲んでいない(例えば、液体回収口が液体供給口を挟むように配置されているにとどまる。)構成に比べて、より十分に液体を回収できるという技術的意義を有するといえる。
そして、この技術的意義が本願(遡及)出願時における技術常識であるとは認められない。
よって、本件特定事項2発明の課題は、局所的液浸露光の露光装置において、例えば、液体回収口が液体供給口を挟むように配置されているにとどまる構成に比べて、液体の回収が十分ではなかったことを含むと認めるのが相当である。そして、本件特定事項2が、当該課題の解決手段であると認められる。

(d)本件特定事項2発明の課題及び解決手段は、上記(c)のとおりに理解できるのであり、本件特定事項2発明は、技術常識に照らせば、当業者がこの課題を解決できると認識できる範囲のものである。
したがって、本件特定事項2発明の記載は、サポート要件に適合するというべきである。

(ウ)これに対し、被告は、要するに、本件特許に係る請求項1,2,14に係る発明の課題が課題1及び課題2であるとの前提に立った上で、本件特許に係る請求項1,2,14に係る発明はそのための解決手段を備えない旨主張する。
しかしながら、本件訂正発明及び本件特定事項2発明の課題は、それぞれ、上記(イ)b(b)及び同c(c)のとおり認定できるのであるから、被告の主張は、その前提が失当である。

エ 無効理由1についての小括
以上のとおりであるから、無効理由1は、本件訂正発明の記載に対して、理由がない。

(5)無効理由2(乙1に記載された発明に基づく進歩性欠如)についての検討
ア 本件訂正発明2について
(ア)本件訂正発明2と乙1発明との対比
a 本件訂正発明2の「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、」との特定事項について
(a)乙1発明の「半導体基板25」は、本件訂正発明2の「基板」に相当する。

(b)乙1発明の「マスク構造を連続的に投影結像するための液浸対物レンズを含む、装置」は、本件訂正発明2の「露光装置」に相当する。

(c)乙1発明の「装置」は、「マスク構造を連続的に投影結像する」ものであるから、本件訂正発明2でいう「基板の複数のショット領域のそれぞれを、」「順次露光する」ものといえる。

(d)乙1発明の「装置」は、「第1の露光ステップに分類されている基板テーブル16の相対移動と一緒に、浸液4.1が、フォトレジスト26によって被覆されている半導体基板25の表面へと、供給管17を介して開口部10を通して供給され、この際、この供給は、間隔aが均一な液体膜で満たされるように、かつ基板テーブル16の相対移動に基づいてリング9.1の上流側に薄い液体壁4.2が生じるように行われるものであ」るとともに、「供給管17を介して液体が供給された後、ならびに露光ステップが実施された後、貯蔵装置28,29;30と、圧力補償および蓄積装置14とを相応に制御することによって、浸液4.1は、排出管18を通じている開口部11を介して排出され」るものであるから、上記(c)と併せると、本件訂正発明2でいう「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する」ものと解される。

(e)以上によれば、乙1発明は、本件訂正発明2の「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、」との特定事項を備える。

b 本件訂正発明2の「前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、」との特定事項について
(a)乙1発明の「基板テーブル16」は、本件訂正発明2の「基板ステージ」に相当する。

(b)乙1発明の「基板テーブル16」が基板のためのホルダを有することは、技術常識に照らして明らかである。

(c)そうすると、乙1発明は、本件訂正発明2の「前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、」との特定事項を備える。

c 本件訂正発明2の「光学素子を有する投影光学系と、」との特定事項について
(a)乙1発明の「光透過性のディスク3」は、本件訂正発明2の「光学素子」に相当する。すなわち、「光透過性のディスク3」は、光学的にみれば、いわゆる平行平面板に該当するものと解されるところ、平行平面板であっても一定の光学作用を及ぼすのであるから、本件訂正発明2の「光学素子」に当たるといえる。

(b)乙1発明は、「液浸対物レンズ」を備えるのであるから、本件訂正発明2でいう「投影光学系」を備えることが明らかである。そして、上記(a)で検討した「光透過性のディスク3」も、その「投影光学系」に属するといえる。

(c)以上によれば、乙1発明は、本件訂正発明2の「光学素子を有する投影光学系と、」との特定事項を備える。

d 本件訂正発明2の「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、」との特定事項について
(a)乙1発明の「開口部10」は、「供給管17」と接続されていると解されるから、本件訂正発明2の「液体供給口」に相当する。そして、乙1発明の「開口部10」が、本件訂正発明2でいう「前記基板の表面が対向するように設けられ」ていることは、明らかである。

(b)乙1発明の「開口部11」は、「排出管18」と接続されていると解されるから、本件訂正発明2の「液体回収口」に相当する。そして、乙1発明の「開口部11」が、本件訂正発明2でいう「前記基板の表面が対向するように設けられ」ていることは、明らかである。

(c)乙1発明の「複数の孔/開口部10;11が設けられて」いる「リング9.1」は、本件訂正発明2の「流路形成部材」に相当する。すなわち、本件訂正発明2の「流路形成部材」は、「流路」を「形成」する「部材」であるところ、「流路」とは、「液体供給口」に接続する「流路」と「液体回収口」に接続する「流路」であると解するのが自然であり、このことは、本件明細書の【0028】の「また、流路形成部材30は、その内部に供給流路82(82A、82B)を有している。」、「また、流路形成部材30は、その内部に回収口23(23A?23D)に対応した回収流路84(84A?84D)を有している。」との記載にも沿う。そして、乙1発明において、上記の意味での「流路」を形成している部材は、「リング9.1」である。
また、乙1発明の「リング9.1」は、「リング」である以上、その中央部に、本件訂正発明2でいう「穴部」を有するといえる。
さらに、乙1発明の「リング9.1」と「光透過性のディスク3」とは「同一平面上に位置する」のであるから、「リング9.1」の「穴部」には、「光透過性のディスク3」(本件訂正発明2の「光学素子」に相当。)が「配置され」ていることになる。

(d)以上によれば、本件訂正発明2と乙1発明とは、「前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、」「前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、」との特定事項を備える点で共通する。
しかしながら、「液体供給口」について、乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられて」いるけれども、「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ているのかが不明であり、また、
「液体回収口」について、乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「外側の部分円上には、少なくとも2つ以上の開口部11が間隔を空けて設けられて」いるけれども、「前記液体供給口を囲むように配置され」ているのかが不明である。

e 本件訂正発明2の「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射する」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明2の上記特定事項を備えない。

f 本件訂正発明2の「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、」との特定事項について
後記(オ)のとおり、乙1発明は、本件訂正発明2の上記特定事項を備えない。

g 本件訂正発明2の「前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明2の上記特定事項を備えない。

h 本件訂正発明2の「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明2の上記特定事項を備えない。

(イ)一致点及び相違点の認定
上記(ア)によれば、本件訂正発明2と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、を備える
露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点2-1]
「液体供給口」について、
本件訂正発明2は、「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ているのに対し、
乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられて」いる点。

[相違点2-2]
「液体回収口」について、
本件訂正発明2は、「前記液体供給口を囲むように配置され」ているのに対し、
乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「外側の部分円上には、少なくとも2つ以上の開口部11が間隔を空けて設けられて」いる点。

[相違点2-3]
本件訂正発明2は、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」し、
「前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点2-4]
本件訂正発明2は、「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され」ているのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点2-5]
本件訂正発明2は、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

(ウ)相違点2-1及び2-2の判断
a まず、相違点2-1及び2-2が実質的であるか否かについて検討する。
乙1発明では、開口部10,11が、光軸Aを中心とした「部分円上に」間隔を空けて2つ以上設けられているところ、「部分円」とは、その文言に照らして、「円」の一「部分」を意味すると解される。
そうであれば、開口部10,11が「部分円上」にあることは、それらが「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ていることや、「前記液体供給口を囲むように配置され」ていることを、ただちに意味しない。
すなわち、本件訂正発明2の「囲む」の意味は、上記(4)ウ(イ)c(b)のとおり、「ものを中にしてまわりを取り巻く。」の意味であると認められる一方、挟まれる対象に対して一方向両側に配置されている形態を含まない意味であると認められる。しかるところ、乙1発明では、開口部10,11が光軸Aを中心とした「部分円上に」存在するとしても、「挟む」にとどまる余地があるから、このように存在しているからといって、ただちに、本件訂正発明2でいう「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」とか、「前記液体供給口を囲むように配置され」を満たすものとはいえないのである。
よって、相違点2-1及び2-2は、実質的であるというべきである。

b そして、相違点2-1及び2-2を解消するに至ることを示す証拠も技術常識もない。
したがって、当業者が、乙1発明に基づいて相違点2-1及び2-2の構成に容易に至ることはない。

c これに対し、被告は、乙1が相違点2-1及び2-2に係る構成を開示している旨主張し、その根拠として、乙1の開口部10,11が、「光軸Aを中心とした相互に異なる2つの部分円上に配置されている」ことを挙げる(被告準備書面(10)2頁7行?5頁4行)。
しかしながら、上記aのとおりであるから、被告の主張は、採用できない。

(エ)相違点2-3の判断
a 判断
(a)乙1発明において相違点2-3の構成に至るためには、少なくとも、
第一に、乙1発明の基板テーブル16(本件訂正発明2の「基板ステージ」に相当。)に「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材」を設けること、
第二に、「前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子」を設けること、
第三に、当該「受光素子」に「前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」させること、
が必要である。すなわち、乙1発明の基板テーブル16に、受光素子へ到達する露光光を透過させるための「透過部材」を設けるとともに、その「透過部材」が浸液(本件訂正発明2の「液体」に相当。)によって濡れるという構成にすることが、少なくとも必要である。
そこで、まず、当業者が、乙1発明に基づいて、そのような構成に容易に至るかについて検討する。

(b)乙1発明は露光装置に係るものであるから、露光光の特性を計測することは、当然に求められることである。また、その際、露光光の特性として入手したい値が、実態に即した値(すなわち、介在する液体の存在を踏まえた値)であることも明らかである。
さらに、乙2?乙4の記載事項(上記(3)イ?エ)によれば、相違点2-3に係る構成のうち、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ」る構成は、本件優先日前に周知技術であったと認められる。

(c)しかしながら、乙2?乙4に記載された受光素子構造は、いずれも、局所液浸方式に係るものではなく、さらにいえば、液浸方式に係るものでもない。
そして、局所液浸方式では、浸液が露光光の照射される領域を覆う状態を維持しなければならない一方、非液浸方式にはそのような課題はないから、その意味で、局所液浸方式と非液浸方式とは技術分野が異なる。この点、当該課題と関連性のない構成を適用できるか否かの検討に際しては、上記の意味での技術分野の相違を重要視する必要はないけれども、上記(a)で指摘した構成は、当該課題と関連性をもち得るといえる。
よって、当業者が、乙1発明のような局所液浸方式の露光装置に対して局所液浸方式ではない乙2?乙4に記載された受光素子構造を適用することが動機付けられるとは、いえないというべきである。

(d)仮に、乙2?乙4に記載された受光素子構造を乙1発明に適用することができたとしても、当業者は、当該適用後の構成における「透過部材」が浸液によって濡れる構成とすることに至らない。
すなわち、まず、乙2?乙4は、「前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」する構成(上記(a)でいう「透過部材」が「液体」によって濡れる構成)を開示していない。
また、乙1発明において乙2?乙4に記載された受光素子構造を適用した後に、実態に即した露光光の特性値を得ようとするために、「透過部材」が浸液によって濡れる構成とすることは、浸液が露光光の照射される領域を覆う状態を維持しなければならないという新たに生じた課題を解決しなければならない以上、容易とは言い難い。さらにいえば、当業者が、実態に即した露光光の特性値を得ようとするためには、「透過部材」が浸液によって濡れる構成とすることが唯一の選択肢というわけではなく、例えば、浸液を介さずに露光光を受光素子に入射させて、得られた結果を液体を介した値になるように計算によって補正するなどの構成とすることもあり得るところであるから、その意味でも、容易想到性を肯定するに足りない。
したがって、乙2?乙4に記載された受光素子構造を乙1発明に適用することができたとしても、当業者は、「透過部材」が浸液によって濡れる構成とすることに至らないのである。

(e)さらに、当業者が、乙1発明において、乙2?乙4の受光素子構造を乙1発明に適用した後に、「透過部材」が「液体」によって濡れる構成を採用することは、次の点からも否定される。
すなわち、乙1発明は、「ウェハ縁部、ウェハテーブル、およびウェハ裏面が浸液によって濡れることを排除すること」をその目的の一つとするものである(上記(3)ア(ア)c)。そして、乙1発明に乙2?乙4に記載された受光素子構造を適用すると、「透過部材」が乙1発明の基板テーブル16に設けられる構成が得られる。しかるところ、この構成に対して、「透過部材」が浸液で濡れるようにさらに構成変更すると、基板テーブル16(「ウェハテーブル」と同じ意味であると解される。)も濡れるとの結果をもたらすのであり、この結果は、上記の目的とは整合しない。
よって、当業者が、乙1発明において乙2?乙4に記載された受光素子構造を採用した後に、「透過部材」が「液体」によって濡れる構成とすることは、阻害されるのである。

(f)そして、相違点2-3に係る構成のうち、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」という構成を採用することは、上記(4)ウ(イ)b(b)のとおり、局所的液浸露光の露光装置において、液体を介することなく受光素子に露光光が入射する構成に比べて、より実態に即した露光光を受光することができるという技術的意義や、局所的液浸露光の露光装置において、当該透過部材が基板ステージに設けられずに別途のステージに設けられている構成に比べて、当該透過部材のための別途のステージを設ける必要がないという技術的意義をもたらすものである。

(g)以上によれば、当業者は、乙1発明に乙2?乙4に記載された受光素子構造を適用することは困難であるし、仮に、適用できたとしても、当該適用後の「透過部材」が浸液によって濡れるという構成、すなわち、「前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」させるとの構成に至らない。
したがって、相違点2-3に係る構成のうち、「前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するとの構成の容易想到性について判断するまでもなく、当業者は、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて、相違点2-3の構成に至ることはない。

b 被告の主張について
(a)被告は、乙2?乙4に「基板ステージとの間の大きな凹部」が記載されているとしても、それは、乙2?乙4に記載された技術的事項における特定のセンサの配置に由来するものにすぎないから、乙1発明に対して乙2?乙4のセンサを適用するに当たり、当該凹部までをも乙1に適用すべき理由はない旨主張する(被告準備書面(10)14頁8行?15頁1行)。
しかしながら、被告が主張する事情は、上記a(c)?(e)の判断を左右するものではない。

(b)被告は、乙1発明が液浸露光装置に係るものであること、及び、受光素子を採用するとすれば、その際の受光環境は、実際の露光における環境(条件)と同じにするのが通常であることからすると、乙1発明において「受光素子」を採用することが容易想到であるとされれば、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」するとの構成も自ずと容易想到することになる旨主張する(被告準備書面(10)11頁10行?12頁下から5行)。
しかしながら、被告が主張する事情は、少なくとも、上記a(d)及び(e)の判断を左右するものではない。

(c)被告は、ドライの露光装置におけるセンサを液浸タイプの露光装置に適用した場合に、センサが液体の下に置かれることになることについては、本件侵害事件の原告(本件審判請求人)の専門家が明確に述べている(乙8)旨主張する(被告準備書面(10)12頁下から4行?13頁下から2行)。
しかしながら、乙8の内容は、当該専門家の意見を示したものにすぎないから、本件優先日前の事情を立証したことにならない。

(d)被告は、本件侵害事件の原告(本件審判請求人)が、平成29年(ワ)第27577号損害賠償請求事件では、本件侵害事件における被告の主張と同様の主張をしている旨主張する(被告準備書面(10)15頁9行?下から3行)が、かかる主張は、相違点2-3の判断とは関係のない事情にすぎない。

(オ)相違点2-4の判断
a 相違点2-4の存在を認定したとおり、乙1は、「光透過性のディスク3」(本件訂正発明2の「光学素子」に相当。)と「リング9.1」(本件訂正発明2の「流路形成部材」に相当。)との間に、「ギャップ」が形成されていることを開示しない。この点、乙1のFig.1は、「フレーム3.1」(「光透過性のディスク3」をその内に設けている。)と「リング9.1」との間に、「間隙」を描いているけれども、この図が設計図とはいえない以上、図面とおりに「間隙」があるとは認定できない。むしろ、当業者は、かかる「間隙」を、実際には存在しないものとして認識するというべきである。なぜならば、乙1発明は、「浸液4.1が、フォトレジスト26によって被覆されている半導体基板25の表面へと、供給管17を介して開口部10を通して供給され、この供給は、間隔aが均一な液体膜で満たされる」ものであるし、また、このような場合に、仮に「間隙」が存在するとなると、液体がそこから漏れかねないけれども、その必要性が特段見当たらないからである(なお、仮に、乙1発明の「補助部材7」が、「リング9.1」と分離して可動するものであるならば、その必要性が認められる余地が生じるけれども、両者は一体であると認められる(このことは、乙1発明の「露光距離である間隙aは、補助装置7の降下またはウェハテーブルの上昇によって調整され」ることから、明らかである。)から、そうとはいえない。)。
しかるところ、乙1発明において、「光透過性のディスク3」と「リング9.1」との間に、「ギャップ」を形成することが容易想到であることを示す証拠も技術常識も存在しない。
したがって、当業者が、乙1発明に基づいて相違点2-4の構成に容易に至ることはない。

b(a)これに対し、被告は、乙1が相違点2-4に係る構成を開示している旨主張し、その根拠として、要するに、乙1発明の「最後の光学部材2」を本件訂正発明2の「光学素子」に相当させるとともに、乙1発明の「補助装置7」を本件訂正発明2の「流路形成部材」に含まれるものと位置づけた上で、乙1のFig.1によれば、「補助装置7」と「最後の光学部材2」との間に「ギャップ」が形成されていることが見て取れることを挙げる(被告準備書面(6)12頁下から4行?13頁下から5行、同(10)8頁下から3行?10頁下から10行)。


そこで、被告の上記主張について検討する。

(b)まず、被告の主張のうち、乙1発明の「最後の光学部材2」を本件訂正発明2の「光学素子」に相当させることは可能であると認められる。もっとも、被告は、さらに、乙1発明の「補助装置7」を本件訂正発明2の「流路形成部材」に含まれるものと位置づけることを前提としているが、その前提については、以下のとおり、相当でない。
すなわち、上記(ア)d(c)のとおり、乙1発明の「リング9.1」が本件訂正発明2の「流路形成部材」に相当するところ、乙1は、「補助装置7」と「リング9.1」とを別部材として位置づけているから、乙1発明の「補助装置7」を「流路形成部材」に含まれると位置づけることは不自然であるというべきである。この点、被告は、「補助装置7」と「リング9.1」とが接続されていることをもって、「補助装置7」が「流路形成部材」に含まれる旨主張するけれども(被告準備書面(10)7頁2行?末行)、「補助装置7」は「流路形成」の機能に何ら貢献していない(すなわち、「補助装置7」を除去した形態を観念しても、「リング9.1」が有する「流路形成」機能は、何ら阻害されない。)ことからみて相当でない。乙1の「補助装置7の下面にリング9が設けられており」(乙1抄訳10頁1行)の記載は、上記認定を左右しない。
したがって、被告の主張は、その前提が失当である。

(c)仮に、乙1発明の「補助装置7」を本件訂正発明2の「流路形成部材」に含まれると位置づけるという上記前提を認めることができたとしても、以下のとおり、被告が主張するところの、乙1のFig.1における「補助装置7」と「最後の光学部材2」との間の位置(上記(a)参照。)には、本件訂正発明2でいう「ギャップ」に相当する構成は存在しない。

まず、同図は、設計図とはいえないから、同図に記載されたとおりの「間隙」があるとは認定できない。また、乙1の上記位置に「間隙」があることを理解できるとしても、乙1発明では、「補助装置7」の位置が「上側のストッパ6.2」と「下側のストッパ6.1」との間で調整され得ると解されるから、その「間隙」は、せいぜい、嵌め合いとして存在するにすぎないものと理解される。

他方で、本件訂正発明2の「ギャップ」は、「投影光学系の光学素子」と「流路形成部材」とを振動的に分離する程度のものと解される。
この点、本件訂正発明2の特定事項は「ギャップ」がどの程度の間隙を意味するのかについて明記していないけれども、どの程度の間隙であればそれを「ギャップ」と称してよいのかは、用途や機能によって異なると解されるから、一概には定まらないし、また、本件訂正発明2は、「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され」とあえて特定しているのであるから、当該「ギャップ」は、何らかの意図をもった設計的なものであると解される。それにもかかわらず、本件訂正発明2の特定事項は、いかなる意味における「ギャップ」なのかについてを明記していないのであるから、本件明細書の記載を参酌して「ギャップ」の意味を明らかにすべきである。そこで、本件明細書の記載をみると、その【0056】には、「流路形成部材30の内側面30Tと、投影光学系PLのうち液体1と接する終端部の光学素子2の側面2Tとの間には微小間隙100が形成されている。微小間隙100は、投影光学系PLの光学素子2と流路形成部材30とを振動的に分離するために設けられたものであり、これにより、液体供給機構10や液体回収機構20で発生した振動が、投影光学系PLに伝達することを防ぐことができる。・・・」と記載されている。このように、本件明細書の上記記載を参酌して、本件訂正発明2の「ギャップ」を上記のとおり解することができる。

以上によれば、乙1発明が上記位置に「間隙」を備えるものとしても、その「間隙」と本件訂正発明2の「ギャップ」とは、機能が一致するとはいえない。そうすると、乙1発明の当該「間隙」をもって、本件訂正発明2の「ギャップ」に相当するとはいえないというべきである。
そして、当該「間隙」を、本件訂正発明2の「ギャップ」にすることが容易想到であることを示す証拠及び技術常識は、存在しない。
したがって、上記前提を認めることができるとしても、当業者は、相違点2-4の構成に至らないのである。

(カ)その他の被告の主張について
a 被告は、乙1発明の「補助装置7」、「光透過性のディスク3」及び「リング9.1」が一体として、本件訂正発明2の「流路形成部材」に相当するとの前提のもとで、乙1発明の「補助装置7」の上側の開口部から下側の開口部までの空間が、本件訂正発明2の「穴部」に相当する旨主張するようである(被告準備書面(10)5頁5行?6頁下から6行)。


しかしながら、上記(オ)b(b)と同様の理由で、乙1発明の「光透過性のディスク3」についても、本件訂正発明2の「流路形成部材」に相当するとはいえないというべきである。したがって、被告の主張は、その前提が失当である。

b(a)仮に、その点を措き、被告が主張する上記前提を認めることができるとしても、以下のとおり、乙1発明の「補助装置7」の上側の開口部から下側の開口部までの空間が、本件訂正発明2の「穴部」に相当するとはいえない。
まず、本件訂正発明2の「・・・穴部が形成されている流路形成部材」の「穴部」の意味を検討する。「穴」の字義は、「くぼんだ所。または、向うまで突き抜けた所。」であるところ、本件明細書においては、「流路形成部材」に関する「穴」との文言が、「くぼんだ所」ではなく、「向うまで突き抜けた所」の意味でのみ使用されていると認められる(本件明細書の【0042】の「流路形成部材30を構成する第1?第3部材31?33のそれぞれは板状部材であってその中央部に投影光学系PL(光学素子2)を配置可能な穴部31A?33Aを有している。」との記載及び図4?11,15を参照。)。そうすると、本件訂正発明2の「・・・穴部が形成されている流路形成部材」の「穴部」とは、いわゆる貫通孔の意味であると解される。
他方で、乙1発明の「補助装置7」の上側の開口部から下側の開口部までの空間は、貫通孔ではない。
よって、乙1発明の上記空間は、本件訂正発明2の「穴部」に相当しない。

(b)そして、当該空間を、本件訂正発明2の「穴部」にすることが容易想到であることを示す証拠及び技術常識は、存在しない。
したがって、被告が主張する上記前提を認めたとしても、当業者は、乙1発明に基づいて本件訂正発明2の「穴部」の構成に至らない。被告の主張は失当である。

(キ)本件訂正発明2についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明2は、相違点2-5について判断するまでもなく、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明2を引用するものであるから、本件訂正発明2で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件訂正発明4について
(ア)本件訂正発明4と乙1発明との対比
a 本件訂正発明4の「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、」との特定事項について
上記ア(ア)a?cと同様の理由で、乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備える。

b 本件訂正発明4の「前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、」との特定事項について
上記ア(ア)dに照らせば、乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備えることになる。

c 本件訂正発明4の「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、」及び「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備えない。

d 本件訂正発明4の「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備えない。

e 本件訂正発明4の「前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、」との特定事項について
上記ア(ア)cと同様に、乙1発明の「光透過性のディスク3」が、本件訂正発明4の「光学素子」に相当するところ、乙1発明では、「光透過性のディスク3」が、「リング9.1」と「同一平面上に位置する」から、「前記投影光学系の像面側の終端部に設けられて」いるといえる。
したがって、乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備える。

f 本件訂正発明4の「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項について
乙1発明は、本件訂正発明4の上記特定事項を備えない。

(イ)一致点及び相違点の認定
上記(ア)によれば、本件訂正発明4と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触する、
露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点4-1]
本件訂正発明4は、
「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、」
「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点4-2]
本件訂正発明4は、
「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であ」るのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点4-3]
本件訂正発明4は、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」のに対し、乙1発明は、そうではない点。

(ウ)相違点4-1の判断
相違点4-1は、本件訂正発明2についての相違点2-3と同一である。
したがって、上記ア(エ)と同様の理由で、当業者が、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて、相違点4-1の構成に容易に至ることはない。

(エ)相違点4-2の判断
相違点4-2は、本件訂正発明2についての相違点2-4を包含するものである。
したがって、上記ア(オ)aと同様の理由で、当業者が、乙1発明に基づいて相違点4-2の構成に容易に至ることはない。
なお、上記ア(オ)bの判断は、乙1発明の「最後の光学部材2」を本件訂正発明2の「光学素子」に相当させることができるという認定(上記ア(オ)b(b))を前提としたものであるから、「前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、」との特定事項を備える本件訂正発明4には、妥当しない。

(オ)本件訂正発明4についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明4は、相違点4-3について判断するまでもなく、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件訂正発明5について
(ア)一致点及び相違点の認定
上記ア(ア)及びウ(ア)からすると、本件訂正発明5と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
を有する露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点5-1]
本件訂正発明5は、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」するものであるのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点5-2]
本件訂正発明5は、「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

(イ)相違点5-1の判断
相違点5-1は、本件訂正発明2についての相違点2-3から、「前記透過部材と前記光学素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」する点を省いたものである。しかしながら、相違点5-1は、局所液浸方式において「前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射」する構成や「前記基板ステージに設けられ」た「透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する」ような位置に「受光素子」を設ける構成を含むものである。よって、相違点5-1に対しても、上記ア(エ)の判断が、引き続き妥当する。
したがって、当業者が、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて、相違点5-1の構成に容易に至ることはない。

(ウ)相違点5-2の判断
相違点5-2は、本件訂正発明2についての相違点2-4を包含するものである。
したがって、上記ア(オ)と同様の理由で、当業者が乙1発明に基づいて相違点5-2の構成に容易に至ることはない。

(エ)本件訂正発明5についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明5は、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件訂正発明6について
本件訂正発明6は、本件訂正発明2?5を引用するものである。
したがって、本件訂正発明6は、本件訂正発明2?5で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

カ 本件訂正発明8について
本件訂正発明8は、本件訂正発明2?6を引用するものである。
したがって、本件訂正発明8は、本件訂正発明2?6で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

キ 本件訂正発明12-5について
本件訂正発明12-5は、本件訂正発明5を引用するものである。
したがって、本件訂正発明12-5は、本件訂正発明5で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

ク 本件訂正発明12-7について
(ア)一致点・相違点の認定
上記ア(ア)及びウ(ア)からすると、本件訂正発明12-7と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触する、
露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点12-7-1]
本件訂正発明12-7は、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、」
「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点12-7-2]
本件訂正発明12-7は、「前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点12-7-3]
「液体供給口」について、本件訂正発明12-7は、「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ているのに対し、乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられて」いる点。

(イ)相違点12-7-1の判断
相違点12-7-1は、本件訂正発明2についての相違点2-3と同一である。
したがって、上記ア(エ)と同様の理由で、当業者が、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて、相違点12-7-1の構成に容易に至ることはない。

(ウ)相違点12-7-2の判断
相違点12-7-2は、本件訂正発明2についての相違点2-4を包含するものである。
したがって、上記ア(オ)aと同様の理由で、当業者が、乙1発明に基づいて相違点12-7-2の構成に容易に至ることはない。
なお、上記ア(オ)bの判断は、乙1発明の「最後の光学部材2」を本件訂正発明2の「光学素子」に相当させることができるという認定(上記ア(オ)b(b))を前提としたものであるから、「前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、」との特定事項を備える本件訂正発明12-7には、妥当しない。

(エ)相違点12-7-3の判断
相違点12-7-3は、本件訂正発明2についての相違点2-1と同一である。
したがって、上記ア(ウ)と同様の理由で、当業者が、乙1発明に基づいて相違点12-7-3の構成に容易に至ることはない。

(オ)本件訂正発明12-7についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明12-7は、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

ケ 本件訂正発明12-9について
(ア)一致点・相違点の認定
上記ア(ア)及びウ(ア)からすると、本件訂正発明12-9と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、を備える
露光装置であり、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触する、
露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点12-9-1]
本件訂正発明12-9は、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、」
「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点12-9-2]
「液体供給口」について、本件訂正発明12-9は、「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ているのに対し、乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられて」いる点。

[相違点12-9-3]
本件訂正発明12-9は、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点12-9-4]
本件訂正発明12-9は、「前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

(イ)相違点12-9-1の判断
相違点12-9-1は、本件訂正発明2の相違点2-3と同一である。
したがって、上記ア(エ)と同様の理由で、当業者は、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて相違点12-9-1の構成に容易に至ることはない。

(ウ)相違点12-9-2の判断
相違点12-9-2は、本件訂正発明2の相違点2-1と同一である。
したがって、上記ア(ウ)と同様の理由で、当業者が、乙1発明に基づいて相違点12-9-2の構成に容易に至ることはない。

(エ)本件訂正発明12-9についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明12-7は、相違点12-9-3及び相違点12-9-4について判断するまでもなく、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

コ 本件訂正発明12-11について
(ア)本件訂正発明12-11と乙1発明との対比
a 本件訂正発明12-11の「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、」との特定事項について
上記ア(ア)a?cと同様の理由で、乙1発明は、本件訂正発明12-11の上記特定事項を備える。

b 本件訂正発明12-11の「前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口の外側に配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、」との特定事項について
上記ア(ア)d(d)によれば、乙1発明は、本件訂正発明12-11の上記特定事項を備えるといえる。

c 本件訂正発明12-11の「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布の検出に用いられる露光装置であり、」
「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、」との特定事項について
乙1発明は、上記特定事項を備えない。

d 本件訂正発明12-11の「前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、」との特定事項について
上記ア(ア)d(d)のとおり、乙1発明は、上記特定事項を備えない。

e 本件訂正発明12-11の「前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、」との特定事項について
上記ウ(ア)eと同様の理由で、乙1発明は、本件訂正発明12-11の上記特定事項を備える。

f 本件訂正発明12-11の「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」との特定事項について
乙1発明は、上記特定事項を備えない。

(イ)一致点及び相違点の認定
上記(ア)によれば、本件訂正発明12-11と乙1発明とは、
「基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口の外側に配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、を備える
露光装置であり、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触する、
露光装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点12-11-1]
本件訂正発明12-11は、「前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布の検出に用いられ」、
「前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有」するのに対し、
乙1発明は、そうではない点。

[相違点12-11-2]
「液体供給口」について、本件訂正発明12-11は、「前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され」ているのに対し、乙1発明は、「光軸Aを中心とした」「内側の部分円上に間隔を空けて2つ以上設けられて」いる点。

[相違点12-11-3]
本件訂正発明12-11は、「前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である」のに対し、
乙1発明は、そうではない点。

(ウ)相違点12-11-1について
相違点12-11-1は、相違点2-3を含むものである。
したがって、上記ア(エ)と同様の理由で、当業者は、乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて相違点12-11-1の構成に容易に至ることはない。

(エ)相違点12-11-2について
相違点12-11-2は、本件訂正発明2の相違点2-1と同一である。
したがって、上記ア(ウ)と同様の理由で、当業者が、乙1発明に基づいて相違点12-11-2の構成に容易に至ることはない。

(オ)本件訂正発明12-11についての判断の小括
以上のとおりであるから、本件訂正発明12-11は、相違点12-11-3について判断するまでもなく、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

サ 本件訂正発明13について
本件訂正発明13は、本件訂正発明12を引用するものである。
したがって、本件訂正発明8は、本件訂正発明12で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

シ 本件訂正発明14について
本件訂正発明14は、本件訂正発明2?6,8,10,12,13を引用するものである。
したがって、本件訂正発明14は、本件訂正発明2?6,8,10,12,13で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

ス 本件訂正発明15について
本件訂正発明15は、本件訂正発明2?6,8,10,12?14を引用するものである。
したがって、本件訂正発明15は、本件訂正発明2?6,8,10,12?14で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

セ 本件訂正発明16について
本件訂正発明16は、本件訂正発明2?6,8,10,12?15を引用するものである。
したがって、本件訂正発明14は、本件訂正発明2?6,8,10,12?15で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

ソ 本件訂正発明17について
本件訂正発明17は、本件訂正発明2?6,8,10,12?16を引用するものである。
したがって、本件訂正発明17は、本件訂正発明2?6,8,10,12?16で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

タ 本件訂正発明18について
本件訂正発明18は、本件訂正発明2?6,8,10,12?17を引用するものである。
そして、本件訂正発明18は、「デバイス製造方法」に係るものであるけれども、「請求項2?6,10,12?17のいずれか一項に記載の露光装置を用いる」ことをも特定しているから、本件訂正発明2?6,10,12?17でした判断が同様に成り立つ。
したがって、本件訂正発明18は、本件訂正発明2?6,8,10,12?17で判断したのと同様の理由で、当業者が乙1発明及び乙2?乙4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

チ 無効理由2についての小括
以上のとおりであるから、無効理由2は、本件訂正発明に対して、理由がない。

(6)独立特許要件の有無についての小括
以上のとおり、本件無効理由は、本件訂正の独立特許要件を否定しない。そして、本件訂正につき、他に独立特許要件を否定する理由を発見しない。
したがって、本件訂正は、独立特許要件を満たしているから、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
このように、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き、第5項、第6項及び第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射する露光装置。
【請求項2】
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面は撥液性である請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である露光装置。
【請求項5】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性であり、
前記光学素子と前記流路形成部材の少なくとも一方が、前記撥液性の面を有する露光装置。
【請求項6】
前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている請求項2?5のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項7】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている露光装置。
【請求項8】
前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている請求項1?7のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項9】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている露光装置。
【請求項10】
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布の検出に用いられる請求項1?8のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して順次露光する露光装置であって、
前記基板を基板ホルダに保持する基板ステージと、
光学素子を有する投影光学系と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口と、前記液体供給口の外側に配置され、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口とを有し、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されている流路形成部材と、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する受光素子と、を備え、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子には、前記投影光学系からの露光光が、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体を介して入射し、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布の検出に用いられる露光装置。
【請求項12】
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、
前記光学素子は、前記投影光学系の像面側の終端部に設けられており、
前記光学素子には、前記液浸領域の液体が接触し、
前記透過部材と前記受光素子とを備える光センサ部は、前記基板ホルダに保持された前記基板の表面と、前記基板ホルダに保持された前記基板の周囲を囲むように設けられた平坦面と同じ高さを有し、
前記基板のエッジと前記平坦面との境界を含むように前記液浸領域を形成可能である請求項5、請求項7、請求項9、又は請求項11記載の露光装置。
【請求項13】
前記液体回収口は、前記液体供給口を囲むように配置されている請求項12記載の露光装置。
【請求項14】
前記液体回収口から、前記基板上の液体を気体とともに回収する請求項1?13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項15】
前記液体供給口から供給された液体で前記基板の表面の一部に液浸領域が形成され、
前記投影光学系からの露光光が前記液浸領域の液体を介して前記基板上に照射される請求項1?14のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項16】
前記流路形成部材は、前記液体回収口に接続された回収流路を有し、
前記液体回収口から回収された液体は、前記回収流路において、鉛直上向きに流れた後、水平方向に流れる請求項1?15のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項17】
前記流路形成部材は、前記投影光学系の光軸と平行な方向に移動可能である請求項1?16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
請求項1?17のいずれか一項に記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
【請求項19】
基板ステージに保持された基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して、投影光学系の光学素子からの露光光で順次露光する露光方法であって、
前記投影光学系の投影領域を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように流路形成部材に設けられた液体供給口から液体を供給するとともに、前記液体供給口を囲むように配置され、前記基板の表面が対向するように前記流路形成部材に設けられた液体回収口から液体を回収して、前記投影光学系の像面側に液浸領域を形成することと、
前記投影光学系からの露光光を前記液浸領域の液体を介してセンサの受光素子で受光することと、を含み、
前記流路形成部材には、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されており、
前記センサは、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する前記受光素子とを有し、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光を、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体、及び前記透過部材を介して受光する露光方法。
【請求項20】
前記センサを使って、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布を検出する請求項19記載の露光方法。
【請求項21】
基板ステージに保持された基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して、投影光学系の光学素子からの露光光で順次露光する露光方法であって、
流路形成部材に前記基板の表面が対向するように設けられた液体供給口から液体を供給するとともに、前記液体供給口の外側に配置され、前記基板の表面が対向するように前記流路形成部材に設けられた液体回収口から液体を回収して、前記投影光学系の像面側に液浸領域を形成することと、
前記投影光学系からの露光光を前記液浸領域の液体を介してセンサの受光素子で受光することと、を含み、
前記流路形成部材には、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されており、
前記センサは、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する前記受光素子とを有し、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光を、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体、及び前記透過部材を介して受光し、
前記センサを使って、前記投影光学系からの露光光の照度、あるいは照度分布を検出する露光方法。
【請求項22】
前記液体供給口は、前記投影光学系の投影領域を囲むように配置されている請求項21記載の露光方法。
【請求項23】
前記液体回収口は、前記液体供給口を囲むように配置されている請求項22記載の露光方法。
【請求項24】
基板ステージに保持された基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して、投影光学系の光学素子からの露光光で順次露光する露光方法であって、
前記基板の表面が対向するように流路形成部材に設けられた液体供給口から液体を供給するとともに、前記基板の表面が対向するように前記流路形成部材に設けられた液体回収口から液体を回収して、前記投影光学系の像面側に液浸領域を形成することと、
前記投影光学系からの露光光を前記液浸領域の液体を介してセンサの受光素子で受光することと、を含み、
前記流路形成部材には、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されており、
前記センサは、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する前記受光素子とを有し、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光を、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体、及び前記透過部材を介して受光し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子と前記流路形成部材との間に前記ギャップを形成する面が撥液性である露光方法。
【請求項25】
基板ステージに保持された基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して、投影光学系の光学素子からの露光光で順次露光する露光方法であって、
前記基板の表面が対向するように流路形成部材に設けられた液体供給口から液体を供給するとともに、前記基板の表面が対向するように前記流路形成部材に設けられた液体回収口から液体を回収して、前記投影光学系の像面側に液浸領域を形成することと、
前記投影光学系からの露光光を前記液浸領域の液体を介してセンサの受光素子で受光することと、を含み、
前記流路形成部材には、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されており、
前記センサは、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する前記受光素子とを有し、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光を、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体、及び前記透過部材を介して受光し、
前記光学素子と前記流路形成部材との間にはギャップが形成され、
前記光学素子は、前記ギャップの上方で鏡筒に支持されている露光方法。
【請求項26】
基板ステージに保持された基板の複数のショット領域のそれぞれを、前記基板の表面の一部を局所的に覆う液浸領域の液体を介して、投影光学系の光学素子からの露光光で順次露光する露光方法であって、
前記基板の表面が対向するように流路形成部材に設けられた液体供給口から液体を供給するとともに、前記基板の表面が対向するように前記流路形成部材に設けられた液体回収口から液体を回収して、前記投影光学系の像面側に液浸領域を形成することと、
前記投影光学系からの露光光を前記液浸領域の液体を介してセンサの受光素子で受光することと、を含み、
前記流路形成部材には、前記投影光学系の光学素子が配置される穴部が形成されており、
前記センサは、
前記投影光学系からの露光光を透過可能な透過部材と、
前記透過部材を介して前記投影光学系からの露光光を受光する前記受光素子とを有し、
前記透過部材は、前記基板ステージに設けられ、
前記受光素子は、前記投影光学系からの露光光を、前記投影光学系と前記透過部材との間の液体、及び前記透過部材を介して受光し、
前記光学素子は、前記流路形成部材の上方で鏡筒に支持されている露光方法。
【請求項27】
請求項19?26のいずれか一項に記載の露光方法を用いて基板を露光することを含むデバイス製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-01-21 
結審通知日 2019-01-23 
審決日 2019-02-06 
出願番号 特願2012-77682(P2012-77682)
審決分類 P 1 41・ 121- Y (H01L)
P 1 41・ 537- Y (H01L)
P 1 41・ 856- Y (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関口 英樹久保田 創  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 山村 浩
西村 直史
登録日 2015-03-13 
登録番号 特許第5708546号(P5708546)
発明の名称 露光装置、デバイス製造方法、及び露光方法。  
代理人 大浪 一徳  
代理人 西澤 和純  
代理人 大浪 一徳  
代理人 西澤 和純  
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