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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A63F
管理番号 1349871
審判番号 訂正2018-390179  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-11-16 
確定日 2019-02-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6414147号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6414147号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6414147号(以下、「本件特許」という。)は、平成26年2月28日に出願した特願2014-39344号の一部を平成28年6月23日に新たな特許出願(特願2016-124072号)としたものであって、平成30年10月12日に特許権の設定登録がなされ、平成30年11月16日に訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

2 訂正事項2
本件特許明細書の段落【0010】を削除する。

第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
本件特許の特許請求の範囲には請求項1?2があるところ、訂正事項1は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1は、訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0010】の記載を、上記第3「1 訂正事項1」による請求項2を削除する訂正に伴い、整合性を図るために削除する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は、請求項2を削除する訂正に伴い、整合性を図るために削除する訂正であるから、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5?7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機において、光源から照射される光を受ける部材が姿勢変化可能に形成される遊技機がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-272332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、部材の組み付け性に改良の余地があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、部材の組み付け性を改良できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の遊技機は同方向に張り出して形成される一対の張出部を有するベース部材と、少なくとも一方の前記張出部の張出端に当接される被当接部材と、前記一対の張出部の張出端側部が少なくとも一辺を構成する軸支部に両端部が回転可能に支持され、所定の光を反射可能な回転部材と、その回転部材へ光を照射可能な光源と、前記回転部材の前方に配置され遊技球が上方から流下可能に構成される流下領域と、を備え、前記軸支部は、前記回転部材が、少なくとも一方の前記張出部の張出端側部と前記被当接部材とに軸支されるように構成され、前記回転部材は、前記光源から照射される光の少なくとも一部を透過可能に構成され、その透過した光の少なくとも一部を、前記流下領域に配置される遊技球に照射可能に構成される。
【0007】
【0008】
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の遊技機によれば、部材の組み付け性を改良することができる。
【0010】(削除)
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】 パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】 パチンコ機の背面図である。
【図4】 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】 動作ユニットの正面斜視図である。
【図6】 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図7】 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図8】 動作ユニットの正面図である。
【図9】 動作ユニットの正面図である。
【図10】 動作ユニットの正面図である。
【図11】 動作ユニットの正面図である。
【図12】 動作ユニットの正面図である。
【図13】 (a)及び(b)は、揺動動作ユニットの正面斜視図である。
【図14】 揺動動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図15】 揺動動作ユニットの分解背面斜視図である。
【図16】 (a)は、揺動動作ユニットの正面図であり、(b)は、揺動動作ユニットの背面図である。
【図17】 (a)は、揺動動作ユニットの正面図であり、(b)は、揺動動作ユニットの背面図である。
【図18】 (a)は、揺動動作ユニットの正面図であり、(b)は、揺動動作ユニットの背面図である。
【図19】 (a)は、揺動動作ユニットの正面図であり、(b)は、揺動動作ユニットの背面図であり、(c)は、揺動動作ユニットの底面図である。
【図20】 (a)から(d)は、アーム部材の基端側における揺動動作ユニットの部分正面拡大図である。
【図21】 (a)及び(b)は、第1スライド動作ユニットの正面斜視図である。
【図22】 第1スライド動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図23】 第1スライド動作ユニットの分解背面斜視図である。
【図24】 第1スライド動作ユニットの正面図である。
【図25】 (a)は、第1スライド動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1スライド動作ユニットの背面図である。
【図26】 (a)は、第1スライド動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1スライド動作ユニットの背面図である。
【図27】 図26(a)のXXVII-XXVII線における第1スライド動作ユニットの断面図である。
【図28】 反転動作ユニットの正面斜視図である。
【図29】 反転動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図30】 反転動作ユニットの分解背面斜視図である。
【図31】 (a)は、反転動作ユニットの部分側面図であり、(b)は、図31(a)のXXXIb-XXXIb線における反転動作ユニットの部分断面図である。
【図32】 (a)は、反転動作ユニットの部分正面図であり、(b)は、図32(a)のXXXIIb?XXXIIb線における反転動作ユニットの部分断面図であり、(c)は、図32(b)のXXXIIc?XXXIIc線における反転動作ユニットの部分断面図であり、(d)は、図32(b)のXXXIId?XXXIId線における反転動作ユニットの部分断面図である。
【図33】 (a)から(c)は、反転動作ユニットの部分正面図であり、(d)から(f)は、反転動作ユニットの部分側面図である。
【図34】 反射部材及び伝達部材の部分側面図である。
【図35】 (a)及び(b)は、第2スライド動作ユニットの正面斜視図である。
【図36】 第2スライド動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図37】 第2スライド動作ユニットの分解正面斜視図である。
【図38】 第2スライド動作ユニットの分解背面斜視図である。
【図39】 第2スライド動作ユニットの分解背面斜視図である。
【図40】 (a)から(c)は、第2スライド動作ユニットの正面図である。
【図41】 (a)から(c)は、第2スライド動作ユニットの正面図である。
【図42】 第2スライド動作ユニットの部分背面図である。
【図43】 第2実施形態における駆動ギア、伝達装置及びL字型レバーの正面図である。
【図44】 駆動ギア、伝達装置及びL字型レバーの正面図である。
【図45】 (a)及び(b)は、揺動動作ユニットの正面図である。
【図46】 (a)及び(b)は、揺動動作ユニットの正面図である。
【図47】 (a)は、第1スライド動作ユニットの正面図であり、(b)は、第1スライド動作ユニットの背面図である。
【図48】 (a)から(c)は、第2スライド動作ユニットの部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図42を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
【0014】
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
【0015】
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
【0016】
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
【0017】
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
【0018】
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
【0019】
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29?33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29?33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29?33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
【0020】
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29?33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
【0021】
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
【0022】
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
【0023】
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
【0024】
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
【0025】
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車(可動部材310を図示し、その他は図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
【0026】
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
【0027】
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
【0028】
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
【0029】
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
【0030】
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
【0031】
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
【0032】
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
【0033】
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
【0034】
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
【0035】
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
【0036】
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
【0037】
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
【0038】
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
【0039】
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
【0040】
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
【0041】
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
【0042】
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
【0043】
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
【0044】
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
【0045】
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
【0046】
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
【0047】
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
【0048】
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
【0049】
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
【0050】
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
【0051】
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
【0052】
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
【0053】
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
【0054】
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0055】
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
【0056】
第1可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を正面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
【0057】
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
【0058】
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
【0059】
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
【0060】
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の正面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
【0061】
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
【0062】
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
【0063】
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100?104に収納されている。基板ボックス100?104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
【0064】
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
【0065】
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
【0066】
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
【0067】
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0068】
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
【0069】
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
【0070】
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0071】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
【0072】
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
【0073】
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
【0074】
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
【0075】
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
【0076】
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
【0077】
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0078】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29?33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
【0079】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動装置340,464,560や駆動モータ441,771,772,773,774が含まれる。
【0080】
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
【0081】
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
【0082】
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
【0083】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110?114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110?114等に対して必要な電圧を供給する。
【0084】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
【0085】
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
【0086】
次いで、図5から図42を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図5から図7を参照して、背面ケース210への各ユニット300?700の収容構造について説明する。
【0087】
図5は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図6及び図7は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図7では、第2スライド動作ユニット700が背面ケース210に装着された状態が図示される。
【0088】
図5から図7に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図6紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
【0089】
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、揺動動作ユニット300、第1スライド動作ユニット400、反転動作ユニット500、装飾動作ユニット600及び第2スライド動作ユニット700がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
【0090】
具体的には、第2スライド動作ユニット700は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する形状よりも若干小さな外形で形成され、外壁部212の内側面に当接しながら、外壁部212に囲われる態様で底壁部211に配設される(図7参照)。第2スライド動作ユニット700は、組立状態(図5参照)において、正面視で背面ケース210の開口211aと一致する位置に矩形状の開口が形成される。
【0091】
この図7に示す状態に対し、揺動動作ユニット300、第1スライド動作ユニット400、反転動作ユニット500及び装飾ユニット600は、第2スライド動作ユニット700の正面側に、それぞれ重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図5参照)。
【0092】
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、第2スライド動作ユニット700)に対し、他の動作ユニット(例えば、第1スライド動作ユニット400)が正面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットを、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
【0093】
言い換えれば、遊技盤13(図2参照)が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
【0094】
次いで、図8から図10を参照して、揺動動作ユニット300、第1スライド動作ユニット400及び第2スライド動作ユニット700の動作態様の概略について説明する。なお、図8から図10の説明においては、図5から図7を適宜参照する。
【0095】
図8から図10は、動作ユニット200の正面図である。なお、図8では揺動動作ユニット300の起立部材330及びアーム部材320が張出位置に配置された状態が、図9では第1スライド動作ユニット400の傾倒部材460及び吊下部材430(図22参照)が張出位置に配置された状態が、図10では第2スライド動作ユニットの各スライド部材720,740が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
【0096】
図8に示すように、揺動動作ユニット300は、基端側が揺動可能に軸支されるアーム部材320と、そのアーム部材320の基端側の反対側である揺動端側に揺動可能に軸支される起立部材330とを備えると共に、これらのアーム部材320及び起立部材330を、図5に示す退避位置と図8に示す張出位置との間で動作させる。図5に示す退避位置では、アーム部材320及び起立部材330は、背面ケース210の開口211aの下方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図8に示す張出位置では、アーム部材320が持ち上げられ、起立部材330が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
【0097】
図9に示すように、第1スライド動作ユニット400は、斜め下方にスライド移動される吊下部材430(図22参照)と、その吊下部材430の屈曲腕部433(図22参照)に揺動可能に軸支される傾倒部材460とを備えると共に、これらの吊下部材430及び傾倒部材460を、図5に示す退避位置と図9に示す張出位置との間で動作させる。図5に示す退避位置では、吊下部材430及び傾倒部材460は、背面ケース210の開口211aの右方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図9に示す張出位置では、吊下部材430がスライド方向(左方)終端に配置され、傾倒部材460が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
【0098】
図10に示すように、第2スライド動作ユニット700は、スライド移動可能に形成されるそれぞれ一対の各スライド部材720,740を備えると共に、それらの各スライド部材720,740を、図5に示す退避位置と、図10に示す張出位置との間で動作させる。図5に示す退避位置では、一対の第1スライド部材720は、背面ケース210の開口211aの左右外方に退避されると共に、一対の第2スライド部材740は、背面ケース210の開口211aの上下外方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図10に示す張出位置では、各スライド部材720,740が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
【0099】
なお、第2スライド動作ユニット700は、各スライド部材720,740が張り出した状態において、正面視で「ハート」の形状を視認可能に形成される。
【0100】
なお、後述するように、反転動作ユニット500は、矩形板状の反射部材520(図28参照)を備えると共に、その反射部材520が遊技者から視認される面を反転(裏返し)可能に形成される。反転動作ユニット500は、他の動作ユニット300,400,700に備えられるような、背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に張り出す部材を持たない。そのため、反転動作ユニット500は、常に背面ケース210の開口211aの左方(図5参照)において動作される。
【0101】
これら各動作ユニット300?700は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300?700のうちの層を違えて配設されるものについては、例え動作部材が背面ケース210の開口211aの内方に張り出す態様のものであっても同時に動作させることができる。即ち、図8から図10で例示したように、各動作ユニット300?700をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。なお、各動作ユニット300?600が同じ層に配設され、それらの各動作ユニット300?600と、第2スライド動作ユニット700とは層を違えて配設される(図7参照)。
【0102】
図11は、動作ユニット200の正面図である。なお、図11では、第1スライド動作ユニット400の傾倒部材460が張出位置に配置されると共に、第2スライド動作ユニット700の各スライド部材720,740が張出位置に配置される。
【0103】
ここで、第1スライド動作ユニット400と第3図柄表示装置81(図2参照)との間には第2スライド動作ユニット700が配設されるため、第1スライド動作ユニット400と第3図柄表示装置81との間には第2スライド動作ユニット700分の隙間が生じる。そのため、第1スライド動作ユニット400の傾倒部材460のみが張出位置に配置される場合、正面視で第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の一部を視認できないように遮蔽することはできるが、遊技者が斜め方向(例えば正面視から左右方向に傾いた方向)から隙間を覗いて第3図柄表示装置81の表示領域Pを視認することを防止することは難しい。
【0104】
これに対し、図11に示すように、第1スライド動作ユニット400の傾倒部材460と第2スライド動作ユニット700の各スライド部材720,740とが共に張出位置に配置されることで、遊技者が斜め方向から覗く隙間を各スライド部材720,740で埋めることができる。これにより、第3図柄表示装置81の表示領域Pの一部を視認できないように確実に遮蔽することができ、動作ユニット200の演出効果を向上させることができる。
【0105】
図12は、動作ユニット200の正面図である。なお、図12では、揺動動作ユニット300の起立部材330が張出位置に配置されると共に、第2スライド動作ユニット700の各スライド部材720,740が張出位置に配置される。
【0106】
ここで、揺動動作ユニット300と第3図柄表示装置81(図2参照)との間には第2スライド動作ユニット700が配設されるため、揺動動作ユニット300と第3図柄表示装置81との間には第2スライド動作ユニット700分の隙間が生じる。そのため、揺動動作ユニット300の起立部材330のみが張出位置に配置される場合、正面視で第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の一部を視認できないように遮蔽することはできるが、遊技者が斜め方向(例えば正面視から左右方向に傾いた方向)から隙間を覗いて第3図柄表示装置81の表示領域Pを視認することを防止することは難しい。
【0107】
これに対し、図12に示すように、揺動動作ユニット300の起立部材330と第2スライド動作ユニット700の各スライド部材720,740とが共に張出位置に配置されることで、遊技者が斜め方向から覗く隙間を各スライド部材720,740で埋めることができる。これにより、第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の一部を視認できないように確実に遮蔽することができ、動作ユニット200の演出効果を向上させることができる。
【0108】
図13から図20を参照して、揺動動作ユニット300について説明する。図13(a)及び図13(b)は、揺動動作ユニット300の正面斜視図である。なお、図13(a)では、アーム部材320及び起立部材330が退避位置に配置され、図13(b)では、アーム部材320及び起立部材330が張出位置に配置される。
【0109】
図13に示すように、揺動動作ユニット300のアーム部材320は、揺動軸312を中心に揺動され、その揺動の前後で起立部材330のアーム部材320に対する姿勢が変化される(張出位置に向かうほど起立する)。次に、揺動動作ユニット300の全体構成について説明する。
【0110】
図14は、揺動動作ユニット300の分解正面斜視図であり、図15は、揺動動作ユニット300の分解背面斜視図である。
【0111】
図14及び図15に示すように、揺動動作ユニット300は、板状に形成されるベース部材310と、そのベース部材310に基端側を軸支されるアーム部材320と、そのアーム部材320の基端側の反対側の端部である揺動端側に内嵌軸支される起立部材330と、ベース部材310の正面視(図14参照)右下部の背面に配設される駆動装置340と、その駆動装置340の駆動ギア341に歯合されると共にアーム部材320に連結される伝達装置350と、アーム部材320に付勢力を与えるねじりバネ360と、ベース部材310の正面視右下部の正面に取り付けられるカバー部材370と、を主に備えて構成される。
【0112】
ベース部材310は、厚み方向と前後方向を一致させると共に揺動動作ユニット300の骨格となる部材であって、厚み方向に穿設される嵌合孔311と、その嵌合孔311に固着される円柱状の揺動軸312と、嵌合孔311の下方において厚み方向に突設される伝達軸313と、その伝達軸313と隣り合って穿設される駆動ギア挿通孔314と、嵌合孔311と同心円状に延設される一対の長孔である案内孔315と、その案内孔315の正面視(図14参照)左方に形成されると共に、案内孔315とは左右反対側に曲げられて延設される長孔である起立孔316と、嵌合孔311の正面視右方において正面側に鉤状に突設される鉤部317と、を備える。
【0113】
アーム部材320は、揺動動作ユニット330を背面ケース210の開口211a(図5参照)の内方に張り出させるための部材であって、長尺板状に形成される本体部321と、その本体部321の基端側に配設される貫通した筒状の筒状部322と、本体部321の揺動端側に筒状部322と同じ方向に開口される摺動リング部323と、本体部321の正面側に嵩上げされて配設される板状の前当部324と、筒状部322から放射状に引かれる直線に沿って延設される長孔状の解除孔325と、本体部321の背面側に形成されベース部材310へ向けて突設される一対の摺動部326と、筒状部322の正面視(図14参照)左方において正面側へ向けて突設される突設部327と、を備える。
【0114】
筒状部322は、ベース部材310の揺動軸312に外嵌軸支される部分である。即ち、アーム部材310は揺動軸312に軸支された筒状部322を支点に揺動される。
【0115】
摺動リング部323は、起立部材330を内嵌軸支する部分である。大径に形成されており、起立部材330のぐらつきを抑制する。
【0116】
前当部324は、本体部321に基端側付近で締結固定され、揺動端側付近においては締結されない。そのため、前当部324と本体部321との間に隙間が形成され、アーム部材320が退避位置に配置された状態において、起立部材330の張出端側の部分が前当部324と本体部321との間の隙間に収容される(図16参照)。
【0117】
解除孔325は、伝達装置350の規制摺動部351と連結される長孔であり、伝達装置350、筒状部322及び解除孔325の位置関係でアーム部材320の揺動を規制するという作用を生じる孔であるが、詳細は後述する。
【0118】
一対の摺動部326は、ベース部材の一対の案内孔315にそれぞれ挿通されるので、アーム部材320の揺動中に、一対の摺動部326が一対の案内孔315に摺動されることでアーム部材320のがたつきを抑制すると共に、アーム部材320の揺動を安定させる。なお、摺動部326の先端にはリング状のカラー部材が回転可能に締結固定されるので、摺動部326が案内孔315から脱落することを防止すると共にアーム部材320の揺動動作を安定させることができる。
【0119】
突設部327は、ねじりバネ360の移動端側腕部362が係止される部分であって、ねじりバネ360の付勢力が伝達される部分である。
【0120】
起立部材330は、アーム部材320の上昇方向への揺動により背面ケース210の開口211a(図5参照)の正面側に配置される部材であって、板状の本体部331と、その本体部331の背面側から大径リング状に張り出される張出リング部332と、基端側において背面側に突設される変化摺動部333と、張出リング部332の外径よりも大径の円板状に形成されると共に変化摺動部333に締結固定される抜止部334と、を備える。
【0121】
本体部331は、長径方向D1(図16参照)と、短径方向D2(図16参照)とを備える楕円形板状に形成される。
【0122】
張出リング部332は、アーム部材320の摺動リング部323の内径よりも若干小さな外径で形成される。そのため、起立部材330は、張出リング部332の外側面が摺動リング部323の内側面に広範囲(大面積)で当接され揺動可能に軸支される。そのため、大型の起立部材330を一カ所で軸支する場合であっても、アーム部材320の揺動に伴う起立部材330のぐらつきを抑制することができる。
【0123】
変化摺動部333は、ベース部材310の起立孔316に挿通され、アーム部材320が揺動されるに伴って起立部材330の姿勢を変化させる役割を有する部分であるが、詳細は後述する。なお、変化摺動部333の先端にはリング状のカラー部材が回転可能に締結固定されるので、変化摺動部333が起立孔316から脱落することを防止すると共にアーム部材320の揺動動作を安定させることができる。
【0124】
抜止部334は、アーム部材320の摺動リング部323の内径よりも若干大きな外形で形成され、起立部材330の本体部331に締結固定されると共に、アーム部材320の摺動リング部323の背面側に当接される。よって、抜止部334によって、起立部材330をアーム部材320から引き抜き不能に形成することができる。
【0125】
駆動装置340は、ベース部材310の背面側に配設されると共にアーム部材320を駆動させるモータであり、回転駆動される駆動ギア341を備え、その駆動ギア341は、ベース部材310の駆動ギア挿通孔314を通してベース部材310の正面側に配設される(図20参照)。
【0126】
伝達装置350は、駆動装置340の駆動力が最初に伝達される部材であって、基端側においてベース部材310の伝達軸313に軸支されると共に駆動装置340の駆動ギア341に歯合される。また、基端側の反対側の端部である揺動端に、正面側へ向けて突設される規制摺動部351を備える。
【0127】
その規制摺動部351は、アーム部材320の解除孔325に挿通され、アーム部材320の揺動動作中において、規制摺動部351は、アーム部材320の解除孔325に摺動される。また、特にアーム部材320が張出位置から退避位置へ向けて揺動される場合には、伝達装置350を通して伝達される駆動装置340の駆動力によりアーム部材320が揺動される。
【0128】
ねじりバネ360は、アーム部材320の揺動動作において、特にアーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される場合の動力源となる弾性バネであって、ベース部材310の鉤部317に支えられる(下方へ向けて押さえられる)基端側腕部361と、アーム部材320の突設部327に支えられる(下方へ向けて押さえられる)移動端側腕部362と、を備える。
【0129】
次いで、図16から図18を参照して、揺動動作ユニット300の揺動動作について説明する。図16(a)、図17(a)及び図18(a)は、アーム部材320の揺動動作および起立部材330の姿勢変化を時系列で図示した揺動動作ユニット300の正面図であり、図16(b)、図17(b)及び図18(b)は、アーム部材320の揺動動作および起立部材330の姿勢変化を時系列で図示した揺動動作ユニット300の背面図である。なお、図16では、アーム部材320が退避位置に配置された状態が、図17では、起立孔316の曲率が変化する点に起立部材330の変化摺動部333が配置された状態が、図18では、アーム部材320が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
【0130】
図16に示すように、アーム部材320が退避位置に配置された状態において、起立部材330は長径方向D1(図16左右方向)を水平方向に倒した姿勢をとる。このとき、起立部材330の張出端側の部分は、アーム部材320の本体部321と前当部324との間に収納される。
【0131】
即ち、アーム部材320が退避位置に配置された状態において、アーム部材320を遊技者から遮蔽するために必要なスペースを利用して、起立部材330を遊技者から遮蔽することができる。よって、第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の外方において限られたスペースを有効に利用することができる。
【0132】
また、アーム部材320の一対の摺動部326が案内孔315の下端に配置されると共に、起立部材330の変化摺動部333が起立孔316の下端に配置される。これにより、一対の摺動部326と変化摺動部333とをアーム部材320が下方へ向けて揺動される際のストッパとして機能させることができる。
【0133】
図17に示すように、アーム部材320が張出位置へ向けて揺動されると、長径方向D1が鉛直方向へ向く姿勢(起立姿勢)に起立部材330が姿勢変化される。
【0134】
ベース部材310の案内孔315の壁面(ベース部材310の厚み方向に形成される壁面)の厚み方向に沿った寸法(板厚)は、案内孔315の下端付近よりも上端付近の方が大きくされる。そして、案内孔315の上端付近において、案内孔315の壁面の寸法がアーム部材320の本体部321とカラー部材とで挟まれる摺動部326の長さより若干短い寸法で形成される。即ち、アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間は、案内孔315の上端付近よりも下端付近の方が大きくなる。なお、本実施形態では、形成される隙間が徐々に変化する態様で形成される。
【0135】
アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間は、案内孔315の上端付近よりも下端付近の方が大きくなる。そのため、退避位置からの始動時にアーム部材320が案内孔315から受ける抵抗を抑制でき、アーム部材320の始動時の高速さを確保することができる。
【0136】
また、案内孔315の上端付近では、ベース部材310の厚み方向における案内孔315の壁面の寸法(板厚)がアーム部材320の本体部321とカラー部材とで挟まれる摺動部326の長さより若干短い寸法で形成される(摺動部326の長さとベース部材310の板厚とが略同等で形成される)。そのため、案内孔315の上端付近に配置されたアーム部材320がベース部材310の厚み方向にぐらつくことを防止することができる。
【0137】
本実施形態では、アーム部材320が張出位置に配置された状態(図18参照)において、起立部材330がアーム部材320の摺動部326の上方に配置される。そのため、アーム部材320が起立部材330の重みで前倒れする(図18(a)の紙面手前側に倒れる)際に、摺動部326が前倒れの支点となる。ここで、ベース部材310の厚み方向における案内孔315の壁面の寸法(板厚)がアーム部材320の本体部321とカラー部材とで挟まれる摺動部326の長さより若干短い寸法で形成されるので、アーム部材320をベース部材310に対して面で当接させて支えることができ、アーム部材320の前倒れに対する抵抗力を向上させることができる。
【0138】
ここで、起立孔316は、下端付近に形成される姿勢変化部316aと、上端付近に形成される同心円部316bと、を備える。
【0139】
姿勢変化部316aは、長孔の延設方向が、アーム部材320の揺動軸である筒状部322(図14参照)へ向けられる部分である。姿勢変化部316aを起立部材330の変化摺動部333が摺動される場合、アーム部材320の揺動角の大きさに対する起立部材330の姿勢変化の度合いが最大となる。これは、姿勢変化部316aが、摺動リング部323の移動軌跡が形成する円と垂直な関係にあるためである。
【0140】
これにより、始動から短期間で起立部材330の姿勢変化を完了させ、遊技者に起立部材330が視認される際に、起立部材330とアーム部材320との姿勢変化を小さくすることができる。よって、退避位置では起立部材330の上下方向の遮蔽スペースを抑制しつつ、張出位置では起立部材330とアーム部材320とを一体として視認させる効果を向上させることができる。
【0141】
また、アーム部材320の退避位置からの始動時において、起立部材330に係る抵抗が抑制される。即ち、起立部材330が退避位置に配置される場合において、変化摺動部333が筒状部322を中心として回転される方向は、姿勢変化部316aと直交する。そのため、退避位置からのアーム部材320の始動時において、変化摺動部333に筒状部322を中心とした回転力がする仕事はゼロとなる(力×距離=0)。よって、退避位置からの始動時にアーム部材320に与えられる抵抗を抑制することができる。これにより、アーム部材320の始動時の高速さを確保することができる。
【0142】
同心円部316bは、長孔の延設方向がアーム部材320の筒状部322を中心とした円に沿った方向へ向けられる部分である。同心円部316bを起立部材330の変化摺動部333が摺動される場合、アーム部材320の摺動リング部323と起立部材330の変化摺動部333との相対的な位置関係が変化しないので、アーム部材320に対する起立部材330の姿勢が維持される。これにより、起立部材330とアーム部材320とを一体として視認させることができ、起立部材330とアーム部材320とを一体として行う演出を容易に実現することができる。
【0143】
図18に示すように、アーム部材320が張出位置に配置されると、アーム部材320の一対の摺動部326が案内孔315の上端に配置されると共に、起立部材330の変化摺動部333が起立孔316の上端に配置される。これにより、アーム部材320が上方へ揺動される際に、一対の摺動部326をストッパとして機能させることができる。特に、後述するように、アーム部材320はねじりバネ360の付勢力で上昇方向へ揺動されるので、モータ等で駆動させる場合に比較して、終端でのストッパの必要性は大きい。また、摺動部326が一対で形成されるので、摺動部326がストッパとして機能した場合に生じる力を分散させることができる。これにより、摺動部326の耐久性を向上させることができる。
【0144】
なお、起立部材330の変化摺動部333をストッパとして機能させることもできるが、起立部材330はアーム部材320に軸支される部材なので、強度的な問題が生じる。一方、一対の摺動部326はアーム部材320に一体に形成されているので、十分な強度を有するので。ストッパとして用いるのにより適している。
【0145】
図18に示すように、アーム部材320が張出位置に配置された場合において、起立部材330の張出端側(図18上側)は、アーム部材320の摺動リング部323よりも上方に張り出して形成される。よって、アーム部材320の揺動角度を小さくしても、起立部材330を第3図柄表示装置81(図2参照)の正面側へ張り出させる作用を確保することができ、アーム部材320の揺動角度の設計自由度を向上させることができる。
【0146】
また、アーム部材320の揺動角度を小さくしたまま、起立部材330の張出端側の移動距離は大きく確保することができるので、起立部材330の移動速度を高速にする効果を向上させることができる。この効果は、アーム部材320の揺動に対する起立部材330の姿勢変化の度合いが激しい退避位置付近(図16参照)において顕著になるので、アーム部材320の始動時の速度を高速にする効果を顕著とすることができる。
【0147】
次いで、図19を参照して、起立部材330がアーム部材320と前当部324との間に収納される直前の状態について説明する。図19(a)は、揺動動作ユニット300の正面図であり、図19(b)は、揺動動作ユニット300の背面図であり、図19(c)は、揺動動作ユニット300の底面図である。なお、図19(a)から図19(c)は、アーム部材320が張出位置と退避位置との間の中間位置に配置された状態が図示され、詳細には、アーム部材が張出位置から退避位置へ向けて揺動される場合に、起立部材330の張出端側がアーム部材320の本体部321と前当部324との間に収納され始める状態が図示される。
【0148】
図19(c)に示すように、前当部324は起立部材330の正面側(図19(c)上方)に配設される。これにより、アーム部材320の揺動時に起立部材330が摺動リング部323を支点にぐらつく(図19(c)上下方向に振れる)場合にも、起立部材330が前当部324に当接され、起立部材330のぐらつきを抑制することができる。
【0149】
ここで、起立部材330とアーム部材320の前当部324とが正面視において重なり始める位置Aが、第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の下側の縁Bよりも上方に形成される。そのため、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合に、起立部材330のぐらつきが大きくなる前段階(第3図柄表示装置81の表示領域Pの内方に配置される段階)で、起立部材330と前当部324との移動軌跡を前後方向に重ねることができると共に、アーム部材320の前当部324に起立部材330を当接させ起立部材330のぐらつきを抑制することができる。
【0150】
図20(a)から図20(d)は、揺動動作ユニット300のアーム部材320を退避位置から張出位置へ揺動動作させる過程を時系列で説明する図であり、アーム部材320の基端側における揺動動作ユニット300の部分正面拡大図である。なお、図20(b)は、アーム部材320が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示され、図20(c)は、図20(b)の状態からアーム部材320が張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示され、図20(a)から図20(d)は、カバー部材370の図示が省略される。
【0151】
まず、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合(図20(d)から図20(a)への姿勢変化)について説明する。図20(d)に示すアーム部材320の張出位置から、駆動装置340(図14参照)の駆動ギア341が回転されることで駆動ギア341に歯合される伝達装置350が回転され、伝達装置350の規制摺動部351がアーム部材320の解除孔325を押すことによりアーム部材320が図20(c)及び図20(b)の状態を経由して移動されることで退避位置(図20(a)参照)へ配置される。即ち、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合には、駆動装置340の駆動力によりアーム部材320は揺動される。
【0152】
この場合、アーム部材320は下方向へ揺動されるので(図16から図18参照)、駆動装置340の必要容量を抑制することができる。例えば、電気モータであれば、モータ容量を抑制することができる。
【0153】
また、アーム部材320が張出位置に配置された状態において、案内孔315及び起立孔316は鉛直下方へ延設される(図18(b)参照)。これにより、張出位置からの揺動開始時に案内孔315及び起立孔316からアーム部材320及び起立部材330へ与えられる抵抗を抑制することができる。
【0154】
次いで、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される場合(図20(a)から図20(d)への姿勢変化)について説明する。アーム部材320には、ねじりバネ360の付勢力が作用される。アーム部材320が退避位置(図20(a)参照)に配置された状態において、ねじりバネ360の基端側腕部361はベース部材310の鉤部317に上側から押さえられ、移動端側端部362はアーム部材320の突設部327により右下方向へ押さえられる。
【0155】
これにより、ねじりバネ360は、筒状部322を支点に基端側腕部361及び移動端側腕部362の距離が縮められており、アーム部材320を持ち上げる方向(左上方向)に向けた弾性力が最も蓄積された状態にある。その弾性力によるアーム部材320の揺動は、アーム部材320の解除孔325と伝達装置350との機械的な位置関係により規制される。以下、解除孔325と伝達装置350との機械的な位置関係について説明する。
【0156】
図20(a)に示すように、アーム部材320が退避位置に配置された場合、アーム部材320の回転軸としての筒状部322と伝達装置350の規制摺動部351とを結ぶ方向Xが、伝達装置350を揺動可能に軸支するベース部材310の伝達軸313と伝達装置350の規制摺動部351とを結ぶ方向Yと直交される。
【0157】
この場合、規制摺動部351をアーム部材320と伝達装置350との関係において死点に位置させることができる。これにより、駆動装置340からの駆動力を不要としても、アーム部材320を退避位置に機械的に保持できるので、駆動装置340の消費エネルギーを抑制することができる。
【0158】
なお、本実施形態においては、アーム部材320が張出位置に配置された状態においても、規制摺動部351がアーム部材320と伝達装置350との関係において死点に位置される。これにより、駆動装置340からの駆動力を不要としても、アーム部材320を張出位置に機械的に保持できるので、駆動装置340の消費エネルギーを抑制することができる。
【0159】
アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される場合の、駆動装置340の動作態様について説明する。まず、アーム部材320が退避位置(図20(a)参照)に配置された状態から、規制摺動部351をアーム部材320と伝達装置350との関係における死点から解除するために駆動装置340の駆動ギア341が正面視時計回りに所定量回転(ON状態)される。すると、駆動ギア341に歯合される伝達装置350も回転され、規制摺動部351がアーム部材320と伝達装置350との関係における死点から解除される(図20(b)参照)。
【0160】
ここで、アーム部材320が退避位置に配置された状態において、ねじりバネ360は、筒状部322を支点に基端側腕部361及び移動端側腕部362の距離が縮められており、アーム部材320を持ち上げる方向(左上方向)に向けた弾性力が最も蓄積された状態にある。
【0161】
この状態から、規制摺動部351がアーム部材320と伝達装置350との関係における死点から解除されると、ねじりバネ360の弾性力によりアーム部材320が揺動される。これにより、アーム部材320を始動時から高速で揺動させることができる。
【0162】
例えば駆動モータのように徐々に駆動力を上げる態様では、はじめから大きな駆動力をアーム部材320に加えることは難しく、アーム部材320の始動時の速度がゆっくりになりやすい。一方、本実施形態では、始動時から大きな弾性力を加えることができるので、アーム部材320の始動時の加速度を大きく確保することができる。よって、アーム部材320を始動時から高速で揺動させることができる。
【0163】
駆動ギア341を所定量回転させたら、駆動装置340は停止(OFF状態)され、駆動ギア341は空回り可能な状態にされる。アーム部材320はねじりバネ360に蓄積された弾性力で上昇方向へ揺動される(図20(c)参照)。
【0164】
アーム部材320が張出位置付近(図20(c)参照)に到達したら、駆動装置340の駆動ギア341が再度正面視時計回りに所定量回転(ON状態)され、規制摺動部351がアーム部材320と伝達装置350との関係における死点に配置される。
【0165】
即ち、アーム部材320が退避位置から張出位置へ向けて揺動される場合は、常時駆動装置340の駆動力がアーム部材320に生じるのではなく、アーム部材320が退避位置および張出位置付近に配置される場合においてのみ駆動装置340が駆動され(ON状態)、退避位置および張出位置の間においては駆動装置340が停止される(OFF状態)。これにより、常時駆動装置340の駆動力がアーム部材320に加えられる場合に比較して、駆動装置340を駆動させる期間を低減できるので、駆動装置340の寿命を向上させることができる。
【0166】
図20(a)及び図20(d)に示すように、アーム部材320が退避位置または張出位置に配置された場合、規制摺動部351及び伝達装置350を軸支する伝達軸313を結ぶ直線に直交する方向と、解除孔325の延設方向とが一致して配設される。
【0167】
これにより、退避位置または張出位置に配置された状態からアーム部材320を回転させる回転開始時点において、規制摺動部351の回転方向と解除孔325の延設方向とが一致するので、移動開始時に規制摺動部351が解除孔325から受ける抵抗を抑えることができる。よって、最も大きな力を必要とする動作開始時に必要な駆動力を低減することができる。
【0168】
次いで、図21から図27を参照して、第1スライド動作ユニット400について説明する。図21(a)及び図21(b)は、第1スライド動作ユニット400の正面斜視図である。なお、図21(a)では、吊下部材430及び傾倒部材460が退避位置に配置された状態が図示され、図21(b)では、吊下部材430及び傾倒部材460が張出位置に配置された状態が図示される。
【0169】
図21に示すように、第1スライド動作ユニット400の吊下部材430は、退避位置から斜め下方向(正面視右上から左下)へスライド移動され、そのスライド移動の過程で傾倒部材460の姿勢が変化する(張出位置に向かうほど傾倒する)。次に、第1スライド動作ユニット400の全体構成について説明する。
【0170】
図22は、第1スライド動作ユニット400の分解正面斜視図であり、図23は、第1スライド動作ユニット400の分解背面斜視図である。
【0171】
図22及び図23に示すように、第1スライド動作ユニット400は、正面視L字状に形成されるベース部材410と、そのベース部材410に正面側から取り付けられるカバー部材420と、そのカバー部材420とベース部材410との間に挟まれると共にベース部材410の正面側の側面に沿ってスライド移動される正面視略T字形状の吊下部材430と、その吊下部材430をスライド移動させる駆動力を発生する駆動装置440と、吊下部材430の基端側に一方の端部が軸支されると共に他方の端部がベース部材410に連結される長尺板状の補助部材450と、吊下部材430の基端側の反対側の端部である張出端側に軸支される傾倒部材460と、補助部材450と傾倒部材460とを連結する連結部材470と、を主に備えて構成される。
【0172】
ベース部材410は、正面視L字の板状に形成されると共に第1スライド動作ユニット400の骨格を成す部材であって、板状の本体横長部411と、その本体横長部411の右端部付近から鉛直下方へ延設される板状の本体縦長部412と、本体横長部411の正面側に左右方向に対して若干傾斜して延設されると共に直線リブ状に突設される案内リブ部413と、本体横長部の略中央部に穿設されると共に駆動装置441の駆動軸が挿通される挿通孔414と、本体縦長部412の下側部分に正面視右下方から左上方へ向けて延設される長孔状に穿設される案内孔415と、駆動装置440の各種ギアが軸支される一対の回転軸416と、を主に備える。
【0173】
本体横長部411は、上側および左右の縁に正面側へ向けて壁状に突設される外枠411aを備える。外枠411aは、正面側にカバー部材420が当接される部分であって、吊下部材430のスライド本体部431の厚み方向(吊下部材430のスライド平面の垂直方向)の長さよりも若干長く形成される。
【0174】
なお、吊下部材430のスライド平面とは、ベース部材410の正面と平行な平面を意味する。
【0175】
案内孔415は、ベース部材410の右下方から左上方へ向けて延設される。
【0176】
カバー部材420は、ベース部材410の正面側から取り付けられると共にベース部材410との間に隙間を形成する部材であって、正面視で本体横長部411と略同一形状の板状に形成される本体部421と、ベース部材410の案内リブ部413の延設される方向に沿って長孔状に穿設される連通孔422と、を主に備える。
【0177】
本体部421は、ベース部材410の本体横長部411と略同一形状に形成されるため、吊下部材430がスライド移動される場合に前後方向へ揺れたとしても、吊下部材430は前後の方向によらずベース部材410の本体横長部411及びカバー部材420の本体部421との当接面積を均等に確保することができる。
【0178】
吊下部材430は、ベース部材410とカバー部材420とで形成される隙間に配設されると共にベース部材410の案内リブ部413に沿ってスライド移動される部材であって、上側面にラックギアが刻設される横長板状のスライド本体部431と、スライド本体部431の背面側に溝状に凹設されると共にベース部材410の案内リブ部413に当接される凹設溝432と、スライド本体部431の略中央部から垂下されると共に中間で張出位置側に屈曲される板状の屈曲腕部433と、スライド本体部431の屈曲腕部433が垂下され始める部分においてスライド本体部431から正面側へ向けて突設される揺動軸434と、屈曲腕部433の先端(張出端)において正面側へ向けて延設される筒状の吊下筒435と、を主に備える。
【0179】
スライド本体部431は、ベース部材410とカバー部材420とが形成する隙間よりも若干薄く形成される。そのため、吊下部材430はベース部材410とカバー部材420との間をスライド可能となると共に厚さ方向(カバー部材420のベース部材410への締結方向)への移動を防止される。
【0180】
凹設溝432は、案内リブ部413の幅よりも若干大きい幅で形成される凹溝であり、吊下部材430は案内リブ部413を凹設溝432が摺動することにより斜め下方へスライド移動される。
【0181】
屈曲腕部433は、吊下部材430が張出位置に配置された状態において、補助部材450の長手方向に沿って延設され、吊下部材430が退避位置に配置された状態においてベース部材410の本体横長部411の下方に形成される部分に、正面側に肉厚を増して形成される増厚部433aを備える。その増厚部433aよりもスライド本体部431側の屈曲腕部433の厚みは、スライド本体部431及び増厚部433aよりも薄厚で形成される。これにより、屈曲腕部433の厚さ方向への変形が増厚部433aよりもスライド本体部431側の屈曲腕部433で局所的に生じる態様で形成される。また、屈曲腕部433の厚み方向は、ラックギアが刻設される方向(スライド方向)と垂直に形成される。
【0182】
揺動軸434は、カバー部材420の連通孔422を貫通しカバー部材420の正面側へ張り出して形成される軸であって、補助部材450の揺動孔452に挿通される。
【0183】
吊下筒435は、補助部材450の厚みを越えて延設される。これにより、吊下部材430が退避位置(図21(a)、図25(a)参照)に配置された場合に、補助部材450が吊下部材430と傾倒部材460との間に収納可能となる。
【0184】
駆動装置440は、各部材がベース部材410を前後から挟み込む形で形成されると共に吊下部材430の移動に必要な駆動力を発生させる装置であり、ベース部材410の挿通孔414に背面側から貫通される駆動軸を備える駆動モータ441と、その駆動モータ441の駆動軸に軸支されると共にベース部材410の正面に配設される駆動ギア442と、その駆動ギア442に歯合されると共に一対の回転軸416にそれぞれ軸支される一対の伝達ギア443と、を主に備える。
【0185】
一対の伝達ギア443の内の一方は、吊下部材430のスライド本体部431の上側面に刻設されるラックギアに歯合される(図25参照)。そのため、駆動モータ441の駆動力により駆動ギア442及び一対の伝達ギア443が回転されると、その伝達ギア443に歯合される吊下部材430がスライド移動される。
【0186】
補助部材450は、カバー部材420の正面側に配設される部材であって一方の端部が吊下部材430に軸支されると共に他方の端部がベース部材410の案内孔415にスライド移動可能に連結され、長尺板状に形成される本体部451と、一方の端部に穿設される揺動孔452と、他方の端部で背面方向へ突設されるスライド軸453と、本体部451の中間位置から背面方向へ突設される吊下軸454と、を主に備える。
【0187】
なお、補助部材450は吊下部材430に軸支されると共に他方の端部がベース部材410の案内孔415にスライド移動可能に連結されることで厚み方向(図25紙面垂直方向)に移動不能に形成される。また、吊下部材430が退避位置へスライド移動するほど補助部材450が屈曲腕部433の増厚部433aの先端に近づく(揺動される)態様で形成される。これにより、吊下部材430が厚み方向にぐらついても、吊下部材430が補助部材450に当接することで吊下部材430のぐらつきを抑制することができる。
【0188】
揺動孔452は、吊下部材430の揺動軸434に外嵌軸支される。これにより、揺動軸434を軸に補助部材450が揺動可能に形成される。即ち、吊下部材430がスライド移動されるのに伴って、補助部材450は揺動軸434を軸に揺動(傾倒)される。
【0189】
スライド軸453は、ベース部材410の案内孔415にスライド可能に連結される。これにより、補助部材450の他方の端部(正面視右下方の端部)は案内孔415の延設方向に沿ってスライド移動される。なお、吊下部材430が張出位置(図26参照)に配置された場合にスライド軸453は案内孔415の上端(左上端)に配置され、吊下部材430が退避位置(図25参照)に配置された場合にスライド軸453は案内孔415の下端(右下端)に配置される。
【0190】
傾倒部材460は、吊下部材430の吊下筒435に軸支されると共に独立の駆動源(駆動装置464)を有する部材であって、吊下部材430に軸支されると共に長尺板状に形成されるベース部材461と、そのベース部材461の下部に正面側から締結されると共にベース部材461との間に隙間を形成する第1カバー部材462と、その第1カバー部材462とベース部材461との間に形成される隙間に配設される伝達装置463と、その伝達装置463に伝達される駆動力を発生する駆動装置464と、伝達装置463に連結されると共にベース部材461の長手方向にスライド可能に形成される移動ベース部材465と、その移動ベース部材465の正面側に配設されると共に移動ベース部材465に締結固定される第2カバー部材466と、を主に備える。
【0191】
ベース部材461は、長尺板状に形成される部材であって、背面側に円柱状に突設されると共に吊下部材430の吊下筒435に内嵌軸支される吊下軸461aと、その吊下軸461aと併設される連結軸461bと、その連結軸461bと隣接されると共に背面側へ開口が向けられる箱状に形成される収納部461cと、その収納部461cの上方において正面側に突設される一対の回転軸461dと、ベース部材461の長手方向に沿って複数併設される長孔状のスライド孔461eと、を主に備える。
【0192】
収納部461cは、駆動装置464を収納するスペースを形成すると共に、底部に駆動装置464の駆動軸464aを貫通させる孔が穿設される。
【0193】
伝達装置463は、駆動軸464aに軸支される駆動ギア463aと、その駆動ギア463aに歯合されると共に一対の回転軸461dに軸支される一対の伝達ギア463bと、その一対の伝達ギア463bの内、移動ベース部材465側に配設される伝達ギア463bから偏心した位置において突設されるクランクピン463cと、を主に備える。
【0194】
クランクピン463cは、駆動ギア463aが回転され伝達ギア463bが回転されることで、回転軸461dを支点に回転される。
【0195】
移動ベース部材465は、長尺板状に形成される部材であって、背面側から複数(本実施形態では3箇所)が突設されると共に複数のスライド孔461eに挿通される姿勢維持ピン465aと、長手方向と垂直な方向に延設され穿設される長孔状のスライド孔465bと、正面側に突設される一対の嵩上部465cと、を主に備える。
【0196】
スライド孔465bは、伝達ギア463bのクランクピン463cが連結されるので、伝達ギア463bが回転されクランクピン463cの位置が変化されるにつれて、移動ベース部材465はスライド孔461eの延設方向に沿ってスライド移動される。
【0197】
第2カバー部材466は、一対の嵩上部465cに締結固定される一対の締結部466aを備える。そのため第2カバー部材466が移動ベース部材465に締結される状態において、移動ベース部材465がスライド移動されるのに伴って、第2カバー部材466もスライド移動される。
【0198】
連結部材470は、補助部材450と傾倒部材460とを連結すると共に樹脂材料から形成される部材であって、上端部に穿設されると共に補助部材450の吊下軸454に揺動可能に軸支される吊下孔471と、下端部に筒状に形成されると共に傾倒部材460の連結軸461bに揺動可能に外嵌軸支される筒状部472と、を備える。
【0199】
次いで、図24を参照して、傾倒部材460の駆動態様について説明する。図24は、吊下部材430が張出位置に配置された状態における第1スライド動作ユニット400の正面図である。なお、第1カバー部材466が斜め上方へスライド移動された状態が破線で図示され、カバー部材420の図示が部分的に省略される。
【0200】
第1スライド動作ユニット400の傾倒部材460は、駆動装置464(図23参照)が駆動されることで、第2カバー部材466がスライド移動され、傾倒部材460の正面視(図24参照)における外形が変化する演出を行うことができる。
【0201】
ここで、傾倒部材460は、吊下部材430の屈曲腕部433の先端側に軸支されるので、傾倒部材460の外形変化時に振動やぐらつきが生じやすい。本実施形態では、その振動やぐらつきを抑制する構成を複数有するため、それについて以下説明する。
【0202】
図25を参照して、吊下部材430が退避位置に配置された状態(図21(a)参照)における第1スライド動作ユニット400の構成について詳細に説明する。図25(a)は、第1スライド動作ユニット400の正面図であり、図25(b)は、第1スライド動作ユニット400の背面図である。なお、図25(a)及び図25(b)では、吊下部材430がスライド移動する移動経路の上端位置(退避位置)に配置された状態が図示され、カバー部材420の図示が部分的に省略される。
【0203】
図25(a)に示すように、吊下部材430が退避位置に配置されることで、吊下部材430に軸支される補助部材450及び傾倒部材460は、第3図柄表示装置81(図2参照)の表示領域Pの右外方に移動される。
【0204】
このとき、補助部材450が、吊下部材430の正面側かつ傾倒部材460の背面側である位置に収納される。即ち、吊下部材430、補助部材450及び傾倒部材460が厚み方向(図25(a)紙面垂直方向)に積層配置されるので、吊下部材430、補助部材450及び傾倒部材460の厚み方向視における個々の部材の総面積に比較してコンパクトに配置することができる。よって、第3図柄表示装置81(図2参照)の表示領域Pの右外方のスペースを抑制でき、表示領域Pを大きく確保することができる。
【0205】
また、図25に示すように、吊下部材430の屈曲腕部433は、大部分がベース部材410とカバー部材420との間に収納され、張出端側(先端側)の背面にはベース部材410の本体縦長部412が配設される。これにより、退避位置における吊下部材430の厚み方向のぐらつきを抑制することができる。
【0206】
また、本実施形態では、補助部材450は吊下部材430の屈曲腕部433が垂下される付近に形成される揺動軸434に軸支され、吊下部材430が張出位置に配置される場合には屈曲腕部433の延設方向に沿って補助部材450の長手方向が形成され、吊下部材430が退避位置から張出位置へスライド移動するほど補助部材450が屈曲腕部433の増厚部433aの先端に近づく(揺動される)態様で形成される。
【0207】
そのため、吊下部材430が張出位置に配置された場合に比較して退避位置に配置された方が、補助部材450から屈曲腕部433の増厚部433a先端までの出代(張出長さ)が短くされる。これにより、傾倒部材460が駆動されることで吊下部材430がぐらつく場合でも、吊下部材430と補助部材450との当接位置から吊下部材430の先端までの長さが短く形成されるので、退避位置における吊下部材430の厚み方向のぐらつき(屈曲腕部433先端のぐらつき)を抑制することができる。
【0208】
ここで、吊下部材430のスライド移動について説明する。吊下部材430は、背面側に形成される凹設溝432(図23参照)でベース部材410の案内リブ部413を挟み込むので、案内リブ部413の延設方向に沿ってスライド移動される。案内リブ部413は、上述した通り、斜め下方向(図25(a)右上から図25(a)左下)へ向けて一直線に延設される。
【0209】
吊下部材430のスライド移動は駆動装置440の駆動力が伝達されることにより生じる。例えば、退避位置から張出位置まで吊下部材430がスライド移動される場合は、吊下部材430が退避位置に配置された状態(図25参照)から、駆動モータ441の駆動力により駆動ギア442が正面視時計回りに回転され、その回転により一対の伝達ギア443が回転され、その一対の伝達ギア443の一方(図25(a)の左側)に歯合されるラックギアが移動されることで、そのラックギアを上面側に備える吊下部材430が張出位置までスライド移動される。
【0210】
次いで、図26を参照して、吊下部材430が張出位置に配置された状態(図21(b)参照)における第1スライド動作ユニット400の構成について詳細に説明する。図26(a)は、第1スライド動作ユニット400の正面図であり、図26(b)は、第1スライド動作ユニット400の背面図である。なお、図26(a)及び図26(b)では、吊下部材430がスライド移動する移動経路の下端位置(張出位置)に配置された状態が図示され、カバー部材420の図示が部分的に省略される。
【0211】
図26(a)に示すように、吊下部材430は張出位置に配置された状態において、スライド本体部431の移動方向の下端(図26(a)左下端)がベース部材410の外枠411aに当接される。また、上述した通り、吊下部材430は張出位置へ向かうほど下方へ移動するため、駆動装置440の駆動力の吊下部材430への伝達を解除しても、吊下部材430の位置を確実に張出位置に維持することができる。
【0212】
例えば、吊下部材430のスライド移動の方向が水平方向である場合、張出位置に吊下部材430が配置されてもスライド移動の方向に対して重力がかからないため、吊下部材430を張出位置に維持しておくための力を別で付加しておく必要がある。
【0213】
一方、本実施形態の吊下部材430によれば、駆動装置440の駆動力の吊下部材430への伝達を解除しても、重力の分力がスライド移動の方向に作用されるため、吊下部材430を張出位置に維持することができる。よって、駆動装置440の消費電力を抑制することができる。
【0214】
図26に示すように、吊下部材430が張出位置に配置された場合において、屈曲腕部433がベース部材410とカバー部材420との間に収納される部分は、吊下部材430が退避位置(図25(b)参照)に配置される場合に比較して小さくなる。よって、吊下部材430の厚み方向への屈曲腕部433のぐらつきをベース部材410とカバー部材420とにより抑制することは難しい。
【0215】
一方で、屈曲腕部433の根本側は、吊下部材430が張出位置に配置された状態における補助部材450の延設方向(図26(b)左下方向)へ向けて延設される。これにより、吊下部材430が張出位置に配置された場合には、吊下部材430の厚み方向への補助部材450と屈曲腕部433との重なり面積が広く形成される。
【0216】
補助部材450は、上述したように、吊下部材430の屈曲腕部433とはカバー部材420の厚み分のみ離間して形成されると共に屈曲腕部433が吊下部材430の厚み方向へぐらつく場合に当接可能に形成される。吊下部材430が張出位置に配置された状態において屈曲腕部433の薄厚部分(増厚部433aよりスライド本体部431側の部分)がベース部材410及びカバー部材420からはみ出して形成されるので、傾倒部材460が駆動されることによる吊下部材430の屈曲腕部433のぐらつきを厚み方向に生じやすくする(厚み方向のぐらつきが支配的にする)ことができる。これにより、吊下部材430のスライド方向へのぐらつきを抑制することができる。
【0217】
また、屈曲腕部433の薄厚部分(増厚部433aよりスライド本体部431側の部分)は、ベース部材410及びカバー部材420に挟まれてスライド移動されるスライド本体部431の短手方向(スライド方向に垂直な方向)に隣接して形成される。これにより、傾倒部材460が駆動されることにより生じるぐらつきを屈曲腕部433の撓みで吸収することができ、スライド本体部431が厚み方向(図26紙面垂直方向)へぐらつくことを抑制することができる。これにより、スライド本体部431がベース部材410及びカバー部材420に押し当てられることを抑制し、スライド本体部431の厚さ方向の摩耗を抑制することができる。
【0218】
例えば、スライド本体部431の短手方向へ向けてスライド本体部431と同等の厚みを有する腕部が延設され、その腕部の先端側が薄厚に形成されることも考えられる。しかし、この場合には、例えその薄厚部分が撓みを吸収するとしても、スライド本体部431と同等の厚みを有する腕部の先端がぐらつくことで、その腕部のぐらつきがスライド本体部431に伝達されスライド本体部431がぐらつくおそれがある。
【0219】
一方、本実施形態では、スライド本体部431から延設される屈曲腕部433の根本から薄厚にされるので、屈曲腕部433の先端で生じたぐらつきは薄厚部分の撓みに使用され、スライド本体部431がぐらつくことを防止する効果を顕著にすることができる。
【0220】
図27は、図26(a)のXXVII-XXVII線における第1スライド動作ユニット400の断面図である。図27に示すように、屈曲腕部433は補助部材450側へ向けて増厚される増厚部433aを備えるため、屈曲腕部433が吊下部材430の厚み方向へぐらつく場合に、そのぐらつきの振幅が小さなときから屈曲腕部433を補助部材450に当接させやすくすることができる。
【0221】
図26に戻って説明する。補助部材450は、吊下部材430の揺動軸434とベース部材410の案内孔415とに連結されるので、厚み方向への移動を規制される。そのため、補助部材450は吊下部材430の屈曲腕部433が正面側へ移動しようとするのをせき止めるストッパの役割を果たす。これにより、吊下部材430が張出位置に配置された場合における吊下部材430の厚み方向へのぐらつきを抑制することができる。
【0222】
図26(a)に示すように、吊下部材430が張出位置に配置された場合において、傾倒部材460の下端は第3図柄表示装置81(図2参照)の表示領域Pの下端よりも若干上方に配置される。ここで、傾倒部材460が吊下部材430に対して姿勢変化しない場合(固定される場合)には、吊下部材430は張出位置へ向かうほど下降傾斜してスライド移動される。そのため、吊下部材430が張出位置へ配置された状態において本実施形態の傾倒部材460の下端と同じ位置に傾倒部材460の下端を配置させるためには、吊下部材430が退避位置に配置された場合において下降傾斜分の距離L1だけ上方へオフセットした位置に傾倒部材460が配置される必要がある。
【0223】
そのため、第3図柄表示装置81(図2参照)の表示領域Pの右外方のスペースが余分に必要となったり、傾倒部材460の大きさの設計自由度を低くする要因となったりする。
【0224】
しかし、本実施形態では、吊下部材430が張出位置へ向かうほど、補助部材450に連結される連結部材470に吊り上げられる態様で傾倒部材460が姿勢変化され、傾倒部材460の下端が吊下部材430に対して持ち上げられる。これにより、吊下部材430が退避位置に配置された場合(図25(a)参照)における傾倒部材460の下端位置と、吊下部材430が張出位置に配置された場合(図26(a)参照)における傾倒部材460の下端位置とが、ほぼ同じ高さ(図25及び図26上下方向)に位置する。
【0225】
よって、吊下部材430が退避位置に配置された場合において下降傾斜分の距離L1だけ上方へオフセットした位置に傾倒部材460を配置する必要がなく、第3図柄表示装置81の表示領域Pの右外方のスペースを有効に使用することができると共に、傾倒部材460の大きさの設計自由度を向上させることができる。
【0226】
ここで、傾倒部材460の重心位置は、駆動装置464の配設される下端側に形成される。そのため、傾倒部材460の下端側が持ち上げられ傾斜されることにより、傾倒部材460の重心位置が上方へ移動される。そのため、吊下部材430のぐらつきの支点となる第3図柄表示装置81(図2参照)の表示領域Pの上縁から、傾倒部材460の重心までの距離が短縮化されるので、吊下部材430の厚み方向への屈曲腕部433のぐらつきを抑制することができる。
【0227】
また、傾倒部材460は、駆動装置464(図22参照)付近に重心位置が形成されるので、重力により吊下筒435を中心とした回転方向の力Rを下向きにかけられる。この力Rにより、補助部材450が連結部材470に引っ張られる。その際に、補助部材450のスライド軸453は、案内孔415の幅方向に沿った方向へ向けて力を受ける。そのため、スライド軸453と案内孔415との間の摩擦力を向上させ、補助部材450のスライド移動を防止することができるので、補助部材450と連結される他の部材のぐらつきを抑制することができる。
【0228】
上述したように、傾倒部材460の下端側が補助部材450に軸支される連結部材470に連結される。これにより、傾倒部材460の駆動時に発生するぐらつきに対する抵抗力が吊下部材430と補助部材450とから生じるので、傾倒部材460のぐらつきを抑制することができる。即ち、傾倒部材460が吊下部材430だけに連結される場合、傾倒部材460で発生する振動やぐらつきは全て吊下部材430に伝達されるが、本実施形態では傾倒部材460の振動やぐらつきを吊下部材430と連結部材470とに分けて伝達させることができる。これにより、吊下部材430や連結部材470の剛性を過大に設定する必要がなくなり、吊下部材430や連結部材470の設計自由度を向上させることができる。
【0229】
次いで、図28から図34を参照して、反転動作ユニット500について説明する。図28は、反転動作ユニット500の正面斜視図である。なお、図28では、反射部材520が回転方向に互いに当接された閉鎖状態が図示される。反転動作ユニット500は、反射部材520が回転されることで閉鎖状態(図28参照)と開放状態(図33(b)参照)とを形成可能に構成される。次に、反転動作ユニット500の全体構成について説明する。
【0230】
図29は、反転動作ユニット500の分解正面斜視図であり、図30は、反転動作ユニット500の分解背面斜視図である。
【0231】
図29及び図30に示すように、反転動作ユニット500は、骨格を成す枠状のベース部材510と、そのベース部材510の軸支溝512a,513aに軸支される反射部材520と、その反射部材520の回転軸522が内嵌される軸支孔531を備える第1蓋部材530と、反射部材520の駆動部側においてベース部材510の第2壁部513に取り付けられる第2蓋部材540と、反射部材520の回転ギア523に歯合される第1ラックギア553が刻設される伝達部材550と、その伝達部材550を移動させる駆動力を発生させる駆動装置560と、その駆動装置560の伝達ギア群562の背面側に配置されると共にベース部材510に締結固定されるカバー部材570と、を主に備える。
【0232】
ベース部材510は、中央に矩形状の開口を有すると共に平面枠状に形成される底面部511と、その底面部511の右端から底面部511の正面側および背面側へ向けて垂直に延設される第1壁部512と、底面部511の左端から底面部511の正面側へ向けて垂直に延設される第2壁部513と、を主に備える。なお、底面部511の開口はLED等の光源を有する基盤(図示せず)を配設するための開口であり、組立状態(図28参照)において光源から反射部材520へ向けて光が照射される。
【0233】
底面部511は、背面視(図30参照)における底面部511の右側部分において上下方向に延設されると共に、伝達部材550を案内する長孔状のスライド孔511aを備える。
【0234】
スライド孔511aは、延設方向が一直線上に一致する態様で底面部511の上下方向(図30上下方向)に複数(本実施形態では4箇所)並べられて形成され、そのうち上下両端に形成されるスライド孔511aには、その下端からスライド孔511aの延設方向に延設される長孔であって、スライド孔511aより細幅の長孔であると共に伝達部材550のリブ部555を案内するリブ部スライド孔511bが形成される。
【0235】
また、底面部511は、開口の下方において背面側へ向けて複数が突設されると共に駆動装置560の伝達ギア群562が軸支される回転軸511cを備える。
【0236】
第1壁部512は、正面側から背面側へ向けてU字状に切りかかれる溝であって反射部材の回転軸部の外径より若干大きな幅の軸支溝512aが複数形成される。なお、軸支溝512aの配設間隔は等間隔であり反射部材520の幅寸法(回転軸方向視長手寸法)よりも短い間隔で形成される。
【0237】
第2壁部513は、軸支溝512aと対向配置されると共に軸支溝512aと同一の態様で形成される複数の軸支溝513aと、その複数の軸支溝513aのうち隣接する軸支溝513aの間に形成されると共に第2壁部513の外壁面から正面側(図29手前側)へ向けて延設される延設部513bと、を備える。
【0238】
延設部513bは、正面側へ向かうほど幅寸法(図29上下方向の寸法)が小さくなる階段状に形成され、組立状態(図28参照)において、第2蓋部材540の位置決め突設部543に嵌合される。
【0239】
反射部材520は、光源から照射される光の進行方向を変化させる部材であって、不透明な樹脂材料から形成される長尺板状の本体部521と、その本体部521の左右両端から一直線上に突設される一対の回転軸522と、それら一対の回転軸522のうち伝達部材550が配設される側の回転軸522に軸どうしを一致させて締結固定される回転ギア523と、を備える。
【0240】
本体部521は、幅方向の端面に面取り形成される面取部521a(図34参照)を備える。
【0241】
回転軸522は、本体部521の幅方向(図29上下方向)中心位置に形成される。また、一対の回転軸522のうち伝達部材550が配設される側の回転軸522の方が長尺に延設されることで、回転ギア523と本体部521との間に第2壁部513が配設可能に形成される。
【0242】
回転ギア523は、隣接して刻設される歯が連結されると共に回転中心からの径が他の歯よりも長く形成される膨張歯523aを備える。膨張歯523aにより、反射部材520の過回転を防止することができる。
【0243】
第1蓋部材530は、第1壁部512の厚み方向(図29左右方向)から締結固定される長尺板状の部材であって、反射部材520の回転軸522が挿通される複数の軸支孔531と、第1蓋部材530の正面(図29手前側の面)に沿って第1壁部512へ向けて垂直に延設される部分であって複数の軸支孔531の正面側の縁に外接する端面を有する延設蓋部532(図31参照)と、を備える。
【0244】
ここで、例えば、第1蓋部材530を第1壁部512の正面側から締結固定する場合、第1壁部512には締結ネジの頭の径以上の厚みが必要となる。この場合、本実施形態のように、反転動作ユニット500が第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の外縁に第1壁部512を挟んで隣接していると、第1壁部512の厚みが邪魔となり、反転動作ユニット500と第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の演出とを一体として視認させることが難しい。
【0245】
一方、第1蓋部材530は、第1壁部512の厚み方向(図29左右方向)から締結固定されるため、反射部材520の右方の壁の厚みを締結ネジの頭の径によらず薄くすることができる。そのため、第1壁部512の厚みが邪魔とならず、反転動作ユニット500と第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)での演出とを一体として視認させることが容易となり、演出効果を向上させることができる。
【0246】
なお、ベース部材510、反射部材520及び第1蓋部材530の組立方法に関して、少なくとも2通りの組立方法を行うことができる。例えば、第1に、ベース部材510の軸支溝512a,513aに反射部材520の回転軸522を嵌め込んだ状態で第1蓋部材530をベース部材510に締結固定する方法がある。この方法であれば、反射部材520を一度に第1蓋部材530の軸支孔531に挿通させることができる。
【0247】
また、第2に、先にベース部材510に第1蓋部材530を締結固定した状態で、反射部材520の駆動部側とは反対側の回転軸522を第1蓋部材530の軸支孔531に斜め方向(正面側から斜め右奥へ向かう方向)で差し込んだ後に、駆動部側の回転軸522を第2壁部512の軸支溝513aに嵌め込む方法がある。
【0248】
図31を参照して、第1壁部512の軸支溝512a、第1蓋部材530及び反射部材520の嵌合関係について説明する。図31(a)は、反転動作ユニット500の部分側面図であり、図31(b)は、図31(a)のXXXIb-XXXIb線における反転動作ユニット500の部分断面図である。なお、図31(a)は、第1蓋部材530が締結される側の側面が図示される。
【0249】
図31(a)に示すように、第1壁部512の軸支溝512aの深さは反射部材520の回転軸522の直径と略同一に形成される。そのため、例えば第1蓋部材530に軸支孔531が形成されていない場合であっても、反射部材520は第1壁部512の軸支溝512aと第1蓋部材530の延設蓋部532との間に位置決めされ、軸支される。
【0250】
さらに本実施形態では、第1壁部512の軸支溝512aの深さと第1蓋部材530の軸支孔531の径とが同一に形成される。そのため、反射部材520の回転軸522は、上述したように第1壁部512の軸支溝512aと第1蓋部材530の延設蓋部532との間に軸支されると共に、第1蓋部材530の軸支孔531にも軸支される(図31(b)参照)。
【0251】
よって、反射部材520の回転軸522を軸支する面積を大きく確保することができる。これは、第1蓋部材530を第1壁部512に右方から締結固定することで第1壁部512の厚みを抑制した本実施形態の構成において特に有効である。
【0252】
即ち、第1壁部512の厚みを抑制したために、そのままでは反射部材520を軸支する軸支溝512aの面積を十分確保することが困難になるおそれがある。そこで、第1蓋部材530に軸支孔531を穿設し、その軸支孔531でも反射部材520を軸支するようにしている。これにより、第1蓋部材530及び第1壁部512が反射部材520の軸方向に占めるスペースを有効利用し、反射部材520を軸支する面積を十分に確保することができる。
【0253】
図30に戻って説明する。第2蓋部材540は、反射部材520の駆動部側をベース部材510に軸支するための部材であって、最も正面側に配置される長尺板状のベース部材541と、そのベース部材541から背面側へ向けて突設されると共に上下方向(図30上下方向)に延設される延設軸支部542と、その延設軸支部542とベース部材541とを連結する態様で突設される位置決め突設部543と、を備える。
【0254】
図32を参照して、第2蓋部材540とベース部材510との係合について説明する。図32(a)は、反転動作ユニット500の部分正面図であり、図32(b)は、図32(a)のXXXIIb?XXXIIb線における反転動作ユニット500の部分断面図であり、図32(c)は、図32(b)のXXXIIc?XXXIIc線における反転動作ユニット500の部分断面図であり、図32(d)は、図32(b)のXXXIId?XXXIId線における反転動作ユニット500の部分断面図である。
【0255】
図32(b)に示すように、第2蓋部材540の複数の位置決め突設部543は、ベース部材510の隣接する延設部513bの間にそれぞれ嵌合される。これにより、第2蓋部材540をベース部材510に対して上下方向(図32(b)上下方向)に精度よく位置合わせすることができる。
【0256】
ここで、第2壁部513は長尺板状に形成されるため、厚み方向への剛性が低くなりがちであり、第2壁部513が厚み方向へ撓むことにより反射部材520に軸方向の力が加えられ、反射部材520の回転が阻害されるおそれがある。
【0257】
一方、図32(c)に示すように、本実施形態ではベース部材510の延設部513bの厚み方向(図32(c)左右方向)から第2蓋部材540の延設軸支部542が当接される。これにより、第2壁部513の厚み方向の剛性を向上させることができる。
【0258】
第2蓋部材540の延設軸支部542の延設方向の端部とベース部材510の軸支溝513aが形成される端部とは当接され、軸支溝513aの開放端を閉鎖する(図32(d)参照)。これにより、軸支溝513aと第2蓋部材540の延設軸支部542とが形成する孔により、反射部材520の回転軸522が軸支される(図32(b)参照)。
【0259】
図29に戻って説明する。伝達部材550は、駆動装置560の駆動力を反射部材520に伝達するための部材であって、長尺板形状に形成されると共にベース部材510の底面部511の背面に当接される本体部551と、その本体部551の端面(図29左側端面)から正面側に延設される長尺板形状の延設壁部552と、その延設壁部552の正面側の端面に断続的に刻設されると共に反射部材520の回転ギア523に歯合される第1ラックギア553と、本体部551の正面側に複数(本実施形態では4箇所)が配設されると共にベース部材510のスライド孔511aに連結されるスライド軸554と、それらのスライド軸554のうち上下端のスライド軸554から下方に延設されると共にベース部材510のリブ部スライド孔511b(図30参照)の幅寸法よりも若干小さい幅寸法で突設されるリブ部555と、本体部551の側面に刻設されると共に駆動装置560の伝達ギア群に歯合される第2ラックギア556と、を備える。
【0260】
第1ラックギア553は、四つの歯が連設される歯群が、一つの歯を省略する場合の間隔よりも若干短い間隔を空けて複数配設される。この間隔を空けられた空間により、反射部材520の回転ギア523の過回転を防止することができるが、詳細は後述する。
【0261】
駆動装置560は、駆動力を発生させる装置であって、駆動軸に軸支される駆動ギア561と、その駆動ギア561に歯合されるギアと伝達部材550の第2ラックギア556に歯合されるギアとを含む複数のギアであってそれぞれが複数の回転軸511cに歯合される伝達ギア群562と、を備える。
【0262】
駆動装置560の駆動ギア561が回転されると、伝達ギア群562が回転され駆動装置560の駆動力が第2ラックギア556を介して伝達部材550に伝達される。伝達部材550は、駆動装置560の駆動力によりベース部材510のスライド孔511aの延設方向へスライド移動される。伝達部材550の第1ラックギア553は反射部材520の回転ギア523に歯合されるため、伝達部材550がスライド移動されることで反射部材520が回転軸522を支点に回転される。
【0263】
図33(a)、図33(b)及び図33(c)は、反射部材520の回転動作を時系列で図示した反転動作ユニット500の部分正面図であり、図33(d)、図33(e)及び図33(f)は、反射部材520の回転動作を時系列で図示した反転動作ユニット500の部分側面図であり、図34は、図33(d)の姿勢における反射部材520及び伝達部材550の部分側面図である。
【0264】
なお、図33では第2蓋部材540の図示は省略され、図33(a)及び図33(d)では、反射部材520の本体部521どうしが当接される状態(閉鎖状態)が図示され、図33(b)及び図33(e)では、図33(a)及び図33(d)の状態から反射部材520が所定量回転された状態(開放状態)が図示され、図33(c)及び図33(f)では、反射部材520が図33(a)及び図33(d)で正面側へ向けている面と反対側の面が正面側へ向けられると共に反射部材520の本体部521どうしが当接される状態(閉鎖状態)が図示される。
【0265】
図33(d)に示すように、閉鎖状態において、反射部材520の回転ギア523は、伝達部材550の第1ラックギア553に歯合され回転を規制される。
【0266】
反射部材520の回転動作について説明する。図33(d)の状態から、伝達部材550の第1ラックギア553が駆動装置560(図29参照)により上方(図33(d)左方)へスライド移動されると反射部材520の回転ギア523が回転されることに伴い反射部材520の本体部521が回転される(図33(e)参照)。さらに第1ラックギア553が左方へスライド移動されることで反射部材520は互いの厚み方向の面が当接されるまで回転され、伝達部材550が停止される(図33(f)参照)。
【0267】
ここで、伝達部材550のスライド移動の終端位置では、反射部材520が端部で当接され姿勢が矯正される(図34参照)。そのため、反射部材520の回転ギア523と伝達部材550の第1ラックギア553とが精度よく歯合されていなくても、伝達部材550がスライド移動の終端位置に配置された状態における反射部材520の姿勢を安定化させることができる。
【0268】
反射部材520は、閉鎖状態において、本体部521の端部が厚み方向に当接される。このとき、ベース部材510の第1壁部512と第2壁部513との間の領域が反射部材520に閉鎖されるので、上述した光源から照射される光を反射部材520で遮断することができる。
【0269】
ここで、光の漏れの抑制は、例えば板状のシャッター部材をスライド移動させて、そのシャッター部材を遊技者へ照射される光と遊技者との間に配置することでも達成できる。この場合、シャッター部材が開ききってしまえば遊技者へ照射される光の全体を遊技者は視認できる。しかし、遊技者へ照射される光と遊技者との間にシャッター部材が配置された状態からシャッター部材がスライド移動する途中では、シャッター部材と重なる光を視認することはできない。即ち、遊技者が光の全体を視認するまでの期間が長くなる。
【0270】
一方、本実施形態によれば、反射部材520は、閉鎖状態では光の漏れを抑制しながら、閉鎖状態から反射部材520が回転することで遊技者へ照射される光を通過可能にする。ここで、複数の反射部材520には例示として上述した単一のシャッター部材と同じ役割を持たせることができる。即ち、シャッター部材に比較してそれぞれの反射部材520を小型に形成することができる。そのため、シャッター部材をスライド移動させる場合に比較して、反射部材520を回転させる場合の方が、遊技者が光の全体を視認するまでの時間を短くできる。
【0271】
また、本実施形態では、反射部材520が回転することにより、正面視(図32(a)参照)における反射部材520の占める領域が縮小されることで、反射部材の背面側に形成される光源の光を視認可能となる。そのため、反射動作ユニット500の配設スペースを省スペース化することができる。
【0272】
反射部材520は、閉鎖状態において面取部521aどうしが互いに当接される(図34参照)。これにより、厚み方向における反射部材520どうしの厚み方向の間隔を短くすることができ、複数の反射部材520で形成される面をより平坦面化することができる。
【0273】
例えば、複数の反射部材520の厚み方向の面で一体として認識される模様が複数の反射部材520の厚み方向の面に形成される場合、隣接する反射部材520間の境界を目立たせなくし、模様のずれを抑制することができる。そのため、模様をより綺麗に認識させることができる。
【0274】
反射部材520の回転軸522から膨張歯523aの外端までの距離は、回転軸522から伝達部材550の本体部551までの距離よりも長く形成される。そのため、図33(a)の状態から、回転ギア523を図33(d)の反時計回りに回転させようとすると、膨張歯523aが本体部551にせき止められるため、回転させることができない。これにより、反射部材520の過回転を防止でき、反射部材520の当接面で圧力が過度に生じ、反射部材520が破損することを防止することができる。
【0275】
また、上述したように、第1ラックギア553は四つの歯が連設される歯群が一つの歯を省略する場合の間隔よりも若干短い間隔を空けて配設されるため、図33(f)の状態から反射部材520の回転ギア523を図33(f)の時計回りに回転させようとすると、回転ギア523の歯が伝達部材550の第1ラックギア553の歯群間に形成される間隔にはまり込む。この場合、回転ギア523をそれ以上回転させることができない。よって反射部材520の過回転により、反射部材520が当接面である面取部521aで破損することを防止することができる。
【0276】
次いで、図35から図42を参照して、第2スライド動作ユニット700について説明する。図35(a)及び図35(b)は、第2スライド動作ユニット700の正面斜視図である。なお、図35(a)では、一対の第1スライド部材720及び一対の第2スライド部材740が退避位置に配置された状態が図示され、図35(b)では、一対の第1スライド部材720及び一対の第2スライド部材740が張出位置(第3図柄表示装置81の表示領域Pの正面側、図2参照)に配置された状態が図示される。
【0277】
第2スライド動作ユニット700は、一対の第1スライド部材720及び一対の第2スライド部材740が第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)の正面側に張り出すことで、表示領域Pを格子状に分割可能に形成される。次に、第2スライド動作ユニット700の全体構成について説明する。
【0278】
図36及び図37は、第2スライド動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図38及び図39は、第2スライド動作ユニット700の分解背面斜視図である。なお、図36及び図38では、ベース部材710及びベース部材710の正面側に配設される部材が分解された状態が図示され、図37及び図39では、ベース部材710及びベース部材710の背面側に配設される部材が分解された状態が図示される。
【0279】
図36から図39に示すように、第2スライド動作ユニット700は、中央に第3図柄表示装置81の表示領域P(図2参照)を形成する矩形状の開口を有する矩形板形状のベース部材710と、そのベース部材710の正面と所定間隔を空けてベース部材710に固定されると共に長手方向を水平方向と一致させる第1スライド軸棒S1と、その第1スライド軸棒S1に沿ってスライド移動される一対の第1スライド部材720と、それらの一対の第1スライド部材720の正面側からベース部材710に締結固定されると共に上下一対で形成される正面側カバー部材730と、を主に備える。
【0280】
また、第2スライド動作ユニット700は、ベース部材710の背面と所定間隔を空けてベース部材710に固定されると共に長手方向を鉛直方向と一致させる第2スライド軸棒S2と、その第2スライド軸棒S2に沿ってスライド移動される一対の第2スライド部材740と、それらの第2スライド部材740に歯合される複数のギアが配設される伝達装置750と、一対の第2スライド部材740及び伝達装置750の背面側からベース部材710に締結固定されると共に左右および上部に形成される背面側カバー部材760と、それらの背面側カバー部材760に配設されると共に第1スライド部材720及び第2スライド部材740をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動装置770と、を主に備える。
【0281】
図36に示すように、第1スライド部材720は、形状の略同等な一対の部材により構成されるので、ここではその片方(図36左方)について説明し、他方の説明を省略する。
【0282】
第1スライド部材720は、正面視L字の板形状に形成される本体部721と、その本体部721に締結固定される台車部722と、その台車部722の下端から下方へ延設される装飾部723と、を備える。
【0283】
本体部721は、左右方向へ延設される長尺板形状に形成されると共に上面にラックギアが刻設されるラック部721aと、そのラック部721aの下方に連設されると共にラック部721aの正面視左寄りに配設される板形状の台車受け部721bと、を備える。
【0284】
台車部722は、左端を台車受け部721bの左端と一致させて台車受け部721bの背面側に締結固定される。台車部722は、板状の底面の上下端から正面側にそれぞれ壁部が張り出すことで断面コ字状に形成される台車本体部722aと、その台車本体部722aの内方に配設されると共に底面と垂直な回転軸を有して形成される上下一対の回転体が左右一対で配設される回転体群722bと、を備える。
【0285】
回転体群722bは、上下一対の回転体が左右に平行に配設されると共に、上下間隔の長さは第1スライド軸棒S1の直径より若干長く形成される。回転体群722bは、台車本体部722aの長手方向の側面(図36左右側面)から若干外方へ張り出して配置される。
【0286】
第1スライド軸棒S1は、両端にベース部材710に締結固定される一対の締結板部S1aを備えると共にステンレスなどの金属材料から形成される。
【0287】
第1スライド部材720のベース部材710への配設態様について説明する。まず、スライド軸棒S1を第1スライド部材720の回転体群722aの間に挿入し、その状態で締結板部S1aをベース部材710に締結固定する。これにより、台車部722aがベース部材710と第1スライド軸棒S1との間に配設される。また、これによりベース部材710が第1スライド軸棒S1の剛性により補強される。
【0288】
次いで、本体部721の台車受け部721bと台車部722とを締結固定する。これにより、第1スライド軸棒S1により第1スライド部材720がスライド移動可能に軸支される。
【0289】
この状態で、第1スライド部材720のラック部721aが、駆動ギア711a,712aに歯合される伝達ギアに歯合される。そのため、駆動ギア711a,712a及び伝達ギアを介して駆動装置770(図35参照)の駆動力が第1スライド部材720に伝達されることで、第1スライド部材720が左右にスライド移動される。
【0290】
第1スライド部材720のスライド移動時には、回転体群722bが第1スライド軸棒S1を挟み込むため、第1スライド部材720と第1スライド軸棒S1との接触面積を小さくでき摩擦が低減される。また、上下一対の回転体が左右に一対で配設され、それらが第1スライド軸棒S1に当接されるので、第1スライド部材720のぐらつきを複数点で抑制することができる。よって、第1スライド軸棒S1に対する第1スライド部材720の姿勢を安定させることができる。
【0291】
正面側カバー部材730は、第1スライド部材720がベース部材710に配設された後にベース部材710に締結固定される。下側のカバー部材730は、装飾部723の下端の正面側に配設される。これにより、第1スライド部材720が第1スライド軸棒S1を軸に前後方向(図36左手前方向)にぐらつく場合に、第1スライド部材720のぐらつきを抑制することができる。
【0292】
図38に示すように、ベース部材710は、前後方向に貫通して配設されると共に軸回転可能に形成される伝達筒711,712と、背面視左方においてベース部材710の背面に締結固定され鉛直方向に沿って延設されると共に内方(図38右方)へ向く壁面にギアが刻設される固定ギア部713と、その固定ギア部713に歯合されると共にラックギア754(図39参照)の軸支部754a(図37参照)に軸支される転動ギア714と、背面視右方においてベース部材710の背面から突設されると共に鉛直方向に延設される案内壁部715と、を主に備える。
【0293】
伝達筒711,712は、ベース部材710の正面側に駆動ギア711a,712a(図36参照)をそれぞれ備える。伝達筒711,712は、駆動装置770の駆動モータ771,772の駆動軸が固着される部材であって、駆動装置770の駆動力を第1スライド部材720に伝達する部材である。
【0294】
案内壁部715は、内方(図38左方)へ向く壁面に刻設される受けギア部715aを備える。
【0295】
図37に示すように、第2スライド部材740は、形状の略同等な一対の部材により構成されるので、ここではその片方(図37上方)について説明し、他方の説明を省略する。
【0296】
第2スライド部材740は、長尺板形状に形成される本体部741と、その本体部741に締結固定される台車部742と、その台車部742の正面視左端から左方へ延設される装飾部743と、を備える。
【0297】
本体部741は、上下方向へ延設される長尺板形状に形成されると共に右面にラックギアが刻設される。
【0298】
台車部742は、上端を本体部741の上端と一致させて本体部741の背面側に締結固定される。台車部742は、板状の底面の左右端から正面側にそれぞれ壁部が張り出すことで断面コ字状に形成される台車本体部742aと、その台車本体部742aの内方に底面と垂直な回転軸を有して形成される左右一対の回転体が上下一対で配設される回転体群742bと、を備える。
【0299】
回転体群742bは、左右一対の回転体が上下に平行に配設されると共に、左右間隔の長さは第2スライド軸棒S2の直径より若干長く形成される。
【0300】
装飾部743は、正面視左方の端に、背面へ向けて突設される軸に軸支される上下一対の撓み抑制ギア743aを備える。
【0301】
第2スライド軸棒S2は、両端にベース部材710に締結固定される一対の締結板部S2aを備える。
【0302】
第2スライド部材740のベース部材710への配設態様について説明する。まず、スライド軸棒S2を第2スライド部材740の回転体群742aの間に挿入し、本体部741を台車部742の正面側に締結固定する。これにより、第2スライド軸棒S2により第2スライド部材740がスライド移動可能に軸支される。また、これによりベース部材710が第2スライド軸棒S2の剛性により補強される。
【0303】
次いで、第2スライド軸棒S2の締結板部S2aをベース部材710の背面に締結固定する。これにより、本体部741がベース部材710と第2スライド軸棒S2との間に配設される。
【0304】
ここで、第2スライド部材740の本体部741から刻設されるラックギアは、ベース部材710の転動ギア714に歯合される。そのため、転動ギア714が回転されると、第2スライド部材740は上下にスライド移動される。
【0305】
第2スライド部材740のスライド移動時には、回転体群742bが第2スライド軸棒S2を挟み込むため、第2スライド部材740と第2スライド軸棒S2との接触面積を小さくでき摩擦が低減される。また、左右一対の回転体が上下に一対で配設され、それらが第2スライド軸棒S2に当接されるので、第2スライド部材740のぐらつきを複数点で抑制することができる。よって、第2スライド軸棒S2に対する第2スライド部材740の姿勢を安定させることができる。
【0306】
ここで、転動ギア714(駆動部側)に歯合されるラックギアを有する本体部741と、第2スライド軸棒S2を挟み込む台車部742とが、第2スライド部材740の延設方向における同一端部に形成される。よって、第2スライド部材740の第2スライド軸棒S2を支点とする撓みが、ラックギアと転動ギア714との歯合状態に影響する度合いを低減することができる。よって、第2スライド部材740が歯合状態のずれにより受ける抵抗を抑制することができる。
【0307】
図39に示すように、伝達装置750は、駆動装置770の駆動力を第2スライド部材740へ伝達させる装置であって、長尺板形状の本体部751と、その本体部751の背面側に配設されると共に駆動装置770の駆動軸773a,774aが固着される駆動ギア752と、その駆動ギア752に歯合される伝達ギア753と、その伝達ギアに歯合される歯を有し上下方向に延設される長尺板形状の部材であると共に本体部751のスライド長孔751aに沿って上下にスライド移動されるラックギア754と、を主に備える。
【0308】
なお、伝達装置750の構成の説明において、上下一対の部分(図39参照)においてはその片方(上方)の説明のみを行い、もう一方の説明は省略する。
【0309】
本体部751は、鉛直方向(図39上下方向)に長手方向を向けた長孔状に穿設されるスライド長孔751aを備える。
【0310】
ラックギア754は、正面から垂直に突設されると共に本体部751のスライド長孔751aを貫通する円柱状の軸支部754a(図37参照)を備える。その軸支部754aは、転動ギア714の軸支孔に挿通される。
【0311】
ここで、第2スライド部材740への駆動力の伝達態様について説明する。まず、駆動装置773の駆動軸773aが回転されると、その駆動軸773aに固着される駆動ギア752が回転され、その駆動ギア752に歯合される伝達ギア753の回転を介してラックギア754がスライド長孔751aの長手方向に沿って上下にスライド移動される。
【0312】
ラックギア754の軸支部754a(図37参照)は、転動ギア714の軸支孔に挿通されるので、ラックギア754が上下にスライド移動されることで、転動ギア714も上下にスライド移動される。
【0313】
このとき、転動ギア714は、ベース部材710の固定ギア部713の歯に歯合されると共に、固定ギア部713に対向配置される第2スライド部材740の本体部741とも歯合される。即ち、固定ギア部713、転動ギア714及び本体部741でダブルラックピニオン機構が形成され、第2スライド部材740はラックギア754に対して倍速で移動される。
【0314】
背面側カバー部材760は、第2スライド部材740の駆動部側に配設される背面駆動部カバー部材761と、上部に配設される背面上部カバー部材762と、背面駆動部カバー部材761と左右方向に対向配置される背面抜け止めカバー部材763と、を主に備える。
【0315】
背面駆動部カバー部材761は、伝達装置750の背面側に締結固定されると共に、駆動装置770の駆動モータのうち第2スライド部材740を駆動させる駆動モータ773,774が背面に締結固定される。
【0316】
背面上部カバー部材762は、ベース部材710の背面に締結固定されると共に、駆動装置770の駆動モータのうち第1スライド部材720を駆動させる駆動モータ771,772が背面に締結固定される。
【0317】
背面抜け止めカバー部材763は、装飾部743の延設端側の背面に形成され、第2スライド部材740が第2スライド軸棒S2を支点に背面側に回転され抜け出してしまうことを防止する。
【0318】
駆動装置770は、第1スライド部材720を駆動させる駆動モータ771,772と、第2スライド部材740を駆動させる駆動モータ773,774と、を主に備える。それらの駆動モータ771,772,773,774は駆動軸771a,772a,773a,774aをそれぞれ備える。
【0319】
図40を参照して、一対の第1スライド部材720の移動態様の一例について説明する。図40は、第1スライド部材720の配置の変化の一例を時系列で図示した第2スライド動作ユニット700の正面図である。
【0320】
なお、図40(a)では、一対の第1スライド部材720がそれぞれ退避位置に配置された状態が、図40(b)では、一対の第1スライド部材720の本体部721と台車部722とが張出位置で当接された状態が、図40(c)では、一対の第1スライド部材720が図40(b)の位置から正面視右方へ所定量移動された状態が、それぞれ図示され、図40(a)から図40(c)では、上下一対の正面側カバー部材730のうち上側の正面側カバー部材730の図示が省略される。
【0321】
ここで、一対の第1スライド部材720のスライド移動時における駆動ギア711a,712aへの駆動力の伝達について説明する。図40(a)に示す退避位置から、駆動ギア711a,712aが(駆動ギア711aは正面視時計回り、駆動ギア712aは正面視反時計回りに)回転されると、一対の第1スライド部材720はそれぞれ張出位置へ向けてスライド移動され、張出位置において当接される(図40(b)参照)。
【0322】
一対の第1スライド部材720のうち正面視右方に配設される第1スライド部材720をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ772(図35参照)は、図40(b)の状態に至る直前に駆動力の発生を止めるよう制御される。本実施形態では、一対の第1スライド部材720の当接が、台車受け部721bと台車部722の台車本体部722aとで生じるので、装飾部723のスライド方向への撓みを考慮することが不要であって、一対の第1スライド部材720の当接位置を正確に算出することができる。
【0323】
一対の第1スライド部材720は回転体群722bが台車本体部722aの長手方向の側面(図36左右側面)から若干外方へ張り出して配置されるため、一対の第1スライド部材720が当接される際には、回転体群722bのうち当接面側から外方へ張り出す回転体同士が初めに当接され、その後、台車受け部721bと台車部722の台車本体部722aとが押しつけられる。即ち、台車受け部721bと台車本体部722aとが当接される最中において、回転体群722bのうち当接面側から外方へ張り出す回転体同士には圧力がかけられる。これにより、一対のスライド部材720が当接された状態において回転体群722bの回転を制動させることができるので、一対の第1スライド部材720の当接時の衝撃を緩和することができる。
【0324】
一対の第1スライド部材720は、当接されたあと、一対の第1スライド部材720のうち正面視左方に配設される第1スライド部材720をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ771(図35参照)の駆動力により(正面視左方に配設される第1スライド部材720に正面視右方に配設される第1スライド部材720が押されることで)一対の第1スライド部材720が右方へスライド移動される(図40(c)参照)。
【0325】
即ち、一対の第1スライド部材720が互いに当接された後は、駆動モータ771,772を協調動作させることなく、一対の第1スライド部材720をスライド移動させることができる。これにより、駆動モータ771,772(図35参照)全体での電力消費量を抑制することができる。
【0326】
また、例えば、駆動モータ771(図35参照)のみで一対の第1スライド部材720を駆動させる場合、片方の第1スライド部材720のみを駆動させるよりもモータ負荷が増加する。しかし、第1スライド部材720が水平方向へ移動されるため、上下方向へ移動される場合のように重力負荷を考える必要は無く、モータ負荷の増加量は駆動モータ771,772(図35参照)それぞれで均等に生じる。
【0327】
そのため、駆動モータ771,772(図35参照)のモータ寿命を調整しやすく、駆動モータ771,772の交換時期の調整を容易にすることができる。これにより、駆動モータ771,772のメンテナンス回数を減少させることができる。
【0328】
図41を参照して、一対の第2スライド部材740の移動態様の一例について説明する。図41は、第2スライド部材720の配置の変化の一例を時系列で図示した第2スライド動作ユニット700の正面図である。
【0329】
なお、図41(a)では、一対の第2スライド部材740がそれぞれ退避位置に配置された状態が、図41(b)では、一対の第2スライド部材740の本体部741どうしが張出位置で当接された状態が、図41(c)では、一対の第2スライド部材740が図41(b)の位置から正面視上方へ所定量移動された状態が、それぞれ図示される。
【0330】
ここで、一対の第2スライド部材740のスライド移動時における駆動ギア752(図39参照)への駆動力の伝達について説明する。図41(a)に示す退避位置から、駆動モータ773,774(図35参照)により駆動ギア752が(駆動モータ773は正面視時計回り、駆動モータ774は正面視反時計回りに)回転されると、一対の第2スライド部材740はそれぞれ張出位置へ向けてスライド移動され、張出位置において当接される(図41(b)参照)。
【0331】
一対の第2スライド部材740のうち正面視上方に配設される第2スライド部材740をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ773(図35参照)は、図41(b)の状態に至る直前に駆動力の発生を止めるよう制御される。
【0332】
一対の第2スライド部材740は、当接されたあと、一対の第2スライド部材740のうち正面視下方に配設される第2スライド部材740をスライド移動させる駆動力を発生させる駆動モータ774(図35参照)の駆動力により(正面視下方に配設される第2スライド部材740に正面視上方に配設される第2スライド部材740が押されることで)一対の第2スライド部材740が上方へスライド移動される(図41(c)参照)。
【0333】
即ち、一対の第2スライド部材740が互いに当接された後は、駆動モータ773,774(図35参照)を協調動作させることなく、一対の第2スライド部材740をスライド移動させることができる。これにより、駆動モータ773,774全体で見た電力消費量を抑制することができる。
【0334】
ここで、下降移動する部材が上方へ移動方向を転換する場合、重力の影響により駆動モータへの負荷が上昇することでモータ寿命が低下するおそれがある。また、方向転換のための減速時間が長くかかるので、演出の自由度を低下させるおそれがある。
【0335】
しかし、本実施形態では、一対の第2スライド部材740のうちの上側の部材が下降移動から上方へ移動方向を転換する場合に、一対の第2スライド部材740のうちの下側の部材の上昇移動の勢いを利用することができる。これにより、重力の影響により第2スライド部材740の方向転換時に生じるモータ負荷を低減させることができ、モータ寿命を長期化することができる。また、第2スライド部材740の方向転換のための減速時間を短縮し、演出の自由度を向上させることができる。
【0336】
次いで、図42を参照して、第2スライド部材740の撓み抑制ギア743aの作用について説明する。図42は、第2スライド動作ユニット700の部分背面図である。なお、背面側カバー部材760の背面抜け止めカバー763(図39参照)の図示が省略される。
【0337】
図42に示すように、第2スライド部材740は、第2スライド軸棒S2で支持される端部の反対側の端部が撓み抑制ギア743aを介してベース部材710の受けギア部715aに当接される。
【0338】
ここで、第2スライド部材740の始動時には、撓み抑制ギア743aと受けギア部715aとの歯合関係は適正化され撓み抑制ギア743aはスムーズに回転されるため、第2スライド部材740と受けギア部715aとの間に生じる抵抗は抑制される。よって、第2スライド部材740の始動時に必要な駆動力を抑制することができる。
【0339】
一方、一対の第2スライド部材740が台車部742どうしで当接される場合には、当接時の衝撃が装飾部743に伝達され、装飾部743の撓み抑制ギア743aが配設される側の端部が案内壁部715に対して傾斜される。これにより、受けギア部715への撓み抑制ギア743aからの負荷が上昇する。詳述すると、例えば第2スライド部材740の装飾部743が台車部742を支点に下方(図42下方)へ傾斜されると、一対の撓み抑制ギア743aのうち上側の撓み抑制ギア743aが受けギア部715へ押しつけられる。
【0340】
これにより、第2スライド部材740の傾斜を戻す方向の力が第2スライド部材740へ加えられるので、一対の第2スライド部材740が当接されることで生じる装飾部743の姿勢の傾斜を抑制することができる。
【0341】
また、第2スライド部材740と案内壁部715との当接がギアの歯合により構成されることで、当接面を増加させることができる。これにより、一対の第2スライド部材740の当接時に第2スライド部材740と案内壁部715との間で滑りが発生することを抑制することができるので、装飾部743の姿勢の傾斜を抑制する効果を向上させることができる。
【0342】
次いで、図43から図48を参照して、第2実施形態について説明する。まず、図43から図46を参照して、第2実施形態における揺動動作ユニット2300について説明する。
【0343】
第1実施形態では、伝達装置350と駆動装置340の駆動ギア341とが常に歯合される場合を説明したが、第2実施形態における揺動動作ユニット2300は、伝達装置2350及び駆動装置2340の駆動ギア2341が歯合する状態(係合状態)と伝達装置2350及び駆動ギア2341の歯合が解除される状態(非係合状態)とを形成可能とされる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0344】
図43及び図44は、第2実施形態における駆動ギア2341、伝達装置2350及びL字型レバー2380の揺動動作を時系列で図示した駆動ギア2341、伝達装置2350及びL字型レバー2380の正面図である。
【0345】
なお、アーム部材320の本体部321及び解除孔325が想像線で図示され、図43(a)では、アーム部材320が張出位置に配置された状態が、図43(b)では、アーム部材320が張出位置から退避位置へ向けて所定量揺動された状態が、図43(c)では、アーム部材320が退避位置に配置された状態が、図44(a)では、図43(c)の状態から伝達装置2350がL字型レバー2380に引かれる直前の状態が、図44(b)では、アーム部材320が張出位置の手前まで張り出された状態が、図44(c)では、L字型レバー2380に伝達装置2350が引かれることでアーム部材320が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
【0346】
図43(a)に示すように、駆動ギア2341と伝達装置2350とは歯合可能に形成される。
【0347】
駆動ギア2341は、駆動軸に軸視されると共に正面視扇形状に形成される本体部2341aと、その本体部2341aの周面付近において正面側に突設される押し出しピン2341bと、を備える。
【0348】
伝達装置2350は、規制摺動部351の正面視反対側の端部に正面側へ向けて突設される解除ピン2352を備える。
【0349】
ベース部材2310は、駆動ギア2341の軸支位置の正面視右下方において正面側へ突設される揺動軸2318を備える。
【0350】
L字型レバー2380は、長尺棒状に形成されると共に一端をベース部材2310の揺動軸2318に揺動可能に軸支される第1本体部2381と、その第1本体部2381の一端の反対側の他端に揺動可能に軸支されると共に長尺棒状に形成される第2本体部2382と、その第2本体部2382の延設方向に沿った長孔状に穿設されると共に解除ピン2352が連結される引きスライド孔2383と、を備える。なお、L字型レバー2380は、駆動ギア2341の正面側を揺動可能に形成されると共に駆動ギア2341が回転する際に押し出しピン2341bに当接可能に形成される。
【0351】
アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合について説明する。アーム部材320は、解除孔325で連結される伝達装置2350が駆動ギア2341の回転により図43(c)の状態まで揺動されることで、アーム部材320が退避位置へ配置される。このとき、L字型レバー2380は、引きスライド孔2383を伝達装置2350の解除ピン2352に引かれ、伝達装置側へ傾斜される。
【0352】
図43(c)の状態から更に駆動ギア2341が正面視反時計回りに回転されると、伝達装置2350と駆動ギア2341との歯合が解除される(図44(a)参照)。次いで、アーム部材320が退避位置から張出位置へ向けて揺動される場合について説明する。
【0353】
アーム部材320が退避位置に配置された状態(図43(c)参照)では、伝達装置2350の規制摺動部351とアーム部材320の解除孔325とが死点を形成するので、伝達装置2350と駆動ギア2341との歯合が解除されてもアーム部材320は退避位置に維持される。
【0354】
図44(a)に示す状態から、駆動ギア2341が更に回転され、L字型レバー2380を外方(図44右方)へ押すと、L字型レバー2380の引きスライド孔2383に伝達装置2350の解除ピン2352が引っ張られ、伝達装置2350がわずかに正面視反時計回りに回転される。
【0355】
伝達装置2350がわずかに回転されることで、伝達装置2350の規制摺動部351とアーム部材320の解除孔325とが形成する死点が解除され、アーム部材320はねじりバネ360(図20参照)の付勢力により張出位置へ向けて揺動される(図44(b)参照)。
【0356】
駆動ギア2341が更に回転され、押し出しピン2341bが回転軸の右方に配置されるとL字型レバー2380が再度伝達装置2350の解除ピンを引っ張る。これにより、伝達装置2350の規制摺動部351とアーム部材320の解除孔325とが死点を形成し、アーム部材320を張出位置に維持することができる(図44(c)参照)。
【0357】
即ち、アーム部材320が退避位置から張出位置へ向けて揺動される場合に、駆動ギア2341とアーム部材320に連結される伝達装置2350との歯合を解除することができ、アーム部材320にかけられる抵抗を減少させることができる。よって、ねじりバネ360(図20参照)の付勢力でアーム部材320を始動させることにより、始動時からアーム部材320を高速で揺動させるという作用を顕著にすることができる。
【0358】
ここで、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合にのみ伝達装置2350と駆動ギア2341とが歯合される。そのため、伝達装置2350と駆動ギア2341との間で生じる抵抗の変化は、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合にのみアーム部材320の揺動に影響し、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される場合にはアーム部材320の揺動に影響しない。
【0359】
そのため、ねじりバネ360の弾性力を大きく設定することで、アーム部材320を張出位置から退避位置へ揺動させる時に大きな力が必要となることに伴い駆動装置2340の容量を大きく選定したとしても、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される際の始動時の高速さを確保する事ができる。
【0360】
図45(a)、図45(b)、図46(a)及び図46(b)は、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される動作を時系列で図示した第2実施形態における揺動動作ユニット2300の正面図である。なお、図45(a)では、アーム部材320が退避位置に配置された状態が図示され、図45(b)では、アーム部材320が退避位置から所定量揺動された状態が図示され、図46(a)では、図45(b)の状態からアーム部材320が所定量揺動された状態が図示され、図46(b)では、アーム部材320が張出位置に配置された状態が図示される。
【0361】
第1実施形態では、起立部材330が緩やかに起立される場合を説明したが、第2実施形態における揺動動作ユニット2300は、起立部材330が急激に起立される。
【0362】
図46(b)に示すように、ベース部材2310の起立孔2316は、折れ曲がる点の上部に形成される姿勢変化部2316aと、下端付近に形成される同心円部2316bと、を備える。
【0363】
姿勢変化部2316aは、長孔の延設方向が、アーム部材320の揺動軸である筒状部322へ向けられる部分である。姿勢変化部2316aを起立部材330の変化摺動部333が摺動される場合、アーム部材320の揺動角に対する起立部材330の姿勢変化の度合いが最大となる(図45(b)及び図46(a)参照)。これは、姿勢変化部2316aが、摺動リング部323(図17(b)参照)の移動軌跡が形成する円と垂直な関係にあるためである。
【0364】
同心円部2316bは、長孔の延設方向がアーム部材320の筒状部322を中心とした円に沿った方向へ向けられる部分である。同心円部2316bを起立部材330の変化摺動部333が摺動される場合、アーム部材320の摺動リング部323と起立部材330の変化摺動部333との相対的な位置関係が変化しないので、アーム部材320に対する起立部材330の姿勢が維持される。
【0365】
本実施形態では、同心円部2316bが起立孔2316の下端に形成されるため、アーム部材320が退避位置から図45(b)に図示される位置に配置されるまでの間、アーム部材320に対する起立部材330の相対的な姿勢は維持される。
【0366】
そして、姿勢変化部2316aは、起立孔2316の折れ曲がる点の上部(即ち同心円部2316bの上部付近)に形成されるので、図45(b)に図示される配置から図46(a)に図示される配置にアーム部材320が揺動されると、起立部材320が急激に起立される。
【0367】
これにより、起立部材320が遊技者に視認された後における姿勢変化を急激なものにすることができる。よって、遊技者が感じる揺動動作ユニット2300の動作の高速さをより向上させることができる。
【0368】
図47を参照して、第2実施形態における第1スライド動作ユニット2400について説明する。第1実施形態では、連結部材470が樹脂材料から形成される場合を説明したが、第2実施形態における第1スライド動作ユニット2400は、連結部材2470が弾性ゴム材料から形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0369】
図47(a)は、第2実施形態における第1スライド動作ユニット2400の正面図であり、図47(b)は、第1スライド動作ユニット2400の背面図である。なお、図47では、吊下部材430が張出位置に配置された状態が図示され、カバー部材420の図示が部分的に省略される。
【0370】
図47(a)に示すように、傾倒部材2460の第2カバー部材2466は、上側の端部に配設される質量部2466mを備える。
【0371】
質量部2466mは、吊下部材430が張出位置に配置された状態において傾倒部材2460の重心が吊下軸461aの鉛直上方に形成されるのに必要な質量を有する部分である。よって、傾倒部材2460の重心Gは、吊下軸461aの鉛直上方に形成される。
【0372】
傾倒部材2460の連結軸461bは、連結部材2470により補助部材450の吊下軸454と連結される。
【0373】
連結部材2470は、ゴム状弾性体から形成される長尺部材であり、傾倒部材2460の揺動により伸縮可能に形成される。
【0374】
ここで、吊下部材430が張出位置に配置された状態において、傾倒部材2460の重心Gは吊下軸461aの鉛直上方に形成されるので、傾倒部材2460は不安定に形成される。そのため、吊下部材430が張出位置に配置された状態において、駆動装置464(図23参照)が駆動され傾倒部材2460が伸縮動作を行うと、傾倒部材2460は吊下軸461aを中心に揺動される。
【0375】
この場合、傾倒部材2460の連結軸461bが連結部材2470を伸縮させるので、傾倒部材2460に対して弾性力を負荷する。これにより、傾倒部材2460の揺動方向とは逆向きの力が傾倒部材2460に負荷される。この場合、傾倒部材2460の揺れ戻りまでの時間が短縮され、傾倒部材2460の動作が高速化される。よって、駆動装置464(図23参照)が駆動された場合に生じる傾倒部材2460の揺動動作の速度を高速化することができ、傾倒部材2460の揺動(振動)による演出を効果的に行うことができる。
【0376】
図48を参照して、第2実施形態における第2スライド動作ユニット2700について説明する。第1実施形態では、一対の第1スライド部材720の一方が停止され、他方の第1スライド部材720に当接される場合を説明したが、第2実施形態における第2スライド動作ユニット2700は、他方の第1スライド部材2720の位置と速度とを検出し、その検出結果に応じて一方の第1スライド部材2720が逆走するように制御される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0377】
図48は、第1スライド部材2720が退避位置から張出位置へスライド移動される動作の一例を時系列で図示した第2実施形態における第2スライド動作ユニット2700の部分正面図である。なお、図48では、上側の正面側カバー部材730の図示が省略され、図48(a)では、一対の第1スライド部材2720が退避位置に配置された状態が図示され、図48(b)では、一対の第1スライド部材2720のうち右側の第1スライド部材2720が所定量スライド移動された状態が図示され、図48(c)では、図48(b)の状態から左側の第1スライド部材2720が所定量スライド移動された状態が図示される。
【0378】
図48(a)に示すように、第1スライド部材2720の本体部2721は、前後方向(図48紙面垂直方向)に穿設されると共に左右方向(図48左右方向)に延設される長孔状の検出孔2721cを備える。
【0379】
ベース部材2710は、正面側に配設される透過型の光センサであって第1スライド部材2720がスライド移動されることにより透過光が検出孔2721cを貫通可能な位置に配設される検出装置2716を備える。なお、検出装置2716はベース部材2710の左右方向略中央に配設される(図48(a)参照)。
【0380】
図48(b)に示すように、図48(a)の状態から、右側の第1スライド部材2720がスライド移動され、検出装置2716の透過光が検出孔2721cを貫通する位置に到達すると右側の第1スライド部材2720は停止するように制御される。
【0381】
図48(c)に示すように、左側の第1スライド部材2720がスライド移動され、検出装置2716の透過光が検出孔2721cを貫通する位置に到達すると、右側のスライド部材2720は左側のスライド部材2720と等速で当接可能な速度で逆送(右方向へスライド移動)するように制御される。
【0382】
即ち、左側の第1スライド部材2720がスライド移動する間は、その第1スライド部材2720のラック部721aに検出装置2716の透過光が遮光されるが、検出装置2716の透過光が検出孔2721cを貫通する位置に到達すると検出装置2716の透過光が検出され主制御装置に左側の第1スライド部材2720の位置情報が出力される。また、検出孔2721cは長孔状に形成されるので、検出装置2716の透過光が検出される長さを検出することで、主制御装置に左側の第1スライド部材2720の速度情報が出力される。
【0383】
これらの左側の第1スライド部材2720の位置情報と速度情報とにより、右側の第1スライド部材2720が左側の第1スライド部材2720と等速で当接されるために必要な逆送の加速度を算出し、その加速度で右側の第1スライド部材2720がするように制御される。
【0384】
これにより、一対の第1スライド部材2720の当接時の衝撃を和らげることができ、第1スライド部材2720の耐久性を向上させることができる。
【0385】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0386】
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
【0387】
上記各実施形態では、起立部材330の変化摺動部333が起立孔316,2316に摺動される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、変化摺動部333に回転可能なローラが配設され、そのローラが起立孔316,2316を転動しても良い。これにより、起立部材330の姿勢変化時に発生する抵抗を抑制することができる。
【0388】
上記各実施形態では、アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間の寸法が、案内孔315の下端付近から上端付近へむけて徐々に小さくなる態様で形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間の寸法を案内孔315の一部分で急激に変化させても良い。即ち、隙間の変化の程度を少なくとも2種類形成するようにしても良い。この場合、アーム部材320のスライド抵抗の変化の程度を変化させる(急激にしたり、緩くしたりする)ことができる。
【0389】
上記各実施形態では、アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間の寸法が、案内孔315の下端付近から上端付近へむけて徐々に小さくなる態様で形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、起立部材330の本体部331及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間の寸法が、起立孔316の下端付近から上端付近へむけて徐々に小さくなる態様で形成されてもよい。この場合、アーム部材320が退避位置から張出位置へ向けて始動する際に起立部材330にかけられる抵抗を抑制し、アーム部材320が張出位置に配置された状態において起立部材330のぐらつきを抑制することができる。
【0390】
上記各実施形態では、アーム部材320の本体部321及びカラー部材とベース部材310との間で形成される隙間の寸法が変化される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、案内孔315の延設方向に直交する溝幅が、下端から上端へ向かうにつれて小さくされても良い。この場合に、案内孔315の延設方向に直交する径の縮小度合いを摺動部326の中心に対して左右違えて形成することもできる。
【0391】
即ち、案内孔315の右側面(図18(a)右側)は、アーム部材320の摺動部326の上側に形成される箇所であって、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される際に、アーム部材320が揺動軸との遊びによりベース部材310の面方向(面厚方向と垂直な方向)にわずかに移動する際に積極的に当接される箇所であるので、溝幅の縮小度合いを退避位置に近い段階から大きく縮小させることで、アーム部材320の張出方向への揺動を滑らかにすることができる。
【0392】
一方で、案内孔315の左側面(図18(a)左側)は、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される際およびアーム部材320が前倒れする際に当接される箇所であるので、溝の縮小度合いを案内孔315の上端付近に至るまでは緩やかにし、上端付近において急激に形成することで、アーム部材320が退避位置へ向けて揺動される際に受ける抵抗を抑制することができる。即ち、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される場合や、アーム部材320が前倒れする場合に、摺動部326が案内孔315の左側面に当接することを防止でき、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動する際に生じる抵抗を抑制することができる。これにより、駆動装置340に必要な駆動力を低減し、駆動装置340の小型化をすることができる。
【0393】
なお、案内孔315の溝幅は変化させずに、揺動軸312から案内孔315までの径を案内孔315の部分によって変化させることでも同様の効果を得ることができる。例えば、案内孔315の下端付近において、上端付近に比較して揺動軸312からの径を大きくすることで、アーム部材320が退避位置から張出位置へ揺動される際の始動時から、摺動部326を案内孔315の上側面に当接させやすくすることができる。これにより、アーム部材320の揺動を滑らかにすることができる。
【0394】
また、案内孔315の上端付近において、下端付近に比較して揺動軸312からの径を大きくすることで、アーム部材320が張出位置に配置された状態において案内孔315の上側面からアーム部材320の摺動部326へ向けて下向きの力が作用する。これにより、アーム部材320が張出位置から退避位置へ揺動される始動時に必要な駆動力を低減することができる。
【0395】
上記各実施形態では、反転動作ユニット500の全ての反射部材520が同時に回転される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反射部材520ごとに回転のタイミングをずらしたり、回転の速度をずらしたりしても良い。これにより、光源から照射され反射部材520に反射される光の反射方向を様々に設定でき、反転動作ユニットの正面側をきらびやかに演出することができる。
【0396】
上記各実施形態では、反転動作ユニット500の反射部材520の回転ギア523が伝達部材550の第1ラックギア553と噛み合うことで反射部材520が回転される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、伝達部材550が回転ベルトで形成され、回転ギア523がローラで形成されても良い。この場合は、反射部材520どうしが当接された状態で、回転ベルトが更に回転しても、回転ベルトとローラとの間で滑りが生じ反射部材520のそれ以上の回転が抑制される。よって、反射部材520の破損を防止することができる。
【0397】
上記各実施形態では、反転動作ユニット500の回転ギア523に膨張歯523aが形成され、伝達部材550の第1ラックギア553が間隔を空けて形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、膨張歯523aが伝達部材550に形成されると共に歯の間隔が回転ギア523に形成されても良い。
【0398】
上記各実施形態では、反転動作ユニット500の反射部材520が不透明な樹脂材料から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反射部材520が透明な樹脂材料から形成されても良い。この場合、反射部材520が閉鎖状態か開放状態かに関わらず、光源から照射される光を遊技者が視認可能となるので、光源から照射される光による演出を長期間遊技者に視認させることができる。
【0399】
上記各実施形態では第2スライド動作ユニット700の一対の第1スライド部材720のうち、一方のスライド部材720が他方のスライド部材720に押されてスライド移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対の第1スライド部材720のそれぞれが、それぞれ独立した駆動モータで常に駆動されるように形成しても良い。
【0400】
上記各実施形態では、一対の第2スライド部材740が本体部741どうしを直接当接させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部741の互いに当接される面にゴムやコイルスプリングなどの弾性部材を配設しても良い。この場合、本体部741どうしが直接当接される場合に比較して衝撃を和らげることができるので、第2スライド部材740の耐久性を向上させることができる。
【0401】
上記各実施形態では、第2スライド動作ユニット700が、各スライド部材720,740が張り出した状態において、正面視で「ハート」の形状を視認可能に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、視認される形状は「ハート」に限られず、例えば「星」、「魚」や「車」などでもよい。また、各スライド部材720,740の張出の程度が違う場合に異なった形状を視認可能に形成しても良い。この場合には、第2スライド動作ユニット700の演出効果を向上させることができる。
【0402】
上記各実施形態では、一対の第2スライド部材740の内、一方の第2スライド部材740が他方の第2スライド部材740を押しこみ移動させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2スライド部材740の当接箇所に磁石を取り付けることで、引っ張り方向に移動させることができる。この場合、一方の第2スライド部材740をスライド移動させる駆動モータ773により一対のスライド部材740を往復移動させることができる。よって、例えば一方の駆動モータ773が他方の駆動モータ774に比較して新しい場合に、駆動モータ773のみを用いて第2スライド部材740を駆動させるなど状況に合わせて駆動させるモータを切り替えることができるので、一対の駆動モータ773,774の寿命の調整を行うことができる。
【0403】
上記各実施形態では、一対の第1スライド部材720の当接時に、台車受け部721bと台車部722の台車本体部722aとが当接される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、装飾部723の下端側、即ち装飾部723の長手方向両端のうち、駆動力が伝達される上端側の反対側である下端側で一対の第1スライド部材720が当接されても良い。この場合、一対の第1スライド部材720が当接される時の第1スライド部材720上端側における衝撃を和らげることができるので、駆動モータ771,772にかかる負担を低減することができる。
【0404】
上記各実施形態では、一対の第1スライド部材720の当接時に、台車受け部721bと台車部722の台車本体部722aとが当接される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、装飾部723の上端側および下端側の両方で一対の第1スライド部材720が当接されても良い。この場合には、一対の第1スライド部材720の当接面積を増加させることができるので、一対の第1スライド部材720の当接時に単位面積あたりにかかる荷重を低減することができる。
【0405】
更に、一対の第1スライド部材720の内の一方の動きが確実に他方に伝達されるので、一対の第1スライド部材720を当接させた状態でスライド移動させる際に一対のスライド部材720を一体として視認させる効果を顕著にすることができる。このとき、両側の当接点を正面側カバー部材730で隠すと、互いに離間する一対のスライド部材720が協調動作する態様で視認されるので、一対のスライド部材720の演出効果を向上させることができる。
【0406】
上記各実施形態では、台車部722の回転体群722bが同一径で形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転体群722bの径を、一方の第1スライド部材720では大きく形成し、他方の第1スライド部材720では小さく形成しても良い。この場合、径の小さい回転体群722bを径の大きい回転体群722bと第1スライド軸棒S1との間に挟み込むことができる。これにより、回転体群722b同士が当接されることで回転体群722bを制動させる効果を向上させることができる。
【0407】
上記第2実施形態では、検出孔2721cが第1スライド部材2720に一箇所穿設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出孔2721cが複数箇所(例えば、第1スライド部材2720の本体部2721の一方の端部、中央部及び他方の端部)に穿設されることで、第1スライド部材2720の停止する位置を複数箇所形成することができる。このとき、検出孔2721cの長手方向の長さをそれぞれ違えることで、検出装置2716の検出期間により第1スライド部材2720の位置を複数箇所で検出することができる。
【0408】
上記第2実施形態では、検出孔2721cが長孔状に穿設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出孔2721cが円状に穿設されても良い。この場合には、検出孔2721cの加工コストを抑制することができる。なお、検出孔2721cが円状の場合でも、第1スライド部材2720のスライド方向に沿って検出孔2721cが複数個連続で穿設されることで、第1スライド部材2720の移動中に検出装置2716の透過光を遮る時間間隔により第1スライド部材2720の移動速度を判断することができる。また、第1スライド部材2720の長手方向の位置(例えば両端と中央部)ごとに円状の検出孔2721cの穿設個数を違えることで、第1スライド部材2720の移動中に検出装置2716の透過光を遮る回数により第1スライド部材2720の位置を検出することができる。
【0409】
上記第2実施形態では、一方のスライド部材2720が張出位置に停止された後、検出装置2716と検出孔2721cとの位置関係により他方の第1スライド部材2720の位置および速度を検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他方の第1スライド部材2720の位置または速度だけを検出する場合には、少なくとも一方の第1スライド部材2720を逆走させることで一対の第1スライド部材720の相対速度差を抑制することができ、当接時の衝撃を抑制することができる。
【0410】
上記第2実施形態では、一の検出装置2716で一対の第2スライド部材740の位置と速度とを検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対の検出装置2716が一対の第2スライド部材740にそれぞれ対応して配設されても良い。この場合には、一方の第2スライド部材740の配置によらず他方の第2スライド部材740の位置や速度を検出することができる。
【0411】
上記第2実施形態では、検出装置2716がベース部材2710に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出装置2716が一対の第2スライド部材740の内の少なくとも一方に配設されても良い。この場合には、一対の第2スライド部材740の相対速度を検出することができる。
【0412】
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0413】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0414】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホ一ルでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
【0415】
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
【0416】
<付勢力のみで移動される移動部材の技術思想の一例>
一方向への弾性的な付勢力を発生させる付勢装置と、その付勢装置の発生させる付勢力により液晶表示装置の表示領域の外方に位置する退避位置から前記液晶表示装置の前記表示領域の正面側に位置する所定位置へ移動可能に形成される移動部材と、前記退避位置において前記移動部材の移動を規制可能に形成される位置規制装置と、その位置規制装置による規制を解除する解除装置と、を備えることを特徴とする遊技機A1。
【0417】
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動モータと、を備える遊技機がある(例えば特開2011-120640号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、移動部材をモータ駆動により移動させる場合に、移動部材を徐々に加速させ高速にすることは容易であるが、始動時から移動部材を高速で移動させることは難しいという問題点があった。
【0418】
これに対し、遊技機A1によれば、一方向への付勢力により退避位置から所定位置へ移動可能に形成される移動部材は、退避位置において位置規制装置により移動を規制される(停止される)。そして、位置規制装置による規制が解除装置により解除されると、移動部材は退避位置に配置されることで蓄積された付勢力により移動を開始される。
【0419】
そのため、退避位置から移動部材の移動を開始させる始動時から、移動部材にかかる力を目標値に形成することができ、移動部材を高速で始動させることができる。
【0420】
なお、付勢装置としては、磁石の反発力を利用した装置や、バネ弾性を利用した装置等が例示され、解除装置としては、位置規制装置を機械的に移動させる駆動力を与える駆動装置や、位置規制装置の電磁気的な吸着を解除する装置等が例示される。
【0421】
遊技機A1において、少なくとも前記移動部材を前記所定位置から前記退避位置へ向けて移動させる駆動力を発生させる機能を有する駆動装置を備え、その駆動装置によって前記解除装置が構成されることを特徴とする遊技機A2。
【0422】
ここで、一方向への付勢力により移動部材が移動される場合、繰り返し演出を行うために、移動部材を付勢力に逆らって復帰させるための駆動力を発生させる装置が必要になる。そのため、駆動力を発生させる装置を配設するスペースが必要である。しかし、遊技機の内部に移動部材や駆動装置を配設するスペースは限られているので、駆動装置を追加することで移動部材の配設スペースが十分確保できなくなる恐れがある。
【0423】
これに対し、遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、駆動装置によって解除装置が構成されるため、駆動装置を移動部材の規制の解除と、移動部材の所定位置から退避位置への復帰とに兼用することができる。よって、駆動装置を別で用意する場合に比較して、解除装置および駆動装置の配設スペースを抑制することができる。
【0424】
また、移動部材が退避位置から所定位置へ移動した後は、駆動装置による駆動力で移動部材を退避位置へ移動させることが可能なので、移動部材による演出を繰り返し行うことができる。
【0425】
なお、駆動装置としては、モータやエアシリンダー等が例示される。
【0426】
遊技機A2において、前記移動部材は、基端側において回転可能に軸支され、前記位置規制装置は、第1軸を中心に回転される第1回転体と、その第1回転体から突出されると共に前記第1軸に偏心して位置するピン部材と、を備え、そのピン部材は、前記移動部材の前記基端側で前記移動部材と連結され、前記移動部材が前記退避位置に配設される場合に、前記第1軸および前記ピン部材を結ぶ方向が、前記移動部材の前記基端側に形成される回転軸および前記ピン部材を結ぶ方向と直交されることを特徴とする遊技機A3。
【0427】
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、位置規制装置のピン部材が移動部材と連結され、移動部材が退避位置に配設される場合に、第1軸およびピン部材を結ぶ方向が、移動部材の基端側に形成される回転軸およびピン部材を結ぶ方向と直交される態様で形成される。
【0428】
そのため、移動部材が退避位置に移動されることで、自動的にピン部材を第1回転体と移動部材との関係において死点に位置させることができ、移動部材を退避位置に機械的に保持できる。これにより、例えば、移動部材が退避位置に配置されることを検出して位置規制装置を動作させて移動部材を規制するという構造は不要となる。
【0429】
また、移動部材が、第1軸、移動部材の基端側の回転軸およびピン部材の位置関係により機械的に保持されるため、駆動モータなどの駆動力がなくとも、移動部材を退避位置に規制する力を大きく確保することができる。そのため、付勢装置に蓄積される付勢力を大きく確保することができ、移動部材を高速で始動させる効果を顕著にすることができる。
【0430】
遊技機A3において、前記移動部材は、前記ピン部材を案内する案内部を備えると共に、前記退避位置または前記所定位置の少なくとも一方において、前記位置規制装置の前記ピン部材および前記第1軸を結ぶ直線に直交する方向と、前記案内部の延設方向とが一致して配設され、前記位置規制装置は、前記駆動装置に係合されると共に、前記駆動装置が発生させる駆動力が伝達されることにより回転されることで、前記ピン部材を案内部に沿って移動可能に形成されることを特徴とする遊技機A4。
【0431】
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、移動部材が退避位置または所定位置に配置された状態から移動部材を回転させ始める際に、ピン部材の移動方向と案内部の延設方向とが一致するので、第1回転体の回転開始時にピン部材が案内部から受ける抵抗を抑えることができる。
【0432】
そのため、移動部材に対する位置規制装置の規制を解除するために、第1軸、移動部材の基端側の回転軸およびピン部材の位置関係をずらす(位置規制装置を回転させる)際に、必要な駆動装置の駆動力を低減させることができる。
【0433】
遊技機A2からA4のいずれかにおいて、前記位置規制装置および前記駆動装置が互いに係合する係合状態と、前記位置規制装置および前記駆動装置の係合が解除される非係合状態とを形成可能であり、その非係合状態は、少なくとも前記移動部材が前記退避位置から始動する際に形成されることを特徴とする遊技機A5。
【0434】
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、移動部材が退避位置から始動する際に、位置規制装置および駆動装置が非係合状態を形成することで、位置規制装置にかけられる抵抗を抑制し、結果として移動部材の始動時の抵抗を削減することができる。この場合、駆動装置と位置規制装置とが係合状態を形成することで位置規制装置にかけられる抵抗は、移動部材が退避位置から始動する際には発生しない。よって、付勢装置の付勢力に対抗するために大型の駆動装置を選定しても、移動部材の始動時の高速さを確保できるので、付勢装置の設計自由度を向上することができる。即ち、より付勢力の大きい付勢装置を選定することが可能になる。
【0435】
なお、位置規制装置および駆動装置で非係合状態を形成する態様としては、例えば、位置規制装置の第1回転体の側面にギアが刻設され、そのギアに歯合されるギアが部分的に形成される第2回転体が駆動装置に配設され、それら第1回転体と第2回転体とのギアの歯合により駆動装置の駆動力が伝達される場合や、位置規制装置の第1回転体の側面に磁性体が形成され、その磁性体に吸着される磁性体が部分的に形成される第2回転体が駆動装置に配設され、それら第1回転体と第2回転体との吸着により駆動装置が伝達される場合などが例示される。
【0436】
詳述すると、第1回転態と第2回転体とがギアの歯合により駆動力を伝達する場合において、第1回転体または第2回転体の少なくとも一方のギアが、部分的に形成されることにより、ギアの歯合される領域においては位置規制装置と駆動装置とが係合状態を形成し、ギアの歯合が解除される領域(ギアが形成されない領域)においては位置規制装置と駆動装置とが非係合状態を形成する。
【0437】
遊技機A1からA5において、前記移動部材に揺動可能に軸支されると共に前記移動部材が少なくとも所定位置に配置されると前記液晶表示装置の正面側に配置される演出部材を備え、前記移動部材は、基端側から、その基端側の反対側の端部である揺動端側まで延設され、その延設方向を長手方向とする態様で形成され、前記基端側が、前記液晶表示装置の表示領域の外方において揺動可能に軸支され、前記演出部材は、第1の方向における長さが、その第1の方向に直交する第2の方向における長さよりも長い態様で形成され、前記退避位置においては、前記第1の方向を前記移動部材の長手方向に沿わせた姿勢をとり、前記所定位置においては、前記第1の方向を前記移動部材の回転軌跡の接線方向へ向けると共に前記第1の方向の一端が前記退避位置の反対側に張り出す姿勢をとることを特徴とする遊技機A6。
【0438】
遊技機A6によれば、遊技機A1からA5のいずれかの奏する効果に加え、演出部材が退避位置に配置される場合には、演出部材が、その第1の方向を移動部材の長手方向に沿わせた姿勢とされる。そのため、退避位置において、液晶表示装置の表示領域の外方に移動部材の長手方向に直角な方向の空間が十分形成しづらい場合においても、演出部材を液晶表示装置の表示領域の外方に配設しやすくすることができる。
【0439】
また、演出部材が所定位置に配置される場合には、第1の方向を移動部材の回転方向の接線方向に向けるように姿勢が変化され、更に演出部材の第1方向の一端が演出端を挟んで退避位置の反対側に張り出されるので、液晶表示装置の表示領域を効果的に使用して演出を行うことができる。
【0440】
なお、液晶表示装置の外方に移動部材の長手方向に直角な方向の空間が十分形成しづらい場合としては、例えば、液晶表示装置の表示領域の下側に退避位置が配置される場合が例示される。
【0441】
遊技機A6において、前記移動部材の前記基端側に形成される前記揺動軸に垂直な平面に形成される第1案内部を備え、前記演出部材は、前記第1案内部に案内される第1突出部を備え、前記演出部材の姿勢の変化は、前記第1突出部が前記第1案内部を案内されることで生じることを特徴とする遊技機A7。
【0442】
遊技機A7によれば、遊技機A6の奏する効果に加え、演出部材の姿勢の変化は、演出部材の突出部が第1案内部を案内されることにより生じるので、演出部材の姿勢変化の設計自由度を向上させることができる。
【0443】
即ち、例えば、演出部材の姿勢の変化が、移動部材が上昇移動されることで演出部材が傾倒される変化である場合において、移動部材が上昇移動される過程で徐々に演出部材を傾倒させるか、移動部材が上昇移動端に配置された時に突然演出部材が傾倒されるかを、第1案内部の設計次第で任意に選択することができる。
【0444】
なお、第1案内部としては、貫通して形成されると共に長尺方向を有する態様で形成される長穴や、長尺方向を有する窪みとして形成される溝等が例示され、また、案内される態様としては、第1突出部が第1案内部に摺動される態様や、第1突出部に回転体が配設され、その回転体が第1案内部に転動される態様等が例示される。
【0445】
遊技機A7において、前記第1案内部は、前記移動部材の前記揺動軸から放射線状に延設される直線に沿って形成される姿勢変化部と、前記移動部材の前記揺動軸を中心とした円に沿って延設される同心円部と、を備え、その同心円部が、前記所定位置側に形成されると共に、前記姿勢変化部が前記退避位置側に形成されることを特徴とする遊技機A8。
【0446】
遊技機A8によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、演出部材が移動部材に対して姿勢変化する期間を短くすることで、移動部材に対する姿勢変化はせずに移動部材と演出部材とが一体として移動される期間を長くすることができる。
【0447】
即ち、姿勢変化部が移動部材の回転軸から放射状に延設される直線に沿って形成されるので、演出部材の端部が姿勢変化部を案内されると、演出部材の端部と演出端軸部の移動軌跡が形成する円との距離が大きく変化され、移動部材の回転角度に対して演出部材の姿勢変化を大きくすることができる。
【0448】
一方、同心円部が移動部材の回転軸を中心とした円に沿って延設されるので、演出部材の第1突出部が同心円部を案内されると、演出部材の第1突出部と、演出部材および移動部材の軸支位置との相対的な位置関係が保持された状態で演出部材が移動される。よって、演出部材の移動部材に対する姿勢変化を抑制することができる。
【0449】
この場合に、同心円部が所定位置側に形成されるので、移動部材の回転移動中に長期間にわたって演出部材と移動部材とを一体として遊技者に視認させることができる。
【0450】
遊技機A7において、前記第1案内部は、前記移動部材の前記揺動軸から放射線状に延設される直線に沿って形成される姿勢変化部と、前記移動部材の前記揺動軸を中心とした円に沿って延設される同心円部とを備え、前記姿勢変化部が、前記所定位置側に形成されることを特徴とする遊技機A9。
【0451】
遊技機A9によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、演出部材が移動部材に対して姿勢変化する期間を短くすることで、移動部材に対する姿勢変化はせずに移動部材と演出部材とが一体として移動される期間を長くすることができる。
【0452】
即ち、姿勢変化部が移動部材の回転軸から放射状に延設される直線に沿って形成されるので、演出部材の端部が姿勢変化部を案内されると、演出部材の端部と演出端軸部の移動軌跡が形成する円との距離が大きく変化され、移動部材の回転角度に対して演出部材の姿勢変化を大きくすることができる。
【0453】
一方、同心円部が移動部材の回転軸を中心とした円に沿って延設されるので、演出部材の第1突出部が第1案内部に案内されると、演出部材の第1突出部と、演出部材および移動部材の軸支位置との相対的な位置関係が保持された状態で演出部材が移動される。よって、演出部材の移動部材に対する姿勢変化を抑制することができる。
【0454】
この場合に、姿勢変化部が、所定位置側に形成されるので、演出部材が遊技者に視認された状態で演出部材の姿勢を素早く変化させることができる。
【0455】
遊技機A6からA9のいずれかにおいて、前記移動部材の前記揺動軸に垂直な平面に形成されると共に、前記移動部材の回転軌跡に沿って延設される第2案内部を備え、前記移動部材は、前記第2案内部に案内される少なくとも1の第2突出部を備え、その第2突出部は、前記移動部材と一体的に形成され、前記移動部材が、前記所定位置に配置される場合に、前記第2突出部は、前記第2案内部の一方の端部に当接されることを特徴とする遊技機A10。
【0456】
移動部材は付勢装置の付勢力により移動されるため、モータ駆動を行う場合のようにモータを停止させて移動部材の勢いを減少させることはできず、移動部材の勢いを減少させるためにストッパ機構を形成する必要がある。
【0457】
これに対し、遊技機A10によれば、遊技機A6からA9のいずれかの奏する効果に加え、移動部材が所定位置に配置されると、第2突出部が第2案内部の端部に当接されることで、移動部材の移動を所定位置で確実に止めることができる。
【0458】
また、第2突出部が移動部材の回転軌跡に沿って延設される第2案内部に案内されるので、第2案内部および第2突出部が移動部材の回転を適正化させると同時に、移動部材の揺動軸方向へのぐらつきを抑制することができる。
【0459】
ここで、演出部材の第1突出部および第1案内部を当接させ、ストッパとしての役割を持たせることもできるが、演出部材は移動部材に回転可能に軸支されているので、軸支部分に強度的な問題が生じる。一方、第2突出部は移動部材から一体的に突設されるので、強度的な問題は小さく、ストッパとしての信頼性を高めることができる。
【0460】
なお、第2突出部および第2案内部の組を複数形成することで、移動部材が所定位置に到達したときに必要となる力を分散させることができる。これにより、第2突出部の耐久性を向上させることができる。また、第2案内部としては、貫通して形成されると共に長尺方向を有する態様で形成される長穴や、長尺方向を有する窪みとして形成される溝等が例示され、また、案内される態様としては、第2突出部が第2案内部に摺動される態様や、第2突出部に回転体が配設され、その回転体が第2案内部に転動される態様等が例示される。
【0461】
遊技機A10において、前記第2案内部は、前記一方の端部の方が、その一方の端部の反対側の端部である他方の端部よりも、延設方向と垂直な方向の溝幅が縮小される態様で形成されることを特徴とする遊技機A11。
【0462】
遊技機A11によれば、遊技機A10の奏する効果に加え、第2案内部は、一方の端部の方が他方の端部に比較して溝幅が縮小される態様で形成される。即ち、移動部材が退避位置に配置される場合の第2突出部と第2案内部とで形成される隙間が大きく確保されるので、移動部材の始動時の抵抗を抑制することができる。また、移動部材が所定位置に配置される場合の第2突出部と第2案内部とで形成される隙間を小さくすることができ、第2突出部のぐらつきを抑制することができる。
【0463】
ここで、第2案内部の溝幅が縮小される態様としては、第2案内部の一方の端部から他方の端部へ向かうにつれて溝幅が徐々に縮小される場合や、第2案内部の一部分で急激に溝幅が縮小される(溝幅の縮小の度合いが少なくとも2種類で形成される)場合等が例示される。
【0464】
なお、第2案内部を貫通孔で形成し、第2突出部が第2案内部に挿通されると共に第2突出部の先端に抜け止め部材を締結固定する場合において、第2案内部の穿設方向における厚みを、他方の端部に比較して、一方の端部の方が縮小される態様で形成しても、同様の作用効果を得ることができる。この場合には、更に、移動部材が張出位置に配置される場合において、特に第2案内部の穿設方向に移動部材がぐらつくことを抑制することができる。
【0465】
遊技機A11において、前記移動部材の前記退避位置から前記所定位置への揺動は上昇移動で形成され、前記第2案内部は、小径側の側面が、前記一方の端部から前記他方の端部付近までに亘って前記第2突出部との隙間が小さくされると共に、その隙間に比較して前記他方の端部では前記第2突出部との隙間が大きくされ、大径側の側面が、前記一方の端部において前記第2突出部との隙間が小さくされると共に、その隙間に比較して前記一方の端部付近から前記他方の端部付近までに亘って第2突出部との隙間が大きくされることを特徴とする遊技機A12。
【0466】
遊技機A12によれば、退避位置から所定位置への移動部材の揺動が上昇移動で形成されるので、移動部材が退避位置から所定位置へ揺動される場合には、移動部材が揺動軸との遊びにより軸垂直方向にわずかに移動する場合に第2突出部は第2案内部の小径側に当接されやすい。ここで、第2案内部の小径側は移動部材が退避位置から所定位置へ揺動する過程の初期の段階で第2突設部との隙間が小さくされる。これにより、移動部材の退避位置から所定位置への揺動を滑らかにすることができる。
【0467】
また、所定位置から退避位置へ揺動される場合には、第2突出部は第2案内部の大径側に当接されやすい。ここで、第2案内部の大径側は移動部材が所定位置に揺動されてようやく第2突設部との隙間が小さくされる。これにより、移動部材が所定位置から退避位置へ揺動する際に第2案内部から受ける摩擦抵抗を低減することができる。そのため、駆動装置の設計自由度を向上させることができる。
【0468】
遊技機A6からA12のいずれかにおいて、前記移動部材は、前記基端側から前記揺動端側まで延設される本体部と、前記演出部材の厚さより若干大きい隙間を空けて前記本体部の正面側に離間して配設される装飾部を備え、前記演出部材が姿勢変化すると、前記第1の方向の一端もしくはその一端の反対側の他端のうち少なくとも一方が、前記本体部と前記装飾部との間に収納されることを特徴とする遊技機A13。
【0469】
遊技機A13によれば、遊技機A6からA12のいずれかの奏する効果に加え、演出部材が姿勢を変化させると、演出部材の第1の方向の両端のうち少なくとも一方が、本体部と装飾部との間に若干の隙間を空けて収納される。そのため、演出部材が姿勢変化する時に、何らかの理由で、演出部材が本体部に対して、揺動軸方向に大きく移動可能となった場合に、本体部と装飾部とがその移動を妨げるガイドとなり、演出部材の揺動軸方向への大きな移動を制限することができる。
【0470】
これによれば、演出部材と、他の役物が積層関係に配設される場合において、演出部材が他の役物に干渉することを防止することができる。
【0471】
遊技機A13において、前記演出部材のいずれかの部分の移動軌跡と、前記装飾部材のいずれかの部分の移動軌跡とが、前記液晶表示装置の表示領域の内方において、前記演出部材の前記揺動軸方向視で重なることを特徴とする遊技機A14。
【0472】
遊技機A14によれば、遊技機A13の奏する効果に加え、液晶表示装置の表示領域の内方において、演出部材を本体部と装飾部との間に確実に収納させることができる。これにより、固定板で前後方向のずれを防止する場合のように、液晶表示装置の表示領域の外方において初めて演出部材が本体部と装飾部との間に収納される場合に比較して、より早い段階から演出部材の揺動軸方向への動きを規制するガイド機能を発揮させることができる。
【0473】
これにより、複数の移動ユニットが積層配置される場合に、液晶表示装置の表示領域の外方における移動ユニットの移動部材間の干渉だけでなく、液晶表示装置の表示領域の内方における移動ユニットの移動部材間の干渉を防止することができる。
【0474】
<移動部材のぐらつきを抑制する技術思想の一例>
退避位置と所定位置とをスライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を駆動させる駆動力を発生させる第1駆動装置と、前記移動部材に配設される演出部材と、その演出部材を駆動させる駆動力を発生させる第2駆動装置と、を備える遊技機において、前記退避位置は、前記所定位置から前記遊技機の横方向へ所定距離だけ離間された位置であると共に前記所定位置から前記遊技機の縦方向上側へ所定距離だけ離間された位置であり、少なくとも前記所定位置は前記移動部材の移動終端とされ、少なくとも前記移動部材が前記所定位置に配置された状態において前記演出部材は駆動されることを特徴とする遊技機B1。
【0475】
ここで、スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に配置されると共に、移動部材とは独立して駆動される演出部材と、を備え、移動部材が水平方向へスライド移動される遊技機がある(例えば特開2012-085811号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、演出部材の駆動の反作用による力を移動部材が受け、移動部材がスライド方向へ移動されるため、移動部材を所定位置に維持しておくには、演出部材の駆動の反作用による力に抵抗する力を移動部材に加え続ける必要があるという問題点があった。
【0476】
これに対し、遊技機B1によれば、移動部材の移動終端である所定位置は、退避位置の斜め下方向に形成される。そのため、所定位置で演出部材が第2駆動装置の駆動力により駆動され、その反作用による力を移動部材が受けても、移動部材の自重による力が所定位置へ向けて働き、移動部材を所定位置に維持できるため(押し戻すため)、第1駆動装置から移動部材に与えられる駆動力を不要としても、移動部材を所定位置に維持することができる。
【0477】
なお、遊技機の縦方向とは、遊技機をホールに設置した際に鉛直方向に沿う方向を意味し、遊技機の横方向とは、遊技機の縦方向と略垂直に交差する方向を意味する。
【0478】
なお、第1駆動装置の駆動力を移動部材に伝達させる方法としては、移動部材の基端側にラックギアを形成し、そのラックギアに歯合するピニオンギアを第1駆動装置の駆動力で回転させる方法や、移動部材の基端側にベルトを取り付け、そのベルトを巻き取る方法等が例示される。
【0479】
遊技機B1において、前記移動部材のスライド移動する平面と垂直な方向に所定距離だけ離間して配置される補助部材を備え、前記移動部材は、少なくとも前記所定位置に配置された状態において、液晶表示装置の表示領域の内方に形成される張出部を備え、前記移動部材が、少なくとも前記所定位置に配置された状態において、前記張出部が前記移動部材のスライド移動する平面と垂直な方向に揺動する場合に、前記補助部材と当接されることを特徴とする遊技機B2。
【0480】
ここで、移動部材の張出部は、移動部材が所定位置に配置される場合において、液晶表示装置の表示領域の内方に張り出して形成されるので、他の役物との干渉を防止するため、スライドする平面と垂直な方向への揺れを抑制することが求められる。
【0481】
これに対し、遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、補助部材が移動部材のスライドする平面と垂直な方向に所定距離離間して配置されると共に、移動部材が所定位置に配置された状態において、張出部が移動部材のスライド移動する平面と垂直な方向に揺動する場合に、補助部材と移動部材の張出部とが当接される。よって、張出部のぐらつきを抑制し、他の役物と張出部とが衝突することを防止することができる。
【0482】
遊技機B2において、前記張出部は、先端側に比較して根本側の剛性が弱められていることを特徴とする遊技機B3。
【0483】
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、張出部の先端側に比較して根本側の剛性が弱められているので、張出部の先端で生じるぐらつきが張出部の根本側に伝達される度合いを弱めることができる。
【0484】
ここで、剛性を弱める方法としては、二色成型により部分的に剛性の異なる樹脂材料で張出部を構成する場合や、張出部の厚みが部分的に変化される場合などが例示される。
【0485】
張出部が移動部材のスライド移動する平面と略垂直な方向に薄厚で形成される場合には、張出部の撓み変形により移動部材がスライド移動方向にぐらつくことを抑制することができる。
【0486】
また、張出部の根本側が先端側に比較して薄厚に形成される場合には、張出部の先端側でのぐらつきが張出部の根本側を支点とする撓み変形に変換される。これにより、張出部の根本側において移動部材がスライド移動する平面と垂直な方向に水平移動されることを抑制することができる。
【0487】
遊技機B2又はB3において、前記補助部材は、前記移動部材に一方の端部が軸支され、その一方の端部の反対側の端部である他方の端部が前記液晶表示装置の表示領域の外方で軸支され、前記移動部材が前記退避位置に配置される場合には、前記補助部材は前記液晶表示装置の表示領域の外方に配置されることを特徴とする遊技機B4。
【0488】
遊技機B4によれば、遊技機B2又はB3の奏する効果に加え、補助部材の一方の端部が移動部材に軸支され、補助部材の他方の端部が液晶表示装置の表示領域の外方で軸支されると共に、移動部材が退避位置に配置される場合には補助部材が液晶表示装置の表示領域の外方に配設される。よって、移動部材が退避位置に配置された場合において、液晶表示装置の表示領域の内方から補助部材を退避させることができる。
【0489】
これにより、移動部材の配設される層と同じ層に他の移動部材を配設し、移動部材が退避位置に配置される場合に他の移動部材が液晶表示装置の内方に張り出すという演出を行うことが可能になり、限られたスペースで多様な演出を行うことができる。
【0490】
なお、補助部材がベース部材に軸支される態様としては、補助部材が回転軸により軸支される態様や、長孔に挿通される突出部を備えその突出部が長孔を案内される態様が例示される。
【0491】
遊技機B4において、前記張出部は、前記所定位置に前記移動部材が配置された状態において、前記補助部材の前記一方の端部の軸支部から前記他方の端部へ向けた方向に沿って延設される当接部を備えることを特徴とする遊技機B5。
【0492】
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、移動部材の張出部が当接部を備え、その当接部は、移動部材が所定位置に配置された状態において、補助部材の一方の端部の軸支部から他方の端部へ向けた方向に沿って延設される。そのため、移動部材が所定位置に配置された状態において、移動部材と補助部材とが当接される面積を、当接部で確保することができる。
【0493】
遊技機B5において、前記張出部は、前記当接部の延設先端から屈曲して延設される手先部を有し、その手先部の先端部に前記演出部材が配設され、前記移動部材が前記退避位置へスライド移動するにつれて、前記張出部と前記補助部材との重なり位置が前記手先部の先端側に移動することを特徴とする遊技機B6。
【0494】
遊技機B6によれば、遊技機B5の奏する効果に加え、張出部の手先部に演出部材が配設されると共に、移動部材が退避位置へスライド移動するにつれて張出部と補助部材との重なり位置が手先部の先端側に移動される。そのため、移動部材が退避位置へスライド移動されるにつれて、補助部材を基準として演出部材まで延びる張出部の出代(張出距離)を短縮することができる。これにより、演出部材が駆動されることで張出部の先端側がぐらついたとしても、そのぐらつきが小さな段階から張出部を補助部材に当接させることができる。これにより、移動部材が退避位置に配置される場合に移動部材がスライド移動する平面と垂直な方向にぐらつくことを抑制する効果を顕著とすることができる。
【0495】
遊技機B4からB6において、前記演出部材は、前記移動部材の下方に配設されると共に、一方の端部が前記移動部材に揺動可能に軸支され、その一方の端部からその反対側の端部である他方の端部を結ぶ方向を長手方向として形成され、前記移動部材が前記退避位置に配置される場合に比較して、前記移動部材が前記所定位置に配置される場合の方が、前記演出部材の前記長手方向が水平方向に傾倒した姿勢をとることを特徴とする遊技機B7。
【0496】
移動部材が所定位置に向かうほど斜め下方に移動されるため、移動部材が所定位置に配置された場合にも演出部材を液晶表示装置の表示領域の正面側に形成するためには、移動部材が退避位置に配置される場合において、移動部材が退避位置から所定位置へ向けて下方へ移動される距離だけ液晶表示装置の表示領域の下端から上昇した位置に演出部材の下端を配置する必要があった。そのため、移動部材が退避位置に配置された場合の演出部材の下方がデッドスペースとして無駄が生じていた。
【0497】
これに対して、遊技機B7によれば、遊技機B3又はB4の奏する効果に加え、演出部材が移動部材の下方に配設されると共に、移動部材が退避位置に配置される場合に比較して、移動部材が所定位置に配置される場合の方が、演出部材の長手方向と水平方向との成す角度が小さく形成されるので、移動部材が所定位置に配置される場合において、演出部材が水平方向に倒れた姿勢をとる。
【0498】
そのため、移動部材が退避位置に配置された場合において、演出部材を液晶表示装置の表示領域の下端に演出部材の下端を配置しても、移動部材が退避位置から所定位置へ向けて下方へ移動される距離を、演出部材の姿勢変化に吸収させることができる。よって、移動部材が退避位置に配置された場合の演出部材の下方がデッドスペースとして無駄となることを防止し、演出部材を長手方向により長い大きな部材として形成することができる。
【0499】
遊技機B7において、前記演出部材の他方の端部と前記補助部材とを連結する連結部材を備え、前記補助部材は、前記移動部材が前記退避位置に配置される場合に比較して、前記移動部材が前記所定位置に配置される場合の方が水平方向に傾倒した姿勢をとることを特徴とする遊技機B8。
【0500】
遊技機B8によれば、遊技機B5の奏する効果に加え、補助部材は、移動部材が退避位置に配置される場合に比較して、移動部材が所定位置に配置される場合の方が水平方向に傾倒した姿勢をとると共に、演出部材の他方の端部が連結部材を介して補助部材に連結されるので、補助部材が水平方向に傾倒されるのに伴って、演出部材を水平方向に傾倒させることができる。
【0501】
また、演出部材が移動部材だけでなく、その移動部材に軸支される補助部材を介して連結部材とも連結されることから、複数の部材により支持されるので、演出部材の駆動により生じる力を分散させ、演出部材および移動部材のぐらつきを抑制する効果を顕著にすることができる。
【0502】
遊技機B8において、前記演出部材の重心位置が、前記演出部材の前記他方の端部側に形成されることを特徴とする遊技機B9。
【0503】
遊技機B9によれば、遊技機B8の奏する効果に加え、演出部材の重心位置が演出部材の他方の端部側に形成されるため、演出部材の重さを、連結部材に効果的に作用させることができる。よって、移動部材が所定位置に配置された場合において、補助部材に対して補助部材をより傾倒させる方向へ向けた力が効果的にかけられるので、補助部材のぐらつきを抑制することができる。結果として、補助部材と連結される移動部材および演出部材のぐらつきを抑制することができる。
【0504】
遊技機B8において、前記演出部材の重心位置が、前記演出部材が前記移動部材に軸支される位置の前記遊技機縦方向上側に形成されることを特徴とする遊技機B10。
【0505】
遊技機B10によれば、遊技機B8の奏する効果に加え、演出部材の重心位置は、演出部材が移動部材に軸支される位置の遊技機縦方向上側に形成されるので、演出部材の重さを、移動部材と演出部材との軸支位置を境に水平方向に均等に割り振ることができる。
【0506】
そのため、演出部材が第2駆動装置により駆動された場合の演出部材のぐらつきを、連結部材を通して補助部材に伝達しやすくすることができ、結果として、補助部材と連結される移動部材および演出部材のぐらつきを発生させることができる。これにより、演出部材が駆動されることにより、移動部材および演出部材をぐらつかせるという演出を行うことができる。
【0507】
<組立工数を抑制する技術思想の一例>
同方向に張り出して形成される一対の壁部を有するベース部材と、前記一対の壁部のうち少なくとも一方の壁部の張出端に当接される蓋部材と、前記一対の壁部に両端部が回転可能に軸支される複数の反射部材と、その複数の反射部材のうちの少なくとも一の反射部材へ向けて光を照射する光源と、を備え、前記一対の壁部のうち少なくとも一方の壁部は、張出端の端面に複数の軸支溝が形成され、前記反射部材は、本体部と、その本体部から突設されると共に前記軸支溝に嵌め込まれることで軸支される少なくとも一の回転軸部と、から構成され、前記軸支溝に嵌め込まれる回転軸部は、前記複数の軸支溝の開放端から嵌め込まれ、前記軸支溝の開放端が前記蓋部材に塞がれることで軸支されることを特徴とする遊技機C1。
【0508】
ここで、両端を軸支され、LED光源から照射される光の進行方向を変更させるために姿勢変化可能に形成される可動体を備えた遊技機がある(例えば特開2008-272332号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、LED光源が複数配設される場合には、可動体も複数必要であって、可動体を軸支するために可動体を孔に挿通する作業や、その後で可動体を孔から引き抜き不能に固定するための部品を取り付ける作業を、可動体の数だけ行う必要があり、組立工数が増大するという問題点があった。
【0509】
これに対し、遊技機C1によれば、ベース部材の壁部に複数の軸支溝が形成され、反射部材の回転軸部がその軸支溝に嵌め込まれ、軸支溝の開放端が蓋部材により塞がれることで、複数の反射部材を回転可能に軸支することができる。これらの反射部材を回転させることで、反射部材へ向けて光源から照射される光の向きを変化させることができる。
【0510】
そのため、軸支するために反射部材を孔に挿通する作業や、その後で反射部材を孔から引き抜き不能に固定するための部品(ねじや抜け止めストッパ等)を取り付ける作業を不要とでき、反射部材の数に比例して組み立て工数を増加させることを防止できる。
【0511】
なお、一対の壁部の一方のみに軸支溝を形成する場合としては、例えば、その一方の反対側の他方に孔が穿設され、その孔に反射部材の軸部が斜めに挿入されたのち、反射部材が倒されることで、その一方の反対側の他方に形成される軸部が軸支溝にはめ込まれる場合や、その一方の反対側の他方に軸ピンが突設され、その軸ピンに反射部材が外嵌されたのち、反射部材が倒されることで、その一方の反対側の他方に形成される軸部が軸支溝にはめ込まれる場合等が例示される。
【0512】
遊技機C1において、前記蓋部材が、前記壁部の側面に締結されることを特徴とする遊技機C2。
【0513】
ここで、ベース部材の壁部が薄く形成されることが望まれる場合に、例えば、壁部の張出端面に蓋部材を締結固定すると、締結ネジの頭部の径が壁部の薄さの下限となり、設計自由度が低下する。
【0514】
これに対し、遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、蓋部材が壁部の側面に締結されるので、締結ネジの頭部の径に限定されず、壁部を薄く形成することができる。
【0515】
この場合、例えば、壁部と液晶表示装置の表示領域が隣接する際には、壁部の存在を目立たなくすることができ、液晶表示装置の表示領域と、反射部材とで組み合わせて演出する場合の演出効果を向上させることができる。
【0516】
遊技機C2において、前記蓋部材は、前記反射部材の前記回転軸部を軸支する複数の軸支孔を備えることを特徴とする遊技機C3。
【0517】
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、蓋部材に形成される軸支孔に反射部材の回転軸部が挿通されるため、回転軸部を軸支する面積を、壁部が回転軸部を軸支する厚み分の面積と、軸支孔の形成長さ分の面積とで、十分に確保することができる。
【0518】
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記一対の壁部のうち、少なくとも一方の壁部は、隣接する軸支溝の間から延設される延設部を備え、前記蓋部材は、前記延設部に嵌合される嵌合部を備え、前記蓋部材を前記ベース部材に取り付けた状態において、前記嵌合部は前記延設部に、少なくとも前記軸支溝の隣接する方向と、前記回転軸部の軸方向とから当接されることを特徴とする遊技機C4。
【0519】
遊技機C4によれば、遊技機C1からC3のいずれかの奏する効果に加え、蓋部材の嵌合部と壁部の延設部とが軸支溝の隣接する方向で当接されるので、軸支溝の隣接する方向における壁部と、蓋部材との位置合わせを容易に行うことができる。
【0520】
また、蓋部材の嵌合部と壁部の延設部とが回転軸部の軸方向で当接されるため、壁部と蓋部材とを回転軸部の軸方向に位置合わせすると共に、壁部の剛性を蓋部材で補強することができる。
【0521】
遊技機C1からC4のいずれかにおいて、前記一対の壁部および隣接する前記一対の反射部材のそれぞれの軸心で形成される領域が、前記一対の反射部材の前記本体部により閉鎖される閉鎖状態を形成可能であり、その閉鎖状態において、前記一対の反射部材は、回転方向の面どうしが当接されることを特徴とする遊技機C5。
【0522】
遊技機C5によれば、遊技機C1からC4のいずれかの奏する効果に加え、一対の壁部と、隣接する一対の反射部材のそれぞれの軸心とで形成される領域が、一対の反射部材の本体部により閉塞可能なので、光源から照射される光を複数の反射部材で遮蔽することができる。
【0523】
また、閉鎖状態において、一対の反射部材の回転方向の面どうしが当接されるので、隣り合う反射部材の本体部の間に形成される隙間を塞ぐことができ、反射部材の間の隙間から光が漏れることを抑制することができる。
【0524】
ここで、光の漏れの抑制は、例えば板状のシャッター部材をスライド移動させて、そのシャッター部材を遊技者へ照射される光と遊技者との間に配置することでも達成できる。この場合、シャッター部材が開放しきってしまえば遊技者は照射される光の全体を遊技者は視認できる。しかし、遊技者へ照射される光と遊技者との間にシャッター部材が配置された状態からシャッター部材がスライド移動する途中では、シャッター部材と重なる光を視認することはできない。即ち、遊技者が光の全体を視認するまでの期間が長くなる。
【0525】
一方、遊技機C5によれば、反射部材は、閉鎖状態では光の漏れを抑制しながら、閉鎖状態から反射部材が回転することで遊技者へ照射される光を通過可能にする。ここで、複数の反射部材には例示として上述した単一のシャッター部材と同じ役割を持たせることができる。即ち、シャッター部材に比較してそれぞれの反射部材を小型に形成することができる。そのため、シャッター部材をスライド移動させる場合に比較して、反射部材を回転させる場合の方が、遊技者が光の全体を視認するまでの時間を短くできる。
【0526】
また、隣り合う反射部材の反射面部の端部どうしが当接可能に形成されるので、反射部材の姿勢のずれを、他の反射部材により修正することができる。そのため、複数の反射部材の内、回転角度の精度が悪い反射部材があるとしても、他の反射部材に当接されることで、回転後の反射部材の姿勢が修正される。よって、反射部材の演出の品質を担保することができる。
【0527】
遊技機C5において、前記反射部材は、前記互いに向かい合う面の当接部分が面取りされることを特徴とする遊技機C6。
【0528】
遊技機C6によれば、遊技機C5の奏する効果に加え、反射部材の、互いに向かい合う面の当接部分が面取りされるので、反射部材を隣接する反射部材へ向けてより傾倒させることができる。よって、閉鎖状態において複数の反射部材で形成される面を、より平坦面化することができる。この場合、例えば、複数の反射部材の回転方向の側面を組み合わせて模様を形成する場合に、反射部材の境界での模様のずれを抑制することができる。
【0529】
なお、面取りの方法としては、曲面に削る方法(Rをつける)や、平坦面で削る方法等が例示される。
【0530】
遊技機C1からC6のいずれかにおいて、前記複数の反射部材を回転動作させる駆動力を発生させる駆動装置と、その駆動装置によりスライド移動される伝達部材と、を備え、前記伝達部材は、前記回転軸部の軸方向に対して垂直方向にスライド移動可能に形成され、前記複数の反射部材は、前記一対の回転軸部のうち少なくとも一方に、前記伝達部材に当接される被伝達部をそれぞれ備え、前記伝達部材をスライド移動させることで、前記被伝達部および前記反射部材を回転可能に形成されることを特徴とする遊技機C7。
【0531】
遊技機C7によれば、遊技機C1からC6のいずれかの奏する効果に加え、駆動装置により移動される伝達部材が、回転軸部の軸方向に対して垂直方向にスライド移動される態様で形成され、複数の反射部材の回転軸部にそれぞれ形成される被伝達部が伝達部材に当接される。ここで、伝達部材をスライド移動させることで、被伝達部が回転されると共に連動して反射部材が回転されるので、複数の反射部材を、一の伝達部材のスライド移動により回転させることができる。
【0532】
なお、伝達部材としてはベルトやラックギアが例示される。伝達部材がベルトの場合には、被伝達部として円柱状部分が例示され、伝達部材がラックギアの場合には、被伝達部として回転ギア形状の部分が例示される。
【0533】
遊技機C7において、前記伝達部材は、前記被伝達部と対向する側面に歯が刻設されるラックギア部を備え、前記被伝達部は、前記ラックギア部に歯合可能な歯が形成されることを特徴とする遊技機C8。
【0534】
遊技機C8によれば、遊技機C7の奏する効果に加え、伝達部材がラックギア部を備え、伝達部材のラックギア部に歯合可能に形成される歯が被伝達部に形成される。これにより、伝達部材がスライド移動されると、ラックギア部に歯合される複数の反射部材の被伝達部が回転されるため、伝達部材と反射部材との間で滑りが生じることを防止することができる。よって、複数の反射部材を同期回転させることができる。
【0535】
遊技機C8において、前記伝達部材の前記ラックギア部または前記被伝達部に形成される歯の少なくとも一方に、向かい合う前記被伝達部または前記ラックギア部の隣接する歯の間隔よりも大きな幅で形成される膨張歯が形成されることを特徴とする遊技機C9。
【0536】
遊技機C9によれば、遊技機C8の奏する効果に加え、伝達部材のラックギア部または被伝達部に形成される歯の少なくとも一方に、向かい合う被伝達部またはラックギア部の隣接する歯の間隔よりも大きな幅で形成される膨張歯が形成されるため、その膨張歯が歯合される場合にラックギア部から被伝達部への駆動力の伝達抵抗を一時的に上昇させることができる。
【0537】
これにより、伝達部材のスライド移動を機械的に停止させることができる。よって、伝達部材の移動端のセンサが異常を起こした場合でも、伝達部材により回転される反射部材の過回転を防止することができる。
【0538】
<相手部材を自らの駆動装置で移動させる技術思想の一例>
液晶表示装置の正面側に配設され、その液晶表示装置の表示領域の外方と内方とを往復スライド移動可能に形成されると共に前記表示領域の内方において移動方向に形成される内側面が互いに当接可能な位置関係で形成される一対の移動部材と、それら一対の移動部材を駆動させる駆動装置と、を備え、前記一対の移動部材のうち、一方の移動部材の移動可能な範囲が、その一方の移動部材の反対側の移動部材である他方の移動部材の移動可能な範囲と干渉し、前記一方の移動部材を移動させることで前記他方の移動部材に当接させ、更に前記一方の移動部材を同一方向に移動させることで、前記他方の移動部材を押し進めて移動可能に形成されることを特徴とする遊技機D1。
【0539】
ここで、液晶表示装置の表示領域の外方から、液晶表示装置の表示領域の内方へ向けて一対の役物が移動され、互いに当接することで、液晶表示装置を視認不能にする遊技機が知られている(例えば特開2005-040413号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、一対の役物の動作が単調であるという問題点があった。
【0540】
これに対し、遊技機D1によれば、一方の移動部材が他方の移動部材に当接し、更に一方の移動部材が移動することで、他方の移動部材を移動可能に形成されるので、他方の移動部材を駆動させる駆動装置のみでは形成することが難しい予想外の動きを形成することができる。
【0541】
例えば、移動部材を単一の駆動装置で駆動させると、駆動方向の反転時に、減速時間に伴う遅れが生じ、移動部材の単調さの原因となる。そこで、一方の移動部材の駆動装置の駆動方向が方向転換されるのに合わせて、他方の移動部材を一方の移動部材に当接させ、更に他方の移動部材を同一方向に移動させる。これにより、他方の移動部材の駆動力を一方の移動部材を移動させる補助力として利用することができ、一方の移動部材の方向転換に必要な期間を短縮化することができる。よって、他方の移動部材を駆動させる駆動装置のみでは形成することが難しい、予想外の動きを形成することができる。
【0542】
また、一対の移動部材を駆動させる駆動装置を同調動作しなくとも、一対の移動部材を移動させることができるので、駆動装置の消費電力を抑制すると共に駆動装置の制御負担を軽減することができる。
【0543】
遊技機D1において、前記一対の移動部材の移動方向が、略鉛直方向であることを特徴とする遊技機D2。
【0544】
ここで、一方の移動部材が退避位置から下方に移動する場合、重力の作用により一方の移動部材は下方向への力を受けている。そのため、一方の移動部材が方向転換をする場合に必要な駆動力は重力の分大きくなり、移動部材の方向転換時に移動部材の減速時間を短くすることは難しい。
【0545】
これに対し、遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、移動部材が略鉛直方向にスライド移動可能に形成されるので、退避位置から下方へ移動する過程で当接する一方の移動部材の方向転換時に、その一方の移動部材に退避位置から上方へ移動する他方の移動部材を当接させ、さらに、他方の移動部材を同一方向に移動させることで、一方の移動部材の方向転換に必要な期間を短くすることができる。なお、略鉛直方向とは、鉛直方向に限られず、若干の水平成分を許容する方向を意味する。
【0546】
遊技機D1において、前記一対の移動部材の移動方向が、略水平方向であることを特徴とする遊技機D3。
【0547】
一方の移動部材が移動する過程で他方の移動部材に当接し、更に一方の移動部材が同方向に移動することで他方の移動部材を移動させる場合、一方の移動部材の駆動装置は、一対の移動部材を共に移動させているので、駆動装置に係る負担が大きくなる。
【0548】
ここで、一対の移動部材が上下に配置される場合、下方に配置される移動部材を駆動させる駆動装置にかかる負担の方が、上方に配置される移動部材を駆動させる駆動装置にかかる負担に比較し大きくなり、駆動装置の寿命に差が生じる。そのため、一方の駆動装置の交換周期が他方の駆動装置に比較して短くなり、一対の駆動装置を同時に交換する場合に比較して、メンテナンスの予定がたてづらくなる。
【0549】
これに対し、遊技機D3によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、一対の移動部材が略水平方向にスライド移動可能に形成されるので、一対の駆動装置にかかる負担の差を軽減することができる。
【0550】
即ち、移動部材が略水平方向に移動可能に形成される場合、移動部材は移動可能方向に重力による力を受けないため、駆動装置にかかる負担は移動の向きに寄らない。よって、駆動装置ごとの交換時期を合わせることができる。
【0551】
なお、移動部材のスライド移動の方向は、水平方向と一致する必要はなく、移動部材が駆動装置との摩擦力により静止可能な程度の水平方向からの傾きは許容される。
【0552】
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記移動部材が配設されるベース部材を備え、そのベース部材には、前記移動部材をスライド移動可能に案内する軸棒が固定されることを特徴とする遊技機D4。
【0553】
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材に固定される軸棒により、ベース部材の剛性を向上させることができる。また、軸棒は、移動部材をスライド移動可能に案内する役割を有する。
【0554】
これにより、軸棒を、移動部材をスライド移動可能に案内する部材と、ベース部材の剛性を向上させる部材とに兼用することができる。
【0555】
遊技機D4において、前記軸棒を挟み込む態様で配置されると共に、前記軸棒に対して転動可能に形成される一対の車輪部を少なくとも両端に有する台車部を備え、その台車部は、前記移動部材の少なくとも一方の端部に固定されることを特徴とする遊技機D5。
【0556】
遊技機D5によれば、移動部材の少なくとも一方の端部に台車部が固定され、その台車部は軸棒に転動可能な車輪部を有するため、移動部材のスライド移動時に生じる摩擦抵抗を抑制することができる。
【0557】
また、車輪部は、軸棒を挟み込む態様で一対が配置されると共に、それらが台車部の少なくとも両端に配設されるため、軸棒と台車部との姿勢を一定に維持することができる。
【0558】
遊技機D5において、前記一対の移動部材が当接される場合に、前記一対の移動部材にそれぞれ配設される車輪部が互いに当接されることを特徴とする遊技機D6。
【0559】
遊技機D6によれば、遊技機D5の奏する効果に加え、一対の移動部材の当接時に一対の移動部材にそれぞれ配設される車輪部が互いに当接される。これにより、一対の移動部材の当接時に車輪部にかかる抵抗を上昇させることができるので、一対の移動部材の当接時の衝撃を緩和することができる。
【0560】
なお、当接される一対の車輪部を互いに異径に形成してもよい。この場合には、大径の車輪部と軸棒との間に小径の車輪部を挟み込むことで、車輪部にかけられる抵抗をより上昇させることができる。
【0561】
遊技機D6において、前記移動部材は、前記駆動装置の駆動力が伝達される伝達部を備えると共に前記軸棒の軸心方向と垂直方向に長尺に形成され、前記移動部材の長手方向の一方の端部に、前記伝達部および前記台車部が配設されることを特徴とする遊技機D7。
【0562】
遊技機D7によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、駆動装置の駆動力が伝達される伝達部が、台車部の配設される一方の端部に形成される。台車部は軸棒に案内されてスライド移動されるので、伝達部と駆動装置との係合関係を適正化することができる。
【0563】
即ち、移動部材は長尺に形成されるので撓みが生じやすく、その撓みは軸棒に案内される台車部が配設される一方の端部を支点として生じる。伝達部が、台車部の配設される一方の端部の反対側の端部である他方の端部に形成される場合、移動部材の撓みにより伝達部の位置が変化しやすく、また、移動部材の伝達部と駆動装置との係合関係にずれが生じやすい。移動部材の伝達部と駆動装置との係合関係にずれが生じると、移動部材のスライド移動時に伝達部と駆動装置との間で発生する抵抗が大きくなり問題である。
【0564】
一方、伝達部が、台車部の配設される一方の端部に形成されていれば、駆動力の伝達位置と、移動部材の支持位置とが共に一方の端部に形成され、移動部材が撓んだとしても、それにより移動部材の伝達部の位置が変化されることはない。よって、移動部材の伝達部と駆動装置との係合関係を維持でき、移動部材のスライド移動時に伝達部と駆動装置との間で発生する抵抗を抑制することができる。
【0565】
なお、伝達部の態様としては、例えば、駆動装置側から回転ギアが形成されている場合に、一方の端部に形成されるラックギア部が例示される。
【0566】
遊技機D7において、前記一対の移動部材の当接が前記伝達部側で生じることを特徴とする遊技機D8。
【0567】
遊技機D8によれば、遊技機D7の奏する効果に加え、一対の移動部材の当接位置の算出において移動部材の撓みによるずれを考慮する必要がないので、一対の移動部材の当接位置を正確に算出することができる。
【0568】
遊技機D7において、前記一対の移動部材の当接が前記伝達部側の反対側の端部で生じることを特徴とする遊技機D9。
【0569】
遊技機D9によれば、遊技機D7の奏する効果に加え、一対の移動部材の当接が伝達部側の反対側の端部で生じるので、一対の移動部材が当接される場合において伝達部側が受ける衝撃を緩和することができる。これにより、一対の移動部材が当接することで駆動装置が受ける負担を低減することができる。
【0570】
遊技機D7からD9において、前記移動部材がスライド移動する方向と平行に延設されると共に、前記移動部材の前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部に、前記軸棒の軸心方向と垂直な方向から当接される案内壁部を備え、前記移動部材は、前記他方の端部に回転可能に軸支されると共に、前記案内壁部に当接される一対の回転体を備え、それら一対の回転体は、前記移動部材のスライド方向に併設され、前記移動部材がスライド移動されるのに伴い回転されることを特徴とする遊技機D10。
【0571】
遊技機D10によれば、遊技機D7からD9の奏する効果に加え、案内壁部が、移動部材のスライドする方向と平行に延設されると共に、移動部材の他方の端部に軸支される一対の回転体が案内壁部に当接される。
【0572】
ここで、移動部材が急停止するなどして、移動部材が一方の端部を支点に大きく撓み振動する場合、移動部材の他方の端部に軸支される一対の回転体のうち、移動部材の撓みの方向と逆側の回転体が案内壁部に押しつけられる。そのため、移動部材の撓み振動の方向と逆方向に抵抗がかかるので、移動部材の他方の端部を自由端で形成する場合に比較して、移動部材の撓み振動を抑制しやすくすることができる。
【0573】
また、移動部材の始動時には、回転体と案内壁部とが滑らかに当接されるため、移動部材の始動時に案内壁部と移動部材との間で生じる摩擦抵抗を抑制することができる。
【0574】
なお、案内壁部と回転体との当接の態様としては、案内壁部にラックギアが形成され、回転体の側面に案内壁部のラックギアに歯合されるギアが刻設される態様が例示される。
【0575】
遊技機D10において、前記回転体は、側面に刻設されるギア状の歯部を備え、前記案内壁部は、前記歯部に歯合されるラックギア部を備えることを特徴とする遊技機D11。
【0576】
遊技機D11によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、回転体の側面に歯部が形成され、その歯部に歯合されるラックギア部が案内壁部に形成される。よって、案内壁部と回転体との当接面積を増大させ、移動部材の撓み振動をより抑制することができる。
【0577】
遊技機D1からD11のいずれかにおいて、前記一対の移動部材の位置と速度とを検出可能な検出装置を備え、その検出装置の検出結果により、一対の移動部材の移動速度が決定される遊技機D12。
【0578】
ここで、例えば、移動部材が電気モータで移動される場合、電気モータの電圧の不安定さにより移動部材の速度が不安定になることがある。これにより、一対の移動部材が予期せぬ速度で衝突するおそれがある。
【0579】
これに対し、遊技機D12によれば、遊技機D1からD11のいずれかの奏する効果に加え、一対の移動部材の位置と速度とを検出可能な検出装置を備え、その検出装置の検出結果により、一対の移動部材の移動速度が決定されるので、一対の移動部材が予期せぬ相対速度で衝突し、破損することを防止することができる。
【0580】
例えば、一対の移動部材が近接した状態で一方の移動部材の位置と速度とを検出可能な検出装置の検出結果により、他方の移動部材の速度を調節して、衝突時に一対の移動部材がほとんど等速な状態を形成することができる。これにより、一対の移動部材の衝突時の衝撃を和らげることができる。
【0581】
遊技機A1からA14,B1からB10,C1からC9,D1からD12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機E1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0582】
遊技機A1からA14,B1からB10,C1からC9,D1からD12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機E2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0583】
遊技機A1からA14,B1からB10,C1からC9,D1からD12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機E3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
<手段>
技術的思想1の遊技機は、同方向に張り出して形成される一対の壁部を有するベース部材と、前記一対の壁部のうち少なくとも一方の壁部の張出端に当接される蓋部材と、前記一対の壁部に両端部が回転可能に軸支される複数の反射部材と、その複数の反射部材のうちの少なくとも一の反射部材へ向けて光を照射する光源と、を備え、前記一対の壁部のうち少なくとも一方の壁部は、張出端の端面に複数の軸支溝が形成され、前記反射部材は、本体部と、その本体部から突設されると共に前記軸支溝に嵌め込まれることで軸支される少なくとも一の回転軸部と、から構成され、前記軸支溝に嵌め込まれる回転軸部は、前記複数の軸支溝の開放端から嵌め込まれ、前記軸支溝の開放端が前記蓋部材に塞がれることで軸支される。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記蓋部材が、前記壁部の側面に締結される。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記蓋部材は、前記反射部材の前記回転軸部を軸支する複数の軸支孔を備える。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、部材の組み付け性を改良することができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、蓋部材を効果的に活用できる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、蓋部材を更に効果的に活用できる。
【符号の説明】
【0584】
10 パチンコ機(遊技機)
13 遊技盤
81 第3図柄表示装置(液晶表示装置)
312 揺動軸
313 伝達軸(第1軸)
315 案内孔(第2案内部)
316,2316 起立孔(第1案内部)
316a,2316a 姿勢変化部
316b,2316b 同心円部
320 アーム部材(移動部材)
321 本体部
324 前当部(装飾部)
325 解除孔(案内部)
326 摺動部(第2突出部)
330 起立部材(演出部材)
332 張出リング部(揺動軸)
333 変化摺動部(第1突出部)
340,2340 駆動装置(解除装置、駆動装置)
350,2350 伝達装置(位置規制装置、第1回転体)
351 規制摺動部(ピン部材)
360 ねじりバネ(付勢装置)
430 吊下部材(移動部材)
433 屈曲腕部(張出部、当接部、手先部)
440 駆動装置(第1駆動装置)
450 補助部材
452 揺動孔(一方の端部)
453 スライド軸(他方の端部)
460,2460 傾倒部材(演出部材)
461a 吊下軸(一方の端部)
461b 連結軸(他方の端部)
464 駆動装置(第2駆動装置)
470,2470 連結部材
510 ベース部材
511 底面部
512 第1壁部(張出部)
512a 軸支溝
513 第2壁部(張出部)
513a 軸支溝
513b 延設部
520 反射部材(回転部材)
521 本体部
521a 面取部(当接部分)
522 回転軸(回転軸部)
523 回転ギア(被伝達部)
530 第1蓋部材(被当接部材)
531 軸支孔
540 第2蓋部材(被当接部材)
543 位置決め突設部(嵌合部)
550 伝達部材
553 第1ラックギア(ラックギア部)
560 駆動装置
710,2710 ベース部材
715 案内壁部
715a 受けギア部
720,2720 第1スライド部材(移動部材)
721a ラック部(伝達部)
722 台車部
722b 回転体群(車輪部)
740 第2スライド部材(移動部材)
741 本体部(伝達部)
742 台車部
742b 回転体群(車輪部)
743a 撓み抑制ギア(回転体)
770 駆動装置
2716 検出装置
D1 長径方向(第1の方向)
D2 短径方向(第2の方向)
G 重心
P 表示領域
S1 第1スライド軸棒(軸棒)
S2 第2スライド軸棒(軸棒)
X 方向
Y 方向
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同方向に張り出して形成される一対の張出部を有するベース部材と、少なくとも一方の前記張出部の張出端に当接される被当接部材と、前記一対の張出部の張出端側部が少なくとも一辺を構成する軸支部に両端部が回転可能に支持され、所定の光を反射可能な回転部材と、その回転部材へ光を照射可能な光源と、前記回転部材の前方に配置され遊技球が上方から流下可能に構成される流下領域と、を備え、
前記軸支部は、前記回転部材が、少なくとも一方の前記張出部の張出端側部と前記被当接部材とに軸支されるように構成され、
前記回転部材は、前記光源から照射される光の少なくとも一部を透過可能に構成され、その透過した光の少なくとも一部を、前記流下領域に配置される遊技球に照射可能に構成されることを特徴とする遊技機。
【請求項2】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-01-30 
結審通知日 2019-02-01 
審決日 2019-02-13 
出願番号 特願2016-124072(P2016-124072)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A63F)
P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 田邉 英治
牧 隆志
登録日 2018-10-12 
登録番号 特許第6414147号(P6414147)
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人しんめいセンチュリー  
代理人 特許業務法人しんめいセンチュリー  

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