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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F24C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F24C
管理番号 1349944
審判番号 不服2018-2945  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-01 
確定日 2019-04-02 
事件の表示 特願2017-1868号「加熱調理器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月1日出願公開、特開2017-96622号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年5月11日に出願した特願2010-109171号の一部を、平成26年10月1日に新たな特許出願とした特願2014-203026号の一部を、平成27年12月18日に新たな特許出願とした特願2015-246995号の一部を、さらに平成29年1月10日に新たな特許出願としたものであって、平成29年9月15日付けで拒絶理由が通知され、平成29年11月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年11月30日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、平成30年3月1日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正書が提出され、平成30年11月2日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年12月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1,2に係る発明は、下記の引用文献A?Dに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧:
A.特開2003-214626号公報
B.特開昭60-100260号公報
C.特開2002-63178号公報
D.特開2003-6520号公報

第3 当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。

1.本願の請求項1の「カロリーを選ぶ画像」が何を意味するのか不明確であり、本願の請求項1,2に係る発明は明確ではないから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2.(1)本願は、分割要件を満たしていない。そして、本願の請求項1,2に係る発明は、下記の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、(2)本願の請求項1,2に係る発明は、下記の引用文献3,4,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧:
1.特開2011-237126号公報
2.特開2009-2605号公報
3.特開2003-120938号公報
4.特開2002-63178号公報(拒絶査定時の引用文献C)

第4 本願発明
本願請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」といい、両者をまとめて「本願発明」という。)は、平成30年12月14日に提出された手続補正書の請求項1,2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1,2は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられ、被加熱物を収容する加熱室と、
上記被加熱物を加熱調理するための調理メニューを表示する表示部と、
上記調理メニューを選択するためにユーザが操作する操作部と、
上記被加熱物を加熱するための加熱部と、
上記加熱部を上記調理メニューに基づいて制御する制御装置と、を備え、
上記表示部は、複数の調理メニューからユーザが所望する調理メニューを検索するための複数の検索条件選択画面を順次表示し、
上記検索条件選択画面の一つは、料理のカロリー数を選択するための選択肢を有し、
上記選択肢は、カロリー数の範囲を含み、かつ、上記カロリー数の範囲が2つ以上の複数段階に分かれており、
上記表示部は、上記複数の検索条件選択画面で選択された検索条件に合致する調理メニューを表示し、
上記制御装置は、上記検索条件に合致する調理メニューからユーザが選択した調理メニューの調理を開始する直前の状態とすることを特徴とする加熱調理器。

【請求項2】
上記操作部は、上記表示部に重なるタッチパネルであることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。

第5 引用文献の記載
1.引用文献1について
当審拒絶理由で引用された引用文献1(特開2011-237126号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられ、被加熱物を収容する加熱室と、
上記被加熱物を加熱するためにユーザが操作する操作部と、
上記被加熱物の調理に関する情報を表示する表示部と、
上記表示部の表示を制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、
調理カテゴリの複数の第1選択肢と、この第1選択肢と密接な関係がある複数の第2選択肢とを、同時かつ選択可能に上記表示部に表示させる選択肢表示制御部と、
上記複数の第1選択肢のうちの少なくとも1つが選択状態になり、かつ、上記複数の第2選択肢のうちの少なくとも1つが選択状態になったときに、この選択状態の第1,第2選択肢の両方に対応する料理の情報を上記表示部に表示させる料理情報表示制御部と、
上記表示部が上記料理の情報を表示しているときに、ユーザの上記操作部への操作に応じて、上記料理の情報を、上記選択された第1,第2選択肢の両方に対応する他の料理の情報に変更する料理情報変更制御部と
を有することを特徴とする加熱調理器。」(【請求項1】)

(2)「 図2は上記加熱調理器の概略構成図である。
上記加熱調理器は、ケーシング1と、ケーシング1内に設けられた加熱室2と、水蒸気を発生させる水蒸気発生装置3と、水蒸気発生装置3からの水蒸気を加熱して過熱水蒸気にする水蒸気加熱ヒータ4と、水蒸気発生装置3や水蒸気加熱ヒータ4等の動作を制御する制御装置5とを備えている。ここで、上記過熱水蒸気とは、100℃を越える過熱状態にまで加熱された水蒸気を意味する。なお、水蒸気加熱ヒータ4は過熱水蒸気発生部の一例である。」(段落【0042】?【0043】)

(3)「上記カラー液晶表示部36は、カラー液晶パネル95上にタッチパネル96を重ねて構成される。このカラー液晶パネル95は、文字、数字、写真等をカラー表示できるものであり、加熱の種類、料理名、加熱時間、温度、料理の写真等を表示する。また、タッチパネル96は、ユーザがタッチすると表面電荷を変化させる透明素材からなる静電容量方式のタッチパネルである。これにより、ユーザはタッチパネル96をタッチして、カラー液晶パネル95に表示される画像を選択できるようになっている。また、ユーザがタッチパネル96をタッチして、カラー液晶パネル95に表示される選択可能な画像を選択すると、その画像の色が変わるようになっている。つまり、カラー液晶パネル95に表示される画像は、選択状態の色が非選択状態の色と異なるようになっている。なお、タッチパネル96は、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式または電磁誘導方式のタッチパネルに換えてもよい。また、カラー液晶パネル95は表示部の一例であり、タッチパネル96は操作部の一例である。
図5は上記カラー液晶パネル95の初期画面を示す図である。この初期画面は、加熱調理器の電源プラグ(図示せず)をコンセントに差し込んだ後、カラー液晶パネル95が最初に表示する画面である。 上記カラー液晶パネル95の初期画面には画像G1?G8が表示される。画像G1は、冷えた料理等を温めるときに選択すべき画像であり、エビフライの絵と、「あたためる」の文字とを含んでいる。画像G2は、蒸し物や煮物を作るときに選択すべき画像であり、鍋および蒸籠の絵と、「蒸す・煮る」の文字とを含んでいる。画像G3は、料理集内の300種類以上の料理から希望の料理を探すときに選択すべき画像であり、本の絵と、「お料理集から選ぶ」の文字とを含んでいる。画像G4は牛乳や酒を適温に温めるときに選択すべき画像であり、コップおよび徳利の絵と、「牛乳」および「酒のかん」の文字を含んでいる。画像G5は、焼き物およびフライ物を作るときに選択すべき画像であり、ローストチキンの絵と、「焼く・フライ」の文字とを含んでいる。画像G6は、健康サポートメニューを使いたいときに選択すべき画像であり、元気な人をイメージさせる絵と、「健康サポートメニュー」の文字とを含んでいる。画像G7は、よく作るメニュー中の料理を作るときに選択すべき画像であり、押しピンの絵と、「よく作るメニュー」の文字とを含んでいる。画像G8は、冷凍食材等を解凍するときに選択すべき画像であり、雪の結晶の絵と、「解凍する」の文字とを含んでいる。このような構成の初期画面が表示されているときに、ユーザが、画像G3に重なるタッチパネル96の一部にタッチすると、カラー液晶パネル95の画面は初期画面から料理集選択画面に切り換わる。つまり、ユーザの画像G3の選択により、カラー液晶パネル95が料理集選択画面を表示する。」(段落【0062】?【0064】)

(4)「図7は、図6の画像G13に重なるタッチパネル96の一部へのタッチに応じて表示されるカラー液晶パネル95の画面を示す図である。
上記画面の上部には、本の絵と、「お料理集」および「材料別」の文字とが表示されている。これにより、ユーザは、図6の料理集選択画面において画像G13を選択したことを確認できるようになっている。
また、図7の画面には画像G21?G27も表示される。ユーザは、画像G21を選択することによって、豚肉または牛肉を使う料理を見ることができ、画像G22を選択することによって、魚類や貝類を使う料理を見ることができ、画像G23を選択することによって、卵または豆腐を使う料理を見ることができ、画像G24を選択することによって、鶏肉を使う料理を見ることができ、画像G26を選択することによって、野菜を使う料理を見ることができるようになっている。また、ユーザが、ダイエットや糖尿病等の事情で料理の検索条件にカロリー数を入れたいなら、「カロリー数と組み合わせて探す」の文字を含む画像G27を選択すればよい。つまり、ユーザは、画像G27に重なるタッチパネル96の一部にタッチすることにより、希望の材料およびカロリー数で料理を探せるようになっている。
図8は、画像G27に重なるタッチパネル96の一部へのタッチに応じて表示されるカラー液晶パネル95の画面を示す図である。
上記画面の上部には、本の絵と、「お料理集」および「材料とカロリーで選ぶ」の文字とが表示されている。これにより、ユーザは、図7の画面において画像G27を選択をしたことを確認できるようになっている。
また、図8の画面の中央部には、「材料を選択」の文字と共に、画像G31?G36が表示される。この画像G31?G36の選択により、図8の画面の次画面に表示される料理の材料を制限できるようになっている。この料理の材料の制限は、画像G31?G36が含む文字に対応して行われる。例えば、画像G31は、料理の材料を豚肉または牛肉に制限するためのものである。なお、画像G31?G36は第1選択肢の一例である。
また、図8の画面の下部には、「カロリー数を選択」と共に、画像G41?G44が表示される。この画像G41?G44の選択により、図8の画面の次画面に表示される料理のカロリー数を制限できるようになっている。例えば、ユーザは、図8の画面の次画面に表示される料理のカロリー数を、199キロカロリー以下に制限したいなら画像G41を選択すればよい。また、図8の画面の次画面に表示される料理のカロリー数は、画像G42の選択によって200キロカロリー?299キロカロリーの範囲内に、画像G43の選択によって300キロカロリー?399キロカロリーの範囲内に、画像G44の選択によって400キロカロリー以上に制限することができる。また、画像G41の色は緑色から黄緑に変化するグラデーション、画像G42の色は黄緑色から黄色に変化するグラデーション、画像G43の色は黄色から橙色に変化するグラデーション、画像G44の色には橙色から赤色に変化するグラデーションがかかっている。つまり、画像G41の色より赤みが多い色を画像G42の色として採用し、画像G42の色より赤みが多い色を画像G43の色として採用し、画像G43の色より赤みが多い色を画像G44の色として採用している。これにより、画像G41?画像G44の中で、画像G41のRGBカラーのR値が最も小さくなっている。なお、画像G41?G44は第2選択肢の一例である。
図7の画面から図8の画面に切り換わった直後は、画像G31?G36,G41?G44のいずれも選択されていない状態である。このため、ユーザが、画像G31?G36の中から1つ選択し、かつ、画像G41?G44の中から1つ選択しないと、次画面に切り換わらないようになっている。この次画面では、画像G31?G36,G41?G44の選択の条件を満たす料理の中で最低カロリー数の料理が表示される。
図9A?図9Cは、図8の画面での選択に応じて表示されるカラー液晶パネル95の画面を示す図である。
図8の画面は、例えば、画像G34および画像G42が選択されると図9Aの画面に切り換わり、画像G35および画像G41が選択されると図9Bの画面に切り換わり、画像G32および画像G43が選択されると図9Cの画面に切り換わる。図9A?図9Cのそれぞれの画面には、料理のおおよそのカロリー数、料理名、料理の写真が表示されると共に、画像G51?G53が表示されている。
図9A?図9Cの画面において、ユーザが画像G51を選択すると、カラー液晶パネル95の画面に表示されていた料理を加熱する直前の工程に移る。つまり、上記料理の調理が開始される直前の状態となる。」(段落【0068】?【0078】)

(5)「図10は上記加熱調理器の制御ブロック図である。
上記制御装置5は、CPU(中央処理装置)50、タイマ51、記憶部52、入出力回路等を含んでいる。また、上記制御装置5には、水加熱ヒータ41と、水蒸気加熱ヒータ4と、給気ダンパ33と、排気ダンパ25と、電磁弁49と、循環ファン19と、排気希釈ファン30と、操作パネル35のカラー液晶表示部36およびボタン群45と、マグネトロン53とが接続されている。
上記CPU50は、記憶部52に記憶されている制御プログラムを取り出して実行したり、各種入力機器から入力されるデータに対し、二進加算、論理演算、増減、比較等の演算を行ったりする。
上記タイマ51は、年月日、被加熱物の加熱が開始してから経過した時間、被加熱物の加熱が終了してから経過した時間等を計時する。
上記記憶部52には、水加熱ヒータ41、水蒸気加熱ヒータ4、給気ダンパ33、排気ダンパ25、電磁弁49、循環ファン19、排気希釈ファン30、カラー液晶表示部36等を制御するための制御プログラムが記憶されている。また、記憶部52には、カラー液晶表示部36のカラー液晶パネル95に表示させる画像のデータが記憶されている。また、記憶部52には、ユーザが例えばお気に入りの料理を記憶させることもできる。」(段落【0083】?【0087】)

(6)「



してみれば、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されているものと認められる。

「ケーシングと、上記ケーシング内に設けられ、被加熱物を収容する加熱室と、上記被加熱物を加熱するためにユーザが操作する操作部と、上記被加熱物の調理に関する情報を表示する表示部と、水蒸気加熱ヒータ等を制御する制御装置と水蒸気発生装置を備え、カラー液晶パネルは、「材料別」に選択するための第1の画面と「材料とカロリーで選ぶ」ための第2の画面を順次表示し、第2の画面は、材料を選択するための画像G31?G36からなる第1選択肢とカロリー数を選択するための画像G41?G44からなる第2選択肢を有し、カラー液晶画面は、第1の画面と第2の画面で選択された料理を表示し、当該料理の調理が開始される直前の状態となる加熱調理器。」

2.引用文献2について
当審拒絶理由で引用された引用文献2(特開2009-2605号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「上述した図4(e)または図4(f)に示す状態でスタートキー71を操作することにより、調理メニューとして「ハンバーグ」が確定する。したがって、CPU31は、所定のプログラムに基づいて「ハンバーグ」の調理を開始する。また、図4(g)または図4(h)に示す状態でスタートキー71を操作することにより、調理メニューとして「牛肉のパイ包み焼き」が確定する。したがって、CPU31は、所定のプログラムに基づいて「牛肉のパイ包み焼き」の調理を開始する。
」(段落【0049】)

3.引用文献3について
当審拒絶理由で引用された引用文献3(特開2003-120938号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「まず、図2において、オーブンレンジの本体1の前面には、調理室2を開閉する扉3が回動可能に設けられていると共に、この扉3の右横に操作パネル4が設けられている。操作パネル4には、上部に例えば液晶表示器からなる表示器5が設けられていると共に、この表示器5の下方に位置させて押圧操作式の複数の操作キー6a?6eと、1個のダイヤルキー7と、カード挿入口8とが設けられている。
このうち表示器5は、調理レシピに関するデータなどを表示する表示手段を構成する。また、操作キー6a?6e及びダイヤルキー7は、変更条件を入力する条件入力手段を構成する。ダイヤルキー7は、回転操作と押圧操作とが可能な構成となっている。カード挿入口8には、取り外し可能な記憶媒体として、例えばSD(Secure Digital)メモリカードからなるメモリカード9が出し入れ可能に挿入されるようになっている。
上記本体1の内部には、レンジ調理に使用されるマグネトロン10(図3参照)や、オーブン調理に使用される調理ヒータ11(図3参照)などが配設されている。これらマグネトロン10及び調理ヒータ11は加熱手段を構成する。図3には、このオーブンレンジの電気的構成がブロック図で示されている。この図3において、制御装置12は、マイクロコンピュータを主体に構成されたものである。
この制御装置12には、上記操作キー6a?6e及びダイヤルキー7の信号、例えばサーミスタからなる第1の温度センサ13の信号と、例えば赤外線温度センサ(サーモパイル)からなる第2の温度センサ14の信号が入力されるようになっている。このうち、第1の温度センサ13は、オーブン調理などの際に、調理室2内の温度を検出するために用いられ、第2の温度センサ14は、レンジ調理などの際に、食品自体の温度を検出するために用いられる。そして、制御装置12は、調理レシピに関する標準データを記憶していると共に、それら操作キー6a?6e及びダイヤルキー7の信号、第1及び第2の温度センサ13,14の信号、並びに予め備えた制御プログラムに基づき、表示器5を制御すると共に、ヒータ駆動回路15を介して調理ヒータ11を、また、マグネトロン駆動回路16を介してマグネトロン10を制御し、さらに、カード挿入口8に挿入されたカード9に対してデータの読み出し及び書き込みを行う機能を備えている。この制御装置12は、本発明のデータ記憶手段とデータ変更手段として機能する。」(段落【0052】?【0055】)

(2)「次に上記構成の作用を説明する。例えば肉じゃがを調理する場合には、使用者は、まず操作キー6a?6e、ダイヤル7を用いて、「肉じゃが」の調理レシピを表示器5に表示させる。図2における表示器5には、「肉じゃが」の調理レシピに関する標準のデータ(「課題を解決するための手段」において、総分量/4人分の調理レシピ参照)の一部が表示されている。この表示器5の表示内容のうち、「肉じゃが」は調理メニュー名、「約45分」は調理に必要な調理時間、「500kcal /1人」は1人分の摂取熱量、「4人分」は標準の総分量の設定値を示している。「4人分」の文字の横には、その「4人分」に視覚的に対応する画像として人の顔の絵表示17が4個並べて表示されていて、その絵表示17でも4人分であることがわかるようになっている。なお、調理レシピに関するデータのうち、表示器5に一度に表示しきれない部分がある場合において、その表示しきれない部分を見るには、所定の操作キーを操作することで表示されるようになる。なお、操作キー6a?6eのうち、表示器5に近い3個の操作キー6a?6cは、表示器5の画面下に表示される機能に対応したものとなる。」(段落【0056】)

(3)「



上記(3)の図3の記載からすれば、制御装置は、ヒータ駆動回路及びマグネトロン制御回路に接続されている。

してみれば、上記引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されているものと認められる。

「オーブンレンジの本体を有し、本体の内部には、レンジ調理に使用されるマグネトロンや、オーブン調理に使用される調理ヒータなどが配設され、操作キー、ダイヤルを用いて、「肉じゃが」の調理レシピを表示器に表示させ、制御装置は、調理レシピに関する標準データを記憶していると共に、それら操作キー及びダイヤルキーの信号、第1及び第2の温度センサの信号、並びに予め備えた制御プログラムに基づき、表示器5を制御すると共に、ヒータ駆動回路を介して調理ヒータを、また、マグネトロン駆動回路を介してマグネトロンを制御する調理器。」

4.引用文献4について
当審拒絶理由で引用された引用文献4(特開2002-63178号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「ユーザ認証が行われた(ユーザが登録ユーザと判別された)場合、ホスト装置2が、その登録ユーザの所有する携帯電話機6に検索条件指定入力用データ(ジャンル指定入力用データ、カロリー指定入力用データ、味指定入力用データ、食材指定入力用データ)を携帯電話機6に送信する。携帯電話機6は、検索条件指定入力用データに基づき検索条件指定入力画面(図8?図11に示す画面のいずれか)を表示する(ステップS3)。
そして、検索条件指定入力画面に基づいて、登録ユーザが携帯電話機6を用いて検索条件を指定入力した場合に(ステップS4:Yes)、検索条件指定データ(ジャンル指定データ、カロリー領域指定データ、味指定データ、食材指定データ)を携帯電話機6がホスト装置2に送信する(ステップS5)。ホスト装置2は、検索条件指定データに基づき、検索処理(ジャンル検索、カロリー検索、味検索、食材検索)を行う(ステップS6)。更に、ホスト装置2は、検索処理とほぼ同時に登録ユーザのユーザIDに対して検索条件指定データを対応づけて保存し、履歴を貯蓄する。即ち、ホスト装置2は、ユーザデータベース構築プログラム236に基づく上述のユーザデータベース構築処理を行う。
続いて、ホスト装置2は検索結果表示用データを携帯電話機6に送信して、携帯電話機6は検索結果表示画面(例えば、図13に示す画面)を表示する(ステップS7)。そして、登録ユーザが、検索結果画面に表示される料理品の調理レシピを閲覧する旨を携帯電話機6を用いて入力して、閲覧要求の旨が携帯電話機6からホスト装置2に送信された場合(ステップS8:Yes)、ホスト装置2は検索された調理レシピデータを携帯電話機6に送信する処理を行う。即ち、ホスト装置2は、検索された調理レシピデータの閲覧用データ(見出しデータ104、料理品画像データ106、表示用ポイントデータ108、調理補法データ110、表示用材料データ112、音楽データ114)を携帯電話機6に送信する。そして、携帯電話機6は、送信された閲覧用データに基づき、見出し画面(図14に一例を示す。)、ポイント画面(図17に一例を示す。)、材料画面(図18に一例を示す。)、及び作り方画面(図19に一例を示す)を表示する。これにより、本システムは登録ユーザに調理レシピを提供し、登録ユーザは調理レシピを得ることができる(ステップS9)。なお、これら画面が表示されている際には、音楽データ114に基づく音楽が携帯電話機6から出力されている。そして、例えば、登録ユーザが、携帯電話機6を用いて再検索する旨をホスト装置2送信しなかった場合(ステップS10:No)、本処理は終了する。」(段落【0137】?【0139】)

(2)「



第6 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の理由1(明確性要件違反)について
当審で、請求項1の「カロリーを選ぶ画像」が何を意味するのか不明確であるとの拒絶理由を通知しているが、当該記載は平成30年12月14日提出の手続補正書による補正で削除されているから、この拒絶理由は解消された。

2.当審拒絶理由の理由2.(1)(引用文献1を主引例とする進歩性欠如)について
(1)分割要件について
当審拒絶理由で原出願(特願2010-109171号(その、公開公報が引用文献1))の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面明細書(以下、「当初明細書」という。)に記載されていないとしていた「制御装置は、ユーザが選択した調理メニューに基づいて加熱調理できるようになっている」点については、平成30年12月14日付け手続補正書による補正により削除され、当該補正後の本願発明1及び2は原出願の当初明細書に記載された範囲内のものとなった。
よって、本願発明1及び2は分割要件を満たしている。

(2)判断
上記(1)で記載したように、本願発明1及び2は分割要件を満たすものであるから、本願の出願日は特許法第44条第2項の規定により、原出願の出願日である平成22年5月11日であるものとみなされる。
したがって、引用文献1は、本願出願前に頒布された刊行物ではないから、本願発明と引用発明Aを対比するまでもなく、引用文献1に基づいて本願発明の進歩性を否定することはできない。

3.当審拒絶理由の理由2.(2)(引用文献3を主引例とする進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア.本願発明1と引用発明Bの対比
引用発明Bの「オーブンレンジの本体」は、本願発明1の「ケーシング」に相当し、内部でマグネトロンや調理ヒータで調理を行うものであるから、「被加熱物を収容する加熱室」を備えていることは自明である。
また、引用発明Bの「「肉じゃが」の調理レシピ」は、本願発明1の「被加熱物を調理するための調理メニュー」に相当するものであり、当該調理レシピを表示する「表示器」は、「表示部」に相当する。
また、引用発明Bの「操作キー、ダイヤル」は、当該調理レシピを選択するものであるから、本願発明の「操作部」に相当する。
また、引用発明Bの「マグネトロン」及び「調理ヒータ」は、被加熱物を加熱するものであり、本願発明1の「加熱部」を構成するものである。
また、引用発明Bの「制御装置」は、調理レシピに関する標準データを記憶すると共に、予め備えた制御プログラムに基づき、表示器並びに「マグネトロン」及び「調理ヒータ」を制御しているのであるから、マグネトロン及び調理ヒータは調理レシピに基づいて制御されているものと認められ、「加熱部を調理メニューに基づいて制御する制御装置」に相当する。
また、一般に加熱調理の開始には操作者の何らかの操作を伴うことからすれば、引用発明Bの「制御装置」は、当該操作に先立って、「検索条件に合致する調理メニューからユーザが選択した調理メニューの調理を開始する直前の状態にする」構成を備えているものと認められる。
さらに、引用発明Bの調理器は、「マグネトロン」及び「調理ヒータ」により加熱調理を行うものであるから、本願発明1の「加熱調理器」に相当する。
してみると、本願発明1と引用発明Bは、次の一致点及び相違点を有する。

<一致点>
ケーシングと、上記ケーシング内に設けられ、被加熱物を収容する加熱室と、上記被加熱物を加熱調理するための調理メニューを表示する表示部と、上記調理メニューを選択するためにユーザが操作する操作部と、上記被加熱物を加熱するための加熱部と、上記加熱部を上記調理メニューに基づいて制御する制御装置と、を備え、上記制御装置は、検索条件に合致する調理メニューからユーザが選択した調理メニューの調理を開始する直前の状態とする加熱調理器。

<相違点>
本件発明1は、表示部は、複数の調理メニューからユーザが所望する調理メニューを検索するための複数の検索条件選択画面を順次表示し、上記検索条件選択画面の一つは、料理のカロリー数を選択するための選択肢を有し、上記選択肢は、カロリー数の範囲を含み、かつ、上記カロリー数の範囲が2つ以上の複数段階に分かれており、上記表示部は、上記複数の検索条件選択画面で選択された検索条件に合致する調理メニューを表示するのに対し、引用発明Bは、表示部がそのような表示をするものではない点

イ.判断
引用文献4には、複数の調理レシピ(調理メニュー)からユーザが所望する調理レシピ(調理メニュー)を検索するための複数の指定入力画面(検索条件選択画面)を順次表示し、上記指定入力画面(検索条件選択画面)の一つは、料理のカロリー数を選択するための選択肢を有し(図9参照。)、上記選択肢は、カロリー数の範囲を含み、かつ、上記カロリー数の範囲が2つ以上の複数段階に分かれており、上記表示装置(表示部)は、上記複数の指定入力画面(検索条件選択画面)で選択された検索条件に合致する調理レシピ(調理メニュー)を表示する情報端末装置の表示装置(表示部)が記載されている。
しかし、引用発明Bは、調理レシピの選択は行っているものの、操作キー又はダイヤルの操作により選択するものであり、引用文献4に示される階層分けした検索条件を用いて選択するような大量の調理レシピデータから所望の調理レシピを選択するものとは認められない。
よって、引用文献4に、ホストに記録された調理レシピからインターネットを経由して情報端末装置からユーザが所望する調理レシピを検索する手段として上記記載のような手段が開示されているとしても、引用発明Bは、操作キー又はダイヤルの操作により調理レシピを検索表示する調理器にすぎないから、引用文献4に示されるような手段を適用する必要性がなく、当該引用文献4記載の手段を引用発明Bに適用する動機付けが存在するとはいえない。
よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明B及び引用文献4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるということはできない。
なお、当審拒絶理由で示した引用文献2にも上記相違点に係る構成は記載されていない。

(2)本件発明2について
本願発明2は、本願発明1を引用して「操作部は、表示部に重なるタッチパネルである」という発明特定事項により減縮するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明B並びに引用文献4及び引用文献2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4.小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由によっては、本件発明を拒絶することはできない。

第7 原査定についての判断
原査定における引用文献A記載の発明は、端末装置を用いて複数の加熱調理器を制御するものであり、端末装置の表示装置に調理メニューを表示するようにはなっているが、加熱調理器の表示部23に調理メニューを表示するようにはなっていないから、当該調理メニューの選択にあたって、表示装置に引用文献B?Dに記載されたような検索条件選択画面を順次表示する点を採用したとしても、加熱調理器に備えられた表示部に当該検索条件選択画面を表示することにはならない。
よって、本願発明1,2を、当業者であっても、原査定における引用文献A?Dに基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-03-18 
出願番号 特願2017-1868(P2017-1868)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F24C)
P 1 8・ 121- WY (F24C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 光治岩瀬 昌治  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 槙原 進
井上 哲男
発明の名称 加熱調理器  
代理人 堅田 裕之  
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