• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1350260
審判番号 不服2018-181  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-09 
確定日 2019-03-25 
事件の表示 特願2014- 88770「情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月19日出願公開、特開2015-207233〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成26年4月23日の出願であって、平成29年7月7日付けで拒絶理由が通知され、同年8月25日付けで手続補正がされ、同年10月27日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成30年1月9日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成30年1月9日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年1月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。
「【請求項1】
第一文字列を含むボタンを有する第一画面に関する情報であり、前記第一文字列を含むボタンの情報であるボタン情報を有する第一画面情報と、前記ボタンに対する選択を受け付けた場合に出力される第二画面に関する第二画面情報とを格納し得る画面情報格納部と、
前記第二画面に含まれる情報に関する情報であり、変化し得る情報である報知情報を格納し得る報知情報格納部と、
前記第一画面を出力する出力指示を受け付ける受付部と、
前記ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報を構成し、当該出力されるボタン情報を含む第一画面情報を構成する情報処理部と、
前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報であり、前記情報処理部が構成した第一画面情報を出力し、かつ前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面情報を出力する出力部とを具備し、
前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される情報処理装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年8月25日付けでされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
第一文字列を含むボタンを有する第一画面に関する第一画面情報と、前記ボタンに対する選択を受け付けた場合に出力される第二画面に関する第二画面情報とを格納し得る画面情報格納部と、
前記第二画面に含まれる情報に関する情報であり、変化し得る情報である報知情報を格納し得る報知情報格納部と、
前記第一画面を出力する出力指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報を出力し、かつ第二画面情報を出力する出力部とを具備し、
前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面が出力され、
前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記第二画面が出力される情報処理装置。」

2 補正の適否
本件補正の上記補正事項は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第一画面に関する第一画面情報」を「第一画面に関する情報であり、前記第一文字列を含むボタンの情報であるボタン情報を有する第一画面情報」とし、「第一画面情報」を構成するものを「前記ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報を構成し、当該出力されるボタン情報を含む第一画面情報を構成する情報処理部」を付加して特定し、「前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報を出力し、かつ第二画面情報を出力する出力部」を「前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報であり、前記情報処理部が構成した第一画面情報を出力し、かつ前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面情報を出力する出力部」とし、「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記第二画面が出力される」を「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」として限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特表2007-512635号公報(平成19年5月17日公表。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線部は、当審で注目する箇所を示す。以下同様。)
「【0004】
一般的に、無線移動体機器のGUIは、メインまたはホームスクリーン、および1つ以上の、メインスクリーンから導かれ得るサブスクリーンを備える。通知アイコンは、新しいイベントを示すために、メインスクリーンの一部にしばしば表示される。ここにおいて、新しいイベントとは、新しいIMメッセージの受取り、電子メール(eメール)受取り、または、カレンダーのリマインダもしくはアラーム、および時間、日付、電池寿命のような他の状態情報等の他のサービスイベントの受取りである。デバイスを介して利用可能なサービスまたは機能の各タイプにとって、グラフィックイメージまたはアイコンは、メインスクリーンの大部分にしばしば表示され、アイコンは、選択されるサービスまたは機能の特定のGUIを始めるために、カーソルまたは他の手段を用いて選択され得る。」

「【0033】
図3を参照すると、本発明の実施形態に従い、移動局202を制御するためのグラフィックユーザインターフェースを提供する、移動局202のデュスプレイ222の例示的なメインスクリーン300の図が見られる。メインスクリーン300は、アプリケーション部分301および移動局状態部分302の2つの主なる部分に分割される。ここにおいて、アプリケーション部分301は、移動局202によって動作可能な様々なソフトウェアアプリケーションおよび機能のために、アイコン(例えば、304?312)を表示し、操作するための部分であり、移動局状態部分302は、時間、日付、電池、信号強度等の状態情報を表示するための部分である。図3は、それぞれ、IMアプリケーションIM1、IM2、およびIM3のための3つのアイコン304、306、および308を示し、2つのそれぞれのeメールサービスEmail1、およびEmail2のための2つのアイコン310および312を示す。各アイコンに関連付けられるものは、アイコン304に対するアプリケーションの名前(例えば、IM1)である。名前はまた、アプリケーション部分301に名前領域314においても示され得る。
【0034】
メインスクリーン300は、アプリケーション部分301において一度に全てのアプリケーションアイコンを示し得ない。ユーザは、追加的なアプリケーションアイコンを見るために、アイコンのアプリケーション部分301をナビゲートまたはスクロールすることを要求され得る。
【0035】
単純化のために、各アイコンは円形で示されるが、当業者は、他のグラフィックが使用され得ることを理解するだろう。移動局202の例示的なメインスクリーンおよびGUIにおいて、(キーボード232または他の補助I/Oデバイス228を操作することによって)特定のアイコン(例えば、304)がユーザによって選択される場合、またはユーザによってアクティブになる場合、アイコン304は、強調表示、シャドーイング等によって変更される。
【0036】
本発明の一実施形態に従い、アイコン(例えば、304)は、メインスクリーン300における変化を介してイベントの即時の通知を提供するために、アイコンに関連するアプリケーションからの新しいイベントに応答して、視覚的に変更され得る。通知は、後述されるように、ユーザの移動局202の制御をアシストするために、類似するサービスのアイコンからその通知されたアイコンを区別し得る。
【0037】
図3のメインスクリーン300の各アイコンは、初期状態にあり、新しいイベントが起こらず、ユーザによる注意を引いていないことを示す。図4は、新しいIMイベント(例えば新しいメッセージ)がIMアプリケーションの1つ、つまりアイコン306に関連するIM2に届いた後のメインスクリーン300の図である。この例示的な実施形態において、新しいIMメッセージは、新しい受信されたテキスト400を示唆するバブル、および、新しいイベント(このケースにおいて、未読メッセージが新しいイベントである)の総数を示す数インジケータの「1」を含む視覚的な変更400と共に示される。当業者は、バブルとは異なる視覚的な変更400が使用され得、総数が、1つ以上のメッセージを受取ったが、未読のままであるそのようなメッセージの通信者の数または「友達(buddy)」の数のような他の情報を示し得ることを理解されるであろう。未読メッセージ数を示すことに加え、このメカニズムは、関連するアプリケーションに適する追加的な状態情報のような他の新しいイベント情報に反映するために使用され得る。状態情報は、ユーザが現在、サインインしているか否か(およびそのユーザのユーザネーム)、接続の状態、および、ユーザの現状態(アウェイ対使用中)を含む。eメールアプリケーションにおいて、例えばアイコン310および312のうちの1つに関連し、総数は、未読eメールメッセージまたは独特な(distinct)送信者からの未読eメールの数であり得る。同類の数が、それぞれのアプリケーションに対するSMSメッセージ、アポイントメント、アラーム、または他のイベントを示し得る。
【0038】
任意的に、総数は、各アプリケーションに対して、またはアプリケーションの出来事に対して構成可能であり得る。アプリケーションアイコン304において、独特な送信者からの未読IMメッセージ数を識別し得、アプリケーションアイコン308に対して、独特な未読IMメッセージ数を識別し得る。
【0039】
図5は、ユーザアクションが後に続くIMアプリケーションアイコン306の図である。移動局202のユーザが、電話アイコン502を強調表示するために、アイコン304からアイコン306、308を介してメインスクリーンの焦点を移動する場合、視覚的な変更400は、その視覚的な変更を維持し、ユーザにその未読メッセージを気付かせるために、アイコン306において存続する。好ましくは、ユーザが、アプリケーションを動作可能にし、その未読メッセージを読んだ時にのみ、視覚的な変更は、例えば、その総数を減らし、また、総数がゼロの場合、その変更は取り除かれる(適用可能な場合)。
【0040】
図6は、未読メッセージを有するアプリケーションアイコン306が強調表示される場合のメインスクリーン300の図である。アイコン306の選択の際の、アイコンの強調表示に加え、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602が示される。アイコン306がユーザによって焦点された後、ダイアログボックス604の開きは、しばらく遅延し得る。ユーザがアイコンの間をナビゲートする間、ダイアログボックスが素早く開かれる場合、ユーザが特定のアイコンの選択をナビゲートする前に、ナビゲーションは先取りされ得る。ダイアログボックス604は、名前領域314において開けられるが、当業者は、ダイアログボックス604を位置付けするために他の領域が選択され得ることを理解するであろう。実施例として、ダイアログボックス602におけるメッセージプレビュー604は、アプリケーションサービス(つまり、AOL Instant Messengerに対する「AIM」)、メッセージを送った通信者(つまり、「red98」)、およびその未読メッセージの一部(つまり、「4時に会おう」)を示す。
【0041】
図7は、視覚的な変更400において示される2つの未読メッセージを有するIMアプリケーション306のダイアログボックス602を示す。ダイアログボックス602は、メッセージプレビュー604および704を含む。メインスクリーン300の固有のサイズ、および当業者にとって明確な他の考察のため、そのような様式においてプレビューされ得る未読メッセージ数に対しての上限がある。この上限は、所定の範囲内においてユーザによって任意的に構成可能であり得、または、単純に、利用可能なスクリーンのスペース、フォント等に基いて最大サイズに構成され得る。
【0042】
本発明の実施形態に従い、任意的に、ユーザは、メインスクリーン上のアプリケーションアイコンから直接、未読メッセージへ「ジャンプ」可能(つまり、自動的にナビゲート可能)であり得、それによって、関連するアプリケーションのためのGUIをナビゲートする際に通常は既読メッセージへナビゲートされ得る如何なる介在スクリーンを削除する。例えば、強調表示されたアイコン306は、通常に動作可能になり得(例えば、キーボード232の「enter」を選択すること)、アプリケーションが(例えば、最も最近な、または最も古い)未読メッセージにおいて開始する。アプリケーションの初期のスクリーンまたは友達リストはスキップされ得る。「ジャンプ」する機会は、時間制限付きであり得、新しいイベントの発生直後から、例えば、約数秒から約30秒等の短期間においてのみ操作可能であり得る。「ジャンプ」アクティベーションは、ユーザが未読メッセージを見る必要性を予期する。」

「【0044】
図9Aおよび9Bは、新しいイベントを示すためのアプリケーションアイコンの視覚的な変更のための、本発明に従う方法を表すフロー図である。図9Aは、変更を決定するために新しいイベントを識別するためのオペレーション900を示し、図9Bは、変更を表示するためのオペレーション901を示す。
・・・中略・・・
【0047】
新しいイベントの際、ステップ906において、変化されるアイコンへの視覚的な変更は、アイコン変更構成要素によって決定される。カウンタは、(ある場合は)インクリメントされ、任意の視覚的な要素または重なるグラフィックが構成され得る。例えば、テキストは、図8の視覚的な変更802によって例証されるように、重なるように収得され得る。モニタされるイベントが、例えば、前回の未読メッセージの回数である場合、カウンタがデクリメントされ得る。」

(イ)上記下線部の記載及び図によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「GUIが、メインスクリーン、および1つ以上の、メインスクリーンから導かれ得るサブスクリーンを備えた無線移動体機器であって、
メインスクリーンのアプリケーション部分は、動作可能な様々なソフトウェアアプリケーションおよび機能のために、アイコン(例えば、304?312)を表示し、操作するための部分であり、IMアプリケーションIM1、IM2、およびIM3のための3つのアイコン304、306、および308を示し、2つのそれぞれのeメールサービスEmail1、およびEmail2のための2つのアイコン310および312を示し、各アイコンに関連付けられるものは、アイコン304に対するアプリケーションの名前(例えば、IM1)であり、
メインスクリーンおよびGUIにおいて、(キーボード232または他の補助I/Oデバイス228を操作することによって)特定のアイコン(例えば、304)がユーザによって選択される場合、またはユーザによってアクティブになる場合、アイコン304は、強調表示、シャドーイング等によって変更され、
アイコンは、メインスクリーンにおける変化を介してイベントの即時の通知を提供するために、アイコンに関連するアプリケーションからの新しいイベントに応答して、視覚的に変更され、
新しいIMイベント(例えば新しいメッセージ)がIMアプリケーションの1つ、つまりアイコン306に関連するIM2に届いた後、新しいIMメッセージは、新しいイベント(このケースにおいて、未読メッセージが新しいイベントである)の総数を示す数インジケータを含む視覚的な変更400と共に示され、未読メッセージ数を示すことに加え、このメカニズムは、関連するアプリケーションに適する追加的な状態情報のような他の新しいイベント情報に反映するために使用され、
未読メッセージを有するアプリケーションアイコン306の選択の際の、アイコン強調表示に加え、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602が示され、
視覚的な変更400において示される2つの未読メッセージを有するIMアプリケーション306のダイアログボックス602は、メッセージプレビュー604および704を含み、
ユーザは、メインスクリーン上のアプリケーションアイコンから直接、未読メッセージへ「ジャンプ」可能(つまり、自動的にナビゲート可能)であり得、それによって、関連するアプリケーションのためのGUIをナビゲートする際に通常は既読メッセージへナビゲートされ得る如何なる介在スクリーンを削除し、例えば、強調表示されたアイコン306は、通常に動作可能になり得(例えば、キーボード232の「enter」を選択すること)、アプリケーションが(例えば、最も最近な、または最も古い)未読メッセージにおいて開始し、アプリケーションの初期のスクリーンまたは友達リストはスキップされ得る、無線移動体機器。」

イ その他の文献について
(ア)当審において新たに引用する本願出願前に頒布された特開2013-69103号公報(以下、「文献A」という。)には、図4とともに、次の記載がある。
「【0029】
〔2-1.画面の挙動〕
このうち、まず、ユーザ・インターフェースとなる画面の挙動を中心に説明する。すなわち、コンテンツ表示手段20が、画面Gに表示されるカテゴリのメニューM(例えば図4)において、所望のカテゴリを表す矩形のボタンB(図では一部のみに符号を表示)についてタップ操作などでの選択を受け付け(ステップS11)、選択されたカテゴリに対応するダウンロード済のコンテンツのリスト(「ダウンロード済リスト」とも呼ぶこととする)すなわち選択されたカテゴリに対応付けてコンテンツ記憶手段40に記憶されているコンテンツのリストを、図5に例示するように、画面Gの第1の領域R1に表示する(ステップS12)。」

「【0048】
〔4.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。一例として、カテゴリのメニューは、ボタンやアイコンを縦横に並べた形式(例えば図4)に限らず、カテゴリの名称のリスト、ドラム状の表示、ドロップダウンメニューなどから選択するようにしてもよい。また、第1の領域R1と第2の領域R2の位置関係は上下逆や左右など自由である。」

また、図4には、画面Gに表示されるカテゴリのメニューMを構成している複数のカテゴリを表す矩形のボタンBには、アプリケーション名が文字列で含まれていることが示されている。

(イ)当審において新たに引用する本願出願前に頒布された特開2012-3487号公報(以下、「文献B」という。)には、図4とともに、次の記載がある。
「【0030】
図4は、本発明の実施形態に係る通常操作におけるアプリケーションプログラムの起動指示画面を説明する図である。まず、制御部11は、端末1の表示画面14Dに、図4(a)に示すように、メニューボタンB1(menu)とショートカットボタンB2(shortcut)とを表示する。ユーザが指などをメニューボタンB1が表示された領域に接触させる(以下、「メニューボタンB1を操作する」という)と、制御部11は、図4(b)に示すように、表示画面14Dに、階層化されたメニューの階層を移動するための選択肢を表示されたメニュー画面を表示する。そして、ユーザが、メニュー画面に表示された選択肢のうちアプリケーションボタンB4(3.Application)を操作すると、制御部11は、図4(c)に示すように、表示画面14Dに、記憶部12に記憶されている複数のアプリケーションプログラムのいずれかの起動指示をするための選択肢が表示されたアプリケーション選択画面を表示する。」

「【0040】
特定部106から特定アプリ識別情報の通知を受けると、設定部107は、特定したアプリケーションプログラムの起動指示をするためのショートカット操作を設定する。この例においては、ショートカット操作の設定により、制御部11は、表示画面14Dに表示されるショートカットメニュー画面に、特定したアプリケーションプログラムの起動指示をするためのボタン(アイコン)を表示させる。優先順位が定められている場合には、優先順位に応じて表示させるボタンの位置についても制御する。この例においては、表示画面14Dの上側に表示されるほど優先度が高く、同じ行においても左側の列に表示されるほど優先度が高いものとする。」

また、図4(b)(c)には、メニュー画面を構成している複数のボタンには、アプリケーション名が文字列で含まれていることが示されている。

(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明では、「メインスクリーンのアプリケーション部分は、動作可能な様々なソフトウェアアプリケーションおよび機能のために、アイコン(例えば、304?312)を表示」し、また、「未読メッセージを有するアプリケーションアイコン306の選択の際の、アイコン強調表示に加え、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602が示され」る。
すなわち、引用発明では、「メインスクリーン」(本件補正発明の「第一画面」に相当する。)に、「アイコン(例えば、304?312)」(ユーザの選択を受け付けるものであり、例えば、上記文献A、Bに記載されているように「ボタン」ともいい得るものである。)が表示され、また、「アイコン306の選択の際」には、「ダイアログボックス602」(本件補正発明の「前記ボタンに対する選択を受け付けた場合に出力される第二画面」に相当する。)が表示される。
引用発明の無線移動体機器がこれらを表示する際には、これらの情報をメモリに格納していなければならないのは明らかであるから、本件補正発明と引用発明は、「ボタンを有する第一画面に関する情報であり、前記ボタンの情報であるボタン情報を有する第一画面情報と、前記ボタンに対する選択を受け付けた場合に出力される第二画面に関する第二画面情報とを格納し得る画面情報格納部」を具備する点で共通するといえる。
ただし、「ボタン」が、本件補正発明では、「第一文字列を含むボタン」であるのに対し、引用発明では、「アイコン(例えば、304?312)」(本件補正発明でいう「ボタン」)が文字列を含むことは特定されていない点で両者は相違する。

(イ)引用発明の「アイコン306」の「新しいイベント(このケースにおいて、未読メッセージが新しいイベントである)の総数を示す数インジケータ」は、「ダイアログボックス602」に含まれる「メッセージプレビュー604および704」に関する情報であり、該未読メッセージの総数を示す数インジケータは、変化し得る報知情報といえるから、本件補正発明の「前記第二画面に含まれる情報に関する情報であり、変化し得る情報である報知情報」に相当するといえる。
上述したのと同様に、この報知情報を表示する際には、情報をメモリに格納していなければならないのは明らかであるから、本件補正発明と引用発明は、「前記第二画面に含まれる情報に関する情報であり、変化し得る情報である報知情報を格納し得る報知情報格納部」を具備する点で一致する。

(ウ)引用発明の「メインスクリーン」は、一般的な無線移動体機器のホーム画面に相当するものであるから(引用文献1の【0004】の記載を参照されたい。)、引用発明は、電源スイッチ等の、メインスクリーンを出力する出力指示を受け付ける受付部(本件補正発明の「前記第一画面を出力する出力指示を受け付ける受付部」に相当する。)を具備することは明らかである。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記第一画面を出力する出力指示を受け付ける受付部」を具備する点で一致する。

(エ)引用発明では、「アイコンは、メインスクリーンにおける変化を介してイベントの即時の通知を提供するために、アイコンに関連するアプリケーションからの新しいイベントに応答して、視覚的に変更され、新しいIMイベント(例えば新しいメッセージ)がIMアプリケーションの1つ、つまりアイコン306に関連するIM2に届いた後、新しいIMメッセージは、新しいイベント(このケースにおいて、未読メッセージが新しいイベントである)の総数を示す数インジケータを含む視覚的な変更400と共に示され」るから、イベントに応答して視覚的に変更されたアイコンの情報は、本件補正発明の「ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報」に相当する。該情報は「メインスクリーン」(本件補正発明でいう「第一画面」)に表示されるから、引用発明は、本件補正発明でいう「ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報を構成し、当該出力されるボタン情報を含む第一画面情報を構成する情報処理部」を具備するといえ、この点で両者は一致する。

(オ)上記(イ)?(エ)で述べたように、引用発明では、電源スイッチ等の、メインスクリーンを出力する出力指示を受け付けると、メインスクリーンを出力し、その場合に、新しいメッセージに応答して数インジケータを含む視覚的に変更されたアイコンの情報をメインスクリーンに表示し、アイコン306が選択されると、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602が表示される。
本件補正発明の文言を用いると、引用発明は、「前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記報知情報が表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報であり、前記情報処理部が構成した第一画面情報を出力し、かつ前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面情報を出力する出力部」を具備するといえ、この点で両者は共通する(ただし、上記(ア)で述べたように、引用発明では、「アイコン」(本件補正発明でいう「ボタン」)が文字列を含むことは特定されていない。)。

(カ)引用発明は、「メインスクリーンおよびGUIにおいて、・・・特定のアイコン(例えば、304)がユーザによって選択される場合、・・・未読メッセージを有するアプリケーションアイコン306の選択の際の、アイコン強調表示に加え、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602が示され」るものであるから、本件補正発明の「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」ことと、「前記ボタンが選択された場合、前記第二画面情報が出力される」点では共通する。

(キ)引用発明の「無線移動体機器」は、「情報処理装置」といえるから、本件補正発明と引用発明は、「情報処理装置」である点で一致する。

イ 以上をまとめると、本件補正発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「ボタンを有する第一画面に関する情報であり、前記ボタンの情報であるボタン情報を有する第一画面情報と、前記ボタンに対する選択を受け付けた場合に出力される第二画面に関する第二画面情報とを格納し得る画面情報格納部と、
前記第二画面に含まれる情報に関する情報であり、変化し得る情報である報知情報を格納し得る報知情報格納部と、
前記第一画面を出力する出力指示を受け付ける受付部と、
前記ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報を構成し、当該出力されるボタン情報を含む第一画面情報を構成する情報処理部と、
前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記報知情報が表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報であり、前記情報処理部が構成した第一画面情報を出力し、かつ前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面情報を出力する出力部とを具備し、
前記ボタンが選択された場合、前記第二画面情報が出力される情報処理装置。」

(相違点1)
「ボタン」が、本件補正発明では、「第一文字列を含むボタン」であるのに対し、引用発明では、「アイコン(例えば、304?312)」(本件補正発明でいう「ボタン」)が文字列を含むことは特定されていない点。

(相違点2)
本件補正発明は、「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」ものであるに対し、引用発明は、そのような特定はされていない点。

(4)判断
相違点1について
引用発明では、各アイコンに対してアプリケーションの名前(例えば、IM1)が関連付けられており、例えば、メインスクリーンの図である図3では、各アイコンのすぐ下にアプリケーションの名前が表示されている。このようなアイコンにおいて、アイコン(ボタン)自体にアプリケーション名を示す文字列を含むようにしたものは、本願の出願日前において周知(例えば、上記文献A、Bに記載されている。)であり、引用発明において、アイコンのすぐ下にアプリケーションの名前を表示する代わりに、アイコン自体にアプリケーションの名前(すなわち、文字列)を含むようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

相違点2について
本件補正発明における「ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」との事項に関して、本願明細書には、次のように記載されている。
「【0115】次に第一画面(図11)を見たユーザBは、ボタン1101を押下した、とする。なお、ここで、ユーザBは、報知情報の領域1102を押下しても良いし、報知情報の領域1102ではない、ボタン1102の他の領域を押下してもよい、とする。
【0116】すると、端末装置2の端末受付部21は、ボタン1101の選択を受け付ける。」
この記載によれば、ボタン1101の選択を受け付けるためのボタンの押下は、報知情報の領域1102の押下でも、報知情報の領域1102ではない、ボタン1102の他の領域の押下でもよい、すなわち、ボタンの押下は、ボタンの領域であれば報知情報の領域1102であるか否かに拘わらないものであるといえる。

引用発明は、「メインスクリーンおよびGUIにおいて、特定のアイコンがユーザによって選択される」ものであり、アイコンがユーザによって選択されることは特定されているが、アイコンの、数インジケータを含む視覚的な変更の領域、または、それ以外の領域がユーザによって選択されることまでは特定されていない。
しかしながら、引用文献1の【0047】に、「新しいイベントの際、ステップ906において、変化されるアイコンへの視覚的な変更は、アイコン変更構成要素によって決定される。・・・中略・・・、任意の視覚的な要素または重なるグラフィックが構成され得る。例えば、テキストは、図8の視覚的な変更802によって例証されるように、重なるように収得され得る。」と記載されているように、引用発明の数インジケータは、アイコンに重なるように表示され、アイコンを視覚的に変更したものであるから、数インジケータが表示された領域も、数インジケータが表示された以外の領域も、いずれも、アイコンの領域といえる。
したがって、引用発明におけるアイコンの選択において、数インジケータが表示された領域であるか否かに拘わらず、アイコンがユーザによって選択された場合に、未読メッセージの少なくとも一部分のメッセージプレビュー604を備えるダイアログボックス602を表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
このことは、引用発明において、「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」ようにすることは当業者が容易に想到し得ることであることを意味している。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は,特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年1月9日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成29年8月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2 1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

請求項:1-5、7、8
引用文献1:.特表2007-512635号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項、その他の文献及びその記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の発明を特定するために必要な事項である、「第一画面に関する情報であり、前記第一文字列を含むボタンの情報であるボタン情報を有する第一画面情報」を「第一画面に関する第一画面情報」とし、「前記ボタン情報に前記報知情報を付加し、出力されるボタン情報を構成し、当該出力されるボタン情報を含む第一画面情報を構成する情報処理部」を削除し、「前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報であり、前記情報処理部が構成した第一画面情報を出力し、かつ前記ボタンに対する選択が受け付けられた場合に、前記第二画面情報を出力する出力部」を「前記受付部が出力指示を受け付けた場合に、前記第一文字列と前記報知情報とが表出したボタンを有する第一画面に関する第一画面情報を出力し、かつ第二画面情報を出力する出力部」とし、「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記ボタンの中の前記報知情報の領域以外の領域が選択された場合でも、前記第二画面情報が出力される」を「前記ボタンの中の前記報知情報の領域が選択された場合でも、前記第二画面が出力される」とするものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明ついて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-01-28 
結審通知日 2019-01-29 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2014-88770(P2014-88770)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 千葉 輝久
山田 正文
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム  
代理人 谷川 英和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ