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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C01B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  C01B
管理番号 1350344
審判番号 無効2018-800018  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-02-15 
確定日 2019-04-01 
事件の表示 上記当事者間の特許第5921917号発明「成形体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5921917号の請求項1?5に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5921917号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年 3月6日に出願された特願2012-48845号の特許請求の範囲に記載された請求項1?5に係る発明について、平成28年 4月22日に設定登録がなされたものである。
これに対して、平成30年 2月15日付けで、本件特許の請求項1?5に係る特許に対して、東洋アルミニウム株式会社(以下、「請求人」という。)により無効審判が請求され、平成30年 3月14日付けで、クラシエホームプロダクツ株式会社(以下、「被請求人」という。)に対して、無効審判請求書の副本を送達して、本件無効審判請求に対する答弁書提出の機会を与えたが、答弁書は提出されなかった。
その後、平成30年 7月 6日付けで、被請求人及び請求人に対して、書面審理通知書を通知し、平成30年 7月10日付けで、被請求人に対して、無効理由通知書を通知し、請求人に対して、職権審理結果通知書を通知したところ、平成30年 7月24日付けで請求人のみから意見書が提出された。
そして、平成30年11月 2日付けで審決の予告をしたが、被請求人及び請求人からは応答がなかった。


第2 本件特許発明
本件特許の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」?「本件発明5」という。)は、特許第5921917号の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。

【請求項1】
水又は水性組成物と接触して使用されるものである成形体であって、
水又は水性組成物と接触する前記成形体の全部又は一部は、水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるものであり、
成形体は、ボトル、ジャー容器、チューブ容器、ディスペンサー容器、アルミパウチ容器又は缶容器であることを特徴とする成形体。
【請求項2】
水又は水性組成物と接触することによって分子状水素を発生する成分は、水素発生粒子を含む樹脂組成物、水素発生性のセラミック又は水素発生性のガラスである請求項1記載の成形体。
【請求項3】
成形体は、多層構造を有し、水又は水性組成物と接触する面が水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなる請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
成形体中に水又は水性組成物を充填した請求項1、2又は3記載の成形体。
【請求項5】
水性組成物は、飲食物又は化粧料組成物である請求項4記載の成形体。


第3 請求人の主張の概要及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人は、本件発明1?5に係る特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、甲第1?6号証(以下、甲第○号証を「甲○」のように表記する。)を提出し、次の無効理由を主張している。

(1)無効理由その1(特許法第29条第2項)
本件発明1?5は、甲1に載された発明に、甲2?甲6に記載された発明を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2)無効理由その2(特許法第29条第1項第3号第29条第2項)
ア 特許法第29条第1項第3号
本件発明1、3?5は、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

イ 特許法第29条第2項
(ア)本件発明2は、甲2に載された発明に、甲3に記載された発明を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(イ)本件発明3は、甲2に記載された発明に、周知技術(甲1、甲4、甲6)を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2 証拠方法
請求人が提出した証拠方法(甲1?甲6)は、以下のとおりである。

(証拠方法)
甲1:特開2004-275172号公報
甲2:米国特許第3658562号明細書(及び甲2抄訳)
甲3:国際公開第2011/157695号
甲3の2:特表2013-534884号公報(甲3の翻訳文として提出)
甲4:特開2011-51656号公報
甲5:特開2008-110811号公報
甲6:特開2004-344783号公報


第4 当審で通知した無効理由の概要
本件発明1?5は、請求人が証拠方法として提出した甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

第5 証拠方法の記載事項
1 甲1の記載事項
甲1には、以下の記載がある。
1a 「【請求項1】
飲料容器(1)に凹部(2)を形成、水素発生物袋(3)の上部に網状の蓋(4)と溝部(5)を設けたペット用いたずら防止水素水飲料容器。」(特許請求の範囲)

1b 「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、マグネシウム、風化サンゴ、麦飯石を配合した内容物をナイロン製の袋に入れるが、自然浮遊したり、ペットがいたずらして引っ張り出さないようにした、ペット用いたずら防止水素水飲料容器に関するものである。 ・・・・・
【0004】
【課題を解決するための手段】
飲料容器(1)の内面底部に凹部(2)を設け、網状のナイロン袋に入れた水素発生物袋(3)が収納できるように形成、その水素発生物袋(3)が自然浮遊したり、ペットがいたずらして引っ張り出さないよう、網状の蓋(4)を溝部(5)に抗着して成るペット用いたずら防止水素水飲料容器である。」

1c 「【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)半円錐状のペット用飲料容器(1)の内側底部に、水素発生物袋(3)が収納できるよう、凹部(2)を形成する。
(ロ)水素発生物袋(3)が自然浮遊したり、ペットがいたずらして引っ張り出さないよう、網状の蓋(4)を抗して嵌め込む、溝部(5)を設けて成る。
(ハ)水素発生物袋(3)の内容物は、マグネシウム、風化サンゴ、麦飯石を配合した物で、水に浸ると水素が発生し易くなるよう、小分けし網状のナイロン袋に入れて、キルティング加工を施し、水との接触面を多くした事を特徴とする。
(ニ)水素発生物袋(3)の内容物に、木炭片を使用する事も出来る。
本発明は、以上の構成より成っている。
本発明を使用するときは、飲料容器(1)の内部の網状の蓋(4)を溝部(5)から解放、外して容器底の凹部(2)に水素発生物袋(3)を投入、再び網状の蓋を圧して溝部に抗着後、水を注入し水素発生物袋の内容物から、水素、マイナスイオンなどが溶け出した水溶液である水素水をペットに与えるようにする。
【0006】
【発明の効果】
ペットが水素発生物袋(3)をいたずらできないため、効率よく水素とマイナスイオンを常に豊富に含んだ状態の水素水をペットに飲ませる事ができ、動物の体内環境を整え、動物自体の臭いと排泄物の臭いを緩和する。」

1d 「


(【図1】)

2 甲2の記載事項
甲2には、以下の記載がある。(「」)内は、「甲2の抄訳」による訳を示す。

2a 「In accordance with the method and apparatus of the present invention, it has been discovered that when certain commercially available plastic-aluminum foil laminated pouches are filled with water, or with a water containing product and are heated to a sterilizing temperature a chemical reaction occurs between the water and the aluminum. The water diffuses through the inner plastic layers of the pouch walls to form aluminum oxide on the inner surfaces of the aluminum foil and also forms hydrogen which diffuses back through the inner plastic layers and accumulates within the pouches. After the initial headspace gases have been purged by immersion in water, the heat treatment of the pouches causes hydrogen to form and to enter the headspace of each pouch which, with the aid of steam also formed within the pouch, gradually causes the air and other headspace gases to purge therefrom through the one-way valve. After the product has been heated for a sufficient time and at a sufficient temperature, for example, 250°F, to sterilize the product, the pouch is sealed and is subsequently cooled thereby condensing the steam which further reduces the size of the headspace and leaves a gas within the headspace which is rich in hydrogen and low in damaging oxygen.」(第1欄第45?66行)
(「本発明の方法及び装置によれば、特定の商業的利用可能なプラスチックーアルミニウム箔積層パウチが水又は含水食品で満たされ、滅菌温度で熱処理された際に、水とアルミニウムとの間で化学反応が生じることを見出した。水は、パウチ壁面の内側プラスチック層を拡散し、アルミニウム箔の内面に酸化アルミニウムを形成するとともに、水素を生成し、それが内側プラスチック層をその反対向けに拡散し、パウチ内に蓄積される。最初の上部空間のガスが水中での浸漬によりパージされた後、パウチの熱処理により水素を生成させ、その水素をパウチの上部空間に入れることで、パウチ内で生成した水蒸気の助けもかりて、空気及び上部空間の他のガスがー方向弁から徐々にパージされる。製品を滅菌するのに十分な時間及び温度、例えば250°Fをかけて熱処理した後、パウチをシールし、引き続き冷却して水蒸気を凝結させて上部空間を縮小させ、上部空間内に水素リッチで酸素ダメージの低いガスを残す。」)

2b 「As fully disclosed in may aforementioned application Ser. No. 878,499 it has been discovered that hydrogen is formed within certain types of laminated plastic-aluminum foil flexible containers, better known as pouches, when food products within the pouches, such as fruit, vegetables or meat, are being cooked. It has been determined that water, which is either present in the food product or is added to the product in the pouch, diffuses through the inner plastic layers of these laminated pouch walls to form aluminum oxide on the contacted aluminum surfaces and to form hydrogen which diffuses back through the inner plastic layers and collects within the pouch in accordance with the following formula:
2Al + 3H_(2)O = 3H_(2) + Al_(2)O_(3)
The pouches may be filled with a water containing food product or the like by a filling device 18 of any suitable well known type as diagrammatically illustrated in FIG. 1A.
It is also recognized that the above reaction takes place on the outer surfaces of the aluminum by virtue of water from the hot heat treatment medium diffusing through the outer plastic layers of the pouch. The above reaction takes place when the pouches are formed from laminated materials such as the following commercially available materials:

POUCHES (5 inches x 7 inches)
Outer Middle Inner
Type Layer Layer Layer
C-79(R2) 0.5 mil poly- 0.35 mil 2.5 mil
Continental ester aluminum white
Can Co. foil opaque
polyolefin
PZ5511-16 0.5 mil poly- 0.35 mil 3.5 mil
Dow ester aluminum high density
foil polyethylene
X-1084M 0.9 mil poly- vacuum de- 1.8milpoly-
3M Company ester posited ester oriented
(unoriented) metalized (heat sealable)
aluminum 」(第2欄第23?60行)
(「前記出願Ser.No.878,499で十分に開示したように、パウチとしてよく知られている特定のプラスチックアルミニウム箔積層体フレキシブル容器中において、果物、野菜又は肉類等のようなパウチ内の食品が調理される際、水素が生成することを見出した。パウチ内において食品中に存在する水又は食品に添加された水は、積層パウチ壁の内側プラスチック層を通じて拡散し、下記式に従って、アルミニウム表面上に酸化アルミニウムを形成し、水素が内側プラスチック層にその反対向けに拡散し、パウチ内に集まる。
2Al+3H_(2)O=3H_(2)+Al_(2)O_(3)
図1Aにて図示するように、よく知られた充填装置18によって含水食品等がパウチに充填される。上記反応は、加熱媒体からパウチの外側プラスチック層を拡散した水によって、アルミニウム外側表面でも起こることが確認されている。下記の市販されている積層材料から形成される時に上記反応は起こる。

パウチ(5インチ×7インチ)
外側層 中間層 内側層
タイプ
C-79 (R2) 0.5 mil 0.35 mil 2.5 mil
Continental ポリエステル アルミ 白色透明
Can Co. ニウム箔 ポリオレフィン
PZ5511-16 0.5 mil 0.35 mil 3.5 mil
Dow ポリエステル アルミ 高密度
ニウム箔 ポリエチレン
X-1084M 0.9 mil 真空蒸着, 1.8 mil
3M Company ポリエステル アルミ 延伸
(未延伸) ニウム箔 ポリエステル
(ヒートシール性) 」 )

2c 「1. A method of purging, sterilizing and packaging water containing food products or the like for substantially oxygen-free storage, comprising the steps of introducing that product into an open mouth pouch formed of a plastic-aluminum laminate with each wall including an aluminum layer laminated to an inner layer of heat sealable hydrogen and water diffusible plastic, forming a one-way valve at the mouth of the pouch, subjecting the pouch to a heat treatment medium at a temperature of about 250°F for at least 10 minutes and sufficient for heat sterilizing the food product and forming steam in the pouch as well as generating hydrogen in the pouch due to a reaction between the water in the product and the aluminum laminate, maintaining said heat treatment for a period sufficient to cause said generated hydrogen and steam to open the one-way valve for purging headspace gases from the pouch, thereafter heat sealing the pouch before air can enter the headspace, and cooling the pouch to condense the remaining steam therein, and packaging the thus treated food product.」
(Claims.)
(「【請求項1】 実質的に酸素フリーで貯蔵するために含水食品等をパージング、滅菌及び包装する方法であって、ヒートシール可能な水素・水拡散性プラスチックの内層に積層されたアルミニウム層を含む各壁を有するプラスチックーアルミニウム積層体から形成された開ロパウチに当該食品を導入する工程、前記パウチ開口部に一方向弁を形成する工程、前記アルミニウム積層体と食品中の水との反応によりパウチ内に水素を発生させるとともに食品を滅菌し、パウチ中で水蒸気を発生させるのに十分な時間をかけて前記パウチを約250°Fの熱処理媒体に供する工程、前記パウチから上部空間のガスをパージするため、一方向弁を開放するために水素と水蒸気を生成させるための十分な時間をかけて上記熱処理を維持する工程、空気が上部空間に入る前に前記パウチをヒートシールする工程、残留した水蒸気を凝結するためにパウチを冷却する工程、このようにして処理された食品をパッキングする工程を含む方法。」)

2d 「


(FIG_2)

3 甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。(「」)内は、甲3の2による訳を示す。

3a 「Technical Field
The invention relates to a novel closure cap that is capable of generating molecular hydrogen from a chemical reaction with water, and that can be used for closing a container and for scavenging oxygen. The container can be used for storing any oxygen-sensitive substance that can be altered by oxygen, and in particular a food substance or a beverage such as for example juice, beer, wine,... 」(1ページ5行?11行)
(「【技術分野】
【0001】
本発明は、水との化学反応から分子状水素を発生することができ、かつ容器を閉鎖するため及び酸素を掃去するために使用されることができる、新規な閉鎖キャップに関する。この容器は、酸素により変性されうるあらゆる酸素感受性物質(特に食品または例えばジュース、ビール、ワインのような飲料)を貯蔵するために使用されることができる。」)

3b 「The material and the shape of the container are not important. In particular the container can be for example any plastic container or any cardboard container. ; the container can be for example a bottle-shaped container, a flask, a jar, a tube, a bag, a pouch.Within the scope of the invention, the container can be rigid, semi rigid or flexible. The containers contemplated in the present invention may be either of a monolayer or a multilayer construction. Suitable materials which may be used as a layer or part of one or more layers in either monolayer or multilayer containers include polyester (including but not limited to PET), polyetheresters, polyesteramides, polyurethanes, polyimides, polyureas, polyamideimides, polyamides, polyphenyleneoxide, phenoxy resins, epoxy resins, polyolefins (including but not limited to polypropylene and polyethylene), polyacrylates, polystyrene, polyvinyls (including but not limited to polyvinyl chloride)) and combinations thereof. All of the aforementioned polymers may be in any desired combination thereof.
The container C can be manufactured by using any method known in the art, including but not limited to injection moulding, injection blow moulding (IBM), injection stretch-blow moulding (ISBM), extrusion blow moulding, thermoforming, rotational moulding, folding.」(5ページ12行?30行)
(「【0025】
容器の材料及び形状は重要ではない。特に、容器は、例えばいかなるプラスチック容器またはいかなる厚紙容器であることもできる。容器は、例えば瓶形状容器、フラスコ、広口瓶、チューブ、バッグ、ポーチであることができる。本発明の範囲内では、容器は、硬質、半硬質または軟質であることができる。本発明で考えられる容器は、単層または多層構成のいずれかであることができる。単層または多層容器のいずれかで一つの層としてまたは一つ以上の層の一部として使用されることができる好適な材料は、ポリエステル(PETを含むがそれに限定されない)、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ尿素、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン(ポリプロピレン及びポリエチレンを含むがそれらに限定されない)、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリビニル(ポリ塩化ビニルを含むがそれに限定されない)、及びそれらの組み合わせを含む。前述の高分子の全ては、それらのいかなる希望の組み合わせであってもよい。
【0026】
容器Cは、射出成形、射出吹込成形(IBM)、射出延伸-吹込成形(ISBM)、押出吹込成形、熱成形、回転成形、折りたたみを含むがそれらに限定されない、従来技術で公知のいかなる方法を用いることによっても製造されることができる。」)

3c「In one preferred embodiment, the material of the active layer 11 comprises a polymeric matrix containing the active substance which is incorporated in the polymer matrix and which is capable of chemically reacting with water and generating molecular hydrogen from this reaction with water.
Suitable polymeric matrix materials include but are not limited to low density polyethylene, in particular linear low density polyethylene, high density polyethylene, polypropylene, ethylene vinyl acetate, thermoplastic elastomers (TPEs), like styrenic block copolymers, polyolefin blends, elastomeric alloys, thermoplasticpolyurethanes, thermoplastic copolyester, and thermoplastic polyamides, or blend thereof. In particular a good candidate among thermoplastic elastomer materials is a material comprising styrenic block copolymers consisting of polystyrene blocks and rubber blocks, such as for example SEBS, SEPS, SBS, SBC.
The ratio of the weight of active substance to matrix material may be at least 0.01 , preferably at least 0.02. The matrix may be a polymeric matrix and said active substance may be dispersed therein. ・・・・・ 」(7ページ29行?8ページ14行)
(「【0036】
一つの好適な実施態様では、活性層11の材料は、高分子マトリックス内に混入されかつ水と化学的に反応してこの水との反応から分子状水素を発生することができる活性物質を含む高分子マトリックスを含む。
【0037】
好適な高分子マトリックス材料は、低密度ポリエチレン、特に線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、スチレンブロック共重合体のような熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリオレフィン配合物、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性共重合ポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド、またはそれらの配合物を含むが、それらに限定されない。特に、熱可塑性エラストマー材料中の良好な候補は、例えばSEBS,SEPS,SBS,SBCのようなポリスチレンブロックとゴムブロックからなるスチレンブロック共重合体を含む材料である。
【0038】
マトリックス材料に対する活性物質の重量比は、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.02であることができる。マトリックスは高分子マトリックスであることができ、前記活性物質はその中に分散されることができる。 ・・・・・ 」)

3d「CLAIMS
1. A closure cap (1) comprising a shell (10) that can be fitted onto a container for closing an opening of said container, an active layer (11) that is capable of chemically reacting with water and generating molecular hydrogen, and a liner (12) that is permeable to water vapour and to molecular hydrogen, wherein said active layer (11) has an inner face (11a), an outer face (11b) and a circumferential edge (11c), wherein the shell (10) comprises an housing (H) and the active layer (11) is entirely contained in said housing (H), wherein the outer face (11b) and the circumferential edge (11c) of the active layer (11) are in contact with the shell (10) and are bonded to the shell (10), and wherein the liner (12) is closing said housing (H) and is bonded to the shell (10) on the whole periphery of the active layer (11) and to the inner face (11a) of the active layer (11).
・・・・・
7. The closure of any one of claims 1 to 6, wherein the active layer (11) and the liner (12) are over injected onto a moulded shell (10).
8. The closure of any one of claims 1 to 7, wherein the active layer (11) comprises an active substance that is capable of chemically reacting with water and generating molecular hydrogen.
・・・・・
11. The closure of any one of claims 1 to 10, wherein the active layer (11) comprises a polymeric matrix.
・・・・・
23. The closure of any one of claims 1 to 22, wherein the shell (10) is made of a polymeric material comprising a polyolefin.
24. The closure of any one of claims 1 to 23, wherein the material of the liner (12) and the material of the closure shell (10) comprise, or are made of, at least one identical polymer.
・・・・・
28. An assembly comprising a plastic container and a closure cap, wherein the closure cap (1) is the one defined in any one of the preceding claims. 」(14ページ1行?16ページ23行)
(「【請求項1】
容器の開口を閉じるために前記容器上に取り付けられることができる外殻(10)、水と化学的に反応して分子状水素を発生することができる活性層(11)、及び水蒸気及び分子状水素に対して透過性であるライナー(12)を含む閉鎖キャップ(1)であって、前記活性層(11)が内面(11a)、外面(11b)及び周囲縁(11c)を持ち、さらに外殻(10)がハウジング(H)を含み、活性層(11)が前記ハウジング(H)内に完全に含まれ、さらに活性層(11)の外面(11b)と周囲縁(11c)が外殻(10)と接触状態にあり、かつ外殻(10)に結合されており、ライナー(12)が前記ハウジング(H)を閉じており、かつ活性層(11)の全周囲上で外殻(10)に結合され、かつ活性層(11)の内面(11a)に結合されていることを特徴とする閉鎖キャップ(1)。
・・・・・
【請求項7】
活性層(11)とライナー(12)が、成形された外殻(10)の上にオーバー射出されることを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の閉鎖キャップ(1)。
【請求項8】
活性層(11)が、水と化学的に反応して分子状水素を発生することができる活性物質を含むことを特徴とする請求項1?7のいずれか一つに記載の閉鎖キャップ(1)。
・・・・・
【請求項11】
活性層(11)が高分子マトリックスを含むことを特徴とする請求項1?10のいずれか一つに記載の閉鎖キャップ(1)。
・・・・・
【請求項23】
外殻(10)が、ポリオレフィンを含む高分子材料から作られることを特徴とする請求項1?22のいずれか一つに記載の閉鎖キャップ(1)。
【請求項24】
ライナー(12)の材料及び閉鎖外殻(10)の材料が、少なくとも一つの同一の高分子を含むか、またはそれから作られることを特徴とする請求項1?23のいずれか一つに記載の閉鎖キャップ(1)。
・・・・・
【請求項28】
閉鎖キャップ(1)が請求項1?27のいずれか一つに規定されたものであることを特徴とするプラスチック容器と閉鎖キャップ(1)を含む組み立て体。」)

3e「


(Fig.1)

4 甲4の記載事項
甲4には、以下の記載がある。
4a 「【請求項13】
ガス発生剤が固定された蓋で水の入った容器を、前記水とガス発生剤が接触しないように密栓した後、容器内の水をガス発生剤と接触させてガスを発生させて容器内の水にガスを溶解させるガス溶解方法。」(特許請求の範囲)

4b 「【0021】
以下に代表的なポリエチレンテレフタレート製ボトル(以降PETボトルと略す)の蓋にガス発生剤を固定した状態について図面を用いて説明する。第1図a)は本発明のガス発生剤を固定した蓋の断面図、b)はその平面図、c)はこの蓋で水の入った容器を密閉した時の蓋部分の断面図である。1は蓋の本体、3はねじ部、4はリブ部である。5は円筒の錠剤状ガス発生剤でリブ4で形成される蓋の円筒空間にかん合状態で固定されている。容器の本体2はPETボトルで容器の開口部は蓋のねじ部3を容器の開口部の雄ねじに螺合して締めることで、蓋の内壁とリブ4の間に挟まれて気密状態に密閉される。」

5 甲5の記載事項
甲5には、以下の記載がある。
5a 「【請求項1】
加水素液体中の溶存水素量の漏洩を防止し、少なくとも6ケ月間溶存水素量を0.5ppm以上に維持する容器であって、
(1)加水素液体を充填した口栓付き内側密閉容器、および
(2)前記内側密閉容器を、アルミ箔を含む積層フィルムで製造されたパウチに収容し、開口部をヒートシ-ルした外側密閉容器とから構成され、パウチに爆発下限以下の濃度の水素ガスと不活性気体から成る混合気体を充填したことを特徴とした加水素液体保存用容器。」(特許請求の範囲)

6 甲6の記載事項
甲6には、以下の記載がある。
6a 「【請求項1】
マグネシウム、又はステンレス製等の金属素材で形成された筒状本体と、この筒状本体に開設した多数の透孔と、前記筒状本体に収容したマグネシウム、黒曜石、トルマリン、抗菌砂、風化サンゴ等の水素水発生粒子を充填した袋体とで構成した水素水発生体は、ボトルのキャップに取付け、取外し自在に設けられており、前記水素水発生体は、当該キャップの係止手段への係止を介して取付け可能とし、また当該キャップの押圧を介して前記係止手段より取外し可能としたことを特徴とする水素水発生体付きボトル。」(特許請求の範囲)


第6 甲1?3に記載された発明及び甲4?6に記載された技術的事項
(1)甲1に記載された発明
記載事項1a?1dによると、甲1は、ペットに飲ませる水を注入するペット用飲料容器について記載されている。
上記ペット用飲料容器は、水と接触すると水素を発生する内容物を入れた水素発生物袋を収納するための飲料容器を備えている。
前記飲料容器は、上部が開口し、内側底部に、水素発生物袋が収納できるように凹部を形成し、網状の蓋を抗着するために前記凹部の上部に溝部を設けたものである。
以上のことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「ペットに飲ませる水を注入するペット用飲料容器に用いる飲料容器であって、
水と接触することによって水素を発生する内容物を入れた水素発生物袋を収納するものであり、
飲料容器は、上部が開口し、内側底部に前記水素発生物袋を収納する凹部を形成し、網状の蓋を抗着するために前記凹部の上部に溝部を設けたものである、飲料容器。」

(2)甲2に記載された発明
記載事項2a?2dによると、甲2には、水又は含水製品を収容するプラスチックーアルミニウム箔積層パウチからなる容器について記載されている。
記載事項2a、2cによると、上記容器は、プラスチック-アルミニウム積層体から形成されており、プラスチック-アルミニウム積層体のアルミニウムと水との反応により水素が発生する。
以上のことから、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「水又は含水食品を収容する容器であって、
水又は含水食品を収容する前記容器は、水と反応することによって水素を発生するアルミニウムを含む積層体から形成された、
プラスチック-アルミニウム箔積層パウチである容器。」

(3)甲3に記載された発明
記載事項3a?3eによると、甲3には、水と化学的に反応して分子状水素を発生することができる活性層を備えた閉鎖キャップについて記載されている。
記載事項3dの請求項1、28によると、閉鎖キャップは、外殻、水と反応して分子状水素を発生する活性層並びに水蒸気及び分子状水素に対して透過性であるライナーを含み、当該閉鎖キャップとプラスチック容器とで組み立て体を構成する。
以上のことから、甲3には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「閉鎖キャップとプラスチック容器とからなる組み立て体であって、
前記閉鎖キャップは、外殻、水と反応して分子状水素を発生する活性層、並びに水蒸気及び分子状水素に対して透過性であるライナーを含む、組み立て体。」

(4)甲4に記載された技術的事項
記載事項4a、4bによると、甲4には、水素ガス発生剤を固定した容器の密閉用の蓋、及び前記蓋で密栓されたPETボトルが記載されている。

(5)甲5に記載された技術的事項
記載事項5aによると、甲5には、加水素液体を充填した口栓付き内側密閉容器を収容したアルミ箔積層フィルムを備えたパウチとからなる加水素液体保存用容器について記載されている。

(6)甲6に記載された技術的事項
記載事項6aによると、甲6には、筒状本体と、水素水発生体を取り付けたキャップとからなる、水素水発生体付きボトルが記載されている。


第7 当審の判断
1 無効理由その1について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明のペット用飲料容器は、「ペットに飲ませる水を注入する」から、飲料容器は水に接触するものであり、また、飲料容器は、上部が開口し、、内側底部に水素発生物袋を収納する凹部を形成しているので、成形体であるといえる。
そうすると、甲1発明の「ペットに飲ませる水を注入するペット用飲料容器に用いる飲料容器」は、本件発明1の「水又は水性組成物と接触して使用されるものである成形体」に相当する。

よって、本件発明1と甲1発明は、
「水又は水性組成物と接触して使用されるものである成形体。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1の成形体は、「水又は水性組成物と接触する前記成形体の全部又は一部は、水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるもの」であるのに対して、甲1発明の飲料容器は、「水と接触することによって水素を発生する内容物を入れた水素発生物袋を収納するもの」であって、飲料容器自体には、水素を発生する成分は含んでいない点。

(相違点2)
本件発明1の成形体は、「ボトル、ジャー容器、チューブ容器、ディスペンサー容器、アルミパウチ容器又は缶容器」であるのに対して、甲1発明の飲料容器は、「上部が開口し、内側底部に前記水素発生物袋を収納する凹部を形成し、網状の蓋を抗着するために前記凹部の上部に溝部を設けたもの」である点。

上記相違点1、2について検討する。
甲1発明に係るペット用飲料容器は、記載事項1b、1cによると、水素発生物袋が、自然浮遊したり、ペットがいたずらして引っ張り出して効果を阻害するなどの課題を解決するために、上部が開口した飲料容器の内面底部に水素発生物袋を収納する凹部を形成し、該凹部の上部に設けた溝部に網状の蓋を抗着できるようにしたものである。
そうすると、甲1発明は、飲料容器とは別に準備した、水素を発生する内容物を入れた水素発生物袋を前提としたものと認められ、さらに、甲1発明に係る飲料容器は、ペットに水を飲ませるために適した構造の容器である。

ここで、甲2には、記載事項2aなどによれば、水と反応して水素を発生するアルミニウムを含む積層体から形成された、水又は含水製品を収容するアルミパウチ容器が記載されている。
また、甲3には、記載事項3b、3dなどによれば、分子状水素を発生する活性層を含む閉鎖キャップを備えた、広口瓶、チューブ、バッグなどの容器が記載されている。

しかしながら、アルミパウチ容器では、ペット用の飲料容器を形成できないし、ペット用の飲料容器に閉鎖キャップを設けても、ペットに水を飲ませるために適した構造とはならない。
よって、甲1発明の飲料容器において、甲2又は甲3に記載の容器の構造を採用することはできない。
さらに、甲4?6について参照しても、甲1発明において、上記相違点1、2に係る本件発明1の特定事項を導出することはできない。

したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2?甲6の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1に従属するから、本件発明1と同様に、甲1に記載された発明及び甲2?甲6の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 無効理由その2について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「水又は含水食品」は、本件発明1の「水又は水性組成物」に相当することは明らかである。
次に、甲2発明に係る容器は、積層体から形成されるから、本件発明1の「成形体」に相当し、該積層体は、水と反応することによって水素を発生するアルミニウムを含む積層体であるから、前記容器は、水又は水性組成物と接触して使用されるものであり、水と接触して水素を発生する成分からなるといえる。
そうすると、甲2発明の「水又は含水食品を収容する容器であって、水又は含水食品を収容する前記容器は、水と反応することによって水素を発生するアルミニウムを含む積層体から形成された」は、本件発明1の「水又は水性組成物と接触して使用されるものである成形体であって、水又は水性組成物と接触する前記成形体の全部又は一部は、水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるものであり」に一致する。
そして、甲2発明の「プラスチックーアルミニウム箔積層パウチ」は、本件発明1の「アルミパウチ容器」に相当することも明らかである。
以上のことから、本件発明1と甲2発明とは、相違点はない。

したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1において「水又は水性組成物と接触することによって分子状水素を発生する成分は、水素発生粒子を含む樹脂組成物、水素発生性のセラミック又は水素発生性のガラスである」ことをさらに特定するものであって、本件発明2と甲2発明とを対比すると、両者は、以下の点で相違する。

(相違点)
水又は水性組成物と接触することによって分子状水素を発生する成分について、本件発明2は、「水素発生粒子を含む樹脂組成物、水素発生性のセラミック又は水素発生性のガラス」であるのに対し、甲2発明は、「アルミニウムを含む積層体」である点。

上記相違点について検討する。
甲3には、記載事項3cによれば、分子状水素を発生することができる活性物質を分散した高分子マトリックスが記載されている。
しかし、甲2発明は、記載事項2bなどによれば、プラスチック-アルミニウム箔積層パウチのアルミニウムから生成する水素を利用するものであるから、甲2発明の積層体に含まれるアルミニウムに替えて、分子状水素を発生する活性物質を分散した高分子マトリックスを採用することはできない。
また、甲1、甲4?甲6に記載された技術的事項を参照しても、上記相違点に係る本件発明2の特定事項を導出することはできない。

したがって、本件発明2は、甲1?甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1において「成形体は、多層構造を有し、水又は水性組成物と接触する面が水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなる」ことをさらに特定するものである。
本件発明3と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「積層体から形成」は、本件発明3の「多層構造を有」することに相当する。また、甲2発明の「水と反応することによって水素を発生するアルミニウムを含む積層体」であることは、本件発明3の「水又は水性組成物と接触する面が水と接触することによって分子状水素を発生する成分」からなることに相当する。
そうすると、本件発明3と甲2発明とは、相違点はない。

したがって、本件発明3は、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

(4)本件発明4について
本件発明4は、本件発明1において、成形体は「成形体中に水又は水性組成物を充填した」ことを特定するものである。
本件発明4と甲2発明とを対比すると、甲2発明の容器に「水又は含水食品を収容」することは、本件発明4の「成形体中に水又は水性組成物を充填」することに相当する。
そうすると、本件発明4と甲2発明とは、相違点はない。

したがって、本件発明4は、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

(4)本件発明5について
本件発明5は、本件発明4において、「水性組成物は、飲食物又は化粧料組成物である」ことをさらに特定するものである。
本件発明5と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「含水食品」は、本件発明5の「飲食物」に相当する。
そうすると、本件発明5と甲2発明とは、相違点はない。

したがって、本件発明5は、甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

3 当審無効理由について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1の「成形体」について
本件発明1で特定された「成形体」に関して、本件明細書には、以下の記載がある。
「【0025】
本発明の成形体は、包装容器であることが好ましい。本発明の成形体を包装容器とすることで、容器素材自体が分子状水素発生源となり、簡便に使用することができる。上記包装容器は蓋を有し当該蓋を閉じることによって内部を密閉することができるような密閉容器であってもよい。 ・・・・・ 上記包装容器としては、ボトル、ジャー容器、チューブ容器、ディスペンサー容器、アルミパウチ容器又は缶容器等を挙げることができる。」
【0026】
成形体を包装容器とする場合、容器本体を構成する素材自体を分子状水素発生源とする方法、容器を構成する部品又はその一部を分子状水素発生源とする方法 ・・・・・ 等を挙げることができる。
【0027】
容器を構成する部品又はその一部を分子状水素発生源とする方法としてより具体的には、例えば、 ・・・・・ 容器の蓋を水又は水性組成物と接触したときに水素を発生する素材からなるものとする方法等を挙げることができる。」
これらの記載から、本件明細書において、成形体は、ボトル、ジャー容器又はチューブ容器等の包装容器であり、蓋を有してもよく、また、容器である成形体を構成する部品又はその一部である蓋を、水素を発生する素材としてもよいことが記載されていると理解できる。

さらに、本件明細書の実施例の欄には、以下の記載がある。
「【0039】
(実施例4)
MgH_(2)を2重量%含有するポリエチレンを射出成型することによって、蓋を製造した。200mlのガラス瓶に水を入れ、当該蓋によって容器内を密閉した。・・・・・」
上記実施例4は、本件発明1の実施例であるから、分子状水素を発生する成分を有する蓋を備えたガラス瓶は、本件発明1に係る成形体であると認められる。

イ 本件発明1と甲3発明との対比・判断
アの検討を踏まえて、本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明に係る組み立て体は、閉鎖キャップとプラスチック容器とから構成され、閉鎖キャップは、水と反応して分子状水素を発生する活性層を含むから、組み立て体は、本件発明1と同様に「水又は水性組成物と接触して使用されるものである」といえる。
次に、アで検討したように、本件発明1は、「成形体」の部品又はその一部である蓋を、水素を発生する素材とする場合を含むものである。
一方、記載事項3dの請求項7によれば、閉鎖キャップは、水と反応して分子状水素を発生する活性層とライナーとが外殻上にオーバー射出されて成形され、これらは一体化しているから、閉鎖キャップは、分子状水素を発生する部材であり、また、組み立て体の一部又は部品であるといえる。
そうすると、甲3発明の「閉鎖キャップとプラスチック容器とからなる組み立て体」は、本件発明1の「成形体」に相当し、甲3発明の水と反応して分子状水素を発生する活性層を有する「閉鎖キャップ」は、本件発明1の「水又は水性組成物と接触する前記成形体の全部又は一部は、水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるもの」に相当する。

以上のことから、本件発明1と甲3発明とは、
「水又は水性組成物と接触して使用されるものである成形体であって、
水又は水性組成物と接触する前記成形体の全部又は一部は、水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるものである、成形体。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本件発明1は、成形体は、ボトル、ジャー容器、チューブ容器、ディスペンサー容器、アルミパウチ容器又は缶容器であることが特定されているのに対して、甲3発明の組み立て体は、どのような容器の形態であるかは規定されていない点。

上記相違点について検討すると、記載事項3bでは「容器は、例えば瓶形状容器、フラスコ、広口瓶、チューブ、バッグ、ポーチであることができる。」とされているから、甲3発明の組み立て体は、チューブ容器などの周知の形態が想定されているといえる。
また、蓋を備えたプラスチック容器を、ボトル、ジャー容器、ディスペンサー容器などの形態とすることは、周知慣用技術である。
そうすると、甲3発明において、組み立て体を、ボトル、ジャー容器、チューブ容器、ディスペンサー容器などの形態とすることは、当業者であれば容易になし得るものである。

したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1において「水又は水性組成物と接触することによって分子状水素を発生する成分は、水素発生粒子を含む樹脂組成物、水素発生性のセラミック又は水素発生性のガラスである」ことをさらに特定するものである。
記載事項3cの【0038】及び記載事項3dの請求項8、11、23、24によると、甲3発明の活性層は、水と接触することによって分子状水素を発生する活性物質を分散して含む高分子マトリックスであってよく、この場合、閉鎖キャップは、活性物質を分散して含んでいるといえる。
また、高分子マトリックス中に分散する活性物質は、粒子の形態で含有されているといえるから、本件発明2で特定する水素発生粒子に相当するといえる。
そうすると、本件発明2でさらに特定した事項は、甲3発明において設計的事項にすぎないといえる。

したがって、本件発明2は、甲3発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)本件発明3について
本件発明3は、本件発明1、2において「成形体は、多層構造を有し、水又は水性組成物と接触する面が水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなる」ことを特定したものである。
上記イで記載したように、記載事項3dの請求項7によれば、閉鎖キャップにおいて、外殻、活性層及びライナーは一体化しており、さらに記載事項3eの図を参照すると、閉鎖キャップは、外殻、活性層及びライナーからなる多層構造を有しているといえる。
そして、その構造からみて、活性層は、ライナー側の面が水と接触して分子状水素を発生するものと認められるから、閉鎖キャップは、水又は水性組成物と接触する面が水と接触することによって分子状水素を発生する成分からなるものであるといえる。
そうすると、本件発明3でさらに特定した事項は、実質的に新たな相違点にならない。

したがって、本件発明3は、甲3発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)本件発明4、5について
本件発明4は、本件発明1?3において「成形体中に水又は水性組成物を充填した」ものであることを特定し、本件発明5は、本件発明4において「水性組成物は、飲食物又は化粧料組成物である」ことを、それぞれ特定したものである。
記載事項3a及び記載事項3dによると、甲3に記載の組み立て体は、食品又は飲料を貯蔵するために使用することができるものであり、食品又は飲料に含まれる水により分子状水素を発生させるものであるといえる。
そうすると、食品又は飲料は、水性組成物であり、また、飲食物であるといえるから、本件発明4、5でさらに特定した事項は、実質的に新たな相違点とならない。

したがって、本件発明4、5は、甲3発明及び甲3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第8 結論
以上のとおりであるから、本件発明1?5についての特許は、「無効理由その1」によっては、無効とすることはできない。
次に、本件発明1、3?5についての特許は、「無効理由その2」により、無効とすべきものであり、本件発明2についての特許は、「無効理由その2」によっては、無効とすることはできない。
そして、本件発明1?5についての特許は、当審無効理由により、無効とすべきものである。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準
用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-01 
結審通知日 2019-02-05 
審決日 2019-02-18 
出願番号 特願2012-48845(P2012-48845)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (C01B)
P 1 113・ 113- Z (C01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩谷 領大森坂 英昭田中 則充  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 後藤 政博
小川 進
登録日 2016-04-22 
登録番号 特許第5921917号(P5921917)
発明の名称 成形体  
代理人 藤井 淳  
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