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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C11D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C11D
管理番号 1350628
異議申立番号 異議2018-700437  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-29 
確定日 2019-02-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6238451号発明「繊維製品用液体洗浄剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6238451号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。 特許第6238451号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6238451号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成26年4月16日に出願され、平成29年11月10日にその特許権の設定登録がされ、同年11月29日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許について、平成30年5月29日に特許異議申立人猪瀬則之(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 8月20日付け:取消理由通知
同年10月17日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 同月24日付け:訂正請求があった旨の通知
(特許法第120条の5第5項)
同年11月28日 :意見書の提出(申立人)

2.訂正請求について
(1)訂正の内容
平成30年10月17日に提出された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」ということがある。)の内容は、以下のとおりである。
ア 訂正事項1(請求項1?3に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項1に
「(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
(C)成分:両性界面活性剤を0.01?6質量%と、
を含有する、繊維製品用液体洗浄剤。」とあるのを、
「(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
(C)成分:両性界面活性剤を0.01?1質量%と、
アニオン界面活性剤を0.12?9質量%と、
ノニオン界面活性剤を1?18質量%と、
を含有し、
前記(A)成分が下記の一般式(A-1)または一般式(A-3)で表される化合物であり、
[化1]

[式(A-1)中、R^(1)?R^(4)のうちの2つ以上は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、それ以外は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
[化2]

[式(A-3)中、R^(7)及びR^(8)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、R^(9)は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R^(10)は、炭素数1?3のアルキレン基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
前記繰り返し単位(b1)が下記の一般式(b1-1)であり、前記繰り返し単位(b2)が下記の一般式(b2-1)であり、
[化3]

[式(b1-1)中、R^(21)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
[化4]

[式(b2-1)中、R^(23)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
前記(B)成分における前記繰り返し単位(b1)の繰り返し数は1?10であり、前記繰り返し単位(b2)の繰り返し数は5?150であり、
前記(B)成分の重量平均分子量は500?10000であり、
前記(C)成分が下記の一般式(C-1)で表される化合物であり、
[化5]

[式(C-1)中、R^(31)は、炭素数8?18の炭化水素基である。R^(32)は及びR^(33)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R^(34)は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1?5のアルキレン基である。R^(34)-R^(35)は、R^(34)-SO_(3)^(-)、R^(34)-OSO_(3)^(-)、又はR^(34)-COO^(-)である。R^(37)は、炭素数1?6のアルキレン基である。-R^(36)-R^(37)-は、-C(=O)O-R^(37)-、-C(=O)NH-R^(37)-、-OC(=O)-R^(37)-、-NHC(=O)-R^(37)-、又は-O-R^(37)-である。jは、0又は1の数である。]
25℃におけるpHが4?7である、繊維製品用液体洗浄剤。」
に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び3も同様に訂正する。

(2)訂正の適否についての判断
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載されていた(A)成分について、一般式(A-1)又は一般式(A-3)で表される化合物に限定し、同(B)成分について、繰り返し単位(b1)を一般式(b-1)に限定し、繰り返し単位(b2)を一般式(b2-1)に限定し、繰り返し単位(b1)の繰り返し数と繰り返し単位(b2)の繰り返し数を特定し、さらに、重量平均分子量を特定し、同(C)成分について、一般式(C-1)で表される化合物に限定し、その含有量の範囲の上限を「1質量%」に減縮するものである。
また、訂正前の請求項1に記載されていた成分に加えて、さらに、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤を特定量含有することを規定し、さらに、pHを特定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1における(A)成分についての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0010]に記載された一般式(A-1)の定義及び段落[0019]に記載された一般式(A-3)の定義に基づき、さらに、一般式(A-1)におけるR^(1)?R^(4)の選択肢の一部並びに一般式(A-3)におけるR^(7)及びR^(8)の選択肢の一部を削除したものであり、(B)成分についての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0024]?[0026]に記載された一般式(b1-1)、段落[0031]に記載された(b1)の繰り返し数、段落[0032]?[0034]に記載された一般式(b2-1)、段落[0036]に記載された(b2)の繰り返し数及び段落[0041]に記載された(B)成分の重量平均分子量に基づくものであり、(C)成分についての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0049]?[0050]に記載された一般式(C-1)及び段落[0053]に記載された(C)成分の含有量に基づくものであり、さらに、アニオン界面活性剤を特定量含有することについての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0061]の記載及び段落[0087]の表2の実施例20に基づくものであり、ノニオン界面活性剤を特定量含有することについての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0058]?[0060]の記載に基づくものであり、pHを特定することについての訂正は、願書に添付した明細書の段落[0068]の記載に基づくものであるから、いずれも願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正である。
また、請求項1の訂正に連動する請求項2及び3の訂正も、同様の理由により願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
さらに、訂正事項1が、請求項1?3に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないことも明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

ウ 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1?3は、請求項2及び3が請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。また、訂正事項1により訂正された後の請求項2及び3は、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正される。よって、訂正事項1は一群の請求項に対して請求されたものといえるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
本件においては、訂正前のすべての請求項1?3に対して特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1?3に係る訂正事項1については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

オ 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正を認める。

3.本件発明について
本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明3」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「[請求項1]
(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
(C)成分:両性界面活性剤を0.01?1質量%と、
アニオン界面活性剤を0.12?9質量%と、
ノニオン界面活性剤を1?18質量%と、
を含有し、
前記(A)成分が下記の一般式(A-1)または一般式(A-3)で表される化合物であり、
[化1]

[式(A-1)中、R^(1)?R^(4)のうちの2つ以上は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、それ以外は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
[化2]

[式(A-3)中、R^(7)及びR^(8)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、R^(9)は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R^(10)は、炭素数1?3のアルキレン基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
前記繰り返し単位(b1)が下記の一般式(b1-1)であり、前記繰り返し単位(b2)が下記の一般式(b2-1)であり、
[化3]

[式(b1-1)中、R^(21)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
[化4]

[式(b2-1)中、R^(23)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
前記(B)成分における前記繰り返し単位(b1)の繰り返し数は1?10であり、前記繰り返し単位(b2)の繰り返し数は5?150であり、
前記(B)成分の重量平均分子量は500?10000であり、
前記(C)成分が下記の一般式(C-1)で表される化合物であり、
[化5]

[式(C-1)中、R^(31)は、炭素数8?18の炭化水素基である。R^(32)は及びR^(33)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R^(34)は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1?5のアルキレン基である。R^(34)-R^(35)は、R^(34)-SO_(3-)、R^(34)-OSO_(3-)、又はR^(34)-COO_(-)である。R^(37)は、炭素数1?6のアルキレン基である。-R^(36)-R^(37)-は、-C(=O)O-R^(37)-、-C(=O)NH-R^(37)-、-OC(=O)-R^(37)-、-NHC(=O)-R^(37)-、又は-O-R^(37)-である。jは、0又は1の数である。]
25℃におけるpHが4?7である、繊維製品用液体洗浄剤。
[請求項2]
(C)成分/(A)成分で表されるモル比が0.01?2.50である、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
[請求項3]
(C)成分/(B)成分で表される質量比が0.01?4.93である、請求項1または2に記載の繊維製品用液体洗浄剤。」

4.取消理由通知に記載した取消理由の概要
訂正前の請求項1?3に係る特許に対して平成30年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)理由1(サポート要件)
訂正前の本件発明1?3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明に記載される発明の課題を解決することを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

(2)理由2(進歩性)
ア 訂正前の本件発明1?3は、甲1に記載された発明、及び甲3、4に記載の事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

イ 訂正前の本件発明1?3は、甲2に記載された発明、及び甲3に記載の事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

<引用文献等一覧>
甲1.特開2001-181697号公報
甲2.特表平11-512146号公報
甲3.特表2003-500523号公報
甲4.文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課、調理場における洗浄・消毒マニュアル PartI、平成21年3月、第55?57頁

5.取消理由通知に記載した取消理由についての判断
(1)理由1(サポート要件)について
ア サポート要件について
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (参考:知財高判平17.11.11(平成17(行ケ)10042)大合議判決)
以下、この観点に立って検討する。

イ 本件発明について
本件発明1は、上記3.「本件発明について」に記載されたとおりのものであって、「(A)成分:カチオン界面活性剤」、「(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマー」、「(C)成分:両性界面活性剤」、「アニオン界面活性剤」及び「ノニオン界面活性剤」を含有する「繊維製品用液体洗浄剤」に係るものである。また、本件発明2及び3は、本件発明1を引用するものである。

ウ 本件発明の課題について
(ア)本件明細書の記載について
本件明細書には次の記載がある。
「[背景技術]
[0002]
近年、家庭における衣料用洗剤として、液体洗浄剤が多く用いられるようになってきている。衣料用洗剤には、衣料等(被洗物)に付着した種々の汚れに対する洗浄力が必要である。中でも、特に、落ちにくい皮脂汚れ等の油汚れに対して高い洗浄力が求められる。
また、最近では、ドラム式洗濯機に代表される大容量洗濯機や節水型洗濯機が普及している。これに伴い、たくさんの被洗物がまとめて洗われたり、水が少ない低浴比の条件下で洗濯が行われたりするようになってきている。このような条件下で洗濯が行われた場合、洗浄中にいったん除去された汚れが再び被洗物に付着する、いわゆる再汚染が生じやすい。特に、ポリエステル等の疎水性の化学繊維においては、再汚染が生じやすく、油汚れを充分に除去しきれない、という問題があった。
これに対し、ポリエステル等の疎水性繊維に付着した疎水性汚れの除去を目的として、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位、並びにオキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位を有する水溶性ポリマーと、特定のエチレンオキシド付加体からなるノニオン界面活性剤と、有機酸又はその塩と、を含有する液体洗浄剤が開示されている(特許文献1参照)。
[0003]
また、衛生に対する意識の高まりから、衣料用洗剤においても、洗浄効果に加えて抗菌効果を付与した製品が上市されている。抗菌効果を奏する有効成分としては、カチオン界面活性剤等のカチオン系殺菌剤が広く用いられている。
尚、本明細書において「抗菌効果」とは、菌の増殖を抑える効果を意味する。抗菌効果が高いほど、被洗物を防臭する効果等が高くなる。
[先行技術文献]
[特許文献]
[0004]
[特許文献1]特開2009-155606号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
[0005]
しかしながら、特許文献1に記載の液体洗浄剤に、カチオン系殺菌剤として単にカチオン界面活性剤を加えた場合、油汚れに対する洗浄力が低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れた液体洗浄剤を提供することを課題とする。」

「[0009]
<(A)成分:カチオン界面活性剤>
本発明の液体洗浄剤においては、主として(A)成分を含有することで、抗菌性能が付与される。
(A)成分には、例えば、第4級アンモニウム塩などを用いることができる。
第4級アンモニウム塩としては、通常、衣料用洗剤に用いられている従来公知のものが挙げられる。中でも、好ましい第4級アンモニウム塩としては、高い抗菌効果が得られやすいことから、下記の一般式(A-1)、(A-2)又は(A-3)で表される化合物が挙げられる。」

「[0023]
<(B)成分:特定の繰り返し単位(b1)とオキシアルキレン単位(b2)とを有するポリマー>
本発明において、(B)成分は、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーである。
尚、本明細書において、「繰り返し単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を示す。
本発明の液体洗浄剤においては、主として(B)成分を含有することで、油汚れに対する洗浄力が高くなる。」

「[0048]
<(C)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種>
本発明の液体洗浄剤においては、(C)成分を含有することで、(B)成分に(A)成分を組み合わせても、油汚れに対する洗浄力が維持される。
(C)成分としては、通常、衣料用洗剤に用いられている従来公知のものが挙げられる。」

「[0058]
・ノニオン界面活性剤について
本発明の液体洗浄剤においては、皮脂汚れ等の油汚れに対する洗浄成分として、ノニオン界面活性剤を用いることができる。ノニオン界面活性剤としては、通常、衣料用洗剤に用いられている従来公知のものが挙げられる。
・・・
[0060]
・・・
液体洗浄剤中、ノニオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して1?18質量%が好ましく、より好ましくは3?10質量%である。ノニオン界面活性剤の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより高まり、一方、前記の好ましい上限値以下であると、液体洗浄剤の透明外観が維持されやすくなり、また、洗濯等を行う際に計量しやすい。
[0061]
・アニオン界面活性剤について
本発明の液体洗浄剤においては、タンパク汚れに対する洗浄成分として、又は低温時の安定性向上の点から、アニオン界面活性剤を用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、通常、衣料用洗剤に用いられている従来公知のものが挙げられ・・・る。・・・
尚、本発明の液体洗浄剤においては、アニオン界面活性剤を含有することにより、(A)成分又は(C)成分と、アニオン界面活性剤と、の複合体が形成され、これによって抗菌性能が発現しにくくなるおそれがある。このため、アニオン界面活性剤を併用する場合、アニオン界面活性剤の含有量を、液体洗浄剤の総質量に対して9質量%以下とすることが好ましい。アニオン界面活性剤の含有量が、前記の好ましい上限値以下であれば、油汚れに対する洗浄力及び抗菌性能を維持しつつ、タンパク汚れに対する洗浄力を高めることができる。」

「[0071]
以上説明した本発明の液体洗浄剤は、油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れる。
洗浄剤に(B)成分を配合することにより、被洗物に付着した油汚れ除去効果が高まる。また、(A)成分の配合により、抗菌効果が付与される。しかしながら、(B)成分に単に(A)成分を加えた場合、(A)成分を用いない場合に比べて、前記油汚れ除去効果が低下するという問題があった。これは、(B)成分に(A)成分を加えたことによって、被洗物に付着した油汚れを剥離する効果((B)成分による作用効果)が得られにくくなったため、と考えられる。
本発明においては、(A)成分及び(B)成分に、(C)成分が組み合わされている。これらの(A)?(C)成分による相乗的な作用によって、(A)成分による抗菌効果が発揮されつつ、(B)成分による作用効果も安定に得られるようになる。加えて、(A)?(C)成分を含有する本発明の液体洗浄剤は、(A)成分単独による抗菌効果、及び(B)成分単独による油汚れ除去効果に比べて、いずれも高い抗菌効果と油汚れ除去効果とを奏する。
また、かかる本発明の液体洗浄剤によれば、従来、油汚れを除去することが困難であったポリエステル等の疎水性の化学繊維に対しても、充分な油汚れ除去効果が得られる。」

「[0081]
(実施例1?21、比較例1?8)
表1?3に示す組成の配合成分、配合量(質量%)に従い、各例の液体洗浄剤を下記の手順で調製した。
500mLビーカーに、ノニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤と、(C)成分と、溶剤と、金属捕捉成分と、ラジカルトラップ剤と、香料と、を入れ、マグネットスターラー(MITAMURAKOGYOINC.)で充分に撹拌しながら、全体量が90質量部になるように水を加え、さらに充分に撹拌した。続いて、(A)成分を加えて撹拌しながら、25℃でのpHが6.0になるように、適量のpH調整剤を添加した。続いて、(B)成分と、過酸化水素と、を加えて撹拌しながら、全体量が100質量部になるように水を加えて液体洗浄剤を得た。
液体洗浄剤のpH(25℃)は、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、25℃に調温した溶液に、前記pHメーターの電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定した。
[0082]
<液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法により「油汚れに対する洗浄力」及び「抗菌性能」の評価をそれぞれ行った。その結果を表1?3に併記した。
[0083]
[油汚れに対する洗浄力の評価]
1)油汚れ汚垢布の作製
3cm×3cmに裁断したポリエステルトロピカル布に、ラー油(かどや製油株式会社製)0.015mLを滴下し、室温にて2?3時間風乾したものを油汚れ汚垢布とした。
2)洗浄試験
油汚れ汚垢布5枚のそれぞれに対し、同じ液体洗浄剤を0.12mLずつ塗布し、5分間静置した。
その後、硬度3°DH、水温15℃に調整したイオン交換水900mLを入れたTerg-O-Tometer(UNITEDSTATESTESTING社製)に、油汚れ汚垢布5枚を入れ、120rpmで10分間洗浄した(浴比20倍)。
その後、洗浄後の油汚れ汚垢布5枚を取り出して、洗浄液をある程度除き、該油汚れ汚垢布を2槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、CW-C30A1型)の脱水槽で1分間脱水した。
さらに、脱水後の油汚れ汚垢布を、硬度3°DH、水温15℃に調整したイオン交換水900mLを入れたTerg-O-Tometer浴中で3分間すすぎ、前記2槽式洗濯機の脱水槽で1分間脱水した。
そして、再度、脱水後の油汚れ汚垢布を、硬度3°DH、水温15℃に調整したイオン交換水900mLを入れたTerg-O-Tometer浴中で3分間すすぎ、前記2槽式洗濯機の脱水槽で1分間脱水した後、風乾した。
3)洗浄力の評価
洗浄力は、測色色差計(日本電色社製、商品名SE2000)を用い、汚れ付着前の原布(ラー油を滴下する前のポリエステルトロピカル布)、及び洗浄試験前後の油汚れ汚垢布についてZ値を測定し、下式より洗浄率を算出することにより評価した。かかる評価には、5枚の油汚れ汚垢布について算出した洗浄率の平均値を用いた。この洗浄率の平均値を表1?3に示す。
洗浄率(%)=(洗浄後の油汚れ汚垢布のZ値-洗浄前の油汚れ汚垢布のZ値)/(原布のZ値-洗浄前の油汚れ汚垢布のZ値)×100
[0084]
[抗菌性能の評価]
各例の液体洗浄剤0.6gと、洗剤(JAFET標準洗剤、繊維製品新機能評価協議会指定洗剤)1.2gと、を水道水900mLに添加して洗浄液とした。
予めアルコール消毒したU.S.Testing社(米国)のTerg-O-Tometerを使用し、ここに、滅菌済みの3cm角ポリエステル布0.4gと、滅菌したメリヤス布とを共に入れ、浴比を20倍とし、120rpm、25℃の条件下で洗浄した。かかる洗浄を10分間行い、次いで1分間脱水し、その後、水道水900mLで2分間すすぎを行い、1分間脱水した。該脱水後の3cm角ポリエステル布を、クリーンベンチで、室温にて24時間乾燥し、試験布とした。
[0085]
この試験布について、JISL1902(繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)の定量試験法(菌液吸収法)に準じ、下記(i)式により静菌活性値を求めた。そして、下記の評価基準に従い、抗菌性能を評価した。
静菌活性値=(Mb-Ma)-(Md-Mc)・・・(i)
Ma:試験菌接種直後の標準布の3検体の生菌数の常用対数値の平均値。
Mb:試験菌接種後の標準布の35℃、18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値。
Mc:試験菌接種直後の試験布の3検体の生菌数の常用対数値の平均値。
Md:試験菌接種後の試験布の35℃、18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値。
標準布:未洗浄の滅菌済みの3cm金巾布。
試験菌:黄色ブドウ球菌。
抗菌性能の評価基準(◎、○、△を合格とした。)
◎:静菌活性値が3以上。
○:静菌活性値が2.5以上3未満。
△:静菌活性値が2以上2.5未満。
×:静菌活性値が2未満。
[0086]
[表1]

[0087]
[表2]

[0088]
[表3]

[0089]
表1?3に示す結果から、本発明を適用した実施例1?21の液体洗浄剤は、比較例1?8の液体洗浄剤に比べて、油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れていること、が確認できる。」

(イ)本件発明の課題
上記(ア)の摘示によれば、家庭における衣料用洗剤として、落ちにくい皮脂汚れ等の油汚れに対して高い洗浄力が求められており、ポリエステル等の疎水性の化学繊維においては、再汚染が生じやすく、油汚れを充分に除去しきれない、という問題があったところ([0002])、特許文献1(特開2009-155606号公報)に示されたような、ポリエステル等の疎水性繊維に付着した疎水性汚れの除去を目的として、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位、並びにオキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位を有する水溶性ポリマーと、特定のエチレンオキシド付加体からなるノニオン界面活性剤と、有機酸又はその塩と、を含有する液体洗浄剤において、洗浄効果に加えて抗菌効果を付与するために、カチオン界面活性剤等のカチオン系殺菌剤を加えた場合、油汚れに対する洗浄力が低下するという問題があった([0003]?[0005])という知見に基づき、本件発明がなされたといえる。
そして、本件発明は、そのような問題を解決するためのものであって、「油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れた液体洗浄剤を提供すること」([0005])を課題とするものと認められる。

(ウ)発明の詳細な説明の記載について
油汚れに対する洗浄力について、本件明細書には、次の記載がある。
「本発明の液体洗浄剤においては、主として(B)成分を含有することで、油汚れに対する洗浄力が高くなる。」([0023])、
「(C)成分を含有することで、(B)成分に(A)成分を組み合わせても、油汚れに対する洗浄力が維持される。」([0048])、
「皮脂汚れ等の油汚れに対する洗浄成分として、ノニオン界面活性剤を用いることができる。」([0058])、
「アニオン界面活性剤の含有量が、前記の好ましい上限値以下であれば、油汚れに対する洗浄力及び抗菌性能を維持しつつ、タンパク汚れに対する洗浄力を高めることができる。」([0061])、
「本発明においては、(A)成分及び(B)成分に、(C)成分が組み合わされている。これらの(A)?(C)成分による相乗的な作用によって、(A)成分による抗菌効果が発揮されつつ、(B)成分による作用効果も安定に得られるようになる。加えて、(A)?(C)成分を含有する本発明の液体洗浄剤は、(A)成分単独による抗菌効果、及び(B)成分単独による油汚れ除去効果に比べて、いずれも高い抗菌効果と油汚れ除去効果とを奏する。」([0071])

エ サポート要件についての検討
上記ウ(ウ)「発明の詳細な説明の記載について」において、油汚れに対する洗浄力に寄与する成分についての記載に注目すると、本件発明は、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位、並びにオキシアルキレン単位及び/又はポリオキシアルキレン単位を有する水溶性ポリマー((B)成分に相当する。)と、ノニオン界面活性剤とを含有する液体洗浄剤において、カチオン界面活性剤等のカチオン系殺菌剤((A)成分に相当する。)を加えた場合の、油汚れに対する洗浄力が低下するという問題を解決するために、カチオン界面活性剤とともに、(C)成分及び所定の含有量のアニオン界面活性剤を組み合わせることで、(A)成分単独による抗菌効果、及び(B)成分単独による油汚れ除去効果に比べて、いずれも高い抗菌効果と油汚れ除去効果とを奏するものとなることが理解できる。
そして、(A)成分、(B)成分、(C)成分、ノニオン界面活性剤及び所定の含有量のアニオン界面活性剤のいずれの成分も含む実施例1?21においては、「油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れた液体洗浄剤を提供すること」が確認され、いずれかの成分を含まない比較例1?8においては、「油汚れに対して高い洗浄力を有し、かつ、抗菌性能に優れた」ものとはならないことも確認されている。
そうすると、(A)成分、(B)成分、(C)成分、ノニオン界面活性剤及び所定の含有量のアニオン界面活性剤のいずれの成分も含むことが規定された本件発明1?3は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるというべきである。

したがって、本件発明1?3において、(C)成分が存在することで、(A)成分による抗菌効果が発揮されつつ、(B)成分による作用効果も安定に得られるようになり、(A)?(C)成分を含有する本発明の液体洗浄剤は、(A)分単独による抗菌効果、及び(B)成分単独による油汚れ除去効果に比べて、いずれも高い抗菌効果と油汚れ除去効果とを奏することができるかについて、その根拠となる作用機序が本件明細書において明らかにされていないとしても、本件発明1?3は、(A)?(C)成分のみからなるものではなく、(A)?(C)成分に加えて、ノニオン界面活性剤及び所定の含有量のアニオン界面活性剤を含むものであって、そのような発明については、発明の詳細な説明の記載に基づき、解決しようとする課題を解決できることが認識できるのであるから、本件請求項1?3の記載が特許法第36条第6項第1号の規定に適合していないとはいえない。

オ 理由1(サポート要件)に関するまとめ
よって、本件発明1?3は、いずれも特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものであるから、取消理由通知に記載した理由1(サポート要件)の理由によって、本件請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。

(2)理由2(進歩性)について
ア 引用文献及びその記載事項
<引用文献等一覧>
甲1.特開2001-181697号公報
甲2.特表平11-512146号公報
甲3.特表2003-500523号公報
甲4.文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課、調理場における洗浄・消毒マニュアル PartI、平成21年3月、第55?57頁

(i)甲1には、以下の事項が記載されている。
ア1 「[請求項1] (a)ポリアミン系化合物(a1)及びポリオキシアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレートもしくはこれらの共重合体(a2)から選ばれる一種以上並びに(b)水溶性抗菌性化合物を含有する液体洗浄剤組成物。」

イ1 「[0002]
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題]液体洗浄剤はえり、そで等の皮脂汚れや靴下等の泥汚れに直接塗布できるため、部分汚れに対して高い洗浄効果を示す。また、近年、衛生、防臭の観点から液体洗浄剤に抗菌性化合物を配合する試みがなされている。特開平1-197598号公報には陽イオン系の抗菌剤を含有する液体洗剤組成物が開示されている。このような組成物は貯蔵安定性に優れるものの抗菌効果が十分ではなく、特に靴下等のひどい粒子汚れが付着した衣料に塗布洗浄を行っても期待される抗菌効果が得られなかった。また、皮脂汚れ等の頑固な汚れに対する洗浄効果も満足できるレベルではない。
[0003]従って本発明の課題は、洗浄効果及び抗菌効果に優れた液体洗浄剤組成物、特に抗菌性洗浄剤組成物を提供することにある。」

ウ1 「[0012](b)成分
本発明では(b)成分として水溶性抗菌性化合物、好ましくは20℃における水への溶解度が水100gあたり1g以上、更に2g以上の抗菌性化合物を使用する。ここで、抗菌性化合物とは木綿金巾#2003に該化合物1重量%を均一に付着させた布を用いJIS L1902「繊維製品の抗菌性試験法」に準じた方法で抗菌性試験を行い阻止帯が見られる化合物である。
[0013]
このような抗菌性化合物としては1つ以上の炭素数8?16、好ましくは8?14の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基を有する4級アンモニウム塩が好ましく、特に下記一般式(1)?(3)の化合物が好ましい。
[0014]
[化4]

[0015]
〔式中、R^(2)及びR^(7)は炭素数8?16、好ましくは8?14の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基であり、R^(3)、R^(4)は炭素数1?3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Xは-COO-、OCO-、-CONH-、-NHCO-又は
[0016]
[化5]

[0017]である。R^(5)、R^(6)は、炭素数1?6、好ましくは1?4のアルキレン基又は-(O-R^(8))_(k)-である。ここでR^(8)はエチレン基もしくはプロピレン基、好ましくはエチレン基であり、kは1?10、好ましくは1?5の数である。R^(9)?R^(12)は、これらの内2つ以上は炭素数8?12、好ましくは8?10のアルキル基であり、残りが炭素数1?3のアルキル基である。pは0又は1の数である。Y^(-)は陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1?3のアルキル硫酸イオンである。〕。
・・・
[0021]本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(a)成分及び(b)成分と水とを含有する。水は、微量存在するイオン成分を除去したイオン交換水又は蒸留水を使用することが貯蔵安定性の点から望ましい。水の含有量は5?50重量%、更に10?45重量%、特に20?40重量%が貯蔵安定性の点で好ましい。また、組成物のpH(20℃)は8?11、好ましくは9?11が洗浄性能の点から望ましい。」

エ1 「[0031]本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の効果性能を損なわない程度に各種洗浄剤成分を配合できる。例えば界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、脂肪族アルカノールアミド等の(c)成分以外の非イオン界面活性剤、アミンオキシド、スルホベタイン、カルボベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。可溶化剤としてはエタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類等が挙げられる。香料、色素、防腐・防黴剤、増粘剤等を所望により添加しても良い。」

オ1 「[0032]
[実施例]合成例1
・・・下記構造の化合物a-1を得た(収率95%)。
a-1:
R-NH-(C_(2)H_(4)NH)_(n)-H
〔R:パーム核組成アルキル基、n:平均縮合度8モル〕。
[0033]合成例2
合成例1で得られたa-1を通常の方法でエチレンオキシドを付加させて下記構造のa-2を合成した。・・・
[0034]
[化7]

[0035]
実施例
上記a-1、a-2及び下記成分を用いて表1の液体洗浄剤組成物を調製した。なお、pHはN/10硫酸水溶液又はN/10水酸化ナトリウム水溶液により調整した。これら組成物の殺菌性と皮脂汚れ洗浄力を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
・a-3:ポリエチレンテレフタレート-ポリオキシエチレンテレフタレート共重合体(平均分子量2200、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエチレンテレフタレートのモル比3:1)。
[0036]
[化8]

[0037]
・c-1:C_(12)H_(25)-O-(EO)_(5)-(PO)_(2)-(EO)_(5)-H
・c-2:C_(12)H_(25)-O-(EO)_(10)-(PO)_(4)-H
・c-3:炭素数16のゲルベタイプアルコールにエチレンオキシドを平均10モル付加させたもの
・c-4:C_(12)H_(25)-O-(EO)_(7)-H
・d-1:アルキル基の炭素数12?14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・d-2:アルキル基の炭素数12、エチレンオキシド平均付加モル数1.5のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
・e-1:亜硫酸ナトリウム
・f-1:クエン酸
・g-1:ジエタノールアミン
・g-2:水酸化ナトリウム。
[0038]
<抗菌性評価>1,1-ジクロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン45重量%及び1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン55重量%の混合溶媒に鹿沼赤土を12g/Lの割合で添加し、混合分散させた。この液50重量部に対して、木綿金巾2003布(木綿平織又は木綿メリヤス)を1重量部の割合で30秒間浸漬させ、引き上げた後余分な液を絞り取り、80℃の熱風乾燥室で乾燥させ、モデル粒子汚染布とした。
[0039]
次に上記汚染布(2cm×2cm)2枚を遠沈管(井内盛栄堂社製、容量50ml、滅菌済み)に入れ105℃で1分間加熱滅菌した。この遠沈管に菌液〔Staphylococcus aureus IFO 12732(黄色ブドウ球菌)1×10^(9) cells/ml〕0.1mlを添加し、更に表1の組成物を滅菌水で希釈した5重量%溶液10mlを添加し、5分間攪拌した。次に、布を取り出し、滅菌した生理食塩水20mlで布を抽出した。この抽出液0.1mlをSCDLP寒天培地に塗抹し、37℃/24時間培養し、得られた菌のコロニー数をカウントした。布1cm^(2)当たりのコロニー数が1×10^(3)cells未満の場合を◎、1×10^(3) cells以上1×10^(4) cells未満を○、1×10^(4) cells以上1×10^(5) cells未満を△、1×10^(5) cells以上を×として評価した。ここで上記評価が○以上であれば、抗菌性洗浄剤組成物として優れているといえる。
[0040]
<皮脂汚れ洗浄力評価>
(1)脱脂力評価用人工汚染布の調製法
トリオレイン200gを80Lのパークレンに溶解し、金巾#2003布を浸漬して付着させた後、パークレンを乾燥除去し、人工汚染布とした。
[0041]
(2)脱脂力評価方法
前記人工汚染布を5cm×5cmに裁断し、人工汚染布1枚当たり0.2gの洗浄剤組成物を2cm×2cmの面積に塗布し、5枚1組をターゴトメータにて100rpmで、洗浄時間10分間、水の硬度4°DH、すすぎを水道水で5分間の条件で洗浄した。
[0042]
洗浄後、汚染布の洗浄剤組成物を塗布した部分を2cm×2cmに切り取り、5枚1組をクロロホルムを溶媒とし12時間ソックスレー抽出を行った。また、未洗浄の人工汚染布も同様に切り取り、同様に抽出を行った。抽出液をエバポレーターを用いクロロホルムを除去し、抽出トリオレイン量を求めた。次式により脱脂率を求めた。
[0043]
[数1]

[0044]
[表1]



(ii)甲2には、以下の事項が記載されている。
ア2 「[特許請求の範囲]
1. (a)汚れ分散剤重合体、
(b)非AQA界面活性剤、および
(c)式

(式中、R^(1)は線状、分枝または置換C_(8)?C_(18)アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、エーテルまたはグリシチルエーテル部分であり、R^(2)はC_(1)?C_(3)アルキル部分であり、R^(3)およびR^(4)は独立に変化でき且つ水素、メチルおよびエチルから選ばれ、Xは陰イオンであり、AおよびA′は独立に変化でき且つ各々C_(1)?C_(4)アルコキシであり、pおよびqは独立に変化でき且つ1?30の範囲内の整数である)
のビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤を含み且つ(c)対(a)の重量比は約1:11から約1:14の範囲内であることを特徴とする、組成物。」

イ2 「ビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤
・・・完成洗濯洗剤組成物を調製するために使用するビス-AQA界面活性剤の量は、0.3?4重量%、好ましくは0.5?2重量%、より好ましくは0.8?1.2重量%であることができる。」(第9頁第17行?第10頁第12行)

ウ2 「非AQA洗剤界面活性剤
ビス-AQA界面活性剤に加えて、本発明の組成物は、好ましくは、非AQA界面活性剤を更に含む。非AQA界面活性剤としては、本質上いかなる陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または追加の陽イオン界面活性剤も挙げてもよい。
陰イオン界面活性剤
典型的には1?55重量%の量でここで有用な陰イオン界面活性剤の非限定例としては、通常のC_(11)?C_(18)アルキルベンゼンスルホネート(「LAS」)および第一級(「AS」)、分枝鎖およびランダムC_(10)?C_(20)アルキノサルフェート、式CH_(3)(CH_(2))_(x)(CHOSO_(3)^(-)M^(+))CH_(3)およびCH_(3)(CH_(2))_(y)(CHOSO_(3)^(-)M^(+))CH_(2)CH_(3)(式中、xおよび(y+1)は少なくとも7、好ましくは少なくとも9の整数であり、Mは水溶化陽イオン、特にナトリウムである)のC_(10)?C_(18)第二級(2,3)アルキノサルフェート、不飽和サルフェート、例えば、オレイノサルフェート、C1_(2)?C_(18)α-スルホン化脂肪酸エステル、C_(10)?C_(18)硫酸化ポリグリコシド、C_(10)?C_(18)アルキルアルコキシサルフェート(「AE_(x)S」;特にEO1?7エトキシサルフェート)、およびC_(10)?C_(18)アルキルアルコキシカルボキシレート(特にEO1?5エトキシカルボキシレート)が挙げられる。C_(12)?C_(18)ベタインおよびスルホベタイン(「スルタイン」)、C_(10)?C_(18)アミンオキシドも、全組成物に配合できる。通常のC_(10)?C_(20)石鹸も、使用してもよい。高起泡性が望まれるならば、分枝鎖C_(10)?C_(16)石鹸は、使用してもよい。他の通常の有用な界面活性剤は、標準のテキストに記載されている。
非イオン界面活性剤
典型的には1?55重量%の量でここで有用な非イオン界面活性剤の非限定例としては、アルコキシル化アルコール(AE)およびアルキルフェノール、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(PFAA)、アルキルポリグリコシド(APG)、C_(10)?C_(18)グリセロールエーテルが挙げられる。」(第21頁第3?28行)

エ2 「任意の洗剤成分
下記のものは、本発明の組成物で使用してもよい各種の他の任意成分を例示するが、限定しようとはしない。」(第26頁第1?3行)

オ2 「高分子防汚剤
既知の高分子防汚剤(以下「SRA」または「SRA類」)は、場合によって、本発明の洗剤組成物で使用できる。利用するならば、SRAは、一般に、組成物の0.01?10.0重量%、典型的には0.1?5重量%、好ましくは0.2?3.0重量%を占めるであろう。
・・・
好ましいSRAとしては、オリゴマーテレフタル酸エステル、典型的にはしばしばチタン(IV)アルコキシドなどの金属触媒を使用しての少なくとも1つのエステル交換/オリゴマー化を包含する方法によって製造されるオリゴマーテレフタル酸エステルが挙げられる。・・・
また、SRAとしては、エチレンテレフタレートまたはプロピレンテレフタレートとポリエチレンオキシドテレフタレートまたはプロピレンオキシドテレフタレートとの単純な共重合体ブロック(ヘイズに1976年5月25日発行の米国特許第3,959,230号明細書およびバサダーに1975年7月8日発行の米国特許第3,893,929号明細書参照)・・・他のSRAは、平均分子量300?5,000のポリオキシエチレングリコールに由来するポリオキシエチレンテレフタレート90?80重量%と一緒にエチレンテレフタレート10?15重量%を含有する反復単位を有するポリエステルである。市販の例としては、デュポンからのゼルコン(ZELCON)5126およびICIからのミリーズ(MILEASE)Tが挙げられる。」(第48頁第15行?第51頁第2行)

カ2 「液体洗剤組成物は、担体として水および他の溶媒を含有できる。メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールによって例証される低分子量第一級または第二級アルコールが、好適である。一価アルコールが界面活性剤を可溶化するのに好ましいが、ポリオール、例えば、2?6個の炭素原子および2?6個のヒドロキシ基を含有するもの(例えば、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン、および1,2-プロパンジオール)も、使用できる。組成物は、このような担体5%?90%、典型的には10%?50%を含有してもよい。
本発明の洗剤組成物は、好ましくは、水性クリーニング操作での使用時に、洗浄水がpH 6.5?11、好ましくは7.5?10.5を有するように処方するであろう。液体皿洗い製品処方物は、好ましくは、pH 6.8?9.0を有する。洗濯製品は、典型的には、pH 9?11である。pHを推奨使用レベルに制御するための技術は、緩衝剤、アルカリ、酸などの使用を包含し、当業者に公知である。」(第69頁第13?26行)

キ2 「文献には、各種の窒素含有陽イオン界面活性剤が各種のクリーニング組成物で有用であろうことが示唆されている。このような物質(典型的にはアミノ、アミド、または第四級アンモニウムまたはイミダゾリニウム化合物の形)は、しばしば、特殊な用途に設計されている。例えば、各種のアミノおよび第四級アンモニウム界面活性剤は、シャンプー組成物で使用することが示唆されており且つ化粧上の利益をヘアに与えると言われている。他の窒素含有界面活性剤は、布帛柔軟化および帯電防止上の利益を与えるために洗濯洗剤で使用されていることもある。しかしながら、大部分の場合には、このような物質の商業的な用途は、このような化合物の大規模生産において遭遇する困難によって限定されてきた。更なる限定は、陽イオン界面活性剤とのイオン相互作用によって引き起こされる洗剤組成物の陰イオン活性成分の潜在的な沈殿であった。前記非イオン界面活性剤および陰イオン界面活性剤は、今日の洗濯組成物で界面活性剤の主成分のままである。
特定のビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)化合物は、通常遭遇する各種の汚れおよびしみ型、特に疎水性汚れおよび石灰石鹸デポジット上での洗浄力性能を増進するために各種の洗剤組成物で使用できることが見出された。本発明のビス-AQA界面活性剤は、公知の陽イオン界面活性剤以上に実質的な利益を処方業者に与える。例えば、ここで使用するビス-AQA界面活性剤は、通常遭遇する「日常の」グリース/油疎水性汚れのクリーニングの顕著な改善を与える。更に、ビス-AQA界面活性剤は、洗剤組成物で常用されている陰イオン界面活性剤、例えば、アルキルサルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネートと相容性である。洗剤組成物の陰イオン成分との不相容性は、通常、今日までのところ陽イオン界面活性剤の使用における限定因子であった。少量(洗濯液中で3ppmと同じ位)のビス-AQA界面活性剤は、ここに記載の利益を与える。ビス-AQA界面活性剤は、5?12の広いpH範囲にわたって処方できる。ビス-AQA界面活性剤は、ポンプ供給できるため製造プラントで取扱いやすい30%(重量)溶液として調製できる。5より大きいエトキシ化度を有するビス-AQA界面活性剤は、時々、液体形で存在し、それゆえ100%ニート物質として与えることができる。有益な取扱性に加えて、高濃縮溶液としてのビス-AQA界面活性剤の入手性は、輸送コストで実質的な経済的利点を与える。
更に、汚れ分散剤重合体とビス-AQA界面活性剤とを含有する組成物はいずれかのテクノロジー単独を含有する製品と比較して追加の優れたクリーニングおよび白色度性能を与えることができることも見出された。特に、粘土/泥汚れ並びにソックスで見出される汚れ上で洗浄力性能の増進がある。高分子分散剤は、結晶成長抑制、粒子汚れ放出ペプチゼーション、再付着防止および汚れ可溶化によって全洗浄力を高める。理論によって限定しようとはしないが、ビス-AQA/汚れ分散剤重合体系の利益は、(1)AQAがしみ表面上に作用して石灰石鹸形成を最小限にし且つ存在するカルシウム石鹸を浮き上げ、それによって改善された重合体付着を容易にすること;(2)AQAが汚れの深くまで可溶化を与える一方、重合体は「グリース除去シャトル」として作用してAQA可溶化しみ成分を取り除き且つ洗浄液に分散させることの結果であると考えられる。」(第5頁第7行?第6頁第20行)

(iii)甲3には、以下の事項が記載されている。
ア3 「[請求項1]
a)有効量の重合体状発泡安定剤{・・・}、
b)洗浄界面活性剤、および
c)残りの部分を構成するキャリヤーおよび他の補助成分
を含んでなることを特徴とする、洗剤組成物。」

イ3 「[0106]
本発明の洗浄界面活性剤には、洗浄剤として使用するのに公知である陰イオン系、非イオン系、陽イオン系、双性イオン系または両性(amphoteric)の界面活性剤が挙げられるが、完全に発泡しない、または完全に不溶性の界面活性剤は含まない(ただし、これらの材料は別の所望により使用する補助成分として使用できる)。
・・・
[0119]
両性または双性イオン系洗浄界面活性剤は、存在する場合、通常は洗剤組成物の約0.1?約20重量%の量で効果的である。その量は、特に両性界面活性剤が効果である場合、約5%までに限られることが多い。」

(iv)甲4には、以下の事項が記載されている。
ア4 「(7)両性界面活性剤
水に溶けたときに、アルカリ性領域では陰イオン界面活性剤の性質を、酸性領域では陽イオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤。殺菌性や起泡性を高める補助剤として使用される。」(第57頁第1?3行)

イ 甲1及び甲2に記載された発明
(ア)甲1に記載された発明
甲1の上記摘示「ア1」の[請求項1]には、「(a)ポリアミン系化合物(a1)及びポリオキシアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレートもしくはこれらの共重合体(a2)から選ばれる一種以上並びに(b)水溶性抗菌性化合物を含有する液体洗浄剤組成物」が記載されており、上記摘示「イ1」には、「液体洗浄剤に抗菌性化合物を配合する試みがなされている」が、「このような組成物は貯蔵安定性に優れるものの抗菌効果が十分ではなく、特に靴下等のひどい粒子汚れが付着した衣料に塗布洗浄を行っても期待される抗菌効果が得られなかった」ことを受けて、「洗浄効果及び抗菌効果に優れた液体洗浄剤組成物、特に抗菌性洗浄剤組成物を提供すること」を課題とする発明であることが記載されているから、上記液体洗浄剤組成物は、衣料等の繊維製品を洗浄するためのものといえる。
そして、上記液体洗浄剤組成物の実施例が、上記摘示「オ1」の段落[0044][表1]に記載されているが、この「本発明品3」として、成分a-3(ポリエチレンテレフタレート-ポリオキシエチレンテレフタレート共重合体(平均分子量2200、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエチレンテレフタレートのモル比3:1、段落[0035])を0.5重量%、成分b-3(化合物名で表せば、1-ドデシルピリジニウムクロリド、段落[0036])を5重量%、成分c-3(炭素数16のゲルベタイプアルコールにエチレンオキシドを平均10モル付加させたもの、段落[0037])を45重量%、成分d-1(アルキル基の炭素数12?14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、段落[0037])を1重量%、成分e-1(亜硫酸ナトリウム、段落[0037])を0.1重量%、成分f-1(クエン酸、段落[0037])を1重量%、成分g-1(ジエタノールアミン、段落[0037])を5重量%、成分g-2(水酸化ナトリウム、段落[0037])を0.1重量%、エタノールを5重量%、イオン交換水を残部とし、pH(20℃)が10である液体洗浄剤組成物が記載されており、上記摘示「オ1」に記載されているように、「モデル粒子汚染布」([0038]及び「人工汚染布」(「0040」)を洗浄することにより、抗菌性及び脱脂率を評価したことが記載されている。
以上を踏まえると、甲1には、上記「本発明品3」を基にした、
「成分a-3(ポリエチレンテレフタレート-ポリオキシエチレンテレフタレート共重合体(平均分子量2200、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエチレンテレフタレートのモル比3:1))を0.5重量%と、成分b-3(1-ドデシルピリジニウムクロリド)を5重量%と、成分c-3(炭素数16のゲルベタイプアルコールにエチレンオキシドを平均10モル付加させたもの)を45重量%と、成分d-1(アルキル基の炭素数12?14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を1重量%と、を含有し、20℃におけるpHが10である、繊維製品用液体洗浄剤組成物。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(イ)甲2に記載された発明
甲2の上記摘示「ア2」の特許請求の範囲1には、「(a)汚れ分散剤重合体、
(b)非AQA界面活性剤、および
(c)式(省略)
のビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤を含み且つ(c)対(a)の重量比は約1:11から約1:14の範囲内である、組成物。」が記載されており、上記摘記「キ2」には、従来、「各種の窒素含有陽イオン界面活性剤が各種のクリーニング組成物で有用であろうことが示唆されて」いたが、「陽イオン界面活性剤とのイオン相互作用によって引き起こされる洗剤組成物の陰イオン活性成分の潜在的な沈殿」等の課題があることにより、利用が限定されてきたこと、及び、上記特定の「ビス-AQA」化合物は、「通常遭遇する各種の汚れおよびしみ型、特に疎水性汚れおよび石灰石鹸デポジット上での洗浄力性能を増進するために各種の洗剤組成物で使用できることが見出され」、さらに、「ビス-AQA界面活性剤は、洗剤組成物で常用されている陰イオン界面活性剤・・・と相溶性」であり、加えて、「汚れ分散剤重合体とビス-AQA界面活性剤とを含有する組成物はいずれかのテクノロジー単独を含有する製品と比較して追加の優れたクリーニングおよび白色度性能を与えることができ」、「特に、粘土/泥汚れ並びにソックスで見出される汚れ上で洗浄力性能の増進がある」ことが記載されているから、上記組成物は、ソックス等の繊維製品のための洗剤組成物として用いることができるものといえる。
また、上記摘示「ウ2」には、上記「非AQA界面活性剤」としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または追加の陽イオン界面活性剤を挙げてよいこと、陰イオン界面活性剤は典型的には1?55重量%の量で配合できること、陰イオン界面活性剤の例としてC_(12)?C_(18)ベタインおよびスルホベタインも配合できること、及び非イオン界面活性剤は典型的には1?55重量%の量で配合できることが記載され、上記摘示「イ2」には、上記陽イオン界面活性剤の量は0.8?1.2重量%であることが記載されている。
そして、上記摘示「エ2」に記載される、本発明の組成物で使用しても良い各種の他の任意成分として、上記摘示「オ2」に、0.2?3.0重量%の高分子防汚剤を使用することが記載され、さらに、高分子防汚剤として、「オリゴマーテレフタル酸エステル」、「エチレンテレフタレートまたはプロピレンテレフタレートとポリエチレンオキシドテレフタレートまたはプロピレンオキシドテレフタレートとの単純な共重合体ブロック」及び「平均分子量300?5,000のポリオキシエチレングリコールに由来するポリオキシエチレンテレフタレート90?80重量%と一緒にエチレンテレフタレート10?15重量%を含有する反復単位を有するポリエステル」等が記載されている。
加えて、上記摘示「カ2」の記載によれば、上記洗剤組成物は、液体洗剤組成物であり、水性クリーニング操作での使用時に、洗浄水がpH6.5?11を有するように処方されるものであり、洗濯製品としての処方では、典型的には、pH9?11である。
以上を踏まえると、甲2には、
「ビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤を0.8?1.2重量%と、オリゴマーテレフタル酸エステル等の高分子防汚剤を0.2?3.0重量%と、陰イオン界面活性剤を1?55重量%と、非イオン界面活性剤を1?55重量%とを配合し、水性クリーニング操作での使用時に、洗浄水のpHが9?11である、繊維製品用液体洗濯洗剤組成物。」(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

ウ 甲1発明を主発明とする進歩性の判断
(ア)本件発明1について
(ア-1)本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「成分a-3(ポリエチレンテレフタレート-ポリオキシエチレンテレフタレート共重合体(平均分子量2200、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエチレンテレフタレートのモル比3:1))」は、本件発明1における「(B)成分:アルキレンテレフタレート単位・・・より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマー」と共通の繰り返し単位を有するポリマーであり、その配合割合は両者で重複している。
甲1発明における「成分b-3(1-ドデシルピリジニウムクロリド)」は、本件発明1における「カチオン界面活性剤」に相当し、その配合割合は両者で重複している。
甲1発明における「成分c-3(炭素数16のゲルベタイプアルコールにエチレンオキシドを平均10モル付加させたもの)」は、本件発明1における「ノニオン界面活性剤」に相当する。
甲1発明における「成分d-1(アルキル基の炭素数12?14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)」は、本件発明1における「アニオン界面活性剤」に相当し、その配合割合は両者で重複している。
また、甲1発明における「繊維製品用液体洗浄剤組成物」は、本件発明1における「繊維製品用液体洗浄剤」に相当する。
そうすると、両者は、
「(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位からなる繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
アニオン界面活性剤を0.12?9質量%と、
ノニオン界面活性剤と、を含有する、繊維製品用液体洗浄剤。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。
相違点1:(A)成分のカチオン界面活性剤が、本件発明1においては「一般式(A-1)または一般式(A-3)で表される化合物」であるのに対し、甲1発明においては「成分b-3(1-ドデシルピリジニウムクロリド)」である点
相違点2:(B)成分が、本件発明1においては、一般式(b1-1)で表される繰り返し単位(b1)の繰り返し数が1?10であり、一般式(b2-1)で表される繰り返し単位(b2)の繰り返し数が5?150であり、(B)成分の重量平均分子量は500?10000であることが特定されているのに対し、甲1発明においては「成分a-3(ポリエチレンテレフタレート-ポリオキシエチレンテレフタレート共重合体(平均分子量2200、ポリエチレンテレフタレートとポリオキシエチレンテレフタレートのモル比3:1))」である点
相違点3:本件発明1は、一般式(C-1)で表される(C)成分の両性界面活性剤を0.01?1質量%含有するのに対し、甲1発明はそのような成分を含有しない点
相違点4:ノニオン界面活性剤の含有割合が、本件発明1においては1?18質量%であるのに対し、甲1発明においては45重量%である点
相違点5:pH条件が、本件発明1においては「25℃におけるpHが4?7である」のに対し、甲1発明においては「20℃におけるpHが10である」点

そこで、事案に鑑み、まず、上記相違点5について検討する。

(ア-2)相違点5について
甲1発明は、pHが10というアルカリ性のpH条件に調整されたものであるところ、甲1の上記摘示「ウ1」にも、「組成物のpH(20℃)は8?11、好ましくは9?11が洗浄性能の点から望ましい。」と記載されていることから、甲1発明のpH条件を甲1の記載に基づいて調整することができるとしても、アルカリ性のpH条件内で調整することが望ましいとされるものであり、この点において、上記相違点5に係る、弱酸性?中性に当たるpH4?7のpH条件を採用することは、当業者が動機付けられることではない。
そうすると、上記相違点5は、甲1及び甲3等に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものではないと認められる。

(ア-3)本件発明1についてのまとめ
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、いずれも本件発明1の構成要件をすべて備え、さらに、本件発明1における(C)成分のモル比又は質量比が特定された発明である。
そこで、本件発明2、3と甲1発明とを対比、検討すると、本件発明1と同様の理由により、両者は少なくとも上記相違点5の点で実質的に相違するものであり、当該相違点については、甲1及び甲3等に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることができない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2及び3は、いずれも甲1発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)甲1発明を主発明とする場合のまとめ
以上のとおり、本件発明1?3は、いずれも甲1発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

エ 甲2発明を主発明とする進歩性の判断
(ア)本件発明1について
(ア-1)本件発明1と甲2発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「ビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤」は、甲2の上記摘示「ア2」に記載された定義によると、窒素原子にC_(1)?C_(4)アルコキシ基(A及びA’)が1?30の範囲の個数(p及びq)結合した化学構造を備えているが、本件発明1の(A)成分であるカチオン界面活性剤を表す一般式(A-1)及び(A-3)の定義では、窒素原子に結合する基はいずれもアルコキシ基を選択肢としていないから、両者は化学構造が異なる化合物であることが明らかであるが、「陽イオン界面活性剤」の一種である点で、本件発明1における「カチオン界面活性剤」と共通し、その配合割合は両者で重複している。
甲2発明における「オリゴマーテレフタル酸エステル等の高分子防汚剤」は、甲2の上記摘示「オ2」に「エチレンテレフタレートまたはプロピレンテレフタレートとポリエチレンオキシドテレフタレートまたはプロピレンオキシドテレフタレートとの単純な共重合体ブロック」や、「平均分子量300?5,000のポリオキシエチレングリコールに由来するポリオキシエチレンテレフタレート90?80重量%と一緒にエチレンテレフタレート10?15重量%を含有する反復単位を有するポリエステル」が例示されていることを参酌すると、本件発明1における「(B)成分:アルキレンテレフタレート単位・・・より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマー」と共通の繰り返し単位を有するポリマーであり、その配合割合は両者で重複している。
甲2発明における「陰イオン界面活性剤」は、本件発明1における「アニオン界面活性剤」に相当し、その配合割合は両者で重複している。
甲2発明における「非イオン界面活性剤」は、本件発明1における「ノニオン界面活性剤」に相当し、その配合割合は両者で重複している。
また、甲2発明における「繊維製品用液体洗濯洗剤組成物」は、本件発明1における「繊維製品用液体洗浄剤」に相当する。
そうすると、両者は、
「(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位からなる繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
アニオン界面活性剤を0.12?9質量%と、
(C)成分:両性界面活性剤と、
アニオン界面活性剤と、
ノニオン界面活性剤と、を含有する、繊維製品用液体洗浄剤。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。
相違点1’:(A)成分のカチオン界面活性剤が、本件発明1においては「一般式(A-1)または一般式(A-3)で表される化合物」であるのに対し、甲2発明においては「ビス-アルコキシ化第四級アンモニウム(ビス-AQA)陽イオン界面活性剤」である点
相違点2’:(B)成分が、本件発明1においては、一般式(b1-1)で表される繰り返し単位(b1)の繰り返し数が1?10であり、一般式(b2-1)で表される繰り返し単位(b2)の繰り返し数が5?150であり、(B)成分の重量平均分子量は500?10000であることが特定されているのに対し、甲2発明においては(b1)及び(b2)に当たる繰り返し数及び重量平均分子量が明らかではない点
相違点3’:(C)成分の両性界面活性剤について、本件発明1は、一般式(C-1)で表される化合物を0.01?1質量%含有するのに対し、甲2発明はそのような化合物をそのような割合で含有するものか明らかでない点
相違点4’:アニオン界面活性剤の含有割合が、本件発明1においては0.12?9質量%であるのに対し、甲2発明においては、「C_(12)?C_(18)ベタインおよびスルホベタイン」を含み得る割合で、1?55重量%である点
相違点5’:ノニオン界面活性剤の含有割合が、本件発明1においては1?18質量%であるのに対し、甲2発明においては1?55重量%である点
相違点6’:繊維製品用液体洗浄剤のpH条件が、本件発明1においては「25℃におけるpHが4?7である」のに対し、甲2発明においては「水性クリーニング操作での使用時に、洗浄水のpHが9?11である」点

そこで、事案に鑑み、まず上記相違点1’について検討する。

(ア-2)相違点1’について
甲2の上記摘示「キ2」には、従来技術の窒素含有陽イオン界面活性剤(第四級アンモニウム化合物等)は、「陽イオン界面活性剤とのイオン相互作用によって引き起こされる洗剤組成物の陰イオン活性成分の潜在的な沈殿」等の課題があることにより、利用が限定されてきたこと、及び、上記特定の「ビス-AQA」陽イオン界面活性剤は、「通常遭遇する各種の汚れおよびしみ型、特に疎水性汚れおよび石灰石鹸デポジット上での洗浄力性能を増進するために各種の洗剤組成物で使用できることが見出され」、さらに、「ビス-AQA界面活性剤は、洗剤組成物で常用されている陰イオン界面活性剤・・・と相溶性」であり、加えて、「汚れ分散剤重合体とビス-AQA界面活性剤とを含有する組成物はいずれかのテクノロジー単独を含有する製品と比較して追加の優れたクリーニングおよび白色度性能を与えることができ」、「特に、粘土/泥汚れ並びにソックスで見出される汚れ上で洗浄力性能の増進がある」ことが記載されているから、甲2発明は、上記摘示「ア2」に定義されたようなC_(1)?C_(4)アルコキシ基を有するという化学構造上の特徴を有する「ビスーAQA」陽イオン界面活性剤を用いることにより、上記摘示「キ2」に記載されたような従来技術の課題を解決しようとする発明であると解することができる。
そうすると、甲2発明において、C_(1)?C_(4)アルコキシ基を有する「ビス-AQA」は必須の陽イオン界面活性剤であるから、C_(1)?C_(4)アルコキシ基を持たない点で化学構造が異なる第四級アンモニウム化合物である、上記相違点1’に係る本件発明1の一般式(A-1)又は(A-3)で表される化合物を採用することは、甲2発明の課題解決の観点から当業者が動機付けられることではない。

(ア-3)本件発明1についてのまとめ
上記相違点1’は、取消理由通知で引用された甲3等の記載を参照しても当業者が容易に想到することができたものとすることができない相違点である。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、いずれも本件発明1の構成要件をすべて備え、さらに、本件発明1における(C)成分のモル比又は質量比が特定された発明である。
そこで、本件発明2、3と甲2発明とを対比、検討すると、本件発明1と同様の理由により、両者は少なくとも上記相違点1’の点で実質的に相違するものであり、当該相違点については、甲2及び甲3等に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものとすることができない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2及び3は、いずれも甲2発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)甲2発明を主発明とする場合のまとめ
以上のとおり、本件発明1?3は、いずれも甲2発明及び甲3等に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

オ 理由2(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1?3は、いずれも甲1に記載された発明、及び甲3、4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、いずれも甲2に記載された発明、及び甲3に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
よって、取消理由通知に記載した理由2(進歩性)の理由によって、本件請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。

6.特許異議申立理由について
申立人が申し立てた申立理由1(サポート要件違反)は、取消理由通知に記載した理由1(サポート要件)に相当し、申立理由2(甲第1号証を主引用例とする進歩性違反、及び甲第2号証を主引用例とする進歩性違反)は、取消理由通知に記載した理由2(進歩性)に相当するから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由はない。

7.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:カチオン界面活性剤を0.2?10質量%と、
(B)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも一種の繰り返し単位(b1)並びにオキシアルキレン単位(b2)を有するポリマーを0.05?5質量%と、
(C)成分:両性界面活性剤を0.01?1質量%と、
アニオン界面活性剤を0.12?9質量%と、
ノニオン界面活性剤を1?18質量%と、
を含有し、
前記(A)成分が下記の一般式(A-1)または一般式(A-3)で表される化合物であり、
【化1】

[式(A-1)中、R^(1)?R^(4)のうちの2つ以上は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、それ以外は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
【化2】

[式(A-3)中、R^(7)及びR^(8)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基であり、R^(9)は、炭素数8?22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R^(10)は、炭素数1?3のアルキレン基である。Z^(-)は、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
前記繰り返し単位(b1)が下記の一般式(b1-1)であり、前記繰り返し単位(b2)が下記の一般式(b2-1)であり、
【化3】

[式(b1-1)中、R^(21)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
【化4】

[式(b2-1)中、R^(23)は、炭素数2?4のアルキレン基である。]
前記(B)成分における前記繰り返し単位(b1)の繰り返し数は1?10であり、前記繰り返し単位(b2)の繰り返し数は5?150であり、
前記(B)成分の重量平均分子量は500?10000であり、
前記(C)成分が下記の一般式(C-1)で表される化合物であり、
【化5】

[式(C-1)中、R^(31)は、炭素数8?18の炭化水素基である。R^(32)は及びR^(33)は、それぞれ独立して炭素数1?3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R^(34)は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1?5のアルキレン基である。R^(34)-R^(35)は、R^(34)-SO_(3)^(-)、R^(34)-OSO_(3)^(-)、又はR^(34)-COO^(-)である。R^(37)は、炭素数1?6のアルキレン基である。-R^(36)-R^(37)-は、-C(=O)O-R^(37)-、-C(=O)NH-R^(37)-、-OC(=O)-R^(37)-、-NHC(=O)-R^(37)-、又は-O-R^(37)-である。jは、0又は1の数である。]
25℃におけるpHが4?7である、繊維製品用液体洗浄剤。
【請求項2】
(C)成分/(A)成分で表されるモル比が0.01?2.50である、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
【請求項3】
(C)成分/(B)成分で表される質量比が0.01?4.93である、請求項1または2に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-02-14 
出願番号 特願2014-84754(P2014-84754)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C11D)
P 1 651・ 121- YAA (C11D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古妻 泰一  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 天野 宏樹
蔵野 雅昭
登録日 2017-11-10 
登録番号 特許第6238451号(P6238451)
権利者 ライオン株式会社
発明の名称 繊維製品用液体洗浄剤  
代理人 志賀 正武  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 加藤 広之  
代理人 鈴木 三義  
代理人 鈴木 三義  
代理人 高橋 詔男  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 高橋 詔男  
代理人 加藤 広之  
代理人 志賀 正武  
代理人 田▲崎▼ 聡  

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