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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F16L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F16L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F16L
管理番号 1350639
異議申立番号 異議2017-701196  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-18 
確定日 2019-02-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6149997号発明「真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6149997号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5?13〕について訂正することを認める。 特許第6149997号の請求項1?5、7?13に係る特許を維持する。 特許第6149997号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6149997号の請求項1?13に係る特許についての出願は、平成28年9月30日(優先権主張平成28年7月21日)に出願され、平成29年6月2日にその特許権の設定登録がされ、平成29年6月21日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成29年12月18日 :特許異議申立人赤松智信(以下、「異議申立人
」という。)による請求項1?13に係る特許
に対する特許異議の申立て
平成30年3月29日付け:取消理由通知書
平成30年6月4日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
平成30年8月24日付け:特許法第120条の5第5項の通知書
平成30年9月27日 :異議申立人による意見書の提出
平成30年11月5日付け:訂正拒絶理由通知書
平成30年12月7日 :特許権者による意見書の提出

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
平成30年6月4日に提出された訂正請求書での訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であり、」と記載されているのを、「前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項7?13も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に、「前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であり、」と記載されているのを、「前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項7?13も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に、「請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」とあるのを、「請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に、「請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」とあるのを、「請求項1から請求項5、および請求項7から請求項8のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に、「請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」とあるのを、「請求項1から請求項5、および請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に、「請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」とあるのを、「請求項1から請求項5、および請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12に、「請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材」とあるのを、「請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13に、「請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品」とあるのを、「請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品」に訂正する。

本件訂正請求は、一群の請求項〔1、5?13〕についてされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的
訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明において、発明特定事項である「引張弾性率」の数値範囲の上限を低くすることにより、数値範囲を狭くしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項1に係る「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内」という事項は、願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の段落【0013】の「本開示の真空断熱材用外包材は、前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、2.0GPa以下であってもよい。」との記載に基づくものであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(イ)訂正事項1に関し、異議申立人は、平成30年9月27日に提出の意見書の第7頁第18行?第8頁第24行において、概略次のとおり主張する。
本件明細書の段落【0026】の記載内容からすれば、本件明細書には、「金属箔をガスバリアフィルムとして用いる場合は、外包材の引張弾性率は、2.0GPa以下であること」が記載されているのであって、金属箔をガスバリアフィルムとして用いない場合、すなわち、無機化合物を含むガスバリア層とを有する積層体をガスバリアフィルムとして用いる場合は、外包材の引張弾性率は、2.0GPa以上であることが記載されているのである。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(ウ)異議申立人の上記主張は、結局は、訂正事項1によって訂正後の請求項1に係る発明に含まれる、真空断熱材用外包材において、金属箔をガスバリアフィルムとして用いなくても、引張弾性率が1.0GPa以上、2.0GPa以下であるという技術的事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないというものである。
以下、この点について検討する。
訂正後の請求項1に係る発明における引張弾性率については、真空断熱材用外包材について、柔らかすぎないこと及び微小なクラックや微小なピンホールを発生を防ぐことという強度上の観点から、外包材の強度を示す物性値としての引張弾性率について着目し、その上限値及び下限値を定めたものと理解できる(本件明細書段落【0026】?【0028】)。
ここで、真空断熱材用外包材の一部要素であるガスバリアフィルムを構成する層の材質などによって設定(想定)しやすい引張弾性率の範囲があるといいうるかもしれない。しかしながら、請求項1に係る発明においては、真空断熱材用外包材自体の強度上の観点からその引張弾性率の望ましい範囲(上限値及び下限値)を設定しているのであって、当該望ましい範囲は、真空断熱材用外包材の一部要素であるガスバリアフィルムを構成する層の材質などによって違いが生じる、すなわち、ガスバリアフィルムを構成する層が金属箔であるか、樹脂基材と無機化合物から構成されているかによって違いが生じるものではない(なんとなれば、強度は引張弾性率で決定されるものであるといえるから)と解すべきである。
したがって、訂正事項1によって訂正後の請求項1に係る発明に含まれる、真空断熱材用外包材において、金属箔をガスバリアフィルムとして用いなくても、引張弾性率が1.0GPa以上、2.0GPa以下であるという技術的事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項との関係において、なんら新たな技術的事項を導入するものとはいえず、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。
よって、異議申立人の上記主張は採用できない。
ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明における、真空断熱材用外包材の引張弾性率の数値範囲を、訂正後の請求項1に係る発明のおいてさらに限定するものであり、カテゴリー変更や対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2
ア.訂正の目的
訂正事項2は、訂正後の請求項5に係る発明において、発明特定事項である「引張弾性率」の数値範囲の上限を低くすることにより、数値範囲を狭くしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の追加の有無
訂正事項2に係る「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内」という事項は、本件明細書の段落【0013】の「本開示の真空断熱材用外包材は、前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、2.0GPa以下であってもよい。」との記載に基づくものであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正前の請求項5に係る発明における、真空断熱材用外包材の引張弾性率の数値範囲を、訂正後の請求項1に係る発明のおいてさらに限定するものであり、カテゴリー変更や対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなしたものであるといえ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4?9
訂正事項4?9は、訂正の対象となる多数項を引用している請求項について、引用請求項数を削減する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなしたものであるといえ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)小括
上記のとおり、訂正事項1?9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5?13〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求は上記のとおり認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1?5及び7?13に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明5」及び「本件発明7」?「本件発明13」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?5及び7?13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である、真空断熱材用外包材。
【請求項2】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内であり、
前記ガスバリアフィルムが、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、無機化合物を含むガスバリア層とを有する、真空断熱材用外包材。
【請求項3】
前記ガスバリア層の前記樹脂基材とは反対の面側に、無機化合物を含むオーバーコート層を有することを特徴とする請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項4】
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、2.0GPa以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項5】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内であり、
前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する、真空断熱材用外包材。
【請求項7】
前記真空断熱材用外包材が、2枚以上のガスバリアフィルムを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項8】
前記真空断熱材用外包材が、3枚以上のガスバリアフィルムを有することを特徴とする請求項7に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項9】
前記熱溶着可能なフィルムが、無機化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項8のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項10】
前記真空断熱材用外包材が、前記ガスバリアフィルムの前記熱溶着可能なフィルムとは反対の面側に、無機化合物を含む保護フィルムを有することを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項11】
前記真空断熱材用外包材が、無機化合物を含む接着層を有することを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項12】
芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材は、請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材。
【請求項13】
熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、
前記真空断熱材用外包材は、請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品。」

第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1?13に係る特許に対して、当審が平成30年3月29日に特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。

[取消理由1]本件特許の請求項1、5、6、12及び13に係る発明は、その優先日前の本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
[取消理由2]本件特許の請求項1?4、7?13に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。


引用文献
1:特開2016-84827号公報(異議申立人が提出した甲第1号証)
2:特開2009-274395号公報(同甲第2号証)
3:特開2013-103343号公報(同甲第3号証)
4:「食品包装用複合フィルム便覧」、日本食品出版株式会社、
1997年3月 初版発行、139頁(同甲第4号証)

(2)引用文献の記載事項及び発明
ア.引用文献1の記載事項
引用文献1には、「真空断熱材用外装材および真空断熱材」に関し、図面とともに以下の記載がある。
(1a)「【0001】
本発明は、低温環境下において高い耐久性を示すことが可能な真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築、貯蔵庫等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
【0003】
真空断熱材は、一般に、対向させた2枚の外装材の周縁を熱で溶着させて袋体とし、その中に発泡樹脂や繊維材等の芯材を入れ、脱気して内部を真空状態とし、袋体の開口を封止して密閉することで形成されている。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることから、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。」
(1b)「【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低温環境下において層間剥離が生じにくく、高い耐久性を示すことが可能な真空断熱材用外装材、およびそれを用いた真空断熱材を提供することを主目的とする。」
(1c)「【0017】
A.真空断熱材用外装材
まず、本発明の真空断熱材用外装材について説明する。本発明の真空断熱材用外装材は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材に用いられる真空断熱材用外装材であって、上記真空断熱材用外装材は、ガスバリア層、上記ガスバリア層の一方の面上に形成された層間接着層、および上記層間接着層の上記ガスバリア層が配置された側と反対側の面上に形成された熱溶着層を少なくとも有し、上記熱溶着層は、上記層間接着層と接する面のJIS K6768に基づいて測定される表面濡れ張力が35dyn/cm以上であることを特徴とするものである。」
(1d)「【0026】
熱溶着層は、上記樹脂の他にアンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の他の材料を含むものであってもよい。」
(1e)「【0031】
2.層間接着層
本発明における層間接着層は、ガスバリア層の一方の面上に形成される層である。また、上記層間接着層は、ガスバリア層が形成された面と反対側の面上に熱溶着層が形成されることで、ガスバリア層と熱溶着層とを貼合させる機能を有する。
【0032】
層間接着層を構成する接着剤は、通常、主剤および硬化剤を含む2液硬化型の接着剤であるが、これに限定されない。例えば、主剤および主剤と混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性硬化剤を混ぜ合せた1液硬化型接着剤や、硬化剤および混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性主剤と硬化剤を混ぜ合わせた1液硬化型接着剤であってもよい。
【0033】
層間接着層を構成する接着剤としては、ガスバリア層と熱溶着層とを安定して接着することが可能な接着剤であればよく、ガスバリア層および熱溶着層の組成等に応じて適宜選択することができる。具体的には、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、無機ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を用いることができる。
【0033】
層間接着層を構成する接着剤としては、ガスバリア層と熱溶着層とを安定して接着することが可能な接着剤であればよく、ガスバリア層および熱溶着層の組成等に応じて適宜選択することができる。具体的には、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、無機ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を用いることができる。
【0034】
層間接着層を構成する接着剤は、硬化促進剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の任意の材料を含有していてもよい。
【0035】
層間接着層を構成する接着剤の融点としては、接着剤の種類にもよるが、200℃?600℃の範囲内であることが好ましく、中でも250℃?500℃の範囲内であることが好ましい。接着剤の融点を上記範囲内とすることにより、熱溶着層およびガスバリア層への層間接着層の濡れ性が良好となるため、熱溶着層およびガスバリア層に対して高い接着力を示すことができる。このため、本発明の真空断熱材用外装材が低温環境下で長期間曝されても、層間接着層および熱溶着層間、ならびに層間接着層およびガスバリア層間での層間剥離の発生を抑制することができる。また、ヒートサイクルが生じる環境下においても、同様に各層間での剥離の発生を抑制することができる。なお、上記接着剤の融点は、示差操作熱量測定(DSC)によって測定された値である。
【0036】
層間接着層の接着力としては、ガスバリア層および熱溶着層を安定して接着することが可能な大きさであればよく、例えば、1N/15mm以上、中でも1.5N/15mm以上、特に2N/15mm以上であることが好ましい。層間接着層の接着力を上記範囲内とすることにより、低温環境下において長期間曝されることで層間接着層の接着力が低下す
る場合であっても、層間剥離の発生を抑制することができるからである。なお、上記接着力はJIS Z1707に準拠して測定された値である。
【0037】
層間接着層の厚さとしては、所望の接着力を示すことが可能な厚さであればよく、層間接着層の組成等に応じて適宜設定することができる。通常、乾燥状態で0.1g/m^(2)?10g/m^(2)程度となる厚さであることが好ましい。
【0038】
層間接着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
【0039】
層間接着層は、上述した接着剤により形成されたシートやフィルムを用いてもよく、上述した接着剤を所望の溶媒に混ぜた塗布液を準備し、熱溶着層またはガスバリア層の一方の面に直接塗布し、乾燥および硬化させて形成してもよい。」
(1f)「【0048】
(1)保護層
一般に、真空断熱材用外装材は、ガスバリア層側の最表面に保護層を備えることから、本発明の真空断熱材用外装材においても、ガスバリア層側の最表面に保護層を有することが好ましい。
保護層は、本発明の真空断熱材用外装材を用いて芯材を覆い、真空断熱材を形成する際に、内部を保護する機能を有し、真空断熱材の表面を担う層となる。
【0049】
保護層を構成する材料としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂であればよく、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
【0050】
保護層はシートでもよく、一軸延伸または二軸延伸されたフィルムでもよい。また上記保護層は、単層であってもよく多層であってもよい。
【0051】
保護層の表面濡れ張力は特に限定されないが、層間接着層と接する熱溶着層やガスバリア層の表面濡れ張力と同様であることが好ましい。保護層と他の層との密着性が向上するため、保護層および他の層間における剥離の発生を抑制することができるからである。
保護層は、所望の表面濡れ張力を示すように表面処理が施されていてもよい。表面処理方法については、「1.熱溶着層」の項で説明した表面処理方法と同様とすることができる。
【0052】
保護層の厚さとしては、熱溶着層およびガスバリア層を保護することが可能な厚さであ
れば特に限定されず、例えば5μm?80μmの範囲内とすることが好ましい。
【0053】
保護層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、本発明の真空断熱材用外装材に要求される透明性に応じて適宜選択することができる。
【0054】
保護層は、ガスバリア層の熱溶着層を有する側と反対側に配置される。保護層とガスバリア層とは、通常、接着層を介して積層され、上記接着層としては上述の層間接着層を用いることができる。」
(1g)「【0088】
[実施例1]
以下の手順で真空断熱材用外装材を得た。
なお、実施例における表面濡れ張力および層間剥離強度は、以下の測定方法により測定した値とする。
(表面濡れ張力の測定方法)
JIS K6768に準拠する方法を用いた。
(層間剥離強度の測定方法)
JIS K6854-3「接着剤?はく離接着強さ試験方法 第3部:T形はく離」に基づき、インストロン・ジャパン株式会社製電気機械式万能試験機(型式:5565)を用いて、熱溶着層とガスバリア層との間の一部を予め剥離させた15mm幅の試験片を、常温環境下(25℃、湿度50RH%環境下)にて引張速度300mm/分でT形剥離を行った。
【0089】
(層間接着剤Aの調製)
層間接着剤Aとして、ポリエステルを主成分とする主剤と脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:10となるように混合し2液硬化型接着剤を調製した。
【0090】
(熱溶着層の表面処理)
熱溶着層Aとして、L-LDPEフィルム(三井化学東セロ社製 製品名:TSC、厚さ50μm)を用い、一方の面に対して春日電機社製コロナ処理機で表面処理を行った。熱溶着層Aの処理面における表面濡れ張力は35dyn/cmであった。
【0091】
(真空断熱材用外装材の積層)
第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:ONM)の易接着面に、上述の配合比で調製した層間接着剤Aを塗布量3.5g/m^(2)となるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥させて層間接着層を形成した。
次に、層間接着層上に、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:PET)をラミネートした。
次に、得られた2層フィルムの第2保護層面に、同様の方法で層間接着剤Aを塗布量3.5g/m2で塗布し乾燥させて層間接着層を形成し、上記層間接着層上にガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔(住軽アルミ箔株式会社製 製品名:1N30、表面濡れ張力:ツヤ面=30dyn/cm、ケシ面=56dyn/cm)をラミネートした。続いて、ガスバリア層のツヤ面に同様の方法で層間接着剤Aを塗布量3.5g/m^(2)で塗布し乾燥させて層間接着層を形成し、上記層間接着層上に、先に表面処理を施した熱溶着層Aの表面処理面がガスバリア層側に位置するようにしてラミネートし、真空断熱材用外装材Aを得た。なお、得られた真空断熱材用外装材Aにおいて、熱溶着層Aとガスバリア層との層間剥離強度は10N/15mmであった。」
(1h)「【0093】
[実施例3]
熱溶着層Cとして、CPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22 、厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材Cを得た。熱溶着層Cの処理面における表面濡れ張力は35dyn/cmであった。また、真空断熱材用外装材Cにおいて、熱溶着層Cとガスバリア層との層間剥離強度は10.4N/15mmであった。」

イ.引用文献1に記載の発明
引用文献1の記載、特に、段落【0088】?【0091】、【0093】(摘示1g及び1h)の記載から、から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1a」という。)が記載されているといえる。

[引用発明1a]
「第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材C。」

また、引用文献1の段落【0017】(摘示1c)の記載を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1b」という。)も記載されているといえる。

[引用発明1b]
「芯材と、前記芯材が封入された第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材Cとを有する真空断熱材。」

さらに、引用文献1の段落【0002】(摘示1a)の記載をも踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1c」という。)も記載されているといえる。

[引用発明1c]
「真空断熱材を備える物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材Cとを有する真空断熱材である、
真空断熱材を備える物品。」

なお、上記引用発明1a?1cの認定は、特に、引用文献1の[実施例3]に基づいている。

ウ.引用文献2の記載事項
引用文献2には、「有機デバイス用ガスバリアフィルム性積層フィルム」に関し、図面とともに以下の記載がある。
(2a)「【0001】
本発明は、優れたガスバリア性を有するとともに有機デバイス用として優れた性能を有するガスバリア性積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機薄膜を形成したガスバリア性プラスチックフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用されている。また、このガスバリア性プラスチックフィルムについては、包装用途以外にも、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、有機デバイス、カラーフィルター、真空断熱材等の工業部材としてとしての新しい用途にも注目されている。・・・」
(2b)「【0005】
本発明が解決しようとする課題は、極めて優れたガスバリア性を示し、かつ構成層間の優れた密着強度を有する積層フィルムであり、且つ、ガスバリアフィルム層間の気泡及び異物の発生を著しく低減するとともに、ガスバリア性及び層間の密着性にも優れた有機デバイス用ガスバリア性積層フィルムを提供することにある。」
(2c)「【0019】
上記樹脂層の厚さは、0.5nm?0.1μm程度であり、密着性の点から0.5?20nmが好ましく、0.5?5nmが特に好ましい。
[保護層]
無機薄膜の最上層を保護するために、保護層を有してもよい。該保護層を形成する樹脂としては、溶剤性及び水性の樹脂をいずれも使用することができ、具体的には、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂系、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、ビニル変性樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコン系樹脂、イソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン系樹脂、変性シリコン系樹脂、アルキルチタネート等を単独であるいは2種以上組み併せて使用することができる。また、保護層としては、バリア性、摩耗性、滑り性向上のためシリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラー及び層状無機フィラーから選ばれる1種以上の無機粒子を前記1種以上の樹脂に混合してなる層、又は該無機粒子存在下で前記樹脂の原料を重合させて形成される無機粒子含有樹脂からなる層を用いることが出来る。
【0020】
保護層を形成する樹脂としては、無機薄膜のガスバリア性向上の点から上記水性樹脂が好ましい。さらに水性樹脂として、ビニルアルコール樹脂またはエチレンビニルアルコール樹脂が好ましい。
また、保護層として、ポリビニルアルコール及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含有する水性液を塗布してなる樹脂層を用いることができる。以下に、上記樹脂層について説明する。
保護層の厚さは、印刷性、加工性の点から、好ましくは0.05?10μm,更に好ましくは0.1?3μmである。その形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、蒸着フィルムを保護層用樹脂液に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80?200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥などの加熱乾燥や、赤外線乾燥などの公知の乾燥方法を用いて水分を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行う事もできる。」
(2d)「【0026】
接着剤の粘度は、接着剤組成の樹脂配合による調整以外に、接着剤ワニスの塗工時の温度、時間により残存溶媒量を調整したり、熱硬化系樹脂の場合はその半硬化状態を制御して調整することができる。また接着剤は、結晶性シリカ、非晶性シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、三酸化アンチモン等の無機粒子やシリコーンパウダー等の有機粒子を添加して調整することも可能である。上記無機粒子及び有機粒子は、1種で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。上記無機粒子としては、汎用性、安定性の点からシリカ粒子が好ましく用いられる。
耐熱水性、耐凝集破壊性の点から、無機粒子又は有機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.005?50μm、より好ましくは0.01?20μm、更に好ましくは0.05?10μmである。また、接着剤中の無機粒子及び/又は有機粒子の含有量は、消泡性、接着強度の点から、0.01?30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05?10質量%である。
接着剤には、上記のほか、必要に応じて、硬化促進剤、カップリング剤、無機イオン吸着剤、重合開始剤等の添加剤を適宜含有することができる。」
(2e)「(実施例1)
【0038】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「PET」と略す。三菱化学(株)製「ノバペックス」)を溶融押出してシートを形成し、延伸温度95℃、延伸比3.3で長手方向に延伸した後、延伸温度110℃、延伸比3.3で横方向に延伸することにより、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを得た。そのフィルムの片側表面に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製「コロネートL」)と飽和ポリエステル(東洋紡績(株)製「バイロン300」、数平均分子量23000)とを1:1質量比で配合した混合物を塗布乾燥して厚さ100nmのアンカーコート(AC)層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1×10^(-5)Torrの真空下でSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、アンカーコート層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成した。
得られた無機薄膜フィルムの無機薄膜面上に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製「コロネートL」)と飽和ポリエステル(東洋紡績(株)製「バイロン300」)とを1:1質量比で配合した混合物に5質量%のシランカップリング剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH6040)を添加し、塗布乾燥して厚さ0.5nmの樹脂層を形成した。
【0039】
次いで、真空蒸着装置を使用して1×10^(-5)Torrの真空下でSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、樹脂層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し、ガスバリア性フィルムを作製した。
該ガスバリア性フィルムの無機薄膜面に、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD-X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤Aを89重量部含むメタノール/酢酸エチル=1/1溶液(固形分濃度;30重量%)を作製し、そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.02重量部加え、よく攪拌した接着剤を塗布して乾燥後の厚さが約3μm、表面粗度(Rms)0.20μmの熱硬化型の接着剤層を形成した。接着剤層を形成したガスバリアフィルムを12cm×12cmに切り出し、3枚のガスバリア性フィルムの各接着剤層と基材フィルムのPET面を対向させ重ね合わせ、最外層の接着剤層と12cm×12cmに切り出した厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを重ね合わせ、前述の方法で10Paにて真空包装を行った。真空バックで封止されたガスバリアフィルム積層体をオーブンで大気圧下、120℃において30分加熱し接着剤層を溶融接着させガスバリア性フィルム積層体を得た。得られたガスバリア性フィルム積層体について、前記の評価を行った。結果を表1に示す。」

エ.引用文献2の記載の発明
引用文献2の段落【0038】?【0039】(摘示2e)の記載から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる(引用発明2の認定は、特に、引用文献2の(実施例1)に基づいている。)。

[引用発明2]
「厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムに厚さ100nmのアンカーコート(AC)層を形成し、アンカーコート層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し、無機薄膜面上に厚さ0.5nmの樹脂層を形成し、樹脂層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成したガスバリア性フィルムの無機薄膜面に、乾燥後の厚さが約3μmの熱硬化型の接着剤層を形成し、3枚のガスバリア性フィルムの各接着剤層と基剤フィルムのPET面を対向させ重ね合わせ、最外層の接着剤層と厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを重ね合わせ接着剤層を溶融接着させたガスバリア性フィルム積層体。」

(3)当審の判断
ア.引用発明1aとの対比・判断
(ア)本件発明1について
a.対比
本件発明1と引用発明1aとを対比する。
引用発明1aの「真空断熱材用外装材」は、本件発明1の「真空断熱材用外包材」に相当する。
また、引用発明1aの「熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用い」ることは、本件発明1の「熱溶着可能なフィルム」「を有する」ことに、「ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔」「を用い」ることは、「ガスバリアフィルムとを有する」ことに相当する。
したがって、本件発明1と引用発明1aとの一致点及び相違点は次のとおりとなる。
<一致点>
「熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材。」
<相違点1>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明1は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1aは、かかる点について特定されていない点。
<相違点2>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明1は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1aは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
(a)相違点1について
引用文献1において、真空断熱材用外装材(本件発明の「真空断熱材用外包材」に相当する。)に関し、その引張弾性率についての記載はないし、示唆もされていない。
引用文献1において、引用発明1aは、第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材であり、本件明細書の段落【0098】、【0103】、【0105】の【表1】に[実施例5]として記載された、外包材の層構成を内側から、CPP50と、厚さ6μmのアルミニウム箔(Al6)と、厚さ12μmのPETフィルム(PET12)と、厚さ25μmのナイロンフィルム(ON25)とにした真空断熱材用外包材と層を構成する材料の種類及び厚さが類似するものとなっている。
しかしがなら、外装材を構成する樹脂層については、製造方法(延伸の有無、程度)等によってその引張弾性率が異なることは当業者には既に知られた事項であり、また、外装材を構成する層間接着剤の種類、厚さによっても外装材の引張弾性率は異なるといえる。
したがって、引用発明1aが、本件明細書に[実施例5]として記載された真空断熱材用外包材と層を構成する材料の種類及び厚さが類似するものとなっているからといって、引用発明1aの引張弾性率が、本件明細書に[実施例5]として記載された真空断熱材用外包材と同程度(1.7GPa)であるとは直ちにはいえない。
しかも、本件発明1においては、真空断熱材用外包材について、柔らかすぎないこと及び微小なクラックや微小なピンホールを発生を防ぐことという強度上の観点から、外包材の引張弾性率について着目し、その上限値及び下限値を定めたものといえる(本件明細書段落【0026】?【0028】)。
これに対し、引用文献1には、真空断熱材用外装材に関し、本件発明1のような強度上の観点から、その引張弾性率について定める旨の記載ないし示唆は一切ない。そうだとすれば、引用発明1aにおいて、相違点1に係る本件発明1の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、他の引用文献2?4にも相違点1に係る本件発明1の構成についての記載ないし示唆はない。
(b)相違点2について
引用文献1において、真空断熱材用外装材(本件発明の「真空断熱材用外包材」に相当する。)に関し、その灰分についての記載はないし、示唆もされていない。
(a)で説示のとおり、引用発明1aの外装材は、本件明細書に[実施例5]として記載された真空断熱材用外包材と層を構成する材料の種類及び厚さが類似するものとなっている。
しかしながら、外装材の灰分は、外装材全体に占める無機化合物成分の含有率に近似するものであるところ、無機化合物成分は、ガスバリア層だけでなく、真空断熱材用外装材を構成するその他の層、例えば、熱溶着層、接着層、保護フィルムなどに含有されていることがあり、引用発明1aが、本件明細書に[実施例5]として記載された真空断熱材用外包材と層を構成する材料の種類及び厚さが類似するものとなっているからといって、引用発明1aの灰分が、本件明細書に[実施例5]として記載された真空断熱材用外包材と同程度の割合(15質量%)であるとは直ちにはいえない。
しかも、本件発明1においては、真空断熱材用外包材について、同様の引張弾性率の値を示す真空断熱材用外包材であっても、灰分の値が異なる場合には、折り曲げられたときの微小な欠陥の発生のしやすさが異なるという点に着目し、外包材の引張弾性率のみを発明特定事項として特定するだけでは不十分であるとの観点から外包材の灰分についても、その上限値及び下限値を定めたものといえる(本件明細書段落【0029】?【0035】)。
これに対し、引用文献1には、真空断熱材用外装材に関し、本件発明1のようなその灰分について言及する記載ないし示唆は一切ない。そうだとすれば、引用発明1aにおいて、相違点2に係る本件発明1の構成となすことが当業者にとって、単なる設計事項であるとはいえない。また、他の引用文献2?4にも相違点2に係る本件発明1の構成についての記載ないし示唆はない。
(c)以上のとおりであるので、本件発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明1a)であるとはいえない。また、本件発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明1a)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(イ)本件発明5について
a.対比
本件発明5と引用発明1aとを対比する。
引用発明1aの「ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔」「を用いた」は、本件発明5の「前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する」に相当する。
したがって、上記(ア)a.を踏まえると、本件発明5と引用発明1aとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する、真空断熱材用外包材。」
<相違点1’>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明5は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1aは、かかる点について特定されていない点。
<相違点2’>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明5は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1aは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
上記相違点1’及び2’は、上記相違点1及び2と実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.での説示と同様の理由により、引用発明1aにおいて、相違点1’に係る本件発明5の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、引用発明1aにおいて、相違点2’に係る本件発明5の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。
よって、本件発明5は、引用文献1に記載された発明(引用発明1a)であるとはいえない。
また、引用文献1?4には、相違点1’及び2’に係る本件発明5の構成についての記載ないし示唆はないから、本件発明5は、引用文献1に記載された発明(引用発明1a)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

イ.引用発明1bとの対比・判断
(ア)本件発明12(請求項1を直接又は間接的に引用する場合)について
a.対比
本件発明12と引用発明1bとを対比する。
引用発明1bの「第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材C」は、「芯材と、前記芯材が封入された」「真空断熱材用外包材Cとを有する真空断熱材」に用いられるものであり、かつ、引用発明1aである。そして、請求項12が請求項1を引用する場合、本件発明12の真空断熱材用外包材は請求項1に記載の真空断熱材用外包材(すなわち、本件発明1)となる。
したがって、本件発明1と引用発明1aについての対比である上記ア.(ア)a.をも踏まえると、本件発明12と引用発明1bとの一致点及び相違点は次のとおり。
<一致点>
「芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材が、熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとを有する、
真空断熱材。」
<相違点α>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明12は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1bは、かかる点について特定されていない点。
<相違点β>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明12は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1bは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
上記相違点α及びβは、上記相違点1及び2と実質的に同じである。
したがって、上記ア.(ア)b.で説示と同様の理由により、引用発明1bにおいて、相違点αに係る本件発明12の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、引用発明1bにおいて、相違点βに係る本件発明12の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。
よって、本件発明12は、引用文献1に記載された発明(引用発明1b)であるとはいえない。
また、引用文献1?4には、相違点α及びβに係る本件発明12の構成についての記載ないし示唆はないから、本件発明12は、引用文献1に記載された発明(引用発明1b)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(イ)本件発明12(請求項5を直接又は間接的に引用する場合)について
本件発明12と引用発明1bとを対比する。
引用発明1bの「第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材C」は、「芯材と、前記芯材が封入された」「真空断熱材用外包材Cとを有する真空断熱材」に用いられるものであり、かつ、引用発明1aである。そして、請求項12が請求項5を引用する場合、本件発明12の真空断熱材用外包材は請求項5に記載の真空断熱材用外包材(すなわち、本件発明5)となる。
したがって、上記(ア)a.及び本件発明5と引用発明1aについての対比である上記ア.(イ)a.をも踏まえると、本件発明12と引用発明1bとの一致点及び相違点は次のとおり。
<一致点>
「芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材が、熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとを有し、
前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する、
真空断熱材。」
<相違点α’>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明12は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1bは、かかる点について特定されていない点。
<相違点β’>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明12は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1bは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
上記相違点α’及びβ’は、上記相違点α及びβと実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.で説示と同様の理由により、引用発明1bにおいて、相違点α’に係る本件発明12の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、引用発明1bにおいて、相違点β’に係る本件発明12の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。
よって、本件発明12は、引用文献1に記載された発明(引用発明1b)であるとはいえない。
また、引用文献1?4には、相違点α’及びβ’に係る本件発明12の構成についての記載ないし示唆はないから、本件発明12は、引用文献1に記載された発明(引用発明1b)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ウ.引用発明1cとの対比・判断
(ア)本件発明13(請求項1を直接又は間接的に引用する場合)について
a.対比
本件発明13と引用発明1cとを対比する。
引用発明1cの「第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材C」は、「真空断熱材を備える物品」の「芯材と、前記芯材が封入された」「真空断熱材用外装材Cとを有する真空断熱材」に用いられるものであり、かつ、引用発明1aである。そして、請求項13が請求項1を引用する場合、本件発明13の真空断熱材用外包材は請求項1に記載の真空断熱材用外包材(すなわち、本件発明1)となる。
また、引用発明1cの「真空断熱材を備える物品」は、本件発明13の「真空断熱材付き物品」に相当し、引用発明1cの「真空断熱材を備える物品」が、熱絶縁領域を備えることは明らかである。
したがって、本件発明1と引用発明1aについての対比である上記ア.(ア)a.をも踏まえると、本件発明13と引用発明1cとの一致点及び相違点は次のとおり。
<一致点>
「熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材を有し、
前記真空断熱材用外包材が、熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとを有する、
真空断熱材付き物品。」
<相違点γ>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明13は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1cは、かかる点について特定されていない点。
<相違点δ>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明13は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1cは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
相違点γ及びδは、上記イ.(ア)a.の相違点α及びβと実質的に同じである。
したがって、上記イ.(ア)b.での説示と同様の理由により、引用発明1cにおいて、相違点γに係る本件発明13の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、引用発明1cにおいて、相違点δに係る本件発明13の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。
よって、本件発明13は、引用文献1に記載された発明(引用発明1c)であるとはいえない。
また、引用文献1?4には、相違点γ及びδに係る本件発明13の構成についての記載ないし示唆はないから、本件発明13は、引用文献1に記載された発明(引用発明1c)及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(イ)本件発明13(請求項5を直接又は間接的に引用する場合)について
a.対比
本件発明13と引用発明1cとを対比する。
引用発明1cの「第1保護層として、両面に易接着処理が施された厚さ25μmのナイロンフィルム、第2保護層として両面を易接着処理された厚さ12μmのPETフィルム、ガスバリア層として、厚さ6μmのAl箔、熱溶着層CとしてCPP(三井化学東セロ社製 製品名:RXC-22、厚さ50μm)を用いた真空断熱材用外装材C」は、「真空断熱材を備える物品」の「芯材と、前記芯材が封入された」「真空断熱材用外装材Cとを有する真空断熱材」に用いられるものであり、かつ、引用発明1aである。そして、請求項13が請求項5を引用する場合、本件発明13の真空断熱材用外包材は請求項5に記載の真空断熱材用外包材(すなわち、本件発明5)となる。
また、引用発明1cの「真空断熱材を備える物品」は、本件発明13の「真空断熱材付き物品」に相当し、引用発明1cの「真空断熱材を備える物品」が、熱絶縁領域を備えることは明らかである。
したがって、本件発明5と引用発明1aについての対比である上記ア.(イ)a.をも踏まえると、本件発明13と引用発明1cとの一致点及び相違点は次のとおり。
<一致点>
「熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材を有し、
前記真空断熱材用外包材が、熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとを有し、
前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する、
真空断熱材付き物品。」
<相違点γ’>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明13は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明1cは、かかる点について特定されていない点。
<相違点δ’>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明13は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明1cは、かかる点について特定されていない点。
b.判断
相違点γ’及びδ’は、上記(ア)a.の相違点γ及びδと実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.での説示と同様の理由により、引用発明1cにおいて、相違点γ’に係る本件発明13の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。また、引用発明1cにおいて、相違点δ’に係る本件発明13の構成となすことが当業者にとって単なる設計事項であるとはいえない。
よって、本件発明13は、引用文献1に記載された発明(引用発明1c)であるとはいえない。
また、引用文献1?4には、相違点γ’及びδ’に係る本件発明13の構成についての記載ないし示唆はないから、本件発明13は、引用文献1に記載された発明(引用発明1c)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

エ.引用発明2との対比・判断
(ア)本件発明1について
a.対比
本件発明1と引用発明2とを対比する。
(a)引用発明2の「厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムに厚さ100nmのアンカーコート(AC)層を形成し、アンカーコート層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し、無機薄膜面上に厚さ0.5nmの樹脂層を形成し、樹脂層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し」、さらに、この「無機薄膜面に、乾燥後の厚さが約3μmの熱硬化型の接着剤層を形成し」た「ガスバリア性フィルム」は、機能的に、本件発明1の「ガスバリアフィルム」に相当するといえる。
(b)引用発明2の「ガスバリア性フィルム積層体」は、「ガスバリア性を有するフィルム」であるという限度で、本件発明1の「真空断熱材用外包材」と共通する。
(d)したがって、本件発明1と引用発明2との一致点及び相違点は次のとおりとなるといえる。
<一致点>
「ガスバリアフィルムを有する、ガスバリア性を有するフィルム。」
<相違点X>
本件発明1は、「ガスバリア性を有するフィルム」が「熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材」であるのに対し、引用発明2は、「ガスバリア性フィルム積層体」であり、熱溶着層を有する真空断熱材用外包材であるとは特定されていない点。
<相違点Y>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明1は、「1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明2は、かかる点について特定されていない点。
<相違点Z>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明1は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明2は、かかる点について特定されていない点。
b.判断
(a)相違点Xについて
引用文献2の段落【0002】には、ガスバリア性フィルム積層体である、ガスバリア性プラスチックフィルムを真空断熱材への適用が示唆されている。そして、この真空断熱材が、ガスバリア性フィルム積層体と熱溶着層とを積層した真空断熱材用外包材を用いて構成されることは当業者には周知・慣用の技術であるといえる(引用文献1の段落【0023】?【0030】、引用文献3の段落【0033】?【0035】)。
したがって、引用発明2の「ガスバリア性フィルム積層体」において、上記周知・慣用の技術を参考に、上記相違点Xに係る本件発明1の構成となすことは当業者であれば容易に想到し得たものであるといえる。
(b)相違点Yについて
引用文献2において、ガスバリア性フィルム積層体に関し、その引張弾性率についての記載はないし、示唆もされていない。
引用発明2は、樹脂基材(PET)の片方の面にシリカ蒸着膜を形成したフィルムを3枚重ねたガスバリア性を有するフィルムという点で、本件明細書の段落【0098】、【0102】、【0105】の【表1】に[実施例4]として記載された、外包材の層構成を内側から、CPP30と、厚さ30nmのシリカ膜が蒸着された、厚さ12μmのPETフィルム(SiO_(2)蒸着PET12(1))と、厚さ30nmのシリカ膜が蒸着された厚さ12μmのPETフィルム(SiO_(2)蒸着PET12(1))と、厚さ10nmのシリカ膜が蒸着された厚さ15μmのナイロンフィルム(SiO_(2)蒸着ナイロン15)とにした真空断熱材用外包材と、層を構成する材料の種類及び厚さが、熱溶着層であるCPP30を除き、類似するものとなっている。
しかしがなら、ガスバリア性を有するフィルムを構成する樹脂層については、樹脂の種類や、製造方法(延伸の有無、程度)等によってその引張弾性率が異なることは当業者には既に知られた事項であり、また、ガスバリア性を有するフィルムを構成する層間接着剤の種類、厚さによってもその引張弾性率は異なることとなるといえる。しかも、ガスバリア性を有するフィルムに熱溶着層を付加し真空断熱材用外包材とした場合にも、熱溶着層の材質、厚さ等により、ガスバリア性を有するフィルムを含むフィルム全体としての引張弾性率は異なることとなるといえる。
したがって、引用発明2のガスバリア性フィルム積層体の層を構成する材料の種類及び厚さが、熱量着層であるCPP30を除き、本件明細書に[実施例4]として記載された真空断熱材用外包材と類似するものとなっているからといって、引用発明2の引張弾性率が、本件明細書に[実施例4]として記載された真空断熱材用外包材と同程度であるとは直ちにはいえない。
しかも、本件発明1においては、真空断熱材用外包材について、柔らかすぎないこと及び微小なクラックや微小なピンホールを発生を防ぐことという強度上の観点から、真空断熱材用外包材の引張弾性率について着目し、その上限値及び下限値を定めたものといえる(本件明細書段落【0026】?【0028】)。
これに対し、引用文献2には、ガスバリア性フィルムに関し、強度上の観点から、その引張弾性率を問題とした記載ないし示唆は一切ない。そうだとすれば、引用発明2において、相違点Yに係る本件発明1の構成となすことは当業者にとって容易に想到し得たとはいえない。そして、他の引用文献2?4にも相違点Yに係る本件発明1の構成についての記載ないし示唆はない。
(c)相違点Zについて
引用文献2において、ガスバリア性フィルムを有するフィルム積層体に関し、その灰分についての記載はないし、示唆もされていない。
上記(b)で説示のとおり、引用発明2のガスバリア性フィルム積層体の層を構成する材料の種類及び厚さが、熱量着層であるCPP30を除き、本件明細書に[実施例4]として記載された真空断熱材用外包材と類似するものとなっている。
しかしながら、ガスバリア性フィルム積層体ないしガスバリア性フィルム積層体を有する真空断熱材用外包材の灰分は、ガスバリア性フィルム全体に占める無機化合物成分の含有率と一定の関係を有するものではあるところ、無機化合物成分は、ガスバリア性フィルム積層体(ガスバリア層)だけでなく、真空断熱材用外包材を構成するその他の層、例えば、熱溶着層、接着剤層、保護フィルム層などに含有されていることがあり、引用発明2が、本件明細書に[実施例4]として記載された真空断熱材用外包材と層を構成する材料の種類及び厚さが熱溶着層であるCPPを除き類似するものとなっているからといって、引用発明2の灰分の割合が、本件明細書に[実施例4]として記載された真空断熱材用外包材と同程度であるとは直ちにはいえない。
しかも、本件発明1においては、真空断熱材用外包材について、同様の引張弾性率の値を示す真空断熱材用外包材であっても、灰分の値が異なる場合には、折り曲げられたときの微小な欠陥の発生のしやすさが異なるという点に着目し、真空断熱材用外包材の引張弾性率のみを発明特定事項として特定するだけでは不十分であるとの観点から、真空断熱材用外包材の灰分についても、その上限値及び下限値を定めたものといえる(本件明細書段落【0029】?【0035】)。
これに対し、引用文献2には、フィルムに関し、その灰分について言及する記載ないし示唆は一切ない。そうだとすれば、引用発明2において、相違点Zに係る本件発明1の構成となすことは当業者にとって、容易に想到し得たとはいえない。そして、他の引用文献2?4にも相違点Zに係る本件発明1の構成についての記載ないし示唆はない。
(d)小活
以上のとおりであるので、本件発明1は、引用文献2に記載された発明(引用発明2)及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件発明2について
a.対比
本件発明2と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「ガスバリア性フィルム」は、「厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムにアンカーコート(AC)層を形成し、アンカーコート層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し、無機薄膜面上に厚さ0.5nmの樹脂層を形成し、樹脂層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成した」ものであるから、樹脂基材(厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム)と、当該樹脂基材の片方の面側に、無機化合物である無機薄膜を配置しているガスバリア層とを有するガスバリアフィルムからなるといえる。したがって、引用発明2の「厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムに厚さ100nmのアンカーコート(AC)層を形成し、アンカーコート層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成し、無機薄膜面上に厚さ0.5nmの樹脂層を形成し、樹脂層上に厚さ約20nmの無機薄膜を形成したガスバリア性フィルムの無機薄膜面に、乾燥後の厚さが約3μmの熱硬化型の接着剤層を形成し、3枚のガスバリア性フィルム」は、本件発明2の「前記ガスバリアフィルムが、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、無機化合物を含むガスバリア層とを有する」ことに相当する。
したがって、上記(ア)a.を踏まえると、本件発明2と引用発明2との一致点及び相違点は次のとおりとなるといえる。
<一致点>
「ガスバリアフィルムを有する、ガスバリア性を有するフィルムであって、
前記ガスバリアフィルムが、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、無機化合物を含むガスバリア層とを有する、ガスバリア性を有するフィルム。」
<相違点X’>
本件発明2は、「ガスバリア性を有するフィルム」が「熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材」であるのに対し、引用発明2は、「ガスバリア性フィルム積層体」であり、熱溶着層を有する真空断熱材用外包材であるとは特定されていない点。
<相違点Y’>
真空断熱材用外包材の引張弾性率に関し、本件発明2は、「1.0GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であ」るのに対し、引用発明2は、かかる点について特定されていない点。
<相違点Z’>
真空断熱材用外包材の灰分に関し、本件発明1は、「1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である」のに対し、引用発明2は、かかる点について特定されていない点。
b.判断
(a)相違点X’について
相違点X’は、上記相違点Xと実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.(a)での説示と同様に理由により、相違点X’に係る本件発明2の構成となすことは当業者であれば容易に想到し得たものであるといえる。
(b)相違点Y’について
相違点Y’は、上記相違点Yと引張弾性率の上限値が4.0GPaである点を除いて、実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.(b)での説示と同様の理由により、引用発明2において、相違点Y’に係る本件発明1の構成となすことは当業者にとって容易に想到し得たとはいえない。
(c)相違点Z’について
相違点Z’は、上記相違点Zと実質的に同じである。
したがって、上記(ア)b.(c)での説示と同様に理由により、引用発明2において、相違点Z’に係る本件発明1の構成となすことは当業者にとって容易に想到し得たとはいえない。
(d)小活
以上のとおりであるので、本件発明2は、引用文献2に記載された発明(引用発明2)及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(ウ)本件発明3、4及び7?13について
本件発明3、4及び7?13は、本件発明7?13が請求項2を直接又は間接的に引用する場合には、本件発明2の発明特定事項を全て含みさらに技術的限定を付加するものとなる。
したがって、本件発明3、4、及び7?13と引用発明2との間には、少なくとも、上記相違点Y’及びZ’が存在することとなる。
よって、上記(イ)b.(b)及び(c)ないし(ア)b.(b)ないし(c)で説示のとおり、引用発明2において相違点Y’に係る本件発明3、4、及び7?13の構成となすことは当業者にとって容易に想到し得たとはいえないし、引用発明2において相違点Z’に係る本件発明3、4、及び7?13の構成となすことは当業者にとって容易に想到し得たとはいえない。
以上のとおりであるから、本件発明3、4、及び7?13は、引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、本件発明7?13が請求項2を直接又は間接的に引用しない場合は、本件発明7?13は請求項5を直接又は間接的に引用するものとなる。
その場合、本件発明7?13と引用発明1aとの間には、少なくとも、上記相違点1及び2が存在することとなり、上記ア.(ア)b.で説示のとおり、本件発明7?13は、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないこととなる。

(4)取消理由通知書に記載した取消理由についてのまとめ
上記(2)及び(3)のとおりであるから、本件特許の訂正後の請求項1、5、6、12及び13に係る発明は、引用文献1に記載された発明とはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当しない。
また、本件特許の訂正後の請求項1?4、及び7?13に係る発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定に該当しない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由について
異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項9?11に係る発明は、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら、訂正後の請求項9?11に係る発明は、少なくとも、本件発明1又は本件発明5の発明特定事項を全て含み更に技術的限定を付加するものであるから、訂正後の請求項9?11に係る発明と引用文献1に記載された発明である、引用発明1aとは、少なくとも、上記「第4」(3)ア.(ア)a.の相違点1及び2又は上記「第4」(3)ア.(イ)a.の相違点1’及び相違点2’が存在する。
そして、上記相違点1及び2又は上記相違点1’及び2’は上記「第4」(3)ア.(ア)b.(a)及び(b)又は上記「第4」(3)ア.(イ)b.で説示のとおり、引用発明1には、記載も示唆もされていない。
したがって、訂正後の請求項9?11に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、訂正後の請求項1?5、7?13に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1?5、7?13に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項6に係る発明の特許は、上記のとおり訂正によって削除された。これによって、異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項6に係る申立ては、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内である、真空断熱材用外包材。
【請求項2】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内であり、
前記ガスバリアフィルムが、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、無機化合物を含むガスバリア層とを有する、真空断熱材用外包材。
【請求項3】
前記ガスバリア層の前記樹脂基材とは反対の面側に、無機化合物を含むオーバーコート層を有することを特徴とする請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項4】
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、2.0GPa以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項5】
熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材であって、
前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が、1.0GPa以上、2.0GPa以下の範囲内であり、
前記真空断熱材用外包材の灰分が、1.0質量%以上、20質量%以下の範囲内であり、
前記ガスバリアフィルムが、金属箔を有する、真空断熱材用外包材。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
前記真空断熱材用外包材が、2枚以上のガスバリアフィルムを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項8】
前記真空断熱材用外包材が、3枚以上のガスバリアフィルムを有することを特徴とする請求項7に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項9】
前記熱溶着可能なフィルムが、無機化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項8のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項10】
前記真空断熱材用外包材が、前記ガスバリアフィルムの前記熱溶着可能なフィルムとは反対の面側に、無機化合物を含む保護フィルムを有することを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項11】
前記真空断熱材用外包材が、無機化合物を含む接着層を有することを特徴とする請求項1から請求項5、および請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材。
【請求項12】
芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材は、請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材。
【請求項13】
熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、
前記真空断熱材用外包材は、請求項1から請求項5、および請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-01-25 
出願番号 特願2016-195118(P2016-195118)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (F16L)
P 1 651・ 113- YAA (F16L)
P 1 651・ 121- YAA (F16L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 嶌田 康平柳本 幸雄渡邉 洋  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 尾崎 和寛
出口 昌哉
登録日 2017-06-02 
登録番号 特許第6149997号(P6149997)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品  
代理人 岸本 達人  
代理人 山下 昭彦  
代理人 岸本 達人  
代理人 山下 昭彦  

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