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審決分類 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  G02F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G02F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02F
管理番号 1350642
異議申立番号 異議2018-700607  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-24 
確定日 2019-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6267665号発明「ベゼルレスの表示システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6267665号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?12]について訂正することを認める。 特許第6267665号の請求項1,3?6,8?17に係る特許を維持する。 特許第6267665号の請求項2,7に係る特許についての本件特許異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6267665号(以下「本件特許」という。)は、平成20年4月18日に出願した特願2010-504091号(パリ条約による優先権主張2007年4月20日、米国)の一部を平成27年2月6日に新たな特許出願(特願2015-21720号)とした出願に係るものであって、その主な経緯は、次のとおりである。

平成30年 1月 5日:特許登録
平成30年 1月24日:特許掲載公報発行の日
平成30年 7月24日:本件特許異議申立て
平成30年 9月 4日:取消理由通知(起案日、同年9月7日発送)
平成30年12月 5日:訂正請求書・意見書(特許権者)
平成31年 1月25日:意見書(特許異議申立人)

第2 訂正についての判断
1 訂正の内容
平成30年12月5日付け訂正請求書でなされた訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所として、特許権者が付したものである。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項[1?12]についてなされたものである。
(1)訂正事項1
請求項1において、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位を有している連続的なオーバレイと、
・少なくとも1つの追加の層を含むカスタマイズされた部位であり、前記少なくとも1つの追加の層は、不透明なコーティングである部位と、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、表示システム。」
と記載されているのを、

「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、表示システム。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3?5,9,10,12も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
請求項3において「請求項1又は2に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4?5,9,12も同様に訂正する。)。

(4)訂正事項4
請求項4において「請求項1-3のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1又は3のいずれかに記載の」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5,9,12も同様に訂正する。)。

(5)訂正事項5
請求項5において
「前記光学層は、組み合せ接着剤、シリコン主体の接着剤、2液硬化型のシリコン接着剤、ウレタン由来の材料、アクリル由来の材料、ウレタン誘導体およびシリコン誘導体(および/またはアクリル誘導体)の混合物、およびエポキシ誘導体のうちの1つを備える請求項1-4のいずれかに記載の表示システム。」
と記載されているのを、

「前記光学層は、組み合せ接着剤、シリコーン主体の接着剤、2液硬化型のシリコーン接着剤、ウレタン由来の材料、アクリル由来の材料、ウレタン誘導体およびシリコーン誘導体(および/またはアクリル誘導体)の混合物、およびエポキシ誘導体のうちの1つを備える請求項1,3,4のいずれかに記載の表示システム。」
に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項9,12も同様に訂正する。)。

(6)訂正事項6
請求項6において
「オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたはオーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える請求項1-5のいずれかに記載の表示システム。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたは前記オーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える、表示システム。」
に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項9,12も同様に訂正する。)。

(7)訂正事項7
請求項7を削除する。

(8)訂正事項8
請求項8において
「前記オーバレイは、少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有し、
前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである請求項1-7のいずれかに記載の表示システム。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである、表示システム。」
に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9,12も同様に訂正する。)。

(9)訂正事項9
請求項9において「請求項1-8のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1,3?6,8のいずれかに記載の」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。)。

(10)訂正事項10
請求項11において
「前記オーバレイは、前記第1の実質的に透明な部位から離れて位置する第2の実質的に透明な部位をさらに備えている請求項1-10のいずれかに記載の表示システム。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイは、前記第1の実質的に透明な部位から離れて位置する第2の実質的に透明な部位をさらに備えている、表示システム。」
に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。)。

(11)訂正事項11
請求項12において「請求項1-11のいずれかに記載の」と記載されているのを、「請求項1,3?6,8?11のいずれかに記載の」に訂正する。

2 訂正要件の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正事項1のうち「および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」に係る部分は、本件訂正前の請求項1の「少なくとも1つの追加の層を含むカスタマイズされた部位であり、前記少なくとも1つの追加の層は、不透明なコーティングである部位」が、「連続的なオーバレイ」に備わっていることを限定するとともに、その限定に伴って表現ぶりを整理することにより、その内容を明瞭にするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。
そして、当該部分は、本件訂正前の請求項7に記載されているから、新規事項を追加するものではない。また、当該部分は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項1のうち、「光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、」に係る部分は、本件訂正前の請求項1の「光学層」が「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤」であることを限定するとともに、本件訂正前の請求項2の「予備形成物を形成するために予備的に硬化されている光学接着剤」との表現では光学接着剤が予備形成物であるのか否かが不明瞭であったのを、光学接着剤が予備形成物であることとして明瞭にするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、本件訂正前の請求項2に記載されているから、新規事項を追加するものではない。また、当該部分は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、請求項3が引用する請求項を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項4が引用する請求項を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項4は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項5
ア 訂正事項5のうち、本件訂正前の「シリコン」を「シリコーン」に訂正することに係る部分は、誤記の訂正を目的とするものである。すなわち、技術常識に照らせば、本件訂正前の「シリコン」が「シリコーン」の意味であることが、当業者には明らかである。
そして、当該部分は、新規事項及び原文新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項5のうち、引用する請求項を「1?4」から「1,3,4」にする部分は、請求項5が引用する請求項を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、当該部分は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)訂正事項6
ア 訂正事項6のうち、本件訂正前の請求項6が引用する請求項1?5のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改める部分は、上記(1)アも踏まえると、引用関係の解消、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、上記(1)アも踏まえると、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項6のうち、「前記オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたは前記オーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える」に係る部分は、当該「オーバレイ」が前記された「オーバレイ」と同じものであることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)訂正事項7
訂正事項7は、請求項7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(8)訂正事項8
ア 訂正事項8のうち、本件訂正前の請求項8が引用する請求項1?7のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改める部分は、上記(1)アも踏まえると、引用関係の解消、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、上記(1)アも踏まえると、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項8のうち、「前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである」に係る部分は、本件訂正前の請求項8の「少なくとも1つの追加の層」が前記された「少なくとも1つの追加の層」と同じものであることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(9)訂正事項9
訂正事項9は、請求項9が引用する請求項を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項9は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(10)訂正事項10
訂正事項10は、本件訂正前の請求項11が引用する請求項1?10のうち請求項1を引用するものについて独立形式に改めるものであるから、上記(1)アも踏まえると、引用関係の解消、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該部分は、上記(1)アも踏まえると、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(11)訂正事項11
訂正事項11は、請求項12が引用する請求項を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項11は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 訂正要件の判断についての小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号?第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に記載された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?12]について訂正することを認める。

第3 本件訂正後の請求項に係る発明の認定
本件訂正により訂正された後の特許請求の範囲の請求項1,3?6,8?17に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」,「本件発明3」?「本件発明6」,「本件発明8」?「本件発明17」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1,3?6,8?17に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、独立項である請求項1,6,8,11及び13は、次のとおりである。
なお、本件発明3?5,10は、本件発明1を減縮した発明であり、本件発明9は、本件発明1,6,8を減縮した発明であり、本件発明12は、本件発明1,6,8,11を減縮した発明であり、本件発明14?17は、本件発明13を減縮した発明である。

[本件発明1]
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、表示システム。」

[本件発明6]
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたは前記オーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える、表示システム。」

[本件発明8]
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである、表示システム。」

[本件発明11]
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイは、前記第1の実質的に透明な部位から離れて位置する第2の実質的に透明な部位をさらに備えている、表示システム。」

[本件発明13]
「表示システムを構成するための方法であって、
・オーバレイの第1の実質的に透明な部位、及び少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位に、光学接着剤を塗布するステップ、ここで第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記光学接着剤内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学接着剤が介在し、
・前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップ、
・前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの前記視認可能部分に整列させるステップに先立って、前記光学接着剤を予備的に硬化させるステップ、および、
・前記予備的に硬化された光学接着剤によって、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位と前記第1表示アセンブリとを光学的に接合させるステップを含んでいる方法。」

第4 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人林誠一は、次の特許異議申立理由を主張し、証拠として甲第1号証から甲第6号証(以下、単に「甲1」?「甲6」という。)を提出している。
1 申立理由(申立理由に付した番号は、当審が付したものである。)
(1)申立理由1
請求項1?9、12に係る発明の甲1に記載された発明に基づく新規性欠如。

(2)申立理由2
請求項1?17に係る発明の甲1?甲6に記載された発明に基づく進歩性欠如。

(3)申立理由3
請求項1に係る発明の甲3及び甲2に記載された発明に基づく進歩性欠如。

(4)申立理由4
請求項1、3、6?12の記載に対するサポート要件違反。

(5)申立理由5
請求項1?17の記載に対する明確性要件違反。

2 証拠
甲1:特開2007-41534号公報
甲2:特開2006-58753号公報
甲3:特開2005-222397号公報
甲4:特開平7-209635号公報
甲5:特開平4-368913号公報
甲6:国際公開第2005/64451号

第5 各証拠の記載事項の認定
1 甲1
(1)甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同じ。)。
ア 【特許請求の範囲】、
「バックライトユニット,バックライトユニット側の偏光板,2枚のガラス基板で保持され内部に電極,液晶層,配向層,カラーフィルタを有する液晶セルが配置されている液晶表示装置において、
該液晶セルの該バックライトユニットに面していない側に、反射防止膜を有する透明な前面板を有し、
且つ液晶セルに偏光板が貼付され、
且つ該前面板と、液晶セルの間に透明な有機物の媒体層を有し、
且つ該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされていることを特徴とする液晶表示装置。」(【請求項7】)

イ 「【発明の効果】」、
「透明な有機物媒体を介して偏光板の上に前面板を設けることにより耐擦性が向上し、また反射率は前面板のみより低減することが示された。更に反射防止膜を設けることで反射率が更に低減することが示された。偏光板を前面板に貼付することにより、偏光板の軸合わせが容易になることが示された。」(【0042】)

ウ 「【発明を実施するための最良の形態】」、
「まず本発明の概要を説明する。但し、発明の主旨を超えない限り、本発明は具体例に限定されるものではない。
[A]本発明の画像表示装置の構成
本発明の画像表示装置の構成について、図1?図14を用いて説明する。
(1)最表面が前面板
現在市販されているパソコンのモニターや液晶テレビの場合、図1の(a)の透明な有機物媒体層1と前面板2の無い構造である。図1の(a)で言えばバックライトユニット3に偏光板4,液晶セル5,偏光板が重ねられた構造である。これらを合わせたものを液晶モジュールと言う。なお液晶セルは一対の透明なガラス基板間に配置された液晶層とカラーフィルタ層、その液晶層に電界を印加するための電極構造、更に各種絶縁膜から形成されている。このような構成からなる液晶セルと光学特性を変えるための偏光板、更に光源としてのバックライトユニットを合わせ、駆動用ICドライバーを実装したものを液晶モジュールという。この場合は最表面が偏光板のため上述のように耐擦性が低い。」(【0043】)、
「そこで、本発明では図1の(a)のように前面板を設けて耐擦性を向上させている。また前面板と偏光板の隙間に透明な有機物媒体を充填することにより、前面板の裏側の反射を抑制している。」(【0044】)、
「更に液晶セルと透明な有機物媒体層の間にある偏光板は製造時に液晶セルに貼付する形になるが、この場合は偏光軸を精度良く合わせる必要がある。しかも一度貼ると貼り直しはできない。しかし図1の(b)のように前面板に大雑把な精度で貼付すれば、前面板を装着する際、前面板固定の際に偏光軸を再度合わせられ、精度を高められる利点がある。
これができるのは前面板自体の装着位置が若干ずれていても、画像表示上は問題にならないからである。」(【0045】)、

「・・・
(4)液晶モジュールをフレーム保持
現在市販されているパソコンのモニターや液晶テレビの場合、図5の(a)のバックライトユニット,偏光板,液晶セル,偏光板までが一括してフレーム12で保持され、液晶モジュールとなっている。これに制御系,電源,外枠等が装着されて画像表示装置として機能している。透明な有機物媒体層と前面板は液晶モジュールが作製された後装着できるため、従来の液晶モジュールの製造プロセスを変えずに作製できるというメリットがある。」(【0048】)、
「図5の(b)は偏光板を前面板に装着した場合であり、この効果は上述の(1)の図1の(b)と同様である。」(【0049】)


エ 「・・・(5)透明な有機物媒体
透明な有機物媒体は、本発明では性状として常温で固体か液体を示す。」(【0060】)、
「透明な有機物媒体の屈折率は前面板,偏光板の屈折率に近いほど反射率が低減できる。
後述する前面板の組成はガラス(屈折率1.50?1.54),アクリル(屈折率1.49),PET(屈折率1.56),ポリカーボネート(屈折率1.59)等が挙げられる。」(【0061】)、
「ここで前面板の屈折率をn_(0) 、透明な有機物媒体の屈折率をnとするとき、下記式より前面板と透明な有機物媒体の界面での反射率Rが求まる。」(【0062】)、
「 R={(n_(0)-n)/(n_(0)+n)}^(2)
これら前面板の内側に透明な有機物媒体が無い場合、即ち空気層(屈折率1.0) の状態では、前面板の空気層との界面では約3.7?5.2%の反射が生じる。」(【0063】)、
「反射は前面板と空気との屈折率の差によって生じる。そのため空気の代わりに前面板と屈折率の近い透明な媒体を空気層に満たせば反射は抑制できることになる。」(【0064】)、
「直射日光の当たる場合、約3.7?5.2%ある前面板と透明な有機物媒体の界面での反射率が0.5% 程度まで低減させられればかなり視認性は向上する。上記式から透明な有機物媒体を充填して片面の反射率が凡そ0.5% に低減する屈折率を求めると下記の表1のようになる。」(【0065】)、
「【表1】

」(【0066】)、
「この表より、反射率を約0.5%まで低減するには前面板の屈折率に対して透明な有機物媒体の屈折率の差は0.2以下にすることが望ましいことが示される。」(【0067】)、
「よって前面板の屈折率をn_(0) 、透明な有機物媒体の屈折率をnとするときは下記の不等式が成り立つよう前面板、透明な有機物媒体を選択することが好ましい。」(【0068】)、
「 n_(0)-0.2<n<n_(0)+0.2
透明な有機物媒体としては、例えば下記のものが挙げられる。」(【0069】)、
「固体としてはモノマーを熱硬化,光硬化することにより重合させる熱硬化樹脂,光硬化樹脂等が挙げられる。またすでに重合が完了している熱可塑性の樹脂も挙げられる。」(【0070】)、
「熱硬化樹脂,光硬化樹脂は前面板との隙間に前記モノマーを充填後、適切な熱、或いは光を与えることにより硬化させることにより、隙間を塞ぐことが可能となる。これら樹脂のモノマーとしては、モノマー内の2重結合を用いて重合させるもの,異なるモノマー或いはポリマを重合させるもの,脱水反応により重合させるもの,脱アルコール反応等が挙げられる。」(【0071】)、
「モノマー内の2重結合を用いて重合させるものとしてスチレン,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,イソプロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,ヘキシルメタクリレート,オクチルメタクリレート,2-エチルヘキシルメタクリレート,デシルメタクリレート,ドデシルメタクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,イソプロピルアクリレート,ブチルアクリレート,イソブチルアクリレート,ヘキシルアクリレート,オクチルアクリレート,2-エチルヘキシルアクリレート,デシルアクリレート,ドデシルアククリレート等が挙げられる。これらを単独、或いは複数種用いることで透明な有機物媒体層を形成する。またこれらを別のポリマ,モノマーとの共重合させることによっても透明な有機物媒体層を形成できる。用いるポリマとしてはポリアクリル酸,ポリビニルアルコール等が挙げられる。またモノマーとしては分子内に水酸基を有するエチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール、1,3-ジヒドロキシシクロブタン、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5-ジヒドロキシシクロオクタン等、末端にグリシジル基を有するエチレングリコールモノグリシジルエーテル,エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。」(【0072】)、
「脱水反応により重合させるモノマー,ポリマとしては、末端に2個以上の水酸基、或いはグリシジル基、2個以上のアミノ基を有するものと、末端に2個以上のカルボキシル基、或いはカルボン酸無水物構造を有するものが縮重合するものが挙げられる。末端に水酸基を有するものとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール、1,3-ジヒドロキシシクロブタン、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5-ジヒドロキシシクロオクタン,ポリエチレングリコール等、末端にグリシジル基を有するものとしては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル,エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。末端にアミノ基を有するものとしては、エチレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノベンゼン、2,6-ジアミノナフタレン,メラミン等が挙げられる。末端にカルボキシル基を有するものとしては、アジピン酸、1,3-フタル酸、1,4-フタル酸,フマル酸,マレイン酸,トリメリト酸,ピロメリト酸等が挙げられる。末端にカルボン酸無水物構造を有するものとしては、無水マレイン酸,無水フタル酸,無水ピロメリト酸等が挙げられる。脱アルコール反応により重合させるものとしては、アルコキシシラン基を有する化合物,アルコキシチタン基を有する化合物が挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,エトキシトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,1-アミノプロピルトリエトキシシラン,1-クロルプロピルトリエトキシシラン,1-グリシジルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。」(【0073】)、
「また、ポリイソブチレンのように弾性の高い材料を用いることで、透明な有機物媒体層は衝撃に対する緩衝作用を向上させることも可能である。透明な有機物媒体層の弾性の範囲としては、ゴム硬度測定の規格JIS K 6253で測定して、硬度5から硬度40が好適である。また硬度10から硬度30がより好適である。硬度5未満の場合は前面板を液晶表所装置に長期にわたって保持させる際の信頼性が下がるおそれがある。また硬度
40を超えると、衝撃に対する緩衝効果が低下する傾向がある。」(【0074】)、
「熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン,スチレン/アクリル樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリプロピレン,ポリイソブチレン等が挙げられる。これらはTg以上に加温することにより液状化して充填しやすくなる。」(【0075】)、
「透明な有機物媒体が液体の場合、或いはモノマーが液体の場合、以下のような方法で透明な有機物媒体を充填する。まず透明な有機物媒体の接する部材(前面板、或いは偏光板,液晶セル)の周囲にバンク25を設ける。図1,図3?図5,図11?図14の透明な有機物媒体層でも、透明な有機物媒体が液体の場合、或いはモノマーが液体の場合は図では省略しているが、バンクを設ける。次に透明な有機物媒体を注入後、気泡が入っている場合は、オートクレーブ等の装置で加圧、或いは加圧・加熱したり、バイブレータ等で振動を与えたり、吸引する等して気泡を除去する。図15にその工程の模式図を示す。」(【0076】)、

「更に気泡を抜けやすくするには、透明な有機物媒体が触れる部分の濡れ性を向上させることが好適である。具体的な面は前面板,偏光板,反射防止膜,液晶セルの透明な有機物媒体との接触面である。表面の濡れ性が向上すると空気より透明な有機物媒体が付着しやすくなるため、結果として気泡が抜けやすくなる。濡れ性の具体的な条件は水を基準に考えると、水との接触角で20°以下が好適である。これであればほとんどの有機物はほとんど気泡が入らず充填できる。より確実に気泡を抑制するには、水との接触角は10°以下が好適である。」(【0077】)、
「なお、バンクは画像表示面に被さる場合、透明な部材を用いることにより画像の縁がバンクにより見えなくなることを抑制できる。バンクが画像表示面に被さらない場合は透明である必要は無い。その場合は画像のくっきり感を高める上で、黒色のバンクが好ましい。」(【0078】)、
「また透明な有機物媒体層の大きさは図13の(a)(b)のように偏光板,液晶セルより大きくてもかまわない。」(【0079】)、
「透明な有機物媒体が液体の場合、その液体としては液晶表示装置の発する熱によっても揮発しにくいよう比較的高沸点の溶媒が好ましい。例えばアルコール(炭素数6以上),ジオール(エチレングリコール,プロピレングリコール等),炭化水素(炭素数10以上),エチレングリコールのモノアルキルエーテル,エチレングリコールのモノアルキルエステル,ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル,ジエチレングリコールのモノアルキルエステル,トリエチレングリコールのモノアルキルエーテル,トリエチレングリコールのモノアルキルエステル等が挙げられる。」(【0080】)、
「透明な有機物媒体層の厚さは、液体の場合、バンクを形成する際の精度を確保するため、或いは気泡を抜けやすくするため、少なくとも0.1mm 以上が望ましい。また、厚すぎると、特に液体の場合、液体の重量が増加するためバンクの液体保持が困難になってくる。そのため厚くても10mm以下が望ましい。また厚さを一定にするため、目標とする厚さと直径がほぼ同じ透明の粒子(層厚制御粒子)26を用いる方法がある。透明な有機物媒体を充填する予定の隙間に、この粒子を重ならないように予め入れておき、その後透明な有機物媒体を充填する。これにより透明な有機物媒体層の厚さをこの粒子によって目標とする厚さに制御することが可能になる。この粒子を層厚制御粒子と記述する。また模式図を図16に示す。」(【0081】)、
「なお、層厚制御粒子を透明な有機物媒体に混ぜて充填することでも層厚制御は可能である。」(【0082】)、
「この他、透明な有機物媒体層の中に吸収異方性のある色素を溶解した光硬化性樹脂モノマーを充填後、偏光子を用いて偏光した光を照射し、モノマーを硬化させる際、色素も吸収軸を持つことで、透明な有機物媒体層が補助偏光板として機能でき、液晶の黒表示における光漏れを低減することも可能である。」(【0083】)、
「なお、カラーフィルタに用いられている顔料が光源の光を散乱するため、この散乱光が黒表示の際の光漏れとなってコントラストを低下させる問題があるが、透明な有機物媒体層に散乱光を吸収する色素を含有することで、コントラストの低下を抑制できる。またま液晶表示装置は黒表示の際、色調が青みを帯びる。これは400?450nmの波長域での光漏れが他の波長領域より強めだからである。そこで、透明な有機物媒体層の中に400?450nmの光を吸収する色素を含有することによって、黒表示の際の青みを抑制することにより鮮明な黒表示も可能になる。なお色素に限らず、無機物、或いは金属のナノ粒子も量子サイズ効果による光を吸収する効果がある。」(【0084】)

オ 「【実施例1】」、
「バックライトユニットに偏光板,液晶セル,偏光板が重ねられた構造の液晶モジュールを3枚作製する。このうち1枚に透明な有機物媒体としてポリイソブチレンを介して前面板として厚さ2mmのガラス板を設ける。ポリイソブチレン層は厚さが約1mmである。もう1枚にはポリイソブチレンを充填せず空気層を介する形で同様のガラス板を設ける。残る1枚は液晶モジュールのままである。」(【0129】)

カ 「【実施例3】」、
「偏光板側の端部近傍に幅6mm,厚さ1mmの両面テープを貼り、透明な有機物媒体のバンクとした。透明な有機物媒体としてトリエチレングリコールを充填する以外は実施例1と同様にして鉛筆硬度、及び反射率を調べたところ、前面板のある場合の鉛筆硬度は9H以上、またトリエチレングリコールを充填した場合の反射率は約4%であった。」(【0138】)

キ 「【実施例7】」、
「液晶パネルの観察者側に配置された偏光板と反射防止膜を観察者側に形成した前面板の間に配置する透明な有機物媒体を、色素NK3981(林原生物科学研究所製)を0.1wt%含んだ光硬化性アクリル樹脂モノマー溶液とした構成以外は実施例1と同様にして、高圧水銀ランプで365nmの光を照射することにより、アクリル樹脂モノマーを硬化した。」(【0147】)

(2)上記(1)の各記載によれば、甲1には、以下の甲1装置発明1、甲1装置発明2及び甲1方法発明が記載されていると認められる。ここで、甲1装置発明1と甲1装置発明2との相違は、バンク25が黒色であることを認定する(甲1装置発明2)かしない(甲1装置発明1)かにある。
なお、認定に活用した証拠の記載を括弧内に参考までに示してある(以下、同じ。)。

[甲1装置発明1]
「バックライトユニット,バックライトユニット側の偏光板,2枚のガラス基板で保持され内部に電極,液晶層,配向層,カラーフィルタを有する液晶セルが配置されている液晶表示装置において、
該液晶セルの該バックライトユニットに面していない側に、反射防止膜を有する透明な前面板を有し、
且つ液晶セルに偏光板が貼付され、
且つ該前面板と、液晶セルの間に透明な有機物の媒体層を有し、
且つ該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている液晶表示装置であって、(【請求項7】)
透明な有機物媒体を介して偏光板の上に前面板を設けることにより耐擦性が向上するものであり、(【0042】)
透明な有機物媒体が液体であり、(【0076】)
透明な有機物媒体の接する部材である前面板の周囲にバンク25が設けられており、(【0076】)
透明な有機物媒体の屈折率は、前面板、偏光板の屈折率に近いほど反射率が低減できる、(【0061】)
液晶表示装置。(【請求項1】)」

[甲1装置発明2]
「バックライトユニット,バックライトユニット側の偏光板,2枚のガラス基板で保持され内部に電極,液晶層,配向層,カラーフィルタを有する液晶セルが配置されている液晶表示装置において、
該液晶セルの該バックライトユニットに面していない側に、反射防止膜を有する透明な前面板を有し、
且つ液晶セルに偏光板が貼付され、
且つ該前面板と、液晶セルの間に透明な有機物の媒体層を有し、
且つ該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている液晶表示装置であって、(【請求項7】)
透明な有機物媒体を介して偏光板の上に前面板を設けることにより耐擦性が向上するものであり、(【0042】)
透明な有機物媒体が液体であり、(【0076】)
透明な有機物媒体の接する部材である前面板の周囲にバンク25が設けられており、(【0076】)
バンク25が画像表示面に被さらない場合は、画像のくっきり感を高める上で、黒色のバンクが好ましく、(【0078】)
透明な有機物媒体の屈折率は、前面板、偏光板の屈折率に近いほど反射率が低減できる、(【0061】)
液晶表示装置。(【請求項1】)」

[甲1方法発明]
「バックライトユニット,バックライトユニット側の偏光板,2枚のガラス基板で保持され内部に電極,液晶層,配向層,カラーフィルタを有する液晶セルが配置されている液晶表示装置において、
該液晶セルの該バックライトユニットに面していない側に、反射防止膜を有する透明な前面板を有し、
且つ液晶セルに偏光板が貼付され、
且つ該前面板と、液晶セルの間に透明な有機物の媒体層を有し、
且つ該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている液晶表示装置(【請求項7】)
の製造方法であって、
前記液晶表示装置は、透明な有機物媒体を介して偏光板の上に前面板を設けることにより耐擦性が向上するものであり、(【0042】)
透明な有機物媒体が液体であり、(【0076】)
透明な有機物媒体の接する部材である前面板の周囲にバンク25が設けられ、次に、透明な有機物媒体を注入後、気泡が入っている場合は、気泡を除去するものであり、
バンク25が画像表示面に被さらない場合は、画像のくっきり感を高める上で、黒色のバンクが好ましい、(【0078】)
液晶表示装置(【請求項7】)
の製造方法。」

2 甲2
甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「各表示領域が黒色の外周部103によって囲まれていること、(【0024】・図1)
黒色の外周部は、有色のセラミック粒子を含有したペースト状インクをスクリーン印刷によって焼結させたものを使用することが好ましく、これにより、屋外使用による外周部の変質を防止できること。(【0024】)」
図1は、次のとおりである。


3 甲3
(1)甲3には、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】」、
「表示面に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルと対面するように配置され、接触により入力データを入力する、可塑性のタッチパネルと、
前記表示パネルの表示面の周囲を囲うように前記表示パネルを収容するフレームと
を備え、
前記タッチパネルは、前記表示パネルの表示面より大きい面を含み、前記表示パネルと前記フレームとに貼り付けられており、
前記タッチパネルと前記フレームとが貼り付けられている第1貼付け面は、前記タッチパネルと前記表示パネルとが貼り付けられている第2貼付け面より、前記表示パネル側にある
表示装置。」(【請求項1】)、
「前記フレームは、第1フレームと第2フレームとを有し、前記第1フレームが前記表示パネルの一方面の端部を把持し、前記第2フレームが前記表示パネルの他方面の一端を把持することにより、前記表示パネルを挟持し収容している
請求項1に記載の表示装置。」(【請求項3】)

イ 「【課題を解決するための手段】」、
「上記目的を達成するために、本発明の表示装置は、表示面に画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルと対面するように配置され、接触により入力データを入力する、可塑性のタッチパネルと、前記表示パネルの表示面の周囲を囲うように前記表示パネルを収容するフレームとを備え、前記タッチパネルは、前記表示パネルの表示面より大きい面を含み、前記表示パネルと前記フレームとに貼り付けられており、前記タッチパネルと前記フレームとが貼り付けられている第1貼付け面は、前記タッチパネルと前記表示パネルとが貼り付けられている第2貼付け面より、前記表示パネル側にある。」(【0014】)、
「上記の本発明の表示装置によれば、タッチパネルとフレームとが貼り付けられている第1貼付け面は、タッチパネルと表示パネルとが貼り付けられている第2貼付け面より、表示パネル側にあるため、タッチパネルと表示パネルとが、より密着して貼り付けられている。」(【0015】)

ウ 「【発明の効果】」、
「本発明によれば、表示パネルとタッチパネルとの間において気泡が発生することを防止して画像品質と入力効率とを向上でき、製造歩留まりおよび装置の小型化が可能な表示装置を提供することができる。」(【0016】)

エ 「<実施形態3>」、
「以下より、本発明にかかる実施形態3について説明する。」(【0037】)、
「図4は、本実施形態の表示装置1bの断面図である。」(【0038】)、

「図4に示すように、本実施形態の表示装置1bは、表示パネル11と、タッチパネル21と、フレーム31とを有する。本実施形態においては、フレーム31が、第1フレーム131と第2フレーム132とを有することを除き、実施形態1と同様である。したがって、実施形態1と重複する部分については、説明を省略する。」(【0039】)、
「本実施形態において、フレーム31は、第1フレーム131と第2フレーム132とを有し、第1フレーム131が表示パネル11における表示面側の一方面の端部を把持し、第2フレーム132が表示パネル11の他方面の一端を把持することにより、表示パネル11を挟持し収容している。そして、タッチパネル21は、フレーム31の第1フレーム131と、フレーム31に収容された表示パネル11とに、接着層41により貼り付けられている。つまり、タッチパネル21は、実施形態1と同様に、周辺部において表示パネル11とフレーム31との両者を跨るようにして貼り付けられている。」(【0040】)、
「図5は、タッチパネル21の周辺部を拡大して示す断面図である。」(【0041】)、

「図5に示すように、本実施形態においては、タッチパネル21と第1フレーム131とが貼り付けられている第1貼付け面S1が、タッチパネル21と表示パネル11とが貼り付けられている第2貼付け面S2より、表示パネル11側になっている。」(【0042】)、
「以上のように、本実施形態の表示装置1bにおいては、タッチパネル21と第1フレーム131とが貼り付けられている第1貼付け面S1が、タッチパネル21と表示パネル11とが貼り付けられている第2貼付け面S2より、表示パネル11側にある。このため、実施形態1と同様に、タッチパネル21と表示パネル11とが、より密着して貼り付けられている。よって、本実施形態の表示装置1bは、気泡の発生を防止して、画像品質と入力効率とを向上できる。そして、これに伴って、本実施形態は、製造歩留まりを向上することができる。」(【0043】)、
「また、本実施形態の表示装置1bにおいて、フレーム31は、第1フレーム131と第2フレーム132とにより形成される空間に表示パネル11を保持しており、フレーム31とタッチパネル21とに間隔がないため、装置の小型化を容易にすることができる。」(【0044】)

(2)上記(1)の各記載によれば、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「表示面に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルと対面するように配置され、接触により入力データを入力する、可塑性のタッチパネルと、
前記表示パネルの表示面の周囲を囲うように前記表示パネルを収容するフレームと
を備え、
前記タッチパネルは、前記表示パネルの表示面より大きい面を含み、前記表示パネルと前記フレームとに貼り付けられており、
前記タッチパネルと前記フレームとが貼り付けられている第1貼付け面は、前記タッチパネルと前記表示パネルとが貼り付けられている第2貼付け面より、前記表示パネル側にある
表示装置であって、(【請求項1】)
前記フレームは、第1フレームと第2フレームとを有し、前記第1フレームが前記表示パネルの一方面の端部を把持し、前記第2フレームが前記表示パネルの他方面の一端を把持することにより、前記表示パネルを挟持し収容しており、(【請求項3】)
タッチパネルは、第1フレームと表示パネルとに、接着層により貼り付けられている、(【0040】)
表示装置。(【請求項1】)」

4 甲4
甲4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「緩衝層4の素材の一例としてシリコーンゲルがあること、(【0027】)
好適なシリコーンゲルとして、シリコーンフィルム状接着剤としてすでにフィルム状に半硬化されたものがあること。(【0039】)」

5 甲5
甲5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「各基板1,2に、エポキシ系からなる接着剤層を塗布し、この接着剤層を半硬化させた後、接着剤層の上に粘着剤層を備えていない偏光板4、5を貼着すること。(【0018】)」

6 甲6
甲6には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「透明樹脂カバーフィルム8に、透明窓部8aを有する加飾層9が形成されていること、([0026])
透明樹脂カバーフィルム8が透明樹脂フィルム3の上面に透明粘着剤19にて貼り合わされていること、([0027])
加飾層9は、不透明であること。(自明)」

第6 平成30年9月4日付け取消理由通知(以下「本件取消理由通知」という。)に記載された取消理由に対する当審の判断
1 取消理由の概要
本件取消理由通知に記載された取消理由(以下「本件取消理由」という。)の要旨は次のとおりである。
(1)明確性要件違反(その1)
請求項2(及びそれを引用する請求項3?9,11,12)の「前記光学層は、予備的形成物を形成するために予備的に硬化されている光学接着剤である」との記載が明確でない。

(2)明確性要件違反(その2)
請求項5(及びそれを引用する請求項6?9,11,12)の「シリコン」との記載が明確でない。

(3)進歩性欠如
請求項1?5,7,9,10,12に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、本件取消理由通知は、主引用発明として、甲1装置発明1及び甲1装置発明2を認定した。

2 本件取消理由についての判断
(1)明確性要件違反(その1)について
ア 本件訂正前の請求項2の「前記光学層は、予備的形成物を形成するために予備的に硬化されている光学接着剤である」との記載は、「表示システム」を構成した時点での「光学接着剤」が、
i 「予備的に硬化されている」時点よりも前の状態(例えば、【0020】でいう「接合液を完全または実質的に硬化させる」前の「液体」の状態)にあるのか、
ii 「予備的に硬化されている」時点における状態(例えば、【0020】でいう、「接着剤予備形成物」の状態)にあるのか、
iii 「予備的に硬化され」た後の時点における状態(明細書には明記がないけれども、「予備」という用語が用いられている以上、その後に更なる硬化が予定されているとも解されるところ、そうであるならば、その意味での更なる硬化が完了した状態)にあるのか、
iv それらのいずれでもない状態にあるのか、
が明確ではなかった。
しかるところ、本件訂正により、本件訂正前の請求項2が削除されるとともに、本件訂正後の請求項1に係る発明である本件発明1に、「光学接着剤」が「前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤」であることが、特定された。そのため、「表示システム」を構成した時点での「光学接着剤」が、iiの状態にあることが明確となった。

このように、本件発明1の「前記光学層は予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤」との記載は明確である。明確性要件違反(その1)は解消した。

イ これに対し、特許異議申立人は、本件訂正をした結果、方法発明である本件発明13が明確でなくなった旨主張し、その根拠として、本件発明13の「表示システムを構成するための方法」には、「予備的に硬化させるステップ」との記載しかないから、本件発明1の「予備形成物を形成」する程度まで硬化させたのかが不明であり、その結果、本件発明1の「表示システム」と本件発明13の「表示システム」の状態が同じか否かが明確ではない旨を挙げる(意見書(特許異議申立人)10頁下から3行?11頁16行)。
しかしながら、本件発明13は、「表示システムを構成するための方法」に係る発明であるのであり、かかる発明として不明確な点を見いだせない。そして、本件発明1の「表示システム」と本件発明13の「表示システム」の状態が同じか否かは、本件発明13の明確性の有無の判断を左右しないというべきである。
特許異議申立人の主張は、失当である。

(2)明確性要件違反(その2)について
本件訂正前の請求項5の「シリコン」との記載は、技術的に正確ではなかったけれども、本件訂正により、当該記載が「シリコーン」に訂正され、技術的に正確になった。
よって、本件発明5の「シリコーン」との記載は明確である。明確性要件違反(その2)は解消した。

(3)進歩性欠如(甲1装置発明1を主引用発明とするもの)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 本件発明1の「表示システムであって、」との特定事項について
甲1装置発明1の「液晶表示装置」は、本件発明1の「表示システム」に相当する。

b 本件発明1の「第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、」との特定事項について
(a)甲1装置発明1の「画像表示面」が本件発明1の「第1のサイズの表示領域」に相当する。

(b)甲1装置発明1の「液晶セル」が本件発明1の「第1表示アセンブリ」に相当する。

(c)よって、甲1装置発明1は、本件発明1の「第1のサイズの表示領域を有する第1の表示アセンブリと、」との特定事項を備える。

c 本件発明1の「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、」について
(a)甲1装置発明1の「前面板」は、単一の板からなると解されるとともに、「耐擦性」を「向上」させるものであるから、本件発明1の「連続的なオーバレイ」に相当する。

(b)甲1装置発明1の「前面板」は、「画像表示面」上に設けられるものと解されるから、本件発明1の「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位を有している」ことが明らかである。

(c)よって、甲1装置発明1は、本件発明1の「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位を有している」「連続的なオーバレイ」との特定事項を備える。

(d)他方、甲1装置発明1の「前面板」は、「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」を備えない。

これに対し、特許異議申立人は、甲1に記載された「前面板」の「周囲に設けられた黒色のバンク」(甲1の【0076】、【0078】)が、本件発明1の「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層」に相当する旨主張し、その根拠として「コーティング」には、「被覆物」との意味があり、「バンク」は「被覆物」には当たることを挙げる(特許異議申立書34頁6行?8行、意見書(特許異議申立人)9頁)。
しかしながら、甲1に記載された「バンク」は、透明な有機物媒体が液体の場合に、前面板の周囲に設けられて、当該液体を注入するためのものであるから、相当の厚さを有していると解される(実際、甲1の実施例3(【0138】)では、「厚さ1mmの両面テープ」が用いられている。)。しかるに、このような形態を有する物を「コーティング」と称するとの技術常識があるとは認められない。そして、この認定は、「コーティング」に「被覆物」との意味があるとしても左右されない。
特許異議申立人の主張は失当である。

d 本件発明1の「前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、」との特定事項について
(a)甲1装置発明1の「屈折率は、前面板、偏光板の屈折率に近いほど反射率が低減できる」「透明な有機物媒体」は、本件発明1の「光学層」に相当する。

(b)甲1装置発明1の「透明な有機物媒体」は、「該前面板と、液晶セルの間に」存在するものであるから、本件発明1でいう「前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され」るものである。

(c)上記(a)及び(b)からすれば、甲1装置発明1の「透明な有機体媒体」が、本件発明1でいう「前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる」ことは明らかである。

(d)よって、甲1装置発明1は、本件発明1の「前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、」との特定事項を備える。

e 本件発明1の「前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、」との特定事項について
甲1装置発明1は、上記特定事項を備えない。

f 本件発明1の「前記オーバレイは、前記表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイとの間に前記光学層が介在し、」との特定事項について
甲1装置発明1は、「該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている」ものであるから、本件発明1の「前記オーバレイは、前記表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイとの間に前記光学層が介在し、」との特定事項を備える。

g 本件発明1の「前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、」との特定事項について
甲1装置発明1は、「透明な有機物媒体の屈折率は、前面板、偏光板の屈折率に近いほど反射率が低減できる」ものであるから、本件発明1の「前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、」との特定事項を備える。

(イ)一致点及び相違点の認定
上記(ア)によれば、本件発明1と甲1装置発明1とは、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、表示システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1-1]
「連続的なオーバレイ」について、本件発明1は、「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」「を有している」のに対し、甲1装置発明1は、これを有さない点。

[相違点1-2]
「光学層」について、本件発明1は、「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤」であるのに対し、甲1装置発明1は、「液体」である「透明な有機物媒体」である点。

(ウ)相違点1-1の判断
a 甲2には、各表示領域が黒色の外周部103によって囲まれているとの技術的事項が記載されている。しかしながら、甲1装置発明1において、甲2に記載された上記技術的事項を採用するための動機付けが見いだせない。

b この点、甲1の【0078】には、「バンク」について、これが画像表示面に被さらない場合は、画像のくっきり感を高める上で、黒色とすることが好ましい旨記載されている。そうすると、甲1装置発明1において、画像のくっきり感を高めることを課題として、甲2に記載された上記技術的事項を採用するとの動機付けがあると評価する余地がある。
しかしながら、甲1は、かかる課題を解決するために、「バンク」を「黒色」にすることを開示しているのであるから、当業者が、甲1に記載された課題解決手段をあえて採用せずに、甲2に記載された上記技術的事項を採用するとは、ただちには言いがたい。

c また、特許異議申立人は、甲1装置発明1と甲2に記載された技術的事項とは、表示装置という点で技術分野が共通する旨主張する(特許異議申立書35頁2行?6行)。
しかしながら、技術分野共通性のみをもって、甲1装置発明1において、甲2に記載された上記技術的事項を採用するための動機付けがあるとすることはできない。

d そして、以上の判断は、甲3?甲6を参酌しても、左右されない。

e したがって、当業者が、甲1装置発明1から出発して、相違点1-1に係る構成に至ることはない。

(エ)相違点1-2の判断
a まず、甲1装置発明1において、相違点1-2に係る構成に至るために、いかなる変更を施せばよいのかについて検討すると、甲1装置発明1の「液体」である「透明な有機物媒体」として、「光学接着剤」を構成する材料を採用し、さらに、当該材料を「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している」状態にすることが必要である。

しかるところ、甲1装置発明1の「バンク」は、「透明な有機物媒体」が「液体」のときに使用されるとされているけれども、甲1は、かかる「液体」が、その後、硬化されて固体になる場合にまでも、「バンク」を用いることを、開示しないし、示唆もしていない。
実際、「バンク」が使用されている実施例は、唯一、実施例3(【0138】)であるところ、これは、透明な有機物媒体として「トリエチレングリコール」を用いているのであり、当該「トリエチレングリコール」は、その後、硬化されて固体になることが予定されていないと解される。他方で、実施例7(【0147】)は、透明な有機物媒体を、特定の色素を含んだ光硬化性アクリル樹脂モノマー溶液を硬化させて得たアクリル樹脂モノマーとした例であるところ、モノマー「溶液」を用いているにもかかわらず、「バンク」を用いたものとは記載されていない。
そうすると、甲1に記載された発明のうち、甲1装置発明1のような「バンク」を用いた発明において、「液体」である「透明な有機物媒体」として「光学接着剤」を構成する材料を採用する動機付けがあるとは言えないというべきである。

b そして、以上の判断は、甲2?甲6を参酌しても、左右されない。

c したがって、当業者が、甲1装置発明1から出発して、相違点1-2に係る構成に至ることはない。

(オ)本件発明1の甲1装置発明1に基づく進歩性欠如についての小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1装置発明1及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件取消理由通知で指摘した他の請求項(2?5,7,9,10,12)に係る発明について
(ア)請求項2及び7について
これらは、本件訂正により削除された。

(イ)本件発明3?5,10について
これらの発明は、本件発明1を減縮したものであるから、上記アと同様の理由により、甲1装置発明1及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)本件発明9,12について
これらの発明のうち、請求項1を引用又は実質的に引用している部分は、本件発明1を減縮したものであるから、上記アと同様の理由により、甲1装置発明1及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)進歩性欠如(甲1装置発明2を主引用発明とするもの)について
ア 本件発明1について
(ア)対比、一致点及び相違点の認定
本件発明1と甲1装置発明2とを対比する。上記(3)ア(ア)及び(イ)を踏まえると、両者は、本件発明1と甲1装置発明1との上記一致点及び上記相違点と同じように一致及び相違する。相違点を書き下すと次のとおりである。
[相違点2-1]
「連続的なオーバレイ」について、本件発明1は、「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」「を有している」のに対し、甲1装置発明2は、これを有さない点。

[相違点2-2]
「光学層」について、本件発明1は、「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤」であるのに対し、甲1装置発明2は、「液体」である「透明な有機物媒体」である点。

(イ)相違点2-1の判断
a 相違点2-1は、上記(3)ア(イ)で認定した相違点1-1と同一である。そのため、相違点1-1でした判断(上記(3)ア(ウ))が、相違点2-1についても成り立つ。すなわち、甲1装置発明2において、甲2に記載された、各表示領域が黒色の外周部103によって囲まれているとの技術的事項を採用するための動機付けが見いだせない。

b この点、甲2には、黒色の外周部が有色のセラミック粒子を含有したペースト状インクをスクリーン印刷によって焼結させたものであることが好ましく、これにより、屋外使用による外周部の変質を防止できることが開示されている。そうすると、甲1装置発明2の「黒色のバンク」において、屋外使用による外周部の変質という課題を想定し、その上で、上記課題を解決すべく、甲2の黒色の外周部を、甲1の「黒色のバンク」に重ね合わせて、前面板、黒色の外周部、黒色のバンクの順の積層体を得る、との論理付けを検討する余地がある。
しかしながら、甲1装置発明2の「黒色のバンク」が、屋外使用により変質するのかは定かではなく、しかも、このような変質が技術常識であるとの証拠もない。そうすると、甲1装置発明2から出発した当業者が甲2に記載された技術的事項に接することができるとは言いがたい。
また、仮に、甲1装置発明2から出発した当業者が甲2に記載された技術的事項に接することができたとしても、当業者が、甲2の黒色の外周部を甲1の「黒色のバンク」に上記のように重ね合わせられるのかも定かではなく、これを可能とすることを示唆する証拠もない。
したがって、上記の論理付けが成り立つとはいえない。

c そして、以上の判断は、甲3?甲6を参酌しても、左右されない。

d したがって、当業者が、甲1装置発明2から出発して、相違点2-1の構成に至ることはない。

(ウ)相違点2-2の判断
相違点2-2は、上記(3)ア(イ)で認定した相違点1-2と同一である。そのため、相違点1-2でした判断(上記(3)ア(エ))が、相違点2-2についても成り立つ。
したがって、当業者が、甲1装置発明2から出発して、相違点2-2の構成に至ることはない。

(エ)本件発明1の甲1装置発明2に基づく進歩性欠如についての小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1装置発明2及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件取消理由通知で指摘した他の請求項(2?5,7,9,10,12)に係る発明について
(ア)請求項2及び7について
これらは、本件訂正により削除された。

(イ)本件発明3?5,10について
これらの発明は、本件発明1を減縮したものであるから、上記アと同様の理由により、甲1装置発明2及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)本件発明9,12について
これらの発明のうち、請求項1を引用又は実質的に引用している部分は、本件発明1を減縮したものであるから、上記アと同様の理由により、甲1装置発明2及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件取消理由についての小括
以上のとおりであるから、本件取消理由によっては、本件発明1,3?6,8?12に係る特許を取り消すことはできない。

第7 本件取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由に対する当審の判断
1 申立理由1について
特許異議申立人は、本件発明1,3?6,8,9,12が、甲1に記載された発明である旨主張する(特許異議申立書33頁?42頁のうち、「(ア)」、「(エ)」?「(キ)」、「(ケ)」、「(コ)」、「(ス)」)。
しかしながら、第6の2(3)ア(ア)c(d)のとおり、甲1に記載された「前面板」の「周囲に設けられた黒色のバンク」(甲1の【0076】、【0078】)は、本件発明1の「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層」に相当しない。
よって、本件発明1,3?6,8,9,12は、甲1に記載された発明ではない。
特許異議申立人の主張は採用できない。

2 申立理由2について
(1)特許異議申立人は、本件発明6,8,11が、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである旨主張する(特許異議申立書38頁?39頁のうち、「(キ)」、「(ケ)」、「(シ)」)。
しかしながら、これらの発明と甲1装置発明1又は甲1装置発明2とを対比すると、いずれも、第6の2(3)ア(ア)?(ウ)で認定・判断した相違点1-1が存在するから、同様の理由で、本件発明6,8,11は、甲1に記載された発明及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
加えて、これらの発明は、それぞれ、「前記オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたは前記オーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える」、「前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである」、「前記オーバレイは、前記第1の実質的に透明な部位から離れて位置する第2の実質的に透明な部位をさらに備えている」という特定事項を含み、これらはいずれも甲1装置発明1又は甲1装置発明2との間の相違点となるところ、これらの相違点が容易想到であると判断するに足りる証拠はないといえる。

なお、本件発明9,12のうち、請求項6,8,11を引用又は実質的に引用している部分は、それぞれ、本件発明6,8,11を減縮したものであるから、上記と同様の理由により、甲1に記載された発明及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

特許異議申立人の主張は採用できない。

(2)特許異議申立人は、本件発明13?17が、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである旨主張する(特許異議申立書39頁?42頁のうち、「(セ)」?「(ツ)」)。
ア 本件発明13について
(ア)対比
a 本件発明13の「表示システムを構成するための方法であって、」との特定事項について
甲1方法発明の「液晶表示装置の製造方法」は、本件発明13の「表示システムを構成するための方法」に相当する。

b 本件発明13の「オーバレイの第1の実質的に透明な部位、及び少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位に、光学接着剤を塗布するステップ、ここで第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記光学接着剤内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学接着剤が介在し、」との特定事項について
(a)本件発明13の「光学接着剤」と甲1方法発明の「透明な有機物媒体」とは、光学材料である点で一致する。

(b)甲1方法発明の「前面板」は、第6の2(3)ア(ア)c(a)と同様の理由で、本件発明13の「オーバレイ」に相当し、同(b)と同様の理由で、本件発明13でいう「第1の実質的に透明な部位」を備える。

(c)甲1方法発明の「前面板」は、その「周囲にバンク25が設けられ」、「バンク25が画像表示面に被さらない場合は、画像のくっきり感を高める上で、黒色のバンクが好ましい」とされている。そうすると、当該「前面板」には「黒色のバンク」が設けられた領域があるところ、その領域が本件発明13の「少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位」に相当する。

(d)甲1方法発明は、「透明な有機物媒体の接する部材である前面板の周囲にバンク25が設けられ、次に、透明な有機物媒体を注入」されるから、「オーバレイの第1の実質的に透明な部位」「に、」光学材料を設ける「ステップ」を備えているといえる。
しかし、甲1方法発明は、「黒色のバンク」そのものに光学材料を設けるものではない。

(e)甲1方法発明は、上記(a)及び第6の2(3)ア(ア)fからすると、本件発明13とは、「ここで第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記」光学材料「内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記」光学材料「が介在し、」との特定事項を備える点で一致する。

(f)よって、甲1方法発明は、「『オーバレイの第1の実質的に透明な部位に、光学材料を設けるステップ、ここで、第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記』光学材料『内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記』光学材料『が介在し、』」を備える。

c 本件発明13の「前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップ」との特定事項について
甲1方法発明は、「該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている液晶表示装置の製造方法」であるから、本件発明13の「前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップ」を備えるといえる。

d 本件発明13の「前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの前記視認可能部分に整列させるステップに先立って、前記光学接着剤を予備的に硬化させるステップ」との特定事項について
甲1方法発明は、このステップに相当する構成を備えない。

e 本件発明13の「前記予備的に硬化された光学接着剤によって、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位と前記第1表示アセンブリとを光学的に接合させるステップ」との特定事項について
甲1方法発明は、「該バックライト,該液晶セル,該偏光板がフレームで保持され、該前面板が該透明な有機物の媒体層を介して該偏光板に貼合わされている液晶表示装置の製造方法」であるから、「光学材料によって、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位と前記第1表示アセンブリとを光学的に接合させるステップ」を備えるといえる。

(イ)一致点及び相違点の認定
上記(ア)によれば、本件発明13と甲1方法発明とは、
「表示システムを構成するための方法であって、
・オーバレイの第1の実質的に透明な部位に、光学材料を設けるステップ、ここで、第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記光学材料内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学材料が介在し、
・前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップ、
・光学材料によって、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位と前記第1表示アセンブリとを光学的に接合させるステップを含んでいる方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点3-1]
本件発明13は、
「光学材料」が「光学接着剤」であり、
「オーバレイ」に「光学材料を設けるステップ」における光学材料の設け方が「塗布」であり、
光学材料を設ける対象が「少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位」を含み、
「前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの前記視認可能部分に整列させるステップに先立って、前記光学接着剤を予備的に硬化させるステップ」を有しており、
「光学的に接合させるステップ」が「前記予備的に硬化された光学接着剤によって」なされているのに対し、

甲1方法発明は、
「光学材料」が「液体」の「透明な有機物」であり、
「オーバレイ」に「光学材料を設けるステップ」における光学材料の設け方が、周囲に設けられたバンク25に透明な有機物媒体が注入されることによるものであり、
「少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位」は存在するけれども、それに光学材料を設けるとはされておらず、
「前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの前記視認可能部分に整列させるステップに先立って、前記光学接着剤を予備的に硬化させるステップ」を有しておらず、
「光学的に接合させるステップ」が「前記予備的に硬化された光学接着剤によって」なされていない点。

(ウ)相違点3-1の判断
甲1方法発明において、相違点3-1の構成に至るためには、「液体」の「透明な有機物」を「光学接着剤」に置換した上で、(黒色の)バンク25そのものにその光学接着剤を塗布することが、少なくとも必要である。
しかしながら、第6の2(3)ア(エ)のとおり、そのような置換をする動機付けはない。

また、甲1方法発明の「前面板」における「黒色のバンク」は、注入された液体の有機物媒体を保持する機能を奏するものと解されるから、この「黒色のバンク」そのものに、わざわざ、液体の有機物媒体を塗布することも想定しがたい。

そして、以上の判断は、甲2?甲6を踏まえても左右されない。

したがって、本件発明13は、甲1方法発明及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明14?17について
本件発明14?17は、本件発明13を減縮したものであるから、本件発明13と同様の理由で、甲1方法発明及び甲2?甲6に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)申立理由2についての小括
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。

3 申立理由3について
申立理由3は、本件発明1のみを対象としていると解される。すなわち、申立理由3は、特許異議申立書35頁(?37頁)の「(イ)」にのみに記載されている(なお、特許異議申立書44頁以降の「(5)むすび」には、記載されていない。)。
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1の「表示システムであって、」との特定事項について
甲3発明の「表示装置」は、本件発明1の「表示システム」に相当する。

(イ)本件発明1の「第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、」との特定事項について
甲3発明の「表示面」を有する「表示パネル」は、本件発明1の「第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリ」に相当する。

(ウ)本件発明1の「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、」との特定事項について
a 甲3発明の「タッチパネル」は、本件発明1の「連続的なオーバレイ」に相当する。

b 甲3発明の「前記表示パネルの表示面より大きい面を含」む「タッチパネル」は、本件発明1でいう「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位」を有しているといえる。

c よって、甲3発明は、「前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位」「を有している連続的なオーバレイと、」との特定事項を備える。

d しかし、甲3発明は、「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」を備えない。

(エ)本件発明1の「前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、」との特定事項について
甲3発明は、「タッチパネルは、第1フレームと表示パネルとに、接着層により貼り付けられている」ものであるから、「前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層」を備えているといえる。

(オ)本件発明1の「前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、」との特定事項について
上記(エ)によれば、甲3発明は、本件発明1の「前記光学層は、」「光学接着剤であり」との特定事項を備える。
しかし、甲3は、甲3発明の「光学接着剤」が「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している」とは記載しない。

(カ)本件発明1の「前記オーバレイは、前記表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイとの間に前記光学層が介在し、」との特定事項について
甲3発明が、本件発明1の上記特定事項ないしその一部を備えるか否かについては、相違点の判断において後に検討する。

(キ)本件発明1の「前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、」との特定事項について
甲3発明には、本件発明1の上記特定事項に関する記載はない。

イ 一致点及び相違点の認定
上記アによれば、本件発明1と甲3発明とは、
「表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記光学層は、光学接着剤である、
表示システム。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点4-1]
「連続的なオーバレイ」について、本件発明1は、「不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位」「を有している」のに対し、甲3発明は、これを有さない点。

[相違点4-2]
本件発明1は、「前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在」しているのに対し、甲3発明は、そういえるのか明らかでない点。

[相違点4-3]
「光学接着剤である」「光学層」について、本件発明1は、「予備的に硬化されていて予備形成物を形成している」のに対し、甲3発明は、そうであるのか不明である点。

[相違点4-4]
本件発明1は、「前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む」のに対し、甲3発明は、そうであるのか不明である点。

相違点の判断
(ア)相違点4-2について
事案にかんがみ、相違点4-2から判断する。
a 特許異議申立人は、相違点4-2が実質的でない旨主張する(特許異議申立書37頁1行?4行)ところ、相違点4-2が実質的でないと判断するためには、甲3発明の「第1フレーム」が本件発明1の「ベゼル」に相当すると認定できるとともに、「第1フレーム」が接着層「内に進入する」といえることが必要である。
そこで、甲3発明の「第1フレーム」が「ベゼル」と認定できるのかについてはひとまず措き、まずは、「第1フレーム」が接着層「内に進入する」といえるのかについて検討する。

甲3発明は、「前記タッチパネルと前記フレームとが貼り付けられている第1貼付け面は、前記タッチパネルと前記表示パネルとが貼り付けられている第2貼付け面より、前記表示パネル側にある」ことにより、タッチパネルと表示パネルとがより密着して取り付けられるので、表示パネルとタッチパネルとの間において気泡が発生することを防止できるという技術的意義を奏するものと認められる(【0015】・【0016】)。そうすると、タッチパネルは、第1フレームによって相当程度引っ張られるものと解される(甲3の図5でいえば、タッチパネル21が、第1フレーム131によって、下方に引っ張られるイメージである。)。そうであるならば、甲3発明の「第1フレーム」(図5の「131」)が接着層(図5の「41」)「内に進入する」とは、直ちには認めがたいし、また、それを認めるに足りる証拠もない。

これに対し、特許異議申立人は、甲3発明において、タッチパネルは、第1フレームと表示パネルとに接着層により貼り付けられているため、少なくとも、接着層に接している第1フレームの表面部分が、接着層内に進入している蓋然性が高い旨主張する(特許異議申立書37頁1行?4行)。しかし、本件発明1が、上記のような状態、すなわち、第1フレームと表示パネルとが接着層により貼り付けられているにすぎない状態、をも「前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、」との構成に含める趣旨で、「光学層内に進入する進入部」という表現を採用したと解することはできない。なぜならば、当該趣旨であるならば、単に、「ベゼル」と「オーバレイ」とが「光学層」を介して「接合」されていると表現すれば足りていたからである。特許異議申立人の主張は失当である。

したがって、甲3発明は、本件発明1の「光学層内に進入する進入部」を備えず、よって、相違点4-2は実質的であるというべきである。

b そして、甲3発明において、「第1フレーム」が接着層「内に進入する」ように構成することが設計的事項であると認めるに足りる証拠はない。
そうすると、当業者が、甲3発明に基づいて相違点4-2に係る構成に容易に至るとはいえない。

c 上記の判断は、甲2を踏まえても、左右されないことが明らかである。

(イ)したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)申立理由3についての小括
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。
なお、以上の理由からみて、本件発明3?6,8?17も、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないといえる。

4 申立理由4について
請求項1には、「光学層」が「光学接着剤」であるとの特定がないところ、特許異議申立人は、そのことをもって、訂正前の請求項1,3,6?12の記載に対するサポート要件違反を主張する(特許異議申立書42頁(?43頁)「(4-4)」)ので検討する。

ところで、本件訂正により、本件発明1に「光学層」が「光学接着剤」であるとの特定が追加されたため、申立理由4の前提が妥当するのは、かかる特定が存在しない本件発明6,8,11及びそれを引用する部分ということになる。もっとも、当審は、請求項1の記載には、本件訂正前であっても、サポート要件違反がないと判断したものであるところ(よって、申立理由4を採用した上での取消理由を通知しなかった。)、当該判断を示せば、本件発明1,3,6,8?12の記載のサポート要件適合性も、これらが訂正前の請求項1に係る発明を減縮したものに相当するため、一括して示されることになる。そこで、当審は、まずは、訂正前の請求項1の記載のサポート要件適合性について説示することにする。

訂正前の請求項1に係る発明の解決しようとする課題は、本件明細書の【0005】及び【0006】の記載によれば、次のとおりであると認められる。すなわち、従来技術では、オーバレイを機械的なベゼルを使用することによってアセンブリへと固定していたところ、この機械的なベゼルが、表示装置の表面から突き出し、結果的に、よごれ、砂、塩水、などが溜まることになりかねず、さらに機械的なベゼルが、衝撃、温度、水、などといった他の環境条件によって損なわれる可能性があったことから、当該発明は、表示システムの耐環境性を改善することを解決しようとする課題としている。
そして、当該発明は、「前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し」ていることにより、上記課題を解決することができるものと認められる。
この際、上記の「直接固定」の手段については、技術常識に照らして適宜の手段が採用されれば足りると解され(例えば、ベゼルにさらに外枠を設け、その外枠にオーバレイを接着することによって「直接固定」することも考えられる。)、「光学層」が「光学接着剤」である必要があるとまではいえない。
したがって、当該発明は、当業者が課題を解決しうると認識できる範囲のものであるというべきであり、よって、当該発明の記載は、サポート要件を満たす。
そうすると、本件発明1,3,6,8?12の記載も、当該発明を減縮したものに相当する以上、サポート要件を満たすことになる。

特許異議申立人の主張は採用できない。

5 申立理由5について
(1)特許異議申立人は、本件発明1の「前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、」との記載(以下「本件記載1」という。)及び本件発明13の「第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記光学接着剤内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学接着剤が介在し、」との記載(以下「本件記載2」という。)が明確でない旨主張する(特許異議申立書43頁6行?下から6行)ので、以下、検討する。

ア 本件記載1について
(ア)まず、本件記載1における「前記第1表示アセンブリのベゼル」との記載は、「ベゼル」が表示装置の技術分野における技術常識であると認められる以上、明確である。
そして、本件記載1のうち、「光学層」及び「オーバレイ」も明確である。
次に、「ベゼル」が「前記光学層内に進入する進入部を有」することについては、「ベゼル」及び「光学層」が明確である上、「光学層内に進入する進入部」も、特段の困難なく理解できる。
さらに、「当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在」することについても、「進入部」が理解できる以上、明確に理解できる。
以上については、図10?図12をみれば、ますます明らかである。
よって、本件記載1は、明確である。

(イ)これに対し、特許異議申立人は、本件明細書の【0005】の「この機械的なベゼルが、表示装置の表面から突き出し、結果的に、よごれ、砂、塩水、などが溜まることになりかねない。さらに、機械的なベゼルが、衝撃、温度、水、などといった他の環境条件によって損なわれる可能性がある。加えて、機械的なベゼルが、装置の審美的な魅力を制約する可能性があり、オーバレイの種類および使用環境に応じて、ウインドウオーバレイが表示される画像の視認性に影響を及ぼす可能性がある。」との技術常識を考慮すると、オーバレイとベゼルとの構造的関係を理解するための発明特定事項が不足していることが明らかである旨主張する。
しかしながら、上記主張は、上記(ア)の判断を左右しないことが、明らかである。

イ 本件記載2について
本件記載2についても、本件記載1と同様に明確である。
すなわち、本件記載1と本件記載2とは、「光学層」(本件記載1)と「光学接着剤」(本件記載2)の相違はあるけれども、それを除けば実質的には同内容である。そして、その相違に係る「光学接着剤」は明確である。
よって、本件記載2は明確である。

(2)特許異議申立人は、本件発明1の「前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、」との記載(以下「本件記載3」という。)が明確でない旨主張する(特許異議申立書43頁下から5行?末行)ので、以下、検討する。
本件記載3は、その文言に照らせば、「光学層」が、「屈折率」が「前記オーバレイ」と「実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料」であってもよいし、「屈折率」が「前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面」と「実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料」であってもよいし、「屈折率」が「前記オーバレイ」及び「前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面」の両方と「実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料」であってもよい、ことを特定していると解されるから、明確である。

これに対し、特許異議申立人は、要するに、本件記載3の「光学層」が「屈折率を整合させた材料を含む」の「含む」を、「光学層」が「屈折率を整合させた材料」を組成物の一部として「含む」の意味に解した上で、本件記載3が明確でない旨主張するものであるが、上記のとおり、その前提が失当である。

(3)申立理由5についての小括
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。

第8 むすび
以上のとおり、本件発明1,3?6,8?17に係る特許は、本件取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、取り消すことができない。また、他に本件発明1,3?6,8?17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2及び7は、本件訂正により削除されたので、請求項2及び7についての本件特許異議申立ては却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記光学層は、予備的に硬化されていて予備形成物を形成している光学接着剤であり、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含む、表示システム。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記第1表示アセンブリが、液晶表示装置、有機発光ダイオード表示装置、および電子ペーパー表示装置のうちの1つである請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記光学層は、固体、ゲルまたは液体の接着剤である請求項1又は3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記光学層は、組み合せ接着剤、シリコーン主体の接着剤、2液硬化型のシリコーン接着剤、ウレタン由来の材料、アクリル由来の材料、ウレタン誘導体およびシリコーン誘導体(および/またはアクリル誘導体)の混合物、およびエポキシ誘導体のうちの1つを備える請求項1,3,4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイへと光学的に接合させる第2表示アセンブリまたは前記オーバレイへと光学的に接合させるアクセサリを更に備える、表示システム。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記少なくとも1つの追加の層は、反射防止コーティング、防眩用のコーティング、汚れ防止のコーティング、またはEMIフィルタである、表示システム。
【請求項9】
前記光学層が、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位および前記第1表示アセンブリの前記表示領域の外表面の一方と実質的に同様な屈折率を有している請求項1,3?6,8のいずれかに記載の表示システム。
【請求項10】
前記オーバレイは、少なくとも2辺において前記第1の実質的に透明な部位を超えて広がっている第2のカスタマイズされた部位を有している請求項1に記載の表示システム。
【請求項11】
表示システムであって、
・第1のサイズの表示領域を有する第1表示アセンブリと、
・前記第1表示アセンブリの前記表示領域のサイズに対応する第1の実質的に透明な部位および不透明なコーティングである少なくとも1つの追加の層を含む第2のカスタマイズされた部位を有している連続的なオーバレイと、
および
・前記オーバレイと前記第1表示アセンブリとの間に配され、前記第1表示アセンブリを前記オーバレイへと光学的に接合させる光学層と、を備え、
前記オーバレイは、前記第1表示アセンブリにベゼルを使用することなく直接固定され、前記第1表示アセンブリのベゼルは前記光学層内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学層が介在し、
前記光学層は、屈折率が前記オーバレイおよび前記第1表示アセンブリの表示領域の外表面の一方、または両方と実質的に同様であるよう、屈折率を整合させた材料を含み、
前記オーバレイは、前記第1の実質的に透明な部位から離れて位置する第2の実質的に透明な部位をさらに備えている、表示システム。
【請求項12】
前記第1表示アセンブリは、前記オーバレイを覆う機械的なベゼルを用いずに、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位へと光学的に接合される請求項1,3?6,8?11のいずれかに記載の表示システム。
【請求項13】
表示システムを構成するための方法であって、
・オーバレイの第1の実質的に透明な部位、及び少なくとも1つの不透明な領域を含むオーバレイの第2の部位に、光学接着剤を塗布するステップ、ここで第1表示アセンブリに使用されるベゼルは前記光学接着剤内に進入する進入部を有し、当該進入部と前記オーバレイの間に前記光学接着剤が介在し、
・前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップ、
・前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの前記視認可能部分に整列させるステップに先立って、前記光学接着剤を予備的に硬化させるステップ、および、
・前記予備的に硬化された光学接着剤によって、前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位と前記第1表示アセンブリとを光学的に接合させるステップを含んでいる方法。
【請求項14】
前記オーバレイの第2の部位へとセンサ、および/または、タッチスイッチを貼り付けるステップを更に含んでいる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オーバレイの第2の部位の少なくとも一部分へとコーティングを適用するステップを更に含んでいる請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位を前記第1表示アセンブリの視認可能部分に整列させるステップが、前記オーバレイの第2の部位が前記オーバレイの前記第1の実質的に透明な部位の少なくとも1辺を超えて広がるように、前記第1表示アセンブリを位置させるステップを含んでいる請求項13-15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記予備的に硬化された光学接着剤によって、前記オーバレイの第2の部位と、第2表示アセンブリまたはアクセサリとを光学的に接合させるステップを更に含んでいる請求項13に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-02-21 
出願番号 特願2015-21720(P2015-21720)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G02F)
P 1 651・ 121- YAA (G02F)
P 1 651・ 832- YAA (G02F)
P 1 651・ 537- YAA (G02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 磯野 光司磯崎 忠昭  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 山村 浩
星野 浩一
登録日 2018-01-05 
登録番号 特許第6267665号(P6267665)
権利者 ブイアイエイ オプトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
発明の名称 ベゼルレスの表示システム  
代理人 藤田 アキラ  
代理人 今井 秀樹  
代理人 藤田 アキラ  
代理人 今井 秀樹  
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