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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1350922
審判番号 不服2017-18366  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-11 
確定日 2019-04-18 
事件の表示 特願2013-147462号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月2日出願公開、特開2015-19680号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年7月16日の出願であって、平成28年7月15日に手続補正書が提出され、平成29年5月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月25日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年12月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
一方、当審において、平成30年9月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年11月12日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(当審においてA?Iに分説した。)。

「【請求項1】
A 始動領域への遊技球の入賞に基づき、識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示装置を備え、前記変動表示ゲームの停止結果が予め定めた特別結果となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、
B 前記始動領域への遊技球の入賞に基づき、前記変動表示ゲームの実行に関連する乱数を抽出し当該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段と、
C 前記始動記憶に対応する始動記憶表示を所定の表示部に表示する始動記憶表示手段と、
D 前記変動表示ゲームの停止結果が表示される以前に、当該変動表示ゲームについて判定する判定手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、判定の対象となった変動表示ゲームの期待度を対応する前記始動記憶表示の表示態様によって報知可能な判定結果報知手段と、を備え、
F 前記始動記憶表示手段は、
前記変動表示ゲームの実行開始後も、当該変動表示ゲームに対応する前記始動記憶表示を前記所定の表示部とは異なる特定の表示部に表示し、
G 前記特定の表示部に表示される前記始動記憶表示を、前記所定の表示部に表示される前記始動記憶表示の表示態様とは異なる表示態様で表示可能であり、
H 前記始動記憶表示を、第1オブジェクトと第2オブジェクトで構成された態様で表示可能であって、
I 前記判定結果報知手段は、前記特定の表示部において、1の前記第1オブジェクトに1または複数の前記第2オブジェクトを付加させた態様の前記始動記憶表示により実行中の変動表示ゲームの期待度を報知可能であり、1の当該第1オブジェクトに付加させる当該第2オブジェクトの数によって期待度を示唆可能であるとともに、付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能であることを特徴とする遊技機。」

3 当審の平成30年9月26日付け拒絶の理由の概要
(1)理由1
本願の請求項1?2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された特開2011-171号公報(以下「引用例1」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)理由2
本願の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)理由3?5
(略)

4 引用例
(1)引用例1
ア 引用例1に記載又は図示された事項
当審の拒絶の理由に引用文献1として引用された引用例1には、以下の(1-1)?(1-12)の事項が記載又は図示されている。

(1-1)「【0014】
本発明によれば、遊技者は疑似連予告演出において実行される総疑似連数(疑似連が何変動継続するか)を遅くとも変動開始時に知得することができるので、当該変動表示ゲームに対する遊技者の期待感は様々に変化することとなる。すなわち、先読み予告(先読み予告表示、本連予告演出)と疑似連予告演出を関連させることにより演出表示が多様化され、遊技の興趣性が格段に向上される。」

(1-2)「【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係る遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。」

(1-3)「【0029】
センターケース200の下側には特図1始動口24が設けられ、その内部には特図1始動口センサ24a(図3参照)が備えられている。特図1始動口センサ24aによって遊技球を検出することに基づいて、特図1変動表示ゲームを開始する特図1始動権利が発生するようになっている。
特図1始動口24の下部には特図2始動口25が設けられ、その内部には特図2始動口センサ25a(図3参照)が備えられている。特図2始動口センサ25aによって遊技球を検出することに基づいて、特図2変動表示ゲームを開始する特図2始動権利が発生するようになっている。
特図2始動口25は、左右一対の可動部材(普通電動役物)25b,25bを具備している。この一対の可動部材25b,25bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた状態を保持しており、特図1始動口24により上部が閉塞されることで、特図2始動口25に遊技球を受け入れ不可能な状態となっている。一方、普図当たりとなった場合には、駆動装置としての普電SOL25c(図3参照)によって逆「ハ」の字状に所定時間(例えば、0.5秒間)開放され、遊技球を受け入れ可能な状態となる。これにより、特図2始動口25に遊技球が入賞し易くなるので、特図2変動表示ゲームの始動が容易となる。
【0030】
このように、遊技機100は、遊技領域に設けられた第1始動口(特図1始動口24)と、普通電動役物としての可動部材(25b,25b)の開閉動作により遊技球が入賞しやすい状態と遊技球が入賞しにくい若しくは入賞しない状態とに変換される第2始動口(特図2始動口25)を備えている。
また、遊技球が入賞又は通過することにより、特図1始動権利又は特図2始動権利と異なる普図始動権利を発生させる普図始動口(普図ゲート21)を備えている。
【0031】
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、特図1表示器22A及び特図2表示器22Bで実行されるようになっており、複数の識別情報を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームが行われる。
液晶表示装置50では、各特図変動表示ゲームに対応させて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される。すなわち、液晶表示装置50は、変動表示手段として、複数の図柄による変動表示ゲームを表示する。
【0032】
そして、特図1表示器22A若しくは特図2表示器22Bで実行される特図変動表示ゲームにおいて、特別結果態様(例えば、「7」)が導出されて特図当たり(いわゆる大当たり)となると、特別遊技状態(いわゆる大当たり状態)が発生する。これに対応して、液晶表示装置50で実行される飾り特図変動表示ゲームにおいても特別結果態様(例えば15R大当たりの場合は「777」等のゾロ目数字のいずれか)が導出される。」

(1-4)「【0035】
遊技機100では、特図1/特図2変動表示ゲームを始動するための特図1始動権利又は特図2始動権利は、それぞれ上限数(例えば、4個)の範囲内で特図1始動記憶又は特図2始動記憶として記憶可能となっている。また、普図変動表示ゲームを始動するための普図始動権利は、上限数(例えば、4個)の範囲内で普図始動記憶として記憶可能となっている。」

(1-5)「【0056】
図6は、特図ゲーム処理(図5のステップS19)の一例について示すフローチャートである。
図6のステップS101では、図5のステップS17(入賞口SW監視処理)における監視結果(検出信号の有無)に基づいて、特図1始動口24への入賞(特図1始動入賞)があるか否かを判定する。そして、特図1始動口24への入賞があると判定した場合はステップS102に移行し、特図1始動口24への入賞がないと判定した場合はステップS107に移行する。
ステップS102では、現在の特図1始動記憶数(保留数)を取得する。
ステップS103では、特図1始動記憶数が4以上であるか否かを判定する。そして、特図1始動記憶数が4以上であると判定した場合、すなわち、特図1始動記憶の上限数を超えている場合(保留4)はステップS107に移行し、特図1始動記憶数が4以上でない(保留0?3)と判定した場合はステップS104に移行する。
ステップS104では、特図1始動記憶数を1加算して更新する。
ステップS105では、更新した特図1始動記憶に対応する各種乱数を抽出し、記憶する。ここで、特図1始動記憶に対応する各種乱数とは、特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などである。
【0057】
ステップS106では、液晶表示装置50において先読み予告を行うための先読み情報を設定する(先読み情報設定処理)。遊技機100は、先読み予告として、連続する複数ゲームにわたって実行される演出からなる本連予告演出と、飾り特図始動記憶表示(保留玉の表示)による先読み予告表示とを実行可能に構成されている。
本連予告演出では、保留された始動権利に基づく大当たり抽選の結果や変動パターンを先読みし、その始動記憶(保留玉)に係る変動表示ゲームにおいて大当たりとなる可能性を、その始動入賞前の始動記憶に係る変動表示ゲームにおいて報知する。例えば、本連予告演出の実行契機となった始動入賞時の始動記憶分の変動表示ゲームにおいて相互に関連性のある演出が連続して実行される。本連予告演出の実行契機となった始動入賞時の保留数が3(当該始動入賞により保留4が発生)である場合は、保留1?4の4回にわたる変動表示ゲーム、又は変動中の変動表示ゲームを含めた5回にわたる変動表示ゲームにおいて本連予告演出が実行される。この本連予告演出によれば、保留内での大当たりに対する期待感を段階的に増幅させることができる。
【0058】
また、先読み予告表示では、例えば保留玉の表示色や表示模様により、その始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターン(例えば、リーチの発生やリーチ種類など)や大当たりとなる期待度を示唆する。遊技機100は、疑似連予告演出を実行可能に構成されており、先読み予告表示により疑似連数も報知できるようになっている。
疑似連予告演出とは、1回の変動表示ゲームにおいて、例えば特定の図柄の並びで一時的に停止した後、再び図柄変動と停止を行い、擬似的に複数回変動表示ゲームが行われているように見せる予告演出である。以下において、図柄変動の停止→再変動がn回行われる疑似連予告を疑似(n+1)連と称し、このときの疑似連数を(n+1)で表すこととする。例えば、図柄変動が1回停止して再変動した場合は疑似2連となり、このときの疑似連数は2となる。
【0059】
ステップS106に係る先読み情報設定処理では、具体的には、当該始動記憶に係る特図当たり判定用乱数が大当たり判定値又は小当たり判定値と一致するか否かを判定し、その結果(特図当たり抽選結果)を設定する。また、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを判定し、判定した変動パターンに関する情報を設定する。このようにして、当該始動記憶に対応付けられた特図当たり抽選結果と変動パターンが先読み情報として設定される。ここで、変動パターンの判定に際しては、図13に示す変動パターン決定用テーブルを用いるようにしている。つまり、図13に示す変動パターン決定用判定値と変動パターン決定用乱数を比較することにより、変動パターンを決定する。」

(1-6)「【0064】
ステップS108では、図5のステップS17における監視結果に基づいて、特図2始動口25への入賞(特図2始動入賞)があるか否かを判定する。そして、特図2始動口25への入賞があると判定した場合はステップS109に移行し、特図2始動口25への入賞がないと判定した場合はステップS115に移行する。
ステップS109では、現在の特図2始動記憶数を取得する。
ステップS110では、特図2始動記憶数が4以上であるか否かを判定する。そして、特図2始動記憶数が4以上であると判定した場合、すなわち、特図2始動記憶の上限数を超えている場合はステップS115に移行し、特図2始動記憶数が4以上でないと判定した場合はステップS111に移行する。
ステップS111では、特図2始動記憶数を1加算して更新する。
【0065】
ステップS112では、更新した特図2始動記憶に対応する各種乱数を抽出し、記憶する。ここで、特図2始動記憶に対応する各種乱数とは、特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などである。
ステップS113では、ステップS106と同様に、液晶表示装置50において先読み予告を行うための先読み情報を設定する(先読み情報設定処理)。
ステップS114では、更新された保留数を示す保留数情報や、先読み予告を制御するための先読み情報を、特図2始動記憶に係る演出制御コマンドとして設定する。この演出制御コマンドは、図5のステップS13で演出制御装置40に送信される。」

(1-7)「【0080】
上述した特図ゲーム処理及び普図ゲーム処理では、特図変動表示ゲーム又は普図変動表示ゲームに応じて演出装置(例えば、液晶表示装置50等)を制御するための演出制御コマンドが生成され、演出制御装置40に出力される。
演出制御装置40は、遊技制御装置30からの演出制御コマンドに基づいて、例えば、液晶表示装置50で特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームを表示させたり、特図始動記憶数に対応する飾り特図始動記憶表示を表示させたりする処理を行う。また、スピーカ145からの音の出力、装飾ランプ・LED161の発光を制御する処理、下桃用モータ441aの回転駆動を制御する処理、第1上桃用ソレノイドの駆動を制御する処理、第2上桃用ソレノイドの駆動を制御する処理、第1上桃用モータ433aの回転駆動を制御する処理、第2上桃用モータ433bの回転駆動を制御する処理等を行う。
・・・
【0083】
さらに、遊技機100は、保留手段により記憶された始動記憶に基づいて、抽選手段による抽選結果と変動パターン設定手段により決定される変動パターンを対応する変動表示ゲーム開始前に判定する先読み手段(遊技制御装置30,演出制御装置40)と、先読み手段による先読み情報に基づいて連続的な複数回の演出(本連予告演出)を実行可能な連続演出実行制御手段(演出制御装置40,液晶表示装置50)と、を備えている。」

(1-8)「【0112】
本実施形態に係る遊技機100は先読み予告を実行可能に構成されており、液晶表示装置50における飾り特図始動記憶表示の表示態様により、先読み予告表示を行うようになっている。
【0113】
図14は、液晶表示装置50における表示内容の一例を示す説明図である。
図14に示すように、表示画面の略中央部には3つの識別図柄による飾り特図変動表示ゲームが表示され、下部には飾り特図始動記憶表示51?53が表示される。飾り特図始動記憶表示51は、特図1始動入賞に伴い発生する特図1始動記憶の有無を示す表示であり、斜線ありの飾り特図始動記憶表示51aで特図1始動記憶がある状態を示し、斜線なしの飾り特図始動記憶表示51bで特図1始動記憶がない状態を示している。また、飾り特図始動記憶表示52は、特図2始動入賞に伴い発生する特図2始動記憶の有無を示す表示であり、斜線ありの飾り特図始動記憶表示52aで特図2始動記憶がある状態を示し、斜線なしの飾り特図始動記憶表示52bで特図2始動記憶がない状態を示している。つまり、図14に示す状態は、特図1始動記憶が3個、特図2始動記憶が1個ある状態となる。
【0114】
本実施形態では、飾り特図始動記憶表示51,52の表示態様により、その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームの内容などを報知する。例えば、飾り特図始動記憶表示51,52の表示色を変化させたり、飾り特図始動記憶表示51,52内に特定の文字・数字、図形、又は記号(これらの組合せを含む)を表示させたりすることで、その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームで当たりとなる期待度(特図変動表示ゲームの信頼度)や、当該特図変動表示ゲームの変動パターン(例えば、リーチの発生、リーチ種類、疑似連予告演出の実行(疑似連数を含む)など)を報知する。
飾り特図始動記憶表示51,52の表示色は、例えば、通常は青色とされ、対応する特図変動表示ゲームの信頼度が高くなるに従って、青→黄→赤と変化する。そして、飾り特図始動記憶表示51,52の表示色が黄色又は赤色となったときは、当該特図始動記憶が発生したタイミング(特図始動入賞のタイミング)に応じて、当該特図変動表示ゲーム又は次の特図変動表示ゲームから本連予告演出が実行される。
【0115】
飾り特図始動記憶表示53は、当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である。特図変動表示ゲームの終了後、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51,52が飾り特図始動記憶表示53の表示領域にシフトされ、拡大表示される。遊技者は、飾り特図始動記憶表示53の表示態様により、当該変動表示ゲームが特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームのいずれなのか、当該変動表示ゲームにおいてリーチが発生するか否か、疑似連予告演出が実行されるか否か、また、疑似連が何変動継続するか、などを知得することができる。
図14では、飾り特図始動記憶表示53が特図1始動記憶であることを示す表示態様(斜線入りの○)となっているので、特図1変動表示ゲームで大当たりが発生したこととなる。
【0116】
遊技機100において先読み予告を実現するために、演出制御装置40は、遊技制御装置30から送信された演出制御コマンドに含まれる先読み情報に基づいて、先読み予告(先読み予告表示、本連予告演出)に関する処理を行う(先読み予告制御処理)。この先読み情報は、図6のS106又はS113で設定され、図5のステップS13で演出制御装置40に送信される。
・・・
【0118】
ステップS144では、受信した先読み情報に含まれる変動パターンに基づいて、疑似連予告演出を実行するか否かを判定する。例えば、変動パターンに関する情報として、疑似1連?疑似4連に対応する変動パターンが設定されている場合に、疑似連予告演出を実行すると判定する。ステップS144において疑似連予告演出を実行すると判定した場合はステップS145に移行し、疑似連予告演出を実行しないと判定した場合は処理を終了する。
ステップS145では、変動パターンに関する情報から疑似連数を判別し、当該始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示51,52に疑似連数を示す情報(例えば、マークや数字)を付加する。
・・・
【0120】
図16は、疑似連数を付加した飾り特図記憶表示の一例を示す説明図である。
本実施形態では、疑似連数と同じ☆マークを飾り特図記憶表示51,52の中に表示するようにしている。図16では、保留3に対応する飾り特図始動記憶表示51cの中に3つの☆マークが表示されているので、この保留3に係る特図変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることとなる。」

(1-9)「【0125】
図18は、疑似連予告演出の一例を示す説明図である。
図18(a)では、保留1の特図1始動記憶表示511の中に☆マークが3つ表示され、この保留1に係る特図1変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることが報知された場合を示している。図18(a)に示すように、前の特図1変動表示ゲームが終了すると保留1の飾り特図1始動記憶表示511が左にシフトし、当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53として拡大表示される(図18(b))。
【0126】
そして、図18(c)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似1連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて2つとなる。つまり、飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数は、残り何回疑似連が継続されるかを示している。
図18(d)に示すように、疑似1連目の特図1変動表示ゲームではハズレ結果態様(図18(d)では「334」)が導出され、変動表示が一旦停止される。その後、図18(e)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似2連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて1つとなる(残り疑似連数1)。遊技機100では、このような疑似連予告演出が実行される。
【0127】
なお、疑似連予告演出において実行される流れ星の演出表示と一緒に、本連予告演出と同様の背景フラッシュによる演出を実行するようにしてもよい。すなわち、本実施形態では、本連予告演出及び疑似連予告演出に同様の演出を利用できるようにしている。
本連予告演出を伴う最終の特図変動表示ゲームにおいて疑似連予告演出が実行される場合には、本連予告演出で実行された疑似連予告演出の内容に制約を受ける。例えば、本連予告演出において黄色フラッシュの演出表示がなされた場合、その後実行される疑似連予告演出では期待度が黄色フラッシュ以上となる演出表示、すなわち黄色フラッシュ又は赤色フラッシュとされ、期待度が降格することとなる演出表示は実行されないようにする。」

(1-10)「【0136】
このように、遊技機100が備える保留関連情報表示手段は、複変動パターン(疑似連予告演出用の変動パターン)が設定される始動記憶に係る保留関連情報として、当初は当該複変動パターンを構成する変動サイクル数(総疑似連数)よりも少ない変動サイクル数を表示し、変動表示ゲームが1ゲーム消化されるごとに変動サイクル数を加算し、最終的に当該複変動パターンを構成する変動サイクル数とする。
これにより、疑似連予告演出を伴う特図変動表示ゲームが実行されるまで疑似連数が変動するので、遊技者の期待感を持続させることができるとともに、段階的に増幅させることができる。」

(1-11)「【図16】



(1-12)「【図18】



イ 認定事項
上記「ア」から、次の(1-a)?(1-i)の事項が認定できる。

(1-a)段落【0029】には、「センターケース200の下側には特図1始動口24が設けられ、その内部には特図1始動口センサ24a(図3参照)が備えられている。特図1始動口センサ24aによって遊技球を検出することに基づいて、特図1変動表示ゲームを開始する特図1始動権利が発生するようになっている。
特図1始動口24の下部には特図2始動口25が設けられ、その内部には特図2始動口センサ25a(図3参照)が備えられている。特図2始動口センサ25aによって遊技球を検出することに基づいて、特図2変動表示ゲームを開始する特図2始動権利が発生するようになっている。」と記載され、段落【0031】には、「液晶表示装置50では、各特図変動表示ゲームに対応させて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される。すなわち、液晶表示装置50は、変動表示手段として、複数の図柄による変動表示ゲームを表示する。」と記載され、段落【0032】には、「特図当たり(いわゆる大当たり)となると、特別遊技状態(いわゆる大当たり状態)が発生する。これに対応して、液晶表示装置50で実行される飾り特図変動表示ゲームにおいても特別結果態様(例えば15R大当たりの場合は「777」等のゾロ目数字のいずれか)が導出される。」と記載され、段落【0016】には、「本発明に係る遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。」と記載されているから、引用例1には、特図1始動口24又は特図2始動口25で遊技球を検出することに基づいて、特図1又は特図2の特図変動表示ゲームを開始して各特図変動表示ゲームに対応させて識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される液晶表示装置50を備え、大当たり状態である特別遊技状態の発生に対応して飾り特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されるパチンコ遊技機が記載されているといえる。

(1-b)段落【0056】には、「特図1始動口24への入賞があると判定した場合はステップS102に移行し、・・・ステップS105では、更新した特図1始動記憶に対応する各種乱数を抽出し、記憶する。ここで、特図1始動記憶に対応する各種乱数とは、特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などである。」と記載され、段落【0064】?【0065】には、「特図2始動口25への入賞があると判定した場合はステップS109に移行し、・・・ステップS112では、更新した特図2始動記憶に対応する各種乱数を抽出し、記憶する。ここで、特図2始動記憶に対応する各種乱数とは、特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などである。」と記載され、段落【0035】には、「遊技機100では、特図1/特図2変動表示ゲームを始動するための特図1始動権利又は特図2始動権利は、それぞれ上限数(例えば、4個)の範囲内で特図1始動記憶又は特図2始動記憶として記憶可能となっている。」と記載されているから、引用例1には、特図1始動口24又は特図2始動口25への入賞があると判定した場合は、特図変動表示ゲームを始動するための始動権利である特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数を始動記憶として上限数の範囲内で記憶する手段が記載されているといえる。

(1-c)段落【0113】には、「液晶表示装置50における表示内容の一例を示す説明図である。図14に示すように、表示画面の略中央部には3つの識別図柄による飾り特図変動表示ゲームが表示され、下部には飾り特図始動記憶表示51?53が表示される。飾り特図始動記憶表示51は、特図1始動入賞に伴い発生する特図1始動記憶の有無を示す表示であり、斜線ありの飾り特図始動記憶表示51aで特図1始動記憶がある状態を示し、斜線なしの飾り特図始動記憶表示51bで特図1始動記憶がない状態を示している。また、飾り特図始動記憶表示52は、特図2始動入賞に伴い発生する特図2始動記憶の有無を示す表示であり、斜線ありの飾り特図始動記憶表示52aで特図2始動記憶がある状態を示し、斜線なしの飾り特図始動記憶表示52bで特図2始動記憶がない状態を示している。」と記載され、段落【0115】には、「飾り特図始動記憶表示53は、当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である。」と記載され、段落【0080】には、「演出制御装置40は、遊技制御装置30からの演出制御コマンドに基づいて、例えば、液晶表示装置50で特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームを表示させたり、特図始動記憶数に対応する飾り特図始動記憶表示を表示させたりする処理を行う。」と記載されていることから、引用例1には、特図1始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示51、特図2始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示52及び当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示53を液晶表示装置50の表示画面の下部に表示させる演出制御装置40が記載されているといえる。

(1-d)段落【0059】には、「先読み情報設定処理では、具体的には、当該始動記憶に係る特図当たり判定用乱数が大当たり判定値又は小当たり判定値と一致するか否かを判定し、その結果(特図当たり抽選結果)を設定する。また、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを判定し、判定した変動パターンに関する情報を設定する。」と記載され、段落【0083】には、「始動記憶に基づいて、抽選手段による抽選結果と変動パターン設定手段により決定される変動パターンを対応する変動表示ゲーム開始前に判定する先読み手段」と記載されていることから、引用例1には、始動記憶に対応する変動表示ゲーム開始前に、始動記憶に係る乱数に基づいて抽選結果と変動パターンを判定して先読み情報を設定する先読み手段が記載されているといえる。

(1-e)段落【0057】には、「先読み予告を行うための先読み情報を設定する」と記載され、段落【0058】には、「先読み予告表示では、例えば保留玉の表示色や表示模様により、その始動記憶に係る変動表示ゲームの変動パターン(例えば、リーチの発生やリーチ種類など)や大当たりとなる期待度を示唆する。遊技機100は、疑似連予告演出を実行可能に構成されており、先読み予告表示により疑似連数も報知できるようになっている。」段落【0112】には、「飾り特図始動記憶表示の表示態様により、先読み予告表示を行う」と記載され、段落【0114】には、「飾り特図始動記憶表示51,52の表示態様により、その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームの内容などを報知する。例えば、飾り特図始動記憶表示51,52の表示色を変化させたり、飾り特図始動記憶表示51,52内に特定の文字・数字、図形、又は記号(これらの組合せを含む)を表示させたりすることで、その飾り特図始動記憶表示51,52に対応する特図変動表示ゲームで当たりとなる期待度(特図変動表示ゲームの信頼度)や、当該特図変動表示ゲームの変動パターン(例えば、リーチの発生、リーチ種類、疑似連予告演出の実行(疑似連数を含む)など)を報知する。」と記載され、段落【0115】には、「遊技者は、飾り特図始動記憶表示53の表示態様により、当該変動表示ゲームが特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームのいずれなのか、当該変動表示ゲームにおいてリーチが発生するか否か、疑似連予告演出が実行されるか否か、また、疑似連が何変動継続するか、などを知得することができる。」と記載され、段落【0116】には、「遊技機100において先読み予告を実現するために、演出制御装置40は、遊技制御装置30から送信された演出制御コマンドに含まれる先読み情報に基づいて、先読み予告(先読み予告表示、本連予告演出)に関する処理を行う(先読み予告制御処理)。」と記載されているから、引用例1には、設定された先読み情報に基づいて特図変動表示ゲームの大当たりとなる期待度や疑似連数を飾り特図始動記憶表示51?53の表示態様によって報知する先読み予告表示を行う演出制御装置40が記載されているといえる。

(1-f)段落【0080】には、「演出制御装置40は、遊技制御装置30からの演出制御コマンドに基づいて、例えば、液晶表示装置50で特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームを表示させたり、特図始動記憶数に対応する飾り特図始動記憶表示を表示させたりする処理を行う。」と記載され、段落【0113】には、「図14は、液晶表示装置50における表示内容の一例を示す説明図である。図14に示すように、表示画面の略中央部には3つの識別図柄による飾り特図変動表示ゲームが表示され、下部には飾り特図始動記憶表示51?53が表示される。」と記載され、段落【0115】には、「飾り特図始動記憶表示53は、当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である。特図変動表示ゲームの終了後、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51,52が飾り特図始動記憶表示53の表示領域にシフトされ、拡大表示される。」と記載されていることから、引用例1には、演出制御装置40により、液晶表示装置50の表示画面において、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51、52をシフトして当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である飾り特図始動記憶表示53の表示領域に表示することが記載されているといえる。

(1-g)段落【0115】には、「特図変動表示ゲームの終了後、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51,52が飾り特図始動記憶表示53の表示領域にシフトされ、拡大表示される。」と記載され、段落【0126】には、「そして、図18(c)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似1連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて2つとなる。」と記載されているから、引用例1には、飾り特図始動記憶表示53の表示領域では、シフトした飾り特図始動記憶表示51、52を拡大表示するとともに、飾り特図始動記憶表示53から☆がとび出して画面内で流れ星の演出表示を行うことが記載されているといえる。

(1-h)段落【0118】には、「変動パターンに関する情報として、疑似1連?疑似4連に対応する変動パターンが設定されている場合に、疑似連予告演出を実行すると判定する。・・・変動パターンに関する情報から疑似連数を判別し、当該始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示51,52に疑似連数を示す情報(例えば、マークや数字)を付加する」と記載され、段落【0120】には、「疑似連数と同じ☆マークを飾り特図記憶表示51,52の中に表示するようにしている。図16では、保留3に対応する飾り特図始動記憶表示51cの中に3つの☆マークが表示されている」と記載され、図16には○の図形の中に☆マークを付加した表示態様の飾り特図始動記憶表示51が図示され、段落【0125】には、「図18(a)では、保留1の特図1始動記憶表示511の中に☆マークが3つ表示され、この保留1に係る特図1変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることが報知された場合を示している。図18(a)に示すように、前の特図1変動表示ゲームが終了すると保留1の飾り特図1始動記憶表示511が左にシフトし、当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53として拡大表示される(図18(b))。」と記載され、図18には○の図形の中に☆マークを付加した表示態様の飾り特図始動記憶表示53が図示されているから、引用例1には、飾り特図記憶表示51?53として所定の図形の中に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加した表示態様で表示を行うことが記載されているといえる。

(1-i)段落【0116】には、「遊技機100において先読み予告を実現するために、演出制御装置40は、遊技制御装置30から送信された演出制御コマンドに含まれる先読み情報に基づいて、先読み予告(先読み予告表示、本連予告演出)に関する処理を行う(先読み予告制御処理)。」と記載され、段落【0118】には、「受信した先読み情報に含まれる変動パターンに基づいて、疑似連予告演出を実行するか否かを判定する。例えば、変動パターンに関する情報として、疑似1連?疑似4連に対応する変動パターンが設定されている場合に、疑似連予告演出を実行すると判定する。・・・ステップS145では、変動パターンに関する情報から疑似連数を判別し、当該始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示51,52に疑似連数を示す情報(例えば、マークや数字)を付加する」と記載され、段落【0120】には、「疑似連数と同じ☆マークを飾り特図記憶表示51,52の中に表示するようにしている。図16では、保留3に対応する飾り特図始動記憶表示51cの中に3つの☆マークが表示されているので、この保留3に係る特図変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることとなる。」と記載され、段落【0125】には、「保留1の特図1始動記憶表示511の中に☆マークが3つ表示され、この保留1に係る特図1変動表示ゲームにおいて疑似3連の疑似連予告演出が実行されることが報知された場合を示している。図18(a)に示すように、前の特図1変動表示ゲームが終了すると保留1の飾り特図1始動記憶表示511が左にシフトし、当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53として拡大表示される」と記載され、段落【0014】には「遊技者は疑似連予告演出において実行される総疑似連数(疑似連が何変動継続するか)を遅くとも変動開始時に知得することができるので、当該変動表示ゲームに対する遊技者の期待感は様々に変化することとなる。」と記載され、段落【0136】には、「変動サイクル数(総疑似連数)よりも少ない変動サイクル数を表示し、変動表示ゲームが1ゲーム消化されるごとに変動サイクル数を加算し、最終的に当該複変動パターンを構成する変動サイクル数とする。これにより、疑似連予告演出を伴う特図変動表示ゲームが実行されるまで疑似連数が変動するので、遊技者の期待感を持続させることができるとともに、段階的に増幅させることができる。」と記載され、段落【0126】には、「そして、図18(c)に示すように、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出し、画面内で流れ星の演出表示がなされ、疑似1連目の特図1変動表示ゲームが開始されるとともに、飾り特図始動記憶表示53の☆マークは1減算されて2つとなる。つまり、飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数は、残り何回疑似連が継続されるかを示している。」と記載され、図18には特図始動記憶表示53の○の図形の中の☆マークが1つとび出して画面上を流れるとともに特図始動記憶表示53の○の図形の中の☆マークが1つ減ることが図示され、段落【0016】には、「本発明に係る遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。」と記載されているから、引用例1には、演出制御装置40は先読み予告表示を行い、先読み情報に基づいて疑似連数を判別して飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加して表示し、疑似連数を報知することにより遊技者の期待感に変化を与え、疑似連数の加算は遊技者に期待感を増幅させ、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る、パチンコ遊技機が記載されているといえる。

ウ 引用例1に記載又は図示された発明
上記(1-1)?(1-12)に記載又は図示された事項及び(1-a)?(1-i)の認定事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載又は図示されていると認められる(以下「引用発明」という。)。

「a 特図1始動口24又は特図2始動口25で遊技球を検出することに基づいて、特図1又は特図2の特図変動表示ゲームを開始して各特図変動表示ゲームに対応させて識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される液晶表示装置50を備え、大当たり状態である特別遊技状態の発生に対応して飾り特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されるパチンコ遊技機において(認定事項1-a)、
b 特図1始動口24又は特図2始動口25への入賞があると判定した場合は、特図変動表示ゲームを始動するための始動権利である特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数を始動記憶として上限数の範囲内で記憶する手段と(認定事項1-b)、
c 特図1始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示51、特図2始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示52及び当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示53を液晶表示装置50の表示画面の下部に表示させる演出制御装置40と(認定事項1-c)、
d 始動記憶に対応する変動表示ゲーム開始前に、始動記憶に係る乱数に基づいて抽選結果と変動パターンを判定して先読み情報を設定する先読み手段と(認定事項1-d)、
e 設定された先読み情報に基づいて特図変動表示ゲームの大当たりとなる期待度や疑似連数を飾り特図始動記憶表示51?53の表示態様によって報知する先読み予告表示を行う演出制御装置40と、を備え(認定事項1-e)、
f 演出制御装置40により、液晶表示装置50の表示画面において、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51、52をシフトして当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である飾り特図始動記憶表示53の表示領域に表示し(認定事項1-f)、
g 飾り特図始動記憶表示53の表示領域では、シフトした飾り特図始動記憶表示51、52を拡大表示するとともに、飾り特図始動記憶表示53から☆がとび出して画面内で流れ星の演出表示を行い(認定事項1-g)、
h 飾り特図記憶表示51?53として所定の図形の中に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加した表示態様で表示を行い(認定事項1-h)、
i 演出制御装置40は先読み予告表示を行い、先読み情報に基づいて疑似連数を判別して飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加して表示し、疑似連数を報知することにより遊技者の期待感に変化を与え、疑似連数の加算は遊技者に期待感を増幅させ、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る、パチンコ遊技機(認定事項1-i)。」

5 対比
本願発明と引用発明とを対比する(下記の(a)?(i)は、引用発明の構成に対応している。)。

(a)引用発明の「特図1始動口24又は特図2始動口25」、「識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム」及び「液晶表示装置50」は、それぞれ、本願発明の「始動領域」、「識別情報を変動表示する変動表示ゲーム」及び「表示装置」に相当する。
そして、引用発明は「大当たり状態である特別遊技状態の発生に対応して飾り特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される」ものであり、「飾り特図変動表示ゲーム」の結果が所定の「特別結果態様」である場合に「大当たり状態である特別遊技状態」を発生させているといえる。
また、パチンコ遊技機において「大当たり状態」が遊技者にとって有利な状態であることは技術常識であるから、引用発明の「大当たり状態である特別遊技状態」は、本願発明の「遊技者にとって有利な特別遊技状態」に相当する。

よって、引用発明の「特図1始動口24又は特図2始動口25で遊技球を検出することに基づいて、特図1又は特図2の特図変動表示ゲームを開始して各特図変動表示ゲームに対応させて識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される液晶表示装置50を備え、大当たり状態である特別遊技状態の発生に対応して飾り特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されるパチンコ遊技機」は、本願発明の「始動領域への遊技球の入賞に基づき、識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示装置を備え、前記変動表示ゲームの停止結果が予め定めた特別結果となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機」に相当する。

(b)引用発明の「特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数」は「特図変動表示ゲームを始動するための」ものであり、特図変動表示ゲームに関連するものであるから、引用発明の「特図変動表示ゲームを始動するための始動権利である特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数」は、本願発明の「前記変動表示ゲームの実行に関連する乱数」に相当する。
そして、引用発明の「特図変動表示ゲームを始動するための始動権利である」「各種乱数を始動記憶として上限数の範囲内で記憶する」ことは、本願発明の「当該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する」ことに相当する。

よって、引用発明の「特図1始動口24又は特図2始動口25への入賞があると判定した場合は、特図変動表示ゲームを始動するための始動権利である特図当たり判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数を始動記憶として上限数の範囲内で記憶する手段」は、本願発明の「前記始動領域への遊技球の入賞に基づき、前記変動表示ゲームの実行に関連する乱数を抽出し当該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段」に相当する。

(c)引用発明の「飾り特図始動記憶表示51」、「飾り特図始動記憶表示52」又は「飾り特図始動記憶表示53」は、いずれも「特図始動記憶」に対応した表示であるから、これらの「飾り特図始動記憶表示」は、本願発明の「前記始動記憶に対応する始動記憶表示」に相当する。
また、引用発明の「液晶表示装置50の表示画面」の所定の領域には「飾り特図始動記憶表示51」及び「飾り特図始動記憶表示52」が表示されることから、これらの「飾り特図始動記憶表示」が表示される領域は本願発明の「所定の表示部」に相当する。

よって、引用発明の「特図1始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示51、特図2始動記憶の有無を示す飾り特図始動記憶表示52及び当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示53を液晶表示装置50の表示画面の下部に表示させる演出制御装置40」は、本願発明の「前記始動記憶に対応する始動記憶表示を所定の表示部に表示する始動記憶表示手段」に相当する。

(d)引用発明の「先読み情報を設定」するために「始動記憶に対応する変動表示ゲーム開始前に、始動記憶に係る乱数に基づいて抽選結果と変動パターンを判定」することは、変動表示ゲームが終了して停止結果が表示される前に変動表示ゲームについて抽選結果と変動パターンを判定することであるから、本願発明の「前記変動表示ゲームの停止結果が表示される以前に、当該変動表示ゲームについて判定する」ことに相当する。

よって、引用発明の「始動記憶に対応する変動表示ゲーム開始前に、始動記憶に係る乱数に基づいて抽選結果と変動パターンを判定して先読み情報を設定する先読み手段」は、本願発明の「前記変動表示ゲームの停止結果が表示される以前に、当該変動表示ゲームについて判定する判定手段」に相当する。

(e)引用発明の「設定された先読み情報」は、抽選結果と変動パターンを判定して設定されるものであるから、本願発明の「前記判定手段の判定結果」に相当する。
そして、引用発明の「先読み情報に基づいて特図変動表示ゲームの大当たりとなる期待度や疑似連数を飾り特図始動記憶表示51?53の表示態様によって報知する」ことは、本願発明の「判定結果に基づいて、判定の対象となった変動表示ゲームの期待度を対応する前記始動記憶表示の表示態様によって報知可能」であることに相当する。

よって、引用発明の「設定された先読み情報に基づいて特図変動表示ゲームの大当たりとなる期待度や疑似連数を飾り特図始動記憶表示51?53の表示態様によって報知する先読み予告表示を行う演出制御装置40」は、本願発明の「前記判定手段の判定結果に基づいて、判定の対象となった変動表示ゲームの期待度を対応する前記始動記憶表示の表示態様によって報知可能な判定結果報知手段」に相当する。

(f)引用発明の「当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である飾り特図始動記憶表示53」は、本願発明の「当該変動表示ゲームに対応する前記始動記憶表示」に相当する。
そして、引用発明の「次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51、52」を、飾り特図始動記憶表示51、52の表示領域からシフトして「飾り特図始動記憶表示53の表示領域に表示」することは、次に実行される特図変動表示ゲーム、即ち、これから実行が開始される特図変動表示ゲームに対応して飾り特図始動記憶表示51、52の表示領域とは異なる飾り特図始動記憶表示53の表示領域に飾り特図始動記憶表示53を表示することであるから、引用発明は、特図変動表示ゲームの実行開始後も、特図始動記憶表示53を所定の表示部とは異なる特定の表示部である飾り特図始動記憶表示53の表示領域に表示しているといえる。

よって、引用発明の「演出制御装置40により、液晶表示装置50の表示画面において、次に実行される特図変動表示ゲームに対応する飾り特図始動記憶表示51、52をシフトして当該変動表示ゲームに係る特図始動記憶に対応する表示である飾り特図始動記憶表示53の表示領域に表示」することは、本願発明の「前記始動記憶表示手段は、前記変動表示ゲームの実行開始後も、当該変動表示ゲームに対応する前記始動記憶表示を前記所定の表示部とは異なる特定の表示部に表示」することに相当する。

(g)引用発明は「飾り特図始動記憶表示53の表示領域では、シフトした飾り特図始動記憶表示51、52を拡大表示」しており、「飾り特図始動記憶表示53の表示領域」で表示される飾り特図始動記憶表示53の表示を、「特図始動記憶表示51、52」の表示領域とは異なる拡大した表示態様で表示を行っているといえる。
また、引用発明は、飾り特図始動記憶表示51、52からシフトして表示された「飾り特図始動記憶表示53から☆がとび出して画面内で流れ星の演出表示を行」っており、シフト前と異なる表示態様である流れ星の演出表示を飾り特図始動記憶表示53の表示領域で行っているといえる。

よって、引用発明の「飾り特図始動記憶表示53の表示領域では、シフトした飾り特図始動記憶表示51、52を拡大表示するとともに、飾り特図始動記憶表示53から☆がとび出して画面内で流れ星の演出表示を行」うことは、本願発明の「前記特定の表示部に表示される前記始動記憶表示を、前記所定の表示部に表示される前記始動記憶表示の表示態様とは異なる表示態様で表示可能であ」ることに相当する。

(h)引用発明の「飾り特図記憶表示51?53」として表示される「所定の図形」及び「☆マーク」は、それぞれ、本願発明の「第1オブジェクト」及び「第2オブジェクト」に相当する。

よって、引用発明の「飾り特図記憶表示51?53として所定の図形の中に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加した表示態様で表示を行」うことは、本願発明の「前記始動記憶表示を、第1オブジェクトと第2オブジェクトで構成された態様で表示可能であ」ることに相当する。

(i)引用発明の「飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加して表示」することは、本願発明の「前記特定の表示部において、1の前記第1オブジェクトに1または複数の前記第2オブジェクトを付加させた態様」で表示することに相当する。
そして、引用発明は「疑似連数を報知することにより遊技者の期待感に変化を与え、疑似連数の加算は遊技者に期待感を増幅させ」ていることから、「疑似連数を報知すること」によって実行中の特図変動表示ゲームの期待度を示唆しているといえる。
したがって、引用発明の「演出制御装置40は先読み予告表示を行い、先読み情報に基づいて疑似連数を判別して飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加して表示し、疑似連数を報知することにより遊技者の期待感に変化を与え、疑似連数の加算は遊技者に期待感を増幅させ」ることは、本願発明の「前記判定結果報知手段は、前記特定の表示部において、1の前記第1オブジェクトに1または複数の前記第2オブジェクトを付加させた態様の前記始動記憶表示により実行中の変動表示ゲームの期待度を報知可能であり、1の当該第1オブジェクトに付加させる当該第2オブジェクトの数によって期待度を示唆可能である」ことに相当する。

また、引用発明は「飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る」ことから、とび出した☆マークが流れ星の演出表示という異なる表示の態様に変化するとともに、飾り特図始動記憶表示53から消えることにより☆マークが視認不可能な態様に変化しており、☆マークがとび出す前と後で☆マークの態様が異なっているといえる。
したがって、引用発明の「飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る」ことは、本願発明の「付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能であること」に相当する。

よって、引用発明の「演出制御装置40は先読み予告表示を行い、先読み情報に基づいて疑似連数を判別して飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に疑似1連?疑似4連の疑似連数を示す1?4つの☆マークを付加して表示し、疑似連数を報知することにより遊技者の期待感に変化を与え、疑似連数の加算は遊技者に期待感を増幅させ、飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る、パチンコ遊技機」は、本願発明の「前記判定結果報知手段は、前記特定の表示部において、1の前記第1オブジェクトに1または複数の前記第2オブジェクトを付加させた態様の前記始動記憶表示により実行中の変動表示ゲームの期待度を報知可能であり、1の当該第1オブジェクトに付加させる当該第2オブジェクトの数によって期待度を示唆可能であるとともに、付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能であることを特徴とする遊技機」に相当する。

上記(a)?(i)より、本願発明と引用発明とは、
「A 始動領域への遊技球の入賞に基づき、識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示装置を備え、前記変動表示ゲームの停止結果が予め定めた特別結果となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、
B 前記始動領域への遊技球の入賞に基づき、前記変動表示ゲームの実行に関連する乱数を抽出し当該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段と、
C 前記始動記憶に対応する始動記憶表示を所定の表示部に表示する始動記憶表示手段と、
D 前記変動表示ゲームの停止結果が表示される以前に、当該変動表示ゲームについて判定する判定手段と、
E 前記判定手段の判定結果に基づいて、判定の対象となった変動表示ゲームの期待度を対応する前記始動記憶表示の表示態様によって報知可能な判定結果報知手段と、を備え、
F 前記始動記憶表示手段は、
前記変動表示ゲームの実行開始後も、当該変動表示ゲームに対応する前記始動記憶表示を前記所定の表示部とは異なる特定の表示部に表示し、
G 前記特定の表示部に表示される前記始動記憶表示を、前記所定の表示部に表示される前記始動記憶表示の表示態様とは異なる表示態様で表示可能であり、
H 前記始動記憶表示を、第1オブジェクトと第2オブジェクトで構成された態様で表示可能であって、
I 前記判定結果報知手段は、前記特定の表示部において、1の前記第1オブジェクトに1または複数の前記第2オブジェクトを付加させた態様の前記始動記憶表示により実行中の変動表示ゲームの期待度を報知可能であり、1の当該第1オブジェクトに付加させる当該第2オブジェクトの数によって期待度を示唆可能であるとともに、付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能であることを特徴とする遊技機。」である点で一致する。

よって、本願発明は、引用発明である。仮に、本願発明と引用発明に相違点があるとしても、本願発明は引用発明から当業者が容易に発明をすることのできたものである。

6 請求人の主張について
請求人は、意見書において、「補正後の本願請求項1に記載の発明(以下、本願発明という)と引用文献1-5とを比較すると、引用文献1-5は、『付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能である』という特徴的構成について開示していない。
本願発明は、上記特徴的構成を有することによって、1の第1オブジェクトに1または複数の第2オブジェクトを付加させた態様の始動記憶表示(特定の表示部に表示される始動記憶表示)により、実行中の変動表示ゲームの期待度を報知可能であり、1の第1オブジェクトに付加させる第2オブジェクトの数によって期待度を示唆可能であるとともに、1の第1オブジェクトに付加されている第2オブジェクトの態様を変化させることができる。これにより、1の第1オブジェクトに既に付加されていた第2オブジェクトと、1の第1オブジェクトに新たに付加された第2オブジェクトとの態様を異ならせることができるので、既に付加されていた第2オブジェクトであるか、新たに付加された第2オブジェクトであるかが分かり易い。
これに対して、引用文献1には、前の特図1変動表示ゲームが終了すると保留1の飾り特図1始動記憶表示511が左にシフトし、当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53として拡大表示され、疑似3連の疑似連予告演出(飾り特図始動記憶表示53からとび出した☆を流れ星とする演出表示、☆マークが3つとも画面左上の領域(疑似連数表示領域)54に移動した後に☆を流れ星とする演出表示)が実行されることが記載されている(引用文献1、段落[0125]-[0129]、図18、図19)。このように、引用文献1では、当該特図変動表示ゲームに係る飾り特図始動記憶表示53において、○の図形に1または複数の☆マークを付加した表示態様で表示を行うが、☆マークは、○の図形からとび出すことはあるが、○の図形に付加された状態で変化することはない。
また、引用文献2-5には、上記特徴的構成に関する記載及び示唆はない。
このように、本願発明は、引用文献1-5が開示しない構成及び当該構成による有利な効果を具備するものであり、引用文献と同一でなく、且つ、当業者であっても容易に想到することができないため、新規性及び進歩性を有するものと思量される。」と主張している(平成30年11月12日付け意見書の「5.特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項違反(理由1、2)について」参照。)。

しかしながら、上記「5 対比(i)」で示したように、引用発明における「飾り特図始動記憶表示53から☆が1つとび出して流れ星の演出表示がなされると飾り特図始動記憶表示53に表示されている☆マークの数が1つ減る」ことは、本願発明の「付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化」に相当するものであり、本願発明と引用発明との間に差異は無い。

ここで、請求人は、本願発明が「1の第1オブジェクトに付加されている第2オブジェクトの態様を変化させることができる。」ものであり、「これにより、1の第1オブジェクトに既に付加されていた第2オブジェクトと、1の第1オブジェクトに新たに付加された第2オブジェクトとの態様を異ならせることができるので、既に付加されていた第2オブジェクトであるか、新たに付加された第2オブジェクトであるかが分かり易い。」との効果を発揮する旨を主張しているが、本願の請求項1においては「付加されている当該第2オブジェクトの態様を変化可能」との特定があるのみで、上記効果を奏するため、第2オブジェクトを態様の変化後も表示し続けることは特定されておらず、請求人の上記主張は採用できない。

また、仮に、第2オブジェクトを態様の変化後も表示し続けることが特定されたとしても、引用例1の段落【0140】?【0145】、図22?23には、疑似連予告演出の実施形態の一例として、飾り特図始動記憶表示53の所定の図形(本願の「第1オブジェクト」に相当。)に、「ちょい熱」マーク、「カス」マーク、「?」マーク等の複数のマーク(本願の「第2オブジェクト」に相当。)を付加するとともに、疑似連予告演出の進行に伴って、既に付加されているマークの表示態様を扇形の斜線領域531の中にマークが配置される表示態様に変化させたり(段落【0143】、図23(a)、(b))、マークの表示態様をマークが拡大されたものに変化させたり(図22(c)、図23(c))して表示すること、すなわち、所定の図形に既に付加されているマークの表示態様を変化させて表示を行うことが記載されていることを参酌すれば、引用発明において、飾り特図始動記憶表示53の所定の図形に既に付加されているマークの表示態様を変化させて表示を続けるように構成することは、当業者ならば容易になし得たことである。

そして、本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

よって、請求人の上記主張は採用できない。

7 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。又は、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-18 
結審通知日 2019-02-19 
審決日 2019-03-05 
出願番号 特願2013-147462(P2013-147462)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 直行  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 田付 徳雄
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人後藤特許事務所  

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