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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1351002
審判番号 不服2018-2857  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-28 
確定日 2019-04-17 
事件の表示 特願2015- 15310「試験体の測定または分析のためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 9日出願公開、特開2015-127708〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2005年(平成17年)5月13日(パリ条約による優先権主張 2004年5月14日 米国、2004年5月14日 米国、2004年5月14日 米国、2004年5月14日 米国)を国際出願日として出願した特願2007-513424号の一部を、平成23年3月23日に新たに出願した特願2011-063893号の一部を、さらに平成25年2月7日に新たに出願した特願2013-021974号の一部を、さらに平成27年1月29日に新たに出願したものであって、平成28年2月10日付けで拒絶理由が通知され、同年8月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年5月8日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月20日付けで平成29年5月8日付けの手続補正の補正の却下の決定がされたところ、同日付けで拒絶査定がなされ、平成30年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年2月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年2月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
試験体の測定のために構成されたシステムであって、
真空紫外光および非真空紫外光の両者を用いて前記試験体の測定を実行するように構成される光学サブシステムであって、複数の光源を備え、前記複数の光源の一つは、真空紫外光を生成するように構成され、前記複数の光源の他の一つは、非真空紫外光を生成するように構成される光学サブシステムと、
前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて、前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定するように構成されるコンピュータシステムと、
を備えるシステム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年8月23日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
試験体の測定のために構成されたシステムであって、
真空紫外光、近真空紫外光、または真空紫外光および近真空紫外光の両者を用いて前記試験体の測定を実行するように構成される光学サブシステムであって、一つまたは複数の光源を備え、前記一つまたは複数の光源は、真空紫外光を生成するように構成される光学サブシステムと、
前記光学サブシステムにより実行された前記測定の結果を用いて、前記試験体の一つまたは複数の特性を決定するように構成されるコンピュータシステムと、
を備えるシステム。」

2 補正の適否
(1)本件補正の目的について
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記試験体の測定を実行する」ために用いる光が、「真空紫外光、近真空紫外光、または真空紫外光および近真空紫外光の両者」であったものを「真空紫外光および非真空紫外光の両者」と補正するものであり、補正後の「非真空紫外光」は補正前の「近真空紫外光」の上位概念にあたるものであるから、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとはいえない。また、この補正は、明瞭でない記載の釈明であるとも、誤記の訂正であるとも、請求項の削除であるともいえないから、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもない。

(2)小括
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(3)独立特許要件について
上記のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもないから却下されるべきものであるが、仮に、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであった場合、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

イ 特許法36条関係について
本件補正発明の「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて、前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」とは、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データ」と「前記非真空紫外光を用いた第2の測定データ」とを、どのように組み合わせて、どのようにして「前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」のか特定されていない。
この点について本願明細書の発明の詳細な説明には、以下のように記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)

(本1)「【0019】
一実施形態によれば、一つまたはそれ以上の特性は、VUV波長における、試験体上の構造物の光学的特性を含んでいてよい。このような実施形態では、第2のデータは、試験体上の構造物の厚さを判定するのに使用してよい。厚さを、第1のデータと組み合わせて使用して、光学的特性を判定してよい。異なる実施形態によれば、一つまたはそれ以上の特性は、試験体上の一つまたはそれ以上の構造物の原子濃度を含んでいてよい。一つのこのような実施形態では、原子濃度は、一つまたはそれ以上の構造物の光学的特性から判定してよい。光学的特性は、第1のデータ、第2のデータ、または、第1および第2のデータから判定してよい。異なるこのような実施形態では、原子濃度は、第1および第2のデータと参照データとの比較によって判定してよい。コンピュータに実装された方法は、ここで記述するような追加のステップを含んでいてよい。」

(本2)「【0125】
基板上の膜の厚さ、および、VUV波長(例えば、157 nm)におけるその光学的特性(例えば、屈折率nおよび吸収k)を知りたい場合、VUV波長のみを用いるのではなく、可視光波長(これは、膜厚のより正確な測定を与える場合がある)で行われた測定を、VUV波長で行われた測定と組み合わせることによって、よりよい測定結果が得られる場合がある。このやり方では、第2のデータを使用して、試験体上の構造物の厚さを判定してよい。この厚さを、第1のデータと組み合わせて使用して、一つまたはそれ以上のVUV波長における構造物の光学的特性を判定してよい。」

(本3)「【0132】
他の実施形態では、分光偏光解析データは、VUVおよび非VUV波長で測定してよい。このような実施形態では、分光偏光解析データは、一つの光学サブシステムまたは2つの異なる光学サブシステムを用いて測定してよい。例えば、VUVおよび非VUV波長で動作するよう構成された一つの光学サブシステムを使用して、分光偏光解析データを測定してよい。データを、2つの異なる光学サブシステム(一つはVUVおよび一つは非VUV)によって測定する場合、データを一つのデータセットに組み合わせ、次いで、それを使用して、窒化酸化物ゲート誘電体の特性を判定してよい。
【0133】
また、この方法は、分光偏光解析データから、試験体上に形成された窒化酸化物ゲート誘電体の窒素濃度を判定することを含んでいる。窒素濃度は、原子濃度測定に対して上述したように判定してよい。例えば、この方法は、分光偏光解析データから窒化酸化物ゲート誘電体の屈折率を判定すること、および、屈折率から窒素濃度を判定することを含んでいてよい。特定の例では、測定された屈折率または屈折率モデル(例えば、BEMA分率)と窒素濃度との間の量的相関を、既知の窒素濃度値を有する試験体の測定を用いて判定してよい。次いで、量的相関を使用して、測定された屈折率に基づいて、他の試験体の窒素濃度を判定してよい。
【0134】
窒化酸化物ゲート誘電体膜の偏光解析スペクトルの測定は、好ましくは、広い波長帯に亘って行なって、スペクトルから、膜厚および屈折率を判定できるようにする。したがって、いくつかの実施形態では、この方法は、分光偏光解析データを用いて、窒化酸化物ゲート誘電体の厚さおよび屈折率を判定することも含んでいてよい。また、窒化酸化物ゲート誘電体の厚さおよび屈折率は、同時に測定してよく、これは、薄膜の厚さと屈折率測定との間の強力な相関効果により、特に有利な場合がある。対照的に、過去においては、一般的慣行として、100オングストロームより薄い膜に対しては、厚さしか測定することができなかった。」

上記記載より、本願明細書の発明の詳細な説明には、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて」、「光学的特性を決定する」点は記載されているものの、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データ」と「前記非真空紫外光を用いた第2の測定データ」とを、具体的に、どのように組み合わせて、どのようにして「前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」のか記載されていない。
そうすると、本件補正発明は、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データ」と「前記非真空紫外光を用いた第2の測定データ」とを、具体的に、どのように組み合わせて、どのようにして「前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」のか理解することができないから、明確であるとは認められない。そして、この点が明細書に記載されていないことから、本件補正発明が本願明細書の発明の詳細な説明に記載されているものであるとも認められず、さらに、本願明細書の発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明を、当業者が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとも認められない。
したがって、本件補正発明は、特許法第36条第6項第1号及び2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

ウ 特許法29条関係について
上記のとおり、本件補正発明の「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて、前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」は、明確でなく、発明の詳細な説明中に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明の記載は、当業者が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるが、仮に、本件補正発明の「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて、前記試験体の一つまたは複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定する」が、単に、その記載のみで認定できるあいまいな上位概念のみを示すものと解釈して、以下、検討する。

(ア)引用文献
a 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2003/0071996号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(引1a)「[0005] In the near future systems will operate in the vacuum ultra-violet at an exposure wavelength of 157 nm. Wavelengths in the range between 140 nm-165 nm lie within a region known as the vacuum ultraviolet (VUV), in which the high absorption coefficients of oxygen and water vapor lower the attenuation length in standard air to fractions of a millimeter. (Historically, this light could only be observed under vacuum conditions, hence the designation.) Achieving the transmission and stability necessary for optical metrology in the VUV, in a tool where the optical paths are of order 0.5-2 m requires oxygen and water concentrations in the low parts-per-million (ppm) range averaged over the entire optical path. One approach to achieving this is described in copending U.S. application Ser. No. 10/027385, filed Dec. 21, 2001 and incorporated herein by reference, which discloses a method for inert gas purging the optical path.
[0006] The technology extension requires that the measurement bandwidth of optical metrology tools be broadened to cover the wavelength range spanning 140-850 nm. This is a daunting challenge.」(当審訳:「[0005]近い将来のシステムは、露光波長157nmの真空紫外スペクトル領域で動作することになる。140nm-165nmの範囲内の波長は、真空紫外(VUV)として知られている領域にあり、酸素と水蒸気の高い吸収係数は、標準的な空気中での減衰長さを数分の1ミリまで下げる。(歴史的には、この光は、特定の真空条件下でのみ観察することができた)。VUV中で光学測定に必要な透過性および安定性を達成するのは、光路のためのツールに0.5-2mは光路全体にわたって平均化された低い1000000分率(ppm)の範囲内の酸素及び水の濃度を必要とする。これを達成する1つのアプローチは、参照により本明細書に組み込まれる同時係属の米国公報第10/027385号, 2001年12月21日公開には、不活性ガスで光路をパージする方法が開示されている。
[0006]技術の拡張は、光学的計測ツールの測定帯域幅が140-850nmにわたる波長範囲をカバーするように広げられる必要がある。これは、困難な課題である。」)

(引1b)「[0066] FIG. 6 illustrates a preferred embodiment of a broadband spectroscopic ellipsometry system 80. Ellipsometry system 80 includes two separate measurement systems; one optimized for VUV operation, the other for operation in the UV-NIR spectral range. Detector system 24 may include separate VUV 72 and UV-VIS 70 detectors.
[0067] The VUV ellipsometer is comprised of a VUV light source 14, optical system 18, sample 20, optics system 36 and detector 72 . The VUV ellipsometer is isolated from the ambient environment and maintained in a N_(2) purged environment 38, in order to remove optically absorbing atmospheric constituent from the optical path 30.
[0068] Optical system 18 includes condenser 56, polarizer 58, and focusing system 62 and is configured to provide small-spot illumination of the sample with polarized broadband VUV light at a measurement location. Optical system 36 includes collection optics 64, wave-plate 66 and analyzer 68 configured to collect a portion of the illumination reflected from the sample and measure the change in the illumination produced by interaction with the sample.
[0069] Detector 72 generates output signals in response to the detected illumination at a plurality of wavelengths spanning the spectral region between 140 and 190 nm. Processor 26 records and analyzes those output signals. Optical systems 18 and 36 are fabricated from VUV transparent materials and components selected from the group consisting of UV grade fused silica, CaF_(2) , BaF_(2) , LaF_(3) , LiF, SrF_(2) , MgF_(2) and fluorine-doped fused silica. Ideally, the VUV light source 14 is a deuterium lamp with a VUV window. In the preferred embodiment polarizer 58 and analyzer 68 are VUV grade Rochon prisms and wave-plate 66 is manufactured form MgF_(2).
[0070] The UV-NIR ellipsometer is comprised of a UV-NIR light source 12, optical system 16, sample 20, optics system 34 and detector 70. The UV-NIR ellipsometer is illustrated with optical path 28 maintained in the ambient environment; however, if so desired, this system may also be maintained in a N_(2) purged environment in order to improve the performance of the UV-NIR measurement system.
[0071] Optical system 16 includes condenser 42, polarizer 44, and focusing system 46 and is configured to provide small-spot illumination of the sample with polarized broadband UV-NIR light at a measurement location. Optical system 34 includes collection optics 48, wave-plate 52 and analyzer 54 configured to collect a portion of the illumination reflected from the sample and measure the change in the illumination produced by interaction with the sample.
[0072] Detector 70 generates output signals in response to the detected illumination at a plurality of wavelengths spanning the spectral region between 190 and 850 nm. Processor 26 records and analyzes those output signals. 」(当審訳:「[0066]図6は、広帯域分光エリプソメトリシステム80の好適な実施形態を示している。エリプソメトリシステム80は、2種類の測定システムを含んでおり、一つは、VUV動作用に最適化されたものであり、もう一つは、UV-NIRスペクトル領域での動作用のものである。検出器システム24は、個別に真空紫外線72及びUV-VIS70の検出器を含んでいてもよい。
[0067]VUVエリプソメーターは、VUV光源14、光学系18、試料20、光学系36および検出器72から構成される。VUVエリプソメーターは、光路30から光学的に吸収性の大気成分を除去するため、周囲の環境から分離され、N_(2)でパージされた環境38に維持さる。
[0068]光学システム18は、コンデンサレンズ56、偏光子58、及び集光システム62を備えていて、測定位置での偏光された広帯域のVUV光を用いた小さいスポットを試料に照射するように構成されている。光学系36は、試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成される集光光学系64、波長板66および分析器68を含む。
[0069]検出器72は、140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成する。プロセッサ26は、これらの出力信号を記録し、解析する。光学系18及び36は、UVグレードの溶融ガラス、CaF_(2)、BaF_(2)、LaF_(3)、LiF、SrF_(2)、MgF_(2)、およびフッ素ドープ石英ガラスからなる群から選択されるVUV透過材料及び構成要素から製造される。理想的には、VUV光源14はVUV窓付き重水素ランプである。好ましい実施形態では、偏光子58及び検光子68は、VUVグレードロションプリズムであり、波長板66は、MgF_(2)から製造される。
[0070]UV-NIRエリプソメーターは、UV-NIR光源12、光学系16、試料20、光学系34および検出器70から構成される。UV-NIRエリプソメーターにおいては、光路28が周囲環境中に維持されている、しかしながら、UV-NIR測定システムの性能を向上させるために、このシステムはまた、N_(2)でパージされた環境中に維持することが望まれる。
[0071]光学系16は、コンデンサレンズ42、偏光子44、及び集光システム46を備えていて、測定位置での偏光された広帯域のUV-NIR光を用いた小さいスポットを試料に照射するように構成される。光学系34は、試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成される集光光学系48、波長板52および分析器54を含む。
[0072]検出器70は、190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成する。プロセッサ26は、これらの出力信号を記録し、解析する。」)

(引1c)「 [0075] The arrangement of FIG. 5 may be further generalized to include additional light sources and additional measurement systems that employ gas purged optical paths. Possible generalizations include systems that use one or more measurement technologies employed separately or in combination including instruments commonly known as reflectometers, ellipsometers, scatterometers, and optical CD metrology tools operating as single wave-length metrology systems and broad-band spectroscopic instruments.」(当審訳:「[0075]図5の配置図は光路をパージするガスを使う追加の光源および付加的な測定システムを含むためにさらに一般化することができる。可能な一般化は、単波長計測システムおよび広帯域分光装置として動作する、リフレクトメーター、エリプソメーター、スキャタロメーター、及び光学CD測定ツールとして一般に知られている器具を含み別々に又は組み合わせて使用される1つまたは複数の測定技術を使用するシステムを含む。」)

(引1d)「



b 引用文献1に記載された発明
上記(引1b)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「VUV動作用に最適化されたものと、UV-NIRスペクトル領域での動作用のものとの2種類の測定システムを含むエリプソメトリシステム80において、
VUVエリプソメーターは、VUV光源14、光学系18、試料20、光学系36および検出器72から構成され、
光学システム18は、測定位置での偏光された広帯域のVUV光を用いた小さいスポットを試料に照射するように構成され、
光学系36は、試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成され、
検出器72は、140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成し、プロセッサ26は、これらの出力信号を記録し、解析し、
UV-NIRエリプソメーターは、UV-NIR光源12、光学系16、試料20、光学系34および検出器70から構成され、
光学系16は、測定位置での偏光された広帯域のUV-NIR光を用いた小さいスポットを試料に照射するように構成され、
光学系34は、試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成され、
検出器70は、190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成し、プロセッサ26は、これらの出力信号を記録し、解析する
エリプソメトリシステム80。」

(イ) 対比
a 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の「試料20」及び「VUV」は、それぞれ、本件補正発明の「試験体」及び「真空紫外光」に相当する。また、引用発明の「UV-NIRエリプソメーター」の「検出器70は、190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成する」から、引用発明の「UV-NIR」は、本件補正発明の「非真空紫外光」に相当する。そして、引用発明の「エリプソメトリシステム80」は、「VUVエリプソメーター」及び「UV-NIRエリプソメーター」において、「試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成され」ているから、本件補正発明の「試験体の測定のために構成されたシステム」に相当する。

(b)引用発明の「エリプソメトリシステム80」は、「VUV動作用に最適化されたものと、UV-NIRスペクトル領域での動作用のものとの2種類の測定システムを含む」から、引用発明の「VUV動作用に最適化されたものと、UV-NIRスペクトル領域での動作用のものとの2種類の測定システム」は、本件補正発明の「真空紫外光および非真空紫外光の両者を用いて前記試験体の測定を実行するように構成される光学サブシステム」に相当する。

(c)引用発明の「VUV光源14、光学系18、試料20、光学系36および検出器72から構成され」る「VUVエリプソメーター」と、「UV-NIR光源12、光学系16、試料20、光学系34および検出器70から構成され」る「UV-NIRエリプソメーター」は、本件補正発明の「複数の光源を備え、前記複数の光源の一つは、真空紫外光を生成するように構成され、前記複数の光源の他の一つは、非真空紫外光を生成するように構成される光学サブシステム」に相当する。

(d)引用発明の「プロセッサ26」、「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」及び「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」は、それぞれ本件補正発明の「コンピュータシステム」、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データ」及び「前記非真空紫外光を用いた第2の測定データ」に相当する。また、「エリプソメーター」は、試料の測定波長域における光学的特性を決定するための装置であって、引用文献1が「光学的計測ツールの測定帯域幅が140-850nmにわたる波長範囲をカバーする」(上記(引1a)参照)ためのものであることから、引用発明において「140-190nmのスペクトル領域」の光である「VUV」の「複数の波長」の光の光学的特性を決定していることは明らかである。そして、引用発明の「プロセッサ26」は、「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」及び「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」を、「記録し、解析する」ものである。
これらのことから、引用発明の「プロセッサ26」は、「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」と「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」とを用いて、「試料20」の「VUV」における複数の光学的特性を決定していると認められるから、引用発明の「プロセッサ26」と本件補正発明の「コンピュータシステム」は、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データとを用いて、前記試験体の複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定するように構成され」ている点で共通する。

b 上記(a)?(d)より、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 試験体の測定のために構成されたシステムであって、
真空紫外光および非真空紫外光の両者を用いて前記試験体の測定を実行するように構成される光学サブシステムであって、複数の光源を備え、前記複数の光源の一つは、真空紫外光を生成するように構成され、前記複数の光源の他の一つは、非真空紫外光を生成するように構成される光学サブシステムと、
前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データとを用いて、前記試験体の複数の前記真空紫外光における光学的特性を決定するように構成されるコンピュータシステムと、
を備えるシステム。」

(相違点)コンピュータシステムによる前記試験体の複数の前記真空紫外光における光学的特性の決定が、本件補正発明は「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを組み合わせて用いて」行われるのに対し、引用発明は、「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」と「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号とを用いて」行うものであって組み合わせて行うことは特定されていない点。

(ウ) 判断
上記相違点について検討する。
複数の測定装置からのデータをどのように使用して、何を得るかは、得られるデータ等を考慮して適宜設定されるものであるから、引用発明の「VUVエリプソメーター」と「UV-NIRエリプソメーター」とを適宜組み合わせることによって、「試料20」の「VUV」における複数の光学的特性を決定するよう構成することは、当業者が容易に想到できたことである。なお、上記イで検討したとおり、本願明細書の発明の詳細な説明には、「前記真空紫外光を用いた第1の測定データと前記非真空紫外光を用いた第2の測定データを」どのように組み合わせるか記載されていない。

(エ)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
上記2(1)及び(2)で検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではないから、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
例え、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであったとしても、上記2(3)で検討したとおり、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年2月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年8月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
(1)29条関係について
この出願の請求項1-13に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないか、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2003/0071996号明細書

(2)36条関係について
この出願の請求項2に係る発明は、「前記真空紫外光および前記近真空紫外光を吸収する」は、何に係るのか不明瞭であるため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない、というものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(3)ウ(ア)に記載したとおりである。

4 対比・判断
(1)29条関係について
ア 対比
本願発明と引用発明を対比する。

(ア)引用発明の「試料20」及び「VUV」は、それぞれ、本願発明の「試験体」及び「真空紫外光」に相当する。また、引用発明の「UV-NIRエリプソメーター」の「検出器70は、190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号を生成する」から、引用発明の「UV-NIR」のうちの「UV」は、本願発明の「近真空紫外光」に相当する。そして、引用発明の「エリプソメトリシステム80」は、「VUVエリプソメーター」及び「UV-NIRエリプソメーター」において、「試料から反射された照明の一部を回収して試料との相互作用によって生成される照明の変化を測定するように構成され」ているから、本願発明の「試験体の測定のために構成されたシステム」に相当する。

(イ)引用発明の「UV-NIRエリプソメーター」は、「190-850nmのスペクトル領域」を測定するものであって、「190-850nmのスペクトル領域」は「近真空紫外光」を含んでいるから、引用発明の「VUV動作用に最適化されたものと、UV-NIRスペクトル領域での動作用のものとの2種類の測定システムを含むエリプソメトリシステム80」は、本願発明の「真空紫外光、近真空紫外光、または真空紫外光および近真空紫外光の両者を用いて前記試験体の測定を実行するように構成される光学サブシステム」に相当する。

(ウ)引用発明の「VUV光源14、光学系18、試料20、光学系36および検出器72から構成され」る「VUVエリプソメーター」と、「UV-NIR光源12、光学系16、試料20、光学系34および検出器70から構成され」る「UV-NIRエリプソメーター」は、本願発明の「一つまたは複数の光源を備え、前記一つまたは複数の光源は、真空紫外光を生成するように構成される光学サブシステム」に相当する。

(エ)引用発明の「プロセッサ26」と「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」及び「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」は、それぞれ本願発明の「コンピュータシステム」と「前記光学サブシステムにより実行された前記測定の結果」に相当する。また、「エリプソメーター」は、試料の特性を決定するための装置である。
すると、引用発明の「140-190nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」及び「190-850nmのスペクトル領域にわたる複数の波長で検出された照度に応じた出力信号」を、「記録し、解析する」「プロセッサ26」は、本願発明の「前記光学サブシステムにより実行された前記測定の結果を用いて、前記試験体の一つまたは複数の特性を決定するように構成されるコンピュータシステム」に相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明の発明特定事項を全て含んでいるから、本願発明は引用発明である。

(2)36条関係について
請求項2の「前記真空紫外光および前記近真空紫外光を吸収する、前記光学サブシステムの光路の少なくとも一部のガスをパージするように構成されたパージサブシステムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。」における「前記真空紫外光および前記近真空紫外光を吸収する」は、依然として何に係るのか不明瞭であるため、請求項2に係る発明は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないし、本願請求項2に係る発明は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-01 
結審通知日 2018-11-13 
審決日 2018-11-28 
出願番号 特願2015-15310(P2015-15310)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (G01N)
P 1 8・ 113- Z (G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 537- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野寺 麻美子  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 福島 浩司
信田 昌男
発明の名称 試験体の測定または分析のためのシステムおよび方法  
代理人 山川 政樹  
代理人 山川 茂樹  
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