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審決分類 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない H04B
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない H04B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H04B
管理番号 1351009
審判番号 訂正2018-390090  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-05-30 
確定日 2019-04-19 
事件の表示 特許第6100903号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6100903号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年8月15日を国際出願日として特許出願され、平成29年3月3日に特許権の設定登録がなされたものであって、平成30年5月30日に本件訂正審判が請求されたものである。その後、同年6月26日付けで当審より訂正拒絶理由が通知され、同年8月15日に審判請求書を対象とする手続補正書及び意見書が提出され、同年8月29日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年10月12日に意見書が提出された。

第2 訂正拒絶理由の概要
1 平成30年6月26日付け訂正拒絶理由の概要
請求項1ないし13に係る訂正事項1は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に違反するものである。
請求項14ないし23に係る訂正事項2は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に違反するものである。

2 平成30年8月29日付け訂正拒絶理由の概要
請求項1ないし13に係る訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に違反するものである。
請求項14ないし23に係る訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に違反するものである。

第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、平成30年8月15日に提出された手続補正書により補正された、以下のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「前記第2の導体は、前記第1の導体からガルバニック絶縁されており、」との事項を加えることにより、請求項1を訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2-13も同様に訂正する。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項14に、「前記第2の導体は、前記第1の導体からガルバニック絶縁されており、」との事項を加えることにより、請求項14を訂正する。請求項14の記載を引用する請求項15-23も同様に訂正する。

3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7の引用関係を「先行する請求項のいずれか」から、「請求項1から4のいずれか」に変更することにより、請求項7を訂正する。請求項7の記載を引用する請求項8-13も同様に訂正する。

4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項20の引用関係を「請求項14から19のいずれか」から、「請求項14から17のいずれか」に変更することにより、請求項20を訂正する。請求項20の記載を引用する請求項21-23も同様に訂正する。

ここで、訂正事項3及び訂正事項4は、補正により追加されたものであるが、平成30年8月29日付け訂正拒絶理由を回避するために、請求項間の引用関係を解消する訂正のみを目的として行うものであるから、審判請求書の要旨を変更しないものである。

第4 訂正事項についての当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1に、「前記第2の導体は、前記第1の導体からガルバニック絶縁されており、」との事項を加えることで、請求項1に記載された「第1の導体」と「第2の導体」との関係を具体的に特定しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かの判断
審判請求書には、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることの理由として、以下のとおり記載されている。
「訂正事項1は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
段落0055には、第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいことが記載されている。これは技術的には、第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていることを記載していることと等価である。従って訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。」

そこで、訂正事項1について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否か検討する。
訂正事項1により特定する、「前記第2の導体は、前記第1の導体からガルバニック絶縁されており、」のうち「ガルバニック絶縁」という用語は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。そこで、上記理由を参照すると、明細書(段落0055)に記載された「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」と、「第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていること」とが「等価」である旨主張しているが、両者が等価である技術的理由は記載されておらず、自明なことでもない。

これに対し、請求人は、平成30年8月15日に提出した意見書において、「ガルバニック絶縁」についてWikipediaを引用して以下のように説明している。(項番は当審で付与した。)
a 「ガルバニック絶縁とは、電気システムの複数の機能部分を、これらの間に電流が直接的に流れないように分離し、直接的な導電路を設けないようにすることをいう。」
b 「ガルバニック絶縁されている機能部分の間で、エネルギーや情報がやり取りされることは構わない。そのようなやり取りは、例えばキャパシタやインダクタ、電磁波を介して行われてもよいし、光学的、音響的、機械的な手段によって行われてもよい。」
c 「ガルバニック絶縁は、互いにやりとりを行う2つ又はそれ以上の電気回路の接地電位が異なる場合に使用される。ガルバニック絶縁は、接地導体を共有する2つの回路の間に不要な電流が流れ、(ノイズ発生源となる)接地ループが生じてしまう事態を防止するための、効率的な手法である。ガルバニック絶縁は安全のためにも使用され、接地導体から人体に予想外の電流が流れることを防止する。」
d 「ガルバニック絶縁が使用される最も有名な例は、変圧器である。」

また、本願明細書の段落0055の「第1および第2の導体32、34のうちの・・・他方の導体は、寄生アンテナである」ことに関連して、同様にWikipediaを引用して以下のように説明している。
e 「無線アンテナにおいて、パッシブ放射体又は寄生素子とは、導電素子であり、典型的には金属ロッドであるが、他の要素と電気的に結合していない要素である。」

そこで、請求の理由に記載された「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」と、「第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていること」とが「等価」であるか否か検討する。
まず、「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」は、本願明細書の段落0055の記載及び上記eを参照すると、第1の導体32と第2の導体とは電磁的に結合されるが、少なくとも1つの導体は接地面に結合されており、両導体間が電気的に結合していないことを意味すると解される。
一方、「第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていること」は、上記a及びbを参照すると文言上、第1の導体32と第2の導体34が、それぞれ電気システム(電気回路)の機能部分であって、これらの間に電流が直接的に流れないように分離し、直接的な導電路を設けないようにされており、前記機能部分の間で、エネルギーや情報のやりとりが、例えばキャパシタやインダクタ、電磁波を介して行われてもよいし、光学的、音響的、機械的な手段によって行われてもよいことと解される。なお、請求人は、平成30年10月12日に提出した意見書において、上記aないしeは訳文であるところ、「direct」を「直流的」と訳すべきであったと主張しているが、このように訳すことができる理由は見当たらない。
また、上記cを参照すると、ガルバニック絶縁は、互いにやりとりを行う2つ又はそれ以上の電気回路の接地電位が異なる場合に使用され得るところ、本願明細書を参照しても、第1の導体を備える回路と第2の導体を備える回路の接地電位が異なることは、記載も示唆もされていない。
また、上記dに関して、本願発明の「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」は、変圧器とは異なる技術事項であって、変圧器に関する事項をそのまま第1及び第2の導体の関係に適用することはできない。
そうすると、「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」と、「第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていること」とは、共通事項はあるものの、「等価」であるとはいえないから、両記載が「等価」であることを前提とする訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない事項により、第1の導体と第2の導体との関係を特定するものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとはいえない。

さらに、請求人は、平成30年10月12日に提出した意見書において、「特許法第70条第2項には、明細書・図面を考慮して、請求項の用語の意義を解釈すべきことが規定されております。本件特許の明細書・図面には、第1の導体32と第2の導体34との間に電流経路が存在せず、しかし電磁的には結合されてもよいこと(0055)、その電磁的結合の例として、第1の導体32と第2の導体34との間にキャパシタC2乃至C4(図4)が設けられており、無線周波数回路18から供給される交流信号や、外部から受信する電波による誘導電流(むろん交流信号)によって、電磁エネルギーのやり取りが発生しうることが感得されます。かかる構成は、引用したWikipediaの説明からも理解されうるように、「第1の導体32と第2の導体34とがガルバニック絶縁されている」と称することができるものです。してみると、請求項に「ガルバニック絶縁」との発明特定事項があった場合、当業者はその範囲として、第1の導体と第2の導体との間に直流経路が存在せず、しかし電磁的な結合は存在してもよいという構成を意味すると、理解すると思われます。」と主張している。

上記主張について検討すると、特許法第70条第2項は、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められることを原則とした上で、特許請求の範囲に記載された用語について発明の詳細な説明等にその意味するところや定義が記載されている時は、それらを考慮して特許発明の技術的範囲の認定を行うことを確認的に規定したものであるところ、「ガルバニック絶縁」という用語は、発明の詳細な説明等にその意味するところや定義が記載されていないから、発明の詳細な説明等からその意味を特定することができない。
そして、前記意見書における上記(2)aないしdに基づく「ガルバニック絶縁」の説明を参照しても、上記(2)より、「第1の導体32と第2の導体34とがガルバニック絶縁されている」ことを、「第1の導体と第2の導体との間に直流経路が存在せず、しかし電磁的な結合は存在してもよいという構成を意味する」と限定して解することはできない。
さらに、図4には、第1の導体32と第2の導体34とが充電回路20のコンデンサC2乃至C4で直接的に導電される例が記載されており、これは、上記(2)のaないしdの何れにも該当せず、前記第1の導体32と第2の導体34とがガルバニック絶縁された状態であるとはいえないから、「第1の導体32と第2の導体34とがガルバニック絶縁されている」との特定は、図4の形態から導出できる事項であるともいえない。
したがって、前記意見書による主張を採用することはできない。

以上より、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合しない。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか否かの判断
訂正事項1は、請求項1に「前記第2の導体は、前記第1の導体からガルバニック絶縁されており、」との事項を加えることであるから、形式的には、上記(1)のとおり請求項1に係る発明を減縮するものであるが、上記(2)のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、実質上特許請求の範囲を変更する訂正であるといえる。

よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。

(4)独立特許要件についての判断
訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないので、以下検討する。

ア 特許法第36条第6項第1号について
上記(2)のとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載事項の範囲内の訂正ではないから、訂正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

イ 特許法第36条第6項第2号について
上記(2)のとおり、「第1および第2の導体32、34は電磁的に結合されているが、うち一方は寄生アンテナであってよいこと」と、「第1および第2の導体32、34のうちの一方が、他方からガルバニック絶縁されていること」とが「等価」であることの技術的理由が不明であるから、訂正後の「ガルバニック絶縁されていること」の技術的意味が不明瞭である。

したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定に違反するから、独立して特許を受けることができない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合しない。

(5)小括
以上のとおり、請求項1ないし13に係る訂正事項1は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合しない。

2 訂正事項2について
請求項14ないし23に係る訂正事項2は、訂正事項1で追加する事項と同じ事項を請求項14に追加しようとするものであるから、訂正事項1に対する理由と同様の理由により、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合しない。

第5 むすび
訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合しないから、訂正事項3及び訂正事項4について検討するまでもなく、審判請求人の訂正の請求は認められない。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-27 
結審通知日 2018-11-29 
審決日 2018-12-11 
出願番号 特願2015-527029(P2015-527029)
審決分類 P 1 41・ 841- Z (H04B)
P 1 41・ 854- Z (H04B)
P 1 41・ 856- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 典之  
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 宮下 誠
中野 浩昌
登録日 2017-03-03 
登録番号 特許第6100903号(P6100903)
発明の名称 電気エネルギーハーベスティングおよび/または無線通信のための装置および方法  
代理人 川守田 光紀  
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