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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1351126
審判番号 不服2017-12199  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-16 
確定日 2019-05-21 
事件の表示 特願2015-562454「底面反射器を用いたカプセル化のためのLEDレンズ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日国際公開、WO2014/141011、平成28年 5月16日国内公表、特表2016-513881、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年3月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年3月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年12月20日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月1日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年4月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月16日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされた。
その後、当審において、平成30年7月18日付けで拒絶理由通知(以下、その理由を「当審拒絶理由1」という。)がされ、同年10月19日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、同年11月13日付けで拒絶理由通知(以下、その理由を「当審拒絶理由2」という。)がされ、平成31年3月8日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明12」という。)は、平成31年3月8日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される発明であり、そのうちの本願発明1及び10は、それぞれ以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
発光デバイスであって、
サブストレートの上にマウントされた発光ダイオード(LED)ダイと、
前記LEDダイの上に置かれ、かつ、前記LEDダイをカプセル化するレンズと、
を含み、
前記レンズの底面は、前記LEDダイを取り囲む少なくとも外側と内側に係る複数のファセットにおいて角度の付いた表面を有し、前記角度の付いた表面は、前記LEDダイからの光を前記レンズの上面を通じて上方に向けて反射するように構成されており、
前記レンズは、前記LEDダイが配置されるキャビティを有し、
外側のファセットの高さは、内側のファセットより大きい、
デバイス。」

「【請求項10】
発光デバイスを動作させる方法であって、
発光ダイオード(LED)ダイにエネルギを与えるステップであり、前記LEDダイが、上面と同様に側面からも光を発している、ステップと、
前記LEDダイの前記側面から発せられた光を、前記LEDダイをカプセル化しているレンズの底面に形成された反射性パターンによって上方に向け直すステップと、
を含み、
前記レンズは、前記LEDダイが配置されるキャビティを有し、
前記反射性パターンは、前記LEDダイを取り囲み、前記レンズの前記底面の中に形成され、前記LEDダイからの光を上方に向けて反射するための角度の付いた表面を含む、
少なくとも外側と内側に係る複数のファセットを含み、
外側のファセットの高さは、内側のファセットの高さより大きい、
方法。」

なお、本願発明2?9は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明11、12は、本願発明10を減縮した発明である。

第3 引用文献
当審拒絶理由1に引用された引用文献1(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4)は、特開2007-317952号公報である。
当審拒絶理由1に引用された引用文献2(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5)は、特開2010-129202号公報である。
当審拒絶理由1に引用された引用文献3は、特表2006-525682号公報である。

第4 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項7について、上記引用文献1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、請求項1?6、8?13については拒絶の査定はされていない。
そして、原査定時の請求項7(平成29年3月1日付け手続補正による補正後の請求項7)は、「前記レンズの前記底面は、上方にカーブしており、前記光を全内部反射によって上方に向けて反射する」との発明特定事項を含むものであるところ、当該請求項7は平成30年10月19日付け手続補正による補正で削除された。
平成31年3月8日付け手続補正により補正された特許請求の範囲においても、請求項1?12は、上記発明特定事項を含まないものとなっている。
したがって、原査定を維持することはできない。

第5 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由1について
当審では、請求項7について、上記引用文献1、2、または3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶の理由(当審拒絶理由1)を通知しているが、当審拒絶理由1の通知時の請求項7(平成29年8月16日付け手続補正による補正後の請求項7)は、「前記レンズの前記底面は、上方にカーブしたパラボラ型のボウル形状であり、前記光を全内部反射によって上方に向けて反射する」との発明特定事項を含むものであるところ、当該請求項7は平成30年10月19日付け手続補正による補正で削除された。
平成31年3月8日付け手続補正により補正された特許請求の範囲においても、請求項1?12は、上記発明特定事項を含まないものとなっている。
したがって、当審拒絶理由1は解消した。

2 当審拒絶理由2について
(1)ア 当審拒絶理由2で、請求項1では、「LEDダイの側面光を、ファセットの角度の付いた表面により反射させる」ことについて特定されておらず、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。また、請求項1には、「衝突している光を前記レンズの第一表面を通じて上方に向け直し」と記載されており、また、請求項1では、レンズは、LEDダイが配置されるキャビティを有することが特定されていないので、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由(理由1(サポート要件))を通知している。

イ 当審拒絶理由2で、請求項1には、「前記レンズは、少なくとも一つの角度の付いた表面を有する平坦でない第2表面を有し、衝突している光を前記レンズの第1表面を通じて上方に向け直し、前記レンズの前記第2表面は、前記LEDダイを取り囲む少なくとも外側と内側に係る複数のファセットを含み」と記載されているが明確でないので、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?9に係る発明は、明確でなく、また、請求項2、3に係る発明は、明確でないとの拒絶の理由(理由2(明確性))を通知している。

しかしながら、平成31年3月8日付け手続補正において、請求項1?3、7、9は、下記のとおりに補正された結果、これらの拒絶の理由は解消した。
「【請求項1】
発光デバイスであって、
サブストレートの上にマウントされた発光ダイオード(LED)ダイと、
前記LEDダイの上に置かれ、かつ、前記LEDダイをカプセル化するレンズと、
を含み、
前記レンズの底面は、前記LEDダイを取り囲む少なくとも外側と内側に係る複数のファセットにおいて角度の付いた表面を有し、前記角度の付いた表面は、前記LEDダイからの光を前記レンズの上面を通じて上方に向けて反射するように構成されており、
前記レンズは、前記LEDダイが配置されるキャビティを有し、
外側のファセットの高さは、内側のファセットより大きい、
デバイス。」
「【請求項2】
前記レンズの前記上面は、ドーム状である、
請求項1に記載のデバイス。」
「【請求項3】
前記レンズの前記上面は、さらに、光を向け直すように形成されている、
請求項1に記載のデバイス。」
「【請求項7】
前記デバイスは、さらに、前記LEDダイをカプセル化するために変形可能な物質を含む、
請求項1に記載のデバイス。」
「【請求項9】
前記レンズは、前記底面の少なくとも一部分が前記サブストレートに取り付けられている、
請求項1に記載のデバイス。」(審決注:補正箇所に下線を付加した。以下同じ。)

(2)当審拒絶理由2で、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明のサポート箇所が不明であるから、発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由(理由1(サポート要件))を通知しているが、図4を参照すると、発明の詳細な説明の段落【0017】の図4の説明、及び段落【0018】、【0019】、【0026】、【0028】の記載から、請求項9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえるので、この拒絶の理由は解消した。

(3)ア 請求項10では、レンズは、LEDダイが配置されるキャビティを有すること、及び、LEDダイの側面光を、「ファセットの角度の付いた表面により反射させる」ことについて特定されていないので、請求項10及び請求項10を引用する請求項11、12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由(理由1(サポート要件))を通知している。

イ 当審拒絶理由2で、請求項10の記載は明確でないので、請求項10及び請求項10を引用する請求項11、12に係る発明は、明確でなく、また、請求項11に係る発明は、明確でないとないとの拒絶の理由(理由1(明確性))を通知している。

しかしながら、平成31年3月8日付け手続補正において、請求項10、11は、下記のとおりに補正された結果、これらの拒絶の理由は解消した。
「【請求項10】
発光デバイスを動作させる方法であって、
発光ダイオード(LED)ダイにエネルギを与えるステップであり、前記LEDダイが、上面と同様に側面からも光を発している、ステップと、
前記LEDダイの前記側面から発せられた光を、前記LEDダイをカプセル化しているレンズの底面に形成された反射性パターンによって上方に向け直すステップと、
を含み、
前記レンズは、前記LEDダイが配置されるキャビティを有し、
前記反射性パターンは、前記LEDダイを取り囲み、前記レンズの前記底面の中に形成され、前記LEDダイからの光を上方に向けて反射するための角度の付いた表面を含む、少なくとも外側と内側に係る複数のファセットを含み、
外側のファセットの高さは、内側のファセットの高さより大きい、
方法。
【請求項11】
前記ファセットは、前記レンズの上面に向かって光を反射する角度の付いた表面を有している、
請求項10に記載の方法。」

第6 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-08 
出願番号 特願2015-562454(P2015-562454)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉野 三寛  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 星野 浩一
恩田 春香
発明の名称 底面反射器を用いたカプセル化のためのLEDレンズ  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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